リンゴの皮むき:脳の前頭前野を活性化 食品総研が発見
リンゴの皮をむく動作が、脳の前頭前野を活性化させることを、独立行政法人食品総合研究所(茨城県つくば市)の檀一平太研究員らが見つけた。前頭前野は、人間の理性や想像力、判断力などの高度な働きをつかさどるとされる。危険な刃物を制御しながら、リンゴを動かして上手に皮をむくという複雑な動作が、前頭前野を働かせるらしい。論文は1月中旬発行の米の専門誌「ニューロイメージ」電子版に掲載される。
実験は、リモコンなどにも使われる近赤外線を頭皮ごしに脳に当て、血流量の変化を測る「近赤外分光分析法」を使った。成人男女14人(23〜52歳)にリンゴの皮をナイフでむいてもらい、血流の変化を調べた。
その結果、むいている間は、前頭前野の血流が目だって増えた。表面をナイフでなでる(むくまね)だけの時よりも、実際にむいている方が活発だった。
前頭前野は、額の裏側にあり、理性や記憶、計算など、高レベルな活動をつかさどる。痴呆症患者や「キレる」子どもの行動分析との関連が指摘され、研究が盛んだ。
研究グループは実験結果から、「危険な刃物を上手に動かす」「リンゴを微妙に動かしながら皮をむく」という複数の動作を同時進行させることが、前頭前野のワーキングメモリー(一時記憶)を活発化させていると分析した。
檀さんは「リンゴの皮むきで頭がよくなる、と即断はできないが、脳をより多く使うには、初めから皮をむいた野菜や果物を買うより自分でむいた方がいいし、おかずを買うより作った方が効果的だ」と話す。【元村有希子】(毎日新聞 2004/01/02)免疫療法でがん再発・転移を防止 リンパ球を活性化 東淀川区の医誠会病院
術後患者10人中3人に効果
元気なリンパ球でがんを撃退──。大阪市東淀川区の医誠会病院で、患者のリンパ球を活性化し、がん手術後などの再発、転移を防止する免疫療法が実用化された。臨床例では患者3人に3〜7年の延命効果があったという。
リンパ球に患者のがん細胞を混ぜて培養し、活性化させると、そのがん細胞だけを攻撃するキラー細胞が生まれる。この細胞は特に、がんの除去手術後に残存するがん細胞に対して効果が高い。手術後の患者からリンパ球を取り出し、2週間ほど培養。1週間に1回の投与を4回行う。手術後に限らず抗がん剤などと併用する場合もある。
健康保険の適用外で1回約20万円と割高だが、副作用がほとんどない免疫療法として期待されている。
担当の武田力・副院長は「リンパ球に問題があって活性化しないケースもあり、臨床例10人のうち7人には効果がなかった。しかし、手術でがんを取り切れない多発性肝臓がんの臨床例で、元気なリンパ球を投与した45歳男性のがん細胞が完全に消えて7年間も存命。抗がん剤が無効だった74歳の卵巣がんの肺転移も消失した」と説明している。(毎日新聞 2004/01/05)がん細胞が“自殺”する 名古屋市立大教授ら新治療法発見
風邪薬成分など活用
細胞が“自殺”しようとする性質を利用して、がんを死滅させたり予防する薬剤による治療法を、名古屋市立大・分子医学研究所の岡本尚教授らのグループが確立した。骨髄移植で適合するドナー探しが難問となっている白血病をはじめ、骨髄腫や大腸がん、前立腺がんなどの治療に新たな道を開くと期待されている。
一般的に細胞は、分裂などで増殖しようとする働きとともに、死のうとする働き(アポトーシス)と、2つの相反する性質を持ち、健康な生命体はその均衡を保ちながら成長する。しかし、細胞ががんになる過程では、死のうとする働きを抑える機能が新たに加わり、均衡が崩れてがん細胞が異常増殖する。
岡本教授らはこれを逆手に取って、がん細胞自身のアポトーシスを促進できれば、がんが勝手に減少・死滅すると考え、そのメカニズムの解明を進めてきた。
研究では、がん増殖にかかわる主要なタンパク質の1つ「NFκB」(エヌエフカッパビー)に注目。転移や増殖、アポトーシス抑制など、がんの“悪行”が「NFκB」と特定のタンパク質の組み合わせで引き起こされていることを突き止めた。
さらに、この組み合わせを阻害し、がん細胞の中のアポトーシスを促す薬効が、風邪薬に含まれるイブプロフェンや、リウマチに効くアセチルサリチル酸、健康食品に含まれるビタミンEといった抗酸化化合物など約50種類にあることも確認した。
こうした治療法は「NFκB」と関係があるがん以外に対する効果は未知数。
だが、風邪薬などの成分ががん治療に道を開く可能性を見いだしたことに、岡本教授は「新薬開発だけでなく、従来ある薬品の効用を見直し、本来の適応以外で役立てる作業も今後進めたい」と話している。がん以外にも有望
産業医大・河野公俊教授(分子腫瘍学)の話 今回の研究は特定の病態で一緒に働く特定のタンパク質との組み合わせを調べ、その結合を治療の標的とする独創的な研究で、副作用の少ない分子標的治療を目指している。NFκBは、白血病やがんだけでなくリウマチなどの難治性の炎症性疾患で悪さをするので、これらの予防と治療に大変有望だ。(中日新聞 2004/01/06)
養殖サケの体内に高濃度の化学汚染物質
ヘルスデーによると、科学誌「Science」1月9日号に掲載された最大規模の研究で、ニューヨーク州立大学健康・環境研究所所長のDavid O. Carpenter氏らが2トンを上回る世界中の養殖または野生のサケを調べた結果、養殖サケの体内に極めて高濃度のポリ塩化ビフェニール(PCB)および多量の塩素系農薬が確認された。
PCBは残留性有機汚染物質に関する国連協定のもとで廃止される12種の化学汚染物質の1つで、癌との関連性および胎児の脳の発達を阻害するという理由で、米国では1970年代後半以降使用が禁止されている。
高いPCB濃度は餌の魚粉および魚油に起因し、米国食品医薬品局(FDA)が危険視する濃度と比べればはるかに低いものの、米国環境庁の基準では危険とされ、癌リスクが劇的に上昇する恐れがあるという。(日本経済新聞/HealthDayNews 2004/01/08)「記憶力の低下は60代から」
「人間の記憶力低下は、これまで知られてきた“40代”ではなく、“60代”から始まる」。
高麗(コリョ)大九老(クロ)病院精神科のイ・ヒョンス教授は最近、全北(チョンブック)大で開かれた韓国実験心理学会で、記憶力は20代前半から50代後半まではよく維持され、60代に入ってから本格的に減退する、と発表した。
李教授は最近、男女成人およそ400人を対象に年齢別記憶力を調べた結果、こうした結果が得られたと説明した。 40代から記憶力が低下するというのは一時的な健忘症のためであり、何かを新しく覚える記憶力自体はほぼ正常に保存されるということだ。
調査の結果、記憶力の減退は学歴が低いほど高く表れた。 大卒以上60代の高齢者は高卒40代の中年に比べて記憶力が高かった。 学習などで脳に刺激を与え続けることが、記憶力の維持に役立つことが立証された。洪慧杰(ホン・ヒェゴル)記者(中央日報 2004/01/11)抗酸化物質がたっぷりのココア
赤ワインやお茶より、ココア(ホットチョコレート)に抗酸化物質が多いと韓国の研究者が報告した。ソウル大学の食品化学者、キ・ウオン・リー博士の研究チームが、雑誌「農業と食品化学」(Journal of Agricultural and Food Chemistry)最新号で発表した。
研究では、ココア、紅茶、緑茶、レッドワインを化学分析して、含まれている抗酸化物質(フェノールとフラボノイド)を比較した。
その結果、抗酸化物質が断然多いのはココアで、レッドワインの2.2倍、緑茶の5.5倍、紅茶の7.4倍だった。「この結果から、抗酸化作用と言う観点から、健康のために最もいいのはココアであることがわかった」と研究者たちは述べている。(日経ヘルス 2004/01/15)腎がん治療:インターフェロン作る遺伝子注射 がん細胞死滅
京都府立医大の三木恒治教授(泌尿器機能再生外科学)らの研究グループが、インターフェロンを作る遺伝子を腎がんの組織に注射すると、がん細胞が自ら死滅することを実験で確かめた。実際に患者に投与する臨床研究計画を15日、学内の審査委員会に申請した。腎がんは進行すると治療が難しいとされており、身体負担が少なく、効果が期待できる新治療法として注目される。
臨床計画では、患者の腎がんや転移したがんの部位に週2回、計6回注射し、効果を確かめる。【野上哲】(毎日新聞 2004/01/16)塩分で胃がんの危険倍増 厚労省研究班が調査で確認
塩分の多い食事を取る男性は塩分控えめの食生活を送る男性の約2倍も胃がんになりやすい―。厚生労働省研究班(班長・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)がこんな研究結果をまとめ、英国のがん専門誌に発表した。
生活習慣とがんの関連を調べるため、40―59歳の男女約4万人を11年間追跡して分かった。塩分摂取量が多いと胃がんになりやすいという関係はこれまでも指摘されていたが、大規模調査でこれを確認した。
研究班は塩分摂取量に応じ5グループに分けて分析。男性では摂取量最多グループは最少グループの約3倍の1日平均9.9グラムを摂取。両グループを比べると摂取量最多グループは2.2倍も胃がんになりやすかった。
女性は胃がんになった人が少なく、こうした細かなグループ分けでは明確な差がなかった。そこでタラコや塩辛など塩分の多い海産物加工食品の摂取頻度で分析すると、これらの食品を毎日食べる人はほとんど食べない人に比べ男女とも3倍ほど胃がんになりやすいことが分かった。
津金部長は「胃がん予防には高塩分濃度の食品を控えることが重要。高血圧や脳卒中、心筋梗塞(こうそく)の予防にもなるので薄味に慣れた方がいい」と話している。(共同通信 2004/01/17)交通騒音は高血圧と心臓病を招く=スウェーデンの調査
【ストックホルム16日】騒音の激しい幹線道路の近くに住んでいる人は、静かな環境の人よりも、高血圧や心臓発作に見舞われやすい、とする調査報告書がスウェーデンで発表された。カロリンスカ研究所とストックホルム州議会が16日に発表した報告書によると、騒音が難聴や不眠を招くことはよく知られているが、このほかにもストレスの原因になり、心臓病のリスクを高めることが判明した。
この調査チームの1人で、ストックホルムの医師のブルーム氏はスウェーデン放送で、幹線道路の周辺に住む人が高血圧になる例は静かな地域の人に比べてはるかに多いと指摘した。
さらに、交通騒音の影響はこれまで考えられてきたよりも深刻で、大きな健康問題となっていると指摘。「今までは、これほど影響があると誰も考えていなかった。不快感や不眠の原因とされ、はた迷惑だと思われてきたが、このような深刻な悪影響があるとは誰も知らなかった。こうしたことが言われ出したのは、ほんの最近のことだ」と警鐘を鳴らした。その上で、人口密集地域の計画などに当たっては健康問題も考慮に入れる必要があると訴えた。〔AFP=時事〕(時事通信 2004/01/17)サカナを食べると―死亡リスク減 滋賀医大など長期調査
2日に1回以上と魚をよく食べる男の人は、食べるのが週1回未満と少ない人に比べて死亡の危険度が3割前後減っていることが、全国の約9000人を19年間追跡した調査で明らかになった。魚が多く含む成分は健康に良い働きがあるとされるが、大規模な比較調査で魚と長寿との関係が分かってきた。山形市で開かれる日本疫学会で22日に発表される。
滋賀医科大の中村保幸助教授(循環器内科)らが80年に旧厚生省が実施した国民栄養調査の対象者約1万人(30〜64歳)について、99年まで追跡調査した。開始時に心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞だった人などを除く9252人(男4070人、女5182人)のうち、この間に死亡したのは1835人(男995人、女840人)だった。
結果を集計すると、男性では、魚を食べるのが「週1回未満」の人が死亡する危険度を1とすると、「2日に1回」は0.7、「1日1回」は0.75、「日に2回以上」は0.67と、頻繁に食べる人では低かった。さらに、心筋梗塞と脳梗塞で死亡する危険度も、魚をよく食べる方が低い傾向がみられた。
女性では有意な差はみられなかったが、この間の死亡率が男性より低いためではないかという。
魚はドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)といった不飽和脂肪酸を多く含み、これらには動脈硬化を防ぐ働きがあるとされる。
中村さんは「同様の調査は海外ではいくつかあるが、今回の結果で、魚をよく食べることが、日本人の長寿の理由の1つであることがはっきりした」と言う。(朝日新聞 2004/01/19)ピロリ菌除菌で胃ガンの発生が抑えられた──中国
抗生物質を与えて胃のピロリ菌を除菌することで胃ガンの発生が抑えられたという中国での研究結果がこのほど、「米国医師会雑誌(JAMA)」で発表された。
対象になったのは、中国福建省に住む1630人の男女。被験者全員が、胃潰瘍の原因とされているヘリコバクター・ピロリ菌を持っていた。その中には、前ガン状態と考えられる胃粘膜の変化があった人もいた。
被験者全員をランダムに2つのグループに分け、第1のグループには、抗生物質を2週間与え、第2のグループには偽薬を与えた。こうしておいて、7年半にわたって経過を観察した。その結果、最初に前ガン状態でなかった被験者988人のうち、抗生物質を与えられたグループでは胃ガンが全く発生していなかった。これに対して、偽薬を与えられたグループでは、6人に胃ガンが見つかった。
抗生物質によるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌が胃ガン発症に有効だとわかった。(日経ヘルス 2004/01/21)ジャグリングで脳が発達? 独研究チーム発表
ロンドン(ロイター)お手玉のようにいくつものボールや棒を操る「ジャグリング」は、サーカスやパーティーで人気のパフォーマンス。これをマスターすると、脳の特定の部分が発達するとの研究結果を、ドイツの研究チームがこのほど発表した。
独レーゲンスブルク大のチームが英科学誌「ネイチャー」で報告したところによると、初心者に3カ月間ジャグリングを習わせ、前後の脳のスキャン画像を比較した結果、視覚情報を処理したり保存したりする部分の「灰白質」と呼ばれる層が増え、発達したことが分かった。また、ジャグリングの練習をやめて3カ月後に脳を調べたところ、発達は止まっていたという。
人間の脳の発達は青年期までに完了するとされ、成人後にこうした変化がみられることは珍しい。チームでは「中枢神経についての従来の考え方を改める必要があるかもしれない」として、研究結果を医療などに活用する道を探っている。(CNN 2004/01/23)キレるネズミ「誕生」 独協医大教授ら、脳内分泌を調整
独協医科大学の上田秀一教授(解剖学)らが、キレやすいネズミを人工的につくり出すことに成功した。脳内にある3つの伝達物質の分泌が一定の条件になった時に攻撃性や衝動性が顕著にあらわれた。24日、東京都内で開かれるシンポジウムで発表する。
3物質は興奮や緊張に関係するとされるドーパミン、ノルアドレナリンと、行動抑制に働くとされるセロトニン。上田教授らはこれらの脳内での分泌を薬などで調節。それぞれの分泌が通常より多いか、少ないかで計8通りの状態のネズミをつくり、各群で攻撃性が増すかどうかを観察、記録した。
攻撃性が顕著に高まったのは、ドーパミンの分泌が増し、ほかの2つを減らした場合。この状態のネズミは、別のネズミとの間の仕切りを取った途端に相手にとびかかった。通常ならまずにおいをかいだり、威嚇したりする初期行動は全くとらず、相手が服従の姿勢をとった後も威嚇の声を出し続けるなど、激しい攻撃行動や衝動的な行動を見せた。
通常は社会的行動の1%しかない攻撃的な行動が、このグループでは60%にもなっていた。
上田教授は「キレやすい人間の脳の中でも似たようなことが起こっているのではないか。興奮にかかわるノルアドレナリンが減った場合に攻撃性が高まっており、この物質はもっと複雑な働きをしていることを示している」と話している。(朝日新聞 2004/01/23)大量のビタミン摂取でアルツハイマー予防? 米研究
シカゴ(ロイター)高齢者がビタミンCとビタミンEを毎日大量に摂取すると、アルツハイマー病にかかる危険性が小さくなるとの研究結果を、米ジョンズホプキンス大のチームがこのほど発表した。両ビタミンのサプリメント(栄養補助食品)を常用しているグループは、発症率が8割近く低下するとのデータが得られたという。
同大のピーター・ザンディ氏らは、65歳以上の高齢者4740人を対象に、95年から5年間にわたる追跡調査を実施。神経学専門誌「アーカイブズ・オブ・ニューロロジー」に成果を発表した。
それによると、調査の前半では対象者のうち200人がアルツハイマー病と診断されたが、サプリメントでビタミンCとEを摂取していたグループでは、非摂取グループに比べ、発症率が78%も低かった。調査期間が終了するまでにさらに104人がアルツハイマー病にかかり、最終的に摂取グループは発症の危険性が64%低いとの結果が出たという。
ビタミンCのサプリメントは通常、1日分の含有量が500−1000ミリグラム。米政府が推奨する1日の標準摂取量は75−90ミリグラムだ。またビタミンEの標準摂取量は22IUとされるが、サプリメントでは1日に最高1000IUまで摂取できる。複数のビタミンを少量ずつ含むサプリメントを利用したグループや、ビタミンC、Eのどちらか一方のみ摂取したグループでは、発症率に差がみられなかったという。
チームによれば、ビタミンは大量に摂取してもほとんど害がなく、アルツハイマー予防への活用が期待される。ザンディ氏は研究について「非常に興味深い結果が出た」と述べる一方、「これはあくまで観察調査による統計。本格的な実験はこれからだ」と話している。(CNN 2004/01/26)コーヒーで糖尿病予防!?…米チーム調査
カフェイン入りのコーヒーを1日に6杯以上飲むと糖尿病になりにくい──こんな研究結果を、米ハーバード大などの研究チームが、12万5000人以上を対象に12―18年間にわたり追跡した大規模調査で明らかにした。
研究チームが調べたのは、食べ過ぎや運動不足などが原因で発病する「2型」の糖尿病。調査によると、1日にコーヒーを6杯以上飲む人は、コーヒーを飲まない人に比べ、糖尿病になる確率が男性で半減し、女性では約30%減った。
カフェイン抜きのコーヒーでも効果があったが、カフェイン入りのレギュラーコーヒーの方が効果が大きかったという。
コーヒーには、コーヒーのにおい物質「クロロゲン酸」などの抗酸化物質や、マグネシウムが豊富に含まれている。研究チームは、こうした物質が血糖値を下げるインスリンの“切れ味”を高め、糖尿病になりにくくしているとみている。
調査したのが砂糖入りのコーヒーかどうかは明らかにされていないが、砂糖を多量に入れたコーヒーをがぶ飲みしたのでは逆効果の恐れもありそうだ。(読売新聞 2004/01/27)かんきつ類“新姫”がアトピーに効果 熊野市が特産化に意欲
【三重県】熊野市新鹿町で見つかり、市が種苗登録をしたかんきつ類新姫(にいひめ)に、アトピー性皮膚炎を抑えるのに効果があるヘスペリジンが、多く含まれることが、御浜町の県紀南果樹研究室の研究で分かった。市は新姫を増やし、特産化を図りたい考えだ。
新姫は、タチバナと温州ミカンの交雑種とみられ、実は直径3センチ前後。緑色をしたタチバナやユズとは異なり、赤みを帯びた黄色をしている。市は1997年に種苗登録をした。
ヘスペリジンはがん予防や血糖値降下などに効果が認められるフラボノイドの仲間で、抗がん作用で人気の沖縄産シークワシャの約1.5倍の含有量だった。フラボノイドの一種で、抗がん作用があるノビレチンもシークワシャの約1.5倍あった。
特産化するには、栽培を増やすことが課題だが、まだ幼木が30本ほどしかないことと1個が約25グラムと小さく収穫に労力を要することが難点。現時点では焼き魚に果汁をかけたり、焼酎のお湯割りに薄切りを入れたり、鉢植えにして観賞したりする利用が考えられるという。(中日新聞 2004/01/30)アルツハイマー:脳内細胞に原因物質の除去機能
アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質ベータアミロイドを取り除く働きが、脳内のミクログリアという細胞にあることが分かったと、東京都医学研究機構精神医学総合研究所の秋山治彦副参事研究員らが2日発行の米医学誌「ネイチャー・メディスン」2月号に発表した。ミクログリアの活性化をコントロールできれば、ベータアミロイドが沈着しても除去する新たな治療法につながる可能性がある。
アルツハイマー病は、大脳にベータアミロイドが沈着し、その結果、神経細胞が次第に死滅することで引き起こされる。脳への沈着は、痴呆が表れる数年前、早い人では40歳代から始まると言われている。
研究グループは、アルツハイマー病の比較的早期段階で肺炎を起こして死亡した患者の脳を観察し、周囲に比べ、ベータアミロイドが蓄積していない部分があることを発見。詳しく分析したところ、患者が軽い脳こうそくを起こしたが、わずかに血液の流れが維持されたため、脳組織が生き延びていたことが分かった。
この部分だけが脳内で異物や老廃物、死滅した細胞などを取り除いて分解するミクログリアの働きが活発になっていた。研究グループは「軽い脳こうそくで一部の神経細胞が死んだり弱ったりしたためミクログリアが活性化し、沈着していたベータアミロイドを分解した」と結論付けた。
秋山研究員は「ミクログリアは、活性化し過ぎると正常な神経細胞を壊してしまう恐れがあるが、うまく制御できれば、いったん沈着したベータアミロイドを除去できる可能性がある」と話している。【足立旬子】(毎日新聞 2004/02/02)大腸がん予防は節酒と禁煙
大腸がんになるリスクは、飲酒量の多い男性や喫煙者で高くなることが、厚生労働省研究班の調査で分かり、米国がん学会の疫学専門誌に発表した。
40−69歳の男女9万人を7−10年間追跡した調査を分析した結果、1日に日本酒換算で2合以上のアルコールを飲む男性の発症リスクは、飲まない人の2.1倍。女性では差が出なかった。喫煙者のリスクは男女ともに、非喫煙者の1.4倍。
2合以上の酒を飲み、たばこを吸う人の大腸がん発症率は、両方ともしない人の3倍。もし、1日2合以上の飲酒やたばこがなければ、大腸がんの46%は予防できる計算だという。
班長で国立がんセンターの津金昌一郎予防研究部長は「大腸がん予防には、節酒と禁煙が大事だと思う」と話している。(共同通信 2004/02/03)名大発の新がん治療法 実用化に向け会社設立
