希望医学

[1999-2000]



大腸がん予防に消炎剤 原因組織ACFが消滅
札幌医大のグループ、世界初の解明
札幌医大第4内科の新津洋司郎教授(55)、高山哲治助手(38)らは、大腸がんの初期的な病変組織“芽”の正体を突き止め、それが一般的な消炎鎮痛剤の投与により劇的に消滅することを解明した。がん予防に向けた画期的研究として注目されている。
がんの“芽”というのは、大腸に発生するACF(異形いんか巣)と呼ばれる0.1−1ミリの微小な病変組織。以前から大腸がんの患者に多く見られることが知られていたが、正体は解明されていなかった。
高山助手らが、拡大内視鏡を使って健康な人とポリープ患者、がん患者の計320人余りを調査したところ、ACFがポリープへと変容する様子が確認され、ACFががんの前段階の組織であることが分かった。
さらに、ACFを持つ患者11人に一般的な消炎解熱鎮痛剤であるスリンダックを1日3錠ずつ経口投与したところ、60個ものACFがあった患者が、10カ月後にはゼロになるなど、8−12カ月後にはすべての患者でACFがゼロ近くまで消滅した。逆に、投与しなかった患者9人はACFの数に変化がなかった。
スリンダック、アスピリンなど消炎剤にがんの抑制作用があることは、1980年代から統計に基づいて指摘されていたが、今回、ACFを消滅させることでがん発生を抑制するというメカニズムが解明されたことになる。
高山助手は「消炎剤がACFの組織にアポトーシス(細胞の自死)を引き起こしていると考えられる。大腸がんは遺伝的要素が大きい。家族に患者がいる人でACFの発生や消炎剤投与の経過を見れば、がん予防効果の解明が一層進むはずだ」としている。
国立がんセンター中央病院(東京)の近藤仁・内視鏡部消化器科医長は「大腸がんの予防や診断の指標としてACFがますます注目されるだろう」と話している。(中日新聞 1999/01/05)

食物のがん予防効果、バランス良い摂取で
野菜や果物を多く食べると、がんの予防に役立つと言われる。アメリカでは、どのような成分が予防の役割を果たすかを科学的に解明することなどを目的に、国立がん研究所が中心となり、1990年に研究プロジェクトが組まれた。
「がん予防を目的にデザインされた植物成分を基礎的に含む食品」の研究。「デザイナーフーズ」計画と呼ばれ、そこで取り上げた野菜を重要度により区分けし、37種類の野菜類を盛り込んだピラミッドが作られた。それをもとに日本でよく使う食物を取り入れ、西野輔翼(ほよく)京都府立医大教授(生化学)が作成したものを簡略にしたのが上図(※江原注:割愛)だ。
米国の計画に参加した名古屋大農学部の大澤俊彦教授(食品機能化学)は「疫学や分子レベルの研究などで、より高い予防の可能性が示唆された野菜が階層別に記されています。継続して食べても安全です」と説明する。

◇動物実験では抑制

トップに掲げられたニンニク(ユリ科)。多く摂取するイタリアや中国の特定の地域では胃がんの発生率が低い、米国内の女性を対象とした調査では大腸がんの発生を抑制するといった疫学研究などがある。ニンニクのにおいの元となるイオウ化合物を使った動物実験では、食道、大腸、肺、皮膚がんで発がんの抑制効果が報告されている。
大澤教授によると、野菜に含まれているのは、がんの予防効果が言われる食物繊維やカロチン、ビタミン類だけではない。緑色色素のクロロフィルに遺伝子が傷つくのを防ぐ効果が示唆されているように様々な成分が役に立っている可能性がある。
キャベツ(アブラナ科)は、がん抑制効果が認められた辛み成分のイソチオシアナートや発がん物質の解毒作用が指摘されるインドール類を含む。イソチオシアナートは同じ科に属するダイコンやブロッコリー、カリフラワーなどにもみられる。
オレンジ、レモンなど、かんきつ類では、苦みや香りの成分であるテルペンに発がん物質の解毒作用が明らかになっている。ハーブのローズマリーやセージ、バジル(以上シソ科)にもテルペンが含まれる。トマト(ナス科)は、がん予防効果が期待されるカロチンの中でもβ―カロチンとリコピンが多い。特有のアルカロイド成分を持つナス(同)は、がんの増殖や成長の抑制効果が認められる。
ただし、ここで言う「効果」は動物実験で確かめられたものだ。人間でも同じ効果が期待できるのか。科学的に実証する必要がある。
そのためには、特定の食品成分を継続して取っている人と取っていない人のグループに分け、その後のがんの発生状態を調べなければならないが、日本での研究は始まったばかりだ。

◇科学的実証これから

トマトに多く含まれるリコピンの肝臓への影響を調べたり、小麦フスマの摂取が大腸のポリープの発生を抑制するかどうかを見極めたりする研究はすでに始まっている。朝鮮ニンジンエキスで肝臓がんの予防効果を調べる研究なども計画されているが、食品のがん予防の効果を科学的に実証するには今後、20年は必要と言う研究者もいる。
では、現在の時点でどのように食生活に気をつければいいのか。大澤教授は「植物はそれぞれに多様な成分を含み、ナス科、アブラナ科など科により特徴がある。様々な科をバランス良く食べるのがよい」とアドバイスしている。
予防の可能性に賭(か)けてみるという気持ちで、動物実験で効果が認められている食品を意識して食べる、というのが適当な姿勢のようだ。(渡辺 勝敏)(読売新聞 1999/01/17)

ハエ体内物質に抗がん作用 正常な細胞に無害
東大教授ら発見
昆虫が細菌の侵入から体を守るため分泌する物質に、人の乳がんなど、ある種のがんの増殖を阻害する働きがあることを、名取俊二・東大薬学部教授ら科学技術振興事業団のグループが2日までに突き止めた。
従来の抗がん剤が正常な細胞の成長も抑えてしまうのに対し、この物質は特定のがん細胞以外に全く作用しない選択性があるという。がん細胞の増殖を抑える機構が解明されれば、新しい抗がん剤開発につながると期待される。
物質はセンチニクバエの体内で見つかった生理活性物質で、5−S−GADと名付けられた。センチニクバエが体に傷を受けた際に体内で活性化される酵素チロシンキナーゼによって合成され、過酸化水素水を放出し侵入する細菌を攻撃するのが本来の役割。
実験で38種類の人のがん細胞に対する増殖阻害効果を調べた結果、2種類の乳がんとメラノーマ{皮膚がんの一種)の増殖を阻むことが分かった。そこでヌードマウスにこのがん細胞を移植、この物質を使って治療したところ、がんの成長が抑えられたという。
5−S−GADが骨粗しょう症の原因となる破骨細胞の分化を抑制する働きのあることも分かり、同グループでさらに研究を進めている。
名取教授は「昆虫は地球上で最も繁栄している生物。その強力な生体防御機構を解明していけば、他にも多くの疾病治療に応用できるはず」と話している。(中日新聞 1999/02/03)

体内物質にがん治癒力 天然のビタミン化合物が有効
三重大・田口教授が報告
人体内に存在する天然のビタミン化合物に、がん細胞を死滅させる「アポトーシス」を引き起こす能力のあることを、田口寛・三重大生物資源学部教授(生物化学)が突き止め、岡山県倉敷市で13日開かれた臨床フリーラジカル会議で発表した。天然ビタミン化合物とアポトーシスの関連の報告は、きわめてめずらしい。もともと体内にある物質が、無害で有効ながん治療薬になり得る研究として注目を集めそう。
がん細胞を死滅させる力を持っていることが分かったのは、天然のビタミン化合物「ピコリン酸」「ジピコリン酸」と、結核治療薬(イソニコチン酸ヒドラジド)の代謝副産物「イソニコチンアミド」の3種類。いずれも、ニコチン酸ビタミン化合物の一種で、人の体内に多く存在している。
ピコリン酸は、体内で必須(ひっす)アミノ酸「トリプトファン」から合成される。ラットの成長促進作用も報告されている。ジピコリン酸は、紫外線に対する防護作用を示す。イソニコチンアミドは天然化合物ではないが、無害なうえ、リンパ腫(しゅ)の発症を抑える能力を持つ。
田口教授は、骨髄性白血病細胞「HL−60」「K562」、子宮頸(けい)がん細胞の3種類に対し、22種類のニコチン酸化合物を添加。このうち、ピコリン酸とジピコリン酸、イソニコチンアミドが強いアポトーシス能力を示し、10−20時間で数百万個のがん細胞を全滅させた。
一方、正常なヒトリンパ球にも同じ実験をしたがアポトーシスは起こらず、ピコリン酸など3種頬の化合物は「正常組織には害を与えず、がん細胞だけを標的にする」と結論づけた。
「人体への投与は、注射や経口服用などが考えられるが、動物実験で治療薬として効果的な濃度、他のがんへの作用なども調べたい」と田口教授。細胞内への浸透能力向上、大量投与したさいの人体への影響などが明確になれば、実用化に大きく近づく、という。

合成物と違い安全

玉井浩・大阪医科大教授(栄養学)の話 天然のビタミン化合物は、がん予防効果が注目されているが、治療薬としては手付かずで意義ある着眼点だ。副作用の恐れがある合成物などと違い、もともと体内にあるものなので安全性は高い。

<アポトーシス> 細胞の病変による壊死(ネクローシス)と異なり、不要になった細胞の増殖を防ぐため計画的に脱落する現象。「細胞の自殺」ともいう。オタマジャクシがカエルに変態するさい尾が消えたり、胎児期にある指の間の“水かき”がなくなるのが、アポトーシスの主な例。この性質を利用し、がん細胞の死滅を誘導するような治療法の開発が進められている。(中日新聞 1999/02/14)

トマトはがん予防に有効 米博士が発表
【ワシントン16日共同】トマトをたくさん食べると、肺がんや胃がんなど各種のがんになる危険を減らせる、と米ハーバード大のエドワード・ジオバニュチ博士が17日付の米国立がん研究所の専門誌に発表した。
これまでに発表されたトマトとがんに関する疫学論文72編を集大成した結果で、同博士は「さまざまながんの危険を減らす効果があるが、特に肺、胃、前立腺(せん)のがん予防に有効なようだ」と指摘している。
同博士はトマトや、スープなどトマト製品の摂取とがんに関して英語で書かれた論文72編をあらためて評価した。その結果、52論文がトマトを多く食べるほど、がんが少ないことを示しており、うち32編はがんの減少は統計的に意味があるとしていた。
さまざまな部位のがんの減少がみられ、肺、胃、前立腺のほか、膵臓(すいぞう)、大腸、直腸などのがんに対しても若干の減少効果があるという。
トマトの中のリコピンと呼ばれる赤色色素ががん減少に関係しているらしいが、同博士は「証明のためにはさらに研究が必要」としている。(中日スポーツ 1999/02/18)

緑茶で床擦れ治ります
皮膚が再生、膿の消臭にも効果
高齢者や病人の床擦れ治療に、抗菌作用が注目されるカテキン類を含む緑茶が有効なことが、東京都農業試験場と東京・日野市立総合病院の共同研究でわかった。きょう5日、東京・立川市の同試験場で開かれる研究会で発表される。
日本人がふだん飲んでいる濃度(水100グラムに対し緑茶0.5−3グラム)より薄い濃度(蒸留水5リットルに対し同10グラム)のお茶を高温高圧で滅菌、濃度110ppmの「緑茶溶液」を作った。これを使って、床擦れのある患者ら20人の患部を消毒し、従来の消毒薬の効果と比べた。
その結果、お茶を使った場合には、骨が露出していた患部の皮膚が4か月ほどで再生、5か月でほぼ完治したのに対し、消毒薬は効果が上がらず、2か月たった時点でお茶に変えたところ、目立った改善があった。さらに、お茶は患部の膿(うみ)の消臭にも高い効果が認められたという。(読売新聞 1999/03/05)

緑の光照射でがん細胞死滅 発光ダイオード
白血病治療に期待 香川大教授ら
白血病のがん細胞が、特殊な物質を加え、発光ダイオード(LED)の緑色の光を照射すると死滅することを香川大工学部の岡本研正教授(電子工学)と同大保健管理センターの鎌野寛・助教授(内科学)らが確認した。東京で開かれる日本血液学会総会で19日に発表する。
動物実験はこれからで、実用化はまだ先だが、この方法で患者の骨髄液や血液のがん細胞を除去し、体内に戻す自家移植が確立すれば、骨髄の提供者不足や移植後の拒絶反応など、現在の骨髄移植が抱える問題を解決でき、期待を集めそうだ。
岡本教授らは、がん細胞と結合しやすい化学物質ポルフィリンの一種を加えた白血病患者の造血幹細胞に、明るさが1−6カンデラの超高輝度LEDを176個付けた装置で9種類の波長の光を当て、効果を確かめた。
すると波長が525ナノメートル(ナノは10億分の1)の緑色光で、培養液1cc当たり10万個のがん細胞が1時間で完全に死滅した。ポルフィリンは光を受けると活性酸素を発生するため、結合したがん細胞だけが死滅する。
これは光線力学的治療法(PDT)と呼ばれ、海外では1970年代後半にポルフィリンとレーザーを使った動物実験が行われ、日本でも東京医科大の加藤治文教授らを中心に研究が進んでいる。
LEDを使うと(1)一点しか照射できないレーザーに比べ、広範囲を照射でき効率的(2)光の威力が弱いため正常細胞を壊す危険が少ない(3)装置が安価−などの利点がある。
今後は移植後の再発の可能性や正常細胞への光の影響の確認が必要。岡本教授は「臨床応用にはまだ時間がかかるが、将来は白血病だけでなく、ほかのがん治療への活用も可能にしたい」としている。(中日新聞 1999/04/18)

環境ホルモンにもお茶効きます
カテキン 体内作用を阻止
緑茶などに含まれるカテキン類が、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の体内での作用を阻止し、人体への悪影響を防ぐ可能性が高いことが、宝酒造バイオ研究所(大津市)の近藤昭宏研究員(42)らのグループの研究で分かった。
環境ホルモンは、体内に入り込むと、女性ホルモンと同じような働きをし、生殖機能などに変調をきたすとされる。環境ホルモンの作用は複雑だが、その中で女性ホルモン受容体に結合して作用するものがある。グループは、環境ホルモンと女性ホルモン受容体との結び付きを調べる米国製の装置を改良し独自の測定方法を開発。環境ホルモン−女性ホルモン受容体間と、緑茶カテキン−同受容体間とのそれぞれの結び付きやすさを比べた。
この結果、環境ホルモンの一種のノニルフェノール(工業用洗剤など)と同受容体との結び付きやすさは0.3、同ビスフェノールA(ポリカーボネート製食器など)は0.04、同フタル酸エステル(塩化ビニール製のおもちゃなど)が0.01−0.02だったのに対し、茶葉から抽出・精製した緑茶カテキンのうち、エピガロカテキンガレートは6.3、ガロカテキンガレートは3.1だった。
近藤研究員らは、これらの緑茶カテキンが環境ホルモンより数十倍−数百倍も女性ホルモン受容体と結び付きやすいことで、環境ホルモンが体内で作用しにくくなる可能性が高いとしている。また、緑茶カテキンが受容体と結び付いても、女性ホルモンの本来の機能を損なわないようだという。
同研究員は「甲状腺(せん)ホルモンや男性ホルモン受容体でも実験を行い、なぞの多い環境ホルモンの正体を明らかにしていきたい」と話している。(中日新聞 1999/05/30)

脳卒中抑制にトマトが効く ラットで実験
カゴメ総研
カゴメ(本社名古屋市)は31日、トマトに脳卒中の発症を抑える効果があるとする研究成果を発表した。同社の総合研究所(栃木県西那須野町)と近畿大農学部がラットを使って取り組んだ共同研究。
実験は、遺伝的に脳卒中になる性質があるラットを2グループに分け、一方には冷凍乾燥したトマトの粉末を5%添加した飼料、もう一方には単なる飼料を与え5週間にわたって飼育。脳卒中の発症度合いを比較した。その結果、トマトを与えたグループは、通常のグループより発症の時期が1カ月前後遅くなった。また脳卒中になると低下する血液中の酵素を調べると、トマトを摂取しているグループの方が高い機能を維持し続けていることなども分かった。こうしたことからトマトが脳卒中の発症を抑制する効果を持っていると結論づけた。カゴメによると、トマトに含まれる「リコピン」と呼ばれる物質が関係していると考えられ、今後立証試験を行う。(中日新聞 1999/06/01)

コーヒーが胆石予防 2、3杯で危険4割減 米博士ら発表
【ワシントン8日共同】1日2、3杯のコーヒーを飲むと、胆石になる危険が40%少なくなると、米ハーバード大のマイケル・レイツマン博士らが9日付の米医師会雑誌に発表した。
カフェインを減らしたコーヒーでは効果がないことから、同博士らはカフェインが何らかの作用をして胆石ができるのを防いでいる、とみている。
博士らは米国内の医療従事者の男性約4万6000人を対象に1986年と96年に調査を行い、胆石とコーヒーの関係を調べた。
調査間隔の10年の間に、42人に1人の割合に相当する約1100人が胆石の症状が表れる胆石症になった。しかし、コーヒーを飲んでいる人には少なく、1日2、3杯飲む人は全く飲まない人に比べ胆石になる率が40%低かった。
一方、紅茶やカフェインを減らしたコーヒーを飲んでいる人では、胆石の減少は見られなかった。紅茶にはコーヒーの半分以下しかカフェインが含まれていないという。(中日新聞 1999/06/09)

胃・十二指腸かいよう起こすピロリ菌、漢方薬で除去
胃の中にすむ細菌、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の除菌に関心が集まっている。ピロリ菌は胃や十二指腸かいようの原因とみられ、胃がんとの因果関係も濃厚になってきたためだ。海外の除菌法は抗生物質などを合わせ飲むものだが、日本ではまだ治験段階で、健康保険の適用対象外。こうした中、漢方薬で除菌しようという研究も進んできた。(姫野 忠)

「漢方によるピロリの除菌を思いついたのは、実はアトピー性皮膚炎の治療がきっかけでした」と話すのは大阪府豊中市、西沢クリニックの西沢芳男医師(京都府立医大講師)。
西沢医師は成人のアトピー性皮膚炎の治療に、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、小柴胡湯(しょうさいことう)、消風散(しょうふうさん)の漢方薬3剤を併用し治療してきたが、西洋薬の抗アレルギー剤の治療患者に比べ、漢方治療の患者には、胃かいようや十二指腸かいようが少ないことに気がついた。
「この3薬のいずれかが、ピロリ菌を殺しているのでは」と考えた西沢医師は、大阪府立成人病センターの医師らとともに研究。ピロリ菌のいる胃かいよう患者に、この3つの漢方薬を飲んでもらったところ、黄連解毒湯だけに、除菌作用があった。
そこで、ピロリ菌が陽性の胃かいよう患者に、黄連解毒湯を2年間(体重別に1日、5−15グラム)飲んでもらい、除菌の様子を調べた。その結果、50歳以下では、難治性の胃かいよう患者は20人のうち19人(95%)で、再発性の胃かいよう患者は50人中37人(74%)でピロリ菌が消えていた。
60歳以上の「再発性」患者では、飲み始めてわずか2週間で、50人中39人(78%)でピロリ菌が消失。「なぜお年寄りの方が成績が良いかは、なぞです」と西沢医師。
さらにはどのようなタイプに有効かを心理テストなどで調べるとイライラ感、不眠、耳鳴り、頭痛、どうきなどがあり、赤ら顔で手足が熱く、小太りの患者によく効くことが分かった。
また抗生物質を使っての除菌では、発疹(ほっしん)や下痢、腹がはるなどの副作用が出ることもあるが、漢方では比較的副作用が少ないことも利点だ。
しかし西洋薬の除菌では1週間から10日間程度の服用で済むのに、黄達解毒湯を使った場合、2年間もの長期間飲む必要がある。
しかも通常、黄連解毒湯の服用は1日7.5グラムだが、体重60キロ以上の人だと、ピロリ除菌のため、この1.6倍から2倍の量を服用しなければならないとか、内服をやめて約半年後ぐらいから再びピロリ菌が発生することも多い−などのマイナス面もある。
そこで西沢医師らは西洋薬と同様、漢方も併用することによる“合わせ技”で除菌力をアップさせ、弱点を克服しようという研究を始めている。
併用薬としては四物湯(しもつとう)、六君子湯(りっくんしとう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)などが挙がっており、西洋薬との併用も検討中という。

