書籍紹介販売レビュー

木のいのち木のこころ 地

木のいのち木のこころ 地

木のいのち木のこころ 地

カスタマーのおすすめ度:

何百年か先に笑われないように

NHKの課外授業で、「知恵で建てる!心の柱宮大工1300年の業小川三夫」が放送された。栃木の田舎の高校生であった小川氏は、修学旅行で法隆寺の五重塔を観た。そのとき衝撃を受けたという。1300年の時を経て、なお美しく聳え建つ建造物。凄い。そして、宮大工の棟梁、西岡常一氏の弟子入りを志願する。しかし、「この仕事では食っていけないよ」と西岡氏は拒絶する。「とにかく自分は法隆寺のような美しい建物を造った人の技術を学びたい」と食い下がる小川氏の情熱が西岡氏の心を融かし、3年後に内弟子となった小川氏の精進は、並大抵ではなかった。

小川氏は41年後に故郷の矢板小学校の教壇に立った。「自分で考えるということを、ちょっとでも知ってもらったらいいな」と思った。暖かく、風雪に耐!たまなざしで孫のような小学生たちに、飛鳥時代から続く宮大工の業の精緻さと、仕事に対する無限の誠実さ、を説く。釘を使わず、木と木を堅固に接続させる驚異的な業の数々、いつしか子供たちは、正座して食い入るように見つめ、聴き入っている。「木組みは、外から見ても中はみえないだろう。だけど、見えないところでも、きちっと仕事をすることが大切なんだ。何百年か先にわらわれないように、一生懸命に考えて、精一杯やっておくこと。これが大事なんだ」。「雪印的やり方」が普通になってしまったような現代では、奇跡のような誠実さの話であるが、しかし、子供たちの心に沁みこんでいく。

小川氏と西岡棟梁との出会いと師弟の交わりは、厳しく寡黙で豊穣で美しい。武満徹のエッセー「音、沈黙と測りあ!!えるほどに」を想起させる。まぎれもなく、日本の豊かな人間教育の原型が見られるようだ。ある種の羨望とノスタルジーさえ感じさせる。急速に消えかかっている宝のように大事な「生きた文化」。文化庁をはじめ、皆んなで持続・継承できる方策を考えるべきではないだろうか。
その価値に深さから、敢えて、保存版の本書の方を薦めます。

木のいのち木のこころ 人

木のいのち木のこころ 人

木のいのち木のこころ 人

新・建築入門 思想と歴史

新・建築入門 思想と歴史

新・建築入門 思想と歴史

カスタマーのおすすめ度:

建築初心者にありがたい。。。

各時代における建築の役割や特徴的なデザイン、またそれを産み出した当時の思想的背景や社会の流れなどを順序だてて明快に示してくれる。これから建築について学ぼうとする人や、大学の授業の「西洋建築史」が苦手、つまらない、といった人にぜひお勧めします。内容は濃いが、読み味はさらっと軽いのでけっこうすぐ読み終わっちゃいます。

高校生レベルでも十分読める本

建築と思想や時代の流れがどれだけ密接であるかがこれほど面白く書かれている本は他にはないでしょう。
ギリシア文明から古代ローマ、中世、ルネサンス、近代、現代と話は進み、現代の建築の混乱が説明されています。

路上観察学入門

路上観察学入門

路上観察学入門

カスタマーのおすすめ度:

微妙なバランスの読み物

この本のタイトルと見ると、学術書、ガイドブック、入門書、ハウツー本というキーワードが思い浮かぶが、どれも完全には的をはずしてはいないのだか、やっぱりちょっと違う。結局は、「読み物」である。

赤瀬川氏の絶妙なペンにより、読者はミラクルワールド(?)へ難なく引きずり込まれてしまう。それは、いわば、アトラクションというか巧妙に仕掛けられた客引きというか、なのだが、その先に何が用意してあるかというと、それは、学術性であり、ガイドブック性であり、入門書的であり、ハウツー本的な世界なのであるが、結局は、引きずり込まれた後も、赤瀬川氏のペンにもてあそばれ、読後には妙な満足感が残るという本である。