酸化鉄の微粒子が、がん細胞だけを加熱して退治する夢のがん治療法として、名古屋大大学院工学研究科の小林猛教授らが開発した「温熱免疫療法」が実用化に向けて動き始めた。研究の協力企業が名古屋市西区に事業化を目指して新会社「ナノセラピー研究所」を設立。関係者は「1年半後には臨床試験(治験)を始め、2010年の実用化を目指したい」と意気込む。
この温熱免疫療法は、10ナノメートル(10万分の1ミリ)という極小の酸化鉄の球を脂質膜で包んだ「イオン性磁性微粒子」をがん組織に直接注射する。「交番磁界」と呼ばれる特殊な磁場を患部に当てると、微粒子だけが加熱され、熱に弱いがん細胞を殺す仕組みだ。
従来の温熱療法は、他の細胞や組織も一緒に加熱してしまうため、温度を上げることができず、効果も低かった。この免疫療法は、磁気共鳴画像装置(MRI)の造影剤などに使われている安全な酸化鉄を使って、がん組織だけを効果的に退治できる夢の治療法として注目を集めている。
小林教授らはこれまで、マウスやラットを使った実験で効果や安全性を確認。それだけでなく、ラットの体の両側に腫瘍(しゅよう)を移植し、左側だけに微粒子を注射して磁場を1日1回30分ずつ、3日間当てたところ、約30日後には右側の腫瘍も消失。組織内でがんに有効な免疫活性が高まっていることを確認した。
このため、研究に協力してきた、がん治療薬などを製剤する日本化薬(東京都千代田区)や第一高周波工業(同中央区)などが共同で新会社を設立。実用的な製剤や装置の開発に取り組む。同研究所の森野富夫社長によれば、最短で1年半後には臨床試験をスタートさせ、2010年の実用化を目指すスケジュールを立てている。「加熱という単純な方法に加え、転移がんへの治療に応用できる可能性も秘めた画期的な治療法。名大発の新療法として1日も早く事業化させ、国際展開も考えたい」と語る。
名古屋大大学院工学研究科などは10日、温熱免疫療法をテーマにしたシンポジウムを名古屋市千種区の名古屋大シンポジオンホールで開く。小林教授や愛知県がんセンター研究所長の高橋利忠氏らが講演する。入場無料。問い合わせは同研究科の本多助教授=電052(789)3215=へ。(中日新聞 2004/02/04)「ヘルメット」で低温療法=脳梗塞の効果実証−国立循環器病センター
国立循環器病センター(大阪府吹田市)は5日までに、脳梗塞(こうそく)を起こし倒れた患者らの脳低温療法で、ヘルメット型の器具を用いて頭と首だけを冷やす新しい治療法の有効性を実証した。従来の体全体を冷やす方法より簡便で、成果は米国で開かれた学会で発表された。
脳低温療法は、損傷した脳を冷やすことで、脳の腫れを抑え、周囲の正常な部分への影響を防ぐ治療法。
同センターは脳梗塞になって3〜12時間の患者17人に、ヘルメット型器具による治療を実施。脳の腫れを防ぐ点滴などとともに3日から1週間冷やした結果、約1カ月で半数以上の患者の運動機能などが改善し、長期的には全員が回復を見せたという。
脳だけでなく体全体を冷やす方法は、全身麻酔をするため、呼吸や血圧の管理も必要だった。新治療法では全身麻酔の必要はない。
同センターは「全身を冷やす方が効果的だが、この方法は集中治療室(ICU)のない一般病院にも普及可能」と話している。(時事通信 2004/02/06)参照:ヘルメット型冷却装置で脳卒中を治療(WIRED NEWS) 母体の水銀が子の脳に影響 魚多食地域のフェロー諸島
【ワシントン7日共同】米ハーバード大や秋田大などの国際研究グループの調査で、体内のメチル水銀濃度が高い母親から生まれた子供には、脳機能の一部に異常が生じることが分かったとハーバード大が6日、発表した。
鯨肉や魚の消費量が多いデンマーク・フェロー諸島を対象にした調査で明らかになった。同諸島では十数年前、水銀レベルの高い魚や鯨肉の多食などが原因で、住民の水銀汚染が進んでいることが問題化したが、この影響が次世代まで引き継がれることが示された。
水銀レベルの高い魚を妊婦が食べることの影響が近年、議論になっており、日本でも詳しい調査が必要になりそうだ。
ハーバード大のフィリップ・グランジェン博士は「魚を多食する地域では、汚染レベルの低い物を選ぶべきだ」としている。(共同通信 2004/02/07)ヤコブ病に有効治療法 血栓予防薬で症状改善
東北大、英患者で
牛海綿状脳症(BSE)の感染などで起こるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の患者の脳内に血栓予防薬を投与して症状を改善する治療に、堂浦克美東北大教授らのグループが成功した。
英国の男性患者(19)に実施したところ、植物状態に近かったのに1年後には、簡単な指示に応じたり単語をしゃべったりするまでに回復。国内でも、同治療を実施するための態勢づくりが始まった。
ヤコブ病は、痴ほう症状が急速に進んで死に至る難病。有効な治療法は、これまでなかった。
堂浦教授は「最適な投与量を見つけるなど課題は残っているが、動物実験の結果から、早い段階で投与すれば効果はもっと期待できる」と話している。
同教授らは、マウスを使った実験で、血栓予防薬のペントサン・ポリサルフェイト(PS)を脳内に投与すると、ヤコブ病の原因になるタンパク質、プリオンの増殖を抑えられることを確認した。
患者は、BSEの感染が原因とされる変異型ヤコブ病。発症後1年4カ月たっていたが、体内に埋め込んだポンプから管を通して脳室内に1日660ミリグラムのPSを投与したところ、徐々に症状が改善した。
PSでは、今のところ副作用はないという。国内では福岡大がPSによる治療を検討している。治療に直結しそう
金子清俊国立精神・神経センター神経研究所部長の話 ヤコブ病患者の痴ほう症状の進行を抑える効果がある程度確認されており、治療に直結する可能性のある有望な結果だ。動物実験ではこれまで試されたどの薬よりも、異常プリオンの増殖を抑えることも分かっている。今後は副作用の有無を見守る必要がある。
<クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)> 脳に異常プリオンというタンパク質が蓄積することで、脳がスポンジ状に萎縮して痴ほう症を起こし、死亡する。約100万人に1人の割合で発生する孤発性、汚染硬膜の移植による薬害ヤコブ病などの医原性、牛海綿状脳症(BSE)感染による変異型などがある。国内の患者は2002年度末で約250人。世界では変異型だけで累計155人の患者が発生している。(中日新聞 2004/02/07)
放射線診断での被曝でがん発症、日本トップ 英大学研究
医療機関での放射線診断による被曝(ひばく)が原因の発がんは日本が最高で、年間の全がん発症者の3.2%を占める──英オックスフォード大が国際比較研究でそんな推定値を出した。15カ国を対象に調査した。この研究成果は英医学誌ランセットに載った。
研究は各国のX線、コンピューター断層撮影(CT)などの放射線診断の頻度や、それによる被曝量などから、75歳までの発がん者を推定した。その上ですべての発がん者数の中での割合を算出した。
それによると、15カ国の平均は1.2%で、日本は3.2%と飛び抜けて高かった。日本に次いで高いのはクロアチアの1.8%。ほかはいずれも日本の半分以下で、米国は0.9%。英国とポーランドは0.6%と最も低かった。
また、1000人あたりの年間X線検査数は、日本は1477回で15カ国平均の1.8倍と最も多い。この検査での被曝によってがんになった例は年間7587例と推定した。
この研究に対し、ミュンヘン大の研究者らは「診断によるがんの早期発見のメリットを正しく評価していない」と指摘する。
〈日本放射線腫瘍(しゅよう)学会理事の晴山雅人・札幌医科大教授(放射線医学)の話〉 日本はCTなど人口あたりの放射線診断機器数が欧米に比べ多い。胃の検診でのバリウムX線検査も欧米では一般的でないが、日本では胃がんが多いため実施されている。これらの影響で日本人の医療被曝量は多いと、以前から言われていた。診断での被曝は患者にメリットがないといけない。その見極めが日本は甘いのではないか。不必要な診断はしないよう努めるべきだ。(朝日新聞 2004/02/10)副作用少ないがん治療『免疫細胞療法』 日本で開発
韓国医院、臨床応用へ
江川滉二名誉教授が東大医科学研究所などでコツコツと研究してきた副作用がほとんどないがん治療「免疫細胞療法」がこのほど、国境を超えて韓国で臨床応用されることになった。技術を導入するソウルのイノメディクリニックのチョン・テジュン院長は「抗がん剤の副作用は韓国でも大問題で、医師らはよりよい治療法を探している。宣伝もしていないのに、口コミで多くの予約が入っている」と、期待の大きさを語った。(引野 肇)この療法は、患者から採取した15ccの血液からリンパ球を分離、インターロイキン2などを加えて2週間でリンパ球のT細胞を1000倍に増殖、それを点滴で患者の体内に戻す。免疫力を高め、がん細胞を攻撃する治療法だ。
自分のリンパ球を注入するだけなので、副作用はほとんどない。患者のがん細胞を使って、リンパ球にがん細胞を特異的に認識させる方法もある。
マウス相手の研究者だった江川名誉教授が、最初に免役細胞療法を人に応用したのは、前立腺がん末期だった実の兄。がんが消失することはなかったが、亡くなる直前まで元気だった。
自信を得た江川名誉教授は1999年、東京に「瀬田クリニック」を開設。その後、ベンチャー企業「メディネット」(木村佳司社長)の支援を受け、リンパ球の大量培養施設を全国4カ所に設けるなどして、これまで2500人を治療。大半が末期がん患者にもかかわらず、長期にわたってがんの進行が止まったケースを含め、約3割で治療効果があったという。
イノメディックリニックは、市内の新しいビルの2階と3階にある。広さ180平方メートルの細胞培養施設を持ち、年間700人の治療が可能だ。細胞培養などには安全性、信頼性にかかわるノウハウが多く、その技術はメディネット社が提供した。
チョン院長は、漢陽大学がんセンターの元センター長で、米国での研究歴も長い。「当面、患者は末期がん患者ばかりだが、手術後のがん再発防止などにも広めていきたい。さらに、日本との共同研究を進め、免疫細胞療法をよくしていきたい」と語った。(中日新聞 2004/02/10)梅で動脈硬化を抑制 効能研究で中間報告
南部川村 産官学グループ
南部川村と大学の研究者ら産官学共同グループが2000年度に着手した梅の医学的効能の研究で、これまでの成果を報告する第3回講演会が8日、南部川村保健福祉センターで開かれた。生活習慣病に的を絞り、梅を食べていることとの関連を研究しているもので、糖尿病や動脈硬化に効果があることを実証する中間報告があった。村とグループは、10月までにあらためて研究を総括する報告会をしたい考えだ。
古来、梅に伝わる制菌・解毒・整腸の3作用を医学的見知から解明しようと、村と和歌山県立医科大学の宇都宮洋才講師を中心とした研究者らが、産官学共同で研究に着手し、講演会を開いて成果を公開している。10月に南部町との合併を控えているため、講演会は今回が最終回となった。
この日は宇都宮氏のほか横浜市立大学医学部の山川正教授、藤田保健衛生大学医学部の稲田健一助教授、県立医大の一瀬雅夫教授、同柳岡公彦助手、東海大学医学部の竹腰進講師、近畿大学理工学部の宮澤三雄教授の7氏が報告した。
山川氏は高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が動脈硬化を、さらには狭心症や心筋梗塞(こうそく)、脳卒中を引き起こすと指摘。心疾患と脳血管疾患の合計が死亡率トップのがんと同等以上となるため、生活習慣病を減らすことが死亡率を減らすことになると説明した。
そのうえで、他の研究者との共同研究で、動脈硬化につながる血管平滑筋の増殖を、梅エキスで抑制できることが実験的に分かったほか、血糖値を抑えることもできたと述べた。
共同研究は村うめ課とうめ21研究センター、県立医科大学、愛知県がんセンター、麻布大学、東海大学でスタートしたが、現在では藤田保健衛生大学、近畿大学、横浜市立大学、テンプル大学、山東大学、和歌山信愛短大も参加している。(紀伊民報 2004/02/10)肺がんワクチンに効果、3年再発しない患者も 米チーム
肺がんワクチンの臨床試験で効果が見られたと、米ベイラー大(テキサス州)のチームが米専門誌JNCI18日号に発表した。がんが消えたまま3年が経過した進行患者もいる。準備が整いしだい食品医薬品局(FDA)に申請し、3年以内の認可を目指す。
このワクチンは、患者自身のがん細胞に免疫刺激因子(GM・CSF)の遺伝子を組み込んだもの。患者自身の免疫系ががん細胞を認識し、がん細胞だけを効果的に攻撃するのを助ける。
肺がんの8割以上を占める非小細胞肺がんの進行患者33人と早期患者10人について、それぞれ各自のがん細胞からワクチンをつくって注射。進行患者のうち3人は病巣が完全に消え、3年たっても再発していない。残りの進行患者も、半年〜2年にわたって安定した状態を保ったという。
早期患者には目立った効果がなかったものの、手の施しようがない進行患者に効果があったことが注目されている。(朝日新聞 2004/02/20)抗生物質使うと乳がん危険度高く
抗生物質の使用頻度が高い女性は、そうでない人に比べ乳がんになる危険度が最大で2倍以上になることが、米ワシントン大などの研究でわかり、米国医師会誌で報告した。
1993―2001年に、ワシントン州西部地区で行われた住民健診のデータを調べ、乳がんになった2266人と、がんではなかった7953人を比較、分析した。
抗生物質をまったく使用していない女性に比べ、1―50日使っている女性が乳がんになる危険度は1.45倍、500―1000日の使用では2.14倍だった。使用日数に比例して危険度は高かった。感染症治療などのため処方されていたが、実際にどれくらいの量を使用したかは不明。
研究チームは、抗生物質の使用と乳がんとの因果関係は、この研究だけでは断定できないとしている。一方で、抗生物質によって〈1〉腸内細菌が悪影響を受け、体に害のある物質を体内でうまく処理できなくなる〈2〉免疫系が衰え、がんを抑えられなくなる──との可能性を指摘している。(読売新聞 2004/02/24)硬水の地域では心臓発作が少ない──フィンランド
硬水を飲んでいる地域の人は、心臓発作を引き起こす割合が比較的小さいという。フィンランドの研究者が発表した。
フィンランド地理調査所のアンネ・コウサ博士は、フィンランドでは地域よって心臓発作の頻度が違っていて、国の東側に住んでいる人は、西側、その他の地域の人よりも、心臓発作発生の割合が高いことに気がついた。
その理由について、住人のライフスタイルや遺伝的要因を調べたが、大きな違いはなかった。一方、地域の飲み水の硬度と関係があることに気がついた。
そこで、35歳から74歳まで1万8946の住人を3年間追跡調査した。その結果、飲んでいる水の硬度が高いほど、心臓発作のリスクが低く、見事な相関関係があることがわかった。フッ素を含む化合物が多いほど、心臓発作が少なかったという。(日経ヘルス 2004/02/24)長生きには7時間睡眠?…10万人・10年間調査
7時間寝る人が一番長生き? 日本人10万人を対象にした10年間の大規模追跡調査で、こんな結果が明らかになった。
米国での調査でも、同様の結果が出ており、睡眠は必ずしも長いほど良いというわけでもなさそうだ。名古屋大学の玉腰暁子助教授(予防医学)らが、今月の米睡眠学会誌に発表した。
文部科学省助成を受けて行われたこの調査は、40歳から79歳の男女約10万人を対象に、睡眠時間や飲酒、喫煙、運動の生活習慣、ストレス度などを問診票に記載してもらい、10年間追跡した。
睡眠時間を尋ねた回答で最も多かったのは、男性8時間、女性7時間で、平均は男性7.5時間、女性7.1時間だった。
死亡率が最も低かったのは、男女とも睡眠時間が7時間と答えたグループで、睡眠が長くなっても短くても、死亡率は高かった。
睡眠時間が4時間以下の人は、7時間の人に比べて男性で62%、女性で60%、死亡率が高かった。また10時間以上の人も、それぞれ73%、92%高く、男女とも睡眠時間が減少するほど、あるいは増えるほど死亡率が高くなるとの結果。従来言われてきた「8時間睡眠」は、7時間睡眠に比べて、男性で11%、女性23%、それぞれ死亡率が高いという結果が出た。
睡眠の短い男性の場合、仕事上のストレスが、睡眠と死亡率の両方に悪影響を与えている様子もうかがえた。
睡眠に詳しい国立精神・神経センターの内山真・精神生理部長は「『8時間睡眠が良い』という神話があるが、睡眠は必ずしも長いほど良いというわけではない。自分に合った睡眠を取るのが大切。睡眠時間は年齢や季節によっても変化するので、『7時間睡眠』にもこだわる必要はない」とアドバイスしている。(読売新聞 2004/02/26)菜食、果物で大腸がん減少
菜食主義者は、そうでない人に比べて大腸がんになる危険性が15%低く、果物を食べることも危険性を下げることが、英オックスフォード大の研究で分かった。
ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサーによると、調査は大腸がんと食生活の関係を見るため、英国で菜食主義者を含む1万1000人の男女を平均17年間追跡。
その結果、菜食主義者が大腸がんになる危険性は非菜食主義者の85%となった。果物では、週に10回以上食べる人の危険性は、そうでない人の57%と低かった。一方、精白粉を使ったパンを1週間に15枚以上食べる人の危険性はそうでない人の約2倍だった。
研究グループは「果物を週に5回以上食べるだけでも危険性は下がる」と話している。(共同通信 2004/03/02)断酒は心臓病で死ぬ危険高める=デンマークの研究で判明―大酒家は別
【コペンハーゲン2日】1日にグラス1−2杯の酒を飲む控えめなドリンカーが飲酒をやめると心臓病で死ぬ危険が、控えめに飲み続ける人に比べかなり高くなることがデンマークの研究で判明した。研究の要約を執筆した国立公衆衛生研究所のモルテン・グローンベーク教授によると、酒を全く飲まなかった人が控えめに飲み始めると心臓病予防効果が高まることも分かった。研究論文は2日発行の医学誌エピデミオロジー最新号に紹介された。
グローンベーク教授によると、研究は1980年代にデンマークで5年間の間隔を置いて、25−98歳の男性6644人、女性8010人を対象に行われた。酒を断った人が心臓病を起こす比率は、やめなかった人に比べ29%も高かった。この研究ではそれぞれの男女の生活スタイル、食生活、健康状況も勘案された。
グローンベーク教授は、赤ワインを控えめに飲むのは特に冠状動脈疾患を予防する上で有用だと思うと述べている。これは他の研究でも明らかになっているという。
一方、大酒飲みは心臓病などで死ぬ危険が32%も高くなると同教授は警告している。〔AFP=時事〕(時事通信 2004/03/03)心臓:怒ると発作の要因に 米研究調査
【ロサンゼルス國枝すみれ】怒りっぽく周囲の人間に敵対的な男性は、脈が突然速く不規則に打ち始める心房細動を起こす率が高いことが、米国の研究調査で分かった。心房細動は心臓発作を引き起こす要因にもなる。
米心臓協会の発表によると、「短気」「批判されると我慢ならない」「怒ると殴りたくなる」などの質問に「はい」と答えた怒り型の男性は、穏やかな男性に比べ10%も高い率で心房細動を起こしていた。また、同タイプの人間は死亡率が20%も高かった。
また、「専門家なのに私より物を知らない人間によく会う」「家族のなかで我慢ならない癖を持つものがいる」などの質問に「はい」と答えた敵対型の男性は、30%も高い率で起こした。
女性の場合、怒りや憎しみの度合いと罹患(りかん)率に関係はなかった。
実験には、マサチューセッツ州フラミングハムの住民約3700人が協力した。(毎日新聞 2004/03/03)糖尿病予防にコーヒー 米誌、飲めば飲むほど効果
【ニューヨーク9日共同】10日発行の米医師会誌(JAMA)は、コーヒーを飲む量が多い人ほど、糖尿病にかかる危険が小さくなるとするフィンランド国立公衆衛生研究所の調査結果を伝えた。
同研究所が35−64歳の約1万4600人を調査した結果によると、1日3−4杯のコーヒーを飲んだ場合、飲まない人に比べ女性で29%、男性で27%糖尿病にかかる率が減少。1日10杯以上飲んだ場合は、女性で79%、男性で55%の減少となった。
因果関係は不明だが、コーヒーに含まれているクロロゲン酸が血糖値調整に間接的役割を果たしている可能性があるほか、カフェインが膵臓からのインシュリン分泌を促進、血糖を減少させることも考えられるという。
米ハーバード大研究チームなどが行った別の調査でも同様の結論が出ており、同誌は、糖尿病予防でのコーヒーの効用について、今回の調査が「疑う余地のない証拠」を提供したとしている。(共同通信 2004/03/10)ニンジン成分で花粉症やアトピー性皮膚炎の予防効果
カゴメは国立医薬品食品衛生研究所(東京・世田谷)と共同で、ニンジンジュースを飲み続けると花粉症やアトピー性皮膚炎などの予防効果があることを解明した。ニンジンに含まれるベータカロチンが抗アレルギー物質として作用し、ジュースとして飲み続けると、細胞のバランスが調節され、長期的な治療効果があるという。
研究成果は29日から3日間、大阪市で開かれる日本薬学会で発表する。実験では通常の飼料を与えたマウスと、100グラム当たりベータカロチンを2ミリグラム添加した飼料で飼育したマウスを比較。双方のマウスにアレルゲンを投与しアレルギーを発症する状態にして、症状や血中のヒスタミン濃度などを分析した。
その結果、ベータカロチンを摂取したマウスの方が、肥満細胞から放出されるヒスタミン量が少なかった。またマウスの脾臓(ひぞう)細胞を培養して調べたところ、ベータカロチンが細胞バランスを調整しアレルギーになりにくくすることが分かった。(日経産業新聞 2004/03/11)がんワクチンの効果を確認 肝がんで再発抑制、延命
肝がんの手術で切除したがん細胞でワクチンを作り、その患者に投与すると再発抑制と延命に効果があることを臨床試験で確かめたと、茨城県牛久市のベンチャー企業セルメディシンが12日、発表した。
理化学研究所や中国の中山医科大、米ジョンズ・ホプキンズ大との共同研究で、米がん学会誌電子版に掲載された。
がんワクチンは免疫療法の一種で、がんを特徴づけているがん細胞表面の「抗原」を体内に入れることで免疫機能を強化し、がんを攻撃させることを狙う治療法。
今回のワクチンは手術で摘出後、病理検査のためホルマリン漬けで保存されている標本を利用するのが特徴。約2グラムを細かく砕き、免疫刺激剤や生理食塩水と混ぜて3回に分けて注射する。