<黄達解毒湯> オウゴン、オウレン、オウバク、サンシシ(クチナシの実)の4種から成る。この4種はすべて消炎・解熱・抗菌作用がある。一般的な効能は鼻出血、不眠症、ノイローゼ、胃炎、二日酔い、血の道症、目まい、どうき。

<ヘリコバクター・ピロリ> 全長1.0−6.5マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)。1982年発見。94年、米国立衛生研究所(NIH)が、ピロリ菌感染のかいよう患者すべてに除菌治療を勧告。同年、世界保健機関(WHO)が「ピロリ菌は胃がんの発がん因子」と発表。胃がん患者の9割以上がピロリ菌感染者で、感染者は胃がんになる確率が6倍高いとのデータも。日本人の感染率は30代で約40%、40代以上で70−80%との報告もある。標準の除菌方法は(1)胃酸分泌抑制剤(2)抗生物質(3)抗原虫剤の3剤併用で、除菌率は90%を超える。(中日新聞 1999/06/11)

放射能被ばくにコーヒーが効く カフェインが障害防止
インドの研究チームが発見
【ロンドン24日共同】インドの科学者チームがコーヒーなどに含まれるカフェインが放射能被ばくによる障害の防止に有効なことを発見、24日発売の英科学誌ニュー・サイエンティストに発表した。
ムンバイにあるバーバ原子力研究所のチームがマウス471匹に異なる量のカフェインを注射後、致死量とされる7.5グレイのガンマ線を照射したところ、照射の1時間前に休重1キロ当たり80ミリグラムのカフェインを与えたマウスの70%は25日以上生きていた。
対照的に、カフェインを全く与えなかったマウス196匹はすべて死んだ。
また、ガンマ線の照射30分前に、同100ミリグラムのカフェインを注射したマウスの大半も同程度の期間を生きていたが、同50ミリグラム以下のカフェインを与えたマウスや、ガンマ線照射後にカフェインを与えたマウスはいずれも死んだという。
責任者のK・C・ジョージ博士は、放射線を浴びた細胞組織がつくり出す水酸基にカフェインが反応し、水酸基が骨髄による血液生成などの体機能に及ぼす悪影響を防ぐと説明。
マウス実験をそのまま人間に当てはめることは難しいとしながらも、実験結果は「コーヒーが放射線汚染に有効であろうことは示唆している」と強調している。
カップ1杯のコーヒーには80−100ミリグラムのカフェインが含まれており、体重70キログラムの人間がマウスと同率のカフェインを取るためには100杯以上を飲む必要がある。(中日新聞 1999/06/24)

体内のダイオキシン キトサンに低減効果
吸収防ぎ排出促す 摂南大グループ確認
カニの甲羅などに含まれる繊維質のキトサンが、生体のダイオキシンの吸収を阻害して排出を促進し、脂肪中のダイオキシン濃度を大幅に減らす効果があることが、摂南大薬学部研究グループのマウスを使った実験で分かった。4日に東京で開かれる伝統医療の研究会で発表される。
実験ではダイオキシン200ナノグラム(ナノは10億分の1)を経口投与したマウスに、普通の飼料を3日間与えた後、キトサンを10%混ぜた飼料を15日間与えた。その結果、腸の脂肪1グラム中のダイオキシン濃度は約3300ピコグラム(ピコは1兆分の1)と、普通の飼料を与え続けた場合の半分にとどまった。
また、キトサンを加えた飼料を与え、ふんの中のダイオキシン量を測ったところ、普通の飼料を与えた場合より38%多く、排出の促進効果が確認された。
研究グループの太田壮一助教授(食品衛生学)は、ダイオキシンが消化管を通る際に、キトサンがダイオキシンを包み込むことで吸着を阻害する、と分析している。
また、キトサンなど食物繊維は、胆汁の分泌や腸内細菌を活性化させる効果が知られており、消化管の働きが活発化することで、脂肪に蓄積したダイオキシンが排出されやすくなるとみている。
太田助教授は「水に溶けないダイオキシンは、体内に蓄積されると排出しにくいが、副作用のない食物繊維を摂取することで軽減できることが確認できた」としている。(中日新聞 1999/07/04)

不老不死?の遺伝子発見 米カ大教授
【ロンドン4日共同】4日付の英紙サンデー・タイムズによると、米カリフォルニア大のマイケル・ローズ教授(進化生物学)がショウジョウバエを使った実験で不老不死のカギを握る遺伝子を発見した。
同紙は、この遺伝子の化学物質を突き止めることによって、人間の老化防止のための細胞修復薬を開発できるだろうとしている。
この遺伝子は、細胞の損傷を修復することによって細胞を不死化する能力がある。ローズ教授は、この遺伝子を活性化することによってショウジョウバエの寿命を通常の3倍に相当する130日間に延長することに成功したという。
教授はさらに、遺伝子を活性化したハエが130日間で死ぬのは老化のためではなく、羽根や脚の先端が折れるなどの「物理的な故障」によってえさをとることができなくなるためだとしている。
細胞の不死化の考えは科学者の間でかなり前から認知されており、その例としては、際限なく増殖し続けるガン細胞がある。(中日新聞 1999/07/05)

50歳未満と70歳以上 抗がん剤の薬効に疑問
逆に2次発がんの危険も 阪大講師調査
全国の病院で、がん治療に広く使われている多くの抗がん剤が、50歳未満や70歳以上の患者には、ほかの臓器で新たな発症を生む2次発がんの危険性が高く、そのうえ治療効果の薄いことが、大阪大学医学部第2外科の藤本二郎講師(60)の調査で分かった。抗がん剤の発がん性は動物実験で危険性を指摘する論文も報告され、医療現場では抗がん剤使用を控える方向にあるが、藤本講師の研究は人体レベルのデータとして波紋を広げそうだ。研究結果は、15日に名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開かれる「第54回日本消化器外科学会」で発表する。
藤本講師は、大阪大学付属病院(大阪府吹田市)第2外科で、1963−81年に胃の切除手術を行った胃がん患者856人について、手術後の補助療法として(1)抗がん剤を使用しないケース(487人)(2)化学療法をした場合(305人)(3)免疫化学療法をした場合(64人)−の3種類に分類した。
さらに2次がんの発生について特徴が出やすく、統計的手法でも分類しやすいよう年齢層を▽50歳未満(243人)▽50−70歳未満(507人)▽70歳以上(106人)−の3つに分けて追跡調査した。
化学療法の患者には、一般的に使われる抗がん剤の代表とされるマイトマイシンC(MMC)と5−フルオロウラシル(5−FU)テガフールの3種類を使用。免疫化学療法では3種類の抗がん剤に、免疫力を高めるために併用される免疫賦活(ふかつ)剤のクレスチン、ピシバニール、レバミゾールの3種類を使った。
この結果、50歳未満の患者には、手術後の生存率を示す「術後遠隔成績」が高いはずの化学療法を施した場合の方が、抗がん剤を使用しなかったり、免疫を高める薬を使用した場合よりも逆に生存率が低い結果となった。70歳以上では化学療法で期待される効果が得られない結果となった。しかも50歳未満、70歳以上とも、大腸や肝臓、肺などに2次発がんの発生頻度を高める傾向がみられた。15日の学会では、この事実を示すデータを公表する。
藤本講師は「50−70歳には胃がん手術の補助療法として化学、免疫化学療法はある程度効果的だが、寝たきりにならないようにしたり、好きな物が食べられたりできる人間らしい生活を送るためにも補助療法は望ましくない」と結論づけている。

実証データに注目

厚生省医薬安全局安全対策課の話 最近、抗がん剤の2次発がん性の危険について指摘があり、多くの抗がん剤に注意書きを付記するよう製薬会社に指導している。MMCには一昨年12月からだ。詳しい内容が分からないので断定的な話はできないが、2次発がんを実証するデータに注目したい。

有用性がまだ高い

大手製薬会社(本社東京)の話 MMCなどが2次発がんのリスクを持っているのは、学術文献などから報告が相次いでいる。しかし、リスクと抗がんの有用性を照らし合わせると、有用性の方がまだ高いと考えており、最終的には現場医師の判断だと思う。(中日新聞 1999/07/15)

抗がん剤『使用せず』が好成績 5年生存、『使用』上回る
阪大講師・50歳未満手術データ
がん治療に使われている抗がん剤について、大阪大学医学部第2外科の藤本二郎講師が15日に名古屋市内で発表するデータは、その効果に疑問を投げ掛ける結果となっている。
データの一部を例示すると、50歳未満(243人分)の手術から5年後の生存率は、(1)抗がん剤を使用しない場合(サンプル数は122人)が77.1%、同じく10年後の生存率は73.8%だった。これが(2)抗がん剤を使った化学療法をした場合(104人)は5年後が70.2%、10年後は63.5%。(3)抗がん剤と免疫賦活剤を併用した免疫化学療法の場合(17人)は5年後も10年後も、ともに76.5%で、(1)の抗がん剤を使用しない場合が好成績だった。
ただし症例全体(856人)では、(1)のケース(サンプル数487人)で5年後は61.4%(10年後は51.3%)。以下それぞれ(2)(305人)では、63.6%(同54.4%)。(3)(64人)では、71.9%(64.0%)で、全体的には(1)より(2)、さらに(3)の場合が好成績だった。

解析データに問題

愛知県がんセンターの福島雅典内科医長の話 胃がん手術後に使用する、抗がん剤の再発防止効果は現在、研究段階にある。藤本講師の調査は臨床研究として科学的な評価に堪えるものではない。本来、統計的解析の対象にならない過去のごちゃまぜの集団を無理やり解析している。(中日新聞 1999/07/15)

体内ダイオキシン 食物繊維が排出
ラット実験で効果証明
体内に取り込まれる82%以上は食べ物からといわれる猛毒のダイオキシン。しかし最近の研究で、食物繊維や葉緑素が体内に入ったダイオキシンを吸着、便とともに体外に排出させる効果があることが分かってきた。ダイオキシン研究で知られる宮田秀明・摂南大教授は「緑黄色野菜の積極的な摂取を」と勧める。(姫野忠)

食べ物とともに体内に入ったダイオキシンは小腸で吸収され、血液で体の各組織に運ばれ、皮下脂肪、腸間膜脂肪、肝臓、卵巣に多く蓄積される。
しかし「ずっと組織にとどまっているわけではなく、血液で臓器や各組織に再輸送される。例えば肝臓のダイオキシンの一部は胆汁と一緒に十二指腸に排出され、小腸で吸収され、再び入っていく」(宮田教授)という。
「腸肝循環」と言われるが、このためいったん体に入ったダイオキシンは、なかなか体外に排出されない。その蓄積量が半分になるには約5−10年かかるとされ、年齢とともに体内のダイオキシン濃度は高くなる。
この「腸肝循環」を逆手に取ったのが食物繊維による解毒作用。「肝臓から排出されたダイオキシンが小腸で吸収される前に、食物繊維や葉緑素に吸着させ、便と一緒に排出してしまおうというわけです」と宮田教授。

この作用、どの程度の効果があるのだろうか。
福岡県保健環境研究所の森田邦正専門研究員らは、食物繊維を全く含まないえさ(基本食)を与えたラットと、各種の食物繊維や葉緑素を加えたえさを与えたラットのダイオキシンの排出効果を調べた。
表(※江原注:割愛)を見れば効果は明らか。例えばえさにセルロース(食物繊維)を10%加えた場合、基本食を食べたラットに比べ、2.57倍もダイオキシンの排出量が増え、肝臓の蓄積量は84%に減少した。
20%クロレラ(葉緑素を多く含む)を加えたえさを食べたラットの場合、排出量は4.63倍に増え、肝臓の蓄積量は半分以下に激減した。
どの野菜の食物繊維が排出効果が高いかを、ラットの実験で見ると、ペスト3は(1)米ぬか(2)ホウレンソウ(3)ダイコンの葉だった。
排出効果ばかりでない。森田さんらの研究で、食物繊維はダイオキシンを吸着させるので、ダイオキシンの体内への吸収を抑える働きがあることも分かった。
宮田教授は「食物繊維や葉緑素はビタミン、脂肪、コレステロールなどの栄養素も排出するので、成長期の子どもや病後の人には、取り過ぎに注意が必要。過剰摂取を考えると、錠剤やカプセルでなく食物から取ってほしい。生より野菜をゆでたり、おひたしにすると一度にたくさん食べられます」とアドバイスする。
量の目安だが、実験でラットのえさに加えた10%の食物繊推量は人に換算すると、約40グラムに相当する。日本人の現在の平均摂取量は1日当たり推定17−20グラムだが、厚生省は、目標摂取量を20−25グラムとしている。
宮田教授は「まず25グラム前後を目安にしては」と話す。葉野菜は十分水洗いし、土壌を落とし、根菜類は皮をむいて料理するとよいという。(中日新聞 1999/07/16)

ピロリ菌除去 胃がん発生3分の1 動物実験で証明
愛知県がんセンター研究員
愛知県がんセンター研究所第1病理部(立松正衛部長)の清水伸幸研究員(34)は、胃がん発生と深い関係があるといわれているヘリコバクター・ピロリ菌に感染したスナネズミを使った動物実験で、ピロリ菌を除菌すると胃がんの発生が3分の1以下に抑えられることを初めて科学的に明らかにした。16日東京で開かれる「第6回日本がん予防研究会」で発表される。
清水研究員は、発がん物質(MNU)を1週間おきに5回飲料水に混ぜて投与(計30PPM)し、ピロリ菌を感染させたA群、同じ方法で発がん物質を与えた後、ピロリ菌を感染させ、20週目に3種類の抗生物質を使って除菌したB群に分けて胃がんの発生状況を調べた。その結果、除菌しなかったA群では23匹中15匹(65.2%)に胃がんが発生していたのに対して、B群では24匹中5匹(20.8%)と、除菌することによって胃がんの発生を3分の1以下に抑制していることが分かった。
ピロリ菌と胃がんの関係は世界保健機関(WHO)の下郡組織「発がん性を評価するがん研究機関(IARC)」が、胃がん発生の大きな因子と認めていた。しかし、データは胃がん患者にピロリ菌保持者が多いという疫学調査だけで、動物モデルを作ることが難しかったため、実験による研究はなかった。
同第1病理部は信州大医学部第1外科との共同研究で、ピロリ菌に感染した動物モデル(スナネズミ)作りに成功し、ピロリ菌が胃がん発生の促進因子であることを突き止めている。

藤岡利生・大分医科大内科学助教授の話 「ピロリ菌を除菌すると胃がんの発生が大幅に抑制されることが初めて証明された画期的な研究だ」(読売新聞 1999/07/16)

寒天 がん抑制 宝酒造が確認
成分入り清涼飲料 販売を本格化
宝酒造は15日、寒天に含まれる多糖類から生成する「寒天オリゴ糖」に発がん防止効果を期待できることを動物実験で確認、この成分を含む清涼飲料水の販売を本格化することを明らかにした。
寒天と発がん予防についての研究成果は、16日に東京で開かれる日本がん予防研究会で発表する。宝酒造は「まだ動物実験の段階だが、人間のがん予防にも効果が期待できるのではないか」(広報部)と話している。
アガロースと呼ばれる多糖類から構成される寒天は、胃酸で分解され、寒天オリゴ糖(アガロオリゴ糖)などに変わる。宝酒造によると、寒天オリゴ糖の水溶液をマウスに経口投与した場合、「プロスタグランジンE2」などの物質の発生を抑制する効果があったという。ブロスタグランジンは、体内で炎症を起こし、がんの発生過程に深くかかわっているとされている。
宝酒造は寒天オリゴ糖ががん細胞の増殖を抑制する作用があることを動物実験で昨年既に確認している。それだけでなく、今回がん細胞の発生そのものの抑制効果があったことが分かったことから、寒天オリゴ糖関連製品の需要増に期待している。
楠工場(三重県)で寒天オリゴ糖の生産を増やし、これまで主に通信販売で扱っていた清涼飲料水「飲む寒天」を、今後は店頭でも販売する。(中日新聞 1999/07/16)

散歩1時間で脳の老化防止 米の大学教授ら発表
週3回で効果 記憶など改善
【ワシントン28日共同】1回1時間、週3回程度の散歩で老化に伴う脳の衰えを防止できる、と米イリノイ大学のアーサー・クレーマ一教授らが29日付の英科学誌ネイチャーに発表した。散歩の効果が分かったのは、計画力や周囲の状況との協調、行動の抑制、短期的な記憶など、脳の前部がつかさどる機能で、特に老化の影響を受けやすいとされる。
同教授は「だれにでもできる簡単な運動で、衰えを防いだり機能を改善したりすることが可能」と話している。
脳神経の機能は、心拍数を高めて体に多くの酸素を取り入れる有酸素運動で改善することが、動物実験では分かっていた。
同教授らは、60歳から75歳の124人を対象に、有酸素運動の1つである散歩の効果を調べた。半数は、15分程度の散歩から始め、慣れてきたら1時間の散歩を週3回、半年間続けた。残る半数は、酸素の消費が少ない柔軟体操を日課とし、コンピューター画面で自動車を操作するテストなどで、両者の脳の働きを比較した。
その結果、散歩を続けたグループは、注意を車から歩行者に切り替える作業など、脳前部の機能を示す項目に大幅な改善があった。一方、柔軟休操のグループは運動を始める前後で、差はなかった。(中日新聞 1999/07/29)

毎日酒とたばこ 危険度30倍 食道、咽頭がん
10年間の受診者調査 愛知県がんセンター研究員、学会発表へ
毎日酒を飲んでたばこを吸っている人が、上部消化がん(食道がんと咽頭(いんとう)がん)になる危険度は、酒たばこを全くやらない人に比べ30倍近くに達することが、愛知県がんセンター研究所疫学部(田島和雄部長)の嶽崎(たけざき)俊郎主任研究員の研究で明らかになった。同研究員が、食道がん・咽頭がん患者と、同センターで受診したそれ以外の人の生活実態などを調べて分かったもので、9月に広島市で開かれる「日本癌(がん)学会」で発表する。
これまでの欧米での疫学研究では、喫煙、飲酒習慣は上部消化がんの危険因子であることが報告されているが、わが国では研究が少なく、詳細不明な点が多い。
このため、嶽崎主任研究員は、過去10年間にがんセンター病院で受診した上部消化がんと診断された男性患者346人と、がん以外で受診した男性の生活習慣などを詳しく比較し、喫煙と飲酒によって、がんになる危険度を調べた。
この結果、上部消化がん患者の中で、酒も飲まず、たばこも吸わないのに、がんになった患者はわずか3人(0.9%)、たばこだけ吸っている患者は18人(5.2%)、お酒だけ飲んでいる患者は16人(4.6%)。これに対し、毎日酒を飲み、たばこも吸っている人ががんになった人は309人(89.3%)と圧倒的に多い。しかも、そのうち毎日酒を1.5合(約270ミリ・リットル)以上飲むヘビードリンカーで、かつたばこ1日20本を30年以上吸っているヘビースモーカーでは、124人(35.8%)だった。
この結果をもとに、年齢や食生活習慣の影響を統計的に調整、がんの危険度を計算したところ、酒を飲まないヘビースモーカーががんになる危険度は、洒たばこの双方をやらない人に比べて4倍、たばこを吸わないヘビードリンカーは8倍になると分かった』 さらに、過去10年間に同センターを訪れた受診者の中で、酒も飲まず、たばこも吸わない人は977人いたが、このうち、がん患者はわずか3人しかいなかった。これに対し、ヘビースモーカーでかつヘビードリンカーは1416人いたが、がん患者は124人もいた。がん患者比率は0.3%に対し8.75%で、その危険度は約30倍にもなることが分かった。
このほか、生野菜や果物を毎日とると、危険度が半分になることも分かり、嶽崎主任研究員は「上部消化がんを予防するには、過度な飲酒を慎み、喫煙しないことが最も重要」と話している。(読売新聞 1999/08/07)

