母乳はやっぱり赤ちゃんの免疫を強化する
母乳で育った赤ちゃんは、免疫力が強くなって丈夫、とよくいわれるが、それを裏づける新しい証拠となるたんぱく質が見つかった。
カナダのトロント大学のマイケル・ジュリウス博士らの研究チームが、1月18日発表したもので、内容は、「米国立科学アカデミ−紀要」(Proceedings of the National Academy of Sciences )に掲載された。
ジュウリウス博士らは、母乳中に「CD14」と呼ばれる特殊なたんぱく質がふんだんにあって、それが免疫システムのなかで抗体をつくる働きのあるB細胞(Bcell)を多様化させるように刺激することを、突き止めた。
体を病原菌などの外敵から守るためには、さまざまな種類の抗体がつくられる必要があるが、そこで重要なB細胞の多様化をCD14というたんぱく質が進めるというわけだ。
この研究成果について、ジュリウス博士は「母乳が母親の抗体を赤ちゃんに譲り渡すことが知られていた。さらに、われわれの研究で、CD14というたんぱく質で、赤ちゃんが本来もっている免疫機能をスタートさせると、考えられる」と述べている。
この研究は、マウスで行われたものだが、その後、牛乳や人間の母乳にも、CD14が多く含まれていることがわかった。特に、初乳(出産後1〜2週間の乳)には、CD14が豊富だという。(日経ヘルス 2001/01/29)魚を食べると脳卒中が予防できる
魚を食べると脳卒中の予防に役立つことが、大がかりな疫学調査で判明した。
この調査は、ボストンの「ブリガム女性病院」(ハーバード大学関連医療施設の)キャサリン・レクスロード博士らが、看護婦など医療に従事する女性約8万人を対象に行ったもの。
調査の内容は、「米医師会報」(JAMA)に掲載された。
それによると、1回に110gほどの魚を、週に2回から4回食べている人は、脳梗塞にかかる割合が48%減少することがわかった。
脳卒中は、大きく分けると、血の固まり(血栓)が脳の血管を塞いで、その先の脳の部分が酸素不足に陥り、壊死が起きたり機能低下などの症状が起きる「脳梗塞」と、脳血管が破れて周囲に血液があふれ出る「脳出血」の2タイプがあるが、脳卒中の83%は脳梗塞だといわれる。
従来、魚などに多いn-3(ω3)系の多価不飽和脂肪酸には、「脳梗塞」の元である血栓ができにくくする一方で、血管の出血は起こしやすくする可能性もあると考えられていたが、この調査では脳梗塞が予防され、脳出血については影響が出ていないことがわかった。
この調査は、1980年に、7万9839人(34歳から59歳)を対象にスタ−トし、14年間にわたっておこなわれた。(日経ヘルス 2001/01/30)インターフェロン使用1年以上で効果大
阪大など調査 保険適用半年
慢性C型肝炎の治療薬インターフェロンは、1年以上使い続けると効果が上がることが、大阪大や虎の門病院(東京都)の研究でわかった。医療保険が適用きれる標準的な期間は半年以内。病状が改善するなど有効な場合しか、その後の継続が認められていない。日本肝臓学会は、国際的な研究などをもとに保険を最低1年適用するよう厚生労働省に求めている。
慢性C型肝炎はウイルス感染が原因で、がんになることも少なくない。半年間のインターフェロン治療で体内からウイルスがいなくなる患者は3、4割といわれる。
大阪大の林紀夫教授(消化器内科)らは治療期間ごとに効果を比較。28週間の患者45人のうちウイルスがいなくなったのは33.3%。これに対し、52週間の43人では53.5%と割合が高くなった。
また、虎の門病院消化器科の熊田博光部長らは、薬が効きにくいタイプのウイルスを研究。このタイプは国内の感染者の8割を占めるとみられる。
治繚を10−12カ月続けた18人でウイルスがいなくなったのは約4割だが、25−48カ月の10人は全員からいなくなった。
標準期間を超えてインターフェロン治療に保険が認められるには、ウイルスが一時検出されなくなるなどの条件がある。ただ、ウイルスが薬の効きにくいタイプでは、血液1ミリリットル中にウイルス100万個未満が対象。こうした条件に合わない患者が治療を受けるには、半年あたり100万円を超える費用を自分で負担しなければならない。(朝日新聞 2001/01/30)アルツハイマー病患者に強い味方 ビタミンE
進行遅延に具体的効果
老化防止に役立つとされるビタミンE。このほど来日した米国コロンビア大学脳神経外科のメアリー・サノ博士は、ビタミンEが中程度のアルツハイマー病の病状進行を遅らせる効果があるとする具体的なデータを発表した。患者に投与した量は日本の現状に比較して多めだが、脳の組織を保護するうえでビタミンEが重要な役割を果たすことを裏付ける研究として注目されている。(羽雁 渉)アルツハイマー病の発症には過酸化脂質が関係し、その蓄積が神経細胞膜の破壊につながっていくと想定されている。また、アルツハイマー病患者の脳には無数の老人斑(はん)があり、そこにべ一夕・アミロイドと呼ばれるタンパク質が粘着し、神経細胞が死んだ状態になっている。ビタミンEは培養細胞でこのベータ・アミロイドの毒性による細胞死を抑えるとされている。
サノ博士は、ビタミンEがアルツハイマー病の症状進行を遅らせることを明らかにするために次のような試験を行った。
在宅で生活している中程度症状の患者341人に、2年間にわたって異なるタイプの薬を投与、アルツハイマーの進行遅延の程度を調べた。
使ったのはパーキンソン病の治療に用いるセレジリン(1日10ミリグラム)、ビタミンE(1日1330ミリグラム)、セレジリンとビタミンE併用、偽薬の4種類。偽薬を投与したグループと比較したところ、ビタミンEのグループが一番効果があった。
さらに、患者が施設に入居するまでの期間をどのぐらい遅らせることができるのかを調べたところ、ビタミンE群が155日、セレジリン群が105日という結果が出た。また、両者の併用群は60日で、併用のメリットはみられなかった。
この結果をもとに、サノ博士は「病態の悪化とともに日常生活活動(ADL)の低下を遅らせる効果はあった」と語った。ただし、認知機能の改善といった面では効果は認められなかった、としている。
そのうえで、サノ博士は「アメリカでは、アルツハイマー病の患者には必ずといっていいほどビタミンEのサプリメント(栄養補助食品)を使うように医師が勧告している」と現状を報告した。健康状態が良い場合は約1800ミリグラム、ほかに合併症がある場合は720−360ミリグラムぐらいの量を出しているという。
一方、日本の場合を見ると、栄養所要量は成人男性が10ミリグラム、女性が8ミリグラム、許容上限摂取量は600ミリグラムとされており、日米間には大きな開きがある。米国に比べ、サプリメントを取る習慣が薄いことが理由として考えられるが、アルツハイマー病の進行抑制に一定の効果がある可能性が強まったことで、今後、高齢者らにどう摂取量を増やしてもらうか課題になりそうだ。<ビタミンE> 化学名はトコフェロール。8種類あるビタミンEの中でα(アルファ)型が生体内での生理活性の効力が最も強いといわれる。植物油(ひまわり油、コーン油など)やアーモンド、玄米、マグロの脂身、カツオ、カボチャなどに多く含まれる。(中日新聞 2001/02/16)
失った歯の組織再生 歯周病治療に応用へ
阪大グループ、動物実験で
大阪大学大学院歯学研究科のグループは、歯が持っている再生能力をうまく引き出して、歯周病を治療する方法を開発した。塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)という物質を歯周組織を削ったイヌの歯に投与したところ、失われた組織がほぼ再生することが確認できた。今後、臨床に応用することを検討する。
阪大大学院歯学研究科の村上伸也助教授らはイヌの歯を支える歯槽骨を削って人工的な歯周病を作り出してから4週間後に、bFGFを含む寒天状の物質を欠損部に埋めた。その6週間後に欠損部の回復状況を調べたところ、歯槽骨や歯の根の表面にあるセメント質や膜などの歯周組織の79%が回復していた。何も投与しないと約43%しか回復しなかった。サルを使った実験でもほぼ同様の結果を得ており、人間でも効果があるのではないかと研究グループは見ている。
歯周病とは、いわゆる歯槽膿漏(のうろう)のことで、40歳以上の成人の約80%以上がかかっている。中高年の人が歯を抜く一番の原因でもある。細菌によって歯を支える骨などが失われると、これまで回復しないといわれていた。最近、手術である程度は治るようになったが、歯科医の技量によって治療効果にも差が出るため、より簡単に治療する方法が求められている。bFGFを使った再生医瞭はその1つとして注目される。(日本経済新聞 2001/02/19)「鼻みず」はぜんそくの予防になっている
子供が風邪をひいて鼻みずを出すと、親は心配するものだが、人体は鼻みずを出すことで、かえって喘息などになるのを防いでいるという説が出てきた。
研究したのは、ミュンヘン子ども病院のサビナ・イリ博士ら。彼女らの研究チームは、1314人の子どもを、生まれたときから7歳になるまで追跡調査した。その間、研究者たちは、母親に「風邪を引いたか」「鼻みずは何回出たか」「息をするさいゼーゼー、ヒューヒューという音はしなかったか」など、子どもの健康状態に関する質問を、定期的に行った。
その結果、1歳になるまでに鼻みずが2回以上出た子どもは、7歳になるまでにぜんそくにかかった割合が、鼻みずが出なかった子どもと比べると、半分だった。
この研究について、英インペリアル・カレッジのセバスティアン・ジョンソン博士は、「これは、子どもが早い時期に病気に感染すると、予防的効果が期待できることを示した研究だ。今後の課題は、幼い赤ちゃんが、実際に風邪を引いたり、鼻みずを出したりしないで、もっとスマートに免疫機能を活性化させ、アレルギー症状を予防する方法を見つけることだ」とコメントしている。(日経ヘルス 2001/03/01)がん抑制、遺伝子確認 「PMC」療法に効果
がん細胞の増殖を抑制する新たな遺伝子の機能を、三重大学医学部(津市)の楠(くすのき)正人教授(46)が見つけた。新しい抗がん剤治療法「薬物動態修飾化学(PMC)療法」を受けた患者の細胞を調べたところ、この遺伝子の働きでがんを抑えたことを突き止めた。
がん再発を抑制する機能があったのは遺伝子「14−13−3σ(シグマ)」。楠教授が、PMC療法を実施した大腸がん患者でがん細胞の死滅が見られた約10人の細胞を取り出して遺伝子レベルで機能の働いている部分を薬品などで調べた。その結果、この遺伝子にがんを抑制する機能があることを示す反応が全例であったという。
がんを抑制する機能を持つ遺伝子は「p53」が最もよく知られているが、この10人の患者のうち特に、半数の患者はp53が機能しておらず、「14−13−3σ」の働きが、がんの死滅に大きな効果を持つとも見られている。PMC療法は、楠教授が開発した。2つの抗がん剤を併用する。過去の臨床試験では、がん切除ができないほど進行した患者56人のうち40%以上が3年以上生存。完治した患者もいた。新たな治療の可能性
東京大学医学部・名川弘一教授(外科)の話 p53以外のがん抑制遺伝子に着目した、新しい治療の方向性を示す発見だ。臨床試験数が少ないのでPMC療法の効果については確定的なことは言えないが、従来の治療法では不可能だった治療ができる可能性を秘めていると思う。(朝日新聞 2001/03/06)
テレビを減らしたら暴力が減った──学校で実験
テレビを見る時間を減らすと、子どもの暴力的行為が減った、という実験結果が発表された。
実験を行ったのは、米スタンフォード大学小児科の助教授のトーマス・ロビンソン博士ら。博士らは、カリフォルニア州サンノゼにある2つの小学校を選び、3年と4年生を対象にテストした。
1つの学校では、120人の生徒に対して、何の介入もせずに、それまでと同じく好きなようにテレビを見せた。もう1つの学校の生徒105人に対しては、30分から5分の特別授業を、6か月にわたって18回行い、この中でテレビ、ビデオ、ビデオゲームを見る時間を減らすように教えた。
実験開始前、子どもたちは平均して、1週間にテレビは15時間半、ビデオは5時間、ビデオゲームは3時間見ていたが、実験終了時には、それぞれ、9時間、3時間半、1時間半と約3分の1減っていた。
テレビの視聴時間が3分の1になった結果、けんかをしたり、荒っぽい言葉を使った場合にカウントする「暴力度」は25%減少した。
さらに、研究者自身も対象となった学校の運動場で観察し、子どもたちの肉体と言葉の両面の「暴力度」を記録したが、ここでも、テレビを見ないよう指導した学校のクラスでは、暴力的態度が減っていた。
研究者たちは、2校を比較しただけでいまだデータは不十分としながらも、「テレビを長時間見ることが、子どもの暴力的行動につながっているのなら、テレビを見せないことで、元に戻せる、ということ証明した。すなわち、これは可逆的現象だ」と述べている。(日経ヘルス 2001/03/08)緑茶「抗がん力」過信はダメ
1日に5杯以上の緑茶を飲んでも、胃がんになるリスクを減らせるわけではないらしい。そんな研究を東北大学の坪野吉孝講師(公衆衛生学)らがまとめ、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで発表した。
坪野さんらは1984年1月から92年12月にかけて、宮城県に住んでいる約2万6000人を対象に、緑茶を飲む量と胃がんの発生率との関係を調べた。期間中に、新たに胃がんと診断されたのは419人だった。
緑茶以外の要因の影響を避けるため、過去に消化管にかいようができたことがないかどうか、年齢、喫煙習慣の有無、アルコールの消費量といった点を考慮して試算した。
その結果、緑茶を飲む量が1日に1杯以下の人のリスクを1とした場合、3杯か4杯飲む人は1.0、5杯以上の人では1.2。よく飲む人と飲まない人の間で統計学的に意味のある違いはみられなかった。
これまで、緑茶を1日に10杯以上飲む人はあまり飲まない人よりもがんになるリスクが減るといった研究が報告され、注目を集めてきた。
しかし、今回の大規模な疫学調査は「あまり過信はしない方がいい」という面を浮かび上がらせている。
旧厚生省の調査によると、胃がんで亡くなる人は国内で毎年約5万人にのぼる。(朝日新聞 2001/03/18)母子2代にわたる乳酸菌摂取でアトピー発症率を半減
乳酸菌を母子2代にわたって摂取すると、アトピー性皮膚炎の発症率を半減できるようだ。フィンランドTurku大学小児科のMarko Kalliomaki氏らが、約150人の母親とその子供を対象に、プラセボ対照二重盲検試験を行って明らかにした。この研究は、幼少時から乳酸菌など腸内の常在菌叢(フローラ)のバランスを改善する菌にさらされることが、アトピー性疾患の発症を予防するという仮説に基づいている。
Kalliomaki氏らは、胎児の父親、または母親の一等親以内の親族に、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息の患者が一人以上いる場合を「アトピー性疾患の発症素因あり」と定義。発症素因がある胎児の母親を無作為に2群に分け、一方に乳酸杆菌属のLactobacillus GG株(LGG菌)カプセル、他方にプラセボを、出産予定日の2〜4週間前から毎日投与した。子供が生まれた後は、授乳中の場合はそのまま母親が服用を続け、人工栄養の場合は水に溶いて子供に与えてもらった。この方法でLGG菌またはプラセボの服用を生後6カ月まで続け、子供が2歳になった時のアトピー性疾患発症率を比較した。
2年間追跡できた132人について調べたところ、アトピー性皮膚炎の子供の割合は、LGG菌を母子2代にわたって服用した群(64人)では23%だったのに対し、プラセボを服用した群(68人)では46%になった。LGG群の相対リスクは0.51(95%信頼区間:0.32〜0.84)で、治療必要人数(NNT)は4.5人(95%信頼区間:2.6〜15.6)であり、LGG菌の服用は1次予防のための介入としては極めて効率が良いことがわかった。(日経BP 2001/04/13)抗がん剤 新遺伝子にカツ! がん再発をグッと抑制
三重大が新療法 生存率大きく向上
大腸がんの細胞分裂を止める新しい遺伝子を利用し、がん再発防止効果を高める抗がん剤治療法を、三重大医学部の楠正人教授(46)が確立した。単一のがん抑制遺伝子に頼っていた従来の治療法から一歩抜け出し、これまで未確認だった別の遺伝子も機能させ、がん増殖の大幅な抑制に成功。研究結果は米国がん学会発行の専門誌「キャンサーリサーチ」2月号で発表された。
治療法は「薬物動態修飾化学療法(PMC)」と呼ばれ、2種類の抗がん剤を点滴と服用で組み合わせる。切除できないほど転移が進んだ大腸がん患者124人にPMCを施したところ、5年後の生存率は39%で従来の治療法による5%の約8倍に達した。一部の転移だけで切除可能な大腸がんの患者の場合、手術後のPMC実施で同91%と、従来の治療法の70%を上回った。
楠教授によると、PMCの効果が高いのは、従来の治療法が「p53」と呼ばれるがん抑制遺伝子だけに働き掛けていたのに比べ、別の遺伝子「14−3−3σ(シグマ)」にも並行して作用するため。PMCを施した患者のがん細胞を調べたところ、両方の遺伝子が増殖の別々の段階で抑制効果を発揮することが確認されたという。
さらに、「p53」が機能しない症例でも治療効果が期待できるとしている。理論的には大腸がん以外にも応用できるという。楠教授は「14−3−3σ」の働きがさらに解明できれば、もっと効果的な抗がん剤の組み合わせができるはず」と話している。治療法開発に前進も
真辺忠夫・名古屋市立大医学部教授(消化器がん治療)の話 PMCの治療効果が遺伝子レベルで解明された成果は大きい。p53の働きだけを狙った従来の治療法では限界があった。新しい遺伝子の働きには未知の部分が多いが、これで治療法開発が大きく進む可能性が出てきた。(中日新聞 2001/03/22)
100歳まで生きる人は善玉コレステロ−ルが多い
100歳まで生きた人を調べると、血液中の善玉コレステロールが多く、そういった人の子供もまた善玉コレステロールが多いということが明らかになった。アルバート・アインシュタイン大学(ニューヨーク)のニール・バルジライ博士らの研究で分かったもの。
博士によると、長寿を決めるカギはその人がもっている「血中脂質プロフィール」にあるという。
すなわち、善玉コレステロール(HDL)が多く、悪玉コレステロール(LDL)が少ない人ほど、心臓病や動脈硬化になる危険性が小さく、したがって長生きできるという。しかも、この特性は、親から子へと引き継がれることがわかった。(日経ヘルス 2001/04/13)C型肝炎治療のインターフェロン 効果、遺伝子が左右 阪大教授ら解明
C型肝炎の治療薬インターフェロンの効果が、患者の遺伝子のわずかな違いで左右されることを大阪大の林紀夫教授(消化器内科)らが見つけた。この薬が効きやすい人と、そうでない人がいて、遺伝情報の個人差が影響すると考えられていたが、具体的な遺伝子がわかったのは初めてという。治療方針の判断に使えそうだと期待される。
この薬は免疫を刺激してC型肝炎ウイルスが感染した細胞ごとウイルスを壊すとされる。
林教授らは、免疫反応に関連した酵素をつくる複数の遺伝子を研究。治療効果の差は、LMP7という遺伝子のタイプで生じていた。タイプは2種類あり、塩基配列が1カ所だけ違っている。
インターフェロン治療によってウイルスが消えた49人と、消えなかった126人を対象にこの遺伝子を調べた。ウイルスが消えた人の約16%が持っているタイプは、消えなかった人では約8%と少なかった。
ウイルスの量が比較的少ない場合、このタイプだと8割の人でウイルスが消えたのに、そうでない場合は5割だった。
この遺伝子がつくる酵素は、ウイルス感染を免疫細胞に知らせるのに関係する。タイプの違いが働きの差になり、治療効果に影響するようだ。
インターフェロンはうつ状態になるなど副作用がある。林教授は「治療効果の予測や適切な治療期間の決定などに応用できる」と話している。
研究は、18日から東京で開かれる日本消化器病学会で発表される。(朝日新聞 2001/04/15)広がる水道水の高度浄水処理 水源汚染で
水道水のかび臭や有害物質を取り除き、「安全でおいしい水」をつくるために、オゾンと活性炭を使った「高度浄水処理」を導入しようとする自治体が相次いでいる。東京、大阪など約30の浄水場が稼働・建設中のほか、福岡市が初めて導入を決め、千葉県内の2つの広域水道企業団などが検討している。水源の河川や湖沼の汚染が進み、一般的な浄水処理では限界があるからだ。
「急速ろ過」と呼ばれる一般的な浄水処理は薬剤で汚れを凝集、沈殿させ、砂でろ過し、塩素消毒する。汚染がひどいとかび臭やカルキ臭が出て、塩素消毒で発生する発がん性物質トリハロメタンも増え、農薬などが十分取りきれずに残る。
北九州市環境科学研究所アクア研究センターの分析では、水道水から内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)のフタル酸エステル類や農薬など64種類の有機化合物が検出された。東京理科大の小野寺祐夫助教授が昨夏都内の水を分析したところ85種類が確認された。
においや有機化合物は急速ろ過にオゾン・活性炭処理を加えればほとんど取り除けるという。オゾンで分解され、活性炭に吸着されるからだ。
国の補助を受けて稼働・建設中の約30の浄水場は大阪、東京、兵庫、香川、茨城、福島、千葉、長野、京都、沖縄など全国の都道府県に広がる。
千葉県と松戸市など9市町でつくる北千葉広域水道企業団は導入を視野にオゾン・活性炭処理の実験を始めた。
巨額の費用にためらいもある。千葉県銚子市など2市4町の東総広域水道企業団は、水源とする利根川や黒部川の汚染の改善のめどがたたず、検討に入った。数十億円の施設建設費のうえ電気代や活性炭代もあり、水を卸す価格も1立方メートルで15〜20円上がりそうなため、市町の説得が課題だ。(朝日新聞 2001/05/13)不要たんぱく質分解衰えると アルツハイマー発症か 理化学研発表へ
脳の中にたまった不要なたんぱく質を分解する清掃係の働きが悪くなると、老人の痴ほうを起こすアルツハイマー病になる──。こうした可能性が高いことを示す研究結果を、理化学研究所脳科学総合研究センターの西道隆臣・チームリーダーらが25日発行の米科学誌サイエンスに発表する。
アルツハイマー病患者の脳の中では、βアミロイドというたんぱく質が異常にたまることが知られている。このたんぱく質は正常な人にもあるが、すみやかに分解されると考えられている。
西道さんらは、ネプリライシンというたんぱく質がβアミロイドを分解しているという仮説を立て、遺伝子操作で、ネプリライシンができなくしたネズミを作った。
その結果、βアミロイドの量が正常なネズミの約2倍になっていることを確認した。ネプリライシンの量が約半分になるように操作したマウスでも、βアミロイドの分解が抑制された。ネプリライシンの量が増えるほどβアミロイドの量が減る関係があることもわかった。(朝日新聞 2001/05/25)骨肉腫のがん細胞死滅 遺伝子治療実験に成功 岐阜大助教授ら
免疫の働きを応用して、骨肉腫(しゅ)と、肺に転移したがん細胞を死滅させる遺伝子治療の実験に、岐阜大学医学部循環器再生医科学講座の小財健一郎助教授の研究グループが成功し、ヨーロッパ整形外科学会の最優秀賞に当たるマリオ・ボーニ賞を受賞した。6月1日にギリシャで開かれるアメリカ・カナダ・ヨーロッパ・日本整形外科基礎学会で発表される。
