原子力発電【放射能】

[2001-2004]



「MOX燃料の原爆転用簡単」 英専門家が報告書
【ロンドン30日共同】英国の著名な核物理学者フランク・バーナビー博士が「プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の原爆転用は極めて簡単」とし、核拡散につながりかねない安易な輸送に警告する報告書を英政府に出した。
31日発売の英科学誌ニューサイエンティストによると、博士はMOX燃料から容易にプルトニウム酸化物とウラン酸化物を分離できると指摘。硝酸ランタンや樹脂反応を利用した方法を具体例に挙げた。抽出したプルトニウム13キロで、TNT火薬100トン分の破壊力を持つ初歩的な原爆を製造できるという。(朝日新聞 2001/05/31)

被ばくの実態知って 米の核施設、閉鎖後なお危険性も /福岡
米ワシントン州のハンフォード核施設による放射能被ばく被害の告発運動をしているトム・ベイリーさん(54)が、10日午後6時半から、福岡市中央区今泉1丁目の農民会館で講演する。入場無料。
ハンフォード核施設は第2次大戦中からプルトニウムを作り続け、長崎市に投下した原爆のプルトニウムもここで製造された。
今はすでに閉鎖されているが、大量の高レベル放射線廃棄物の処理などは進んでおらず、廃棄物タンクの爆発などの危険性が残っているという。放射能漏れが指摘されており、風下の地域では乳幼児の死亡率が特に高いとの指摘もある。
ベイリーさんは、母親が、原爆開発計画の科学者側責任者だったオッペンハイマー博士の秘書兼タイピストをしていたという因縁をもつ。父の代から、ハンフォード核施設の近くでリンゴ農園を営んでいる。自分自身もつめの奇形など健康障害を負い、体験者として地元住民の被ばく実態を告発し続けている。
今回は、広島、長崎で開かれる原水爆禁止世界大会に出席するため来日した。県原水協の木村勇事務局長は「自由と民主主義の国で放射能の人体実験などが行われていたことに驚く。国は真実を隠そうとするが、被ばく体験者の証言からその一端を知ってほしい」と話している。
問い合わせは、県原水協(092・741・9146)へ。(朝日新聞 2001/08/03)

原発に壊滅的な被害も
【ウィーン17日共同】ウィーンで17日始まった国際原子力機関(IAEA)年次総会に先立ち、同日会見したIAEAのデビッド・キッド広報官は、米中枢同時テロと同様のテロが西欧諸国の一般的な原子力発電所を襲った場合、「(燃料を満載した)旅客機衝突と火災による被害は壊滅的なものになる可能性がある」と警告した。
同広報官は、原発は旅客機や軍用機の偶発的な事故には耐えられるよう設計されているが、今回のテロのようなケースは想定していないと指摘。「原子炉本体が爆発することはないだろうが、冷却装置が破壊されると内部で水蒸気爆発が起きる可能性がある」と述べた。
しかし、同広報官は、原発は米国防総省(ペンタゴン)や世界貿易センターに比べると小さく上空から視認しにくいため、飛行機で衝突するのはかなり困難だろうと語った。(共同通信 2001/09/17)

大型機によるテロは想定外 米原子力規制委が見解
【ワシントン21日共同】米中枢同時テロ事件で、原子力発電所に対するテロの懸念が高まっていることを受け、米原子力規制委員会(NRC)は21日、原発や核燃料関連施設と大型飛行機を使ったテロに対する見解を発表した。
原発や核燃料の保管施設は今回のボーイング767や同757クラスの飛行機が衝突することは想定外で、施設がこの種の衝突に耐えるようには設計されていないことを認める一方で、事件発生後、核関連施設で厳戒態勢に入り、捜査当局や軍などとも緊密な連絡を取っていると表明。十分なテロ防止対策が取られていることを強調した。
NRCは、原発、核燃料の保管施設や輸送容器などに大型の飛行機が衝突した場合、放射能汚染を招く可能性があることも認めたが、緊急時の防災体制は整備されているとした。
NRCは、今後、大型機衝突と施設の強度に関する解析を進める一方、治安当局などとも協議。施設建設時の基準に、今回のテロのような新たな事態を想定することが必要と判断した場合は、基準の改定も検討するとしている。(共同通信 2001/09/22)

