| BACK | HOME | NEXT |
“米帝国論”のシンクタンク
2002年2月1日(朝日新聞)「米帝国論」の震源に“こわもて政策研”
単独行動主義 下支え
「米帝国論」がワシントンで注目されている。震源地は、外交・安保問題の研究所「新アメリカの世紀プロジェクト」(PNAC)。5年前に発足した新参シンクタンクだが、ブッシュ政権の大物が深くかかわり、政策決定に及ぼす影響力は無視できない。イラクや中国に対する強硬策を求めるなど、政権の単独行動主義を思想的に下支えしている。(ワシントン=杉本宏)
対イラク強硬論を進言 「レーガン政策」へ傾斜PNACの創設者は著名コラムニストのウィリアム・クリストル氏。保守系雑誌「ウィークリー・スタンダード」の主幹でもある。設立趣旨書の賛同者には、政権の大物がずらりとならぶ(表)。
設立以来、PNACは政権に影響力のある提言を次々と打ち出してきた。昨年12月にはPNACの発案で、上院のロット共和党院内総務、シェルビー情報特別委員長ら議員9人が、イラクのフセイン政権打倒を求める書簡を大統領に送った。
テレビ番組でPNACの動きについて尋ねられたライス大統領補佐官は「フセインがいなければ、世界はもっと明るいはず」と、賛同するかのような返答をしている。
国防費増大もPNACの持論だ。呼応するかのように、大統領は最近、来年度予算案に480億ドルの増額を盛り込むことを発表した。昨年4月の米中軍用機接触事故の際には、中国側に謝罪して米乗員の引き渡しにこぎつけたことを「国家の屈辱」と批判した。
こうした一連の主張の根底に流れるのが「米帝国論」だ。「軍事力を積極的に行使し、自由や人権、民主主義、資本主義といった米国的価値観を世界に普及させる新保守主義」と、PNACのドネリー副事務局長は説明する。
PNACの思想を、レーガン元大統領の外交・安保政策への回帰とみる向きもある。ブッシュ大統領の29日の「悪の枢軸」演説は、レーガン元大統領が旧ソ連を「悪の帝国」と呼んだのをほうふつさせる。
同じ保守主義でも、敵の敵は味方という故ニクソン大統領流の現実主義とは異なり、米国的価値観を「十字軍」のように広めることを目指す。
「帝国主義」と呼ばれることを嫌うが、「パックス・アメリカーナ(米国支配による平和)」を公然と唱える。クリストル氏と親しいコラムニストのクラウサマー氏は「冷戦終結で米単極構造が出現したのに、クリントン前政権は力を振るうことを躊躇した」と憤る。
「軍事力偏重」中道派は批判 保守派からも反発民主主義や世界への積極関与を重視する点では、中道派の安保論と共通する点もある。だが、クリントン前政権で国防次官補を務めたナイ・ハーバード大教授は、米帝国論は軍事力偏重だと批判。軍事力は、行使よりも政治的影響力に転化させることが大事と説く。
中道派より強く反発しているのが、同じ保守派だ。反グローバル化の新孤立主義を掲げ、大統領選に出馬したブキャナン氏は「帝国ではなく、優しい共和国」になるべきだと主張。伝統的な現実主義外交を説く保守派も「米国が最強といっても米帝論者らがいうほど強くない。コストを考えると、現状の疑似帝国で十分」(ボストン大のバセゴビッチ教授)と話す。
保守派のアメリカン・エンタープライズ研究所のボーマン研究員はPNACの影響力について「ホワイトハウスは聞き耳をたてている。が、PNACは大統領選でマケイン候補を支持した。大統領はだれが敵で味方かを決して忘れないだろう」と分析している。
トーマス・ドネリーPNAC副事務局長「世界に米の原理を」力(パワー)を積極行使するよう政府に働きかけ、米国の原理原則を世界に広めることが目標だ。反民主的な敵は「米国の覇権主義」と批判するが、強大な米国の力を認めざるを得ない。
具体的には、政権内の多くの「友人」と接触するほか、ワシントンの重要人物2500人にニュースレターを出している。
ブッシュ大統領は、米国の過去を恥じるベトナム戦争世代のクリントン前大統領と異なり、米国の指導力を発揮するだろう。だが、(国家間の)力のバランスだけを信奉する現実主義者が政権内にいるので心配だ。
イラクのフセイン政権打倒が望ましいという点では、政権内の認識はほぼ一致している。問題はどう倒すかだ。地上軍を当初から大胆に投入し、反政府勢力のほう起を促すべきだ。
台湾の民主化は、中国文化と民主主義が両立することを示している。中国の体制が変わるまで、安保での対中封じ込めは必要だ。
最近、欧州諸国の対米協力をとりつけることがますます難しくなってきた。この点、日本の対テロ戦での協力は前向きだ。欧州も日本のように成熟して欲しい。
|
2003年3月15日(中日新聞)ネオコン人脈 カネと覇権
米中枢に軍拡ネット
ブッシュ政権中枢を支配し、米国単独でのイラク攻撃も辞さないとする「新保守主義(ネオコンサーバティブ=ネオコン)」派。「力による平和」を唱える最強硬の思想集団だが、その横顔には同国の軍需産業との「血盟」が刻まれていた。“死の商人”のカネと米国による世界規模での覇権拡張という野望の結合に人脈から迫った。(田原拓治)
■『軍需産業は政権そのもの』3月17日にも開戦という見方があった数日前、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビの知人は国際電話でこう語った。
「市民らはなるほど、とうなずいている。というのも、アブダビでは16日から恒例の国際兵器見本市がある。アメリカの軍需産業は出展する最新兵器をイラクで実際使うことで性能を誇示すると考えたからだ」
悪い冗談に聞こえそうだが、あながち簡単に受け流し難い経緯もあった。というのも、1997年に結成された米共和党内のネオコン集団の根城「アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)」が発足声明で「世界規模で米国の責務を遂行しようとすれば、軍事支出を著しく増やす必要がある」と宣言していたからだ。
PNACの設立者の1人はネオコン総帥のアービング・クリストル氏の子息、ウイリアム氏。設立趣意書の賛同者には現在のチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官というネオコンの後ろ盾が名を連ね、同団体からは政権中枢に8、9人が参画している。
91年の冷戦終結は、70年代から「現在の危機委員会」を組織してソ連の脅威をあおり、第2次戦略兵器制限交渉(SALT2)を破たんさせ、さらに80年にレーガン大統領の選挙を準備したネオコンには大打撃だった。それは軍縮の波にもまれる同国の軍需産業にとっても深刻だった。
■NPTも“軽視”「使える核」照準その状況を覆そうというPNACの宣言通り、現ブッシュ政権は軍拡路線を歩む。2001年末には弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を脱退した。核拡散防止条約(NPT)軽視の姿勢もうかがえる。
これらの表裏として、同政権は前者の関連では多層のミサイル防衛システム(MD)開発に乗り出し、後者では従来の抑止力としての核から「使える核兵器」へ傾斜している。
この2つの軍拡の柱を準備したのもネオコンのシンクタンクだった。MD開発では安全保障政策センター(CSP)、核兵器では国家公共政策研究所(NIPP)が主な役割を担った。
NIPPは81年、現在は国防長官補佐官代理を務める核戦略研究者ケイス・ペイン氏が設立した。同団体は一昨年1月「核戦力と軍備管理の論理と必要」と題した報告書を発表。これが同年暮れに国防総省が下院に提出した94年以来の米国の核戦略の見直しである「核体制見直し報告(NPR)」の土台になった。
NPRは「(核兵器の役割に)標的を危険段階で摘み取る選択肢を与える」と「使える核」を強調。NIPPの報告書には、イラク戦での核兵器使用を想定した文脈も含まれている。
同団体からはペイン氏のほか、ロバート・ジョセフ氏が国家安全保障会議、ステファン・キャンボーン氏が国務長官特別補佐官として政権に加わっている。
■ばく大な寄付受けるCSP一方、70年代から政界でネオコンの代表格として活動し現在、国防政策諮問委員長を務めるリチャード・パール氏の盟友フランク・ガフニー氏が88年に設立したのがCSPだ。同団体は設立以来、ロッキードマーチン社やボーイング社など主な米軍需産業から300万ドル(約3億5000万円)以上の寄付を受けている。
その影響力について一昨年11月、ラムズフェルド国防長官は同団体の夕食会でこうあいさつしている。
「(影響力は)今の政権にいるCSP関係者を数えれば分かる。私はいま(国防総省の)スタッフを招集しようとしたが、(大半はこの会場にいるので)翌朝まで待つことにしよう」
同団体内の「国家安全諮問委員会」には包括的核実験禁止条約(CTBT)批准反対派の急先ぽう、ジョン・カイル上院議員や下院軍事調達小委員会議長でMD開発を説くカート・ウェルダン議員がいる。NIPPのペイン氏など、両団体の理事らには双方に籍を置く人物も少なくない。
■『石油』より多い軍需関係者32人ブッシュ政権の軍拡路線をけん引するこうしたネオコン人脈は直接的にも軍需産業と絡んでいる。
最大手のロッキードマーチン社の場合、同社重役で宇宙戦略ミサイル計画担当のチャールズ・クッパーマン氏はNIPP、CSP双方の理事会メンバーを務める。元国防総省職員からCSPを経て、PNACの設立人の1人になったブルース・ジャクソン氏も国防計画分析担当として同社の重役におさまっている。
露骨な例は空軍のジェームズ・ロシェ長官だ。CSP国家安全諮問委員会のメンバーである彼はノースロップ・グラマン社の副社長を務めた経歴がある。
同社は競争各社に出遅れているとされ、新たな政策が頼みの綱でロビー活動に最も積極的といわれる。その成果か、ロイター通信によると、同社のB2爆撃機は今回のイラク攻撃で初めて6機使われる見通しだ。
B2はレーダー探知されにくいステルス機能を持つが維持が難しく、これまで本土ミズーリ州の基地にしか常駐していなかった。しかし、B2爆撃機が12日夜、同基地を飛び立ち、イラク周辺に向かったとの情報が入ってきている。
そのノースロップ・グラマン社の場合、ウルフォウィッツ国防副長官、国防総省のファイス政策次官が顧問、さらにリービー副大統領補佐官は有給コンサルタントを務めていた。3人とも政権内ではネオコン派の代表格として知られる。
このほか、PNAC設立賛同人のチェイニー副大統領の妻、リーネ氏は昨年1月までロッキードマーチン社の役員を務めた。国家安全保障問題担当次席補佐官のスティーブン・ハドレー氏も同社の関係者だ。
■イラク戦想定シナリオ作りブッシュ政権中枢とネオコン・シンクタンク、軍需産業を結ぶネットワークはこうして編みあげられている。その危険は今回、間に合わなかったが、イラク攻撃を想定した前出のNIPP報告書が「低出力核兵器」の開発を促している点でも明白だ。
そこには「地下の生物兵器工場のような堅固な標的に対し、低出力で精密誘導が可能なタイプの核兵器が必要となる」と記されている。CSPも新たなミサイル防衛計画のために核を搭載できる迎撃態勢を整えるべき、と主張している。これらの開発が軍需産業にとって「カネのなる木」になることは言うまでもない。
軍事経済学の専門家で米国で世界政策研究所(WPI)を主宰するウイリアム・ハートゥング氏は昨年6月、米「ネーション」誌に寄稿した論文で「軍需(核兵器)産業はブッシュ政権にロビー活動をする必要がない。なぜなら、かなりの程度まで彼らは政権そのものだからだ」と看破した。
WPIの調査によると、元来、石油・エネルギー産業との癒着が指摘されたブッシュ政権だが、その政権内関係者21人に対し、軍需産業との関係者は32人にも上るという。
2003年5月2日(朝日新聞)ブッシュのアメリカ ネオコンの系譜
奇妙な思想混合体
保守と革新。力の信仰とユートピア。米政治の潮流である新保守主義(ネオコンサーバティブ、略してネオコン)は、20世紀が生んだ思想の奇妙な混合体だ。その系譜を読み解く。(ワシントン=三浦俊章)