骨肉腫は骨のがんで、小児に発症しやすく、ひざの周りにできると足を切断しなければならないことが多い。血流にのって肺に転移しやすく、その確率は約3割に上る。転移した患者の5年生存率は約3割とされる。
小財助教授は、タンパク質の一種である「インターロイキン2」が、免疫に異物を攻撃させる信号を出す役割をする点を活用。免疫は、がん細胞を異物と認識しないため「インターロイキン2」を取り込むことによって、がん細胞を死滅させようとした。その運び屋として、遺伝子を細胞に運ぶかぜウイルスを選び、遺伝子組み換え操作によって毒性を消した。
骨肉腫のマウスの患部に「インターロイキン2」を組み込んだかぜウイルスを注射すると、1回の注射で、約1カ月後のがん細胞の大きさは注射しないマウスに比べ約6分の1に縮小。また患部と転移した肺のがん細胞はほとんど死滅した。
小財助教授は「注射は1回で済むので、医療経済の面でも患者の苦痛を減らす意味でも合理的。できるだけ早く実用化したい」と話す。(中日新聞 2001/05/29)紅茶も虫歯を予防する
緑茶の虫歯予防効果は有名だが、紅茶にも同様の効果があることがわかった。米イリノイ大学のクリスティン・ウー教授(歯周病学)は、米微生物学会で「紅茶でよく口をゆすぐと、虫歯菌の成長が止められ、菌が歯に付着する力を弱める効果があって、虫歯予防と、歯垢を減らす効果がある」と発表した。
この研究では、1回30秒間、1日5回、紅茶で口をゆすぎ、これを毎日続けた。その結果、口の中の虫歯菌が減少し、また、歯垢を歯に付着させる働きのある粘着性物質も減った。これは、紅茶に含まれるポリフェノールの作用と見られている。
同教授は、「すでに日本で緑茶が虫歯を防ぐとの研究が発表されており、欧米でもっともよく飲まれている紅茶の効果についても、検証してみる必要があった」と語っている。(日経ヘルス 2001/06/01)サバ、イワシを食べると前立腺ガンの予防になる
サバ、サケ、イワシなどあぶらののった魚を良く食べる人は、前立腺ガンになる危険性が、食べない人の半分以下になる、との長期調査の結果が発表された。これは、スウェーデンのカロリンスカ医科大学の研究チームが行ったもの。
スウェーデン国内の男性6272人を30年間にわたって、追跡調査した。この間に、466人が前立腺がんと診断された。そこで、対象者に聞いて、食生活のなかで、「油ののった魚はたまにしか食べない」「めったに食べない」と答えたグループと、「まあまあ食べるほう」「良く食べる」のグループに分けて調べたところ、「食べない」グループが前立腺がんになる割合は、「食べる」グループの2倍以上だった。食べる魚については、生でも、缶詰でも、前立腺がん予防効果には違いはなかった。(日経ヘルス 2001/06/18)ビタミンC使い歯周病予防商品 ライオン、5年後メド
ライオンは、ビタミンCに、歯茎に炎症などを引き起こす歯周病を予防する効果があることを突き止めた。歯周病菌を攻撃する白血球の働きを最大2倍に高めて歯茎を守るほか、炎症の拡大も防げるという。5年後をめどに、歯周病予防に有効な歯磨きを開発する。
ビタミンCは水に溶けやすいため、ライオンは溶けにくく変化させたビタミンC誘導体(L―アスコルビン酸リン酸エステル)に着目。培養した歯周病菌の中に、白血球とこの物質を入れて殺菌効果を確かめた。白血球の働きはビタミンCがない場合に比べ最大で2倍高まり、歯周病菌を減らした。
成果を27日から千葉市で開かれる国際歯科研究会で発表する。(日本経済新聞 2001/06/22)リンゴをたくさん食べる人は肺が元気──オランダの調査
咳や痰が出て、息苦しい感じが続く──。こんな症状がある人は、リンゴを食べるといいかもしれない。咳や痰、息苦しさは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)という病気の症状だが、この病気の人を対象にオランダで行われた調査で、フラボノイドを含む食品をたくさん食べている人ほど症状が軽いことがわかった。調査結果は、American Journal ofRespiratory and Critical Care Medicine誌7月号に掲載された。
COPDは、肺に慢性的な炎症などがあるために、呼吸機能が徐々に落ちていく病気。喫煙者に多く、わが国では40歳以上の10人に1人がCOPDとのデータもある、頻度の高い病気だ。軽いうちは咳や痰が時々出たり、たまに息が切れたりする程度だが、重くなると息苦しさのために酸素吸入器が手放せなくなる。病気の進行を食い止める確実な治療法は見つかっていない。
オランダ国立公衆衛生・環境研究所のCora Tabak氏らは、野菜やお茶、果実などの植物に含まれるフラボノイドに着目。フラボノイドには数千種類があるが、なかでもカテキンとフラボノール、フラボンには、COPDの重症化を防ぐ効果があると報告されている。そこで、COPDの患者1万3651人に協力を求め、患者が普段食べている食事に含まれているカテキン、フラボノール、フラボンの量と、COPDの重症度との関係を調べた。
その結果、フラボノイドの摂取量の順に患者を5群に分けると、最もたくさん摂取している人達では咳や息苦しさが、摂取量が最も少ない人達よりも2、3割軽いことがわかった。COPDの重症度判定に使われる、努力性呼気の1秒量(FEV1.0)という指標にも、フラボノイドの摂取量による大きな違いがあった。(日経BP 2001/07/04)オレンジとアブラナ科の野菜が心臓を守る
オレンジとキャベツ、ブロッコリー、カブなどのアブラナ科の野菜を多く食べると、心臓病、脳卒中、高血圧の予防にすぐれた効果がある、と6月にニューオーリンズで開かれた、食品技術者協会(Institute of Food Technologists)の会合で報告があった。
報告したのは、ハーバード大学医学部のフランク・シュパイザー博士。博士は「オレンジとアブラナ科の野菜を摂取すればするほど、冠状動脈系の心臓病や脳卒中のリスクが下がることは、これまで多くの研究が示している」と述べ、同大学が長年継続して行っている医療従事者を対象とした大規模調査でも、そのことが立証されたことを明らかにした。
これは男性3万8000人、女性7万5000人を対象に行った調査。
フルーツを多く食べている人は、高血圧になりにくい結果が明確に出た。「高血圧は、心臓血管系の病気の主要な原因であり、心臓病の予防にもつながる。オレンジに含まれているカリウム、葉酸、ビタミンCが、心臓血管系の病気を予防する」とシュバイザー博士は述べている。(日経ヘルス 2001/07/20)C型肝炎に効果5倍 新型インターフェロン 米企業が新薬開発
遺伝子組み換え技術でつくった新型インターフェロンが、治りにくいタイプのC型肝炎患者に、いま使われているインターフェロンの約5倍の効果を発揮することが国内の臨床試験でわかった。山之内製薬が厚生労働省に新薬承認申請中で、秋には承認、年内に発売される見込みだ。
新薬は米企業アムジェンが開発した「コンセンサスインターフェロン(CIFN)」。米国で97年に慢性C型肝炎の薬として承認されている。
インターフェロンはウイルスに感染した動物の細胞が出すたんぱく質で、ウイルスの増殖を抑える働きがある。今回は、人間の体内でつくられた13種類のインターフェロンのアミノ酸配列を調べ、新しい配列のものを遺伝子操作で合成した。
試験をしたのは鈴木宏山梨医科大名誉教授ら。患者は127人。インターフェロンが効きにくい型のウイルスに感染し、しかもウイルス遺伝子の数が血液1ミリリットル中10万個以上と多い人たちだった。2つのグループに分けた半年間の比較試験で、これまでの型のインターフェロンを使った61人でウイルスが消えたのは2人(3.3%)。一方、CIFNで治療した66人では11人(16.7%)から完全に消えた。(朝日新聞 2001/07/22)サルチル酸がカギ──菜食主義者に心臓病が少ないわけ
野菜と果物中心の食事をしている人は、血液中のサルチル酸の濃度が高いことがわかった。サルチル酸は、心臓発作を予防するといわれているアスピリンの活性成分であり、菜食主義者に心臓病が少ないわけがこれで説明できる、と研究者たちは考察している。
研究を行ったのは、英スコットランドの王立ダンフリース・アンド・ギャロウエー診療所のジョン・パターソン博士ら。パターソン博士らは、仏教の僧侶(菜食主義者)と、同じ地域に住んでいる非菜食主義者、糖尿病患者で毎日アスピリンを75mg服用している人たち、の3つのグループについて血液を調べた。
その結果、僧侶の血液中のサルチル酸の濃度が、菜食主義者でない住民よりかなり高く、しかも、毎日アスピリンを服用している人たちのサルチル酸濃度とほぼ同程度だったことがわかった。
心臓病予防のために、アスピリンを飲まなくても、菜食主義の食事にすれば、それに近い効果があるとことがわかったわけだ。(日経ヘルス 2001/07/23)マーガリンよりバターを──血管の健康のために
マーガリンや植物油に多く含まれる「トランス脂肪」は、血管の弾力性を弱め、善玉コレステロールを減らす、とオランダの研究者が報告した。
オランダのワーゲニンゲン大学のニコル・デルース博士らの研究チームは、29人の健康な男女を2つのグループに分け、第1のグループには、マーガリンなどに多く含まれるトランス脂肪が多い食事を与え、第2のグループには、バター、食肉、ココナツオイル、パームオイルなどに多く含まれる飽和脂肪が多い食事を与えた。
こうして4週間後、今度は、トランス脂肪の食事を第2のグループに、飽和脂肪の食事を第1のグループに与えて、やはり4週間経過を見た。
その結果、トランス脂肪の食事を食べたグループでは、飽和脂肪のグループと比べて、血管の拡張能力が約3分の1低下し、善玉コレステロール(HDL)の血中濃度が、4分の1低かった。
デルース博士は、「これで、トランス脂肪を多く摂取する人は、血管系の心臓病にかかりやすくなる理由が一部説明できる」と述べている。
トランス脂肪というのは、コーンオイル、大豆油、など液体の植物性油に水素を添加して作る脂肪で、室温で固体となる。食品のラベルには、「部分的水素添加大豆油」(Partially Hydrogenated Soybean Oil)などど表記される。
フレンチフライ、ドーナツ、クッキー、クラッカーなどに、トランス脂肪の含有量が多い。(日経ヘルス 2001/07/24)ブロッコリー、芽キャベツに抗ガン物質があった
ブロッコリーなどの野菜には、ガンを予防する効果があることが、以前から知られていたが、ジョンズホプキンス大学医学部のポール・タラレー博士は、抗ガン効果を示す新しい物質を発見した。
タラレー博士の発表によると、この物質は「スルフォラフェーン」(sulforaphane)というもの。スルフォラフェーンが働かないように遺伝的につくりかえたマウスで実験したら、ガンの発生率が、通常の50〜60%アップしたという。
ビタミンCやEなど抗酸化作用のある物質は、発ガン物質を捕捉し、中和することで抗ガン性を発揮するが、スルフォラフェーンは、ある種の酵素を刺激することで、ほかの抗酸化物質の働きを高めて、「間接的に抗酸化剤として働いている」と博士はいっている。
スルフォラフェーンは、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、ケールなどに多く含まれているという。(日経ヘルス 2001/07/27)コーヒーはやはり心臓に悪い──血清脂質へ悪影響
コーヒーを日常的に飲むと、血清総コレステロール値や血漿ホモシステイン値が上昇する恐れがあることがわかった。これは、American Journal of Clinical Nutrition誌9月号に、ノルウェーOslo大学のBenedicte Christensen氏らが報告した無作為化比較試験の結果。コーヒー愛飲者が6週間コーヒーを断つと、総コレステロール値とホモシステイン値が、いずれも低下したという。
総コレステロールとホモシステインは、虚血性心疾患の危険因子として知られる。フィルターを用いないで淹れたコーヒーを飲むと、総コレステロール値やホモシステイン値が上昇することは既に報告されている(Am. J. Clin.Nutr.;71,480,2000)。Christensen氏らは今回、カフェインを除去していない、ペーパードリップの(フィルターを用いて淹れる)コーヒーについて、同様の検討を行った。
試験に協力したのは、健康で喫煙習慣のない191人の成人。うち97%は「カフェイン抜きではない、ペーパードリップのコーヒー」を常飲している。Christensen氏らはこの191人を、(1)コーヒー断ち、(2)1日1〜3杯(175〜525ml)、(3)1日4杯以上──の3群に無作為に分け、6週間追跡した。なお、コーヒーの淹れ方は、各人の好みに任せた。
その結果、「コーヒー断ち群」では、6週後に血清総コレステロール値が10.8mg/dl、血漿ホモシステイン値が1.08μmol/l、それぞれ低下していた。総コレステロール値やホモシステイン値に影響を及ぼすと考えられる因子で補正しても、低下作用は依然として認められた。なお、「コーヒー断ち」群に割り付けられた人の場合、試験開始前には平均1日4杯、ペーパードリップのコーヒーを飲んでいたという。(日経BP 2001/08/28)リンゴは“長生きのもと” 1日2個で中性脂肪減少
果樹研調査 生活習慣病予防に期待
1日2個のリンゴを食べることで高脂血症の原因である血液中の中性脂肪を減らせることが、果樹研究所(茨城県つくば市)の調査で分かった。9月23日から青森県弘前市で開かれる園芸学会で発表する。
研究グループは30−57歳の男女14人にリンゴ以外の果物を食べないなどの食事制限をした上、3週間、毎日リンゴを1.5−2個食べてもらい血液成分などを調べた。
その結果、中性脂肪値が平均21%低下。もともと中性脂肪値の高い人ほど下がり方が大きく基準値を上回っていた人は正常の範囲になった。
また同時に、血中のビタミンCの量が平均34%増加。このほか腸内細菌のうちビフィズス菌など善玉菌と呼ばれる菌が増え、悪玉菌が減少するなど、生活習慣病の予防などに役立つ結果が得られたという。
同研究所の田中敬一・品質化学研究室長は「米国は果物と野菜の食べる量を増やす運動をしてガンの死亡率を減らしたが、日本人もリンゴを食べることで平均余命がもっと長くなるかもしれない」と話している。(中日新聞 2001/08/30)1日2個で医者しらず? リンゴが減らす中性脂肪
農研機構 整腸作用も確認
リンゴを食べると、肥満や動脈硬化のもとになる中性脂肪が減る──。独立行政法人の農業技術研究機構(茨城県つくば市)果樹研究所は29日、リンゴのこんな効用を確認できたと発表した。血液中のビタミンCと腸の働きを整える菌が増加する作用も確認した。
研究チームは30−57歳の男女14人に、リンゴを毎日1個半から2個(360−480グラム)食べてもらい、3週間後に中性脂肪を測定。摂取前に比べ平均21%減少したことを確認した。ビタミンCは34%増加、整腸作用のあるビフィズス菌の割合も20.5%から35.9%に増えた。
日本人の果物の消費量は1人当たり1日129グラムで、先進各国の半分程度。果物には果糖などの糖分が多く含まれており、肥満防止のために果物の摂取を控える人が多いが、同研究所の田中敬一室長は「リンゴの摂取は生活習慣病を予防し、健康増進に役立つ」と説明している。(日本経済新聞 2001/08/30)脳梗塞で倒れた人に低体温療法
米国で、脳梗塞で倒れた患者の体温を下げてやれば、発作による脳の組織の損傷を少なくできるという発表があった。
発表したのは、米国クリーブランドクリニックのマイケル・ジョージア、ダーク・クリーガー両博士で、脳梗塞で倒れた患者の体温を、発作から6時間以内に下げてやり、華氏89.6度(摂氏32度)に、12時間、ないし72時間保持すれば、患者にダメージを与えることなく、安全であることがわかったという。
体温を下げるには、体温冷却用の患者を覆う布、氷水、アルコール浴などを用いる。
研究者たちは、発作を起こした患者10人を発作の6時間以内に低体温に導き、9人はそのままにして比較した。その結果、低体温療法を実施した患者は、出血などの併発症が少なく、3カ月以内の死亡率も低かった。さらに、血流が再開された時に起きるダメージも少なかった。
研究者たちは、これはまだ予備的な研究で、2002年から、本格的な臨床試験を行いたいとしている。
脳梗塞は、脳の一部が動脈血栓などのために、血液が行き渡らなくなるために起きる。(日経ヘルス 2001/08/30)乳酸菌入りミルクで子どもは丈夫
乳酸菌入りミルクを飲ませた子どもは、飲ませなかった子どもより、全般的に健康だった、とフィンランドの研究者が報告した。
プロバイオティック・ミルクと呼ばれるこのミルクに含まれる乳酸菌は、病原菌に感染したさいに、免疫システムをいち早く反応させる働きがあることで知られている。
研究者たちは、保育園に通う子どもたちを、乳酸菌入りミルクを飲ませるグループと、普通のミルクのグループに分けて観察したところ、(1)乳酸菌のグル−プは、欠席率が10%から20%少なかった(2)ヘルシンキの冬を過ごして、両グループとも全般的な感染率は同じだったが、投与した抗生物質は乳酸菌グループの方が少なかった(3)乳酸菌グループの方が耳の感染症が少なかった(4)抗生物質使用にともなう下痢が、乳酸菌グループの方が少なかった。
このような結果から、研究者たちは、乳酸菌入りミルクは、子どもの健康状態を改善させる一番簡単で、副作用の少ない方法であるとのべている。(日経ヘルス 2001/08/31)低カロリー食でマウスの老化ストップ
年をとったマウスを低カロリー食に切り換えたら、短期間で、老化の進行を抑える効果が現れたとカリフォルニア大学リバーサイド校の研究者が発表した。
スティーブン・スピンドラー博士(生化学)らは、若いマウスと老齢のマウスを、低カロリー食で育てたあと、肝臓の細胞に現れる遺伝子の変化を調べた。その結果、老齢のマウスでは、低カロリー食で老化の進行が抑えられたことが、遺伝子の変化に見られ、寿命が伸びたことが判明した。
しかし、若いころから低カロリー食で育てたマウスの方が、さらに長命だったという。スピンドラー博士は「摂取カロリーを制限すると、動物の生理が健康の方へスイッチされ、寿命が長くなることが、われわれの研究でわかった。この考え方は、人間の高齢者にもすぐに適用できるだろう」とのべている。(日経ヘルス 2001/09/13)ピロリ菌と胃がんの関連を確認 広島の医師が米誌に発表
日本人の約半分が感染している胃の中の細菌、ヘリコバクター・ピロリによる炎症が胃がんと関連していることが大規模な長期観察で確かめられた。呉共済病院(広島県呉市)の上村直実医長らが、13日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表した。
平均8年間にわたって1526人の胃の様子を内視鏡で調べ、ピロリ菌検査で陽性の人と陰性の人を比べた。陽性者の2.9%で胃がんが見つかり、陰性者はゼロだった。胃炎を起こし、胃粘膜の委縮の進んでいる人ほど、がんになりやすかった。
約6000万人の日本人がピロリ菌をもつと推定されている。胃かいようなどが確かめられた人だけに、除菌治療が医療保険で認められている。
上村医長は「胃がんになりやすい人の除菌により、がん発生が抑えられる可能性は高い」と話している。(朝日新聞 2001/09/15)C型肝炎にインターフェロン 死亡危険率6割減
阪大研究グループが検証
大阪大学の研究グループは、C型慢性肝炎の患者にインターフェロンを投与すると、肝硬変に進行して死亡する危険率が6割軽減することを、大規模な調査で検証した。C型慢性肝炎の感染者数は国内で100万−200万人といわれ、その治療にはいまのところインターフェロンが最も有効な薬とされている。効果が大規模調査で明らかになったのは初めて。
阪大大学院医学系研究科の笠原彰紀助教授らは、阪大や京都府立医科大学などでインターフェロンを使って治療したC型慢性肝炎患者と治療しなかった患者を対象に死亡する危険率を調べた。
治療した3024例のうち死亡したのは72例、治療しなかった271例のうち死亡したのは42例だった。治療開始時点における患者の年齢や肝炎の進行度などを勘案して統計処理した上で、インターフェロンで治療しなかった場合の死亡危険率を1として、治療した場合の死亡率を計算したところ、0.4となった。
成果を26日から横浜で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。(日本経済新聞 2001/09/19)胃ガンの原因もヘリコバクター・ピロリ菌──日本人が報告
胃潰瘍は、胃内のバクテリアであるヘリコバクター・ピロリ菌が原因ということが最近定説になったが、胃ガンもこのバクテリアのせいらしい、と日本人の研究者が発表した。
呉共済病院(広島県呉市)の上村直実医師が、9月13日発売の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」で報告したもの。ピロリ菌の除菌で胃ガンが発生しなくなるという結果で、「胃ガン=感染症」をデータで示している。これが間違いないとなれば、抗生物質を使えば胃ガン予防ができることになる。
上村医師らは、胃潰瘍など胃に問題がある患者1526人を対象にし、8年間にわたって内視鏡などを使って、追跡調査した。
被験者のうち、1246人はヘリコバクター・ピロリ菌に感染していた。
感染グループのうちの253人に抗生物質を投与して、ヘリコバクター・ピロリ菌を除去した。感染したままのグループの36人(2.9%)に胃ガンが発生したのに対して、菌を除去した患者253人からは胃ガンは全く出なかった。また、はじめからヘリコバクター・ピロリ菌に感染していなかった280人にも胃ガンは出なかった。
この研究について、米マサチューセッツ大学医学センターのチモシー・ワング博士と、マサチューセッツ工科大学(MIT)の獣医師、ジェームズ・フォックス博士が、同誌の論評欄で、「非常に興味をかきたてる研究だ。これまで、ヘリコバクター・ピロリ菌が胃ガンと関係している、ということに懐疑的な人が多かったが、これで、この論争に終止符が打たれたと言ってもいい」と書いている。(日経ヘルス 2001/09/20)早食いは肥満の始まり 調査で裏付け
早食いは肥満のもと──。サラリーマンの食生活について、ライオン歯科衛生研究所と東京歯科大学社会歯科学研究所が共同で調査したところ、こんな通説を裏付けるデータが得られた。29日から始まる日本口腔(こうくう)衛生学会で発表する。
00年4月に都内で働く20〜50歳代の男女340人を対象に、健康診断と併せて食事の時間や食べ方を尋ねた。
その結果、太り気味の程度を表す「肥満度」(体重を身長の2乗で割った値)で、肥満傾向にあるとされる指数24を超えた人の比率は、食べるのが「遅い」と答えた人では9.8%だったのに対し、「早い」と答えた人では43%。「あまりかまない」人では50%が肥満傾向にあり、「よくかむ」人の13.7%を大きく上回った。
脳の満腹中枢は血糖値の上昇で刺激を受けるため、早食いだと満腹になる前に食べ過ぎてしまうためらしい。しっかりかんで食べることがダイエットにつながるという。(朝日新聞 2001/09/28)肝臓ガン予防にカロチンが効果的
