原子力発電【放射能】

[2012]



原子力業界が安全委24人に寄付 計8500万円
東京電力福島第一原子力発電所の事故時、中立的な立場で国や電力事業者を指導する権限を持つ内閣府原子力安全委員会の安全委員と非常勤の審査委員だった89人のうち、班目(まだらめ)春樹委員長を含む3割近くの24人が2010年度までの5年間に、原子力関連の企業・業界団体から計約8500万円の寄付を受けていた。朝日新聞の調べで分かった。
うち11人は原発メーカーや、審査対象となる電力会社・核燃料製造会社からも受け取っていた。
原子力業界では企業と研究者の間で共同・受託研究も多く、資金面で様々なつながりがあるとされる。中でも寄付は使途の報告義務がなく、研究者が扱いやすい金銭支援だ。安全委の委員へのその詳細が明らかになるのは初めて。委員らは影響を否定している。(共同通信 2012/01/01)

核燃サイクル:直接処分コスト隠蔽 エネ庁課長04年指示
経済産業省の安井正也官房審議官が経産省資源エネルギー庁の原子力政策課長を務めていた04年4月、使用済み核燃料を再処理せずそのまま捨てる「直接処分」のコスト試算の隠蔽(いんぺい)を部下に指示していたことが、関係者の証言やメモで分かった。全量再処理が国策だが、明らかになれば、直接処分が再処理より安価であることが判明し、政策変更を求める動きが加速したとみられる。
2カ月後、青森県六ケ所村の再処理工場稼働で生じる費用約19兆円を国民が負担する制度がとりまとめられており、データ隠しが重要な決定につながった疑いが浮上した。
再処理を巡っては02年以降、東京電力と経産省の首脳らが再処理事業からの撤退を模索していたことが判明している。安井氏は京大工学部原子核工学科卒の技官で長年原子力推進政策に関わってきた。いわゆる「原子力ムラ」が撤退への動きを封じた形だ。
試算は通産省(当時)の委託事業で、財団法人「原子力環境整備センター」(現原子力環境整備促進・資金管理センター)が98年、直接処分のコストを4兆2000億〜6兆1000億円と算定した。直接処分なら再処理(約19兆円)の4分の1〜3分の1以下ですむことを意味する。
毎日新聞が入手したメモは、経産省関係者が04年4月20日付で作成した。「部下(メモは実名)が昨日、安井課長に(試算の存在を)伝えたところ『世の中の目に触れさせないように』との厳命が下った」と記載されている。
部下は取材に対し、安井氏から「試算を見えないところに置いておいてくれ」と指示されたことを認め「目立たないよう他の資料も山積みにしていた、いすの後ろの床の上に置いた」と証言した。
経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」では同5月、複数の委員から直接処分のコスト計算を求める意見が出ていた。原子力政策課は分科会の担当課だったが委員らに試算の存在を伝えず、分科会は同6月、約19兆円を産業用、家庭用の電気料金に上乗せする新制度の導入案をまとめた。これが「国内全量再処理」を堅持する現行の原子力政策大綱につながっている。
安井氏は取材に対し「(部下が試算を持ってきたことは)あったかもしれないが(隠蔽指示は)記憶にない」と話した。【核燃サイクル取材班】

<直接処分と再処理> 原発で使った使用済み核燃料から再利用可能なウランやプルトニウムを取り出すのが再処理。直接処分は再処理せず地中に埋めるなどして処分する。エネルギーの安定供給などを名目に1960年代から再処理路線を推進してきたが、ウラン節約効果は1〜2割にとどまりコストも高い。再処理して作った燃料(MOX燃料)を使うプルサーマルは計画の4分の1程度しか進んでおらず、青森県六ケ所村の再処理工場は着工後18年を経ても稼働していない。(毎日新聞 2012/01/01)

安全委員長らに原子力業界が寄付 310万〜400万円
原発の設置許可申請などについて、安全審査のダブルチェックとして2次審査を担当する原子力安全委員会の5人の委員のうち、班目春樹委員長と代谷誠治委員が、就任前の3〜4年間に、原子力関連企業や業界団体から310万〜400万円の寄付を受けていたことが2日、分かった。
安全委の下部組織の専門審査会で、非常勤で審査を担当する複数の委員も、審査対象企業などから寄付を受けていた。いずれも審査の中立性への影響はないとしている。
班目氏は2010年4月に東京大教授から安全委の委員長になった。同氏によると、09年までの4年間に三菱重工業から計400万円の寄付を受けた。(共同通信 2012/01/02)

福島第1原発:91年事故でも非常用電源起動できない状態
東京電力は4日、福島第1原発のタービン建屋地下で91年10月に起きた非常用電源部屋の浸水事故について、非常用電源は起動できない状況だったと発表した。昨年末の発表では非常用電源は機能していたとしていたが、当時の報告書を詳細に分析し、訂正した。
東日本大震災に伴う津波で浸水し、非常用電源が起動できなかったことが今回の事故の一因になった。20年前は外部電源が機能していたとはいえ、当時の経験を教訓にできなかったことになる。
東電によると、配管が腐食したために中を流れる原子炉の冷却用海水が毎時20立方メートル漏出。部屋にあふれて非常用発電機と配電盤が約60センチの深さで冠水した。報告書にあった電気抵抗データなどから起動できない状態だったことが判明したという。
東電は「地下の方が耐震性が優れているので置いた」と説明した。【比嘉洋】(毎日新聞 2012/01/04)

半径250キロ圏内を避難対象 政府の「最悪シナリオ」
東京電力福島第一原発で事故が起きた2週間後の昨年3月25日、事故が拡大すれば、東京都も含む半径250キロ圏内の住民が避難対象になるという「最悪シナリオ」を政府が想定していたことを、6日の閣議後会見で細野豪志原発担当相が明らかにした。
シナリオは、当時首相補佐官だった細野氏が菅直人首相の指示を受け、近藤駿介原子力委員長に依頼、委員長が個人的に作成して政府に提出した。
資料では、最悪のシナリオとして、原子炉2炉心分の1535体もの燃料が貯蔵されていた4号機の使用済み燃料プールの燃料が溶けることを想定した。プールは3月15日の原子炉建屋の爆発でむき出しになっており、さらに1号機の原子炉が水素爆発を起こして作業員が退避、復旧作業が止まると、14日程度でプールから放射性物質が大量に放出されると推定した。(朝日新聞 2012/01/06)

原発付近に住む子ども、白血病の発病率が2倍=仏調査
【パリ11日ロイター】原子力発電所の近くに住むフランスの子どもたちは、白血病の発病率が通常の2倍であることが、同国の専門家の調査結果で明らかとなった。近くがん専門誌「International Journal of Cancer」に掲載される。
フランスの国立保健医学研究所(INSERM)が、2002−07年に国内の原発19カ所の5キロ圏内に住む15歳未満の子どもを調査したところ、14人が白血病と診断された。これは他の地域と比べて2倍の発病率だった。
共同で調査を行ったフランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)のドミニク・ローリエ氏は、この結果を統計的に重要だとした上で、さらに慎重な分析が必要だと指摘。また同氏は、多国間で大規模な共同調査を行えば、より確かな結果が得られるだろうと述べた。
フランスはエネルギーの原発依存度が最も高く、58基の原子力発電所を有しており、電力の75%を原発でまかなっている。
一方、昨年発表された英国の35年に及ぶ調査では、原発の近くに住む子どもにおける白血病の発病率は高いとの証拠は得られていない。(ロイター通信 2012/01/12)

コオロギ500匹からセシウム4000ベクレル検出
東京電力福島第一原発事故で、原発から40キロ離れた計画的避難区域内に生息するコオロギから1キロ・グラム(約500匹)あたり4000ベクレル以上の放射性セシウムが検出されたことが、東京農工大の普後一(ふごはじめ)副学長(昆虫生理学)の調査でわかった。
別の場所のイナゴからも最大200ベクレルを検出した。
調査は、昨年10月、原発から約40キロほど離れた計画的避難区域の福島県飯舘村北部でコオロギ500匹、60〜80キロ離れた本宮市役所付近や須賀川市北部、桑折町役場付近、猪苗代町の猪苗代湖付近の水田でイナゴ計2000匹を採集した。
飯舘村のコオロギからは1キロ・グラムあたり平均4170ベクレルを検出。須賀川市のイナゴは同196ベクレル、桑折町と本宮市は、それぞれ同82ベクレルと75ベクレルだった。(読売新聞 2012/01/12)

カリウムでセシウム低減 核実験のビキニで米研究
米国が1940〜50年代に繰り返した核実験のため、放射性降下物「死の灰」で汚染された太平洋・マーシャル諸島のビキニ環礁では、核の研究機関「米国立リバモア研究所」が、放射性セシウムを作物が吸収するのを抑えるため、土壌にカリウムを加える実験を続けている。
カリウムはセシウムと似た性質を持ち植物に吸収されやすい。実験では、ヤシの実などでセシウムが減る効果が表れており、研究所は「カリウムを加えることが最も効果的」としている。
福島県で玄米から国の暫定基準値を超えるセシウムが相次いで検出された問題でも、カリウムの濃度が低い水田はコメのセシウム濃度が高い傾向にあることが判明した。
住民が移住を強いられ無人のままのビキニ環礁では、米国が30年以上、陸と海で残留放射線のモニタリングを続けている。今も土壌からセシウムやプルトニウム、ストロンチウムなどが検出されており、最も汚染度が高い所では、1キログラム当たり1000〜3000ベクレルのセシウムが含まれている。
リバモア研究所は90年代に、土壌からの植物へのセシウムの移行を減らす研究を開始。マーシャルの人たちが日常口にするヤシの実やパンノキの実は、カリウムを肥料として土壌に加えると、セシウムが約20分の1に減ったという。
ただ、こうした木になる実よりも、葉物野菜の方がもともとセシウムの吸収率が高く、葉物野菜と穀類については2012〜13年、異なる量のカリウムを加える実験をして効果を調べる予定。
ビキニ環礁では、米国が68年に安全宣言を出したため住民が帰島。だが流産や体調不良を訴える人が相次ぎ、78年に再び強制退去させられ、島で採れるものを食べることは今も禁止されている。
研究所は島での1年間の外部被ばく線量を0.1ミリシーベルトと推測。仮に食べた場合は内部被ばくと合わせて年間1ミリシーベルトを超えるという。(産経新聞 2012/01/12)

福島事故直後に「最悪シナリオ」 半径170キロ強制移住
福島第一原発の事故当初、新たな水素爆発が起きるなど事故が次々に拡大すれば、原発から半径170キロ圏は強制移住を迫られる可能性があるとの「最悪シナリオ」を、政府がまとめていたことが分かった。首都圏では、茨城、栃木、群馬各県が含まれる。
菅直人首相(当時)の指示を受け、近藤駿介・原子力委員長が個人的に作成した。昨年3月25日に政府は提出を受けたが、公表していなかった。
シナリオでは、1号機で2回目の水素爆発が起きて放射線量が上昇し、作業員が全面撤退せざるを得なくなると仮定。注水作業が止まると2、3号機の炉心の温度が上がって格納容器が壊れ、2週間後には4号機の使用済み核燃料プールの核燃料が溶け、大量の放射性物質が放出されると推定した。
放射性物質で汚染される範囲は、旧ソ連チェルノブイリ原発事故の際に適用された移住基準をあてはめると、原発から半径170キロ圏では強制移住、250キロ圏でも避難が必要になる可能性があると試算した。
事故の拡大を防ぐ最終手段にも言及、「スラリー」と呼ばれる砂と水を混ぜた泥で炉心を冷却する方法が有効とした。スラリーの製造装置と配管は、工程表にも取り入れられ、実際に福島第一に配備されている。
政府関係者は「起こる可能性が低いことをあえて仮定して作ったもので、過度な心配をさせる恐れがあり公表を控えた」と説明。近藤委員長は「当時、4号機のプールは耐震性に不安があり、そこにある大量の核燃料が溶けたらどうなるか把握しておきたかった」と話している。(東京新聞 2012/01/12)

関連記事:福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描

里山で最大11マイクロシーベルト=旧避難準備区域の放射線量−文科省など
文部科学省と環境省などは13日、東京電力福島第1原発事故を受けて、昨年9月末まで設定されていた緊急時避難準備区域にある福島県南相馬市の里山などの空間放射線量が、最大で毎時11マイクロシーベルトだったと発表した。
同市原町区と小高区の生活圏にある里山など4カ所を無人ヘリコプターで測定。地表から高さ50センチの最大値は毎時11マイクロシーベルト、同1メートルでは最大で毎時10.9マイクロシーベルトだった。(時事通信 2012/01/13)

ストレステストは言い訳 再稼働 妥当性ない EUの原発安全専門家
ブルガリア原子力安全庁の元長官で、欧州連合(EU)加盟国の原発の安全評価(ストレステスト)の議論に加わったゲオルギ・カスチエフ氏(62)が本紙の取材に応じ「ストレステストは、国民の(原発に対する)批判をかわすための言い訳にすぎない」と指摘した。
日本政府は、欧州の制度を取り入れることで、原発の再稼働に理解を求めようとしているが、本場の欧州で実際にストレステストに関わった人から強い疑念が出された。
原子力物理の専門家で、東京工業大で客員教授を務めたこともあるカスチエフ氏はまず、EU加盟国のストレステストが福島第一原発事故以前と同じ事業者や専門家によってなされていることを問題視。「今まで『安全』と判断してきた人々が再び評価したところで、結果は同じだ。その結果を誰が信じるだろうか」と述べた。
テストの方法も「新しい研究成果をテストに適用する時間はなく、これまでと同じ基準で審査することになる」とし、基準が必ずしも最良ではないと指摘。審査にかける期間が短すぎるほか、事業者による報告書が非公開であることも批判した。
批判は日本の状況にも及んだ。日本政府が、原発を稼働させ続ける条件として、ストレステスト合格を打ち出したことに「妥当性がないテストを行う意味は、国民の批判をかわして言い訳するためだ」と言明。テストの担い手や基準の問題が「日本でも(EUと)ほぼ同じ問題が当てはまる」とも述べた。
日本では、国内でのテストが終わった後、国際原子力機関(IAEA)の助力も得ることになっている。カスチエフ氏は「IAEAは原子力の推進と規制が同居する矛盾した組織だ」とした上で「例年、10〜20程度の原発の評価を数カ月かけてする。国内の四十数基の評価にはどのくらいかかるのか」と、正しい評価には長期間かかると述べた。

<ゲオルグ・カスチエフ> ブルガリア出身。37年間にわたって原子力技術を研究し、ロシア型加圧水型原子炉の運転と規制などに携わった。1997年〜2001年にブルガリア原子力安全庁長官、01〜02年に東京工業大客員教授。原発の安全性向上を一貫して訴えている。現在はウィーン自然資源応用生命科学大(オーストリア)上席研究員。(中日新聞 2012/01/15)

原発事故「全取締役に責任なし」 株主に東電が通知
東京電力の福島第1原発事故をめぐって歴代役員に損害賠償を求めて提訴するよう請求していた株主に対し、同社監査役が16日までに不提訴理由通知書を送付した。「津波対策や、発生から事態収束に向けた対応について、全ての取締役に責任は認められない」としている。
株主側代理人の河合弘之弁護士が記者会見し明らかにした。内容を検討し、歴代役員に計約5兆5000億円を会社に賠償するよう求める株主代表訴訟を今月末にも東京地裁に起こす準備を進める。
河合弁護士は「通知書には東電への批判的観点が全くなく、監査役は本来の役割を果たしていない。怒りを禁じ得ない」と話した。(共同通信 2012/01/16)

放射性物質の拡散予測、米に先に提供 国会事故調で文科省
国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は16日、第2回会合を開き、政府の事故調査・検証委員会、東京電力、文部科学省から話を聞いた。文科省は緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で得られた放射性物質の拡散予測結果について、国内での公表より先に米軍に3月14日から外務省経由で提供していたことを明らかにした。
文科省の渡辺格科学技術・学術政策局次長が説明した。国内の公表は政府内での調整に手間取ったために遅くなったという。早く公表していれば、住民避難と被曝(ひばく)防止に役立ったとみられている。
このほか国会事故調では東電の山崎雅男副社長が、東日本大震災前に得られた巨大津波の予測を公表しなかったのは「科学的に根拠がなかった」ためと主張。地震学者の石橋克彦委員が「科学に対する侮辱だ」と反論した。国会事故調は57人の事務局スタッフをそろえ本格的な調査を始めている。会合は原則公開する。次回は30日に開く。
委員長の黒川清・元日本学術会議会長は16日の記者会見で、政府事故調との協力や菅直人前首相らへの聴取時期について「議論している」と述べるにとどめた。(日本経済新聞 2012/01/16)

福島第1原発:非常用電源外れ 東電が事故まで4カ月放置
東京電力は19日、福島第1原発で原子炉の状況を監視する国の装置の非常用電源が4カ月間外れ、昨年3月の同原発の事故まで放置されていたと発表した。事故後2時間ほど原発の状況を示すデータが送信できていなかったといい、事故の初期対応や放射性物質の拡散予測に影響した恐れがある。
非常用電源が外れていたのは東電の「メディアコンバーター」(MC)という装置で、原発の状況を監視する国の「緊急時対策支援システム」(ERSS)にデータを送る。そのデータは、緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)に送信、放射性物質の拡散予測に使われる。
東電によると、事故前の10年11月、設備更新工事で、MCを非常用電源につなごうとしたが、ケーブルが短かったため接続できず、その後もそのままになったという。
その結果、ERSSは東日本大震災で原発の外部電源が喪失した11年3月11日午後2時47分ごろ、データ送信が止まった。通信網は余震で同日午後4時43分ごろにダウンしており、非常用電源が外れていなければその間はデータ送信ができた可能性が高いという。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は記者会見で「伝送できなかったのは初期段階のデータで、SPEEDIへの影響は少ないと推定している。緊急性が高いと思っていなかった」と釈明した。
ERSSは、全国の原発の原子炉格納容器を監視して、事故の展開を予測する。国が155億円を投じて開発した。【奥山智己】(毎日新聞 2012/01/19)

非常用電源未接続:原子力安全機構が工事後の確認怠る
東京電力福島第1原発で、国の原子炉監視システム(緊急時対策支援システム=ERSS)に原子炉の状況を送信する「メディアコンバーター」(MC)が非常用電源と接続しないまま放置された問題で、接続工事を東電に要請した原子力安全基盤機構が完了の確認を怠っていたことが分かった。経済産業省原子力安全・保安院と同機構が19日、明らかにした。
同機構はERSSの運用主体。機構によると、事故前の10年11月、東電がMCを設置する場所を間違えたため、ケーブル類の長さが足りず接続できなくなった。機構が工事をやり直すよう要請したが東電は放置し、機構側も確認しないままそれに気付かなかったという。
また、保安院は事故後の昨年8〜9月、この経緯を知りながら発表しなかった。理由について森山善範原子力災害対策監は19日の記者会見で「担当レベルは公表まで思い至らなかった。関心が高い問題なので可能な限り公表すべきだった」と述べた。
今回の問題を受け、保安院は全国の原発に原子炉データの送信装置に非常用電源を設置することや、送信経路の多重化を義務づけることを検討する。【岡田英】(毎日新聞 2012/01/19)

原発「関西が最も危険」 老朽と金属劣化、研究者指摘
福井県内にある原発7基の再稼働差し止めを滋賀県の住民らが求めた大津地裁の仮処分審で「材料や機器劣化による原発事故の危険性は関西エリアが最も高い」とする井野博満東大名誉教授の意見書を住民側が提出することが20日、訴訟関係者への取材で分かった。
井野氏は意見書で、原子炉の健全性を評価するため圧力容器内に置かれた試験片の耐性を分析。「最も劣化が進んだ九州電力玄海原発1号機(佐賀県)に次ぎ、全国でワースト2〜6が福井県に集中している」と指摘し、事故があれば近接する関西地方が大きな被害を受ける可能性を示した。
運転開始から40年を超えた関西電力美浜原発1号機(福井県)について「鋼鉄のもろさは危険域に達していると考えざるを得ない」と主張。1970年代に運転を開始した原発の中で、廃炉予定を除く国内14基のうち8基が福井県にあるとして「設計時に想定したより長期間使い続けるのは不適切だ」としている。
井野氏は金属材料学が専門。関西電力大飯原発(福井県)の安全評価に関する経済産業省原子力安全・保安院の専門家会議の委員を務めている。
住民らは23日の審尋で、地裁に意見書を提出する。
関電側は「過酷事故の発生は考えられない」と却下を求めている。(共同通信 2012/01/20)

