DG レッドキング

今回のお題はドライブラシ。筆塗りでは基本中の基本という技法です。
DGウルトラマンではベムラーが、思わずドライブラシしたくなる表皮してるんですけどw
ただ、ガシャサイズなのでベムラーだとモールドが細かすぎて、初めての人が「試しにやってみる」にはちょっと大変かと。
ってことで、凸部のでっかい、レッドキングでやってみましょう。


目標:ドライブラシ


筆に塗料を付けたら、ティッシュや布でぬぐい落とし、
いらない紙にこすりつけた後で、
残った少量の塗料だけをフィギュアにこすりつける。
そうすると自然に凸部にのみ色がついて、立体感が強調される。
それだけです、ドライブラシ。

なんですが・・・。これが結構ミスしやすい。
「あれ? こんなつもりじゃなかったのに・・・」
ってね。

最大の敗因は
やりすぎ
この一言です。


対策として、ドライブラシをする時の心得は

1:筆の塗料を極力減らす

2:筆のサイズと向きを合わせる

3:筆の穂先と腹を使い分ける

4:塗料の濃度を調整する

5:光の向きを忘れない

ってとこです。では一つずつ考えてみましょう。



1:筆の塗料を極力減らす

最初に失敗するのが筆に残っている塗料が多すぎるって原因。
そうするとべた〜〜っと塗料が塗られてしまいます。
これではドライブラシの意味なし。普通に塗ったのと同じです。

対策としてはティッシュなどで拭う時に一杯落としてしまうこと。
「あれ? 残ってるかな?」くらいで丁度いいです。
こすりつけてみて、「まだまだ足りない」くらいがベスト。
ドライブラシは「
何度も繰り返して濃度を調整」します。
一回やったくらいでは「ちょっぴり」でOK。
何度も繰り返して希望の明るさに調整しましょう。
この時、ドライブラシしたい部分の端は回数を減らし、
一番濃くしたい、中心は回数を多くしましょう。
1回だけ。3回。10回等。
この回数で濃淡を作るのです。
そのためにも、1回で塗れる塗料は、ほんのちょっとでOK。
かすれた感じで丁度いいのです。


2:筆のサイズと向きを合わせる

ドライブラシしたい面積が横に広ければ平筆を。狭ければ面相筆(細筆)
を使いましょう。できればサイズで複数あるといいのですが、平と面相を
使い分けるだけでもかなり変わります。
また凸部に対して縦方向に筆をこすりつけるのか、横方向かでも
付き方が変わります。奥行きがあれば縦に細くつけたりもできます。

なお、専用のドライブラシ筆というのも画材屋さんでは売っていますが、
ガシャポンなどのごく小さいフィギュアに向くのはほとんどありません。
(あっても高いです)
ドライブラシは筆を傷めやすく、すぐに買い換えなければならないこともあり、
1本百円か二百円程度の安めの普通の筆でいいです。
練習も兼ねているのですから。
慣れるとドライブラシ用筆の形状がこの作業に向いているのか分かるはず。
そうなってから試しても遅くはないです。


3:筆の穂先と腹を使い分ける

2と連携しますが。筆の穂先でこするか、腹でなすりつけるかも
基本的な選択肢です。穂先は細部に向き、腹は広い面積に向きますが、
ドライブラシ予定地の中央を腹で、端を穂先で等、使い分けることで
濃淡を出しやすくなります。


4:塗料の濃度を調整する

それでもうまく行かない場合。塗料が薄いのかもしれません。
ドライブラシにはドライな状態に近い、半乾きの塗料がいいわけです。
こすりつけた時には細い線だったのに、乾くまでににじみ、広がってしまう。
そういう場合には、塗料を皿などに出し、しばらく放置して塗料自体の濃度を調整します。
お皿を揺すってみて、波立ち具合で乾き方が分かるのですけど、
慣れが必要なので、まずは数分放置してから塗ってみましょう。


5:光の向きを忘れない

え〜、実はこれが一番大事です。1〜4まではすぐに慣れます。
しかし、この5はなかなか難しい。
慣れると、かえって5を忘れがちになるとさえ言えます。

具体的に例を出します。



こんな風に波打っている形状だったとしましょう。



茶色が基本色です。こういう形状の凸部に黄色をドライブラシすると・・・



こうなります。
これで黄と茶二色になり、凸凹が立体的に見える。
それがドライブラシの目標。
なんですが・・・。実はここに落とし穴が。



フィギュア、展示する時にはこうなってたりして。
作業は倒して行うことが多いのですが、
展示時にもしこうなる場合、
黄色の場所はおかしいのです、これだと。



こうならなきゃいけない。
なにしろ普通、光源は上です。凸部の影になる所にまで、
明るい色をドライブラシしてしまうと意味無いのですよ。
つまり、

彫刻にだまされないこと

が大事。出っ張ってるからと言って、全部にドライブラシしちゃいけません!
ここは影だから無視。ここはちょっと暗いから1回だけ、ここは結構明るいから3回。
で、ここが一番明るいし出っ張ってるから10回!
って感じで、どこを何回ドライブラシするのか、考えて作業する。
これが大事です。