自分たちの遊びを、「学」にこじつけてにやにやしているだけというのもわかっているのではあるが、その世界に、心地よく引き込んでくれるというのがこの本の醍醐味である。

赤瀬川氏以外の人の書いた部分は、ガイドブック性が高く、非常に参考になりました。純粋な読み物としての楽しさと実用性が高い次元でバランスがとれたいい本です。

馬鹿馬鹿しいけど面白い

京都面白ウオッチング、華の東海道53次を読んで、興味を持っていた「路上観察」に学問的なものがあることを知り、購入しました。
馬鹿馬鹿しいことをここまでやって、学問にまで高めてしまったことに驚いてしまいます。

あまりの馬鹿馬鹿しさに、もしかしたら、「読者はなめられてるんではないか」と一瞬かんぐってしまいますが、読み進む内に、その面白さに「まあ、いいか、面白いし」と思ってしまいます。
路上観察に興味のある方は、是非、そのルーツから解き明かしたこの本をお読みください。路上観察に興味のある方には絶対お薦めの一冊です。

路上観察学のまさに入門書です

路上観察学がいかにして始まったのか、よく分かると思います。トマソン現象も写真つきでけっこう紹介されています。丁寧で分かりやすい内容ですよ。路上観察学とはなんぞや、という方にもお薦めです。

生きられた家 経験と象徴

生きられた家 経験と象徴

生きられた家 経験と象徴

日本の近代建築〈上 幕末・明治篇〉

日本の近代建築〈上 幕末・明治篇〉

日本の近代建築〈上 幕末・明治篇〉

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日本の近代建築とそれに表われた文化、時代

まず、ぼくは、ル・コルビュジェ、磯崎新などの建築論しか読んだことがないので、本書が記述する日本の近代建築史の個別的な妥当性までを判定する能力はもっていないことをお断りしておきます。とはいえ、以下のような著者の方法論は的確であり、現代において求められている歴史叙述の最低水準をクリアしている、と思いました。

「具体的な事情はもちろん書きつづってきたとおりだが、建物というものは建築に直接かかわる技術や人や表現意欲だけで生れるものではない。一つの建物の背景には、(中略)政治的な意志、(中略)制度、それを受け入れた社会、さらに事業を可能とする経済力と技術力、また表現の基となる美意識や文化、どれ一つ欠かせない。(中略)建築とは、政治、経済、社会、文化といった何でも呑み込むバケツのような表現領域なのである。建築は時代をそのまま表現する」(本書156頁)。

つまり、著者は、意匠の歴史、建築家の歴史という視点だけからではなく、政治史、文化史、社会史という観点からも、建築史を議論していきます。すなわち、おおまかにぼくがまとめてしまうと、1.海外から来た「冒険技術者」による「コロニアル」(植民地的)、2.江戸日本以来の「棟梁」による「擬洋風」、3.海外から来た「御雇建築家」による「歴史主義の導入」、4.「御雇建築家」の弟子筋である「日本人建築家」による「歴史主義の学習」、というようにです。

「な〜んだ、どの日本近代史叙述にも見られる、外来と内発の歴史、欧化と回帰の歴史か」と思われるかもしれません。が、たんにそれに終わるのではなく、やはり、図表、写真も多数で、建築家ごとの具体的エピソードや特殊事情も記述されています。これが、著作が上下二巻本になったゆえんでしょう。

建築探偵奇想天外

建築探偵奇想天外

建築探偵奇想天外

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結局4シリーズよんじゃいました。

建築のことをしらなくても、常に日常の生活の中で建物と接しているはず。そんな建物のひとつひとつに歴史があることに気づかされます。そしていつもながらユーモアあふれるその語り口には、よみながらふきだすことも・・・幅広い知識をもちながらも語りすぎず、余韻をのこした解説になっていて、「もっと語ってよ。」と思うことも。

日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉

日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉

日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉

建築探偵 雨天決行

建築探偵 雨天決行

建築探偵 雨天決行

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クセになります

前作に続き、東大教授と写真家コンビが、日本(時には世界)各地の面白西洋館を訪ね歩いた記録。軽妙な文体と美しい写真でついついはまりこんでしまいます。
でも、こうした由緒ある(?)建築物が取り壊されているのを聞くにつけ、わが国って、街(建物)づくりの思想がないなあといつも悲しくなります。