もんじゅの制御棒でトラブル 保安院が1カ月公表せず
経済産業省原子力安全・保安院は20日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の制御棒を動かす装置が、昨年12月の作動試験で動かないトラブルがあったと発表した。その後の試験で正常に作動したが原因を特定できず、保安院は同日、日本原子力研究開発機構に2月29日までに原因究明を行うよう指示した。
保安院はトラブルを1カ月以上公表せず、「原子炉は安全な状態で停止しており、事業者の対応をみていた」と釈明した。
保安院や同機構によると、トラブルはもんじゅのバックアップ用の制御棒6本のうち2本で発生。昨年12月12日の制御棒を引き抜く作動試験で、1本の制御棒駆動装置が動かなかったため、残る5本を調べたところ、同20日に別の1本の駆動装置も動かなかった。
当時、工場で分解と点検を終えた駆動装置をもんじゅに取り付け、作動試験をしていた。その後、装置のブレーキなどを調整し、今月20日に正常に作動することは確認したが、トラブルの原因は不明という。
もんじゅは低温で停止しており設備点検中。19本ある制御棒はすべて炉心に挿入されており、安全な状態という。(産経新聞 2012/01/20)

原発事故、最悪シナリオを封印 菅政権「なかったことに」
東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。
民間の立場で事故を調べている福島原発事故独立検証委員会(委員長・北沢宏一前科学技術振興機構理事長)も、菅氏や当時の首相補佐官だった細野豪志原発事故担当相らの聞き取りを進め経緯を究明。危機時の情報管理として問題があり、情報操作の事実がなかったか追及する方針だ。
文書は菅氏の要請で内閣府の原子力委員会の近藤駿介委員長が作成した昨年3月25日付の「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」。水素爆発で1号機の原子炉格納容器が壊れ、放射線量が上昇して作業員全員が撤退したと想定。注水による冷却ができなくなった2号機、3号機の原子炉や1〜4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出され、強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロに及ぶ可能性があるとしている。
政府高官の1人は「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」と言明。別の政府関係者は「文書が示された際、文書の存在自体を秘匿する選択肢が論じられた」と語った。
最悪シナリオの存在は昨年9月に菅氏が認めたほか、12月に一部内容が報じられたのを受け、初めて内閣府の公文書として扱うことにした。情報公開請求にも応じることに決めたという。
細野氏は今月6日の会見で「(シナリオ通りになっても)十分に避難する時間があるということだったので、公表することで必要のない心配を及ぼす可能性があり、公表を控えた」と説明した。
政府の事故調査・検証委員会が昨年12月に公表した中間報告は、この文書に一切触れていない。(共同通信 2012/01/21)

原発推進:11大学に104億円 国と企業が提供
東京大や京都大など11国立大学の原子力関連研究に対し、06〜10年度、国や原子力関連企業などから少なくとも104億8764万円の資金が提供されたことが、毎日新聞の集計で分かった。規模の大きな大学は毎年、数億円規模で受け取っている。「原子力推進」に沿う限り、研究資金を安定的に得られる仕組みで、大学が国策に組み込まれている構図が鮮明になった。
各大学への情報公開請求で得た資料を分析した。原子力関連の研究室や研究者が、受託研究▽共同研究▽奨学寄付金▽寄付講座──の形で、国、日本原子力研究開発機構などの政府系団体、電力会社や原子力関連企業から受け取った金額を集計した。未公開部分もあるため、実際にはもっと多いとみられる。
ほとんどは受託研究が占め93億円。特に国からの委託は高額で、文部科学省が福井大に委託した「『もんじゅ』における高速増殖炉の実用化のための中核的研究開発」(5億1463万円、10年度)など億単位も目立つ。
共同研究は総額4億1083万円。企業側が数十万〜数百万円を負担することが多い。
奨学寄付金は総額2億1822万円で、研究者が自由に使えるケースも多い。
個人別で最多だったのは、福島第1原発事故直後、当時の菅直人首相から内閣官房参与に任命された有冨正憲・東京工業大教授で1885万円。有冨氏は「持病があり、学会などで海外渡航する際にエコノミークラスが使えず、旅費がかさむ。その点を配慮してくれているからでは」と話す。
企業からの寄付が研究結果をゆがめる恐れについては、「気をつけている。私は安全評価より開発研究が中心で、問題は生じないと思う」と話した。
一方、原発の危険性に警鐘を鳴らし続けてきた京都大の小出裕章、今中哲二の両助教には、「原子力マネー」の提供はなかった。
寄付講座は4大学が電力会社などの寄付で開設し、総額4億9100万円だった。
大学別では、京都大33億640万円、東京大25億5895万円、東京工業大16億7481万円の順だった。【日下部聡】(毎日新聞 2012/01/22)

福島第1 放出毎時0.7億ベクレル 「収束」から増
福島第1原発事故で、東京電力は23日、1〜3号機から現在放出されている放射性物質(放射能)の量は毎時約0.7億ベクレルで、「事故収束」を宣言した昨年12月から同0.1億ベクレル増加したと発表した。増加の理由について東電は、2号機の格納容器内部調査に伴う作業員の出入りや、3号機建屋上部のがれき撤去作業で、建屋などに付着していた放射性物質が舞い上がった可能性があるとしている。現在の放出量は、事故直後の約1100万分の1という。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は会見で、「2、3号機の原子炉の温度が下がれば放出量は減少するが、放出量を1年以内に10分の1にすることは難しい」と述べた。(産経新聞 2012/01/24)

長崎で1ヵ月後 高数値 福島原発 放射性物質を調査 広島で報告
福島第1原発から約千キロ離れた長崎市の大気観測所の吸引調査で、事故1カ月後に高い数値の放射性物質が確認されていたことが分かった。広島市南区の広島大広仁会館で25日にあった同大原爆放射線医科学研究所(原医研)の国際シンポジウムで長崎大の高辻俊宏准教授が報告した。
高辻准教授は事故後、1週間ごとに装置で吸引した空気や吸引口のろ紙の付着物のセシウムの量を調査。2011年3月23日から7月27日までの結果を報告した。
4月6日からの週が特に高く、ろ紙に付着したちりなどのセシウム134の濃度は福島県飯舘村の土壌に相当する1キロ当たり1万1300ベクレルだった。
高辻准教授は米海洋大気局のデータから、4月6日は日本列島の南側を半円を描くように風が東北から九州に達していたと指摘。福島からの放射性物質と推測した。
高辻准教授は「大気中の数値は低くても、空調機のフィルターなどには放射性物質が集積し高くなる可能性がある」と指摘した。  シンポジウムは26日もある。(金崎由美)(中国新聞 2012/01/26)

被ばく研究の団体設立へ 政府批判の研究者ら
東京電力福島第1原発事故に関連し、政府の被ばく防護策に批判的な研究者や医師ら6人が27日、東京都内の日本記者クラブで記者会見し、内部被ばくによる影響の研究や市民向けの勉強会に取り組む団体を設立することを明らかにした。
団体は「市民と科学者の内部被曝問題研究会」。ホームページを開設するなど準備を進めており、4月から本格的な活動を始めたいとしている。
記者会見には、呼び掛け人の1人で太平洋ビキニ環礁での水爆実験で被ばくしたマグロ漁船「第五福竜丸」の元乗組員大石又七さんも出席。大石さんは「被ばくの研究は常に政治の圧力を受けてきた。中立の立場で研究することが重要だ」などと話した。
またメンバーの矢ケ崎克馬・琉球大名誉教授は、高汚染地域に住む子どもの集団疎開や被ばく検診の無料化など、研究会として政府に早急な実施を求める提言を公表した。(共同通信 2012/01/27)

年1ミリ以上「集団疎開を」=広島被爆の医師ら、政府に提言−東京
東京電力福島第1原発事故を受け、学者や医師らが設立した「市民と科学者の内部被曝(ひばく)問題研究会」が27日、東京都内で記者会見し、政府に対し、年間1ミリシーベルト以上の被ばくが見込まれる地域の子どもを集団疎開させたり、妊産婦や病人を安全な地域に移したりすることを求める提言を発表した。
提言は、原発を推進してきた学者ら「原子力ムラ」以外のメンバーで委員会をつくり、事故原因を究明することなども求めている。
研究会のメンバーで、広島への原爆投下で被爆した肥田舜太郎医師は「日本人は放射線の被害を教わっていない。もっと勉強し、放射線と縁を切らなければいけない」と訴えた。米国の水爆実験で被ばくした「第五福竜丸」元乗組員の大石又七さんは「(日本は)全然進歩していない。原発を導入した人たちの責任が問われなくて良いのか」と憤りをあらわにした。(時事通信 2012/01/27)

「無責任な企業」2位は東京電力 国際NGOが発表
スイス東部に政財界のリーダーが集う世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に合わせ、国際NGOが27日発表した「無責任な企業」のランキングで、東京電力が第2位になった。福島第一原発事故をめぐり「情報の公表が遅く、うそもあった。隠蔽(いんぺい)、改ざんの体質がある」とされた。
環境NGO「グリーンピース」などが主催する「地球に害を与え、人権を侵害した」企業を選ぶ「パブリック・アイ(世間の目)賞」で、総数8万8000票のインターネット投票で約2万4000票を集めた。1位は約2万5000票を獲得したブラジルの資源メジャー、バーレ。アマゾンのダム開発で4万人を補償なしに立ち退きさせようとしている、とされた。
世界のNGOが指定した40社の中から最終候補6社が選ばれ、投票の対象になった。工場労働者に有害物質と知らせずに扱わせたとされる韓国のサムスン電子が3位、投機的な食糧の先物取引を通じて世界の貧困層を飢餓に追い込んだとされた英金融大手バークレイズが4位だった。(朝日新聞 2012/01/28)

六ケ所村:相次ぐトラブル 目標時期18回も延期
作業が中断した再処理工場は核燃料サイクルの中核を担う。使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出し、再び原発の燃料として使用することを目指している。日本はウラン資源が乏しいだけに、核燃料サイクルは国策として推進されてきた。
再処理工場は93年4月に着工し当初は97年の完工を目指した。だが、溶融炉内でガラス溶液の流下を促す金属棒が折れたり、高レベル廃液で作業員が被ばくするなどのトラブルが相次ぎ、目標時期は18回も延期された。
05年から10年程度の国の原子力政策を定めた原子力政策大綱ではサイクル政策の推進が明記されている。だが、東京電力福島第1原発事故を受け、内閣府原子力委員会はサイクル政策の見直しを本格化させた。
さらに再処理工場から取り出した燃料を効率的に利用する高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)も昨年11月の「国会版事業仕分け」で抜本見直しを指摘され、運用のめどがたっていない。
一方で、国内の原発には約1万4000トンの使用済み核燃料があり、再処理が進まなければ行き場を失うという問題もある。
原子力政策大綱の見直し会議委員の伴英幸・原子力資料情報室共同代表は「技術上の初歩的な問題があるのではないか。いずれにしても、サイクル政策の見直しを議論している最中に試験を進めるのはおかしい」と指摘する。【関東晋慈】(毎日新聞 2012/01/30)

仏、原発維持に巨額投資必要 会計検査院が報告書
【パリ共同】フランスの会計検査院はこのほど、電力の原発依存を続けていると廃炉や新規建設で今後巨額の投資が必要になるとして、政府に対し電力供給の将来像について検討を始めるべきだとする報告書をまとめた。フランス公共ラジオが1月31日伝えた。
フランスは58基の原子炉を持ち、電力の約75%を原発に依存する。報告書は、東京電力福島第1原発の事故を契機に、フランス政府が同検査院に取りまとめを要請していた。
報告書によると、フランスでは今後10年間で58基のうち22基の原発が稼働開始から40年を迎え、代替の第3世代原発、欧州加圧水型炉(EPR)11基の新設が必要になる。会計検査院はこれまでの原発関連費に加え今後の廃炉や新設などの費用を合わせて2280億ユーロ(約22兆7700億円)と見積もった。
同検査院は今後の巨額の投資について「実際には不可能とみられる」と指摘。政府は投資額抑制のため既存原発を40年以上稼働させるだろうと予測した上で「将来に禍根を残すような決断は避けるべきだ」と警告した。
原発の存廃はフランス大統領選でも争点の1つで、サルコジ大統領は安全性の向上を図りつつ原発維持を主張。最大野党、社会党のオランド候補は、電力の原発への依存率を2025年までに50%に低下させる減原発政策を発表している。(共同通信 2012/02/01)

東日本大震災:3原発でも監視システム送信不能 保安院公表せず
経済産業省原子力安全・保安院は31日、昨年3月の大震災発生時、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)と東北電力女川原発(宮城県)、同東通原発(青森県)の3原発で、国の原子炉監視システム(ERSS)に原子炉の温度や圧力などのデータを送信できない状態が生じていたと発表した。東京電力福島第1原発でも同様の問題が起きていたことが分かっている。保安院はいずれの事象も早期に把握しながら原因特定を怠り、公表もしていなかった。
保安院と、システムを管理・運用する「原子力安全基盤機構」が同日、記者会見した。3原発の送信不能は、データ送信設備が非常用電源と接続されていなかったり、接続されていたが機能しなかったことが原因という。保安院は機構に対し、全国の原発での動作確認や、再発防止策の提出を指示した。
福島原発でのトラブルは、機構が送信設備と非常用電源との接続を確認しなかったことが原因だった。機構は1月に経緯を公表した際、「他の原発では非常用電源は接続されていた」としていた。【関東晋慈】(毎日新聞 2012/02/01)

樹木にセシウム浸透 数千ベクレル「基準値必要」 東農大調査
樹木が吸収した放射性セシウムが徐々に木の内部に移ることが、東京農業大学(東京都)の調査で分かった。同大が採取した福島県南相馬市の木材の内部から1キロ当たり数千ベクレルと比較的高い放射線量が計測された。同県では放射能に汚染された石が使用された建築物が明らかになっている。調査を行った同大の林隆久教授(遺伝子工学)は「木材についても暫定基準値の設定が必要になるだろう」と話している。
東京農大の調査には、近隣に複数の製材工場を抱える相馬地方森林組合が協力した。林教授の調査チームは昨年9月から12月にかけ、同市内などでスギやヒノキなど30本を伐採。木材を年輪ごとに削って放射線量を測定した。
その結果、同市原町区大原で採取したスギ1本から、外樹皮で4万2260ベクレル、平成23年に成長した部分からも5430ベクレルを検出した。木の中心部に近い平成16年分からは930ベクレルだった。
林教授はこれらの結果から、「高濃度のセシウムがたまることも考えられ、(出荷する際の)基準値を作ることや、放置した木材からセシウムが放出されないかを調べる必要がある」としている。林教授はセシウムが樹木内部に入り込む詳しい仕組みについて今後、研究を進めるという。
林野庁によると、木材出荷時の放射線に関する基準値はない。除染を必要とする基準値(10万cpm)を超えた際に表面を拭いたり洗い流すことを勧めている。(産経新聞 2012/02/02)

福島原発周辺で鳥が減少 日米などの研究チーム調査
【ロンドン共同】3日付の英紙インディペンデントは、東京電力福島第1原発の事故による環境への影響を調べている日米などの研究チームの調査で、同原発周辺で鳥の数が減少し始めていることが分かったと報じた。調査結果は来週、環境問題の専門誌で発表される。
研究チームは、1986年に事故が起きたウクライナのチェルノブイリ原発と福島第1原発の周辺で、放射性物質放出による生物への影響を比較調査するため、両地域に共通する14種類の鳥について分析。
福島の方が生息数への影響が大きく、寿命が短くなったり、オスの生殖能力が低下したりしていることが確認されたほか、脳の小さい個体が発見された。このほか、DNAの変異の割合が上昇、昆虫の生存期間が大きく減少するなどの影響も見られた。
研究チームは、福島第1原発の事故後に当たる3月から7月の繁殖期に悪影響が出たとの見方を示している。(共同通信 2012/02/03)

ref. Bird numbers plummet around stricken Fukushima plant
(Independent 2012/02/03)

低線量・内部被ばく どう向き合う
チェルノブイリ影響研究 トンデル博士
がん発症 リスクある 1500キロ離れた地で増加

福島県川内村が原発事故の避難自治体としては初めて帰村宣言を出した。4月1日に役場や学校、保育園などを再開する方針だが、やはり気になるのは放射能汚染による健康被害。年間20ミリシーベルト以下ならば居住できるというのは、本当なのか。向こう数10年にわたって続く低線量被ばくや内部被ばくとどう向き合えばよいのか。内外の専門家に聞いた。(秦淳哉、小坂井文彦)

「がんの発生数2万2409件のうち、850件はチェルノブイリ原発事故によって放出された放射能汚染によるものだった」。スウェーデンから来日したヨーテボリ大学のマーチン・トンデル博士(49)は先月31日、福島市内で開かれた講演会で、スウェーデンでのチェルノブイリ原発事故の健康影響についての調査結果を報告。低線量被ばくでもがん発症のリスクがある可能性をこう「警告」した。
トンデル博士は1986年4月に旧ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故の後、スウェーデン北部に降下したセシウム137の堆積(たいせき)量と、その後に住民が発症したがんとの関係を研究していることで世界的に有名だ。
島国の日本と違い、陸続きで国境を接する欧州では、原発事故の影響が直接隣国などに及ぶ。トンデル博士の研究はチェルノブイリ事故が約1500キロ以上離れたスウェーデンにどう影響したのかを解明するのが目的だった。
スウェーデンではチェルノブイリ事故から2〜3日後に大雨が降った。このとき、事故で原発から放出されて風に乗ったセシウム137の約5%が、スウェーデン国内に降下したとみられている。上空から放射線を測定した結果、「放射能の汚染はスウェーデン北部一帯に広がっていたが、汚染の程度は均一ではなかった。1平方メートル当たり10万ベクレルの場所もあれば、20万ベクレルの所もあった」(トンデル博士)という。
そこでトンデル博士は、スウェーデン国内21州のうち、比較的汚染の程度が高い北部の7州を選び、85年から87年にかけて同一の場所に住み続けたゼロ歳から60歳までの住民約114万人を対象に調査した。ただし、ストックホルムなど人口密度が高い都市部は生活習慣などでがんの発症率が高くなる傾向があるため除外し、内部被ばくは考慮しなかったという。
汚染の程度に応じて調査対象地域を6つに区分し、88〜96年のがん発生数を解析した結果、トンデル博士は「理論的にはチェルノブイリ事故の影響で、通常よりも発生数が3.8%増加したことになる」と説明。「低線量の被ばくでもがんを発症したと考えられる。最も線量が高い場所では11%の増加もあり得る」と指摘した。
一方で、トンデル博士は「調査では同地域の人が同じ被ばくを受けたと単純化して計算した。本来は個人の生活スタイルなども考慮して数値を補正する必要がある。低い線量の影響は研究者もまだ明確な答えを持っておらず、もっと研究する必要がある」と強調する。このため、このデータを東京電力福島第1原発事故の汚染地域にそのまま適用することには否定的だ。(東京新聞 2012/02/03)

使用済み核燃料:直接処分コスト隠蔽 聴取せず調査終了 処分の職員証言──04年経産省
経済産業省の安井正也官房審議官が04年、使用済み核燃料を再処理せずそのまま捨てる「直接処分」のコスト試算の隠蔽(いんぺい)を指示した問題で、当時の内部調査で事情を聴かれたとされる25人のうち2人が取材に対し「事情聴取を受けずにいきなり処分された」と証言した。真相解明すべきなのに、ずさんな調査で早期幕引きを図った疑いがある。しかし、経産省は「既に徹底的な調査をした」として再調査しない方針で、隠蔽体質の根深さが浮かび上がった。【核燃サイクル取材班】

