原子力発電【放射能】

[2005-2007]



六ケ所村核燃施設改造へ 設計に計算ミス、耐熱に問題
青森県六ケ所村にある使用済み核燃料再処理工場などの高レベル放射性廃棄物ガラス固化体施設で、熱を冷ます設計に計算ミスがあり施設を劣化させる恐れがあることが分かった。日本原燃が経済産業省原子力安全・保安院に報告した。改造工事などで今年12月予定のウラン試験終了が遅れる可能性もある。
ミスがあったのは建設準備中も含め4建屋。再計算では、ガラス固化体の中心は放射性物質の熱が約410度に収まるべきなのに最大624度になった。65度に制限している天井のコンクリートも最大136度になった。96年、01年に元請け会社が設計変更時、管理が甘く誤った計算に基づくプログラムを作成。日本原燃の品質保証体制も改革前で不備だった。
設計変更や改造工事(2建屋)はウラン試験の継続に影響はないが、改造工事を終えないと試験の最終段階には入れない。保安院は「厳正に審査する」としており、時間がかかる見込みだ。(朝日新聞 2005/01/28)

東海地震:浜岡原発、国会で警告 石橋・神戸大教授
29年前に「東海地震説」を最初に唱えた石橋克彦・神戸大教授(地震学)が23日、衆院予算委員会の公聴会に公述人として出席し、東海地震の想定震源域の真上にある中部電力浜岡原発について「東海地震で大事故が起きれば、首都圏まで放射能が達する“原発震災”となる恐れがある」と訴えた。地震学者が国会で警告するのは極めて異例だ。
石橋教授は日本列島全体が地震の活動期に入りつつあると指摘、「複雑高度に文明化された国土と社会が、人類史上初めて大地震に直撃される」と述べた。浜岡原発については「中部電力は耐えられると言っているが、地震学者としては想定している揺れが不十分だと思う。万一、核分裂生成物が外部に放出されると、東海から首都圏に至る広大な地域に被害が及び、死者が10万人に達する恐れもある」と警告。「全国の原発の大地震によるリスクを評価し、危険度の高い順に段階的に縮小していくことが不可欠だ」と述べた。
原発の耐震性については、国の原子力安全委員会が現在、分科会で耐震指針の見直しを進めており、石橋教授は分科会の委員。同原発など3原発をモデルにした独立行政法人・原子力安全基盤機構の試算では、同原発で地震によって重大事故が起きる危険性は、他の原発よりはるかに高い「40年間で2%程度」という数字が出ている。指針見直しでも、こうした確率論的な方法によるリスク評価を導入するかどうかが議論になっている。【鯨岡秀紀、中村牧生】(毎日新聞 2005/02/23)

中部電力:浜岡原発、放射性廃棄物輸送ドラム缶2本に穴 /静岡
中部電力は1日、浜岡原発から出る低レベル放射性廃棄物の輸送に使うドラム缶2本に腐食性の穴が開いていたと発表した。中電は日本原燃六ケ所低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県六ケ所村)への輸送を14日から予定していたが、この2本を含む104本を輸送対象から外した。
中電によると、ドラム缶は鋼鉄製で直径57センチ、高さ83センチ。穴の直径は各2ミリで1本は底に、他は下部横腹部分で見つかった。03年4月に耐火れんがなどを詰めてモルタルで密封していたが、レンガに付着した重油の硫黄分がモルタルの水分と反応して酸化し、腐食が進んだらしい。
輸送計画によると今月14、15日に御前崎港からドラム缶8本入りの容器122個を移送する。低レベル放射性廃棄物の輸送は93年以来、20回目になる。【舟津進】(毎日新聞 2005/03/02)

使用済み核燃料:米国の最終処分場計画でデータ捏造
【ロサンゼルス國枝すみれ】米ネバダ州ユッカマウンテンで進められている使用済み核燃料最終処分場の建設計画で、地下水浸透調査のデータの一部がねつ造された可能性が高いことが明らかになり、計画を管轄する米エネルギー省は22日までに調査を開始した。
同省の委託を受けた米地質調査所は「地下トンネル内に貯蔵される使用済み核燃料が地下水を汚染することは少なくとも1万年間はない」と結論付けていた。ところが、調査に関与した科学者たちが98〜00年に「実験で使われたサンプルの一部は、いつ、どこで採取されたものか全く分からないため、適当に作り上げる」という内容の電子メールをお互いに送っていたことが判明した。
米政府は02年、同州ラスベガスの北西約160キロにあるユッカマウンテンを、全米の商業用原子力発電所や核兵器関連施設で発生する使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物の最終処分場にすると決定した。実現すると世界初の使用済み核燃料最終処分場になるが、同州政府やユッカマウンテン周辺に暮らすアメリカ先住民は計画に反対している。(毎日新聞 2005/03/22)

「核プール」の危険性警告 米科学団体が報告書
【ワシントン6日共同】米科学アカデミーは6日、米国内の原子力発電所に設置されている使用済み核燃料の貯蔵用プールがテロ攻撃を受けた場合、大量の放射性物質が大気中に拡散する危険性があると警告した報告書を公表した。
日本の原発にも使用済み核燃料の貯蔵用プールがあり、同種の危険を抱えている。
使用済み核燃料はプールの水中に保管されているが、報告書によると、プールが破壊され水が漏れ出すと、熱を帯びている核燃料の温度が上昇し火災が発生、放射性物質が拡散する可能性があることが判明した。
報告書は、こうした事態の防止策として、プール内で保管場所を移動させて核燃料の熱放出を促したり、攻撃を受け漏水した場合に核燃料の温度上昇を抑えるスプリンクラーの拡充などを勧告した。(共同通信 2005/04/07)

ロシアのチェルノブイリ被曝者、145万人に
ロシアのズラボフ保健社会発展相は11日、86年にウクライナのチェルノブイリ原発で起きた放射能漏れ事故で健康を害した被曝(ひばく)者が、ロシアで145万人に上ることを明らかにした。
インタファクス通信などによると、被曝者のうち、ロシア国内の放射能汚染地域に住む人が102万8000人、放射能の除去作業に直接当たった人が8万8000人を占めている。
また、事故後に生まれて健康を害した18歳以下の人も22万6000人いた。被曝者全体の中で身体障害者の認定を受けた人は4万6000人という。
ロシア政府がこうした被曝者リストをつくるのは初めて。ウクライナ政府は昨年、チェルノブイリ事故による国内の被曝者数を320万人と発表している。
一般の被害者130万人以上にロシア政府は、月額200〜300ルーブル(約800〜1200円)の補償を支払っている。さらに、身障者に認定された4万6000人には、これよりかなり多めの補償が支払われている。
ただし、今年1月から社会保障制度の改革が実施されたため、政府は一般被曝者への補償を別の特典に切り替えることを求めている。だが、被曝者の多くは年金生活者や退役軍人と共に「実入りが減る」と反対しており、切り替えに応じたのはまだ6000人という。(朝日新聞 2005/04/12)

浜岡原発:耐震性能の数値「改ざん」 市民団体「設計関与の男性が書簡」 /静岡
◇2号機の欠陥指摘──静岡の市民団体に
御前崎市の浜岡原発の運転停止を求めている静岡市の市民団体「原発震災を防ぐ全国署名連絡会」(庄司静男会長)は14日、同原発2号機の設計に関与したとする男性から、2号機の原子炉が想定される地震に耐えられないため、設計段階で耐震性能を示す数値を改ざんしたと指摘する書簡が来ていた、と発表した。大規模地震が続発し国内外で被害が相次ぐなか、同原発の安全性の基礎となる数値の改ざんの可能性が出てきたことで、この団体は運転停止に向け運動を一層強化する方針だ。【吉崎孝一】

書簡によると、男性は72年ごろまでに2号機の炉内構造物の設計を担当していた技術者。警告の意味で、72年7月に退社したが、15日に連絡会とともに記者会見し、詳細を明らかにする予定という。手紙は今年2月に書かれ、同月中に連絡会に届いたとみられるが、開封されていなかった。今月に入り開封され、連絡会が男性と連絡を取り公表の許可を得た。
書簡によると、男性は69年4月に日本原子力事業(現・東芝)に入社し、東芝の工場で炉心隔壁(シュラウド)や緊急冷却装置などの炉内構造物の設計に従事した。その当時、耐震性能の計算担当者は、(1)予定地の岩盤の強度が弱い(2)核燃料集合体の固有振動数が想定地震の周波数に近く共振しやすい、などの理由で、「2号機の耐震性能が持たない」と話していたという。耐震補強も、空間が狭すぎてうまくゆかないのであきらめたという。このため計算担当者は▽岩盤の強度を測定し直したら強かったことにする▽核燃料の固有振動数を実験値でなくGE(原発メーカー)の推奨値を用いるなど、数値を変えて再計算する、と意図的改ざんを認める内容の話をしていたという。
中部電力法務部は「寝耳に水だ。2号機の炉の耐震性の数値が改ざんされていたという事実は把握していない」と話している。浜岡原発の運転差し止め訴訟の原告側弁護団は「私たちが主張していることとほぼ一致している。耐震性の弱さが設計段階で論議されていたことを示す資料だ」と話している。
同連絡会によると、同会の顧問を務める村田光平・東海学園大教授(元スイス大使)がすでにこの手紙の内容を国にファクスで伝えたという。同連絡会は同原発の運転停止を求めて署名活動中。京セラの稲盛和夫名誉会長、長野県の田中康夫知事らが署名呼びかけ人に名を連ねている。(毎日新聞 2005/04/15)

浜岡原発:2号機設計関与の男性、地震発生時の危険訴え──県庁で会見 /静岡
御前崎市の中部電力浜岡原発2号機の原子炉の設計にかかわったとして静岡市の市民団体「原発震災を防ぐ全国署名連絡会」(庄司静男会長)に書簡を送った谷口雅春さん(63)=東京都足立区在住=が15日、県庁で会見し「浜岡原発は地盤が弱く、東海地震が発生したら危険だ。すぐに運転停止するべきだ」と訴えた。谷口さんは書簡の内容を経済産業省に申告した。連絡会は谷口さんの訴えを内部告発ととらえたうえ、「3、4、5号機でも同様のことが起きている可能性がある」として今後谷口さんに活動への協力を求める考えを示した。
会見で谷口さんは、日本原子力事業(現・東芝)に勤務していた1972年、2号機の原子炉の耐震性能を計算する担当者が、当初の数値では想定される地震に耐えられないため、岩盤の強度を変更するなどして計算し直すと話していた、と説明した。谷口さんは「中電は計算の改ざんを知っていたはず」と述べた。
谷口さんの指摘について東芝広報室は「現時点では具体的な内容がわからないのでコメントできない」としている。また中電は「浜岡原発は敷地に影響を与える最大の地震を考慮して設計・施工しており、国による安全審査でも確認を受けている。2号機の原子炉建屋基礎岩盤の強度は当社の試験で確認している」とコメントしている。【吉崎孝一】(毎日新聞 2005/04/16)

浜岡原発 「耐震上2号機もたず」 設計会議で担当者発言 当時の関係者が告白
中部電力浜岡原子力発電所2号機(御前崎市)の設計にかかわったという技術者の1人が15日、県庁で会見し、設計段階にあった昭和47年当時、設計者が集まった会議の席上、耐震計算担当者から「耐震上2号機はもたない」との話を聞いた?などと告白した。担当者はその際、対策に都合のいい方法で再計算する考えも示したという。
会見したのは、44年から47年まで、日本原子力事業(現・東芝)に在籍し、原子炉の炉内構造物の設計に従事したという男性(63)=東京都足立区=。
男性によると、会議で東芝社員の耐震計算担当者は、「2号機は持たない。建屋と圧力容器について耐震補強の工夫をしてみたが、空間が狭すぎてうまくいかないのであきらめた」と話したという。原因として担当者は「岩盤の強度が弱い」「核燃料集合体の固有振動数が想定地震の周波数に近く共振しやすい」などを挙げたとされる。
このため、担当者は(1)岩盤の強度を測定し直したら強かったことにする(2)建屋の建築材料の粘性を(実際よりも)大きい数値で計算する(ことで振動が減衰しやすいように見せ掛ける)−などの対策を講じた。
男性はその直後、「警告」の意味を込めて退社したという。この内容の「告発文書」は15日、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。同保安院は今後、この文書を受理するかどうか、外部の専門家が入った委員会で判断する。
 
「設計施工は最大地震考慮」 告発内容を中電否定

浜岡原発2号機の設計に技術者の1人としてかかわったという男性(63)の「告発文書」について中部電力は15日、「敷地に影響を与える最大の地震を考慮して設計・施工している。国による安全審査でも確認済み。建設後も常に最新の知見に基づき耐震性を確認しているため、安全性は確保されている」などとする見解を発表した。
発表の中で中電側は「岩盤(の強度)については当社の試験で確認している。この試験に、男性が所属していたという会社は関与していない」「建屋の振動の減衰率は1?5号機すべて同じ」などと主張し、「データ改ざん」の疑いを指摘した「告発文」の内容を否定した。
東芝は「現時点では具体的な内容が分からないのでコメントできない」としている。(静岡新聞 2005/04/16)

チェルノブイリ 死者150万人以上 あす事故19周年
【モスクワ=時事】タス通信によると、ウクライナの民間組織、チェルノブイリ身体障害者同盟は24日までに、史上最悪の放射能汚染となった1986年のチェルノブイリ原発事故の影響で、過去19年間でウクライナ人150万人以上が死亡したとする調査をまとめた。
国内の被ばく者は約350万人で、うち放射能遺伝で被ばくした児童が120万人に上るという。同組織は、被ばく者は呼吸系統や甲状腺障害の患者の比率が極めて高いと伝えた。現在も汚染地域に230万人、放射能警戒地域に160万人が居住するという。
ロシア政府も最近、被ばく者名簿を作成し、ロシア国内の被ばく者を145万人、うち児童が22万人と公表。ベラルーシを加えると被ばく者は計500万人を超えるとみられる。
ウクライナの首都キエフの独立広場では23日、原発事故19周年(26日)を前に、被ばく者組織が数千人規模のデモを行い、補償拡大や医療サービス改善をユーシェンコ政権に要求した。
一方、ウクライナ検事総局は、炉心が爆発した4号炉をコンクリートで覆う「石棺」の修復資金などが過去2年間に横領され、捜査していることを明らかにした。石棺の耐用期限は来年で切れるが、新しい石棺の完成は早くて2年後の見通しという。(東京新聞 2005/04/25)

「放射能除去で7万人身障者に」 チェルノブイリ被害者組織発表
【モスクワ=時事】ウクライナのチェルノブイリ原発事故発生から19年の26日、ロシアの被害者組織「ロシア・チェルノブイリ同盟」のグリシン議長が記者会見し、事故後に放射能除去作業に参加したロシア人25万人のうち、7万人が放射能を浴びて身体障害者になったことを明らかにした。
このうち2万3000人以上が既に死亡したという。除去作業には計60万人が動員された。同議長は「彼らの勇気と自己犠牲がなかったら、悲劇はとてつもない規模になっていた」と述べた。一方、インタファクス通信によると、ウクライナの医療機関で治療を受ける被ばく者登録数は今年初めの時点で240万人に上り、うち児童が42万人を占めた。
タツ通信は、チェルノブイリ原発事故による放射能流出量は、広島に投下された原爆の500倍に上ったと伝えた。(東京新聞 2005/04/26)

核燃料容器を触らせる 東海村、原電が見学者に
日本原子力発電(原電)が茨城県東海村の東海第2発電所で使用済み核燃料を収めた容器「乾式キャスク」を見学者に直接触らせ、経済産業省原子力安全・保安院が「人体に影響を及ぼすほどの放射線レベルではないが、あえて一般の人に触ってもらう必要はない」と口頭で指摘していたことが28日、分かった。
しかし原電は「『放射線レベルは極めて低い』と説明した上で、(使用済み核燃料が)出す高い熱が冷却されているのを体感してもらうため触ってもらっていた」と説明。保安院の指摘を中止の指示とは受け止めておらず、容器を触らせる見学方法は変えない方針だ。(共同通信 2005/04/28)

石棺崩落で死の灰放出も チェルノブイリ原発
【モスクワ29日共同】29日付のロシア紙トルードは、1986年に史上最悪の放射能漏れ事故を起こしたウクライナのチェルノブイリ原発4号機を覆うコンクリート製の「石棺」が崩落した場合、「死の灰」数トンが上空2キロの高さに舞い上がり、同国のほかロシア、ベラルーシを汚染する恐れがあると伝えた。
同紙によると、「石棺」には老朽化のためあちこちに亀裂が入り、いつ崩落してもおかしくない状態。専門家らは、4号機の内部にはまだ160―170トンの放射性物質が残されており、「石棺」の崩壊が核分裂反応を引き起こす可能性もあると指摘している。
石棺の崩落の危険性は以前から指摘されており、ウクライナ政府は国際社会の支援で「石棺」を覆う巨大な遮へい物の建設計画を進めている。(共同通信 2005/04/30)

六ケ所村施設の操業中止を訴え 米元国防長官、科学者ら
ニューヨークで開かれている核不拡散条約(NPT)再検討会議にあわせて米民間組織「憂慮する科学者同盟」が5日、青森県六ケ所村に建設された使用済み核燃料再処理施設の操業を断念するよう日本政府に求める声明を国連本部で発表した。声明にはペリー元米国防長官ら米政治家や科学者ら27人が署名している。
声明は、六ケ所村の施設について「これを認めたら、イランや北朝鮮の核兵器開発を思いとどまらせる根拠も失われる」と主張。操業によって日本が大量のプルトニウムを保有すればテロの被害に遭う危険性を増すとも指摘し、操業開始を無期限延期するよう求めた。
声明は、ペリー氏のほか、マサチューセッツ工科大学教授ジェローム・フリードマン氏らノーベル賞受賞学者3人、核研究機関の元所長や国務省、国防総省の元高官らが署名している。(朝日新聞 2005/05/07)

「もんじゅ」近くに想定外の活断層帯 M7級地震の可能性
核燃機構「起きても大丈夫」

高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)から約3キロにある活断層地帯がマグニチュード(M)7級の地震を起こす可能性のあることが、政府の地震調査委員会などの調べでわかってきた。核燃料サイクル開発機構は「万一起きても大丈夫」とするが、従来の安全審査では想定しておらず、設置許可の無効確認を求めた行政訴訟でも争点に取り上げられなかった。耐震性の審査の難しさが浮き彫りになった形だ。(添田孝史)

行政訴訟は、国が83年5月に「もんじゅ」の設置を許可したことは無効だと確認することを求めて、周辺住民らが起こした。上告審判決は最高裁で30日に言い渡される。2審で名古屋高裁金沢支部は03年1月、国の安全審査に過誤があったとして設置許可を無効としたが、耐震性の審査には欠陥はないとしていた。
しかし、地震調査委員会は04年1月、敦賀半島先端部から滋賀県余呉町に連なる長さ25キロの活断層帯「浦底−柳ケ瀬山断層帯」でM7.2程度の地震が推定される、と発表した。
断層帯は海岸寄りの浦底から、ウツロギ峠、池河内、柳ケ瀬山までで、敦賀湾内でも連続しているとみられている。活動度はBからC級だが、将来の地震発生確率は不明としている。
核燃機構は、80年のもんじゅの許可申請前に活断層を調査したが、最も直近にあるこの活断層帯による地震は想定しなかった。「古い断層で、今後、地震を起こすとは考えなかった」と説明。国の安全審査でも問題にならなかった。
地震調査委員会の発表を受け、核燃機構はこの活断層帯が動いた時の地面の揺れを最新の手法を使って計算。もんじゅの岩盤上での揺れは200ガルで、想定している最も厳しい466ガルを下回ることを確かめた。
ゆったりとした揺れ(周期2秒付近)では、最大想定値に近い揺れが生じることもわかったが、「重要構造物は、周期が短いので影響はない」と、同機構もんじゅ建設所の池田真輝典・プラント第2課長は言う。
この活断層帯の過去の活動について、地震調査委員会の報告書は「ほとんど資料が得られていない」とする。独立行政法人産業技術総合研究所活断層センターの杉山雄一センター長は「調査委員会は航空写真のデータを主に使っている。今後は過去の活動などを地質的な情報から詳しく調べる必要がある」と言う。
経済産業省の原子力安全・保安院は今年2月、敦賀原発で2基増設を計画している日本原子力発電に、浦底−柳ケ瀬山断層帯の詳しい調査を指示した。同社は、敦賀半島北部の海底で、音波調査などを始めている。
核燃機構は「今後の調査を見守り、必要なら耐震性の検討をする」と説明している。(朝日新聞 2005/05/24)

中学生向け英再処理施設見学 事故説明せず募集 日本原電
日本原子力発電の原発がある福井県敦賀市と茨城県東海村の中学生計10人に今夏、英国の核燃料再処理工場などを訪問してもらうツアーを、同原電が計画している。ところが、目的地の再処理工場では4月に使用済み核燃料の溶液が大量に漏れる事故が起きたばかりで、操業停止の状態。同社や系列の財団が5月16日から市と村の教育委員会を通じて募集を始めたが、事故についての説明は一切なく、両市村教委は「事故のことは知らなかった。状況を聞いて対応を決めたい」と困惑している。
日本原電と系列の財団法人は、敦賀市と東海村の中学生を対象に、英国に約10日間派遣する事業を03年から2年に1度実施し、今年で2回目。旅費は1人30万円以上かかるとみられ、10万円は参加者が負担し、残りを日本原電が補助する。
今年は7月29日から8月7日の9泊10日の日程で、再処理工場のあるセラフィールド周辺に4日間滞在し、うち1日はセラフィールド事業所を訪れる。後半はロンドンなどを観光する。
両市村の教員2人と日本原電社員2人が引率する計画で、両市村教委を通じて5月16日から月末まで募集しており、すでに計4人の応募を受け付けたという。
ところが、セラフィールドにある「ソープ」と呼ばれる再処理工場で、プルトニウムにウランを混合した酸化物(MOX)燃料の原料製造の前工程の配管が破損し、使用済み核燃料の硝酸溶液が約83立方メートル漏れているのが4月中旬に見つかり、同工場は操業を停止している。
英紙タイムズによると、漏れた溶液にはプルトニウムとウラン計20トンが含まれ、このうちプルトニウムは約200キロ。無人作業区域内のため、従業員への被曝(ひばく)や外部への放射能漏れはないが、漏れた部屋は強い放射能で汚染されている。
回収には数カ月かかるとみられ、操業再開のめどは立っていないという。地元メディアは工場がこのまま閉鎖される可能性もあると指摘している。
IAEA(国際原子力機関)などが策定した事故の国際評価尺度ではレベル3(重大な異常事象)と発表されている。日本国内の原子力施設の事故では、99年のJCOウラン加工工場の臨界事故のレベル4が最高で、95年の高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故はレベル1だった。
この事故について日本原電は両市村教委に一切説明していなかった。両市村教委は「事故が事実かどうかなどを確認したうえで今後の対応を検討したい」と話している。日本原電は「外部への放射能漏れはないと聞いているので問題はないと考えている。市村教委には今後説明したい」としている。
NPO法人「原子力資料情報室」の沢井正子さんは「放射能汚染が強く事故発生から1カ月以上たっているのにいまだに溶液が回収されていない。そんなところに見学に行くのは、とても理解できない」と話した。(朝日新聞 2005/05/26)

9カ月間、気付かず 英核施設の放射性溶液漏れ
【ロンドン29日共同】29日付の英紙インディペンデント・オン・サンデーは、英中西部セラフィールドにある使用済み核燃料再処理施設「ソープ」で起きた放射性溶液漏えい事故で、同施設を管理している「英核グループ(BNG)」が9カ月間も漏えいに気付かなかったと報じた。
漏えい発生は昨年8月だが、BNGが把握したのは今年4月。金属疲労を起こしていたパイプから放射性溶液が漏れ続けていたが、そのトラブルを警告していた表示計器に、担当職員が適切に対応できなかったという。
関係当局が原因調査に着手しており、同紙は、一部閣僚が同施設の閉鎖もあり得るとの見方を示したとしている。(共同通信 2005/05/29)

