眠り浅いと糖尿病の危険増大 米大学チームが研究
熟睡できない日が続くと2型糖尿病になる危険性が増すことを、米シカゴ大の研究チームが突き止めた。米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。小規模な実験ながら、眠りが浅いと血糖値を正常に保つ機能に悪影響があったという。
感染症などをきっかけに小児期に発症することの多い1型糖尿病とは違い、糖尿病の大部分を占める2型は生活習慣が主な原因とされる。睡眠時間が短い高齢者や、睡眠時無呼吸症候群で眠りの浅い太った人に目立ち、眠りの質との関連が指摘されてきた。
研究チームは今回、20〜31歳の健康な男女9人を対象に、眠りの質と、血糖値を正常に保つインスリンの効きぐあい(耐糖能)の関係を調べた。被験者の脳波を測定しながら、実験室で8時間半ほど眠ってもらった。深い眠りを示す脳波が出始めたら、目覚めるほどの音量ではないものの、深い眠りを妨げる程度の騒音をベッドわきのスピーカーから出した。
3日にわたって実験した結果、被験者の耐糖能が実験前より25%ほど下がり、糖尿病に近い状態になっていた。研究チームは「睡眠時間を長くするとともに、眠りの質をよくすることで、2型糖尿病の予防につながる可能性がある」という。(朝日新聞 2008/01/04)乳酸菌:アレルギーの抑制力解明 症状緩和も…東大など
腸内に存在する乳酸菌の一種が、アレルギーの原因となる免疫細胞を細胞死(アポトーシス)に導くことを、東京大などのグループがマウスの実験で突き止めた。乳酸菌はアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を抑えることが報告されているが、メカニズムの一端が明らかになった。欧州の免疫学専門誌「イムノバイオロジー」に掲載された。
体内では免疫細胞である「Th1」と「Th2」の均衡が保たれているが、バランスが崩れてTh2が増えると「IgE」と呼ばれる抗体が過剰に作られ、アレルギー反応が起きる。アレルギーの人はTh2が過剰な傾向がみられる。一方、アレルギー症状のある子どもは、乳酸菌のビフィズス菌やラクトバチルス菌が腸内に少ないという報告がある。
東大の八村敏志准教授らのグループが、培養したマウスのTh2細胞にラクトバチルス菌を加えたところ、何も加えない場合に比べてTh2が1割程度多く細胞死を起こすことが分かった。マウスにこの菌を食べさせる実験でも、同様の結果を確認した。
八村准教授は「乳酸菌はTh1を増やす働きが知られていたが、Th2の細胞死を促してアレルギーを抑える仕組みもある。乳酸菌摂取が症状緩和につながる可能性がある」と話した。【下桐実雅子】(毎日新聞 2008/01/04)ピロリ菌:やっぱりがん誘発 北大がマウス実験で初証明
胃がんの原因とされるヘリコバクター・ピロリ菌が作り出す「CagA」と呼ばれるたんぱく質によって、がんが発症することを北海道大の畠山昌則教授(分子腫瘍(しゅよう)学)の研究チームがマウスを使った実験で証明した。ピロリ菌が直接、生物の体内でがんを引き起こすことを確かめたのは初めてだという。全米科学アカデミー紀要(電子版)に8日発表した。
研究チームは、全身の細胞でCagAを作るよう、受精卵の段階で遺伝子操作したマウスを222匹作った。うち2匹は約1年半後には胃がんを、4匹は小腸がんを発症した。さらに、17匹が白血病などの血液がんを発症し、CagAが胃がん以外にも関係する可能性も浮かんだ。一方、通常のマウス100匹も観察を続けたが、がんは発症しなかった。
実験では、マウスの体内で「SHP−2」という酵素に関係した酵素が異常に活性化していることも判明。一方、CagAとSHP−2が結合できないようにしたマウスでは、がんは発症しなかった。
畠山教授は「ピロリ菌に感染した人すべてが胃がんになるわけではないが、除菌の有効性を示唆する結果だ。SHP−2を標的にした治療法の確立も求められる」と話した。【関東晋慈、千々部一好】(毎日新聞 2008/01/08)4つの習慣で14年長生き 英の2万人調査で判明
【ワシントン8日共同】たばこを吸わず、飲酒はほどほど、野菜と果物を十分に取り、適度な運動をする人は、そうした習慣のない人よりも14年長く生きられるとの調査結果を、英ケンブリッジ大の研究チームが米医学誌に8日発表した。
どれも健康に良いとされる生活習慣だが、具体的な利益をはじき出した点で意義があるという。
チームは、英南東部の45―79歳の健康な住民約2万人を対象に、1993年から97年にかけて健康調査を実施、2006年までの死亡率と生活習慣との関係を解析した。
その結果(1)喫煙しない(2)飲酒はワインなら1週間にグラス14杯まで(3)1日に最低こぶし5つ分程度の野菜、果物を取る(4)1日30分ほどの軽い運動をする―の習慣がある人は、4つともない人より、同年齢で病気による死亡率が4分の1と低く、14年分の寿命に相当することが分かった。
習慣と最も関連するのは心臓や血管など循環器系の病気だという。チームは「ちょっとした良い習慣の組み合わせが、長生きにつながる」としている。(共同通信 2008/01/09)母のストレスで子がぜんそくに カナダの研究者発表
子供の幼少期に母親のストレスがたまっているとその子供がぜんそくになる可能性が高まる―。カナダのマニトバ大学のコジルスキー准教授らの研究チームは「米呼吸器・救命医療ジャーナル」誌の最新号でこんな研究結果を発表した。
同チームは1995年にマニトバ州で生まれた約1400人の子供について、ぜんそくが持病になるかどうかの重要な年齢とされる7歳時点でぜんそくになっていたかどうかや過去の診療記録を調査。同時に、母親がストレスや抑うつ症で医師の診療や投薬を受けたことがあるかも調べた。
その結果、母親の抑うつ状態が長期間続いた場合、それがなかった母親に比べ、子供が7歳時にぜんそくになっている確率が1.6倍にも上昇したという。(時事通信 2008/01/17)糖尿病:患者の治りにくい傷、ハナビラタケが効果 血糖値低下も期待できそう /大阪
◇関西医大の權雅憲・准教授が研究成果
糖尿病患者の傷の治癒には、キノコの一種「ハナビラタケ」を食べると効果が上がるという研究結果を、関西医科大の權(こん)雅憲准教授(消化器外科)がまとめた。近く米国の医学雑誌に掲載される。
糖尿病患者は高血糖やインスリンの欠乏で、毛細血管が出来にくく、傷が治りにくい。床ずれに悩む寝たきりの患者も少なくない。
研究では、糖尿病のラットの背中の皮膚を切り取り、傷の回復の程度を調べた。ハナビラタケの粉末を1日約200ミリグラム食べさせたラット10匹は、食べさせなかったラット10匹より血糖値が低くなったうえ、傷の治りが早く、約20日後の傷の面積は約半分になった。
ハナビラタケは免疫作用を活性させるβグルカンという物質を多く含む。ヒトの細胞を培養した液に、ハナビラタケから抽出したβグルカンを加える実験をしたところ、皮膚を修復する主成分のコラーゲンの生成が促された。これらから、ハナビラタケに含まれるβグルカンが傷の修復に役立っていると結論づけた。
權准教授は「キノコの効用を科学的に示した研究事例は少ない。血糖値の低下にも効果が期待できる」と話している。【今西拓人】(毎日新聞 2008/01/18)米ぬか:抗酸化作用で糖尿病腎症の発症抑制に効果
和歌山県立医大、同県工業技術センターなどの共同研究グループは、米ぬかに含まれるフェルラ酸が、糖尿病腎症の発症を抑える効果があることが分かったと発表した。ラットを使った実験で、腎症発症を示す尿たんぱく排出量が少なくなり病気の進行が遅いことが確認された。オランダの糖尿病専門誌に発表した。
フェルラ酸はポリフェノールの一種。強力な抗酸化作用がありサプリメントなどの原料に使われている。糖尿病腎症は糖尿病の3大合併症の一つで、高血糖が長く続くことで発症する。代謝異常のために活性酸素が過剰となることが原因として注目されており、研究グループは酸化防止機能を持つフェルラ酸の効果を調べた。
実験では、糖尿病だが腎症発症前のラットにフェルラ酸を含む飼料を与え、12週間後に観察。通常の飼料を食べたラットと比べ、尿たんぱく排出量が半分以下となった。谷口久次・同センター化学技術部長は「医薬品や特定保健食用品としての実用化を目指し、将来的には腎症患者を減らしたい」と語った。
糖尿病腎症に詳しい槙野博史・岡山大大学院教授は「効果のメカニズムを詳しく調べれば、人間への効果も期待できるのではないか」と話している。【辻加奈子】(毎日新聞 2008/01/20)ビタミンCが脳卒中予防の役割担う
血中のビタミンC値(濃度)が高いと、脳卒中のリスクの低下をもたらすことが、英国の新しい研究によって示唆された。ただし、ビタミンCサプリメント(栄養補助食品)を大量に摂取しても脳卒中を予防できるわけではない、と専門家は注意を促している。
米医学誌「The American Journal of Clinical Nutrition」1月号に掲載された今回の研究は、英国に住む2万人以上(40〜79歳)を対象に実施されたもの。健康に関する質問票に回答してもらい、血中ビタミンC値を測定した。平均追跡調査期間は9.5年、最終的には約20万人年(人数と年数を組み合わせた測定値。人年罹患率や死亡率の分母として使用される)となり、期間中、448人に脳卒中が認められた。
性別、喫煙歴、ボディ・マス・インデックス(BMI)、血圧、コレステロール値、糖尿病、飲酒、身体的活動、心疾患の既往など他の危険因子を調整後、血中ビタミンC値が最も高い群の脳卒中リスクは、最も低い群よりも42%低く、血中ビタミンCはこのリスクと強い逆(負)の関連性を示すことから、脳卒中のリスクに影響する因子が何であれ、優れたバイオマーカー(生体学的指標)となる可能性が示された。
米ニューヨーク大学メディカルセンターのKeith Siller博士は「今回の研究で、ビタミンCが脳卒中リスクを直接低下させることは示されておらず、ビタミンCは健康的なライフスタイルの指標と考えられる。リスク低下のメカニズムは不明だが、果物や野菜を食事に組み込むという米国栄養協会(ADA)の推奨に従うべきである」と述べている。
この報告の論説の共著者でもある米国立糖尿病・消化器病・腎疾患研究所(NIDDK)のMark Levine博士は、結論として、脳卒中や他の健康問題を予防するには果物や野菜の摂取量を増やすべきだと述べ、サプリメントではなく、さまざまな色の野菜や果物を毎日5種類以上食べることを勧めている。(HealthDay News 1月11日)(薬事日報 2008/01/21)カフェイン摂取で流産の危険上昇=1日コーヒー2杯でリスク倍に−米研究
【ワシントン21日時事】妊婦がコーヒーやお茶に含まれるカフェインを多く摂取すると、流産の危険が大幅に高まることが21日、米最大の健康医療団体「カイザー・パーマネント」の研究チームの調査で分かった。
研究チームは「新陳代謝機能が完全でない胎児にとって、胎盤を通じて入り込むカフェインの代謝は困難であり、胎児の成長が阻害される可能性がある」としている。研究論文は米産婦人科ジャーナル(電子版)に掲載された。
研究チームは1996年から98年にわたって、カリフォルニア州の1063人の妊婦を対象に飲み物の種類などを詳細に調査した。その結果、1日にカフェイン200ミリグラム(2杯程度のコーヒーに相当)を摂取した妊婦が流産を起こすリスクはカフェインを全く取らない妊婦の2倍に達することが判明。200ミリグラム以下の摂取量でも、流産のリスクは1.4倍になっていた。(時事通信 2008/01/22)畳部屋なら集中力アップ 北九州大准教授が発表へ
畳などに使われるイグサには子どもの集中力を持続させる効果が認められることが、北九州市立大の森田洋准教授(生物資源工学)の研究で分かった。香りや色、感触が適度に緊張をほぐして集中力を長続きさせるといい、6日に研究結果を発表する。
森田准教授は、福岡市内の学習塾に畳敷きの特別教室をつくって調査を実施。中学1年生233人、小学5年生90人の計323人を対象に、畳教室と普通の教室で2けたから4けたの足し算や引き算を、30分間に何問解けるか調べた。
その結果、普通の教室で解いた問題の数(解答数)は平均129問だったのに対し、畳教室では平均145問で14.4%上昇。とくに小5の解答数の伸びは24.3%で中1の12.4%の倍だった。
正答率は普通教室88.5%、畳教室90.4%でほぼ一緒だったが、集中力には有意な差が表れたといい、森田准教授は「低学年ほど集中力の持続効果が望める。学校や塾、子ども部屋に畳を導入することをお勧めしたい」と話している。(共同通信 2008/02/05)がん細胞抑制につながるタンパク質発見 名大院グループ
細胞に酸素や栄養素を運ぶ毛細血管の形成を促すタンパク質を、名古屋大大学院医学系研究科の高橋雅英教授と室原豊明教授らのグループが発見、10日付の英科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」(電子版)に発表した。このタンパク質を制御することで、がん細胞など病的な細胞の増殖を食い止める治療薬の開発が期待される。
がん細胞などが増殖する際、細胞の成長に必要な酸素や栄養素を得るため組織内に新たな毛細血管が多数形成される。血管は血管内皮細胞と呼ばれる細胞が集まってできるが、その細胞の集まりを促すメカニズムは分かっていなかった。
高橋教授らは3年前、がん細胞の他の組織への転移に重要な働きを持つ「ガーディン」と呼ばれるタンパク質を発見。今回、このタンパク質が血管内皮細胞の中に多く含まれていることに着目し、毛細血管の形成に何らかの関係があると推測した。遺伝子操作してガーディンを欠損させたマウスで、目の網膜や脳などの毛細血管が形成される状況を解析したところ、正常なマウスより4割近く毛細血管が減少したことを確認。ガーディンが、毛細血管形成の決め手になっていることを突き止めた。