直接処分のコスト試算を巡っては、04年3月、参院予算委員会で社民党の福島瑞穂党首が「再処理しない場合のコストはいくらか」と質問し、経産省資源エネルギー庁の日下一正長官(当時)が「コスト試算はない」と答弁した。しかし同7月、直接処分の方が安価であるとの試算の存在をマスコミが一斉に報じたため経産省が職員25人を事情聴取し、同8月までに安井氏を含む計13人を処分(厳重注意など)した。
この際、経産省側は「(安井氏らが)試算の存在を知ったのはマスコミの取材を受けた7月。(部下が)報告したのにとどまった(隠した)ということもなく悪質ではない」と説明した。
しかし毎日新聞の報道で、実際は同4月、部下から試算の存在について報告を受けたエネ庁原子力政策課長(当時)の安井氏が「見えないところに置くように」と指示したことが判明している。当時の内部調査について、25人のうち1人は「夏休みに那須高原(栃木県)にキャンプに行っていたら携帯に電話があり、呼び戻され処分された。聴取は受けていない」、もう1人も「発覚当時海外にいた。帰国したらすぐ処分された。聴取された記憶はない」と話した。また聴取を受けた職員も「7月中旬に1回、30分程度。『試算の存在を知っていたか』など簡単な内容で真相を突き止めようという感じではなかった」と証言した。
当時の中川昭一経産相は記者会見で「多くの人に1人1時間以上かけて(聴取した)」と強調した。枝野幸男経産相はこれを踏まえ1月6日の閣議後の記者会見で「徹底的な調査と処分が行われている」と語った。

◇「再処理へ力ずく」 政府審議会メンバー怒り

使用済み核燃料を直接処分する際のコスト試算の隠蔽問題が広がりを見せ始めた。04年当時「再処理継続か、直接処分に政策転換か」について論議していた国の審議会メンバーからは怒りの声が上がり、社民党の福島瑞穂党首は再調査や経済産業省の安井正也官房審議官の更迭を求め、国会質問を行う予定だ。
経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会」は、直接処分のコスト試算は存在しないという前提で審議を重ね、同6月、青森県六ケ所村の再処理工場稼働に伴う費用約19兆円を国民が負担する制度を取りまとめた。
分科会の委員だった八田達夫・大阪大招聘(しょうへい)教授(公共経済学)は「(試算がないなんて)おかしいと思ったが、力ずくでやってしまうんだなという雰囲気だった」と振り返り、「再調査すべきだ。その間、少なくとも安井氏を(原子力安全規制改革担当審議官から)外すべきだ」と批判した。
分科会に委員を送っていた日本生活協同組合連合会の小熊(おぐま)竹彦政策企画部長も「直接処分のコストの方が安いことが分かると、19兆円を負担させる制度導入に支障が出るから故意に隠したのではないか。経産省には説明責任がある。けじめをつけないと同じことが繰り返されかねない」と話す。(毎日新聞 2012/02/05)

原子力委3人に業界から寄付 5年間で1800万円
東京電力福島第一原発事故後の原子力政策の基本方針(原子力政策大綱)を決めるため内閣府原子力委員会に設けられている会議の専門委員23人のうち、原子力が専門の大学教授3人全員が、2010年度までの5年間に原発関連の企業・団体から計1839万円の寄付を受けていた。朝日新聞の調べでわかった。
会議では、福島の事故後に政府が打ち出した減原発方針が大綱にどう反映されるかが焦点となっている。原子力委の事務局は3人の選定理由を「安全性などの専門知識を期待した」と説明するが、電力会社や原発メーカーと密接なつながりがあったことになる。
3人は東京大の田中知(さとる=日本原子力学会長)、大阪大の山口彰、京都大の山名元(はじむ)の各教授。3人は寄付を認めたうえで、「会議での発言は寄付に左右されない」などと話している。(朝日新聞 2012/02/06)

核燃サイクル 政府、慎重論無視し推進 電力業界も採算疑問視
使用済み核燃料を再処理して核兵器に転用可能なプルトニウムを取り出す核燃料サイクル計画をめぐり、旧通商産業省(現経済産業省)と旧科学技術庁(現文部科学省)の幹部らが1991年、日本の核武装に対する国際社会の懸念や、膨大な費用がかかることなどを理由に慎重な姿勢を示していた。本紙が入手した内部資料から分かった。

当時は95年の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)ナトリウム漏れ事故前。政府が核燃料サイクルの研究開発を推進していた時期に、原子力政策の担当者が異論や疑問を抱えていたことになり、計画の無責任ぶりが浮かび上がった。
内部資料は原子力政策の重鎮で、科技庁原子力局長などを歴任した故・島村武久さんが85〜94年に開いた非公式の研究会議事録。当時、原子力に関わった政治家や現役官僚、経営者、学者らの証言を掲載している。文科省が2008年に編集し、一部の関係者に配布した。
91年夏の会合に出席した通産省資源エネルギー庁技術課長(当時)の谷口富裕さん(68)は、核燃サイクルを「全体的展望なり戦略に欠けていて、経済的に引き合わない」などと批判。米ソ冷戦の終結直後という当時の国際情勢下で、プルトニウムの大量保有につながる再処理は「最近、各国が日本に(兵器転用への)警戒心を高めている中、(計画自体が)うまくいくわけがないのでは、という心配をしている」と話した。
91年6月の会合では、講師役を務めた科技庁核燃料課長(当時)の坂田東一さん(63)は、核燃サイクルの方向性を議論した政府の原子力委員会の専門部会を「リサイクルありき」と指摘。「(核燃サイクルの是非は)一回議論しかかったが、そこまで行くと収束できない」と、問題があることを知りながら、推進に回った事実を証言した。
一方、電力業界も94年夏の会合で、旧日本原燃サービス(現日本原燃)の元社長豊田正敏さん(88)が「資源の乏しい国で(プルトニウムは)ぜひ使わなきゃいけないと言うが、1割2割のところしか節約できない」と、核燃サイクルの採算性を疑問視していた。
現在、東京工業大特任教授の谷口さんは本紙の取材に「当時は計画の進め方が性急すぎた」とした上で「適切な時間軸と国際的な視点が足りない」と話した。

<核燃料サイクル> 通常の軽水炉原発で燃やしたウランの使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、再利用する仕組み。政府、電力業界は「資源小国・日本の切り札」として期待するが、中核となる高速増殖炉は経済コストが高く、技術的な問題も多いことから主要先進国の米、英、仏、独は1990年代後半までに撤退している。福島第一原発事故を受け、日本でももんじゅを含めた核燃料サイクルの見直し論議が高まり、政府は今夏をめどに是非を判断する。(東京新聞 2012/02/10)

廃炉論議のもんじゅ、耐性評価に9億円 しかも随意契約
日本原子力研究開発機構が昨年末、福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」のストレステスト(耐性評価)を、メーカー5社に発注していたことがわかった。随意契約で発注額は計9億円にのぼる。もんじゅについては、廃炉も含めた国の見直し作業が続いている。
もんじゅは2010年5月に14年ぶりに試験運転を再開したが、同年夏、燃料交換用の装置を炉内に落とすトラブルを起こした。来年度予算では、性能確認のための次の試験の費用は要求されず、再起動の見通しは立っていない。
同機構は昨年11〜12月、2段階で設定されたストレステストのうち、全原発で義務づけられた第2段階のテストを3月末までに終えるよう、5社と計約9億円で随意契約を結んでいた。(朝日新聞 2012/02/11)

原発事故線量マップ、まず米へ提供 東電、保安院には翌日
東京電力が昨年4月下旬に発表した福島第1原発敷地内の放射線量マップ(サーベイマップ)は、公開の1カ月以上前に米原子力規制委員会(NRC)に提供していたことが11日、分かった。東電によると、サーベイマップは更新して逐次送っていた。経済産業省原子力安全・保安院には米側への提供の翌日になって報告を開始したという。
同事故では公表の遅れが問題になった文部科学省の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算データや、気象庁の放射性物質拡散予測データが、米側や国際機関には早い段階から提供されていたことが判明している。事故をめぐる情報の共有や公開の在り方があらためて問われそうだ。
サーベイマップは建屋周辺の日々の線量分布を記載した地図。事故状況の把握や作業計画立案の基礎資料となっている。
東電によると、マップは昨年3月22日に作成を開始。同日、NRCが日本に派遣したスタッフから要請を受けて提供した。建屋周辺の数十カ所〜150カ所の線量を記入。東電の原子力部門の担当者とNRCスタッフ間の電子メールで共有した。当初はほぼ毎日更新し、逐次送信した。
マップは、NRCに提供した翌日の23日から、経済産業省原子力安全・保安院や協力企業にも提供を開始。さらに事故対応拠点となっているJヴィレッジ(福島県広野町など)に掲示され、作業員向けに活用された。
東電は、マップの詳細が4月23日に報道されたことをきっかけに同24日にマップを初めて公表した。現在はウェブサイトでマップの一部を公開している。
東電広報部は「NRCにはアドバイスをいただいていた。敷地内の線量のデータは(マップ公表の前から)収束作業の状況とともに記者会見で説明していた」と話している。(中国新聞 2012/02/11)

核燃輸送容器:検査基準を企業に配慮 寄付受けた教授主導
日本原子力学会が1月に議決した使用済み核燃料などの輸送容器に関する検査基準(学会標準)が、容器設計・製造会社「オー・シー・エル」(東京都)と、同社から多額の寄付を受ける有冨正憲・東京工業大教授が主導する形で審議され、国の規制より緩い内容にまとめられていたことが分かった。原発を巡っては、学会や業界団体が定めた内容が国の基準に採用される例も多いが、「原子力ムラ」内部で自分たちに有利な基準を作り上げていく構図が浮かんだ。【日下部聡】

学会議事録や関係者によると、議決したのは「使用済燃料・混合酸化物新燃料・高レベル放射性廃棄物輸送容器の安全設計及び検査基準」。一般からの意見募集の後、今年中にも正式に制定される見込みという。
学会標準は分科会が原案を作成し、専門部会と標準委員会でチェックする仕組みで、10年に輸送容器分科会で検討が始まった。同分科会はオ社の会議室で開かれ、原案の文書化もオ社から参加した委員が行ったという。
有冨氏は同分科会の主査、上部組織の原子燃料サイクル専門部会の部会長で、議決機関・標準委員会の副委員長でもある。東工大の記録によれば、有冨氏は06〜10年度、オ社から1485万円の奨学寄付金を受けた。分科会に参加するもう1人の研究者(東工大准教授)も10年度、オ社から100万円の奨学寄付金を受けている。
審議の焦点は、使用済み核燃料などの発する熱が容器にどう伝わるかを調べる「伝熱検査」を、新造容器全てに実施するか否か。原案はメーカーに製造実績があればサンプル検査で可としたが、経済産業省原子力安全・保安院の通達は全数検査を求めている。昨年6月の専門部会では、保安院の安全審査官が反対意見を述べた。
しかし、昨年12月23日〜今年1月19日に行われた標準委の投票の結果、研究者や電力会社社員らの賛成多数で可決された。反対は保安院の委員1人。独立行政法人・原子力安全基盤機構の委員が賛否を保留した。
容器メーカー関係者によると、大きな輸送容器なら38本の使用済み核燃料集合体を収納できる。伝熱検査は、集合体と同じ本数の電熱ヒーターを内部にセットしなければならず、負担が大きいという。
有冨氏は「オ社の味方をしているつもりはない。全て検査していたら出荷が滞り、使用済み燃料の処理が進まない。学会としてサンプル検査でいいと判断した」と話す。だが、審査の全段階に関与していることについては「中立性に疑念を持たれても仕方がない。少なくとも分科会主査か標準委副委員長のどちらかは辞めた方がいいと思っている」と話す。
ただ、有冨氏は「容器は原子炉などと違って論文の書ける分野ではなく、研究者が少ない。審議体制に問題があることは分かっていたが、他になり手がいない」とも話した。
オ社の川上数雄常務は「公平、公正、公開の原則にのっとった委員会で活動しており、疑念を招くようなものではない」との見解を示した。
保安院関係者は「輸送容器は市民の近くを通ることもあり、厳しい基準が必要。このまま国の基準にはできない」と話している。
有冨氏は東京電力福島第1原発事故直後、当時の菅直人首相に内閣官房参与に任命されている。(毎日新聞 2012/02/12)

原発5基、予測超す劣化…運転延長基準に影響も
国内の商業用原発全54基のうち5基で、原子炉圧力容器の脆(もろ)さの指標となる「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度(関連温度)」が、予測値を上回っていたことが読売新聞社の調査でわかった。
炉が予測より早く脆くなっている可能性がある。予測値のズレは圧力容器の劣化の正確な把握が困難であることを意味するだけに、古い炉の運転延長に向けた国の基準作りなどに影響を与えそうだ。
原発を持つ電力会社10社に関連温度などをアンケートで尋ね、取材で補足した。
鋼鉄製の圧力容器は、原発の最重要機器だが、中性子を浴びて次第に脆くなる。関連温度が高いほど、衝撃に対する強度は低い。関連温度は対象に衝撃を与えて破壊する実験で推定するため、圧力容器本体での測定はできない。電力各社は容器と同じ材質の試験片を炉内に置き、数年〜十数年おきに取り出し実験している。(読売新聞 2012/02/12)

福島原発直下で地震の恐れも 東北大グループが分析
東京電力福島第1原発の地下は、昨年4月に東日本大震災の余震とみられる震度6弱の地震が起きた福島県いわき市の地下と、深部から水が供給されているなど特徴が似ており、近くの活断層が滑って直下型地震が起こりやすくなっているとの調査結果を、東北大の趙大鵬教授(地震学)らが14日発行の欧州の専門誌で発表した。
趙教授は「地震がいつ起こるかまでは分からない。原発では廃炉に向けた作業が続いているが、耐震や防災の対策を強化すべきだ」としている。
趙教授らは2002年6月から11年10月までにいわき周辺で起きた約6500の地震の波を分析。地震波が伝わる速度の違いから、地下の温度や水の有無などの構造を画像化した。
11年4月に震度6弱の地震で動いたいわき市の井戸沢断層付近の地下には、陸のプレートとその下に沈み込む太平洋プレートとの境界部分から水が上昇しており「活断層の摩擦が水によって小さくなり、滑りやすくなった」(趙教授)と判断。
第1原発の地下でも同様に太平洋プレートから水が供給されていることが判明。双葉断層などが活動しやすくなって強い直下型地震に見舞われる危険性が高まったという。(共同通信 2012/02/14)

ドイツ:脱原発しても…電力輸出超過 再生エネ増、消費減で
【ブリュッセル斎藤義彦】東京電力福島第1原発事故後に「脱原発」を決め、国内17基の原発のうち約半数にあたる8基を停止したドイツが昨年、周辺諸国との間で、電力輸入量よりも輸出量が多い輸出超過になっていたことが分かった。脱原発後、いったんは輸入超過に陥ったが、昨年10月に“黒字”に転じた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの増加と、全体のエネルギー消費量を抑える「効率化」が回復の要因だという。厳冬の影響もあり、電力不足の原発大国フランスにも輸出している。

◇「原発大国」フランスへも

欧州連合(EU)加盟27カ国など欧州の34カ国の送電事業者で作る「欧州送電事業者ネットワーク」(ENTSO-E、本部ブリュッセル)の統計。冬はエネルギー消費量が最も多いことから、ドイツ政府は「(脱原発決定後の)最初の試練を乗り切った」(レトゲン環境相)としている。
ドイツは昨年3月の福島第1原発事故後、17基の原発のうち旧式の7基を暫定的に停止し、その後、1基を加えた8基を昨年8月に完全停止した。震災前は周辺国との電力収支が輸出超過だったが、昨年5月に輸入超過に転落した。フランスからの輸入が前年の3割増になるなど昨年9月まで輸入超過の状態が続いた。
しかし、昨年秋に入ってから好天が続き、太陽光や風力など再生可能エネルギーの発電に有利な条件が整った。また、ドイツ政府が住宅の断熱化などエネルギー効率化を推進したのに加え、原油価格の高騰も手伝って、エネルギー消費量が前年比約5%減になった。このため昨年1〜12月の電力収支は輸出超過を回復。11年の通年で約4200ギガワット時の輸出超過になった。
今年2月に入り、欧州各地で氷点下10度を下回る厳冬になると、電気暖房が全体の3分の1を占めるとされるフランスで原発をフル稼働しても電力が足りなくなった。このため、2月の17日間のうち6日間は電力需要の多い午後7時ごろを中心にドイツからフランスへの輸出超過になり、電力の7割を原発に頼るフランスが脱原発のドイツに依存する事態になった。
昨年のドイツの発電量に占める原発の割合は約22%から18%弱程度に低下する一方、再生可能エネルギーは約20%に上昇した。さらに、褐炭、石炭、ガスなどが微増しており、原発の目減り分を補っている。
一方、日本では再生可能エネルギーによる発電量(10年度)は全体の約10%にとどまり、太陽光や風力など水力以外の新しいエネルギーは約1%に過ぎない。(毎日新聞 2012/02/20)

福島原発沖で1000倍のセシウム 昨年6月、米研究所調査
【ワシントン共同】昨年6月に東京電力福島第1原発沖を調査した米ウッズホール海洋学研究所のチームは21日、事故前に比べて最大で約1000倍の濃度のセシウム137を海水から検出したと、米ユタ州で開かれた海洋科学に関する会議で発表した。AP通信が報じた。
同研究所によると、70〜100キロ沖が最も濃度が高く、汚染は約600キロ沖まで及んでいた。人の健康や海洋生物にすぐに影響するレベルではないとしている。
チームは原発から東方に約30〜600キロ離れた太平洋で海水や魚、微生物を調査。採取した海水には事故前に比べ10〜1000倍高いレベルのセシウムが含まれていた。
検出されたセシウムの大部分は、大気中に放出されたものが降下したのではなく、原発から直接流れ出たと考えられるという。(共同通信 2012/02/22)

米NRC、直後に炉心溶融を懸念 福島原発の内部文書を公表
【ワシントン共同=池内孝夫】米原子力規制委員会(NRC)は21日、東京電力福島第1原発事故発生直後に3つの原子炉の炉心溶融(メルトダウン)や、使用済み燃料プールから大量の放射性物質が漏れることを懸念するやりとりを記した約3000ページの内部文書を公表した。
昨年3月16日の電話会議で、ヤツコ委員長は「最悪のシナリオはおそらく、3つの原子炉がメルトダウンすること。最終的に格納容器が壊れ、何らかの(放射性物質の)漏出が起きそうだ。漏れの規模を予測するのは難しい」と話した。また「風が東京に向かって吹いている場合、東京にどう影響が及ぶのか」と懸念する出席者に「現時点で(米国民の)退避範囲は、50マイル(約80キロ)でいこうと思うが、不確実であり、拡大する可能性はある」と答えた。
東日本大震災の発生直後から、事態の深刻さをNRCが認識していたことを示す内容。メルトダウンの可能性を認めようとしなかった日本政府との危機意識の違いが浮き彫りになった形だ。
12日には80キロ圏の米国民の避難勧告を検討していたことも文書から分かった。ヤツコ委員長は放射性物質の予測が難しい理由として「悪い状況にある使用済み燃料プールが6つもあり、プールが火災を起こすかもしれない」と指摘するなど、緊迫したやりとりが記されている。燃料プールの構造が壊れ、水がなくなっているとの懸念も示された。
文書は、震災発生から10日間の内部での議論や電子メールのやりとりなどが中心となっている。(共同通信 2012/02/22)