自分のリンパ球でがん細胞退治 養子免疫療法
21世紀の治療の柱に ネックは保険の適用なし
21世紀は免疫療法の時代かもしれない。アトピーや糖尿病などの病気は、体内の免疫バランスが崩れて起こるケースが多い。ならば自己の免疫力を高めることで、病気を克服しようという研究や臨床が盛んになっている。中でも一部の大学病院が熱心に取り組み始めたのが養子免疫療法(活性化自己リンパ球療法)によるがん治療。今春、日本で初めての免疫専門治療施設が都内に開設された。
東急新玉川線用賀駅から歩いて10分。東京都世田谷区の閑静な住宅街の一角に「瀬田クリニック」(同区瀬田4ノ20、開設者・江川滉二東大名誉教授)がある。
施設には免疫細胞を培養するクリーンルームや研究室、外来の診察室とベッドがあるだけ。入院患者は見当たらない。「患者さんは一般的な治療を他の病院で受け、当院はそれらの協力のもとに免疫治療を受け持ちます」と江川博士。
免疫の基礎医学の研究に携わってきた江川博士は、患者が強い抗がん剤など化学療法の副作用に苦しんでいるのを見かねて、10年余前から免疫療法の研究に従事。その最中の3年前に母を、2年前には兄を共にがんで失った。身内の相次ぐ死をきっかけに4月、免疫治療の施設を開設させた。
「だれの体内にもがん細胞がある。健常人ががんにならないのは、がん細胞を抑制する免疫力が勝っているおかげ。ならば患者が持つ免疫力を高め、がん細胞をやっつけていこうという画期的な治療なのです」
自分の免疫細胞を活性化する治療方法とは−。
まずがん患者から15ccの血液を採取し、この中から1000万個のリンパ球を分離させる。そのほぼ半数がT細胞と呼ばれるもので、がん細胞を異物として見分け、破壊する中心的な免疫細胞だ。
次にT細胞をフラスコに入れ、増殖因子であるタンパク質のインターロイキン2などを混ぜて刺激。約2週間無菌状態で培養すると、T細胞は30億個程度に増える。これを患者の静脈に点滴して体内に戻す。「培養−点滴」は6回繰り返す。
「自分のリンパ球なので発熱しないし、副作用もない。施設開設後、20人余りの患者を治療中。全員に有効とは言えないが、今後がん治療の1つの柱になるだろう」と江川博士。
ネックは、免疫療法は保険の適用が認められておらず、治療費は全額患者負担(120万円)となる点。
がんの免疫治療は欧米の一部医療機関で行われ、東京女子医大や広島大、高知医大などでも始められている。
「未来免疫学」の著書がある安保徹・新潟大医学部教授は免疫の重要性についてこう見通す。
「働き過ぎなどの生活破たんで、リンパ球が減る体質となれば、がんなどの病気の引き金となりやすい。中年になると白血球の分布も変わる。体調を崩したら、正しい日常生活で免疫力を回復することが先決。今後生き方を見直す知恵を授けてくれる身近な免疫学が一層注目されるだろう」(中日新聞 1999/08/18)

チョコレ−トにはカテキンがいっぱい
フラボノイドは、強力な抗酸化作用のある物質群で、その1つであるカテキンは、お茶に含まれている成分として知られる。そのカテキンが、チョコレ−トにもたっぷり含まれていることがわかった。
この研究を行ったのは、オランダの国立公衆衛生研究所の研究者たちで、英医学誌「ランセット」最新号で発表した。
それによると、チョコレ−トに含まれるカテキンの量は、お茶(この場合は紅茶)よりも4倍多く、同じチョコレ−トでも、ミルクチョコレ−トよりも、ブラックチョコレ−トのほうカテキン含有量が多いという。
そして、6250人のオランダ人男女を調べたところ、平均して、カテキン摂取の20%はチョコレ−トから、55%がお茶からとっていたという。
研究者たちは、「お茶を飲む人は、カテキンのおかげで心臓病になるリスクを少なくし、健康維持に役立っているが、チョコレ−トを食べながらお茶を飲むと、それだけ健康度がアップする」とこの論文に書いている。(日経ヘルス 1999/08/24)

カロリー摂取量減らせば長寿? 老化は代謝遺伝子と関連
米教授ら発表
【ワシントン27日共同】老化現象は代謝にかかわる遺伝子の作用と密接な関係があり、栄養バランスを保ちつつカロリー摂取量を抑えれば老化を遅らせることが可能との研究が、27日付の米科学誌サイエンスに発表された。米ウィスコンシン大学のリチャード・ワインドラック教授らの研究で「老化遺伝子」の特定にも道を開いている。
論文によると、生後2カ月目の時点でマウスを2組に分け、同じ栄養配分で一方に通常の量、他方には通常よりカロリーを25−50%減らした量のえさを与えた。2組のマウス群を生後30カ月目で比較したところ、カロリーを減らした方が筋肉組織が若々しく、運動能力も高かった。
さらに若いマウスと老いたマウスについて約6300の遺伝子を比較すると、エネルギー代謝などにかかわる約110の遺伝子の働き具合に差があることが分かった。教授らは、この110の遺伝子の中に老化現象に決定的な影響を持つ複数の遺伝子があるとみている。
研究のスポンサーとなった米国老化研究所のワーナー研究員は「老化を遅らせる薬の開発などの夢に向けた第一歩となる」と話している。(中日新聞 1999/08/28)

老化した脳細胞 遺伝子で若返り サルの実験で成功
米大准教授ら発表
【ワシントン13日共同】神経成長因子の遺伝子をサルの脳内に注入し、老化のため委縮した脳神経細胞を若返らせるのに成功した、と米カリフォルニア大サンディエゴ校のマーク・チューシンスキー准教授らが14日付の米科学アカデミー紀要に発表した。
脳細胞が若返った結果、思考力や記憶力が回復したかどうかの実験は今後行うが、同チームは人間のアルツハイマー病などの治療に応用可能とみて、臨床試験の実施を米食品医薬品局(FDA)に申請した。
同准教授らは、人間なら60−70歳に相当する20歳代のアカゲザルの脳を詳細に調べ、老化の結果、脳の前脳基底核と呼ばれる部分の神経細胞の数が若いサルの60%ほどに減り、大きさも1割程度委縮していることを発見した。
そこで、神経を成長させる効果がある神経成長因子をつくる遺伝子を組み込んだサルの皮膚の細胞を培養して増やし、脳に移植した。すると、約3カ月後には神経細胞の数が若いサルと同等にまで回復、委縮もほぼ解消したことが分かった。
同准教授は「脳の老化を回復できる可能性を示しており、人への応用にも期待が持てる」と話している。(中日新聞 1999/09/14)

攻撃的性格はがんに弱い!? 内向タイプは一層ご用心
免疫細胞の働き弱まり… 国立精神・神経センター研究
怒りや攻撃性が強いタイプの男性はがんを殺す免疫細胞の働きが弱くなる傾向があり、中でも攻撃性を表に出さない人の場合で特に顕著なことが、川村則行国立精神・神経センター室長(心身医学)らの研究で明らかになった。
攻撃的な性格傾向は、欧米では心筋梗塞(こうそく)など冠動脈疾患との関連が指摘されているが、同じ攻撃性でも日本人は内に秘めるタイプが多いのが特徴といわれており、研究結果は日本人のがんとストレスとの関係を考える上で重要なデータになりそうだ。
29日から広島市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。
川村室長らは、愛知県内のある事業所に勤務する40歳から59歳の95人に、攻撃性のタイプや程度を判定する心理テストを実施。この結果と、異物を排除する働きを持つリンパ球の一種で、がん細胞を殺す働きのある「NK細胞」の活性度を比較した。
その結果、攻撃性が低いと判定された36人の活性度は平均56.8%だったのに対し、中程度の40人は同51.9%、高かった19人は同48.6%と、攻撃性が強くなるにつれて細胞の活性は落ちた。
攻撃性を内向させる傾向が強いほど、NK細胞の活性度が低下することも分かった。
NK細胞の活性は、たばこを吸う人の方が、吸わない人より低くなることが分かっているが、攻撃性の強弱による活性度の差もこれとほぼ同じだったという。
対象者の年齢と活性とは関連がなかった。
川村室長は「攻撃性は性格だけでなく、職場環境などで変わる要素が大きい。怒りを抑え込まないようにする職場のメンタルな健康管理が重要だ」と話している。(中日新聞 1999/09/14)

がん浸潤・転移を阻止 『肺』『膵臓』などで効果
新物質開発 阪大研究センター
がんの悪性の特徴となる浸潤と転移をともに阻止する物質「NK4」を、大阪大バイオメディカル教育研究センター腫瘍(しゅよう)生化学研究部の中村敏一教授と松本邦夫助教授らが開発した。動物実験では膵臓(すいぞう)、肺がんなど4種類のがんで効果が確認されており、29日から広島市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。
がんの転移が防げれば、手術で切り取れば済み、画期的ながん治療法に道を開く可能性が出てきた。
松本助教授らによると、多くのがんは体内に広く分布する線維芽細胞に働き掛け、肝細胞増殖因子(HGF)を放出させる。がん細胞表面のレセプターにHGFが結合すると、がん細胞は周辺組織を溶かしながら移動し、浸潤を始める。
研究チームはHGFの構造を解析、がん細胞に結合する部分を複製したタンパク質NK4を合成した。NK4を大量に投与すると、がん細胞のレセプターがふさがれ、HGFが結合できず、浸潤を防ぐことができる。
さらにNK4には毛細血管の新生を妨げる働きも判明。がん細胞周辺に栄養を補給する毛細血管ができないため、成長が抑えられるとともに、血流をたどる転移も防ぐことになる。
ヒトの膵臓がんを移植したマウスにNK4を投与すると、非投与のマウスに比べがんの大きさは30−40%と小さく、腹膜への転移数も10分の1になった。
同様に肺がんでは大きさは30%、転移数は13分の1、乳がんでもそれぞれ約40%、3分の1となり、胆のうがんでは大きさは25%で転移はほぼ抑えられたという。(中日新聞 1999/09/16)

人間の細胞「不老不死」に 遺伝子操作で作る
工技院生命工研など
遺伝子操作によって「不老不死」の人間の細胞を作ることに成功したと、工業技術院生命工学工業技術研究所と広島大の共同研究グループが20日、発表した。細胞は分裂を繰り返して最終的に寿命が尽きるが、細胞の分裂を制御している遺伝子を細胞に組み込み分裂回数を3倍以上に延ばした。細胞は現在も分裂しており、「不死身」の細胞ができたとしている。半永久的な使用ができる人工血管や人工臓器の開発に道を開く成果という。
この細胞を作ったのは生命工学工業技術研の三井洋司首席研究官と広大医学部の井出利憲教授らのグループ。人間のへその緒の血管から分離した血管内皮細胞に、細胞分裂の機能を維持する「テロメラーゼ酵素」の遺伝子と細胞増殖を促す「T抗原遺伝子」という2種類の遺伝子を組み込んだ。
血管内皮細胞は通常65回程度しか分裂しないが、遺伝子を組み込むと200回以上分裂を繰り返し、まだ分裂を続けているという。これまで分裂回数を3割程度延ばした実験はあるが、人為的にこれほど長い間分裂を持続できたのは初めて。人工臓器開発のほか人間細胞を移植する医療分野への応用が期待できるとしている。(日本経済新聞 1999/09/21)

米の新薬モノクローナル抗体 悪性リンパ腫狙い撃ち確認
再発患者61%『有効』 国立がんセンターなどで臨床試験
がんの1つである悪性リンパ腫(しゅ)の約7割を占めるBリンパ腫の治療に、特定の細胞だけを標的にして狙い撃ちする新薬のモノクローナル抗体が高い有効性を示すことが、国内の臨床試験で確認された。
米国の製造企業からライセンスを受けた全薬工業(東京)が、抗体の輸入承認を今月中旬、厚生省に申請。早ければ1、2年で国内販売が始まる見通しだ。
今夏からはこれまでより悪性度の高い症例などへの新たな試験も始まり、がんの「ミサイル療法」とも呼ばれるモノクローナル抗体治療は新段階に入った。
国内での臨床試験の中心になっている飛内賢正・国立がんセンター中央病院内科医長が、29日から広島市で開かれる日本癌(がん)学会で報告する。
モノクローナル抗体は、特定の抗原だけに結合する1種頬の抗体タンパク質。人体で効果を持続させるため、マウスとヒトの遺伝的性質を併せ持ったキメラ型抗体が米国で開発されたのを機に治療成績が向上し、欧米では既に販売されている。
飛内医長らは1997年以降、悪性度の低いBリンパ腫の再発患者61人に週1回で4週間投与。リンパ腫の症状が消えた14人を含め、61%に当たる37人が「有効」と判定された。
発熱や悪寒などの副作用が一部の患者で認められたが、通常の抗がん剤より安全性は高かった。
7月からは、中悪性度の再発患者に対する投与と、低悪性度で初発の患者に抗がん剤とモノクローナル抗体を併用する2つの臨床試験がスタートした。
飛内医長は「治療薬としてのモノクローナル抗体の改良が進んだことなどが好成績につながったと考えられる。投与する患者を適切に選べば安全かつ有効な治療で、患者にもたらす利益は大きい」と話している。(中日新聞 1999/09/24)

ぼうこうがん 乳酸菌が抑制 習慣的摂取で発症半減
東大教授が調査
乳酸菌が、ぼうこうがん発症の危険性をほぼ半分に抑えるという疫学調査の結果を、東京大大学院医学系研究科の大橋靖雄教授(生物統計学)が1日、広島市で閉幕した日本癌(がん)学会で発表した。
調査は、全国7地域の病院のぼうこうがん患者180人と健康な人445人を対象に、10−15年前の食生活をアンケート。
性別や年齢などの条件が同じになるように統計的に処理した場合、乳酸菌飲料やヨーグルトを月に3回以下しか取っていない人がぼうこうがんを発症する確率を1とすると、週に1、2回の人は0.46、週に3回以上の人は0.61で、習慣的に摂取していた人は発症の危険性が半分前後という結果が出た。
統計的には、週1、2回と過3回以上との間には有意な差はないという。
大橋教授は「がんの抑制効果が知られているほかの食物でも、せいぜい30%抑えるのが限度で、半分とは驚異的。乳酸菌が発がん物質の活性化を抑えたり、免疫を維持したりするためではないか」と話している。(中日新聞 1999/10/02)

緑茶でがん予防薬増強 埼玉県立がんセンター
埼玉県立がんセンター研究所は、緑茶成分に大腸がんの予防薬の働きを強める作用があることを発見した。大腸がんのモデルマウスに緑茶から抽出した成分と大腸がん予防薬を同時に与え、発生する腫瘍(しゅよう)の数が予防薬のみの場合に比べて約22ポイント低い、約44%に抑えられることを確かめた。予防薬の副作用を強める働きはなく、人間でも1日に8杯程度の緑茶を飲めば同様の効果が期待できるという。
実験では、がん抑制遺伝子に突然変異があり腸管内に多数のがんができる生後6週目のマウスを使った。緑茶の抽出成分と、大腸がん予防薬「スリンダック」を0.03%含んだえさを10週間与え続け、直径0.4ミリ以上の腫瘍の数を計測した。
緑茶抽出成分も予防薬も与えないグループで平均73個の腫瘍ができたのに対し、同時投与群では同32個に抑えられていた。(日本経済新聞 1999/10/02)

動脈硬化、緑茶で防ごう 心臓血管病に効果
東北大教授ら米誌に発表
【ワシントン12日共同】緑茶の中の成分に動脈硬化などの心臓血管系の病気を防ぐ効果があるらしいとの研究結果を東北大の宮沢陽夫教授らがまとめ12日、米農業食品化学誌に発表した。
宮沢教授らが調べたのは緑茶の中の渋み成分であるカテキンと呼ばれる化合物。緑茶約2杯に含まれるのと同量のカテキンを錠剤にして18人に飲んでもらい、効果を調べた。
その結果、カテキンを飲んだ後、血液中にカテキン成分が検出されるようになる一方、血液中のリポタンパク質が酸化されてできる成分が減少。カテキンにリポタンパク質の酸化を防ぐ抗酸化効果があることが分かった。
リポタンパク質の酸化は、動脈硬化や心臓血管病につながることから、緑茶を飲み続けることで、これらの病気になる危険を減らせると考えられる、という。
カテキンに抗酸化作用があることは既に指摘されていたが、同教授らは「血液中のカテキン濃度とリポタンパク質酸化との関係を測定して示したのは初めて」としている。(中日新聞 1999/10/13)

VC スポーツ選手の「守護神」
抗酸化で病気を予防 厚生省、所要量を倍増
やっと涼しくなって、体を動かすのが美しい季節になりました。これから、スポーツを始めようとするなら、ビタミンC(VC)を十分にとって下さい。生活習慣病を防ぐ効果も最近、注目されています。(鍛治 信太郎)

東京都港区でスポーツ外来などのクリニックを開いている平石貴久さんは1996年初め、サッカーJリーグの柏レイソルのチームドクターになった。それから、選手の栄養指導では、特にビタミンCをたくさん取ってもらうよう心掛けてきた。
選手は試合の前後とハーフタイムに「スペシャルドリンク」を飲む。ビタミンCが多いアセロラ果汁をベースにハチミツ、重曹、水、氷などを混ぜ、汗と同じ浸透圧にしてある。
ビタミンCは、筋肉を骨に結合させているコラーゲンができるのにかかわっている。「たくさん取ることで、ひざのじん帯や筋肉のけんが強くなる。チームドクターになった時には、11人がけがで入院していた。今はけが人も減り、1人1人の調子が上がっている」と平石さん。チームは6日、初のナビスコ杯決勝進出を決め、第2ステージも現在3位と好調だ。
大量摂取とじん帯やけんの強さとの関係は科学的に証明されたとはいえないが、最近、スポーツをする人はしない人に比べ、ビタミンCを多くとった方がいいという研究結果が発表されている。
国立健康・栄養研究所の樋口満健康指標研究室長は、大学生で、普通の人とトライアスロンの選手のビタミンCの摂取量を比べた。8人ずつの平均で、普通の学生は1日69ミリグラムだったが、選手は倍以上の151ミリグラムだった。ところが、血液100ミリリットルあたりの濃度は、普通の学生が1.1ミリグラムで、選手は厚生省が今年6月に改定した「日本人の栄養所要量」で基準にしている0.7ミリグラムぎりぎりだった。

運動で消費増

どうして、選手の濃度の数値が低くなったのか。
運動する時には、酸素を大量に吸い込む。すると、細胞や遺伝子を傷つけやすい形の酸素が増え、がんの引き金になったり、老化を促進したりする。ビタミンCはこの酸化を防ぐために働く。運動量が多いスポーツ選手ほど、ビタミンCの消費量が多くなる。樋口さんは「スポーツをする人は1日、150−200ミリグラム程度取った方がいいのではないか」と指摘する。
一方、改定された栄養所要量では、ビタミンCの所要量が、18歳以上で1日50ミリグラムから100ミリグラムに増えた。どれぐらい取るべきかは取材した専門家によって意見が違っているが、100ミリグラム以上という点では一致している。
所要量の決定に協力したお茶の水女子大学生活環境研究センターの倉田忠男教授は「増えた理由は、ビタミンCに関する考え方が変わってきたため」という。体内の酸化物が糖尿病や高血圧など様々な生活習慣病にも関係していることがわかり、ビタミンCの役割が重視されるようになったのだ。