放射能溶液漏れ、9カ月間放置の可能性 英再処理工場
29日付の英インディペンデント紙日曜版は、英中部セラフィールドのソープ核燃料再処理工場で4月中旬に発見された高レベルの放射能溶液漏れ(発見後操業停止中)について、パイプの破損が昨年8月に始まっていたのに、工場側が最長9カ月間事故を見過ごしていた可能性があると報じた。
工場を管理する特殊法人・原子力廃止措置機関(NDA)は工場閉鎖の決定を視野に入れ、政府側と協議している。
英国原子力グループ(BNG)によると、放射能溶液漏れは4月19日に発見された。配管の破断で、使用済み核燃料のプールから83立方メートルの硝酸溶液が工場内に漏れだした。
英紙などによると、BNGの事故報告書では、金属疲労により配管から溶液が漏れだしたことを示す指標が04年8月に出ていたという。(朝日新聞 2005/05/30)

Nuclear waste: the 1,000-year fudge
(Independent 2005/06/12)

原発など従事者、許容上限被ばくでがん死亡率10%増
世界保健機関(WHO)が、15か国の原子力事業の従事者40万人余りを対象に、放射線被ばくとがん発生の関連性を統計学的に分析したところ、国際基準で許容される上限(5年間で100ミリ・シーベルト)まで被ばくした場合、がんによる死亡率が約10%増加すると推計できることが分かった。
調査には、米国、カナダ、英国、フランス、日本、韓国などが参加。原子力発電所などで1年以上働いた経験を持つ人を最長40年余りにわたって追跡した。
調査対象となった従事者は計40万7391人で、このうち6715人が白血病を含むがんで死亡していた。上限まで被ばくした従事者はごく一部に過ぎず、1人当たりの平均累積被ばく量は19ミリ・シーベルトで、こうした平均的なケースでは、がん死亡率は2%程度増加する可能性が示された。
国内の調査に協力した放射線影響協会の巽紘一・放射線疫学調査センター長の話「今回の結果は、たばこの影響などが十分考慮されていない上、一部の国のデータに引きずられて、リスクが誇張された可能性がある。結論的なことを言える段階ではないと思う」(読売新聞 2005/06/29)

線量限度の被ばくで発がん 国際調査で結論
【ワシントン30日共同】放射線被ばくは低線量でも発がんリスクがあり、職業上の被ばく線量限度である5年間で100ミリシーベルトの被ばくでも約1%の人が放射線に起因するがんになるとの報告書を、米科学アカデミーが世界の最新データを基に30日までにまとめた。報告書は「被ばくには、これ以下なら安全」と言える量はないと指摘。国際がん研究機関などが日本を含む15カ国の原発作業員を対象にした調査でも、線量限度以内の低線量被ばくで、がん死の危険が高まることが判明した。
低線量被ばくの人体への影響をめぐっては「一定量までなら害はない」との主張や「ごく低線量の被ばくは免疫を強め、健康のためになる」との説もあった。報告書はこれらの説を否定、低線量でも発がんリスクはあると結論づけた。業務や病気の診断や治療で放射線を浴びる場合でも、被ばく量を低減する努力が求められそうだ。
米科学アカデミーは、従来被ばくの発がんリスクの調査に用いられてきた広島、長崎の被爆データに加え、医療目的で放射線照射を受けた患者のデータなどを総合し、低線量被ばくのリスクを見積もった。
それによると、100ミリシーベルトの被ばくで100人に1人の割合でがんを発症する危険が判明。この線量は、胸部エックス線検査なら1000回分に相当するという。また、100ミリシーベルト以下でもリスクはあると指摘。10ミリシーベルトの被ばくになる全身のエックス線CTを受けると、1000人に1人はがんになる、とした。
また、国際がん研究機関などが約40万7000人の原発作業員らを長期追跡した調査では、100ミリシーベルトの被ばくにより、がん死の危険が約10%上昇するとの結果が出た。調査対象の平均累積被ばく線量だった約19ミリシーベルト程度でも、がんの死亡率がわずかに高まる可能性が示された。
日本の商業原発では2002年度の1年間に作業員が浴びた線量の平均値は1.3ミリシーベルト、最も多く被ばくした作業員は19.7ミリシーベルトだった。(共同通信 2005/06/30)

想定の「限界」超す揺れ検出 宮城県沖地震で女川原発
東北電力は2日、8月16日の宮城県沖地震で自動停止した女川原発(同県女川町、石巻市)で、耐震設計上の最大想定を上回る揺れが一部にあったと発表した。同原発は点検中で、安全上問題となる被害は見つかっていないという。だが、耐震設計の出発点となる想定値の妥当性を疑わせるもので、原子力安全委員会で現在進められている耐震設計指針の見直し論議に影響を与えそうだ。
経済産業省原子力安全・保安院は2日、院長名で同社に原因の詳しい分析を求める指示を出した。
原発では、過去5万年に起きた地震や直下型地震なども考慮し、「およそ現実的でない」と考えられる強さの「限界地震」を設定し、原子炉格納容器などの重要施設をそれに耐えられる構造にしている。
東北電力によると、今回の地震について、構内の岩盤(地下8.6メートル)に置いた地震計のデータをもとに詳しく分析した結果、周期0.05秒付近の揺れの大きさが888ガル(ガルは加速度の単位)に達し、限界地震の想定値(673ガル)を上回った。
一方、1〜3号機の建屋など48カ所に置かれた地震計では、1号機の屋上にあったもので限界地震を上回ったものの、建屋内については、構造上揺れが抑えられることもあり、下回った。同電力は「屋上には機器が設置されていないので安全上の問題はない」としている。(朝日新聞 2005/09/02)

日本のプルトニウム保有、昨年末で43トンに増加
使用済み核燃料を再処理して取り出された日本のプルトニウムが、昨年末時点で43.1トンに達したと、文部科学省と経済産業省が6日、原子力委員会に報告した。
既存の原子力発電所でプルトニウムを燃やすプルサーマル計画が足踏みを続けており、保有量は前年より2.4トン増えた。プルトニウムは核兵器への転用が可能なため、国際的な批判が高まる恐れもある。
国内で5.7トン(前年比0.2トン増)、再処理を委託した英仏で37.4トン(同2.2トン増)を、それぞれ保管している。このほか、再処理を終えていない使用済み燃料などにも、110トン余りが含まれていると推計されている。
43.1トンのうち、核分裂を起こす能力のあるプルトニウムは29.3トン。それが数キロあれば、原子爆弾を作れるとされる。プルトニウムは化合物などの形になっており、テロリストなどに奪われても、すぐに核兵器に転用できるわけではないが、核不拡散政策上は、使い道の不明確なプルトニウムの増加は好ましくない。(読売新聞 2005/09/06)

チェルノブイリ原発事故:最終的死者4000人 従来推計大幅下回る──専門家調査
【ウィーン会川晴之】1986年4月に旧ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故について、国際原子力機関(IAEA)や世界保健機関(WHO)の専門家グループは5日、放射線被ばくによる最終的な死者数は約4000人と推計する調査結果を発表した。史上最悪の原発事故による死者数については、数万〜数十万人とするさまざまな推計があったが、これまでの数字を大幅に下回った。
専門家グループによると、同事故の被ばくが原因となったこれまでの死者数は、消火活動などで被ばくした救急隊員や原発周辺に住む子供たち計56人。多くは事故後数カ月で死亡した。
今後は(1)86〜87年に現場の復旧工事に当たった作業員約20万人(2)汚染地域から避難した住民約11万6000人(3)居住を続けた住民約27万人──の計約60万人のうち約4000人が、がんや白血病で死亡すると推計した。
従来の推計値より大幅に死者が下回ったことについて、WHOのレパチョリ部長は「喫煙や飲酒など他の要因に起因するがんなどで死亡する人が多い」と指摘。ソ連崩壊後の経済状況の悪化や生活習慣の変化が住民の平均寿命の低下をもたらしているとの考えを示し、従来の推計値の科学的根拠に疑問を投げかけた。
調査には8つの国際機関とウクライナ、ロシア、ベラルーシから100人を超す専門家が参加した。報告書は6日からウィーンで開く専門家らの会議で報告する。

◇信じられない数字──ベラルーシで医療支援活動をした小池健一・信州大医学部教授(血液腫よう学)の話
事故時の大量被ばくだけで30人以上が死亡した。これまでの死者数が56人とは、ちょっと信じられない。がんや白血病の原因が被ばくかどうかを個別に判断するのは難しい。専門家グループが、そのあたりをどう判断したのかを見極める必要がある。(毎日新聞 2005/09/06)

核兵器の原料:世界に3730トン 日本は非核国最大
国際原子力機関(IAEA)元査察官のデビッド・オルブライト氏が主宰するシンクタンク「米科学国際安全保障研究所」(ISIS)は7日、核兵器の原料となる高濃縮ウランとプルトニウムの総量は、世界全体で2003年末時点で約3730トンに上るとした最新の試算結果を発表した。
プルトニウムについては、核兵器22万5000個以上に相当する約1830トンが35カ国に存在すると報告、日本は151.6〜153.6トンと非核国の中で最大だった。
このうち、民生用ながら短期間で兵器転用が可能な分離プルトニウムも非核国で最大の約41トン保有しているとし、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を原発で使うプルサーマル計画が遅れているため「予想外に日本のストックが増大している」と指摘した。(ワシントン共同)(朝日新聞 2005/09/08)

チェルノブイリ原発事故:報告書は「まやかし」と環境団体
来年4月に発生から20年を迎えるウクライナのチェルノブイリ原発事故について、国際原子力機関(IAEA)などがまとめた報告書が死者数を推計4000人程度としたことについて、国際環境保護団体グリーンピースなどから9日までに、「まやかしだ」とする批判の声が出ている。
ウクライナからの報道によると、同国議会関係者は「政府の間違ったデータに基づいている」と反論。環境団体も「原子力への不信感を和らげ、原子力利用促進を狙うもの」と批判した。
グリーンピースの担当者は「多くの疑問が残されており結論づけるのは時期尚早」と指摘する。
報告書はIAEAなどの国際機関やウクライナ政府などが5日に発表。今年半ばまでの被ばくによる死者数を60人弱とし、進行中のがん患者らを含め最終的には4000人程度が死亡すると推計した。
その上で、周辺環境汚染も含め、事故の影響は従来指摘されたほど深刻でないと結論づけた。
同事故の死者数の推計は、当時のソ連政府の「秘密主義」もあり、これまで数万人から100万人超まで幅広い範囲で数字が挙げられてきた。(ウィーン共同)(毎日新聞 2005/09/10)

原子力産業を支援と批判 IAEA受賞で反対派
国際原子力機関(IAEA)のノーベル平和賞受賞が決まったことについて、ドイツやオーストリアの反原発団体などは7日、IAEAを「原子力産業のロビイストだ」などと批判した。
IAEA本部があるオーストリアの反核団体「アトムシュトップ」は「IAEAは核兵器拡散を止められない組織。原子力エネルギー業界を支援しているから当然だ」と指摘。「無数の国家がイランや北朝鮮のように核の平和利用をうたいながら、IAEAの支援で軍事目的に利用している」と非難した。
1985年にノーベル平和賞を受賞した核戦争防止国際医師会議はベルリンでの会見で「平和利用の陰には常に核兵器製造を隠そうとする力が働く」として、イラン、インド、パキスタンの動きを列挙。さらに日本を含む計44カ国が核兵器開発能力を有していると指摘した。
ドイツ環境自然保護連盟のマイヤー代表も「IAEAの目的は核の平和利用支援だが、その支援は軍事目的に悪用されている」と主張した。(共同)(産経新聞 2005/10/07)

米最大級の原発、安全装置の不具合19年間放置
全米最大級のパロバーデ原発(米アリゾナ州)で、原子炉の暴走を食い止めるブレーキ役である「緊急炉心冷却装置(ECCS)」の不具合が、運転開始から19年間放置されていたことが米原子力規制委員会の検査でわかった。
AP通信によると、事故などで冷却水の供給系に漏れが起こると、この装置まで働かなくなる恐れがあるという。同装置の別の個所で異常が報告されたことはあったが、問題の部分の不具合は今月行われた検査までわかっていなかった。
ECCSは、冷却水の減少などが起きた時に、炉心が過熱するのを防ぐため原子炉容器内に注水する装置で、これが働かないと最悪の場合、炉心溶融が起こる。
同原発は同州のほか、カリフォルニア、ニューメキシコ、テキサス各州の約400万世帯に電力を供給している。(読売新聞 2005/10/17)

六ケ所村の核燃再処理工場:小児白血病多発の危険性、英国の反核燃派が警告 /青森
◇「小児白血病多発の危険性、六ケ所も」
英国の反核燃グループに所属するマーティン・フォーウッド氏(65)は21日、県庁で記者会見を開き、「英国では再処理工場の周辺で小児白血病が多い。六ケ所村でも危険性は高い」と警告した。六ケ所再処理工場では、実際の使用済み核燃料を使うアクティブ試験が迫っており、国内の市民団体などがフォーウッド氏を招いた。
英国セラフィールドにあるソープ再処理工場の周辺では、小児白血病の発生割合が高いことで知られる。また、今春には放射能の入った硝酸8万3000リットルが工場内に漏れる重大な事故も発生した。
フォーウッド氏は「硝酸漏れは、作業員がアラームを無視した結果だった。人災は六ケ所でもありうる」と指摘した。白血病についても「日本原燃は『英国の工場に比べて汚染は小さい』と話しているようだが、同じ核物質を使うことを県民は考えた方がいい」と訴えた。
この問題について、原燃はホームページなどで「英仏の再処理工場周辺で小児白血病の増加があるのは事実だが、両国政府は『再処理工場との因果関係は認められない』と結論付けている。なお、六ケ所再処理工場からの放射能は自然放射線と比較しても小さな値」と見解を示している。【小山由宇】 (毎日新聞 2005/11/22)

米国:プルトニウム300キロ不明? 長崎型原爆50個分──ロスアラモス国立研究所
【ワシントン和田浩明】米国の核兵器開発の拠点である米ニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所で、過去50年間に長崎型原爆約50個分にあたる約300キロの兵器級プルトニウムの所在が不明になっている可能性があるとの報告書を米民間研究機関が1日までにまとめた。同研究機関は米エネルギー省に通知したが、返答はないという。
報告書をまとめたのは「エネルギー環境研究所」(米メリーランド州)。米政府が公表しているデータを精査したところロスアラモスで使われたプルトニウムのうち少なくとも約300キロ、最大約1トンの行き先がはっきりしないことが判明した。
エネルギー環境研究所は、記録が残されないままロスアラモスの埋め立て地などに廃棄された可能性もあるとして「周辺環境の汚染も懸念される」と指摘している。盗難などを示す情報は今のところないという。
昨年8月にロスアラモスに書面で調査を促したが、返事はなかったという。この問題を報じたサンフランシスコ・クロニクル紙の取材に対し、ロスアラモスの広報担当者は「プルトニウムは微量なものまで監視している」と説明している。史上初の原爆を製造したロスアラモス国立研究所では昨年夏にも核物質の保管体制に問題があったことがエネルギー省の調査で判明している。(毎日新聞 2005/12/02)

フランス:チェルノブイリ原発事故の国民への影響隠す
【パリ福井聡】世界有数の原発大国であるフランスが1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の国民への影響を隠していたと指摘する政府報告書が15日までに明らかになった。仏の反原発団体は「政府は原発事故の影響を過小評価している」と訴えてきたが、その主張を裏付ける内容だ。

◇原発業界に配慮?
AFP通信によると、報告書は事故後、独立機関の物理学者2人によってまとめられたが公表されず、最近、同汚染に関連して起こされた行政訴訟で担当判事がこの報告書を原告側に開示したことから、隠匿が表面化した。
報告書は、国営機関である「放射線予防のための中央サービス」が当時、チェルノブイリからの高レベル放射能汚染物質を含む大気が仏南部やコルシカ島などで検出されたにもかかわらず、正確な情報を提供しなかったなどと指摘している。
反原発団体「脱原発」は「仏原子力産業のイメージを守るため、政府による虚像キャンペーンが存在したことを示すものだ」と非難する声明を出した。
仏は原子炉数が米国に次ぐ世界2位、原子力の発電比率も75%と世界最高水準の原発大国。(毎日新聞 2005/12/16)

チェチェンの工場で放射能漏れ・当局が捜査
【モスクワ=栢俊彦】ロシア南部チェチェン共和国の検察当局は16日までに化学工場での放射能漏れに関する捜査を開始した。検察当局は「許容限度の5万8000倍で破局的な状況」だとしている。ロシアのテレビ局は放射能のレベルを1986年に発生したチェルノブイリ原発事故時の半分に相当すると報じた。外部への被害などは伝えられていない。
問題の場所は国営企業「チェチェン石油化学」系のグロズヌイ化学コンビナートの敷地内。27から29種類の放射性元素が確認され、ある作業場にはきちんと管理されないまま放置されている。テロリストの盗難に遭う可能性を指摘する声もある。(日本経済新聞 2005/12/17)

汚染農産物、今もモスクワの市場に=チェルノブイリ原発事故から20年
【モスクワ18日】1986年4月にウクライナのチェルノブイリ原発で起きた爆発事故から約20年になるが、ロシア・モスクワ市当局は18日、市内の市場に、同事故で被害を受けたロシア西部やベラルーシから、放射能に汚染された農産物が依然として大量に持ち込まれていることを明らかにした。
同市の関係当局によれば、昨年、市内の市場から回収された汚染農産物は約830キロに上った。これまでも2001年に1.5トン、02年に3トン、03年に約1トン、04年に986キロが回収されたという。
汚染農産物の大半はきのこやベリー類で、これらは地面にごく近い所で育つため放射能を帯びた粒子を吸収しやすいという。
同当局はただ、市場では販売する前に検査しており、汚染された農産物が見つかった場合は撤去・処理していると説明している。〔AFP=時事〕(時事通信 2006/01/19)

劣化ウラン:欧州→ロシアへ移送 「再利用目的」でも…実態は“廃棄”
【パリ福井聡】欧州の原子力関連企業2社がウラン濃縮の過程で出る劣化ウランを原発燃料として再利用する目的でロシアに送り、再濃縮に伴って出る「絞りかす」にあたる劣化ウランがロシア内に残されている疑いが反原発団体「世界エネルギー情報サービス」(WISE)などの調査で浮上した。両社と原子力産業の国際業界団体「世界原子力協会」(本部・ロンドン)も毎日新聞の取材に劣化ウランの対露移送を認めた。WISEは「事実上の廃棄」にあたると批判している。
WISEが名指ししているのはフランスなど西欧5カ国のウラン濃縮会社「ユーロディフ」社と、英国、ドイツ、オランダ3カ国の核燃料再処理企業「ウレンコ」社。WISEによると、両社からロシアに移送された劣化ウランは現地で再濃縮後に濃縮ウランとして返送されることになっており、さらに天然ウランもロシアから両社向けに輸出されている。WISEが入手したロシアの核燃料再処理企業「テネックス」社の資料などによると、両社は1996年から年それぞれ約7000トンの劣化ウランをロシアに送りながら24〜33%に相当する分しか濃縮ウランとして回収していないとされる。
ユーロディフ社の親会社であるアレバ社のパトリック・ジャーマン広報官は「詳しい数値は公表していないが(ロシアに)送っている。国内で保管するよりもロシアに送ってリサイクルした方が効率的だ」と説明している。ウレンコ社のジェーン・ハレット広報官は「年数千トンの劣化ウランをテネックス社に送り、代わりに濃縮ウランと天然ウランを受け取っている」と話している。
日米欧の電力各社はウラン濃縮の過程で出る劣化ウランの処理に頭を悩ませている。多くは自国内の原発施設の近くで貯蔵している。WISEは、ユーロディフ社が年1万5000トンの劣化ウランを出し、うち半分強を自国内で貯蔵または再濃縮し、残りをロシアに移送しているとみている。

◇コストなど魅力──反原発団体、批判
WISEは(1)対露移送する方が国内で貯蔵するよりもコストが安い(2)ロシアの環境基準が緩く、劣化ウラン受け入れに支障が少ない──ことなどが理由と推定、「両社は『再濃縮目的』と説明しているが、ロシア側は(劣化ウランを)保管し続けるばかりで、西欧側は事実上『廃棄』する形となっている」と指摘している。
世界原子力協会のイアン・ホレイシー広報部長は「(ロシアに残されている)劣化ウランは再々濃縮によってウラン濃度を高めて再利用することができる。将来、高速増殖炉の燃料に転換できる可能性もあり、『廃棄』されているわけではない」と反論している。
しかし、WISEのウラン問題責任者のペーター・ディール氏は「劣化ウラン内のウラン235の含有率が0.25〜0.35%なら再々濃縮する可能性があると言えるが、ロシアに保管されているのはすでに再濃縮済みの0.1〜0.2%のものだ。さらに濃縮処理するのは採算に合わず、事実上あり得ない。保管期間が長いのも我々の主張を裏付けている」と話している。

◇「残りかす」残留を懸念
天然ウランは、質量数234、235、238の3種類の同位元素からなり、原発でウランから原子力エネルギーを取り出すにはウラン235の核分裂が必要になる。天然ウランにはウラン235が約0.7%しか含まれておらず、この含有率を高める工程を「ウラン濃縮」という。
ユーロディフ社とウレンコ社が対露移送を認めたのはこの濃縮過程で出る劣化ウラン。天然ウランよりもウラン235の含有率が低い。ロシアの施設では受け入れた劣化ウランを原発燃料に適する含有率になるまで再濃縮して返送するが、その際に出る劣化ウランが残留している点を環境保護団体は問題視している。
反核団体グリーンピースは「西欧原発各社は天然ウラン濃縮で出る劣化ウランだけでなく、原子炉で使用した後に取り出した『使用済み核燃料』を再処理した際に生じる劣化ウランもロシアに送っている」と主張しているが、両社は完全否定している。【パリ福井聡】(毎日新聞 2006/01/26)

六ケ所村・再処理試運転の中止要請 米野党6議員「核拡散の懸念」
米野党民主党のマーキー下院議員ら6議員は26日、日本原燃再処理工場(青森県六ケ所村)で計画されている使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す試運転(アクティブ試験)に核拡散上の「懸念」があるとして、中止を求める書簡を日本政府に送った。同党議会筋が明らかにした。
日本政府は27日夜、「非核三原則を堅持し、核拡散防止条約(NPT)に基づき国際原子力機関(IAEA)の厳格な査察などを受けている」と書簡に事実上反論する見解を発表した。
同議員は民主党のエネルギー、不拡散政策の立案にかかわる党内有力者。書簡は、軍事転用の恐れがある使用済み核燃料再処理に批判的な民主党の政策を反映している。
同筋は書簡送付の背景として、ブッシュ政権が1970年代からの政策を転換し、米国が再処理事業を進める計画を検討していることも指摘。海外に再処理を委託した分など国内外で既に40トン以上のプルトニウムを保有する日本での再処理実施が、不拡散強化の流れに逆行し、「イランの核問題にも影響を与える」と語った。
加藤良三駐米大使あての書簡は「核兵器にも使えるプルトニウムの抽出は、国際的な安全保障と不拡散にとって重大かつ不必要な脅威」と主張。高速増殖炉開発やプルサーマル計画実現で不透明さが残る日本が再処理事業に踏み切ることの矛盾を指摘し、テロ組織への拡散阻止の観点からも事業中止を求めている。(共同)(産経新聞 2006/01/27)

シンポジウム:チェルノブイリ原発事故20年 広大で現地医師が報告 /広島
◇ベラルーシの子、急性骨髄性白血病が増加 /広島
国際シンポジウム「チェルノブイリ原発事故20年とセミパラチンスク」が7日、南区の広島大医学部であり、ベラルーシ国立血液・小児がんセンターの医師が、00年ごろから同国内で急性骨髄性白血病を発症する子どもが増えているとの調査結果を発表した。
この病気が、一定期間を経て増えるのは原爆被爆者にも見られた傾向。シンポを主催した同大原爆放射線医科学研究所は、同センターと共同研究を行う。
事故は、86年4月26日に発生。4号炉が大爆発し、放射性物質が大気中に放出されたため、広範囲が汚染された。周辺住民は、汚染された食べ物を体内に取り込むことで起きる内部被曝(ばく)の危険にもさらされた。子どもの甲状腺がんの発生率が上昇した報告もある。
シンポでは、発電所周辺のロシアやベラルーシの医師が、白血病や甲状腺がんの発生状況を報告した。同センターのナタリア・サバ副院長は、90〜04年、同国で白血病を発症した14歳以下の子ども1117人を調査。878人が急性リンパ性白血病、170人が急性骨髄性白血病、69人がその他の白血病だった。
現在、発症率は急性リンパ性白血病では減少中だが、急性骨髄性白血病は増加。00〜04年の発症率は90〜94年の1.5倍になった。発症率は0〜1歳と10歳以上で高いという。【遠藤孝康】(毎日新聞 2006/02/08)