政府、国の威信で?米専門チーム常駐断る 福島事故で米証言
東京電力福島第1原発事故で、米原子力規制委員会(NRC)が日本に派遣した専門家チームの責任者だったチャールズ・カストー氏は22日までに共同通信の電話インタビューに応じ、事故発生後の対応について米専門家の首相官邸常駐を日本側が断り、情報不足に苦しむ米側が「フラストレーション(いら立ち)」を募らせたと語った。日米の意思疎通が順調になるまでに10日間を要したという。
またNRCが、日本の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)に似たシステムで、原発から北西方向38キロに放射性プルーム(雲)が到達する可能性があると予測していたことを明らかにした。米海軍横須賀基地の放射線量上昇に懸念を強めた軍部の意向も考慮し、米政府による自国民への退避勧告は38キロの約2倍の半径80キロとしたという。
官邸常駐をめぐる対立の背景には、国家の威信を懸けて事故対応を進めたい日本側と、自国民保護のため情報収集を急いだ米側の綱引きがあったとみられる。
カストー氏は、昨年3月11日の事故発生直後に派遣された米専門家チームが、まず直面した問題は「(米国民の)退避と、使用済み燃料プール、原子炉への注水の即時確保だった」と述べた。
カストー氏によると、「米市民を守るための情報を得る目的」でルース駐日米大使が14日、当時の枝野幸男官房長官に米専門家の官邸常駐を提案。「(日本側に)過分な負担をかけずに情報を得る」ためだったが、日本側は応じなかった。
カストー氏は部下を経済産業省原子力安全・保安院、東電などに接触させ、情報を収集。防衛省主導の協議が16日から行われたが、情報不足で議論は進展しなかった。最終的に当時の細野豪志首相補佐官の提案で21日夜、専門家や担当者が一堂に会する日米協議の打ち合わせが開かれた。
カストー氏は「情報の不足と混乱で、3月20日まではフラストレーションが募っていた」と言明した。日米協議は翌22日から本格的に始まった。
カストー氏は今月2日の離任まで約10カ月半、米専門家チームを率いた。福島第1原発の現場を6回訪れたという。(中国新聞 2012/02/22)

原子力機構 震災後も277億円発注 OB就職29企業・団体に
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を運営する独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構、本部・茨城県東海村)が福島第一原発事故後の2011年4〜11月の8カ月間に発注した業務のうち、714件、金額にして277億円分を機構OBの再就職した29企業・団体が受注していた。本紙の取材で分かった。
原子力機構の運営費の大半は国の交付金。福島事故を受け、不透明な原発マネーに批判が出ていたにもかかわらず、多額の税金を「ファミリー企業」に流していた。
公表資料によると、29社・団体には11年4月時点で、機構出身者78人が役員に就いていた。原子力機構が11年4〜11月に発注した工事、施設管理など研究以外の業務の合計は3400件、818億円で、これらの企業・団体は件数で20%、金額ベースで34%を受注していた。
最も受注件数が多かったのは、OBが歴代社長を占めるNESI(茨城県ひたちなか市)。サーバーのソフトウエア更新や高速炉の炉心特性解析など75件、22億4000万円を受注した。
受注額で最多だったのはナスカ(同県東海村)。随意契約で施設の警備業務三件を受注し、契約金額は33億3000万円に上った。少なくとも15年前から機構OBが社長を務め、08年度には総売り上げの97%が原子力機構の仕事だった。
国から機構には11年度、運営費などで1740億円が交付された。交付金の半分以上は、販売電力に応じて各電力会社に課税される電源開発促進税が原資。促進税は電気料金に上乗せされ、最終的には消費者が1世帯あたり平均で月額110円を負担している。
原子力機構をめぐっては09年、勤務実態のない機構OBの役員に給与を支払っていたとして、再就職先の企業が国税当局から所得隠しを指摘された。
原子力機構の担当者は「契約の大半は競争入札で企業努力の結果。透明性、公平性に問題はない」と話している。

◆利権の構図明らか

五十嵐敬喜法政大教授(公共事業論)の話 原発は専門的な業務があり、ある程度は特定企業との取引はやむを得ない。ただ、国の独立行政法人が競争もなくOBの再就職先企業に業務を発注する構図は公共工事の利権と似通っており、談合と疑われてもしょうがない。福島第一原発事故後、原発の利権構造が明るみに出ており、これまで温存されてきた「原発ムラ」の不透明な人やカネの流れがあぶり出されるだろう。(東京新聞 2012/02/22)

カリウムでコメの汚染抑制 セシウム濃度が半分に
放射性セシウムで汚染された田んぼに、植物に吸収されやすいタイプのカリウム(交換性カリ)が入った肥料をまくと、玄米に吸収されるセシウムの濃度が最小で半分になることを確認したと、農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)が24日、発表した。
セシウムとカリウムは化学的性質が似ているため、代わりにカリウムが吸収されたためとみられる。同機構の加藤直人上席研究員は「交換性カリが少ない土壌で有効だ。玄米を精米すれば濃度がもっと低くなる。今年の作付けにも導入してほしい」と話した。
同機構は、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質で土壌が汚染された福島と茨城、栃木、群馬の4県の試験場で実験。交換性カリをまくことで、玄米に取り込まれた放射性セシウム濃度が、まかない場合に比べ、最小で5割程度に減った。たくさんまけばいいというわけではなく、交換性カリがもともと多い土壌では効果がほとんどなかった。
年を追って効果がどう変化していくかや、ほかの作物での効果も調べたいとしている。(共同通信 2012/02/24)

土壌セシウム:最高で99.9%除去…浄化技術を開発
放射性セシウムに汚染された土壌を浄化する新技術を、太平洋セメントと中央農業総合研究センター(茨城県つくば市)などが開発した。除去率は最高で99.9%だった。処理後の土壌は、コンクリートの骨材など震災復興の土木資材に活用できるという。
新技術では、小型の回転式炉を使い、反応を促進させるカルシウム化合物を汚染土壌に添加し、1350度で加熱。土壌から分離した放射性セシウムをフィルターで捕まえる。
福島県の汚染土壌で試すと、放射性セシウムは1キロ当たり6万7300ベクレルだったのが同29ベクレルに下がった。フィルターは放射性セシウムを含み厳重管理が必要だが、土壌に比べて容量が小さいので廃棄物の減量につながる。
コストは、重油を熱源とした場合、汚染土壌1トン当たり5万〜6万円。
同センターは「既存の炉を活用するなどして低コスト化し、汚染土壌置き場の縮小に貢献したい。落ち葉や稲わらに応用できる可能性がある」としている。【安味伸一】(毎日新聞 2012/02/24)

電力会社求め巨大津波警戒を修正 地震調査報告書で文科省
東日本大震災の8日前、宮城−福島沖での巨大津波の危険を指摘する報告書を作成中だった政府の地震調査委員会事務局(文部科学省)が、東京電力など原発を持つ3社と非公式会合を開催、電力会社が巨大津波や地震への警戒を促す表現を変えるよう求め、事務局が「工夫する」と修正を受け入れていたことが、25日までの情報公開請求などで分かった。
報告書の修正案は昨年3月11日の震災の影響で公表されていない。調査委の委員を務める研究者らも知らされておらず「信じられない」などの声が出ている。電力会社との「擦り合わせ」とも取られかねず、文科省の姿勢が問われそうだ。
文科省は「誤解を招かないよう表現を修正した」などと説明。東電は「文科省から情報交換したいとの要請があった。(修正を求めたのは)正確に記載してほしいとの趣旨だった」としている。
作成中だった報告書は、宮城県などを襲った貞観地震津波(869年)の新知見を反映させた地震の「長期評価」。貞観地震と同規模の地震が繰り返し起きる可能性があると指摘されていた。
開示された資料や取材によると、会合は「情報交換会」と呼ばれ、昨年3月3日午前10時から正午まで省内の会議室で開催。青森、宮城、福島、茨城各県に原発を持つ東電、東北電力、日本原子力発電から計9人が出席した。
巨大津波への警戒を促す記述について、東電などは「貞観地震が繰り返していると誤解されないようにしてほしい」と要求。文科省は「内容は変えないが、誤解を生じにくいよう文章を工夫したい」と応じ、数日後には「繰り返し発生しているかは適切なデータが十分でないため、さらなる調査研究が必要」などとする修正案を作成した。
電力会社側はさらに活断層評価に関する意見交換会も要求。昨年3月末に会合が予定されたが、結局開かれなかった。
政府の東京電力福島第1原発事故調査・検証委員会によると、東電は昨年3月7日、経済産業省原子力安全・保安院に「貞観地震の記述を変更するよう文科省に求めた」と報告している。(共同通信 2012/02/25)

原発事故調、海外専門家から批判続出
福島第1原発の事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会が海外の原子力専門家から意見を聞く会合は25日、2日間の日程を終えた。専門家からは、日本の原発事故への備えの甘さや、政府による「冷温停止状態」宣言の拙速さを批判する声が相次いだ。
米原子力規制委員会(NRC)元委員長のリチャード・メザーブ氏は、事故現場で線量計が作業員に行き渡るまで3週間もかかったことを問題視し、「信じられない対応だ。もっと早くそろえられたはずだ」と批判した。
フランス原子力安全局長のアンドレ・ラコスト氏は、1999年の茨城県東海村での臨界事故や、2004年に関西電力美浜原発で起きた配管破裂事故を例に挙げ「日本では5年に一度、事故が起きていた。大事故があるなら日本だと思っていた」と、教訓を十分に生かしてこなかったことが大事故につながったとの認識を示した。
韓国原子力協会長・張舜興(チャンスンフン)氏は、政府の「冷温停止状態」宣言に疑問を呈し「原子炉内の状態を特定せずに、どうして安全と言えるのか」と、拙速さを批判した。
事故調も、安全意識の甘さがなぜまかり通ってきたのか、今夏の最終報告で解き明かす考え。委員長の畑村洋太郎・東大名誉教授は「安全文化という考え方に真正面から向き合わなければならないと感じた」と述べた。(中日新聞 2012/02/26)

放射能汚染は長期化、日本は食品の厳重な監視を 仏専門機関
【2月29日 AFP=時事】フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は28日、昨年3月の東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所事故について、放射能汚染レベルはこの1年間に急激に低下したものの、汚染は慢性化し、長期にわたって続くとの見解を示した。
IRSNによると、主な放射能漏れは3月12〜25日の計約15件の事故で発生したが、最大の放射能漏れは恐らく3月15日以前に発生した。
セシウムの総放出量は推定で5万8000テラベクレル(テラは1兆)。これは1986年のチェルノブイリ(Chernobyl)原発事故における放出量の3分の1弱にあたる。なお、セシウム137の総放出量は推定2万1000テラベクレル。
セシウム137に汚染された約2万4000平方キロのうち、1平方メートルあたり60万ベクレルの安全基準を上回ったのは600平方キロに過ぎず、これもチェルノブイリ事故の場合を大きく下回る。
ただし、福島第1原発から最大250キロ離れた場所でも、雨などにより放射性物質が蓄積された「ホットスポット」が依然として残っている。
これまで、事故が直接的な原因となった死亡例や病気の報告はないが、市民や救急隊員や福島原発作業員への長期的な影響については不明だとIRSNは強調している。
IRSN危機管理部門のディディエ・シャンピオン(Didier Champion)氏は、慢性的な低線量の被曝が続く恐れがあり、注意しなければ累積被曝量は増えていくと指摘し、日本は果物、ミルク、キノコ類、狩猟した動物、魚介類の厳重な監視を継続することが死活的に重要だと述べた。(AFPBB News 2012/02/29)

被爆でがんリスク42%増加 放影研、50年余の追跡調査
広島、長崎の被爆者のうち、30歳で1シーベルト被爆した人が70歳になった時に固形がんで死亡するリスクは、被爆していない人に比べて42%増加することが、日米共同の研究機関「放射線影響研究所」(放影研、広島市・長崎市)の研究で分かった。1日付の米放射線影響学会の学術誌に発表した。
放影研によると、1950年から2003年まで被爆者約12万人を追跡した調査に基づく研究で、個人線量が推定できる約8万7000人を解析の対象とした。約5万1000人が死亡し、このうち約1万1000人が、肺がんや胃がんなどのさまざまな固形がんで亡くなった。
研究によると、被爆時の年齢が20歳の場合、リスクは54%増加。被爆者の死亡率と被爆していない人の死亡率の比較でも、被爆者の方が固形がんで亡くなる人が1万人当たり26人多かった。
がん以外の死因では、胃潰瘍や肝硬変などの消化器疾患のほか、呼吸器疾患などの死亡リスクも被爆者の方が被爆していない人より増加したが、放射線との因果関係は明らかになっていない。
放影研疫学部(広島)の小笹晃太郎部長は「放射線とがん以外の疾患との関係や、低線量と残留放射能の影響の研究が今後の課題だ」と話している。(共同通信 2012/03/01)

米ビキニ核実験 きょう58年 当時の研究者、福島事故懸念
南太平洋ビキニ環礁での米核実験で、日本のマグロ漁船が被ばくした第五福竜丸事件から1日で58年。広島・長崎に続く核被害が世界に衝撃を与える中で当時、放射能の海に向かった調査船「俊鶻丸(しゅんこつまる)」を覚えている人は少ない。東西冷戦の厳しい環境下で汚染の解明に取り組んだ研究者たちは今、大量の放射性物質を放出した東京電力福島第一原発事故を複雑な思いで見詰めている。(橋本誠)

「やっぱり、ビキニのことを思い出しましたね」
村野正昭・東京水産大(現・東京海洋大)名誉教授(79)=浮遊生物学、東京都杉並区=が昨年3月、福島第一原発の水素爆発を知ったときの印象を語る。
東京大水産学科の大学院生だった1956年、俊鶻丸の第二次調査に参加。プランクトンを採集し、放射線量を測った。一次調査の前、学界の大勢は「海は広いので、放射性物質は薄められている」とみていたが、実際には海水や魚から高い放射能を検出。村野さんが採ったプランクトンにも一次調査ほどではないが、測定器が反応した。
そんな経験から、原発事故の直後、漏れ出した放射性物質は海で薄まる、と影響を低く見積もった政府見解に疑問を感じた。「放射能は拡散しても、食物連鎖で生物に濃縮される。カドミウムや水銀の汚染問題でもそうだった。海のことにあまりに無知だ」
海に出た放射性物質は徐々に沈んでいき、海水や堆積物には放射能の強い層が長い間、残るとされている。福島第一原発ではその後も、高濃度汚染水を貯蔵するため、基準をはるかに上回る低レベル汚染水が海に放出された。
「沿岸の海底の泥の汚染が心配。独立した立場の人たちで影響調査を進めてほしい」。水爆の海に学んだ研究者の願いだ。(東京新聞 2012/03/01)

原発事故由来セシウム濃度 東京湾じわり上昇
福島第一原発事故による影響で、東京湾の荒川河口付近の海底で放射性セシウムの濃度が上昇していることが近畿大の山崎秀夫教授(環境解析学)の調査で分かった。国は現時点で東京湾で調査を行っておらず、山崎教授は「今まさに原発事故由来の放射性物質が、首都圏の放射能濃度の高い地域を流れる河川から東京湾に届いたところ。今後の推移を見守るため、国による継続的な調査が必要だ」と指摘する。 
山崎教授は昨年8月以降、湾内の36カ所で海底の泥に含まれる放射性セシウム134と137の濃度(1キログラム当たり)を測定している。
このうち、荒川河口の若洲海浜公園近くの地点では、泥の表面から深さ5センチの平均濃度が8月に308ベクレル、10月に476ベクレル、12月に511ベクレルと上昇。ほかの多くの地点でも濃度は上がる傾向で、湾の中央より河口付近で比較的高い数値が測定されたという。
ただ、いずれの地点も1000ベクレル以下で、国がそのまま埋め立てできるとする基準の8000ベクレルを大きく下回っている。
山崎教授は、核実験が盛んだった1960年代に、河川から琵琶湖に流入したセシウムの研究データから、地形が似る東京湾へのセシウム流入のピークを1、2年後とみる。「半減期30年のセシウム137はとどまるものの、半減期が2年の134は急速に減っていくため、今後、濃度が著しく上昇することは考えにくい」とする。
河口付近の4地点では、約1メートルのアクリル製の筒を使って、泥のどの深さまで134が含まれているかを測定した。その結果、最も深い場所では24〜26センチで検出された。
東京湾の河口付近の海底では泥が堆積するスピードは年間1、2センチ程度といい、「泥の中を動き回る底生生物によって運ばれた可能性がある。このまま放射性セシウムが河口付近の泥の中に深く潜ってくれれば、湾全体への拡散が抑えられるだろう」と話した。
山崎教授は東京湾で採取した魚介類の濃度も測定。検出限界値以下か多くても10ベクレル以下で、「このまま推移すれば全く問題のない数値だ」と指摘する。
東京湾は湾口が狭く、外洋からの海水が流れ込みにくいため、閉鎖性の高い水域とされる。国は2月17日から、東京湾に流れ込む荒川で放射性物質濃度の測定を始めており、4月以降、湾内の海水や海底の泥などの本格的な調査を始める。(東京新聞 2012/03/02)

核燃料再利用「15%」の謎 根拠 誰も知らない
原子力委員会事務局が昨年11月、政府のエネルギー・環境会議のコスト等検証委員会に、使用済み核燃料はどのくらい再利用できるかを示す重要な数字を、根拠を確かめないまま提示していたことが分かった。この数字は、核燃料サイクル政策を続けるかどうか、コストや省資源の面から判断する重要な材料の1つ。エネ環会議は夏にも新たなエネルギー政策の方向を打ち出すが、重要な数字の信ぴょう性が揺らいだことで、議論の行方にも影響が出そうだ。
問題の数字は、「次世代燃料生成率(再生率)」。使用済み核燃料から取り出したプルトニウムなどが、どのくらい混合酸化物(MOX)燃料として再利用できるか、その割合を示す。数字が高いほど、ウラン資源が有効活用でき、エネルギー確保も容易になるとされてきた。
昨年11月のコスト等検証委では、委員の大島堅一立命館大教授から2回にわたって再生率に関連する質問が出た。原子力委員会事務局が回答を示した。
この中で、同事務局は重さ1000キロの使用済み核燃料からは、10キロのプルトニウムと140キロのウランを回収し、150キロのMOX燃料が再生できる。そのため、再生率は15%になると説明した。
しかし、ここで再生に回るとされたウランは、再生が難しく、現在、利用する計画はない。実際には、外から別のウラン(劣化ウラン)を調達してMOX燃料を作るため、1000キロの使用済み核燃料のうち再利用されるのは、10キロのプルトニウムだけ。通常なら、再生率は1%になるはずだ。
本紙の取材に、同事務局の山口嘉温(よしはる)上席政策調査員は「15%は2004年に経済産業省コスト等検討小委員会が出した数値を踏襲した」と説明。「15%の根拠は調べたが、分からなかった」とも述べ、根拠が不明確なままだったことを認めた。
一方、経産省は「15%がどう決まったかが分かる資料は現在見当たらない」(担当者)と話している。

◆裏切られた思い

コスト等検証委の大島堅一立命館大教授(経済学)の話 原子力の専門家には敬意を払って会議に参加しており、科学的な数値は信用していた。根拠がなかったとは驚くし、裏切られた思い。数値を守ろうとした揚げ句、訳が分からなくなったのではないか。コスト等検証委は「聖域なき検証」をうたっていたが、費用計算全体が疑わしくなった。再計算が必要だろう。(東京新聞 2012/03/03)

炉心溶融、1週間後に指摘 保安院暫定チーム
経済産業省原子力安全・保安院のチームが、東京電力福島第一原発事故から1週間後には、1〜3号機の原子炉内の核燃料は溶け落ちて炉心溶融(メルトダウン)したと分析していたことが、朝日新聞が情報公開請求した文書でわかった。ただし公表はされず、国が炉心溶融を認めたのは事故から2カ月後だった。分析を国民への説明などの初期対応に生かせなかった。
分析したのは、保安院内にある「緊急時対応センター(ERC)」で昨年3月14日から活動を始めた「情報分析・対応評価チーム」。もともと想定されていたチームではなく、保安院企画調整課の要請で、経産省や原子力安全基盤機構などの有志約10人で急きょ結成された。従来の分析部署が緊急対応に追われるなか冷静に分析する集団が必要だという判断だった。
メンバーが注目したのは、東電から24時間態勢で送られてくる水位や圧力データ、原子炉格納容器内の放射線量を測る「CAMS」(格納容器雰囲気モニター)の数値。昨年3月15日には1、2号機で放射線量が急激に上昇し、格納容器底部に燃料が溶け落ちたことをうかがわせた。ほかのデータの変化もあわせ、同18日午後2時45分の時点で、1〜3号機ですでに炉心溶融が起きたと判断している文書が残されていた。
文書では、溶融した燃料は底にたまって水に浸されやすくなっているため、「外部から注水を続ける限りにおいては安定した状態が継続している」と評価している。(朝日新聞 2012/03/04)