食事でが基本

倉田さんたちは、様々な文献を調べ、血液100ミリリットル当たり0.7ミリグラムという濃度を基準にした。これは、健康な日本人の平均的な値で、この濃度を保つには1日100ミリグラム必要とした。
実際の摂取量はどうか。約1万3000人を調べた一昨年の国民栄養調査では、1日約135ミリグラムと一応、所要量を超えている。だが、佐賀大学農学部の村田晃学部長は、「調査はミカンなどが出回り、12月についでビタミンCがよく取れる11月にある。調理で損失する分も差し引かれておらず、実際に口に入る量は50ミリグラム程度」と指摘する。
国民栄養調査によれは、ビタミンCの約半分を野菜、約3割を果物、約8%をいも類でとっている。錠剤などで取ればいいと思っている人がいるが、食事から取るのが基本だ。果物や野菜には、ビタミンCと同様に酸化を防ぐ抗酸化作用を持つビタミンEやベータカロチンなどが含まれている。体内の抗酸化作用はこれらが協力して働いている。ほかのものが足りないとビタミンCの消費が激しくなり、作用を十分に発揮できない。
ビタミンCは熱に弱く、水に溶けて流れやすいから、調理に工夫が必要だ。果物や野菜は切って組織が壊れると特に流れ出しやすいから、切った後は水に長くさらすようなことは止めた方がいい。

上限はないが

また、サツマイモやジャガイモなどいも類は焼いたり、蒸したりしてもあまりビタミンCが減らない利点がある。女子栄養大学の吉田企世子教授の調査では、ホウレン草を5分ゆでるとビタミンCは60%失われるが、ジャガイモは40分蒸しても26%しか減らなかった。
改定された栄養所要量は、摂取量の上限を決めていない。体内でビタミンCが多くなりすぎると尿中に排出されるので、取りすぎても通常、害はないとされ、人間に1日1000ミリグラム以上与えても悪影響がなかったという実験報告がある。
それでも、倉田さんは、「ビタミンCに限らず、何でも大量に取りすぎるのは勧められない」と、ビタミンCの製剤を一度に何十錠も飲むことなどは控えた方がいいという。食事から取っていれば、心配はないそうだ。

○ビタミンCが多い食べ物の例

アセロラ
グアバ
パセリ
赤ピーマン
ブロッコリー
黄ピーマン、芽キャベツ
ニガウリ
シシトウ、レモン
ピーマン、イチゴ、キウイ

1700
270
200
170
160
150
120
90
80

単位ミリグラム[食べられる部分100グラムあたり](科学技術庁資源調査会編「四訂、五訂日本食品標準成分表」による)(朝日新聞 1999/10/18)

遺伝子治療 子孫に遺伝 米ラット実験で確認
人間でも可能 論議必至
【ワシントン12日共同】高血圧を予防する遺伝子治療の実験で、親ラットに組み込んだ遺伝子が子供や孫にも伝わることが、米フロリダ大の研究で分かった。12日付の米医学誌サーキュレーション・リサーチに掲載された。
遺伝子治療の実験で、組み込まれた遺伝子が子供や孫にまで働くことが確認されたのは初めて。人間に利用した場合、生まれてくる子供に対する遺伝的な改造も可能になることを示したことから、今後遺伝子治療の在り方をめぐって、大きな論議を呼びそうだ。
同大のフィリス・リーブス博士らは、高血圧になる系統のラットを使って予防の遺伝子治療を試みた。
生体内で血圧を上げる効果があるアンジオテンシンという物質に着目。この物質が作用する受容体が細胞表面に形成されないようにする遺伝子を、構造の一部を変えたウイルスに組み込んだ上、生後5日のラットの心臓内に注入した。
100日後、ラットを調べると高血圧は起きておらず、1回の遺伝子治療の効果が永続することが分かった。
しかし、治療を受けたラットのペアから生まれた子や孫も高血圧にならないことが判明。DNA分析の結果、治療に使った遺伝子が子孫に伝わっていることが分かった。ウイルスが治療の目的とする細胞だけでなく、生殖細胞にも遺伝子を組み込んだ可能性が高いという。
同博士らは、高血圧を永続的に防ぐ治療法となる可能性を示す実験とする一方「遺伝する可能性が示された以上、今後すべての遺伝子治療について、子孫に影響が伝わるかどうか注意深く検討する必要がある」と指摘している。(中日新聞 1999/11/13)

麦茶に血流促進効果? カゴメ総研、農水省と共同研究
麦茶を飲むと血がサラサラになる? カゴメ総合研究所は19日、農林水産省食品総合研究所との共同研究で、麦茶の飲用で血液が流れやすくなる効果が期待できることを確認した、と発表した。
研究は同社製の麦茶250ミリリットルを飲んだ男性5人から飲用前と飲用1時間後に採血し、シリコンチップ上に直径0.006ミリの疑似毛細血管を設けた特殊な血液流動性評価装置を使って調査した。この装置に採取した血液を流して測定した結果、装置内のある通過点を0.1ミリリットルの血液が流れるまでの平均所要時間が飲用前は40.3秒だったのが、飲用後には36.8秒に速まるデータが得られた、という。
水を飲んで同様の測定をした場合は飲用の前後で変化がなかったことから、両研究所では、麦茶に含まれる何らかの成分が血液を流れやすく作用(血流促進効果)しているのではないか、とみており、今後、さらに研究を進めていく同社によると、麦茶の血流促進効果が本格解明されるのは初めてという。(中日新聞 1999/11/23)

脳細胞内カルシウム放出抑制 頭良いマウスに
痴ほう症治療に応用も 東大教授らグループ
細胞の内部でカルシウムを放出する遺伝子を欠損させたマウスは頭が良くなることを、御子柴克彦東大教授(兼・理化学研究所グループディレクター)ら科学技術振興事業団のグループが初めて見つけ、24日発行の米医学誌ニューロンに発表した。
脳細胞内部のカルシウム放出を抑えると、頭が良くなることを示したもので、将来は痴ほう症などの治療にもつながる成果だ。
細胞内のカルシウムの濃度は外部の1万分の1しかないが、時々急激に増えてさまざまな生理作用をする。濃度を高めるには2通りある。外からの流入と、細胞内の貯蔵庫の小胞体からの放出だ。
研究グループは、脳の海馬と呼ばれる領域が学習に関係していることに注目。脳細胞の小胞体からカルシウムを放出する遺伝子を欠損させ、細胞内にカルシウムが出ないようなマウスをつくった。
このマウスの海馬細胞は電気生理的な解析で、神経線維の間の伝達効率が高まった。
実際の学習能力を見るため、小さなプールで泳がせて、水に沈んだプラットホームを探す水迷路実験をした。この遺伝子欠損マウスは、周りの空間からプラットホームの位置を記憶していて、いち早く探しだし、正常なマウスより頭が良いことが分かった。(日本経済新聞 1999/11/24)

喫煙者のがんに効くビタミンE
血液中のビタミンEの濃度が高いと、喫煙者が肺がんになる危険が減る。米国立がん研究所のカレン・ウッドソン博士らはそんな報告を同研究所ジャーナルに発表した。
フィンランドの50−69歳の男性喫煙者約2万9000人を対象に調査。1日当たりビタミンEの一種アルファトコフェノール50ミリグラムと緑黄色野菜に含まれる色素ベータカロチン20ミリグラムを5−8年間飲んだグループと、どちらも飲まないグループに分けて比べている。
それぞれグループに属する人たちの血液中のアルファトコフェノールの濃度を調べた。その結果、アルファトコフェノールの濃度が高い人は低い人より肺がんになる危険率が19%低かった。とくに、60歳未満の人や喫煙期間が40年未満の短い人の方が、濃度の高まりと肺がんの危険の低下との関係が強かった。ウッドソン博士らは、しゅよう形成の初期に高濃度で存在すれば、肺がんの進行をくい止めるとみている。
ビタミンEやベータカロチンは、がんの引き金になる体内での酸化反応を抑える抗酸化作用がある。(朝日新聞 1999/11/28)

女性ホルモン・エストロゲン アルツハイマー病に効果
女性ホルモンの1つ「エストロゲン」がアルツハイマー型痴ほう症(アルツハイマー病)の予防や症状の改善に効果があることが分かってきた。専門医も「エストロゲンの持つ気分を明るくする抗うつ作用も、うつ状態になりがちなアルツハイマー病の女性の日常生活にプラスに働くようだ」と話している。
「記憶力が落ちた」「物忘れする」など短期の記憶障害を中心とするアルツハイマー病は、女性が閉経を迎えるころから増加。発症比率は、男性1に対し女性1.7から2。平均寿命で世界のトップを行く日本女性にも無関心ではいられない。
エストロゲンがアルツハイマー病に効く、との臨床試験の報告が世界で初めて出たのは、1986年。その後、欧米や国内からも報告が続き、最近の米国の疫学調査では、閉経後に1年以上エストロゲンをのんだ女性は、80歳でもほとんどアルツハイマー病にならない、とのデータも出ている。
しかし最初からこうだったわけではない。10月に横浜で開かれた国際閉経学会のシンポジウム「アルツハイマー病の新局面」で議長を務めた本庄英雄・京都府立医大教授(産婦人科)は86年の報告を読み、アルツハイマー病の女性と同世代の病気でない女性のエストロゲンを測定した。その結果アルツハイマー病の女性の数値が低く、ホルモンの欠乏状態だった。
高齢女性では大きな手術を受けた後に、軽度のぼけ症状が出ることがある。そこで「エストロゲンを効かせたい」と、胃の手術後の70代の女性に、エストロゲンをのんでもらったところ、痴ほうを調べるテストの点数が上がった。
一方アルツハイマー病の女性に、エストロゲンを若い女性とほぼ同量与えたところ、6週間で7人中6人の痴ほう症状に改善が見られた。高齢者向きに薬の量を半分にしても、同様にテストの成績は向上した。
「息子の顔は分かるが、夫の顔は分からなかった女性が、エストロゲンをのんで3週間ほどで、夫の名前を呼んだり、化粧をして買い物に行く。うつ状態だった女性がムードが明るくなり、問題行動も減るなど、家族にも喜ばれることが増えた」と本庄教授。
「なぜ効くのか」の解明も進んでいる。
濁協医大の大蔵健義教授によると、エストロゲンの投与で脳の血流は10−20%増える。本庄教授のウサギの実験では、脳の中枢神経の情報を伝える物質、アセチルコリンの代謝が、エストロゲンによって活発になることが確かめられた。
また中枢神経の働きを支援するグリア細胞は、培養液のエストロゲンの濃度を上げると、働きの強い細胞が増え、こうした働きが総合的に脳の機能を助けると考えられている。
しかし問題もある。エストロゲンをのみ続けると、7−8割に性器出血がみられ、子宮がん予防のため併用する黄体ホルモンで、気分がうつになる人もいる。「エストロゲンが効果を発揮するのはアルツハイマー病の初期から中等度まで。予防を含め賢く使ってほしい」と本庄教授は話している。

<アルツハイマー病> 老年期痴ほうの1つだが、最近は若年性のものも。脳出血や脳血栓で起こる脳血管性痴ほうとは区別。20年ほど前から、閉経ごろから女性に増えることが知られてきた。(中日新聞 1999/12/17)

食中毒撃退に紅茶いかが ボツリヌス菌の毒素を“中和”
紅茶に含まれているテアルビジンという物質が、神経まひを引き起こす猛毒の食中毒菌、ボツリヌス菌の毒素を中和する作用を持つことを、帯広畜産大学の西村昌教授(家畜薬理学)の研究グループが発見した。同菌による食中毒では死者が出ることもあり、西村教授は「食品加工分野に応用すれば、中毒の発生を未然に防ぐことができる」と話している。
同菌の毒素と紅茶の残り汁をネズミに投与したところ、ネズミが死ななかったことがあり、本格的な研究に取り組んだという。その結果、紅茶の液体の中から抽出した、紅茶の褐色色素成分のテアルビジンが有効と分かった。中和作用が働く混合比は実験条件で異なるが、毒素の4倍のテアルビジンを投与したところ、ネズミは死ななかった。
西村教授は「破傷風菌の毒素にも有効なのが確認された。感染が疑われる部分を切開して洗浄することで、毒素の中和を図ることも可能だ」と、医薬品としての利用も可能だとしている。(中日新聞 1999/12/21)

軽い飲酒が脳卒中を予防する──2万人調査でわかる
ワイン、ウイスキ−、日本酒、ビ−ル──晩酌にほんの1杯ほど飲む人は、全く飲まない人よりも、脳卒中にかかるリスクが20%も少ないことが、2万2000人の男性を対象にした調査でわかった。
調査を行ったのは、ボストンにあるブリガム女性病院(ハ−バ−ド大学関連病院)の疫学者、ジュリエ・バ−ニングらで、その結果は、11月18日発売の米医学誌「ニュ−イングランド・ジャ−ナル・オブ・メディスン」に掲載された。
この調査の対象者は、40歳から84歳までの男性の医師で、1982年から12年間追跡調査した。この間に679人が脳卒中になったが、脳卒中と各人の飲酒の習慣との関係を分析して、結論が得られた。
それによると、飲酒の脳卒中防止の効果は、1週間にカクテル1杯飲むだけでも、はっきりと現れる、という。
また、この調査は男性を対象としたが、女性についても同じことが言えるだろう、と研究者たちは言っている。ただし、飲みすぎは良くないことは言うまでもない、という。
飲酒が脳卒中にいいのは、アルコ−ルが血液中の善玉コレステロ−ル「HDL」を増やし、血管のつまりを取り除いて、血管をきれいに掃除してくれるからではないか、と研究者たちは見ている。(日経ヘルス 2000/01/07)

ブロッコリ−、キャベツが前立腺がんを予防
ブロッコリ−やキャベツなど、アブラナ科の野菜をふんだんに食べる人は、前立腺がんになるリスクが半分になる、ということが、米シアトル地区で行われた疫学調査の結果わかった。この研究は、1月5日付けの「米がん研究所報」(Journal of the National Cancer Institute)に掲載された。
それによると、この調査は、シアトルにある「フレッド・ハッチンソンがん研究センタ−」(Fred Hutchinson Cancer Research Center)が行ったもので、40歳から64歳までのシアトル地区に住む男性1230人を対象に実施された。
対象者の半数は、これまでに前立腺がんと診断されたことのある人たちで、残りの半数は、病気の有無にかかわらずランダムに選んだ。
その結果、一日に野菜を3カップ以上食べている人は、1カップ以下の人よりも、前立腺がんになるリスクが48%小さいことがわかった。
さらに詳しく調べると、野菜の中でも、ブロッコリ−、芽キャベツ、ザウア−クラウト(キャベツの薄塩漬け)、コ−ルスロ−(キャベツのサラダ)を多く食べている人に前立腺がんが少なかった。つまり、アブラナ科(十字花科)の野菜にがん予防効果が大きいことがわかった。
野菜をふんだんに食べると、がんの予防に役に立つのはなぜか。その理由についてある科学者はこう説明している。一般に、植物は、自らの防衛のために、毒性の化学物質を含んでいる。これを人間が食べると、これらの物質の解毒のために体内の酵素が活性化する。この活性化した酵素が、体内に存在する発がん性物質の作用を抑えるからだ、という。(日経ヘルス 2000/01/21)

ピロリ菌減らす乳酸菌「LG21」 東海大など突き止める
ヨーグルトにまぜ商品化へ
東海大と明治乳業などの研究グループは、特定の乳酸菌に、胃かいようなどの元凶とされるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)を減らす作用があることを突きとめ、27日発表した。明治乳業は3月末にも、この乳酸菌を加えたヨーグルトを発売する予定。
研究グループは、胃の中にピロリ菌がいる29人に対し、「LG21」という乳酸菌を配合したヨーグルト90グラムを1日2回、8週間食べてもらった。
その結果、26人でピロリ菌が減少。このうち3人は、菌が消失した。また胃粘膜の荒れも改善されていた。さらに6人について内視鏡検査したところ、菌は10分の1から100分の1に激減していた。
現在、医療機関では、抗生物質など3剤を使ったピロリ菌の除菌治療が行われているが、大量投与が必要。このため、抗生物質の副作用や、耐性菌が現れるなどの問題点がある。健康保険も適用されていない。
研究グループの古賀泰裕・東海大教授(感染症学)は「乳酸菌は安全性も高く、耐性菌も生じないだろう。ただし、完全に除菌できるとはいいきれないので、胃かいようなどの『治療』ではなく、『予防』効果のある食品として期待できる」と話している。(読売新聞 2000/01/28)

ビタミン、C+Eの補充がストレスに効果
酸化作用、協力して防ぐ
ビタミンCとEの補充でストレスによる体への悪影響を防ぐことができる──昭和大学医学部の研究グループによるマウスの実験で、そんな結果が出た。さまざまなストレスで活性酸素ができ、遺伝子が傷つけられたり、酸化作用の強い過酸化脂質などが生じたりする。これががんをはじめ多くの病気の原因の1つになるとみられている。CとEはこのようなメカニズムに対抗する役目を果たしているようだ。2日発売の医学誌「あたらしい眼科」に発表された。
同大医学部の浅野和仁講師らは、マウスにストレスを与え、過酸化脂質の量が眼球の中でどう変わるかを調べた。
過酸化脂質は細胞膜などが酸化されてでき、動脈硬化の発病や悪化に深く関係しているといわれる。人間でもストレスが高まると増加する。
実験では、縦に置いたプラスチックの管にマウスを入れて身動きのできない状態にし、首のあたりまで水につけた。8時間このようなストレスを加えると、過酸化脂質の量が普通のマウスの1.7倍に増えた。逆にCの量は約半分に減った。

●消費が急増

人など少数の例外を除き、マウスを含むほ乳動物は体内でCをつくることができる。実験では、強いストレスでCが大量に消費され、生産が追いつかなくなったと考えられる。
同じ条件のストレスを与える30分前にビタミンC2.5ミリグラムを注射しておくと、過酸化脂質やビタミンCの量は普通のマウスと変わらない状態が維持された。
また、活性酸素が増えやすい100%酸素中で飼う実験をした。48時間たつと、空気中で飼った場合に比べて過酸化脂質の量が1.6倍、ビタミンCの量が約半分になった。マウスを酸素中に入れる4時間前にビタミンE1ミリグラムを注射しておくと、過酸化脂質の増加やビタミンCの減少はほぼ抑えられた。Eは体内でつくることができない。
普通の状態のマウスにCやEを注射してもCの含有量は増えないから、ふだんはCは体内で飽和状態になっていると考えられる。

●体内で分業

体内にある酸化力の強い活性酸素は必要な物質だが、ストレスなどで増え過ぎると悪影響が出る。ビタミンCとEは活性酸素をなくしたり、酸化を防いだりする抗酸化作用がある。水に溶けやすいCは水のあるところを担当し、脂になじみやすいEは細胞膜などで働く。

●人間は深刻

また、Cは、抗酸化作用発揮して機能を失ったEを元に戻したり、ストレス対抗ホルモンの材料になったりすることが知られている。
Cをつくれない人、サル、モルモットなどは、個体の条件をそろえることが難しく、Cの投与とストレスの関連実験はほとんどないという。
浅野さんは「もし、人間が日常生活で受ける程度のゆるやかなストレスを与えれば、マウスは自分でつくるビタミンCだけで対抗できるかもしれない。だが、つくれない人間は食物などでCを追加する必要があるだろう」と話す。(朝日新聞 2000/02/04)