半分が写真ですので、小一時間もあれば読めます。建築に興味の無い人でも、面白い本を探している人にはお薦めです。

クセになる文体

朝日文庫「建築探偵」シリーズの第二弾。
遊郭、幼稚園、灯台、刑務所、拘置所。よくもまぁ、こんな(といってはなんだが)建築を見つけ出してくるものんだ、とページをめくりながら感心してしまいます。そこが建築「探偵」の探偵たる所以なんでしょうけどネ。

メジャーどころでは、かの赤レンガ東京駅についても掲載あり。東京駅を通勤に使っている人もそうでない人も一読の価値ありの、非常にエキサイティングな内容です。

建築は基本的に「実用」のためのものであり、そのためいずれは老朽化するので、一般的な文化財と比べると簡単に取り壊されてしまう感がありますが、この本を読むと本当に残念なことをしているなぁとしみじみとしてしまいます。建築・土木畑の行政の人なんかに、是非読んで欲しい本ですね(読まないか)。

建築の専門家でなくても楽しめますよ

日本にある西洋建築を中心に、その建築の歴史をしろうとにもわかりやすく解説してくれる東大教授の著者。ユーモアあふれるその文章ときれいな写真(文庫本でありながら本の半分は写真です)には引き込まれます。建築以外にもいろんなことが発見できる一冊です。

錯乱のニューヨーク

錯乱のニューヨーク

錯乱のニューヨーク

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『過密』への欲望

ニューヨークのマンハッタンというメトロポリスをその成り立ちの歴史を辿りつつ、可能性から限界まで、独自の視点から斬る。世界を代表する建築家である著者は、かつてハリウッドでシナリオライターを経験したこともあり、その文章による表現力は見事で、まるで小説を読むように楽しめる。ル・コルビュジェによる著書『建築をめざして』に並ぶ名著とも言われおり、「この書を読まずして、現代建築を語るなかれ」と磯崎新氏も指摘するように、建築に携わる者のみならず、広く読まれることが期待される。採用されている写真や図版も非常に印象的なものばかりである。
文章自体はそれほど難解ではないが、その独特の言い回しを読み解く努力は必要である。著者の言葉を借りると「マンハッタンがそれ自身のメトロポリス的アーバニズム-過密の文化なるもの-を創造したという事実を明らかにするために書かれた」ものである。人間によって作り上げられ、自然に取って代わるまでに至ったメトロポリスの特殊性を、それに関わる多くの人間の欲望や意志を通じて生々しく描いている。決して望ましいとは思えない『過密』を望んで止まない人間の強い欲望が鮮明に描かれている。自分が何気なく住んでいる街のことを改めて考えさせられる経験である。

建築設計に関係ない人にも是非・・・・。

彼が世界最高峰の建築家の一人である事が、本書を読めば存分に分ります。
レム・コールハースは脚本家やジャーナリストを経由して建築家になっています。とかく建築家の書く論文は、何の根拠も無い独善的視点と自画自賛に明け暮れます。あのル・コルビュジェですら残された著作は何れもその範疇を全く抜け出していません。

コールハースの客観的かつポイントをついた論点はまさにジャーナリストのそれです、実に見事と言う他有りません。
本書には誰も書ききることが出来なかった、ニューヨーク発展の歴史が実に緻密に書き綴られています。
建築を学ぶ人は勿論、歴史に関心のある人にも読んで欲しい傑作論文です。

マンハッタン自身の物語

オランダの建築家コールハースによる、ニューヨークマンハッタンの成り立ちを暴いた名著。それまで誰も語ろうとしなかったマンハッタンという場所について、独特の建築的、歴史的見地からその成り立ちを紐解いている。もう二十年以上前の書ではあるが、史実を追うだけでも十分に楽しめる。当然のことだが文庫版よりも図版が大きく分かりやすい。

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UPDATE:Sunday, July 17, 2005