敦賀原発敷地でM7.4 断層35キロ、従来は過小評価
日本原子力発電敦賀原発1、2号機(福井県)の敷地を通る活断層「浦底−柳ケ瀬山断層帯」(浦底断層)は少なくとも全長35キロあり、マグニチュード(M)7.4程度と従来の想定の2倍以上に当たるエネルギーの地震を起こす可能性が高いことが5日、産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員らの調査で分かった。
浦底断層の南部にある複数の断層が広域で連動する可能性もあり、杉山氏は「最悪の場合も考えないといけない」として、大規模な連動地震についても考慮すべきだとしている。
政府の地震調査委員会や日本原電は連動する他の断層も含め、全長25キロでM7.2程度と評価しており、過小評価だった可能性が高い。原発の立地場所として問題があることを示すもので、安全性の再検討は必至だ。日本原電は「現段階では、コメントは何もない」としている。
杉山氏は、原発の耐震性を評価する経済産業省原子力安全・保安院の専門家会議の委員。
杉山氏によると、日本原電の音波探査結果などから、敦賀原発の東側の敦賀湾で浦底断層から2〜3キロの位置に複数の活断層があり、浦底断層と同時に動く可能性が高いと分かった。全長は35キロとなる。こうした海底断層は、日本原電や国の安全審査では考慮してこなかったという。(共同通信 2012/03/06)

「日本は原子力帝国」 前福島知事、欧州議会で講演
前福島県知事の佐藤栄佐久氏らが7日、ブリュッセルの欧州議会で講演し、「日本は(東京電力福島第一原発の)事故の後も原発を進めようとしている。原子力帝国だ」などと語り、政府の姿勢を批判した。反原発や環境保護などを訴える「緑の党」系の会派の催しに招かれた。
佐藤氏は現職時、原発を受け入れていた立場だが、事故の地元への報告が後回しにされた経験や、今回の事故を受けた政府の会議で議事録が作られていなかったことなどを紹介。過去も今も、政府の情報発信に問題があると指摘した。
また原発メーカーの元原子炉設計者、後藤政志さんも、日本の原発の耐性評価(ストレステスト)では、「火災やがれきによる被害が考慮されておらず問題がある」と述べた。
欧州連合(EU)は福島の事故を受け、域内の全原発を対象にストレステストを4月末までの予定で実施中。EUの検査内容が不十分だと批判している同会派のレベッカ・ハルムス代表は「EUは福島の教訓を生かさなければいけない。原発を過去のものにすることは可能だ」と述べた。(ブリュッセル=野島淳)(朝日新聞 2012/03/07)

スイスで安全性問題と運転制限 原発で行政裁判所
【バーゼル(スイス北部)共同】スイス連邦行政裁判所は7日、首都ベルン近郊にあるミューレベルク原発について、安全性に問題があるとの反原発団体の訴えをほぼ認め、運転許可を2013年6月までとする判決を言い渡した。
ミューレベルク原発は1972年に営業運転を開始。福島第1原発と同じ沸騰水型。
東日本大震災での東京電力福島第1原発事故を受け、スイス政府は稼働50年の原発を順次停止し、2034年までに国内5基全てを停止する方針を決めている。しかし反原発団体からは大幅な前倒しを求める声が出ており、今回の判決で国内の脱原発運動がさらに活発化しそうだ。(共同通信 2012/03/08)

なぜ大人は危険と思わなかったの 福島から避難の子が証言
【ニューヨーク共同】東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を避けるため福島県から首都圏に自主避難した母子が7日、ニューヨークで開かれた会議に参加し、子どもたちは「(旧ソ連の)チェルノブイリ事故の時、なぜ大人はいつか自分の国の原発も危なくなると思わなかったのだろう」と問い掛けた。
東京都世田谷区に避難した小1の深川凱聖君(7)はチェルノブイリ事故とその影響を聞き「僕は放射能がとても怖くなりました」と話し、大人が自国の原発の危険を考えなかったことに疑問を投げ掛けた。
避難生活で「福島のお友達とも一度も会えていません」と語り、父は仕事のため福島に戻り、月に一度しか会えず「寂しいです」と述べた。
横浜市に避難している小4の富塚悠吏君(10)は、避難が急に決まり友達や先生に別れのあいさつができなかったと話し「今は新しい学校に楽しく通学しています。でも時々福島のことを思い出し悲しくなります」と語った。福島の子どもや避難した友達を励ますためブログを始めたという。
会議は国連本部で開催中の「女性の地位に関する委員会」の関連イベントで、日本の人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」と日弁連が共催した。(共同通信 2012/03/08)

福島3地点でプルトニウム241 「豆類蓄積の恐れ」と警告
放射線医学総合研究所(千葉市)は、東京電力福島第1原発から北西や南に20〜32キロ離れた福島県内の3地点で、事故で放出されたとみられるプルトニウム241を初めて検出したと、8日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版に発表した。
人体に影響のないレベルだが、プルトニウム241は他の同位体に比べて半減期が14年と比較的短く、崩壊してできるアメリシウム241は土壌を経由して主に豆類に取り込まれやすい。放医研は「内部被ばくを避けるためにも原発20キロ圏内での分布状況を確かめる必要がある」としている。
昨年4〜5月に採取した福島県飯舘村、浪江町の森林の落ち葉と、スポーツ施設で現在事故対応拠点となったJヴィレッジ(広野町など)の土から検出。他の同位体プルトニウム239(半減期2万4千年)、240(同6600年)も検出、同位体の比率から今回の事故が原因と分かった。
濃度は、過去に行われた大気圏内核実験の影響により国内で検出されるプルトニウム241よりも高い。ただ半減期が短く、1960年代当時に核実験で飛来した濃度よりは低いレベルという。
プルトニウムは天然にはほとんど存在しない放射性物質で、原子炉では燃料のウランが中性子を吸収してできる。(共同通信 2012/03/08)

MOX燃料 ウラン燃料の5倍割高
使用済みの核燃料の一部を再利用するウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX))燃料の1トン当たりの平均額は約12億7000万円で、通常のウラン燃料の5倍近くもすることが本紙の調査で分かった。価格は各電力会社とも「具体的な契約に関係すること」として公表してこなかったが、財務省の貿易統計や取材から判明した。
再生したMOX燃料を原発で使うプルサーマルは、核燃料サイクル政策の柱の1つ。ウラン資源の節約につながるとされてきたが、コスト面で疑問符が付きそうだ。
MOX燃料は現在、国内では生産する能力がないため、電力会社がフランスの会社から輸入している。2002年以降、中部、関西、四国、九州の電力4社が計5回にわたってMOX燃料を輸入。貿易統計などによると、輸入量は計53.4トンで、金額は計約676億5000万円だった。1トン当たりの単価は、多少のばらつきはあるものの、平均すると約12億7000万円となる。
これに対し、通常のウラン燃料の単価は、原子力委員会が昨年11月に公表した資料によると、同約2億7000万円。MOX燃料はこの約4.7倍という計算になる。
MOX燃料が高額になるのは、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出して再生するには厳重に管理された施設が必要で、加工費が高くつくことが大きい。運送や警備、保険料もかさむ。
割高なMOX燃料を使う理由を、九電は「エネルギー資源に乏しい日本にとって、使用済み核燃料の再利用はウラン燃料の節約につながる」と説明。その上で、「確かにウラン燃料より割高だが、全体の燃料費に与える影響は大きくない」としている。浜岡原発(御前崎市)4号機のプルサーマル計画延期を決めている中電は「コメントは差し控えたい」としている。(中日新聞 2012/03/08)

原子炉の反応は未解明と米専門家 炉心溶融で
東京電力福島第1原発事故で起きた炉心溶融のような極端な条件下で、核燃料と水がどう反応するかは現段階でもほとんど分かっていないとする見解を、米ノートルダム大などのチームが9日付の米科学誌サイエンスに発表した。専門家から見ても、事故から1年が経過する原子炉の状況の把握は、手探り状態にあることを示している。
事故後、原子炉には大量の海水が注入された。チームは、これまでの研究の主流は、使用済み燃料を地下に貯蔵する際の地下水との反応などだったと指摘。溶けた燃料が、高温の海水にさらされた影響について、十分な知識は得られていないとの見方を示した。
さらに、今回の事故のような条件で、燃料から放射性物質がどのくらい溶け出したかを予測できる信頼性の高い手法は、現段階では存在しないとした。
チームは、実際に放射性物質を用いて、燃料損傷を想定した実験が必要だと強調。「難しく資金も必要だが、リスクを減らすために欠かせない」と訴えた。
一方、同じ号のサイエンス誌は、尾身幸次元財務相の主張も掲載。「炉内の温度は100度以下となり、管理可能な状況だ」としている。(共同通信 2012/03/09)

福島第1原発:炉心溶融の可能性指摘 対策本部議事概要
政府は9日、東京電力福島第1原発事故への対応を行った原子力災害対策本部の議事概要などを公表し、事故が発生した昨年3月11日午後7時すぎに開かれた第1回会議から炉心溶融(メルトダウン)の可能性が指摘されていたことが明らかになった。翌12日正午すぎからの第3回会議でも炉心溶融を懸念して避難範囲の見直しに言及した閣僚もおり、政府が早い段階から炉心溶融の可能性を認識していたことがうかがえる。
第1回会議では、全電源が失われ、電池で動く原子炉冷却装置だけが動いていることが指摘され、この状態が「8時間を超え、炉心の温度があがるようなことになるとメルトダウンに至る可能性もあり」と報告された。ただし、この時点では放射性物質の外部放出が確認されていなかったことから「直ちに特別の行動は不要」との発言もあった。
第3回会議では、玄葉光一郎国家戦略担当相(当時)が「メルトダウンの可能性がある。避難地域(当時は半径10キロ圏内)を考え直す必要はないのか」と懸念を示し、菅直人首相(同)も「楽観はできない」と発言。その約3時間後に、1号機で最初の水素爆発が発生した。
その後、12日夜に開かれた第4回会議では、海江田万里経済産業相(同)が1号機の中央操作室や敷地境界で放射線量が大幅に上昇していることを報告。菅氏が「チェルノブイリ型(の水蒸気爆発)はあり得るのか。スリーマイルのようなメルトダウンがあり得るのか」と問いかける場面もあった。
一方、実際は原子炉圧力容器や格納容器が破損し、核燃料によって汚染された水が外部に漏れ出す事態に発展したにもかかわらず、13日午前10時すぎの第5回会議では、海江田氏が「1号機で爆発が起きたが、原子炉は頑丈な鋼鉄製の格納容器に納められており、深刻な破損はない旨報告を受けている」と話すなど、被害を過小に見積もっていたことを示す発言もみられる。
しかし、公開された議事概要は出席者の発言が箇条書きで羅列されているだけで、避難区域の設定などの重要な決定の過程はほとんど分からない。
政府が震災や原発事故に関して設置した15会議のうち10会議で議事録が作成されず、このうち原子力災害対策本部など3会議は議事概要もなかった。政府は批判を受けて、会議の出席者のメモや関係者への聴取などをもとに議事概要を作成した。3会議のうち残る緊急災害対策本部と被災者生活支援チームの議事概要も9日、公表する。【西川拓】(毎日新聞 2012/03/09)

原発依存深刻事故起きる
米国の研究者が警告

原発で過酷事故が起きた後、溶融した燃料から放射性物質が水にどのように溶け出すかは不明な点が多く、原発への依存を続ければ深刻な事故が起きるだろう−。東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)事故から1年になるのを前に、米国の研究者たちが9日発行の米科学誌『サイエンス』に事故を考察した論文を発表し、警告しました。
論文を発表したのは米・ノートルダム大学のピーター・バーンズ教授ら3氏です。論文では、事故発生当時運転中だった福島第1原発1〜3号機が全交流電源を失って炉心溶融(メルトダウン)を起こして大量の放射性物質を放出する過酷事故に至ったこと、高濃度放射能汚染水が原子炉建屋の地下などにたまり、さらに海へ流出したことなどを説明しています。
海へ流出した放射性物質の量について論文は、セシウム137だけで最大2万7000テラ(兆)ベクレルという推定値が示されていることを紹介しています。東電は、海へ流出した高濃度放射能汚染水に含まれていたセシウム137の量を約950テラベクレルと推定していますが、その約28倍が出た可能性があることになります。
バーンズ博士たちは、溶けた燃料が水と接した場合にどのようなことが起こるかはほとんどわかっておらず、それを明らかにするために、放射性物質を使った実験を含め、研究を行うことが必要だと強調。そのうえで、世界中に440基の原発があり、電力の約16%を依存している状況が続けば事故が起こり、人々が危険にさらされるとしています。(しんぶん赤旗 2012/03/09)

ref. Nuclear Fuel in a Reactor Accident(Science 2012/03/09)

甲状腺がん10万人に2〜3人 東京でも内部被ばくの影響
東京電力福島第1原発の事故後1年間に摂取した飲食物による内部被ばくで、都内に住む乳幼児の場合、10万人当たり2〜3人の確率で一生のうちに甲状腺がんになるとの推計を、東京大の研究チームが12日発表した。
事故の影響が東京の子どもにまで及ぶことを示す結果。チームの村上道夫特任講師は「外部被ばくより影響は小さいが、がんの確率が高いか低いかは、人によって受け止め方が違うだろう」と話している。
がんの確率はディーゼル車の排ガスの影響より低いが、シックハウス症候群の原因物質のホルムアルデヒドや、ダイオキシン類より高い。(共同通信 2012/03/12)

東日本大震災:脱原発「正しい決断だった」…ドイツ首相
【ベルリン篠田航一】ドイツのメルケル首相は10日公開の録画ビデオで、東日本大震災後にドイツが22年までの全原発稼働停止を決めたことを「正しい決断だった」と振り返った。
首相は「我々は、先進工業国でも予想できない危機が起きる状況を目の当たりにした。その結果、私は脱原発を加速すべきだと確信した」と説明。そのうえで「再生可能エネルギー分野で、ドイツが市場の先駆者になれるチャンス」と述べ、脱原発後の新エネルギー開発での「商機」を強調した。(毎日新聞 2012/03/12)

刊行:『福島第一原発』 米の原子力技術者・ガンダーセンさんに聞く
◇安全・安価な原発はない
米国の反原発派原子力技術者、アーニー・ガンダーセンさんが、著書『福島第一原発──真相と展望』(岡崎玲子訳、集英社新書)の刊行に合わせて来日した。東京電力福島第1原発の事故前に、同型原子炉の事故の可能性を指摘していたガンダーセンさんに聞いた。【鈴木英生】

ガンダーセンさんは大学院修了後、エンジニアとして原子炉の設計や運用に携わり、米エネルギー省の原子炉廃炉手引き書の作成にも関与。1990年、当時の勤務先で放射性物質が一般の金庫に収納されていることを内部告発した結果、原子力業界から追い出された。現在は原発についての調査分析、訴訟や公聴会での発言などをしている。
東日本大震災の直前、妻に米スリーマイル島原発事故(79年)のような事故が再びあるかを問われ、「GE(ゼネラル・エレクトリック)のマーク1で起きるだろう」と答えていた。この型の欠陥は、さまざまに指摘されてきたからだ。マーク1は、まさに福島第1原発で使われていた原子炉である。
また、福島第1原発事故の1週間後、CNNテレビに出演した際は「核燃料の7〜8割がメルトダウン(炉心溶融)しており、チェルノブイリと同レベルの事故だ」と語った。本書でもその主張を詳細に展開している。
最近気になるのは、同原発で汚染冷却水を濾過(ろか)するフィルターの処理という。頻繁に交換するため、「既にアメフト場一杯分の汚染フィルターがたまったと聞きます。汚染フィルターは燃やすわけにもいかない。今後、20年ほどは冷却が必要なはずですから、汚染フィルターは増え続ける」
事故処理には数十年かかるとされる。「スリーマイルの場合は事故後1年で、電力会社の経営陣が原発内部に入って安全性を宣伝しました。さて、東電の社長も同じことができるだろうか……」
作業員の健康管理も問題だ。米国でも日本でも現場では、立場の弱い労働者が働いている。「長く現場で働くほど収益は上がりますが、健康リスクも高くなる。米国では以前、許容被曝(ひばく)量を超えた労働者が、偽名で繰り返し現場に入っていました。米国の場合、最近はテロ対策で作業員の身分確認がしっかりしていますが、日本ではどうか」と危ぶむ。
本書はマーク1型原子炉の危険性を強調するあまり、「安全性さえ高めれば原発を維持できる」とも読まれかねない。実際には「安全な原発も、安価な原発もつくることはできます。ただし、安全と安価が両立する原発はつくれない」が持論だ。「再生可能エネルギーによる発電の方が、徐々に原発より安価になる。古い原発は、浜岡原発の1号炉、2号炉のように、補修するより廃炉にした方が安くなっていく」。そもそも原発は、ビジネスとして成立しなくなりつつあるというわけだ。
それでも、プルトニウムを過程で製造できる核燃料サイクルは、潜在的な核兵器開発能力につながるからこそ安全保障上、必要だ、という声もある。「その考え方も分かるが、プルトニウム抽出に、あんな大がかりなシステムはいらない。いずれにせよ、非経済的で実現不可能な計画は、早く止めた方がいいのです」(毎日新聞 2012/03/12)

「がれき移動は危険」 チェルノブイリ研究者が懸念
1986年のチェルノブイリ原発事故で内部被ばくの研究をしたゴメリ医科大学(ベラルーシ共和国)初代学長、ユーリ・バンダジェフスキー氏の講演会(主催・放射能防御プロジェクト)が11日、那覇市民会館であった。
放射性物質の体内取り入れの影響として、これまで甲状腺などへのがんの誘発や白内障などの影響が指摘されてきたが、ユーリ氏はそのほかに心臓など臓器への影響を指摘。自身の研究のデータを示し、「心臓など重要な臓器にセシウム137が蓄積され、心筋障がいなど心臓の疾患が引き起こされやすい」と説明した。
さらに、仲井真弘多知事が被災地のがれきの県内受け入れを検討していることについて、「がれきを動かすこと自体危険だ。放射能汚染がない地域にあえて持ち込むことはない。汚染しない野菜を栽培する場所が必要だ」と述べ、懸念を示した。
体調に変化が生じた場合、放射性物質の影響かどうか判断できる体制の構築が大切だと強調し、「的確な診断ができるよう医師が放射能のことをよく知る必要がある」と述べた。
ユーリ氏の報告について、琉球大学の矢ヶ崎克馬名誉教授は「はっきりしたデータが集められた研究は価値がある。特に放射性物質が体のあらゆるところに運ばれ、甲状腺などに集まる性質があるという指摘は重要だ」と述べた。ユーリ氏は13〜19日、東京、京都、宮城など全国5会場で講演する。(琉球新報 2012/03/12)