中山医科大で行った臨床試験は、B型肝炎から肝がんになり手術を受けた患者を対象に実施。術後、経過観察だけの21人は1年間で約62%が再発したが、ワクチンを投与した18人では約17%にとどまった。1年半後の死亡率も非投与群は約29%だったが、投与群は約6%だったという。
大野忠夫社長は「がん抗原は1人1人違い、それに応じたワクチンを作ったことで延命効果まで確認できたと思う。今後、他のがんでも確かめたい」としている。問い合わせは同社、電話029(839)9873まで。(共同通信 2004/03/13)お茶やっぱりがん抑制 カテキンの機能解明 九大グループ「新薬開発に応用」
緑茶に多く含まれる渋味の成分「カテキン」ががんの進行を抑制する分子の仕組みを、九州大大学院農学研究院の立花宏文助教授(食品機能学)らの研究グループが解明。15日付の米専門誌に論文を発表した。カテキンががん細胞表面のタンパク質と結合し、増殖を抑えるという。緑茶に抗がん作用があることは統計的に知られていたが、その仕組みは解明されていなかった。立花助教授は「新たな抗がん剤など医薬品の開発にもつながるのでは」と話している。
カテキンは抗酸化作用で知られる化合物ポリフェノールの一種。緑茶には数種類のカテキンが含まれており、それぞれの抗がん作用を調べた。
その結果、緑茶特有のカテキン「エピガロカテキンガレート(EGCG)」が特に効果が高いことを発見。がん細胞の表面に出現するタンパク質「67LR」が“受け皿”となって結合し、増殖を抑えるよう指令を出すことが分かったという。
実験では、湯飲み数杯分でがん細胞の増殖を4割抑制。「67LR」を増加するよう働きかけるビタミンAを加えると、さらに効果が高いという。
EGCGは紫外線を防ぐ目的で生成されるため(1)5月初旬の1番茶より、真夏の2番茶、3番茶(2)日光を遮断して栽培する玉露茶より、露地で栽培する緑茶―が含有量が多い。また、高い温度のお湯でいれるほど多く抽出される。立花助教授は「緑茶の抗アレルギーや血圧上昇抑制などの作用もEGCGが関係している可能性が高く、これらの治療にも効果があるのでは」と話している。
研究成果は米専門誌「ネーチャー ストラクチュアル アンド モレキュラーバイオロジー」に掲載された。(西日本新聞 2004/03/15)頭痛には鍼が一番=英の研究
【パリ15日】英国で偏頭痛に対する鍼(ハリ)の効果を調べるこれまでで最大の研究が行われ、鍼が頭痛に悩む人にとり最良の治療法であることを示す結果が出た、と英国医学ジャーナル(BMJ)誌の電子版が15日報じた。研究はニューヨークのメモリアル・スローン・ケッタリング癌センターのアンドルー・ビッカーズ氏が指導、毎週、数日にわたり強い頭痛に見舞われる患者401人を英国の医師たちが募って行われた。
患者たちは週に最高12回の鍼治療を受けるグループと、薬剤による通常の頭痛治療を受けるコントロール・グループに分けられ、はじめ4週間、次に3カ月間、最後に1年間の治療を受けた。患者たちは日記をつけ、頭痛の頻度と強さ、薬剤使用の有無を記入するよう求められた。その結果、鍼グループでは頭痛の強度が1年前に比べ34%軽減した。コントロール・グループは16%だった。
また、鍼グループの人が年間に頭痛を起こす日数は平均でコントロール・グループより22日少なく、薬剤使用は15%、医者に行く回数は25%、欠勤は15%それぞれ少なかった。〔AFP=時事〕(時事通信 2004/03/16)やはり過食は糖尿病の要因に…インスリンの働き阻害
血糖値を下げるホルモンのインスリンが肝臓で効かなくなり、糖尿病が引き起こされるメカニズムを、筑波大内科の島野仁講師らが世界で初めて解明し、英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジーに発表した。
インスリンは、血液から筋肉細胞への糖の取り込みを促すほか、肝臓から血中に糖が放出されるのを抑えることで、血糖値を下げるよう働く。この働きが悪くなることが、国内で患者数約740万人とされる糖尿病の要因の1つ。
島野講師らは、肝臓で糖を脂肪に変える遺伝子を制御する指令物質(SREBP―1c)に注目。食べ過ぎでこの指令物質が働きすぎると、肝臓でインスリンが作用するのに必要なたんぱく質の合成が抑えられ、インスリンの効きが悪くなることをマウスの実験などで突き止めた。
逆にマウスを絶食させると、この指令物質は低下し、インスリンの働きは良くなった。この物質は、コレステロールや中性脂肪を増やし高脂血症を招くことが知られているが、肝臓でインスリンの働きを妨げ血糖値を上げる二重の悪さをしていることが分かった。
山田信博・同大内科教授は「生活習慣病の予防に、過食や肥満を防ぐことの重要性が、遺伝子レベルで裏付けられた。この指令物質を抑制する治療薬の開発も期待される」と話している。(読売新聞 2004/03/16)コーヒーに糖尿病予防の効果 フィンランドの研究
シカゴ(ロイター)コーヒーを1日数杯飲む人は、糖尿病のリスクが3割近く下がるとの調査結果を、フィンランドの研究機関がこのほど米医師会誌(JAMA)の最新号に発表した。米国などでも最近、同様の研究が報告されているが、予防作用の仕組みは今のところ解明されていないという。
ヘルシンキにある国立公衆保健研究所の研究チームは、1万4600人を対象に、コーヒー摂取量と糖尿病の発症率との関係を調査した。その結果、1日にコーヒーを3〜4杯飲むグループは、糖尿病にかかる確率が女性で29%、男性で27%も低いことが分かったという。
研究チームによると、予防効果はコーヒー摂取量が多いほど大きいようで、1日10杯以上飲むグループでは発症する確率が女性で80%近く下がり、男性でも55%低かったという。
フィンランド人はコーヒーをよく飲むことが知られている。研究チームによれば、コーヒー豆の1人当たり年間消費量は世界一で、約11キロ。1日に9杯飲むのが平均だという。チームでは「コーヒーをたくさん飲んだ場合の糖尿病への影響は、この国だからこそ判定できた」と強調する。
コーヒーの糖尿病予防効果については、今年1月に米ハーバード大のチームが、12万5000人を対象にした大規模な研究結果を発表。コーヒーを1日6杯飲む男性は、12〜18年間のうちに糖尿病にかかる確率が半減したと報告している。オランダでも最近、これに似た報告が出された。
予防効果が表れる理由としては、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血糖値の調整に間接的に関わっているとする説や、カフェインがインシュリンの分泌を促進するからだとの説が挙がっている。ただ一方で、カフェインの取りすぎが心臓病のリスクを増大させるとの研究報告もあるため、専門家らは「あくまで適量の摂取を」と呼びかけている。(CNN 2004/03/21)夕食後に歯磨きしないと虫歯菌30倍に ライオン調べ
「夕食後に歯みがきや口すすぎをしないと、翌朝に虫歯の原因になる菌が、夕食後の約30倍になる」。ライオンの調査で、こんな結果が出た。
20代から50代の男性12人を実験対象にし、夕食後、就寝前、起床後の3回、唾液(だえき)をとり、虫歯の原因になるミュータンス菌がどれだけ増えるかを調べた。その結果、夕食後に歯の手入れをしないとミュータンス菌が10〜48倍、平均して約30倍になった。
唾液は、口の中の細菌や食べ物の残りかすを洗い流す機能をもっているが、就寝中は分泌量が減るため、ミュータンス菌が増える。ライオンは「虫歯を防ぐには、寝る前の歯みがきが効果的なことが示された」としている。(朝日新聞 2004/03/21)老化を防ぐ特効薬 富山医薬大和漢研グループ
漢方の効果確認 細胞の寿命延ばす
富山医薬大和漢薬研究所の横澤隆子助教授(和漢医薬学、腎臓病学)の研究グループは、血行を良くする漢方薬である丹参(たんじん)製剤「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」 が、老化抑制に効果があることを突き止めた。同グループはこれまで、老化促進マウスで証明したが、さらに細胞老化モデルでも確認した。高齢化社会を迎え、老化の兆候や原因を早めに見つけて治療する「抗加齢医学」が関心を集めており、冠元顆粒に老化の予防、治療薬としての効果が期待される。
実験は細胞の老化のモデルの「ヒト線維芽細胞」を用いて行われた。
ヒト線維芽細胞に冠元顆粒を加え、老化の速度を加速させる過酸化水素を与えた結果、活性酸素の増加を抑制する効果が認められた。また、細胞障害やDNA損壊が減少して生存率が高まり、細胞分裂の速度を維持することで細胞の寿命を延ばす効果があった。
このような成果は、過酸化水素を与える前と後にそれぞれ冠元顆粒を加えた場合、いずれにおいても老化を抑制したことから、予防と治療の双方で効果があることが分かった。
冠元顆粒の起源は、1960年代後半から70年代に、中国で開発された脳と心血管疾患の特効薬「冠心」にある。当時、周恩来首相が毛沢東主席らの健康を心配して国家プロジェクトとして取り組んだ冠心を、成都の華西医科大が服用できる顆粒状に改良、冠元顆粒とした。
研究グループの一員で、富山医薬大大学院薬学研究科博士課程の佐藤亜希子さんは、今月29日から大阪市で開催される日本薬学会と6月中旬に東京で開催される日本基礎老化学会で研究成果を発表する。また、研究論文は近日発刊される老化研究の国際学術誌に掲載される。(富山新聞 2004/03/23)スタミナ維持なら、パンよりコメ マウスで実験
「コメは小麦よりもスタミナ維持や脂肪吸収の抑制に役立つ」。東京海洋大大学院のチームがそんな研究をまとめた。マウスでの実験段階だが、「コメはパンより力が出る」というご飯党を後押しする研究が、コメ離れの歯止めに一役買うかどうか──。
矢沢一良・客員教授、山口宏二・客員助教授らがまとめた。マウスを2グループに分け、それぞれコメと小麦粉をエサにして飼育し、比較した。
持久力の目安として、体重の1割の重りをしっぽにつけ、水槽を泳がせて疲れて泳げなくなるまでの時間を週1度、4週間計った。「小麦組」の時間はほぼ横ばいだったが、「コメ組」の時間は右肩上がりに延び、4週間目では小麦組のほぼ2倍に。コメのほうが持久力が出ることを示唆する結果になった。
一方、コーン油とコメ、コーン油と小麦、コーン油だけの3通りのエサで食事後の血中の中性脂肪の変化を比較。数時間後に測定すると、コーン油だけに比べ、小麦も食べた場合は中性脂肪の値が数%低くなるだけだったが、コメも食べた組では2割余り低くなった。高脂肪の食事をとる際、コメのほうが中性脂肪の上昇を抑える可能性を示すという。
矢沢氏は「今後、人間でも同様の効果があるか調べないといけないが、おコメは腹持ちがいいと言われる。小麦より吸収に時間がかかることが、プラスになっているのではないか。メカニズムをさらに研究したい」と話している。(朝日新聞 2004/03/25)紫サツマイモ 血圧下げる効果確認、九州沖縄農研センター
九州沖縄農業研究センター(菊池郡西合志町)は25日、紫サツマイモに含まれるアントシアニンに、血液をさらさらにし、血圧を下げる効果があることを動物実験で確認したと発表した。動脈硬化症や脳こうそくなどの防止効果も期待されるとして、30日に広島で開かれる日本農芸化学会で発表する。
アントシアニンはポリフェノールの一種で数百種類ある。同センターによると、紫サツマイモに含まれるアントシアニンは、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロール(LDL)の酸化を防ぐ作用が高く、さらに分子構造が安定しているため、体内に長くとどまって機能を発揮しやすいという。
実験では、狭い場所に閉じ込めてストレスを与え、血液がドロドロになったラットに、紫サツマイモのアントシアニンを濃縮させた液体を投与した。すると、投与後1時間で血液の流動性が改善し、さらさらになったという。
また、高血圧を発症しているラットに、紫サツマイモのアントシアニンを0.2%混ぜたエサを与えて長期飼育したところ、給餌(じ)期間中は血圧が下がり、投与をやめると元の高血圧に戻ることも分かった。
同センターは今後、今回の動物実験で得られた効果について、同センターと、熊本大大学院医学薬学研究部の研究員が昨年11月に設立したバイオベンチャー企業「SAKURA INC.」(熊本市)を通じて臨床試験を実施。紫サツマイモのアントシアニンの持つ機能を生かした特定保健用食品の開発につなげる方針。(熊本日日新聞 2004/03/26)ビタミンEにガン予防効果、ヒマワリの種など効果的
【ワシントン28日ロイター】2つの最新の調査で、ビタミンEが少なくとも前立腺ガンと膀胱ガンの予防に効果を持つことが分かった。
ただ、効果を期待するには、補助剤投与が最良の方法ではないという。
2つの調査によると、ビタミンEが最も多く含まれる食品を摂取したり、血液中の(ビタミンE)濃度が最高水準の人は、ガンの発症率が最も低かった。
ただ、調査を行った研究者らは、ビタミンEにはいくつかの型があり、摂取する種類が重要だと指摘している。
この場合、重要なのはアルファ・トコフェロールで、しかも最も効果の高い形のトコフェロールが含まれているのは、補助剤ではなく、ヒマワリの種やホウレンソウ、アーモンド、それにピーマン類などだという。(ロイター通信 2004/03/29)アトピー性皮膚炎も改善 キリン、乳酸菌の実験で
キリンビールは29日、花粉症などの改善作用を持ち、グループで商品化している「KW乳酸菌」について、アトピー性皮膚炎の改善作用が動物実験で確認できたと発表した。広島市で開催中の日本農芸化学会で30日、発表する。
実験は、同皮膚炎と類似の症状を起こす体質を持つマウスの皮膚に、発症を促す物質を塗って実施。毎日KW乳酸菌を摂取させたマウスは、標準食のマウスで見られた皮膚のただれなどの症状が約2カ月後もほとんど現れなかった。また、アレルギーの程度を示す血中の抗体濃度も、約50日後で標準食のマウスに比べ3分の1程度に抑えられていた。今後は人での試験も行い効果を確認する方針。
キリンは昨秋、KW乳酸菌にアレルギーの原因となる免疫細胞のバランスや、花粉症の症状を改善させる効果を確認。既にヨーグルトや飲料などに応用しており、効果の検証を続けていた。(共同通信 2004/03/29)マツの樹皮 老化防止効果?
松の樹皮の抽出物質に、脳の細胞を活性酸素から守る働きがあることが、東京大学の久恒(ひさつね)辰博・助教授らの研究でわかった。
マウスに1週間、水のかわりに、この物質を含む市販の飲料を与えると、脳で活性酸素を発生させた時に受ける神経細胞の障害が約半分に軽減した。
活性酸素は細胞を傷つけ、がんや老化などの原因になるため、脳の細胞の保護は痴ほう防止などに役立つと期待される。
この抽出物質はフラバンジェノールで、お茶の抗酸化物質カテキンが数個連結した構造を含んでいる。ビタミンCの600倍の抗酸化作用があり、健康飲料などが販売されている。
久恒助教授らは、マウスの脳に光を当てて活性酸素を発生させ、一定の大きさの障害を作る実験手法を開発。食品の抗酸化作用を調べて確認した。(読売新聞 2004/03/29)テレビ見過ぎの子、言葉の発達に遅れ 小児科学会が調査
長時間1人でテレビやビデオを見ている乳幼児は言葉や社会性の発達が遅れる──。日本小児科学会(衛藤義勝会長)が1歳半の子供を持つ親1900人を対象に実施したアンケートでこんな傾向があることが分かった。29日、東京都内で開かれた活動報告会で発表された。
調査は昨年、東京や岡山などで、1歳半健診の子供の親を対象に、子供や家族がテレビやビデオを見ている時間の長さや見方を質問し、子供が「マンマ」や「トト」など意味がある言葉を話すかどうかなどについても尋ねた。回収率は75%。
言語に遅れの見られる割合は、最も視聴時間が短い「子供が4時間未満で、家のテレビがついている時間が8時間未満」の群を1とすると、最も視聴時間の長い「4時間以上、8時間以上」では2。「4時間以上、8時間未満」が1.25、「4時間未満、8時間以上」が1.5だった。
さらに、見ている時に親が内容について「話しかけている」群では、「子供が指さして親に質問する」が79%だったのに、「ほとんど話しかけていない」群では56%と低いなど、話しかけた方が子供の発達を促すことがうかがわれた。
同学会は(1)テレビのない場所で遊ぶ時間を増やす(2)ビデオソフトはしまっておく(3)テレビにカバーをかける──などの具体策を呼びかけた。
調査メンバーの清野佳紀大阪厚生年金病院院長は「テレビの情報は一方通行になりがち。0歳〜2歳は脳が大きく発達する時期でもあり、長時間見せるのは、発達面で問題だ」としている。(朝日新聞 2004/03/30)ウイルスでがん死滅 “特効薬”の期待も
世界初 名大グループ成功
がん細胞だけに感染する性質を持つ「変異単純ヘルペスウイルスHF10」を使って、人のがん病巣を死滅させる新しい治療法の臨床試験に、名古屋大大学院医学研究科の中尾昭公(消化器外科学)西山幸広(ウイルス学)の両教授の研究グループが世界で初めて成功した。ウイルスを施した病巣がほぼ完全に消えた例もあるといい、手術で対応できない進行がんの治療に大きな効果を上げそうだ。
成果は4月に大阪で開かれる日本外科学会で発表されるほか、英国の医学誌にも掲載される。
ヘルペスウイルスは増殖が盛んな細胞に好んで感染する性質を持つ。このウイルスの一種の「HF10」はがん細胞を特に好み、感染した細胞は新たなウイルスを生産する一方で、細胞自身は死んでしまうという。
中尾教授らは既に、動物実験でさまざまながんをほぼ死滅させることに成功。昨年5月、乳がんの末期患者6人の病巣に直接HF10を注射したところ、がん細胞が30−100%死滅した。副作用もなかった。
研究グループは31日の名大倫理委員会に、胃や腸などのがんの治験も申請する。転移して画像診断では判別できない小さな段階のがんにも対応できるよう、静脈注射などで全身にHF10を行き渡らせる方法も模索していく。中尾教授は「遺伝子治療や放射線、薬物でもなしえなかったがんの“特効薬”ができたのでは」と話している。(中日新聞 2004/03/31)アイヌの薬草で抗がん剤を、49種に効き目確認
アイヌ民族伝承の薬草で抗がん剤をと、札幌市の北海道立衛生研究所と北海道大が、研究を進めている。既に49種の薬用・食用植物に抗がん活性(がん細胞を殺す働き)を確認。来年3月末までに物質を特定するが、新抗がん剤の誕生につながる可能性もある。
衛生研の兼俊明夫主任研究員が「アイヌの薬草は効き目の強いものがあり、抗がん活性も期待できる」と考えた。131種の植物を、葉や根など部位ごとに計245試料そろえ、エキスを抽出。培養したヒトの肺がん細胞3種で、抗がん活性を検査した。
3種類のがん細胞すべてに強い抗がん活性を示したのはナナカマドの若葉、チシマアザミの茎など4試料。2種類に効いたのはオニシモツケなど2試料、1種類にも43試料が有効だった。
アイヌは、ナナカマドをかゆや茶に入れて解熱剤に、チシマアザミはかっけ治療薬として服用した。ほかは下痢やせき止め、止血など幅広いが、植物を採る時期や場所で効き目は全く異なる。(共同)(日本経済新聞 2004/04/03)パーキンソン病、男性の発症率は女性の1.5倍
手足の震えや筋肉のこわばりなどが起こる難病「パーキンソン病」は、男性が女性よりも1.5倍発症しやすいという調査結果を米バージニア大の研究チームがまとめ、英国の脳神経学専門誌最新号に発表した。
研究チームは、米国や中国、欧州などでパーキンソン病の発症数を調べた7本の論文のデータを分析し直した。その結果、7地域のうち6地域で男の方が発症率が高く、フィンランドの10万人当たりの年間発症数は、女が11人なのに男は21.5人だった。7地域のデータを総合すると、男性の発症率は女性の1.49倍に達した。
原因としては、男性の方が〈1〉毒物や頭部外傷にさらされる確率が高い〈2〉神経を守る女性ホルモンの量が少ない〈3〉異常を起こす遺伝子変異が発現しやすい──などが考えられるという。
パーキンソン病は脳内の一部神経細胞に異常が生じて神経伝達物質「ドーパミン」の量が減ることにより起こる病気で、元プロボクシング世界王者のモハメド・アリさん、俳優のマイケル・J・フォックスさんらも患者。国内患者は10万人以上いる。(読売新聞 2004/04/04)TV見過ぎると集中力弱い子に・米小児科学会で報告
【ニューヨーク4日共同】乳幼児期にテレビを多く見た子供ほど7歳の時に集中力が弱い、落ち着きがない、衝動的などの注意欠陥障害になる危険性が大きい―との調査報告が、米小児科学会機関誌ペディアトリックス4月号に掲載された。報告は、乳幼児のテレビ視聴は制限すべきだと警告している。
調査はワシントン大学(シアトル)小児科学部のディミトリ・クリスタキス博士らが1歳と3歳の各グループ、計2623人のデータを分析して実施した。
テレビの1日平均視聴時間は1歳で2.2時間、3歳で3.6時間。視聴時間が1時間延びるごとに、7歳になった時に注意欠陥障害が起こる可能性は10%高くなっていることが判明した。
AP通信によると、クリスタキス博士は、テレビの番組内容にかかわりなく、テレビに多い不自然に速く動く映像が正常な脳の発達を阻害するのではないかと述べた。
米小児科学会は1999年、脳の発達に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、2歳未満の乳幼児にテレビを見せない方がよいと勧告している。
日本小児科学会も先月、テレビを長時間見る子供は言葉の発達が遅いとの調査結果を発表、乳幼児のテレビ視聴を制限するよう提唱している。(日本経済新聞 2004/04/05)殿方に朗報?──頻繁な射精が前立腺癌を回避
前立腺癌は米国人男性癌患者の中で2番目に多いが、米国医師会誌「JAMA」4月7日号掲載された先ごろの研究では、性的に活発な男性は前立腺癌の発症リスクが低く、頻繁な射精によって同疾患の発症頻度が低下する可能性が示唆された。
研究は、癌および慢性疾患の長期調査に参加した46歳から81歳の医師や歯科医などの医療専門家約3万人を追跡したもので、性交のほかマスターベーションや夢精による20代、40代、参加前年の射精回数を調べた。その結果、射精回数が1カ月に4回から7回の男性の前立腺癌発症頻度は、3回の男性に比べて11%、また少なくとも21回の男性では33%低かった。生涯を通してみると、1週間の射精が3回増えるごとにリスクは15%低下した。
リスク低下の理由としては、射精が癌の原因となる化学物質の除去または腫瘍に関連した晶質(クリスタロイド)形成の阻止に役立つこと、射精によるストレス緩和に伴うホルモンの活性化によって前立腺における癌性変化の可能性が低下することが考えられる。しかし、現段階で男性に性行為の促進を推奨することは時期尚早である、と主任研究者で米国立癌研究所(NCI)の疫学者Michael Leitzmann博士はコメントしている。