高橋教授は「ガーディンの働きを止め、血管内皮細胞の動きを抑える薬物が開発されれば、がん細胞の増殖を防ぐほか、毛細血管が異常に増え失明にも至る糖尿病性網膜症などの治療に応用できる」と話している。(中日新聞 2008/02/11)緑茶たっぷり飲んで、胃がん撃退 でも、喫煙者には効果なし
緑茶の渋味成分であるポリフェノールの一種の血中濃度が高い女性は低い女性に比べ、胃がんになる危険性が約3分の1だとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が22日発表した。緑茶を習慣的に多く飲んでいると、血中濃度も上がるとみられる。
男性も含めて喫煙との関係をみると、ポリフェノールの血中濃度が高い非喫煙者は胃がんの危険性が低いが、血中濃度が高い喫煙者は、危険性がやや上がる傾向も判明。
研究班の井上真奈美国立がんセンター室長は「たばこと緑茶の組み合わせが悪いのではなく、緑茶をたくさん飲んでも、喫煙で効果が打ち消されてしまうためではないか」と分析している。
調査は、岩手、秋田、大阪など9府県の40〜69歳の男女約3万7000人を平均12年追跡。この間に胃がんになった494人と、ならなかった同数の人たちについて、保存してあった血液の成分を比較。
その結果、複数ある緑茶ポリフェノールのうち「エピカテキン3ガレート(ECG)」が、血液1ミリリットル中に9.3ナノグラム(ナノは10億分の1)以上検出された女性は、検出されなかった女性より胃がんの危険性が低かった。(産経新聞 2008/02/22)脚光 がん患者にビタミンC
大量に点滴 従来治療と併せ試行 「進行を抑えた」症例も
がん患者に、ビタミンCを大量に点滴する療法が、昨年から国内約50の医療機関で試みられている。従来の治療と併用で、臨床試験が行われていないため効果は立証されていないが、「進行を抑えた」といった治療例が報告されている。(編集委員 伊東正剛)函館出身の水上治さん(60)が院長を務める東京都千代田区のクリニックでは昨年1月以来、100人を超す患者に高濃度のビタミンC点滴療法を行っている。
2006年9月に卵巣がんの摘出手術を受けた都内の女性患者(56)は、抗がん剤治療を続けた。肺などにも転移し、その都度手術を受けた。昨秋、ビタミンCを15グラムから30グラム、60グラムと増やしながら点滴。20回目で腫瘍マーカーの数値が改善し、抗がん剤の副作用も消えた。
通常の点滴で使うビタミンCは、0.5−1グラム程度。点滴療法はその100倍前後の量を希釈して投与する。点滴時間は60グラムで1回約2時間。患者の状態によるが通常は週2、3回で通院でも可能だ。
保険適用外なので治療費は全額患者負担。60グラムの点滴で1回1万5000−3万1500円と医療機関で幅がある。腎機能障害の場合などは治療できない。
水上さんによると、手術後に点滴治療を受けて転移巣が消えた乳がん患者(46)や、進行性の胃がんなどの男性(77)が化学療法とともに点滴を続け、がんの進行が半年以上停止するなど、効果を示す例があった。
ただ、患者への効果を実証するには、ビタミンC投与と、それに似た偽薬投与の患者を比較する、「二重盲検法」と呼ばれる臨床試験が必要だが、倫理上の問題や投与が大量なため行われていない。
水上さんは「がんには、手術と放射線治療、化学療法の三大療法が有効なことは揺るぎない。点滴療法はそれを補う治療法として、効果があると実感している」と話している。
ビタミンCの、がんに対する効果については、米国の国立がん研究所などの研究者が05年9月20日付「米国科学アカデミー紀要」に論文を掲載した。
それによると、ビタミンC(アスコルビン酸)は、酸化の過程で過酸化水素に変わる。正常細胞にはこれを分解する酵素があり無害だが、がん細胞は酵素がなく、かなりの確率で死滅する。ビタミンCは、口から大量に摂取してもほとんどは尿で排出されるが、点滴だと血液で安全に運ばれ、がん細胞だけを攻撃する。
点滴療法は約40年前に英国の医師が始め、その効果を米国の化学者でノーベル賞受賞者のライナス・ポーリング博士が共同で発表した。しかしその後、米国の代表的な医療機関・メイヨークリニックが行った経口での臨床試験では効果が確認されず、治療は長い間、一部の医療機関でしか行われてこなかった。
道内では、米国の学会で正式に報告された同療法の普及を進める点滴療法研究会(会長・柳澤厚生杏林大教授)が昨年12月に札幌でセミナーを開き、治療例などを報告。これまでに4医療機関が導入している。
柳澤教授は「治療には、点滴医療の知識が必要なうえに、健康保険が適用されないため、どの医療機関でも受けられるわけではない」としたうえで、希望者は主治医とよく相談し、同研究会会員の医師の治療を勧めている。
同療法の導入医療機関などは、柳澤教授のホームページhttp://www.yanagisawa.com/に掲載している。(北海道新聞 2008/02/26)崇城大、温州ミカンの制がん効果を細胞レベルで確認
【熊本】崇城大学生物生命学部応用生命科学科の上岡龍一教授研究室は、温州ミカンの制がん効果を細胞レベルで明らかにした。人工細胞膜(ハイブリッドリポソーム)で包み込んだ温州ミカンの抽出物のうち、石油エーテル抽出物とクロロホルム抽出物が肝臓がんや胃がん細胞に対して増殖を抑制する効果があることを確認。温州ミカンで制がん効果を検証するのは「初めて」(上岡教授)で、天然由来の新しいがん治療薬の可能性が期待できる。
上岡研究室で開発した人工細胞膜のノウハウを活用。温州ミカンに含まれる抗腫瘍(しゅよう)成分の抽出と制がん効果を明らかにすることが目的。実験では果実と果汁の凍結乾燥物から数種の溶媒を使用して水に溶けにくい石油エーテル抽出物など数種を抽出した。(日刊工業新聞 2008/02/28)アルツハイマー病、両親とも発病なら自身もリスク高い=米研究
【ワシントン10日ロイター】米国の研究者らは10日、両親ともにアルツハイマー病を発病した人は、自身も同病にかかるリスクが相対的に高いという研究結果を発表した。
同研究は、シアトルにあるワシントン大のチームが、両親ともアルツハイマー病と診断された家族111組を対象にして実施。これら家族には全体で297人の成人した子どもがおり、このうち98人が70歳以上だったが、その約42%に相当する41人がアルツハイマー病にかかっていたという。
ロイターとの電話インタビューに応じた研究チームのトーマス・バード博士は、この数値について「同年代の一般的な集団で予想される数値よりも高い」と述べた。(ロイター通信 2008/03/11)寝過ぎ、寝不足で糖尿病増 肥満の予防にも睡眠重要
睡眠が長すぎても短すぎても糖尿病になりやすく、1日5時間未満では肥満になる確率が高いなど、睡眠と生活習慣病が関連するとの研究結果を兼板佳孝日本大講師(公衆衛生学)らがまとめ、12日発表した。
睡眠時間が短い人と長い人は死亡の危険が高いことは知られているが、生活習慣病の予防にも健やかな眠りが重要なことを示した形だ。
兼板講師らは、地域の健診データ(約1000人)や職場の健診データ(約2万2000人)などを分析。
糖尿病は、睡眠が6時間以上8時間未満で最も少なく、6時間未満や8時間以上だとその3−5倍だった。
男性勤務者を対象にした継続調査では、睡眠5時間未満の人は、7年後に肥満になる危険性が5時間以上の人の1.2倍になり、糖尿病などの生活習慣病にもなりやすかった。また太った人は、7年後に睡眠が5時間未満になる確率がやせた人の1.2倍だった。
動脈硬化の原因となる脂質代謝異常は、成人女性の場合、睡眠6時間以上7時間未満が最も少なく、5時間未満か8時間以上で多かった。
厚生労働省の国民健康・栄養調査では、欠食や外食が多く、ストレスを感じる人ほど睡眠時間が短い傾向にあった。
兼板講師は「寝不足だとホルモンバランスが崩れて食欲が高まり、生活習慣病になりやすいのではないか。健康づくり運動には睡眠の指導も重要だ」と話している。河盛隆造順天堂大教授(代謝内分泌学)の話 この調査で睡眠が糖尿病や肥満に直接影響することが分かった。睡眠障害と生活習慣病の悪循環を断ち切ることが重要だ。医者は生活習慣病の患者に、食事や運動と同じように睡眠について聞き、患者も睡眠の悩みを訴えるべきだ。睡眠の質を改善すれば治療に役立つ。
<生活習慣病> 長年の生活習慣が原因で発症する慢性疾患の総称。患者は数千万人に上る。糖尿病や脂質代謝異常、高血圧症、肥満などが含まれる。放置すると心臓や脳の血管が詰まって心不全や脳梗塞(こうそく)になる危険が高い。予防や治療には、喫煙や栄養・食事、運動、飲酒など生活習慣の改善が欠かせないが、すべての人が関係する睡眠の重要性も指摘されている。(共同通信 2008/03/12)
ミトコンドリア異常でがん悪性化 筑波大チームなど解明
がん細胞にあるミトコンドリアの遺伝子に異常が起こると、がん細胞が悪性化し、転移しやすくなることが、筑波大、島根大、千葉県がんセンターのチームの研究でわかった。治療法開発につながると期待されている。3日付の米科学誌サイエンス電子版に掲載される。
林純一・筑波大教授(細胞生物学)によると、細胞のエネルギーになるATP(アデノシン三リン酸)をつくるミトコンドリアの酵素に遺伝子変異があると、活性酸素が過剰にできる。マウスの肺がん細胞を使った実験で、活性酸素によって、細胞増殖を調節する物質が異常に増えることを突き止めた。
酵素に変異があるがん細胞をマウスに注射すると肺に転移したが、マウスに活性酵素を抑える薬を飲ませると、転移は減った。人の乳がん細胞でも、同じ酵素に異常があると活性酸素が過剰に生み出され、悪性化することを確かめた。(朝日新聞 2008/04/05)放射線から身を守る薬 細胞死を抑制、米チーム
【ワシントン10日共同】放射線による急性障害を防ぐ薬を開発しマウスなどの動物実験で効果を確認したと、米ロズウェルパークがん研究所(ニューヨーク州)などのチームが11日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。
正常細胞だけを保護するため、がんの放射線治療での副作用を緩和するのに有効なほか、原発事故や核攻撃などの緊急事態にも活用できる可能性があるとしている。
チームによると、食中毒の原因となるサルモネラ菌の成分が、放射線の影響を受けやすい骨髄や胃腸の細胞の死を抑制するとともに組織の新生を促す性質を持つことに着目。この成分を使って薬を開発した。
致死量の放射線13グレイを数十匹のマウスに照射する実験で、薬を投与しないと13日目までに全部が死んだが、照射30分前に投与すると30日後でも8割以上が生き残った。9グレイの照射では7%しか生存できなかったが、照射1時間後の投与でも40%が生き残った。(共同通信 2008/04/11)前立腺がん:乳製品食べる男性、発症率が1.6倍に
乳製品をたくさん食べる男性は、ほとんどとらない男性に比べ、前立腺がんの発症率が約1.6倍になることが、厚生労働省研究班(主任研究者、津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査で分かった。乳製品は骨粗しょう症や高血圧、大腸がんの予防に有効だとする報告も多く、研究班は「乳製品の摂取を控えた方がいいかどうかは総合的な判断が必要で、現時点での結論は出せない」としている。
研究班は、95年と98年に登録した全国10府県に住む45〜74歳(登録当時)の男性約4万3000人を04年まで追跡。このうち329人が前立腺がんを発症した。牛乳やヨーグルトなど乳製品の摂取量によって4群で分析した結果、最も多い群は、ほとんどとらない群に比べ、前立腺がんの発症率が約1.6倍になった。摂取量が多いほど危険性が高まる傾向がみられた。
乳製品に多く含まれるカルシウムと飽和脂肪酸は、前立腺がん発症の危険性を高める可能性のあることが報告されている。【須田桃子】(毎日新聞 2008/04/16)健康ブームの落とし穴? ビタミン剤で寿命縮む恐れ
【ロンドン=星浩】健康な人がビタミン剤を服用すると、寿命を縮める恐れがある?。デンマークの研究者らが、世界的なサプリメントブームに警鐘を鳴らす調査結果を発表した。英保健省も注意を喚起している。
英デーリー・テレグラフ紙などによると、コペンハーゲン大学の研究チームは23万人を対象に、化学的に合成されたビタミンを含む抗酸化剤(老化防止剤)の服用効果を調査した。
その結果、ビタミンA剤では寿命を縮める危険が16%高まりベータカロチン剤でも7%増すことが分かった。風邪の予防のため多くの人が摂取しているビタミンC剤には、顕著な予防効果が確認できなかったという。
研究者らは「サプリメント摂取が、もともと体に備わる病気への防御力を阻害する」と指摘している。
英保健省のスポークスマンは「サプリメント剤服用の効果を検証する必要がある」とした上で、食事によってビタミンなどを摂取するよう呼び掛けた。(中日新聞 2008/04/17)トマトでしわ予防 カゴメと名市大が研究発表
カゴメ総合研究所(栃木県那須塩原市)と名古屋市立大は、トマトに含まれる赤い色素の一種リコピンに、しわの予防効果があるという研究成果を発表した。主力商品のトマトやトマトジュースの効用を調べようと、同大の森田明理教授と共同で研究した。
しわは紫外線を浴びることで皮膚細胞内のコラーゲンが減少し、皮膚が萎縮(いしゅく)することが原因の一つとされている。今回の研究では、リコピンを添加したヒトの皮膚細胞に紫外線を当て、コラーゲンの減少が抑制されることを確認したという。5月に京都で開かれる学会で発表する。
カゴメ広報部は「リコピンは、摂取すると皮膚に蓄積することが分かっている。今回の結果から、赤いトマトやトマトジュース、ケチャップを取ることで、しわの予防効果が期待できる」としている。(中日新聞 2008/04/18)花粉症、飲むワクチン開発=8割以上で症状改善−山口大