熟睡も長寿の秘けつ 佐敷、国の機関など調査
質の良い睡眠が長寿の秘けつではないか。佐敷町健康課と国立精神・神経センター精神保健研究所の老人精神保健研究室(千葉県)、琉球大学教育学部生涯健康基礎学講座の三者が一体となって、佐敷町在住の60代から90代の高齢者を対象に、睡眠と健康の調査を実施している。沖縄の食生活と長寿に関する研究は数多いが、「睡眠の状態」に着目した研究は新しい試み。同センターの田中秀樹博士(34)は「質の良い睡眠をとっている沖縄の高齢者の生活習慣を明らかにし、具体的な方策を探ることは、これからの高齢社会を考える上でも全国への良い見本を示すことになるのでは」と話している。
調査は一昨年6月、佐敷町に住む約800人の高齢者を対象に行われ、睡眠が良好な人は、精神的・身体的にも健康なことが明らかになった。
さらに、生活習慣や睡眠の状態について、東京と沖縄でそれぞれ約300人の高齢者を対象に調査したところ、「睡眠のことで困っている」「夕方以降の居眠りがよくある」という回答が、沖縄は圧倒的に少なかった。また生活習慣として、短い昼寝や夕方の運動が習慣化している人が東京に比べ多いことも分かった。
佐敷町では引き続き、睡眠状態が良好な人とそうでない人各9人に協力してもらい、全員に寝ている時の微動も感知する腕時計用の機器・アクチグラム(活動量計)を1週間連続して着用させ、昼と夜の活動量を調べた。
その結果、睡眠状態が良好な人は、夜中に目が覚めることは少なく、活動量も高かった。
田中博士は「30分ほどの昼寝と夕方の軽い運動が、夜の質の良い睡眠を促し、また翌日起きている時に意欲がわいてくるという良い循環ができている」と説明する。
運動は器具を使わず手軽にできる体操が基本。調査に協力している吉田トモさん(84)は「運動と昼寝を取り入れるようになって、朝の目覚めも良く、体が軽く感じるようになった」と話す。2月下旬に改めてアクチグラムを使用し、睡眠状態の違いを確認する予定。
佐敷町健康課の高江洲順達課長は「高齢者の健康について、睡眠も重要であることが分かり、生活習慣の見直しを多くの町民に呼び掛けていきたい」と話している。(琉球新報 2000/02/14)

乳酸菌・LG21入りヨーグルトにピロリ菌殺菌作用
東海大などのグループが実験 ピロリ菌退治に光
乳酸菌「LG21」入りヨーグルト、保菌者の実験で効果確認

乳酸菌の一種「LG21」に、胃かいようや胃炎の元凶とされるピロリ菌を殺菌する作用があることを、東海大医学部と明治乳業、わかもと製薬の共同研究グループが突き止めた。明治乳業は3月末にLG21入りのヨーグルトを発売する。
研究グループの古賀泰裕・東海大教授(感染症学)らは、ピロリ菌保菌者30人を対象に実験。LG21を配合したヨーグルト90グラムを1日2回、8週間食べてもらった結果、26人でピロリ菌が減少し、うち3人は菌が消失していた。胃粘膜の荒れも改善していた。6人に行った内視鏡検査では、ピロリ菌数が10分の1から100分の1までに激減していた。LG21が出す乳酸にピロリ菌を殺す作用があるためという。
ピロリ菌は国内で6000万人が感染しているとされ、胃がんとの関連も指摘されている。抗生物質の大量投与による除菌治療が行われているが、副作用や耐性菌を生み出すなどの問題があるほか、健康保険が適用されないため費用もかかる。
古賀教授は「乳酸菌は副作用の心配がなく安全。ピロリを完全に除菌できるとは言い切れないので、治療薬というよりは予防目的の食品として高い効果が期待できる」と話している。【菊地正太郎】 (毎日新聞 2000/02/15)

術後の抗がん剤治療 2次がんを誘発
胃がん患者対象に追跡 阪大講師
胃がんの手術後に抗がん剤治療を行うと、新たながん(2次がん)の発生率が高まることが、大阪大医学部の藤本二郎講師(外科)の調査で分かり、19日、新潟市で開催中の日本胃癌(がん)学会で発表される。がん治療の成績向上で、元のがんが治った後の新たながん発症が増えており、抗がん剤治療のあり方を巡り論議を呼びそうだ。
阪大では、1975年から81年まで、比較的早期の胃がん患者159人を対象に、手術だけを行う場合と手術後に抗がん剤治療を行う2グループに無作為に分け、治療効果を比べる臨床試験を実施。5年後の患者の生存率は、それぞれ76%、74%で同等だった。
さらに昨年まで18年以上、調査を続けたところ、白血病や肺がんなど2次がんの発生率は、手術だけの場合の6%に対し、抗がん剤治療を行った場合は16%と高かった。
使用した抗がん剤は、胃がんの手術後によく使われるマイトマイシンCと、フッ化ピリミジン系と呼ばれる薬剤。このうちマイトマイシンCは、世界保健機関の下部組織、国際がん研究機関が「発がん性の可能性がある」としている。
藤本講師は「抗がん剤の発がん性が示された。比較的早期の胃がんは、手術後に抗がん剤を使っても治療成績が良くならないのに、2次がんは増えるので、使用しない方がよいのではないか」と話している。
また、大阪府立成人病センターなど7施設が、共同で計約570人に同様の試験を行い、8年間調査したところ、2次がん発生率は、手術後に抗がん剤治療をした場合、手術だけの時の1.6倍だった。ただ統計上、意味のある差ではなかった。この結果も含めて、同学会で討論する。(読売新聞 2000/02/18)

リンゴを食べると、肺が丈夫になる ケルセチンが肺活量を増やす
日本では、「医者を殺すにゃ刃物はいらぬ。1日1個の梅干しを食べればいい」などというが、西洋では、「リンゴが赤くなると医者が青くなる」ということわざがある。
リンゴが、いわば健康のシンボルになっているのだが、1月19日発行のイギリスの医学誌「胸郭」(Thorax)に、リンゴを1日1個食べる人は、肺の機能が強いことがわかった、との研究論文を掲載した。
研究を行ったのは、ロンドンにあるセント・ジョ−ジズ病院の医師たちで、45歳から59歳までのウエ−ルズ人2500人に、日常の食習慣を詳しくたずね、これを5年にわたって記録し、その5年後に、1秒間にできるだけ息を吐かせて呼気の量を測定した。
その結果、この年齢層の人の肺活量は平均4000mlだが、リンゴを良く食べている人では、食べていない人よりも、138ml多かった。すなわち、リンゴ愛好家は、呼吸に障害が少なく、肺の機能が丈夫であることわかった、という。
肺が丈夫になるかどうかの違いは、一週間にリンゴを5個以上食べるかどうかが境だ、と研究者たちは言っている。
では、リンゴがなぜ呼吸を楽にしているのか。その理由ははっきりわかっていないが、研究者たちは、リンゴに含まれる抗酸化成分であるケルセチン(quercetin )が働いて、排気ガスやタバコの煙から、肺を保護しているからではないか、と見ている。
ケルセチンは、タマネギ、茶、レッドワインにも含まれている。
この研究では、同じ抗酸化作用のあるビタミンEについても調べた。その結果、ビタミンEの摂取が多い場合でも呼吸機能が強化されることがわかったが、その効果はリンゴほどではなかったという。
また、やはり抗酸化剤として知られるビタミンC、βカロチン(ビタミンA)、柑橘類、フル−ツジュ−スについても調べたが、これらの摂取量と呼吸器機能改善との間には関係は見られなかったという。(日経ヘルス 2000/02/18)

楽観主義者は長生き──メイヨ−クリニック研究
何事にも明るく応じ物事を楽観的に見る人は、不平が多く将来を悲観的に見る人よりも、19%長生きする、と、メイヨ−クリニック(米ミネソタ州)の研究者たちが報告した。
この研究所の心理学者、トシヒコ・マルタ氏の研究チ−ムが報告したもので、2月8日発行の「メイヨ−クリニック紀要」(Mayo Clinic Proceedings)に掲載された。
この研究は、30年以上も前の1962年から65年の間に、メイヨ−クリニックで行われた839人の周辺住民を対象とした調査がもとになっている。
この調査では、各人の性格、人生の出来事をどう見るかなど、の項目について質問し、その人の楽観度、悲観度を測った。そして、その人たちが30数年後どうなったかを調査した。
その結果、悲観主義者は楽観主義者よりも早死にする傾向が浮かんできた。そこで、年齢、性別と言った要因を考慮に入れて調整して分析して、楽観主義は悲観主義よりも19%長生きである、との結論を得た。
「心の動きは、体の健康に強く影響している。健康の最後の結論である死も、心が大きく左右していることがわかった」とマルタ氏は述べている。
研究者たちは、コレステロ−ルや肥満と同様、悲観主義を、早死のリスクファクタ−に入れてもいいのではないかと論文に書いている。
これに対して、マイアミ大学の心理学者、チャ−ルズ・カ−バ−は、「同趣旨の研究はたくさんある。問題は、楽観主義、悲観主義をどう定義し、測定するかだ。それには、いくつかの方法がある。とにかく、楽観主義が良いことについては問題はない」とコメントしている。
また、ミネソタ大学の心理学教授で、「ハピネス(幸せ)」などの著者、デ−ビッド・リッケンは、「幸せな人間は病気が少ない。病気になったり、怪我をしても治りが早い。このことは良く知られている。だから、われわれはハッピ−な性格になるように努力をするのだ。一方、いつも不機嫌で不平をこぼしている人は、病気がちだ。結婚相手も見つけにくい。こういう人のまわりにはだれも寄りつかない」と話している。(日経ヘルス 2000/02/29)

悪性腫瘍を凍結──中国で画期的ながん治療法
中国の新華社通信が2月12日伝えたところによると、中国で、がんの患部を超低温にして凍結するという、画期的ながん治療法に成功した。
それによると、この手術は西安の病院で行われた。肝臓がんの患者の悪性腫瘍に、直径2ミリの超伝導の針を挿入し、その先端の穴から高圧のアルゴンとヘリウムのガスを入れて、腫瘍の温度を摂氏マイナス140度まで下げた。
約60秒後に、腫瘍は氷の球となり、すべてのがん細胞は死滅した。手術は30分で終わり、患者は全く痛みを感じなかったし、出血もなかった、という。
医師団は、「われわれは、がん治療にまったく新しい道を開いた」と述べている。(日経ヘルス 2000/03/06)

酒飲みは10年早く脳委縮 「日本酒なら毎日2合」以上で急増
千葉大医学部チームが調査研究
年を取るにつれ脳はするが、毎日2合以上お酒を飲むと、委縮が加速する──。千葉大学医学部脳神経外科のチームが脳ドック受診者を調べて分かったもので、「もう一杯」の晩酌党にはドッキリ情報である。糖尿病も脳委縮の
大きな危険因子で、高カロリーのつまみで晩酌していると脳委縮に拍車がかかる恐れがある。「飲んべいはざっと10年早く脳委縮が進みます」と研究チームの久保田基夫医師は指摘している。(姫野 忠)

「多量の飲酒をするアルコール依存者では高率で脳委縮がみられることは以前から分かっていました。それでは普通の社会生活を送っている健康な人たちでは、どの程度の飲酒が脳委縮に影響するのか、脳委縮が起こりにくい安全量を調べるのが、この研究の大きな狙いの1つだったんです」(久保田医師)
今回、研究の対象になったのは、ある企業グループに勤務する人やその家族(30−69歳)で、脳疾患がなく、健康な男女1432人。「酒を飲まない」「毎日、日本酒1合程度(ビール大瓶1本)」「毎日、日本酒2合以上」のグループに分け、核磁気共鳴診断装置(MRI)で脳の前頭葉と、くも膜のすき間が3ミリ以上の脳委縮をチェックした。
「飲まない」と「毎日1合程度」のグループでは、24.6%の人に脳委縮があり、まったく差はなかった。しかし「毎日2合以上」になると、一気に37.0%に跳ね上がった(図参照 ※江原注:割愛)。しかも毎日2合以上の群では中等度以上の脳委縮の割合が「毎日1合程度」に比べ多かった。
「毎日2合が境界線になっていることが統計的に浮かび上がってきました」と久保田医師。
年代別にみると、さらに興味深い結果が出ている。30代で1日2合以上飲む人と40代で飲まない人の脳委縮の割合をみると、ともに同じ14%。また50代で1日2合以上飲む人と60代で酒を飲まない人の脳委縮も55−60%と、ほぼ同じだった。そこで大ざっぱにいうと、酒飲みは飲まない人に比べると、脳委縮がざっと約10年早く進むことになる。
脳委縮にどのような因子が何%くらい影響しているか(寄与率)を解析すると、(1)年齢31.0%(2)飲酒11.3%(3)糖尿病4.6%(4)高コレステロール血症4.0%の順だった。
やはり、脳委縮の最大の危険因子は「年のせい」だが、約10%は「過度の飲酒のせい」で、糖尿病も脳委縮にとって大敵だ。しかし、なぜか、喫煙と高血圧は脳委縮に影響していないとの結果が出ている。
脳委縮が起きると、脳の血流が減り、脳活性が低下、判断力が落ちることが知られているが、朗報が1つある。加齢による脳委縮では、脳の神経細胞そのものがダメになり、元に戻らない。ところが、アルコールによる委縮では、細胞と細胞をつなぐネットワークが故障するだけで、回復の可能性があるという。
実際、アルコール依存者の研究でも、禁酒すると、血流が増え、判断力や計算力など脳の高次機能の回復が報告されており、「委縮が心配な人は半年ぐらいお酒を控えればある程度、部分的な回復の可能性がある」という。
さらに脳卒中の研究では、毎日、日本酒なら2合以上になると発症が増え、1合だと逆に減るとのデータがある。久保田医師は「晩酌は1合程度が無難です」と話している。(中日新聞 2000/03/17)

ガラナエキス 痴ほうに有効 記憶力高まる
三重の研究グループ確認
アマゾン川流域原産のガラナの種子から抽出したエキスが記憶力や学習能力に効果があることを、三重県の鈴鹿医療科学大保健衛生学部と三重大医学部の合同研究グループが動物実験で確認した。「痴ほう症防止に有効では」として、岐阜市で開かれる日本薬学会で29日に発表する。
研究グループは、鈴鹿医療科学大の鈴木郁功(いくかつ)教授、三重大医学部の中野勝麿教授など両大の研究者らがメンバー。カフェイン、タンニン、カテキンなどが主成分で、滋養強壮や興奮性があるガラナの種子に注目し、微粉末にした後、40度の蒸留水で抽出したエキスを凍結乾燥し、精製した。
雄ネズミ6匹を1グループとし、ガラナのエキスを与えた場合と与えなかった場合の、目的地点に到達する速さを比べる迷路実験をした。初日には、投与組は到達まで平均100秒かかったが、4、5日後には平均15秒、速い場合は5秒に。投与されなかったネズミは50−60秒を要した。
さらに、投与組の脳を調べたところ、老化の原因とされる記憶機能に関係する脳の一部を刺激している可能性が出てきた。
ミツバチが巣の抗菌、補修のため、ユーカリの樹液やだ液を混ぜ合わせて作り出す「プロポリス」のエキスも、同様の効果があり、ガラナの種子とプロポリスのエキスを混ぜ合わせると相乗効果が出たという。
鈴木教授は「アルコールを使わず、水溶性成分を抽出したのがポイント。ドリンク剤にすれば飲みやすい。痴ほう症防止だけでなく、学生などの学習の向上にも効果があると思う」と話している。

<ガラナ> ムクロジ科に属し、高さ約10メートル。夏に白い花が咲き、秋に実をつける。種子は直径約1センチで、黒く滑らかな皮がある。薬として用いられており、偏頭痛の緩和、眠気防止などの効用がある。(中日新聞 2000/03/27)

チョコレ−トは心臓に良い
チョコレートは心臓血管系の予防に効果がありそうだ。というのも、チョコレートには、ポリフェノールが含まれており、これが抗酸化作用を持ち、かつ血液の凝固を防止する働きがあることがわかったからだ。ポリフェノールは、赤ワインにも含まれているものだ。
この研究は、カリフォルニア大学デ−ビス校の栄養科のカ−ル・キ−ン主任教授が、2月18日、「米学術振興会」(AAAS)の会合で発表した。キ−ン教授らは、健康な25歳から45歳までの成人10人に、ポリフェノールを多く含むココアから作られたホットチョコレ−トをコップ1杯飲ませてから、6時間後に血液を取って調べた。その結果、血小板の働きが低下し、血液は凝視しにくくなっていた。つまり、血液がさらさらしていたのである。この作用は、ちょうどアスピリンの作用と似ているという。
同教授らは、この他にもチョコレ−トバ−や、粒状のチョコレ−トをふんだんに食べさせた人たちから血液を取って調べたが、やはりポリフェノールと抗酸化作用のある成分が増えていたことを確認した。同教授は、「この実験で、チョコレ−トは健康な食品の1つと見て良いことがわかった。少なくとも、チョコレ−トを食べて罪悪感を持つ必要はない」と話している。
同じカリフォルニア大学デ−ビス校の、チョコレ−トの歴史に詳しいルイ・グリベッティ氏によると、チョコレ−トは、1830年くらいまでは飲み物であって、古代メキシコでは、薬として扱われていた。すなわち、体重を増やすため、あるいは興奮抑制剤、消化剤として使われていたという。(日経ヘルス 2000/03/29)

「パーキンソン病」抑制 トマト摂取で効果 カゴメが実験
カゴメは3日、トマトの摂取が難病のパーキンソン病の発症抑制につながる、との実験・研究結果を発表した。パーキンソン病は、脳からの情報伝達を受け持つ「ドーパミン」という神経伝達物質が減少する神経性疾患で、年齢が高くなるほどかかりやすく、発症すると手足がまひするなどの運動障害が起きる。カゴメは、トマトの成分の中にドーパミンの減少を食い止める物質が含まれていると分析しており、今後、物質の特定に向けてさらに実験を重ねていく方針だ。
実験は栃木県西那須野町にあるカゴメ総合研究所で行われた。トマトの乾燥粉末入りのえさを4週間続けて食べさせたマウスと、通常のえさだけで育てたマウスを用意し、双方にパーキンソン病を発症させる作用を持つ薬(MPTP)を投与して、その変化を調べた。すると、トマト入りのえさを摂取したマウスは、普通のえさだけを食べていたマウスに比べて、ドーパミンが約4割多く残っていた、とのデータが得られた。
カゴメによると、パーキンソン病を引き起こすドーパミンの減少は、体内での酸化作用が原因とされている。トマトには、強力な抗酸化作用を持つ「リコピン」という物質が含まれているため、カゴメは、リコピンがドーパミンの減少を食い止める役割を果たしていると推測しており、その立証試験を今後、進める方針だ。さらにカゴメは、リコピンと同じく抗酸化作用を持つ「カロチノイド」という物質を含む赤ピーマンについても、パーキンソン病の予防や治療に効果がないかどうか、調べることにしている。(読売新聞 2000/04/04)

マリファナの成分が脳腫瘍を“消した”──ラットで
スペインのコンプルテンス大学の科学者たちは、マリファナの主要成分である「カンナビノイド」(cannabinoid )が、脳腫瘍に対して有効に作用することを動物実験で確かめた。
同大学のマヌエル・グズマン博士らが行ったこの実験では、脳腫瘍の細胞を注入されたラットを2つのグル−プに分け、1つのグル−プにカンナビノイドを腫瘍に直接注入する形で与えたところ、15匹のうち3匹の脳腫瘍が完全に“消えた”という。また、9匹は最高35日間生きた。一方、カンナビノイドを与えなかったラットは、すべて 18日以内に死んだ。
この研究は、医学誌「ネ−チャ−・メディスン」3月号で発表された。
同博士は、使ったラットの数も少なく、さらに実験を重ねる必要があることは認めているものの、この研究成果は、マリファナの医学利用に新しい展望を開くといい、1年以内に人間で試験してみたいと話している。
カンナビノイドは、マリファナの吸引した人を“ハイ”な状態する成分だが、一方で、痛みや吐き気を押さえる効果がある。そのため、現在がんやエイズ患者の間で薬として使われている。
アメリカでは、最近、連邦政府がマリファナの医学研究を公式に認めたことから、各地でマリファナの成分を使った研究が盛んになっている。(日経ヘルス 2000/04/05)

