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2004年3月7日(東京新聞)米政界牛耳るエール大 秘密クラブから大統領
ブッシュ、ケリー氏 OB一騎打ち
強い特権意識、宗教的儀式も
11月の米大統領選は、現職のブッシュ大統領(共和党)とケリー氏(民主党)の事実上の一騎打ちだ。両者とも米アイビーリーグの名門エール大学出身。しかも、同大の学生秘密クラブ「スカル・アンド・ボーンズ」のメンバーだったことも共通点。今や米政界を牛耳るエールとはどんな大学なのか−。(コネティカット州ニューヘイブンで、寺本政司)
米東部の港湾都市として栄えたコネティカット州ニューヘイブン。そのほぼ中心部にキャンパスが広がる。独立戦争前の1701年に創立され、学内には赤褐色の欧州風建物が並ぶ。
米大統領の学歴はこれまで26代、32代の両ルーズベルトやケネディらハーバード大出身が5人で最多。エール大出身は27代のタフト、38代のフォード2人だけだったが、最近は父ブッシュ、クリントン(ロースクール卒)、ブッシュ現大統領と89年以来3代続き、ついにハーバード大に肩を並べた。
そしてケリー氏のほか、党予備選を争ったディーン、リバーマン両氏もエール大卒。さらに、2008年の大統領選出馬がうわさされるクリントン前大統領夫人のヒラリー氏もロースクール卒だ。現政権内をみても、チェイニー副大統領(中退)、アシュクロフト司法長官がエール大出身者。なぜ政界でこうももてはやされるのか−。
学究肌育成よりリーダーシップ「図書館にこもる学究肌よりも、リーダーシップを持つ人材育成に力を入れている」と校風を強調するのは、ガディス・スミス名誉教授。経済学部の浜田宏一教授も「自分の考えで文章を書き、話をする。学生のコミュニケーション能力は他の大学より優れている」と指摘する。
一方で、政治家や実業家などの子弟が多く通っているのも事実。
同大は「WASP(ワスプ)」と呼ばれる東部エリートの養成校として知られ、第2次大戦前までユダヤ人や黒人、公立高出身者を見かけることはほとんどなかった。女性の学部入学が認められたのは1969年。現在も学生の74%を白人が占め、日本人の学部生はわずか7人だ。
「学生時代の付き合いは一生涯続く。ネットワークの強さはアイビーリーグの中でも一番」と国際部のジョン・ロングブレイク副部長。その典型例が、1832年に結成された秘密クラブ「スカル・アンド・ボーンズ」という。
4年生が対象 入会15人だけ4年生が対象で入会できるのはわずか15人。ブッシュ大統領は1968年、ケリー氏は66年に入った。「学内でも活動内容はもちろん、誰がメンバーかも分からない」(ロングブレイク副部長)とされ、秘密主義を貫く。キャンパス内の「ザ・トゥーム(墓陵)」が活動拠点で、メンバーの元外交官は「国家機密より重要だった」と述懐する。
内幕本などによると「ハリー・ポッターの世界」(米ジャーナリストのアレクサンドラ・ロビンス氏)のような宗教的で、特殊な儀式がある。会員に有名人の子弟や成績優秀者が多いことから「特権階級」的な意識が強いとされる。
ブッシュ家は祖父の代からの会員。選挙戦になれば、人的、財政的な面でクラブのつながりをフル活用するとささやかれている。
「スカル・アンド・ボーンズ」の会員同士が、米大統領選で激突するのは史上初めて。ロングブレイク副部長は「単なる偶然にすぎない。“排他的”“特権的”なイメージは過去のもの。今はユダヤ人や黒人も入会しているらしい」と話すのだが…。
2004年4月9日(読売新聞)エール大秘密クラブ「スカル&ボーンズ」
米牛耳るエリート集団
ブッシュ、ケリー両氏も会員
米アイビーリーグの名門、エール大学。その中でも別格の特権階級とされる秘密クラブ「スカル・アンド・ボーンズ」が脚光を浴びている。11月の大統領選で一騎打ちする現職ブッシュ大統領(共和党)、ジョン・ケリー候補(民主党)の両者がともに「ボーンズマン」と呼ばれる同クラブ会員だからだ。大統領選での会員対決は初めてだが、同クラブが米国の権力中枢で存在感を強めていることは疑いないという。(米東部コネティカット州ニューヘブンで、勝田 誠)
18世紀初頭に創設されたエール大。広大なキャンパスに英国風の美しい校舎が並ぶ中、突然、秘密のベールに包まれた一角が現れる。窓が一切なく内部がうかがえないため「トゥー厶(墓陵)」と呼ばれる建物で、これが「スカル・アンド・ボーンズ」(「どくろ」の意味)の本拠地だ。
エール大の別の秘密クラブ出身者で、内幕本「トゥー厶の秘密」を執筆した女性ジャーナリスト、アレクサンドラ・ロビンスさんは「ボーンズマンらは、どちらに転んでも構わない、と余裕を持って今回の大統領選を見守っている」と話す。
会員は取材を受けない徹底した秘密主義を貫くが、この世界をひそかに調べてきたロビンスさんによると、同クラブは1832年、後にコネティカット州の大地主となったウィリアム・ラッセルが、南ドイツの大学で同様のクラブを見て感化され、帰国して創立した。そのためクラブ内の至るところにドイツの名残があるという。
「クラブの選考基準は2つ。学生新聞の編集長やフットボールのキャプテンなど各分野のリーダー格か、家柄(ファミリー・コネクション)のどちらかだ」
こう話すガディス・スミス同大名誉教授(歴史学)によると、同クラブは4年生を対象とし、入会するのは毎年15人だけだ。