70年代原子炉に不純物24倍 技術不足、高い銅混入率
原発の原子炉圧力容器に混じる不純物の銅の割合が、1970年代に運転を開始した敦賀原発1号機(福井県)などの古い原発では新しい原発に比べて高い傾向にあり、最大で24倍に達している原子炉圧力容器があることが13日、経済産業省原子力安全・保安院や電力各社への取材で分かった。銅の割合が高いのは、当時の技術不足が主な原因。
鋼鉄製の容器に核分裂で生じる中性子が長時間当たり続けると、銅の作用で容器の鋼材がもろくなる。古い原発は想定以上に劣化が進んでいる可能性があり、直ちに危険性が高まるわけではないが、長期運転をめぐる議論に影響を与えそうだ。
取材した中で銅の割合が最大だったのは、70年に運転開始し42年を迎えた敦賀1号機で0.24%。71年の福島第1原発1号機(福島県)は0.23%、70年の美浜1号機(福井県)、74年の高浜1号機(同県)、74年の島根1号機(島根県)が0.16%と続いた。
保安院によると、銅原子は中性子を浴びると、一部に集まって固まりを作る性質がある。そのため鋼材が硬くなり、変形に耐えられなくなるという。米国では74年に銅の割合を0.1%以下にする民間規制を導入した。
日本も同年から鉄鋼業界が同様の規制を採用。技術も向上したことから、その後に造られた圧力容器はおおむね0.1%以下に抑えられている。90年に運転開始の柏崎刈羽2、5号機(新潟県)は0.01%、2009年開始で国内最新の泊3号機(北海道)は0.04%だった。
敦賀1号機の銅の割合は最小だった柏崎刈羽2、5号機の24倍。保安院は敦賀1号機について「適切に温度を管理すれば、圧力容器の健全性に問題はない」と説明している。
政府は原発の運転期間を「原則40年」に制限する規制案を打ち出している。九州大応用力学研究所の渡辺英雄(わたなべ・ひでお)准教授(照射材料工学)は「一律40年ではなく、銅を中心とする不純物の割合や中性子の照射量などを評価して個別に寿命を決めるべきだ」と指摘している。(共同通信 2012/03/13)

地中30センチにまで浸透か 放射性物質、除染に影響も
東京電力福島第1原発事故で放出され地面に降り積もった放射性物質について、事故から3カ月後の昨年6月にはほとんどが地表から5センチまでの浅い場所にとどまっていたが、1年後の現在では10〜30センチの深さまで浸透している可能性があるとの推定を、日本原子力研究開発機構のチームが14日までにまとめた。
雨水がしみ込む際に一緒に運ばれるとみられる。同機構幌延深地層研究ユニット(北海道幌延町)の佐藤治夫研究員は「除染活動が遅れるほど放射性物質は深く移動し、除染で取り除く土壌が増えたり、(地下水に入って)井戸や河川に流れ込んだりする危険性がある」と警告している。
チームは昨年6月、第1原発から半径20〜60キロ圏の福島県二本松市、川俣、浪江両町の計11カ所で、深さ1メートルの板状の土壌を採取し、セシウム137など4種類の放射性物質の分布を調べたところ、地表から深さ5センチ以内にほぼ限られていた。
これらの地点でのその後の変化を予測すると、放射性物質は種類ごとに土への吸着力が異なるにもかかわらず、土中で同じような速さで下方に移動することが判明した。降った雨水に押し流される影響が大きいと考えられるという。
この状況が続くと、事故から1年で少なくとも地表から10〜30センチに分布し、放射性物質の濃度が最も高くなる場所も、6月時点の深さ2センチ以内から、4〜8センチまで下がると推定した。
調査した6月以降、梅雨や台風などで雨が多かったことから、さらに深くなる可能性もある。チームは3月に再度、土を採取し調べている。(共同通信 2012/03/14)

雨では除染できない 研究チーム 最大でも年間2%減のみ
東京電力福島第一原発事故で、地表に降り積もった放射性セシウムの濃度が、風や雨などによる作用だけでは最大で年間2%ほどしか低下しないことが13日、筑波大などの研究チームの調査でわかった。チームは「放射能汚染対策では、除染が重要になる」と指摘している。
調査は文部科学省からの委託で、昨年7月中旬から9月にかけ、福島県川俣町内にある計画的避難区域で実施。畑と牧草地、スギ林など5ヵ所で、一定面積を囲い、そこから雨などによって流れ出す土砂や水に含まれる放射性セシウムの量を測った。
最も放射性セシウム137が減ったのは、植物が少ない畑。水の流れを止めるものが少なく、流出する土砂、水とも多かったためとみられる。ただ、セシウム濃度は当初の値から0.26%しか減少せず、1年間に換算しても2.1%とわずかな減少だった。
その他の4ヵ所の年間減少率は0.064〜0.46%にとどまった。最も減少率が低かったのは、びっしりと草が生い茂った牧草地だった。
筑波大の恩田裕一教授は「植物が多い牧草地や畑、林の中では、植物や地表に降り積もった落ち葉などによって土砂の流出が少なくなっていた。放射性物質は雨水に溶け出さず、土壌にほぼ固定されたままになっている」と話している。
一方、文部科学省は13日、福島第一原発事故で放出された放射性物質の分布マップの調査報告書をまとめた。福島や栃木、茨城などの約2200ヵ所の土壌調査結果を測定手法などとともに閲覧できるデータベース作りもすすめており、近く公開する予定だ。(東京新聞 2012/03/14)

もんじゅで不具合 ナトリウム監視装置が停止
日本原子力研究開発機構は14日、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の原子炉補助建屋にある、2次系の冷却材ナトリウムの漏えいを監視する装置が、計測できない状態になっていたことを明らかにした。別の装置で監視を続けており、ナトリウムの漏えいはなく、外部への影響もないという。
もんじゅは2010年に原子炉容器内に装置を落とす事故を起こし、運転を停止している。
監視装置から出た信号を処理する機器に不具合があったといい、同機構は経済産業省原子力安全・保安院に報告、復旧を急いでいる。
もんじゅでは2月にもナトリウム漏えいの検出器を制御する電気回路のヒューズが切れ、検出器が約6時間停止した。(産経新聞 2012/03/14)

斜面にある全13原発、安全評価対象「完了」ゼロ
全国の原発のうち周辺に斜面のある13原発すべてで、斜面の安全評価が完了していないことが13日、経済産業省原子力安全・保安院や電力事業者への取材で分かった。保安院は平成18年に事業者に評価を指示しており、評価に5年以上かかっていることになる。東日本大震災では、東京電力福島第1原発の敷地内の斜面で崖崩れが起きて送電用鉄塔が倒壊、外部から受電ができない事態になった。他原発でも崖崩れが起きる可能性は否定できず、専門家は「早急に対応を進めるべきだ」と指摘している。
保安院などによると、斜面が近くにあり安全評価が必要なのは、全国18原発のうち13原発。このうち5原発は事業者が今も安全評価の途中で、7原発は事業者による安全評価は終えたが保安院が審査中。安全評価がすべて完了している原発はゼロだった。
日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)は、保安院に安全評価を提出し、平成22年に「評価は妥当」とされたが、東日本大震災の影響で新たな地震の連動を考慮する必要が生じ、現在、再評価を行っている。
福島第1原発も安全評価が終わらないまま東日本大震災で被災。本来は評価対象外の場所だったが、崖崩れが発生し、5、6号機に外部から電気を送る鉄塔が倒壊した。5、6号機はディーゼル発電機が水没を免れたため原子炉の冷却は維持できたものの、1〜4号機のような深刻な事態に至った可能性もあった。
安全評価が行われていない状況について、「保安院が他の評価項目を審査するのを待っていた」(各事業者)、「新潟県中越沖地震(19年)の対応で手が回らなかった」(保安院)とするが、保安院の指示から5年が経過し、津波と同様に「地震随伴事象」とされる崖崩れの評価は、事実上「後回し」にされてきた。
東日本大震災を受けて保安院は現在、複数の活断層の連動の再検討を事業者に求めている。
今後、想定される地震の最大の揺れ(基準地震動)が変わる可能性もあり、安全評価を再びやり直す必要が生じれば、斜面の安全性確認はさらに遅れる恐れも出てくる。
日本原子力学会の沢田隆副会長(原子力安全工学)は「津波評価の見直しができず事故を迎えた福島第1原発の二の舞いになりかねない。弱点になりそうな斜面は早急に対策を進める必要がある」と指摘している。

<斜面の安全評価> 地震による崖崩れで原子炉建屋などが損傷する可能性があるため、原発施設から50メートル以内か、斜面の高さの1.4倍以内の距離に施設がある斜面について、安全評価が義務づけられている。平成18年の耐震指針改定を受け再評価が指示された。(サンケイビズ 2012/03/14)

ロシア核実験場跡でセシウム汚染 ボルガ川に拡大も
【モスクワ共同】ロシア紙イズベスチヤは15日までに、首都モスクワ北東のイワノボ州の旧地下核実験場付近が放射性物質セシウム137で汚染され、なお危険な状態だと報じた。実験場の近くの川を通じモスクワ東方を流れるボルガ川に汚染が拡大する可能性も指摘され、国営原子力企業ロスアトムが除染を行う方針。
1971年に同実験場で行われた核実験では、放射性物質が混じった水が20日間以上、間欠泉のように噴き出した。汚染された土地の広さは「1ヘクタール以下」とされる。最も近い村までは4キロ超。
当局はその後、汚染された土を除去して特別な廃棄場に埋め、上から1メートル以上盛り土をした。ロスアトムの昨年の調査では、汚染範囲は拡大していないが、廃棄場の下の土壌に放射性物質がしみ出す危険性が極めて高いという。(共同通信 2012/03/15)

安全委の防災強化に保安院が反対 06年「社会的混乱招く」
原子力安全委員会が2006年、原発事故に備えた防災対策重点区域を国際基準に合わせて拡大するよう検討を始めた直後、経産省原子力安全・保安院が「社会的混乱を招き、国民の不安を増大させる恐れがある」として、検討凍結を申し入れていたことが15日、分かった。
安全委がこの年、重点区域の拡大を検討したものの見送っていたことは既に判明していたが、保安院の強い抗議を受けて断念に追い込まれていたことが明らかになった。見直していれば、東電福島原発事故で住民避難の混乱軽減などにつながった可能性がある。
安全委は同日、保安院とのやりとりを記した文書や電子メールを公表した。
現在の重点区域は原発の半径8〜10キロ圏だが、国際原子力機関(IAEA)が新たな指針を示したことを受け、安全委も06年3月から専門家会合を開催し国内への導入を検討。それに対し、保安院の原子力防災課が同4月下旬、異議を唱える文書を安全委に送った。(共同通信 2012/03/16)

保安院長自ら圧力 安全委に「寝た子起こすな」
経済産業省原子力安全・保安院が2006年、原発事故に備えた防災重点区域の拡大を検討していた原子力安全委員会に反対意見を送り、断念に追い込んだ問題で、当時の広瀬研吉院長が同年5月、安全委員との昼食会で「なぜ寝た子を起こすのか」と、安全委側に検討を中止するよう直接圧力をかけていたことが16日、分かった。 
昼食会に出席していた安全委の久住静代委員が証言した。原発の安全を守るはずの保安院のトップ自らが、防災対策の強化にストップをかけたことは、保安院の機能不全をあらためて浮き彫りにした。広瀬氏は本紙の取材に「覚えていない。分からない」と答えた。
久住委員の証言や安全委の内部資料によると、昼食会は保安院側からの要望で06年5月24日、安全委の委員長室で開かれた。広瀬氏と次長ら保安院の幹部数人と安全委員5人が参加した。
その場で広瀬氏は、1999年の茨城県東海村のJCO臨界事故を踏まえ、国や自治体の原子力防災体制が整備されたことを強調。「防災体制ができ、国民が落ち着いてきているときに、なぜまた防災の話を始めたのか。なぜ寝た子を起こすのか」などと強い口調で訴え、検討中止を求めたという。
それに対し、安全委側は久住委員が反論。国際原子力機関(IAEA)による国際基準見直しが進み、これに合わせ日本でも重点区域拡大の検討を進める必要があると説明し、「やめるわけにはいかない」と拒否した。
昼食会での話し合いは平行線のまま終わったという。その後、保安院は水面下で安全委事務局と調整に入り、結局、重点区域は拡大されなかった。(東京新聞 2012/03/17)

福島事故後の国際協力欠如 ロシア専門家、日本に苦言
【モスクワ共同】ロシア科学アカデミー原子力エネルギー安全発展問題研究所のボリショフ所長はタス通信に対し、福島第1原発事故後、日本と各国の原発関係者の「価値ある協力」が行われていないと述べ、日本側の対応に苦言を呈した。同通信が17日伝えた。
所長は、日本の政治家や官僚らは「(事故後)世界中を回ったが、それらは形式的なものだ」と指摘。現場をよく知る実務者を海外に派遣し事故について伝えた方が有用だが「日本はできなかった」と残念がった。
所長はまた、旧ソ連で1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の教訓を日本が生かさなかったのは「システム上の誤り」と強調。「日本は、スタッフの規律が高いためチェルノブイリのような過ちを繰り返す可能性はないと決め付けていた。結果的に、深刻な事故の際、何をするべきか学ばなかった」と述べた。
一方、旧ソ連も79年に事故が起きた米スリーマイル原発について、原子力潜水艦に勤務していた退役軍人が動かす原発と決めつけ、同原発の事故から表層的にしか学ばなかったと付け加え「他者の失敗から学ばない者は、自らの失敗で学ぶことになる」と強調した。
所長は、福島事故から学ぶべき教訓として、水没による電源喪失に備えた予備発電機などを用意することが必要だと指摘した。(共同通信 2012/03/18)

原子炉「二度と稼働させるな」=書籍展で大江氏講演−パリ
【パリ時事】ノーベル文学賞作家の大江健三郎氏が18日、パリの見本市会場で開催中のフランス最大の書籍展「サロン・デュ・リーブル」で講演し、東京電力福島第1原発事故後に停止された原子炉を「二度と稼働させないようあらゆる手段を尽くすことが、私たちが破滅を免れ、生きていくための唯一の手段だ」と訴えた。
大江氏は「次の原発が破裂すれば日本人は生きていけない」と指摘。次世代が生存できるかという観点から「日本について、アジアについて、世界について考えるという、普遍的な考え方を私たちがやり始めた最初が今だ」と述べ、福島原発事故が日本人の思想に大きな影響を与えたと強調した。(時事通信 2012/03/19)

音波探査のデータを7年見過ごし 敦賀原発付近の活断層
日本原子力発電敦賀原発(福井県)の敷地を通る浦底−柳ケ瀬山断層帯(浦底断層)で想定より大きな地震が起きる可能性が判明した問題で、判断の根拠となった主なデータは日本原電が2005年に実施した音波探査で得たもので、約7年見過ごされていたことが21日、分かった。
日本原電はデータの重要性に気付かず、経済産業省原子力安全・保安院が08年に始めた専門家会議でもデータは配布されなかった。その後、産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員らがデータの提供を受けて分析し、今年3月に断層は少なくとも全長35キロあるなどとする調査内容を公表。日本原電は活断層の長さについて再検討を始めている。
杉山氏は専門家会議委員を務めており「当時データを全部出していれば判断できた可能性がある」と指摘。日本原電は「求めがあれば(詳細な)データを提示できるよう準備していた」などと説明している。
日本原電が08年に国に提出した耐震指針改定に伴う中間報告書では、連動する他の断層を含め浦底断層は最長で25キロとするにとどまっていた。保安院の専門家会議でも、浦底断層の見直しにはつながらなかった。(共同通信 2012/03/21)

札幌市:「脱原発は可能」 エネ転換調査報告
原発に依存しない社会を目指し、エネルギー転換調査を進めてきた札幌市は26日、最終報告を発表した。省エネ、再生可能エネルギー、分散電源(家庭用燃料電池と地域分散電源)を組み合わせると、市内消費電力量の約86%にあたる81.6億キロワット時を創出でき、脱原発は可能とした。
市は昨年12月の中間報告で、家庭の省エネと太陽光発電パネルの設置普及が進めば26.7億キロワットを節電できるが、北海道電力泊原発からの供給は約42億キロワット時(10年度推計)で、他の方策も進める必要があるとしていた。(毎日新聞 2012/03/26)

「格納容器壊れない」 安全委 震災半年前
東日本大震災の約半年前、原発事故に備えた防災指針見直しの準備を進めていた原子力安全委員会が、「日本では旧ソ連チェルノブイリ原発事故のような、高濃度(ホット)スポットができる事故はあり得ない」とし、従来の防災重点区域(EPZ、8〜10キロ圏)の拡大を考えずに見直し作業に入っていたことが、安全委が27日に公開した文書で分かった。
文書は、安全委が2010年10月に、電力会社でつくる電気事業連合会(電事連)と打ち合わせをした際のメモなど。
文書によると、会合で電事連側は、重点区域を拡大すると予算がかかり関係する自治体が増えるなど懸念を示した。
これに対し安全委の担当課長は「10キロ超では対策を要する水準にならない」「従来のロジック(論理)を踏襲したい」などとし、従来のEPZで十分との考えを示した。
安全委の専門職員である技術参与も、チェルノブイリ原発には格納容器がないことを念頭に、「(あのような事故は)日本ではあり得ないと言っており、これからも基本的に同じスタンスでいく」と述べていた。
安全委が重点区域拡大を考えなかった背景には、06年に経済産業省原子力安全・保安院の圧力で、拡大を断念したことも影響しているとみられる。
見直しは、重大事故時に住民がすぐ避難する5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)を設定することもポイントで、安全委はPAZは導入したい考えだったが、電事連は「導入などをすれば、地価の下落や観光客の減少を招く」などと、否定的な意見を安全委に文書で伝えていた。
担当課長は本紙の取材に「国内の原発では格納容器は壊れないと考えていた。今から思えば想定が不十分だったとのそしりは受けなければならない」と話した。(東京新聞 2012/03/28)

電力業界、原子力機構に多額寄付 原発事故後も継続
電力各社とその業界団体電気事業連合会(電事連)が、国の原子力研究の中心を担い、原発の安全審査機関に委員を多く送り込んでいる独立行政法人・日本原子力研究開発機構(JAEA、茨城県東海村)に長年寄付を続け、2008〜11年度だけで計約2億5000万円に上ることがわかった。
東京電力福島第一原発の事故で電気料金の値上げが浮上した後も続けていた。原発の関連組織や立地自治体に対する電力会社の寄付は電気料金に反映される仕組みになっているが、電力各社は寄付の総額も公表していない。今回、朝日新聞は機構に情報公開請求し、08年度以降が公開された。
電力会社や原子炉メーカーが安全審査機関でメンバーを務める大学研究者に多額の寄付をし、原発の推進と審査の線引きがあいまいな実態はこれまで明らかになっているが、規制にかかわる機構と電力業界も金銭面でつながっていた。(朝日新聞 2012/04/02)

東電に安値で売電 1都4県水力発電
水力発電所を運営する東京、神奈川、群馬、栃木、山梨の1都4県が、東京電力に随意契約で安く売電していたことが分かった。経済産業省などの試算では、仮に特定規模電気事業者(PPS)も交えた競争入札を実施し、直近の市場取引価格で売っていれば、最大で年間117億円も増収になっていた。東電に格安の電気を提供し、もうけさせてきたとも言え、住民から批判が出そうだ。
経産省によると、1都4県から東電への売電価格は1キロワット時で平均7.7円。
これに対し、2011年度の競争入札による水力発電の取引価格は同10〜12円と、1都4県の売却価格より2〜4円程度も高い。売電総額では約63億〜117億円も高く売ることができた可能性がある。その分、住民の共有財産は減り、東電がもうかった計算だ。
13の水力発電所を持つ神奈川県は「電気を安く売れば、消費者の電気料金も下がる」と説明するが、東電の一般家庭向け電気料金を同社のホームページで試算すると、1キロワット時23.8円と1都4県が東電に売った価格の3倍にはね上がっている。
東電の電気料金の高さを批判してきた東京都の担当者は「国の電力改革の行方をにらみながら、売電方法の変更も検討したい」と話した。東電は「電気料金に含まれる原価は、適正に精査している」とコメントした。
同様の問題は北海道や長野、富山、三重、京都など20道府県と金沢市の計21の自治体でも起きている。いずれも河川開発の一環として水力発電所を保有し、地域の電力会社に売電している。
1都4県を合わせた26自治体の売電量は計約80億キロワット時あるが、11年度の市場取引価格で売却していれば188億〜348億円も収入が増えていたことになる。(東京新聞 2012/04/02)