重鎮、冷戦を機に「転向」ワシントンの高級ホテルの宴会場に1400人の正装した男女が集っていた。今年2月26日。スーツで駆けつけたプッシュ大統領は、「服装規定違反を見逃してくれてありがとう。アーピング・クリストルが『おれはこいつを知っている。入れてやれ』と言ったんだ」。会場は笑いに包まれた。
アーピング・クリストル氏(83)は、米外交を牛耳るネオコン(新保守主義)の「ゴッドファーザー」と呼ばれる。この日の夕食会は、彼の名にちなんで、政治、政策に優れた業績をあげた人物に授与される「クリストル賞」の第1回受賞記念行事だった。夕食会で、大統領は、イラクの民主化が中東全体を安定させるというネオコンの主張に沿う方針を発表した。
クリストル氏ほど20世紀の米思想界の振幅の大きさを示す人物はいない。両親は貧しい東欧系のユダヤ人。30年代の大恐慌下に学生時代を送った同氏は、人間の善悪や社会の不正をめぐる思想を過激化させていき、世界革命を主張するトロツキー主義者だった。しかし、純化し過ぎたインテリの思想は、やがて大衆の現実の姿に幻滅する。第2次世界大戦が終わり冷戦が始まると、ソ連を攻撃する反共スポークスマンと化した。
クリストル氏らに浴びせられた悪口が「ネオコン」だ。「ネオ(新)」とは、「転向」に対する批判が込められていた。
昔ながらの保守は批判政界でも時を同じくして、リベラルの転向が進んでいた。源流は、ワシントン州選出、民主党の故ヘンリー・ジャクソン上院議員(上院在職53〜83年)。緊張緩和政策に一貫して反対。ペトナム戦争をきっかけにハト派の傾向が強まった70年代の民主党で、ソ連との対決を強硬に主張したタカ派だ。考え方は、ソ連を「悪の帝国」と呼んで対決姿勢を強めた共和党のレーガン元大統頒(在職81〜89年)とそっくり。リチャード・パール国防政策諮問委員らネオコンの論客には、ジャクソン議員の下でスタッフを経験した人物が多い。
「私も若い時はリベラルだった。ほんとうはジャクソン流民主党員と呼ばれたい」とパール氏。
ネオコンに、一番辛辣(しんらつ)な批判を浴びせるのは昔ながらの保守主義者だ。
「ネオコンが目指すのは、外国に介入する『帝国』だ。米国が目指してきたのは中央政府の力を限定した『共和国』のはずだ」。そう言うのは、故ニクソン大統頒の側近で、大統領選予備選にも出馬したことのある右派の評論家パット・ブキャナン氏。「冷戦時代に民主党からの転向者を歓迎していたら、連中に共和党を乗っ取られてしまった」と嘆く。保守派内の対立は激烈である。
「権力に寄生」評論家は指摘米国の右派の動きに詳しいジョージタウン大のクライド・ウィルコックス教授は「ネオコンが米国を席巻しているという見方は誇張だ」と言う。
たとえば、同じ右派勢力でも、キリスト教右派は米国民の13%を占めているが、ネオコンは大学、シンクタンクなどにいる知識人の集まりで、社会のごく小さな部分に過ぎない。「父親が残したイラク問題に固執していた大統領が、テロ後、イラク攻撃を唱えるネオコンの主張に耳を傾けたことが大きい。だれが大統領か、どちらの政党が多数派かで、ネオコンの影響力はまったく異なるだろう」
プキャナン氏も言う。「外交政策論では支配的風潮だが、実際に権力を握っているわけではない。権力者への助言者の役割、つまり権力に奇生しているだけではないか」
保守ではなく左翼 外交への影響懸念ポストン大教授(米外交論)
アンドリュー・べースビッチ氏ネオコンは保守ではない。もともとは、米国では「冷戦リベラル」と言われる左翼だ。トルーマン、ケネディら民主党の大統領が典型だが、国内政治では「大きな政府」を唱え、進歩的だが、外交政策では、旧ソ連と力で対決、介入主義をとる。
ところが60、70年代、米国のリベラルは冷戦に背を向け、(介入主義への)反対姿勢を強めた。ネオコンは、これでは米国のパワーが崩壊してしまうと危機感を抱いて、民主党から分派した人たちだ。
ほんとうの保守は、歴史に対する悲劇的な感覚を持つ。歴史の進歩を簡単に信じない。人間は誤りやすい存在で、その誤りをどう防ぐかということを考える。また、政府は人間の自由を侵す敵だと考える。
しかし、いまネオコンがやっているのは、米国的価値観を外国に押しつけることだ。これは過激思想であり、ユートピア思想だ。保守ではなく、左翼だ。米外交はもっと軍事力を使うようになり、野心的に介入するようになり、最後には自らの力を使い果たしてしまうのではないかと恐れる。失敗するように運命づけられていると思う。外国からの反発は避けられない。同時多発テロ自体が、米国への反発の一種だったことを忘れてはなるまい。
だが、米国人は、成功や勝つことが大好きだ。ネオコンの政策がうまくいっているように見える限り、現在の単独行動主義や軍事力偏重の路線は続くだろう。障害にぶつかって失敗しない限り、ネオコンの隆盛は止まりそうもない。
【関連資料1】
PNACが97年6月に出した活動開始声明(佐藤雅彦=訳)
「米国の新世紀のためのプロジェクト」(Project for the New American Century. 略称 PNAC)
綱領宣言
1997年6月3日
アメリカの外交および防衛政策は目標を見失って漂流している。保守主義者たちはクリントン政権の一貫性を欠いた政策を批判してきた。クリントン政権は仲間うちの誘いに乗って衝動的に孤立主義へと向かう動きを示してきたが、これにも抵抗してきた。だが保守主義者たちも世界のなかのアメリカの役割についての戦略的な展望を、確信をもって発展させるには至っていない。保守主義者たちはいまだアメリカの外交政策を指導していける基本原則を示すことができていないのだ。保守主義者たちはこれまで、戦術の一致にむける努力を放棄してきたために、戦略目標で合意をつかむ可能性をみすみす逃してきた。しかも保守主義者たちはこれまで、アメリカの安全保障を維持し、アメリカの利益を新たな世紀にむけて前進させるための予算の獲得を真剣に行なってこなかった。
我々はこれを変えていくつもりだ。我々はアメリカの地球規模のリーダーシップを声高に主張し、支持を盛り返していくつもりだ。
20世紀が終わろうとしているいま、合衆国は世界で群を抜く強国の位置を占めている。しかし西側世界を冷戦で勝利にみちびいた結果、アメリカは好機ばかりでなく試練にも直面している。合衆国は過去数十年の業績のうえに築くべき展望を有しているのだろうか? 合衆国はアメリカ流の原則と利益にとって好ましい新世紀を作り出していくための決意を有しているのだろうか?
我々は好機を無為に逃して挑戦すべき課題をやりそこねてしまう危機をいま抱えている。いまの我々は、過去の政府が成し遂げてきた──軍事投資と外交的達成の賜物である──元手を食い潰しているのだ。現在の外交支出と防衛支出の削減、国政術のための様々な道具への無関心、そして指導者のきまぐれのせいで、世界中でアメリカの影響力を維持することが困難になりつつある。しかも短期的な商業的利益に目が眩んで、戦略的配慮を無に帰してしまう恐れも生じている。その結果、我々はこの国が現存するさまざまな危機に立ち向かい、このさき現われるであろう更に大きな試練に対処していくための能力を、危機に追い込んでいるのだ。
我々はレーガン政権に成功をもたらした数々の基本的要素を忘れてしまったのではないか。つまり、現今および将来の試練に対処できるような強大で即応能力を持った軍事力と、アメリカ流の原則を外国において大胆かつ決然と推進していく外交政策と、合衆国の地球規模での責任を受けとめることができる国家的指導性を、忘れてしまったのではないか。
むろん合衆国は自らの力をどのように行使するかについて分別ある態度を備えていなければならない。だが、地球規模での指導性や、その実行にともなう犠牲を避けていては我々の安全は得られない。アメリカは欧州・アジア・中東の平和と安全保障を維持するうえで死活的に重要な役割を有している。我々が自らの責任を回避するようなことがあれば、我々の根本的な利益を危うくするような試練を招いてしまうことになる。20世紀の歴史から我々は学ぶべきなのだ。危機が出現するまえに環境を整え、脅威が恐るべき状態に達するまえに、それに立ち向かうべきであると。20世紀の歴史から我々は学ばねばならない。アメリカ流の指導性という大義を、我々が抱いていくことの重要性を。
我々の日的は、アメリカ国民にこうした教訓を思い知らせるとともに、これらの教訓から今日の情勢にかなった行動目標を引き出すことである。行動目標は、以下の4項目だ。
1 もし我々が、今日における自らの地球規模での責任を果たし、そして我々の将来に向けて軍備を改善増強しなければならないのならば、我々は防衛のための軍事支出を大幅に増強する必要がある。
2 我々は、民主的な同盟諸国との絆を強める一方で、我々の利益や価値観に敵対する政権に挑戦していく必要がある。
3 我々は、国外で政治的・経済的自由の大義を増強していく必要がある。
4 我々は、我々の安全保障と繁栄と原理原則を歓迎するような国際秩序の維持拡張をしていくうえで、アメリカだけが勝ち得た唯一無比の役割を果たしていくという責任を引き受ける必要がある。
軍備増強と道徳的明快さを旨とするこうしたレーガン主義の政策は、今日では時代遅れのようにみえるかもしれない。だが、幕を閉じようとしている20世紀に達成した成功をいしずえにして合衆国を建設し、きたるべき21世紀にも我々の安全保障と偉大さを確保していくには、これが必要なのだ。
・エリオット・エイブラムズ
[元米国務次官補(レーガン政権)、米国国際宗教自由委員会委員長、米国倫理社会政策センター所長]
・ゲイリー・バウアー
[レーガン政権のホワイトハウス政策開発局長]
・ウィリアム・J・ベネット
[元教育長官(レーガン政権)]
・ジェブ・ブッシュ
[小ブッシュの弟、現職フロリダ州知事(1998年11月から)]
・ディック・チェイニー
[元国防長官(大ブッシュ政権)、小ブッシュ政権の副大統領]
・エリオット・A・コーエン
[ジョンズホプキンズ大学教授、小ブッシュ政権の国防長官諮問機関・国防政策委員会メンバー]
・ミッヂ・デクター
[元マルクス主義者だが現在はヘリテージ財団理事で「アメリカの価値観」復権を唱えるイスラエル擁護文化人]
・ポーラ・ドブリャンスキー
[小ブッシュ政権の国務次官(国際間題担当)]
・スティーヴ・フォーブズ
[フォーブス社会長、1996年と2000年に大統領選に共和党に出馬し敗北]
・アーロン・フリードバーグ
[『繁栄の限界:1895年〜1905年の大英帝国』を著したプリンストン大学教授]
・フランシス・フクヤマ
[『歴史の終わり』などの著作で知られるCFR(外交問題評議会)メンバー]
・フランク・ガフニー
[元国防次官補(レーガン政権)、現在は民間団体「安全保障政策センター」所長で統一教会系『ワシントンタイムズ』コラムニスト]
・フレッド・C・イクレ
[元国防次官(レーガン政権)、戦略国際問題研究所メンバー、外交問題評議会メンバー]
・ドナルド・ケイガン
[PNAC創設者、イェール大学教授]
・ザルメイ・ハリルザド
[元国務省職員(レーガン政権)、国防次官代理(大ブッシュ政権)、石油会社ユノカル相談役、小ブッシュ政権のアフガニスタン特使]
・I・ルイス・リビー
[小ブッシュ政権の副大統領補佐官]
・ノーマン・ポドホレッツ
[元『コメンタリー』誌編集長、元情報庁・新政策諮問委員会議長(レーガン政権)、外交問題評議会メンバー、ハドソン研究所メンバー]
・ダン・クウェイル
[元副大統領(大ブッシュ政権)]
・ピーター・W・ロドマン
[小ブッシュ政権の国防次官補(国家安全保障担当)]
・スティーヴン・P・ロウゼン
[ハーヴァード大学教授]
・ヘンリー・S・ロウエン
[元国家諜報会議・議長(レーガン政権)、元国防次官補(大ブッシュ政権)]
・ドナルド・ラムズフェルド
[元国防長官(フォード政権)、小ブッシュ政権の国防長官]
・ヴィン・ウェーバー
[元共和党下院議員、「エンパワー・アメリカ」共同設立者]
・ジョージ・ウィーゲル
[「倫理と公共政策センター」元総裁で現在は同センター“宗教とアメリカ民主主義”議長]
・ポール・ウォルフォウィッツ