六ケ所村の再処理工場で火災=原燃に厳重注意−青森県
14日午後0時18分ごろ、日本原燃(青森県六ケ所村)の使用済み核燃料再処理工場の燃料貯蔵管理建屋2階の常用空調機室で、排煙設備のバッテリーが燃えているのを社員が見つけ、消し止めた。現場は放射性物質を扱わない管理区域外で、放射能漏れなどの影響はなかった。
青森県の高坂孚環境生活部長は同社の鈴木輝顕専務に「火災が発生したことは誠に遺憾。安全確保対策に万全を期すことを強く要請する」と厳重注意した。(時事通信 2006/02/14)

ウラン含む廃液68リットル漏れる・日本原燃の再処理工場
日本原燃(青森県六ケ所村)は20日、同村の使用済み核燃料再処理工場の低レベル廃棄物処理建屋内で、放射性物質ウランを含む廃液約68リットルが漏れたと発表した。外部への放射性物質の漏えいはなく、近く予定している使用済み核燃料を使った試運転(アクティブ試験)にも影響しないとしている。
原燃によると、17日午後7時35分ごろ、建屋の低レベル濃縮廃液をためておくタンクの液漏れを知らせる警報が鳴り、職員がタンクのふた近くや漏えい液の受け皿に廃液約68リットルが漏れているのを発見した。
これまでの稼働試験で出た廃液を中和するためタンクに硝酸を入れてかき混ぜたところ、二酸化炭素が発生して廃液が泡立ち、ふたのすき間から漏れた。原燃は、普段より多い硝酸を一度に入れたのが原因とみて、再発防止のため、硝酸を少しずつ入れるようマニュアルに明記するという。〔共同〕(日本経済新聞 2006/02/20)

プルサーマル:米物理学者ライマン博士、知事に危険訴え 「稼働反対」で来日 /福島
青森県六ケ所村にある使用済み核燃料再処理工場の本格稼働への反対を表明するために来日した米「憂慮する科学者同盟(USC)」の物理学者、エドウィン・ライマン博士が20日、県庁で会見し、使用済み核燃料を再処理して製造したMOX(ウランとプルトニウムの混合酸化物)燃料を軽水炉で使用するプルサーマルの危険性を訴えた。
ライマン博士は「MOX燃料は通常のウラン燃料に比べ、放射性物質の量が多く、放射能漏れ事故があった場合に深刻になる危険度が高い」と話した。また、「テロリストが盗めば、燃料集合体1体で核兵器を作れる」とテロに利用される危険性が高まると指摘、「警備体制の強化が必要であり、コストも増加する」と強調した。
これに先立って、博士は佐藤栄佐久知事と会い意見交換した。イランがウランを濃縮する権利を主張していることを挙げ「日本が六ケ所工場を稼働させれば、イランに濃縮の口実を与えてしまう」と述べ、再処理計画の中止を主張した。【上田泰嗣】(毎日新聞 2006/02/21)

「六ケ所が国際的ごみ捨て場に」 米の核専門家危険性を訴え
米国の非政府組織「憂慮する科学者同盟」上級スタッフ科学者のエドウィン・ライマン博士が24日、県庁で記者会見し、六ケ所再処理工場は海外からも使用済み核燃料を受け入れ、国際的ごみ捨て場になる危険性がある、などと訴えた。
ライマン博士は、米国が新計画「世界的原子力パートナーシップ」に日本も参加するよう求めていることに触れ「日本は2020年ごろまでは海外の使用済み核燃料を受け入れる能力を持つ唯一の国。六ケ所再処理工場が海外の使用済み核燃料を引き寄せる磁石となり、再処理後に出てくる高レベル廃棄物がたまり続ける可能性がある」と指摘。青森県知事はアクティブ試験を了承する前に、海外の使用済み核燃料を受け入れることはない−との確約文書を日本政府に求めるよう促した。
ライマン博士は原水禁などの招きで18日に来日し、福島県や佐賀県などでも講演した。(東奥日報 2006/02/25)

チェルノブイリ事故20年、放射線なお許容の90倍
ウクライナ(旧ソ連)のチェルノブイリ原子力発電所4号機が1986年4月に爆発事故を起こしてから間もなく20年がたつ。ウクライナ政府の許可を得て、原発から半径30キロ・メートルの立ち入り制限区域に入った。
史上最悪の原発事故の後遺症に、原発事故の深刻さと悲惨さが重く心にのしかかった。
2月23日、首都キエフ市から約2時間車で走ると、丘と針葉樹林の先に立ち入り制限区域の検問所が現れた。小雪の舞う中、日本から持ち込んだ線量計で放射線を測ると1時間0.13マイクロ・シーベルト。キエフ市内のホテルと変わらない。
原発から4キロ・メートルの廃村の幼稚園前で10マイクロ・シーベルトを記録。1年暮らすと一般人の被曝(ひばく)許容量の90倍近い放射線を浴びる計算になる値だ。もちろん短時間なら問題ないが、線量計を見ていると不安になる。
事故では広島型原爆500発分の放射性物質が放出された。放射能が半分に減る期間(半減期)は、セシウムやストロンチウムで約30年。プルトニウムに至っては2万4000年もかかる。立ち入り制限を解除するめどは立っていない。
30キロ・メートル圏内には、定住者はいないはずだが、制限を無視して戻った約320人が住む。停止した1〜3号機の保守や森林火災防止のため7600人が働く。
核テロ対策で厳重に警備される発電所では4号機を覆う「石棺」から300メートルの壁までしか近付けない。鉄骨とコンクリートの石棺は放射線を遮へいするが、線量計は10マイクロ・シーベルトを超えていた。ここは防護服やマスクをする必要がないが、石棺内部は放射能が強く、4分の3は今も人が入れない。
事故直後に急ごしらえされた石棺は壁が傾き、倒壊の危険性が強まる。欧米などの支援で石棺補強とともに新シェルター建設計画が進んでいるという。新シェルターは高さ110メートル、幅約260メートル、奥行き約150メートルのかまぼこ形で石棺を覆う。間もなく建設業者が決まる見込みだ。100年以上の耐久性を持ち、2010年の完成後、シェルター内で石棺を解体する。
地下に流出した大量の核燃料の処理は、後世にツケが回される。計画を指揮するフィリップ・コンバート氏は「現在の技術ではこの核燃料を安全に回収し処理することはできない。今後少なくとも50年は待たないと無理だろう」と話す。
原発から検問所への帰路、サッカーのグラウンドが7、8面は取れそうな野原にヘリコプターやトラックのさび付いた残骸(ざんがい)があった。迷彩服を着た管理人が2、3000台はあるという残骸を見守る。有刺鉄線に囲まれた核廃棄物置き場は、うっすらと雪に覆われ、墓地のように静かだった。(科学部 佐藤俊彰)(読売新聞 2006/03/07)

チェルノブイリ近くのキエフ、350万人疎開を極秘検討
86年4月26日に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で、上空に吹き上がった放射性物質の直撃を逃れるため、最も近い大都市、キエフ市(現ウクライナ)の全住民約350万人を疎開させる計画が、ソ連指導部内で直後に検討されていたことが分かった。風向きのおかげで回避されたが、もし大量の避難民が出れば、疎開先のあてはなかった。これらの事実は当時、市民には知らされずじまいだった。
地球気象・エコロジー研究所(モスクワ)のユーリー・イズラエリ所長(75)が明らかにした。イズラエリ博士は当時、旧ソ連の国家気象環境監視委員会議長で、事故から11日後の5月7日、キエフ市で極秘に開かれたウクライナ共和国共産党の対策会議に出席。疎開を検討する党幹部らに汚染状況と被害予測を説明した。
事故の大爆発でプルトニウムやセシウム、ストロンチウム、ヨウ素など強い放射性物質の放出が続いていた。キエフ市は事故現場から南へ約130キロの距離。博士によると、爆発時には東から西への風が吹き、その後、風は北へ、さらに北東への流れに変わった。キエフ市では4月30日に初めて放射能を検出したが、年間の放射線量は許容値の20分の1程度にとどまると推定された。11時間に及ぶ議論の末、住民の健康に影響ないとして、疎開しないことを決めたという。
もし全市民の疎開となれば、住宅確保や医療支援、社会主義下とはいえ雇用問題など未曽有の規模で支援が必要になったとみられる。
この会議の内容は、当時の一般市民には知らされなかった。イズラエリ博士は「単に風向きがそれたというだけ。運がよかった。疎開先の見通しはなく、もし強制避難だったら、どうなっていたことか」と振り返る。
疎開は、事故直後に原発の半径30キロ圏内の住民約11万6000人がまず強制避難させられ、その後、チェルノブイリの北西約100キロ圏内の高濃度汚染地域を中心に避難が続き、疎開したのは最終的に計40万人だった。(朝日新聞 2006/03/19)

国民の30%が甲状腺障害=チェルノブイリ事故20年で調査−ベラルーシ
【モスクワ23日時事】史上最悪の放射能流出事故となった1986年4月の旧ソ連ウクライナ共和国チェルノブイリ原発事故で、風下に当たり、放射能の70%が流入したとされるベラルーシでは、現在も南部を中心に国土の20%が放射能汚染地帯に指定され、国民の30%以上が何らかの甲状腺障害を抱えていることが、ベラルーシ当局の調査報告で分かった。
同国政府チェルノブイリ原発事故被害対策委員会が4月26日の原発事故20年を前に被害状況をまとめた。(時事通信 2006/03/24)

志賀原発の運転差し止め命じる 金沢地裁判決
石川県志賀町の北陸電力志賀原発2号機(改良型沸騰水型炉=ABWR、出力135万8000キロワット)をめぐり、16都府県の132人が、同社(本店・富山市)を相手取り、運転差し止めを求めた民事訴訟の判決が24日、金沢地裁であった。井戸謙一裁判長は「電力会社の想定を超えた地震動によって原発事故が起こり、住民が被曝(ひばく)をする具体的可能性がある」として巨大地震による事故発生の危険性を認め、住民側の請求通り北陸電力に対して志賀原発2号機の運転を差し止める判決を言い渡した。2号機は今月15日に国内55基目の商業用原発として営業運転を始めたばかりだった。北陸電力は控訴する。
営業運転中の原子炉の運転差し止めや原子炉設置許可の取り消しを求めた訴訟で、原告の訴えが認められたのは初めて。判決の内容を即座に実行できる仮執行宣言はついておらず、判決が確定しない限り、実際に運転が止まることはない。
井戸裁判長は判決で、志賀原発2号機の敷地で起きる地震の危険性と耐震設計について検討。耐震設計が妥当といえるためには、運転中に大規模な活動をしうる震源の地震断層をもれなく把握していることと、直下地震の想定が十分であることが必要だと述べた。
その上で、国の地震調査委員会が原発近くの邑知潟(おうちがた)断層帯について「全体が一区間として活動すればマグニチュード7.6程度の地震が起きる可能性がある」と指摘したことを挙げ、「電力会社が想定したマグニチュード6.5を超える地震動が原子炉の敷地で発生する具体的な可能性があるというべきだ」と述べた。
巨大地震が発生した際の被害については「許容限度を超える放射性物質が放出され、周辺住民の生命、身体、健康に与える影響は極めて深刻である」として、最悪の場合、最も遠方である約700キロ先の熊本県に住む原告であっても許容限度をはるかに超える被曝の恐れがあると指摘。住民の健康が侵される具体的な危険は受忍限度を超えると結論づけた。
さらに判決は、国の定めた耐震設計審査指針についても、前提となる計算方法が古くなり実際の観測結果と食い違う例があることなどを挙げ、「合理性に疑問を抱かざるを得ない」と述べた。
ABWRの危険性については「原告の立証が不十分である」などとして認めなかった。
原告側は、東北電力女川(おながわ)原発(宮城県女川町、石巻市)で、昨年8月の宮城県沖地震が設計の範囲内の規模だったのに、敷地内の一部で限界を超す揺れを記録した──などと指摘。「20年以上前の耐震設計審査指針は時代遅れで、地震を過小評価している。2号機を含む日本の原発は現実の地震に耐えられない」と主張した。
これに対し北電側は、邑知潟断層帯には活動度の低い断層もあり、一連のものとして評価する必要はなく、仮に調査委の評価通りの地震が起きたとしても、原発の揺れは限界を下回る▽女川原発の1〜3号機は設計通り自動停止しており、環境への放射能の影響はない。設備の健全性も損なわれていない──などと反論。宮城県沖地震の発生が志賀原発の耐震安全性に影響を与えるものではないとしていた。(朝日新聞 2006/03/24)

原発で?異常サクラ 周辺部発見率2.3倍 全国調査で9地域
お花見シーズンが到来した。宴の会場の一角で、花を丹念に見比べている一群がいたら「サクラ調査ネットワーク」の人たちかもしれない。一昨年から原発がサクラにもたらす影響を調べてきた。その結果は酔い覚ましになりそうだが−。

今月下旬から、原発をめぐる状況は騒がしい。24日には、金沢地裁が耐震性に不安があるとして、北陸電力志賀原発2号機の運転差し止めを求める住民側の主張を認めた。
一方で、26日には佐賀県が、九州電力玄界原発3号機での全国初のプルサーマル発電計画の受け入れを決定。さらに青森県六ケ所村の再処理工場では、今月中にもプルトニウム抽出の試運転が始まりそうだ。
そんな中、ことしもサクラ調査の季節を迎えた。そもそも、この調査はどう始まったのか。同ネットワークの世話人で原子力・環境問題のNPO(民間非営利団体)「たんぽぽ舎」の柳田真さんはこう紹介する。
「2003年に中部電力浜岡原発(静岡県)を見学するツアーで、浜岡町役場周辺のカンツバキの雄しべが軒並み、花弁になっているのを見つけて驚いた。こうした自然の異変が各地の原発周辺部で起きていないか、調べてみようと」
対象には日本全国に分布し、突然変異が少なく、かつ素人でも調べやすいソメイヨシノが選ばれた。花見のついでに短時間でできるという利点もあった。
調査は比較のために原発周辺と都市部双方で実施した。1回目の04年は37ヵ所で、延べ80人が参加。昨年は47ヵ所で140人が加わった。
結果はどうだったのか。昨年の場合、全国9地域の原発周辺部で観察した約7万5000の花のうち、1.96%の花に通常より小さな花びらや、枚数が4枚、7枚であるといった違いが見つかった。一方、原発から遠い都市部では約5万9000の花のうち、異常が見つかった割合は0.86%。双方に2.3倍の格差があった。
ただ、原発とは遠い地域でも、自動車の通行量が多い道の脇や農薬を散布したとみられる土地では花の異常が多く見つかった。このため、原発とサクラの異常の因果関係について、同ネットワークでは「科学的にはまだ特定できていない」とあくまで慎重だ。
とはいえ、この調査に携わる埼玉大の市川定夫名誉教授(遺伝学)は「昔からソメイヨシノに異常花が見つかることはあったが、この2.3倍という数字は明らかに異変の発生を示している」と指摘している。
ちなみに、全国の電力会社でつくる電気事業連合会の広報担当者は「調査方法のみならず、その調査自体を知らないのでコメントのしようがない」と話した。
現段階では原発によって異変が起きているかもしれないという推測の域を出ていないが、慶応大の藤田祐幸助教授(環境論)は「だから安全と考えることは早計だ」と主張する。
「この異常花率のデータは、遺伝子情報が人工放射線により損傷を受けている可能性を示唆している。リスクが立証できないのでリスクがないという考え方がある一方で、危険性がある以上、警戒すべきだという予防原則もある。水俣病も科学的立証までに長い時間を要したが、その間に被害者は次々と増えていった」
前出の柳田さんも「科学的調査というと専門家の世界と考えがちだが、市民自ら手がけることが大切だ」と話す。(中日新聞 2006/03/28)

試運転で放射性物質放出を確認
六ケ所再処理工場の最終的な試運転(アクティブ試験)で1日から使用済み核燃料の切断・溶解作業が始まったことに伴い、日本原燃は同日、工場の主排気筒からクリプトン85などの放射性物質が大気中に放出され始めたことを確認した。原燃は「放射線量等は想定の範囲内で、周辺住民の健康に影響はない」としている。
原燃のホームページの資料などによると、主排気筒に設置しているガスモニターの観測で、クリプトン85などから出る放射線が数十cpm確認されている。同社広報によるとcpmは放射性物質が出す1分当たりの放射線数で、同社が設定した管理値8万1000cpmに比べ十分低い値という。(東奥日報 2006/04/02)

プルトニウム含む水漏れる 核燃再処理工場
日本原燃は12日、試運転(アクティブ試験)中の青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場内にある前処理建屋の小部屋内で、プルトニウムなどの放射性物質を含む水約40リットルが11日未明に漏れたと発表した。
日本原燃によると、小部屋は厚いコンクリートで密閉されているため外部への放射線の影響はない。3月31日の試運転開始以来、初めてのトラブル。試運転スケジュールの変更はないとしているが、青森県は「大事には至らなかったが、県民に不安を抱かせないよう慎重にやってほしい」としている。
青森県、六ケ所村との間で取り決めた「トラブル対応要領」の「放射線管理区域内での放射性液体の軽度な漏えい」に当たるとして原燃は12日午後に発表した。(共同通信 2006/04/12)

英議会が原発反対の報告書 安全性など問題が未解決
【ロンドン16日共同】英議会は16日、原子力発電推進に反対する報告書をまとめた。温室効果ガス削減や北海原油の枯渇対策のため原発推進に事実上政策を転換しているブレア政権には逆風になりそうだ。
報告書は原発について安全性や廃棄物処理、対テロ対策などの問題が解決されていないと指摘。今後のエネルギー需要を安定的に満たす手段としては、ガス発電所の増設や、風力など再生可能エネルギーの利用が有効としている。(共同通信 2006/04/16)

チェルノブイリ事故:子どもの免疫力低下 健康被害報告会
【モスクワ杉尾直哉】旧ソ連・ウクライナのチェルノブイリ原発事故20年を前に、子どもたちが受けた健康被害を考える研究報告会が17日、モスクワで開かれた。主催者のロシア連邦小児放射線防護臨床研究センターのバーレワ所長は、放射能で汚染されたロシア南部の子どもたちの間で、内分泌系の障害が急激に増え、免疫機能の低下が広く見られることを明らかにした。
同所長によると、02年の内分泌系の障害の発生率は、ブリャンスク州など被災地に住む子どもの間では人口10万人当たり2万1831人で、ロシアの全国平均の約5倍だった。またこの数値は、初めて調査が行われた00年の約2倍だった。バーレワ所長は「子どもたちが母親の胎内で被ばくし、遺伝子が不安定になっている可能性がある」と指摘、低線量の被ばくが人間の遺伝子に与える影響を研究すべきだと主張した。
日本からただ一人参加した「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークの吉田由布子事務局長は、低線量被ばくが女性の生殖機能や胎児に与える影響に焦点を当てた調査を行うべきだと訴えた。
一方、ウクライナ放射線医療研究センターのステパノワ氏は、04年にウクライナで新たに甲状腺がんにかかった子どもは過去最高の374人で、増加傾向が依然続いていると報告した。(毎日新聞 2006/04/17)

被ばく隊長のデータ公表へ リンパ球4割に異常
旧ソ連ウクライナ共和国で1986年に起きたチェルノブイリ原発事故で、消防隊長として消火活動中に被ばく、2004年に死亡したレオニード・テリャトニコフさんの血液を検査し、リンパ球の4割で染色体異常があったとの結果が公開されないまま、広島市の放射線影響研究所(放影研)に保存されていたことが18日、分かった。
放影研は疫学調査を目的としているため、個人データの公表を控えていたが、分析した当時の遺伝学部長、阿波章夫さん(72)=同市佐伯区=がテリャトニコフさんの死を知り、放射線の恐ろしさを伝えようと公開を決意した。事故から20年を機に、近く論文として発表される。
テリャトニコフさんは、事故から3年半後の89年10月、講演のため広島を訪れた際、原爆被爆者の健康調査をしている放影研の存在を知り、血液検査を頼んだ。講演では「毛が抜けだし、手に赤い斑点ができ、20日間近く苦しんだ」と急性症状について語った。
血液リンパ球200個を調べた結果、染色体の一部が切れて別の染色体にくっつく「転座」などの異常が約40%の細胞で見つかった。
阿波さんは、この結果から被ばく線量を少なくとも4グレイとみている。広島原爆の爆心地から900メートル〜1キロに相当し、被ばくから60日以内に約半数の人が亡くなる線量という。
テリャトニコフさんは04年12月、がんのため53歳で死去した。
阿波さんは今年3月、染色体の顕微鏡写真に手紙を添え、共同通信の記者を通じてウクライナの首都キエフに住む妻ラリーサさん(58)に届けた。ラリーサさんは、夫の写真の裏に阿波さんへの感謝の言葉を書き記者に託した。
科学誌に投稿するため、データの精査を進めている阿波さんは「遺族にも伝えることができ重荷を下ろせた。論文は人生最後の大仕事のつもりで書きたい」と話している。(共同通信 2006/04/18)

チェルノブイリのがん死者9万人…グリーンピース発表
【ジュネーブ=渡辺覚】国際環境保護団体グリーンピースは18日、今月26日に発生20年となるチェルノブイリ原発事故に起因するがん死者数は、9万人に達するとの報告書を発表した。
ベラルーシの国家統計などをもとに、周辺国の科学者ら52人の協力を得て作成した報告書は、原発事故によってがんを発症した患者数が、ウクライナとベラルーシで約27万人に達し、うち9万3000人はがんが原因で死亡する恐れが高いと予測している。
報告書はまた、事故の影響を受けて、がんのほか呼吸器障害、精神疾患などにより、ロシアだけで過去15年間に6万人が死亡したと推計。ウクライナとベラルーシを含めると、死者数は14万人にも達するとしている。
チェルノブイリ原発事故をめぐっては、国際原子力機関(IAEA)や周辺3か国が参加したチェルノブイリ・フォーラムが昨年9月、事故によるガン死者数は4000人に達するとの予測を公表。
一方で世界保健機関(WHO)は今月13日、事故によるがん死者数は、9000人にのぼる可能性があるとの報告書を公表している。(読売新聞 2006/04/18)

15年間で20万人死亡と推計 チェルノブイリで環境団体
国際環境保護団体グリーンピースのロシア支部は18日、今月26日に発生から20年を迎えるチェルノブイリ原発事故に関し、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの3カ国を合わせた死者数は過去15年間で推計20万人に上ると発表した。
国際原子力機関(IAEA)やロシア、ウクライナ政府などでつくる「チェルノブイリ・フォーラム」は昨年9月に直接の被ばくによる死者は最終的に4000人程度とする報告書を発表。世界保健機関(WHO)も今月、同事故に起因するがんでの死者数が最大で9000人に達すると推測しているが、今回の数字との開きが大きく、論議を呼びそうだ。
同支部は、全世界で今後、同事故に起因するがんで新たに9万3000人が死亡し、約27万人ががんを発症すると推計した。(共同)(産経新聞 2006/04/19)

放射能の影響、あと300年続く?=26日、チェルノブイリ事故20年
【モスクワ24日時事】史上最悪の原発事故となった1986年の旧ソ連ウクライナ共和国チェルノブイリ原発事故から26日で20年。ウクライナの首都キエフでは24日、国際会議「チェルノブイリ事故から20年」が3日間の日程で始まり、ユーシェンコ大統領らが出席した。世界各地で原発に絡む集会や会議が行われ、「チェルノブイリの今」が問われる。
被災者の治療に当たっているロシアのオニシェンコ衛生監督庁長官は24日、モスクワで記者会見し、「事故に伴う放射能の環境への否定的影響はあと300年続く」と予測した。危険な期間も50年継続するとみている。(時事通信 2006/04/25)

原子炉爆発直前に地震?=チェルノブイリ事故で新説−ロシア専門家
【モスクワ25日時事】20年前のウクライナ・チェルノブイリ原発事故で、炉心爆発の直前、小規模の地震が発生し、原発事故を誘発した可能性のあることが、ロシア地球物理学研究所のストラホフ前所長らの調査で分かった。ストラホフ氏が25日までに時事通信に語った。
原発4号炉は、原子炉停止後、炉内の蒸気で電力を供給する無謀な実験を行っていた最中に制御不能になったとされるが、同氏によれば、原発西方約100キロにある地質観測所が事故の15〜20秒前、チェルノブイリでマグニチュード(M)2規模の地震を測定していたデータがあるという。事故直前、貯水池の水が揺れ、職員が「地震だ」と叫んだことも記録されている。
ストラホフ氏は「地震の規模は小さいものの、直下型だった。旧ソ連の原発の大半は耐震構造が施されておらず、地震で制御棒が振動した後、爆発が起きたようだ。地震が炉心爆発を助長したのは間違いない」と述べた。(時事通信 2006/04/25)