ビタミンC・Eほどほどに 米科学アカデミー、摂取量の上限決定
【ワシントン11日=辻篤子】米科学アカデミーは11日、「ビタミンCやEの錠剤を大量に取っても健康に良いという証拠はなく、むしろ害を及ぼす恐れがある」とする報告書を発表、初めて1日の摂取量の上限を定めた。一方、野菜や果物からはこれまでより多くビタミンを取るべきだとして、米国人を対象とする推奨摂取量を改めた。
ビタミンCやE、ベータカロチンなどは抗酸化物質として知られ、細胞が酸化されて傷つくのを防ぐともいわれる。栄養補助剤として大量に取れば、がんや心臓病などが防げるのではないかと期待されていた。
同アカデミーはその効果があるかどうかを調査していたが、「十分な証拠はなかった」と結論づけた。
逆に大量に取ると、ビタミンCは下痢を起こす危険があり、米国人の成人の1日摂取量の上限を、食品と補助剤合わせて2000ミリグラムとした。
ビタミンEは大量に取ると血が固まりにくくなる作用があるとして、補助剤の1日摂取量の上限を1000ミリグラムとした。微量栄養素のセレンは髪の毛が抜けるなどの作用がありうるとし、400マイクログラム以下とした。
一方、1日の推奨摂取量については、ビタミンCは従来の60ミリグラムから、女性は75ミリグラム、男性は90ミリグラムに増やし、喫煙者はさらに35ミリグラムを取るように勧告した。ビタミンEは男女とも15ミリグラムに増やした。
ビタミンCはレモン100グラムあたり90ミリグラム含まれている。(朝日新聞 2000/04/12)

ピジョンクオリティオブライフがマイタケの販売に乗り出す
ピジョンクオリティオブライフが米国製のサプリメント(栄養補助食品)“マイタケ”の国内販売を計画している。マイタケはキノコの1種で、ガンに対する免疫を高め、治療効果を発揮するとして、米国で臨床試験が続けられている。さきごろ、米国ニューヨーク医科大学のグループが、ガン細胞株(前立腺ガン由来のPC3株)をアポトーシスさせることを発表。ピジョンクオリティオブライフは同大学の泌尿器科の田崎寛教授、今野専助・助教授を招き、4月17日に東京で記者説明会を開催する。
アポトーシスとは細胞が死ぬ際のパターンの一種で、“細胞の自殺”とも形容される。細胞外から受けたなんらかの刺激に対応して、ひとりでに染色体が分断するなどして細胞全体が瓦解していく現象。成長や発達の過程で余分になった神経細胞や筋肉細胞、免疫細胞を淘汰する仕組みとして知られる。最近、ある種のガンの縮小の仕組みとしても機能していることが明らかになっている。(日経ヘルス 2000/04/14)

前立腺がん細胞「自殺」 マイタケ・エキスが誘導
NY医科大が発見

米ニューヨーク医科大学の田崎寛教授、紺野助教授らは17日、マイタケから抽出したエキスが悪性の前立腺がん細胞をアポトーシス(自殺)に導くことを発見したと発表した。
このエキスはベータ・グルカンという多糖体の一種で、1ミリリットル当り480マイクログラムのエキスをがん細胞に投入する試験管内実験では、24時間後に95%がアポトーシスした。
前立腺がんの代替医療として期待できそうだ。
前立腺がんは高齢の男性に多い病気で、死亡率も高い。
治療法はホルモン製剤の投与が一般的だが、がん細胞が耐性をつけてくるため2〜3年以内に患者の60%以上に効かなくなる。
田崎教授らは免疫性活性や抗腫瘍作用が知られているマイタケのベータ・グルカンが、悪性の前立腺がんに及ぼす効果を実証するため今回の実験を試みた。
がん細胞の死滅は細胞の気泡化に伴って起きたことから、ベータ・グルカンががん細胞を酸化させ、アポトーシスを導くことが分かった。
さらに、ベータ・グルカンをビタミンCや抗がん剤と併用することで、相乗効果を発揮することも突き止めた。
マイタケから抽出したエキスは「従来の前立腺がん治療に取って代わる新選択治療薬としての可能性を十分に持っている」(田崎教授)としている。(日刊工業新聞 2000/04/18)

酒に弱い人、毎日飲むと高確率でがん
生まれつき一部の酵素の働きが弱く、遺伝的に酒が弱い人は、毎日飲酒すると食道がんにかかる確率が高くなる──。慶応大医学部の石井裕正教授(消化器内科)が、22日まで新潟市で開かれた日本消化器病学会でそんな研究結果を発表した。
発表によると、飲酒で顔が赤くなったり気分が悪くなったりするのは、アルコールを体内で分解した後にできるアセトアルデヒドが原因。
アセトアルデヒドは、ALDH2という酵素によって分解されて害がなくなるが、生まれつきこの酵素の働きが弱いALDH2欠損者が日本人に多く、約4割に上るという。
石井教授らが、ほぼ毎日飲酒するアルコール依存症患者2500人について、欠損者とそうでない患者のがん発生率を調べたところ、欠損者は食道がんが12.5倍、口腔(こうくう)咽(いん)頭(とう)がんが11.1倍も多いことがわかった。
このほか、日本酒を毎日約3合(約0.54リットル)飲む「常習飲酒者」でも、欠損者は食道がんが約10倍も多かった。欠損者でもアセトアルデヒドができにくいため「酒が強い」と勘違いしている人も多く、そうした人の危険性は高まるという。
石井教授は「酒が強いと思っている人の中にも、実際はALDH2酵素が欠損して、がんになりやすい人がいる。酒をほぼ毎日飲めば、肝臓を傷めるだけでなく、食道など肝臓以外のがんにも影響することになるので、控えめにしてほしい」と警鐘を鳴らしている。(読売新聞 2000/04/22)

脳腫瘍に温熱新療法 ラット実験で腫瘍が消滅
名大チームが開発
悪性脳腫瘍(しゅよう)に対する新しい治療法・温熱療法が名古屋大医学部脳神経外科(吉田純教授)と名古屋大大学院工学研究科(小林猛教授)の共同研究で開発された。磁場をかけると熱を発する磁性微粒子(磁性酸化鉄マグネタイト)を、遺伝子治療で用いられた人工脂質・リポソーム内に入れて悪性脳腫瘍を治療する方法で、動物実験では腫瘍細胞が完全消滅した。5月11日から名古屋市で聞かれる「第18回日本脳腫瘍病理学会」で脳神経外科の若林俊彦講師(45)が発表する。
磁性微粒子は磁場をかけると熱を発する特性があり、リポソームは腫瘍細胞に取り込まれる性格がある。リポソームに包まれた磁性微粒子は腫瘍細胞に確実に入り、熱に弱い腫瘍細胞を消滅させる。温熱療法は皮膚がんなどの治療でも使われてきたが、今回は悪性脳腫瘍に用いるのが特徴。
悪性脳腫瘍細胞をラットの脳内に移植し、増殖し始める1週間後からリポソームを注入針で直接、脳腫細胞に数ミリ・グラム注入した後に、磁場照射を12時間間隔で3回繰り返して腫瘍細胞に対する効果を調べた。
その結果、温熱治療をしなかった6匹の群では3週間後にすべて腫瘍死した。これに対して温熱治療をした群では腫瘍組織が死に至る42度以上に発熱していることが温度センサーで確認され、6匹中5匹は3か月以上生存し、腫瘍細胞も完全に消滅。また、この方法による温熱療法では生体免疫能の上昇も観察され、リンパ球の腫瘍攻撃力が5倍も活性化していることが分かった。(読売新聞 2000/04/30)

はい芽入り食パンから殺虫剤が検出 市民団体調べ
小麦のはい芽部分を一緒に製粉し、健康志向の人に好まれているはい芽入り食パンから、普通のパンより残留濃度が高い複数の有機リン系殺虫剤が検出されたことが環境ホルモン全国市民団体テーブル(東京)の調べで分かった。「輸入小麦に収穫後に使用された農薬が残留したと思われる」と同テーブルでは話している。
この調査は4月、東京、神奈川などの店頭で「小麦はい芽入り」などと表示された主要メーカー12ブランドの食パンを購入。東京の検査機関に依頼して、収穫後にポストハーベスト農薬として散布されている有機リン系殺虫剤のクロルピリホスメチル、フェニトロチオン、マラチオンの含有量の有無を調べた。
その結果、10のパンから1種類以上の殺虫剤が検出された。平均値はそれぞれ5.1ppb、0.3ppb、3.1ppb(ppbは10億分の1の意)。北海道消費者協会が昨年行った普通の食パン13ブランドの検査の平均値(クロルピリホスメチル1.8ppb、マラチオン1.7ppb)と比べて高かった。これについて同テーブルは「はい芽は、小麦の表面に近いので農薬が残留しやすいため、数値が高くなったのではないか」とみている。
この結果について、厚生省は「いずれも国内外の残留基準を大きく下回っており、問題ない」との見解だ。ただ、「今回の残留レベルでも、ごく微量の化学物質に過敏に反応する化学物質過敏症の人に症状が現れるとの研究報告があり、注意が必要だ」と同テーブルは強調している。(読売新聞 2000/05/15)

アルツハイマー病 お酒弱いと危険かも 発症率1.6倍
特定の遺伝子重なると30倍 日本医大、きょう発表
お酒に弱い体質の遺伝子をもっ人は、強い体質の人と比べて1.6倍、アルツハイマー病になりやすいことが、日本医科大学グループの研究でわかった。さらに、この病気と関係するとされる別の遺伝子を同時に持っている人は発病のおそれが最高約30倍に高まるという。25日、長野県松本市での日本神経学会シンポジウムで発表される。
同大老人病研究所生化学部門の太田成男教授、紙野晃人講師らは、12番染色体にあるアルデヒド脱水素酵素2遺伝子が病気に関連していることに気づいた。
この遺伝子の特定の型を1個か2個持つ人は、体内でアルコールを分解する酵素が不足し、飲酒するとすぐ顔が赤くなるなど、お酒に弱い体質であることがわかっている。日本人の4割がこのタイプだとされる。
太田教授らは、日本医大病院や兵庫県の病院など7つの病院に協力してもらい、アルツハイマー病患者計447人と、同数のアルツハイマー病でない人のアルデヒド脱水素酵素2遺伝子の有無を調べた。
その結果、遺伝子を持っている人は持っていない人の1.6倍、同病になりやすいことがわかった。
また、アルツハイマー病関連の遺伝子として知られるアポリポたんぱくE遺伝子についても調べた。この道伝子は、片方の親から特定の型1個をもらうと3倍、両親から2個もらうと10倍も同病になりやすい。
アルデヒド脱水素酵素2遺伝子と重なった場合、さらに発病率が高まり、最高は31.9倍。別の調査から推計すると、目茶人の7、80万人がこれにあてはまる、という。(朝日新聞 2000/05/25)

お酒に弱い人、アルツハイマー病の発症度高く
日本医科大学教授らが遺伝子解析

痴ほう症状を起こすアルツハイマー病になりやすい遺伝子を持つ人は、酒に弱いとさらに発症の危険性が増すことが日本医科大老人病研究所の太田成男教授らの研究で分かった。約900人の遺伝子を解析した結果で、長野県松本市で開かれている日本神経学会で25日発表する。
研究グループは、アルツハイマー病患者と健康な人それぞれ447人の血液を使って、アルツハイマー病に密接に関係するアポE4遺伝子と、アルコールから生じるアセトアルデヒドの分解酵素に関係するALDH2遺伝子を調べた。酒に弱い人は、アセトアルデヒドによって顔が赤くなったり悪酔いしやすく、両親双方から働きの悪いALDH2遺伝子を引き継いでいるのが一因という。
アポE4遺伝子を両親から引き継ぎ、しかもALDH2遺伝子の働きが悪く酒に弱い人は、アルツハイマー病患者では、17人いたが、健康な人では1人にとどまり、両方の要素が重なると発病する割合が高まることが分かった。
また、アポE4遺伝子を両親から引き継いでいる患者の発症年齢は、酒の弱い人では平均61歳だったが、働きのよいALDH2遺伝子を片方の親から引き継ぎ、ある程度飲める人は同66歳、両親から引き継ぎ酒に強い人は同70歳だった。
太田教授は「ALDH2が、脳内の神経細胞を傷つける活性酸素の作用を防いでいるためではないか」と話している。【田中泰義】(毎日新聞 2000/05/25)

怒りっぽいと心臓に悪い
怒りっぽく、すぐに相手と対立する性格の人は、心臓の冠動脈にダメ−ジを受けやすいことがわかった。
これは、カリフォルニア州オ−クランドにあるカイザ−・パ−マネンテ医学研究所のカルロス・イリバ−レン博士らの研究チ−ムが、18歳から30歳までの男女374人を10年間にわたって追跡調査した結果わかったもの。米国医師会雑誌(JAMA)最新号で発表した。
研究者たちはまず、被験者の「敵対性」を調べる性格判断を行った。
これは、「粗野な言動に出た相手に対して、自分も乱暴な態度に出ることがある」などの質問に、イエス、ノ−で答えるもの。50の質問に対する得点で、怒りっぽい性格かどうか、すぐに敵意を持つ性格かどうかを判断する。
性格判断を行った10年後に、心臓スキャナ−で被験者の冠動脈へのカルシウムの沈着の状況を調べた。もし、カルシウム沈着が進行していれば、それだけ動脈硬化が進むなど、状況が悪化していることを示す。
その結果、「敵対性」のスコアが高かったグル−プの人(怒りっぽい人)は、怒りっぽくない人と比べて、動脈のカルシウム沈着が2.5倍もあり、動脈硬化などが進んでいることを示していた。
なぜそうなるのか。研究者たちは、怒りっぽい人、ケンカ早い人には、ヘビ−スモ−カ−や、酒飲み肥満などが多いこととも関係しているのではないかと見ている。(日経ヘルス 2000/06/13)

副作用ない抗がん剤 乳がん、脳腫瘍消滅
海外で臨床試験へ
徳島文理大の佐藤利夫教授(薬品製造学)らの研究グループは14日までに、副作用がなく、がん細胞の増殖を止める薬を開発したことを明らかにした。今年夏にも海外で臨床試験の準備に入り、10月には横浜市で開催される第59回日本がん学会総会で研究成果を発表する。
財団法人癌研究会、アメリカ国立がん研究所の調べで、計約100種のがんの増殖を止める効果があると認められ、特に乳がんと脳腫瘍(しゅよう)では100%消滅し、大腸がん、肺がんなどでは50%の消滅が確認されたという。
同グループは、抗炎症剤のアスピリン常用者の大腸がん発生率が極めて低い点に着目して研究したところ、正常細胞に含まれ、炎症などの病状に関係するシクロオキシゲナーゼ(cox)という酵素とは別の種類のシクロオキシゲナーゼ(cox2)をがん細胞が有し、この2種類のcoxを死滅させることでがん細胞が消滅することを確認した。
そこで、同グループは同様に抗炎症作用があり、天然生薬の甘草(かんぞう)に含まれるカルコン誘導体で調べた結果、2種類のcoxを阻害する作用があり、しかもアスピリンに比べ1グラム当たり約100倍の薬効があることを突き止めた。
同グループは、フッ素と結合させた低分子化合物の「フッ素化カルコン誘導体」にして、肝臓で分泌される酵素に分解されるのを防ぐことで、多くのがんに対応できるようにした。
佐藤教授は「従来の化学療法剤が毒性を持ち正常細胞にも傷害性があって副作用を引き起こすのに対し、開発した薬は毒性がないため副作用がなく、がん細胞の増殖を完全に止めることができる」と話している。(中日新聞 2000/06/15)

緑茶の効用 解明進む
習慣病遠ざけ 心安らぐ がん抑制にも期待
新茶がおいしい季節。食後や仕事の合間に日本人が日常飲んでいるお茶(緑茶)の中に、健康に良い様々な成分が含まれていることが最近科学的に明らかにされてきた。渋みの成分であるカテキン類は生活習慣病を遠ざけ、腸の善玉菌を増やす効果が確認されている。うまみ成分であるテアニンは、心をリラックスさせる効果に優れ、肥満予防効果もあるという。

まず緑茶の効用を具体的に示すのが、「お茶を飲む量が多い人ほど長寿の傾向がある」という調査データだ。お茶の産地である静岡、福岡、京都、埼玉の各府県でそれぞれ実施された疫学調査により、お茶を多く飲む人はがんの発症率や死亡率が全国平均より低いことが示された。
例えば、埼玉県立がんセンター研究所が80年代半ばから進めている1万人規模の集団を対象にした臨床研究では、「1日にお茶を10杯以上飲む人」は「3杯以下しか飲まない人」に比べ、がんにかかる年齢が男性で3.2歳、女性で7.3歳遅いといった結果が出た。がんにかかる率も約40%低かったという。

◇ ◇ ◇

お茶に含まれる効用成分の代表選手はカテキン類だ。抗酸化力が強いため、体の酸化(さび)によって起こる糖尿病や高脂血症、高血圧といった生活習慣病を遠ざける。悪い細菌やウイルスを減らす力もある。胃では胃かいようの原因となるピロリ菌をやっつけ、腸では腐敗や便秘の原因となる悪玉菌を減らす。
がん予防効果も期待できる。厚生省の国立がんセンター研究所を中心とするグループは、茶葉から抽出したカテキンによる大腸がん予防効果を調べる臨床研究に、今年から着手する。複数のカテキンが相乗的に働き、がんの発生や増殖、転移を抑制するとされている。
お茶は米国でもがん予防食品として注目を集めている。米テキサス大学での臨床試験を米食品医薬品局(FDA)が許可するなど、日本に続いて、がんの予防効果を調べる大規模な臨床試験が始まっている。

◇ ◇ ◇

最近、注目を集めているのが、うまみのもとであるテアニン。アミノ酸の仲間だ。渋みを抑えた緑茶飲料がコンビニエンスストアなどでよく売れているが、テアニンの含有量を増やしておいしさを高めている。
テアニンは人間の脳のα(アルファ)波を増やし、リラックスさせる効果があることを、愛知淑徳大学の杉本助男教授らが研究で明らかにした。その結果、肥満の原因となる“ストレス食い”を減らし肥満を防ぐことも、静岡大学農学部の茶名和敏助教授らがマウス実験で確かめている。
お茶の効用を得るための飲み方は、「ぬるい湯で1杯目、熱い湯で2杯目」が理想的だ。テアニンはぬるい湯に、カテキンは熱い湯に多く溶け出すからだ。1目はお茶のおいしさを味わい、2杯目は体をいたわりながら飲むのがよさそうだ。
新茶は一層おいしく、健康によい。茶葉は保存すると抗酸化力が落ちるため、新しいものほどお茶の効用を得られる。茶葉は年に3、4回収穫されるが、最初に摘まれる一番茶が最もおいしく、しかも健康に良い成分を多く含むとされる。
さらにお茶の効用を得るには、茶葉を細かく粉状にしてお湯を加えて飲む「粉茶」がよい。お湯で入れると有効成分の半分程度しか抽出されないが、粉茶ならまるごと摂取できるからだ。茶殻に残るβカロチンや食物繊維も取れる。粉茶は最近はスーパーなどで手近に売られているほか、市販のお茶挽(ひ)き器を使い、自分で作ることもできる。
カフェインが気になる人は、カフェインを除いたお茶の有効成分だけを含むサプリメント(栄養補助食品)を試すこともできる。(『日経ヘルス』編集部)(日本経済新聞 2000/06/17)