[元ジョンズホプキンズ大学学長、元国務次官補(東アジア太平洋担当、レーガン政権)、国防次官(大ブッシュ政権)、小ブッシュ政権の国防副長官]
(出典:「PROJECT FOR THE NEW AMERICAN CENTURY」Statement of Principles なお、各メンバーの肩書きは訳者が付け加えた)【江原注:翻訳出典=鹿砦社刊『スキャンダル大戦争4』、佐藤雅彦「ブッシュにおまんこを突きつけろ! いまなぜ“全裸反戦デモ”なのか」】
【関連資料2】
保守系のアメリカ“帝国主義”パワーエリート集団PNACが98年1月にクリントン大統領に提出した“サダム・フセイン排除”勧告(佐藤雅彦=訳)「米国の新世紀のためのプロジェクト」(Project for the New American Century. 略称 PNAC)
1998年1月26日
ウィリアム・クリントン閣下
合衆国大統領
ワシントンDC拝啓、大統領閣下
我々は、現今のアメリカの対イラク政策が成功しておらず冷戦の終結以来未曾有の危機にまもなく直面すると確信しており、それゆえ今回、貴殿に一筆啓上いたします。まもなく貴殿は一般教書演説を行ないますが、そのなかでこの脅威に対処する道筋をはっきりと断固たる態度で示すべきです。我々は貴殿に、この機会を活用し、合衆国とその世界中の友邦および同盟国の利益を確保するための新たな戦略を宣言するよう強く促します。その戦略は、なによりもまずサダム・フセイン体制から権力を奪うものでなければなりません。この困難ではあるが欠くことのできない試みを、我々は喜んで全面支援いたしましょう。
サダム・フセインを“封じ込める”政策は過去数ヵ月で着実に衰退してきました。最近の事態から明らかなようにサダムは国連査察を阻んだりはぐらかしているのが実情であり、我々はもはや湾岸戦争当時の連合国のパートナーたちに頼って彼を罰したり制裁を続けることはできない状態になっています。サダム・フセインが大量破壊兵器を製造できないように確実な対策を打つ能力は、それゆえ実質的に減少してしまったのです。全面的な査察が再開される望みは今のところ絶望的ですが、たとえそれが再開できても、イラクの化学および生物兵器の製造実態を監視することが不可能とまではいえないにしても困難であることは、経験上明らかです。査察が継続していればイラクの多くの施設に立ち入ることができたでしょうが、長期にわたる中断でそれができなくなったせいで、サダムの秘密を完全に暴露するという望みはほとんど絶望的となりました。その結果、とおからず我々は、こうした兵器を有しているか否かについて理に適った確信をもって判断することが不可能になるのです。
こうした不確実性を抱えること自体が、中東全体を動揺させる深刻な影響をもたらすのです。我々が現在の路線を続けていけば、サダムは確実に大量破壊兵器の運搬能力を獲得するでしょうが、万一そうなったら現地にいる米軍部隊やイスラエルおよびアラブの穏健諸国のような友邦国や同盟国の安全と、世界の石油供給のかなりの部分が、すべて危険にさらされるでしょう。賢明にも大統領閣下がすでに宣言されていることですが、21世紀初頭の世界の安全保障は、我々がこの脅威にどう対処するかにかかっているといってよいでしよう。
脅威の重大性をかんがみ、現在の、すなわち我々と同盟関係にあるパートナーたちの不動の信念やサダム・フセインとの協力関係を当てにして成功を期待するという政策は、不十分でまったく危険です。唯一受け入れ可能な戦略は、イラクが大量破壊兵器を用いたり、用いるといって脅してくるような可能性を根絶することです。短期的な観点でいえば、外交手段による解決が明らかに失敗しつつある以上、軍事行動の着手を厭わないことを指しています。長期的な観点でいえば、サダム・フセインとその政府から権力をはぎ取るということです。いまこそこれをアメリカの外交政策の一大目標にする必要があるのです。
我々は、貴殿がこの目標をはっきりと表明し、貴殿の政権がサダムの政府から権力を取り去るための戦略実行に専心することを強く促します。そのためには外交・政治・軍事面の奮闘を全面的に補完することが必要になってきます。この政策の実施に困難と危険がともなうことは充分に承知していますが、これを実行せぬまま招きこんでしまう危険性のほうがはるかに大きいでしょう。我々は、現今の国連決議のもとでも合衆国は必要な手段に踏み出せる権能を有していると確信しています。つまり湾岸地域における我々の死活的権益を守り抜くために、軍事的手段をも含んだ各種の必要手段を実施できるということです。とにかく国連安全保障理事会が満場一致で決めたからという理由で、間違った方針にしがみつき、そのあげくにアメリカの政策が無能力のまま続いていくことは許容できないのです。
我々は、貴殿が断固たる態度で行動に移すことを強く促します。貴殿がいますぐ行動して合衆国やその同盟国を狙った大量破壊兵器の脅威を終わらせることができれば、この国の安全保障にとって最も根本的な利益にかなった行動となるのです。しかし我々が優柔不断な態度で流れに身をゆだねていれば、自らの利益と未来を危険にさらすことになるのです。
敬白
・エリオット・エイブラムズ
[元米国務次官補(レーガン政権)、米国国際宗教自由委員会委員長、米国倫理社会政策センター所長]
・リチャード・L・アーミテージ
[元国防次官補、小ブッシュ政権の国務副長官]
・ウィリアム・J・ベネット
[レーガン政権下の国立人文学振興基金総裁、大ブッシュ政権下の国家薬物取締政策局長]
・ジェフリー・バーグナー
[ハドソン研究所理事、アジア財団理事、元リチャード・ルーガー上院議員補佐スタッフ]
・ジョン・ボウルトン
[小ブッシュ政権の国務次官]
・ポーラ・ドブリャンスキー
[小ブッシュ政権の国務次官(国際間題担当)]
・フランシス・フクヤマ
[『歴史の終わり』などの著作で知られるCFR(外交問題評議会)メンバー]
・ロバート・ケイガン
[レーガン政権時代の国防省職員・国務長官付き演説作家・米国情報庁副長官特別補佐、ルパート・マードック社の保守系論壇誌『ウィークリー・スタンダード』編集]
・ザルメイ・ハリルザド
[石油会社ユノカル相談役、小ブッシュ政権のアフガニスタン特使]
・ウィリアム・クリストル
[PNAC創設者、元副大統領補佐官(レーガン政権)、ルパート・マードック社の保守系論壇誌『ウィークリー・スタンダード』編集長]
・リチャード・パール
[小ブッシュ政権の国防長官諮問機関・国防政策委員会・委員長]
・ピーター・W・ロドマン
[小ブッシュ政権の国防次官補(国家安全保障担当)]
・ドナルド・ラムズフェルド
[元国防長官(フォード政権)、小ブッシュ政権の国防長官]
・ウィリアム・シュナイダー・ジュニア
[元国務次官(レーガン政権)、小ブッシュ政権の国防長官特別顧間]
・ヴィン・ウェーバー
[元共和党下院議員、「エンパワー・アメリカ」共同設立者]
・ポール・ウォルフォウィッツ
[元ジョンズホプキンズ大学学長、国防副長官]
・R・ジェイムズ・ウルジー
[元CIA長官]
・ロバート・B・ゼーリック
[元国務次官、小ブッシュ政権の合衆国通商代表部代表]
(出典:「PROJECT FOR THE NEW AMERICAN CENTURY」Letter to President Clinton on Iraq なお、各メンバーの肩書きは訳者が付け加えた)【江原注:翻訳出典=鹿砦社刊『スキャンダル大戦争4』、佐藤雅彦「ブッシュにおまんこを突きつけろ! いまなぜ“全裸反戦デモ”なのか」】
【関連資料3】
![]() |
![]() |
![]() Source: Santino in America |
【関連記事】
戦場知らぬタカ派たち
ニューハンプシャー・ガゼット紙は、契約購読者わずか750人の小さな隔週新聞である。ところが、紙面とホームページで始めた企画のおかげで、米国内はおろか、中東などの海外メディアからも注目されるようになった。「臆病なタカ派たち(chickenhawks)。どぎつい見出しが掲げられた一覧表には、正副大統領を筆頭に、政治家や政府高官、マスコミ人などの名前が並び、病気や州兵応募など徴兵を逃れた事情が添えられている。対イラク戦を唱える有力者の大半が戦争体験を持たないことを示すためにつくったデータベースだそうだ。「軍服を着たことのない人は戦争を語る資格がない、なんて言うつもりはない。信念で徴兵を忌避した人もいるだろう。ただ、勇ましいことを言っている人の多くが、戦争の怖さを肌身で知らない。これは、おかしな現象だと思った。」スティーブン・ファウル編集長が企画を始めた理由を説明してくれた。
この夏以来、国防総省の文民高官やホワイトハウスの一部の性急な戦争のかけ声を戒めてきたのは、野党の政治家やリベラル派の論客よりも、むしろ、元軍人たちだった。「頭の中ではなく、ジャングルで頭を吹っ飛ばされた兵士の霊を思い浮かべながら、戦争を語りたい」「そこまで言うなら、パール氏(対イラク最強硬派の国防政策諮問委員長)が、バグダッド急襲部隊の先頭に立てばいい。」ベトナム帰りのヘーゲル上院議員(共和党)の発言である。
「戦争という最後の手段に訴えるのは、慎重の上にも慎重を重ねなければならない」と繰り返してきたのは、イラクを知り尽くした男、ジニ元中央軍司令官。政権で戦争に最も慎重なパウエル国務長官は、湾岸戦争時の統合参謀本部長だった。
こんな風景に、ニューヨーク・タイムズ紙は「かつては文民政権に対する軍人のクーデターを恐れたものだ。いまは軍人に対する文民クーデターの方が心配だ」と書いた。
タカ派も黙ってはいない。ブッシュ大統領も著書を愛読しているジョンス・ホプキンス大学高等国際問題大学院のコーエン教授は反論した。「軍人は作戦の立案にはすぐれている。だが、国家安全保障政策の立案で文民よりも懸命だという証拠はどこにもない。戦争と平和の問題をめぐって、元軍人の声にことさら耳を傾けなければならないということはないのだ」
ただ、ワシントンには「ベトナム」の時のようなタカとハトの激突はない。武力行使容認決議もあっさり議会を通った。むしろ、バグダッド陥落後のイラク再建にどこまで関与するかをめぐるタカ派同士の対立の芽の方が、話題を呼んでいる。
「徴兵制のあったベトナム戦争当時、戦争はだれにとっても生死の問題だった。もし、いま、徴兵制があったら、イラク戦争に反対する声は5倍は高まっていただろうね」。ベトナムで2年間過ごしたファウル編集長はそう語った。(アメリカ総局長 西村陽一「風−ワシントンから」)(朝日新聞 2002/11/17)ネオコンと連帯する宗教右派
昨年11月24日の日曜日、テキサス州南部サンアントニオのキリスト教会は、異様な熱気に包まれていた。テレビ伝道師のジョン・ヘイギー師(62)が壇上で、ドスのきいた声を響かせる。「フセイン(イラク大統領)よ、よく聞け。ホワイトハウスにいるテキサス人(ブッシュ大統領)が、おまえを必ず引きずり降ろす」。会場を埋めた6000人の聴衆は総立ちとなり、拍手と歓声が渦巻いた。
主催した教団「コーナーストーン教会」は信者数1万7000人と小規模だが、集会の模様は全米110のテレビ局で放送された。設立者のヘイギー師は、ブッシュ大統領がテキサス州知事時代に親交を持った実力者だ。この集会は「イスラエルをたたえる夜」と題し、毎年開かれているもので、昨年は、さながら「フセイン打倒決起集会」の様相を呈した。
同教団はイスラエルの右派政党リクードとの関係が深く、聖書を厳密に解釈する福音主義派(キリスト教原理主義)に属する。同党のネタニヤフ外相(元首相)は過去2回、集会に出席している。
ヘイギー師は「聖書は、エルサレムがユダヤ人に与えられた『約束の地』としている。米国のキリスト教徒は預言を実現させる責任がある」と語る。ヘイギー師はユダヤ系ではないが、自らシオニスト(ユダヤ民族主義者)と称し、旧ソ連圏などのユダヤ人をイスラエルに移住させる運動を熱心に展開する。