また、癌関連医学誌「Journal of the National Cancer Institute」4月7日号掲載の別の研究によると、ホルモン療法後の前立腺特異抗原(PSA)検査で前立腺癌患者の再発が予測できる。米ブリガム&ウィメンズ病院が男性1454人のPSA濃度を調べたところ、上昇が急激で下降が緩徐である場合の同疾患による死亡リスクは、その逆の場合に比べて13倍高かった。(日本経済新聞/HealthDayNews 2004/04/06)妊娠中のチョコレート摂取、新生児に好影響
【ロンドン6日ロイター】英ニューサイエンティスト誌最新号がヘルシンキ大学の研究チームの調査として報じたところによると、妊娠中のチョコレート摂取は新生児に良い影響を与えることが分かった。
研究チームは、妊娠中の女性300人を対象に妊娠期間中のチョコレート消費量とストレスのレベルを記録するよう依頼。出産後6カ月たった母親からの報告によると、チョコレートを摂取していた母親の場合、出産した子どもは笑顔などの反応が大きかった。
さらに、チョコレートを摂取していた母親の子どもは、新しい環境に不安を見せることが少なかったという。
研究チームはチョコレート消費と新生児の行動が、ほかの要因と関連していないとの裏付けはないとしている。
ただ、チョコレートには、子宮内の胎児の気分を積極的にさせる化学物質が含まれているとの見方を明らかにしている。(ロイター通信 2004/04/07)納豆菌酵素、血栓症に効果 ウイル・コーポ、医大と共同研究
【石川県】印刷と情報のウイル・コーポレーション(石川県松任市)は、聖マリアンナ医大(神奈川県川崎市)との産学共同研究により、関連会社で販売中の納豆菌酵素加工食品「ナットウキナーゼ」が血栓症などのリスクを低下させる効果を確認した。
ウイル社は健康食品や沖縄の自然食品をダイレクトメールなどの印刷物で通信販売しており、通販の信用向上の一環として、ナットウキナーゼを研究課題に、聖マリアンナ医大難病治療研究センター、日本生物科学研究所(大阪府茨木市)と産学共同研究を進めている。
研究成果は、3月下旬に大阪で開催された第124回日本薬学会で発表した。ナットウキナーゼ加工食品の経口摂取により、血小板の凝集塊が自然に集まって大きくなるのを防ぐ効果が生じ、血栓症のリスクを低下させる効果が期待できる。
ナットウキナーゼは納豆菌が培養する酵素で、ウイル社のグループ企業の日本ナチュラルヘルス(東京)を通じ、納豆の臭みを消しエキスをカプセル状に加工し健康補助食品として販売している。(勝間田秀樹)(中日新聞 2004/04/07)長時間TV、言語に遅れ=1歳半、3倍近い格差も−日本小児科学会が提言
テレビやビデオを長時間見る乳幼児は言語や社会性の発達が遅く、特に親が話し掛けずに長時間見させている場合は、言語発達に3倍近い格差が生じていることが9日、日本小児科学会「こどもの生活環境改善委員会」の調査で分かった。言葉の遅れとテレビとの関係は臨床現場で指摘されていたが、データとしても裏付けられた形だ。
同委員会はこの結果に基づき、(1)2歳以下の子供にはテレビなどを長時間見せない(2)乳幼児には1人で見せない(3)授乳中や食事中はテレビをつけない―ことなどを提言。岡山市で開かれている同学会で発表する。調査は昨年、首都圏、地方都市、農村地帯の3地域で1歳6カ月検診の対象児の親に、質問用紙を配布。回答のあった計1900人分(平均回収率75.2%)を分析した。(時事通信 2004/04/09)リンゴの肥満予防効果を実証
リンゴに含まれるリンゴポリフェノールに、脂肪が体内に蓄積するのを抑制する効果があることが、弘前大学農学生命科学部の長田恭一助教授の研究グループとアサヒビール(本社東京)の共同研究で分かった。長田助教授は「抽出したリンゴポリフェノールを素材にした飲料やサプリメントなどは、肥満予防の効果が期待できる。リンゴそのものは糖質も含まれるので、バランス良く食事を取る中で、1日1個食べてほしい」と話した。
研究は昨年6月から開始。ラットを6匹ずつのグループに分け(1)普通の餌(2)高脂肪の餌(3)高脂肪の餌にリンゴポリフェノールを1%配合−をそれぞれ摂取量が同じになるように、9週間与えた。
高脂肪の餌を与えた(2)、(3)のラットは、普通の餌のラットに比べ、体重は増加。内臓の脂肪の重さを調べたところ、リンゴポリフェノール配合の餌を与えたラットは、高脂肪の餌だけを与えたラットよりも軽く、脂肪の蓄積が約6割抑えられていた。
また、リンゴポリフェノールを摂取したラットは、肝臓で脂肪を燃焼させる酵素の活性が高まっていた一方で、脂肪を合成する酵素の活性が低下していたという。
高脂肪の餌に、ダイエット素材として注目されている茶カテキン1%を配合したものを与える実験も行ったが、リンゴポリフェノールは茶カテキンと同程度に、脂肪の蓄積を抑え、肝臓内の脂肪燃焼を促進し、脂肪生合成を抑制する作用があることが分かった。
今後は、脂肪の蓄積が抑制されたメカニズムを詳しく調査する。
長田助教授はこれまでの研究で、リンゴポリフェノールに、体内のコレステロールを低下させ、有害な過酸化脂質の吸収を抑える作用があることも突き止めている。「リンゴはさまざまな疾病を予防し、老化防止にも役立つ。このような機能性を付加価値としてアピールし、リンゴ産業が活発になってほしい」と話した。(東奥日報 2004/04/13)脳の神経細胞が「窒息状態」 アルツハイマー仕組み解明
老人性痴呆(ちほう)の1つ、アルツハイマー病にかかった人の脳では、神経細胞が「窒息状態」に追い込まれて次々に死んでいくことが、田熊一敞(かずひろ)・金沢大助教授らの研究で分かった。新しい治療法の開発につながる可能性もあるという。16日付の米科学誌サイエンスに掲載される。
この病気になった人の脳にはベータアミロイドというたんぱく質がたまりやすく、記憶などにかかわる神経細胞が死ぬことが知られているが、どのように死ぬかはよく分かっていない。
田熊さんと米コロンビア大などのグループは、神経細胞の中にあるミトコンドリアという器官に注目。ここに、ベータアミロイドとABADという酵素が一緒に存在することを見つけた。試薬を使ってこの2つがくっつかないようにすると、神経細胞の死ぬ割合が大幅に減ることがわかった。
ミトコンドリアは酸素を使って細胞が働くエネルギーをつくる。2つがくっついて、ミトコンドリアの呼吸活動を邪魔しているらしい。田熊さんは「2つがくっつかなくするような薬ができれば、病気の進行を防げるのではないか」と話す。(朝日新聞 2004/04/16)活性酸素が細胞死を誘導 機能解明で新がん治療に道
不要になったり傷ついた細胞が自発的に死に至るアポトーシス(細胞死)と呼ばれる現象が活性酸素によって誘導されることを、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の岡田泰伸教授らの研究グループが解明、20日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。
岡田教授らは活性酸素を除去して細胞死を避けることにも成功した。
細胞死は脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞による傷害の原因となる一方、抗がん剤は、がん細胞に細胞死を起こすことで効果を発揮している。このため、細胞死の制御にかかわる今回の研究成果は、病気の治療や抑制につながるものとして注目されそうだ。
アポトーシスは、細胞の縮小から細胞の断片化を経て死に至る現象。縮小は細胞の容積を感知するセンサーが作動(活性化)することにより、カリウムイオンと塩素イオンが流出することで起きる。
研究グループが(1)ミトコンドリアへの刺激による細胞死(2)細胞膜受容体による細胞死―を人為的に誘導したところ、ミトコンドリアへの刺激が契機となる死の際に活性酸素を検出。細胞死への活性酸素の関与が分かった。
岡田教授は「新たな抗がん剤の開発や心臓や脳の障害を防ぐことにつながる」と期待している。(共同通信 2004/04/20)細胞の“自殺”仕組み解明 岡田教授ら「抗がん剤などに可能性」
自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の岡田泰伸教授らの研究グループが、細胞の“自殺”プログラム「アポトーシス」の一部メカニズムの解明に成功した。岡田教授は「抗がん剤の開発や、虚血性疾患などの治療、予防に新たな可能性が開かれた」としている。研究成果は20日に、科学専門誌「米国科学アカデミー紀要」にオンライン掲載された。
細胞は外的要因で容積が膨張すると、細胞膜にあるイオンの通り道(イオンチャネル)が活性化し、プラスとマイナスイオンを流出して元に戻ろうとする。しかし、同グループのこれまでの研究で、アポトーシスの初期段階では、細胞が膨張していないにもかかわらず、イオンが流出して細胞縮小化(AVD)を引き起こすことが分かっていた。
今回、岡田教授らはミトコンドリアを介するAVDの場合について、ヒトの上皮細胞を使って研究。本来、容積が膨張した時に働くはずの「容積センサー陰イオンチャネル」が異常活性し、AVDの際も陰イオンを流出していることを突き止めた。
また、陰イオンチャネルの活性化に、活性酸素が機能していることも解明した。
がん治療では、がん細胞にアポトーシスを引き起こすよう働き掛ける抗がん剤の開発が進んでいる。岡田教授らが容積センサー陰イオンチャネルの働きを明らかにしたことで、今後、より有効な抗がん剤の開発が期待できる。
脳や心臓の虚血性疾患にもアポトーシスが大きく関与しているため、脳出血や心筋梗塞(こうそく)などへの治療の可能性が開けたとしている。新薬開発への一歩
昭和大大学院医学研究科の塩田清二教授(細胞構築学)の話 アポトーシスに関与している陰イオンチャネルの種類が分かったことで、脳梗塞や心筋梗塞などの虚血性疾患の新しい治療薬開発への大きな一歩だ。またアポトーシスの制御は痴呆や生活習慣病の予防や治療にもつながるため、医療費削減など私たちの社会生活にも大きな影響を与えるだろう。
<アポトーシス> 不要になったり傷ついたりした細胞が死滅する際に機能する細胞内の遺伝子に組み込まれた“自殺”プログラムのこと。プログラムが働くことで、正常な細胞に影響を与えないようにする。主に細胞自身に問題が生じた場合のミトコンドリアを介する経路と、外部刺激が細胞膜受容体(デスレセプター)を介して起こす経路に大別される。(中日新聞 2004/04/20)
放射線治療:子宮頚がんや食道がんで生存率最大3倍の差
子宮頚がんや食道がんの放射線治療を受けた患者の生存率に、病院が適切な治療装置を使ったかどうかで最大3倍の差が出ることが、厚生労働省研究班(班長・手島昭樹大阪大教授)の調査で分かった。以前から不適切だとされている装置で治療を続けている病院が多いことも明らかになった。
研究班は、全国で放射線治療をしている約700の病院から75カ所を抽出。95〜97年に治療を受けた各種のがん患者について調べた。
子宮頚がんでは、放射線を出す金属を子宮内に挿入してがんをたたく「腔内(くうない)照射」の装置を使ったかどうかで、生存率に大差があった。進行がんの「3期」の場合、同装置を使わない患者の5年生存率は23%だったが、同装置で治療を受けた患者は64%。より進んだ「4期」でも13%と38%の差が出た。受けなかった患者の一部は症状が重かった可能性もあるが、それを考慮しても照射の有無が大きく影響したとみられる。
日本放射線腫瘍(しゅよう)学会の別の調査によると、全国で放射線治療をする病院のうち、腔内照射をする病院は約2割。しない病院は、照射が必要な患者を設備のある病院に紹介するのが原則だが、紹介しない病院も目立つという。
また研究班が食道がんの手術を受けずに放射線治療を受けた556人を調べたところ、放射線のエネルギーの違いが生存率に影響していた。
複数の医学専門書によると、体の奥にできる食道がんの治療には、がん細胞に放射線を届かせるため6メガボルト以上の高いエネルギーの放射線を使う必要がある。ところが、調査対象の75病院のうち20病院には高いエネルギーの装置がなかった。病院の規模などから全国では患者の2割強が低いエネルギーで治療されていると推計された。
3年生存率を調べると、がんがあまり進んでいない「1期」と「2期」の場合、低いエネルギーで治療を受けた患者は35%だったが、高いエネルギーだと44%。より進んだ「3期」では5%と18%だった。
手島教授は「患者は病院に、腔内照射を受けられるか、放射線のエネルギーが6メガボルト以上かを確認した方がよい。行政や病院は、適切な装置を備える努力をしてほしい」と話している。【高木昭午、鯨岡秀紀】(毎日新聞 2004/04/21)鉄分が不足すると、思考力、記憶力が落ちる
鉄分が不足すると、思考力、記憶力が低下することが、若い女性を対象にしたテストでわかった。ペンシルベニア州立大学での研究。
この研究は、4月19日、首都ワシントンで開かれた「2004年実験生物学会」(Experimental Biology 2004 conference)の栄養科学部会で、同大学のローラ・マレーコルブ博士らによって発表された。
研究者たちは113人の若い女性を、(1)鉄分が不足していない正常な人(2)貧血ではないが、鉄分がやや不足している人(3)貧血気味の人──の3つのグループに分け、注意力、短期、長期の記憶力を調べるテストをさせた。
その結果、まず、貧血気味のグループは、注意力、記憶力ともに、他のグループより、明らかにスコアが低かった。鉄分が足りないが貧血ではないグループは、正常なグル−プと比較すると、スコアはほぼ同程度だったが、回答に要した時間が長かった。
そこで、研究者たちは、全員に60ミリグラムの鉄分のサプリメント錠剤、または、偽薬を4カ月間飲ませた。その結果、全般的に、鉄分を飲んだ人たちは、注意力、記憶力ともにはっき改善したことが認められた。(日経ヘルス 2004/04/26)アトピーの温泉療法を研究 科学的成果に期待集まる
原因不明のアトピー性皮膚炎に温泉はどれだけ効くのか、北海道立衛生研究所(札幌市)が科学的な調査を進めている。アトピーの症状が温泉で改善する例は多いが、現状は民間療法どまり。治療が難しい病気では、温泉療法が最後のよりどころともなるだけに、研究の成果に期待が集まる。
研究の舞台は慢性皮膚病の湯治場、北海道豊富町の豊富温泉。表面に重油が浮く塩類泉がわく。
衛生研は、温泉水を難治性アトピー患者2人の自宅に運び、約1カ月間入浴してもらった。皮膚のかゆみや赤みなどは目に見えて改善、冷えや倦怠(けんたい)感などの自覚症状もなくなった。また温泉で宿泊療養したアトピー患者4人は、異常値を示していた血液成分が正常値か、それに近い値に変化した。
これまでに、酸性泉やホウ酸濃度の高い中性泉には、アトピー患者の皮膚に定着、症状を悪化させる黄色ブドウ球菌を、殺菌する力があることも分かった。今後、臨床例を増やす一方、アトピーに特徴的な遺伝子の働きが、温泉療法でどう変化するか確認、メカニズムの解明を目指す。(共同通信 2004/05/01)好きな音楽で風邪予防 免疫細胞を活性化 金沢医科大の山口教授ら実証
好きな音楽を聴くと、風邪などのウイルス感染症の予防になることが金沢医科大代替基礎医学教室(代表・山口宣夫教授)の研究で分かった。一定時間音楽を聴いた後は聴く前よりも免疫力が高まり、ウイルス感染した細胞も大幅に減少することが実験で確認された 。一度聴けば1日以上、効果が持続することも証明され、同教室は新国際医学誌eCAMに研究成果を投稿した。
実験は20―60代の13人に行った。山口教授らはクラシック、ジャズ、演歌、ポップスなど各自が好きな音楽を60―90分間座って聴いてもらい、音楽を聴く前と24時間後の血液中の免疫担当細胞(T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞)とウイルス感染細胞の増減などを調べた。
この結果、24時間後には、がん細胞やウイルス感染細胞を攻撃するNK細胞の数が音楽を聴く前の1.2―2.5倍に増え、細胞内での免疫活性化物質の産生増加も認められた。T、B細胞、マクロファージも活性化が確認された。
教室はさらに、13人の中で特に細胞内の免疫活性化物質の産生が顕著だった3人に再び同時間、音楽を聴いてもらい、採取したリンパ球とウイルス感染細胞を混在させて3日間、試験管内で培養、3人が音楽を聴いていない状態との比較実験を行った。
その結果、音楽を聴いた後では、聴いていない状態よりもウイルス感染細胞が平均約40%減少し、NK細胞の働きの大幅な向上が確認された。
山口教授は「心地よいと感じる音楽を聴くことは、風邪などのウイルス感染症の初期及び予防に効果的であると言える。一度聴くだけで24時間以上、効果が持続することも証明できた」と話している。(北國新聞 2004/05/02)ガン検診:MRIで被ばくなし 全身を一度に
全国に普及しているMRI(磁気共鳴画像化装置)を使い、全身のがんを一度に調べる手法を、東海大の今井裕教授(画像診断学)らの研究グループが開発した。同じ目的で使われるPET(陽電子放射断層撮影装置)よりも画像が鮮明で、放射線被ばくがない。費用もPETの約6分の1で、早期がん発見のための集団検診への応用が期待されている。
MRIの撮影方法のうち、脳こうそくの初期診断に使われている拡散強調画像法を利用した。この方法は水分子の動きの強弱を画像化する。
がん細胞は正常細胞に比べて密集する傾向があり、がん細胞では水分子の動きが鈍くなる。同グループはこの性質に着目して、MRIの拡散強調画像を繰り返し撮影することで、全身のがん細胞を一度に画像化することに成功した。
これまで、胸や腹部を撮影する場合、呼吸に伴う動きの影響で正確な画像が得られないと考えられてきた。同グループは撮影中に息をしても影響がないことを確かめ、技術的な工夫を重ねて実用化した。
体の断面は3ミリ程度の幅で撮影される。撮影に要する時間は準備を含めて約30分。肝細胞がんはやや写りにくいものの、その他の多くのがんは5ミリ程度の大きさでもとらえられるという。
同大は昨年秋から、この手法をがん患者の検査に導入した。最初にがんができた原発部位や、がんの転移先を見つけるなどの実績を上げている。同グループの高原太郎講師は「PETと違って被ばくがなく、費用も安いので、がんの集団検診に応用できる」と話している。【吉川学】<MRIとPET> MRIは巨大な磁石の中に人間を入れ、体内の水などに含まれる原子の状態変化を利用して、コンピューターで画像化する。PETは陽電子を出す放射性同位体で標識をつけた薬剤を注射して体内に取り込ませ、その分布を画像化する。通常の検査では見つけられない小さながんを発見できるとして注目されているが、普及率は低い。(毎日新聞 2004/05/03)
がん診断:遺伝子から抑制薬剤を生成 イスラエル研究所
がんを見つけて治す機能を持つ遺伝子のDNA(デオキシリボ核酸)製の「DNAコンピューター」を、イスラエルのバイツマン科学研究所の研究チームが発明し、英科学誌「ネイチャー」に発表した。試験管内で、がんの遺伝子診断からがんを抑制する薬剤生成までを実現したのは世界初。研究チームは「将来は、生体内のDNAコンピューターが病気を診断し、治療可能になるかもしれない」としている。
研究チームは、特殊な酵素を組み込んだDNAコンピューターを作り、がんの遺伝子が新たな細胞を作るための情報を伝えるメッセンジャーRNA(リボ核酸)の有無に反応する性質を持たせた。反応があれば、「がん」と診断。コンピューターのDNAの一部を切り離し、がん細胞の増殖を抑制、破壊するDNAの断片を作り出す。
研究チームはこのコンピューターを使い、外から手を加えず、試験管内で肺がんと前立腺がんの小さな細胞の診断から薬剤生成までの流れを確認した。
DNAコンピューターに詳しい陶山(すやま)明・東京大大学院教授(生物物理学)は「外から制御せずに自律的な処理を実現しており評価できる。しかし、実用化に向けては、材料となるDNAや酵素の改良、複雑な診断の実現などが課題になるだろう」と話している。【永山悦子】(毎日新聞 2004/05/03)ぽっくり病:食物の脂肪「燃えかす」が関与 九大など研究
働き盛りの人が就寝中に突然、心不全で死亡する「ぽっくり病」の発症に、食物中の脂肪の「燃えかす」が関与していることが九州大と東海大などの共同研究で明らかになった。血液中にたまった燃えかすに、心臓の冠状動脈を激しくけいれんさせ血流を妨げる作用があることを、動物実験で確かめた。ぽっくり病の予防につながる成果で、論文は米心臓病学会誌に掲載された。
ぽっくり病は動脈硬化などの兆候のない20〜40代の人が、睡眠中に突然苦しみ出して死亡する病気で、アジア人の男性に多い。原因不明の奇病とされ、心臓が原因の突然死の1割前後を占めるといわれる。
東海大医学部の武市早苗教授(法医学)は、ぽっくり病の疑いのある約300人の解剖例を分析し、心臓の冠状動脈が激しく収縮したため心筋に血液が流れなくなったことが原因と推測した。死者は血中の「レムナントリポたんぱく(RLP)」値が高い傾向があった。RLPは脂肪やたんぱく質の固まりで、食物中の脂肪が分解される過程で生じる。
続いて、九州大の下川宏明助教授(循環器内科学)らは、ぽっくり病の死者の血液から抽出したRLPを含む成分と含まない成分をガーゼにしみこませ、ブタ6頭の心臓の冠状動脈の別々の部位に巻きつけた。1週間後、冠状動脈に軽い収縮刺激を与えたところ、6頭すべてでRLPを含む成分を作用させた部位だけが激しくけいれんして収縮し、心筋への血流が妨げられた。RLPの働きが生体内で確認されたのは世界で初めて。
また、培養したヒトの血管細胞にRLPを加えたところ、筋肉を収縮させる働きのある酵素が増加することも確認した。
研究グループは「血中の中性脂肪値の高い人は、この燃えかすが多い傾向があり、ぽっくり病予備軍と言えそうだ。暴飲暴食は控えた方がいい」と注意を促している。【西川拓】(毎日新聞 2004/05/05)C型肝炎が糖尿病誘発 東大チームが因果関係を初実証
C型肝炎になると糖尿病を誘発しやすいことを東大医学部の小池和彦教授(感染制御学)らが8日までに、動物実験で明らかにした。
ウイルス感染で起きるC型肝炎と、肥満や過食が引き金になる2型糖尿病の関連性は疫学調査で報告されているが、因果関係を生体で確かめたのは世界で初めてという。
人でも同じ現象が起きていると考えられ、同教授は「C型肝炎患者は肥満、食事などに特に注意を」と指摘している。