京都府立医科大学などの研究チームは28日までに、野菜や果物に含まれるカロチンやビタミンEを組み合わせて服用すると肝臓ガンを予防できる可能性がある、との研究結果を明らかにした。
肝硬変患者に投与した結果、肝臓ガンを発症する比率が1/3に下がったという。同医大の西野輔翼教授らが、C型肝炎などによるウイルス性肝硬変の患者の協力を得て実験した。
カロチン類19mg、ビタミンE50mgを最長で5年弱、毎日服用した46人は肝臓ガンの発症率が15%だったのに対し、服用しなかった45人は45%が発症した。カロチンなどの組み合わせ比率が予防効果に関係しているとみている。(日本経済新聞 2001/09/28)ストレスが多いと胃癌になる? 約1万人の調査が示唆
がん検診で「精密検査が必要」とされた人を対象とした症例対照研究で、精密検査で胃癌が見つかった人では、イライラや心配事などの“自覚的ストレス”が多いことがわかった。千葉県がんセンター疫学研究部の村田紀(もとい)氏(現:財団法人放射線影響協会放射線疫学調査センター長)らによる研究で、9月27日のポスターセッションで発表された。
千葉県がんセンターでは1992年から、癌の精密検査などで外来を受診した患者に対し、「外来窓口疫学アンケート」を実施している。
村田氏らは、2000年末までにアンケートに答えた約2万人から、癌との診断が確定した6736人(男性:3335人、女性:3401人)を症例群として設定。精密検査で癌ではないことがわかった人から、若年の人をランダムに除いて年齢層を症例群にマッチさせ、3466人を対照群(男性:1301人、女性:2165人)とした。
この症例群と対照群との間で、癌の種類別に生活習慣との関連を調べたところ、「喫煙者で肺癌が多い」など既知の発癌リスク要因に加え、自覚的ストレスと胃癌との間にも、新たに相関が見出された。「いつもイライラしている」と答えた人では、50歳未満の男性で2倍、50〜59歳の男性で1.9倍、50〜59歳の女性で2.8倍、胃癌のオッズ比が高かった。また「心配事がある」と答えた人では、このオッズ比が50歳未満の男性で1.9倍、女性で2.5倍、50〜59歳の女性で2倍だったという。
胃癌と生活習慣などとの関連では、こうした自覚的ストレスのほか、60歳未満の男性でのみ「離婚した人で胃癌が少なく、死別した人で多い」との興味深い結果も得られている。村田氏は「ストレスが胃癌の引き金になるとすれば、男性にとっては離婚でストレスが解消されたことになる」と指摘し、聴衆の笑いを誘った。(日経BP MedWave 2001/09/28)黒酢エキスががん増殖抑制 タマノイ酢確認
タマノイ酢(大阪府堺市、播野勤社長)は京都大学の大東肇教授と金沢医科大学の田中卓二教授の両グループの協力を得て、黒酢エキスによる抗がん効果を実験で確認した。人間のがん細胞の増殖やラットでのがん発生を抑制する効果を確かめた。
一般に健康に良いとされる黒酢だが、抗がん効果の実験データが出たのは初めてという。このほど開いた第60回日本癌学会総会で発表した。
大腸がん、乳がん、肺がん、膀胱(ぼうこう)がん、前立腺(せん)がんの細胞株を黒酢エキス培養液で培養。エキスを入れない場合と比べ、濃度0.1%ではすべてのがん細胞株で増殖率が10%以下に抑えられたほか、大腸がんに関しては濃度が0.01%でも75%に抑制できた。(日本経済新聞 2001/10/01)リンゴの皮などにがん抑止成分
リンゴの未熟果や皮に多く含まれるリンゴポリフェノールにがん=悪性腫瘍(しゅよう)=の増殖を抑える作用があることが、弘前大学医学部保健学科の研究チームの研究で分かった。ポリフェノール成分が、がん細胞の自殺(アポトーシス)を促す作用を持つ可能性が高いことも判明。研究チームの三浦富智講師(検査技術科学専攻)は「今後、アポトーシス誘導のメカニズムなどを解明していきたい」と話している。
研究グループは、1匹当たり100万個のがん細胞をマウスの背中に移植。リンゴポリフェノールの水溶液5ミリリットル(濃度1%)を毎日マウスに飲ませ、蒸留水を飲ませたマウスと比較した。
その結果、蒸留水を飲んだマウスは移植後26日までに11匹中5匹が死亡。死亡率は45.5%だった。これに対し、ポリフェノールを投与したマウス10匹のうち、移植後26日で死亡したのはわずか1匹、死亡率は10%に抑えられた。
また移植後26日の腫瘍の体積は、蒸留水のマウスは平均約6000立方ミリメートルだったのに対し、ポリフェノールのマウスは約3500立方ミリメートルと大幅に少なかった。
一方、培養したがん細胞にポリフェノール溶液を直接注入した実験で、濃度が高い方ががん細胞の数が減少。ポリフェノールががん細胞に直接作用する可能性が判明。
さらには、細胞が自己の持つプログラムを作動させて自殺する細胞死現象「アポトーシス」を誘導する作用を、リンゴポリフェノールが持っている可能性も示された。
三浦講師は「皮や未熟果に多く含まれるリンゴポリフェノールを、どうやって体内に取り込むかも、今後の課題になる」と話している。<ポリフェノール> 植物の色素や苦味の成分で、約4000種類あるとされる。活性酸素の過剰を抑える作用があり、緑茶、ブドウ、コーヒーなどに含まれるポリフェノールは動脈硬化予防などの効果が報告されている。リンゴポリフェノールについては、弘大農学生命科学部の研究チームが悪玉コレステロール低減効果を解明している。(東奥日報 2001/10/04)
お気に入りの音楽は人を幸せにする──脳内の物質変化でも証明
お気に入りの音楽を聞いた瞬間に脳内で起きている物質的な変化を、PET(陽電子放射断層撮影)という特殊な検査法で調べたところ、食べ物やセックスで刺激を受けたときと同様の脳内変化であることがわかった。
マサチューセッツ・ジェネラル・ホスピタルの研究者らが報告したもので、男女10人のミュージシャンに、自分の心を一番ゆさぶる曲を選ばせた。選ばせたのは、お気に入りの中でも、背筋をぞくぞくさせるような気分を起こさせる曲。
そして、被験者にお気に入りの曲、他の音楽、一般的な騒音、無音の4つ音の状態を、ランダムな順番で聞かせ、これを3回くり返して、その都度、PETでスキャンして脳内の物質の変化を調べた。
その結果、PETでの画像の変化は、自分が選んだ曲を聞いたときに最も敏感なもので、脳内の物質の変化も一番大きいことがわかった。
「この変化は、人間がセックスや食べ物の刺激によって、多幸感を経験したときの変化と同じ。音楽というのは、ストレスに対応するひとつの手段で、音楽が起こす人間の感情の変化の背後でも、分子レベルの変化が起きている」と研究者たちはいっている。(日経ヘルス 2001/10/10)酒・たばこは脳卒中発症に影響大
県内の脳梗塞(こうそく)患者のうち喫煙や飲酒の習慣がある人は、喫煙・飲酒習慣がない人より、平均発症年齢が約6年早いことが、県と弘前大学医学部の共同調査「県脳卒中発症登録事業」で分かった。また脳出血、くも膜下出血患者でも、喫煙・飲酒習慣がある患者は非喫煙・非飲酒患者よりも発症年齢が早い傾向が表れ、たばこ、アルコールが脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)発症に大きな影響を与えることが浮き彫りとなった。
県と弘大医学部公衆衛生学講座が1997年1月から2000年12月までに集めた脳卒中患者のデータは6485例(男性3387人、女性3098人)。このうち発症年度などが不明な患者99人を除いた6386人の内訳は、脳梗塞が52%で最も多く、脳出血は31%、くも膜下出血は16%だった。
脳梗塞患者のうち喫煙習慣がある患者の発症年齢は66.2歳だったのに対し、喫煙習慣がない患者は72.6歳で、発症年齢に6.4年の開きがあった。また、飲酒習慣のある人とない人では、6.5年の発症年齢の差が出た。
出血、くも膜下出血においても、喫煙・飲酒習慣がある患者の発症年齢は、喫煙・飲酒習慣のない患者よりも6−10年発症が早い傾向にあった。
発症時刻を分析すると3疾患とも午前6時から同9時までの時間帯が高かった。
喫煙・飲酒と脳卒中の関係は一般的に指摘されているが、県内全域での長期調査の結果、具体的な平均発症年齢が示されたのは初めて。
これらのデータから弘大医学部公衆衛生学講座の三田禮造教授は「適量の飲酒は体にいいとされるが、限度を超えると健康に良くないのは明らか。たばこは血管の収縮を促す」と説明。さらに「脳卒中の発症時刻、発症後の容体や社会復帰までの経過など、多方面から一層の調査・分析を加え、県全体で対策を講じる必要がある」と話している。
県脳卒中発症登録事業は県が主体となって1997年1月から実施。県内の医療機関が、脳卒中患者を確認した場合、発症状況や発症前状況、画像所見などを明記した上、弘大医学部公衆衛生学講座に通報し、同講座がデータを集積してきた。(東奥日報 2001/10/24)ビタミンと亜鉛で老人の失明防止効果
ビタミンC、ビタミンE、ベータカロチン、それに亜鉛という4種のサプリメント(栄養補助食品)で、老人が失明に至る眼の病気を予防できることがわかった。
米連邦政府のNIH(米国立衛生研究所)傘下の研究機関の1つである、米国立眼研究所の研究で明らかになったもの。
予防できるのは、老人性円板状黄斑変性という老化現象による眼の病気。老人性円板状黄斑変性は視野の中心部が、ぼやけたり、ゆがんだりする症状が出て、病状が進むと、失明に至ることが多い。老人の失明の最大の原因となっているが、決定的な治療法はない。
この研究では、3640人(平均69歳)を被験者に、ビタミン類が、老人性円板状黄斑変性と白内障にどういう影響を与えるかを調べた。
被験者は全員、黄斑変性の初期の段階にあり、放置すると症状が進行する可能性がある患者ばかりだった。使ったサプリメントは、いわゆる抗酸化剤として知られているビタミンC、E、ベータカロチンで、それに亜鉛も一緒に被験者に与え、6年間追跡調査した。
試験の結果、これらのビタミン類と亜鉛を毎日与えた場合、偽薬を与えた場合と比較して、黄斑変性が進行するリスクが25%減り、失明のリスクが15%減ることがわかった。
ただし、ビタミン類、亜鉛を個別に与えた場合では、効果は薄く、あるいは全く効果がなかった。
この研究で、被験者に与えたビタミンCは500mg、ビタミンEは400国際単位(IU)、ベータカロチン15mg、亜鉛80mgだった。(日経ヘルス 2001/10/29)野菜100%のファーストフード 牛肉離れ進むイタリアで
日本より早く狂牛病の不安に直面した欧州。ファッションの街イタリア・ミラノでは、肉をまったく使わないベジタブルファストフード店が登場して人気を呼んでいる。チェーン展開も計画され、日本からの出店打診もあるなど、広がりをみせそうだ。
カウンターの写真付きメニューを見て注文、品物ののったトレーを受け取る……。今年4月、ミラノの金融・証券街の一角にオープンした「COCO'S」は一見、ファストフードのハンバーガー店のようだ。違いは、品物がすべて野菜料理である点。大豆で作ったハンバーガー、季節の野菜を詰めたパスタなどが人気で、昼時には200席ある店内はビジネスマンらでほぼ満席になる。
共同経営者の1人、クリスチーナ・キャスチリオニさん(42)は「野菜料理を安く、多くの人に食べてもらうには、ファストフード形式が有効」と説明する。
1食あたりの単価は1万から1万2000リラ(100リラは約5.7円)。チェーン展開を計画しており、12月までに2号店の場所を決める予定。英国かベルギーが有力だが、日本からも打診があるという。
欧州連合(EU)の資料によると、狂牛病の影響で今年3月には、イタリアの牛肉消費量は例年の約4割減に落ち込んだ。「肉に不安を感じる人には、この店は選択肢の1つになる」とキャスチリオニさん。
昨年5月に開店した「Un mondo leggero」(軽い世界)も野菜料理の専門店だ。狂牛病騒動が広がった今年2月以降は売り上げが2割増えた。共同経営者の1人、ローズィ・チェルベルイさん(35)は「狂牛病が追い風になっている」と説明する。
同店の母体は、雑誌「自然派料理」を発行していた市民団体。有機・無農薬の素材が原則で卵も砂糖も使わない徹底ぶりだが、「体によくても、おいしくなければだめ」と、味にも工夫を凝らす。昼はファストフード的に簡単な食事、食材を売り、夜はレストランとして営業する。やはりチェーン展開を計画中で、近く2号店が国内にできる。(朝日新聞 2001/11/01)ビタミンDが若年型糖尿病を防ぐ──フィンランド
乳児期、幼児期にビタミンDを十分摂取すれば、若年型糖尿病の発病を予防する効果があると英国とフィンランドの合同研究チームが発表した。
若年型糖尿病は、幼少期にインスリンを分泌する機能が失われるために、治療のために毎日インスリン注射をして血糖値をコントロールしなければならないタイプの糖尿病で、糖尿病全体の約1割を占める。
ロンドンにある小児健康研究所のエリナ・ヒッポネン博士らは、フィンランド北部の地域で生まれた1万2000人以上の子どもの健康状態を66年から97年まで、31年間追跡調査した。
その結果、ビタミンDをサプリメント(栄養補助食品)として与えられていた子どもは、与えられていなかった子どもと比較して、若年型糖尿病を発症する割合が80%減少していた。また、生後最初の1年間に、ビタミンDが不足していたと思われた子どもは、その後、若年型糖尿病にかかるリスクが3倍に高まっていた。
ヒッポネン博士は「ビタミンDの摂取と若年型糖尿病の発病との間には、非常に強い関連があることがわかった。すなわち、サプリメントの形であれ、日常の生活のなかであれ、ビタミンDの摂取が不足すれば、若くして糖尿病にかかりやすくなる」と述べている。(日経ヘルス 2001/11/06)ラワン材原料から抽出化合物 がん細胞狙い撃ち
キク科の植物抽出液、肥満を抑制 岐阜県保健環境研など発表
岐阜県保健環境研究所と同県国際バイオ研究所は6日、東南アジアなどに自生し、ラワン材などとして使われるフタバガキ斜の植物から抽出した化合物ポリフェノールの一種が、がん細胞を死滅させる強い働きを持っていることを突き止めた、と発表した。
がん治療に期待がかかるのは、フタバガキ科の「バチカ」という樹木の樹皮から取り出した「バチカノールC」と名付けた天然ポリフェノールの一種。大腸がんの培養細胞による実験では3日間で最大でがん細胞の約8割が死滅した。
バチカノールCは、がん細胞のミトコンドリアに作用して細胞を壊死(えし)させる酵素を引き出す。がん細胞を選んで作用するため、正常な細胞が死ぬ率は2割程度と、従来の抗がん剤に比べ副作用が少ない。
肺がん、胃がん以外のほとんどのがんに効果があった。
また、県保健環境研究所と明治乳業(本社東京)は中南米のエルサルバドルなどに自生する「カレア」というキク科の植物の抽出液に、肥満の原因となっている脂肪細胞の形成を抑える効果があることも見つけた。
肥満化の過程では、普通細胞が脂肪細胞化し、脂肪が形成されていく。脂肪細胞になる前の前駆体にインシュリンホルモンを与えると、糖分を取り込んで通常は100パーセント脂肪細胞に変化する。しかし、これにカレアの抽出物を加えると糖分を取り込まず、脂肪細胞に変わらないことをマウス実験で確認した。
今回のような脂肪化を阻害する物質の研究は世界でも初の試みという。
同県はそれぞれ特許出願中。県保健環境研究所の飯沼宗和所長は「薬としての認可も目指すが、それより手軽に特定保健食品として、例えばヨーグルトなどに添加し“大腸がんに効くヨーグルト”などとして普及させたい」といい、3年後をめどに市販にこぎつけたいとしている。(中日新聞 2001/11/07)ヘルペスウイルスでがん細胞死滅 免疫力も向上
マウスで治癒率ほぼ100% 名大の西山教授ら開発
名古屋大医学部の西山幸広教授(ウイルス学)、高桑弘樹研究員らのグループが、単純ヘルペスウイルス(HSV)を使って直接がん細胞を殺す方法を開発した。マウスでは治癒率がほぼ100%になった上、免疫力も向上させた。ウイルスを使ったがん治療法でここまで効果が上がった例はないという。大阪市で開かれている日本ウイルス学会総会で20日、発表する。
HSVは人の9割が保有。増殖が激しい細胞に感染しやすい性質があり、がん細胞にも感染する。このため、正常な細胞も殺す副作用のある抗がん剤よりも安全な治療法として、HSVを使う研究が国内外で進められている。
西山教授らはHSVの遺伝子機能の解析を長年研究。遺伝子の一部を取り除いて病原性を低下させ、がん細胞の中に入り込んで増殖する過程で、がん細胞を殺すHSVをつくりだした。
実験では、マウスにがん細胞1000万個の肉腫(しゅ)を接種。何も投与しなかったマウスは約3週間ですべて死んだが、病原性を弱めたHSVを1回投与すると30日以上生き延びるマウスが現れた。さらに3日続けて投与すると、ほぼすべてのマウスでがん細胞が死滅した。その後新たに接種したがん細胞も死減させる免疫性も身に付けたという。
西山教授らはこの方法について、財団法人名古屋産業科学研究所が設立した技術移転機関・中部TLOを通して特許を申請。バイオ分野のベンチャー企業と協力して、臨床応用に向けた開発を進めている。
西山教授は「予想を上回る成績だ。今後は、いかにがん細胞を殺す性質を保ちつつ、人体に影響ないよう毒性をコントロールするかが課題。がんの部位によって最適なウイルスづくりも可能と考えられる」と話している。画期的な成果
山田章雄・国立感染症研究所獣医科学長(ウイルス学)の話 まだ動物レベルだが、腫瘍(しゅよう)細胞を殺したうえ、免疫機能まで高めるというのは、画期的な成果と言える。がんの特効薬となる可能性もあり、1日も早く臨床応用されることが望まれる。(中日新聞 2001/11/20)
ミカンに予防効果、糖尿病・痛風 果樹研究所
農林水産省所管の独立行政法人農業技術研究機構果樹研究所は、ミカンをよく食べる人は中高年になって糖尿病や痛風にかかる確率が低いとするミカンの生活習慣病予防効果に関する研究結果をまとめた。
同研究所の杉浦実主任研究官の研究チームが分析したもので、29、30日に神戸大学で開かれる日本食因子学会学術集会で発表する。
農水省などによると、杉浦さんらは、全国3か所の農業祭に参加した約6000人を対象に、10月ごろから2月ごろとされるミカンシーズン中のミカンの摂取量や、健康状態などに関する疫学的な調査を昨年から今年にかけて行った。
調査結果を分析したところ、調査に協力した50―79歳の男性で糖尿病にかかっている人の割合は、ミカンを食べる量が週に2―3個以下だった人が13.7%だった。これに対して、毎日1―3個だった人で10.5%に、毎日4個以上食べる人では6.6%に低下し、明らかな相関関係がみられたという。
痛風の場合も、同様に摂取量との間に相関関係があった。女性の場合も同様の傾向があったが、男性の方が傾向がより顕著だったとしている。(読売新聞 2001/11/24)5世代家族健康の秘けつ
曽曽(そうそう)祖父母まで5世代にわたって健在な251組の生活実態を、製薬会社ノバルティスファーマがアンケート調査した。
各世代に共通する好みの食べ物は「ご飯」「魚」「野菜」「果物」。一方、控えているのは「甘い物」「香辛料」だった。長寿の第1世代(平均96歳)の好物は「魚」「梅干し」「牛乳」。肉類が少なく、栄養のバランスがとれている。
運動の習慣があるのは、第1世代は3人に1人だが、子供の第2世代(同74歳)から、ひ孫の第4世代(27歳)までの3代では、6割強が「体操」「散歩」「農作業」など体を動かす習慣があった。各世代とも内臓に病気が少なく、心配しているのは「白内障」「遠視」など目の病気が多かった。(読売新聞 2001/11/25)リンゴに中性脂肪を減らす効果
1日に1個半から2個のリンゴを食べると、血液中の中性脂肪が平均21%も減少するとの研究を農業技術研究機構果樹研究所(茨城県つくば市)がまとめた。
30―57歳の男女計14人に、3週間、毎日、リンゴを食べてもらった。すると、血液中の中性脂肪の値は12人で低下。平均値(mg/dl)で見ると、摂取前の110から87に減少した。「果糖が含まれているので中性脂肪が増えると思われがちだが、まったく逆。リンゴは生活習慣病の予防効果も期待できる」と研究者。「1日1個のリンゴで医者いらず」の格言は本当だった!(読売新聞 2001/12/02)抗炎症薬で予防か? アルツハイマーの調査
非ステロイド系抗炎症薬が、アルツハイマー病の予防に有効かも知れない。オランダの大規模な疫学研究の結果が、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。
エラスムス大などの研究チームは、55歳以上の約7000人を平均7年近く追跡。抗炎症薬を服用していることとアルツハイマー病の発症率との関係を調べた。
非服用者を100とする発症リスクは、抗炎症薬の服用期間が累計1カ月以下と短い人で95。1カ月〜2年の中期服用者で83。それ以上の長期服用者になると、わずか20と低くなっていた。
研究チームは「服用濃度はそれほど重要ではない」としている。また、副作用があるのでむやみに薬を飲むべきではないともクギを刺している。
リウマチなどの治療で抗炎症薬を長期服用する人にアルツハイマー病が少ないことは、以前から指摘されていた。(朝日新聞 2001/12/08)不老長寿のカギは「粗食」 米国の最新遺伝子研究で新事実
いつまでも若々しくありたい。不老長寿は人類の見果てぬ夢だ。そのカギを握っているのは「粗食」かも知れない。米国の遺伝子研究が新事実を解き明かした。(ワシントン=大牟田透)カリフォルニア大リバーサイド校のスティーブン・スピンドラー教授らは、老化が起きるのは遺伝子のスイッチの入り具合が変わるからではないかと考えた。
遺伝子はDNAに書き込まれているが、すべて働いているわけではない。あるものはスイッチが「オン」になって、たんぱく質を作り出す。あるものは「オフ」の状態で何もしない。
そこで、人間なら18歳にあたる「青年マウス」と、70歳にあたる「高齢マウス」の肝臓の細胞から、約1万1000種類の遺伝子について様子を比べた。約1%の遺伝子の状態に差があり、そのうち46種類はすでに役割が判明していた。
20種類の遺伝子のスイッチは青年マウスで「オフ」、高齢マウスでは「オン」の状態だった。これらは炎症反応やストレス反応のほか、プログラムされた細胞死(アポトーシス)の抑制などに関係している。
反対に、アルツハイマー病にかかわりが深いとされる「アポリポたんぱくE遺伝子」をはじめ、DNA複製や異物代謝などに関連する26種類の遺伝子は、青年時代は「オン」で、年をとると「オフ」になっていた。
高齢になると関節や血管の炎症が増えたり、DNA複製能力が下がったりするのは、こうした遺伝子の働きのせいと考えられる。また、アポトーシスが抑え込まれることで、異常な細胞が際限なく増えるがんになりやすくなるのではないか、という。
マウスはふつう1週間に95キロカロリー前後のエサで飼う。ところが、人間なら90歳にあたる「超高齢マウス」に2週間は80キロカロリー、次の2週間は53キロカロリーと計4週間、「粗食」を与えたら、19種類の遺伝子の発現状況が若返った。
生後まもなくから95キロカロリーで育てると、寿命は最長42〜43カ月だが、カロリーを半分にしたら60カ月程度まで長生きすることもわかった。
スピンドラー教授は「カロリー制限が寿命を延ばすことは酵母や線虫などでも確かめられている。好きなだけ食べさせた場合の7割にとどめるのがいいようだ」と述べている。ただし、カロリーだけを減らし、たんぱく質やビタミンなど他の栄養素は必要量をとることが重要だとしている。研究は全米科学アカデミー紀要に掲載された。(朝日新聞 2001/12/08)がん抑制たんぱく質が多すぎると老化早まる 米研究者が発表