旧約聖書の「出エジプト記」(Exodus)にちなみ「エクソダス2」と呼ぶこの活動に過去3年で370万ドル(約4億4000万円)の募金を集め、約1万人の移住に貢献してきた。◆ ◆ ◆ 福音主義派は近年、米国で勢力を伸ばし、全米の信者は7000万人前後とされる。同派を含むキリスト教右派の政治団体「キリスト教徒連合」(クリスチャン・コアリション)は会員数200万人とも言われ、政治への強い影響力を持つ。99年春、大統領選の準備を進めていたブッシュ陣営は、同団体のラルフ・リード元事務局長を選対顧問に迎え入れた。
テキサス州のジャーナリスト、ルー・ドゥボースさん(53)は「選挙における宗教右派の力は無視できない。リード氏の存在自体が信者に訴えかけた」と語る。大統領選でのブッシュ氏への投票の3〜4割が福音派の票だった、というのが定説だ。
01年1月22日、就任3日目のブッシュ大統領は、海外で中絶を伴う家族計画を支援する米団体への援助を禁止する政策を発表した。「中絶反対」は福音派の活動の大きな柱であり、この発表は選挙支援への「お礼」とも受け取られた。
同時多発テロ後の米国内の動きについて、イスラエル高官は「約500万人のユダヤ系人口にキリスト教右派の7000万人が加わり、(親イスラエル勢力が)大きく膨れ上がっている」と解説する。この連帯に、イスラエル中心の中東再編を目指す新保守主義者(ネオコン)が加わり、イラク攻撃をあおる三位一体の構図が浮かび上がる。
バージニア軍事研究所のクリフォード・キラコフ教授は「内政分野にしか関心がなかった宗教右派の議員らに、外交面での知恵を授けたのはネオコンだった。ネオコンとキリスト教右派の協力体制が確立されて政治的な影響力が強まった」と語る。◆ ◆ ◆ 一昨年9月11日、同時テロが起きた日の夜、ブッシュ大統領は「彼ら(犠牲者)が、誰よりも偉大な力により慰められるよう祈る」と国民に語りかけ、旧約聖書の一節を引用した。
死の陰の谷を行くときも
私は災いを恐れない。
あなたがわたしと共にいてくださる。「ダビデ(古代ユダヤの王)の祈り」を収めた詩編の一部だった。キリスト教の熱心な信者とされる大統領の発言には、テロ後、「我々の使命」「全能の神」などの言葉が目立つようになった。
ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は昨年11月14日、イタリア国会で演説し「キリスト教は和解の宗教だ。対決の論理のとりこになってはいけない」と訴えた。テロ後、寛容の精神を失いつつある米宗教界への警告とも受け止められている。【「民主帝国」取材班】=つづく◇福音主義派
聖書に絶対的な権威を置くプロテスタントの流派で、霊的体験から突然、宗教心に目覚めたという信者が多い。特に、米国南部で「レッド・ネック」(日焼けした首)と呼ばれる貧しい白人層に浸透。人間は神によって造られたとして進化論教育に反対、中絶にも強く反対している。中絶を行う医師が、福音派を含む宗教右派に殺害される事件も起きている。(毎日新聞 2003/01/06)ブッシュの取り巻きが5年前から計画していた「フセイン暗殺」
中東全域支配の突破口
5日、パウエル米国務長官が、国連にイラクの違法行為を裏付ける情報を提出し、「正々堂々とイラクを攻撃する」シナリオを描くブッシュ政権──。だが、ブッシュ大統領の取り巻きの超保守派閣僚らが、5年も前からイラク攻撃の時期を虎視眈々と狙っていたことを示す文書が明らかになった。「フセイン抹殺ありきで、国連による査察はどうでもいいこと」だったのである。
この文書は「フィラデルフィア・デイリー・ニューズ」のウィリアム・バンチ記者がスッパ抜いたもので、1998年1月、超保守派グループ「プロジェクト・フォア・ザ・ニュー・アメリカン・センチュリー」(PNAC)に属するチェイニー(現副大統領)、ラムズフェルド(国防長官)、ウルフォウィッツ(国防副長官)、アーミテージ(国務副長官)らがクリントン大統領(当時)に送り付けた書簡だ。
〈大統領閣下、アメリカおよびその同盟国の権利を守るために、今こそ確固たる措置をとるよう訴える。新戦略とはサダム・フセインを権力の座から引きずり降ろすために、ありとあらゆる手段をとることである。危機が現実のものとなる前に先手を打ってこちらが先制攻撃を仕掛け、事前に危機を取り除く。たとえ同盟国が反対しても、やる時には一気呵成に実行に移すのが超大国アメリカの責任である〉
さすがにクリントンは耳を貸さなかったが、ブッシュが当選するや、PNACの面々は外交、軍事政策立案の表と裏に配置された。
チェイニー、ラムズフェルドはじめほとんどが米石油企業との腐れ縁を持つ連中で、世界第2の埋蔵量を誇るイラクの石油が狙いであることは明らかだが、それだけではない。フセインを抹殺し、イラクに親米政権を打ち立てれば、ドミノ方式にサウジアラビアやシリアの民主化も進み、パレスチナもイスラエルとの戦闘をやめ、中東全体の主導権を握れるという戦略なのである。
9.11直後、ラムズフェルドは国防長官室で「敵はビンラディンではない。サダム・フセインを攻撃するに十分な情報をどんどんよこせ」と側近に指示したのは、これを裏付ける証拠だ、とバンチ記者は分析している。(日刊ゲンダイ 2003/02/05)ref. Invading Iraq not a new idea for Bush clique 4 years before 9/11, plan was set
(Philadelphia Daily News 2003/01/27)ref. Letter to President Clinton on Iraq(PNAC) 米政権「ネオ・コン」の手口と危険思想
ブッシュ帝国のイラク占領作戦はつまずき、「3週間の短期決戦で米国の反戦派を黙らせる」との計算が狂っている。しかも、バグダッド市街戦の悲惨さや各地の部族間の内乱と反米闘争継続で、戦後のイラク民主化と中東安定はホゴとなる。なにしろ、「開戦時に圧倒的軍事力を見せつけると、イラク国民はサダムを見捨てて、米軍になびく」という夢物語の作戦だった。
ブッシュ作戦のつまずきは昔から傲慢な帝国主義侵略者の弱点による。帝国日本の中国侵略のように敵を過小評価し、自分の無知を身勝手な想像で埋め合わせる。
ブッシュは、チェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官、ウォルフォウィッツ国防副長官、パール前国防政策委員長などがこれまで12年間夢見てきた「アメリカ軍事帝国」の青写真を丸のみした。ブッシュも含めて彼らはキリスト教原理主義と白人至上主義の偏狭な国粋右翼であり、米国では「ネオ・コン」と蔑みのあだ名がある。
ネオ・コンのコンは「保守」と「前科者」また「詐欺師」との掛け言葉でもある。
拙著「アメリカのゆくえ、日本のゆくえ」でブッシュ帝国主義の暴発を警告したが、ネオ・コンの源流は40年ほど前になる。それまでは東部の富裕な中道穏健派が共和党の主流で、内向きの保守政治を好んでいた。しかし、その後南部や西部の石油成り金や中小企業主の国粋保守派の白人たちに占領された。
彼らは使用人以外の有色人種を嫌い、民主的市民連帯の内外策を敵視する。民主主義の騎士を気取るが、保守反動で言論の自由、妊娠中絶、人種平等そして国際協調を拒否し、自分たちの偏見を「神の教え」と正当化する。ワシントン・タイムズ紙やフォックス・ニューズテレビなどの御用メディアを使い反対者を潰すのには手段を選ばない。「テロ奇襲の後ろ盾がサダム・フセイン」とのブッシュの大ウソなどネオ・コンの手口である。この大ウソを信じたのが米国民の半分と小泉首相である。
米ソ対立冷戦時代にはソ連に先制攻撃も辞さずとのぼせていた者が今はブッシュの側近となっている。彼らは内向きの伝統的保守と違い、米国の世界的覇権拡大には軍事力の活用を当然とする。このために、イラクに独断侵略し、大勝利で米国民のベトナム後遺症の厭戦気分を払拭し、大量破壊の新兵器を実験し、石油と軍事基地を確保する。イラクの「沖縄化」である。
それなのに、日本国民よりも米国のネオ・コン政権に奉仕するのが小泉自公保与党なのである。【霍見芳浩のニッポンを斬る】(ニューヨーク市立大教授)(日刊ゲンダイ 2003/04/02)米、7カ国攻撃計画 クラーク氏、著書で暴露
【ニューヨーク25日共同】イラクを皮切りに計7カ国を攻撃─。米中枢同時テロ直後にブッシュ政権が計画した軍事行動の一部を、北大西洋条約機構(NATO)のウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官が来月出版する本で明らかにした。ロイター通信が報じた。
同時テロ2カ月後の2001年11月に国防総省高官が同氏に対し、ブッシュ政権がイラク攻撃とフセイン元大統領を打倒した後、テロ支援国家と指定した国を5年がかりで武力攻撃する計画を示したという。
イラクを除く対象国はシリア、レバノン、リビア、イラン、ソマリア、スーダン。
クラーク氏は著書の中で、計画は「これらの国からテロが発生するとの単純な考え」として、「大きな過ち」と批判。イラク戦争についても現場の軍人を称賛する一方で「戦略上では過ちを犯した」と政権を暗に批判した。
クラーク氏はNATOの司令官として1999年のユーゴスラビア空爆作戦などを指揮。2004年米大統領選の民主党候補指名争いに名乗りを上げている。(共同通信 2003/09/25)イラク戦争は7か国攻撃計画の一部…元NATO司令官
【ニューヨーク=河野博子】米国は5年がかりでイラクなど7か国を攻撃する計画──。2004年米大統領選の民主党候補者指名に名乗りをあげたウェズリー・クラーク元北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍最高司令官(58)が、近く出す本の中で、イラク戦争は、現政権が米同時テロ直後に計画した7か国への軍事行動の一部だった、と述べていることが24日、わかった。AP通信が報じた。
それによると、同時テロから2か月後の2001年11月、国防総省の高官がクラーク氏に語ったところによると、イラクの後、シリア、レバノン、リビア、イラン、ソマリア、スーダンを対象にした武力行使が計画されていた、という。この計画は、ブッシュ政権が5年がかりで、テロを支持していると見る7か国に対し武力行使するという壮大なもので、イラク進攻とサダム・フセイン元大統領打倒はその一環だった、としている。
米政府はイランをイラク、北朝鮮と並ぶ「悪の枢軸」と名指ししているほか、イラク戦争後はシリアを「イラク高官の逃げ込み先になっている」などと敵視していた。(読売新聞 2003/09/25)「仏独露の排除は愚か」 ネオコン論客が米政権批判
【ワシントン=永田和男】米政府がイラク復興事業の元請け受注から仏独露などの企業の排除方針を決めたことについて、ブッシュ政権に影響力を持つとされる新保守主義の代表的論客2氏が11日、「愚かである」と酷評した上、「ブッシュ大統領は、恐らく方針を撤回することになろう」との見解を発表した。
この見解は政策研究所「新アメリカの世紀プロジェクト」(PNAC)のウィリアム・クリストル代表と評論家ロバート・ケーガン氏の連名によるもの。
両氏は、イラク復興事業で英国やスペインなどこれまで協力的な国々の企業を優先すること自体は支持できると述べた上で、「真に賢明な政権なら、戦争に反対した国の企業の入札も受け付けることでその国の協力をも取り付けることだろう」と指摘した。
両氏は、ブッシュ政権は仏独露などの企業排除を公に表明してしまったことで欧州にかねて根強い「米国は友好国の意見も顧みない」との批判を蒸し返した上、ベーカー元国務長官による対イラク債務削減交渉も困難にしたと糾弾。「大統領は被害を最小限にとどめるため、すみやかに方針を撤回すべきだ」と主張している。
PNACは6年前に発足し、新保守主義の論客が集う拠点と目されている政策研究所。今回の仏独露の受注排除を決めた通達を発表したウォルフォウィッツ国防副長官も設立メンバーの1人で、副長官は欧州や民主党に加えて古巣の批判にもさらされた形だ。(読売新聞 2003/12/12)「フセイン打倒、政権発足時から計画」 オニール前米財務長官明かす
ブッシュ大統領に意趣返し?