2型糖尿病は、血糖値を下げるインスリンがうまく作用せず発症する。
同教授らは、C型肝炎ウイルスが作るタンパク質が肝臓でできるように遺伝子を導入したマウスを作製。インスリンを注射して一時間後に調べると、正常なマウスの血糖値は注射前の30%に下がったが、遺伝子を導入したマウスは48%にしか低下しなかった。
遺伝子導入マウスは高カロリー食を与えると肥満になり糖尿病を発症したが、正常なマウスは高カロリー食でも発症しなかった。
インスリンは肝臓の細胞に働いて糖を作り過ぎないように調節している。遺伝子導入マウスを調べると、インスリンの作用経路に異常があったほか、肝臓で炎症性タンパク質が2倍以上に増えていた。このタンパク質を減らす物質を加えると、インスリンの効き目が正常近くまで改善した。
同教授は「炎症性タンパク質はC型肝炎患者でも増えており、肝臓の異常が糖尿病の一因と考えられる。肝がんとの関連も調べたい」と話している。(共同通信 2004/05/07)心不全:心臓病悪化のメカニズム解明 東大などのグループ
拡張型心筋症や心筋こうそくなどの心臓病が悪化して心不全になるのは、筋肉を作るのに必要なたんぱく質が壊れるためだと、東京大学と独・マックス・プランク研究所の共同研究グループが突き止めた。東京大の豊岡照彦教授(器官病態内科学)は「このたんぱく質を壊さない方法を開発すれば、重症心不全を防げるのではないか」と話している。11日付の米科学アカデミー紀要に発表される。
このたんぱく質はジストロフィンと呼ばれる。ジストロフィンを作る遺伝子が変異すると、筋ジストロフィーになることが知られている。
豊岡教授らは先天性や後天性など原因の違う3種の重症心不全の患者を調べたところ、心筋細胞の膜を補強しているジストロフィンが切断され、細胞膜から脱落していることに気づいた。さらに、ジストロフィンの破壊が進むにつれて、心機能が低下することも分かった。
豊岡教授は「心筋の中にあるカルパインというたんぱく質分解酵素が活性化すると、ジストロフィンが壊れると推測している。カルパインの働きを抑えるような薬物や遺伝子治療を目指している」と話している。【吉川学】(毎日新聞 2004/05/10)加齢性白内障は短命の兆候=米研究
【シカゴ10日ロイター】米国の眼科関連雑誌に、加齢性白内障など加齢に伴う目の疾病はおそらく健康状態がより悪化していることを示す兆候で、こうした疾病を発病した人は発病しない人に比べて短命な可能性がある、とする研究結果が発表された。
この研究は、国立眼科研究所のフレデリック・フェリス博士が発表したもの。
同博士は、「これまでにも、さまざまな眼疾病はより短い寿命の重要な兆候であるとの報告がみられる。とくに白内障は、加齢や死と関連した生理学的な課程を示す兆候と言える可能性がある」と述べた。
調査は、55―81歳の4753人を対象に実施された。それによると、調査期間の6年半に加齢性黄斑変性症を発病した人の死亡率は、発病の兆候がみられなかった人の死亡率を41%上回った。
このほか、白内障の手術を受けた人の死亡率は、視力を保った人の死亡率を55%上回った。(ロイター通信 2004/05/11)母乳で動脈硬化の危険減少 英の追跡調査で判明
【ワシントン13日共同】母乳には成長後の動脈硬化や心臓病の危険を減らす効果があるとの研究を、英国の小児保健研究所がまとめた。15日付の英医学誌ランセットに発表する。
生まれた子供を無作為にグループ分けし、10数年後まで追跡した珍しい調査で、同研究所は「母乳の長期的な効用について、従来よりはっきりと示せたのではないか」としている。
調査は1982−85年に英国で生まれた平均体重1400グラムの未熟児約930人が対象。母乳のほか、未熟児用の栄養強化人工乳、通常の人工乳を飲むグループに無作為に分けて実施した。
13−16歳になった時点で追跡できた計216人について、動脈硬化の危険因子の1つとされる血液中の2種類のコレステロール値の比率を調べた。この数値は高いほど動脈硬化の危険が上昇するが、母乳で育った人たちは人工乳の人たちより数値が14%低く、また飲んだ母乳の量が多いほど、危険因子がる傾向があった。(共同通信 2004/05/14)毎日酒を飲む人は、脳の障害にご注意
毎日のように酒を飲んでいる人は、アルコール中毒で入院している患者と同程度に脳の働きに障害が起きているという報告があった。
米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校での研究。研究者らは、新聞やちらしを使って募集した46人の慢性ヘビードリンカーと、52人の軽い飲酒者を対象に試験をした。
ヘビードリンカーは、1カ月に100杯以上アルコ−ルを飲む人とした。定義した1杯はワインならグラス1杯、ビールは小ボトル、または缶1本を目安とした。
被験者には、読むなど言語に関するテスト、情報処理のスピ−ド、バランス感覚、一般的記憶力、空間感覚、学習と記憶、など、いろいろな機能を計るテストを行い、さらに、MRI(核磁気共鳴映像法)を使って、脳の構造的変化を調べ、あるいは脳内の化学物質を調べて、脳の機能に異常がないか調べた。
その結果、ヘビードリンカーでは、はっきりと脳の機能に障害が起きており、この脳機能の異常はアルコール中毒で入院している患者と共通していたという。(日経ヘルス 2004/05/14)視力0.06が1.74に 最先端レーザー手術で成果
【宮崎】都城市蔵原町の宮田眼科病院(宮田和典院長)が、レーザーを使った最先端手術で、近視や乱視の患者の視力回復に成果を挙げている。統計では、手術前に平均0.06だった患者の視力が術後1カ月で平均1.74まで回復しており、宮田院長が成果を日本臨床眼科学会に報告した。
熱を出さない特殊なレーザーで角膜を削って形状を整え、視力を矯正する手術で、米国では広く普及している。ゴルフのタイガー・ウッズ選手が受けたことで国内でも知られるようになった。
同院は最初の機器を1999年、米国から輸入し、現在は3代目。まずセンサー計測に基づき、角膜のどの部分をどのくらい削るかという計画をコンピューターで作り、この情報を手術機器に入力すると、機器が患者の目にレーザーを自動的に照射する。手術時間は10―15分。術後の痛みもほとんどないという。
同院はこの最新の方式で、これまで約100人を手術。術後1カ月検査では52%の人が視力2.0になり、1.0未満の人はいなかったという。
宮田院長は「治療が難しかった特殊な乱視も治せるようになった。地方でも最新で最高の医療を提供できるよう努力を続けたい」と話している。(西日本新聞 2004/05/14)65歳以上の糖尿病患者はアルツハイマーにかかりやすい
【ワシントン17日】65歳以上の人がダイアビーティズ・メライタス(真性糖尿病)にかかっていれば、アルツハイマー病にかかるリスクは65%高くなるとの調査結果が米国の専門誌アーカイブズ・オブ・ニューロロジー5月号に紹介された。調査はシカゴのラッシュ大学メディカルセンターの専門家たちがカトリックの男女修道僧、神父824人を対象に5年半かけて行った。
これによれば、対象者のうち真性糖尿病の患者31人を含む151人がアルツハイマーになった。これから研究者たちは65歳以上の真性糖尿病患者がアルツハイマーになるリスクが65%高くなると計算しているという。米国立衛生研究所(NIH)の一部である国立老齢研究所のニール・ブックホルツ氏は、糖尿病の治療がアルツハイマーのリスクを低下させる働きをする可能性があることを示した調査だと述べている。
真性糖尿病はインスリン分泌の欠如を特徴とし、65歳以上の米国民の約5分の1がかかる。〔AFP=時事〕(時事通信 2004/05/18)アロマセラピーのマッサージがうつ病治療に効果
植物から抽出した芳香性のオイル(精油)で体をほぐすアロマセラピーマッサージがうつ病の治療に効果があることが、京都府立医大の今西二郎教授ら微生物学と精神科のグループの研究でわかった。抗うつ薬などを使う治療の補完療法として期待される。
軽症のうつ病と診断された31〜59歳の患者5人に昨春から秋にかけて、1回30分のアロママッサージを週2回ずつ4週間実施し、変化をみた。
うつ状態の程度をみる「ハミルトンうつ病評価尺度」(数字が大きいほど重症、10ポイント以下でほぼ解消)の数値を比べると、5人の平均は当初14.8だったが、マッサージ後は正常と変わらない8.8に下がった。認識や思考の障害程度を示す別の数値も改善されていた。
うつ病患者には大脳の前頭葉の血流や代謝の低下がみられるが、前頭葉機能が回復に向かっている可能性を示すテスト結果も出たという。
国内のうつ病患者は数百万人ともいわれ、抗うつ薬の副作用に悩む患者も少なくない。今西さんは「エステとしてだけでなく、西洋医学を補う医療としてのアロマセラピーにも目を向けていただきたい」と話している。(朝日新聞 2004/05/23)脳機能障害:発症から1年未満のリハビリで改善
交通事故で脳に外傷を受けるなどして思考や記憶力などの知的機能に支障をきたす「高次脳機能障害」は損傷を受けてから早い時期にリハビリに取り組むと改善する確率が高いことが、国立身体障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)の調査で分かった。
01〜03年に12道府県の拠点病院などで同障害により、記憶を取り戻す訓練などのリハビリを受けた173人を分析した。その結果、外傷から半年以内にリハビリを受けた41人中18人(44%)で障害がかなり改善した。外傷から6カ月〜1年以内では25人中8人(32%)で改善、1年以上になると42人中6人(14%)の改善にとどまり、早い時期のリハビリの重要さが裏付けられた。
同センターは国内の同障害の患者数が現在約30万人と推定し、診断基準や具体的なリハビリ、社会復帰や生活支援のプログラムなどを策定した。今回の調査をもとに、国は今後2年間で行政としての支援策を確立させる方針だ。【江口一】(毎日新聞 2004/05/24)肺がん:手術後の抗がん剤投与で生存率が向上 東京医科大
早期肺がんの手術後に抗がん剤を経口投与すると、生存率が向上することを東京医科大の加藤治文教授(呼吸器外科)らが約1000人対象の臨床試験で確認し、25日発表した。肺がん手術後の抗がん剤投与の効果を大規模に実証した例は極めて少なく、新たな治療法として期待されるという。
臨床試験は94年1月〜97年3月、全国の大学病院など110施設で実施。対象はリンパ節などへの転移がない早期の肺がん「1A」(がんの大きさ3センチ以下)と「1B」(同3センチより大)で、手術でがんが完全に切除された患者。インフォームド・コンセントを得たうえ、抗がん剤「テガフール・ウラシル」を2年間投与する群491人と、非投与群488人に分け、追跡調査した。
5年間の生存率を比べた結果、「1」期全体では投与群87.9%、非投与群85.4%だったが、「1B」期では、投与群84.9%、非投与群73.5%と差が開いた。統計学的にはこの差は、1年間の平均死亡リスクを52%低下させることになるという。軽い肝機能異常や食欲不振などの副作用がみられたという。
「テガフール・ウラシル」は、がん細胞のDNA合成を阻害する抗がん剤。加藤教授らは、手術によって、肺のがん細胞は取り除けても、血液を通して全身に散らばったがん細胞や、発見できない微小ながん細胞の、転移や再発を防ぐ効果があったのではないかとみている。
同大の坪井正博助手は「肺がん手術後の治療はこれまで、がんの進行度にかかわらずほぼ同じだったが、今回の結果で、1B期の患者さんは、この抗がん剤を飲むという選択が生まれるだろう」と話している。【吉川学】(毎日新聞 2004/05/25)発芽玄米、記憶力低下防ぐ アルツハイマー病治療に応用期待
名城大グループ実証
白米や発芽玄米を食べたマウスは食べなかったマウスより学習能力が高く、発芽玄米を食べたマウスには記憶力の低下を防ぐ効果があることを、名城大薬学部の鵜飼良教授(行動薬理学)らのグループが突き止めた。記憶力低下は、老人性痴呆症のアルツハイマー病にもつながる。健康食品として注目される発芽玄米とアルツハイマー病との関係を科学的に実証したのは初めてという。
実験ではマウスを3つのグループに分け、それぞれコーンスターチ(トウモロコシのでんぷん)、白米、発芽玄米を主成分とする餌を30日間与え、効果を調べた。
空間認知能力や学習記憶力の差を確かめる実験では、直径1.2メートルのプールを泳がせ、透明な足場にたどり着く行動を繰り返させた。その結果、白米と発芽玄米のグループはぐんぐん到着時間を短縮。5日目にはコーンスターチ組に20秒以上の差をつけた。
さらに、これらのマウスの脳内に、アルツハイマー病の原因物質のタンパク質「ベータアミロイド」を注射して迷路を走らせた。ネズミには同じルートを2度通らない習性があるが、コーンスターチと白米のグループは同じルートを繰り返すマウスが目立ち、記憶力の低下を強くうかがわせた。しかし、発芽玄米を食べたグループは注射をしたマウスとしなかったマウスの間にほとんど差がなかった。
発芽玄米には、人間の神経細胞に多く含まれる神経伝達物質「ガンマ−アミノ酪酸」(GABA)や抗酸化物質などが含まれる。鵜飼教授は「今後、白米や発芽玄米の効果解明に取り組みたい。日本食を見直すきっかけにもなれば」としている。(中日新聞 2004/05/26)体内細菌の変動がアレルギーの原因の可能性=米研究発表
【ワシントン26日ロイター】米国の微生物学会で、ミシガン大学のチームが、種々のアレルギー発症は抗生物質服用による体内細菌の変化と関係している可能性がある、との研究結果を発表した。この結果は、近年先進国でみられる喘息やアレルギー患者増加の原因究明につながるかもしれないという。
ミシガン大学で内科・微生物学・免疫学を手がけるゲリー・ハフネーグル医師は、「人間にはそれぞれ固有の腸内バクテリアと菌類の組み合わせがある。抗生物質はバクテリアを殺すため、服用が中止されるまで一時的に菌類が増殖する。最近われわれが行った研究は、こうした形での体内細菌の変化が免疫組織全体に変動をもたらし、他の部位でアレルギー症状が起きる可能性があることを示唆している」と述べた。
抗生物質は、有益な体内バクテリアも殺す場合があるため、医師らは服用時にヨーグルトも合わせて摂取し、有益な菌類を補充するよう勧めているという。(ロイター通信 2004/05/27)アレルギー増加は抗生物質に原因と 米研究
ワシントン(ロイター)世界の先進諸国などで近年、ぜんそくやアレルギーが増加している傾向は、抗生物質が消化器官に与える影響に関連しているとの研究結果を、米ミシガン大の研究チームが発表した。抗生物質は病気の原因となる細菌を退治すると同時に、大腸や小腸の中の「善玉菌」も殺してしまい、これが全身の免疫システムを狂わせると考えられる。
同チームでは、マウスを使って消化器内の細菌の状態と免疫システムとの関係を研究。ニューオーリンズでこのほど開かれた米微生物学会で、成果を発表した。それによれば、マウスに抗生物質を投与すると消化管の中の細菌が全体に減少し、これと同時に、肺がかびの胞子に対してアレルギー反応を示すようになることが分かった。抗生物質を与えなかったマウスには、かび胞子へのアレルギーはみられなかったという。
研究をまとめたゲイリー・ハフナグル博士によると、空気中のアレルギー原因物質は鼻から体内へ侵入するだけでなく、飲み込まれて消化器官にも入り込む。消化器官内の免疫細胞はこれに反応し、アレルギーに関わる化学物質を放出する。
免疫細胞にはいくつかの種類があり、通常は互いにバランスを取って過剰なアレルギー反応を抑えている。ところが消化器官内の環境が変化すると、このバランスが崩れてしまう。たとえば、抗生物質によって通常の細菌が死滅すると、代わりに菌類などが繁殖する。この菌類が、アレルギー抑制作用のある化学物質を阻害するとも考えられるという。
ハフナグル博士は学会で、「マウスで確認された現象が人間にも起きているとすれば、アレルギー増加の傾向も説明がつく」と強調した。(CNN 2004/05/29)睡眠障害、テレビの見過ぎが原因=米調査
【シカゴ7日ロイター】テレビを見る時間の長い青少年は、短い青少年に比べて睡眠障害に陥る確率が高い、との調査結果が米小児・青少年医学雑誌に掲載された。
米国では4000万人が、入眠や睡眠持続の困難など慢性的な睡眠障害に悩んでいるという。
調査は、コロンビア大学医療センターが過去8年にわたり、759世帯を対象に実施した。
調査責任者のジェフリー・ジョンソン氏は、「気持ちの高ぶりや生理的覚醒、一部のテレビ番組に含まれる恐怖やトラウマの要素、テレビの明るい光、長時間テレビを見ることによる運動不足など、入眠や睡眠持続の困難を引き起こす要因はさまざまだ」と指摘。
調査は、14歳で1日3時間以上テレビを見ると、睡眠障害と相関関係がみられるとしている。一方、16歳までにテレビを見る時間を1時間以下に減らしたケースについては、睡眠状況が改善したという。(ロイター通信 2004/06/08)乳がん新薬、死亡率と転移率を引き下げ=研究
【ワシントン8日ロイター】カナダの研究者グループは8日、標準的治療法の後で使用可能な乳がん治療の新薬に、延命効果と再発防止効果が認められたとの報告を発表した。
トロント市内プリンセス・マーガレット病院のポール・ゴス医師が発表したところによると、スイスの製薬大手ノバルティスが製造しているこの新薬フェマラを服用した女性の死亡率は、偽薬を服用した女性より39%低下した。
さらにフェマラは、がんの転移率を40%引き下げたという。
研究はがんの標準的な治療薬であるタモキシフェンを5年間使用した女性5100人を被験者に実施され、結果はニューオーリンズで行われた米臨床腫瘍学会の会合で発表された。(ロイター通信 2004/06/09)白内障手術で痴呆改善 広島大大学院教授ら研究
■視力アップ脳刺激?
痴呆症のお年寄りが白内障手術で視力がよくなると、患者の大半で痴呆の程度も改善する―との研究成果を、広島大大学院の三嶋弘教授(眼科学)のグループがまとめた。
同グループが1996年から2001年までに手術し、山口県平生町の病院に入院した老人性痴呆症の60〜90代男女20人。きょうの日付や野菜の名前など9項目に答えてもらい、痴呆の具合を調べる長谷川式スケール(30点満点)で手術の前後に得点を比べた。
20人の視力は平均で、0.2から0.4に向上。20点以下で痴呆が疑われる長谷川式スケールの平均得点は、術前の12.5点から術後は16.6点に上がった。12人(60%)が4点以上増え、6人(30%)は3―1点アップした。これらのうち、5人は痴呆と認められない21点以上に回復。88歳の女性は14点から27点に大幅に改善した。
術後に得点が悪化したのは、2人(10%)だけだった。
話し掛けても応答の無かった人が、他人に興味を持ち始めたり、食欲が旺盛になったりするなど、QOL(生活の質)が上がっているという。
研究は、広島大病院での同様のケースに注目した三嶋教授が、症例を集めて傾向を分析する狙いで取り組んだ。三嶋教授は「視力アップによる刺激が、脳を活性化したのではないか」と推測する。同大学院の松本昌泰教授(脳神経内科)は「手術の前後で脳の血流の変化を調べれば、因果関係がはっきりするはず」とみている。<長谷川式スケール> 痴呆症かどうかを見分けるテストの一方式。知っている野菜の名前、自分が今いる場所など9つの質問に答えてもらい、得点で「極めて高度」から「正常」まで5段階で判定する。聖マリアンナ医大の長谷川和夫名誉教授らが74年に考案し、国内を中心に普及している。(中国新聞 2004/06/10)
大豆食品:脳にやっぱり効く!──秋田大、東北福祉大で“実証”
◇「ペプチド」でストレス軽減、リラックス…
大豆食品がストレスの軽減など脳の働きに良いことが最新の研究で分かってきた。リラックスする効果の面からも大豆製品が見直されそうだ。
本橋豊・秋田大学医学部教授(社会環境医学)は、大豆たんぱくが消化されるときにできる大豆ペプチドの脳波への影響を調べた。ペプチドはアミノ酸がいくつか連なった状態の成分で、納豆やみそ、しょうゆなど大豆の発酵食品に1%前後含まれるという。40グラムの納豆なら約0.4グラムの含有量だ。
実験は男性9人(平均年齢32歳)を対象に、飲料サプリメントの大豆ぺプチド4グラムと8グラムを別々の日に飲んでもらい、30分後に脳波を調べた。飲む時間も午前10時と午後6時の2回、試みた。
大豆ペプチドを飲んだときは、ペプチドを含まない偽のサプリメントを飲んだときに比べ、頭がすっきりして、疲労が軽い状態を示すアルファ2波の脳波が多かった。8グラムの摂取の方が4グラムよりも効果が高かった。
本橋さんは「午前中に飲んだときは、眠気が軽くなる目覚め効果もあった。疲れたときに摂取すれば、すっきりしたリラックス感が期待できる」と話す。
別の指標を使って、脳への効果を調べた研究もある。東北福祉大学の畠山英子教授(栄養化学)は、頭を使うときのストレスの指標となる脳内の酸素化ヘモグロビンと、だ液中のコルチゾール(ホルモンの一種)を測った。
20〜24歳の男性10人を対象に、飲料サプリメントの大豆ペプチドを4グラムと8グラム摂取してもらい、20分後に2けたの暗算などの課題を与え、特殊な装置(近赤外線分光分析法)で酸素化ヘモグロビンを測った。
通常、問題を解くなど頭にストレスを与えると、酸素化ヘモグロビンが脳内で増えるが、大豆ペプチドを摂取した場合は、摂取しないときに比べ、酸素化ヘモグロビンの増加が抑えられていた。だ液中のコルチゾールも減少傾向が見られた。
畠山さんは「大豆ペプチドの摂取は、脳のストレスをやわらげる効果が期待できる。納豆など大豆食品を日常的な食生活に取り入れることがより重要だと思う」と話している。【小島正美】(毎日新聞 2004/06/11)大気中の化学物質で発がん、大都市ほど高リスク
大気中の化学物質による発がんリスクは、大阪府など大都市とその周辺ほど高く、最も低い鳥取県に比べると5倍以上も違うことが、国立環境研究所の松本理(みち)主任研究員らの調査でわかった。
大気への排出量が多く、発がん性が確認されているベンゼンやホルムアルデヒドなど5物質について、大気中の濃度をもとに試算したもので、各都道府県別の総合的な発がんリスクは初めて。都内で23日開かれる同研究所の公開シンポジウムで発表する。
リスクが高かったのは、〈1〉大阪府〈2〉栃木県〈3〉香川県〈4〉埼玉県〈4〉神奈川県、逆に低かったのは〈1〉鳥取県〈2〉石川県〈3〉富山県〈4〉島根県〈5〉宮崎県(ホルムアルデヒドの測定値がない秋田と山梨、長野、福井の4県を除く)の順。
リスク自体は、空気を一生吸い続けた場合に10万人当たり、大阪府で9.2人、鳥取県で1.6人のがん発症が増えるとの試算で、たばこを毎日吸う場合の約1000分の1程度にとどまる。