花粉症を引き起こすたんぱく質をスギ花粉から取り出し、弱毒化して錠剤として飲む方法で、花粉症患者8割以上の症状が改善したと、山口大の加藤昭夫名誉教授の研究室が19日までに学会で発表した。
加藤名誉教授によると、2006年に花粉症の原因となるたんぱく質を1日に0.7ミリグラム摂取するよう調整した錠剤を患者40人に30日間投与したところ、34人の症状が改善。うち5人は完治したという。
治療の原理は注射と同じだが、注射による治療が数年かけて、継続的に行わなければならないのに対し、この「経口ワクチン」による方法は錠剤を1カ月飲むだけで、「手軽な治療法」としている。
同教授によると、人間の腸管には全身の約30%の免疫細胞が集中している。加藤教授は継続的に少量のアレルギーたんぱく質を口から摂取すると、腸の免疫機構でアレルギー反応が緩やかになる「経口免疫寛容」に着目。弱毒化してアレルギーを起こさずに、たんぱく質を摂取させることに成功した。
製造に大量の花粉が必要で、量産に課題が残るが、今年中の製品化に向けて支援企業と共同研究を開始。加藤名誉教授は「花粉症の人に早く届けたい」と話している。(時事通信 2008/04/19)「良薬口に苦し」本当だった、ニガウリ薬効裏づけ 中国
【北京=小林哲】体によいとされ、漢方薬にも使われるニガウリ(ゴーヤ)の複数の有効成分と作用を、中国とオーストラリアのチームが突き止めた。「良薬は口に苦し」が科学的に裏づけられた。
米専門誌に論文を発表したのは、中国科学院・上海薬物研究所と豪ガーバン医学研究所。ヒト細胞やマウスで実験した結果、ニガウリから抽出した数種類の化合物に、インスリンのように血糖値を下げる働きがあった。これらの物質が細胞内で脂肪燃焼にかかわる酵素を活性化させ、代謝を高めることも確かめた。
ニガウリは糖尿病やダイエットに効果があるとされる。同研究所の葉陽・主任研究員は「ニガウリは500年以上前の中国の書物で、体の暑さを除き、気を養い、渇きをいやすと紹介されている。そうした効用を科学的に解明することで、新しい薬の開発につながるかも」という。(毎日新聞 2008/04/23)花粉荷でメラニン抑制 山田養蜂場 美白効果に期待
ミツバチが採取する「花粉荷」について研究している山田養蜂場(苫田郡鏡野町市場)は、「強い抗酸化作用を持つ花粉荷は、細胞のメラニン産生を抑える作用も強いことが示された」と発表した。
花粉荷は、ハチが体に付着した花粉をみつとともに団子状にしたもので、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど多くの栄養素を含み、栄養や美容の観点から注目されている。
世界4カ国10種の花粉荷で抗酸化作用とメラニン産生抑制作用を測定したところ、オーストラリア産の3種で強い作用を確認。花粉荷の成分の中でも、「ルテオリン」と「メアルンセチン」がメラニン産生を抑制する作用があることが確認され、「花粉荷の美白素材としての可能性が見いだされた」という。
また、ブラジル産の花粉荷から新しい抗酸化成分が発見されたという。
同社では3月の日本薬学会第128年会で発表した。「今後も花粉荷の魅力を最大限に引き出すため、さらに研究を進めたい」としている。(岡山日日新聞 2008/04/23)褒められるほど脳の血流活性化 食べ物と同じ“報酬”
自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の定藤(さだとう)規弘教授の研究グループは、人が褒められた時に脳の線条体という部位の血流が活性化することを突き止めた。
定藤教授は「子育てなどで『褒めると育つ』と言われている。脳神経科学的にも、人にとって『褒められる』ことが、食物などと同じように報酬であるということを明らかにできた」としている。24日付の米国脳科学専門誌ニューロンに発表した。
線条体は、脳の中心部にある部位。人間の生存に直接的にかかわる食べ物や性的刺激、お金といった「報酬」を得るために行動する際、活発に働くことが知られている。
研究グループは「社会性を帯びている報酬の場合、線条体がどう働くか」に注目。平均年齢21歳の男女19人に複数の人から「信頼できる」「優しい」など84種類の褒め言葉を示した。
さまざまな状況で、脳を特殊な磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影。線条体の血流は、褒め言葉の称賛の度合いが高まるほど増加した。逆に他人が褒められているのを見る状況も設けたが、ほとんど線条体に変化が起きないことなども分かった。(中日新聞 2008/04/24)グレープフルーツに含まれる物質がC型肝炎を抑制
グレープフルーツに含まれるフラボノイドであるナリンゲニン(naringenin)にC型肝炎ウイルス(HCV)の感染細胞内での分泌を抑制する働きがあることが米ハーバード大学(ボストン)医学部の研究によって示され、医学誌「Hepatology」5月号に掲載された。
世界人口の約3%がHCVに感染しているとされるが、現在の標準的な治療薬であるインターフェロンとリバビリンが効果を示すケースは約50%にとどまり、重大な副作用の可能性もあるという。最近の研究からは、HCVがリポ蛋白(たんぱく)のライフサイクルに関連しており、リポ蛋白の代謝に影響を及ぼす化合物や栄養補助食品がHCVにも作用する可能性が示されていた。
今回の研究では、感染細胞が超低比重リポ蛋白(VLDL)に結合しながらHCVを活発に分泌することが示された。研究グループによると、感染細胞のアポリポ蛋白B(アポB)のmRNAをサイレンシング(過剰な遺伝子の発現をゲノムが自ら抑制する機能)すると、アポB-100およびHCVの分泌がともに70%減少するという。
研究グループはさらに、グレープフルーツに含まれるナリンゲニンについて試験した。過去の研究で、ナリンゲリンがVLDLの分泌を阻害することが示されている。その結果、ナリンゲニンが感染細胞のHCV分泌を80%減少させることを突き止めた。しかし、腸壁でのナリンゲニンの吸収率は低いため、治療量の投与には注射を用いるか、腸の吸収率を高める物質と併用する必要があるという。
研究グループはこのほか、ナリンゲニンをはじめグレープフルーツに含まれるいくつかの成分が顕著な薬物相互作用を示すことも指摘している。今後の研究では、動物モデルおよびヒト肝細胞の長期培養株を用いて、ナリンゲニンやほかの柑橘(かんきつ)類のフラボノイドがウイルス量を減らす長期的な効果について検討する予定だという。(日本経済新聞/HealthDayNews 2008/05/06)時差ぼけの予防には絶食が効く可能性=米研究者
【シカゴ22日ロイター】米国の研究チームは22日、長時間のフライト前に空腹にしておくことで、時差ぼけを避けられる可能性があるとの見方を示した。脳内の体内時計は通常、外部の明るさに反応して睡眠や食事などのリズムをコントロールしているが、食事が不十分だと第2の体内時計が動き出す可能性があり、それを利用すると時差ぼけを予防できるかもしれないという。
研究を行ったハーバード・メディカルスクールのクリフォード・サパー博士は「約16時間の絶食期間を設ければ、新しい体内時計を動かすのには十分」と指摘。米国から日本への旅行者は約11時間の時差を調整しなくてはならないが、同博士は「体内時計は1日に少しだけしか変化しないので、平均的な人で時差調整には約1週間かかる。たいていそのころは帰途に着く時間だろう」と述べた。
サパー博士らによると、動物は空腹になると食べ物を見つけることを優先させるため、第2の体内時計を通常の体内時計に優先させることができる。また、これら体内時計をつかさどる遺伝子はすべての哺乳動物が持っているという。
同博士は「次回日本に行くときは必ずやってみるつもりだ」と話している。同研究の結果はサイエンス誌に掲載される。(ロイター通信 2008/05/23)ビタミンB群、心疾患を抑制=ただし食事でバランスよく−厚労省研究班
ビタミンB群を食事で多く取る人は心筋梗塞(こうそく)になりにくいことが27日までに、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎国立がんセンター部長)の大規模疫学調査で分かった。どれか1つだけでは効果がなかった。
研究班は1990年と95年、岩手、秋田、長野、沖縄の4地域で、40〜59歳の男女約4万人の生活習慣を調査。約11年の追跡期間に、男性201人、女性50人の計251人が心筋梗塞などの虚血性心疾患になった。
食事内容からビタミンB6、B12、葉酸の摂取量を算出してそれぞれ5群に分け、喫煙や肥満、ビタミン剤摂取などの影響を除いて発症リスクを比較。その結果、いずれも摂取量が多いとリスクが低い傾向がみられた。
心筋梗塞に限るとより顕著で、最も少ないグループに比べ、最も多いグループは葉酸で約4割、B6、B12で約5割低かった。
また、摂取量が多いか少ないかの組み合わせでも検討。3つすべて少ない人は、すべて多い人の2倍以上のリスクだった。1つだけ多くても他の2つが少なければ同様に高リスクで、特にB6が少ないと、B12と葉酸が多くても2倍以上だった。
研究班は、これらを満遍なく、特にB6を多く含む食品を積極的に取ることが、心筋梗塞の予防につながる可能性があるとしている。(時事通信 2008/05/27)心筋梗塞防止、やっぱり魚や野菜 阪大などが国内調査
魚や野菜、豆類を多く食べる人は心筋梗塞(こうそく)になりにくい──。大阪大の磯博康教授(公衆衛生学)や国立がんセンターの研究チームが約4万人を対象にした調査でこんな結果を明らかにした。欧米でもほぼ同様の研究結果が報告されているが、国内の大規模調査で確認したのは初めて。
研究チームは、岩手、秋田、長野、沖縄の4県で90年と95年に実施された生活習慣のアンケートをもとに、40〜59歳の男女約4万人の葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の1日あたりの摂取量を推計。それぞれ摂取量別に5グループに分け、11年間にわたって追跡した。調査中、251人が心臓病を患った。
それぞれ摂取量が多いほど心臓病の危険性が減っていく傾向が確認された。摂取量が最少のグループを基準にすると、ビタミンB6では最も摂取量の多いグループの危険性は52%、ビタミンB12でも53%に減っていた。
葉酸は野菜や緑茶など、ビタミンB6は魚やレバー、豆類など、ビタミンB12は魚などに多く含まれている。日本人は一般に、葉酸やビタミンB12に比べ、ビタミンB6の摂取量が少ない。研究チームは「ビタミンB6を多く含む食品を積極的に食べることが予防につながる」としている。
葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12が欠乏すると、動脈硬化などを誘発するとされる物質「ホモシステイン」が血中で増えることが知られる。磯教授は「摂取量が多いことで、ホモシステインの生成が抑えられているのではないか」と指摘している。(木村俊介)(朝日新聞 2008/05/27)歯周病、がんのリスクが高まる可能性=研究
【シカゴ27日ロイター】歯周病によりがんのリスクが高まる可能性があるとの研究結果が27日明らかになった。インペリアル・カレッジ・ロンドンのドミニク・ミショー博士らが専門誌に発表した。
歯周病歴のある男性医療専門家を対象にした長期研究で、がんを患う可能性が全体的に14%高いことが判明した。論文では「喫煙その他のリスク要因を考慮した上でも、歯周病は肺や腎臓、すい臓、血液のがんのリスク増大と大きな関連性があった」としている。
これまでの研究では、歯周病で心臓病や糖尿病の発生リスクが高まる可能性が示されていた。(ロイター通信 2008/05/28)1日1杯のワインは肝臓によい効果
1日1杯程度のワインであれば、肝臓に害がないばかりでなく、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のリスクを軽減する可能性さえあることが新しい研究により示され、医学誌「Hepatology(肝臓学)」6月号に掲載された。
今回の地域集団ベースの研究は、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究グループによるもので、飲酒の習慣のない人7,211人、1日に平均ワイン4オンス(約120ミリリットル)、ビール12オンス(約360ミリリットル)または蒸留酒1オンス(約30ミリリットル)程度の控えめな(modest)量の飲酒をする人4,543人を対象に実施された。
その結果、1日1杯のワインを飲む人は、飲酒しない人に比べ血液検査に基づくNAFLD疑いのリスクが半分であることが判明。しかし、ビールまたは蒸留酒を控えめに飲むとした人では、NAFLD疑いの比率はワインを飲む人の4倍であった。研究を行った同大学小児科部門消化器病学准教授のJeffrey Schwimmer博士は、「この結果は常識を覆すものだ」と述べている。
しかし、多量のワインを摂取した場合に予防効果がさらに高まるとの証拠(エビデンス)は示されておらず、「アルコールを飲み過ぎるリスクのある人は、ワインもそのほかの酒類の摂取も考えるべきではない」とSchwimmer氏らは強調している。この効果はワインだけにみられ、ビールや蒸留酒には認められないことから、効果がアルコールによるものなのか、それ以外の成分によるものかを見極めるためにさらに研究を重ねる必要があるという。
NAFLDは米国では最もよくみられる肝疾患で、4,000万人を超える成人が罹患しており、患者の5%が肝硬変を発症するという。NAFLDの主な危険因子(リスクファクター)は、肥満、糖尿病、高トリグリセリド(中性脂肪)および高血圧など。(日本経済新聞/HealthDay News 2008/05/29)活性酸素:除去の新たな仕組み発見 「老化遅らせる薬」に道?