【ワシントン斗ケ沢秀俊】がんを抑制するたんぱく質が生体内に多くありすぎると老化が早まることを、米国の研究グループがマウスを使った実験で明らかにし、3日発行の英科学誌ネイチャーに発表した。がん抑制たんぱく質と老化の関連を明らかにしたのは初めてだという。
テキサス州ヒューストンのベイラー医科大のローレンス・ダンハウアー博士らは、代表的ながん抑制遺伝子として知られるp53遺伝子が産生する「p53たんぱく質」が過剰に活性化している変異マウスの系統をつくり、経過を観察した。
変異マウスは通常のマウスに比べてがん発生率は低かったが、平均生存期間は96週(約1年10カ月)で、通常のマウスの平均118週(約2年3カ月)に比べて約20%も短命だった。体重や筋肉量が少なく、骨がもろいほか、けがの回復に時間がかかるなどの特徴があった。
p53たんぱく質はがん抑制作用がある一方、細胞分裂周期を停止させたり、細胞死を引き起こすことが知られている。
研究グループは、変異マウスではp53たんぱく質が過剰に働いた結果、骨や筋肉に分化する元の細胞(幹細胞)の細胞分裂が妨げられ、骨や筋肉の生成が阻害されたのではないかとみている。(毎日新聞 2002/01/03)母乳成分 C型肝炎に効果 三重大で臨床治験
重症者、ウイルス半減も
母乳などに含まれるタンパク質成分の「ラクトフェリン」が、治療が困難とされる重いC型慢性肝炎患者のウイルス量を下げる効果があることを、三重大医学部第3内科の肝臓研究グループが突き止めた。同グループの垣内雅彦講師は「低ウイルス量の患者に有効なインターフェロン療法との併用で、治療効果が上がる可能性が高い」と期待している。
C型慢性肝炎の治療には、原因のウイルスの増殖を抑えるインターフェロン投与が一般的。しかし、血液1ミリリットル中のウイルス量が850万個以上という高ウイルス患者の場合、この療法では治療が困難とされている。
垣内講師らは、高ウイルス量の慢性C型肝炎患者15人(ウイルス量平均約1100万個)に半年間、毎日3.6グラムのラクトフェリンを経口投与し、投与前と投与後2カ月ごとの血液中のウイルス量を測定。その結果、全員のウイルス量が減少した。減少率は平均で5割近くで、半分以下に減った患者も数人いた。
一方、ラクトフェリンの摂取量を1日0.4グラムにとどめた10人(同1627万個)は、ウイルス量の低下傾向は見られたものの、効果は薄かったという。
こうした結果について垣内講師は「体内の免疫機能が活性化されるのか、胃で分解された細かいタンパク質の一部がウイルスに反応しているのでは」と推測。結果を米ダラスで開かれた米国肝臓病学会で発表した。昨年12月中旬からは2年間の予定で、新たにラクトフェリンとインターフェロンを併用した臨床治験を行っているという。
ラクトフェリンは鉄結合性の糖タンパク質。母乳なら、水分を除いた成分に10%含まれている。<C型慢性肝炎> C型肝炎ウイルス(HCV)が持続的に感染することで起きる。HCVの数を体から減らすのが難しく、感染すると慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんの原因となる。日本では約200万人が感染しているとされるが、症状が出にくく、重病になってから気付くことが多い。(中日新聞 2002/01/04)
インターフェロンと抗がん剤併用で末期肝がん治療
大阪大教授ら“完治”にも成功
肝炎の主な治療薬のインターフェロンと抗がん剤を併用して、末期の肝臓がんを治療するのに大阪大の門田守人教授(消化器外科)の研究グループが成功し、15日付の米国のがん専門誌に発表する。
既存の治療法では効果がなかった患者で、がんが完全に無くなった例もあり、どんな患者に効果があるのかメカニズムが解明されれば、有力ながんの治療法として期待できそうだ。
門田教授らは、多発肝臓がんにかかり、肝臓の血管内への増殖を伴い、手術ができない患者8人にインターフェロンを注射した上で「5−フルオロウラシル」という既存の抗がん剤を肝臓に直接投与した。
その結果、それぞれ単独で投与した際には効果がなかったのに、画像や腫瘍(しゅよう)マーカーによる診断で3人のがんが平均約3カ月後に完全に消失したほか、5人のがんも約半分になった。血液中の血小板の減少やうつ症状などの副作用もあった。研究グループは、培養がん細胞の実験などから、2剤の作用でがんの細胞死が促進されたとみている。追試する価値ある
兵庫県明石市立市民病院の奥野忠雄院長(肝臓内科)の話 5−フルオロウラシルは患者によって薬に対する感受性が違う。感受性があれば効きやすいが、肝臓がんで感受性のある患者は多くない。インターフェロンを使うことで複合的に効果が高まったのかもしれない。注目に値する結果で、多くの症例で追試する価値がある。(中日新聞 2002/01/08)
葉酸をたくさん取ると胃ガン防止の効果が
葉酸を大量に取ると胃ガンの発生が抑えられることがわかったと中国の研究者が発表した。
「上海消化器病研究所」のシュン・ドン シャオ博士らは、16匹のビーグル犬に発ガン物質を与えた。その上で、半数の犬には、米政府が定めた1日の所要量(RDA)の50倍に当たる20mgの葉酸を取らせた。
15カ月たった後に調べたところ、葉酸を取らなかったビーグル犬では、全部に胃ガンができていたが、葉酸を取った犬で胃ガンができたのは8匹中3匹だけだった。
研究者たちは、「少なくともビーグル犬では、葉酸が発ガンを化学的に抑える重要な役割を果たす。人間については、さらに研究を重ねる必要があるが、おそらく同様の結果になる」と述べている。(日経ヘルス 2002/01/08)肉食はガンになりやすい
肉類や乳製品が中心の食事をしている人は、野菜、果物をたっぷり食べている人と比べると、食道ガンになる割合が3倍、胃ガンになる割合が2倍──米ネブラスカ州の住民を調査してこんな結果が出た。
調査を行ったのは、NCI(米国立ガン研究所)、タフツ大学(ボストン)などの研究チーム。同州の住民から124人ずつの食道ガンと胃ガンの患者、また比較のため健康な人449人を選んで調査対象とした。
研究者たちは、調査対象の人々の食習慣を詳しく聞き出し、「健康食」、「高肉食」、「高牛乳」、「塩からいスナック」、「甘いデザート」、「白パン常食」の6タイプに分けた。
野菜、果物、全粒穀物を多く食べている人を「健康食」に分類した。一方、毎日のように肉類を食べ、逆に野菜、果物、穀類の摂取が少ない人たちは「高肉食」に分類した。
調査の結果、食道ガン患者の35%、胃ガン患者の33%が「高肉食」または「高牛乳」の人たちだった。さらに分析すると、「高肉食」だと、「健康食」の人たちと比べて食道ガンになるリスクが3.6倍、胃ガンになるリスクが2倍となった。(日経ヘルス 2002/01/09)パーキンソン病抑制治療実験に成功/琉大グループ
琉球大学医学部の石田昭彦助手(遺伝子治療学)らの研究グループがこのほど、大阪大学の協力を得て、パーキンソン病の進行を抑制する治療実験に成功した。肝細胞増殖因子(HGF)と呼ばれる遺伝子を使ったもの。研究成果は、3月に開かれる日本解剖学会で発表する。
パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質のドーパミンが減少して起きる。実験は、HGFを投与したラットとそうでないラットを用意し、ドーパミンを破壊する神経毒を注入した。
2週間後、HGFを投与していないラットは真っすぐ歩けずに回り続けるなど、パーキンソン病の症状が見られた。投与した方はドーパミン破壊の進行が妨げられ、症状が見られなかった。
双方の脳を調べると、投与しなかったラットはドーパミンのほとんどが破壊されたが、投与したラットは40―50%が残った。HGFのつくったタンパク質が、細胞の酸化を抑えたとみられる。
石田助手は阪大の研究者らと「神経変性疾患遺伝子治療」の特許を申請。今後、サルを使った実験を行い、成功すれば薬品として開発する。パーキンソン病と似た原理で生じる筋委縮性側索硬化症(ALS)やアルツハイマー病などにも、この技術を応用できる可能性があるという。
石田助手は「今後は、いかに失われた細胞をよみがえらせるか研究したい」と話している。(沖縄タイムス 2002/01/10)心臓病防ぐには赤ワイン、遺伝子レベルで解明
英研究チームが発表
フランス人は脂ぎった食事を好むのに、なぜか欧米の人の中で心臓病になりにくい。「フランスの逆説」といわれ、赤ワインの効用だとささやかれてきた。その仕組みを英クイーンメアリー大の研究チームが証明した。
赤ワインには、色素の一種ポリフェノールが豊富に含まれる。
チームは、この物質と一緒に牛の血管細胞を培養。遺伝子レベルで、エンドセリン1(ET1)という物質の働きが抑えられることを確認した。
ET1は動脈硬化に関係した物質で、心臓病の遠因ともいえる。赤ワインのポリフェノールがET1を抑えているため、フランス人は心臓病になりにくい──チームはそう結論づけた。
実際に赤と白、ロゼの各ワイン、ブドウジュースでET1を抑える力を比べたら、赤ワインが最強だった。もっとも、研究チームは「心臓病を防ぐのは適量の赤ワインだ」と、深酒を戒めている。
研究は、12月20日発行の科学誌ネイチャーに発表された。(朝日新聞 2002/01/12)腎臓結石は「低塩低肉」の食事で予防できる
「腎臓結石になりやすい人は、カルシウム分の少ない食事を取るように」とよく医師にアドバイスされる。結石はカルシウムの化合物でできるから、というのが理由らしい。
しかし、これは間違いで「低カルシウム食」はむしろ結石をできやすくし、代わりに「低塩低肉」の食事が腎臓結石の予防に効果的だと、イタリア・パルマ大学のウンベルト・マジョーレ博士らの研究チームが報告した。
研究では、かつて腎臓結石を患ったことのある男性120人を被験者にして、60人ずつ「低カルシウム食」と「低塩低肉食」を食べさせた。その結果、「低カルシウム食」のグループでは、試験開始後の5年間のうちに23人に腎臓結石が再発した。これに対して、「低塩低肉食」のグループでは、5年間に腎臓結石が再発したのは12人と半分だった。
なお、この試験で「低塩低肉食」というのは、塩分が1日2.9g以下、肉類は4分の3ポンド(338g)以下、チーズなどの乳製品は1ポンド(450g)以下に制限した食事だった。(日経ヘルス 2002/01/17)ビタミンEで神経難病治療 東京医科歯科大など動物実験
神経が障害され、体がふらつくなどの症状が出る脊髄(せきずい)小脳変性症の1種に、ビタミンEが効くことを、東京医科歯科大や東京大、中外製薬の共同グループがマウス実験で確かめた。根本的な治療法に結びつくと期待される。
この病気の原因は血中からビタミンEが異常に早く消えることだとされる。東京医科歯科大の横田隆徳講師(神経内科)らが突きとめた。
一方、東大の新井洋由教授(薬学)は、ビタミンEを輸送するたんぱく質の遺伝子を発見した。さらに横田さんらと共同で研究。患者ではこの遺伝子には異常があることを見つけた。
マウスの遺伝子を操作して、このたんぱく質をつくれないようにしたところ、生後1年で歩行がふらつくなど、患者とそっくりな症状が現れた。しかし、誕生時からビタミンEを与えると、症状は出なかった。
こうしたことから、血中のビタミンE濃度を保てば病気の治療につながると考えられた。
東京医科歯科大の水沢英洋教授(神経内科)は「早期に診断し、早く治療を始めれば病気を悪化させないようにできる」と期待する。(朝日新聞 2002/01/25)適度のアルコールが痴呆症を予防する
適度のアルコールがアルツハイマー病などの老人性痴呆症の予防になるという研究結果が1月26日発行の英医学誌「ランセット」で発表された。
研究を行ったのは、オランダのロッテルダムにあるエラスムス大学の研究者たちで、55歳以上の男女5395人を対象に6年間追跡調査した。いずれも、調査開始当時は、痴呆症の兆候が全くない人たちだった。
被験者には、アルコールを飲むか飲まないか、飲む人には量、頻度、種類(ワイン、ビール、ウイスキー、スピリッツなど)を聞いた。男性のほとんどは、ビールかウイスキーを飲んでおり、女性はワインなどが多かった。
調査期間が終了の1999年までに、被験者のうちの197人がアルツハイマ−病などの痴呆症と診断された。アルコール消費の習慣に照らし合わせてみると、毎日アルコールを1〜3杯飲んでいる人が最も痴呆症になりにくく、全く飲まない人よりも42%も少なかった。毎日ではないが週に1杯以上飲む人では、痴呆症になる割合は全く飲まない人よりも25%小さく、週に1杯以下という人でも痴呆症になる割合は18%少なかった。
「たとえ少量でもアルコ−ルを消費していると痴呆症の予防になっている、ということがはっきりした」と研究者たちは考察している。(日経ヘルス 2002/02/05)ヒノキチオールに炭疽菌殺菌作用
ヒバ油から抽出される成分「ヒノキチオール」に炭疽(たんそ)菌を殺菌する作用があることが弘前大学医学部保健学科の佐々木甚一教授の研究で分かった。また、ニンニクの成分が炭疽菌を撃退する効果も確認された。同教授は「殺菌のメカニズムや殺菌するまでの時間など、さらに詳しく解明していきたい」と話している。
同教授は昨年11月、ヒノキチオール製品を扱う弘前市内の企業から依頼を受けて研究を開始。シャーレの下半分に市販のヒノキチオール液0.1ccを加えた培地を準備し、炭疽菌と腸管出血性大腸菌O157をシャーレの上から下まで線状に各1本、菌を塗って培養したところ、ヒノキチオールを含まない部分を含め炭疽菌の発育が完全に抑制された。O157は、ヒノキチオールを含んだ部分のシャーレ下半分で菌の発育が抑えられた。
さらに1枚のシャーレに炭疽菌、O157、緑膿(のう)菌、MRSA(耐性黄色ブドウ球菌)、納豆菌の5種類の菌を線状に塗り、市販のヒノキチオールをスプレーで吹きかけたところ、24時間以内ですべての菌が消滅し、ヒノキチオールに強い殺菌能力があることが分かった。
また、同教授はニンニクにO157殺菌作用があることに着目し、ニンニクの抗炭疽菌効果も実験した。ニンニク粉末を1%の濃度で水に溶かし試験管に入れ、これに炭疽菌(2000万個)を加えたところ、約3時間で炭疽菌はすべて消滅。シャーレでの実験でもニンニクの殺菌効果が認められた。
同教授は、ヒノキチオールに接触していない炭疽菌が死滅したことについて「気化したヒノキチオール成分が、炭疽菌に作用した結果だろう」と分析。炭疽菌は時間経過や環境変化に伴い、耐性が強い胞子を形成するが、今回の実験では胞子形成前の純粋な菌を使用しており、同教授は「胞子形成後の炭疽菌に対するヒノキチオールやニンニクの作用も今後の研究課題」としている。(東奥日報 2002/02/08)睡眠6〜7時間が長寿の秘けつ? 米対がん協会が調査
米国で約110万人を対象に睡眠調査をしたところ、1日6〜7時間眠る人の死亡率が最も低いことがわかった。睡眠時間が長いほど長寿になるわけではなさそうだ。
米国のカリフォルニア大サンディエゴ校と対がん協会が協力し、調査開始時30〜104歳の人を6年間追跡した。米医学誌「一般精神医学論集」15日号に載った論文によると、年齢や食習慣、運動、過去の病歴、喫煙などの要因を考慮した上で、死亡率を算出した。
最適と言われることの多い8時間睡眠の人の死亡率は、6〜7時間の人より1割ほど高かった。また、8時間以上の人と5時間の人を比べると、8時間以上の方が高い死亡率を示した。
研究グループは「なぜ長く眠る人たちの死亡率が高いのかは分からない。6〜7時間の睡眠で健康状態が良くなるのかどうか、これから研究したい」という。
一時的に不眠を訴えた人の死亡率も調べたが、不眠経験のない人と変わらなかった。不眠を訴える人は実際には不眠症ではなく、抑うつ状態のことが多く、睡眠時間はそれほど減っていないとみられる。ただ、睡眠薬を飲んでいる人の死亡率はほかより高かった。
この調査に対し、不眠症などの研究支援や睡眠の啓発活動をしている全米睡眠財団は「調査対象が対がん協会員らに限られ、平日の睡眠時間しか調べていない。手法に限界があり、死亡率だけで評価するのも乱暴だ。当財団は今後も7〜9時間の睡眠が重要と訴えていく」とのコメントを出した。(朝日新聞 2002/02/15)「高齢者の記憶力、訓練で回復」=米大研究チーム
高齢者の記憶力は、訓練によって、ある程度回復可能なことを示す研究成果を米ワシントン大の研究チームがまとめ、米医学誌「ニューロン」最新号に発表した。記憶力の低下は必ずしも脳細胞の破壊が原因ではなく、脳の特定領域のつながりが悪くなるために起こると推定されるという。
研究をまとめたのは、ランディ・バックナー助教授らのチーム。20歳代と70―80歳代の健康な62人に複数の言葉を覚えてもらい、思い出すテストを実施し、MRI(核磁気共鳴映像)装置を用いて、脳のどの領域が働いているかを調べた。
その結果、若い人の脳では、まず脳の右前頭部が働き、直後に左前頭部が働いていた。しかし、高齢者は左側の領域をほとんど働かせていなかった。
だが、研究チームが、言葉の意味をよく考えたりイメージを意識するなど関連づけて覚える訓練を施した後のテスト結果では、高齢者の脳左前頭部も、若い人並みに働いていたという。ただ、思い出すまでの速さは、若者並みとはいかなかった。研究チームは「老化しても、脳にはまだ高い能力が残っている」とみている。(読売新聞 2002/02/18)タマゴタケに抗がん作用
本県でも採れる食用キノコ「タマゴタケ」に、がん=悪性腫瘍(しゅよう)=の増殖を抑え、治癒させる作用があることが、弘前大学医学部の北武講師(法医学)のマウスを使った実験で分かった。また、タマゴタケの成分が血中の免疫細胞を増やし、マウスの免疫力を高めることも確認された。
北講師は(1)タマゴタケの成分をエタノール沈殿で抽出(2)1匹当たり150万個のがん細胞をマウスの皮内に移植(3)がん細胞移植後2、4、6日目の計3回、タマゴタケの成分2ミリグラムを注射(4)注射後21日目にマウスの腫瘍サイズを計測して、成分を注射しなかったマウスと比較した。
その結果、抽出成分を注射したマウス15匹のうち9匹が完全に腫瘍がなくなり、治癒率は60%を示した。また、腫瘍が残ったマウス6匹の腫瘍のサイズは、抽出成分を注入していないマウスの10%以下だった。
さらにマウス血液の免疫細胞の量を調べたところ、治癒したマウスの方が非治癒群のマウスより、免疫細胞(T細胞、NK細胞)が多いことが確認された。例えばNK細胞では、抽出成分が注入されていないマウスに対し、完全治癒のマウスは2倍以上高かった。このことから北講師は「タマゴタケの成分がマウスの免疫細胞を増やし、がんに対する免疫力を高めて攻撃を強化する」と結論付けている。
北講師は、同様にしてブナハリタケ、ムキタケの抗がん作用を調べたが、治癒率は25−30%とタマゴタケを下回った。
北講師は「今後も県内で採れるキノコの抗がん作用を調べ、抗がんキノコの生息マップを作製したい」と話している。(東奥日報 2002/02/19)読書、ゲ−ム、博物館、パズル──知的活動がぼけを防ぐ
「頭を使うとぼけない」とよく言われるが、「これは本当だ」という研究が報告された。
研究を行ったのは、シカゴにあるラッシュ・プレスビテリアン・セントルーク病院のロバート・ウイルソン博士ら。本を読む、文章を綴る、ゲームをする、美術館や博物館にしばしば足を運ぶ、パズルを解く、テレビをよく見る、ラジオをよく聞くなどの行動をとる人はアルツハイマー病の発症は少なかったという。
研究は94年に、僧侶、尼僧、ブラザーなど聖職にある65歳以上の人801人を対象にスタートした。以後、2001年6月まで7年間にわたって、このお年寄りたちを追跡調査した。
研究開始時には、研究対象者すべてにアルツハイマー病などの痴呆症の兆候は全くなかったが、最終的に26人がアルツハイマー病で死亡したことが確認された。
研究者らは、お年寄りの日常のうち、知的活動について5段階で点数化して調べた。本を読む、文章を綴る、ゲ−ム遊び、美術館や博物館にしばしば足を運ぶ、パズルを解く、テレビをよく見る、ラジオをよく聞く、などの知的活動の実施度が1点増すと、アルツハイマー病にかかるリスクが平均して33%減っていることがわかった。
ウイルソン博士は、「われわれの研究の結果、日常の知的活動が活発な高齢者には、確かにアルツハイマー病が少ないことがはっきりした」と考察している。(日経ヘルス 2002/02/28)白内障がビタミンCで予防できる
野菜や果物などの食品から、あるいはサプリメント(栄養補助食品)からでもいい、ビタミンCをたっぷり摂取するとあなたの眼を白内障から守ってくれます、と米タフツ大学(ボストン)の研究者が、「米臨床栄養学雑誌」(American Journal of Clinical Nutrition)最新号で報告している。
同大学の人間栄養研究センターのアレン・テイラー博士をリーダーとする研究チームは、53歳から73歳までの女性492人について、年齢と白内障とビタミンC摂取量との関係を調べた。
その結果、60歳以下の女性でビタミンCを1日362ミリグラム以上摂取している人では、ビタミンCの摂取量140ミリグラム以下の人と比べると、白内障にかかる割合が57%も低かった。
また、サプリメントの形でビタミンCを飲んでいる人は、飲んでいない人と比べると、白内障にかかる割合が60%低かった。(日経ヘルス 2002/03/04)ras遺伝子活発化、がん細胞自滅
「神経芽腫」自然治癒を解明 ほかのがんにも応用可能性
代表的な小児がん「神経芽腫」が自然治癒する仕組みの一端を、国立がんセンター研究所や神奈川県立こども医療センターなどの共同研究チームが解明した。まったく新しい仕組みでがん細胞が「自殺」しているのが原因という。神経芽腫だけでなく、ほかのがんの治療法の開発にも役立つ可能性がある。米国のがん専門誌JNCI(6日号)で発表される。
神経芽腫は白血病に次いで多い小児がん。腎臓の上の副腎や、背骨の左右に広がる交感神経節に病巣ができる。死亡することもある半面、病巣が自然に縮小したり消えたりする例も多い。
自然治癒の仕組みを探ろうと、研究チームは神経芽腫の細胞で目立つras遺伝子に目をつけた。
体には秩序を乱す細胞を自殺に導く機構が備わっている。患者110人のがん組織の自然治癒した部分を調べたら、ras遺伝子が活性化し、従来にない仕組みで自殺している細胞群が見つかった。培養がん細胞で人為的にras遺伝子を働かせ、同様に自殺することも確かめた。
国立がんセンター研究所生物物理部の口野嘉幸部長と北中千史室長は「大腸やぼうこう、すい臓のがんでもras遺伝子が強く働いている。より細かい仕組みが分かれば、こうしたがんの治療法につながる可能性がある」と話している。(朝日新聞 2002/03/06)
ココアの成分が高血圧を防ぐ
ココアは血流を促進して高血圧を防止し、心臓にいい健康飲料だとボストンで開かれた米学術振興会(AAAS)の年次総会で、ハーバード大学の研究者が発表した。
発表したのは、同大学医学部の教授でブリガム女性病院の医師でもあるノーマン・ホレンバーグ博士。博士によると、ココアには「フラバノール」(flavanol)という物質が含まれており、これが体内で血液の流れを健全に維持し、血圧が上昇するのを防いでいるという。また、このフラバノールには体内で動脈を拡張させる酸化窒素を作り、活性化を促す働きがあるという。(日経ヘルス 2002/03/06)怒りっぽい男はホルモン不足!?