松本主任研究員は「2001年度と比べると、34都道府県で発がんリスクは下がっており、排ガス規制などの効果も出ている」と話している。(読売新聞 2004/06/17)胃がんのリスク高い「伝統型」食生活
干物や漬物などを中心とした「伝統型」食生活では、胃がんになりやすくなる一方、野菜や果物、乳製品を積極的に摂取する「健康型」食生活では胃がんになりにくいことが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター部長)の大規模調査で確かめられた。
研究班は1990年から全国14万人を対象に、食生活とがんの発生率の関連を追跡調査。このうち4万人についての解析では、約10年間で、男性2万300人のうち285人、女性2万1812人のうち115人が胃がんになった。
食生活を分析すると、伝統型を好む人ほど胃がんになりやすく、伝統型の頻度が少ない人と比べると、胃がんになる危険性は、男性で最大2.9倍、女性で2.4倍も開きがあった。健康型を好む人が胃がんになりにくい傾向は、特に女性に顕著で、危険性は最大で半分程度に下がった。
伝統型では塩分の濃い食事が多いのに対し、健康型ではビタミンCなどが比較的多く含まれることが、こうした結果に影響したとみられる。肉食を中心とする「欧米型」食生活についても調べたが、胃がん発症と特別な関連は見つからなかった。(読売新聞 2004/06/21)母乳はイボの治療に有効=米医学誌
【ワシントン25日】母乳には、従来の治療法では治らなかったイボの治療に有効な成分があることが分かったとスウェーデンの研究者たちが米国の医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン最新号に発表した。研究では、在来型の治療に抵抗力のあるイボを持つ40人を対象に行われた。
対象者をアクティブ・グループとコントロール・グループに分け、アクティブ・グループの20人は母乳成分で1日3回、3週間にわたり治療した。コントロール・グループ20人はプラセボ(偽薬)で治療した。3週間後に調べると、アクティブ・グループの20人全員がイボの量の75%以上の減少を記録した。同様の効果を示したコントロール・グループの患者は3人だけだった。
次にコントロール・グループ20人を母乳成分で治療したところ、イボの量は82%減少した。実験終了2年後には、イボが全くなくなった患者は全体の83%に達したという。〔AFP=時事〕 (時事通信 2004/06/26)低炭水化物ダイエットに反対運動 研究者らが組織設立
ワシントン(ロイター)米国で大流行している「低炭水化物ダイエット」。パンやパスタ、糖類などを徹底的に減らし、脂質やタンパク質を多く取る方式で、「パンなしハンバーガー」「生地なしピザ」などの登場にもつながり、話題を呼んでいる。このダイエット法に異論を唱える研究機関や消費者団体がこのほど、反対運動の組織を立ち上げた。
「パートナーシップ・フォー・エッセンシャル・ニュートリション」と呼ばれるこの組織には、米国がん研究財団(AICR)をはじめ、老人医学や糖尿病、肥満などの研究団体が参加。設立発表の記者会見では、AICRのジェフリー・プリンス氏が「科学的根拠のない説を売り文句にして、一部の企業だけが暴利をむさぼることになる」と述べ、低炭水化物商品を次々に売り出す業界を厳しく批判した。同氏は「野菜や果物、豆類、小麦の全粒粉は、いずれもがんや心臓病の予防に役立つとされるが、主成分は炭水化物。これらを避けようとする食生活は不健康だ」と主張する。
AICRによると、炭水化物を極端に抑えて体重を減らす方法は、腎臓や肝臓に負担がかかる。低脂肪ダイエットとの比較調査では、最初の6カ月は低炭水化物ダイエットの方が急激に体重が落ちるが、1年後の効果はほぼ同じになるとの結果が報告されている。
また全米消費者連盟(NCL)の調査によると、ダイエット実行者が1カ月間で低炭水化物商品に費やす額は、平均85ドル(約9000円)に上る。NCLのアリソン・レイン氏は、低炭水化物をうたう商品については米食品医薬品局(FDA)がガイドラインを設けるべきだと主張する。
一方、低炭水化物方式の代表例として知られるアトキンス・ダイエットの本部では、「プログラムでは野菜、果物を十分摂取することになっている」と説明、「不健康」との批判をはねつけている。(CNN 2004/06/28)ウコン、がん発生を抑制
カレー粉の約40%を占めているターメリック(ウコン)には「クルクミン」という独特の成分が含まれている。
千葉科学大薬学部の木島孝夫教授が、マウスの背中に発がん物質を塗る実験で、クルクミンの効果を調べた。通常、10週ですべてのマウスの背中にがんができるが、途中でクルクミンを塗ったり、摂取させると、10週で20−30%のマウスにしか、がんはできず、20週経過で80%にはがんができたが、20%には、がんはできず、がん発生を抑える効果が見られた。
肝機能を高めるとされるクルクミンの効果を、マウスにダイオキシンを与え、肝障害を起こす実験で調べた。通常、7週ですべてのマウスが肝障害で死ぬが、クルクミン投与のマウスは80%が生存。肝臓に良いとされる漢方の小柴胡湯の投与では40%の生存だった。(共同通信 2004/06/29)夕食1時間半後の入浴で睡眠の質改善…学会で発表へ
入浴するとよく眠れると言われるが、夕食後1時間半前後に風呂に入り、体の芯(しん)まで温まる入浴法が、睡眠の質を最も改善することが、足利工業大学睡眠科学センターの小林敏孝教授らの研究でわかった。
東京都内で開かれている日本睡眠学会で2日、発表する。
小林教授らは、寝つきの悪い学生ら5人に、それぞれ38度、40度、42度の3通りの温度の風呂に、半身浴してもらった。入浴時間(5―10分)や、入浴時間帯を変えながら1か月間続け、寝つくまでの時間、睡眠の深さ、直腸の深部体温、皮膚温なども測定した。
その結果、夕食後1時間半前後、つまり食後に上昇した体温がピークを迎える時に入浴し、直腸の体温が0.5度―1度上昇した場合、睡眠までに30分以上かかっていた寝つきの悪い学生でも5分から15分で入眠するなど、顕著に改善することがわかった。
さらに全被験者で、〈1〉眠りの深さを示す脳波が睡眠の前半に集中するようになる〈2〉睡眠途中に目覚める覚醒(かくせい)の回数が減少する──なども明らかになった。
体温は夕刻から宵にかけて上昇のピークを迎える。入浴で体温を上げると、体温の低下が加速され、入眠がうまくゆくという。
入浴の適温や時間に個人差はあるが、小林教授は「直腸温が0.5度上がると体の芯からぽかぽかする。入浴後2―3時間で睡魔が来るので、その時すぐに床につくことがこつ」と話している。(読売新聞 2004/07/01)欧米型食生活、脳卒中の危険性高める=米研究報告
【ワシントン1日ロイター】米ハーバード大学公衆衛生学科の研究チームが、赤身の肉や漂白小麦粉、砂糖を多く摂取する欧米型食生活がもたらす健康問題に、新たに脳卒中発生の危険性を加えるべきだとするリポートを発表した。
調査は、7万1000人以上の看護師を対象に実施された。その結果、果物、野菜、魚、豆類、全粒穀物を多く摂取する「賢明な」食生活を送っていた人が脳卒中を起こす確率は、典型的な米国型食生活をしていた人に比べて低かった。
この調査は、食生活と脳卒中の発生リスクを検証したものとしては初めてという。
専門家らはすでに、赤身の肉など動物性脂肪の摂取が多く、食物繊維や果物、野菜の摂取が少ない食生活は、心臓発作や糖尿病、ある種のガン、肥満の発生率を高める、と指摘していた。
脳卒中は米国の死因の第3位で、2003年には約17万人が脳卒中で死亡している。(ロイター通信 2004/07/02)小児期のビタミン剤使用、食品アレルギーなどと関係も
【シカゴ6日ロイター】米研究グループが、8000人以上の子供を対象とした調査で、小児期における栄養補助食品のマルチビタミン剤の使用が、ぜんそくや食品アレルギーに関係している可能性がある、とする研究結果を発表した。
ワシントンの米国小児医療センターなどの研究機関の共同研究だが、因果関係は明らかでないという。また、幼児期のマルチビタミン剤使用が、近年みられるぜんそくや食品アレルギーの増加の原因となっているかどうか結論を出すには、さらなる調査が必要としている。
米政府の研究機関は、1991年から母親と小児に対する追跡調査を実施しており、今回の調査結果はそのデータに基づいている。
調査は、「黒人の子供について、小児期のマルチビタミン剤使用とぜんそくの間に関係がみられたほか、調合乳で育った子供の場合、マルチビタミン剤の使用と食品アレルギーの間に関係がみられた」と指摘している。
また、3歳ごろにマルチビタミンを与えられた子供の間では、全体でアレルギー発症率が高かった。(ロイター通信 2004/07/06)牛乳で大腸がんの危険低下 コップ2杯半で12%減
【ワシントン6日共同】牛乳やカルシウムには大腸がんの危険を低下させる効果があることが分かったと、米ハーバード大などのグループが7日付の米国立がん研究所雑誌に発表した。
欧米5カ国で行われた10の疫学調査(計約53万人が参加)のデータを分析した結果、1日当たり500グラム(200ccのコップ約2杯半)の牛乳を飲むと、大腸がんの危険が12%減少することが明らかになったという。
カルシウムの大腸がん予防効果は動物実験では指摘されていたが、人への効果が大規模調査で判明したのは初めて。
調査は主に1980年代に行われ、6−16年にわたって追跡。牛乳とヨーグルト、チーズの摂取と大腸がんの関係を調べたところ、ヨーグルトでも予防効果を示す傾向がみられたが、統計データで予防効果が確認されたのは牛乳のみだった。
カルシウムについては、摂取量が1日1000ミリグラム以上になると、それ以下の場合に比べ女性は15%、男性は10%、大腸がんの発生が減るとしている。(共同通信 2004/07/07)高山病:痴呆の危険 帰国後に言葉や動作が緩慢に
空気中の酸素濃度が低い高地で高山病を起こした後に痴呆になるケースがあったことが分かり、順天堂大医学部などの研究グループが米国の高山病専門誌に発表した。脳に酸素が行き渡らず、組織の一部が破壊されるためとみられる。旅行や登山で高地に出かける中高年が増えているが、研究グループは「中高年の方は、短時間に高度を上げないようにご注意を」と呼び掛けている。【永山悦子】同グループによると、順天堂大病院の精神神経科で診察したいずれも63歳の女性2人が、痴呆状態になる前に高山病の急性症状を起こしていた。
このうち1人は太平洋に面したペルーの首都リマから空路でクスコ(標高約3400メートル)に移動した際に、吐き気や意識障害といった高山病の症状を起こした。治療で高山病の症状は治まったが、帰国後に言葉や動作が緩慢になり、痴呆と診断された。
別の女性もリマからクスコへ空路移動し、高山病を起こした。約2カ月後から、記憶があいまいになるなどの痴呆症状を示した。
2人の頭部を磁気共鳴画像化装置(MRI)で調べたところ、大脳の淡蒼球(たんそうきゅう)という部分の活動が低下していた。淡蒼球の組織が低酸素状態で破壊されたとみられる。淡蒼球は筋肉の運動などをつかさどる。一酸化炭素中毒でも、淡蒼球が壊されて痴呆が起きることが分かっている。
女性の1人は18歳の時に肺結核にかかっていた。もう1人の女性は、空気中の酸素が薄くなっても呼吸量が増えない体質だと、帰国後の検査で分かった。いずれも呼吸器系が弱かった。
同グループが過去の文献を調べたところ、高山病の後に痴呆状態になった症例が国内で3例見つかった。高地へ行ったことと痴呆との関連はこれまで詳しく調べられていなかったため、実際にはこうした症例はもっと多いとみられている。
順天堂大の臼井千恵医師(精神医学)は「呼吸器に病歴を持つ中高年が、高山病を起こすような酸素の薄い高地へいきなり登ると、痴呆を起こす可能性が高まる」と話している。(毎日新聞 2004/07/10)TV視聴と言葉の遅れ、因果関係「不明」 小児神経学会
言葉の遅れや自閉症が、テレビやビデオ視聴のせいだとする十分な科学的根拠はない──。日本小児神経学会(青木継稔会長)は17日、そんな提言を発表した。小児科医らの団体から、長時間視聴の影響を懸念する提言が相次いでいるが、「育児不安をあおりかねない」と冷静な対応を求め、今後、望ましい視聴時間、方法、番組内容について科学的検討が必要だとした。
提言をまとめた小西行郎・東京女子医大教授は「因果関係は不明なのに『テレビを見せたせいで自閉症になったのでは』と悩む親が多い。脳神経の専門家集団として、あえて発言した」という。同学会は、発達障害など神経の病気が専門の小児科医の団体で、会員は約3300人。
今年2月に小児科の開業医・勤務医でつくる日本小児科医会が、3月には日本小児科学会が、2歳までの長時間視聴を控える、授乳中や食事中にテレビをつけない、などの提言を出している。(朝日新聞 2004/07/19)ビタミンK2で肝がん抑制、副作用少なく 大阪市立大
ウイルス性肝硬変の患者がビタミンK2剤を何年も飲み続けると、肝がんに進行する確率が標準的な治療のみの患者に比べ約5分の1にまで下がる。塩見進・大阪市立大教授らのグループがそんな研究結果を米医師会誌(21日発行)に発表する。ビタミンK2剤は骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の薬として普及しており、同グループは「副作用が少ない安価な薬で肝がん抑制の可能性を示せた」という。
ビタミンK2は納豆などに多く含まれる成分。研究の対象となった患者40人は皆、男性より骨がもろくなりやすい女性で、骨粗鬆症と早期のウイルス性肝硬変を併発していた。96年から約8年間、経過を追った。
21人は肝臓を保護する薬剤を使う標準治療に加え、ビタミンK2剤「メナテトレノン」を毎日45ミリグラム飲み、19人は標準治療だけを続けた。その結果、肝がんに進行したのは、K2を飲んだ患者では2人、飲まなかった患者では9人だった。
この結果をもとに1年間に発がんする確率を計算すると、飲んだ患者は1.6%になる。飲まなかった患者は8.8%で、ウイルス性肝硬変になった患者の全国平均(8%前後)に近かった。
小俣政男・東京大教授(消化器内科)は「ビタミンK2が肝がんの再発を抑えることを示す研究が別のグループから発表されているが、今回は肝がんへの進行を抑える効果もうかがわせる。ただ、抗がん剤のように劇的には効かないだろう」と話す。(朝日新聞 2004/07/21)栄養補助食品のビタミンE、心臓疾患予防に効果ない=米調査
【シカゴ26日ロイター】米研究グループの調査によると、栄養補助食品(サプリメント)のビタミンEを服用しても、心臓疾患発症の確率は低下しないことが分かった。
それだけではなく、栄養補助食品のビタミンEを摂取することで、効果が証明されている薬剤の使用や、健康的な生活スタイルは必要ないとの誤った認識に陥る可能性があるという。
調査は、1990年以後行われた7つの研究結果をまとめたもので、栄養補助食品のビタミンEを服用しても心臓血管系の疾患は予防されなかった、と結論づけている。
研究を率いたレイチェル・アイデルマン氏は、食物から摂取されたビタミンEは、老化防止の作用を持つと言われ、コレステロールが動脈をふさぐことを予防すると考えられているが、栄養補助食品の形で摂取しても同様の効果が得られないことがこの調査で分かった、と述べた。(ロイター通信 2004/07/27)日本産ヒジキ食べないよう勧告 英政府、ヒ素含有と発表
英食品規格庁は28日、日本から輸入したヒジキをサンプル調査した結果、発がん性が指摘されている無機ヒ素が、他の海藻に比べ高い濃度で含まれていることが分かったとし、英国民にヒジキを食べないよう勧告すると発表した。
同庁は「ヒジキを時折食べたことがあっても、発がんの危険が著しく高まることはないだろう」と指摘。現段階では販売禁止に踏み切るのは適当でないとし、今後の対応を欧州連合(EU)の欧州委員会とも協議するとしている。
発表によると、調査したのはヒジキのサンプル9例。無機ヒ素の含有量は他の海藻食品では1キロ当たり0.3ミリグラムの検出可能な限界量に満たなかったのに対し、ヒジキは販売段階の乾燥物で同66.7−96.1ミリグラム、水洗い後は同5.1−22.7ミリグラムだった。
同庁は、カナダの食品当局が行った調査でヒジキにヒ素が含まれているとの結果が出たことを受け調査。カナダの結果と一致するデータが得られたという。
同庁はヒジキについて英国民に対し、日本料理店などで使われるほか、健康食品店やアジア食品店などで売られていると説明している。(共同)(産経新聞 2004/07/28)加は3年前にヒジキで勧告 ヒ素含有で食用回避を
日本産ヒジキを調査した結果、他の海藻より高濃度の無機ヒ素が含まれるのでヒジキを食べないよう促した28日の英国政府の勧告に先立つ約3年前の2001年10月に、カナダ政府が同様の勧告をしていたことが分かった。
カナダ食品検査局の当局者らによると、海藻類など自然食品を愛好する住民の体内から多量のヒ素が検出されたと、1999年に医師から通報があったという。
検査局が海藻各種をサンプル調査した結果、ヒジキの無機ヒ素含有量がコンブ、ノリなどと比べ「かなり高い」ことが判明し、「ヒジキの消費回避」を呼び掛ける勧告を出した。
勧告は「ヒジキ消費と関連付けられた疾患はこれまでにない」としながらも、無機ヒ素が発がん性やさまざまな疾患との関連が疑われていると指摘した。
検査局当局者は「勧告は今も有効だが、どんな措置を取るかは(ヒジキの)輸入業者次第」としている。
一方、英食品規格庁の28日の勧告を受け、ロンドン市内にある日本食料品店は「状況を見ながら対応を検討する」と当面静観の構え。別の業者は「今のところ行政指導はなく、むしろ日本でどうなるのか知りたい」と話していた。(共同)(産経新聞 2004/07/29)食べ過ぎなければ大丈夫 厚労省がヒジキのQ&A
ヒジキに高濃度の無機ヒ素が含まれているとして、英食品規格庁が自国民に食べないよう勧告したのに対し、厚生労働省は30日、「極端に多く摂取せず、バランスの良い食生活を心掛ければ健康リスクが高まることはない」と反論するQ&Aを同省ホームページに掲載した。
その中で、日本人のヒジキ摂取量は1日当たり0.9グラムと推計。英国の調査で最も高濃度だったサンプルで計算しても、体重50キロの人の場合、その約5倍の4.7グラム以上を毎日食べ続けなければ、世界保健機関(WHO)が定めた1週間の暫定許容量を超えることはない、としている。
また海藻中のヒ素による健康被害の報告はなく、ヒジキに含まれるヒ素の国際基準は設定されていないことも説明した。(共同通信 2004/07/30)希少糖にがん細胞の抑制効果 増殖が半分以下、香川大教授
自然界に微量しか存在しない希少糖に、がん細胞の増殖を抑制する効果があることが、香川大の徳田雅明教授(細胞情報生理学)の研究で2日までに分かった。副作用がない治療薬としての実用化を目指している。
希少糖はブドウ糖などと同じ糖の一種。徳田教授は、人間のがん細胞を使って実験。シャーレにまいた約1万個の肝臓がん細胞に、さまざまな種類の希少糖を加え、細胞数の変化を観察した。
その結果、「D─アロース」という希少糖を入れると、がん細胞は3日後に約1.7万個と、増殖が通常の半分以下に抑制された。卵巣がんの細胞でも、同様の効果を確認したほか、白血病の細胞の一部では細胞数が減少、細胞を殺す効果があるらしい。(共同通信 2004/08/02)「緑茶で胃がん予防」女性で確認 厚労省研究班が調査
緑茶をよく飲む女性では胃がんになるリスクが低くなっていることが、厚生労働省の研究班(班長・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)による大規模な疫学調査で明らかになった。男性では効果ははっきりしなかった。緑茶のがん予防効果については、これまで肯定、否定両方の報告があったが、今回は過去最大規模の調査だ。
研究は、全国7地域の40〜60代の男女約7万3000人を、7〜12年にわたって追跡して調べ、胃がんになった人と、そうでない人の1日の緑茶の飲量を比べた。
その結果、1日当たり5杯以上飲む女性は、1杯未満の女性に比べて、胃がんになるリスクが33%低かった。男性では統計的な差がみられなかった。喫煙など他の要因の影響を除ききれなかったことが、考えられるという。
特に胃の下部3分の2にがんができるリスクでは、1日5杯以上飲む女性は1杯未満の女性の約半分だった。
ただ、熱い飲み物は食道のがんや炎症を引き起こすことが知られているため、同研究班は「飲むときにはぜひ少し冷まして」と呼びかけている。(朝日新聞 2004/08/04)20−30歳代男性、動脈硬化2倍に 脂っこい食事のせい
心臓の筋肉に血液を送る冠動脈に動脈硬化が起こる割合は、20−30代男性で1980年前後から90年代前半の十数年間に2倍以上になったことが、由谷親夫岡山理科大教授(臨床検査病理学)らの研究で分かった。
病理解剖された約1000人の血管を詳細に調べ、過去の同様の研究と比較した。この傾向はその後も続いているとみられ、狭心症や心筋梗塞(こうそく)などがさらに増える可能性を示すデータといえそうだ。
冠動脈の動脈硬化は、血管の内側の壁にコレステロールがたまり、脂肪分が沈着。血管が硬くなったり狭くなったりして進行し、狭心症などの虚血性疾患につながる。
由谷教授らは、40歳未満でがんなどで亡くなり、91−95年にかけて全国65病院で病理解剖された人の約1000の冠動脈を無作為に調査。78−82年にかけて亡くなった人を対象にした旧厚生省研究班の別の調査結果と比較した。
血管の壁に動脈硬化が起きている部分の割合の平均は20代男性で約2.4倍、30代男性で約2.3倍にそれぞれ増加していた。
女性は30代でほぼ横ばいだったが、20代では逆に減少していた。
由谷教授は「動脈硬化が進んだケースは血液中の総コレステロール値が高い。動物性脂肪の過剰摂取など食生活が原因だろう。学童期から肥満の子らのコレステロール値を調べるといった対策を考える必要がある」と話している。<動脈硬化> 動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして柔軟性を失う病気の総称。心臓や脳、四肢などの動脈の壁にコレステロールなどからできた柔らかい、かゆ状の物質が沈着して進行することが多い。血管が狭くなって血栓やかいようをつくり、狭心症や心筋梗塞(こうそく)、大動脈瘤(りゅう)などにつながる。年齢とともに起きやすくなるが、食生活など生活習慣との関連も深いとされる。(中日新聞 2004/08/04)
牛乳1日250cc以上飲むと...大腸がんの危険性下がる?