発がんや老化など有害な作用を持つ「活性酸素」を、生物が除去する新たな仕組みを、産業技術総合研究所関西センター(大阪府池田市)などのチームが見つけた。将来、老化を遅らせる薬などの開発につながる可能性もあるという。
同センターの中村努主任研究員と大阪大大学院工学研究科の井上豪教授らは、微生物の一種「古細菌」が活性酸素除去に使うたんぱく質を結晶として取り出した。この結晶に、活性酸素の一種である「過酸化水素」を加えた。
活性酸素の分解過程で、どのような物質が生じているかを詳細に調べるため、反応後の時間を少しずつ変え、マイナス190度で凍結。反応が進まないようにして分析した。その結果、「スルフラン誘導体」という硫黄化合物が見つかった。従来は除去に関係しないと考えられていた物質で、活性酸素を除去する新しい仕組みという。
中村研究員によると、古細菌のたんぱく質に似たたんぱく質は人体にもある。反応を詳細に研究すれば、老化を遅らせる薬の開発にもつながるとみられる。硫黄化合物の新たな合成法を開発できる可能性もあるという。米国科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。【渋江千春】(毎日新聞 2008/06/01)活動的な生活で早死に予防=スポーツ無理でもあきらめずに−厚労省研究班
仕事や家事など日常生活の中での身体活動が多い人は、死亡リスクが低いことが、厚生労働省研究班の大規模疫学調査で分かった。米国の疫学専門誌に4日までに発表した。
余暇にスポーツをする人も、あまりしない人も同じ傾向がみられ、研究班の井上真奈美国立がんセンター室長は「運動する時間がないとあきらめず、生活の中で動く努力をすることで死亡リスクを低下させられる」としている。
研究班は1995年と98年、全国11地域の45〜74歳の住民を対象に、身体活動の時間を(1)肉体労働や激しいスポーツの時間(2)歩いたり立ったりする時間(3)座っている時間(4)睡眠時間−に分けて調査。約8万3000人(男性約3万9000人、女性約4万4000人)を2005年末まで追跡した。
この間に、男性3098人、女性1466人が死亡。各身体活動の時間にそれぞれの運動強度を示す指数をかけて1日の平均的な「身体活動量」を算出した上で4群に分け、死亡との関連を調べた。
男女とも身体活動量が多いほど死亡率が低く、最も多い群は最も少ない群に比べ、男性で約3割、女性で約4割リスクが低下していた。死因別では、男性のがんで約2割、男性の心疾患と女性のがんで約3割の減だった。(時事通信 2008/06/04)慢性骨髄性白血病、根治へ治療法を開発 ハーバード大
慢性骨髄性白血病の根治につながる治療法を、米ハーバード大医学部の伊藤圭介研究員らが開発した。異常な白血病細胞をつくりだす骨髄中のがん幹細胞をなくし、再発を防ぐことにマウスで成功した。人間の細胞でも同様の効果を確認した。19日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
同大はこの治療法の臨床試験の開始を、すでに決めた。イタリア・トリノ大からも臨床試験の依頼を受け、日本でも計画しているという。
現在の抗がん剤治療で使われる薬は、白血病細胞のような増殖能力が高い細胞を標的にしている。このため、白血病細胞は殺せるが、増殖をしていないことが多いがん幹細胞には効きにくかった。
伊藤さんらは、まず「PML」という遺伝子が、がん幹細胞を休止期の状態にしていることを発見。さらに亜ヒ酸を抗がん剤と一緒に投与すると、このPMLの働きが落ちて、がん幹細胞の増殖が盛んになり、抗がん剤の効き目があがることを突き止めた。
慢性骨髄性白血病は、国内では10万人に1〜2人の割合で発症し、成人の白血病の約2割を占めるとされる。(竹石涼子)(朝日新聞 2008/06/18)寄生虫の治療薬、C型肝炎にも効果 エジプトで臨床試験
寄生虫病の一種である住血吸虫症の治療薬が、C型肝炎にも効くことが、エジプトでの臨床試験でわかった。エジプトでは住血吸虫とC型肝炎ウイルス両方に感染する患者が多く、住血吸虫症の治療薬がC型肝炎にも効くと言われてきたが、米バイオテクノロジー企業「ロマーク研究所」の試験で裏づけられた。同社がイタリアで開かれた欧州肝臓学会で発表した。
治療薬はニタゾキサニド(商品名アリニア)。住血吸虫やクリプトスポリジウムなどの寄生虫病の治療に使われている。
同社のジャン・フランソア・ロシニョール博士らが、エジプトのC型肝炎患者で試験した。標準治療を受けた40人のうち、C型肝炎ウイルスが消えたのは半数の20人だったが、標準治療にニタゾキサニドを加えた28人では約8割の22人になった。ニタゾキサニドがC型肝炎ウイルスに効く理由ははっきりしていない。
C型肝炎ウイルスは、日本国内でも200万人以上の感染者がいるとされ、肝臓がんの大きな原因になっている。
大阪大学の林紀夫教授(消化器内科)は「数年前からC型肝炎に効くとの報告があったが、信用されていなかった。明らかなデータが出たことで、治療法の研究が進むのではないか」と話している。(鍛治信太郎)(朝日新聞 2008/06/21)ミカン果汁で脳の老化防止? 静岡県立大などマウス実験
ミカン果汁が脳の老化防止に役立つ可能性があることが、静岡県立大や農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所によるマウス実験でわかった。日本基礎老化学会で発表した。県立大の海野けい子准教授(老化生化学)は「果汁の成分のどこに効果があるのかはこれからの研究課題になる。人で効果があるかも試したい」としている。
老化が早い系統のマウス80匹を使った。20匹ずつ4グループに分け、3.8〜38%の3段階の濃度のミカン果汁で水分補給したものと、水で水分補給したものを1年間飼育。マウスが明るい箱から暗い箱に移動すると電気ショックを与える装置で実験し、移動を避けるようになるまでにかかる時間を計って学習能力を調べた。
その結果、水で育てたマウスは、平均約1000秒かかったが、ミカン果汁で育てたマウスは600〜700秒で、果汁濃度が高いほど学習時間が短かった。また、老化につながる大脳の酸化を示す値も3割ほど低かった。(香取啓介)(朝日新聞 2008/06/21)コーヒー、脳にもおいしい 名市大教授ら解明
コーヒーに含まれるポリフェノールの一種が認知能力の低下を防ぎ、糖尿病の発症を抑えるメカニズムを名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明准教授らと飲料メーカー「伊藤園」(東京都渋谷区)の共同研究グループが解明した。
コーヒーを多く飲む人ほど糖尿病になりにくく、高齢者では認知能力の低下が抑えられる傾向があることが分かっていたが、その仕組みは謎だった。
岡嶋教授らは、健康効果で知られるポリフェノールの1つである「クロロゲン酸」が知覚神経を通じて脳に作用し、糖尿病の抑制などの効果があるタンパク質「インスリン様成長因子−1」(IGF−1)の生成を促しているとみて実験を始めた。
クロロゲン酸は、植物が紫外線から身を守る際に働く物質で、特にコーヒー豆に大量に含まれる。独特の香りや渋味をつくる成分とされている。
クロロゲン酸を多く含むコーヒーと普通のコーヒーを14日間、別々のマウス群に飲ませ続けたところ、多く含むコーヒーを摂取したマウス群で、各臓器のIGF−1濃度が最大で2倍になった。
2種類のコーヒーを、21−51歳の男性14人ずつにそれぞれ2週間、毎食後飲んでもらったところ、クロロゲン酸の多いコーヒーを飲んだ14人の空腹時の血糖値が低下するなどの効果があった。
岡嶋教授は「クロロゲン酸は熱に弱く、深いり豆ではこのような効果は期待できない。焙煎(ばいせん)し過ぎないアメリカンを適度に飲むのが効果的」と話している。(中日新聞 2008/06/24)ビタミンDが欠乏すると死亡リスクが高まる、オーストリアの医科大学
【6月25日 AFP】ビタミンDが欠乏すると、特に心臓血管系疾患による死亡リスクが高まる。オーストリアのグラーツ医科大学(Medical University of Graz)がこのような研究結果を23日発行の医学誌に発表した。
米国医学会(American Medical Association)の機関誌「Archives of Internal Medicine」によると、研究チームは、同大の病院に1997-2000年に来院した患者3258人(平均年齢62歳)のビタミンD値を測定し、7.7年間にわたり追跡調査した。
この期間に737人が死亡したが、その内訳はビタミンD値が最も低いグループでは307人で、ビタミンD値が最も高いグループの103人を2倍以上上回った。なかでも、ビタミンDの欠乏と心臓血管系疾患による死亡には強い相関が認められた。死者数の62.8%にあたる463人が心臓血管系疾患によるものだったのだ。
ビタミンDが人間の免疫系に重要な役割を果たすことは、数々の研究で示されている。米ハーバード大学(Harvard University)は6月初め、ビタミンD値が低い人では心臓発作を起こす確率が高くなるとの研究結果を発表している。ビタミンDの欠乏が糖尿病、肥満、高血圧のリスクを高めるという研究も発表されている。
同機関誌によると、世界の高齢者人口の50%以上でビタミンDが欠乏しており、若年層でも同じような傾向が見られる。ビタミンDの欠乏は、屋外活動の減少や加齢、大気汚染が原因に挙げられる。
ビタミンDは、紫外線に当たることで体内に生産される。太陽に1日あたり10-15分当たるだけで充分という。ビタミンDを含有する食品には、魚、牛のレバー、卵黄などがある。マグロ缶85グラムには200 IUのビタミンDが含まれているという。(AFP 2008/06/25)遠赤外線、前立腺ガン細胞の増殖を抑制する効果
遠赤外線が前立腺がん細胞の増殖を抑制する効果があることを、兵庫医科大の島博基教授(泌尿器科学)が突き止め、同大学が27日、発表した。遠赤外線を発する特殊加工ゴムをがん細胞の近くに置くと、がん細胞の自滅(アポトーシス)を促す遺伝子が活性化し、がん細胞が減少。抗ガン剤と併用すると、がん細胞が死滅したという。23日付の米科学論文サイト「Nature Precedings」に発表した。
ヒト前立腺がん細胞を移植したマウスをカゴに入れ、周りを大阪市の化学メーカーが開発した、微弱な遠赤外線を放射する金属などを混ぜた特殊加工ゴムで囲って、マウスのがん細胞増殖の推移を観察した。
その結果、遠赤外線を当てられたマウスの体温が0.36度上がり、マウスに移植されたがん細胞内の遺伝子にあるアポトーシス回路が活性化。約70日後に、がん細胞の増殖が半分以下に抑制された。
これに加え、ガン増殖抑制機能があるとして米国で抗ガン剤として使われている腸管内物質「酪酸ナトリウム」を3類類の前立腺がん細胞に投与したところ、いずれも死滅したという。
島教授は「原理的にはすべてのガンに効果があるはず。臨床応用を進めて、治療法を確立したい」と話している。(産経新聞 2008/06/28)遠赤外線 がん抑制 兵庫医大成功 特殊ゴムから放出
特殊なゴムから遠赤外線を放出させることで、前立腺がんの増殖スピードを抑えることに成功したと、兵庫医大(兵庫県西宮市)の島博基教授(泌尿器科学)が発表した。同教授は「理論的にはどの種類のがんにも応用可能だ。研究を進めれば副作用のないがんの治療法の開発につながる」と話している。
同教授はウエットスーツの素材に使われる、ハチの巣状の構造を持つ特殊なゴムに着目。このゴムで周囲を囲って人間の前立腺がん細胞を培養したところ、そうでない場合に比べ増殖スピードが半分以下に抑えられた。
さらに体内で遺伝子の働きを活性化させる酪酸ナトリウムを培養細胞に加えたところ、がん細胞が死滅したという。
またゴムを張り付けたケースの中で飼育したマウスに前立腺がん細胞を植え付けたが、同様に増殖が抑えられた。
同教授の調査では、ゴムは太陽光線などを受けると特定の波長の遠赤外線を放出。がん細胞の温度が0.36度上昇した。この結果、がん細胞の増殖を抑制する遺伝子や細胞の自然死(アポトーシス)をつかさどる遺伝子が活性化したとみている。
ただ体温には個体差があり、同教授は「どの程度体温を上げるのが最も効果的かなどは、今後も研究を重ねる必要がある」と話している。(西日本新聞 2008/06/29)肝臓がん:再発、NK細胞で予防 移植患者に投与
生体肝移植後にがん細胞を攻撃する免疫細胞の1つ「ナチュラルキラー(NK)細胞」を投与して再発を予防する肝臓がんの治療法を、大段秀樹・広島大教授(移植外科)らが開発した。06年からの臨床研究で14人にNK細胞を投与し、2年以内の再発例はないという。
肝移植は肝臓がんの治療法の1つだが、移植後に免疫抑制剤を投与するため、体内の別の部位に、がん細胞が残っていると再発の可能性が高い。
大段教授によると、肝臓のNK細胞を特別な方法で培養すると、細胞表面にがん細胞だけを選んで攻撃する強力なたんぱく質が産生される。研究チームは、臓器提供者の肝臓からNK細胞を採取して2日間培養。40〜60代の移植を受けた患者に、培養した細胞を点滴で投与した。
投与された14人は移植後2年以上経過しても、全員生存。「ミラノ基準」(がんが1個で大きさが長径5センチ以下か、3個以内でいずれも3センチ以下)より進行していた場合、移植後の再発率は2割程度といわれるが、基準外の患者5人も含めて再発例はないという。一方、投与しなかった基準外の患者は28人中4人が再発した。
また、C型肝炎を併発していた患者は移植後のNK細胞投与でウイルス量が激減。投与しない患者は2週間後には移植前より増加したのに対し、投与した患者は1カ月経過しても少ないままだった。
大段教授は「投与した患者は急性拒絶反応も少なく、今のところ一般的な肝移植と比べてデメリットはない。他の施設の協力も得て症例を増やし、C型肝炎に焦点を当てた治療法開発も目指したい」と話している。
カナダ・トロントで開催された米移植学会で発表された。【大場あい】(毎日新聞 2008/07/06)水素水に記憶力低下抑制効果、日医大教授がマウスで確認
水素水を飲むことで、記憶力(認知機能)の低下を抑えられることを日本医大の太田成男教授らが動物実験で確認した。
認知症の予防や治療にも道を開く成果で、科学誌ニューロサイコファーマコロジー電子版に発表した。
ストレスによって記憶力が低下することは知られている。研究チームは、マウスを狭い空間に閉じ込め、餌を与えないなどのストレスを加えたうえで、記憶力が、水素が大量に溶け込んだ水と通常の水を飲ませた場合でどのくらい違うか、10匹ずつ、3つの方法で6週間かけて比較した。
その結果、いずれの場合も水素水を飲ませた方が記憶力が顕著に高く、ストレスのないマウスとほぼ同等だった。記憶をつかさどる脳の領域(海馬)における神経幹細胞の増殖能力も同様の傾向だった。
研究チームは昨年、水素が活性酸素を取り除き、脳梗塞(こうそく)による脳障害を半減させることを確認。認知症は活性酸素などによって神経細胞が変性する病気とされるが、太田教授は「水素水を飲まないマウスの海馬には活性酸素によって作られた物質が蓄積していた。水素水が活性酸素によって低下した神経細胞の増殖能力を回復させ、記憶力低下も抑制したと考えられる」と話している。(読売新聞 2008/07/18)脳卒中:乳製品からカルシウム摂取、発症3割減──厚労省研究班