会員は計約3000人で、うち約800人が存命。ブッシュ現大統領と父親のブッシュ元大統領のほか、タフト第27代大統領や、ロックフェラー家の関係者などがボーンズマン。WASP(キリスト教プロテスタントのアングロサクソン系白人)の総本山だったが、最近ではアフリカ系やアジア系の会員もいるという。
入会の儀式で、新入会員は自身が会員であることを明かさないよう宣誓し、棺おけの上に裸で横たわり、自慰行為を行った後、「それまでの性体験や近親者への憎しみなどを包み隠さず話し、他のメンバーは耳を傾けた後、講評する」(スミス教授)という。
このように毎週2回、木曜と日曜の晩に開かれる集会は、このような「性体験の吐露」(同)などを通し、独特の連帯感を生むことに充てられるようだ。ただ、最近では、中世的な色彩はかなり薄れてきたと指摘する関係者もいる。
卒業生の寄付もあり、資金的にも潤沢で、卒業時には1万5000ドルのお祝いが贈られるが、会員がクラブの真価を知るのはその後だ。
オンタリオ湖畔にあるリゾート島でのパーティー。会員とのデートに夢中な美女の群れだけではない。「いざという時に、合言葉さえ言えば卒業年次の異なる会員もすぐに打ち解ける」(同)ため、権力のドアが次々に開かれるというのだ。
興味深いのは、「ボーンズには特定のイデオロギーや政治目的はない。とにかく権力の座に駆け上り、成功したら仲間をやはり名誉あるポストに就けるという目的だけがある」(ロビンスさん)という指摘だ。メンバーの元外交官はクラブのことは「国家機密より重要だった」と述懐する。
ブッシュ現大統領は1968年、ケリー氏は66年に入会した。ブッシュ家は祖父の代からの会員。ケリー氏は、ボーンズにコネは無かったが、名家出身というだけでなく、政治に関する学生クラブの会長を務め、「すでにキャンパスの重要人物だったので文句なく選ばれた」(同教授)そうだ。

【関連記事】
ブッシュ一族も所属 エール大 学生秘密組織
ジェロニモ頭蓋骨 保管? 同窓会誌に掲載
アメリカン・インディアン、アパッチ族を率いたジェロニモの頭蓋(ずがい)骨は、エール大の学生秘密組織「スカル・アンド・ボーンズ」によって、今も保管されているはずだ−。こんな記事が、エール大同窓会誌5、6月号に卒業生の調査報道として掲載され、真偽をめぐり議論を呼んでいる。ジェロニモの頭蓋骨は行方不明となっており、長らくアパッチの子孫が捜していた。(ワシントン・松川貴)最近、エール大が保管そていた古文書の中から「スカル・アンド・ボーンズ」のメンバーが書いた1918年6月7日付の手紙が見つかったのがきっかけ。
手紙には、組織のメンバーがオクラホマ州フォート・シルにあるジェロニモの墓を掘り、頭蓋骨や大腿(だいたい)骨などを「トゥーム(墓場)」と呼ぶ組織の本部に安全に保管している、と書かれていた。
エール大の歴史を調べている古文書研究者は手紙の信ぴょう性に「本物に間違いない」と太鼓判を押す。
「スカル・アンド・ボーンズ」はブッシュ大統領一族や2004年に大統領選で戦ったケリー上院議員(民主党)も学生時代に所属していた組繊。有名人の墓などを荒らし、その骨をコネティカット州ニューヘブンの組織本部に飾っている、とされる。ただし活動に関しては一切、口外しないことになっている。
アパッチの英雄ジェロニモは1886年に連邦軍に捕まり、フォート・シル基地の刑務所に移され、1909年に死亡。当地に埋葬されたことは分かっていた。
1980年代に、サン・カルロス・アパッチ族の指導者ローリー・トンプソン氏らがジェロニモの遺骨をアリゾナ州の故郷に戻そうと運動を始めた。すると、86年に「スカル・アンド・ボーンズが頭蓋骨を保管している」という匿名の手紙が写真とともに届いた。
トンプソン氏によると、ブッシュ大統領の叔父に当たる同組織のジョナサン氏らと遺骨の返還交渉を行った。しかし、見せられた頭蓋骨が大人にしては小さかったので、引き取りを断ったという。それ以後、同組織の仕業とのうわさが流れていたが、今回発見された手紙は、それを裏付ける資料となる。
この墓荒らしには、ブッシュ大統領の祖父プレスコット氏(1917年卒、後に上院議員)も参加したとされている。フォート・シルには現在も米陸軍の野戦砲兵隊の基地があり、1918年当時、同氏らメンバーは兵士として、この地に駐留していた。
ただ、本当にジェロニモの頭蓋骨かについては議論が分かれている。キャメロン大の歴史学者ミラー教授によると1920年代にフォート・シルの図書館司書がアパッチを説得して、ジェロニモの墓を特定するまで、正確な場所は分からなかったという。ミラー教授は「仮定だが」と前置きし、「この組織がフォート・シルで墓荒らしをやったなら、別のインディアンの骨だろう」と同窓会誌に語っている。
ところで、ブッシュ一族はこの件に関してノーコメントを続けている。<ジェロニモ> 1829−1909年。メキシコ軍と連邦軍を相手に、40年間、少数の戦士を率いて戦ったアパッチ族の伝説的な英雄。何度も捕まるが、そのたびに脱出に成功、しかし、86年に5000人以上の騎兵隊に囲まれ降伏した。後にキリスト教に改宗した。何度も映画化されている。(中日新聞 2006/05/22)
【関連サイト】
Skull And Bones (CBS News)
The Order of Skull and Bones (ParaScope)
Yale Historian Finds Geronimo Clue (Washington Times 2006/05/09)
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