女性ホルモンの分泌が減少する更年期に、女性には肉体的精神的につらい症状が起こることはよく知られている。同じように精神状態も含めた変化が、男性の場合にも男性ホルモンの分泌の影響で起こることが報告された。
英国のエディンバラ人間生殖科学研究所のジェラルド・リンカーン博士は「男性ホルモンのテストステロンが欠乏すると、男性は人が変わったように気性が荒っぽくなったり、感情に走ったり、乱暴な行動に出たり、あるいは逆にふさぎ込んだり、いらいらしたりするようになる」との研究成果を発表した。
博士はこれを「男性症候群」(male syndrome)と呼んでいる。女性が性ホルモンの影響を受ける時には周期性があるが、男性の場合には、周囲の環境の極度の変化が関係する。
病気になる、事故に遭遇する、仕事で失敗する、家族に不幸が起こる、といった事態に直面すると、男性ホルモンの分泌が急激に減少し、異常な行動に出たり、不安定な精神状態に置かれたりするのだという。
対策として、「テストステロン(男性ホルモン)を注射すれば、感情の起伏は収まり、本来の精神状態を取り戻して、元気が回復し、セックスもうまく行くようになる」とリンカーン博士は述べている。(日経ヘルス 2002/03/07)誘導電磁波でがん細胞根絶=高温加熱で高い治療効果−金沢大と富山医薬大
金沢大と富山医科薬科大の研究チーム(代表・田沢賢次富山医薬大教授)は9日、IH(電磁誘導加熱)調理器などに利用されている誘導電磁波と、がん細胞になじみやすい磁性体を利用して、周囲の正常な組織を傷つけずに患部だけを加熱し、根絶する治療法を開発したことを明らかにした。皮膚表面や口内にがんが見つかった患者を対象に、近く富山医薬大で臨床試験を開始し、2年後の実用化を目指す。
患部周辺全体を温める従来の電磁波温熱治療に比べ高温の加熱が可能で、一度で高い治療効果が期待できる。患者の負担や副作用も軽いといい、初期がんの有効な治療法として期待される。(時事通信 2002/03/10)ケチャップ、トマトソースが前立腺ガンを予防する
ケチャップ、トマトソースなど、トマトをベースにした加工食品を食べている男性は、前立腺ガンになりにくいことが大規模な調査でわかった。
ボストンにあるブリガム女性病院とハーバード大学公衆衛生学部の研究者たちは、40歳から75歳までの男性4万7000人以上について、食生活と前立腺ガンの病歴との関係を調べた。調査は1986年から98年までの記録を元に実施して、この間に2481人が前立腺ガンと診断されていた。
データを分析したところ、トマトの加工品を少なくとも週に2回以上常食している人は、そうでない人よりも前立腺ガンにかかる割合が36%小さいことがわかったという。
従来から、トマトには強力な抗酸化作用のある色素の「リコピン」(lycopene)が含まれており、フリーラジカル(活性酸素)を消去して細胞のガン化を防止するといわれてきた。「この調査結果で従来言われてきた効果を再確認できた」と研究者たちはいっている。(日経ヘルス 2002/03/13)アルツハイマーとアルミとの関係確認 阪大研究
ごく微量のアルミニウムと、ごく小さな脳こうそくなどによる低酸素状態が重なると、細胞がアルツハイマー病の引き金物質を大量に作ることを、大阪大の遠山正弥教授らの研究チームが培養神経細胞を使った実験で確認した。アルツハイマー病は、85歳以上の5人に1人がかかるといわれている。アルミとの関係は30年ほど前から疑われていたが、明確な証拠はなかった。29日から静岡県浜松市で開かれる日本解剖学会で発表する。
研究チームは、人の神経がん細胞を、有機アルミを67.5ppb(ppbは10億分の1)含む培地で3カ月培養した後、低酸素状態にした。すると、1時間後に、アルツハイマーの引き金と判明している変異型プレセニリン2(PS2V)というたんぱく質を作り始めた。低酸素だけ、またはアルミだけの場合もPS2Vを作るが、量が少なかった。
研究に当たった片山泰一助手と大学院生の松崎伸介さんは、アルミと低酸素という2つのストレス要因が重なることで、強い病原性を発揮すると見ている。
水道法では、水道水のアルミニウム濃度目標を200ppb以下としている。今回の実験はそれ以下だった。鳥取大医学部の飯塚舜介・助教授(医療環境学)は「アルミは腸での吸収率が極端に低いので、飲み食いしたものに入っているアルミがそのまま脳の細胞にいくわけではない」と話す。(朝日新聞 2005/03/22)アルツハイマー病症状、南米産「ガラナ」が緩和
ブラジルのアマゾン川流域に原生するガラナに、アルツハイマー病のぼけ症状を和らげる効果があることが鈴鹿医療科学大(三重県鈴鹿市)の鈴木郁功教授らのグループの研究で分かった。今月26日から千葉市で開かれる日本薬学会で発表する。
ガラナの実はブラジルでは民間薬として古くから滋養強壮に用いられ、日本でも健康食品店などで粉末やカプセルが売られている。
実験では疑似的なアルツハイマー病症状を起こさせたマウスに濃縮ガラナを投与。半日絶食させた後、八方に放射状に分かれた通路の1つの端にだけえさを置いた装置で、えさに到達するまでの時間を計った。通路は色によって識別可能で、えさがある通路を覚えるのが早いほど、早くえさにありつける。
実験では3日目以降に顕著な差が表れ始め、ガラナを与えた5匹のマウスは、ほかの5匹に比べて平均で約3分の1の時間で到達できるようになったという。
ガラナの成分が、脳の海馬にコリンアセチルトランスフェラーゼと呼ばれる 記憶力を促進させる酵素を分泌させることが主な原因とみられる。鈴木教授らは近く実際のアルツハイマー病患者にも投与し、データを集めるという。(日本経済新聞 2002/03/22)肺がんに抗炎症剤有効 転移・増殖を抑制
愛知がんセンター確認
肺がんの転移や増殖を抑えるのに、リウマチ治療などに使われる抗炎症剤が有効であることを、愛知県がんセンター研究所(名古屋市)の高橋陸・分子腫瘍学部長らのグループが、同センター病院呼吸器科の樋田豊明医師らとの共同研究で確認した。炎症反応にかかわる酵素が、転移性の肺がんに多く出現していることから、この酵素を阻害する抗炎症剤が転移なども抑えるとみて研究を進めた。この薬は米国で広く使われており、副作用が少ない新しいがんの治療薬として期待されそうだ。
高橋部長らは、転移しにくい肺がんの細胞と、転移性の高い肺がん細胞を比較し、後者には「COX−2」と呼ばれる酵素がたくさん作られていることを確認。がん細胞の遺伝子の解析、比較でもこれが裏付けられた。
COX−2阻害剤として使われている抗炎症剤をマウスに投与して実験したところ、血行性転移、リンパ行性転移とも、肺がんの転移を50%から80%抑えることが確認された。
抗がん剤と併用すれば、これまでと同じ副作用で従来よりも高い効果が期待できる。逆に抗炎症剤を投与することで抗がん剤の量を減らし、副作用を軽減しながら従来と同じ効果をあげる方法も考えられるという。
COX−2は、はれや発熱など、体の炎症反応にかかわる分子の1つ。「がん細胞が周囲の正常組織に浸潤するのに、炎症反応にかかわる分子を使っていることを示唆している」と高橋部長。「COX−2以外にも転移に関与している分子はある。これらを見つけ、転移のメカニズムを解明すれば、より有効な治療法がみつかる。今回の研究はその第一歩」と話している。(朝日新聞 2002/03/25)カルシウム摂取が結腸がんを防ぐ
カルシウムを十分摂取している人は結腸ガンが少ない──こんな新事実がハーバード大学の研究者によって明らかになった。
ハーバード大学公衆衛生学部のカナ・ウー博士らの研究チームは女性8万8000人、男4万7000人、合わせて13万5000人を対象に食事と大腸ガンとの関係を1980年代から今日まで調べた。
この間に、大腸ガンと診断されたのは女性では626人、男性では399人いた。これを食事との関係で分析すると、カルシウムを1日700〜800mg摂取している人では、大腸ガンの中でも腹部左側の下行結腸にできるガンが40〜50%少ないことがわかった。
ガンと食事との関係にくわしいモニカ・クラウス博士(ワシントン病院センタ−)は「重要な事実が明らかになった。ガンとカルシウムの関係にもっと注目するべきだ。ミルクや乳製品などの食事で補いたい。足りない分はサプリメント(栄養補助食品)で補っていもいい。ただし、カルシウムの過剰摂取が効果的かどうかはわかっていないので、適正量の摂取にとどめた方がいい」と言っている。(日経ヘルス 2002/03/26)1日ビール大瓶1本で大腸ガン抑止 キリンビールなどラット使い研究
適量のビールを毎日飲んでいると、大腸がんの発症が抑えられる可能性のあることが、キリンビールと国立がんセンターのラットを使った共同研究で分かった。この「適量」を人間に当てはめると大瓶1本(633ミリリットル)程度になる。27日、仙台市で開かれている日本農芸化学会で発表する。ビールの成分に効果があると考えられるが、その仕組みは未解明で、今後の研究課題という。
研究グループは、ラット40匹に大腸がんを起こす物質を注射し、ビール(アルコール濃度5%)、ビールと同じ濃度のアルコール、水だけを飲ませる3グループに分け、1カ月後と10カ月後の大腸の様子を調べた。各グループとも、飲んだ量はラット1匹当たり1日平均約12ミリリットルだった。人間の大人(体重60キロ)なら、ビール大瓶1本に相当する量になる。
1カ月後の検査では、がんになり得る病変数が、ビールだけを飲んだグループは、水だけを飲んだグループに比べ約30%少なかった。病状が進行した10カ月後では、ビールだけのグループの腫瘍(しゅよう)病変数は、水だけのグループのほぼ半分だった。一方、アルコールだけと水だけのグループの間に大きな差は出なかった。
厚生省(当時)の研究班は99年、1週間の平均アルコール消費量が79グラム(2日でビール大瓶1本に相当)の人の胃や肺、直腸などのがん死亡率が、全く飲まない人に比べて半分との疫学調査結果を発表している。
近藤恵二・キリンビール基盤技術研究所主任研究員は「がん予防に適量のビールが有効なことが動物実験でも示唆できた。今後はビールに含まれる麦芽やホップがどう作用しているのか解明したい」と話している。【田中泰義】(毎日新聞 2002/03/27)テレビをよく見る子どもは攻撃的性格になる
子どものころに1日平均1時間以上テレビを見ると、大人になってから暴力をふるうなど攻撃的な振る舞いをするようになる──というショッキングな報告が3月29日発売の米科学誌「サイエンス」で発表された。
米コロンビア大学のジェフリー・ジョンソン博士らの研究。ニューヨーク州北部の2つの郡に住んでいる707家族を17年間追跡調査した。その結果、10代ないし思春期に週7時間以上(1日平均1時間以上)テレビを見ていた人は、後年暴力をふるうなど攻撃的な行動に出る割合が、テレビをあまり見なかった人と比べて最高4倍にも達していた。
ジョンソン博士によると、取り立てて暴力シーンが多い映画ばかりでなく、すべてのテレビ番組が、攻撃的性格を生む下地となりうる。「大人にとっては無害と思える番組の中でも、子どもたちにとってはトラウマとして残るシーンがある」とジョンソン博士はコメントして いる。(日経ヘルス 2002/04/04)C型肝炎、次々と新療法
「適切時期に適切処置」整備ようやく
C型肝炎の診療が大きく変わってきた。感染者は200万人とも推定され、悪化して肝硬変や肝がんになり、亡くなる人は年間3万人以上。輸血やフィブリノゲン製剤といった血液製剤などによって広がった。過去の医療行政の不手際が批判される中、C型肝炎対策は診療体制も含めてようやく整備されようとしている。(科学医療部・添田孝史)「適切な時期に適切な治療をすれば、肝硬変や肝がんになって命をなくすことは、もうほとんど無くなるだろう」
ここ数カ月で次々に認められた新治療法に、飯野四郎・ウイルス肝炎研究財団理事はこんな期待を口にする。
C型肝炎ウイルスに感染すると慢性肝炎になる人も多い。適切な治療をしないと10年で3割が肝硬変に、うち3分の2は肝がんになるという。
治療はインターフェロンが単独で使われ、6、7割の患者に有効とされる。ただ、ウイルスが完全に排除されるのは約3割。「1b」というタイプのウイルスに感染し、その量が多い「難治型」は患者の半数を占めるが、6%ほどでしかウイルスを追い出せない。
「難治型でも20%はウイルスが消える」(飯野さん)と期待されるのが、抗ウイルス剤リバビリンとインターフェロンの併用。昨年11月に承認された。
いまは併用期間は6カ月との条件つきだが、1年使えば難治型でも40%近くに成績が上がるとの海外の研究もあり、期間延長に向けた臨床試験が進められている。
改良型のインターフェロンも昨年12月から使えるようになった。難治型でもウイルスが少なめの時は有効だという。
これまで原則として6カ月だったインターフェロンが2月から長期に使えるようになった。
虎の門病院(東京都港区)の熊田博光・消化器科部長によると、通常の治療に使う量の2分の1を使い続けると、ウイルスが消えなくても、肝がんを10分の1に減らせるという。
治療の選択肢が増え、効果と副作用を見ながら選べるようになった。厚生労働省は治療のガイドラインを作り、公表する予定だ。◇治療への結びつけ、課題
C型肝炎の原因となるウイルスの発見は88年。それまで「非A非B型肝炎」と呼ばれたものの多くがC型とみられる。
ウイルスは主に血液を介して感染する。発見の翌年に検査法ができ、国内の献血に導入された。92年に改良され、99年に新しい方法にかわった。
感染は、対策がとられていなかった時の輸血や血液製剤、注射針などで広がった。輸血での感染は90年以降ぐんと減ったが、89年までは輸血された人の8.7%が「非A非B型肝炎」になった。
感染が問題となった旧ミドリ十字のフィブリノゲン製剤などの血液製剤は、多くの人の血液をプールしてつくった。ウイルス対策が遅れ、危険性が高く、行政の責任が問われている。
ところが感染者のうち治療を受けている人は4分の1ほどとされる。悪化してから感染に気づく人も少なくない。国は4月、検査を拡充させた。
政府管掌健康保険の生活習慣病予防検診で35歳から5歳ごとに受けられる。住民検診では40歳以上5歳ごと。年齢や職業に関係なく検査を受けられる保健所も多くなる。
ただ、見つかった感染者を、いかにして適切な治療に結びつけるかという課題が残る。
日本肝臓病患者団体協議会の高畠譲二事務局長は「感染がわかって不安になった人の相談窓口やきちんと治療できる医療体制の整備が必要だ。だが自治体によって取り組みにすでに差が出始めている」と心配する。◇感染の危険高いケース
厚生労働省は、C型肝炎ウイルス感染の可能性が一般より高いケースとして次のような例を挙げ、検査を勧めている。
92年以前の輸血▽長期にわたる血液透析▽非加熱の血液凝固第8、第9因子製剤▽フィブリノゲン製剤▽大きな手術▽健診などで肝機能の異常を指摘されながら検査を受けていない場合……。
フィブリノゲン製剤は、産婦人科や外科などで胎盤早期剥離(はくり)、がん手術、心臓手術といった治療に使われたことがある。(朝日新聞 2002/04/05)<参考になるHP>
リバビリンやインターフェロンには様々な副作用がある。専門医への受診が望ましい。日本肝臓学会は4月下旬に学会の試験に合格した「肝臓専門医」をホームページで公表する予定。
◆厚生労働省(C型肝炎Q&A)
http://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0410-1.html
◆日本肝臓学会
http://www.jsh.or.jp
◆日本肝臓病患者団体協議会
http://www.nipponroche.co.jp/tokyokanzou/ 電話03・5982・2150(月〜金 10〜16時30分)
◆全国肝臓病患者連合会
http://www.geocities.co.jp/Colosseum-Acropolis/9112/ 電話03・3323・2260(月水金 13〜17時)心臓病防ぐには魚食べよう 週2回以上でリスク3割減
【ワシントン9日=大牟田透】魚を食べる回数が多い人ほど、心筋梗塞(こうそく)などの心臓病になりにくいことが、米国の2つの大規模長期調査で確かめられた。ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)など、魚に多い不飽和脂肪酸には動脈硬化を防ぐ効果があるとされているが、それを裏付ける結果だ。
ハーバード大のグループは80年から、女性看護師約8万5000人の生活習慣を追跡調査。動脈硬化による心臓病にかかる率は、魚を食べる回数が月に1回未満の人たちが最も高かった。この人たちに比べて、月1〜3回なら21%、週1回なら29%、週2〜4回なら31%、週5回以上なら34%、それぞれリスクが減っていた。
生死にかかわるような重い心臓発作の危険率ではさらに差が大きく、週5回以上の人たちでは45%も危険率が低かった。
もう一方のボストンの婦人病院グループは82年以来、男性医師約2万2000人を追った。心臓発作で突然死する危険性は、魚を習慣的に食べる医師では81%も低かった。
DHAやEPAは、脂がのったマグロやブリなどに多く含まれる。食べる魚介類の種類から、魚特有の不飽和脂肪酸の摂取量を推定すると、摂取量が多いほど、効果が大きかった。
米医学会誌10日号とニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン11日号に論文が掲載された。(朝日新聞 2002/04/10)痴ほう症、食事と関係 患者、青魚の摂取足りず 自治医大調査
アルツハイマー病の発症に食習慣が深く関係していることを自治医科大学大宮医療センターの植木彰教授らの研究チームが疫学調査で突き止めた。患者の多くが脂肪酸などの摂取バランスが崩れていた。植木教授は「バランスのとれた食事を取ることが予防につながる」と話している。
アルツハイマー病患者51人と、同年齢の健康な人が、食べている食事の中身を分析した。
男性患者は摂取するエネルギー量が健康な人に比べて約3割多かった。穀類、肉類、植物油の摂取量が特に目立った。一方、女性患者の場合は1日に必要なエネルギーをとっていない人が多く、海藻や緑黄色野菜の摂取量が著しく低かった。
また、男女の患者に共通した傾向として、青魚に多い不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)の摂取割合が低かった。
植木教授は「1日80グラムの青魚、最低2回の緑黄色野菜をとることが痴ほうの予防には大切」と指摘している。
研究成果は10日まで京都市内で開いた「第3回アルツハイマー病の血管因子に関する国際会議」で発表した。(日本経済新聞 2002/04/11)大豆たんぱくに痛みを抑える効果発見
大豆をふんだんに含む食事には、痛みを軽くする効果があるというデータが米国で開かれた「疼痛学会」の会議で発表された。
ジョンズホプキンス大学の麻酔科医師スリニバサ・ラジャ博士らの研究。ラットにいろいろな種類の食事を与え、傷をつけて、その際の反応を見た。その結果、脂肪を抜きの大豆粉末を与えた時に、傷に対する腫れがもっとも少なくなり、痛みに対する反応が全般的に小さくなることがわかった。
ラジャ博士は、「抗炎症作用は、大豆に含まれるたんぱく質の働き。人間の場合も同じような効果が考えられる。そのために必要な量を調べたい。ガン患者など長期に痛みに苦しんでいる病人の食事を考える上で参考になる」と話している。(日経ヘルス 2002/04/12)C型肝炎に鉄分制限食 5ミリグラム減でがん予防 三重大チーム研究
肝硬変や肝臓がんにつながるC型肝炎の症状改善に鉄分摂取量を制限する食事療法が有効であることが、三重大医学部第3内科の研究手−ムの調べで分かった。ウイルスの増殖を抑えるインターフェロン(IFN)療法が効かない重症患者にも有効とされ、同内科の垣内雅彦講師は「肝臓が悪ければシジミ汁がよいと信じている患者や医師は少なくない。しかし、C型肝炎では鉄分を増やして逆効果」としている。
内科は、C型肝炎患者の肝臓に高濃度の鉄分が蓄積し、炎症を起こして病状を悪化させていることに注目。栄養士らと協力して、患者17人に鉄分を控えた食事メニューを指導した。
通常なら1日平均10−12ミリグラムとされる鉄分摂取量を7ミリグラム以下に抑え、肝機能の指標となるGPT値などを測定。食事療法開始時は68だったGPT値の平均が6カ月後に53になるなど、9割に当たる15人に効果が表れた。GPT値が下がれば肝がんへの進行を抑制できるという。
これまで肝疾患患者には高タンパク、高エネルギーの食事が有効とされてきた。しかし、レバーや鶏卵、きな粉といった高タンパク食は一般的に鉄分が多く、垣内講師は「毎日の食事の鉄分を減らすだけでも発がん予防になる」と指摘する。<C型肝炎> C型肝炎ウイルス(HCV)が持続的に感染することで起きる。HCVの数を減らすのが難しく、日本では約200万人が感染しているとされるが、症状が出にくく、重病になってから気付くことが多い。(中日新聞 2002/04/16)
米ぬかで血糖値が下がる
ライスブラン(rice bran 、米ぬか)に血糖値を下げる著しい効果があると、米ウイスコンシン州マディソンにある「高等医学研究所」(Advanced Medical Reserach )の研究者が報告した。
同研究所のアサフ・クレシュ博士らは、糖尿病患者57人を集めて、毎食時にライスブランを添加して、これを2カ月続けた。被験者の患者には、若年型糖尿病と成人型糖尿病の両タイプが含まれていた。
2カ月ののちに、患者の血糖値は最高で30mg/dl下がり、多くの患者で、投薬やインスリン注射の用量を減らすことができたという。
試験に使われたのは、カリフォルニア州のサプリメントメーカー「NutraStar社」がつくった水溶性ライスブラン。このサプリメントには食物線維は少ないことから、血糖値を下げる効果は食物線維によるものではなく、何かほかの有効成分が含まれていると研究者たちは見ている。(日経ヘルス 2002/04/17)ポテトチップスに高濃度の発がん物質=スウェーデン研究
【ストックホルム24日ロイター】ポテトチップスやビスケット、パンなど、世界中で数百万人が日常的に口にしている食べ物に、がんを引き起こすとみられている物質がかなりの分量含まれているとする研究結果が、スウェーデンで発表された。
政府の食品安全機関とストックホルム大学が共同で行った研究で、炭水化物を多く含むコメやイモ、穀物などを焼くか揚げるかした場合、発がん物質の可能性が高いとされるアクリルアミドが非常に高い濃度で生成されることが分かった。
これらの食品をゆでた場合には、アクリルアミドは生成されないという。
研究チームは今回の発見の意外性と重要性を重視、学会機関紙での発表を待たずに異例の事前発表を行った。
政府の食品当局者は会見で、「30年間この分野に携わってきたが、こんな結果は見たことがない」と驚きを語った。
発表によると、一般的な分量のポテトチップス1袋に含まれるアクリルアミドの濃度は、世界保健機関(WHO)が飲料水について許容範囲としている含有濃度の500倍にも及ぶことが判明した。
また、国内にある米ファーストフード大手バーガーキングやマクドナルドの店舗で販売されているフレンチフライでは、この濃度が約100倍だったという。(ロイター通信 2002/04/25)骨粗しょう症患者に朗報 緑茶が効く 中部大グループが発見
緑茶に含まれる渋味成分の一種、エピガロカテキンガレート(EGCG)が、骨粗しょう症の原因となる破骨細胞の細胞死を引き起こすことを中部大応用生物学部(愛知県春日井市)の永井和夫教授を中心とする研究グループが突き止めた。
骨粗しょう症は、骨を吸収する破骨細胞と新たに形成する骨芽細胞のバランスが崩れて発症する病気で、国内の患者は約1000万人とされる。EGCGを使った治療薬やサプリメント(栄羞補助食品)が開発されれば、骨粗しょう症の抑制や予防に役立ちそうだ。
永井教授らは、マウスから採取した大腿(たい)骨の骨髄細胞と頭がい骨の骨芽細胞をまぜて培養、破骨細胞などを育て、EGCGを注入して24時間後の変化を観察した。
その結果、破骨細胞は全滅、骨芽細胞に大きな変化はみられなかった。
EGCGの作用で生じる鉄イオンと、破骨細胞の活動で生じる過酸化水素が反応してヒドロキシルラジカルという活性酸素が発生、破骨細胞を死滅させたとみられる。
永井教授は「破骨細胞と同じように活発に活動するがん細胞にも、EGCGは有効なのではないか」と話している。(中日新聞 2002/04/27)乳製品をたくさん食べると糖尿病になりにくい
インスリンが働きにくくなるインスリン抵抗性という状態がある。この状態が続くと、血糖値が高まりやすく、肥満したり、糖尿病にかかりやすくなる。
乳製品を摂ると、このインスリン抵抗性の状態になりにくいことをボストンの子ども病院のマーク・ペレイラ博士らが報告した。
研究者たちは、18歳から30歳の肥満の人を対象に調べた。乳製品を1日に5回以上食べている人では、1日に1回以下ないし全く食べない人と比べるとインスリン抵抗性が70%少なかった。
さらに詳しく調べると、1日の乳製品消費回数が1回増えるごとに、インスリン抵抗性の発生率が21%減少していた。