牛乳やチーズなどの乳製品からカルシウムを多く取る人は、ほとんど取らない人に比べて脳卒中の発症率が約3割少ないことが、厚生労働省研究班の大規模調査で明らかになった。国際医学誌電子版に今月掲載された。日本人の死因3位の脳卒中予防につながる成果で、牛乳なら1日130ミリリットル前後、スライスチーズなら1〜1.5枚で効果が期待できるという。
研究班は、岩手、秋田、長野、沖縄の4県在住の40〜59歳の男女約4万人を、90年から12年間追跡し、食事など生活習慣と発病の関係を分析した。
02年までに、1321人が脳卒中を発症。乳製品から取ったカルシウムの量で5グループに分けると、1日の摂取量が平均116ミリグラムと最も多いグループは、ほぼゼロのグループに比べて脳卒中の発症率が0.69倍にとどまった。大豆製品や野菜、魚など、乳製品以外から摂取したカルシウムでは、効果はみられなかった。
研究班の磯博康・大阪大教授(公衆衛生学)は「カルシウム摂取が多いと血圧が低くなるため、脳卒中予防につながったのではないか。乳製品は他の食品よりも腸での吸収率が数倍高く、効率良くカルシウムが取れたようだ」と説明する。
一方、心筋梗塞(こうそく)など心疾患の発症率は、カルシウム摂取の有無と関連がなかった。乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸によって心疾患の発症率が高まり、カルシウムの効果が打ち消された結果と考えられ、乳製品の食べすぎは逆効果になる可能性が高い。【山田大輔】(毎日新聞 2008/07/29)ピロリ除菌で胃がん3分の1 北大教授ら研究
胃の粘膜にいる細菌ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)を薬で除菌すると、胃がん発生が3分の1になるとの研究結果を浅香正博・北海道大教授(消化器内科)らがまとめた。2日付の英医学誌ランセットで発表する。
胃がん予防目的の除菌は現在、公的医療保険の適用外。適用に向けた議論が活発化しそうだ。
研究は国内51病院で実施。早期胃がん患者505人の協力を得た。内視鏡で治療した後、半分の患者に除菌の薬を飲んでもらった。半分は除菌しなかった。治療したがん以外の胃がん(2次胃がん)ができるか調べた。
3年間に2次胃がんができたのは、除菌した群で9人、除菌しない群で24人。詳しく計算すると胃がんリスクは、除菌しない場合を1とすると、除菌した場合は0.34だった。効果が明らかだったため、除菌しなかった群も後ほど除菌した。
これまで、除菌で「前がん状態」が改善したなどの研究結果はあったが、除菌するか否かの割り当てをくじ引きで決める「無作為化比較研究」で除菌による胃がん予防効果を示したのは世界初。初発の胃がん減少も期待できる。
国内の胃がん新規患者は年約11万人、死亡は約5万人。富永祐民・愛知県がんセンター名誉総長(疫学)によると「胃がんの8割以上はピロリ菌感染が原因と考えられる」。感染率は若い世代は低いが、50歳以上は7〜8割。団塊世代ががんを発症しやすい年代に近づき、患者は増える可能性が高い。
浅香教授は「除菌で胃がん発生を大幅に減らせる」と、現在は、胃潰瘍(かいよう)か十二指腸潰瘍の患者に限られている除菌の保険適用を、ピロリ菌感染者全体に広げ、胃がん予防に役立てるべきだとしている。
保険適用外だと薬代と検査代で1万数千〜2万円ほど。日本ヘリコバクター学会も今回の研究結果をもとに今秋、指針を改訂し、除菌を勧める予定だ。(編集委員・浅井文和)(朝日新聞 2008/08/01)低炭水化物ダイエット、カロリー制限より効果的と
米ジョージア州アトランタ(AP) 炭水化物の摂取を抑えることに重点を置く「低炭水化物ダイエット」は、カロリー制限を中心とする通常のダイエット法に比べ、減量やコレステロール低下の効果が大きいとの研究結果を、イスラエルの研究者らがこのほど発表した。低炭水化物ダイエットは数年前から米国を中心に大流行したが、コレステロールへの影響などは疑問視されてきた。
イスラエルのネゲブ・ベングリオン大、米ハーバード大の専門家らによる共同研究で、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の最新号に結果が掲載された。
対象となったのは、イスラエルにある核関連研究施設の従業員ら322人で、大半が男性。3つのグループに分け、(1)脂肪を摂取カロリーの30%以下に抑えて、カロリーとコレステロールを制限する「低脂肪食」(2)脂肪、カロリー、コレステロールを制限し、鳥肉や魚、オリーブオイル、ナッツ類を重点的に取る「地中海食」(3)カロリーは制限せずに炭水化物を抑え、植物性の脂肪、たんぱく質の摂取を勧める「低炭水化物食」──のいずれかを割り当て、2年後に効果を調べた。従業員らは比較的隔離された環境にあり、1日の食事の中心となる昼食は職場の食堂で取る。朝食、夕食についても細かい指示を受け、食事内容の記録を義務付けられた。運動量のレベルは、どのグループもほぼ同じだったという。
その結果、対象者の体重は低脂肪食グループで平均3.0キロ、地中海食グループで4.5キロ、低炭水化物グループで4.7キロ減少。コレステロールの数値も、低炭水化物グループが複数の指標で最も大きな改善を示した。善玉コレステロール(HLD)に対する総コレステロールの比率は、低脂肪食グループで12%、地中海食で16%低下したのに対し、低炭水化物食では20%も下がっていた。
ただし、対象者のうち糖尿病患者36人のケースでは、血糖値を下げる効果が地中海食グループで最も大きく表れた。また、女性45人の中でも、最大の減量効果を挙げたのは地中海食グループだったという。(CNN 2008/08/04)高濃度のビタミンC注射に抗がん効果、米研究
【8月5日 AFP】高濃度のビタミンC注射が、がんの発達や進行速度の抑制に効果的だとする研究結果が、5日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)で発表される。
米国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)の研究チームが、脳、卵巣、膵臓(すいぞう)にがんを持つラットの静脈または腹腔(ふくくう)にアスコルビン酸注射を行ったところ、がん細胞株の75%で抗がん効果がみられたという。通常の細胞への影響はなかった。
研究チームはまた、アスコルビン酸に抗がん作用があるのは、腫瘍(しゅよう)をとりまく細胞外液で過酸化水素が形成されるためであることを突き止めた。
ただし、ビタミンCは内服した場合、体が摂取量を制限するため高濃度では摂取できず、注射で投与する必要があるという。ビタミンCの抗がん効果の可能性は数十年から指摘されてきたが、その後の研究で、口からの摂取では効果がないことが分かっていた。(AFP 2008/08/05)ビタミンC投与でがん半減 マウス実験で、米研究所
【ワシントン4日共同】ビタミンCをマウスに大量投与することで、がん細胞の増殖を半分に抑えることができたとの実験結果を、米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。
チームによると、約30年前にビタミンCががんに有効だと注目されたが、その後の実験で否定された。今回は、効果が否定された経口投与ではなく、体内に直接注入。「副作用もなく、人間への適用も可能だ」としている。
実験ではまず、43種類のがん細胞と5種類の通常細胞に、ビタミンC(アスコルビン酸)の溶液を加えると、通常細胞に変化はなかったが、がん細胞のうち33種類では細胞の半分以上が死滅した。
次に、腹腔(ふくくう)内にそれぞれ子宮がん、膵臓(すいぞう)がん、脳腫瘍(しゅよう)の細胞を植え付けたマウスに、体重1キロ当たり4グラムという大量のアスコルビン酸を毎日投与すると12―30日後に、投与しなかった場合に比べてがんの重さが41―53%に抑えられた。副作用もみられなかった。
アスコルビン酸から発生した過酸化水素ががん細胞に作用したとみられるという。(共同通信 2008/08/05)北大:海馬の神経細胞、カフェインで増強 研究チーム発表
記憶や学習に重要な役割を果たす脳の「海馬」の神経細胞が、心筋の細胞が収縮するのと同じ仕組みで記憶を形成し、その働きがコーヒーなどに含まれるカフェインによって増強されることを、北海道大などの研究チームが明らかにした。研究チームは「認知症や記憶障害の薬の開発につながる可能性がある」と話す。5日、米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
北大の神谷温之教授(神経生物学)らは、マウスの海馬の切片にカフェインを加えた。その結果、細胞内のカルシウムの濃度が高まり、30〜60分間、神経回路の信号伝達が良くなった。
カルシウム濃度が高まったのは、「2型リアノジン受容体」と呼ばれるたんぱく質の働きが高まったためとみられる。このたんぱく質は心筋細胞に多く存在し、細胞内の「小胞体」という小器官に蓄えられたカルシウムイオンを放出させ、心筋を収縮させる。研究チームは、心筋収縮と同様の仕組みで、海馬での記憶形成が増強されたとみている。
カフェインには、筋肉を収縮させる働きがあることが知られている。神谷教授は「実験で使ったカフェインは高濃度なので、コーヒーを飲むくらいでは記憶への影響はない。だが、カフェインや同様の働きを持つ物質から、認知症などの薬を開発することができるかもしれない」と話す。【山田大輔】(毎日新聞 2008/08/05)食道がん:野菜と果物で危険半減 厚労省研究班
野菜と果物を多く食べる男性は、あまり食べない男性に比べ、食道がんになる危険性がほぼ半減することが、厚生労働省研究班(担当研究者、山地太樹・国立がんセンター予防研究部研究員)の調査で分かった。今月号のがんに関する国際誌電子版に掲載された。
研究班は95年と98年、8県の45〜74歳の男性約3万9000人を対象に、食事に関するアンケートを実施し、野菜と果物の1日あたりの摂取量を推計した。04年までに、116人が、食道がんのうち日本人の大半を占める「扁平(へんぺい)上皮がん」と診断された。国内の食道がんの患者は、男性が8割以上とされる。
分析の結果、野菜と果物の合計摂取量が1日平均544グラムと最も多いグループが食道がんになる危険性は、最も少ない同170グラムのグループの52%にとどまった。また摂取量が1日100グラム増えると、危険性は約10%減った。種類別では、キャベツや大根などのアブラナ科の野菜の摂取と、危険性の低下に関連が認められた。
喫煙、飲酒習慣がある人でも、野菜と果物を多く食べると危険性が減った。喫煙習慣があり、日本酒を1日2合以上飲む人では、多く摂取する人の危険性が、少ない人より6割以上も低かった。
山地研究員は「食道がんの予防には、禁煙、禁酒が第一だが、野菜と果物の摂取にも予防効果が期待できることが分かった。アブラナ科の野菜は、がんを抑制するとされる成分『イソチオシアネート』を多く含むため、効果があるのではないか」と話している。【関東晋慈】(毎日新聞 2008/08/14)米のがん患者4〜6割、祈祷・気功・サプリなど試す
【ワシントン=勝田敏彦】米国のがん患者の4〜6割ほどが、祈りやサプリメントといった「補完代替医療」を試していることが米がん協会の調査でわかった。科学的根拠の明確でないものも多い補完代替医療の広がりが、改めて浮き彫りになった。
同協会の研究チームが、がんと診断されてから10〜24カ月の患者に郵便や電話でアンケートし、4139人分の回答を分析した。
その結果、「祈り・霊的体験」を試した人が約61%と最も多かった。気功などの「リラクセーション」や、「宗教的癒やし」「サプリメント」の経験者も、それぞれ40%を超えていた。
女性、若者、高収入や高学歴の人が補完代替医療を試す傾向が強かったという。
「はり・きゅう治療」は約1%にとどまっていた。研究チームのテッド・ギャンスラー博士は「最近の研究で、はり・きゅう治療はがんの痛み緩和に有効とわかっているが、意外にも試した患者は少なかった」という。(朝日新聞 2008/08/15)ビタミンC 歯槽骨の破壊抑制 岡山大病院 友藤講師確認
歯周病予防へ期待
岡山大病院(岡山市鹿田町)の友藤孝明講師=予防歯科学=らは15日までに、ビタミンCの摂取が歯を支える「歯槽骨」の密度を高めることを動物実験で突き止めた。ビタミンCは歯周病に対して効果があるとされるが、骨の破壊を抑えることで、予防への有効性をあらためて示す成果として注目される。
友藤講師らはこれまでの研究で、コレステロールの取りすぎが歯槽骨を溶かすことにつながるとの結果をラット実験で確認していた。
今回の実験では、細菌やウイルスなどに対する抵抗力を高めるビタミンCに着目。生後8週目のラット24匹を、標準食と水▽コレステロール食と水▽コレステロール食とビタミンC入りの水(濃度を2種類に設定)−の4グループに分けて観察、12週間後に歯槽骨の変化を見た。
標準食と水を与えたグループの歯槽骨の密度に比べ、コレステロール食と水を与えたグループは10%低かったが、コレステロール食とビタミンC入りの水を与えたグループは7−8%高かった。
この結果、友藤講師は、ビタミンCが骨を破壊する細胞の増殖を間接的に食い止めていると結論付け、研究成果を米国の歯周病学会誌に発表した。
友藤講師は「今後はヒトでも同様の効果が見られるかどうか調べ、歯周病の予防に栄養療法を取り入れるきっかけにしたい」としている。(河内慎太郎)(山陽新聞 2008/08/16)「がん予防に効果」成分抽出 スーパー昆布開発
神大・金沢教授らグループ 粉末状で食べやすく メーカーと商品化めざす
昆布に豊富に含まれ、がん予防に効果があるとされるフコキサンチンだけを抽出した粉末状の「スーパー昆布」の開発に、神戸大農学部の金沢和樹教授(食品栄養化学)の研究グループが成功した。塩分の高さや黒い色素による見た目の悪さなどから、「健康食」としては敬遠される点もあったため、これらの成分を取り除いたうえで、加工して食べやすくした。食品加工メーカーと協力して、近く商品化を目指す。
金沢教授によると、ディーゼルエンジンの排ガスなどに含まれる発がん性物質を2グループのマウスに注射して比較したところ、昆布を餌に与えられたマウスは、通常の餌を食べたマウスより150?400日長く生きることを確認した。
このほか、複数の研究で昆布は生活習慣病の予防に有効ということが実証されている。しかし、農水省によると、1世帯あたりの年間消費量は年々減少。1985年は650グラムだったが、2000年には450グラムまで落ち込んだ。金沢教授は「米食離れが進んだ今の日本人の味覚に合わず、避けられつつある」と指摘する。
昆布の健康食としての効果の高さに注目した金沢教授は、さらに食べやすい方法を模索。生昆布をアルコールに漬け、エキスだけを抽出し、色素の原因となるクロロフィルや、ナトリウムなど不要な成分を除去。残存するフコキサンチンだけを取り出し、細かく裁断した昆布の食物繊維と特殊な方法を使って、再び組み合わせた。
スーパー昆布はきな粉のような黄土色の粉末で、メリケン粉の10分の1のきめ細かさという。試食会でふりかけやつくだ煮などの調理に使ったところ、関係者に好評だった。
金沢教授は「色合いや塩辛さを取り除くことで健康食品としての昆布のイメージをさらにアップさせていきたい」と話している。(読売新聞 2008/08/20)ターメリック:カレーに記憶力のもと 認知症治療に効果?