「ヨウ素10兆ベクレル」未公表=世界版SPEEDI試算−文科省、安全委連携不足
東京電力福島第1原発事故で、昨年3月15日、放射性物質の拡散予測データ「世界版SPEEDI」の試算結果で、千葉市内で計測されたヨウ素を基に推計した同原発からの放出量が毎時10兆ベクレルという高い値が出ていたにもかかわらず、文部科学省と原子力安全委員会の間で十分な連携が取られず、現在も公表されていないことが3日、分かった。
文科省や安全委によると、世界版SPEEDIは放出される放射性物質の拡散状況を半地球規模で予測するシステム。日本原子力研究開発機構が同システムを運用しており、昨年3月も文科省の依頼を受け、試算を行っていた。
それによると、昨年3月14日午後9時ごろに福島第1原発から放出されたヨウ素の量は毎時10兆ベクレル、セシウム134、137もそれぞれ同1兆ベクレルと推計された。
この試算データの評価について、文科省は安全委の担当と判断し、同16日に安全委へデータを送るよう同機構に指示した。同機構はメールに添付して送信したが、安全委は重要情報と認識せず、放置したという。同様にデータを受け取っていた文科省も、安全委に公表するよう連絡しなかった。(時事通信 2012/04/03)

東日本大震災:福島第1原発事故 放射性物質、福島沖300キロで100倍 プランクトンから検出
事故を起こした東京電力福島第1原発の沖合300キロの海中に生息する動物プランクトンに、最大で事故前の約100倍に当たる放射性セシウムが含まれていたことが、東京大大気海洋研究所(千葉県柏市)の西川淳助教(海洋生物学)らの調査で分かった。セシウムは原発事故由来とみられ、流出した放射性物質が海洋に広範囲に拡散していることを示す。西川助教は「低濃度だが、食物連鎖を通して魚類に蓄積する生物濃縮の可能性もあり、継続的な調査が必要だ」としている。
調査結果は3日付の米国科学アカデミー紀要に掲載された。
調査は原発事故後の昨年6月、米ウッズホール海洋研究所などのチームと合同で実施。同原発の30〜600キロ沖合の約60地点で海水と動物プランクトンを採取し、放射性セシウムの濃度を調べた。
その結果、放射性セシウムは全地点で検出された。動物プランクトンの最大値(セシウム134と137の合計)は、沖合300キロ地点で採取したもので乾燥重量1キロ当たり約102ベクレル。事故前の平均値(セシウム137のみ、同0.1〜1ベクレル未満)の最大100倍に当たる。最小値は600キロ沖合で同0.3ベクレルだった。
海水中の放射性セシウムの最大値は、沖合100キロ地点で1立方メートル当たり7733ベクレルだった。福島沖の南には黒潮が流れ、房総半島沖で東へ蛇行しているが、今回の調査で黒潮の南側では放射性セシウムがほとんど検出されなかったことから、調査時には黒潮が放射性物質の南側への拡散を防いでいたらしい。
西川助教は「動物プランクトンを餌にする海洋生物は種類ごとに、時間を追って変化を注視する必要がある」と話している。【神保圭作】(毎日新聞 2012/04/03)

福島原発事故:SPEEDI訓練に甘いデータ使用
原発事故を想定して政府が過去に実施した総合防災訓練で、「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)を使った放射性物質拡散の予測が、いずれも訓練当日の風速を用いず、年間平均風速に近い弱い風で計算していたことが分かった。放射性物質の放出量や気象条件が甘い設定の結果、住民避難が必要な範囲は政府が定める「防災対策重点地域」(EPZ)の10キロ圏内にとどまり、広域防災に生かされなかった。
福島第1原発事故では避難対象範囲が原発から30キロ圏外に及んだ。政府は10キロ圏外の被害を「想定外」としてきたが、避難範囲が10キロ圏内にとどまることを前提に訓練の条件を設定した疑いを指摘する声も出ている。
政府主催の原子力総合防災訓練は00年以降、原子力災害対策特別措置法に基づき、新潟県中越地震が起きた04年を除いて毎年1回、各原子力施設の持ち回りで実施。SPEEDIは全訓練で事故影響の予測に利用された。
文部科学省が昨年11月に公開した訓練用のSPEEDI予測図形などによると、過去10回の訓練は事故発生時に吹く風を毎秒0.7〜4.6メートルに設定。いずれも最寄りの気象観測点の年間平均風速(1.5〜4.9メートル)に近い値で、気象用語で「軽風」や「軟風」などに当たる弱い風だった。
一方、放射性物質の想定放出量(放射性ヨウ素で換算)も、福島第1原発事故直後が推定量毎時3万2000兆ベクレルだったのに対し、訓練では同454億〜2300兆ベクレルと桁外れに少なかった。
例えば、08年10月に同原発3号機であった訓練では、同年の年間平均風速1.5メートルを下回る北風0.7メートルで計算。「避難区域」は原発2キロ圏▽「屋内退避区域」は南5キロ圏にとどまった。
一方、政府主催ではなく、佐賀、長崎両県が原発事故後の昨年11月、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)で実施した訓練では、当日の風速12.5メートルで拡散を予測。避難の可能性がある区域は30キロ圏外まで広がった。
文科省原子力安全課は「国と自治体との調整会議で気象条件を決め、風速は代表的な数値を使っている」と説明するが、年間平均風速を用いているわけでもなく、条件設定の根拠は明確でない。
元原子力安全委員会専門委員で、原発防災訓練にもかかわった吉井博明・東京経済大教授(災害情報学)は「『より厳しい条件で訓練すべきだ』と委員が指摘しても変わらなかった。避難区域が10キロ圏を超えることはないという前提で全部が動いていた」と指摘。「各自治体が最悪の事態を想定してSPEEDIを用いた図上演習をし、防災計画や避難訓練に反映させるべきだ」と指摘している。【阿部周一】(毎日新聞 2012/04/04)

原子力機構、再就職先に71億円発注 原発事故後
原子力安全研究を担う独立行政法人・日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)が、幹部職員の再就職先の企業・団体に随意契約で業務や物品を発注し、その額は東京電力福島第一原発事故後の9カ月間だけで計71億円分に上ることがわかった。機構は発注先の企業・団体に寄付を求め、4年間で計約4000万円を集めていた。
機構の収入は9割以上が国の交付金や補助金による。再就職先に多額の公金が流れ、その一部が機構に戻る構図になっていた。福島事故後も原子力業界のもたれ合いが続いていた。
機構は「課長級以上の職員が再就職し、機構との取引が業務の3分の2以上の企業・団体」を公表しており、2011年10月時点で16社ある。16社には計49人が再就職している。
朝日新聞はこの16社について、情報公開請求で得た資料と公表資料を使い、受注と寄付の状況を調べた。
その結果、福島事故後の11年4〜12月に、16社のうち15社が随意契約で機構の業務、物品を受注していた。受注の合計は60件で、総額は71億3000万円。この時期の随意契約による発注の2割にあたる。(朝日新聞 2012/04/11)

講演会:放射能から子ども守ろう 海外の研究所教授や博士招き チェノルブイリ事故教訓に──いわき /福島
チェルノブイリ原発事故後、現地で子どもの健康調査をする医師による講演会「低線量被ばくに向き合う」が19日夜、いわき市文化センターであり、約250人が耳を傾けた。
講演したウクライナ国立放射線医学研究所のエフゲーニア・ステパーノバ教授(72)は、被災児約90万人のうち08年までに6049人が甲状腺がんを発症し、事故で生じたセシウム137などによる年間被ばく線量が0.5〜1ミリシーベルトの地域で被ばくした両親から生まれた子どもに、気管支炎など複数の慢性疾患を発症する例が多いと指摘。早期発見・治療や、「県外保養」の必要性を訴えた。
放射性物質と病気の因果関係の研究を続けるベラルーシ科学アカデミー主任研究員のミハイル・V・マリコ博士(69)は「年間被ばく線量が1ミリシーベルト以下だといって『安全』はありえない。妊婦は白血病のリスクが高いため、県外に逃れることを勧める」と強調した。(毎日新聞 2012/04/21)

福島、耐震性低い設備30年放置 東電参加の研究会指摘
東京電力の担当者も参加した研究機関が30年以上前、「耐震性が低い」と指摘した電気設備が福島第1原発で交換されないまま使われ、昨年3月の東日本大震災の揺れで倒壊、外部電源喪失の一因になったことが22日、分かった。
福島第1原発事故では地震後の津波で配電盤などが水没したため、この電気設備が倒壊しなくても電源喪失を免れることはできなかったが、東電の安全対策の欠陥があらためて露呈した形だ。
この設備は、外部電源を受電する「開閉所」の遮断器。福島第1原発では重心が高い「がいし型」が使われていた。
電気設備の調査研究機関「電気協同研究会」の変電機器耐震設計専門委員会は1978年10月にまとめた報告書で、このタイプは地震の際に重量を支える支柱に大きな負荷がかかり、「耐震的には不利な構造で、実地震による被害も多く報告されている」と指摘。耐震性で有利なタイプとして、主要機器がタンク内に収められる「タンク型」を挙げていた。
委員会には有識者や資源エネルギー庁、東電の送変電建設本部や工務部変電課の担当者が幹事や委員に入っていた。
経済産業省原子力安全・保安院によると、全国の原発の大半はタンク型を採用。保安院は耐震性の高いものにすべきだとしている。
東電は「設備は耐震基準を満たしていたが、(揺れが)基準を上回り部品が破損、倒壊した。順次、耐震性の高いタイプに更新していた」と釈明している。(共同通信 2012/04/22)

燃料返送なら原発大半運転不能に
原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理を中止し、日本原燃の六ケ所再処理工場に保管中の燃料を発生元に返した場合、大半の原発で燃料の収容力を超え、運転ができなくなるとの試算を、国の原子力委員会が22日までにまとめた。
本年度中に返せば東海第2原発(茨城県、1基)と玄海原発(佐賀県、4基)などは停止、2015年度末には全国50基のうち39基が運転不能となる。
再処理工場は3000トンの収容力に対し既に約2900トンを受け入れ、ほぼ満杯。さらに各地の原発に計約1万4200トンの燃料がある。東京電力福島第1原発事故後、原子力政策の見直しが進んでいるが、どのような政策でも、燃料を一定期間保管する中間貯蔵施設が早急に必要と言えそうだ。
日本はプルトニウムを利用する核燃料サイクルを採用してきたが、政策転換を求める声も強まっている。本県は再処理が中止となった場合、保管中の燃料の最終処分場となる事態を懸念、原燃との覚書に基づき三村申吾知事は燃料を返送させる姿勢を示している。
原子力委は、12年度中に燃料が送り返され、全原発が再稼働すると仮定し、影響を調べた。
全国の原発の使用済み燃料プールなどの収容力は計約2万600トン。東海第2原発は84%、玄海原発は78%が埋まっており、燃料返送ですぐに運転不能になる。他に柏崎刈羽原発(新潟県、7基)、福井県内の関西電力の11基などが15年度末までに停止。20年度末に運転可能なのは泊原発(北海道、3基)など8基、25年度末は東通原発(1基)だけで、26年度末にゼロになる。
中間貯蔵施設はむつ市に初の施設が建設中。各地の原発でのプール増設は地元の意向もあり、容易ではない。(東奥日報 2012/04/23)

1000平方キロ「永遠に規制」 チェルノブイリ原発周辺
【モスクワ共同】26年前に大事故を起こしたウクライナ北部チェルノブイリ原発から半径約30キロ圏内に設けられた立ち入り制限区域を管理する非常事態省関連機関の高官は24日、首都キエフでの記者会見で「同区域の約半分は永遠に立ち入りが制限される」と述べた。インタファクス通信が報じた。
同区域は正確な円形ではなく、面積は計2000平方キロ。このうち東京23区の約1.6倍に相当する約1000平方キロの立ち入りが将来にわたり規制されることになり、事故の影響の大きさをあらためて示した。
同高官は一方、同区域の幾つかの場所では、放射線量が下がっており、こうした場所では何らかの経済活動を試みることも可能と指摘した。(共同通信 2012/04/24)

原子力委、事業廃止コスト上乗せ 使用済み燃料再処理継続狙う?
核燃料サイクル政策の再検討を進めている国の原子力委員会の事務局が、使用済み燃料を再処理せず、全て地中に埋めて捨てる「全量直接処分」の費用を試算した際、再処理事業廃止に伴う関連コストを不適切に計上したため、費用が膨れ上がっていたことが24日、分かった。
審議を進める小委員会座長は合算しないよう指示していたが、事務局が従わずに計算した。小委員会メンバーから「再処理路線を続ける結論を導き出そうと、事務局が意図的に計算をしていると受け取った」(原子力資料情報室の伴英幸共同代表)との声が上がっている。事務局は「計算方法も含め検討したい」と話している。(共同通信 2012/04/24)

5兆円の試算を撤回=使用済み核燃料の直接処分で−原子力小委
原子力委員会の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の鈴木達治郎座長は24日、小委が19日に示した使用済み核燃料を再利用しない際の総費用の試算を撤回する考えを明らかにした。小委の委員から、計算の一部が不適切だとの批判があったためで、27日に新たな数値を提示する。
小委は19日、全ての使用済み燃料を再利用せず地中に埋める「全量直接処分」の場合、昨年11月の試算と比べ、青森県六ケ所村での核燃料サイクル事業中止に伴う費用などで最大5兆400億円の追加負担が生じるとの試算を示していた。
主な内訳は、放射性廃棄物の処理設備の建設などが1兆8500億円、六ケ所村の日本原燃工場の未償却費が1兆7800億円など。
原子力委の事務局が24日明らかにしたところによると、小委の委員から、工場の未償却費を追加の費用として計上するのは不適切だとの批判があった。(時事通信 2012/04/24)

4原子力施設:「想定超す揺れ」活断層連動で再計算
北海道電力泊原発(北海道)など4原子力施設で、周辺の活断層の連動を考慮して揺れを再計算した結果、想定する最大の揺れ(基準地震動)が従来値を超えることが23日、分かった。基準地震動は、再稼働に必要な安全評価(ストレステスト)1次評価のもととなる。各電力会社などは「耐震性には余裕があり、テスト結果に影響はない」としている。同日の経済産業省原子力安全・保安院の専門家会合で、電力会社などが報告した。
他に超えたのは、日本原子力発電敦賀原発(福井県)▽日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(同)▽中国電力島根原発(島根県)。このうち泊原発1、2号機と敦賀2号機が1次評価を保安院に提出している。揺れ幅は周期によって異なり、一部の周期で基準地震動を超えた。今後、保安院の専門家会合で精査した上で数値を固め、5月中に引き上げられる見通し。
保安院は東日本大震災後、検討対象外だった互いに5キロ以上離れた断層の連動を考慮するよう指示。これを受け、電力会社などが揺れを再計算していた。【岡田英、阿部周一】(毎日新聞 2012/04/24)

敦賀原発直下に活断層か 2号機、廃炉の可能性も
日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県敦賀市、定期検査で停止中)の直下を走る断層が活断層である可能性があることが24日、経済産業省原子力安全・保安院の現地調査でわかった。日本原電側は断層は動かないと主張してきた。国のルールは地震で動く断層の真上に原子炉を建ててはならないと定めている。敦賀原発2号機は廃炉となる可能性が出てきた。
日本原電によると、敦賀原発の敷地内には判明分だけで約160の断層(破砕帯)が見つかっている。この日は、保安院の意見聴取会のメンバーである産業技術総合研究所と京大、福井大の専門家4人が調査を実施。1、2号機と3、4号機の建設予定地、日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」=廃炉作業中=付近の6地点の斜面などを調べた。
その結果、2号機の原子炉の直下にほぼ南北に走る断層について「地震が起きた場合、ずれる可能性が否定できない」などの意見が相次いだ。敦賀原発の敷地内では活断層の「浦底断層」が確認されており、4人は、浦底断層が地震を引き起こした場合、原子炉直下の断層も同時に動く可能性が高いとの見方で一致した。保安院の小林勝・耐震安全審査室長は、過去に断層が動いた可能性を指摘し、「比較的新しい時代に浦底断層に引きずられたのではないか」と話した。(朝日新聞 2012/04/25)

チェルノブイリ事故:26日で26年 大規模除染を断念
史上最悪の放射能漏れを起こしたチェルノブイリ原子力発電所(旧ソ連・ウクライナ)の事故から26日で26年になる。東京電力福島第1原発事故後、日本政府は除染活動などの参考にしようと関心を示しているが、現地では効果が薄いとしてすでに大規模な除染は断念し、避難した住民の帰還も進んでいない。【チェルノブイリで大前仁】

倉庫風の建物に入ると、床に掘られた「貯水槽」が細長く伸びていた。00年に閉鎖されたチェルノブイリ原発から10キロ弱。放射線量が高い一帯を走るトラックやブルドーザーなどを洗浄する施設だ。防護服を身につけた作業員が手作業で、車両から発する放射線量が毎時0.5マイクロシーベルトへ下がるまで洗い流す。
86年4月26日の事故後、ソ連当局は原発周辺の汚染土壌を地中へ埋めたり、汚染した機械を洗浄してから溶解したりするなど大がかりな除染活動に取り組んだ。しかし、事故から14年後の00年に最後まで稼働していた3号機の運転が停止され、やがて土壌の除染も「状況はほとんど改善されていない」と判断し、打ち切りを決めたという。
現在も続くのは、廃炉作業や森林火災などの事故を防ぐ管理作業にあたる作業員らのための除染だけだ。約3700人の職員が発電所から半径30キロに設定された立ち入り禁止区域(通称「ゾーン」)の中で働き、定期的に衣服除染を受けている。空気が乾燥する季節には洗浄車が週1〜2回の割合で、発電所近くの路面を洗う。
「ゾーン」内部で生活していた11万人超の住民は、事故直後に避難させられた。当時のソ連当局は初期の段階で、原発職員が住んでいたプリピャチの除染を試みたが成果は上がらなかったという。「ゾーン」の管理責任者ゾロトベルフ氏(58)は除染を再開する可能性を否定し、「数十年どころか数百年たっても、住民の帰還を許可しない」と言い切る。
チェルノブイリの南西約110キロにあるコロステニ市。旧ソ連政府が「避難勧告地域」に指定した440居住区の1つだ。汚染地域は放射線濃度に従って▽強制避難地域(ゾーンを含む)▽強制移住地域▽避難勧告地域▽放射線の管理地域──の4つに区分されている。避難勧告地域で除染活動が本格化したのは事故から4年たった90年ごろからだ。
市当局は全域で、学校や住宅の屋根を取り換え、敷地の土壌入れ替えを実施。主婦のワレンチナさん(53)宅の敷地もコンクリートで舗装された。市の担当者は20年で放射線量が半減したと成果を強調。市の人口は90年代初頭の約8万人から約6万7000人へ減ったが、回復傾向にあると主張する。
だがワレンチナさんは00年、当時48歳だった夫をがんで亡くし、家族の健康被害も相次いだ。ウクライナ政府職員で放射能問題専門家のタバチニ氏は住宅の除染について「住民の緊張を和らげる以上の効果があったとは思えない」と話し、「コロステニでは放射線量を年間1シーベルト下げるために100万ドル近くを投じる結果となり、費用対効果が悪かった」と指摘している。
旧ソ連政府は86年6月、「強制移住地域」のうち汚染状況が軽い一部で住民の帰還を試験的に容認し、除染活動を実施したうえで、他の地域にも適用できるか判断する「指標」にしようとした。だが放射性物質の危険が残ることが確認され、2年後に帰還許可を撤回。今ではインフラや建物の損壊が進み、「今さら帰還が許される可能性はほとんどない」(タバチニ氏)という。ウクライナだけで1万人以上が「強制移住」させられ、帰還できないままだ。

◇福島事故と規模異なる

日本は今月18日、ウクライナと原発事故の経験や情報の共有をうたった協力協定を締結し、福島第1原発事故の収拾策として「チェルノブイリの教訓」を学ぼうとしている。だが2つの事故は規模も違い、放射性物質の放出量も福島はチェルノブイリの数分の1とされる。チェルノブイリ周辺では日本が期待する農地の土壌除染も早々に断念しており「日本の状況に適した助言ができるわけではない」との声も上がっている。(毎日新聞 2012/04/25)