再処理工場 漏洩検知容器から放射性物質
日本原燃は24日、六ケ所再処理工場の配管の漏洩(ろうえい)を調べるポット(容器)内から、微量の放射性物質が23日夕方に検出されたと発表した。原燃はポットの下流にある排水タンクから放射性物質が逆流した可能性が高いと見ている。
ただ、配管から漏れ出した可能性も否定できず、詳しい原因を調べている。工場外への放射能漏れはなく、実施中のアクティブ試験(試運転)に影響はないという。
原燃によると、23日午後5時50分ごろ、同工場の分離建屋と精製建屋をつなぐ配管10本のうち6本の漏洩を確認する漏洩検知ポットにたまっていた、500〜700ミリリットルの液体を分析。その結果、1ミリリットル当たり0.52ベクレルの放射性物質が検出された。
ポットには結露水などが1日最大で120ミリリットルほどたまり、前日は異常がなかったという。
配管は放射性物質を含んだ排水や薬品が断続的に流され、異常が確認されてからは送水をやめている。23日深夜の調査では、濃度の上昇は確認されなかったという。(朝日新聞 2006/04/25)

チェルノブイリ:子供たちへの支援続けるキューバ
原発事故から20年たった今も、キューバがチェルノブイリの子供たちの治療を無償で続けている。これまでに子供約1万8500人を含む約2万2000人が治療を受けた。ソ連が存在していた90年に始まった社会主義国キューバの支援事業だが、ソ連崩壊後も続けられ、ウクライナ政府からは最大の謝辞が送られている。(毎日新聞 2006/04/27)

チェルノブイリ:死者推計 IAEAなど専門家報告わい曲
26日で発生から20年となったチェルノブイリ原発事故で、国際原子力機関(IAEA)や世界保健機関(WHO)が昨年発表した「被ばくによる最終的な死者は4000人」という推計値は、発表の基礎資料となった専門家の報告書案には記載されていなかったことが分かった。報告書案で紹介された過去のデータをもとに、対象とする被ばく者を意図的に限定して推計、発表していた。日本の専門家からは、影響を小さく見せたいという政治的狙いがあったなどの批判も出ている。
報告書案をまとめたのは、IAEAやWHOなど8国際機関と3カ国で組織する「チェルノブイリ・フォーラム」。昨年9月にウィーンで国際会議を開き公表した。
IAEAなどは会議前日に報道発表文を配り、冒頭に「死者は4000人。100人以上の科学者の結論だ」と記した。IAEAが作成した要約版にも「4000人」は記載されていた。
しかし、実際の報告書案は「白血病やがんの死者が増えているが、被ばくとの関係を認定できるデータが足りない」と記すだけで、死者数は推計していなかった。
IAEAなどが発表した「4000人」は、国際がん研究機関(IARC)のカーディス博士らが96年に発表した推計を利用して導き出された。
カーディス博士らは、事故の影響で放射線を浴びた人を放射線量別に4グループに分け、それぞれのがん死者数を試算しており、合計は約9000人だった。
9000人から4000人に減らした理由について、フォーラムのバートン・ベネット議長は毎日新聞の取材に「カーディス博士の試算のうち、浴びた放射線が最も少ないグループは推計が不確かだと考え、残る3グループだけを対象にして計算した」と答えた。
WHOは今年4月、被ばく量の少ない人も含めた死者数を9000人とする報告書を発表した。
ウィーンの会議に参加した放射線影響協会の金子正人常務理事は「会議ではカーディス博士が、4000人と9000人の2つの数字を紹介していた。IAEAが4000人だけを発表したのは、政治的意図からだろう」と話す。【中村牧生】(毎日新聞 2006/04/27)

原発事故「1日半知らなかった」…ゴルバチョフ氏
【ウィーン=石黒穣】ソ連共産党書記長だったゴルバチョフ氏は、26日付オーストリア・スタンダード紙などに寄稿し、チェルノブイリ原発事故発生を受け、政治局で対応を協議したが、「1日半、我々自身もなにも情報がなかった。それが大惨事であるということは数日たってからようやくわかった」と述べ、ソ連指導部が情報の隠蔽(いんぺい)工作を図ったという疑惑を否定した。
また、事故をきっかけに、「表現の自由の可能性が広がり、体制がもはや維持できなくなった」と指摘。「(事故が)5年後のソ連邦崩壊の真の原因になった」との見解を示した。(読売新聞 2006/04/27)

英政府、核燃料再処理工場を放射性溶液漏れで提訴
英国の核燃料再処理工場「ソープ」で05年4月に発覚した放射性溶液漏れ事故をめぐり、英政府は3日、安全確保や作業手順の順守を求める免許条件に違反があったとして、同工場を運転する「英国原子力グループ」(BNG)を地方裁判所に告発した。
告発したのは、労働環境などを監視・監督する安全衛生庁(HSE)。事故による外部への放射能漏れはなかったものの、配管の破損による溶液の流出が最大9カ月間にわたって見過ごされていたとされる。HSEは、事後対応のまずさや、作業の管理に問題があったとみており、有罪が確定すれば罰金が科される見通しだ。
BNGは政府系企業で、燃料加工や原発の廃止措置なども手がける。日本の電力各社が大口顧客で、日本の原発への信頼にも響きそうだ。 (朝日新聞 2006/05/05)

金属くずから放射性物質 医療用か、人体影響なし
札幌市は10日、市内の廃棄物処理業者が金属処理業者に搬入しようとした金属くずから、医療などで使用される放射性同位元素のラジウム226が見つかったと発表した。検出された放射線量は微量で、周辺の環境や人体への影響はないという。
市環境局によると、廃棄物処理業者が4月21日に金属くずを搬入しようとした際、検知器で放射線量を測定。その結果、放射線が検出された。金属くずの中からは直径1・5−3ミリ、高さ22ミリの円柱形の物質2個が見つかった。
東京の専門機関に運んで分析した結果、ラジウム226と分かった。ラジウム226は医療や研究などに使われることが多いという。
市はラジウムが廃棄された経緯を調べている。(共同通信 2006/05/10)

動燃把握時期も虚偽発表か もんじゅ事故ビデオ隠し
旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)が1995年のもんじゅナトリウム漏れ事故後、現場のビデオを隠した問題をめぐり、自殺した総務部次長の妻らが同機構に損害賠償を求めた訴訟の証人尋問が15日、東京地裁(山崎勉裁判長)であり、当時の広報室長が出廷した。
旧動燃幹部が本社にビデオがあることを把握した時期について、当時の理事長は96年1月12日の記者会見で「1月10日」と述べたが、広報室長は「前年の12月25日ごろには、副理事長が報告を受けていた」と証言した。
旧動燃は当時、事故後の現場立ち入り時刻の虚偽報告やビデオ隠しなどが相次いで発覚、隠ぺい体質を批判されていた。(朝日新聞 2006/05/15)

核燃再処理工場で薬液漏れ プルトニウム精製を停止
日本原燃は18日、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の精製建屋にある薬液を分配する部屋で、放射性物質を含む薬液約7リットルが漏れたため、プルトニウム精製作業を停止したと発表した。環境への影響や、作業員の被ばくはないという。
日本原燃によると、漏れたのは有機溶媒に溶け込んだプルトニウムを純粋に取り出すための薬液で、漏れた約7リットルには、ウランが約150グラム含まれている。日本原燃は「原因究明中で、作業の再開時期は未定」としている。(共同通信 2006/05/18)

六ケ所村の核燃再処理工場:事故想定し食品調査「汚染されれば安全性最優先」 /青森
◇関西の脱原発団体、事故想定し食品調査
関西圏を中心に脱原発運動を展開する「グリーン・アクション」(京都市)と「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」(大阪市)はこのほど、六ケ所村の核燃料再処理工場で事故があった場合、青森、岩手両県産の食品をどのように取り扱うかを聞いたアンケート調査の結果を発表した。
調査は今年3月、関西の大手スーパー20社を対象に郵送方式などで実施。17社から回答があった。
17社のうち、具体的な回答をしたのは8社で、内容は「(食品が汚染された場合は)安全性を最優先に対応する」「両県の商品に対する購買低下はない」などだった。残る9社は「(再処理のことを)勉強していない」などとして具体的な回答を避けた。
県総合販売戦略課は「工場ではトラブルも起きていない。県産食品の安全性には絶対の自信を持っている」と話している。【村松洋】(毎日新聞 2006/05/20)

高レベル放射性廃棄物:地層処分、安全性に懸念 放射能、1000年後地上に
◇地震、隆起で甚大な被害も
日本原燃(青森県六ケ所村)の使用済み核燃料再処理工場が実質稼働したことから、来年にもウランやプルトニウムとともに、高レベル放射性廃棄物である「ガラス固化体」が大量に生み出される。強い放射能と熱を出す核分裂生成物(死の灰)をステンレス容器に詰めたもので、地中深く埋める地層処分が計画されている。しかし、1000年後とはいえ将来的には放射能が地上にしみ出す可能性があり、環境への影響を懸念する声も出ている。【中村牧生】

■地下に10万年

ガラス固化体に人が近づけば数秒で致死量の放射線を浴びる。このため10万年以上は人から遠ざける必要がある。
地層処分はガラス固化体を深さ300メートル以上の地下に埋め、10万年以上にわたって岩盤が放射能を閉じ込めてくれることを期待する方法だ。
六ケ所村の再処理工場が本格操業すると、ガラス固化体は年間で約1000本、40年間で約4万本が作られる予定。これとは別に日本が再処理を委託した英仏からの返還分2200本もある。
核燃料サイクル開発機構(現・日本原子力研究開発機構)が「地層処分は技術的信頼性がある」と報告したのを受け、国は00年に法律を整備して実施を決定。国の認可で設立された「原子力発電環境整備機構」が実施を目指し、全国から処分候補地を公募している。
再処理工場からアメリシウムなど超ウラン元素(TRU)を含む放射性廃棄物もドラム缶で年間8800本出るが、これもガラス固化体と一緒に「併置処分」する検討が進んでいる。

■水溶性物質も

ガラス固化体は30?50年は地上で貯蔵し、放射能と崩壊熱の減少を待ってから地中に埋める。地中では周囲を金属製の壁(オーバーパック、厚さ約19センチ)と粘土(同約70センチ)で二重に囲む。この「人工バリア」に加え、安定した地質という「天然バリア」で、放射能を長い間、人の生活環境から隔離する。
オーバーパックの耐用年数は1000年程度で、それ以降は地下水が浸透して放射能の一部が地上に到達することが予想される。それでも原研機構・地層処分研究開発部門の梅木博之・研究主席は「地上にしみ出す放射能のピークは80万年後と予測され、レベルも自然界の放射線の100分の1以下。TRU廃棄物も数百メートル離しておけば併置処分しても問題にならない」と話す。
しかし、報告書を詳細に検討した神奈川工科大の藤村陽・助教授(物理化学)は「非常に極端な場合として、1000年以前に地震が直撃してオーバーパックが割れ、その断層を地下水が上昇して放射性物質が地上に漏れる可能性を考える必要がある。またTRU廃棄物にはヨウ素129など水溶性の放射性物質が含まれ、地上への影響はガラス固化体より大きい。甘く見ない方がいい」と指摘する。

■場所選定難しく

さらに地震などで地層が隆起し、万が一にも地上にガラス固化体やTRU廃棄物が出てきたら被害は甚大となる。このため処分場は10万年間で300メートル以上隆起しないことが選定条件とされるが、地震学者からは「10万年間も安定な地層は日本のどこかにあるかもしれないが、事前の調査で選定するのは無理」との意見もある。
地層処分の場所が決まり、埋め立てが開始されるのは早くても60年ごろとされる。候補地の立候補受け付けは02年末から始まっているが、いまだに手を挙げた自治体はない。(毎日新聞 2006/05/22)

六ケ所再処理は「悪いモデル」 核専門家の団体安全保障で懸念
【ニューヨーク24日共同】世界の核専門家でつくる民間団体「核分裂性物質に関する国際委員会」は24日、ニューヨークで会見し、六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場が3月、核兵器の原料となるプルトニウムを抽出する試運転に乗り出したのは、核問題を抱えるイランなど「他国の悪いモデル」と批判した。
来年夏の操業を目指す同工場は非核保有国初の商業規模の再処理施設で、1年間に核兵器1000個分に当たる8トンのプルトニウム抽出能力がある。
今年1月に発足した同委は夏にまとめる初の年次報告で、同工場の再処理事業への「懸念」を表明するという。同委の共同議長の1人で、クリントン政権で核政策を担当したフランク・フォン・ヒッペル米プリンストン大教授は「日本は現在、(使用済み核燃料から)プルトニウムを(商業規模で)分離している唯一の非核国で、再処理事業は安全保障上のリスクをもたらしている」と述べた。(東奥日報 2006/05/25)

男性作業員が体内被ばく 六ケ所村の再処理工場
日本原燃(青森県六ケ所村)は25日、六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で、プルトニウムを含んだ試料の分析作業をしていた30代の男性作業員が、微量の放射性物質を吸い込み体内被ばくしていたことが分かったと発表した。
同再処理工場で体内被ばく事故が起きたのは初めて。作業員に健康上の影響はないという。同社が原因や放射性物質の種類などを調査している。
日本原燃によると、作業員は19日から20日かけて、再処理工場の分析建屋で「グローブボックス」と「フード」と呼ばれる装置を使って作業。22日に作業服の洗濯の際に汚染を調べたところ、右胸の部分が汚染されていた。(共同)(東京新聞 2006/05/25)

再処理工場の作業員また被ばく
日本原燃は24日、六ケ所再処理工場の分析建屋で試料の分析作業をしていた協力会社の男性作業員(19)が体内被ばくした可能性が強い、と発表した。作業員は同社の診療所で血液検査などを受け、健康に異常がないことが確認された。分析室の床にも汚染が見つかったが、もう1人いた作業員には被ばくはなかった。周辺環境への影響もないという。再処理工場での体内被ばくは、5月中旬に次いで2人目。
被ばく線量を評価するには、排せつ物を調べる必要があるため1週間程度かかるが、記録に残す必要のある2ミリシーベルト以上(預託実効線量)になる恐れもあるという。2ミリシーベルトは、胸部レントゲン撮影による被ばく線量の約40回分に当たる。5ミリシーベルト以上だと国への報告が法令で義務付けられている。
預託実効線量は、体内摂取した放射性物質から50年間に受ける影響を示す尺度。
男性は分析建屋で、放射性溶液を焼き固めた分析皿をビニール袋から取り出し、ピンセットで計測装置に移す作業をしていた。同日正午ごろ、分析室を出る際に放射線を測定したところ、手と足が汚染されていたことが分かった。鼻の穴の内側に綿棒をこすりつける方法で検査、プルトニウムなどアルファ線を放出する放射性物質が0.7ベクレル検出された。
日本原燃は今回のトラブルを受け、分析建屋での作業を一時中断した。
5月中旬に発生した体内被ばく以降、「フード」と呼ばれる非密閉式の箱型装置を使って作業する際は当面、マスクを着用するよう義務付けていた。今回はフード作業ではなく、放射性物質が飛散する可能性も小さいとして、マスクは着用していなかった。
原燃から連絡を受けた県と六ケ所村は同日午後、職員を再処理工場に派遣し、建屋内の作業管理状況などを確認した。
作業員がマスクを着けていなかったことについて、県原子力安全対策課は「どういう作業をしていたのか確認しなければならないが、今後はその作業でもマスク着用を求めることになるだろう」と話している。
経済産業省原子力安全・保安院は「被ばく線量が評価できていないため、明確なことは言えない」としているが、今後、原因の究明や防止対策の策定を原燃に求める。保安院は「前回の反省が生かされているかどうかや、再発防止策が機能したかどうかも確かめたい」としている。(東奥日報 2006/06/24)

設計ミスで遮へい能力不足 核燃料容器の設置中止
日本原子力発電は3日、東芝が設計、製造し東海第2原発(茨城県東海村)に設置予定だった使用済み核燃料乾式貯蔵容器4基で設計ミスがあり、基準で定めた放射線を遮る能力を満たさないことが判明、設置を取りやめると発表した。
日本原電によると、容器から1メートル離れた場所で放射線の量は毎時100マイクロシーベルト以下でなければならないが、4基では計算上、最大毎時117マイクロシーベルトになった。東芝の担当者が遮へい設計に用いる係数などを誤って入力。社内ルールで定められた設計者や第三者によるチェックが行われず、日本原電も確認していなかった。
東芝が設計を再確認しミスが判明した。(共同通信 2006/07/03)

「被ばく皆無は不可能」と原技協
「再処理をする限り、内部(体内)被ばくは起こる。お百姓さんをやっていて泥が付かないわけがないのと同じ」−。六ケ所再処理工場の安全管理体制の評価結果を三村申吾知事に伝えるため、4日、県庁を訪れた石川迪夫・日本原子力技術協会理事長がこんな例えを持ち出し、三村知事にくぎを刺される一幕があった。
懇談の中で石川理事長は、同工場で体内被ばくと体内被ばくと疑われるトラブルが続いたことについて、「被ばくが2度あったので心配した」としながらも、「原因が違っていたので安心した」と語り、日本原燃の取り組み姿勢を評価。「体内被ばくを皆無にすることは、不可能だ」とも語った。
石川理事長の発言に三村知事は驚いた様子で、「体内被ばくをなくするため最大限の努力をしてほしい、と言っている。努力を尽くさずして『あり得る』ということでは困る」と指摘した。
また石川理事長は、県が日本原燃に強く要請した半面マスクの着用についても、「マスクを着けて長く作業を続けていると(息苦しいため)注意力が散漫になる。必要でない区域では適宜外した方が安全だ」と語り、逆効果になりかねない−との見方を示した。
日本原子力技術協会は日本原燃の要請を受け、5月の体内被ばく発生後の6月7、8日と今月3、4日に工場を調査。改善事項などを盛った報告書を来週、提出する。
同協会は、原子力事業者やメーカーなどの品質保証活動を第三者的立場から評価する新法人。三村知事の意向などを受け、昨春発足した。(東奥日報 2006/07/05)

福島第1原発:放射性物質漏れ...トリチウム 東電が発表
東京電力は6日、福島第1原発4号機(福島県大熊町)から放射性物質トリチウムを含む排水が外部に漏れ出した可能性が高い、と発表した。残った排水のトリチウム濃度は自然界の約26万倍で、実際に漏れた量は今後調査する。
東電によると、原子炉建屋内にある暖房用ボイラーや機器冷却・洗浄用に使われる純水の配管内の水量計が異常を察知したため点検して分かった。通常閉まっている弁が開き、トリチウムを含んだ排水約5万リットルが純水に混じっていた。純水は配管を通して太平洋に排出されており、排水の一部が太平洋に漏れ出した可能性が高いという。【坂本昌信】(毎日新聞 2006/08/06)

トリチウムの放出見落とす  福島原発
運転中の福島第1原発4号機(福島県大熊町)で原発の運転に使う純水に放射性物質トリチウムを含む復水が混入した問題で、東京電力は11日、配管経路の把握ミスで、トリチウムを含んだ蒸気が同日まで大気中に放出され続けていたと発表した。
東電は問題が発覚した5日に対策を取り、放出は止まったと判断したが、見落としや勘違いで外部に放出が続いた。福島県は11日、東電側に対応の不備を指摘。東電の危機対策の在り方が問題となりそうだ。
混入した7月30日から8月11日までに発電所外に放出されたトリチウムは470億ベクレル。住民が受ける放射線量は、最大で年間の線量限度の約350万分の1と微量のため周辺環境や人体への影響はないという。(共同)(東京新聞 2006/08/11)

コバルト60:新潟・柏崎刈羽原発近くの海底から微量検出
東京電力は22日、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)近くの海底土の中から、自然界に存在しない放射性物質・コバルト60が微量検出されたと発表した。原発内で生成された物質の可能性が高いという。環境放射線モニタリングの補完目的で、同社が7月、自主調査を実施したところ、蒸気の冷却用海水の取水口付近の土に、放射能量1.6ベクレル(放射線量0.00004ミリシーベルト)のコバルト60が含まれていた。同社は、法令の線量限度が年間1ミリシーベルトで、周辺環境への影響はないとしている。(毎日新聞 2006/08/23)

原発耐震指針:現行指針ほぼ踏襲 委員、抗議の辞任
原発の耐震設計審査指針の見直しを進めてきた原子力安全委員会・耐震指針検討分科会は28日、改定案を最終決定した。想定する地震の大きさを一部引き上げるほかは、現指針をほぼ踏襲した内容。これに対し、委員の石橋克彦・神戸大教授(地震学)が「原発の耐震性を保障できない」と辞任を表明し退席、地震の専門家の納得を得られないまま耐震指針が決まる異例の事態になった。
78年の制定以来初の見直しで、9月中にも同委員会で決定される。
見直しは、活断層が見つかっていない場所で、00年にマグニチュード(M)7.3の鳥取県西部地震が起きたことがきっかけ。現指針が想定を求めた直下型地震はM6.5にとどまるためだ。
改定案では、想定する直下型地震をM6.8程度に引き上げる。ところが、広島工業大の中田高教授(地形学)らの調査で今年6月、島根原発南側の宍道断層でM7級の地震が起きる恐れがあることが判明。中国電力の調査では把握できていなかったことから、石橋教授は「指針の不十分さが分かった。明確な断層が地表に表れなかった過去の地震(M7程度)を想定対象にすべきだ」と主張していた。
石橋教授は「活断層を見逃していた宍道断層の問題から目をそらそうとする姿勢が問題だ」と話している。【鯨岡秀紀、中村牧生】(毎日新聞 2006/08/29)

原発耐震指針:問題点素通りに不信感
原発の耐震指針見直しを巡り、神戸大の石橋克彦教授が原子力安全委員会・耐震指針検討分科会の委員辞任を表明した背景には、問題点が残っていることを知りながら、「議論の蒸し返しはしない」などとして幕引きを急いだ同委員会や分科会への強い不信がある。
同分科会は01年7月から見直し審議を進め、今年4月に改定原案を決めた。一般からの意見募集を経て正式決定する予定だったが、6月に島根原発近くで活断層が見逃されていたことが判明し、指針や改定案の不十分さが浮かんだ。
一般からは異例の726通もの意見が寄せられ、見直しを求める意見が多数を占めた。特に、中田高・広島工業大教授ら活断層研究の専門家から「指針に基づいて決められた活断層調査の基準は不十分。過小評価につながる恐れがある」と指摘され、活断層の扱いが大きな焦点となった。
実際、毎日新聞が原発周辺の17断層について、電力会社の調査と国の調査を比較したところ、15断層で電力会社の方が活断層で想定される地震の大きさを過小評価していたことが判明。その評価に基づいて原発が建設されていた。
石橋教授は、中田教授らの意見を基に修正を求めた。しかし、今月22日の分科会で、鈴木篤之・原子力安全委員長が「修正はできれば必要最小限にしていただきたい」と要望。委員に対する圧力ともとれる発言で、議論に終止符が打たれた。
専門家に異論が残ったまま決められた耐震指針の改定案。一般からの多数の意見もほとんど反映されていない。原発の耐震性に不安を抱く人も少なくない中、国民の原発への信頼性を高めることにつながるとは思えない。【鯨岡秀紀、中村牧生】(毎日新聞 2006/08/29)

プルトニウム:日本保有量が史上最多 原爆4410発分に
日本が05年末時点で国内外の原子力施設に保有しているプルトニウムは約44.1トンに上ることが5日、分かった。昨年に引き続き史上最多を更新した。
経済産業省と文部科学省が同日午前、国の原子力委員会に報告した。それによると、保有量は04年末に比べ約1.0トン増えた。内訳は英仏の再処理工場で保管中が約37.9トン。独立行政法人の日本原子力研究開発機構東海再処理工場(茨城県東海村)で抽出したものや、高速増殖炉「もんじゅ」などの燃料用として保管されている国内分が約6.2トンだった。
保有総量は原子爆弾なら約4410発が製造できる量に相当する。
国内外からプルトニウムをため続けることに批判が強いが、プルトニウムの使用を目指していた高速増殖炉は実用化が50年ごろとされるものの正確な見通しは立っていない状況。国は当面、通常の原発で燃やすプルサーマルを推進する方針で、電力各社は10年度までに国内の16〜18基の原発で実施する計画だが、現在は九州電力玄海原発だけが地元の同意を得たのみ。
さらに今年中には稼働したばかりの使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)からもプルトニウムが生産される予定で、プルトニウムの保有量は当面、増え続ける状況にある。【中村牧生】(毎日新聞 2006/09/05)