カレーのスパイス「ターメリック」(ウコン)に含まれる成分から、記憶力を高める化合物を、武蔵野大と米ソーク研究所が合成した。動物実験の段階だが、将来、認知症の治療などに役立つ可能性があるという。米老年医学誌(電子版)に掲載された。
この成分は「クルクミン」と呼ばれ、生薬としても用いられるショウガ科の多年草「ウコン」の黄色色素。アルツハイマー病の原因とされる異常たんぱく質ベータアミロイドが脳内に蓄積するのを防ぐ作用を持つことが知られている。
研究チームが調べたところ、クルクミンは神経細胞の損傷を抑えられるが、記憶力向上までの効果は確認できなかった。そこで、クルクミンの化学構造を変えたさまざまな化合物を合成。ラットから記憶の形成にかかわる脳の「海馬」を摘出、薄くスライスして組織が生きた状態が保たれたままにして、これらの化合物を加えた。
その結果、「CNB−001」と名付けた化合物が、細胞間の情報伝達の効率を高め、その状態を持続させることが分かった。また、この化合物を飲ませたラットは前日に見せた物体を記憶していたのに対し、飲ませなかったラットは覚えていなかった。この化合物が、記憶をつくるスイッチとして働く酵素を活性化していることも判明した。
武蔵野大の阿部和穂教授(薬理学)は「この化合物は、海馬の働きを直接活発にしている。安全性を確認し、新薬の開発を目指したい」と話す。【下桐実雅子】(毎日新聞 2008/08/23)アルツハイマー病 記憶障害改善に成功
理研チーム マウス実験 神経伝達物質がカギ
アルツハイマー病での記憶障害には、情報の伝達を抑制する神経伝達物質がかかわっていることを、理化学研究所などの研究チームがマウスを使った実験で突き止め、米科学誌プロス・ワンに発表した。
この伝達物質の働きを妨げると記憶障害は改善され、チームは「新たな治療法の開発につながる可能性がある」としている。
アルツハイマー病では、脳にベータアミロイドというタンパク質がたまり、老人斑と呼ばれる染みができる。このタンパク質がたまりやすいように遺伝子操作したマウスの脳を詳細に調べたところ、神経回路の信号伝達を抑制するガンマアミノ酪酸(GABA=ギャバ)と呼ばれる神経伝達物質の働きが、通常のマウスより活発になっていた。
迷路を使った実験で、遺伝子操作したマウスにGABAの働きを妨げる薬剤(GABA阻害剤)と塩水をそれぞれ注射して成績を比較。塩水を与えたマウスは、トレーニングを重ねても失敗が減らなかった。一方、阻害剤を投与されたマウスは徐々に成功が増え、GABAの働きを妨げると記憶力が高まることが分かった。
脳の神経回路は、信号を伝達する「興奮性神経細胞」と、信号伝達を抑える「抑制性神経細胞」で構成されている。理研の吉池裕二研究員は「GABAの働きが活発になり、『興奮』と『抑制』のバランスが崩れることで記憶障害が生じると考えられる。記憶力を正常に戻すには、抑制と興奮のバランスを取ることが重要」と話している。<ガンマアミノ酪酸(GABA)> アミノ酸の一種で、ヒトをはじめとした哺乳(ほにゅう)動物の海馬や小脳などに多く存在する。脳内では、神経信号の伝達を抑える抑制性神経細胞の間で、情報を伝える働きをする。1つの神経細胞から放出されたGABAが、別の神経細胞の受容体と結合することで情報を伝達する。(東京新聞 2008/09/02)
高齢者の適度な運動は記憶力向上に効果=研究
【香港3日ロイター】高齢者にとって定期的に適度な運動をすることは、記憶力の向上や認知症の発症を遅らせるのに効果あることが分かった。オーストラリアでの研究結果が医学誌「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAA)」で発表された。
同研究では、認知症ではないものの、記憶力に問題を抱える50歳以上の170人を対象に調査を実施。対象者の半分は週3回50分程度のウォーキングなど適度な運動を行っている人で、残りの半分は全く運動をしていない人だった。
語彙(ごい)のリストを思い出すなどのテストを行った結果、運動を行っている人は、行っていない人に比べ、明らかに認知機能を向上させることが示された。運動の効果は6カ月後から顕著に表れ、少なくとも運動を止めた後12カ月は効果が持続した。
世界保健機関(WHO)によると、認知症の高齢者の数は現在、世界中で推定3700万人。その大半がアルツハイマー病だという。
今後20年でその数は急速に増えると予想されており、研究者らは認知症の発症を遅らせる方法を模索している。(ロイター通信 2008/09/03)カルシウム+ビタミンD、大腸がんのリスク低減
カルシウムとビタミンDをともに多く摂取すると、大腸がんにかかるリスクを下げる可能性があることが、九州大などの調査でわかった。近く米国のがん予防専門誌で報告する。
古野純典・九大教授らのグループが、福岡市とその近郊に住み、大腸がんと診断された836人と、同じ年代で大腸がんではない861人から食事や生活習慣を詳しくたずね、関連を調べた。
1日あたりのカルシウム摂取量が平均約700ミリグラムと最多の人たちが大腸がんになるリスクは、同400ミリグラムで最も少ない人たちと比べ、3割ほど低かった。しかし、カルシウムを多くとっても、ビタミンDをあまりとらない人では、違いははっきりしなかった。
そこで、カルシウムを平均約700ミリグラムとり、かつビタミンDを多くとる人(1日10マイクログラムかそれ以上)で比べると、大腸がんリスクは、カルシウム摂取が少なくビタミンDをあまりとらない人より、6割低かった。
ビタミンDはサンマやサケといった魚類やキノコ類に多い。日本人のカルシウム摂取量は1日あたり平均540ミリグラム余で不足ぎみ。ビタミンDは8マイクログラムほど。大腸がんは肥満や飲酒でリスクが高まることがわかっている。
牛乳を飲んでカルシウムを多くとると、大腸がんリスクが2割ほど下がることは、欧米グループが報告している。今回の結果をまとめた溝上哲也・国立国際医療センター部長(前・九大助教授)は「ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるので、大腸がんの予防効果を高めるのかも知れない。さらに効果を調べたい」と話す。(田村建二)(朝日新聞 2008/09/22)カロリーの摂り過ぎが脳を狂わせる可能性=研究
【ワシントン2日ロイター】過食は脳を混乱させてさまざまな損傷を引き起こし、糖尿病や心臓病その他の疾患の原因をつくる可能性があるとの研究結果が2日発表された。
米ウィスコンシン大マディソン校のドンシェン・カイ氏らが専門誌Cellに発表した内容によると、過食により、脳内で通常は休止状態にある免疫システムの経路が稼動し、実在しない侵入者を攻撃・破壊するため免疫細胞が送り出される可能性が判明した。
この発見は、肥満がなぜ他の多くの病気を引き起こすかの解明に役立つ可能性があるほか、肥満そのものの予防にもつながるかもしれないという。(ロイター通信 2008/10/03)糖尿病なりかけに「緑茶が効果」 1日7杯で血糖値改善
緑茶を1日に7杯分ほど飲むことで、糖尿病になりかかっている人たちの血糖値が改善することが、静岡県立大などの研究でわかった。健康な人で緑茶をよく飲んでいると糖尿病になりにくいという報告はあるが、高血糖の人たちの値が下がることを確認した報告は珍しいという。
血糖値が高めで、糖尿病と診断される手前の「境界型」などに該当する会社員ら60人に協力してもらった。
緑茶に含まれる渋み成分のカテキンの摂取量を一定にするため、いったんいれたお茶を乾燥させるなどして実験用の粉末を作製。これを毎日、湯に溶かして飲むグループと、飲まないグループに無作為に分け、2カ月後の血糖値を比べた。
平均的な血糖値の変化を、「Hb(ヘモグロビン)A1c」という指標でみると、緑茶粉末を飲んだ人たちは当初の6.2%が、2カ月後に5.9%に下がった。飲まなかった人たちは変わらなかった。飲まなかった人たちに改めて飲んでもらうと、同じように2カ月間で6.1%から5.9%に下がった。
一般にHbA1cが6.1%以上だと糖尿病の疑いがあるとされ、6.5%以上だと糖尿病と即断される。逆に患者の血糖値を5.8%未満に維持できれば優れた管理とされる。今回の成果は、糖尿病一歩手前の人が緑茶をたくさん飲むことで、糖尿病にならずに済んだり、発症を遅らせたりできる可能性を示した。
2グループで体格や摂取エネルギーなどに差はなく、緑茶からのカテキン摂取量が血糖値に影響したらしい。1日分の緑茶粉末は一般的な濃さの緑茶で湯飲み(約100ミリリットル)約5杯分のカテキンを含み、緑茶粉末を飲んだ人では普通に飲んだ緑茶と合わせ1日に約7杯分のカテキンをとっていた。
研究の中心で、今春に静岡県立大から移った吹野洋子・常磐大教授(公衆栄養学)は「運動などの生活習慣改善とともに、食事の中で積極的に緑茶を取り入れてほしい」といっている。(田村建二)(朝日新聞 2008/10/04)ビタミンCサプリメントで一部の抗がん剤の効果減少、米研究
【10月5日 AFP】がんの化学療法中にビタミンCのサプリメントを摂取すると、一部の抗がん剤の効果が減少するとの新しい研究結果が、米医学誌『キャンサーリサーチ(Cancer Research)』(10月1日号)で発表された。
実験室での研究では、あらかじめビタミンCで処理した分離されたがん細胞の死滅率が30-70%減少することが判明した。また、ビタミンCの投与と化学療法を平行して行ったマウスでは、腫瘍(しゅよう)が通常より速く成長することも判明した。研究チームは、同様の効果が人間のがん患者にも当てはまる可能性があるかもしれないとしている。
多くの抗がん剤は「酸素遊離基」を作ってがん細胞を攻撃するが、今回の研究はビタミンCがこの遊離基を吸収するために化学療法の効果が薄れるのではないかとの仮説を提示した。
論文の主執筆者である米ニューヨーク(New York)のメモリアル・スローン・ケタリング癌センター(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center、MSKCC)のマーク・ヒーニー(Mark Heaney)氏は「ビタミンCのサプリメントは化学療法の治療効果を減少させる可能性がある」と説明する。
ヒーニー氏は、ビタミンCは細胞が活動を続けるための「動力装置」である極めて重要なミトコンドリアを保護することによって細胞の寿命を延ばす効果があり、通常の細胞にとってきわめて有益だと述べた。しかし、抗がん剤はがん細胞のミトコンドリアを破壊してがん細胞を殺すことを狙っているため、化学療法中はビタミンCが逆効果になるのではないかとの見方を示した。
これまでの研究では、ビタミンCは抗酸化物質であるため、がん患者によい効果をもたらす可能性があることが示されていた。8月に発表された研究では、マウスに高濃度のビタミンCを注射した結果、腫瘍(しゅよう)が小さくなり、がんの成長が約50%遅くなることが示された。論文では、がん患者はビタミンCが豊富な食べ物など、健康的な食事をとるべきだとしている。(AFP 2008/10/05)歯周病に効果 トケイソウの有効成分が組織を再生
トケイソウ(別名パッションフラワー)に含まれる天然成分に、歯周病によって破壊された歯の周りの組織を再生させる機能があることを、中部大の禹済泰(ウゼテ)教授(天然物化学)と東京医科歯科大のグループが突き止めた。歯周病は「国民病」とも呼ばれて患者が急増しているが、効果的な治療薬は少ないだけに、新薬の開発に期待がかかる。
禹教授は、骨粗しょう症の予防や症状改善に応用できる天然物質を研究。植物からの抽出物を含む3000以上の天然化合物から、骨の形成を促すような物質を探したところ、トケイソウの花や葉に含まれる成分「ハルミン」が、骨のもとになる骨芽(こつが)細胞を増やす効果があることを見つけた。
そこで、禹教授はハルミンが歯茎で歯を支える歯槽骨(しそうこつ)の形成に応用できると考え、マウスで歯のもととなる歯胚(しはい)に小さなビーズに吸着させたハルミンを埋め込み培養。3週間ほどで歯槽骨のほか、歯の根元の歯根、歯根と歯槽骨の間のクッション状組織の歯根膜の形成量が、いずれも3?5倍促進できることが分かった。
歯槽骨の形成を促す薬剤としては、ブタから取るタンパク質「エムドゲイン」があるが、大量生産は困難で高価だった。ハルミンだと人工的に生産が可能で、植物原料のため副作用も少ないとみられる。
禹教授は「大型動物で効果を実証し、治療薬としての実用化を目指したい」と話している。<トケイソウ> ブラジル原産のトケイソウ科のツル性植物の総称。名前は花の形が時計の長針、短針、秒針のある時計盤のように見えることに由来。夏季に開花し、観賞用として使われる。(東京新聞 2008/10/05)
鶏の足、高血圧の抑制に役立つ可能性=研究
【香港9日ロイター】日本の科学者が、鶏の足から高血圧の抑制を助けると考えられる4つのたんぱく質を特定した。専門誌Journal of Agricultural Chemistry and Foodに論文を発表した。
鶏の足から抽出したコラーゲンを高血圧のネズミに摂取させたところ、食塩水を摂取させたネズミとの比較で、8時間後に血圧がはっきりと降下。4週間後にも血圧の大幅低下が確認できたとしている。