【ワシントン=近藤豊和】オニール前米財務長官はCBSテレビのインタビューで、ブッシュ政権は発足直後の2001年1月から、武力行使を伴うイラクのフセイン政権崩壊を計画していたと語った。
この中でオニール氏は、「政権発足直後から、フセイン政権を非難し、崩壊させることが確認されていた」と説明した。ブッシュ政権に参加したチェイニー副大統領やウォルフォウィッツ国防副長官らは、政権入り前からフセイン体制崩壊による中東の安定化を論文などで発表しており、政権発足直後から議論になっていたとしても不思議ではない。
オニール氏は、「米国が決定したことは何でも単独で行動する権利があるという考え方は飛躍し過ぎている」と、ブッシュ政権に対する批判的な見解も示したが、オニール氏は減税政策をめぐって対立し財務長官を辞任した経緯があるだけに、意趣返しともみられる。
これに対し、ホワイトハウスのマクレラン報道官は10日、「オニール氏の在任期間の職務には感謝するが、自身の立場を正当化しているだけではないか」とコメント。別の政権高官も「オニール氏はイラク戦略などにかかわる立場になかった。何でこんなことを今言い出すのか」と、オニール氏の姿勢を批判している。(産経新聞 2004/01/12)米国防長官は同時テロ直後にイラク爆撃を主張=前ホワイトハウス顧問
【ワシントン20日】ラムズフェルド米国防長官は2001年9月11日の同時テロ事件の翌日にイラクを空爆することを望んだー。ブッシュ大統領と同長官の前テロ対策顧問、リチャード・クラーク氏は21日に放映されるCBSニュース番組のインタビューで、同事件直後のブッシュ政権内の内幕を暴露した。
同氏によると、国際テロ組織アルカイダが9.11同時テロ事件を敢行したことが明白になった次の日に、ラムズフェルド長官は「イラクを爆撃することを必要としている」と主張。しかしわれわれは全員「それはだめだ。アルカイダはアフガニスタンにいる」と反論した。
ラムズフェルド長官は「アフガンには良い攻撃目標がないが、イラクには多くの目標がある」と強調した。
そこでクラーク氏は「確かに、(イラクには)良い攻撃目標が多数ある。しかしイラクは同時テロ事件にまったく関係していない」と諌めたという。
同氏は「彼らは(イラクとアルカイダの間の)関連があると信じたかったのだと思う。しかし中央情報局(CIA)や連邦捜査局(FBI)、そしてわたしもその場にいた。そして『この問題を長年調べているが、関連はない』との見解を示した」と証言した。〔AFP=時事〕(時事通信 2004/03/21)アルカイダの脅威無視 元対テロ担当が政権批判
【ニューヨーク21日共同】米ホワイトハウスの元テロ対策担当特別補佐官リチャード・クラーク氏は、21日放送された米CBSテレビのインタビュー番組で、ブッシュ政権が米中枢同時テロの直後もイラク攻撃を優先しようとして「国際テロ組織アルカイダの脅威を無視していた」と批判した。
同氏は22日に発売される同政権の内幕を暴露した著書や米誌ニューズウィーク最新号でも同様な批判をしている。
クラーク氏によると、ブッシュ大統領は2001年9月11日の同時テロの翌日、フセイン・イラク政権の関与を示す証拠を見つけるよう指示。「関与を示す証拠はない」との報告書を提出したが、側近らに握りつぶされたという。
同時テロ前にもウルフォウィッツ国防副長官らにアルカイダの脅威を警告したが「真の脅威はイラクの国家支援テロ」(同副長官)として無視されたという。(共同通信 2004/03/22)米大統領、9.11直後からイラク攻撃指示 前顧問証言
01年9月11日の同時多発テロ直後からアルカイダによる犯行との見方が強かったにもかかわらず、ブッシュ米大統領やラムズフェルド国防長官がイラク攻撃を指示していたことが21日、前大統領特別顧問の証言でわかった。
米CBSテレビの報道番組で証言したのは、テロ対策を担当していたリチャード・クラーク前大統領特別顧問。証言をまとめた本は22日に出版される。
クラーク氏は番組で、9月11日にホワイトハウスで開かれた対策会議について、「ラムズフェルドは『イラクを攻撃する必要がある』と言っていた」と述べた。クラーク氏らは「(容疑者の)アルカイダはアフガニスタンにいるから、アフガンを攻撃すべきだ」と反対した。だが、国防長官は「アフガンにはいい標的がない。イラクにはいい標的がたくさんある」と主張したという。
ブッシュ大統領は、クラーク氏ら2、3人を別の部屋に連れて行き、ドアを閉めて「イラクがやったかどうか知りたいんだ」と話した。クラーク氏は大統領がイラクがやったという報告をほしがり、自分たちに圧力をかけていると受けとめた。「イラクは(対米テロとは)関係ない」と説明すると、大統領は「イラク! サダム! 関連を見つけだせ」と強い調子で指示したという。
また、01年1月24日、アルカイダが対米テロを画策している危険があるので、閣僚会議を開くようライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)にメモを出したが、受け入れられず、同年4月に次官級会議が開かれた。
その会議で、ウォルフォウィッツ国防副長官が「アルカイダは相手にするな。あんな小物は。イラクの対米テロを論ずるべきだ」と主張。クラーク氏は「この8年間、イラクによる対米テロは1つもなかった。イラクがアルカイダを支援しているという証拠もまったくない」と反論したという。
これに対して、ハドリー大統領副補佐官はCBSテレビの取材に「大統領は国内テロを心配し、情報機関に注意喚起した」と主張。大統領とクラーク氏とのやりとりについても、証拠が見つからないと反論した。(朝日新聞 2004/03/22)同時テロ直後、米大統領はイラクに執着…元高官が回顧
【ワシントン=永田和男】米ホワイトハウスの元テロ対策特別補佐官リチャード・クラーク氏が回顧録で、2001年の同時テロ直後、ブッシュ大統領がテロ組織アル・カーイダ追及よりもイラク攻撃の理由探しに躍起だったと批判している。
22日に発売されるリチャード・クラーク氏の著書「すべての敵に対して」によるとブッシュ大統領は、同時テロ翌日の2001年9月12日夜、ホワイ トハウス内でクラーク氏ら数人を小さな一室に連れ込み、「すべてを洗い直して(同時テロは)サダムがやったのかどうかを見つけ出すのだ」と命じた。
クラーク氏が「これはアル・カーイダの仕業です」と反論すると大統領は「わかっている、わかっているがとにかく探せ!」「イラクだ!サダムだ!」などとまくし立てたという。
クラーク氏は21日放送のCBSテレビのインタビューでは、大統領がアル・カーイダの脅威を十分に認識せず、同時テロの計画進行を示す様々な兆候も見逃していたなどと指摘。
ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は22日付ワシントン・ポスト紙に寄稿し、「同時テロ直後にイラクを含めたあらゆる可能性を追及していなかったとしたらかえって無責任だ」として大統領のクラーク氏への指示は不自然でなかったと反論した。(読売新聞 2004/03/22)米英首脳、同時多発テロ直後にフセイン打倒協議と英紙
4日付の英日曜紙オブザーバーは、ブッシュ米大統領とブレア英首相が01年の米同時多発テロ事件の直後に、イラクのフセイン政権打倒について話し合ったと伝えた。ブレア氏は、公には昨年の開戦直前までイラク戦争は「最後の手段」と考えていたとしているが、実際は早い時期から米国の開戦の決意を知り、支持を約束していた可能性が指摘されている。
同紙は今週発売される米誌バニティ・フェア掲載記事の要約として伝えた。証言したのは当時、英国の駐米大使だったクリストファー・メイヤー氏。同時多発テロ事件の9日後に訪米したブレア氏はブッシュ氏からホワイトハウスの夕食会に招かれ、メイヤー氏も同席した。
席上ブッシュ氏が、フセイン前大統領を追い落とすことに支持を求めたのに対し、ブレア氏は「対テロ戦争の最初の目標であるアフガニスタンから注意をそらすべきではない」と助言。ブッシュ氏は「わかったトニー。最初はアフガンだ。だがその後はイラクをやらねばならない。イラク体制の変更はすでに米国の政策だ」と語った。これに対しブレア氏は抗弁しなかった、とメイヤー氏が証言したという。 (朝日新聞 2004/04/05)劇的な政策転換なければイラク失う ネオコンのクリストル氏警告
【ロサンゼルス9日=戸田邦信】ブッシュ米政権の外交政策を支えるネオコン(新保守主義派)の理論家の1人、ビル・クリストル氏が、「ブッシュ政権が今、劇的な政策変更をしなければ、イラクを失うことになる」と警告した。同氏は、国連主導のイラク暫定政権作りは、現在のイラクの情勢下では、不適切と指摘し、劇的な政策変更の柱として、05年1月に予定される総選挙を繰り上げ、9月にも早期に実施するよう提言した。リベラル左派や伝統的保守派から「ブッシュ政権のイラク政策は失敗、もしくは失敗の瀬戸際にある」と批判されていることに、ネオコンが焦りの色を濃くしている証拠といえそうだ。...(日刊ベリタ 2004/05/09)ネオコン次官を痛烈批判 前司令官がイラク戦争回想
【ワシントン3日共同】フランクス前米中央軍司令官が自ら指揮したアフガニスタン、イラク戦争を振り返った著書「アメリカン・ソルジャー」(米兵)が3日、全米で一斉に発売された。
イラク戦争終結後の治安維持を任務とする新生イラク軍の立て直しに十分な資金が提供されなかったことを明らかにしたほか、戦争を主導したネオコン(新保守主義)のファイス国防次官を痛烈に批判。11月の大統領選を前にイラク戦争を振り返る格好の素材として反響を呼びそうだ。
前司令官はまた、同日放映の米NBCテレビのインタビューで、米国がイラク攻撃の理由とした大量破壊兵器がいまだに見つかっていないことについて「私は間違っていた」と誤りを認めた。(共同通信 2004/08/04)米分析官にスパイ容疑 イラン情報をイスラエルへ
米CBSテレビは27日、国防総省高官に仕える情報分析官がブッシュ政権のイラン政策に関する機密情報などをイスラエルに渡すスパイ行為をしていたとして、連邦捜査局(FBI)が捜査に着手したと報じた。
イラク人収容者虐待事件でも責任を指摘されたラムズフェルド国防長官への風当たりが強まるのは必至。最悪の場合は辞任のシナリオも想定され、そうなれば11月の大統領選を前にブッシュ政権に大きな打撃となる。
CBSなどによると、分析官は昨年、高度な機密情報に指定されているイラン政策の指針を定めた大統領指令を草案段階で、ワシントンの親イスラエル・ロビー団体、米イスラエル広報委員会(AIPAC)に渡した疑いなどが持たれている。
ロイター通信によると、在米イスラエル大使館は報道を全面否定した。
分析官はウォルフォウィッツ国防副長官らイラク戦争を主導した政権内のネオコン(新保守主義者)との関係も指摘されており、イラク政策などを助言していたとされる。
ネオコンはもともと「親イスラエル集団」。フセイン政権崩壊を目指した底流には、イラクから周辺国に民主化を波及させ、イスラエルとの共存を可能にするという「民主化ドミノ」の理論があった。
イラクの大量破壊兵器開発疑惑をめぐる情報収集・分析の不手際に関しては、イスラエルの対外特務機関モサドによる情報操作の疑いがささやかれ、今回の疑惑が一部ネオコンとイスラエルのシャロン政権との暗黙の「戦略的相互依存関係」の長線上にある可能性もあながち排除できない。
イスラエルはイランの核開発阻止のため、対イラン軍事行動に出る可能性が指摘されている。(共同)(産経新聞 2004/08/28)イラクの次狙うネオコン イスラエルへの『イラン機密』漏洩疑惑
米大統領選が最後の追い込みを迎える中、ブッシュ政権にスキャンダルが浮上した。在米ユダヤ人団体を介したイスラエルへの「イラン機密」漏洩(ろうえい)疑惑だ。底流には、政権内の保守中道派とネオコン(新保守主義派)という対立構図が透けて見える。次期政権での主導権争いといえるが、攻防の行方は、大統領選後の対イラン軍事行動の有無に絡むだけに、懸念される。(田原拓治)米連邦捜査局(FBI)が捜査中という機密漏洩疑惑が表面化したのは先月27日。米CBSテレビがスクープした。
それは、国防総省内の情報機関、旧特殊計画室(OSP、現在は北部ペルシャ湾対策室=NGAO)の職員ラリー・フランクリン氏らが、核開発問題に絡む対イラン政策についての大統領指令を、在米ユダヤ人の最大ロビー団体、米イスラエル公共委員会(AIPAC)を通じ、イスラエルに流したという内容だった。
AIPAC、イスラエル政府ともに疑惑を否定したが、FBIは盗聴テープや写真など十分な証拠を握っていると強気だ。事が重大なのは、イランの核開発問題への対応をめぐり、ブッシュ政権の内外で緊張が高まっているからだ。
イランを敵国とするイスラエル政府は先月、「イランの核開発阻止に軍事行動を排除しない、と米政府に通告」(米ニューヨーク・タイムズ紙)。ブッシュ政権内、特に国防総省を根城とするタカ派のネオコンは、イスラエル右派政権と一蓮托生(いちれんたくしょう)の立場から、これに同調している。
一方、パウエル国務長官ら保守中道派は、イラク戦争の反省もあり、軍事行動には慎重とみられている。FBIはこの保守中道派の意向を受け、捜査着手にはネオコン封じの狙いがあったという見方が強い。
さらに、今回の捜査には、米国内の情報機関によるネオコンへの「逆襲」という側面もある。イラク戦争は旧フセイン政権による大量破壊兵器の隠匿など「誤情報」で引き回された。その情報操作の中核が今回、捜査対象になっているOSPだった。
OSPはダグラス・ファイス国防次官(政策担当)らによるネオコンの直轄機関。2001年の9.11事件後、イラクの大量破壊兵器の存在やアルカイダとフセイン政権の関係の証明を任務として設立された。