高酸素濃度の環境 痴ほう改善に有効
信大医療技術短大・藤原教授ら調査
痴ほうの高齢者が、通常より高い酸素濃度の環境で過ごすと、症状改善や進行抑制の効果がある−。信州大学医療技術短期大学部(長野県松本市)の藤原孝之教授の研究グループが、こんな研究成果をまとめた。22日から東京で開かれる日本リハビリテーション医学会で発表する。
同教授は、高山病のメカニズム解明の研究を通じ、酸素濃度の違いによる脳波の変化に着目。高濃度の酸素が痴ほう高齢者の脳機能を活性化するのではないかと、5年をかけて脳血管障害型の痴ほう患者延べ約50人に、酸素濃度だけを通常より約5割高くした部屋で過ごしてもらい、脳波の変化を、臨床的に調べた。
1日30分間、過に5日の割合で4週間続けた後に脳波を調べたところ、健常者の波形に近づくなど、脳機能が活性化していることが分かった。アルツハイマー病型の痴ほうについては、まだ検証していないという。
藤原教授は「今後、長期的な効果を検証した上で、痴ほうの予防や進行抑制のためのリハビリテーションルームの実現を目指したい」と話している。(中日新聞 2000/06/20)

食物繊維の多い食事で血糖値が下がる
1日50グラムという大量の食物繊維を含む食事をさせたら、糖尿病患者の血糖値が下がった、という実験結果が、5月11日発売の米医学誌「ニュ−イングランド・ジャ−ナル・オブ・メディスン」で発表された。
この実験行ったのは、ダラスにあるテキサス大学サウスウエスタン医学センタ−の研究者たち。
まず、13人の糖尿病患者を対象に実験食を食べさせた。患者は全員、成人型(タイプ2)の糖尿病患者で、このうち10人は日常的に治療薬を服用していた。
この実験食は、野菜、果物・繊維質の多い穀物が中心で、食物繊維が米糖尿病協会(ADA)が勧める食事の2倍に相当する1日分50グラム含まれている。ちなみに、普通の米国人は、1日平均17グラムの食物繊維を食事から摂取している。
研究者たちは、被験者に最初の6週間はADA推奨の食事を取らせた。その後の6週間には、食物繊維の多い実験食を食べさせ、これを交互にくり返した。
食物繊維は、すべて食事から摂取され、いわゆるサプリメント(栄養補助食品)は使わなかった。
その結果、ADA推奨の食事を食べている間は、被験者の血糖値は上昇しなかったが、下がることもなかった。しかし、実験食を食べている間には血糖値が平均10%も下がった。
血糖値ばかりでなく、実験食を食べている間に被験者のコレステロ−ル値も下がった。コレステロ−ル値の上昇は、糖尿病の併発症の1つである心臓病のリスクを高めるため、食物繊維が心臓病の予防にもなっていることになる。
高繊維実験食で血糖値が下がったことについて、ネブラスカ州オマハにあるクレイトン糖尿病センタ−のマ−ク・レンデル博士は、「これは、ちようど、糖尿病治療薬を使って血糖値を改善したのと同じ効果があったと言える。糖尿病は、まず、食事で症状を改善するのが理想的で、その点、非常に注目すべき研究である」とコメントしている。(日経ヘルス 2000/06/23)

バ−ジン・オリ−ブ油が皮膚ガンを防ぐ──神戸大
日焼けした後の皮膚にバ−ジン・オリ−ブ油をぬっておくと腫瘍ができにくくなることを、神戸大医学部の市橋正光教授らが見つけた。
それによると、同教授らの研究チ−ムは、毛のないヌ−ドマウスを1週間、サンランプ(太陽灯)に当てて、これを3回くり返した。
光線に当てるたびに、その5分後に、普通のオリ−ブ油、バ−ジン・オリ−ブ油をぬり、何もぬらなかったマウスと比較した。
その結果、普通のオリ−ブ油をぬったグル−プと、何もぬらなかったグル−プのマウスでは、最初の光線を当てた18週間後に腫瘍ができ始めた。
バ−ジン・オリ−ブ油をぬったマウスでは、6週間遅れて腫瘍の兆候が見られたが、他のグル−プのマウスと比較すると、腫瘍は小さく、数も少なく、また、皮膚の細胞を取って調べたらDNAの損傷も小さかった、という。
同誌によると、研究者たちは、「バ−ジン・オリ−ブ油をぬると、日焼けした後の紫外線による損傷を防ぐ働きがある。しかし、バ−ジン・オリ−ブ油自体が日焼け止めにはならない」と述べている。
日焼けすると、太陽光線のなかの紫外線によって酸素のフリ−ラジカル(遊離基)、いわゆる活性酸素が生じ、これが皮膚細胞のDNAを傷つけ、細胞の異常分裂を引き起こし、ガンになると言われている。
このフリ−ラジカルを抑える働きをするのが、ビタミンEなどの抗酸化剤で、UVによる損傷防止に有効とされている。バ−ジン・オリ−ブ油はその抗酸化剤と同じ働きがあると見られている。(日経ヘルス 2000/06/26)

膵臓がん治療 新たな手法 東北大で初の手術実施
免疫細胞・放射線療法組み合わせ
東北大医学部第1外科(松野正紀教授)の研究グループは死亡率が高い膵臓(すいぞう)がんの新しい治療法として、免疫細胞療法と放射線療法を組み合わせた方法を開発し28日、初めての手術を実施した。
開腹手術で患部に大量の放射線を直接照射した後、患者の骨髄から抽出した血液細胞を特殊培養した液を患部に注入するもので、がん細胞を死滅させたり、増殖をくい止める効果が期待できるという。
膵臓がんは進行が早く、肝臓など多臓器に転移しやすいのが特徴。がんの中でも治療が難しいとされているだけに、新しい治療法は関心を集めそうだ。
今回手術を受けたのは、宮城県内に住む40代の膵臓がんの男性患者で、肝臓への転移がある。
がん細胞に注入する血液細胞はその形状から樹状細胞と呼ばれ、免疫リンパ球を活性化し、ウイルスやがん細胞などの異物を攻撃、排除する働きがある。これにサイトカインという情報伝達分子を加えて培養したものを、放射線照射で死滅し始めたがん細胞に注入すると血液を介して行き渡り、転移したがん細胞にもダメージを与えるという。
免疫細胞療法は患者の体内にあった細胞を使って行うため、副作用や患者の身体的負担が少なくて済む。
研究グループは今後、数例の治療を試験的に行った上で、安全性に問題がなければ本格的に臨床導入する方針。松野教授は「膵臓がん以外に他の遠隔転移したがんにも有効だと思う」と話している。(中日新聞 2000/06/29)

アルツハイマー病にワクチン マウスで原因物質99%消滅
臨床試験を開始 アイルランドの企業
【ワシントン11日共同】根本的な治療法がなかったアルツハイマー病のワクチンを世界で初めて開発し臨床試験を開始した、とアイルランドの製薬企業エラン社の研究者らが11日、ワシントンで開催中の世界アルツハイマー会議で発表した。
同社が進めている臨床試験は第1段階に当たり、患者への安全性を調べるのが目的。現在までに顕著な副作用はなく、予防と治療の実用化に期待が持てる、という。
ワクチンの主成分はAN1792と名付けた合成タンパク質。アルツハイマー病患者の脳組織に沈着し、痴ほう症など脳機能低下の原因になるとみられるベータアミロイドと呼ばれるタンパク質に似せて作った。
AN1792を患者に接種することで体に免疫反応を起こさせ、脳内のベータアミロイドの沈着を防ぐとともに、沈着したものを除去する仕組み。同社の研究者は「アミロイドは脳への侵入物とみることができ、ワクチンで活性化した免疫で攻撃することが可能」と指摘している。
マウスの実験では、7カ月間毎月ワクチンを投与した場合、既に沈着した脳内のアミロイドでも99%減少したという。人間の患者を対象とした臨床試験は昨年暮れ、米国内でまずワクチンを1回だけ投与する試験を開始。今年春からは英国で複数回投与する試験を進めている。(中日新聞 2000/07/12)

「手術前に放射線照射」でガン再発を減らす
直腸ガンの患者に、手術をする前に高線量の放射線を照射する治療を施して、ガンの再発率を半減させることに成功したと英国で報告された。
この研究は、スウェ−デンのカロリンスカ病院とイギリスのノ−スハンプシャ−病院が共同で行ったもので、その内容は英医学誌「ランセット」最新号に掲載された。
それによると、研究者たちは、1332人の直腸ガンの患者に、手術前放射線照射を行い、照射しなかった447人と比較した。
その結果、照射によってガンの再発率を50%減少でき、死亡率も、照射したグル−プの方が低かった、という。
研究リ−ダ−のト−ジョン・ホルム博士は、「直腸ガンの場合、現在一般に行われている手術では、再発例が多く、これは重大な問題だ。手術前の放射線照射で再発を減らすことができたのは、大きな意味がある」と述べている。(日経ヘルス 2000/07/18)

カンナビス(大麻の陶酔成分)から“ハイにならない鎮痛薬”──英科学者
ロンドンのインペリアル・カレッジの研究者たちが、7月4日大麻(マリファナ)がもたらす陶酔の主成分であるカンナビス(cannabis)から、その活性有効成分であるカンナビノイド(cannabinoid )の分離に成功、これをベ−スに、これまでにない鎮痛薬開発の見通しが立ったことを明らかにした。
この研究は、雑誌「分子・細胞神経科学」(Molecular and Cellular Neuroscience )最新号に掲載された。
それによると、分離されたカンナビノイドは、脳と脊髄の両方に作用するが、研究者たちは、化学的操作によって、脊髄だけに作用し、脳へは働きかけないようにすることができたという。
こうすることによって、カンナビスがもたらすハイ(high)の状態を回避して、鎮痛作用だけを残すことができる、と研究者たちは言っている。
この研究を行った同カレッジのアンドリュ−・ライス博士は、「われわれは、脊髄の中の、痛みに関連した領域に、カンナビノイドの受容体が存在することを突き止めた。これによって、脊髄だけに作用し、脳を回避する薬の開発が可能になった。この研究は、カンナビスの心理的活性(麻薬性)と鎮痛効果とを分離するという点で、重要な一歩を記した」と語っている。
カンナビスから得られる鎮痛薬は、おそらくモルヒネよりも効果が高いだろう、とライス博士らは言っている。
その理由として、「神経を損傷するようなけがをした場合、脊髄のモルヒネ受容体も損傷を受け、もはやモルヒネが効かなくなることがしばしば起きるが、そういう場合でも、カンナビノイドの受容体は残っており、カンナビスの鎮痛効果が有効に働くことになるからだ」と同博士は言っている。しかし、実際にカンナビスをベ− スにした鎮痛剤が使われるようになるには、まだ何年もかかるだろう、と言われている。(日経ヘルス 2000/07/24)

トマトに血栓予防の成分発見
スコットランドのアバディ−ンにあるロウエット研究所(Rowett Research Institute )は、7月13日、普通のトマトの種のまわりのゼリ−状の物質が、血液中の血小板の働きを抑えて、血を固まりにくくしている、つまり血栓の形成を防止していることを発見したと発表した。
血液中に生じる凝血塊(クロット)は、心臓病や脳卒中の大きな原因の1つであることから、トマトを生食すれば、それだけ心臓や血管の病気の予防に役に立つ、と同研究所の研究者たちは言っている。
また、研究者たちは、このトマトの成分から、新しい血栓溶解剤が作れるだろう、とも言っている。
同研究所では、このトマトの成分を小人数のボランティアのグル−プに与えて調べたところ、わずかトマト4個分を食べさせただけで、血小板の働きを最高72%まで抑えることがわかった。
これまでも、いろいろな野菜や果物が心臓病の予防に有効であるとの報告はあったが、特定の成分を取り出して有効性を証明したのは初めてのことである。
このトマトの成分と同じ物質は、イチゴ、メロン、グレ−プフル−ツなどにも含まれているが、トマトから最も多く採取できるという。(日経ヘルス 2000/07/28)

ウイルスの1種ががんを殺す──画期的治療法となるか
ウイルスの1種が、がん細胞を有効に破壊することを実験室で確認したと、カナダのオタワ大学の研究者が6月28日明らかにした。今後の研究結果次第で、画期的ながん治療法に発展する可能性があると研究チ−ムでは期待している。
この研究を行ったのは、同大学のジョン・ベル博士らで、その内容は、7月1日発行の医学誌「ネ−チャ−・メディスン」に掲載されている。
それによると、このウイルスは「ベシキュラ・ストマティティス・ウイルス」(VSV=Vesicular Stomatitis Virus)と呼ばれる特殊なウイルスで、これがメラノ−マ(黒色腫)、白血病、肺がん、乳がん、前立腺がんの細胞をきわめて有効に殺すことがわかったという。
「この実験結果にわれわれは非常に興奮している。これは新しいがん治療法開発への第一歩だ」とベル博士は語った。このウイルスは人間には感染せず、無害と思われるので、1年半位をメドに臨床試験にこぎ着けたいと同博士は語る。(日経ヘルス 2000/08/02)

ビタミンCが心臓病、脳卒中のリスク低減
米国の研究所長が発表

「1日50ミリグラム以上のビタミンCを摂取し続ければ、心臓病にかかるリスクは男性で45%、女性で25%ダウンする」──米国ライナス・ポーリング研究所のバルツ・フライ所長が、このほど東京で開かれたビタミン広報センター20周年記念講演会に出席、米国での疫学調査をもとに、ビタミンCを積極的に食事に取り入れるよう力説した。【川鍋 亮】

フライ所長によると、ビタミンCは生体の細胞に酸化的障害を引き起こす活性酸素を効果的になくす強力な抗酸化剤の役目を果たす。そして血しょうやLDL(悪玉コレステロール)中の過酸化脂質の生成を抑制し、心臓病や脳卒中のリスクを低下させる働きがあるという。
米国の研究によると、毎日45ミリグラムのビタミンCを摂取したグループは、28ミリグラム未満の摂取群に比べ、脳卒中のリスクが50%低下した。疫学的研究でも、1日100ミリグラムのビタミンCを摂取すれば、心臓病と脳卒中のリスクを低下させることができるという。
喫煙者は特にビタミンCの摂取を心がけた方がよいという。喫煙で活性酸素が発生し、これを消すためにビタミンCを消費するため、非喫煙者に比べてより多くのビタミンCが必要になる。米国では心臓病の20%は喫煙が原因とされる。さらに、がん死亡で1位の肺がんの90%が喫煙が原因とされているだけに、フライ所長は喫煙の危険性を強く指摘していた。
こうしたことから、フライ所長は「健康の維持には、毎日ビタミンCを200ミリグラム程度摂取することが必要。免疫機能の強化、体調維持にも大切だ。野菜、果物類を1日5皿(500グラム)程度食べるとよい」と勧めていた。ちなみにビタミンCは水溶性のため取り過ぎても体外に排せつされる。
一方、京都府立医科大学の吉川敏一助教授は同講演会で「ビタミンEが動脈硬化など心血管系疾病の予防に効果的」と述べた。ビタミンEは、ビタミンCと同様に抗酸化作用をもち、動脈硬化などいろいろな病気の予防に役立つことが分かってきた。
米国で医療従事者約4万人を対象に4年間、看護婦約8万7000人を対象に8年間、それぞれビタミンEの摂取量と心臓発作の関係を調べたところ、医療従事者では、1日当たり平均100IU(IUは国際単位でビタミンEは1ミリグラムが1IUにあたる)のビタミンEを摂取したグループで冠動脈疾患の発生率が37%下がることがわかった。
また看護婦は同100〜200IUの摂取で、冠動脈疾患の発生が41%も減った。ビタミンEはナッツ類や大豆などに豊富だ。吉川さんは「ビタミンEの働きを補助するビタミンCもなるべく摂取する方が健康にいい」と指摘した。(毎日新聞 2000/08/03)

コ−ヒ−の多飲でリユウマチ性関節炎になりやすい
コ−ヒ−を1日3杯以上飲む人には、免疫疾患の一つであるリユウマチ性関節炎になりやすい──と、7月25日にフィンランドの研究者が英医師会が出している「リユウマチ疾患紀要」(Annals of Rheumatic Diseases)の最新号で報告した。
この研究は、15歳以上でコ−ヒ−を飲む習慣のあるフィンランド人1万9000人の追跡調査という形で行われた。調査開始の70年代には、被験者の中にリユウマチ性関節炎の患者はいなかった。
一方、89年までに、被験者のうちコ−ヒ−を1日3杯以上飲む人の0.5%がリユウマチ性関節炎になり、1日3杯以下の人ではリユウマチ性関節炎になったのは0.2%に過ぎなかったという。
こうした結果から、コ−ヒ−を多飲する人は、リユウマチ性関節炎になるリスクが高いと研究者たちは言っている。
コーヒーがリウマチを引き起こすメカニズムはよくわかっていないが、コ−ヒ−のなかにはユウマチ因子を増やす成分が含まれているのではないかと研究者たちは考えている。リユウマチ因子は、一種の抗体で、リユウマチ性関節炎になった人では、発症する何年も前から血液中にこの因子が見つかることが多い。
イギリスのバ−ミンガム大学のポ−ル・ベ−コン博士(リユウマチ学)は、「もし、コ−ヒ−飲みとリユウマチ性関節炎との間に関係があるなら、コ−ヒ−の種類、コ−ヒ−の作り方も考慮に入れて調べてみる価値がある」と話して いる。(日経ヘルス 2000/08/09)

魚と緑茶のススメ 肺がん危険度低く乳がん再発を防ぐ
愛知県がん研2研究員調査
魚と緑茶を積極的に摂取している人ほど肺がんにかかったり乳がんが再発する危険度が低い傾向にあることが、愛知県がんセンター研究所(名古屋市千種区)の嶽崎俊郎主任研究員(43)らの調査で分かった。10月4日から横浜市で開かれる第59回日本癌(がん)学会で発表される。
日本人は喫煙率が高いにもかかわらず、肺がんの発生率と死亡率が英国人や米国人の3分の2程度と低い。嶽崎さんは日本人の食習慣に肺がんの予防効果があるとみて、魚を食べる頻度と肺がんとの関係について調べた。
調査対象は、同センターで過去10年間に肺がんと診断された患者1047人と、がん以外の患者4163人。肺がんの一種で肺がん全体の半数を占める腺(せん)がんの場合、魚を食べる頻度が週に1回未満の男性ががんになる危険度を1とすると、週に5回以上食べる男性は危険度が半分の0.49倍であることが分かった。女性も0.47倍とほぼ同じだった。
嶽崎さんは「予想以上に違いがはっきりと出た。魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)などにがん抑制効果があるのではないか」と話している。
一方、同研究所の井上真奈美主任研究員(34)らの別の研究で、日ごろから緑茶を頻繁に飲む女性ほど乳がんが再発する危険度が低いことがうかがえた。
過去8年間に乳がんと診断された女性患者1160人について緑茶を飲む習慣を調べたところ、早期のがん(1期)の場合、毎日2杯以下しか飲まない女性では251人のうち23人が再発。ところが毎日3杯以上飲む習慣の女性は498人のうちわずか18人しか再発せず、再発の危険度は0.4倍と低かった。1期より症状が進んだ2期の乳がんでも毎日3杯以上飲む女性は2杯以下の女性の0.7倍の危険度しかなかったという。
井上さんは「1000人を超える大規模な調査なので結果の信頼性は高いと思う」と話している。(中日新聞 2000/09/01)

がん細胞の転移 コーヒーが抑制 東京農工大が発見
東京農工大学の研究グループは、コーヒーに含まれるクロロゲン酸にがん細胞の転移を抑える働きがあることを試験管内の実験で見つけた。
農工大の矢ケ崎一三教授らは、培養したラットの肝臓がん細胞に飲用と同程度の濃度のコーヒーとクロロゲン酸を与えたところ、がん細胞が組織内に入り込む「浸潤」と呼ばれる現象を抑える効果を持つことがわかった。クロロゲン酸が分解してできるカフェ酸とキナ酸も同様の効果があるという。
矢ケ崎教授らは酸がどのようにしてがん細胞の動きを抑えるのか詳しいメカニズムを研究する。コーヒーには、ろ過しないで飲むと血中のコレステロール値を上げるなど健康に悪影響を及ばす作用も報告されているほか、最近ではアルコールによる肝機能障害の予防や胃がんの発生を抑えるプラスの効果もあるといわれる。(日本経済新聞 2000/09/04)