この研究は、日本ハム中央研究所と広島大の研究者が共同で行った。(ロイター通信 2008/10/10)緑茶カテキンでポリープ再発予防 がん予防に可能性
緑茶成分のカテキンを含む錠剤を飲み続けると大腸ポリープの再発が抑えられることを、岐阜大医学部の清水雅仁助教や森脇久隆教授らが臨床試験で確かめた。名古屋市で28日から開かれる日本癌学会で発表する。
大腸がんのもとになるポリープの再発予防が緑茶錠剤の臨床試験で実証されたのは初めてという。手軽な緑茶錠剤によるがん予防の可能性をうかがわせる成果といえる。
臨床試験には、岐阜大病院など岐阜県内の4病院が参加した。大腸ポリープを内視鏡で切除した125人のうち60人に緑茶錠剤3錠(計1.5グラム、6杯分)を毎日飲んでもらい、飲まない65人と、1年後に大腸を内視鏡で検査して、ポリープ再発率を比べた。
再発率は、緑茶錠剤を飲まなかった人では31%だったのに対し、錠剤を飲み続けた人たちでは15%と明らかに低かった。再発したポリープのサイズも、錠剤を飲んだ人で小さい傾向があった。
緑茶錠剤を飲んでも、1日に緑茶を飲む量が3杯以下と少ない人の再発率は60%と高かった。毎日飲む緑茶が多いほど、ポリープの再発が抑制されることも裏付けた。
森脇教授は「薬ではなく、日常生活で取りうる物質で大腸ポリープ再発予防効果が確かめられた意義が何より大きい。緑茶をよく飲むという生活習慣で予防できる可能性もある」と話している。藤木博太・徳島文理大副学長(がん予防学)の話 緑茶錠剤でがんを予防できる可能性を示す重要な臨床結果だ。カテキンのがん予防の仕組みは分子レベルで徐々に分かりつつある。この錠剤は1錠20円以下で市販されており、使いやすく安全性も高い。緑茶をよく飲む習慣がないような人に役立つのではないか。
<緑茶のがん予防効果> 緑茶を大量に飲む埼玉県の住民を対象にした埼玉県立がんセンターの調査で見つかった。ほかの疫学調査で異なる結果も出ているが、カテキン摂取量で1日10杯以上が必要とされる。埼玉県農林総合研究センターが緑茶抽出物を固めた錠剤を作った。「緑茶サプリメント」として市販もされており、岐阜大の大腸ポリープ再発予防試験に使われた。(共同通信 2008/10/11)
アルコール、飲むほどに脳が縮小=米研究
【ワシントン13日ロイター】アルコールを飲めば飲むほど脳が縮小するという研究結果が13日、明らかになった。米マサチューセッツ州のウェルズリー大学のキャロル・アン・ポール氏が率いる研究チームが、神経学の専門誌「Archives of Neurology」で発表した。
研究チームでは、適量のアルコールにより加齢によって進む脳容積の減少を食い止めることが可能かを検証しようとしたが、結果は不可能だったという。
同研究によると、生涯にわたって酒を飲まなかった人々が最も脳容積の減少が少なかった。続いて、過去に飲酒していたが今は飲まない人々、現在適度な飲酒をする人々、現在大量に飲酒する人々の順で、脳容量の減少の割合が少なかった。
これまで、多くの研究によって適度の飲酒は心臓に良いとされてきた。(ロイター通信 2008/10/14)インターネット検索、脳の活性化に役立つ可能性=米研究
【シカゴ14日ロイター】米国の研究者は14日、インターネットを使った検索が中高年の人々の記憶力保持などに役立つ可能性があるという研究結果を明らかにした。
米カリフォルニア大ロサンゼルス校の研究チームでは、機能的磁気共鳴画像装置と使って、インターネット検索をしている人々の脳の活動について測定、研究した。
同校のゲアリー・スモール博士(老化学)は、ロイターとの電話インタビューで「われわれの研究では、インターネットの経験がある人は検索の最中により脳を使っていた」と述べた。その上で「これは、インターネットで検索をするだけで脳のトレーニングになっている可能性を示唆している」としている。
同研究結果は、米専門誌「老年精神医学」で発表された。(ロイター通信 2008/10/15)アルツハイマー、コメぬかに抑制成分 臨床試験で初確認
米ぬかから抽出された天然のポリフェノールのフェルラ酸に、アルツハイマー病患者の認知機能の低下を抑える効果がある、という臨床試験結果が26日、和歌山市であった国際シンポジウム「コメと疾病予防」で発表された。これまでも各種ポリフェノールやビタミンなどの認知症の改善・予防効果が報告されているが、フェルラ酸の臨床試験で効果が確認されたのは国内で初めてという。
発表したのは中村重信・広島大名誉教授(現・洛和会京都治験・臨床研究支援センター所長)。5月まで続けられた試験には、神奈川県や岡山県などにある8つの認知症の医療機関が参加、アルツハイマー病の通院患者143人とその家族の協力を得て、フェルラ酸入りの健康補助食品(ANM176)を9カ月間投与した。
試験前と試験開始から3カ月ごとに、認知機能検査を行った。症状の変化を得点に換算して調べるやり方で、軽度、中度、重度の3つのグループに分けて調査した。
アルツハイマー病患者の認知機能は通常、時間の経過とともに低下し続けるのに、軽度のグループは試験終了時まで改善の状態が続き、中度のグループも6カ月後まで改善の状態が続いた。重度のグループは3カ月後まで横ばい状態で、その後は低下した。(松本健造)(朝日新聞 2008/10/27)肝臓がん細胞光らせ手術、取り残し防ぐ新手法開発
肝臓がんの手術中にがん細胞だけを光らせる新しい手法を、大阪府立成人病センター(大阪市)が開発し、27日発表した。これまで約5人に1人で起きていた可能性がある小さながんの取り残しが、避けられるという。肝臓がんの手術を受ける患者は年間約5千人いるが、この手法を使えば、早期の再発が防げそうだ。
開発したのは、同センター消化器外科の山田晃正(てるまさ)副部長らのグループ。まず手術2、3日前に、肝機能検査でも広く使われている蛍光試薬(ICG)を患者に注射しておく。手術で開腹して、肝臓を懐中電灯サイズの高感度赤外線カメラで観察すると、がん細胞だけが光ってみえる。
07年2月から08年8月にかけて39人の肝臓がん手術で、この検出法を使った。肝臓の表面付近にある大半のがんは、光ることが確認できた。7人の手術では、手術前の検査では見つかっていなかった5ミリ以下の小さながんも、大きながんの近くに潜んでいるのが見つかり、取り除くことができた。
がんは3ミリ以上の大きさなら検出できるが、光を使うので、現在は深さ2センチまでしか見つけることができない。ICGは一般的な試薬で安全性が高く、赤外線カメラも市販品(460万円)が使え、難しい技術ではないという。
ただし、大腸がんでは光らないほか、肺がんでは、1例しか光っているのが見つかっておらず、ほかのがんへの応用は難しいという。(添田孝史)(朝日新聞 2008/10/28)カフェイン:痛み緩和の効果見つかる 自然科学研究機構
コーヒーの成分のカフェインにヒトの痛みを和らげる効果のあることが、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の久保義弘教授らの研究で分かった。カフェインを使った新しい鎮痛薬の開発につながる可能性がある。米国科学アカデミー紀要(電子版)で今週
発表する。
痛みを感じる代表的なヒトのタンパク質TRPA1に、カフェインを投与すると、通常よりも反応が鈍くなった。さらに、TRPA1に痛みを感じさせるマスタードを投与して刺激させた後、カフェインを投与すると反応が抑えられた。実験で使ったカフェイン濃度は水1リットル当たり2グラム。
カフェインには覚せいや利尿などの作用があるが、久保教授によると「ずきずきする痛みなどを抑える新しい作用が分かった」という。ただ「実験では投与する濃度が高く、ほかの作用も効きすぎてしまうため、薬を開発するには課題も多い」とも説明している。
一方、マウスのTRPA1に同様にカフェインを投与すると、活性化して痛みが増え、ヒトとは正反対の反応を示した。ヒトのTRPA1と構造の一部が違うためで、久保教授は「マウスを使った実験でも、カフェインが痛みに影響を与える新しい作用が分かった」 と注目する。【中村宰和】(毎日新聞 2008/10/28)ブドウに血圧下げる効果、マウス実験で確認=米研究
【シカゴ29日ロイター】米国の研究チームが29日、マウスを使った実験で、ブドウに血圧降下と心機能向上を助ける効果がみられたと明らかにした。
実験は、ミシガン大の心臓保護研究所のミッチェル・セイモア氏のチームがカリフォルニア州のブドウ栽培業者から一部資金援助を受けて実施。結果を学術誌「老年学ジャーナル:生物科学」で発表した。
研究チームでは、この結果が高血圧の人に対する効果の確認にもつながればと期待している。(ロイター通信 2008/10/30)コーヒーに脂肪肝予防効果=飲む量減ると発症しやすく
コーヒーに脂肪肝を抑制する効果があることが、三越総合健診センター(東京都新宿区)の船津和夫所長らの調査で分かった。脂肪肝の人はコーヒーを飲む量が少なく、飲む量が減った人は発症する率が高かった。
調査は同センターで肝機能検査、腹部超音波検査を含む健診を継続的に受けている25〜60歳の男性1612人を対象に実施。健診時に1日当たりコーヒーを飲む量を聞き、1999年から2004年までのデータを分析した。(時事通信 2008/11/04)たんぱく質:老化抑えるたんぱく質、東北大チーム発見
東北大の五十嵐和彦教授らのグループが、がん抑制遺伝子「p53」がつくるたんぱく質が、別のたんぱく質「Bach1(バックワン)」と結合すると、細胞の老化を抑えることを発見した。五十嵐教授は「実用化には時間がかかるが、がんや老化を制御する治療薬の開発につながる可能性がある」としている。
p53は老化の促進と、がん増殖の抑制という表裏一体の機能を持つ。Bach1は細胞に存在し「転写因子」と呼ばれるたんぱく質の1つ。マウス実験で、正常な細胞ではBach1がp53の働きを阻害しているが、Bach1を欠損させたマウスでは細胞老化が進行することを確認した。研究結果は16日付の米科学誌の電子版で発表する。【伊藤絵理子】(毎日新聞 2008/11/17)緑茶エキスでポリープ半減 県開発の錠剤 岐阜大が試験
県が開発した緑茶エキス粒を使った岐阜大学医学部の臨床試験で、大腸ポリープの再発率が半減したことがわかった。県によると、緑茶錠剤を飲む臨床試験でポリープの予防効果が実証されたのは初めて。県は「がんのもとになるポリープ予防の効果が裏付けられた。県内茶業の振興につなげたい」としている。
県などによると、臨床試験は、岐阜大学医学部が岐阜県内の4病院と共同で実施した。大腸ポリープを切除した125人のうち60人に錠剤を3錠(計1.5グラム、6杯分)を毎日飲んでもらい、飲まなかった65人と1年後に再発率を比べた。この間、どちらのグループも1人1日平均6.6杯の緑茶を飲んでいた。
錠剤を飲んでいないグループの再発率が31%だったのに対し、飲んだグループは15%と低かった。再発したポリープの大きさも、錠剤を飲んだグループの方が小さい傾向が出た。ただ、1日に飲む緑茶が3杯以下の場合、錠剤を服用した人でも5人中3人が再発した。岐阜大の清水雅仁助教は「緑茶を10杯分以上飲んだ場合、予防効果が大きいことが分かった。錠剤はサプリメントとして活用できるのでは」と話している。
緑茶エキス粒は、県立がんセンター(伊奈町)と県農林総合研究センター茶業特産研究所(入間市)が1998年から5年かけて開発、緑茶カテキンを損なわずにカフェインを3分の1に低減した。問い合わせは、同研究所(04・2936・1351)へ。(読売新聞 2008/11/18)肺がん:マウスのがん消失 酵素働き抑制、新薬期待──自治医大など
肺がん遺伝子が作る酵素の働きを抑える化合物で、マウスの肺がんを消失させることに、自治医科大などの研究チームが成功した。肺がんの新たな治療薬として期待される。25日、米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。
チームは昨年、肺がん患者から、がん化にかかわる遺伝子「EML4−ALK」を発見。肺がん患者の約5%がこの遺伝子を持っていることが分かっている。この遺伝子が肺がんを起こすことを確かめるため、肺だけで遺伝子が働くようにしたマウスを作ったところ、生後1〜2週間で両肺にがんができた。
この遺伝子が作る酵素の働きを阻害する化合物を作り、肺がんマウス10匹に1日1回経口投与。投与開始から25日ですべてのマウスのがんが消失した。投与しなかった肺がんマウス10匹は、がんが両肺に広がり、9匹が1カ月以内に死んだ。
肺がんの治療薬としては「イレッサ」があるが、副作用がある上、効く患者が限られる。この化合物は別のタイプの肺がんへの効果が期待できるといい、既に複数の製薬会社が治療薬開発に着手している。間野博行・自治医科大教授は「副作用はみられない」と話している。【下桐実雅子】(毎日新聞 2008/11/25)認知症:予防に頭と体の「運動」が効果 老人総合研など長期追跡調査
◇記憶機能2割アップも
有酸素運動と知的活動を続けるとお年寄りの脳機能がアップすることが、東京都世田谷区と都が所管する「老人総合研究所」(板橋区)の共同研究で確認された。認知症予防のため、国内で初めて長期的な追跡研究をしたという。