しかし、人員はわずか十数人。米中央情報局(CIA)や国防情報局(DIA)などが集めてきた情報のうち、開戦理由に有利な側面のみを切り張りし、大統領に具申したのだった。
イラク戦争が泥沼化した後、CIAに「誤情報」の責任が転嫁された。しかし、実際にはCIAは開戦前に「フセイン政権がニジェール(アフリカ)からウランを大量購入した」といった情報を虚偽と断定。大量破壊兵器の存在を訴える亡命者証言にも疑問を唱えるなど、慎重姿勢だった。
パウエル国務長官に近いトミー・フランクス前中央軍司令官が「(ファイス次官は)地球上で最も愚か」と憤ったのもそうした情報操作へのうらみだった。米ワシントン・ポスト紙も今回の疑惑を「政権内のCIAなど従来型情報機関とネオコンの内戦」と評した。■人事刷新前に“追い落とし”
ニューヨーク在住の国際政治学者、松永泰行氏は「疑惑を追及しているのは保守中道派のみならず、非ユダヤ系の民主党支持者で連邦政府機構にいる人々も含まれている。ブッシュ再選の場合、ネオコン系の人々が現政権と同様の力を維持しないよう、大幅な人事入れ替えを前に追い落としにかかっている」とみる。
では、今回の「機密漏洩」の中身や漏洩の狙いはどこにあったのか。
イスラエルは米国の中東最大の同盟国。だが、これまでも同国の米国内での情報活動をめぐって、米国と激しいさや当てがあった。
代表例だけでも1978年には、上院外交委員会の職員ステファン・ブライアン氏がイスラエル軍高官に機密書類を提供したが、指紋から発覚して失職。ただし、ブライアン氏はその直後のレーガン政権で、ネオコンの代表格リチャード・パール国防次官補(当時)の下、次官補代理として“栄転”している。
85年には「ジョナサン・ポラード事件」が起きた。これは海軍の情報分析官だったポラード氏が18年間にわたり、イスラエル特殊任務室(LAKAM)に計80万ページに及ぶ米海軍の機密書類を流していた事件だ。イスラエルはこれらをソ連(当時)に提供し、その親アラブ政策を変えようと試みていたとされる。これもネオコン絡みだった。■対イラン軍事 行動で密議も
ただ、今回の場合は従来の事件とは意味が異なりそうだ。米ワシントン・マンスリー誌などによると、前出のフランクリン氏らは2001年12月にローマ、03年6月にパリで、イラン反体制派の武器商人やイスラエル高官、加えてイラク戦争を支持するイタリア右派政権の情報機関SISMIのニコロ・ポラーリ長官らと会合を繰り返した。
当時、米国とイランの間では、イランが拘束しているアルカイダ幹部5人の米国引き渡しと引き換えに、米国はイラン反体制派への支持を取り下げるという秘密協議が進んでいた。会合では、それをいかに壊し、イラクに続いて米国の対イラン軍事行動をどう仕掛けるかを検討したという。
米ミシガン大のフアン・コール教授(近代中東史)は「今回の機密漏洩は機密提供ではない。むしろ、こうした会合の結果、ネオコンが来年初めにも想定される米議会の対イラン強硬措置決議に向け、それへの支援ロビー活動やイスラエルが呼応するよう政権内の動きを知らせ、準備させたのでは」と推測する。■ブッシュ再選 障害にならず
ただ、こうしたスキャンダルが、そもそもの大前提となるブッシュ再選の足かせになることはないのか。
複数の米国人識者はこの点について否定的だ。というのも、ケリー陣営にもジョセフ・リーバーマン上院議員らネオコンに近いイラク戦争推進派がおり、中東問題の責任者には元下院議員で、AIPAC役員だったメル・レビン氏が就任。すなわち、中東政策では大差がないも同然だからだ。
そうなると、注目はブッシュ大統領の選択だ。ちなみに同大統領はネオコン以外にも、イラン攻撃に傾くイスラエル右派政権の米国最大の支援勢力、宗教右派とは強く結ばれている。
先月27日、同大統領はCIA長官の権限拡大を表明。これがネオコン離れと一部では受け止められたが、今月21日には「イラクが内戦状態に陥りかねない」というCIA報告書を「推測」と一蹴(いっしゅう)した。■イランは強硬 米の反発必至
一方、イランは核開発問題で世界の懸念をよそに「核拡散防止条約(NPT)脱退も辞さない」と強硬姿勢を打ち出しており、米国が今後、軍事行動に「追い込まれる」可能性もある。
世界にとっては、大統領選の結果より「第二のイラク戦争」勃発(ぼっぱつ)の危険性の方が重要だ。その1つのバロメーターとなるのが、今回の疑惑追及の進み具合だ。米メディアは、捜査と解明は11月の大統領選直後に本格化すると伝えている。(メモ)イランの核開発問題 高濃縮ウランの検出から昨年来、イランの核兵器開発疑惑が深まった。国際原子力機関(IAEA)を舞台に、イランを「悪の枢軸」とみなす米国は、制裁の前提となる国連安保理への問題の付託を主張。英独仏などはこれを抑え、IAEAは結局、イランに査察強化など全面協力を求める決議を採択。イランもこれを受け入れてきた。さらにIAEAは今月18日の定例理事会で、全てのウラン濃縮活動の即時停止を求める決議を採択した。だが、イランは21日、「平和利用」を理由にこれを拒否した。米国の強い反発は必至とみられ、緊張が一気に高まっている。(東京新聞 2004/09/24)
ネオコンが米国務省の乗っ取り画策と警告 ブッシュ政権実現なら軍事独走の懸念
【ロサンゼルス10日=戸田邦信】米国の外交政策を統括する米国務省の高官が、覇権主義的な性格を持つネオコン(新保守主義派)によって、国務省が乗っ取られつつある、と警鐘を鳴らしている。国務省は、国際協調派のパウエル国務長官の下、ネオコンが独走するのを防ぐ最後の砦だった。しかし、そのパウエル氏は、既に今回の任期限りで辞任する意向を固めている。これに乗じてネオコンは、ブッシュ大統領が11月の選挙で再選されることを想定し、次期政権下では、パウエル氏が去った後の国務省を思うままに支配する考えという。...(日刊ベリタ 2004/10/11)「米ネオコン、金総書記追放をブッシュ大統領に圧力」
米国政権内のネオコン(Neocon/新保守主義者)らは北朝鮮の政権交代に向け、ブッシュ大統領により強圧的な政策を駆使するよう圧力を加えていると国際通信社であるIPSが23日報じた。
IPSは「米国内のタカ派、北朝鮮の政権交代を推進」という見出しの記事で、北朝鮮核問題の解決に進展がない場合、第2期ブッシュ政権が直ちに強力な措置を取ることになるだろうと報じた。
ネオコンの代弁紙である「ウィークリースタンダード」の編集長兼ネオコンシンクタンクである「アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)」の所長、ウィリアム・クリストール氏はこれと関連し、今月22日、ワシントン政界のリーダーらと報道関係者らに「北朝鮮の政権交代に向けて」という声明をファックスで配布した。
同氏はこの声明で、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のニコラス・エバーシュタット先任研究員が書いた「北朝鮮政権を崩壊させるための戦略」、北朝鮮体制崩壊を仮想した外交戦略とシミュレーションの必要性を申し立てた日本自民党の安倍晋三幹事長代理の発言などを言及しながら、ブッシュ大統領第2期の最大先決課題中1つは北朝鮮政権問題と強調した。
韓半島専門家であるAEIのエバーシュタット先任研究員は「ウィークリースタンダード」最新号(11月29日付け)に掲載した「専制政権を崩壊させよ」と題した論文を通じて、金正日(キム・ジョンイル)総書記を追い出すための6つの戦略を提示した。
同研究員は北朝鮮に対し、核の放棄を説得する努力は徒労だとし、第1期ブッシュ政権の対北朝鮮政策は「内部の軋轢によって麻痺」していたと批判した。また、北朝鮮核問題はすなわち北朝鮮政権の問題とし、北朝鮮で今よりまともな政権が発足しない限り、米国はこれからさらに深刻な危機に直面するだろうと警告した。
エバーシュタット先任研究員は韓国が「逃げる同盟(runaway ally)」だという点と大学院課程の「平和学」図書リストによって統治される国だという点を認識しなければならないと強調した。
また、韓国政府内の柔和派を包容しようとするのではなく、彼らの頭の上で韓国国民と直接話し合いながら窮極的に同盟を回復してくれることのできる韓国内の政治集団を建設、養成しなければならないと力説した。
エバーシュタット先任研究員のこのおもな構想と戦略は米国務省副長官の起用が囁かれる不拡散問題担当のボルトン国務次官のそれと同じものであると伝えられている。ユン・ヒヨン記者(朝鮮日報 2004/11/23)漏れたのは対イラン政権転覆計画 イスラエルは入手を否定
今夏、米国防総省の分析官が、イスラエルにイランに関する機密情報を流していたことが発覚した。重大なスパイ行為だが、イスラエルが米国の同盟国であるため、3ヶ月近く経っても事件がどう解明されるのか、まったく藪の中だ。漏れた情報は、イランの政権交代を狙ったものとされ、起案者は、対イラク戦争の推進役となったネオコン(新保守主義派)の若手論客という。(ベリタ通信=有馬洋行)米CBSテレビは8月末、米連邦捜査局(FBI)がスパイ容疑で捜査を開始したとスクープした。疑惑の人物は、国防総省のラリー・フランクリン分析官。ペルシャ語が堪能で、イラン問題の第一人者だった。米誌アメリカン・プロスペクトによると、イラクの戦後収拾に大忙しのブッシュ政権が、イランへの強硬政策を後回しにしたため、これを不満に感じ、イスラエルに情報を流したとされる。
情報を受け取ったのは、米国最大のユダヤ人ロビー団体「アメリカ・イスラエル広報委員会」(AIPAC)。同団体は、イスラエルの政権与党リクードに近く、ここから機密文書がイスラエル政府に情報が渡った可能性がある。しかし、イスラエル政府、同団体とも全面否定している。
漏れた文書は「国家安全保障大統領命令」(NSPD)の草案。ネオコンの30歳代の若手、マイケル・ルービン氏が起草した。イランとの関係を絶ち、イラン国内の民主化勢力を動かし、政権転覆を図ろうという内容だ。しかし、イラク情勢が混乱し、手が回らないブッシュ政権は、今年6月にこの草案の検討を取りやめた。
フランクリン分析官は翌7月、AIPACの関係者に不満をぶつけたという。おおむね以下のような内容だ。
イラク国内で、イランの諜報活動が全面展開している。イラン国内からアラビア語を話す者全員が、イラク南部バスラに派遣され、石油施設の破壊行動を策動している。イラク北部では、活動中のイスラエル人殺害のためイラン人エージェントが送り込まれた。しかし、ブッシュ政権は積極的にイランに対応していない。
しかし、イラン情報に関しては、イスラエルの方が一枚上との見方がある。イスラエルは、イラク情勢の混迷に乗じ、イランが動き出すのを見越し、イラク北部や、イラン、シリアのクルド人地区に既にスパイを派遣しているといわれる。またイスラエルは、民主化勢力を動かしての政権交代がうまくいくとは考えていないようだ。
むしろ9月に米国から大型特殊貫通爆弾バンカー・バスター500発購入したように、イランが核武装に動くようなら、空爆で原子炉を爆破させることを考えている。従って、イスラエルが、NSPDの情報を本当にほしがっていたのか、はっきりしない。
ネオコンは、今回のFBIの捜査は、ネオコンつぶしの一環とみているようだ。ネオコンにとって、今は、生存の最大の正念場だ。なぜなら、対イラク戦争のつまずきで、ネオコンの掲げたイラク、そしてイラン、シリアで、次々と政権交代を実施していくという理想の遂行に赤信号が灯っているからだ。ブッシュ大統領が政権2期目で、ネオコンと決別し、中道路線に軌道修正すれば、ネオコンは淘汰される結果になる。
イラク戦争をめぐり、世界的覇権を求める強硬派のネオコンと、国際協調派の国務省が常に衝突したのは周知の事実。NSPDの文書起案者、ルービン氏は、9月に知人にEメールを送り、FBIの捜査をメディアに漏らしたひとりは、国務省のアーミテージ副長官と言い切っている。
今回のイスラエルへの機密情報漏れは、事実とすれば、米国にとって1985年に発覚したジョナサン・ポラード事件以来の不祥事だ。ポラードは米国防総省の分析官だった当時、中東情報をイスラエルに流し、終身刑になった。
一方、フランクリン分析官の上司は、対イラク戦争の作戦を練った米国防総省「特殊作戦室」の責任者ダグラス・ファイス国防次官。ファイス氏は、ブッシュ大統領に、イラクの大量破壊兵器の存在について誤った情報を流したとも指摘されている。同氏は、03年にフランクリン分析官らをイラン・コントラ事件(1986年発覚)に関与したイラン人武器商人と秘密接触させ、イランの政権交代を協議させたともいわれる。(日刊ベリタ 2004/11/29)米特殊部隊、イランに潜入=核兵器開発基地を探索
【ワシントン16日】17日付の米誌ニューヨーカーは、イランの秘密核兵器製造基地を割り出すため、米軍特殊部隊が昨年半ばからイランに潜入していると報じた。
同誌によれば、この極秘任務の目的は最大26カ所に上るとみられる核、化学両兵器およびミサイルの関係施設を特定するもので、ブッシュ政権がイランにおける作戦行動にゴーサインを出したという。
米情報機関の元高官は同誌に対し、「イランにおける今回の作戦は対テロ戦争の一環だ」と指摘。「ブッシュ政権は、対テロ戦争の及ぶ範囲は極めて大きいと見ている。イラク戦争もそのひとつだが、われわれはイランに対する軍事行動を行うだろう。われわれは対テロ戦争を宣言した。悪い奴らは、それが誰であれ、われわれの敵となる」と断言した。
米国防総省に近い政府指導部筋によれば、ラムズフェルド長官やウルフォウィッツ副長官をはじめとする国防総省の文民ネオコン・グループはイランに駒を進め、出来る限り多くの軍事施設の破壊を望んでいる。同筋によると、同長官らは、イラン神権体制は軍事攻撃に耐えられず、崩壊すると確信しているという。〔AFP=時事〕(時事通信 2005/01/17)イスラエル:右派論客に米大統領も傾倒?