原発にミサイル配備を テロに無防備と米団体
【ワシントン25日共同】米中枢同時テロを受け、米国の市民団体、核管理研究所(NCI)などは25日記者会見し「原子力発電所は大型航空機を使ったテロには無防備で、現在の警戒態勢を強化する必要がある」と指摘した。
NCIなどは、大型航空機によるテロ防止のために、ミサイルのような防空兵器を配備することや、地上からのテロに備えて軍人を常駐させることなどを提言した。
NCIのエドウィン・ライマン博士の試算では、ボーイング757クラスの飛行機が原子炉施設を直撃した場合、飛行機のエンジンなどがコンクリートを突き破って原子炉を損傷する可能性が高い。
同時に予想される火災によって安全装置も機能しなくなり、大惨事につながる。また現在の原発は、複数のグループによる大規模で高性能の武器を使ったテロや、内部に共犯者がいる事態を想定しておらず、今回のようなテロを防ぐには不十分だという。
NCIのポール・レーベンソール代表は「原発に対するテロの危険をこれまでも指摘してきたが、行政の対応は鈍い。日本など他の国の原発についても状況は同じだろう」と指摘した。(共同通信 2001/09/26)

ホームページを全面閉鎖 米原子力規制委員会
【ワシントン12日共同】米原子力規制委員会(NRC)は12日、米国内の原子力発電所や原発の安全対策などの情報を提供していた同委員会のホームページを完全に閉鎖した。
米国内では9月11日の中枢同時テロ事件発生後、政府のホームページから公開情報が次々と削除されているが、ページを全面的に閉鎖したのは異例。
ホームページ中の原発に関する情報が、報復テロに利用されることを恐れたための措置だが、反原発団体などからは情報公開に逆行するものだとの批判も出そうだ。
NRCは事件後、原発の詳細な位置や緊急時の対応プランなどについてのインターネットでの情報提供を中止する対応を取った。だが11日、連邦捜査局(FBI)が報復テロの危険性が高まっていると警告したことなどからホームページを全面閉鎖した。
NRCはホームページ上に「公衆の健康と安全を守るとの委員会の使命にのっとり、サイトで提供している材料の内容を検討している。困難な時なので理解してほしい」とのコメントを掲載している。(共同通信 2001/10/13)

原発の情報管理に反対
「原子力資料情報室」(東京)は15日、テロ対策の名の下に、米国や日本で原発情報が隠されているとして「情報秘密化と威圧的な原発警備に反対する」との声明を発表した。
声明は、10月8日の原子力安全委員会が非公開で行われたことや、米原子力規制委員会がインターネットのサイトを閉じたことなどを指摘。「テロの怖さより飛来物に対する原発の脆弱(ぜいじゃく)さが問われるべきなのに、テロ対策の名で、人々の命や健康、安全にかかわる原発の問題点が秘匿されようとしている」と訴え、閉塞(へいそく)状況からの脱出には「早急に原発を廃止する以外にない」としている。(共同通信 2001/10/15)

仏が核燃料再処理工場に地対空ミサイル配備へ テロ警戒
原子力関連施設へのテロ攻撃を恐れたフランス政府が、世界最大の使用済み核燃料再処理工場がある仏北部ラアーグに地対空ミサイルを配備する方針を決めたと、18日付の地元有力紙ウエストフランスが報じた。他の国内重要施設に対しても同様の措置を検討しているという。
同紙によると、射程約20キロのミサイルを工場の周囲に配備。低空飛行で迫る標的をレーダー誘導で撃墜するという。
リシャール国防相はこの日、「核関連施設や大規模工場を守るための空域を設定する」と説明したが、具体的な対象への言及は避けた。ジョスパン首相は「用心のためで、具体的な脅威があるわけではない」と話した。
工場側は「施設のほとんどは厚いコンクリートに覆われ、普段から軍の警戒の対象にもなっており、民間機を使ったテロへの対策は取られている」との立場だ。
同工場は仏核燃料会社(COGEMA)が運営。日本の原発から出る使用済み核燃料再処理の委託も受けている。(朝日新聞 2001/10/18)