調査は05〜07年度の3年間、世田谷区内の高齢者134人(平均年齢72歳)を対象に実施した。研究所が用意した予防プログラムを続けてもらった後、脳の認知機能を調べる検査をし、プログラムに参加しなかった高齢者254人と比較した。
プログラムは、認知症の原因とされるたんぱく質を脳内にためないようにすることなどを目的に、1日30分程度有酸素運動のウオーキングを続ける。同時に、パソコンを使ってミニコミ誌を作ったり、自ら料理メニューを考案して調理するなどの知的活動を週1回、続けてもらい、認知症で低下しがちな脳の機能を刺激した。
その結果を3年前と比べたところ、記憶機能はプログラムに参加しなかった高齢者が13%の改善だったのに対し、参加者は22%も良くなった。集中力などの注意機能は、非参加者で3%低下したが、参加者は7%良くなった。言語機能は非参加者の9%に対し参加者は16%、思考機能は同じく0.2%に対して、4%良くなっていた。非参加でも改善するのは、同じ問題を複数回解くからで、参加者の向上が大きかった。
同研究所の矢冨直美主任研究員は「認知症予防には、知的活動と運動を習慣化し、長期間続けることが必要」と分析しており、区は今回のプログラムの内容を冊子にまとめ、地域での認知症予防に役立てる方針だ。【前谷宏】(毎日新聞 2008/11/29)老化:新知識得ないと物忘れが進行 理研チームがマウス実験で解明
新しい知識や経験を得ない単調な生活を続けると、老化による物忘れが進む可能性があることを、理化学研究所のチームがマウスを使った実験で明らかにした。好奇心旺盛な高齢者は認知症になりにくいとされるが、それが裏付けられた形だ。
老化に伴って記憶が失われる物忘れは、「タウたんぱく質」と呼ばれる物質が脳の神経細胞に蓄積することが原因だ。理研脳科学総合研究センターの木村哲也・専門職研究員(神経生物学)らは、タウたんぱく質の蓄積を促す酵素に着目。これを持たないマウスを迷路などに挑戦させ、行動を観察した。
このマウスは、酵素を持たなくても道順を覚えたが、何度も試すうちに忘れてしまった。これらのことから、この酵素は新しいことを覚えるプロセスでは働かないものの、いったん固定した記憶を繰り返し使いながら再固定するのに欠かせないことが分かった。
この酵素が働きすぎるとタウたんぱく質の蓄積が進んでしまうが、新しい記憶を獲得することで酵素の働きを適度に抑えれば、記憶を保ったまま脳の老化を防ぐことができるとチームは見ている。木村さんは「老化がきっかけになるアルツハイマー病の発症も遅らせられるのでは」と話す。米オンライン科学誌「プロス・ワン」に発表した。【西川拓】(毎日新聞 2008/11/30)蛍光物質:生きたがんだけ光らせる 治療効果の確認可能に──日米の研究チーム開発
生きたがん細胞だけを光らせる蛍光物質を、日米の研究チームが開発した。1ミリ以下のがんを見つけられるうえ、がん細胞が死ぬと光が消えるため、治療効果を確認しながら手術や内視鏡治療ができるという。7日付の英科学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した。
開発したのは、浦野泰照・東京大准教授(薬学)、小林久隆・米国立衛生研究所主任研究員ら。生きた細胞内では「リソソーム」という小器官が弱酸性、死んだ細胞では中性になることに着目。乳がん細胞に結びつきやすく、酸性のときだけ光る物質を開発した。
また、マウスの肺に乳がんが転移したという条件を再現したうえで蛍光物質を注射すると、1ミリ以下の肺がんが検出され内視鏡で切除することに成功した。さらに、がんを殺すエタノールをかけたところ、約30分後に光が弱まり、がん細胞の死を確認した。米国で臨床試験の準備に入ったという。
PET(陽電子放射断層撮影)など現在の画像検査では1センチ以下のがんを見つけることや、抗がん剤投与後の効果をすぐに確認することは難しい。浦野准教授は「小さながんを見過ごさず切除できるので誰もが名医になれるだろう」と話す。【西川拓】(毎日新聞 2008/12/08)ガムかむ→脳活性化 脳波測定で証明
ガムをかむことによって脳の働きが活性化することを、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の柿木隆介教授と坂本貴和子研究員が特殊な脳波の測定などで証明した。「大リーガーがプレーに集中するためガムをかむ意味が科学的に裏付けられた」としている。国際臨床神経生理学会誌の電子版に掲載された。
男女11人の被験者に無味無臭のガムをかむ▽あごを動かす(口パク)−など4種類の動作を、それぞれ3回ずつ計15分間にわたって繰り返させた。動作直後の被験者が、耳で聞いた音に反応してボタンを押す速さや脳波の変化を計った。
その結果、ガムをかんだときだけ、音に対する反応速度は上がり続けた。音を感じてから0.3秒程度後に現れる特殊な脳波「P300」の出現も早まり、15分間かんだ後はかんでいないときよりも0.04秒速くなった。
柿木教授は「一流の大リーガーが無意味にガムをかんでいるはずはないと研究を進めた。相手投手の球種を瞬時に判断してバットを振るのにガムが効果的であるという彼らの経験則が正しいことを証明できた」と話した。(中日新聞 2008/12/11)がん患者に漢方薬
しびれ、食欲不振など軽減
がんに伴って起きる全身の倦怠(けんたい)感や食欲不振、不眠などの症状、抗がん剤や放射線治療の副作用など、がん患者の悩みは多い。こうした症状を漢方薬を用いて軽減しようという試みが注目を集めている。(館林牧子)東京都江東区の癌研有明病院。消化器内科部長の星野惠津夫(えつお)さんは、週2回、「漢方サポート外来」で診察をする。
星野さんは消化器がんの治療を専門にする傍ら、若いころから漢方医学を学んできた。「西洋医学はがんを攻撃するのは得意だが、がんに伴って起きる多様な症状は、それだけでは解決しないことが多い。そんな時こそ、漢方の出番」と話す。
疲れやだるさ、食欲不振、病気のストレスによる不眠などのよくある症状に加え、手術後の傷の痛みや抗がん剤による手足のしびれ、胃を切った後の食欲不振など個別の訴えもある。患者の状態と症状の診断から、保険のきく147種類ある漢方のエキス剤のうちから最適なものを選択。個人差があるので、効き具合を見ながら、組み合わせを調整する。
全身症状の改善には、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」のいずれかを処方する。最もよく使うのは十全大補湯で、不眠や不安など精神症状が強ければ補中益気湯、また肺転移や肺炎などによるせきや息苦しさがあれば人参養栄湯を選ぶ。
食道がんが肺などに転移した東京都内の男性は、ひどい息苦しさを訴えて同外来を訪れた。ところが、漢方治療を始め2週間ほどで呼吸が楽になった。5か月後に亡くなったが、その間、家族と2度の海外旅行を楽しむことができた。
漢方でがんそのものが治るという証明はなく、様々な症状にどのようにして効果をもたらしているのか詳しい仕組みはわかっていないが、星野さんは「西洋医学による従来の治療に行き詰まっても、漢方という別の方法があることを、患者に提示できる意義も大きい」と話す。
抗がん剤の副作用で起きる手足のしびれには「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」など、乳がんのホルモン治療や、子宮・卵巣がんの手術で卵巣を取った後に起きるほてりには「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「加味逍遥散(かみしょうようさん)」など、のどや耳下腺がんなどの放射線治療の後遺症で、だえきが出ず、口が渇く症状には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」などを使う。
また、免疫が低下して起きる帯状疱疹(ほうしん)後の神経痛や、夜間の頻尿、腸閉塞(へいそく)や下痢、しゃっくり、冷えなども、漢方薬で改善が期待できる。
漢方薬を使う医療機関は、今年4月から「漢方内科」のように、内科や婦人科などの一般的な診療科名と組み合わせて表示することが可能になり、探しやすくなった。星野さんは「がん専門病院でなくても、同様の診療を受けられる施設もあるので相談してみて欲しい」と話す。(読売新聞 2008/12/12)断食繰り返すと長生き? 京大、線虫で解明
一時的に栄養を与えない“断食状態”を繰り返すと線虫の寿命が延びるメカニズムを、京都大の西田栄介教授らのチームが遺伝子レベルで解明し、15日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
Rhebというタンパク質がインスリンに似た物質を活性化して代謝を変化させ、寿命を制御していた。線虫だけでなく、ラットなど哺乳類も食事を制限すると老化が遅れるが、詳しい仕組みは謎。西田教授は「人の寿命が決まる仕組みや動物の冬眠などにも、同じタンパク質が関係しているかもしれない」と話している。
線虫は土壌などにすむ体長約1ミリの線形動物。遺伝子解析が進んでいるため生命科学研究のモデル生物として利用されている。
チームは、線虫が食べる大腸菌を2日間隔で与えると、毎日食べる線虫と比べ、平均寿命が20日から30日に延びるのを確認した。詳しく調べると、Rhebが働いて老化抑制や代謝調節にかかわる複数の遺伝子のスイッチを入れていた。(共同通信 2008/12/15)ワサビが脳細胞の再生促進 名市大・岡嶋教授ら解明
ワサビの辛み成分が脳の神経細胞の再生を促し、記憶力や学習能力を改善させる。こんな効果を名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授と原田直明准教授が、マウスを使った実験で突き止めた。人の認知症予防につながると期待される。
岡嶋教授らはこれまで、人の胃や腸の知覚神経がトウガラシの辛みや熱さ、痛みの刺激を受けると、全身の細胞の増殖を促進するタンパク質「インスリン様成長因子−1(IGF−1)」が多く作られ、認知機能が改善されることを解明していた。
今回は、ワサビでも同じメカニズムが働くかどうかを調べた。
実験は、ワサビの辛み成分「6MSからし油」をマウスのえさに混ぜ、4週間食べさせた。記憶や学習機能にかかわる脳の海馬でIGF−1の濃度を調べたところ、濃度が2−2.5倍に増加。増殖した海馬の細胞数も、通常の2−3倍に増えていた。
水を張ったプールでマウスを泳がせて浅瀬を見つけるまでの時間を比べ、ワサビを与えたマウスは初日の80秒が、5日目で30秒に短縮。
与えていないマウスは5日目でも60秒かかり、浅瀬の場所を覚える能力の向上が見られた。
一度に大量のワサビを食べると体調を崩すこともあるが、岡嶋教授は「計算では、人間も1日にワサビ12.5グラム(刺し身に添える時の5人分)を食べれば、同程度の効果が出るはず。脳だけでなく全身で細胞の再生が促進され、認知症予防以外にも、血管拡張や骨密度強化など多彩な効能がある」と話している。(中日新聞 2008/12/18)「溶かせない」腎結石が消えた マウス実験で名市大が確認
「一度できたら溶かせない」といわれていた腎結石を、白血球の一種「マクロファージ」が溶解する現象を、名古屋市立大大学院医学研究科腎・泌尿器科の岡田淳志医師(35)、郡健二郎教授(59)らがマウスを使った実験で発見した。米国の医療系雑誌に発表する。治療法の開発につながると期待されている。
腎結石は、血液をろ過した原尿に含まれるカルシウムや尿酸、シュウ酸などが尿細管で固まってできる。
結石の成分の8割はシュウ酸カルシウムだが、溶かす方法がなかった。このため治療は体外からの衝撃波で結石を砕く方法に限られていた。
グループは、マウスに結石ができないことに注目。まずシュウ酸カルシウムの原料となる物質をマウスに投与し、結石をつくらせることに成功した。6日目から結石が減り、15日目には消失する現象を世界で初めて確認した。
マウスの全遺伝子を解析すると、結石の減少時にマクロファージを活性化させる遺伝子群が活発に活動していた。実際、マクロファージはシュウ酸カルシウムの原料物質の投与9日目に5倍に増え、15日目には元に戻った。電子顕微鏡でマクロファージが尿細管から出た結石を捕食し、消化する様子を観察した。
これらの働きは哺乳(ほにゅう)類に共通するとみられ、ベルギーの研究グループが2008年、人とラットの尿細管で結石が消失した現象を確認したが、仕組みは分かっていなかった。
岡田医師は「結石ができやすい人はマクロファージの能力が弱い可能性がある。サポートする薬ができれば、結石を溶解する治療法を生み出せるのでは」と話している。<マクロファージ> 白血球の1つ。アメーバ状の細胞で、生体内に侵入した細菌、ウイルス、死んだ細胞などを捕食し、消化する。大食細胞、貪食(どんしょく)細胞などと呼ばれる。病原体に対する抗体を体内につくるための情報を、リンパ球に送る働きもあり、免疫システムの一部を担っていると注目されている。(中日新聞 2008/12/31)
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