福島第1原発4号機・トリチウム放出 原因は弁誤操作
東京電力は15日、福島第1原発4号機(福島県大熊町)の純水補給水系に復水系の水が流入し、放射性物質トリチウムが外部に放出された問題で、両系統をつなぐ配管の弁が十分に閉まっていなかったのと、配管にある逆流防止弁の不具合が重なったのが原因だと推定される、と発表した。
東電によると、7月28日のフィルター洗浄作業後の弁操作で、本来閉めるべき弁ではなく、隣接する弁を閉める誤りがあり、その際の閉め方も不十分だったとみられる。逆流防止弁も弁座の接触具合が十分でなく漏れが発生、逆流を防げなかったらしい。
東電は再発防止策として、復水が流入する経路となった配管を純水補給水系から切り離すことを決定。弁の誤操作については、洗浄作業についての同社の手引きの記載などが不十分だったためとみて改善する。
東電は、トリチウムの放出量については周辺環境への影響はないレベルだったと説明している。
トリチウム放出をめぐっては、確認時の経路の見落としで対策後も数日間放出が続くミスも発生した。東電は図面を使って全経路の確認を徹底するなどの対策も示した。(河北新報 2006/09/16)

核のごみ最終処分場、滋賀県余呉町が誘致に名乗り
原発の使用済み核燃料の再処理過程で出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、滋賀県余呉町の畑野佐久郎町長は20日の町議会で、原子力発電環境整備機構の公募に応じる意向を明らかにした。観光資源として期待した近畿最大級の丹生ダム建設のメドが立たず、深刻な財政難を立て直すためには、多額の電源立地交付金が見込める処分場を誘致するしかないと判断した。
これまで公募に応じた自治体はないが、高知県東洋町、同津野町、長崎県新上五島町などでも誘致の動きがある。滋賀県の嘉田由紀子知事は「近畿1400万人の水源県に、多くの人が不安に思う処分場はふさわしくない」と反対の意向を表明しており、誘致が実現するかは不透明だ。
余呉町は福井県境の山あいにあり、人口約4000人。65歳以上が3割を超える。一般会計予算は今年度26億円余りで、10年前より10億円以上減り、07年度は赤字に陥る見通し。
処分場の候補地となれば、文献調査(2年程度)の段階で年2億1000万円、概要調査(4年程度)では計70億円近い電源立地交付金が国から支払われることから、余呉町は以前にも処分場の誘致を検討。県の反対から、昨年10月、いったんは断念を表明したが、7月の知事選後、畑野町長が高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設がある青森県六ケ所村を視察するなど誘致を再検討していた。(朝日新聞 2006/09/20)

浜岡原発3号機、放射性物質含む水が海に漏えい
中部電力は25日、浜岡原発3号機(静岡県御前崎市)で、タービン建屋から放射性物質のトリチウムを含む水が海に漏えいしたと発表した。
漏れた水の量は約7トンだが、放射能の量は原子炉施設保安規定で定める年間放出管理目標値の約600万分の1と微量で、自然や人体などへの影響は無いという。
同社によると、23日午後3時40分ごろ、建屋から海に排出される使用済み海水を監視する計器が放射能を検知。
調査の結果、同日午後から実施のポンプ逆流防止弁の漏えい確認検査で、作業員が通常の水を使うところを、原発運転の際に繰り返し使われた水を再生した「補給水」を誤って使っていたことが判明した。(読売新聞 2006/09/26)

都道府県反対なら進めない 原発ごみ処分場で経産省
原発の使用済み核燃料を再処理して出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、経済産業省は28日、市町村が応募しても都道府県が反対する場合は進めない方針を強調した。
応募を検討している高知県東洋町が開いた町内の各種団体への説明会で、同省の吉野恭司放射性廃棄物等対策室長が述べた。
橋本大二郎高知県知事は、在任中は最終処分場を受け入れないと表明しており、東洋町に隣接する徳島県海陽町の職員は「知事の意見は尊重されるのか」と質問。吉野室長は「(知事が)認めないという意見なら先には進めない」と答えた。
東洋町が応募する意思があるかを確認する質問も出たが、田嶋裕起町長は「反対意見も聞きながら、十分勉強した上で決断する」と述べた。
これまでも応募に関心を示す自治体はあったが、県の反対などで誘致に至っていない。滋賀県余呉町長は20日に誘致の意向を表明したが、知事は反対する考えを示している。(共同通信 2006/09/28)

微量の放射能を検出、米軍横須賀基地の海水から
文部科学省は27日、米原子力潜水艦「ホノルル」が寄港した米海軍横須賀基地の海水から、放射能をおびたコバルト58、60がわずかに検出されたと発表した。
原潜、原子力空母の国内寄港地の海水からコバルト58、60が検出されたのは、寄港地の放射能調査が始まった1964年以来初めて。同省は外務省に連絡し、外務省は米大使館に事実関係の調査を依頼した。
ホノルルは9月7日に入港し、14日に出港した。コバルト58、60が検出されたのは停泊場所の艦尾付近から出港直後に採取した海水。検出値は、コバルト58が原子力発電所の排出基準のほぼ100万分の1にあたる1リットルあたり2.1ミリ・ベクレル、同60がほぼ50万分の1の1リットルあたり1.2ミリ・ベクレルで、人体や環境への影響はないという。ほかの部分の海水からは検出されなかった。
文科省では原潜の原子炉や冷却水との関連を詳しく調べるため、さらに海底の土など分析を進めている。コバルト60はこれまでも、海底土からは検出されており、大気圏内核実験が原因と考えられている。(読売新聞 2006/09/28)

チェルノブイリ原発事故:放射性物質、菜の花で除去作戦──名古屋のNPO構想
◇菜の花で吸収し土壌浄化──ナロジチ地区
史上最悪のチェルノブイリ原発事故(86年)でまき散らされた放射性物質を菜の花に吸収させて除去する構想を、名古屋市のNPO法人「チェルノブイリ救援・中部」(市原佳代代表)が進めている。来春、ウクライナの放射能汚染地域で菜の花の栽培を始める予定で、バイオパワーを使った土壌浄化作戦の成果が注目される。
計画によると、原発の南西70キロに位置するナロジチ地区の農地10ヘクタールに菜の花の種10キロをまき、土壌に残るセシウム137などの放射性物資を根から吸収させる。菜の花は他の植物より吸収力が強いという。さらに菜種をディーゼル油や食用油に加工し、油かすや茎を発酵させてバイオガスを製造するなど有効活用することで、地域の経済活性化につなげたい考え。
原発に近いナロジチ地区の土壌に含まれる放射線値は通常の5〜10倍とされる。事故直後は立ち入りが禁止されたものの、現在は約1万300人が暮らしており、汚染された土壌に育つ野菜を摂取することで内部被ばくし、がんや白血病を発症する例が後を絶たない。同法人は同地区で医療支援を続けてきたが、「根本的な解決が必要」として、土壌浄化への取り組みを決めた。
同法人メンバーで、四日市大(三重県)非常勤講師の河田昌東さん(66)=環境科学専攻=によると、放射性物質は液体や気体に溶けないため、加工した菜種油やバイオガスには含まれないという。油やガスを取り終えた後に残る物質は、低レベル放射性廃棄物として埋設処分する。
河田さんは「当面は試行錯誤。浄化作用が確認されれば規模を拡大し、いずれはナロジチの大地を黄色い花で埋めたい」と話している。
計画には1000万円の費用が必要で、寄付を募っている。問い合わせは同法人(052・836・1073)。【浜名晋一】(毎日新聞 2006/11/05)

5人が放射性物質取り込み 東電柏崎刈羽原発
東京電力は9日、定期検査中の柏崎刈羽原発7号機(新潟県柏崎市、刈羽村)で、作業員5人が微量の放射性物質を体内に取り込んだと発表した。取り込みによる被ばくはわずかで、身体への影響はないとしている。
東電によると、原子炉圧力容器の上ぶた取り付け作業のため、6人がふたの上に下り、ボルトとナットの締め付けをしていた際、周辺の放射性物質濃度が上昇。その後マスクを着用させたが、作業後の計測で疑わしい数値が出たため全身を計測し、5人の体内取り込みが判明した。鼻腔をふき取る検査では、コバルトやマンガンなどの放射性物質が検出されたという。
本来は機械で行う作業だったが、途中で機械が故障したため作業員が直接手で締めることを決め、放射性物質の濃度を測った上で作業員が下りていた。
東電は、締め付け作業でナットの溝にたまっていた放射性物質が飛び散ったことなどが考えられるとして、作業の安全確認に手落ちがなかったか調べている。(共同通信 2006/11/09)

牛乳成分「ラクトフェリン」に放射線障害防ぐ効果
牛乳や人間の母乳に含まれる「ラクトフェリン」という成分に、放射線を浴びた際に起きる放射線障害を防ぐ効果があることを、放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)や石巻専修大(宮城県石巻市)などの研究チームが、マウスを使った実験で突き止めた。骨髄破壊に代表される放射線障害の予防や治療薬としての利用が期待できるという。
研究チームは、ラクトフェリンの効果を確認するため、50匹のマウスを25匹ずつの2群に分け、一方にだけラクトフェリンを0.1%含む飼料を1か月与えた。その上で、50匹すべてに半数が死に至る量のX線を照射したところ、ラクトフェリンを与えられなかった群は照射後30日での生存率が62%だったのに対し、与えられた群は85%が生存していた。
さらに、ラクトフェリンを与えなかった別のマウスに同量のX線を浴びせた上で、その直後にラクトフェリン4ミリ・グラムを含む食塩水(0.3ミリ・リットル)を腹部に注射する“緊急治療実験”を行ったところ、30日後の生存率は一気に90%まで伸びることが確認された。ラクトフェリンには、がんなどの原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用があるとされており、研究チームはこれが放射線障害を防ぐ際にも重要な働きをしているとみている。
放医研の西村義一・基盤技術センター長は「ラクトフェリンは安価で、被曝(ひばく)後に投与しても有効なことから、原子力産業の従事者などの危険低減に役立つだろう」と話している。(読売新聞 2006/11/28)

東京電力 排水温データを改ざん 柏崎刈羽原発
東京電力は30日、柏崎刈羽原発(新潟県)の冷却用海水の取水時と排水時の温度差の測定値を改ざんして、管理目標値(7度以内)に収まるようにしていた、と発表した。排水温は、定期検査など安全上の点検項目にはなっていないものの、周辺の漁業や海生生物に影響を与えないように管理を求められている。東電は、新潟県に対して不正に得られたデータを報告していた。
東電によると、取水口などに付着した貝殻の影響などで海水の流量が減り、排水の温度が上昇する傾向が続いたことから、1号機では94年から出口温度の平均値を0.3度引き下げるよう計測器の設定を変えた。4号機については02年から0.5度引き下げる不正をした。
改ざんは発電所幹部の了承を得て行われ、最近まで続いていた。今月15日に中国電力の火力発電所で温度差の改ざんが判明したことを受けて、東電が社内調査をして発覚した。02年夏の東電トラブル隠しで全社的に品質管理を見直した際にも、「定期検査の点検項目ではない」などの理由で見落とされたという。(朝日新聞 2006/11/30)

「会社員」実はメーカー社長
原発タウンミーティングでも「やらせ」
吉井議員が追及

政府の調査報告で問題なしとされた原子力タウンミーティングでも、身分を隠した原発推進側の発言が大勢を占め、露骨な世論誘導が行われていた―日本共産党の吉井英勝議員は21日の衆院内閣委員会でこうした事実を示し、タウンミーティングについてさらなる調査と全容の解明を求めました。
吉井氏がとりあげたのは2003年8月31日に福井市で開かれた「原子力との共生タウンミーティング」です。地元財界がつくる「福井県環境・エネルギー懇話会」と政府の共催でした。
吉井氏は「最初に発言した人物は会社員と名乗っているが、高速炉エンジニアリングという原発メーカーの社長だ」と暴露。ほかの発言者も1人をのぞき原発推進・賛成ばかりで、共催団体メンバーの経営団体役員だと明らかにしました。
内閣府の山本信一郎大臣官房官房長は「(発言者が)どういう経歴か関知していない」と無責任な答弁に終始しました。
吉井氏は「1回1000万円の税金を使った大規模な世論誘導というべきもの。国民の世論を聞くという看板と実態はまったく違った」と批判し、「共催団体による発言依頼や参加依頼も含めて抜本的な調査のやり直しをすべきだ」と迫り、資料の公開を求めました。(しんぶん赤旗 2006/12/22)

福島第1原発4号機でも冷却用海水の温度データ改ざん
原子力発電所で使う冷却用海水の温度データが改ざんされていた問題で、東京電力は10日、福島第1原発4号機でも改ざんがあったと発表した。
同2、6号機も不正操作の疑いが強く、引き続き調査している。
同1号機と柏崎刈羽原発(新潟県)1、4号機でも改ざんが判明しており、これで東電の全17基のうち、少なくとも4基でデータが操作されていたことになる。
福島第1原発4号機では、発電タービンを回した後の蒸気を冷却する海水の取水時と放水時の温度差が、設計時の想定である8.4度に収まるようにデータを操作し、地元の福島県に提出していた。改ざんは1984年度から97年度まで断続的に続いた可能性が高い。(読売新聞 2007/01/10)

東京電力:原発データ、199回改ざん 緊急冷却系故障隠し、規制法違反の疑い
東京電力は31日、同社の3原子力発電所で77〜02年に受けた国の検査のうち、延べ199回について、改ざんなどで虚偽のデータを報告していたと発表した。原子炉の安全上重要な「緊急炉心冷却装置」(ECCS)の故障を隠した例も含まれていた。このほか、川崎市の火力発電所でも延べ17回の改ざんがあった。報告を受けた原子力安全・保安院は故障隠しについて原子炉等規制法違反などの疑いもあるとみて、他の虚偽報告を含め調べると共に、同社に原因究明や再発防止策の策定を求める。
東電では、福島第1原発1号機で昨年暮れ、原発で使う海水の温度を改ざんし国に報告していたことが判明。保安院は、法定検査でのデータ改ざんの有無をすべての発電所で社内調査するよう、東電に指示していた。
東電を巡っては、02年に原発トラブル隠しや定期検査での偽装が明らかになり、再発防止と社内改革を進める中での改ざん再発覚となった。
調査の結果、同社の福島第1(福島県)▽福島第2(同)▽柏崎刈羽(新潟県)の3原発が77年から02年までに受けた、延べ199回の定期検査で、偽装や改ざんされたデータを国に報告していたことが判明。東扇島火力発電所(川崎市)でも定期検査などで90年以降の計17回、発電機の出力を偽って国に報告した。
柏崎刈羽原発1号機では92年の定期検査の際、ECCSの一部にあたる残留熱除去冷却系ポンプが、検査の前日に故障した。このため、原発の中央制御室からはポンプが順調に動いていると見えるように偽装し、国の検査官をごまかして検査に合格した。修理が間に合わないまま、検査の4日後に原子炉を起動。2日間そのまま運転した。この運転は、原子炉等規制法に基づく保安規定違反の疑いがあるという。
東電は「機器を正しく整備したうえで原子炉を起動するという原則から逸脱していた」と認めた。
さらに、柏崎刈羽原発1〜3号機では、94〜98年にかけ、緊急時に原子炉の蒸気を遮断する弁の漏えい率の検査で、漏れを測定したように見せかけ、虚偽の数値を国に報告していた。
法定検査には当たらないが、柏崎刈羽原発から排出される放射性物質の測定値を東電社内で偽装した例や、東扇島火発で、90年から03年まで冷却用の海水の温度を改ざんしていた例も分かった。【高木昭午】(毎日新聞 2007/02/01)

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◆データ改ざんが判明した定期検査の時期、回数◆

(カッコ内数字は原発の号機)

1.緊急炉心冷却装置の検査で、ポンプの故障隠ぺいなど

  柏崎刈羽(1)     92年5月(1回)
  福島第1(1)〜(6) 79年6月〜02年4月(50回)
  柏崎刈羽(3)     94年11月(1回)

2.総合性能検査で、測定値のばらつき調整など

  福島第1(1)〜(6) 77年10月〜02年3月(102回)
  福島第2(1)〜(3) 90年1月〜02年8月(7回)

3.緊急停止に使う安全保護系の設定値確認検査で、計器を不正に設定

  福島第1(1)     79年2月〜98年5月(15回)

4.緊急停止に使う安全保護系の蒸気流量検査で、計器を不正に設定

  福島第1(1)     81年11月〜98年5月(13回)

5.主蒸気隔離弁の漏えい率検査で、弁の不正操作

  柏崎刈羽(1)〜(3) 94年9月〜98年10月(6回)

6.蒸気タービン検査で、実在しない警報装置の成績書作成

  柏崎刈羽(7)     98年8月〜01年3月(3回)

7.制御棒の不作動を想定した検査で、原子炉から出る中性子検出器の設置場所の不正

  福島第1(2)     00年9月(1回)

東電、原発故障隠し 放射能の測定値も改ざん
電力会社によるデータ改ざん問題で、東京電力は31日、新たに原子力発電所で77年から24件延べ199回の定期検査に関するデータ改ざんがあった、と発表した。検査に関係しない不正も4件あった。原発の非常用炉心冷却装置のポンプの故障を隠して検査を通したり、放射能の測定値を低くごまかしたりした悪質なものがあり、経済産業省原子力安全・保安院は原子炉等規制法などの違反がないか調べる方針。
不正があった原発は、福島第1、同第2(いずれも福島県)、柏崎刈羽(新潟県)の原発17基中13基。ほかに、火力発電所3基でも不正があった。東電はいずれも安全上の問題はないという。不正は77年から火力発電所の一部では現在まで続き、ほとんどが02年のトラブル隠し発覚後の総点検で見過ごされていたことになる。
東電によると、柏崎刈羽1号機では92年5月、非常時に炉心に冷却水を送り込む炉心冷却装置の残留熱を取り除く4つのポンプのうち1つが、定期検査の直前に故障した。だが、故障を隠したまま定期検査を受けて合格し、そのまま原子炉を起動、2日後に修理した。保安院は、安全確認が不十分のまま運転したことが法令違反にあたる可能性もあるとみている。
福島第1原発1号機では79〜98年、計28回にわたり、蒸気の流量を監視し、弁を作動させる装置を正しく設定せずに検査を受け続けていた。そのままでは検査に合格しないケースだった。
定期検査には関係なかったが、柏崎刈羽原発では放射能の測定値を改ざんしていた。95〜97年ごろ、排気筒から出る放射性ヨウ素の濃度を測る際にヨウ素を捕らえるフィルターを裏返しにして放射能の測定値を低くなるようにしていた。95年5月には、同原発4号機の排気筒から出るガスの放射能の値をコンピューター上で低く上書きした。
どちらも実際の測定値は国が指針で定めた測定の下限値よりも低く、そのままでも国や県に「検出なし」と報告する値だった。通常は測定限界以下になることが多いので、それに合わせようとしたらしい。
築舘勝利・東電副社長が31日、保安院を訪れ、報告書を提出。今年3月末までに再発防止策などをまとめ、国に提出する方針。(朝日新聞 2007/02/01)

福島原発9基で1000件超すデータ改ざん
福島第1原子力発電所での冷却用海水の温度データ改ざんをきっかけに東京電力が進めてきた内部調査で、法定検査にかかわるデータ処理の改ざんは県内10基の原発のうち9基で行われていたことが1月31日、新たに分かった。
確認できた限りで改ざんは昭和50年代前半に始まり、総件数は1000件を超えるという。
原発の「心臓部」と呼べる原子炉周辺の配管検査に関する不正もあり、安全管理に関する同社の姿勢が問われる結果となっている。
経済産業省原子力・安全保安院は同社への行政処分を検討する。(福島放送 2007/02/01)

廃炉費用:原発55基合計で2兆9000億円 新試算公表
原子力発電所の解体やその後の放射性廃棄物の処分などにかかる「廃炉費用」について、電気事業連合会は8日、全国の運転中の原発55基の合計で2兆9000億円余りに達するとの新たな試算を公表した。従来は2兆6000億円弱としており、3000億円余増えた。廃炉費用は電力各社が社内で積み立てており電気料金の原価にも算入している。料金値上げには国の認可が必要だが、各社は積立額を増やすことになり、電気料金にも影響する見通しだ。
経済産業省の総合資源エネルギー調査会の原子力発電投資環境整備小委員会で示した。
原発の解体で出る廃棄物のうち放射能が国の基準値以上のものは、放射性廃棄物として特別な処分が必要になる。この基準が05年から厳しくなったため、放射性廃棄物が増え、費用がかさむことになった。従来は廃炉費用に含めていなかった、使用済み核燃料の搬出費用も新たに計上した。
その結果、出力110万キロワット級の沸騰水型炉の廃炉費用は約94億円増の約660億円、同規模の加圧水型炉は53億円増の約600億円、全国の合計では3290億円増の2兆9226億円との結果になった。【高木昭午】(毎日新聞 2007/02/09)

「ふげん」建屋コンクリ強度不足判明…壁面抜き取りで
日本原子力研究開発機構は10日、廃炉準備中の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)の原子炉補助建屋のコンクリート強度が、壁面6か所から抜き取った34サンプルのうち、5か所25サンプルで設計基準を下回っていた、と発表した。
いずれもハンマーでたたいた反応から強度を推定する「非破壊検査」では異常がなかったといい、検査データの確認を急いでいる。
敦賀市の原子力機構敦賀本部で同日午前、山内辰也・同本部安全品質推進室長が記者会見。劣化調査は昨年10月から行われ、中央制御室などがある原子炉補助建屋の壁から直径10センチ、長さ25センチの円筒を34本切り出し、破壊して強度を測定。その結果、最も低いものは1平方ミリあたりの耐力が10.6ニュートン(N)で、設計基準22.06Nの半分以下だったという。
山内室長は「強度の低い値が出たのは事実だが、施工時の品質は確認しており、にわかには信じがたい値だ」とし、「再検査を検討している。原子炉建屋など、放射線を遮断するためのコンクリート壁は来年度以降に調べる」と話した。
「ふげん」はさまざまなタイプの核燃料が燃やせる新型炉として1979年に本格運転を開始。国の開発中止に伴い、2003年に停止し、原発の老朽化対策や解体技術の開発の場となっている。コンクリートの劣化調査はその一環として実施した。
原発のコンクリート建材をめぐっては04年、中部電力浜岡原発(静岡県)や東京電力福島第1、第2原発(福島県)で骨材の砂利の品質データ改ざんが発覚。両電力は「強度には問題はなかった」としている。
経済産業省原子力安全・保安院の広瀬研吉院長は「今までの非破壊検査の方法は国内で広く使われており、特に問題があるとは考えていない。ふげんのデータについては内容を把握していないのでコメントできない」としている。
ほかの商用原発の場合は、運転開始から30年を経た時点で徹底した総点検を行っている。国内では既に12基の原発が、こうした安全性の再評価を終えた上で運転を続けているが、「強度が設計値以上であることを確認している」(同院長)という。(読売新聞 2007/02/10)

政府は原発政策再検討を=グリーンピースの訴え認める−英高等法院
【ロンドン15日時事】英政府が原子力発電所の廃止政策を転換して新設方針を打ち出したのは違法だとして環境保護団体グリーンピースが方針撤回を求めた訴訟で、同国高等法院は15日、「政府は国民と十分な対話ができていなかった」と断じ、方針再検討を命じる決定を下した。
ブレア政権は安全性に疑問が生じる原発の段階的な廃止を打ち出していた。しかし昨年7月、将来的なエネルギー確保が不透明であることを理由に脱原発政策を180度転換する方針を発表していた。(時事通信 2007/02/16)

チェルノブイリに春を 名古屋のNPOが支援計画
「菜の花」で土壌浄化 放射性物質、高い吸収力
原発史上最悪の事故となった旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発事故から21年を迎える今春、被災地を支援する名古屋市昭和区の特定非営利活動法人(NPO法人)「チェルノブイリ救援・中部」が、放射性物質に汚染された土壌の改良に乗り出す。植物の中では放射性物質の吸収力が高いとされる菜の花を栽培、現地の大学とも連携し、栽培方法を共同研究するほか、将来的には栽培面積の拡大やバイオエネルギーへの活用を目指す。