欧米の約53万人の健康状態を6―16年間にわたり追跡調査したところ、牛乳を1日に250cc以上飲む人たちは、大腸がんの危険度が15%低く、カルシウムを1日700ミリ・グラム以上摂取する人たちも危険度が20%程度低かったことが、米ハーバード大学チームの研究でわかり、米国立がん研究所誌で報告した。
米国、カナダ、オランダ、スウェーデン計4か国で行われた10件の追跡調査を詳しく分析した。
それぞれの追跡調査では、自己記入の質問票でふだんの食生活を調べた。回答にもとづいて、カルシウムや、その他の栄養素の1日摂取量を計算した。
対象者の4992人が大腸がんになったが、牛乳を1日70cc未満しか飲まないグループを1とすると、飲む量が増えるごとにがんの発生割合は下がり、250cc以上飲むグループでは0.85だった。
また、カルシウムの1日摂取量が500ミリ・グラム未満のグループを1とすると、摂取量が増えるにつれて、大腸がんの発生割合はおおむね0.8より低く、700ミリ・グラム(丸干しイワシ2匹相当)以上摂取したグループだと0.74だった。(読売新聞 2004/08/09)抗がん物質精製に成功 生物資源研の根路銘氏ら
ウイルス研究の権威で北部農林高校後援会付属生物資源利用研究所長の根路銘国昭氏は12日午前、那覇市小禄の沖縄産業支援センターで記者会見し、県産植物を原材料に、抗がん作用のある物質の精製に成功したと発表した。根路銘氏は「経口投与でがんに効果のある成分の発見は世界で初めて」と語り、英国の科学専門誌「ネイチャー」に近く投稿する予定という。
沖縄県産のセンダン、ショウキズイセンからそれぞれ抽出した物質の毒性を取り除き、「RE110」「RE310」という成分の精製に成功。マウスの実験でがん細胞の縮小が確認され、副作用も見られていない。39種類のヒトのがん細胞にも効果が見られたという。それぞれの成分で精製・大量生産技術などの特許も取得済みで、商品化への態勢を整えている。抗がん作用のあるほかの県産植物の研究にも取り組んでいる。
根路銘氏は「病院向けの医薬品や漢方の開発を考えており、世界を視野に入れた開発を進める。また、県内の零細健康食品関連企業にも提供し、発展につなげられれば」と説明。現在、名護市の水耕八重岳、勝山シークヮーサーがRE110を使った清涼飲料水の開発に取り組んでおり、9月末の商品化の見込みであることを明らかにした。
根路銘氏は沖縄産学官共同研究推進事業の一環で、沖縄を中心とした亜熱帯地域に分布する陸上、海洋生物資源の中から、がんの予防、機能食品などの共同研究に取り組んでいる。同研究には琉球大学熱帯生物圏研究センター、癌(がん)研究会癌化学療法センターなどが参加。根路銘氏がプロジェクトリーダーを務めている。◇新抗がん作用物質開発に有望/吉見琉大教授
植物からがんを予防する成分抽出の研究をしている琉球大医学部の吉見直己教授(腫瘍病理学)は「実際のデータを見ないと何とも言えない」とした上で「同様な研究は多いが、新しい抗がん作用のある物質の開発に向けた研究としては有望ではないか」と話した。
センダン センダン科の落葉広葉樹。九州や南西諸島に自生し、東アジアや東南アジアの熱帯から亜熱帯に広く分布。果実は鎮痛剤、駆虫剤などに用いられる。成長が早く二酸化炭素の吸収力に優れているといわれている。(琉球新報 2004/08/12)不老への期待膨らむ? 長寿を後押しするたんぱく質発見
長寿にかかわる新しいたんぱく質が見つかった。国立遺伝学研究所(静岡県三島市)の広瀬進教授(発生遺伝学)らが、ショウジョウバエで確認、人にもこのたんぱく質があることを突き止めた。長寿の一端を担う物質の1つが明らかになったことで、不老に近づけるのではとの期待が膨らむ。12日付の欧州科学雑誌「EMBOジャーナル」電子版で発表した。
生体内では老化やがんの発症につながる活性酸素が常に作られているが、AP1と呼ばれる物質が活性酸素の作用を抑えていることが知られている。新しく見つけたたんぱく質「MBF1」は、このAP1を活性化するのに、重要な役割を果たしていた。
広瀬教授らは、MBF1遺伝子を失わせたハエと多く持つハエ、通常のハエに活性酸素を作用させ違いを調べた。通常のハエが約95時間で半数が死んだのに対し、MBF1を失わせたハエは約70時間、多く持つハエは約105時間で、寿命が左右された。
広瀬教授は「生体はもともと、長寿の仕組みを持っているが、今回見つけたのはその1つ。長寿の薬の実現に、一歩近づいた」と話している。(朝日新聞 2004/08/13)アガリクス、アロエは健康によい? データを公開
健康食品で健康になれるの──。「にがり」や「アガリクス」など広く使われている健康食品について、有効性と安全性の科学的な根拠を示そうと、独立行政法人「国立健康・栄養研究所」(東京都新宿区)が、約100種類の食品に関するデータをホームページで公開した。
例えば、ビフィズス菌は腸内に多量にあると「栄養成分の吸収が健全に行われる」、アロエは「便秘に対してはおそらく有効」などとした。
一方、虫歯の原因になりにくいと認められ、ガムなどに含まれているキシリトールは「妊娠中・授乳中では、摂取量の安全性について十分なデータがなく使用を避ける」としている。
「抗がん効果がある」などといわれるアガリクスについては、マウスでの実験結果を紹介する一方、「ヒトでの有効性と安全性については信頼できるデータが見当たらない」と説明。また、「肝臓の機能を高める」といわれるウコンについては、「消化不良に対しては一部にヒトでの有効性が示唆されている」としながら、データは不十分だという。
誤解されている例として、ダイエットに有効とブームになりつつある「にがり」について、「多量に摂取すると下痢になる可能性がある」「重大な健康被害が出た事例もある」と指摘している。
また、呼吸困難が報告されたアマメシバに関する健康被害情報のほか、ダイエットや、強壮・強精効果などをうたいながら、医薬品成分が含まれていたとして、過去に摘発された健康食品も列挙した。
同研究所の梅垣敬三健康影響評価研究室長は「健康食品は、あやしい情報があふれている。科学的なデータがあるものはきちんと評価し、誤解をなくしたい」と話している。(朝日新聞 2004/08/16)参照:「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所) 遺伝子発現 がん細胞核内で抑制 リボ核酸入れ成功
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)と東京大の研究グループは、リボ核酸(RNA)をがん細胞に入れ、核の中で遺伝子の働きを抑制することに成功。がん細胞の増殖を阻害することも確認し、15日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
RNAを使い遺伝子の発現を妨げる「RNA干渉」という技術で、細胞質内では既に成功している。しかし、核の中で抑制した方が効率的で、産総研の多比良和誠ジーンファンクション研究センター長(東大教授)は「核と細胞質の2段階で抑え、より確実にがん細胞の増殖を阻害することも可能になる。RNAを使った薬の開発につなげたい」と話している。
多比良氏らは、短い2本鎖RNAを、独自に開発したベクター(運び役)で人の乳がん細胞に導入した。すると、核内でDNAにメチル化という反応が発生。遺伝情報がメッセンジャーRNAに写し取られる際に関係するプロモーターが機能を失い、がん細胞増殖にかかわる遺伝子が発現できなくなった。(中日新聞 2004/08/16)ビタミンEは高齢者を風邪から守る=米の研究
【シカゴ17日】高齢者がビタミンEを毎日服用すれば普通の風邪を引かないで済む可能性が大きくなるとの研究結果が米国医学会報(JAMA)最新号に発表された。研究は養老院に入っている65歳以上の高齢者450人以上を対象に1年かけて行われ、その半分に200国際単位(UI)のビタミンEが毎日投与された。
その結果、ビタミンEのサプリメントを投与されたグループでは風邪の件数が目立って少なく、プラセボ(有効成分のない偽薬)を与えられたコントロールグループに比べ、風邪にかかるリスクが20%低いことが判明した。ただし、このサプリメントは急性気管支炎、急性肺炎、季節的なアレルギーには効果がないもよう。
研究を行ったボストンのタフト大学の研究者たちは、高齢者が普通の風邪を引けば他の病気にかかりやすくなるため、この研究は高齢者の福祉のために意味するところが大きく、一層の研究に値すると述べている。〔AFP=時事〕(時事通信 2004/08/18)嬉野茶を米国でPR 「緑茶が痴ほう防止に効能」 来月、国立衛生研究所で
【佐賀】嬉野町と地域づくりなどで提携している佐賀女子短期大の長谷川亨教授(公衆衛生)が、緑茶がアルツハイマー病など痴ほう防止に効能があることを示唆するデータ結果を、アメリカの国立衛生研究所(NIH)で9月3日、発表する。長谷川教授は、会場に嬉野茶を配布して「嬉野町」のアピールも行うという。
研究は1998年から2年間かけて、福岡大学医学部の山田達夫教授と共同で実施。佐賀市の福祉施設に通所している60―90代までの高齢者約500人を対象に、1日に飲む緑茶の量を測定。その上で、痴ほう度をチェックする脳機能検査したところ、緑茶を飲む量が多い人ほど、脳機能が高く痴ほう症になりにくいことを示唆するデータを得た。2000年に学会でも発表している。
今回は、国立衛生研究所で、神経科学分野では第一人者のマーク・マットソン教授が、長谷川教授を招待。9月3日、同研究所で開かれるセミナーで「緑茶の抗神経変性作用」と題して講演する。また、会場では、嬉野茶の葉っぱを配布し、緑茶のいれ方を指導するという。長谷川教授は「アメリカで普及しているティーパックでは効果が薄い。ぜひアメリカでも葉っぱでいれる茶の習慣を広げたい」と話している。(西日本新聞 2004/08/21)チョコレートに心臓病の予防効果 学会で発表
ドイツ・ミュンヘン(AP)色の濃いチョコレートが血管を柔軟にし、心臓病などの予防効果を生んでいるとの研究結果が29日、ミュンヘンで開かれた心臓病学会で発表された。
ギリシャの心臓病学者たちが、17人の若者に色の濃いチョコレートを食べさせ超音波測定をした。その結果、少なくとも3時間にわたって、心臓血管を健康な状態に保つのに重要な細胞の機能が向上したことがわかったという。
ミルクなどの量が少ない、色の濃いチョコレートに豊富に含まれるフラボノイドが、心臓血管壁の細胞の劣化を防ぐ酸化防止物質として機能していることが原因だという。
ただし、大量のチョコレートの食べて体重が増加した場合は、こうした望ましい効果は帳消しになるだろう、としている。(CNN 2004/08/30)大気汚染と騒音は心臓発作のリスク高める=欧州の学会で発表
【ベルリン1日】大気汚染と騒音公害は心臓発作のリスクを高めるという2つの研究結果が1日、ドイツ・ミュンヘンで開催中の欧州心臓病学会総会で発表された。
ドイツ南部のノイヘルベルクに本部を置くGFS環境・保健研究センターのシュテファニー・フォン・クロット氏は、大気汚染の程度と病気発生の頻度には直接的な関係があり、心臓発作の既往症のある人の場合は入院す率が高まると報告した。大気汚染が現行の法的上限より低くてもリスクが増大するという。例えば、大気中のディーゼル排出物が少し増えただけで入院件数が2.5%増加する。
この研究は欧州連合(EU)の支援の下にアウクスブルク、バルセロナ、ヘルシンキ、ローマ、ストックホルムに住む2万2000人の患者を対象に行われた。
一方、騒音についてベルリンのチャリテ大学病院のシュテファン・ウィリヒ教授は、持続的騒音にさらされれば心臓発作のリスクは140%高まると述べた。特に女性が家庭で一定レベル以上の騒音に持続的に直面した場合、そのリスクが増大するという。この調査は過剰なレベルの騒音にさらされた心臓病患者4115人を対象に行われた。〔AFP=時事〕(時事通信 2004/09/02)オメガ3脂肪酸がアルツハイマーを防ぐことをマウスで証明
魚油に多く含まれている「オメガ3脂肪酸(n-3系多価不飽和脂肪酸」の健康効果はすでによく知られているが、アルツハイマー病による脳の損傷を防ぐ働きが注目されている。
このメカニズムを探るために、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部の神経学教授、グレッグ・コール博士が、マウスを使って実験した。9月1日、雑誌「ニュ−ロン(神経細胞)」で発表された論文によると、遺伝子変異でアルツハイマ−様症状の脳損傷が起きるようにしたマウスに、ソイ(大豆)とフィッシュオイルをたっぷり含んだエサを与えたところ、マウスに記憶障害、または、脳損傷が見られなかったという。
特に、脳細胞をつなぐシナプシス(神経の情報が伝わる連接部)の損傷が起きず、アルツハイマー病様の症状が起きなかった。
次に研究者たちは、マウスのエサから大豆とフィッシュオイルを抜いて、代わりに、紅花油を入れて与えた。紅花油はオメガ6脂肪酸は多いが、オメガ3脂肪酸はほとんどない。その結果、紅花油のエサを食べたマウスでは、シナプシスの損傷がひどく、ちょうど、人間のアルツハイマー病患者と似た症状を呈した、という。(日経ヘルス 2004/09/07)カレーでアルツハイマー予防、金沢大教授ら効果発見
カレーの黄色成分で、ウコンに含まれる「クルクミン」が、アルツハイマー病の原因となる物質の生成を防ぐ効果のあることが、金沢大大学院の山田正仁教授(神経内科)と小野賢二郎医師らの研究でわかった。
新たな治療薬の開発につながるほか、痴呆(ちほう)予防に役立つ食生活改善法に生かされそうだ。成果は都内で開かれる日本痴呆学会で30日発表される。
アルツハイマー病は、脳内で「アミロイドベータ(Aβ)」という物質が線維状に結合して毒性を持ち、付近の神経細胞が死んでいくのが原因とされる。現在、病気の進行をくい止める決定的な治療法はない。
研究チームはAβを含む溶液にクルクミンを加え、線維化が大幅に抑えられることを確認した。すでに線維化したAβにクルクミンを加えると線維が分解した。赤ワインに含まれるポリフェノールや、ハーブの一種のローズマリーでも同様の効果が得られたという。
カレーをよく食べるインド人は米国人に比べアルツハイマー病の発症率が4分の1しかないことが知られ、クルクミンを混ぜた餌で育てたマウスは発症しにくいことが示されている。
研究チームは「クルクミンにアルツハイマー病を防ぐ直接の効果があることがわかった。食生活の改善で発症を遅らせられるかもしれない」と話している。(読売新聞 2004/09/08)ブルーベリーでコレステロールが下がった
ブルーベリーは抗酸化作用により、数多くの病気の予防に有効なことが知られているが、今度はコレステロール値を下げる働きがあることがわかった、と米農務省の化学者、アグネス・リマンド博士が報告した。
同博士は、ブルーベリーに含まれるいろいろな化学物質を、ラットの肝臓の細胞に作用させて反応を見た。その結果、ブルーベリー中の化学物質「テロスティールビーン」が、悪玉コレステロール「LDL」の降下に重要な役割を果たしている肝臓細胞の受容体を活性化させ、LDL値を下げる働きをすることを突き止めた。
その働きの程度は、薬剤の「シプロファイブレート」(ciprofibrate)とほぼ同じだという。(日経ヘルス 2004/09/08)アシタバは血糖値を下げる タカラバイオ、学会発表へ
タカラバイオは8日、同社が健康食品として販売している青物野菜のアシタバに含まれる「カルコン」と呼ばれる2種類の黄色色素に血糖値を下げる働きがあることが分かった、と公表した。9日に神戸市で開かれる日本生薬学会で発表する。
マウス実験でカルコンを経口投与し、予防や治療効果を確認した。今後、同色素を含む食品や医薬品の開発を目指す。
同社は昨年、アシタバに血糖値を下げる物質が含まれていることを発見し、物質の特定を進めていた。今回、キサントアンゲロールと4−ハイドロキシデリシンと呼ばれる2種類のカルコンに血糖値の低下作用があることが分かったという。
2つのカルコンには、細胞が脂肪細胞に分化するのを促す働きがある。脂肪細胞はグルコースを細胞に取り込み、血糖中の糖濃度を下げるため、糖尿病の改善や予防につながる。マウス実験では、カルコンを経口投与すると、血糖値が3割前後下がった。
同社は、京丹後市や鹿児島県などでアシタバを年間400トン生産加工できる体制を整えており、幅広い製品群をそろえる方針。(京都新聞 2004/09/08)ラベンダーの香りで心機能改善? 千葉大教授ら研究
ラベンダーオイルの香りをかいで心身の健康を図るアロマセラピー(芳香療法)に、心機能を改善する効果があることが、千葉大の小室一成教授らの研究で分かった。薬に頼らず、狭心症患者らの症状緩和が期待できるという。13日から京都市で始まる日本心臓病学会で発表する。
運動をした場合、心臓に酸素や栄養を送る「冠動脈」の血流量を増やす必要がある。健康な人は四倍前後に増やせるが、狭心症患者は2倍以下にとどまり、激しい運動をすると心筋梗塞(こうそく)で死に至る恐れもある。
研究では、健康な男性11人(平均34.4歳)を対象に(1)30分間の安静後(2)ラベンダーの花から抽出したオイルを温め香りを拡散させた部屋で30分間安静にするアロマセラピー後──にそれぞれ冠動脈を拡張する薬剤を投与し、運動をした後と同じ状態にして血流量が何倍になるかを比較した。
その結果、安静にしただけでは平均4.5倍前後だった血流量が、アロマセラピーの後は平均5.3倍に上昇。〔共同〕(日本経済新聞 2004/09/11)飲酒で乳がんの危険3倍 女性ホルモン増え
1日に缶ビール(350ミリリットル)1本に含まれる程度以上のアルコールを飲む女性が乳がんになる危険は、まったく飲まない人の約3倍−との大規模疫学調査結果を、菊地正悟愛知医大教授(公衆衛生学)らが14日までにまとめた。29日から福岡市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。
林桜松・同大講師は「多量の飲酒で、乳がんの増殖に関与しているエストロゲンという女性ホルモンが多くなるためではないか」と話している。
全国24地域に住む40−79歳の女性約3万6000人を平均7年半、追跡調査した。
その結果、調査期間中に乳がんになったのは151人。飲酒によるアルコール摂取量が1日平均15グラム以上の人は、飲酒しなかった人に比べ2.93倍、乳がんになりやすいことが分かった。(共同通信 2004/09/14)魚よく食べると乳がんリスク4割減 文科省研究班調査
魚を多く食べる人はあまり食べない人に比べ、乳がんにかかるリスクが4割以上低いことが、文部科学省の研究班の調査でわかった。魚に含まれる脂肪の成分で、脳の働きをよくすると言われるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)の働きによるものらしい。29日から福岡市で開かれる日本癌(がん)学会で発表される。
DHAやEPAは動物実験では、がんの抑制効果があることが確かめられている。だが、人間での効果はこれまではっきりしなかった。
研究班は88〜90年に、全国の40〜79歳の女性約2万5400人を対象に、魚をどのぐらいの頻度で食べるかなど食生活についてアンケートした。その後7年半にわたって健康状態を追跡したところ、127人が乳がんになった。
魚に含まれる魚介性脂質に注目した場合、魚を「週1〜2回以下」とあまり食べないグループに比べ、「ほとんど毎日」食べるグループは、乳がんの発生率が43%低かった。植物性脂質の摂取量は関連性がなかった。
調査を分析した愛知県がんセンター研究所の若井建志・がん予防研究室長は「脂肪の摂取量が多いと乳がんにかかりやすいと言われるが、魚に関しては逆のことが言える。日本人の乳がん罹患(りかん)率が欧米に比べ低いのは、魚を多く食べることも関係あるのでは」と話している。(朝日新聞 2004/09/17)脳梗塞:長時間ほろ酔い気分が続く人は注意
体内でアルコールを分解する酵素「ADH2」の活性が弱い男性は、強い男性より脳梗塞(こうそく)になる危険性が2倍以上高いことが日本医科大と国立長寿医療センターの大規模な疫学研究で21日、分かった。ADH2は酒の強弱とは直接関係ないが、活性が低い人はアルコールが分解されにくい。研究グループの太田成男・日本医大教授(細胞生物学)は「長時間ほろ酔い気分が続く人は脳梗塞に注意した方がいい」と指摘している。
ADH2の活性は両親から受け継いだ遺伝子で決まり、日本人の約4割は活性の低い型を持っている。脳梗塞の遺伝的な危険因子が明らかになったのは初めて。女性では顕著な差はみられなかった。研究結果は来月発行の米神経学会誌に掲載される。
グループは97年から愛知県で、無作為抽出した住民2267人を対象に、老化に関するさまざまな疫学調査を続けている。今回、MRI(磁気共鳴画像化装置)検査で脳梗塞が認められた男性136人、女性79人に対し、肥満度や血中コレステロール濃度、喫煙や飲酒の有無などとの相関を調べた。
年齢の影響を補正した結果、男性ではADH2の活性が弱い人は強い人に比べ、2.16倍も脳梗塞になった割合が多かった。従来から危険因子とされてきた中では、高血圧の2.4倍に次いで高いリスクだという。女性で差がみられなかったのは、女性ホルモンがADH2を活性化する働きがあるためだとみている。
太田教授は「日本人に脳梗塞が多いのは塩分の取りすぎが原因だなどと言われてきたが、遺伝的要因がかなり大きいことが分かった。自分の体質を理解し生活習慣を改めれば、かなり予防できるのではないか」と話す。【西川拓】(毎日新聞 2004/09/21)肺がん発生率:幹線道路近くの住人で高く 胃がんも
幹線道路から50メートル以内に住んでいる人は肺がんや胃がんになるリスクが高いことが、千葉県がんセンター研究局疫学研究部の三上春夫部長らの調査で分かった。男性の肺がんで1.76倍、男女の胃がんで1.68倍、それぞれ発生率が高くなっているという。29日から福岡市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。
三上部長らは90〜94年に同県内のある市で胃、大腸、肝、子宮、乳房のがんと診断された人のうち、12時間の交通量が5000台以上の幹線道路から500メートル以内に住む528人について、幹線道路からの距離を精密に計測した。
続いて、当時の国勢調査に基づいた人口と実際の患者数から、500メートル以内に住む人のがん発生率を割り出した。これをもとに50メートル以内の発生数を予測し、実際の患者数と比べた。
この結果、予測発生数と実際の患者数は、男性の肺がんで9.64人と17人、男性の胃がんで22.01人と37人、女性の胃がんで12.54人と21人だった。幹線道路から50メートル以内に住む人はより遠くの住民よりも、発生率が男性の肺がんで1.76倍、男女の胃がんで1.68倍高いことになる。
他のがんでは、女性の肺がん2.00倍、男性の大腸がん1.32倍、女性の大腸がん1.62倍、男性の肝がん1.46倍、女性の肝がん1.19倍、乳がん0.87倍、子宮がん1.04倍──との結果だったが、患者数が少ないなどで統計的に意味のある数字にならなかった。
三上部長は「50メートル以内に住むがん患者の年齢は全県平均より若く、交通量の多い幹線道路特有の事情があると考えられる。自動車の排ガスに含まれる有害成分が関与しているとみられるが、胃がんでもリスクが高くなっているので、単純に吸入だけの影響ではないようだ」と話している。【吉川学】(毎日新聞 2004/09/24)たくさん食べても効果同じ 魚の大腸がん予防で調査
魚をたくさん食べても大腸がん(直腸がん、結腸がん)の予防効果は強まらないとする大規模疫学調査の結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部部長)がまとめた。米国の医学専門誌に27日までに掲載された。
研究班は、40−60代の男女約9万人を7−10年間にわたり追跡調査。魚を食べる量が最も少ないグループは男性が1日平均約80グラム、女性が同70グラムだったが、最も食べているグループ(男性同200グラム、女性同140グラム)でも、大腸がんになる危険性は変わらなかった。
魚に多く含まれる脂肪酸で、がんが予防できるのではないかと期待されており、日本人では乳がんの危険性を減らすとの疫学調査結果がある。(共同通信 2004/09/27)葉酸が大腸がん予防に効果 九大、患者らの遺伝子解析
ホウレンソウなど葉物野菜に多い葉酸と呼ばれるビタミンが、大腸がん予防に効果があることを九州大の古野純典教授(予防医学)らの研究グループが大規模な疫学調査で裏付けた。29日から福岡市で開催される日本癌学会で発表する。
古野教授らは、福岡県内の医療機関8施設に入院した大腸がん患者685人と、一般住民778人について、体に取り込まれた葉酸の変化に関係する遺伝子を解析した。
葉酸は体内で次々と形を変えていくが、その過程で遺伝子を安定させる物質になる段階がある。がんは遺伝子異常で起きるため、葉酸がこの物質の形で多くとどまるほどがんが起こりにくくなる。この物質のままとどまりやすい程度には遺伝子の特定部位の型によって個人差があり、とどまりやすい型の人は一般住民で17.1%いたのに対し、患者では12.4%とやや少なかった。(共同通信 2004/09/28)糖尿病でがんの危険増加 生活習慣改善で予防も
糖尿病の患者や患ったことのある人は、膵臓(すいぞう)や肺などさまざまな臓器のがんになる危険性が最高で4.2倍も高いとの調査結果を、愛知県がんセンターの栗木清典研修生らが、福岡市で開催中の日本癌(がん)学会で30日発表した。
栗木さんは「多量の飲酒や運動不足、偏った食生活などは、糖尿病や、がんにつながる。生活習慣の改善が効果的だ」としている。
1988−2000年に同センターを受診した人のうち、がん患者約1万2000人と、がんではなかった約4万8000人を比較。本人や家族の糖尿病歴とがんとの関連を調べた。
糖尿病患者か患ったことのある人では、女性が歯茎のがんになる危険が4.2倍と最も高かった。ほかに、男女を問わず肝臓がんになるリスクは約2.2倍、肺がんは約1.5倍。男性に限ると、飲酒や喫煙と関連する咽頭(いんとう)がんや膵臓がんで2倍強、食生活の偏りや運動不足とかかわる大腸がんが1.3倍だった。(共同通信 2004/09/30)リンゴのポリフェノール、筋力増強や脂肪減少の効果
アサヒビールと日本体育大学大学院の中島寛之教授らの共同研究で、リンゴから抽出されるリンゴポリフェノールに、筋力を増し、内臓の脂肪を減らす働きがあることが明らかになった。
赤ワインや黒豆などに含まれるポリフェノールは老化やがんの要因とされる活性酸素を除去する働きが知られているが、筋力増強や脂肪減少などの効果が明らかになったのは初めてという。
アサヒは、年内にも人を対象とした実験で効果を確かめ、早ければ2005年にもサプリメントや飲料などでの商品化を目指す。
リンゴのポリフェノールは果肉にもあるが、特に皮の部分に多く含まれているという。アサヒと中島教授らは、リンゴポリフェノールを5%混ぜた固形エサを3週間与えたマウスと、普通の固形エサを与えたマウスを比較した。その結果、ポリフェノール入りを食べたマウスは、普通のエサのマウスより筋力が16%高く、内臓脂肪は27%少なかったという。
