Etsukoが書いております。あしからず。
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シェリルが5才になった。
散歩で小さい犬に出会うといきなり態度がでかくなる。なんてことだ。
悠々とした大型犬が向こうに見えると、道端の草に気を取られてずっと気づかない振りをする。
なんてことだ。
ソファの縄張り争いも静かに続いていて、私の座る位置に寝て、どうだい、とやってみせる。
大人の犬社会を持ち込んできて、我が家の異種文化交流は続いている。
ここ数ヶ月「お手紙運び」がブームなのだ。
作業場で仕事をしているNoeさんに「そろそろですよ」と手紙を書く。
それをくわえてシェリルは飛んでいく。部屋からNoeさんを誘い出すことが出来れば
そのままシェリルの夕ご飯になることを覚えたからだ。
それは私にも便利な習慣だったのだ。
でもそれで終わらなかったのが異種文化交流の面白いところ。
食後に満腹感がじわじわとやってきて、幸せな気分になって来たシェリルは
お手紙が満足感を運んでくると理解した。たぶん。
それで食後に、自分から手紙を出す様になった。
正確には、手紙らしき紙切れを見繕ってNoeさんに運ぶ様になった。
プリンター周辺にある私のメモ書きや、紙ゴミの箱から
千切った切れ端を探して渡すのだ。新聞広告や包装紙ではない。
確実に私やNoeさんの手が触れた指紋がついたはずの紙切れだ。
シェリルは嗅覚の手紙を読んでいるのだった。
あんまり面白いので、えらいねえ、と褒め続けるとエスカレートする。
大きな画用紙を見つけた時には部屋を一回りパレードして見せた。
「こんなにすごい獲物があった」と、高々と鼻を上げて自慢したのだ。
今では食後のお手紙は紙切れから絵具筆
洗濯待ちの靴下と、どんどんん大物になって来ている。
先月、ペリカン便のおじさんが私の背後を見て
「おや犬がいたのかい」と言った。
少し離れてじっと見つめるシェリルに
「犬だったらワンと言わないとだめだよ」と言った。
それでシェリルは素直にワンと吠えたのだ。
話せばわかる犬なのだシェリルは。
「おや、それだけかい。一声じゃあ番犬にならないよ、ワンワンっていうんだよ」
新しい話し相手にシェリルは嬉しくなってワンワンと2回答えたのだ。
おじさんはちょっと気味が悪い風になって
「聞き分けがいい犬だね」と言って退散したのだった。
それからは黒猫便のお兄さんにも、飛んでいって
ワンワンと挨拶する様になった。
おじさんの教えをシェリルは守っている。
千葉ワンからやってきたシェリルは3才4ヶ月。子犬を卒業して、縄張り主張に忙しい。
外を通る犬に吠える様になった。ふた声三声くらいだけれど。
散歩のときも先頭に立ちたがる。鼻の差で私が先頭をキープすると、上目使いで虎視眈々。
それで困るのは、散歩の途中で別行動する時だ。
自販機に立ち寄って、「先に行ってて」と言う。これが出来ない。
「コンビニへ行くから、先に帰っていいよ」あるいは、「じゃ、ここで、いってらっしゃい」
よくある光景なのに。そのたびにシェリルは泣き叫ぶ。
群れから離れる子がいる!見逃したら危険だ!
悲鳴を上げて座り込んで動かない。
だからその度に、いちいち説得にかかる。
「お家で合いましょう。あとでね。皆と帰ってね。だいじょうぶよ。」
礼儀とメンツを大事にするのは社会生活の基本なのか。
あなたのことは大事にしていますよ。と、過剰に表現していかなければ動かない社会って
それは飢えた社会だと思う。「はらぺこオオカミ」といつも表現される犬族の
シェリルのまっすぐな目を見つめて、泣かない様に説得しながら
私も飢えているんだ。と、思う。私もこんなふうに説得されたい。
犬と私は同族なのだ。大人になったシェリルと、大人の関係が始まる。
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