レッドキングの腹。赤丸の中に注目。
このように上が明るく、下は暗いわけですよね、凸部。
で、その分割位置、つまり一番出っ張っているとこを一番明るくし、
下の影との差を出す必要があります。なので、同じ場所でも
濃淡は必要なのですよ。



というわけで凸部の上方、赤い部分にだけドライブラシ。
その下、つまり影になる部分にはドライブラシしない、ってのが基本です。
パーツを横に寝かせて塗っていると、この当たり前のことを忘れちゃって、
「ここも出っぱってる、ここも・・・」
と、影になるはずのとこまで塗っちゃうのです。
慣れちゃうと、つい調子に乗る、ってわけ。
これがヤヴァイ。


第二例。今度はベムラーの腹。



ベムラーにはウロコ表現があります。で、出っ張ってるので
つい凸部全部を塗りがちなんですけど。
そうすると、「あれ?」ってことに。
原型の「スーツのたるみ表現」が分からなくなっちゃうからです。



こういう感じにしないといけないのですよ。
白部分の凸部が一番多くドライブラシするとこ。
例えばここに10回ドライブラシするなら、
薄い灰色は5回。茶色のままのとこ(中間色部分)は3回、
濃い灰色部分は1,2回だけ。
黒の凸部はごくごく軽く、あるいはいっそのこと無視!
ってかんじで行うわけです。


ドライブラシは立体感を出すためのものです。
でも、ベムラーの腹に均一にドライブラシしちゃうと、立体感どころか、

菱形がプリントされている平坦な布地

に見えちゃうのです。それじゃ意味無し。

光の向きを忘れない。これが一番大事。お忘れ無く。





では実際に塗ってみましょう。

使う塗料ですが。速乾性の高いMr.カラー、シンナーを使わない安全な水性カラーでも
ドライブラシはできます。でも、失敗しちゃった場合の「やり直し」を考えると、
エナメル塗料が便利。今回はタミヤカラーエナメルでやります。


フラットホワイトにちょこっとデザートイエローを加えました。
好みで黄色味を足してもいいです。私は悩んだ末、二色で混色しました。
(ドライブラシは「明るい部分」に塗るので、光沢があってもかまいません。
ただ、このサイズだとちっこいので、塗料はつや消しを選びました)

で、この塗料をドライブラシしていくのですが。
このくらいの量で、レッドキングなら十分に
全体を塗装できます。



できました〜


元のままと比較しますと・・・
って、あれ? ちょっと白すぎじゃね?



むむ。黄色いとこがほとんど残ってない・・・
むむむ・・・
ま、ドクロ怪獣っぽくっていいか(おいおい!)

と、こうなるわけですよ。これがやりすぎ。

まぁ、白っぽい方がいい、というのならこれでもいいのですけど。
やりすぎたっ! ってことなら、あわてず騒がず、どこをどうやりすぎたのか。
よく見て考えましょう。
ポイントは光の向きです。

で、どうやり直すのか決めたら、
エナメルシンナーでぬぐっちゃいましょう、ドライブラシ色全部。
ちょっとやりすぎた程度なら、シンナーを付けた筆で影部分をぬぐう、
でも対処できますが。これくらいやりすぎちゃうと、やり直した方が早いです。



シンナーを含ませた綿棒で落としていきます。白い部分が消えてるの、分かります?
あんまり強くこすると下の青も落ちますが。
そっとぬぐっていく分には、メーカー塗装はおちません。
ただし、表面の見えない程小さい凸凹に白がしみこみ、
全体が白っぽくなっちゃうのは仕方ないです。
100%落ちるわけではありません。ま、90%くらいは落ちるので、
めげずにやり直ししましょう。
これが出来るのが、エナメルカラーの強みです。



シンナー分が完全に消えるまで1日放置。
また塗料調合して、さて再挑戦!




出来ました〜




腹周り、拡大するとこう。腹の大きな波打ち、
光が当たるとこが白く、影は黄色のままなの、分かります?



商品のままとの対比。
光があたってるとこは白っぽく。影は黄色を残してます。



下から見ると、ほとんど黄色のまま。
赤丸部分、各でっぱりの上方にのみ、白が見えるの、分かります?
こんな感じでドライブラシしていきます。



上腕部や目の上のひさし部分、モールドが浮かび上がってるのが分かるでしょう。

ちなみに。やりすぎVer.と比較して腕だけを、ちょ〜拡大してみますと・・・



光があたる部分のみ白くなっている左と、全体が白になっちゃった右(やりすぎVer.ね)、
という差が分かると思います。
また、肩は特に明るくしてあり、腹の出っ張りよりもドライブラシの回数が多いのも
分かるでしょう。肩は頭頂部並に白っぽくしてあります。
目立つから&巨大感を出せるから、ですね。



ということで。
ドライブラシはやりすぎに注意!
これ、お忘れ無く。


 バンダイベンダー事業部 ガシャポン・DGシリーズ
 DG ウルトラマン1使用
 2009年9月発売