アサヒは、ポリフェノールに内臓脂肪の分解を助ける働きがあるとしているが、筋力アップのメカニズムは、よく分かっておらず、今後の研究課題という。
アサヒは「筋力アップや体脂肪率抑制が必要な運動選手に効果が期待できる」としている。(読売新聞 2004/10/04)魚よく食べる人、自殺しにくい?=リスク8分の1−日中共同研究
魚をよく食べる人は、そうでない人より自殺のリスクが低い−。こんな研究結果を富山医科薬科大と中国・大連医科大の共同研究チームがまとめ、米国の医学専門誌「バイオロジカル・サイカイアトリー」に発表した。
研究チームは2002年4月から7月にかけ、大連医科大の救急病棟に入院した自殺未遂者100人と、事故で入院した患者100人の血液を採取。魚の油に含まれる脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の赤血球中の濃度を測定した。
両群を比較すると、自殺未遂者の方がEPA、DHAとも濃度が低かった。EPAの場合、200人を濃度の低い順に4グループに分けると、第1グループに自殺未遂者が最も多く、濃度が高いほど減少。第1グループの自殺リスクを1とすると、第4グループは約8分の1の0.12だった。
また、DHAの場合も同様に、第1グループのリスク1に対し、第4グループは0.21という結果が出た。(時事通信 2004/10/18)ウオーキングでぼけ防止
楽な速さで毎日規則的に歩いているお年寄りは、頭がシャープで、痴呆を起こしにくいことを証明する研究が発表された。
1つは、ハーバード大学公衆衛生学部の疫学者、ジェニファ・ウーブ博士が行った研究者で、70歳から81歳までの高齢女性1万8000人を対象に、体を動かす習慣と健康状態について、12年間追跡調査した。その結果、定期的に、楽な速さで歩いている高齢女性は、頭脳のシャープさなど、一般的な精神的活動が、数年も若いことがわかった。
例えば、1週間に少なくとも6時間歩いている女性は、あまり体を動かしていない女性よりも、痴呆など精神的障害を起こす割合が20%低かった。(日経ヘルス 2004/10/18)森林浴:生理機能を計測し効果実証 世界初 森林総研など
森林浴には、ストレス物質の分泌を抑えたり、血圧を下げたりするなど、体全体をリラックスさせる効果があることが森林総合研究所や九州大などの研究で分かった。森林浴の効果が全身の生理機能の計測によって確かめられたのは世界で初めてだという。東京で開かれる日本生理人類学会で22日、発表する。
森林の香りや風景にリラックス効果があることは昔から知られているが、科学的なデータはほとんどなかった。研究グループは7月、男子学生12人に千葉県内の森林とJR千葉駅前で一定時間過ごしてもらい、その前後で思考をつかさどる脳の前頭前野の活動、リラックスすると低下する血圧、ストレスを受けると増加するだ液中のホルモン「コルチゾール」の濃度などを計測した。
その結果、森林にいるときは都市部にいるときに比べ、コルチゾール濃度が低下し、脳の前頭前野の活動も沈静化した。また、興奮や緊張状態を高める交感神経の活動が弱くなり、最低血圧が下がった。
森林総合研究所生理活性チーム長の宮崎良文さんは「面白いことに、ストレスホルモンや脳活動の抑制は、実際に森林に到着する前から見られた。これから森林に行くという期待感だけでリラックス効果があると考えられる」と話している。【西川拓】(毎日新聞 2004/10/19)お茶の飲用がアルツハイマー予防に効果=英研究チーム
【ロンドン25日ロイター】英ニューカッスル大学の科学者チームが25日、お茶の飲用はアルツハイマー病の予防になる可能性がある、との報告を発表した。ただ根本的な治療にはならない、としている。
研究では、身体的に健康な人が定期的にお茶を飲用した場合、記憶障害の原因となる物質の増加が抑制される可能性があることが分かったという。
研究を率いたエド・オケーロ氏は、「アルツハイマー病の治療法はないが、お茶は予防や症状の進行抑制に有効な物質の1つとなるかもしれない」と述べた。
研究によれば、緑茶や紅茶はアルツハイマー病と関連のある物質の作用を抑制したが、コーヒーでは顕著な効果がみられなかった。(ロイター通信 2004/10/26)出雲そばにインフルエンザウイルス増殖抑制効果
島根県特産の出雲そばの葉、殻にインフルエンザウイルスの感染や増殖を抑制する作用があることが島根県保健環境科学研究所(松江市西浜佐陀町)の持田恭主任研究員(54)の研究で分かった。抗ウイルス剤開発や予防用品への応用の可能性も秘めており、注目を集めそう。
近年、高血圧予防やダイエットなどに効果がある健康食品として注目を集めるソバだが、持田主任研究員は平成11年から「未利用の葉と殻の有効利用」をテーマに研究。殻や葉にインフルエンザウイルスの増殖を抑制する成分が含まれていることを発見した。
IS−117と名付けられた増殖抑制成分は現在特許出願中で、乾燥葉100グラムの粉末中に35ミリグラム程度が含まれている。
研究は抽出液を、Aソ連型とA香港型、B型の3種類のウイルス株で実験した。
その結果、ウイルス増殖の抑制率は葉からの抽出液で95%、殻は63.8%、ソバの粒では23.8%で葉の部分に一番多く含まれていることが分かった。希釈した抽出液でも抑制効果が得られた。また、最近の変異した流行株にも効き目があった。
将来は抗インフルエンザウイルス剤など医薬品開発や、うがい液、キャンデー、マスクなど感染予防用品への広範囲な利用も可能で、特産品のグレードアップに大きな期待がもたれる。
持田研究員は「予想以上の抑制効果があった。まだ解明されていない未知の部分があり、さらに研究を続けていきたい」と話してる。
研究成果は、松江市のくにびきメッセで開催される日本公衆衛生学会総会(27−29日)の2日目に発表される。(山陰中央新報 2004/10/26)ヘルシーリポート:トマトの成分が血糖値を抑える
トマトを用いた調理食品に血糖値上昇を抑える効果のあることが分かった。食品メーカー「カゴメ」の総合研究所と昭和女子大の共同研究で明らかとなったもので、9月の日本健康科学学会で発表された。
研究はリゾットやチキンライスなどトマト(ソース)を使った調理食品と、ご飯(白米)だけの場合とに分けて食後の血糖値の変化を比較。リゾットソースの場合、使わなかった白米飯(炭水化物量41.2グラム)に比べ、炭水化物量が約13%も増えたにもかかわらず、血糖値を低く抑えることが確認された。
また炭水化物摂取を同量(50グラム)にして(1)白米飯(2)完熟トマトとたっぷり野菜のチキンライス(3)完熟トマトのペンネボロネーゼ(4)おにぎりで比較したところ、トマトを用いたチキンライス、ボロネーゼの摂取では45分以降に血糖値は低下を示し60分後には通常の値に戻った。白米飯、おにぎりの場合は2時間後でも通常の血糖値には戻らなかった。
トマトに含まれる酸(クエン酸など)が、でんぷんをブドウ糖に分解するα−アミラーゼの活性を阻害するためで、生活習慣病予防に効果的。単身者でも手軽に利用できる健康法として注目されている。(毎日新聞 2004/10/30)オリーブ油の心臓病予防効果に「お墨付き」 米政府
オリーブ油の成分に心臓病を予防する一定の効果があることを米食品医薬品局(FDA)が認め、商品ラベルで効能をうたうことを今月から許可した。研究データを分析して、1日にスプーン2杯分(23グラム)のオリーブ油で発病のリスクが抑えられると判断した。
動物性脂肪などの代わりにオリーブ油を食べれば、心臓病のリスクが減らせるという。ただし、「総カロリーが増えない範囲内で」との条件つきだ。豊富に含まれる一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)が良い働きをする。
病気を予防する効能をFDAが認める制度が整えられたのは昨年で、これで政府の「お墨付き」を得たのは、ナッツ類、魚の不飽和脂肪酸(いずれも心臓病の予防)に続き3例目となる。(朝日新聞 2004/11/06)ビタミンE大量摂取は「有害の恐れ」、米研究結果
老化の原因になる体内の活性酸素を消す働きがあるビタミンEをサプリメントなどで大量に摂取すると、健康に有害な恐れがあるとする研究を米ジョンズホプキンズ大などがまとめ、10日、米心臓学会で発表した。
欧米と中国で主に高齢者を対象に行われた、計19の臨床試験(患者総数約13万6000人)を分析した。1日に267ミリグラム(400国際単位)以上を摂取すると、最長約7年の追跡期間中の死亡率が、偽薬をのんだ人に比べ約10%高かった。摂取量がその半分以下だと、逆にプラスの効果も推定された。
死亡率が高くなる原因は不明。試験参加者の大半は持病があったため、研究者らはさらに研究が必要と認めているが「無害と分かるまで大量摂取は控えた方がいい」としている。
日本人の1日のビタミンE所要量は成人男性10ミリグラム、同女性8ミリグラムで、摂取上限は600ミリグラム。専門家によると食事から取れるのは10ミリグラム程度だが、サプリメントは1錠で267ミリグラム以上を含む製品もあるという。(共同)(産経新聞 2004/11/11)リンゴで血液サラサラに 効果を検証 発表へ
長野女子短大(長野市)と県農協グループの県農村工業研究所(須坂市)などは、リンゴが血液の流れを良くする効果がある―との共同研究結果を26日に都内で開かれる日本ヘモレオロジー(血流)学会で発表する。
リンゴに含まれる食物繊維のペクチンが、血液中の赤血球の変形能(柔軟さ)を高めることなどが原因と考えられている。
同短大の山浦由郎客員教授(食品衛生学)らによると、研究は、同短大の学生22人を対象に実施。リンゴのふじを1日1個食べるグループと、リンゴ2個分の100%ジュースを1日約200ミリリットル飲むグループ11人ずつに分け、それぞれ1週間摂取した。摂取前と摂取後、摂取をやめて1週間後の3回採血し、毛細血管状の装置で血流の通過時間を調べた。
22人の通過時間の平均値は、リンゴ摂取前の60.8秒から摂取後は53.4秒と、7.4秒縮まり、摂取をやめて1週間後には58.1秒と再び長くなった。
果実を食べ続けたグループは摂取前と摂取後で平均1.1秒の短縮だったのに対し、ジュースを飲み続けたグループは平均25.3秒の短縮だった。山浦客員教授は「ジュースの方がリンゴの摂取量が多く、吸収されやすいことなどが影響しているのではないか」と話している。
この研究チームは02年9月、キノコが血液の流れを良くするとの研究結果も発表している。(信濃毎日新聞 2004/11/17)アルツハイマー予防にリンゴ、毎日1個皮ごと食べる
【ワシントン=笹沢教一】毎日1個のリンゴが、アルツハイマー病など痴呆(ちほう)の予防に役立つ可能性がある。こうした実験結果を米コーネル大などの米韓共同チームがまとめた。
新鮮なものを生のまま皮ごと食べる方が効果が期待できるという。全米化学会の専門誌の来月1日号に掲載される。
研究チームによると、リンゴには高い抗酸化作用を持つ物質ケルセチンが多く含まれる。抗酸化物質には、アルツハイマー病の進行や脳細胞の老化などから、細胞を守る効果があるとされ、抗酸化力の高いケルセチンが特に注目されている。マウスの脳細胞を過酸化水素にさらした状態でケルセチンの効果を調べた実験では、抗酸化作用が高いとされるビタミンCよりも明確に高い効果が確認された。
研究チームは「人の体内での働きなどを慎重に分析する必要がある」とする一方、実験結果をもとにした目安として、「1日あたり少なくとも1個食べれば体内の一定量が確保できる」としている。(読売新聞 2004/11/18)ダイエット成功の秘けつは「睡眠」と「ペット」、米研究
ラスベガス(AP) 減量を目指す人のために、専門家から新たなアドバイスが届いた。「睡眠を十分に取ること」と、「犬を飼うこと」の2つだ。それぞれ米国のチームが研究によって効果を確認し、このほど北米肥満学会(NAASO)に報告した。
睡眠についての研究を発表したのは、コロンビア大のスティーブン・ヘイムズフィールド博士ら。連邦政府が80年代、大人1万8000人を対象に実施した健康調査のデータを基に、一晩の平均睡眠時間と肥満との関係を調べた。
その結果、適切とされる7−9時間の睡眠を取っていたグループに比べ、4時間しか寝ていなかったグループは73%、5時間睡眠では50%、6時間睡眠では23%も、肥満になる確率が増大していたという。
睡眠中はカロリー消費量が落ちるため、寝てばかりいると太ると思われがちだが、長く起きていれば食べる機会も増える。また同博士らによると、最近の研究で、睡眠が足りないと体の食欲調節機能がうまく働かなくなることが分かってきた。睡眠不足によって、食欲を抑えるレプチンの血液中濃度が低くなり、逆に食欲を促進するグレリンの濃度は高くなることが報告されているという。
一方、「ダイエットするなら犬と一緒に」とアドバイスするのは、ノースウェスタン医科大のロバート・クシュナー博士だ。同博士らのチームは、ペットの犬と同時に減量を目指せば効果が挙がりやすいとの研究結果を報告している。飼い主と犬の36組、人間のみ56人、犬のみ53匹を対象に、毎日20分以上の散歩とカロリー制限を勧め、1年間追跡調査をしたところ、犬の飼い主たちは単独で減量に取り組んだ人たちに比べ、わずかながら良い成果を示したという。全体の平均では人間が元の体重の約5%、犬が約15%の減量に成功した。飼い主たちは口をそろえて、「減量を楽しむことができた」「犬も元気が良くなった」と話しているという。(CNN 2004/11/19)唾液が疲れの目安、休養でウイルス減 大学教授ら確認
長めの休暇を取ると唾液(だえき)に含まれるヘルペスウイルスが減ることを、東京慈恵会医科大の近藤一博教授(微生物学)らが確認した。仕事による疲労がウイルス量に反映している可能性があるといい、見えない疲労度を評価する目安に応用できそうだ。横浜市で21日から始まる日本ウイルス学会で発表する。
着目したのは、1歳までにすべての人に感染し、体内にいる「ヒトヘルペスウイルス6」。幼児期には熱性けいれんを起こすことがあるが、大人は病気にならない。
20〜40代の男女の研究者や会社員計20人に、今年の黄金週間に1週間の休暇をとってもらい、仕事や旅行を控え、なるべく室内で静養してもらった。連休の前後に2回ずつ唾液を採取。同じ日に全員を検査できた3回分を比較すると、休暇前には18人と17人からウイルスが検出されたのに、休暇直後では4人しか検出されなかった。
近藤教授は「休養を取ることで、仕事の疲れで増えていたウイルスが減ったようだ」とみる。 (朝日新聞 2004/11/20)大気汚染が動脈硬化を招く
大気に浮遊している微粒子が、動脈硬化を招き、心臓血管系の病気の原因になっていると、南カリフォルニア大学の研究者らが報告した。
同大学の医学部のニノ・クエンズリ助教授(環境科学)らが行った研究で、11月14日に米心臓学会総会(ニューオリンズで開催)で発表さ れた。
博士らは、発電所、工場、自動車などから排出され、大気中を浮遊している汚染微粒子が、血管にどのようなダメージを与えているかを調べるために、ロサンゼ ルスに住む40歳以上の住民798人について調べた。
被験者の年齢、喫煙習慣など、動脈硬化に影響を与える他の因子も考慮に入れてデータを分析して得られた結論によると、大気中の浮遊微粒子が、1立方メートル当たり10マイクログラム増えるにつれて、頸動脈の動脈壁が4.3%肥厚していることがわかった。(日経ヘルス 2004/11/27)ストレスで免疫細胞が老化=病気の子持つ母親、最大17年も−米大学調査
慢性の病気の子供を長年看護している母親は、身体的には健康でも、心理的なストレスのために、健康な子供を持つ母親より、免疫機能を担う白血球細胞の老化が早く進むことが、米カリフォルニア大学などが30日までに行った調査で分かった。
ストレスが強いグループを軽いグループと比べると、9年から17年分も老化現象が進んでおり、早く死ぬ可能性が高かった。研究成果は米科学アカデミー紀要の電子版に発表される。(時事通信 2004/11/30)塩水噴霧でSARSなどの感染拡大防止 米チーム発表
塩水を感染者の口に噴霧するだけで、重症急性呼吸器症候群(新型肺炎、SARS)やインフルエンザなどの感染拡大を抑えられる──。そんな研究成果を、米ハーバード大チームが米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。病原体を含む体液の飛散が約70%抑えられたという。
呼吸器系の感染症では、病原体を含む粘液などが感染者の肺や気管から吐き出され、微小な飛沫(ひまつ)になって空気中を漂い続ける。これを周囲の人が吸い込むことで感染が広がっていく。
研究チームは、健康な男性11人の口にぜんそく治療用の器具で6分間ほど塩水を噴霧。呼吸に伴って周囲に吐き出される飛沫の量を調べた。その結果、噴霧から最大6時間にわたって飛沫量が平均72%抑えられた。
食塩水が肺や気管の粘膜を潤わせた結果、外に吐き出される粘液などがより大きな水滴になり、空気中を漂い続けられる微小な飛沫ができにくくなっているという。(朝日新聞 2004/12/01)歯垢から肺炎…米バッファロー大が専門誌で発表
【ワシントン=笹沢教一】歯垢の中に潜む細菌の中に呼吸器疾患や院内感染に関係する種類が含まれ、高齢者などに重い肺炎を引き起こすケースが実際に起きている。そうした実態が米バッファロー大歯学部の研究で30日明らかになった。
歯垢と呼吸器疾患との因果関係を証明した初の成果。高齢者介護における歯科衛生などの面からも注目されている。米国の胸部疾患専門誌の最新号に発表された。
研究チームはニューヨーク州の高齢者向け長期療養施設の患者49人について歯垢を分析した。28人から肺炎を引き起こす黄色ブドウ球菌やグラム陰性菌、緑のう菌を検出した。これら患者のうち14人が肺炎を起こし、DNA分析で少なくとも8人の歯垢と肺に潜む細菌が一致した。
これらの細菌は院内で感染した疑いがある。いずれの種類も、抗生物質の耐性を獲得して院内感染を引き起こす危険性を持っているため、研究チームは「呼吸器疾患を防ぐ観点からも、高齢者を扱う施設では歯と入れ歯の双方の清潔を保つ必要がある」としている。(読売新聞 2004/12/01)発毛促進 唐辛子と大豆でサプリメント 熊大大学院助教授が研究
唐辛子と大豆から抽出した成分で作ったサプリメントを、脱毛症などで頭髪が全くない人や薄い人が3カ月間飲んだだけで、男性の8割、女性も3割で発毛が促進されることが、熊本大大学院医学薬学部の岡嶋研二助教授(血液学、ストレス研究)の臨床研究で分かった。抜け毛を抑える効果もあり、岡嶋助教授は「育毛に役立つサプリメントとして商品化できる」と期待している。
公募した320人の中から薄毛や全頭脱毛の50人(男性28人、女性22人)を選び、サプリメントまたは偽薬のどちらかを与えると説明した上で、8月下旬から毎日毎食後に飲み続けてもらった。1日の分量はカプサイシン6ミリグラム(唐辛子2グラム相当)、イソフラボン75ミリグラム(大豆30グラム相当)。
3カ月後、サプリメントを与えた33人(男性18人、女性15人)を調べた結果、男性14人(78%)、女性四人(27%)で発毛や増毛を確認。一方、偽薬を与えた17人では、男性2人、女性1人に発毛が見られた。
岡嶋助教授は「発毛や抜け毛防止の効果は明らか。全体的に太く黒々とした毛髪が増えているようだ。男性は1カ月の投与でも7割に効果が出た。偽薬でも発毛したのは、不安が和らいだためではないか」と分析する。
このほか、脱毛に悩む男性10人にも同じ方法でサプリメントを投与したところ、1カ月で全員の抜け毛が減少。40歳の男性は、服用後2週間で洗髪の際の抜け毛が約3分の1に減ったという。
岡嶋助教授は昨年秋、唐辛子の辛み成分・カプサイシンが、毛母細胞を増やしたり、毛髪の成長期間を延ばす物質を増やす神経ペプチドの一種(CGRP)を放出させることを解明。さらに、大豆に多く含まれるイソフラボンがCGRPを増加させることを、動物実験で突き止めていた。
50人への投与は計5カ月間続け、その後は偽薬の人にもサプリメントを投与する。岡嶋助教授は「空腹で飲むと胃に刺激があり、注意が必要だが、頭髪で悩む人は多く、今後の商品化が期待される」と話している。(九州日日新聞 2004/12/04)超音波で脳梗塞治療薬の効果増大 米研究
ボストン(AP) 魚群探知機や胎児のエコー診断に使われる超音波は、脳梗塞(こうそく)の治療にも威力を発揮することが、米テキサス医科大などの研究で明らかになった。血栓を溶かす治療薬tPA(日本では未認可)の作用を促進する効果が確認されたという。
この研究は同大のアンドレイ・アレキサンドロフ博士が、カナダ、スペインとの共同チームを率いて実施し、医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの最新号で報告した。対象となったのは、脳梗塞発症直後の患者126人。tPAを投与しながら脳に超音波を当てる治療を試したところ、2時間以内にほぼ半数の患者で、血流の回復や症状の劇的改善がみられた。超音波を併用しない場合の回復率は、約30%にとどまっている。さらに3カ月後の追跡調査でも、tPAのみを使ったグループの回復率29%に対し、超音波を併用したグループでは42%で症状が消えるなど、相当の差がみられた。
超音波は脳梗塞の診断によく使われるが、最近は治療効果にも期待が寄せられている。tPAの効果を高めるしくみは解明されていないが、血栓付近の血液をスプーンのようにかき回し、薬を混ざりやすくするのではとの見方が有力だ。また血栓自体を揺り動かすことにより、砕けやすい状態にする効果も考えられる。
超音波による治療はtPAと同様、出血性の脳卒中には使えない。また現在の機器は診断用に作られているため、血栓にうまく命中させるには高度な技術が必要だ。アレキサンドロフ博士は「救急医療室へ持ち込むには、熟練した技術者が不足しすぎている」と説明。チームでは今後、より簡単に操作できる機器の開発にも力を注いでいく構えだ。(CNN 2004/12/05)がん細胞死なす仕組み解明 人工脂質膜で熊本・崇城大
崇城大工学部(熊本市)の上岡龍一教授(応用生命科学)らの研究グループは6日までに、リポソームという人工脂質膜が、がん細胞を自発的な死(アポトーシス)に導く仕組みを解明した。
リポソームは正常細胞には作用しないため、副作用のない治療薬の開発につながりそうだ。
上岡教授らは1995年、自ら開発したリポソームにがん細胞をアポトーシスさせる効果があると発表した。今回は、リポソームの刺激を受け取るがん細胞の細胞膜上のタンパク質を特定。リポソームが細胞膜に蓄積すると、このタンパク質が細胞内の酵素に向けてアポトーシスに導く信号を発信、最終的にがん細胞のDNAが分解され、細胞はバラバラになるという仕組みを発見した。
上岡教授は「99年から実施しているリポソームの臨床試験では、数種類のがんについて延命効果があった。がん患者のためにも早く実用化したい」と話している。(共同通信 2004/12/07)睡眠不足が肥満の一因か 食欲刺激ホルモン増を確認
【ワシントン7日共同】睡眠時間が短いと食欲を刺激するホルモンの量が増えるとする論文を米国の2つの研究チームが発表した。睡眠不足が肥満の一因になっている可能性があるという。
スタンフォード大のチームは30−60歳の約1000人を対象に普段の睡眠時間と血液中のホルモン量を調べた。5時間睡眠の人は8時間睡眠の人に比べ、食欲を刺激するグレリンが15%多く、食欲を抑えるレプチンの量は16%少なかった。
対象者全体の約7割を占める睡眠時間が8時間未満の人に限ると、睡眠時間が短いほど肥満度は高かった。
シカゴ大のチームは20代の男性12人について2晩連続で4時間寝た場合と10時間寝た場合のホルモン量を比較。4時間睡眠の後はグレリンが増えてレプチンが減り、空腹感が強まっていた。
スタンフォード大のチームは「先進国では慢性的睡眠不足が増えており、食べ物は簡単に手に入る。肥満が増えてもおかしくない」としている。(共同通信 2004/12/08)ビタミンCにがんと闘う新しい機能
ビタミンCが抗酸化物質としてフリーラジカルを中和することはよく知られているが、米オレゴン大学の研究では、脂肪代謝の毒性副産物に反応して中和するというビタミンCの機能が初めて判明した。
この脂肪代謝物に関する新たな発見は、ビタミンCが酸化脂肪から生成される毒性化合物の防御で複雑な役割を果たし、それらが引き起こす遺伝子の損傷および炎症を阻止することを示す上で極めて重要である。
これは体が脂肪代謝副産物の毒性を回避する主要な経路と見られ、明らかにがんの予防と関連している、と同大学ライナス・ポーリング研究所准教授Fred Stevens博士は用意された声明の中で述べた。
研究は米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences」今週号に掲載されている。(日本経済新聞/HealthDayNews 2004/12/10)CTで肺ガン検診をすると生存率が大幅アップ
肺ガンの検診をX線撮影でなく、胸部CTスキャン(コンピュ−タ断層撮影)にすると、生存率が大幅にアップするというデータが11月末、シカゴで開かれた「北米 放射線学会」で発表された。
この研究は、「国際早期肺がん行動プロジェクト」(International Early Lung Cancer Action Project)と言う国際計画の一環として、ニューヨークのワイルコーネル医学センターの研者者によって行われた。
研究者たちは、肺ガンのリスクが高いと思われる人2万7000人を対象に、1993年から2004年にかけて、CTスキャンで肺ガンのスクリーニングをした。その後、被験者を追跡調査したところ、約400人に肺ガンが見つかったが、いずれも、初期の症状だった。
そこで、肺ガンと診断された人に外科的治療法を施し、経過を観察したところ、生存率は98%ときわめて好成績で、再発した症例はゼロだった。(日経ヘルス 2004/12/15)地中海式食事法で寿命が5−6年延びる=英医学会誌に論文
【パリ17日】魚、果物、野菜の多い料理を食べて赤ワインを毎日グラスに1杯飲めば先進国の人たちの寿命が5年あるいはそれ以上延びるという研究結果が18日発行の英国医学会ジャーナル(BMJ)最新号に紹介された。
研究に当たった医師たちは、地中海料理にインスピレーションを受けた、いわゆるポリミール食事法(Polymeal)が米国人の健康にどんな影響を与えるかを予想してみた。米国の成人人口のコンピューターモデルを使って試算したところ、ポリミール食事法を採用しない人たちに比べ、心臓病のリスクは76%低下し、女性の寿命は平均5年、男性は同6.6年長くなることが分かった。
この研究で提唱されている食事は魚を週4回、1日に赤ワイン150cc、ブラックチョコレート100グラム、果物と野菜400グラム、ニンニク2.7グラム、アーモンド68グラム。
研究はロッテルダムのエラスムス・メディカルセンターの研究者オスカル・フランコ氏の率いるグループが行った。論文執筆者たちは、ポリミール食事法は栄養補給錠剤を飲む方法よりおいしくて安全だと推奨している。
心臓血管疾患は西側の人たちの最大の死因の1つで、急速な成長を遂げている途上諸国でも急増している。〔AFP=時事〕(時事通信 2004/12/17)
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