刈羽原発周辺の活断層、連動なら想定上回る揺れ
東京電力は25日、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所周辺の複数の活断層が連動すると、想定される揺れは従来を上回るとの試算結果を発表した。
これを受け、経済産業省原子力安全・保安院は、原発の設備や構造物の耐震安全性を再評価させる方針を決めた。
想定を上回ったのは、排気筒などの構造物に影響を与える可能性があるゆっくりした揺れ。東電は詳細に調査し、追加の補強工事が必要かどうか検討する。
この試算は同日、専門家が参加した保安院の意見聴取会で報告した。「長岡平野西縁断層帯」など敷地東側の複数の活断層を、計132キロ・メートルの巨大活断層と見なして試算した。
北陸電力も、志賀原発(石川県)の周辺活断層の連動について評価結果を報告した。日本海にある複数の活断層が連動しても揺れは想定を下回り、敷地南部の活断層は連動しないと試算した。しかし、専門家から、海域の連動はこのほかにもあり得る、陸域の活断層は性質をとらえ間違えているなどとの批判が相次いだため、保安院は再試算を求めた。(読売新聞 2012/04/25)

埋め捨てが再処理より安価 使用済み核燃料処理で新試算
国の原子力委員会の小委員会は27日、2030年までに発生する原発の使用済み核燃料を処理するため、今後新たにかかる費用を試算し公表した。総発電量中の原発の比率を35%とすると、全燃料の再処理は18兆円、地中に埋め捨てる直接処分は13.3兆〜14.1兆円。原発比率にかかわらず全量直接処分が全量再処理より安く、差は2.8兆〜4.7兆円だった。
19日に公表した試算では全量直接処分の方が1.8兆〜2.1兆円高かったが、逆転した。委員から「今後の国民負担をみる場合、前回より正確だ」(松村敏弘東京大教授)などの意見が出た。
2つの試算を基に、原子力委は今後の核燃料サイクル政策の選択肢を5月に政府のエネルギー・環境会議に提示する。
試算は、燃料からプルトニウムを取り出す全量再処理、全量直接処分、両者併用の3つの方法について、原発比率を35%と現状より高くする場合と、20%、20年までに0%を想定。
前回は、廃棄物の処分を終える300年以上先までの総事業費を40年間で積み立てると想定し、そのうち10〜30年にかかる費用だけを示した。30年以降に必要になる費用が含まれず、全量直接処分に青森県六ケ所村の再処理工場廃止関連費用が加算され、委員から批判が出ていた。今回は総事業費から既に支払った費用を差し引き、今後新たに必要となる費用を期限を区切らずに求めた。
20%の場合、全量再処理は15.4兆円、全量直接処分は11.8兆〜12.6兆円。0%の場合は全量直接処分が8.6兆〜9.3兆円で、プルトニウムを使う原発はないため再処理ケースはない。
また経済産業省が、原発の稼働年数を40年とし新増設しない場合、30年の原発比率は13〜15%と試算したのを受け、小委員会も15%の場合を試算する方向となった。
20年までに原発0%の場合、六ケ所再処理工場に保管中の使用済み燃料が各原発に返送され、原発の運転ができなくなるとして、不足する電力を火力発電で補うには6兆円必要との試算も公表。鈴木達治郎座長は「あくまで参考値。全量直接処分の費用に加えるのは正しくない」としている。(共同通信 2012/04/27)

原子力委再試算 「脱原発」が最安 揺るがず
原子力委員会の小委員会が27日に示した核燃料サイクルのコスト再試算の結果は、原発に依存し、使用済み核燃料は再処理して再利用する現行の施策は割高だと、あらためて印象づけた。
前回の試算では、核燃料を地中に埋めて処分する直接処分のシナリオだけに、再処理事業中止に伴う費用が加算されている点などが委員会で問題視。そのため、事業中止費用の一部は除外した上で、300年にわたる放射性廃棄物の管理も考慮した費用を算出した。
シナリオは(1)全ての使用済み核燃料を再処理(2)全てを直接処分(3)両者の併用−の3つ。これに総発電量に占める原発の比率を、脱原発を意味する0%、現状よりやや原発依存度が低い20%、現状以上に依存度が高い35%の3つの場合を組み合わせた。
より長期の費用をはじいたため、どの組み合わせも前回の試算より大幅に金額がアップした。
しかし、結局は2020年までに原発をゼロにし、その時点で残っている使用済み核燃料を直接処分するパターンが最安(8.6兆〜9.3兆円)との結論は揺るがなかった。
それどころか、再処理をからめる限り、原発依存度がどの程度であってもコスト高だとより鮮明になった。前回試算の額に比べ、直接処分は1.3倍前後になったのに比べ、再処理をするシナリオはどれも2倍近くにまで膨れあがった。
今回の試算結果は、今夏の新たなエネルギー施策の方針づくりに生かされる。(東京新聞 2012/04/28)

チェルノブイリの影響研究 日本は子ども守る施策を
病理解剖学者ユーリ・バンダジェフスキー

<最初のレベル7の原発事故となった1986年のチェルノブイリ原発事故。深刻な被害を受けたベラルーシで放射性物質による内部被ばくの影響を調査してきたが、論文発表後の99年、突然収賄容疑で逮捕。一貫して無実を訴えたが実刑判決を受けた。東京電力福島第1原発事故で、研究結果があらためて注目されている>

チェルノブイリの事故後、ベラルーシのゴメリ医科大で行った研究では、現在の日本にとっても有効な研究結果を蓄積することができました。
ベラルーシ国民の死因で最も多いのは心臓血管系の疾患です。たばこやアルコールの影響が指摘されていますが、私は放射性物質のセシウム137が影響しているということを、病理解剖や臨床データなどによって突き止めました。
セシウム137は食事とともに体に入り、心筋に蓄積されます。汚染地区に住む子どもたちの心電図を分析すると、心電図の異常と体内のセシウム濃度に相関関係がありました。低線量の被ばくでも、遺伝的な傾向と組み合わさり、突然死するなどの影響が出ています。専門家の多くが、放射性物質を心臓疾患の原因と認めていないのは悲しいことです。
逮捕されたのは、研究が「国家へのクーデター」とみなされたためだと思っています。ベラルーシ政府は私の研究結果を不都合とみなし、認めていません。残念ながらルカシェンコ大統領の独裁政治に勝つことができなくて、刑務所に入ることになりました。
逮捕された後、大学で行ってきた研究や実験はすべて中止されました。今でも、ゴメリ医科大では私の研究テーマにかかわる調査・研究は一切、行われていません。
実はベラルーシでは、チェルノブイリ事故前の60年代からセシウム137の汚染があったんです。それは国家的な秘密とされていましたが、私はこの事実をゴメリ州の図書館にあった古い書籍から発見しました。
放射性物質による汚染の結果、ベラルーシでは60年代から出生率が下がっており、その一方で、死亡率は上がり続けています。にもかかわらず、汚染地区に住む人々に対して放射性物質の影響は一度も説明されていませんでした。国家権力がいかにその影響を隠したがるかという例です。

<釈放後、国外追放処分を受け、隣国ウクライナで研究活動を続けている。3月には市民団体の招きで初来日、内部被ばくの恐ろしさなどについて各地で講演した>

福島の事故による汚染規模はチェルノブイリに及ばないと言う専門家もいます。しかし原子力施設の破壊の度合いを考えると、汚染はチェルノブイリよりももっと危険だと思っています。
大事なことは放射性物質に汚染された食べ物を体に入れないことです。日本政府は国民の健康に責任を持たないといけません。特に子どもたちを守るような施策をとるべきです。低線量だからということとは関係なく、環境保全と健康保護の良き見本となる国になってほしい。
私ははっきりとものを言うので、口が悪いと言われます。気に入らない人もいるでしょう。しかし、私の研究結果を聞いて、結論を出すのはみなさんです。(聞き手 共同通信記者・丹羽祐二)

Yury・Bandazhevsky 1957年ベラルーシ生まれ。医科大学で病理解剖学を学び、卒業後に中央科学研究所に入り、後に所長に。チェルノブイリ事故後の90年、ゴメリ医科大を設立し学長に就任。放射性セシウムが人体に与える影響を論文で発表後の99年、収賄容疑で逮捕、実刑判決を受けたが、国際世論の抗議もあって刑期途中に出所した。現在はウクライナに在住。(熊本日日新聞 2012/04/28)

「チェルノブイリ、まだ被害渦中」日本ペンクラブが視察
日本ペンクラブの理事ら8人は4月中旬、チェルノブイリ原発事故の影響を旧ソ連ウクライナなど現地で視察した。「福島と子どもたちの未来を考えるため」という。25日に会見した浅田次郎会長は「処理作業にはキリがない。絶望的だ。大人は未来に責任をもたないといけない」と話し、原発反対を改めて表明した。
ペンクラブは昨秋「脱原発を考える集い」を開き、今春は福島を訪れ、大飯原発再稼働に反対する声明も出している。森絵都理事は「原発事故から26年たったチェルノブイリに教えを請う気持ちで行ったが、まだ被害の渦中だということがわかった」と話す。
原発から30キロ圏内には検問所を通って入る。視察当時は、毎時5〜6マイクロシーベルトだった。原発の放射性物質を封じ込めるシェルターは、コンクリートに亀裂が入っていたという。新たなシェルター造りや廃炉の管理のため、今も常時3000人が作業をしている。
報道によると新たなシェルター造りの建設費は約1620億円。欧州各国による基金に頼り、地元の雇用が創出されてもいるという皮肉な状況だ。中村敦夫理事は「原発は経済のためと言う人がいるが、逆の意味の冗談ではないか」。
原発から約17キロにある公園内の記念碑には、今も人が住めない100を超える廃村の名前が刻まれている。中村理事は「広大な森の除染は不可能だと証明されている。日本は森と山の国だ」と心配を隠さない。
約60キロ離れたナロジチの病院では、がん治療のため放射性ヨードを飲む患者が壁に鉛を入れた隔離病棟にいた。事故当時8歳で、今年になって甲状腺がんを発症した男性もいた。 中村理事は「内部被爆の問題が大きいのではないか。日本と違い、汚染された森のキノコなどを食べざるを得ない食糧事情もあるようだ」と話す。ウクライナの首都キエフの内分泌研究所によると、胎内被曝(ひばく)した子どもの7歳検診では、健康児は2.5%しかいなかったという。
元社会主義のソ連では医療費が無料だったので保険制度がなく、今は個人が手術も含め全額負担しなければならない。障害者認定されても、事故との因果関係は認められないという、日本のかつての公害病の図式とよく似た状況。政府はわかっていても出す余裕がないのだろう。
現地の医療器具などは古く粗末なモノだった。ウクライナの医師らは「日本の医療技術なら大丈夫だろう」と語っていたという。浅田会長は「医療や技術は素晴らしくてもそれを操作できるソフトが日本にあるか。政治主導でできるのか。科学技術でも医療でも、日本の権威が地に落ちるかもしれない。大変な正念場だ」と話した。(吉村千彰)(朝日新聞 2012/05/03)

子どもを放射能汚染から守れ NYで小出氏講演
【ニューヨーク共同】40年以上にわたり反原発を訴えてきた京都大原子炉実験所の小出裕章助教が3日、ニューヨークで講演し、東京電力福島第1原発事故後の放射能汚染から子どもを守ることの重要性を強調、多くの日本人女性から「子どもと一緒に日本に帰って安全だろうか」と心配する声が出た。
小出氏は「日本に帰る前に知っておきたい『放射能』のこと」と題した講演で、放射線ががん死亡率に与える影響に関する海外の研究を引用し、0歳児は全年齢平均の約4倍の影響を受けるとのデータを紹介。
「子どもが泥んこになって遊ぶような場所が、放射線管理区域の基準を超える」レベルで汚染されたとし「子どもは放射線に対する感受性が強い。被ばくから守らなければいけない」と訴えた。
また「全ての原発を止めなくてはいけない」とあらためて強調。「(停止した)原発を再稼働させようとしている」日本政府を強く批判した。
講演後の質疑応答では、子どもを持つ女性から「帰国しても安全か」との質問が多数寄せられ、小出氏は「一人一人の判断だと思う。できれば小さな子どもは連れていかない方がいいが、おじいさん、おばあさんに(孫を)会わせるのも人間の営みとして必要だ」と答えた。(共同通信 2012/05/04)

原発15%時も直接処分が割安=核燃サイクル−原子力小委
使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の在り方を検討している国の原子力委員会の小委員会は8日、2030年の原発依存度が15%の場合も、使用済み核燃料を再利用せず地中に埋め捨てる「直接処分」の総費用が10兆9000億〜11兆6000億円となり、再利用した場合の14兆4000億円より割安になるとの試算を示した。
小委はこれまで、原発依存度が0%、20%、35%の3つのケースについて費用を試算。2030年までに発生する使用済み核燃料を最終処分するまでに要する総費用は、いずれのケースでも全量直接処分が再利用を下回る結果が出ていた。(時事通信 2012/05/08)

プルトニウム再利用せず地下処分 米専門家が英誌に意見記事
【ワシントン共同】原発の使用済み燃料などに含まれるプルトニウムを燃料に再利用するのはコストがかかり過ぎ、取り出さずに地下に埋設処分するべきだとの意見記事を、米プリンストン大などの4人の専門家が、10日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
記事は、使用済み燃料からプルトニウムを取り出してプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料として再利用しているフランスで、電力業界からコストを理由に反対の動きも出ていると紹介。2000年の試算では、再利用の方が年間7億5000万ドル(約600億円)割高になるという。
米国では、核兵器用のプルトニウムを処分するため、MOX燃料に加工して原発で燃やしている。記事によると、米予算案では34トンのプルトニウムを処分するのに130億ドル以上かかる一方、燃料としての価値は10億〜20億ドルにしかならないと見込んでいる。
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)は、コスト増加とトラブルにより、完成が10年以上遅れていると指摘した。
また英国では、23億ドルかけて建設した中西部セラフィールドのMOX燃料工場が、設計ミスのため製造能力の1%しか使わないまま、昨年閉鎖したと言及。(共同通信 2012/05/10)

志賀原発近く活断層の恐れ…総延長10キロ超か
北陸電力志賀原子力発電所(石川県)の北約9キロを東西に走る「富来川(とぎがわ)南岸断層」が、原発の耐震設計で考慮の必要な、13万〜12万年前以降に動いた活断層の可能性があることが、渡辺満久(みつひさ)・東洋大教授(変動地形学)らの調査で分かった。
千葉市で20日から始まる日本地球惑星科学連合大会で発表される。
志賀原発の西側の海岸には13万〜12万年前以降にできた段丘という階段状の地形があり、富来川南岸断層はこの段丘を横切っている。渡辺教授らは断層の南北で段丘の高さが20メートル以上ずれていることを確認。段丘ができた後で断層が動いたものと結論した。
同断層は陸域が約4キロだが、渡辺教授らは北陸電力による海底探査のデータを独自に分析し、海域まで含めると総延長10キロを超える可能性も指摘している。(読売新聞 2012/05/12)

東京湾の海底土のセシウム、7か月で13倍に
東京湾の海底土に含まれる放射性セシウムが、昨年8月から約7か月間で1.5〜13倍に増えたことが、近畿大の調査で分かった。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出されたセシウムが、河川から東京湾に流れ込んだとみている。
同大の山崎秀夫教授(環境解析学)は今年4月2日、荒川の河口付近など東京湾内の3か所で海底土を採取し、分析した。深さ1メートルまでの土に含まれるセシウムの量は1平方メートルあたり7305〜2万7213ベクレルで、昨年8月20日の調査結果(同578〜1万8242ベクレル)を3か所とも上回った。
海底面から深さ6センチまでのセシウム濃度(1キロ・グラムあたり)は321〜397ベクレルで、やはり8月20日の調査結果(75〜320ベクレル)を上回った。河川の泥にたまったセシウムが少しずつ東京湾に流れ込んでいるためとみられる。(読売新聞 2012/05/13)

敦賀原発:破砕帯の危険性08年から指摘
日本原子力発電敦賀原発(福井県)の原子炉建屋直下の断層「破砕帯」が活断層の可能性があると指摘された問題で、経済産業省原子力安全・保安院は14日、専門家会合を開いた。保安院は原電の「11月までに順次、調査を報告する」との計画を了承した。原電は敷地内5カ所で新たに掘削し、「活断層ではないという従来主張の説得力を上げる」との姿勢だが、活断層を否定する証拠がないと、同原発の再稼働は困難になる。
「今は、活断層の可能性を否定できない。時間がかかっても、信頼に足る結果を」。14日の保安院の専門家会合。敦賀原発を調査した産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員は訴えた。
そもそも、敦賀原発敷地内を通る破砕帯の存在は、1966年に設置が許可された1号機の原子炉設置許可申請書にも記されている。この時は「極めて古い時代に生じた小規模の死断層によるもの」とされたため耐震設計上考慮されず、建設が許可された。1号機から約250メートル離れた活断層「浦底断層」は知られていなかった。(毎日新聞 2012/05/15)

福島第一の電源喪失リスク、東電に06年指摘
枝野経済産業相は15日、閣議後の記者会見で、経産省原子力安全・保安院が2006年に、福島第一原子力発電所が津波によって全電源喪失に陥るリスクがあることを東京電力と共有していたことを明らかにした。
14日の国会の原発事故調査委員会で、参考人として招致された勝俣恒久会長はこの事実について、「知らない」と回答。枝野経産相は「共有されなければ、意味がない」として、会議内容の公開も検討するとした。
枝野経産相などによると、04年のインド洋大津波で、インドの原発に被害が発生したことを受け、保安院が、独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」、東電などとの合同会議を開催。福島第一原発に高さ14メートルの津波が襲来すると、タービン建屋が浸水し、全電源喪失に陥る可能性が指摘されたという。東電は08年にも国の見解に基づき、15.7メートルの高さの津波を試算していたが、対策には生かさなかった。(読売新聞 2012/05/15)



【関連サイト】

『原子力を撃つ』全文(IHopeJapan)

原発がどんなものか知ってほしい(平井憲夫)

地球温暖化に加担する原子力発電(藤井石根)

「夢の核融合」のウラは核兵器開発(JANJAN)

「地球温暖化問題の本質」(原子力安全研究グループ)

知られざる原子力からのCO2排出実態(環境と原子力の話)

大規模な放射能漏れがソープ核工場を閉鎖する(美浜の会)

原子力は地球温暖化抑止に貢献しない(グリーンピース・ジャパン)

石橋克彦「原発震災−破滅を避けるために」(岩波書店『科学』)

石橋克彦「迫り来る大地震活動期は未曾有の国難である」(『人間科学』)

「最も危険」とされる浜岡原発で戦いが再燃(英フィナンシャル・タイムズ)

「浜岡原発2号は東海地震に耐えられない」 設計者が語る(My News Japan)

「浜岡原発は即刻停止せよ」−元地震予知連会長が怒りの告発(ストップ浜岡原発)

衝撃の内部告発! 浜岡原発の不良コンクリートとデータ改ざん(ストップ浜岡原発)

終焉に向かう原子力──なぜ六ヶ所再処理工場の運転を阻止したいのか(小出裕章)

ローレン・モレJapan Times特別寄稿「日本の原発ロシアンルーレット」(ストップ浜岡原発)

内部被曝──原爆・劣化ウラン兵器と人類への宿題(戦争に反対する北海道医師・歯科医師の会)

【怪物・EATER物語】核融合発電は実現不可能 ITER誘致の裏目的は核兵器(環境問題を考える)

Three Mile Island expert: Fukushima could kill 200,000 (GlobalPost)

Genpatsu-shinsai/ the language of disaster that is stalking Japan (Times)

Japan ministers ignored safety warnings over nuclear reactors (Guardian)

JAPAN, NUCLEAR WEAPONS, AND REACTOR-GRADE PLUTONIUM (NCI)

JAPAN CAN CONSTRUCT NUCLEAR BOMBS USING ITS POWER PLANT PLUTONIUM (NCI)



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