栽培地は、爆発したチェルノブイリ原発から南西へ約70キロのウクライナ北部・ナロジチ地区。同法人によると、土壌に含まれる放射性物質量は、現在も日本の一般値の数万倍で、地区全体の約95%で農作物の生産が禁止されているという。同地区では約1万300人が暮らすが、汚染された土壌で自生するキノコなどを食べて体内被ばくする人もいる。現地で医療活動を展開してきた同法人は、地元自治体の許可を得て、放射性物質をよく吸収するという菜の花を植えることにした。
計画では、4月上旬と9月上旬に各2ヘクタールに菜の花の種をまく。その後、それぞれを4区画に分けて、与える肥料の量や質を変えて栽培。地元の農業系国立大学の教授らが約80カ所で土壌中の放射性物質量を測定し、除去に最適な栽培方法を研究する。また、育った菜の花の部位に含まれる放射性物質の量も調べる。
同法人が計画を立案したのは、昨年2月。メンバーで四日市大学(三重県)非常勤講師の河田昌東さん(66)が、植物栽培による放射性物質除去についての研究論文を見つけた。今年2月10日に名古屋市内で会議を開き、現地の農業系国立大学と共同実行に向けた契約を結ぶことを決めた。
収穫した菜種などは保管する予定で、将来的には、栽培地近くにバイオエネルギーの生産工場を建設し、その原料として使う。河田さんは「現地の大学、行政機関と連携し、住民が安全に暮らせる地を実現させたい」と意気込んでいる。
工場建設などには約1000万円必要で、同法人は寄付を募っている。問い合わせは、チェルノブイリ救援・中部=電052(836)1073=へ(月、水、金曜日のみ)。

<チェルノブイリ原発事故> 1986年4月26日、旧ソ連ウクライナ共和国の原発4号炉の出力が急上昇して爆発・炎上。広島型原爆500発分の放射性物質セシウム137などが放出され、ベラルーシやウクライナ、ロシアなどを汚染。原発から30キロ圏内の住民約11万6000人を含む約40万人が避難した。(中日新聞 2007/02/19)

12年から16−18原発で消費 六ケ所工場分2.9トン
原発を運転する電力会社10社と建設計画のある電源開発は23日、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)で2006−07年度に取り出すプルトニウム約2900キロを、国内の原発16−18基で2012年度以降、1年程度かけて燃料としてすべて消費するとの利用計画を公表した。
プルトニウム利用計画の公表は06年度分に続いて2回目で、1回目と大きな変更はない。
07年度末時点までに六ケ所再処理工場で抽出見込みのプルトニウムの各社割り当ては、東京電力の1025キロが最多で、北陸電力の14キロが最少。(共同通信 2007/02/23)

東電、原発緊急停止もみ消す 記録も改ざん 柏崎・福島
電力会社による発電所のデータ改ざん問題に絡み、新たに東京電力柏崎刈羽原発1号機(新潟県)と福島第2原発1号機(福島県)で、故障して原子炉が緊急停止したにもかかわらず、同社が法令で義務づけられた国への報告を怠っていたことが28日、経済産業省原子力安全・保安院などの調べでわかった。もみ消しは、いずれも発電所幹部の判断で行われ、運転日誌の記録が「安全に停止」と不正に書き換えられていた。同社の安全管理の姿勢が改めて問われそうだ。
保安院などによると、緊急停止のもみ消しは、柏崎刈羽1号機では92年2月、福島第2原発1号機では85年11月に起きた。いずれも定期検査に入る準備のため原子炉の出力を下げて止めようとした際に、装置の故障から原子炉が緊急停止した。
原子炉等規制法では、緊急停止した際に国への報告を義務づけている。しかし、東電は当時の通産省に報告せず、運転日誌の内容を「安全停止した」などと不正に書き換えるなどしていた。
柏崎刈羽では発電所の部長、福島第2では副所長にまで報告が上がっており、いずれも現場幹部が判断していたという。
柏崎刈羽1号機では、緊急停止のもみ消しがあった直後の定期検査で、緊急炉心冷却装置のポンプの故障を隠して検査に合格させていたことが、今年1月末に明らかになっている。
このほか、柏崎刈羽7号機でも、01年に蒸気タービンの点検データを改ざんして国の定期検査に合格させていたこともわかった。
東電は昨秋のデータ改ざん問題の発覚後、再調査してその結果を今年1月末に発表。その際に柏崎刈羽1号機の故障の偽装が明らかになった。保安院の追加調査の指示を受けて、東電は1日午前、一連の不正を盛り込んだ報告書を保安院に提出した。(朝日新聞 2007/03/01)

東電データ改ざん、原発17基中13基で計200回
東京電力の原発で原子炉の緊急停止を国に報告していなかった問題で、同社は1日、柏崎刈羽1号機と福島第2原発1号機の緊急停止のもみ消しや、柏崎刈羽7号機の定期検査でのデータ改ざんなど新たに原発6基で計9回の不正があったとする報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。これで同社の原発での定期検査に絡むデータ改ざんは、17基中13基で25件延べ200回にのぼった。
保安院は3月末の最終報告書の提出を待って、同社への処分などを検討する。
報告書によると、国の定期検査に絡むデータ改ざんなどの不正は、新たに原発で1件1回、定期検査以外での不正も、柏崎刈羽1号機の緊急停止のもみ消しなど、これまで報告していなかった悪質のものなど5件8回が新たに盛り込まれた。火力発電所と水力発電所でも改ざんがあった。
もみ消しや定期検査でのデータ捏造(ねつぞう)は、法令で定める報告義務違反や検査妨害の疑いが強いが、いずれも3年の時効が過ぎている。
同社の築舘勝利副社長が1日午前、保安院を訪れて報告書を提出した。築舘副社長は「たいへん重い事案と受け止めている。心からおわびします」と謝罪した。
東電の原発では、02年8月にトラブル隠しが相次いで発覚。全社的な調査をしたが、今回の不正はあぶりだせなかった。現場担当者への聞き取りを中心にした社内調査で発覚したという。(朝日新聞 2007/03/01)

東電・原発データ改ざん:「報告すると煩雑」 幹部が隠ぺい指示
東京電力のデータ改ざん問題で同社は1日、柏崎刈羽原発1号機(新潟県柏崎市)と福島第2原発1号機(福島県楢葉町)での緊急停止の隠ぺいについて、いずれも発電所幹部が、国に正しく報告した場合、社内外への説明などの対応が煩雑になるのを避け、隠ぺいを指示していたことを明らかにした。また、同社が経済産業省原子力安全・保安院に行った報告では、原発で計9件、火力発電所で多数の改ざん例が盛り込まれた。同社によると、85年11月の福島第2原発1号機の緊急停止を国に報告せず、隠ぺいしたのは同発電所の副所長か発電部長の指示だったという。
また、92年2月の柏崎刈羽原発1号機の緊急停止を隠ぺいするよう指示したのは、同発電所の発電部長。この部長は隠ぺい指示に加え、同年、定期検査の際、緊急炉心冷却装置(ECCS)の一部のポンプの故障を正常だと偽装するよう指示したことも認め、「予定通り検査を終わらせるためだった」と話している。
偽装の直前には、ポンプ故障を切り抜けようと、福島第2原発の発電部長に依頼して同原発から正常なポンプを借りた。しかし、機器の接続がうまくいかず実現しなかった。
13火力発電所では検査結果のほか、発電所の日誌に出力を虚偽記載するなどの改ざんが多数判明した。【高木昭午、西川拓】(毎日新聞 2007/03/02)

「チェルノブイリ」影響 甲状腺がん多発
ベラルーシに内視鏡手術を

1986年のチェルノブイリ原発事故の影響で、甲状腺がんを患う女性が多いベラルーシに、傷跡のほとんど残らない内視鏡手術を広めようと、日本医科大の医師が取り組んでいる。
先月、ベラルーシ人の女性患者を日本に招いて、内視鏡手術を実施。今秋には、ベラルーシで現地医師の技術研修も始める予定だ。(谷川広二郎)

日本の医師 普及に奮闘中

この医師は、日本医科大病院内分泌外科部長の清水一雄教授(58)。清水さんは99年から、チェルノブイリの被害者を支援する医療ボランティアに参加。事故当時、風下だったため放射能による被害が最も大きいベラルーシにこれまで5回行き、検診や現地医師の指導を行ってきた。
清水さんによると、同国では毎年、約1300人が甲状腺がんの手術を受け、女性に患者が多い。しかし、手術方法は旧式で、首の前部に10センチほどのU形の傷跡が残るため、手術をためらい、手遅れになる若い女性患者もいるという。
甲状腺の腫瘍(しゅよう)を、傷跡がほとんど残らない内視鏡手術で摘出する方法を開発していた清水さんは、この方法の導入を現地の医師に訴えてきたが、なかなかその必要性が伝わらなかった。
「100回説明するよりも、成功例を見せるほうが早い」。清水さんは、昨年11月の検診で、9ミリの腫瘍が見つかったアレーシャ・スベヤトーシクさん(20)に日本での治療を勧めた。スベヤトーシクさんは、事故現場から約240キロ離れたピンスク市で、母親が妊娠6か月の時に胎内被曝(ひばく)していた。手術費用や滞在費など約350万円は、同大や清水さんの友人らが負担し、先月23日に無事手術を終えた。
「親友は2度の手術で傷が残り、首を襟で隠せる服を着ている。日本での手術の話をして、普及を手伝いたい」。今月3日に帰国したスベヤトーシクさんはそう話した。
清水さんは10月に、ベラルーシの病院で現地医師らを対象とした勉強会を開き、スベヤトーシクさんの手術のビデオを使って、技術指導を行う予定だ。(読売新聞 2007/03/07)

北陸電力:制御棒抜け「臨界」 志賀原発事故報告せず
北陸電力は15日、同社の志賀原発1号機(石川県志賀町)で99年、停止中の原子炉が突然、臨界状態になる事故が起きた上、緊急停止装置が15分間作動しなかったにもかかわらず、国に報告せず隠ぺいしていたと発表した。原子炉は手動で停止され、外部への放射能漏れはなかった。経済産業省原子力安全・保安院は臨界事故と位置づけ、同日午後に同社の永原功社長を呼び、1号機の停止と安全の総点検を指示する。
緊急停止隠しはこれまで東京電力、東北電力で計3件発覚している。いずれも原子炉等規制法の報告義務違反にあたるとみられるが、3年の時効が過ぎている。
北陸電力や保安院によると、99年6月18日午前2時ごろ、定期検査のため止まっていた1号機で、核反応を抑えるブレーキ役の「制御棒」のうち3本が炉から抜けて核反応が始まり、原子炉が臨界状態になった。直後に炉を自動停止させる信号が出たが、緊急停止装置が作動しない状態にしていたため、働かなかった。発電所員が手動で制御棒を戻し、炉は約15分後にようやく停止した。
当時、原子炉本体である「原子炉圧力容器」と、その外側にあって放射能を封じ込める役割をする「原子炉格納容器」はいずれも、原発の点検のため、ふたが開いていた。保安院は「開いた状態での臨界は想定外で、重大な問題だ」としている。緊急停止装置についても「炉に核燃料が入っている場合、作動できる状態にあるべきだ」として、作動しなかった状態が違法だったかについて調べる。
1号機の制御棒は89本あり、当初はすべて炉に挿入された状態だった。事故当時は、制御棒が正常に動くことを1本ずつ確かめている途中だった。3本が抜けたのは、所員が制御棒を動かす弁の操作を誤ったとみられるという。
しかし、同社は緊急停止の問題を国に報告せず、原因も十分に調査していなかった。昨年、データ改ざん問題を受けて保安院から調査を指示され、社員に聞き取り調査をする中で分かったという。【高木昭午】

◇隠ぺい、言語道断

元原子炉設計者で科学ライターの田中三彦さんの話 制御棒を駆動する水圧計に異常があったと思われるが、国内では聞いたことがない。制御棒3本が抜ければ、おそらく約10本の燃料棒が反応を始め、水素が発生してたまれば、爆発の危険もある。こうしたトラブルは公表し、他の原発にも生かす必要があるだけに、隠したというのは言語道断だ。隠ぺいはこれにとどまらず、我々が思っていた以上に、緊急停止が頻繁に起きていたことが明らかになるのではないか。

◇解説 原発めぐる中核的事故

北陸電力が隠ぺいしていた原子炉の緊急停止に至る事故は、単なる形式的な情報隠しにとどまる問題ではない。原発をめぐる重要で中核的な諸問題にかかわる深刻な事態だ。制御棒が抜け、一時的に臨界状態に陥った重大事故に関して、8年も事実を隠ぺいした。隠ぺいにより、重大事故の未然防止のための情報も生かされなかったことになる。原発に対する国民の信頼を大きく揺るがせる事態と言える。
原子炉から抜けた制御棒は、挿入時はブレーキ役、引き抜くとアクセル役となる。停止中のはずの原子炉でそのアクセルが突然踏まれ、緊急ブレーキにあたる緊急停止装置も作動せず約15分間、原子炉は走り続けていた──。今回、明らかになった志賀原発1号機の事故は、そういう事態だったとみられる。
本来ならば、この2つの大きな事態について公開し、第三者も交えた詳細な調査が必要だ。さらに当該の原発はもちろん、他の原発でも同様のことが起こらないようにするため、事故原因を踏まえた安全対策の確立が急務だった。
北陸電力は社内にも記録をほとんど残していなかったという。徹底した事故原因の究明と、隠ぺいした経緯の解明が、早急に求められる。【大島秀利】(毎日新聞 2007/03/15)

未経験の電気保修課が試験 志賀原発臨界事故
北陸電力志賀原発1号機(石川県志賀町、出力54万キロワット)で99年に起きた臨界事故で、発端となった制御棒駆動装置の試験を通常の担当課とは異なり、経験のない別の課に担当させていたことが17日わかった。また当時、原子炉メーカーの日立製作所関係者が現場にいたこともわかった。北陸電力は、経験のない課に担当させたことが事故発生に関連したのか、事故隠しを判断した当時の発電所長らが日立関係者にも口外しないよう働きかけたのか、についても調査していく。
北陸電力によると、こうした試験は通常の定期検査では機械保修課が担当する。しかし、事故当時は、緊急時の原子炉停止機能の強化工事で電気系統の改修をしたことから、電気保修課員が担当した。同課員らは機械保修課から引き継ぎは受けていたが、実際に試験を担当したのはこの時が初めてだった。
正常な動作を確認する試験は、日立製作所が手順書を作成して北陸電力が確認する形で進められる。事故原因として手順書の記載ミスが指摘されているが、手順書のチェックも、この時は電気保修課が担当した。試験中は日立製作所の担当者が立ち会うのが慣例で、事故があった99年6月18日未明も電気保修課員のほか、日立製作所の担当者らがいたという。
北陸電力は「担当課が別で手順書のミスをチェックできなかったことが事故原因かどうかは断定できない。今後調査していく」としている。日立製作所広報部は「関係者にヒアリングして調査を始めたばかり。現時点で、事実関係は全くわからない」と話している。(朝日新聞 2007/03/17)

志賀原発臨界事故、商業軽水炉では世界初…IAEA
原子力施設での臨界事故は過去に世界で60件発生していることが、国際原子力機関(IAEA)などの統計で17日明らかになった。
大半は核燃料プラントなどで起きており、北陸電力志賀原子力発電所(石川県志賀町)の臨界事故は、商業軽水炉で起きたケースとしては世界で初めてとなる。
IAEAや米ロスアラモス国立研究所の統計によると、1945年以来、今回のケース以外に米欧露など9か国で60件の臨界事故が発生、計21人が死亡している。大半は核燃料を扱うプラントや実験施設で起き、原子炉での臨界事故は40〜60年代に8件あったのみ。これらも、燃料や炉の形式が異なっていたり、重大事故を模擬する目的で作られた実験用の原子炉だった。
商業炉で起きた類似の例としては、80年代にスウェーデン南部オスカーシャム原発3号機で、発電目的の臨界状態を確認する試験中に、制御棒が機能せず、臨界状態を止めるための緊急停止ができなくなったケースがあるが、この時は別の方法を使って約4分かけて停止できたため、臨界事故にはならなかったという。
60件の中には、核分裂数がJCO臨界事故(99年9月)の約1000分の1という規模が小さいものも含まれる。志賀原発の臨界事故については、国や北陸電が詳しく調査中だが、たとえ小規模でも、実験を前提としない商業炉で、こうした事故が起きたとなれば、非常に特殊な事例として、海外から情報を求められる可能性も出てきた。当時のデータが失われていれば、その点についても国際的な批判を浴びることになる。(読売新聞 2007/03/18)

臨界警報は制御室のみ、現場詳細知らず? 志賀原発事故
北陸電力志賀原発1号機(石川県志賀町)の臨界事故隠し問題で、事故発生時に臨界が起きたことを知り得たのは、警報が鳴る中央制御室で原子炉を運転する当直員4人だけであることが18日、わかった。現場で作業をしていた作業員は、詳しい事態を知らされず対応に追われていた可能性がある。北陸電力は事故の情報が当時、発電所内部でどのように共有されていたか調べている。
当時の当直員の1人が、運転記録のコピーを個人的に保管していた。その記録によると、99年6月18日午前2時18分43秒に中央制御室で、核分裂が起きて中性子が発生したことを示す観測モニターで異常を示す警報が鳴り、その後も事故が収まったことが確認される同33分0秒まで、異常を示す警報が計12回鳴っていたことが確認できた。
だが、この警報は、中央制御室でしか鳴らない仕組み。事故当時、警報を聞き臨界事故が起きたと認識したのは、中央制御室にいたとされる当直員4人。原子炉建屋内で配管の弁の開閉作業をしていた作業員6人は、当直員から「閉めた弁を元に戻せ」と館内電話で指示を受けたというが、事故発生時にどんなことが起きていたか詳細を知らなかった可能性がある。
一方、経済産業省原子力安全・保安院の広瀬研吉院長は18日、志賀原発1号機を視察。記者団に対し、臨界事故隠しの原因究明のため、当時の所員らから独自に聞き取り調査をする方針を明らかにした。(朝日新聞 2007/03/19)

浜岡・女川でも制御棒脱落 沸騰水型、臨界には至らず
中部電力の浜岡原発3号機(静岡県、沸騰水型炉、出力110万キロワット)で、91年の定期検査中に制御棒3本が想定外に抜けていたことがわかった。抜けた制御棒の位置がそれぞれ離れており臨界にはならなかったが、同じ沸騰水型炉の北陸電力志賀原発1号機で99年6月に起きた臨界事故が明るみに出たのを受けて、中部電力が19日公表した。また、88年7月には東北電力女川(おながわ)原発1号機(宮城県、沸騰水型炉、出力52.4万キロワット)でも定期検査中に制御棒2本が脱落していたこともわかった。志賀、浜岡、女川のいずれも沸騰水型炉であり、相次ぐ制御棒の脱落に同型の原子炉の信頼性が問われる事態に発展しそうだ。
経済産業省原子力安全・保安院は「国への報告義務はなく、隠蔽(いんぺい)にもあたらない」としているが、両社とも外部には公表せず、トラブル情報が電力業界で共有されていなかった。
中部電力によると、定期検査中の91年5月31日、原子炉の状態を中央制御室に知らせるための信号の確認試験を終え、制御棒駆動装置に水が流れるように配管の弁を開ける作業をしていた。制御棒は全部で185本あり、最初の3本の制御棒の弁を開けたという。
ところが、その後、操作していないのに、本来動くはずのない制御棒(全長3.6メートル)がそれぞれ全部、3分の1、8分の1抜けたという。トラブルは1時間ほど続いた。ただ、抜けた制御棒3本のうち1本が離れた位置にあり、臨界状態にはならなかったという。
この作業中、原子炉本体と格納容器のふたは開いており、志賀原発の臨界事故と似た状況にあったという。
抜けた原因について、中部電力は「水圧を逃がす弁を閉めてしまい、制御棒を引き抜く側に水圧がかかったのが原因ではないか」としている。
女川原発1号機では、88年7月9日、定期検査をほぼ終えて制御棒が水圧で動くように配管の弁を開ける作業をしていたところ、制御棒89本のうち2本がそれぞれ24分の1、8分の3抜けた。制御棒の位置が離れていたので臨界状態にはならなかった。
東北電力では、事故の原因について、制御棒に水圧がかからないようにしようと、水を逃がす弁を閉めたままで作業したために、制御棒が下がる方向に圧力がかかり、脱落したとみている。トラブル時、原子炉本体と格納容器のふたは閉まっていた。
「弁は開けるようにと作業手順書には書かれており、作業員のミスが原因だろう」と話している。
東北電力も事故の情報について外部には公表していなかった。
一方、保安院は19日、臨界事故隠しをしていた志賀原発の緊急調査に入った。(朝日新聞 2007/03/19)

東芝、情報を他社に伝えず 原発制御棒トラブル
東北電力女川原発1号機と中部電力浜岡原発3号機の制御棒トラブルで、原発メーカーの東芝がトラブル発生情報をほかの電力会社に伝えていなかったことが20日までの関係者の話で分かった。東芝は両電力に「制御棒の抜けを防ぐため特定の弁を開けて作業するべきだ」など、技術的な助言を個別にしただけで、2回目以降のトラブル防止にはつながらなかった。「運用は電力会社同士で」と説明している。(共同通信 2007/03/20)

東電、78−80年に福島第1原発で3件の制御棒抜け、1度は臨界に
東京電力は3月22日、原子力発電所を調査した結果、福島第2、柏崎(新潟)に続き、福島第1原発でも想定外の制御棒抜けが起きていたと発表した。同社が確認した範囲で1978年−1980年に毎年1度、制御棒抜けが発生し、1978年は原子炉が予期せぬ臨界状態になった。記録の改ざんについては調査中という。
今回の調査は、北陸電力の志賀原子力発電所が起こした制御棒抜け事故隠しを受け、経済産業省が指示したもの。東電は3月20日に一次報告をまとめているが、新たに福島第1でも問題が見つかり、管轄下にあるすべての原子力発電所で制御棒抜けが発生していた事実が明らかになった。
1978年は福島第1原発の3号機で、制御棒を炉心内に挿入したり引き抜いたりするための水圧制御ユニットの作業中、制御棒5本が想定外に引き抜け、原子炉が臨界となったおそれが高いという。また1979年は同様の作業中に5号機で、1980年は2号機で、それぞれ制御棒1本が抜けた。原子炉は未臨界状態だった。
東電では今後、当時の状況などについて詳細な調査を実施し、報告文書を、原子力発電の業界団体である日本原子力技術協会が運営する原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア(NUClear Information Archives)」に登録する。なお、経産省では詳細な調査の結果を待ち、「事実関係が明らかとなり次第、その内容を精査する」としている。(日経BP 2007/03/23)

北陸電力、現常務も隠蔽工作に関与 志賀原発臨界事故
北陸電力志賀原発1号機(石川県志賀町)の臨界事故隠しで、当時の発電所幹部らの隠蔽(いんぺい)工作に、現在の同社常務もかかわっていたことが分かった。常務は昨年から、原発の安全・信頼向上や原子力訴訟などを業務とする同社原子力推進本部副本部長も務めている。
同社によると、99年6月18日未明に臨界事故が起こった際、所長や次長らが緊急招集され、その中に当時の所長代理で、現常務も含まれていた。
所長代理は03年6月に取締役、05年6月に常務となった。(朝日新聞 2007/03/23)

志賀原発臨界:直後の隠ぺい会議に安全監督者も参加
北陸電力志賀(しか)原発1号機(石川県志賀町)の臨界事故隠しで、当時、同原発の安全管理を監督していた「原子炉主任技術者」の次長が、事故直後の隠ぺい会議に参加していたことが分かった。次長は事故がなかったとの内容になっている「引継日誌」の決裁欄に押印していたことも判明。「安全運営における司法的な役割」を担う責任者が隠ぺいにかかわっていた可能性が高まり、原子力安全・保安院は「事実なら、法令に照らした処分も検討しなければならない」としている。
北陸電や関係者によると、隠ぺい会議は、事故直後の99年6月18日未明に事務棟2階の「緊急時対策室」で開催。当時の所長や所長代理(現・役員)らとともに次長が参加。所長が主導した隠ぺい工作を事実上承認したとみられる。また、同日午前8時半ごろ作成された事故当直時間帯の引継日誌には、主任技術者の確認印があった。
主任技術者制度は1957年に創設。国家試験などで資格免状が交付される。主任技術者には、原子炉等規制法で「誠実な職務遂行」が義務付けられている。また同法に基づく北陸電の保安規定で定めた職務には、異常発生時の原因調査や日誌や点検報告書の確認などが挙げられている。【近藤大介】(毎日新聞 2007/03/24)