ペレイラ博士は、「牛乳のなかのどの成分が、インスリン抵抗性の防止に役に立っているのか良くわからない。しかし、牛乳や乳製品をよく食べると、インスリン抵抗性の状態になりにくく、糖尿病の予防になる」と言っている。(日経ヘルス 2002/05/02)緑茶でATL発症予防/鹿大医学部・園田教授ら発表
鹿児島大学医学部ウイルス学講座の園田俊郎教授(離島医療学講座と併任)ら研究班は、1日10杯分の緑茶を飲み続けることでATL(成人T細胞白血病)の原因ウイルスHTLV−1の量を抑えられることを明らかにした。園田教授は「試験管レベルで立証された効果が、生体でも認められた。ATL(成人T細胞白血病)などの発症予防につながる可能性が示された」と話している。11日、鹿児島市である日本がん分子疫学研究会で発表する。
飲用試験は、緑茶のエキスを抽出したカプセルを使用。インフォームドコンセント(十分な説明と同意)を行った上で県内在住のキャリア(ウイルス保持者)約100人に実施した。
無作為に2グループに分け、一方は毎日緑茶10杯分のカプセルを半年間服用。他方は半年間緑茶を飲まないで通常の生活をしてもらった。
両者に定期的にDNA検査を行い、血中のウイルス量を調べた結果、緑茶を飲み続けると徐々に減少し、6カ月後には統計学的に効果が確認できた。
飲用試験は、2000年3月に同大医学部の倫理委員会の承認後、文部科学省の科学研究費の交付を受け実施された。
ATLは南九州に多く、発症後の致死率が高いHTLV−1ウイルスによる感染症。鹿児島県内では成人の1割近くが感染しているといわれるが、母子感染対策などの結果、減少傾向にあるという。(南日本新聞 2002/05/05)コーヒー飲み続けてもOK 高血圧 長期的には心配なし
コーヒーをたくさん飲んでも、高血圧症になる心配はあまりなさそう。コーヒー好きに朗報となる調査成果を、米ジョンズ・ホプキンス大の研究チームが発表した。
コーヒーを飲んだ直後は血圧が上がるが、長期的には問題ないようだ。
研究チームは1948―64年に同大を卒業した男性1017人を対象に、約30年の生活を追跡。コーヒーやたばこ、酒などの嗜好(しこう)品についてアンケート調査すると同時に、定期的に血圧を測定した。
コーヒーを毎日飲む人は約8割で、1日平均2杯飲んでいた。1日のコーヒー量が多いほど平均血圧は高くなり、5杯以上飲む人の血圧は、最高・最低とも、全く飲まない人より平均1mm・Hg程度高かった。
60歳の時点で生活習慣病の高血圧症になっている人の割合は、コーヒー愛飲者の方が多かったものの、ほかの生活習慣(要因)を考慮すると大差はなかった。研究者は「コーヒーは高血圧症の本質的な原因ではない」としている。
コーヒーには、飲んだ直後に血圧を高める効果があるが、長期間飲み続けた人が高血圧症になりやすいかどうかは、はっきりわかっていなかった。(読売新聞 2002/05/07)細胞のがん化防ぐ仕組み解明 ハーバード大チーム
人間の体の細胞が無秩序に増殖せず、がんにならずにいる仕組みを、米ハーバード大医学部の中谷喜洋教授らの研究チームが初めて解明した。新しいがん治療の開発に役立つと期待されている。10日発行の米科学誌サイエンスに発表する。
成人の体の細胞のほとんどは、増殖しない「静止期(G0期)」にとどまっており、死んだ細胞の補充の際などに増殖する。何らかの理由でG0期にじっとしていられず、無秩序に増殖し「暴走」状態に入ると、がんになる。
中谷教授らは、これまで細胞内での役割がよく分かっていなかった、たんぱく質「E2F6」に着目し、細胞から取り出して働きを調べた。その結果、他の数種類のたんぱく質と一緒に巨大なたんぱく質複合体を作り、DNAと2カ所で結合して、細胞増殖にかかわる遺伝子を「封印」するロック役を果たしていることが分かった。
この封印の仕組みはG0期の正常な細胞だけに見られ、がん細胞では働いていなかった。中谷教授は「がん細胞でどうして封印機構が働かないかを調べれば、がん研究に貢献できるだろう」としている。
細胞がG0期にとどまる仕組みは、これまでほとんど分かっていなかった。
国立がんセンター研究所の田矢洋一・放射線研究部長の話 細胞増殖機構の重要なポイントを明らかにした画期的な発見だ。これを手がかりに研究が進めば、新たながん治療法開発の可能性がある。(朝日新聞 2002/05/10)虫歯予防に乳酸菌が効く
乳酸菌が虫歯と歯周病の予防に効果があるとする研究結果を、東海大医学部の古賀泰裕教授がまとめた。
古賀教授は健康な人の口腔(こうくう)内から分離した乳酸菌LS1が、虫歯菌の働きを抑え、歯周病菌の増殖を妨げることを基礎実験で確認。
この菌を数グラムの錠剤に混ぜ、約60人のボランティアに1日5回、計25錠を8週間続けて飲んでもらった。その結果、口腔内の歯周病菌は4週間で20分の1以下に激減したという。
また虫歯菌が歯を溶かす時に不可欠な“掘削工事の足場”である「不溶性グルカン」という物質も、8週間で半分以下に減った。
古賀教授は「歯ブラシなど物理的にゴミを除去する従来の方法に次ぐ、新たな口腔ケアの選択肢になるのではないか」という。(読売新聞 2002/05/14)チップスなどに発がん物質含有 英食品基準局が警告
【ロンドン=共同】18日付の英各紙によると、英食品基準局は17日、油で揚げたり焦がしたポテトやポテトチップス、ライ麦の硬いビスケットなどに、動物実験でがんや遺伝子変異、神経組織損傷などを引き起こす恐れがあるとされる物質アクリルアミドが、国際基準の最大1280倍という極めて高レベルで含まれている、と警告した。
スウェーデンの科学者が先月明らかにした研究結果を裏付けた。
今後、欧州連合(EU)や世界保健機関(WHO)で詳しい検討が行われる。
アクリルアミドの研究はまだ緒に就いたばかりだが、オーブンやグリルで焼いた食品やバーベキューの肉などにも含まれているとみられる一方、生や煮込んだ食品にはないと考えられている。
同局の専門家は、こうした危険は今突然始まったものではないとし、さまざまな果物や野菜を含むバランスの取れた食事を呼び掛けた。(日本経済新聞 2002/05/19)リンゴの生ジュースにがん抑制効果 弘前大助教授研究
「リンゴの生ジュースには、がんを抑える効果がある」。日本一のリンゴ産地、青森県・津軽地方にある弘前大の城田安幸助教授が23日、こんな研究成果を明らかにした。今秋の日本癌学会総会で発表する。「風邪には、すり下ろしたリンゴ」という生活の知恵が、がんにも応用できればと、リンゴの消費減退に悩む地元は期待している。
研究は城田助教授が7年前から続けてきた。マウスを10匹ずつ5群に分け、(1)滅菌した水(2)2%リンゴ生ジュース(3)サナギタケ(冬虫夏草の一種)の煎(せん)じ液(4)リンゴ生ジュースとサナギタケ煎じ液(5)ホヤ抽出エキス──と群ごとに違う飲み物を与え、45日後にがん細胞(マウスの繊維肉腫)を植え付けて経過を観察した。
生ジュースの群は、がん細胞が小さくなったり消えたりして8匹が治り、残る2匹も23日現在で73日間生きている。水の群は7匹、その他の群は4〜5匹が死亡し、平均寿命は50〜40日だった。
治った各群のマウスからマクロファージ(免疫細胞)を取り出し、がん細胞の代わりに乾燥酵母を与え、細胞が酵母をどれだけ食べるかを確かめた。生ジュース群は水群の約2倍の量の酵母を食べる能力があったという。
リンゴから抽出したポリフェノールやペクチンの抗がん効果に関する報告はあるが、生ジュースは初めて。城田助教授は「マウスに与えた量は人間なら1日コップ1杯程度。副作用のある抗がん剤ではなく、取りやすい食品であることに意味がある。」と話している。(朝日新聞 2002/05/23)リンゴ果汁に抗がん作用
弘大農学生命科学部環境生物学講座の城田安幸助教授は23日、リンゴ果汁に抗がん作用や、免疫力を活性化させる働きがあるという研究成果を発表した。10月に東京都で開かれる日本癌(がん)学会総会で発表する。
同教授によると、これまでリンゴに含まれる成分のポリフェノールやペクチンなどに関する抗がん作用の報告はあるが、リンゴ果汁自体ががんに効いたという研究成果はないという。
城田助教授は(1)リンゴ果汁(2)滅菌水(3)抗がん作用があるといわれる冬虫夏草(漢方薬の材料になるキノコ)のエキス(4)同じくホヤのエキス(5)リンゴ果汁と冬虫夏草エキスを混ぜたもの−の計5種類を、それぞれ生後5週目のマウス10匹に経口摂取させた。45日目にがん細胞を皮下接種し、経過を観察した。
その結果、がんのために死亡したマウスの数は、リンゴ果汁を与えたマウスが2匹だったのに対し、他は5匹から7匹だった。また、死亡するまでの日数の平均値も、リンゴを与えたマウスが72日以上だったのに対し、他は40日から50日だった。
さらにマウスの腹腔(ふくこう)から、細菌や異物を取り込み消化するマクロファージを取り出し、異物に当たるイースト菌を与える実験を行った。その結果、リンゴ果汁を飲んでいたマウスの方が滅菌水を飲んでいたマウスよりも2倍近く、イースト菌を取り込んだことが分かった。
城田助教授は現在、特許申請中で、「リンゴジュースの消費拡大や、将来的には医薬品開発への応用につながれば」と話している。(東奥日報 2002/05/24)ビタミンD、直腸がん予防 とりすぎはダメ
魚肉や卵黄、キノコ類などに多く含まれるビタミンDに、直腸がんを予防する働きがあるらしいことが分かった。米テキサス大グループが米科学誌サイエンス17日号に発表した。
グループは、小腸などの細胞にあるビタミンD受容体がリトコール酸という発がん物質と結びつくことを実験で確かめた。この結合によって、リトコール酸の分解酵素が小腸で増産されることもわかった。
リトコール酸は食物中の脂肪からできる。脂肪の多い食生活を続けると、リトコール酸の分解が追いつかず、直腸がんの危険が増すとみられる。グループの一員で現在、大阪大学の槇島誠・助教授は「ビタミンDはとりすぎると副作用がある。ビタミンD受容体を活性化させる物質でがんを抑制できる可能性がある」という。(朝日新聞 2002/05/27)ピロリ菌退治にブロッコリー効果
野菜のブロッコリーに含まれる物質に、胃潰瘍(かいよう)や胃がんの主な原因と疑われるヘリコバクター・ピロリ菌を殺す作用があることを、米ジョンズホプキンズ大と仏科学研究センターのグループが突き止め、全米科学アカデミー紀要28日号に発表した。
スルフォラファンと呼ばれる化学物質で、ブロッコリー、とくに新芽のブロッコリーに多く含まれる。ピロリ菌を殺す作用は体外の実験で確かめられたもので、ブロッコリーをどの程度の量食べれば胃の中の菌がなくなるかなどは、今後の課題という。
研究チームによると、ピロリ菌はアジアや中南米、アフリカなどの一部地域では8割以上の人たちの胃で見つかる。日本でも成人の保有率は5割を超えるとされ、とくに中高年者でその割合が高い。抗生物質による除菌も試みられているが、抗生物質が入手しにくい国々があるうえ、有用な菌まで殺してしまう問題点が指摘されている。(朝日新聞 2002/05/28)歩けば歩くほど若返る 九州保健福祉大が発表
歩けば歩くほど、年齢とは逆に若返っていく。そんな調査結果を九州保健福祉大がまとめ、日本ウオーキング学会で発表した。
調査の対象は〈1〉心身共に元気だが、ウオーキングの習慣のない高齢者〈2〉毎週計20キロ以上を歩く高齢者ウオーカー──の2グループ計273人。これをさらに60歳代、70歳代の前・後半の各3グループに分け、「走る」「あおむけから立つ」など12項目について、「できる」「できない」で回答してもらった。
両グループの「できる」割合を比較すると、すべての項目でウオーカー群が圧倒。特に70歳代後半で「走る」ことが「できる」と答えた人は、非ウオーカーには1人もいなかったのに対し、ウオーカーは半数以上が「できる」と回答した。
非ウオーカーの場合、すべての項目で年齢層が高くなるほど「できる」の割合が減るのに対し、ウオーカーは半数の項目で、最も高齢の70歳代後半が「できる」と答えた割合が高くなった。高齢になるほどウオーキング歴が長くなり、加齢に反して体力が強化されることが示された。(読売新聞 2002/06/04)アレルギー増加は寄生虫が減ったせい──オランダから発表
気管支ぜんそくやアレルギ−性鼻炎、じんましんなどアレルギー性の病気が増えている理由として、「衛生状態がよくなりすぎて、体に寄生虫がいなくなったから」という説がオランダの研究グループから米科学誌「サイエンス」に発表された。
ライデン大学医学センターのマリア・ヤズダンバフス博士の研究。回虫、ぎょう虫などの扁形動物が人間に寄生すると、特殊なたんぱく質を少しずつ出す。これがアレルギー発症を防ぐ役割をするという。
ヤズダンバフス博士によると、仕組みはこうだ。このたんぱく質は、人間にとってアレルゲン(抗原)になるが、長期間にわたって出るので、通常は体の免疫システムは反応しなくなる。子供のころに寄生虫アレルゲンにさらされている人は、ほかの長期間さらされるアレルゲンに対しても、やがてアレルギー反応が止まる。ところが、この寄生虫アレルゲンにさらされていないと免疫システムはアレルギー反応を続け、ぜんそくや鼻炎などを慢性に引き起こすという。
ヤズダンバフス博士は、現在、寄生虫アレルゲンと同様のたんぱく質を探索している。このたんぱく質を子供に与えることで、アレルギ ー体質になる予防治療を行うことを検討中だという。(日経ヘルス 2002/06/06)究極の低カロリー食なら、健康で長生きできる──NIH
サルに必要最低限度までカロリーをカットしたエサを与え続けると長生きすることがNIH(米国立衛生研究所)のマーク・レーン博士らの研究で明らかになった。
レーン博士らは、様々な年齢のサル120匹を、低脂肪で普通のカロリーのエサを与えたグループと、さらにカロリーを30%減らした低カロリーのエサを与えたグループに分けて15年間飼育し、サルの健康や寿命にカロリーの影響が出るかどうかを調べた。
その結果、15年間の死亡率は低カロリーのエサでは14%だったが、普通のカロリーのエサでは22%だった。心臓血管系疾患、糖尿病、じん臓病など高齢にともなう病気にかかったサルの割合も、低カロリーグループは14%で、普通エサのグループでは32%だった。
ここでの低カロリーのエサは人間の食事に換算すると、男性なら1日1540kcal、女性なら1120kcalの食事に相当し、基礎代謝といわれる最低カロリーにかなり近い量だった。(日経ヘルス 2002/06/11)有機野菜で作ったスープは心臓にいい
有機栽培で育てた野菜のスープには、ガンや心臓病の予防に効果のあるサルチル酸の含有量が多いと英国の研究者が報告した。
英王立ダムフリー・ギャロウエー診療所の生化学者、ジョン・パターソン氏らの研究。パターソン氏らは、11種類の有機野菜が原料のスープと、普通の野菜のスープを分析した。その結果、有機野菜スープには、サルチル酸が普通のスープよりも6倍も多いことがわかった。サルチル酸は動脈硬化を防ぎ、大腸ガンを予防する効果があることで知られている。研究者たちは「有機野菜のスープが体にいいことがこれで証明された」と話している。(日経ヘルス 2002/06/20)善玉コレステロールが多いと痴呆が少なくなる
善玉コレステロールといわれるHDLが血液中に多いと痴呆症が少なくなると、オランダの研究者が雑誌「神経科学」(Annals of Neurology )6月号に発表した。
研究者たちは、85歳以上の561人を対象に調べた。その結果、HDLの値が一番小さかったグループ(dl当たり35.9mg)の老人は、一番高かったグループ(同63.7mg)より、痴呆症の割合が2倍あることを見つけた。このうち、心臓病や脳卒中の兆候が見られない老人だけについてみると、痴呆症の割合は4倍にもなった。つまり、善玉コレステロールが少ないと痴呆症が多く、多いと痴呆症が少ないことがわかった。しかし、悪玉コレステロールの量や中性脂肪の値と、老人の精神活動との間には特に関係はなかった。(日経ヘルス 2002/06/24)ビタミンEが豊富な食事でアルツハイマー病を予防
日ごろから、ビタミンEをたっぷり含む食事をとっている人は、アルツハイマー病になりにくいという報告があった。
シカゴの「ラッシュ健康老化研究所」の疫学者、マ−サ・クレア・モリスさんらが行った研究。研究者たちは、シカゴ地区に住む65歳以上の815人を対象にまず食習慣について詳しく調べた。調査開始時には、全員アルツハイマー病の兆候が全くない人たちばかりだった。
4年間追跡調査したところ、この間に131人がアルツハイマー病を発病した。アルツハイマー発病とビタミンEの摂取との関係を見たところ、ビタミンE摂取が最も少ないグループでは発病率14.3%だったのに対して、ビタミンE摂取が最高のグループでは発病率は5.9%と半分以下だった。
研究者たちは、被験者の年齢、教育水準などの要素を考慮に入れて分析した結果、ビタミンEを多く摂取していると、アルツハイマー病の発病が70%抑えられると結論づけている。(日経ヘルス 2002/07/02)バナナの健康増進効果・免疫力高める研究例も
バナナが再び人気を集めている。病気を防ぐ免疫力を高めるなど、健康を増進する効果が報告されたほか、忙しい朝食時などの手軽な食べ物として見直されているためだ。昔から親しんできたバナナには、いろいろな健康への効果が世界各国でも伝えられている。バナナが持つパワーを見直すのもよさそうだ。
バナナ人気の再燃は輸入量に表れている。1998年以前の20年間の平均輸入量は年80万トン弱だったが、2000年は108万トンで1972年の過去最高記録を塗り替えた。2001年も99万トンになり、ここ3年間は年間100万トン前後で推移している。
人気の理由は「バナナが持つ健康への効果が明らかになってきた」(日本バナナ輸入組合)ためだ。
代表的なのが、病気やがんなどから体を守る「免疫力」を高める効果があるという報告だ。
帝京大学薬学部の山崎正利教授らは、体内の免疫機構で重要な働きをする白血球の働きの変化に着目。体内に異物が入ってきたときに白血球の1種「マクロファージ」が分泌する腫瘍壊死(しゅようえし)因子(TNF)が増える割合と、バナナの関係を調べた。TNFはウイルスやがん細胞を殺す働きを持つ。
バナナの汁をマウスに注射した後、感染症を受けたような刺激をマウスに与えて血液中のTNFの量を測定した。バナナ果汁を与えたマウスのTNFの量は、生理食塩水を与えた例より百倍以上も多かった。スイカや、ブドウなど果物でも確かめたが、バナナの効果が際立っており、がん治療に使われる免疫賦活剤よりも高かったという。「最初に実験結果をみたときは手順を間違ったのではないかと思った」(山崎教授)
もっとも、バナナのなかの免疫力を高める物質や、人間への効果のほどは、まだはっきりと分かっていない。山崎教授は「たんぱく質やビタミンなどの5栄養素以外に、食物には約1万種の非栄養素成分がある。このなかの複数の成分が総合的に働いているのではないか」とみる。
バナナは体内の酸化を抑える効果があるという研究報告もある。
鉄がさびるように体内でも「酸化」が起きていて病気の一因になっている。東北大学大学院農学研究科教授(現金沢大学大学院客員教授)の大久保一良氏らは、食物が持つ抗酸化の力を光で補そくする方法を独自に開発。この技術で50種以上の食物について抗酸化力を調べたところ、バナナが最も高かった。
バナナが日本の食卓に本格的に普及するのは1963年の輸入自由化以降。バナナの栽培は紀元前1万年ごろに始まったともいわれ、栽培されている国には様々な効果が民間に伝わる。例えば、タイでは2日酔いを予防するといわれ、南米では下痢止め効果があるとされる。中国には発がんを抑えるという報告もあるという。
これらの効能はすべて科学的に解明されているわけではないが、食品科学広報センター(東京・千代田)の正木英子代表は「民間伝承は理にかなっていることもある。また、バナナの炭水化物は主に糖分になっていて吸収されやすく、カリウム、マグネシウムなどのミネラル成分の補給源として適している。栄養価の高い食べ物であることは確か」と話す。
バナナはむくだけで食べられる手軽な食べ物。裏ごししたものは離乳食に適しているほか、忙しい朝などの簡単なエネルギー補給にも良い。最近は大手コーヒーチェーンが店頭に1本売りのバナナを置くなど、手軽に買い求められるようになっている。
健康面へのバナナの効用を引き出す食べ方だが、大久保教授によると、バナナのスジの部分に最も強い抗酸化力があるという。また、山崎教授は「バナナの皮にシュガースポット(黒い斑点)が表れる時期に食べるほうが免疫力を高める効果が強い」と話す。ただ、バナナは比較的多くの糖分を含む。血糖値に気をつけている人は摂取量に配慮が必要かもしれない。(日本経済新聞 2002/07/06)車の排気ガスがアトピー性皮膚炎を増やす──ドイツ
交通量の多い道路から50メートル以内に住んでいる子供は、アトピー性皮膚炎を発症しやすいとドイツの研究者が報告した。ドイツのデュッセルドルフのU・クラメル医師らの研究。
クラメル医師らは、東西ドイツ統合以前も含めて10年以上も、6歳の小学校入学時の児童のアトピー性皮膚炎の発症率を調べてきた。この結果をまとめたところ、9.8%の児童がアトピー性皮膚炎を発症していることがわかった。発症率は女の子が高く11.3%だった。さらに、発症率が高い旧西ドイツ地区の女の子について、生活環境の影響を調べた。すると、交通量の多い道路から50メートル以内に住んでいる場合は、郊外に住んでいる児童に比べて発症リスクが3.25倍高いこともわかった。
排気ガスに含まれる二酸化窒素などが要因の一つと、クラメル医師らは述べている。(日経ヘルス 2002/07/10)米FDAの諮問機関、妊婦のマグロ摂取量制限を勧告
【ベルツビル(米メリーランド州)25日ロイター】米食品医薬品局(FDA)の諮問機関は、妊娠中の女性はマグロの摂取量を制限すべきとする勧告を発表した。
水銀中毒への懸念が浮上する一方、健康的な食生活の必要性を考慮して、摂取を止めるよう求めるには至らなかった。
FDAは、胎児の発育に有害なレベルのメチル水銀を含んでいるとの懸念から、メカジキ、サメ、アマダイなどを摂取しないよう勧告している。
妊婦に対する望ましい摂取量は、まだ明らかにされていない。諮問機関が暫定的な使用をFDAに推奨したウィスコンシン州発行の冊子は、1週間当たり170グラム入りの缶2個以内に留めるべきとしている。(ロイター通信 2002/07/26)紫外線に当たった量が10%増えると、皮膚ガンは20%近く増える
肌が日光中の紫外線にさらされると、皮膚ガンになりやすくなることはよく知られるようになった。NCI(米国立ガン研究所)の研究チームは、この関係を改めて調べ直して、年間に当たる紫外線量が10%増えると、悪性黒色腫(メラノーマ)にかかるリスクが、男性で19%、女性で16%高くなることを報告した。
この研究では、悪性黒色腫の患者718人と皮膚ガンになったことがない人945人を対象に調べた。日光に対して肌が赤くなるか黒くなるかというスキンタイプ。また、どの程度日光に当たったか、そして住む場所や休暇中のリゾート生活についても聞いた。これらのデータより、各人が平均どの程度の紫外線を受けていたかを算出し、発症率との関係を求めた。(日経ヘルス 2002/07/31)長寿の人に3特徴 低体温・低インスリンなど 米加齢研グループ
長生きする人には低体温など3つの特徴があることが、米国立加齢研究所グループの研究で分かった。また、低カロリー食によって長生きできるという通説が、サルの実験でより確実になった。米科学誌サイエンス2日号に論文が掲載される。
研究グループは、低カロリー食によって寿命が延びたサルには、体温が低い、血中のインスリン濃度が低い、DHEASと呼ばれる血中ステロイドの低下が遅い、と3つの特徴があることを突き止めた。
メリーランド州ボルティモアでの健康な男性の寿命調査データと照合したところ、この3つの特徴を備えた人は、食事制限をしていないのに生存率が高かった。
同グループは「3つの特徴を備えれば長生きできる可能性がある。長寿薬の開発につながるかもしれない」と話す。
低カロリー食と長寿の関係を探る実験では、60匹のサルを2群に分け、一方は好きなだけ食べさせ、他方は30%カロリーの少ない餌を与えた。実験開始から15年後では、低カロリー食のサルの死亡率は自由食の半分だった。(朝日新聞 2002/08/02)母乳長いほど乳がん減少
母乳と乳がんとの関係を調べた英オックスフォード大などの共同研究チームは、母乳を与える期間が長いほど、乳がんになるリスクは低くなるとの研究結果を英医学誌ランセットに発表した。
チームは、30カ国の47の疫学論文を集め、研究対象となった女性約15万人の乳がん発生や母乳の与え方、出産・育児に関する情報を分析、年齢や病歴、閉経や第一子の出産時期なども考慮に入れ、乳がんの発生リスクを比べた。
その結果、乳がんになった人の授乳期間が平均延べ9.8カ月だったのに比べ、ならなかった人は同15.6カ月と長かった。
乳がんになるリスクは、授乳せずに子供を育てた人に比べ、12カ月の授乳で 4.3%、子供1人の出産で7.0%下がることも判明した。(共同通信 2002/08/06)楽観的な人は長生き!?