【ワシントン中島哲夫】ブッシュ米大統領が2期目の就任演説で「世界の圧政に終止符を打つ」と宣言したのを機に、この演説を貫く自由拡大思想の提唱者であるイスラエルの閣僚、ナタン・シャランスキー氏(エルサレム・離散問題担当相)に米メディアの関心が集まっている。同氏への大統領の傾倒は激しく、今後の米外交が影響を受ける可能性も高い。
シャランスキー氏は1948年、旧ソ連時代のウクライナ生まれ。ユダヤ民族運動に携わり9年間収監された後、86年にイスラエルに移住した。旧ソ連地域からのユダヤ人移住を推進して政党も結成したが、今はシャロン首相率いる右派政党リクードに合流し90年代から閣僚を歴任している。
米メディアの報道によると、同氏は昨年11月、ブッシュ大統領の再選後ホワイトハウスに招かれ、昨年刊行した著書「民主主義論──圧政とテロに打ち勝つ自由のパワー」の論理について大統領に説明した。それ以来、大統領は会う人に同書を読むよう勧めている。
保守系の米紙ワシントン・タイムズによると、1月11日の会見でブッシュ大統領は同氏を「英雄的人物」、同書を「すごい本だ」と絶賛。これを読めば「これまでと今後の(大統領の)多くの決定について説明する助けになる」と話しているという。
このインタビューは当時さほど注目されなかったが、(1)新国務長官の就任承認を審議した18日の上院外交委員会でライス氏が突然、シャランスキー氏の自由に関する考え方を採用すべきだと主張した(2)ブッシュ大統領の20日の演説が同氏の考え方を強く反映していることが判明した──ことで関心を集めた。
しかし同氏は故レーガン元大統領の政権時代から米国のネオコン(ネオコンサーバティブ=新保守主義者)人脈と親交があり、ブッシュ大統領が02年6月の演説で新中東政策を打ち出した時から既に、ライス氏を通じて強い影響を与えていたという。
問題は同氏の自由拡大論がイラク戦争を主唱したネオコンの考え方と酷似しており、パレスチナに対する姿勢がイスラエル首相より強硬だと指摘されることなどだ。イスラエル紙によると同氏は、自分の理論がブッシュ政権に「そのまま採用された」と喜んでいるという。(毎日新聞 2005/01/28)イラン大統領「米政権のネオコンは敗北を思い知れ」
【バーレーン=加賀谷和樹】イランのハタミ大統領は10日、「米政権内の新保守主義者(ネオコン)は敗北を思い知るべきだ」と述べ、イランへの敵視政策を強める米国を強く非難した。首都テヘランで開かれた革命後26年を祝う式典で演説した。大統領は対イラン軍事攻撃の可能性も示唆する米閣僚らの発言が相次いでいることに関し「米国は心理戦を仕掛けてきている」と指摘、「革命を守る用意はできている」と強調した。(日本経済新聞 2005/02/10)米国連大使にボルトン氏 対北・イラン強硬派
【ワシントン=豊田洋一】ライス米国務長官は7日、国務省で記者会見し、ブッシュ大統領が新しい国連大使にボルトン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)を指名したと発表した。
同氏はイラク戦争を主導した新保守主義派(ネオコン)の代表格。米国中心の「有志連合」外交を主導し、国連の役割には否定的だった。北朝鮮やイランの核開発問題では、国連安全保障理事会への付託を主張するなど強硬な外交姿勢でも知られる。
正式就任には上院の承認が必要だが、民主党は「(イラク戦争を契機に崩れた)国際関係の修復が必要なときに、国連に批判的な外交官を起用するのは納得できない」と批判しており、承認には曲折も予想される。
国務長官は記者会見で「国連が国際社会が直面する課題に適応できるような組織への改革を始める際、ボルトン氏は改革を推進する力強い声となるだろう」と強調した。
同氏の国連大使起用の背景には、国連改革に米国の意向を反映させる狙いがあるものとみられる。ただ、強硬な外交姿勢は、加盟国から激しい反発を招く可能性もある。
国務長官は会見で、ボルトン氏の実績として、北朝鮮などによる大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)や、リビアによる同兵器開発放棄などを挙げ、「強固な意志を持つ外交官であり、効果的な多国間外交でも実績がある」と評価した。
米国連大使のポストは、ダンフォース前大使が今年1月、就任後約半年で個人的理由により辞任し空席となっていた。(東京新聞 2005/03/08)国連大使に強行派ボルトン氏、米副大統領の提案か
【ニューヨーク=大塚隆一】米誌ニューズウィーク最新号(14日発売)は、ボルトン米国務次官の国連大使指名はチェイニー副大統領が提案したものだったと報じた。
複数の政権当局者などの話として伝えた。
それによると、国連批判を繰り返してきた強硬派ボルトン氏の起用は、副大統領のほか、大統領の政治顧問カール・ローブ氏とアンドルー・カード首席補佐官が進言。このうちボルトン氏の最大の後ろ盾の副大統領は「彼に大きなポストで報いたい」と考えていたという。ただ同誌は、ボルトン氏が望んでいたのは国務副長官や国防総省ナンバー3に当たる政策担当の国防次官だったとしている。
一方、ライス国務長官はボルトン氏の国務副長官への就任を拒否、国連大使への起用も望んでいなかったという。(読売新聞 2005/03/15)米大統領、ネオコンの国防副長官を世銀次期総裁に擁立
【ワシントン=小竹洋之】ブッシュ米大統領は16日、5月末に退任するウォルフェンソン世界銀行総裁の後任に、ポール・ウルフォウィッツ米国防副長官(61)を擁立すると発表した。同氏は新保守主義派(ネオコン)の代表格で、イラク戦争を主導したことで知られる。中東民主化の実現に意欲を示しており、イラクの復興支援などを推進する見通しだ。
世銀総裁は米国人を起用するのが慣例で、最大出資国の米国が候補者の人選を進めてきた。大統領は16日、小泉純一郎首相やベルルスコーニ伊首相らに電話で同氏の擁立を伝え、世銀理事会にも報告した。日米欧などの加盟国で構成する理事会で正式に選出し、6月にも就任する見通しだ。
ウルフォウィッツ氏はインドネシア大使、国防次官などを歴任し、2001年3月に国防副長官に就任した。大統領は同じネオコンのボルトン国務次官を次期国連大使に指名しており、国際機関の主要ポストを対外強硬派で固める姿勢に批判が集まりそうだ。(日本経済新聞 2005/03/16)世銀に『ネオコン総裁』 ウルフォウィッツ氏承認へ
世界銀行(本部・ワシントン)は31日の理事会で次期総裁に、米外交戦略を牛耳る思想家集団「ネオコン(新保守主義派)」の旗手、ウルフォウィッツ米国防副長官を選出する。対イラク開戦を主導した同氏の起用に、難色を示す欧州主要国から“事前面接”まで受けての異例の選任劇。米、欧それぞれの思惑を探った。■米国
世銀理事会前日の30日。ウルフォウィッツ副長官はまだ、欧州連合(EU)の本拠地、ブリュッセルにいた。
「ネオコン総裁」の実現で、世銀の途上国支援が米国の世界戦略に取り込まれないか−。懸念を深める欧州各国に所信を説明し、事前に支持を取り付けておくためだ。集まったEUの各国閣僚たちを前に、副長官は「私が世銀総裁として最初に訪問するのはアフリカ諸国だ」と語気を強めた。
「アフリカ」は、欧州の警戒心を解くために入念に計算されたキーワードである。
アフリカからの難民流入、感染症などの拡大は旧宗主国が多い欧州の安全を脅かす。それは、アフリカの最貧国支援を重視し、米国出身ながら米ブッシュ政権とは距離を置いてきた現総裁、ウォルフェンソン氏への欧州の信頼感を踏まえ、現行路線の継承を望む欧州側の期待感をくすぐる発言でもあった。
だが、ブッシュ政権は2期目外交政策の最重要課題として、中東などへの「自由と民主主義の拡大」を提起。その理論的支柱ともいえるウルフォウィッツ氏の起用には、世銀融資を対象国の「体制民主化」の踏み絵として使う米国のシナリオが透けて見える。
その副長官自身、16日発表の声明で「繁栄の利益をより多くの人が享受できるようになれば、平和と自由も前進する」と強調。EUでの融和的な発言とは裏腹に、米国の価値観を世界に広げるというネオコン思想を強くにじませた。
「聞く耳は持つが、政治的信念は必ず達成するよう努力し、大統領の信認が厚い」。外交筋のウルフォウィッツ評の背後にちらつくのは、覆い隠しようのないブッシュ政権の濃い影だ。
英紙によると、ウルフォウィッツ氏は世銀のスタッフに、米政権でイラク復興に関与してきた女性担当官を採用した。欧州を慎重に懐柔する一方、世銀の支援融資の軸足を、途上国からイラクなど中東復興に振り向けるため、同氏の周到な準備は既に始まっている。(ワシントン・久留信一)■欧州
30日、ブリュッセルでの“事前面接”後、記者会見で「ウルフォウィッツ総裁支持」を表明したEU議長国・ルクセンブルクのユンケル首相は、どこか煮え切らない表情を浮かべた。
その10日前、同国のクレッケ経済通商相は「EUは憂慮の念を抱いている」と強調したばかり。フランスのバルニエ外相も「(米国の指名は)1つの提案にすぎない」と冷淡に言い放っていた。
欧州で、ウルフォウィッツ氏への疑念の空気が一転するきっかけをつくったのは、シュレーダー独首相だった。首相は21日のインタビューで「総裁選出で反対はしない」とブッシュ大統領に電話で伝えたことを明らかにした。ドイツは2月のブッシュ訪欧で対米関係の改善をアピール。国連安全保障理事会の常任理事国入りへの支持取り付けのためにも、対米協調路線が得策との考えが背景にあったようだ。
フランスも話に乗った。総裁人事に反対しない見返りに、世銀副総裁のポスト新設とフランスからの登用を要求。さらに世界貿易機関(WTO)の事務局長にラミー元欧州委員を、また国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップにクシュネル元保健相の起用をもくろむ。
英国は国連開発計画(UNDP)の総裁ポストを目指しており、利権をめぐる「大国間でのいす取りゲーム」(仏リベラシオン紙)の舞台裏が明らかになってきた。
肝心のウルフォウィッツ氏の適格性に、仏国際関係戦略研究所のクルモン研究員は「ネオコンの思想自体は貧困国の援助を重視するが、テロ対策に力を入れる国とそうでない国の選別など恣意(しい)性が心配」という。(パリ・久原 穏)【ポール・ウルフォウィッツ氏】 米エール大教授を経て1973年国務省入り。国務次官補や駐インドネシア大使歴任後、89−93年国防次官。2001年2月から国防副長官。世銀総裁には今年6月就任予定(第10代、任期5年)。ニューヨーク市出身。61歳。(東京新聞 2005/04/01)