北陸電の想定マグニチュード上回る 能登半島沖地震
北陸電力の活断層評価が不十分であることが、今回の地震で浮き彫りになった。同社は、志賀原発1号機の設置許可を88年に得る前に、周辺海域を調査し、今回の震源周辺で、活断層4本を見つけており、マグニチュード(M)6.1〜6.6の地震を起こすと想定していた。この活断層と今回の地震との関係は不明だが、M6.9の地震が発生した。
2号機は昨年3月、耐震設計の不備を理由に金沢地裁で運転差し止めを命じられ、現在名古屋高裁金沢支部で係争中だ。
北陸電力によると今回の地震で、1号機の原子炉建屋地下2階の地震計で震度4.8を記録。揺れは226ガル(ガルは加速度の単位)で、想定最大の490ガルを下回った。原子炉を緊急自動停止しなければならない190ガルは上回っていた。
しかし、1号機は99年の定期検査中に原子炉で起こった臨界事故隠しのため、経済産業省原子力安全・保安院から運転停止を指示され、16日から、2号機はタービン故障のため、昨年7月から、それぞれ運転を停止していた。
今回の震源地は志賀原発から約17キロ離れている。このため、設計で考慮していた原発直下の地震(M6.5、深さ10キロ)による揺れよりは小さかったため、被害はなく、外部への放射能漏れはなかった。
保安院によると、震源に比較的近い新潟県の東京電力柏崎刈羽、福井県の関西電力美浜・大飯・高浜と日本原電敦賀などを含む全国の各原発でも、今回の地震による運転停止はなかった。(朝日新聞 2007/03/25)

志賀原発 使用済み核燃料の水、飛び散る 能登地震
北陸電力志賀原発1号機(石川県志賀町)で25日、放射性物質を含んだ水45リットルが原子炉建屋4階の床に飛散しているのを巡視員が見つけた。今回の地震の揺れに伴って、使用済み核燃料貯蔵プールが揺れて飛び散ったものとみられる。
北陸電力によると、飛び散った水は国への報告基準を上回る量の放射性物質を含んでいたという。ただし、床面はビニールシートで覆っており、その外に漏れたのは8リットルと微量だった。水は作業員がふき取った。外部への放射能漏れはないという。(朝日新聞 2007/03/26)

能登半島地震:志賀原発…本震データが消失 メモリー不足
北陸電力(本店・富山市)は27日、志賀(しか)原発1号機(石川県志賀町、運転停止中)で取った能登半島地震直後約30分の地震データが消失していた、と発表した。
北陸電によると、原子炉建屋内22カ所にある「地震観測用強震計」のデータで、揺れの大きさの変化を波形で記録。一定の揺れで記録が始まり、余震が途切れた時点で記録をサーバーに転送する。しかし、記録装置のICメモリーカードの容量は、デジタルカメラ用などに市販されているメモリーカード並みの48メガバイト(メガは100万)で、今回は想定外に余震が連続し、転送できないまま記録可能な90分の容量をオーバー。その後の約30分間の揺れを、最初の揺れの記録に上書きしたという。
2号機のメモリー容量は2ギガバイト(ギガは10億)で、記録が残っていた。バックアップ用地震計と合わせて解析は可能という。
また、地震により2号機の原子炉建屋運転階の水銀灯2個が落下、使用済み燃料貯蔵プールなどに破片が落下した可能性があると発表した。安全性に問題はないという。【水津聡子】(毎日新聞 2007/03/28)

欧米でも想定外の臨界事故が3例 米規制局が警告文
北陸電力志賀(しか)原発1号機(石川県志賀町、出力54万キロワット)で99年に起きた臨界事故のように、想定外の臨界状態となった例が欧米で少なくとも3例あったことがわかった。米原子力規制委員会(NRC)が88年に報告、米国の原子力事業者に警戒文書を出して情報共有化に努めていた。日本の原子力関係者にもこうした事例は伝わっていたが、旧通産省など行政の対応には結びつかなかったとみられている。
3例とも制御棒を下から炉心に入れる沸騰水型炉。志賀原発など制御棒脱落が問題になった日本の原発と同タイプだ。
NRCによると、87年にスウェーデンのオスカーシャム原発3号機で、試験で制御棒を抜いたところ誤って臨界に達した。中央制御室に表示が出たが、運転員が気づくのに遅れた。短時間で炉を止める緊急システムも作動しない状態となっていた。こうした状態で臨界となった例は米国ではなく、重くみたNRCが文書を出したようだ。
文書は米国で起きた2例も報告。73年にバーモントヤンキー原発で、試験中に抜いた状態だった制御棒の隣の制御棒を誤って抜き、臨界状態となった。76年にはミルストーン原発1号機で誤って隣接の制御棒を抜き、臨界状態に。3例とも作業手順書に違反し、計測値の確認が不適切だった。
日本では北陸電力や東北電力、東京電力、中部電力の8原発で制御棒が脱落したことが最近、判明。水圧で制御棒を動かす系統の操作ミスなどで、欧米の事例と共通点も少なくない。
NRC文書が出たのは86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故の2年後。安全への関心が国内外で高まっていたが、当時、日本の規制当局が何か対応した記録は、確認できる範囲で残っていない。経済産業省原子力安全・保安院は「保安院が01年にでき、NRCとはより連携を密にしており、今なら対応した」という。
保安院は原発の事故があった場合、国際評価尺度で最も軽い「0」から、深刻な「7」までのレベルのうち、「2」以上を国際原子力機関(IAEA)に報告する。茨城県東海村のJCO臨界事故(99年)は「4」で、関西電力美浜原発蒸気発生器細管破断事故(91年)は「2」だった。今回の志賀原発の臨界事故の評価はまだ決まっていない。
軽微な情報もIAEAのデータベースに登録して情報共有化を進めている。02年の東京電力の原発不正問題のあと、国も電力業界も情報共有化の充実を進めている。(朝日新聞 2007/03/29)

「再処理工場は不経済」操業中止訴え研究者ら会見
日本科学者会議原子力問題研究委員会の舘野淳・中央大学教授(原子力)、清水修二・福島大学教授(財政学)らが28日、県庁内で記者会見し、六ケ所再処理工場は安全性が不十分な上、不経済、不必要だとして操業中止を訴えた。
舘野教授は、(1)プルトニウムを高速増殖炉で燃やせば資源を数十倍に利用できるが、一般の原発で燃やすプルサーマルでは1.2倍程度しか活用できず、リスクに比べてメリットは極めて小さい(2)臨界や爆発に至らない小さな放射能漏れ事故でも、工場の稼働率低下や環境汚染を招く可能性がある−などと指摘したアピール文を読み上げた。
舘野教授は「プルサーマルにしても、すぐに計画が受け入れられるような状況ではない。使わないプルトニウムがどんどん蓄積されてしまっていいのか」と強調した。
清水教授は「青森県は国を信用するしかない−という姿勢だが、最近の原発の情報隠しは、国のチェックがいかに働いていないか実証した。国を信用するだけで県民の命を守れるのか」と訴えた。
アピールの呼び掛け人は安藤房治・弘前大学教授ら11人で、賛同者には全国各地の研究者ら47人が名を連ねた。(東奥日報 2007/03/29)

松葉から微量の放射性物質 柏崎刈羽原発敷地で
東京電力は6日、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の敷地内の松葉から、同原発から放出されたとみられるごく微量の放射性物質を検出したと発表した。周辺への影響はないという。今後、ほかの場所の松葉や土壌についても調べる。
経済産業省原子力安全・保安院原子力事故故障対策室は「人体にすぐ危険が及ぶレベルではない。東電の詳細な調査を待ちたい」としている。
東電によると、3月10日ごろ、敷地内の15カ所の松葉を採取し分析した結果、1カ所の試料からコバルト60、マンガン54など3種類の放射性物質が検出された。同月29日の採取では、いずれも検出されなかった。
東電は、検出された放射性物質を口から取り込んだとしても、放射線量は一般人の年間被ばく限度である1ミリシーベルトの1万分の1程度だとしている。(共同通信 2007/04/07)

従業員の器官で被ばく調査 英核施設、遺族の同意なし
【ロンドン18日共同】18日付の英紙タイムズによると、英中西部セラフィールドの使用済み核燃料再処理施設を管理する英核グループ(BNG)が、1962年から92年までの30年間にわたり、死亡した同施設の従業員少なくとも65人の心臓や肺などの器官を、遺族の同意なしに被ばく調査に使っていたことが分かった。
BNGは大半のケースについて、検視官に器官摘出の許可を得ていたと主張。しかし、同紙は遺族への説明や同意がなかったと指摘、政府が近く調査に乗り出し、結果を公表するとしている。
長期間にわたり放射能にさらされた場合の人体への影響などを調べる調査だったとみられる。最近、この調査のデータの一部を再分析したいとの申し入れがあり、BNGの医療委員会による検討中に問題が発覚した。
BNGは、英政府が全株を保有する英国核燃料公社(BNFL)傘下の企業で売却方針が決まっている。(共同通信 2007/04/18)

燃再処理工場:耐震強度に計算ミス、担当者が隠ぺい
日本原燃(本社・青森県六ケ所村)は18日、同社の核燃料再処理工場(同村)で、使用済み核燃料を覆う金属製ケースの切断装置2基(それぞれ高さ12メートル、重さ3.5トン)について、耐震強度の計算にミスがあり、強い地震では倒壊する恐れがあると発表した。耐震強度は、93年に日立製作所の子会社「日立エンジニアリング」(当時、現「日立エンジニアリング・アンド・サービス」)が計算。96年に別の担当者が計算結果の確認をした際にミスに気付いたが、最近まで上司にも言わず10年以上にわたって隠ぺいしていた。また、使用済み核燃料をつり上げる3基のクレーン(重さ38〜50トン)についても同様のミスがあった。
原燃は各装置を使用停止にし、この子会社が耐震計算にかかわった機器を総点検する。
経済産業省原子力安全・保安院は同日、原燃に対し、正しい計算結果の提出や、原因究明などを指示した。
切断装置は、使用済み核燃料を入れるプールの中にあり、水底にボルトで固定されている。正しい耐震計算では、強い地震の場合、ボルトがゆがんで装置が倒れ、プールの壁や核燃料を傷つけて放射能を含んだ水が工場内に流出する恐れがあるとの結果が出た。原燃は今後、装置の補強工事をする。
クレーンについても計算ミスを修正すると、国の認可を得ている計算方法では、地震の際にクレーン本体が使用済み核燃料プール内に落下する恐れがあるとの結果が出た。ただ、原燃は「別の精密な方法で計算すると、落下の恐れはなかった」と説明。補強は必要ないとしている。
原燃は、昨年秋の原発などの耐震基準改定を受けて、再処理工場が新基準を満たすかどうかの確認作業を日立に依頼。担当者が申し出たため日立がミスに気づき、13日に原燃に連絡した。
日立は「あってはならない不備で、大変申し訳ない」としている。【高木昭午】(毎日新聞 2007/04/18)

志賀原発:能登半島地震での揺れ、一部で想定超える
北陸電力は19日、能登半島地震(マグニチュード6.9)による志賀原発(石川県志賀町)の揺れの強さ(加速度)が、一部で原発の設計時に想定した最大地震「設計用限界地震」を2倍近く上回っていたと発表した。ただし、安全上重要な機器の揺れは設計の範囲内に収まっており、北陸電力は「耐震設計に問題はなかった」としている。経済産業省原子力安全・保安院も「現時点では、機器の安全性に影響を与えるものとは考えていない」と話している。
設計用限界地震は「およそ現実的でない」とされる大地震だが、03年と05年に起きた宮城県沖の地震でも東北電力女川原発で揺れの一部が限界地震を超えており、今回が3度目。北陸電力は、国が昨年秋に原発の耐震設計審査指針を改定したことを受け、地震想定を見直し中で、今回の解析結果を反映する方針だ。
地震は揺れの周期がさまざまな地震波が混じって起きる。同社は能登半島地震の地震波を周期ごとに分けて分析し、同原発1、2号機の設計用限界地震と比べた。
揺れの強さの目安となる加速度は1、2号機とも周期0.36〜0.39秒と約0.5〜0.8秒の地震波で能登半島地震が限界地震を上回った。超過が最大だったのは1、2号機とも周期0.625秒の地震波で、加速度は711ガル(ガルは加速度の単位)を記録、設計用限界地震(1号機374ガル、2号機382ガル)の約2倍に達した。
ただし、原子炉圧力容器や燃料集合体、原子炉建屋など安全上重要な機器や建物の揺れは、限界地震の範囲内だった。
新耐震指針は、原発周辺の過去の地震や地質調査から想定される最大の地震と、地表に活断層の痕跡がなくとも起き得る最大の直下型地震に耐える設計を求めた。電力各社は、過去に建設した原発についても新指針を満たすかどうか解析中だ。【高木昭午】

▽入倉孝次郎・愛知工大客員教授(京都大名誉教授)の話 旧指針では、長い周期の地震波による揺れを小さく見積もる傾向があった。他の原発でも過小評価が見つかる可能性があり、早急な見直しが必要だ。能登半島地震を起こした海底活断層の評価でも、過小評価があり、国の安全審査に関与してきた私自身も責任を感じている。(毎日新聞 2007/04/19)

高濃縮ウラン溶液漏れる 米核燃料工場、臨界危機も
米テネシー州アーウィンにある核燃料工場で昨年3月、高濃縮ウラン溶液が約35リットル漏れる事故があり、核分裂が続く臨界状態になる可能性があったことが、原子力規制委員会(NRC)の報告書で10日までに分かった。
報告書によると、事故は昨年3月6日、アーウィンの「ニュークリア・フュエル・サービシズ」(NFS)で発生。高濃縮ウラン溶液約35リットルが配管からつながっているグローブボックス(密閉容器)内に漏れ、さらに床のくぼみに流れ出た。
グローブボックスと床のくぼみの形状などから、それぞれ臨界になる恐れがあったという。1999年のジェー・シー・オー東海事業所の臨界事故と同様に臨界が起きる可能性があったとみられる。
同委員会は漏出はほかの条件が整えば臨界に十分な量だったと判断、臨界事故が起きれば少なくとも作業員1人が被ばくし、死亡する可能性があったという。(共同通信 2007/05/10)

再処理施設で誤記188件 2件は保安院も見逃す
日本原子力研究開発機構は8日、茨城県東海村の東海再処理施設で、自主検査や国の定期検査の記録に誤記や記載漏れが188件あったと発表した。うち2件は経済産業省原子力安全・保安院も見逃し、検査をパスさせていた。
全国の原発で記録の改ざんがあったことを受けて、同機構が手続きの不備やデータ改ざんがないか調査。不備や改ざんはなかったが検査日、計器や部屋の番号などを誤って記録していた。
188件のうち、放射線測定機器の数値の誤記など2件は、保安院に定期検査の資料として提出され保安院もチェックしていた。実際のデータに問題はなかったが、書類上は検査に合格しない記載になっていたのに、誤りに気付かなかったという。
保安院は「反省のひと言しかない」と謝罪。同機構に改善を指示したほか、保安院としても記録様式や、記入漏れなどの確認方法の見直しを検討するとしている。(東京新聞 2007/06/08)

放射能汚染:原子力科研、国に届けず 匿名手紙で発覚
日本原子力研究開発機構は26日、同機構原子力科学研究所(茨城県東海村)の構内にある共同溝の底面約80平方メートルが、微量の放射能に汚染されていたと発表した。機構は共同溝につながる別の溝などで06年夏に汚染を見つけていたが、国に報告していなかったことも判明した。文部科学省は「昨年報告がなかったのは問題で、原子炉等規制法の報告義務違反の可能性もある」としている。現時点で環境や人への影響はないが、機構は過去に溝で作業した人などの被ばく状況を調査する。
機構によると、研究所と茨城県に25日、「放射能を除く作業をしている場所で、汚染が高いまま放置されている場所がある。口外しないように言われた」などと指摘する匿名の手紙が届いた。
機構が調べると、コンクリート製の共同溝(幅約1.2メートル、深さ約1.5メートル)の底面が約70メートルにわたってウランで汚染されており、1平方センチあたり6〜13ベクレルの放射能が検出された。
共同溝に隣接する「モックアップ建屋」では61年9月にウラン溶液が大量にもれ、建物内を汚染した。機構は05年からこの建物の放射能を除染したが、その中で昨夏、建屋と共同溝を結ぶ別の溝(引き込み溝)なども汚染されていると分かった。
機構は「建屋は放射線の管理区域で報告の必要はない」として、国に報告しなかったが、溝は非管理区域だった。また、引き込み溝と共同溝の間に水の流れを遮る仕切りがあったことから、共同溝の汚染はないと判断し、調査しなかった。
原子力科学研究所の桜井文雄副所長は「今回の告発に関する調査チームの設置を検討したい。告発者の保護も念頭に置いて進めたい」と話している。【高木昭午、栗本優】(毎日新聞 2007/06/26)

国への報告、一部翌日回し 放射能汚染で原子力機構
日本原子力研究開発機構の放射線管理区域外で放射性物質の汚染が見つかった問題で、同機構は昨年見つかっていた隣の溝の汚染については当初、文部科学省に伝えず、記者会見で明らかになった後、翌日になってから追加報告していたことが4日分かった。
同機構は「文科省に報告に行った職員が事実関係を知らなかった」と釈明しているが、トラブル時の情報共有に問題があることが浮き彫りになった格好だ。
管理区域外の汚染は、原子炉等規制法に基づき直ちに国に連絡する必要があり、文科省は詳細報告を待って厳しく指導する方針。
同機構は6月26日、茨城県庁で会見し、東海研究開発センター(同県東海村)にある建物から外に延びる管理区域外の共同溝で放射性物質の汚染を確認し、文科省に連絡したと発表。質問に答える形で、この共同溝につながる引き込み溝で昨年6月に汚染を確認し、その後汚染を除去したが国には未報告だったことを明らかにした。(共同通信 2007/07/04)

再処理工場で微量の被ばく 靴下脱ぐ際に両足首に付着
日本原燃は5日、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)で、装置の点検作業をしていた協力会社の10代の男性作業員が、靴下を脱ぐ際に両足首の後部に微量の外部被ばくをしたと発表した。すぐに付着した放射能を洗い流し、健康に影響はないという。
原燃によると、4日正午ごろ、使用済み核燃料の付属品の切断装置の点検作業を終えた作業員の身体を検査した結果、両足首の後部からコバルトなどの放射能が1平方センチ当たり10ベクレル検出された。被ばく線量は多く見積もって0.13ミリシーベルトで、皮膚の年間被ばく限度の500ミリシーベルトを下回るという。
被ばくした作業員は作業後、自分の長靴を脱ぐ際に手袋に放射能が付着した。手袋をはずすべきだったが、汚染された手袋をつけたまま靴下を脱いだため、両足首の後部に放射能が付着したとみられる。原燃は、マニュアルの順守を徹底させる。(共同通信 2007/07/05)

放射能汚染:01年発見、実は88年から放置 原子力機構
日本原子力研究開発機構の原子力科学研究所(茨城県東海村)が放射能汚染を国に報告していなかった問題で、機構は5日、01年に発見したとしていた汚染が実は88年から放置されていたと明らかにし、文部科学省に報告した。同省は機構を厳重注意し、同様の問題がないかを今月末までに報告するよう指示した。
機構は、研究所内の排水マスなどから、微量の放射能汚染を01年に検出したが放置していたと6月29日に発表した。しかしその後、放射線管理担当課が88年に、同じマスで汚染を検出していたことを示すメモが見つかった。01年にはメモを参考に、別の部署がマスを再調査していた。
機構はまた、昨年夏に見つけたコンクリート製共同溝の放射能汚染を報告しなかった理由を「(担当者は)汚染の発見と除去が日常業務で、汚染が異常だとの認識が薄れていた」と同省に文書で報告した。【高木昭午】(毎日新聞 2007/07/05)

異議申し立て25件を放置 原子力関連で旧科技庁など
原発や核燃料サイクル施設での事業許可や設置変更許可などについて、旧科学技術庁や経済産業省原子力安全・保安院に対して住民らが1981年以降に行った25件の異議申し立てなどが、手続きを進めないまま放置されていたことが12日、分かった。
申し立てがあった場合は、容認、棄却、却下などの決定を出すことになっているが、処理期間に定めはないという。保安院は「意図的に遅らせたわけではなく、早急に処理したい」としている。
保安院は12日、このうち2000−01年にあった、東京電力の原発に輸入されたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料への合格証交付に対する異議申し立て2件で、意見聴取会を開催。
しかし、申立人の1人は出席を拒否。「(大幅に遅れた)説明もなしに呼び付けて意見を言わせ、行政の怠慢の穴埋めをしようということ」と文書で厳しく批判した。(共同通信 2007/07/12)

耐震計算ミスの装置を補強へ・日本原燃、再処理工場
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)にある2種の装置に耐震計算ミスがあった問題で、経済産業省原子力安全・保安院は12日、燃料集合体のカバーを切断する装置について原燃の補強工事計画を認可した。
もう1種の燃料をプール内で移動させる装置はすでに認可を受け、補強工事もほぼ完了しており、2種の装置がともに補強されることになる。
今回認可された切断装置は約2週間かけて支持部品を追加し、台座部のボルトを強度の高いものに変更する。
4月に耐震計算ミスが発覚し、原燃は再処理工場の試運転を中断している。再開は2種の装置が国の検査に合格し、安全性や再発防止策について県や村の理解を得た8月以降になる見通し。〔共同〕(日本経済新聞 2007/07/12)

原発の耐震設計超える揺れ 柏崎刈羽、緊急停止
東京電力は16日、柏崎刈羽原発(沸騰水型、同県柏崎市・刈羽村)で検知した新潟県中越沖地震の揺れが、機器や施設の安全性が保たれる耐震設計の基準である「限界地震」を大幅に上回り、原子炉が緊急停止、微量の放射性物質を含む水が海に放出されたと発表した。甘利明経済産業相は17日未明、東電の勝俣恒久社長を呼び、安全を確保するまで同原発を運転しないよう指示した。
緊急停止したのは全7基のうち停止中の炉を除く4基。3号機ではタービン建屋外にある変圧器で火災が発生した。経済産業省原子力安全・保安院によると、地震に伴い原発で火災が起きたのは国内で初めて。地震発生後、間もなく火災が確認されたが、119番が掛かりにくく、消防隊の到着も遅れて鎮火は正午すぎとなった。
6号機では微量の放射性物質を含む水漏れが見つかり、1.2立方メートルが海に放出されたことが判明。使用済み核燃料貯蔵プールの水とみられるが、国の安全基準を下回るレベルで、東電は環境に影響はないとしている。
3号機原子炉建屋では圧力を逃がすパネルが外れ、余震後には1、2、3号機で使用済み燃料プールの水位が低下した。(共同通信 2007/07/17)

排気筒から放射性物質検出=廃棄物棟ではドラム缶倒れる−油漏れも・柏崎刈羽原発
東京電力から17日、新潟県柏崎市災害対策本部に入った連絡によると、柏崎刈羽原発7号機の主排気筒からヨウ素131、同133、クロム51、コバルト60の放射性物質が検出された。地上の濃度は法令限度以下という。東電は原因を調べている。
また、地震の影響で同原発の固体廃棄物棟内のドラム缶約100本が転倒。うち2、3本のふたが開いていた。内容物や放射能の汚染状況は不明。
一方、同2号機では、原子炉給水ポンプのタービン用の油約800リットルが漏えいしたのも確認されたという。(時事通信 2007/07/17)

フランスの原子炉、大半が地震耐久性なし=反核団体
【パリ16日ロイター】フランスの反核団体は16日、同国内に58基ある原子炉の3分の2が地震に対応できる仕様になっていないと述べた。
反核団体「Sortir du Nucleaire」は、原発を管理するフランス電力公社(EDF)<EDF.PA>が採用する地震データについて、先に放射線防護・安全研究所(IRSN)が明らかにした通り、一部地域の地震リスクが過小評価されていると指摘している。
同団体は声明で「(仏時間の)昨夜日本を襲った地震により原発施設内で火災が起きたことは、フランスで起こり得る危険を実証するものだ」とした上で、国内58基ある原子炉のうち42基に危険性があると述べた。
日本で16日に起きた新潟県中越沖地震では、東京電力 <9501.T>の柏崎刈羽原子力発電所内で小規模な火災が発生、原子炉3基が停止された。(ロイター通信 2007/07/17)