老後の生活に楽観的な人は、悲観的な人より7年半も長生きしていることが、米国での長期調査でわかった。研究者らは「楽観的な人は生きる意欲が強いことに加え、ストレス性の心疾患などが少ないためだろう」と見ている。
米エール大のベイッカ・リービ博士らは、オハイオ州の小さな町で住民の健康状態を長期間調べたデータを分析。1975年に当時50歳以上の人に尋ねた「年をとると、うまくいかないことが多いか」「若い時と同様に幸せか」など5項目のアンケートの回答を点数化し、98年までの生存状況との関連を分析した。
その結果、“楽観度”を示す点数が最も高い人たちでは、回答後の平均余命が22.6年だったのに対し、最も点数の低い人たちは15年と短かった。分析は、病気や貧困が点数に影響しないよう工夫されている。この成果は、米心理学会発行の「個性と社会心理学」に発表された。(読売新聞 2002/08/06)大腸ガンの予防に葉酸がいい
サプリメント(栄養補助食品)の1つである葉酸が、大腸ガンのうち結腸ガンの予防に有効であることがわかったとアイルランドの研究者が報告した。
結腸ガンは細胞に前ガン状態の異常が起こってから発生する。そこで、葉酸とこの前ガン状態の発生との関係をアイルランド王立ビクトリア病院付属の研究者たちが調べた。すると、葉酸にはこの前ガン細胞の成長を抑える働きがあることが突き止められた。
実験では、結腸に前ガン細胞の異常成長をしばしばくり返す病歴のある人を11人を集めた。葉酸を飲ます人と、葉酸を飲まず偽薬をのむ人に分けて、3カ月間1日葉酸を2ミリグラムのんでもらった。その結果、3カ月の試験期間後には、葉酸を与えた人たちでは前ガン細胞の異常成長が抑られていた。一方、偽薬組では細胞の動きに関しては、試験前と変化はなかった。(日経ヘルス 2002/08/12)アルツハイマー病 高カロリー食危険
65歳以上で男女計980人を対象に調査
アルツハイマー病の発症と関係がある遺伝子(APOE4)を持つ高齢者の中でも、高カロリーの食事をとっている人たちは、カロリーを抑えた食生活をしている人に比べ、アルツハイマー病の発症率が2倍以上高いという報告を、米コロンビア大の研究者らがまとめた。質素な食事の利点が改めて注目されそうだ。
同大の研究グループは1991年から、65歳以上で健康な男女計980人を対象に、食事内容などの詳しい調査を始めた。その後、242人がアルツハイマー病を発症。うち28%がAPOE4を持っていたが、高カロリー食のグループは、質素な食事グループの2.3倍も発症しやすかった。APOE4を持たない人の間では、食事内容による発症率の違いは確認されなかった。
研究チームは、高カロリー食を取ることで体内の活性酸素が増えて脳細胞を傷つけ、発症につながるような悪影響を与えるのではないかと指摘している。(読売新聞 2002/08/27)カリウムが脳卒中防止にいい!
カリウムを十分摂取していないと、脳卒中にかかるリスクが高くなるという報告がった。米国ホノルルのクイーンズ医学センターのデボラ・グリーン博士らの研究。
カリウムは、オレンジ・ジュースやバナナに多く含まれており、食生活の改善によって、脳卒中の予防ができることを示した研究として注目されている。
博士らの研究チームは、65歳以上の高齢者男女5600人を、4年から8年にわたって追跡調査した。対象者の食事を詳しく調べたところ、カリウムの摂取量が一番少なかった人(1日2.4g程度)は、一番多い人(1日4g程度)と比べると、脳卒中にかかるリスクが1.5倍だった。
このことから、研究者たちは、脳卒中の予防にカリウムが重要な役割を果たしている、と考えた。とくに、高血圧、うっ血性心不全、じん臓病などの治療にために利尿剤を使っている人では、脳卒中の危険性が、カリウムを十分とっている人より2.5倍も高かった。
利尿剤を使うと、水とともに、カリウムも排泄するので、その分だけ体内のカリウムが減って、脳卒中にかかりやすくなると研究者たちは言っている。(日経ヘルス 2002/08/27)カフェインに皮膚ガンを防ぐ効果確認
マウスにカフェインをたっぷり塗ると、紫外線による皮膚ガンができにくくなることがわかった。米ラトガーズ大学の研究。このほど「米国立科学アカデミー紀要」(Proceedings of National Academy of Sciences )のオンライン版で発表した。
この研究成果から、カフェインが多く含まれているコーヒーやお茶は、皮膚ガンの予防になるのではないかと研究者たちは言っている。
同大学のガン・白血病研究の教授、アラン・コニー博士らは、まずヌードマウス90匹に、強い紫外線を、1日2回、20日間にわたって照射した。次いで、紫外線照射されたマウスを、3つのグループに分け、第1のグループには、カフェインを混ぜたアセトンを、第2のグループには緑茶の成分であるEGCGを混ぜたアセトンを、第3のグループには、アセトンだけを皮膚に塗込んだ。18週間経過したのち、皮膚にできた腫瘍を詳しく調べた。
その結果、3つのグル−プとも皮膚に悪性の腫瘍ができたが、マウス1匹当たりの悪性腫瘍の数は、アセトンだけを塗ったグループよりも、カフェインを塗ったグルループでは72%、EGCGを塗ったグル−プでは66%少なかった。
なぜ、カフェインがガンを防ぐかのか? 研究者らは「紫外線は、皮膚の細胞に遺伝的な変化をもたらす。カフェインは、紫外線で遺伝子が変化した異常細胞が自ら死ぬ、いわゆる細胞死を誘発させることによって、ガン形成を防いでいるのではないか」と考察している。(日経ヘルス 2002/09/02)早朝のトレーニングは体に悪い!?──免疫力が低下
朝起きて、すぐに走ったり、泳いだり、ジム通いすると、細菌などに感染しやすくなると英国の研究者が報告した。南部イングランドのブルネル大学のリゲリ・ディミトリ博士の研究。
研究では、水泳選手14人を集めて、早朝と夕方に泳がせて、コルチゾールと免疫グロブリンA(IgA)を測定して、その変化を比較した。
「コルチゾール」はストレスホルモンと呼ばれ、ストレスがあると濃度が高まり、これが免疫システムを抑制する。一方の免疫グロブリンAは、呼吸器や消化器から分泌される体液に多く存在する抗体で、体の抵抗力を表す。
実験の結果、早朝はコルチゾールの濃度は高く、IgAの濃度は低かった。これは、トレ−ニングの前後で変化がなかった。一方、夕方にはトレーニング後に、コルチゾールの濃度が下がり、IgAの濃度は高くなった。
つまり、朝はトレーニングのいかんにかかわらず、免疫力が低下しており、午後からは、トレーニングによって、免疫システムの機能が高まる、ことがわかった。
ディミトリ博士は、「各人の体内時計が、1日の免疫機能に影響を与えている。これを考慮すれば、早朝の運動は避けて、遅い時間に行うといい。とくに、ケガをした後や、病み上がりでは、朝の運動はやめるべきだ」と言っている。(日経ヘルス 2002/09/04)抜いた歯再生 骨髄から歯茎の骨
福岡の歯科医ら 歯周病の新治療法開発
福岡市の歯科医清川宗克さんらの研究グループが、重度の歯周病患者に対し、患者自身の骨髄を使って失われた歯茎の骨を再生、従来は捨てていた抜いた歯を再び植え込んで定着させる新たな治療法を開発した。
再生医療の1つで、入れ歯やインプラント(人工歯根)にはない、自分の歯でかめる喜びを再び得られる治療法として注目される。今月22日に広島で開かれる日本口脛(こうくう)インプラント学会で発表する。
新治療法は、歯周病患者のぐらぐらになった歯をいったん抜いて歯こうや歯石を除去し、再び植え込む。次に、溶けて失われた歯茎の骨の部分に、患者自身の腰の腸骨から採った骨髄を注入し、すき間を埋める。最後に、健康な部分の歯茎を引き延ばして歯の周囲を覆い、縫合する。
これまでに男女29人に実施。平均3−4カ月で埋め込んだ骨髄から骨が再生して歯が定着、約半年後には自分の歯で普通にものがかめるようになった。術後の通院を怠った2例を除き、27人は歯の脱落も起きなかったという。
インプラントでは金属と歯茎の間にすき間ができるため、細菌が感染しやすく骨が早期に溶けてしまう欠点があったが、新治療法は自分の歯を使うため、歯茎がぴったりと密着する。また、インプラントが1本だけで数十万円かかるのに比べ、全歯の手術でも約250万円で済むという。(中日新聞 2002/09/08)ディーゼルの排ガスは肺ガンの原因になる──米環境保護局
米環境保護局(EPA)は、9月3日に「ディーゼルエンジンからの排出ガスを長期間吸い込んだ人は、肺ガンを引き起こす可能性がある」という研究報告を発表した。
また、EPAはディーゼルの排ガスは、肺ガンだけでなく、さまざまな呼吸器疾患の原因となることも明らかにした。
これは、EPAが、何十年もかけて研究した結果導き出した結論だという。EPAは、職業的にディーゼルの排気ガスを吸い込んでいる人たちをテストしたり、動物実験を行ったりして、この結論を出した。
しかし、調査の対象となったエンジンは、主として、新しい排出基準が実施された1990年代半ば以前に製造されたもの。現在のディーゼルエンジンは、燃料の改質とエンジンの改良によりクリーンになっているとも報告書では注記している。(日経ヘルス 2002/09/09)「ピロリ菌」感染 若ければ若いほど胃がん注意 愛知県がんセンター
成人の半数が保菌し、胃がん発生の促進因子と考えられている「ピロリ菌」に若い時に感染すると、胃がんの発症率が高まることが、愛知県がんセンター研究所の塚本徹哉主任研究員や曹雪源研修生らによるネズミを使った研究で、初めて分かった。10月1日から東京で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。
愛知県がんセンターは、スナネズミを6つの実験群に分け、ピロリ菌や発がん剤を生後間もなく投与したり、成長後に投与したりして、投与時期と胃がんの発生率の違いを調べた。
その結果、生後4週(人間なら10代)に菌と発がん剤を投与されたネズミは、20匹のうち60%に当たる12匹が胃がんにかかった。これに対し、投与時期が生後18週(同20代)の群の発症率は18%、生後32週(同30−40代)の群では10%に低下した。
発がん剤だけを投与したネズミでは、生後4週の投与で15%が胃がんにかかったが、投与が生後18週と32週の群の発症率はゼロで、ピロリ菌の感染が胃がんの発症率を高めていることもあらためて判明した。
ピロリ菌は口を経由して感染し、衛生状態の悪い発展途上国では、人口の70−80%が感染しているとされる。日本では世代間の格差が大きく、50代以上では60%以上ある感染率は、10代なら20−30%まで下がる。
がんセンターはすでに、投薬治療でピロリ菌を除去すれば、胃がんの発生が減るとの研究成果も得ている。研究を指導した立松正衛副所長は「除菌とともに、感染しない環境づくりが重要だ」と話す一方で「若年層のピロリ薗感染率が今後も低くなれば、胃がんの発症率が将来、劇的に下がる可能性もある」としている。<ピロリ菌> 正式名はヘリコバクター・ピロリ菌。1983年に発見され、胃・十二指腸かいようの原因とされている。感染者中、実際にかいようにかかるのは2%前後、がんを発症するのはさらにわずかで、未解明の部分も多い。(中日新聞 2002/09/10)
京都府医大、肝臓がん化抑制
カロチン・ビタミンE服用、肝硬変患者に効果
京都府立医科大学の西野輔翼教授らの研究チームは、カロチンやビタミンEを組み合わせて服用すると、肝硬変が肝臓がんに進むのをある程度、予防できることを臨床試験で確認した。西野教授らはベンチャー企業を設立、今秋にも医療機関を通じて錠剤の試験販売を始める。
C型肝炎ウイルスの感染などで発症するウイルス性肝硬変の患者91人を対象に試験した。
このうち46人の患者に最長で5年弱の期間、べ−タカロチンなどのカロチン類19ミリグラムと、ビタミンE50ミリグラムを毎日服用してもらったところ、肝臓がんの発症率は約15%だった。一方、服用しなかった45人の患者では、発症率はその3倍の約45%だった。
カロチン類やビタミンEは食品として市販されているが、2つをうまく組み合わせて投与することで、肝臓がんの発症予防を引き出したとみている。
「抗酸化、免疫増強など複数の作用が調和して効果が表れた」と西野教授は分析している。
西野教授らが出資して新設したベンチャー企業は、フリーラジカル制御研究所(大阪府枚方市、西村久社長)。患者は医療機関を通じて錠剤を購入し、医師の指導の下で服用する。(日経産業新聞 2002/09/30)世界初 梅の効能 医学的に裏付け
南部川村と宇都宮博士ら 専門誌に研究成果掲載へ
世界で初めて梅が動脈硬化に効能があることを医学的に裏付けた研究成果が、世界各地で発刊されている医学専門誌「ライフ サイエンス」に年内に掲載されることになった。この論文は、日本一の梅の里南部川村と宇都宮洋才医学博士(県立医科大学講師)を中心とした研究グループがまとめた。
同グループは2年前から同村うめ21研究センターや梅加工業者などと協力して、これまで漠然と「体にいい」といわれてきた梅の効能を、医学的、科学的に解明するため、さまざまな疾病に対するプロジェクトチームを結成して研究を続けている。動脈硬化への作用は米国バンダービルト大などとの共同研究。ついに動脈硬化への梅の効能を証明した。
発表される論文は「梅によるアンギオテンシンの細胞内情報伝達の抑制効果―培養血管平滑筋細胞における検討―」。
それによると、腎臓(じんぞう)などから出る「アンギオテンシン2」は、血圧を保つのに必要なホルモンだが、過剰に働くと、高血圧、動脈硬化などを引き起こす。これには、細胞の表面にある上皮増殖因子(EGF)受容体も起因しており、その活性化を抑制する作用が梅にある、という。
リンゴやレモン、グレープフルーツなどの果物でも実験し、梅だけに高血圧や動脈硬化に伴う血管病変を改善する効能があることを突きとめた試験研究なども記載されている。
現在、同研究グループは、梅に含まれる各種の有効成分について研究を進めている。また、胃潰瘍(いかいよう)や胃がんの発生を促すとされるヘリコバクター・ピロリ菌の抑制効果など動脈硬化以外の疾病への影響の研究にも取り組んでいる。
宇都宮氏は「何か県のためになる仕事をしようと思い、梅の研究に取り組んできた。梅がどう体にいいかを総合的に判断すると、動脈硬化が浮かび上がった。効能を解明するだけでなく、20年、50年先に、和歌山に生まれて良かったといわれるような成果を出したい」と話した。
林秀行・南部川村うめ課長は「言い伝えられていた梅の効能が医学的に証明されたことは、画期的なことであり、効能のお墨付きである。しかも、世界的な専門誌に掲載されることは、世界の人々に梅の効能を知ってもらえる機会であり、梅の消費拡大につながる」と喜んでいる。(紀伊民報 2002/09/29)リンゴ成分にがん細胞死なせる効果 弘前大が研究
リンゴに含まれるポリフェノールの主要成分「プロシアニジン」に、がん細胞を死なせる効果がある、という研究成果を、リンゴの主産地・青森県弘前市の弘前大医学部保健学科の研究チームがまとめた。来月3日の日本癌(がん)学会総会で発表する。将来的にはリンゴから抗がん剤を作ることも可能とみて研究を進めている。
研究チームは2年前、リンゴのポリフェノールの抗がん効果に関する研究を始めた。途中からアサヒビールの未来技術研究所と協力。ポリフェノールを構成する成分のうち、どれが抗がん効果を持つのかを特定する作業を続けてきた。
リンゴから抽出したポリフェノールを精製して主要成分のプロシアニジンだけ取り出し、試験管の中のマウスの乳がん細胞に投与して反応を調べた。その結果、一定濃度以上のプロシアニジンを投与すると、がん細胞の自殺現象(アポトーシス)を誘発することがわかったという。
例えば1ミリリットルの培養液中に25マイクログラムという濃度でプロシアニジンを投与すると、24時間後には試験管のがん細胞は、ほぼ消滅した。正常な細胞の自殺現象は誘発しないことから、今後、臨床実験を経れば、「リンゴから天然の抗がん剤を作ることも可能」と研究チームの三浦富智講師は話している。(朝日新聞 2002/09/30)ピロリ菌、早期感染ほど胃がん発生高率 成人の6〜7割が感染
胃がんの発生、進行に大きくかかわるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に感染する時期が早いほど、胃がんの発生率が高まることが、愛知県がんセンター(名古屋市)の立松正衛・腫瘍(しゅよう)病理学部長らの研究でわかった。
研究グループは、生後4週、18週、32週のスナネズミをピロリ菌に感染させ、発がん剤を与えて胃がんの発生率を比べた。
その結果、生後4週のネズミは60%が胃がんになったのに対し、18週のネズミは18%、32週では10%と、感染時期が早いほど、発症率が高くなることがわかった。
また、除菌の時期も早ければ早いほど胃がんになるのを抑える効果が高いことも確認された。発がん剤を投与して15週間後に除菌したネズミでは、胃がん発生率が6.7%に抑えられたが、55週たってから除菌したネズミは38.2%と成績が悪かった。
国内では成人の6―7割がピロリ菌に感染しているといわれるが、立松部長は「予防の観点から、ピロリ菌の感染しにくい社会環境の整備と、早期に除菌する医療体制を整える必要があるだろう」と話している。(読売新聞 2002/10/01)大腸がん予防 食物繊維「効果なし」 乳酸菌は「効果あり」
兵庫医大が発表
食物繊維をとっても大腸がんの予防には効果がないという調査結果を、兵庫医大の石川秀樹助手の研究グループが1日、東京で開かれた日本癌(がん)学会で発表した。これまでの「常識」を覆す内容となった。一方、乳酸菌については、大腸がんの悪性化を防ぐ働きがあることもわかったという。
大腸の内視鏡検査でポリープが2個以上あった40〜65歳までの男女400人が対象。「食事指導のみ」「食物繊維を含む小麦ふすまビスケットを食べる」「乳酸菌の粉薬を飲む」「両方をとる」の4グループに分け、9年間かけて便と内視鏡の検査をした。
ビスケットを食べたグループとそれ以外を比べたところ、がんの発生や成長に差は出なかった。逆に4年目の検査で、1センチ以上の腫瘍(しゅよう)のできた人が、ビスケットを食べなかったグループにはいなかったのに、食べたグループでは7人いた。
一方、乳酸菌については、4年目検査で、悪性度の高いがんの発生率が、服用したグループでは、そうでないグループの7割に抑えられた。(朝日新聞 2002/10/02)うつぶせ寝、突然死の危険は最大4倍 米で疫学調査
「うつぶせ寝」は乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを最大で4倍に高めると、米国立小児健康発育研究センターと疾病対策センターなどの共同研究チームが7日、発表した。SIDSに関する信頼できる疫学調査は米国では初めてという。
93〜96年にSIDSで死亡したシカゴ周辺の赤ちゃん(1歳未満)260人について、死ぬ直前の状況を関係者に聞き取り調査した。シカゴのSIDS発生率は1千人あたり2.6人で、全米平均の2倍もある。
ほぼ同人数の健康な赤ちゃんと比べた結果、うつぶせ寝はSIDSのリスクを2.4〜4倍に高めることが分かった。SIDSの少なくとも3分の1は、うつぶせ寝が主な原因だと推定できるという。
健康な赤ちゃんの母親の64%が出産時にSIDS防止の指導を受けていたが、死亡した赤ちゃんでは46%だった。研究チームは「母親への指導が赤ちゃんの命を救う」と訴えている。(朝日新聞 2002/10/03)お茶で悪玉コレステロールが減った
お茶を飲むとコレステロールのうち悪玉といわれるLDLが減ることがわかった。米国農務省のベルツビル人間栄養研究センタ−での研究。
同研究センターのジョセフ・ジュド所長代理らは、男女8人ずつ計16人に、3週間ずつを2回、与えられたものだけを食べさせる実験を行った。
はじめの3週間には、16人に味も香りもお茶にそっくりの飲み物を飲ませ、あとの3週間には、カップ5杯の本物のお茶を毎日飲ませ、血液中の脂質を調べた。
その結果、本物のお茶を飲んだ期間には、ニセのお茶を飲んだ期間よりも、悪玉コレステロールと言われているLDLが10%少なくなっていた。善玉コレステロールのHDLについては変化はなかった。(日経ヘルス 2002/10/07)シークワーサー がん抑制に効果 慶大、マウスで確認
沖縄産のかんきつ類「シークワーサー」に含まれる物質に、がん細胞の増殖抑制や細胞死を促す作用があることを、慶応大医学部の吉水信就助手(消化器外科)らがマウスの実験などで突き止めた。16日から東京で開かれる日本癌(がん)治療学会で発表する。
抗がん剤と併用すれば、症状の改善とともに、薬の量を減らして副作用を軽減できる可能性がある。今後、胃がんの動物実験で効果的な投与方法や投与量を研究し、将来は患者での臨床試験を目指している。
吉水助手らは長寿日本一の沖縄の特産で、レモンのように使われるシークワーサーに注目し、ノビレチンという化合物を抽出した。
マウスの実験は、腹部にヒトの胃がん細胞を注射してがん細胞が米粒のように細かく散らばった状態をつくり、1週間後からノビレチンの溶液を体重1キロ当たり21ミリグラムの割合で2週間皮下投与した。その結果、ノビレチンを投与しなかったマウス群の腹部には、がん細胞が平均69個あったのに対し、投与群では平均7個しかなく、がん細胞の総重量も約10分の1だった。また、試験管内のがん細胞に投与すると2日後に半分に減少していた。
こうした効果は、ノビレチンが、がん細胞の増殖や転移に働く物質の作用を阻害したり、がん細胞の細胞死を起こしたりするためと考えられるという。
<シークワーサー> 沖縄の山野に自生するミカン属のかんきつ類。果実はだいだい色で直径約4センチ、ややへん平でヒラミレモンとも呼ばれる。北は奄美から南は台湾まで分布し、沖縄では日本一長寿の村として知られる本島北部・大宜味村で主に栽培されている。ジュースに加エしたり、レモンやスダチのように果汁を料理にかける。ビタミンC、ビタミンBlなども多く含む。(東京新聞 2002/10/13)肝がん組織にピロリ菌──「発症に関与も」慈恵医大助教授ら
日本人成人の約半数の胃にすみつき、胃がんとの関係が指摘されているヘリコバクター・ピロリ菌が、肝臓のがん組織にも存在することを、慈恵医大微生物学第一教室の中村真理子助教授と、大学院生の伊藤恭子さんらが19日までに見つけた。
同教室の大野典也教授は「胃がんだけでなく、肝臓がんの発症にもピロリ菌が関与している可能性がある」とみている。グループは、肝臓がんの切除手術を受けた患者18人のがん組織を調べ、72%に当たる13人の組織からピロリ菌を検出した。菌は肝臓がんの部分だけにあり、前がん病変とされる肝硬変や、正常な組織では見つからなかった。(日本経済新聞 2002/10/19)シーフードが痴呆を予防
「魚介類を週1回以上食べる高齢者は痴呆になりにくい」という研究が、英国医師会雑誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」10月26日号に掲載された。
南フランスで68歳以上の痴呆症状のない高齢者1687人を対象に7年間にわたって行った研究で、魚介類を食べるグループと肉食グループにおいて痴呆発症のリスクとの関連性を調べた。その結果、週1回以上、魚や他の魚介類を食べている人たちは、そうでない人たちに比べ痴呆の発症率が減少していた。
サバやイワシなどに含まれる「オメガ−3脂肪酸」と呼ばれる高分子不飽和脂肪酸が心筋梗塞などの冠動脈疾患の予防効果を持つことはすでに知られているが、今回の研究で痴呆でも同じ効果が示されたことになる。高分子不飽和脂肪酸が持つ役割についてはまだ不明な点が多いが、今回のケースでは脳内の炎症を軽減させるか、あるいは神経細胞の再生に及ぼす作用が考えられている。(日本経済新聞/HealthDayNews 2002/10/24)週1回の魚料理が痴呆症の抑制に効果=研究
【ロンドン25日ロイター】魚を少なくとも週1回の割合で食べることで、アルツハイマー病などの痴呆症にかかる確率が低くなる可能性があることが、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に発表されたフランスでの研究で明らかになった。