OPEC潰しに失敗したネオコン 国際石油資本の反対響く
ブッシュ米大統領が2003年3月に対イラク戦争に踏み切る前に、政権内のネオコン(新保守主義者)は、イラクを石油の大増産に走らせ、生産調整を続ける石油輸出国機構(OPEC)を潰すことを画策していた──。しかし、国防総省などを中心とした、こうしたネオコンの野望に対し、国務省、国家安全保障会議の実務派が、国際石油資本の支持を受け巻き返しに成功、ネオコンのOPEC潰しは失敗したという。...(ベリタ通信=有馬洋行)(日刊ベリタ 2005/04/11)米大統領、議会の承認経ずにボルトン氏を国連大使に任命
【ワシントン1日ロイター】ブッシュ米大統領は1日、大統領権限を行使し、議会の承認を得ぬまま、ボルトン前国務次官を国連大使に任命した。
ボルトン氏の任命をめぐっては、上院民主党から同氏の国連に対する辛らつな姿勢が米国の信頼を傷つける恐れがあると批判が挙がっていた。
議会は29日より1カ月の休会に入っており、任命は上院の承認を必要としない。任期は次期議会が発足する2007年1月までとなる。
ブッシュ大統領は記者会見で、「この役職は非常に重要であり、長期にわたり空席にしておくことはできない。戦中や、国連改革について重要な討議が行われている時期は、特にそうである。そのため、今日、憲法により定められている権限を行使し、ジョン・ボルトン氏を米国の国連大使に任命する」と述べた。(ロイター通信 2005/08/02)米国:ボルトン国連大使、タカ派なデビュー イラン、シリアを名指しで批判
【ニューヨーク高橋弘司】米国のボルトン国連大使が4日、イラクでのテロ頻発を非難する決議案を審議、採択した国連安保理で就任後、初めて演説した。イラクへのテロリスト流入を阻止するようイラン、シリアを名指しで非難し、安全保障問題でならした「超タカ派」らしい“デビュー”を果たした。
米国は今月に入り、アルジェリア外交官や米海兵隊、イスラム教スンニ派関係者らを対象にしたテロが頻発している現状を踏まえ、これらのテロを非難する決議案を安保理に提出した。
ボルトン大使はこの採決にあたり、「国連加盟国はイラクへのテロリスト流入やテロリストへの財政支援、武器供与の流れを止める義務を果たすべきだ」と呼びかけ、特にイランとシリアを名指しした。
ボルトン大使は1日の就任以来、常任理事国各国や日本など主要国の国連大使をはじめ、アナン事務総長らと相次ぎ会談しているが、上院公聴会での民主党による批判を受けた「イメージ悪化」で、国務省から慎重な発言を求められているといわれている。(毎日新聞 2005/08/05)ネオコンの情報操作を調査 アルカイダ誇張で国防総省
【ワシントン19日共同】米国防総省監察官は、イラク戦争を主導したネオコン(新保守主義者)として知られた当時のファイス米国防次官(政策担当)によって、旧フセイン政権と国際テロ組織アルカイダのつながりを誇張する情報操作があったどうか調査を始めた。AP通信が18日伝えた。
ブッシュ政権に対しては、イラク戦争前に大量破壊兵器に関する情報を歪曲(わいきょく)し米国を戦争に導いたとの批判が高まっている。これにアルカイダ関連の情報操作の疑いが追い打ちをかけた格好で、米軍のイラク早期撤退を求める声がさらに強まりそうだ。(共同通信 2005/11/19)米国:ボルトン国連大使が辞任 ネオコン、また退場
【ワシントン和田浩明】ホワイトハウスは4日、来年1月3日に任期切れを迎えるボルトン国連大使(58)から辞任の申し出があり、ブッシュ大統領が受け入れたとの声明を発表した。ブッシュ政権にとっては、中間選挙(11月7日)での与党・共和党の敗北を受けたラムズフェルド国防長官の事実上の解任に続く、ネオコン(新保守主義者)の退場。
ブッシュ大統領は昨年8月、上院の指名承認を得られないまま、議会休会中にボルトン大使を暫定的に任命。先月、指名承認を改めて上院に求めたが、中間選挙で野党・民主党が議会過半数を制したため、承認は困難が予想されていた。
大統領は声明の中で、ボルトン大使が北朝鮮の核実験やイランの核開発を非難する国連安保理決議採択に貢献したと評価し、辞任は「非常に残念だ」と述べた。(毎日新聞 2006/12/05)ネオコン代表格、世銀総裁辞任へ 恋人厚遇で指導力低下
世界銀行は17日、交際中の女性職員の人事を厚遇したと批判されていたウォルフォウィッツ総裁が6月30日付で辞任すると発表した。内規を上回る昇給を指示したことなどが規律違反とされ、欧州の加盟国などから辞任要求が強まり、事実上の解任といわれる。不祥事による任期途中の総裁辞任は45年の世銀発足以来初めて。イラク戦争を主導した「ネオコン(新保守主義)」の大物だった同氏を総裁に指名したブッシュ米政権には痛手だ。
ウォルフォウィッツ氏の進退を3日連続で協議した世銀理事会は17日声明を発表。総裁を含む関係者の不手際を指摘する一方で、総裁の言い分も一部認め、「『倫理にかなった行動をした』という彼の主張を受け入れた」とした。
同氏は05年、ブッシュ大統領の指名で国防副長官から総裁に就任。恋人が広報担当だったので、関連職場の勤務には問題があるため、自ら国務省に出向させる手続きをしたことなどが規律違反と認定されていた。昇給幅も内規を上回り、年収は5割増近い約19万ドル(約2200万円)だった。
総裁は反論していたが、欧州を中心とした加盟国政府が辞任を強く要求。世銀調査委員会も引責を求めていた。辞任要求の高まりに、総裁を擁護していた米政府も辞任による幕引きに動いた。(朝日新聞 2007/05/18)前世銀総裁:米シンクタンクが客員研究員に
【ワシントン木村旬】米保守系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所は2日、ウルフォウィッツ前世界銀行総裁(6月30日付で退任)を客員研究員に迎え入れたと発表した。開発問題やアフリカを専門に研究する。
ウルフォウィッツ氏はブッシュ政権で国防副長官を務め、イラク戦争を主導した「新保守主義(ネオコン)」の代表格。同じネオコンのボルトン前米国連大使も同研究所に所属している。(毎日新聞 2007/07/04)ウルフォウィッツ氏、米国務省諮問委員長に
交際中の女性職員を厚遇した問題で6月末に辞任した世界銀行のウルフォウィッツ前総裁(前米国防副長官)が近く、軍備管理や軍縮問題に関する米国務省諮問委員会の委員長に就任する見通しとなった。ロイター通信が3日、伝えた。
ライス国務長官が指名の意向を固めたという。同氏はネオコン(新保守主義)の代表格の1人とされ、イラク戦争を主導。総裁辞任後はワシントンの保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所の客員研究員となっている。(共同)(産経新聞 2007/12/04)ニューヨーク・タイムズ、ネオコン論客をコラムニスト起用
【ワシントン=大塚隆一】30日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、新保守主義(ネオコン)を代表する論客のウィリアム・クリストル氏をコラムニストに起用すると報じた。7日付の紙面から週1回、コラムを執筆するという。
クリストル氏はイラク戦争を一貫して支持し、リベラル色の強い同紙の論調と真っ向から対立。同紙が2年前、米政府による国際金融取引の極秘監視活動を暴いた際も、国益を損なうとして訴追を求めるなど、批判の急先鋒(せんぽう)だった。
クリストル氏の起用にリベラル派の一部は猛反発しているが、同紙のコラム欄担当編集者は「異論を聞きたがらない人は大きな間違いを犯す」と主張。一方、敵陣に乗り込む形になるクリストル氏は「同紙の多様性を高めることは、やりがいのある目標」と述べ、リベラル派の反発には「光栄で愉快だ」と応じている。(読売新聞 2007/12/31)ウルフォウィッツ氏、安保諮問委員長に・半年で公職復帰
【ワシントン=加藤秀央】米国務省は24日、軍備管理や不拡散問題で政策提言する同省の「国際安全保障諮問委員会」の委員長にウルフォウィッツ前世界銀行総裁を指名すると発表した。不祥事をきっかけに昨年6月に世銀総裁を辞任した同氏は、約半年で公職に復帰する。
同氏は2001年のブッシュ政権発足とともに国防副長官に就任。03年のイラク戦争を主導したネオコン(新保守主義派)の論客で、05年に世銀総裁に就任した。ただ女性職員の処遇などを巡り欧州諸国から批判を浴び、在任約2年で辞任に追い込まれた。
タカ派の同氏の委員長就任で、イランや北朝鮮を巡る政権の政策論議に影響がでる可能性がある。(日本経済新聞 2008/01/25)米一極支配の確立目指す 92年のネオコン文書公表
【ワシントン1日共同】米シンクタンク「国家安全保障公文書館」は2月29日、米国防総省がソ連崩壊後、新たなライバルの出現を防ぎ、米一極支配の世界を構築するための方策をまとめた1992年の機密文書「防衛計画指針案」と関連文書を公表した。
旧ソ連圏における民主主義の拡大を唱え、米単独や有志国による軍事行動にも備えるよう呼び掛けており、ネオコン(新保守主義)全盛だったブッシュ現政権1期目の安保戦略の「青写真」ともいえる。
機密指定を解除された指針案などは(1)軍事的優位を保つため軍事技術革命を追求(2)旧ソ連圏の新興民主国家を米主導の国際秩序に統合(3)国連などが機能しない場合には米単独または有志国で行動(4)「国際社会のならず者」による攻撃に対抗するためミサイル防衛(MD)を実戦配備(5)小規模かつ多様な核戦力保持−などを唱えている。
執筆の中心は、チェイニー副大統領の元首席補佐官で、中央情報局(CIA)工作員名漏えい事件で実刑判決を受けたルイス・リビー被告。92年当時は父親のブッシュ政権で国防副次官を務めており、ネオコンの代表格、ウルフォウィッツ国防次官の承認を得た後、チェイニー国防長官に指針案を提出した。
指針案は穏健・リベラル派からの批判を回避するため、表現を和らげた上で93年1月に「地域防衛戦略」として公表されたが、同月のクリントン政権発足で日の目を見ず、ブッシュ現政権下で政策化された。(共同通信 2008/03/01)
【関連サイト】
![]()
![]()
| BACK | HOME | NEXT |