柏崎刈羽原発直下に断層 「存在認識した」と東電
震度6強、マグニチュード(M)6.8を観測した新潟県中越沖地震を引き起こした断層は、東京電力柏崎刈羽原発の直下にかかる可能性が高いことが、18日までの気象庁などによる余震分布の解析結果で分かった。東電も「余震分布をみて、断層が原発の直下にあることを認識した」と認めた。
同原発は、活断層による直下型地震を考慮し設計しているが、想定は最大M6.5。Mが0.2違うとエネルギーは約2倍になるといい、設計時の前提が大きく崩れたことになる。
東電広報部は「原発の設計時には今回の規模の地震は想定していなかった。今後、さまざまな調査を踏まえ社独自の調査も考え、直下型地震に備えたい」としている。
本震の震源は、原発の北東約9キロ、深さ約17キロ。余震の発生域は、同原発に接するように本震の震源から南西方向に長さ約30キロ、幅約15キロの範囲で広がり、最大のM5.8など一部の余震は海岸沿岸の陸域にかかっている。
余震は、本震で動かなかった断層が活動することで起こるため、中越沖地震の原因となった断層は、この余震域に沿う形で延びている可能性が高い。断層面は、日本海側から陸側に向かって下がる形になっているとみられる。
柏崎刈羽原発の1号機の設置許可をめぐり、周辺住民が国の許可処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は2005年、活断層が周辺に存在するとの原告側の主張を「原告側が主張する活断層はそれ自体、断層ですらないもので、地震の原因にならない」と退けていた。
東京大地震研究所の島崎邦彦教授は「気象庁の余震分布から断層面を推定すると、原発の下に差しかかっている可能性はある。今後、地殻変動の衛星観測データを分析して詳しい断層モデルが得られれば、詳細な議論ができるだろう」と話している。(共同通信 2007/07/18)

中越沖地震で原発の安全性に懸念=英メディアは深刻に受け止め
【ロンドン18日時事】新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が火災や放射能漏れなどのトラブルを起こした問題について英メディアは18日、「(今回の)地震が原発の安全性に懸念をもたらした」などと深刻に受け止めて報じた。
タイムズ紙(電子版)は「日本全国にある原発の多くは、16日起きた中越沖地震ほどの強い地震に耐えられる構造にない」と指摘し、「地震に対する予防的な措置に深刻な懸念が生じたほか、将来的には建設後の年数が経過した原子力関係施設に対しても大きな不安を抱えるようになった」と伝えた。
またBBCは、同原発を所有する東京電力が外部環境への影響はないと説明したにもかかわらず、「周囲の懸念や批判を引き起こしている」と報道。(時事通信 2007/07/18)

全原子炉で想定上回る揺れ 柏崎刈羽原発の記録公表
新潟県中越沖地震によって柏崎刈羽原発(沸騰水型、同県柏崎市・刈羽村)で測定された揺れの強さ(加速度)が、同原発の1号機から7号機まですべての原子炉で、設計時の想定を上回っていたことが19日、東京電力の発表で分かった。
直下型でマグニチュード(M)6.5の地震を考え得る最大の地震として想定していた、昨年改定されるまでの旧耐震設計指針の不備があらためて浮き彫りになった。原子力安全規制の在り方が問われるとともに、現在全国で進められている新指針に基づく耐震性再点検の作業にも影響が及ぶのは必至だ。
同原発各号機の最下層の床上で得られたデータによると、水平方向の加速度では各号機とも南北方向より東西方向の揺れが強く、322ガル(6号機)〜680ガル(1号機)。垂直方向でも各号機共通の想定だっ235ガルを7基中6基で上回る205(5号機)〜488ガル(6号機)だった。(共同通信 2007/07/19)

全7基で想定超える揺れ=地震計データ、一部消失−柏崎刈羽原発・東電
東京電力は19日、柏崎刈羽原発に設置された地震計による新潟県中越沖地震の観測データを公表し、1号機から7号機までのすべての原子炉建屋で水平方向の揺れの加速度が設計時の想定を上回っていたことを明らかにした。
同社は16日、1、5、6号機のデータを公表。1号機が最大で680ガル(設計上の想定は273ガル)を記録していたが、19日に公表されたその他の号機でも、2号機で最大606ガル(同167ガル)を記録するなどすべての号機で設計時の想定を上回っていた。
また、同社は同日、地震観測計データの一部が消失していたと発表した。余震が続いたため、同原発に設置されている地震計のうち、旧型の63台が記録容量不足に陥ったためだが、容量の多い新型地震計の記録があるため、解析に支障は生じないとしている。
データの消失は今年3月の能登半島地震の際、北陸電力志賀原発1号機でも発生。東電は志賀1号機の事例を参考に来年度までに新型に交換する予定だった。(時事通信 2007/07/19)

地震後2日間、ヨウ素放出=自動停止後の手順でミス−柏崎刈羽原発7号機・東電
新潟県中越沖地震で自動停止した柏崎刈羽原発7号機の主排気筒から微量のヨウ素の放射性同位体などが大気中に放出された問題で、東京電力は19日、地震発生から18日午前10時ごろまでの少なくとも2日間、微量のヨウ素などの放出が続いたと発表した。自動停止後の手順ミスなどが原因とみられ、発電タービン内の送風機を停止。放出が止まっているかどうかの最終確認は20日昼ごろになる見込み。
東電の相次ぐ不祥事に周辺住民らの不信感は高まっている。同社の担当者は記者会見で「誠に遺憾な状況で、放出を止めるため全力を挙げる」と述べた。
東電によると、発電タービン付近にはタービン内の放射能を帯びた蒸気が外に漏れ出さないようにする装置が複数あるが、地震の際に装置の一つが故障。さらに、自動停止後の手順として定められた送風機のスイッチを切り忘れていたため、タービン内蒸気から出てきたヨウ素などが排気筒側に送られ、外に放出されたとみられるという。(時事通信 2007/07/19)

東電、新耐震指針後に海底断層調べず 柏崎刈羽原発
東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)の耐震性再評価のために昨秋から今春にかけて実施した地質調査で、海底の断層については改めて調べておらず、結果的に新潟県中越沖地震を引き起こした断層を発見できずにいたことがわかった。昨秋の原発耐震指針の改定で、各電力会社は55基の既存原発すべてについて、新指針に基づく安全性評価を求められているが、「基礎となる調査がおざなりでは意味がない」との批判が出ている。
東電は同原発の耐震評価で、79、80、85年に海域調査をした。79年に原発から北西約19キロの沖合に長さ約7キロの海底断層を見つけたが、活断層ではないと判断し、設計時の耐震評価から外していた。
昨年9月に耐震指針が28年ぶりに改定されたのを受けて、経済産業省原子力安全・保安院は原発から半径30キロほどの範囲について、文献やトレンチ調査、物理探査などに基づく耐震再評価を各原発に求めた。
東電は昨年10月〜今年4月、同原発周辺の地質再調査を実施。陸域では人工的な振動を起こして地下を調べるなどしたが、海底断層については他の研究機関のデータを考慮すれば十分として、改めて調査べなかった。
大竹政和・東北大名誉教授(地震学)は「柏崎刈羽原発のある地域は、見えない活断層が多い地域で、海域の調査も念入りにすべきだ。他原発の安全評価作業も大丈夫か見直してほしい」と批判する。
今回の地震の震源は原発の北約9キロの海底で、余震の分布から、地震を起こした断層は原発直下まで延びているとの指摘が相次いでいる。
これを受けて東電は18日、周辺海域の地質調査をすると発表した。79年に見つけていながら耐震設計の評価から外していた海底断層を含め、原発を中心に沿岸60キロ、沖合30キロまでを改めて調査するとしている。
海底も再調査せざるをえなくなった形の東電は「安全評価への反映は、どの断層が動いたのかはっきりしてから判断したい」と説明する。
保安院は「地質調査は安全評価の前提となるデータ。適切に実施してほしい」としている。
現行の地質調査は、旧耐震指針と同じ78年に作られた「原子力発電所の地質、地盤に関する安全審査の手引き」に基づく。手引きは、国の原子力安全委員会の検討会で、旧指針とともに見直しの対象となったが積み残され、「最新の調査手法などが反映されていない」「国として、事業者に最低限必要な項目を示すものに改定すべきだ」などの意見が出ている。(朝日新聞 2007/07/19)

柏崎原発 放射能検出後も放出 排風機止めず マニュアル違反
新潟県中越沖地震で緊急停止した東京電力柏崎刈羽原発7号機(新潟県柏崎市・刈羽村)で17日に見つかった排気筒からの放射能漏れが、適切な手が打たれず翌日も続いていたことが分かった。東京電力が19日に発表した。原因とみられる排風機を止めたが、放出が続いている可能性もあるため調査を続けている。
漏えい発見後の17日正午から18日夜まで、排気をフィルターでこして調べたところ、放射性のヨウ素が検出された。
原発タービン内の蒸気を封じ込める装置が地震で止まり、蒸気に含まれる放射性のヨウ素が排風装置を通じて排気筒から出たとみられる。マニュアルでは停止の30分後に排風装置を止めるはずだが、7号機だけ止められていなかった。
地震後に放出されたヨウ素などの放射能は計4億ベクレルと推定される。周辺の人が受ける放射線は法令限度の5000万分の1という。
同社では排風装置を停止したが、放射能の放出が止まったかどうか確認するため測定を続けており、20日午後にも結果が出る。
また、地震計の分析から、同原発の全号機が耐震設計の想定を上回る強い揺れに見舞われたことも分かった。2号機では地下5階の東西方向の揺れが、想定の3倍以上の606ガルに達していた。
東電によると約100台の地震計のうち63台の観測データが、余震のデータで上書きされて消えた。2004年の新潟県中越地震後に設置した30台にはデータが残っており、精度は落ちるが建物や機器の損傷を解析することは可能だという。
余震の上書きによるデータ消失は、今年3月の能登半島地震の際、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の地震計でも起きた。地震計の設定を変えておけば上書きが起きなかった可能性もあるという。(東京新聞 2007/07/20)

柏崎刈羽原電7号機、ヨウ素放出止まる
新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所7号機の主排気筒から放射性ヨウ素が放出された問題で、経済産業省原子力安全・保安院は20日、ヨウ素の放出が止まったことを確認したと発表した。
東電が、排風機を18日に停止した後、主排気筒で収集した試料を分析した結果、ヨウ素が検出されなくなったことを確認した。(読売新聞 2007/07/20)

柏崎刈羽原発:圧力容器で放射能帯びた水漏れ 東電未公表
東京電力は27日、新潟県中越沖地震の揺れのために柏崎刈羽原発1号機の原子炉圧力容器から、放射能を帯びた水が周辺の作業用フロアにこぼれた可能性のあることを明らかにした。地震発生時、1号機は定期検査のために圧力容器のふたがあいていたためで、外部には漏れていない。あふれた水量は不明。この日、同原発を視察した社民党調査団が求めた現状報告に対して明らかにした。東電は事前に把握していたにもかかわらず、これまで公表していなかった。
説明によると、1号機の燃料は検査に伴い、すべて使用済み燃料プールに移され、移動のためにプールと圧力容器をつなぐ水路が開けられていた。このため、両方の水に含まれる放射能は微量という。
これまで、東電は全1〜7号機の使用済み燃料プールから水があふれたことを発表していた。しかし、1号機であふれた水の一部に圧力容器の水が含まれていることは未公表だった。
東電は「隠そうとしたわけではない。すべての号機で作業用フロアに水があふれたのは使用済み燃料プールが原因となっており、説明がしやすかった。1号機の圧力容器とプールの水は同質だったため特に紹介しなかった」と説明する。
元原子炉設計技術者の科学ライター、田中三彦さんは「圧力容器とプールの水の放射能レベルは同じかもしれないが、きちんと公表し、説明しないことは問題だ」と批判する。【田中泰義】(毎日新聞 2007/07/28)

再処理工場で微量被ばく 作業員の足裏にコバルト
日本原燃は24日、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)で、協力会社の50代の男性作業員が右足裏に微量の外部被ばくをしたと発表した。すぐに放射性物質がついた足裏をふき取り、健康に影響はないという。
原燃によると、23日午後7時ごろ、使用済み燃料受け入れ・貯蔵建屋で放射線管理作業を終えた作業員の体を検査した結果、右足裏から放射性物質のコバルトが検出された。被ばく線量は多く見積もって0.01ミリシーベルトで、放射線従事者の皮膚の年間被ばく限度500ミリシーベルトを下回るという。
検査前に作業員が服や靴下を脱いで脱衣所を歩いた際、自分や他の作業員の服などから落ちた微量のコバルトを踏んだことが原因とみられる。脱衣所の床を調べたが、ほかに放射性物質は見つからなかった。(共同通信 2007/08/24)

13年以上も核ずさん管理 米研究所、不完全な一覧表
【ワシントン12日共同】米ニューメキシコ州の核研究開発機関ロスアラモス国立研究所が、貯蔵しているプルトニウムなどの核関連物質の完全な一覧表を13年以上も作成しないまま、ずさんな管理を続けていたことが12日までに、米エネルギー省の監査報告書で分かった。
報告書によると、同研究所は、核テロなどを狙った盗難や外部流出の恐れがある核関連物質の一覧表は一応作成しているが、不完全で、1つ1つを実際に確認して一覧表を作った形跡がないなどの不備があった。
新たに貯蔵された核関連物質の記録がないケースもあり、報告書は知らない間にプルトニウムなどの核物質が流出する可能性があると指摘。研究所に内部システムの改善を促している。
ロスアラモス国立研究所では、昨年11月に元契約職員が重要機密情報を持ち帰ったことが発覚するなど、ずさんな核施設管理の実態が明らかになっている。(共同通信 2007/09/13)

不正続出の東京電力
役員半数超、自民に献金
本紙調べ

原発の検査データ改ざんやトラブルの隠蔽(いんぺい)などの不正が続々発覚した東京電力で、役員17人が自民党の政治資金団体「国民政治協会」に2006年の1年間だけで271万円の献金をしていたことが本紙の調べで分かりました。
国民政治協会が総務省に提出している政治資金収支報告書によると、26人いる役員のうち、会長と社長、6人いる副社長は全員が献金を行っています。
田村滋美会長、勝俣恒久社長がともに最高額の30万円、6人の副社長は24万―12万円、常務取締役が12万―7万円などと、役職により献金額にランクがあるのも特徴です。
電力会社は、ガス会社、銀行などとともに公共性があるため、企業としての献金は行われていません。しかし、こうした事態は事実上の企業献金にほかなりません。
東京電力による原発の安全にかかわる検査データの改ざんなどの不正は、原発が233件、火力、風力を合わせると3852件が報告されています。なかには、原子炉で重大事故が起きたときに作動するポンプが故障していたのに、検査時には正常に見せかけて検査官をごまかすなどの重大な不正もありました。
今年7月の新潟県中越沖地震では、被害を受けた柏崎刈羽原発近くに地震を起こす断層があることを認識していたにもかかわらず、過小評価し耐震設計していました。安易な原発立地と甘い耐震設計で国から認可を受けていました。(しんぶん赤旗 2007/09/16)

核兵器1000発分のプルトニウム、民生用に 米国が表明
ボドマン米エネルギー長官は17日、国際原子力機関(IAEA)の年次総会で演説。米国が核兵器1000発分を上回る兵器用の余剰プルトニウム9トンを処理し、民生用原子炉の燃料にすることを明らかにした。米当局者によると、米国内に建設中の燃料加工施設が2016年に稼働開始の予定で、余剰プルトニウムはプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料に加工されるという。
米国とロシアは00年、核兵器の解体などによって取り出される余剰プルトニウムを34トンずつ処理し、民生利用することで合意していた。ただし、双方ともプルトニウムの処理はまだ始まっていない。米当局者は今回の9トンが00年合意の米国側の34トンの一部として処理されるか、34トンとは別枠の追加措置となるかどうかは、はっきり決まっていないとしている。(朝日新聞 2007/09/18)

情報公開の写真100枚黒塗り 柏崎刈羽原発で保安院
新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発に関し、岡山県の市民団体が経済産業省原子力安全・保安院に情報公開請求して入手した原発施設内などの写真747枚のうち115枚が全面を黒塗りされていたことが26日、分かった。
保安院は、黒塗りの理由について「公共の安全の確保のため、どの部分の写真が黒塗りになっているかも明らかにできない」と説明している。
写真は保安院が7月28日から8月20日まで原発施設内などの被災状況を撮影したもの。岡山の市民団体「核に反対する津山市民会議」が公開請求し、今月23日に入手した。
この市民団体が地震直後に公開請求して入手した際には、公開された写真676枚のうち、黒塗りされていたのは7枚だけだった。(共同通信 2007/10/26)

全米科学アカデミー、核燃料再処理に異議・「リスク大きい」
【ワシントン=藤井一明】全米科学アカデミーの研究チームは使用済み核燃料の再処理を柱とするブッシュ政権の「国際原子力パートナーシップ(GNEP)」について、計画の見直しを求める報告をこのほど公表した。「技術、資金両面でリスクが大きい」とした。GNEPは日本も参加しており、米政府は国内から冷水を浴びせられた格好だ。
報告書は科学アカデミー内で国際的な研究課題を扱う米国研究会議の17人がまとめた。「GNEPは前進させるべきではなく、より妥当な計画と入れ替えるべきだ」と提言。使用済み核燃料の再処理技術が確立されておらず、「エネルギー省が想定するスケジュールを正当化するには時期尚早」との慎重な判断も示した。
GNEPは原子力発電の拡大を背景に国際的な連携の下で技術開発を進める政策。使用済み核燃料を一部の国で管理し、核不拡散の体制を強化する狙いもある。日本、フランス、中国、ロシアなども加わり協議中。実現性に懐疑的な見方も多く、米議会は関連予算の承認を渋っている。(日本経済新聞 2007/11/01)

断層地形、大半を過小評価 柏崎刈羽原発沖で東電
柏崎刈羽原発(新潟県)沖合で東京電力が1970−80年代に実施した海底断層調査で、疑わしい調査地点のうち3分の2を同社が「断層ではない」と過小評価した上、少なくとも4つの断層を見逃したまま原子炉増設を申請した疑いが強いことが14日、同社が開示した調査原記録の分析で分かった。国の安全審査もこの評価を認めていた。
疑われるデータのあった調査地点42カ所のうち東電が「断層あり」としたのは3分の1強の15カ所。原記録を分析した広島工業大の中田高教授(地形学)らは「ほかの27個所でも断層とみられる構造があるのに、常識的にはありえない評価。審査した国の責任も重い」と批判している。
経済産業省原子力安全・保安院は「当時の知見を基に最善の努力を払ったと理解しているが、評価に不十分なところがあった可能性は否定できない」としている。
東電は、判断の根拠は今では分からないとした上で「過小評価という指摘があるが、当時の研究レベルでは最善を尽くしたのだと思う」と釈明。7月の新潟県中越沖地震の発生より前から断層再評価の必要性を認識していたが、間に合わなかったとしている。(共同通信 2007/11/15)

原発周辺の5歳未満児、がん発生率が6割も高い=独
【ベルリンAFP=時事】ドイツで、原子力発電所から5キロ未満の地域に住む5歳未満児が全国平均の6割も高い割合でがんにかかっているとの調査結果が明らかにされた。白血病に限れば、全国平均の117%にも上るという。ただし政府は、原発の放射能によるものとは説明できないとしている。
調査は政府の放射線防護機関が実施。全国の原発所在地、あるいは原発があった場所に近い計21の地域で1980年から2003年までの統計を調べた。その結果、これらの地域では5歳未満の子供ががんにかかったケースが77件あり、全国平均より60%高かった。また白血病は、平均の2倍以上の37件に上ったという。
しかし、この調査結果についてガブリエル環境相は、ドイツの原発が発する放射能の少なくとも1000倍の量を住民が浴びなければこうした結果は出ないと指摘し、原発の放射能が原因ではないとの見方を示した。(時事通信 2007/12/09)

子どもの白血病発病率 原発周辺で2倍以上
【ベルリン=三浦耕喜】ドイツで原子力発電所周辺に住む子どもたちは白血病にかかる割合が高いとする調査結果が発表され、波紋を広げている。現在の安全基準では原発から漏れる放射線の量はごくわずかのはずで、研究者は今のところ原因は不明としている。
この調査は独連邦放射線保護庁がまとめた。ドイツ国内16カ所の原発を対象に、1980年から2003年まで、原発から5キロ以内の住民の健康状態を調査した。その結果、小児白血病にかかった5歳未満の子どもの数は計37人で、同じ人口に当てはめた全国平均である17人の2倍以上に達した。小児がんの発病率も、全国平均48人のところ77人だった。
だが、原発から漏れる放射線の量は、自然界から受ける放射線に比べて低いため、同庁は「放射線と発病との因果関係は認められない」という。原因について、さらなる調査が必要としている。(東京新聞 2007/12/12)

03年にM7級の活断層把握 志賀原発、安全と非公表
北陸電力は17日、志賀原発(石川県志賀町)沖で2003年に行った地層の再評価で、マグニチュード(M)7の地震を引き起こす可能性のある活断層の存在を認識していたことを明らかにした。同社は、当時国が耐震性を定めた旧指針では安全性に問題がないため、発表していなかった。
北陸電によると、経済産業省原子力安全・保安院が全原発周辺について、波打ったり、たわんだりした地形で、活断層が存在すると指摘された「しゅう曲構造」も含めて安全性を再評価するよう指示。その結果、長さ約20キロでM7の地震を引き起こす可能性のあるものを含め、8本が確認された。
北陸電は、いずれも今年3月の能登半島地震の震源地付近ではなかったとしている。
東京電力が03年に行った同様の再評価で、柏崎刈羽原発(新潟県)沖の海底断層を過小評価していたことが発覚したことを受け、北陸電も当時の結果を公表した。(共同通信 2007/12/17)

03年に活断層19本把握 関電3原発周辺の再調査で
関西電力が2003年に行った福井県にある美浜、大飯、高浜の3原発周辺海域の地層再評価で、新たに活断層計19本が見つかっていたことが20日、分かった。
美浜原発から約41キロ離れた海域にマグニチュード(M)7規模の地震を引き起こす可能性がある活断層が1本あるとされ、関電は04年3月までに再評価の結果を経済産業省に口頭で報告したが、自治体などには報告していなかった。
関電によると、日本原子力発電(原電)が敦賀原発3、4号機増設のために行った地質調査の結果を基に、美浜原発(美浜町)の周辺海域で長さ1.8−28キロの断層15本を活断層と判断した。
また、大飯原発(おおい町)や高浜原発(高浜町)の周辺海域でも、以前関電などが行った海上音波探査結果を再評価し、長さ4−6キロの4本を活断層と認定した。(共同通信 2007/12/20)

原発試験片が払底寸前に 想定外長期運転で個数不足
原発の心臓部を包む原子炉容器の健全性を確認するため、運転開始時から容器内に入れてある「監視試験片」と呼ばれる金属板が、設計段階の想定を超える長期運転に伴い、多数の原発で残り少なくなっていることが29日、分かった。
特に30年以上が経過した高経年化原発の一部では使い切る寸前となっており、原子力専門家は「このままでは原子炉容器の安全評価ができなくなる可能性がある」と懸念している。
経済産業省原子力安全・保安院もこの事実を重視し、高経年化原発の長期保全計画策定の際に、試験片の残り数などを報告するよう、各電力事業者に指導している。
原子炉容器は合金製で、運転時に生じる中性子線を常に受けて徐々に劣化する。このため各原発には、容器と同じ材質の試験片が、数十枚を1組としてカプセル状のケースに詰められ、容器内に複数個入れてあり、一定期間ごとに1個ずつ取り出して中の試験片を割るなどして強度を確認している。
電力会社によると、国内の高経年化原発13基のうち、日本原子力発電敦賀1号機と東京電力福島第一1−3号機の計4基は残り1個にまで減少し、次回の試験で使い切ってしまう。関西電力美浜1、2号機と中国電力島根1号機、中部電力浜岡1号機の計4基も残りが2個という。(共同通信 2007/12/30)



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