フランスのビクトル・セガレン大学の研究チームが同国南部の高齢者1600人以上を対象に、最長7年にわたり栄養状態を調査した結果、痴呆症の兆候が最も少なかったのは、魚を最も多く食べた人々だった。
研究チームによると、魚には高度不飽和脂肪酸が多く含まれており、これが脳の炎症を抑える一方、脳の発達や神経細胞の再生に影響を与える可能性があるという。
魚については、定期的に摂取することで心臓発作による死亡率の低下につながる、との研究も発表されている。
研究チームは、肉の摂取と痴呆症については何の関連も見られなかった、としている。(ロイター通信 2002/10/25)「CoQ10」がパーキンソン病の進行を抑える
サプリメント(栄養補助食品)として店頭で販売されている「コエンザイムQ10(CoQ10)」を初期のパーキンソン病患者に与えたら、病状の進行が大きく抑えられた、と「神経科学雑誌」(Archives of Neurology)10月号で報告された。
報告したのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校のクリフォード・シュルツ博士らの研究チーム。研究者らは、まず初期のパーキンソン病患者80人をランダムに分け、グループによって「CoQ10」を毎日300mg、600mg、1200mg与えた。比較のために、偽薬を与えたグループもつくった。
試験は16カ月間続けられ、終了時に被験者の病状をしらべたところ、「CoQ10」を与えられた被験者は、いずれも、偽薬組よりも病状の進行が抑えられていた。
とくに、最も高い用量の1200mgを与えられた23人は、病状の進行が、偽薬組よりも、44%も抑えられた。
パーキンソン病は、神経細胞が変質して、脳内物質のドーパミンがつくれなくなるのが原因とされている。CoQ10はミトコンドリアの機能を活発にして、神経細胞の変質を防ぎ、パーキンソン病の病状悪化を抑えているのでないか、と研究者たちは推論している。(日経ヘルス 2002/10/25)ポテトチップ、最多検出 発がん性指摘アクリルアミド
発がん性が指摘されるアクリルアミドが国内の食品にどれぐらい含まれているのか──。厚生労働省は31日、初の調査結果を公表した。アクリルアミドは炭水化物を多く含む食品を揚げたり焼いたりすると発生することが分かっているが、ポテトチップスやフライドポテトで含有量が比較的高く、蒸したりゆでたりした食品からは検出されなかった。
国立医薬品食品衛生研究所が75食品137品目を調べた。最も高かったポテトチップスで1キロあたり最高で3544マイクログラムを検出。小麦粉や米を焼くなどした食品はおおむね400マイクログラム以下だった。マッシュポテトやご飯、豆腐などからは検出されなかった。
同種の食品の中で1品目しか調べていない例もあるため、原材料や調理法によっては数値がばらつく可能性もある。日本人の食生活の調査をもとに試算すると、1人あたりの平均摂取量は1日69マイクログラムになるという。
健康にどれだけ影響しているかの評価は定まっていないが、同省は「減らす努力は必要」とし、▽揚げ物などの過度な摂取を控える▽炭水化物の多い食品を焼いたり揚げたりする場合はあまり長時間高温で調理しない、といった対処法を消費者に呼びかける。併せて、発生量を減らす調理法の研究もすすめる。
アクリルアミドは工業原料として知られてきたが、食品に生じることが今年4月に報告され、6月には世界保健機関(WHO)などが緊急の専門家会合を開き各国での研究を勧告した。最近になって、ジャガイモなどに含まれるアスパラギンというアミノ酸とブドウ糖が百数十度以上の高温で反応して生じるとの研究結果が海外で報告されている。○アクリルアミド検出量
ポテトチップス
かりんとう
フライドポテト
ほうじ茶
コーンスナック
ビスケットなど
コーヒー
フライのころも
緑茶、パン、卵焼き3544〜467
1895〜84
784〜512
567〜519
535〜117
302〜53
231〜151
53〜検出せず
30未満(単位は1キロあたりマイクログラム)(朝日新聞 2002/11/02)
実は高い?がん生存率 独研究者の調査
がんにかかった人の生存率は今まで考えられていたより高いという調査結果を、ドイツ老化研究センターのヘルマン・ブレンナー博士がまとめた。従来の統計は、治療法の進歩による生存率の向上を考慮に入れていなかったためという。
同博士は、近年のがん治療や診断法の進歩がもたらす生存率の向上分を考慮に入れた新たな統計手法を使い、米国の1998年時点でのがん患者の生存率を計算し直してみた。
その結果、米国の乳がん患者の15年生存率は、従来は58%だったのが71%にアップ。精巣がんの15年生存率は86%から91%に、卵巣がんの5年生存率も49%から55%に増えた。
ただし、この新手法についての専門家の見方は割れており、「さらに吟味する必要がある」とする慎重派も少なくない。この結果は英医学誌「ランセット」に発表された。(シリコンバレー・館林 牧子)(読売新聞 2002/11/05)ワクワクが健康の秘けつ ストレスが軽減 免疫機能アップ 米大が研究
【ワシントン6日共同】笑ってしまうような楽しいことが待ち受けていると考えるだけで、ストレスが軽減され、免疫機能が高まる可能性があるという実験結果を米カリフォルニア大の研究グループが6日、米神経科学会で発表した。
グループは「楽しいことを考えて生きることが健康の秘けつ」としている。
実験では、男性16人にこっけいなビデオを見せて笑わせたところ、ストレスで増加する血中のホルモンレベルが40%近く低下、免疫機能を強めるホルモンのレベルは大きく上昇した。うち、3日前にビデオの概要を教えてあった参加者は、ビデオを見る前から、ホルモンに同様の変化が観察された。
これまでも、笑いが免疫関連細胞の働きを高めることや、ストレス関連物質の血中濃度を減らすことが報告されていたが、楽しいことを期待するだけでも、同様の効果があるらしい。(中日新聞 2002/11/07)にがり:成分に抗がん作用 熊本県立大教授ら解明
天然塩に含まれる「にがり」成分に抗がん作用があることを、熊本県立大学の奥田拓道教授(生化学)らの研究グループがマウスの実験で明らかにした。副作用はほとんどなく、研究が進めば、がん治療への応用も期待できるという。那覇市で15日から始まる日本体質医学会で発表する。
同大や愛媛大などの研究によると、「サルコーマ180」というがん細胞を腹部の皮下に移植したマウス30匹に、天然のにがり成分0.5ミリグラムを薄めた液を1日1回、14日間、経口で与えた。15日目にがんの状態を調べたところ、にがり成分を与えなかった別の10匹に比べ、がんの成長が3分の1以下に抑えられていた。
従来の抗がん剤を使用したときのような免疫機能障害や体重減少などの副作用はほとんどなかったという。今回の実験ではがんの成長を抑制するメカニズムは分からなかったが、研究グループは、神経や免疫のシステムを増強させ、結果として抗がん作用につながっていると考えている。
にがりは、海水から取れる天然塩から塩分を抜いた残りの成分で、いわば副産物。マグネシウムやカリウムなどのほか、約60種類の微量ミネラルが含まれ、豆腐を作るときに使われる。昔から天然塩の生産が盛んな地域では切り傷、すり傷の消毒、皮膚病の治療などにも利用されてきたという。【江口一】(毎日新聞 2002/11/14)肝臓がん再発危険性、ビタミンK2で3分の1に
肝臓がんを治療した患者に、安全な骨粗しょう症治療薬として普及しているビタミンK2剤を投与すると、がん再発の危険性を3分の1に抑えられることが、山本匡介・佐賀医科大助教授(内科)らによる臨床研究で明らかになった。
佐賀医大は、患部を電磁波で焼くなど様々な治療法によって「患部を完全に死滅または除去させた」と判断できた肝細胞がん患者32人に、「メナテトレノン」(商品名グラケー)を1日45ミリ・グラムずつ内服してもらい、内服しなかった29人と比較した。
3−4か月ごとに再発の有無を調べた結果、グラケーを内服した患者、内服しなかった患者の再発率はそれぞれ、1年後が12.5%と51.7%、2年後が39.1%と84.5%、3年後が65.5%と92.2%。統計的に再発の危険性を計算すると、内服によって3分の1に減少することが分かった。特に、C型肝炎から進展したがんは、約4分の1となった。
小俣政男・東大教授(消化器内科)らも、患部を焼くなどの治療を受けた患者60人に同量のグラケーを投与。転移につながる門脈へのがん細胞の広がりを、1年後は2%(内服しなかった60人は21%)に抑制でき、2年後の生存率は59%(同29%)に向上した。(読売新聞 2002/11/18)脂の乗った魚介類に高濃度ダイオキシン 水産庁裏付け
「バランスよい食事で大丈夫」
脂が多かったり、大都市周辺で取れたりした魚介類は、ダイオキシン類濃度が高いことが水産庁の調査で分った。国の定めた安全基準(TDI)を大きく上回る魚種もあった。日常生活で口にする機会が多い魚介類を調査対象にしているため、濃度が特に高かった魚種について、追加調査で原因や汚染状況を突き止めることを検討している。
調査は水産庁が99年度から実施。これまでに93種の結果がまとまった。漁獲量と輸入量が多い魚種が対象。同じ魚種でも海域を分け、食べられる部分の濃度を調べた。
海域別でダイオキシン類濃度が高かったのは東京湾、大阪湾、瀬戸内海といった大都市周辺で取れたコノシロやタチウオ。
脂の多いマグロ類やブリも同様。最も高かったのは米国東海岸で取れたクロマグロ。体重50キロの大人が毎日20グラム(刺身で2切れ程度)を生涯食べ続けるとTDIを越えることになる。
逆にバカガイやスルメイカ、マダコはダイオキシン類濃度が低かった。カニは、甲羅内のミソが北陸沖、山陰沖のズワイガニやベニズワイガニで高い値を示した。
同じ魚種、同じ海域でも、年によって濃度が異なる事例がいくつかあった。全体の濃度の平均は1グラムあたり0.748ピコ(ピコは1兆分の1)グラムで、日本人が日常の生活で体内に取り込んでいるダイオキシン量を大幅に下回った。
同庁漁場資源課は「以前から指摘されていたことが裏付けられた結果となった。バランスよく食事を取れば健康面の心配はない」と説明している。<TDI> ダイオキシン類を含んだ食品を一生涯、毎日食べ続けても健康に影響しないとされる1日の耐容摂取量。体重1キロあたり4ピコグラムまで。厚生労働省の調査だと、日本人が1日に平均して食品や空気から取り込んでいるダイオキシン量は体重1キロあたり1.5ピコグラム。(朝日新聞 2002/12/02)
盲腸を手術すると大腸炎にならない
一般に盲腸手術といわれる、虫垂切除手術をした人は、潰瘍性大腸炎やクローン病など、炎症性の消化器疾患にかかりにくいか、なっても軽く済むことがわかった。オーストラリアの研究者が、雑誌「ガット」(Gut)12月号で報告した。
研究者たちは、潰瘍性大腸炎かクローン病と診断された642人のオーストラリア人が、発病の前に虫垂切除手術を受けていたかどうかを調べ、健康な人の虫垂手術率と比較した。その結果、健康な人の虫垂手術率は、潰瘍性大腸炎の人の3倍、クローン病の人の2倍だった。つまり、虫垂切除手術をした人は、炎症性の大腸の病気になる割合が低かった。
これを詳しく分析すると、20歳以下で虫垂手術をした人は、炎症性の大腸疾患にかかる割合が最も小さいことがわかった。また、こうした大腸の病気を患っている人のうち、虫垂手術をした人は、虫垂手術をしなかった人と比べると、発病の年齢が遅いこともわかった。潰瘍性大腸炎の人で虫垂手術を受けていた人は、その症状が軽く、しかも、大腸の手術の必要性も、薬物投与の割合も、虫垂手術を受けなかった人より小さかった。(日経ヘルス 2002/12/05)フレンチフライ、ポテトチップにアクリルアミド確認──米
「でんぷんを揚げたり、焼くと、発ガン物質のアクリルアミドが形成される」と2002年4月にスウェーデンの研究者が発表して、世界的に衝撃を与えた。
その後、欧州各国でこの事実を追認する報告が相次いだが、米国でも初めてそれが確認された。
FDA(米食品医薬品局)は、12月4日に広い範囲の揚げ物、焼き物、特にフレンチフライ、ポテトチップ、クラッカーに、高い濃度のアクリルアミドが含まれていることがわかった、と発表した。
アクリルアミドは、動物実験で発ガン性が確認されているが、人間にも発ガン性があるのかどうかはわかっていない。またFDAは、アクリルアミドが含まれているからといって、これらの食品を避けたほうがいい、とはまだ言い切れない、としている。
FDAでは、スウェーデンの発表のあとに300種類の食品を検査した。その結果、フレンチフライとポテトチップのほとんどと、パンの一部、ココア、アーモンド、コーヒー、クラッカーなどに、アクリルアミドが相当高い濃度で検出された。
しかし、同じ食品でも、製造元によってアクリルアミドの含有量が大きく違っていた。例えば、あるファーストフードのチェーンのフレンチフライは、別なチェーンのよりアクリルアミドの濃度がかなり高いなどの事実がわかった。アクリルアミドは、でんぷん質を調理する過程で形成され、調理時間が長いほど、また、調理温度が高いほど、アクリルアミドができやすいという。
FDAでは、今すぐアクリルアミドの問題をどうするか、を決めることはせずに、来年(2003年)、これを最優先の課題として取り上げ、さらに300種類ほどの食品を調べ、情報を集めてから、業界や消費者向けの勧告をまとめることにしている。(日経ヘルス 2002/12/09)階段を上る画期的車椅子が米国で登場
階段も上ります、高い本棚にも届きます──従来の電動車椅子を全面的に改良した新しい車椅子に対して、FDA(米食品医薬品局)の諮問委員会が、このほど、認可すべきであると勧告した。
FDAは通常、同委員会の勧告にしたがって認可を決定しており、この新型電動車椅子が、来年(2003年)早々にも、販売されるようになることは間違いない、と見られている。全米200万人と言われる。車椅子利用者にとって大きな朗報となる。
「独立iBOT3000移動システム」(Independence iBOT 3000 Mobility System)(略してiBOT)と呼ばれるこの電動車椅子は、発明家ディーン・カーメン氏がつくったもので、4つの車輪がみんな同じ大きさであるのが特徴。センサーとジャイロスコープを備えていて、車輪のバランスをとったり、階段上りがスムーズになるよう作られている。
また、車椅子として初めて階段を上れるようにした。さらに、4輪の駆動力を変えることにより、草原の丘陵を上ったり、下りたりできる。また、乗っている人を高く持ち上げ、そばで立っている人と同じ目線で会話したり、高いところに手がとどくようにする機能もある。
FDA諮問委員会は、全員一致で、iBOTの認可勧告を決めたが、入手には医師の処方が必要なこと、使用者はまず厳格な安全運転の訓練を受けること、という、2つの条件を付けた。(日経ヘルス 2002/12/11)根付く長寿食──沖縄ばかりではない、高たんぱく効果
世界でもトップレベルにある日本の長寿を支えるのが、伝統的な食生活。平均寿命が長い地域の食事からは、高たんぱく質・低食塩で、コレステロールも比較的少ない食材や料理の数々が浮かび上がってくる。若い世代の間では脂肪分が多いなど食の欧米化も進むが、各地に多彩な「長寿食」が根付いている。長生きの街で、その食の秘密を探った。
地元で取れる大豆の一種である青ばつ(青豆)をゆでてカズノコとあわせたもの、体長2センチほどのイナゴのつくだ煮、長いもをすったトロロ汁、野沢菜などの漬物、そして白いご飯……。例年より早い積雪が一面に残るある小春日和の日、長野県東部の佐久市に住む丸山保夫さん(91)、久江さん(85)夫妻のお昼の食卓に並んだメニューだ。
料理を担当しているのは、3年前に家族とともに首都圏から親元へ戻ってきた長女の佐藤定子さん(55)。「自然のものを自然に、好き嫌いなく食べてきたことが、長生きにつながったのではないか」と保夫さんが言えば、久江さんも「肉はあまり食べないが、魚などあるものを何でも食べる」とうなずく。
保夫さんは「季節によって、フナの甘露煮、ドジョウ汁や煮物、コイのうま煮やコイこくなど川魚もよく食べる。例えば、ドジョウは今でも仕掛けを使って自分で捕ってくる」と笑顔で説明する。豆腐を寒風の下で乾燥させた「しみ豆腐」(凍り豆腐)や山菜なども、地域の昔ながらの欠かせない食材だ。
今や新たな長寿県となった長野県。データを比較できる直近の統計である1995年時点の「都道府県別生命表」(厚生労働省まとめ)では、平均寿命は男性が78.08歳で全国1位、女性も83.89歳で4位になっている。特に佐久市は、95年発表のデータで全国の市のなかで男性が最も長寿だった。
佐久市の食生活の事情を詳細に調べた長野県栄養士会の中村美登里・佐久支部長は、「長寿の秘けつは、食事のバランス。コメという主食をしっかり食べ、たんぱく質、食物繊維なども豊富。食材では特に、青ばつも含めた大豆や川魚が長寿の秘けつではないか。かつては『かけ菜』といって野沢菜や大根の葉などを乾燥させた野菜のない冬場の保存食もあり、これらもよかったようだ。塩分を抜く効果がある酒の粕(かす)を使った料理も多い」と分析する。
実は、この地域の食文化も昔のままではない。例えば、3度の食事時に加えて、お茶の時間にも食べるのが当たり前という野沢菜の漬物。久江さんから家の漬物担当を引き継いでいる佐藤さんは「昔と比べたら、すごく薄味になっている」と断言する。この点は、市や県が意識的に取り組んできた減塩運動の成果でもある。食塩の摂取を減らしたことで脳卒中が大幅に減少し、平均寿命を引き上げた。伝統食に人の知恵が加わった結果の長寿でもある。
長寿の県と言えば、沖縄県をイメージする人も多いかもしれない。ゆでることなどで脂肪分を減らして食べることの多い豚肉、ゴーヤ(ニガウリ)、昆布などの海草類といった食材が長寿食として有名。が、最近、日本の長寿事情に変化の兆しが出てきた。
厚労省が国勢調査などに基づき5年ごとにまとめている都道府県別生命表。近く発表される2000年の結果で、女性の平均寿命トップを続けてきた沖縄県が後退し、代わって島根県が女性の首位になる見通しだ。沖縄に関しては、若年層を中心に脂肪の摂取量が増えていることなどを指摘する声がある。
躍進する島根県では、例えば隠岐諸島などの長寿ぶりが有名だが、魚を骨まで食べたり海草類を多くとったりする一方で、食塩の摂取量を減らすなどの食生活が、長寿の要因。ちなみに男性の平均寿命は、90年に沖縄県からトップの座を奪った長野県が、95年に続いて2000年も1位を守りそうだ。
長寿のための食生活のあり方に精通している家森幸男・京大名誉教授(予防栄養学)は、「長生きのためには、食生活が大きな影響をもつが、長寿地域の食事には、食材が違っても共通点が多い」と指摘する。そのうえで、「例えば、大豆や魚などを使い、たんぱく質が多くて塩分やコレステロールは抑えた食事がいい。今後は、今までの伝統食を保つとともに、不足しがちな野菜類やカルシウムなどを増やしていけば、さらに長寿になることも可能ではないか」と話す。
もちろん、食生活だけでは長寿にならない。佐久市にしても長野県全体にしても、高齢者の就労率が極めて高い。それも農業。実際、丸山さん夫妻も、レタスなどを栽培し、出荷もしている。地域での交流も活発だ。そして健康。「健康で長生きを続け、突然逝くのがいいという意味で『ピンピン・コロリの里』づくりを提唱している」。佐久市の三浦大助市長は、お客さんに必ず出すというイナゴのつくだ煮をつまみながら、市長室で目を輝かせた。(日本経済新聞 2002/12/15)歩き方が変になるのは──痴呆の前兆?
お年寄りが変わった歩き方をするときには、脳卒中などと関係する血管性の老人性痴呆症の前兆である、という研究が発表された。
発表したのは、ニューヨークのアルバート・アインシュタイン医科大学のジョー・ベルゲーゼ博士(神経科学)。
同博士らの研究チ−ムは、70、80、90歳代の老人422人を、7年間にわたって、追跡調査した。調査した老人は、いずれも調査開始時点では、痴呆症の兆候はなかった。しかし、被験者の歩き方を良く観察すると、異常な歩き方をする人がいた。それは、足が半円形を描くように外側にゆれる(第1のタイプ)、足が床からほとんど離れないで歩幅が極端に短い(第2のタイプ)、常にふらついていてバランスを失いやすい(第3のタイプ)、という3つのタイプがあった。
こういう歩き方の人と、正常な歩き方の人とを分けて観察すると、異常な歩き方をする人の3分の1は、後年、血管性痴呆症になったが、正常な歩き方の老人で血管性痴呆症になった人は10分の1だった。(日経ヘルス 2002/12/16)腎臓病やリウマチに効能 水治療 『飲用』『シャワー』併用
国が『補助療法』認定 医療保険対象に 仏・ヴィッテルの施設訪問
日本でも知られるミネラルウォーター(鉱泉)の産地、フランス東部のヴォ一ジュ地方のヴィッテルは、古代ローマ時代から腎臓疾患などへの水治療でも有名だ。水治療は日本ではまゆつばものとみられなくもないが、フランスでは科学的裏付けがはっきりしている現在、「補助療法」として公的医療保険の対象である。水治療センターの1つ、ヴィッテルスパセンターを訪ねた。(論説委員・日比野守男)鉱泉を使って行う疾病治療はフランスでは「テルマリズム」と呼ばれる。そうした施設は国内で100を超す。鉱泉は地域によって成分が微妙に異なるため、うたっていい医学的効能が12項目に分けられ、それぞれ国が認定している。
訪れたセンターは、泌尿器系、リウマチなど4疾患の効能をうたっている。利用患者は年間1万人で最大規模という。整体の資格を持つトレーナーのフレデリック・マルタンさん(42)は「仏国内最初の施設だが、10年前に全面改装し、最新の設備をそろえている」と胸を張る。
マルタンさんの案内で、治療を受けた。
最初にジェットバス。浴槽につかると、左右前後から方向を変えて湯が体のツボに勢いよく吹き付ける。場所を変えてベッドの上にうつぶせになり上からジェットシャワー。心地良いことこの上ない。治療というよりも「健康ランド」に行っている気分だった。
最後に「腎臓シャワー」。立った姿勢で30センチほど離れたところから横向きの冷たいジェット水流が強力に噴き出す。「体を回転させろ」とのことだったが、腰はともかく腹部に受けると冷たさと痛さで音を上げた。この段になって初めて、ここが「治療」の現場であることを実感した。
仏では18日以上の水治療は医療保険の対象になる。かかりつけ医の紹介状をセンターに提出すると、センターの医師が症状に合わせて必要な水治療のメニューを処方する。マルタンさんらトレーナーは、それに沿って指導する。
実際の水治療は、もっと多種でハードな「シャワー療法」と、鉱泉を飲む「飲用療法」の2本立てだ。水を飲むのは、日本の軟水と違ってカルシウムやマグネシウムなどを豊富に含む硬水のため、利尿作用を高めるからだ。飲むといっても1日1.5−8リットルと半端ではない。量は症状によって厳格に決められる。
センターの泌尿器科医のジャン・トマさんによれば、例えば腎臓結石の破砕術を受けた230人の患者のうち水治療で最終的に7割について、体内に残留する結石の破片が排出されたことがエックス線で確認された。シャワーで反射神経が高められ、飲用で利尿効果が強められる。その相乗効果だという。
治療を終えてくつろいでいたヴィクトール・マラールさん(68)と妻のジャニンヌさん(68)は、大西洋側の町からきた。ヴィクトールさんはリウマチ、妻のジャニンヌさんは腎臓を患っている。治療は保険、滞在費は自費だ。
2人は毎年3週間、15年間続けて、このセンターに来ている。「治療を受けたあと疲れるが、気分はそう快だ」と口をそろえる。
2年前から来ている同郷のイブ・ゴダールさん(66)も腎臓病だが、戦傷者のため自己負担はない。「毎日4回300ccずつ水を飲むが、とても体調がいい」と語っていた。
水治療はあくまで補助療法であり、近代医学の足らないところを補うものだ。その意味で日本で見直されてきた東洋医学と似た側面があるといえそう。(中日新聞 2002/12/20)
![]()
![]()