コ−ラにカフェインを加えるのは習慣性を植えつけるため
アメリカで売られているコ−ラ類の70%にカフェインが添加されており、これは消費者にコ−ラを飲みたくなるように習慣性を出し、売上げを伸ばすのが目的だ──とジョンズホプキンス大学医学部の研究者たちが報告した。これに対して、コ−ラ業界は、カフェインを加えるのは風味を良くするためで、習慣性とは無関係だと反論している。
この研究を報告したのは、同大学のロ−ランド・グリフィス博士らで、研究内容は米医師会発行の「家庭医学雑誌」(Archives of Family Medicine )最新号に掲載された。
それによると、グリフィス博士たらは、25人の成人を対象に、カフェイン入りとカフェイン抜きのコ−ラを飲ませ、味だけでカフェイン入りかどうかを答えさせた。その結果 、コ−ラにカフェインが入っていることを判別できたのは2人(8%)だけだった。
この試験結果から、研究者たちは、「コ−ラにカフェインを加えたからといって風味が良くなったとはいえない。メ−カ−は、習慣性を引き起こす“薬”として、カフェインを加えている。コ−ラに含まれるカフェインは、まさにたばこにおけるニコチンのような役割を果たしている」と主張する。また、「最も販売実績の多いコカコ−ラとペプシでは 、カフェインの入っていない製品は全体の5%しかない」という。
これに対して、業界団体の「全米ソフトドリンク協会」(National Soft Drink Association )は、「この研究は、被験者の数も少なく科学的とは言えない。被験者の中にはヘビ−スモ−カ−も数人おり、実験の結論は信じられない。われわれがコ−ラに入れているカフェインの量は、コ−ヒ−のカフェインと比べると、微々たるものである」と反論する。
98年の実績では、米国人は、1年間にコ−ラなどの清涼飲料を570億リットル飲んでいた。この消費量は、75年と比べて倍増しており、いまや水よりもコ−ラを多く飲んでいることになるという。(日経ヘルス 2000/09/05)

ダイズの成分が更年期障害に有効──ブラジルから報告
ダイズに含まれる成分であるイソフラボン(isoflavin )が更年期障害の症状を楽にさせると、8月23日ブラジルの医学者が発表した。
サンパウロ大学のク・コウ・ハン産科医らは、更年期の女性80人に対してイソフラボンを6カ月間与えた。その結果、85%の女性が更年期障害が著しく改善されたという。
また、イソフラボンを与えられた女性の75%は、コレステロ−ル値が下がったという。
閉経期に入ると女性ホルモンの分泌が減少するため、不眠、うつ、ほてり、骨粗しょう(鬆)症などの症状が出る。この更年期障害の治療薬として、女性ホルモンのエストロゲンを投与する方法がある。しかし、エストロゲン療法では、乳腺や子宮内膜が腫れるといった副作用がある。また、エストロゲンの長期使用では乳がんや子宮がんの発生が懸念されている。
ブラジルの科学者たちは、イソフラボンの投与では副作用はなかったと報告している。また長期間使用してもリスクは少ないだろうという。
イソフラボンは、ブラジルでも日本でも販売されており、だれでも簡単に入手できる。
コウ・ハン医師は、「エストロゲンでは更年期障害の女性の90%から95%が反応を示す。一方、イソフラボンの効果はエストロゲンより落ちるが、副作用の心配がないのが大きな利点だ」と述べている。(日経ヘルス 2000/09/14)

緑茶愛飲、やっぱり長生き 埼玉県立がんセンター調査
緑茶をたくさん飲む人は少ししか飲まない人に比べ、80代半ばまで生きる確率が高い──。埼玉県立がんセンター研究所の8000人以上を対象にした調査で分かった。これまで緑茶のがんなどの予防効果についての報告はあったが、どれくらい「長生き」できるかを示したのは初めて。10月4日から横浜市で始まる日本癌(がん)学会で発表する。
11年間にわたる大規模な追跡調査で、対象は埼玉県に住む40歳以上の男女8552人。1日に飲む緑茶の量によって、「3杯以下」「4―9杯」「10杯以上」の3グループに分けて比べた。長生きの目安を女性の平均寿命に近い「84歳」とした。各グループごとに年齢別の生存率を計算し、何%の人が84歳まで生存できるかを推定した。
その結果、男性では、「10杯以上」の人の同年齢までの生存率は53%で、「3杯以下」の41%を12ポイントも上回った。女性も、「3杯以下」が59%なのに対し、「10杯以上」は69%で、10ポイントの差が出た。
同研究所は、年齢や喫煙の有無など生活習慣の影響を補正した上で、1日の緑茶の摂取量と病気との関係も調べている。これまでに、10杯以上飲む人は、3杯以下の人に比べてがんになるリスクが約4割低いことが分かっている。新たに、心臓病で死亡するリスクを調べたところ、10杯以上の人は3杯以下の人に比べ、男性で約4割、女性で約2割低いことが分かった。
緑茶はがんにも心臓病にも予防効果があるとみる同研究所の中地敬(なかちけい)研究員は、「この2つの病気は日本人の死因の半数近くを占めており、結果として長生きにつながっているようだ」と話す。(朝日新聞 2000/09/30)

がん:免疫力の強弱で発がんに差 NK活性を調査
生体の免疫力の指標の1つである「NK活性」が強い人と弱い人では、がんになる率に2倍近くの差が出ることが、埼玉がんセンター研究所の中地敬さん(がん分子疫学)らの研究で分かった。埼玉県の一般住民約3500人を11年間追跡調査した結果で、4日から横浜市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。免疫力の個人差と発がんリスクとの関係を、一般人の追跡調査で実証したのは世界で初めてという。中地さんは「緑黄色野菜の摂取や適度な運動でNK活性を高めることががん予防につながる」と話している。
NK活性は、免疫をつかさどるリンパ球のうち、ナチュラルキラー(NK)細胞の働きの強さを表す。NK細胞は、がん細胞や感染細胞などを殺す性質をもつことで知られる。
中地さんたちは1986年に、埼玉県内の40〜80歳の男女約3500人から血液中のNK細胞を採取。がん細胞と混ぜて、そのNK細胞が何%のがん細胞を殺すかを調べ、各人のNK活性の強さを求めた。そして、調査に参加した人を97年まで追跡調査し、発がんの有無を確かめた。
NK活性の強さを「高」「中」「低」と3つのグループに分けて分析したところ、「高」と「中」のグループが、がんにかかった率は、女性はいずれも2%、男性は各7%、6%だった。これに対し、「低」のグループは女性4%、男性9%と明らかに高かった。
さらに年齢や喫煙、食習慣などの影響を取り除くと、「低」グループの人は、「高」「中」グループに比べ、男性で約1.7倍、女性は約2倍、がんにかかりやすいという結論が出た。
調査対象者の中で男性の平均年齢が女性より高かったため、全体に男性の発がん率が高くなっている。
NK活性は、緑黄色野菜を多く食べたり、適度な運動で高くなるが、喫煙や肥満で低くなるといわれ、生活習慣に影響される。中地さんは「がん予防のために生活習慣を改善した場合に、その効果の有無を調べる目安にNK活性を使える」と指摘している。【高木昭午】(毎日新聞 2000/10/01)

秋の味覚・きのこの効用 免疫力上げ、かぜ防ぐ
糖尿病など予防の作用も
なべ物、みそ汁、炊き込みご飯にと、秋の味覚キノコは日本人の食生活にしっかり根付いている。そのキノコに、免疫力を上げ、生活習慣病を防ぐ効果のあることがわかってきた。
「米国人が食べている食材は全部で約2000種類なのに対し、日本人は1万2000種類にのぼる」。農林水産省食品総合研究所の鈴木建夫所長は、食材の豊富さが日本の長寿を支える大きな要因と考えている。
実りの秋、食欲の秋を代表する味覚の1つが、キノコ。欧米人が食べるキノコといえば、マッシュルームや最上の珍味として知られるトリュフが有名だが、日本ではキノコ狩りツアーが組まれるほど種類が豊富。ざっと4000−5000種類にのぼる。湿度が高く、山がちなためで、そのうち約100種類が食用になっている。
なべ物に、炊き込みご飯にと、何気なく食べているキノコだが、健康の維持増進や病気予防に大いに役立っていることが、日本を中心にした研究で急速に解明されつつある。

◇ ◇ ◇

日本のがん研究をリードする国立がん研究所は長年、がんの増殖を抑制する食材を探す研究を続けてきた。91年まで同研究所の主任研究官などを務めた池川哲郎さんによると、「色々な食材を試したなかで、食用キノコの抽出物をマウスに食べさせたところ、がんの増殖が驚くほど抑えられた」。
この研究をもとに、抗がん免疫療法剤「レンチナン」が作られた。レンチナンの有効成分は、しいたけに含まれるベータ(β)グルカンと呼ばれるもの。免疫力を高めてがんの増殖を抑える効果がある。味の素と山之内製薬が共同開発し、胃がんの患者に抗がん剤とともに処方されている。
ほかにも、カワラタケからは肺がん・胃がん・大腸がんに有効な「クレスチン」(三共・呉羽化学)、スエヒロタケからは子宮頸(けい)がんに有効な「ソニフィラン」(科研製薬)という免疫療法剤が作られている。
いずれも有効成分はベータグルカンだ。マイタケ、エノキ、ブナシメジといった食用キノコにもベータグルカンが含まれ、免疫力を高めることがマウスの動物実験で確認されている。最近栽培が可能になったハタケシメジ、ハナビラタケ、ヤマブシタケ、それにアガリクス茸の名前でも宣伝されているヒメマツタケは、サプリメント(栄養補助食品)としても人気がある。
免疫力が高まると、かぜをひきにくくなり、花粉症やアトピーといったアレルギー症状の改善にもつながる。
ベータグルカンは多糖類と呼ばれる食物繊維の一種。生のキノコは水分が多いが、干したキノコは半分近くがベータグルカンを含む食物繊維だ。食物繊維は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を防ぐ有力な成分として注目されている。
実際、1日9グラム(約3個)の干ししいたけを食べると、2、3週間でコレステロール値が改善したという実験結果がある。キノコを食べると、生活習慣病の予防も期待できるわけだ。

◇ ◇ ◇

スーパーなどの店頭には、1パック100−200円程度でマイタケやシメジといったキノコが並ぶ。健康維持のためにキノコを食べて免疫力を上げるには、毎日、半パック(生しいたけの場合は90グラム程度)程度は食べたい。煮出してエキス分だけを摂取するのでなく、食物繊維を含むかさや軸も合わせて食べたい。
これからやってくるかぜの季節を元気に過ごすためにも、キノコを上手に活用したい。キノコを直接食べるのは苦手という人や、有効成分をより多く取りたい人は、薬局・薬店やデパートの健康食品売り場などでサプリメントが買える。(『日経ヘルス』編集部)(日本経済新聞 2000/10/07)

全粒穀物製品を食べて脳卒中を予防──ハ−バ−ド大
穀物を精製せず、ふすまをつけたままパンなどに加工した全粒食品を食べていると脳卒中になりにくいことが、ハ−バ−ド大学とボストンのブリガム女性病院の調べでわかった。全粒食品が心臓病を予防することは疫学調査で明らかになっているが、脳卒中の予防にも効果があるとする研究は初めて。
この結果は、9月27日発行の「ジャ−ナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエ−ション」(JAMA)に掲載されている。調査は、看護婦などの医療職に就く女性約7万5000人を対象に行われた。こうした調査は長年継続して行われており、昨年の場合、全粒食品を食べている人は、心臓病になったり心臓病で死亡する割合が低いことを報告している。
今回の調査では、全粒のパンを1日に2.7サ−ビング(1サ−ビングは食パンなら1スライス)食べる人は、全粒食品をほとんど食べない人より虚血性脳卒中にかかるリスクが43%小さかった。
虚血性脳卒中は、血管が詰まって血液が脳に運ばれなくなることが原因で起きる。米国政府は、全粒食品を1日に3サ−ビング食べるようにと栄養指導しているが、実際、多くの米国人は精製された穀類を食べている。全粒食品は、平均して1日0.5サ−ビング食べているに過ぎない。
調査デ−タは、全粒食品の摂取が脳卒中を予防することをはっきりと示した、と研究者たちは結論づけている。「毎日1サ−ビング分を全粒食品に変えるだけでも虚血性脳卒中のリスクが大きく減る」と研究リ−ダ−のシミン・リュウ博士は語る。
なおこの調査では、黒、または褐色のパン、全粒をうたっている朝食用のシリアル、ポップコ−ン、オ−トミ−ル、小麦胚芽、玄米、ブラン、クスクスなどを全粒食品、ロ−ルケ−キ、白パン、パスタ、マフィン、ビスケット、精製材料のシリアル、白米、パンケ−キ、ワッフル、ピザ、などを精製穀粒の食品としている。(日経ヘルス 2000/10/13)

ALS治療薬成分 痴ほう改善に効果
愛知県の研究所発表「記憶障害対策にも」
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所は17日、難病の筋委縮性側索硬化症(ALS)の治療薬として認可されている薬の主成分「リルゾール」を投与すると記憶や認知能力の維持に密接な関係がある脳内たん白質「脳由来神経栄養因子(BDNF)」が増えることが分かったと発表した。
リルゾールを連続投与すると、脳の神経細胞が新生することも確認した。今後、記憶障害や痴ほうの改善、治療薬として期待出来るという。18日から金沢市で開かれる日本神経化学会で発表する。
BDNFは、脳の海馬部分などで、脳神経細胞の分化を促進する役割がある。重度のアルツハイマー病患者は、脳の海馬部分で、BDNFが正常人の2分の1から3分の1に減ってしまうことが知られている。
ラット実験で、体重1キロ当たり、リルゾールを17.5ミリグラム投与すると、BDNFが大幅に増加。水分を含んだ湿重量で、BDNFは、リルゾール投与前に1グラム当たり6、7ナノグラム(ナノは、10億分の1)だったのが、投与後、25ナノグラムに増加した。平均4倍前後になった。同研究所によると、将来的には、知的障害やアルツハイマー病の予防や軽減、治療に役立つという。
リルゾールを主成分とする薬は、せき髄の運動神経細胞が脱落するALSの治療薬として厚生省が一昨年、認可した。ただ、大量服用すると肺などに副作用があることも分かっており、同研究所は直ちに治療には使えないとしている。(朝日新聞 2000/10/18)

緑茶は皮膚ガンを防ぐ
グリーンティー(緑茶、日本茶)を1日に4杯以上飲むと、皮膚ガンを予防する効果がある──。米国の研究者が、これまでに発表された文献をまとめ、雑誌「米皮膚学会誌」(Archives of Dermatology)最近号で報告した。
報告したのは、ケース・ウエスタン・リザーブ大学のサントシュ・カティヤー氏。グリーンティーには抗酸化物質(antioxidant)が豊富に含まれるため、皮膚ガンを予防する働きを持つことが、マウスを用いた実験で明らかにされている。人間に対しても同様の働きを持つと考えられている。
また、グリーンティーには、「エピガロカテキン・ギャレイト」(epigallocatechin gallate=EGCG)と呼ばれるポリフェノールの一種が含まれていて、これが腫瘍細胞を殺すとする研究発表もある。ガン化した細胞に酸素や栄養分を送り込む血管の形成を、ポリフェノールが阻害するからだ。
カティヤー氏は、「これまでに出された疫学的研究と動物実験の結果を総合してみると、1日にグリーンティーを4杯から5杯飲めば、皮膚ガンの予防に役立つと言える。私自身、グリーンティーを1日少なくとも2杯飲んでいるが、これでも予防になると思っている。しかし期待できるのはあくまでも予防効果であり、治療効果ではない」と述べている。
グリーンティーは、紅茶と同じツバキ科の植物から作られるお茶だが、発酵させて作る紅茶と違い、葉やツボミを収穫した直後にスチーム乾燥させる。そのため大量のポリフェノールがそのまま残っている。
マウスに紫外線を当てる実験では、グリーンティーを与えておくか、皮膚にEGCGを塗布しておくと、赤く腫れたり水脹れになるのを防ぎ、初期の皮膚ガンの特徴である細胞分裂が抑えられたという。
最近では、人間の皮膚を直接太陽にさらす実験も行われている。EGCGを塗っておくと、炎症を防ぎ、ガン化のマーカーとなる白血球数の増加が抑えられたとする報告もある。(日経ヘルス 2000/10/27)

骨粗鬆症予防に「たまねぎ」が有望
年をとってから寝たきりになる大きな原因の1つが骨折。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といって、骨の中のカルシウムなどの密度がさがって、骨がすかすかに変化した状態から、骨折を起こす人が多い。
この骨粗鬆症をたまねぎなどの身近な野菜類が防ぐ可能性が出てきた。スイスのベルン大学の研究者たちが、乾燥たまねぎをオスのラットに、1日1gずつ4週間にわたって食べさせたところ、たまねぎを与えなかったラットよりも、骨の密度が3.1%上がったことを確かめた。
たまねぎ、イタリアンパセリ、レタス、トマト、きゅうり、にんにくなどを混合したエサを食べさせても、同じように骨の密度がアップした。
いずれもよく食べられている野菜だ。研究者たちは、「この実験のような効果が人間にも同様にでるならば、たまねぎなどの野菜をふんだんに食べることによって、骨粗鬆症の予防になるかもしれない」とみている。
今のところ、野菜のどの成分が骨の改善に有効なのかはわかっていないが、今後の研究で有効成分が突き止められれば、骨の病気に対する新しい食事法や、薬が開発される可能性もでてきた。
この研究は、同大学のロマン・ムルバウアー氏とフェング・リー氏の2人が行ったもので、国際科学誌「ネーチャー」に報告された。(日経ヘルス 2000/12/07)

タイ伝統のスープ トムヤムクンにがん予防効果
京大など共同研究 タイショウガの作用?
タイ伝統料理のエビ入りスープ「トムヤムクン」にがん予防効果があることが、タイのカセサート大や京都大、近畿大の共同研究で17日までに分かった。
共同研究グループは、タイ人のがんの罹患(りかん)率が、日本人や欧米人に比較して約半分であることから、タイの伝統食材に着目。トムヤムクンなどタイ料理に使われるタイショウガやコブミカンの葉の成分が、皮膚や消化器官のがんを予防する効果があることを動物実験で突き止めた。
研究グループの大東肇京大農学部教授(食品生命科学)によると、発がん性物質を与えたラットに、タイショウガなどから抽出した化合物を長期間与えたところ、がんの抑制効果が確認された。大東教授は「最終的にはさまざまな成分が混ざったスープ自体のがん予防効果も調べたい」と話している。(バンコク=共同)(日本経済新聞 2000/12/18)

コーヒーが膀胱ガンを予防する
喫煙が膀胱がんを誘発することは以前から知られている。ところが、コーヒーを飲んでいる喫煙者は、飲んでいない喫煙者よりも、膀胱がんになリにくいことがわかり、「コーヒーは膀胱がんを予防する」とスペインの研究者が報告した。
報告したのは、マドリードにある「カルロス3世健康研究所」のゴンザロ・ロベスアベンテ博士。同博士らは、497人の膀胱ガンの患者と、健康人1100人を対象に、喫煙とコーヒーを飲む習慣について調べた。
その結果、たばこを吸いコーヒーも飲む、という人は、コーヒーは飲むがたばこは吸わない、という人と比べて、膀胱がんになる割合が3倍だった。
しかし、たばこは吸うがコーヒーは飲まない、という人は、たばこも吸わないコーヒーも飲まない、という人と比べて、膀胱がんになる割合が7倍にもなっていた。
このことから、研究者たちは、「喫煙してもコーヒーを常時飲んでいれば、喫煙だけしている場合よりも、膀胱ガンになるリスクが半分になる」と結論づけた。
コーヒーがどのようにして膀胱がんを予防するかについては良くわかっていない。
コーヒーに抗がん作用のある物質が含まれている、あるいはコーヒーの利尿作用と関係しているなどと、推測されている。(日経ヘルス 2000/12/22)



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