BNFL破産の恐れと英紙
【ロンドン21日共同】21日付の英日曜紙サンデー・テレグラフは、英核燃料会社(BNFL)が老朽原発の廃棄や放射性廃棄物処理などのため約340億ポンド(約6兆円)の債務を抱え、英政府が債務保証を決定しない場合には、数週間以内に破産宣告される恐れがあると報じた。
老朽化し閉鎖される原発の数が増えている上、環境基準も厳しくなっているため、債務は年々膨らむ傾向にあるという。
BNFLは今月初め、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料プラントの操業許可を英政府から得たばかり。
国際環境保護団体グリーンピースなどは採算性の計算法が誤っているとし、許可取り消しを求める訴訟を直後に起こした。(共同通信 2001/10/21)

仏の市民団体が再処理工場の建設中止を県へ申し入れ
国際環境保護団体・グリーンピースジャパンが企画した講演会のため来日している仏の市民団体「怒れる母の会」のメンバー3人が25日、県資源エネルギー課を訪ね、六ケ所村の再処理工場建設を中止するよう求める申し入れを行った。
仏コジェマ社のラ・アーグ再処理工場付近に住むという同会のナタリー・ゲイスマール代表は、同工場周辺の子供たちに小児白血病が多発しているのは放射能が原因−と強調。「六ケ所がラ・アーグのようにならないよう、再処理工場の建設を認めないで」と訴えた。
申し入れ後、一行は弘前市民会館で原子力施設の危険性などについて講演した。講演会は青森市など県内4カ所でも開く予定。(東奥日報 2001/10/26)

低レベル放射性廃棄物 保管費用、年に60億円
核燃・原研、最終処分できず
核燃料サイクル開発機構(核燃機構)と日本原子力研究所(原研)が茨城県や福井県の施設で保管している低レベル放射性廃棄物がドラム缶30万本を突破し、保管費用は年60億円にのぼることが、会計検査院の調べで分かった。廃棄物は安全性の問題で最終処分方法が決まらず、各事業所に保管されている。検査院は、政府に最終処分の方針を早期に策定するよう求めるとしている。
低レベル放射性廃棄物の最終処分は、圧縮したうえでセメントなどで固め、地下に埋設する。商用の原子力発電所の廃棄物は青森県六ケ所村の廃棄物埋設センターで92年から受け入れが始まった。だが、廃棄物の量が多い商用原発優先で、核燃機構や原研など研究開発施設から出る廃棄物は最終処分方法が決まっていない。
指摘によると、核燃機構は前身の原子燃料公社発足から40年以上、低レベル廃棄物を入れた200リットルドラム缶を保管しており、毎年約6000本ずつ増えて、00年度に約16万本に達した。原研も毎年3000本程度増え、00年度で約15万本にのぼった。
両機関では、年間管理費のほか、貯蔵庫の補修や増設、暫定的な中間処理施設の建設のために05年までの10年計画で約570億円が投資されることになっている。

<低レベル放射性廃棄物> 原発など放射性物質を扱う施設で使われた布や紙、洗浄水など。国は放射能の極めて弱いものを一般廃棄物とする新基準の導入を検討している。(朝日新聞 2001/11/05)

1号機老朽化の指摘強まる 原発耐用年数の定めなし
中部電力浜岡原発1号機で、配管破断事故に続いて起きた原子炉漏水事故は、原子炉の中枢である圧力容器内の損傷が原因で引き起こされた可能性が高まったことで、1号機の゛老朽化″を指摘する声が強まっている。
浜岡町役場に11日午後、事態の説明に訪れた経済産業省原子力安全・保安院の広瀬研吉審議官に、同町原子力委員会の委員長が「事故は老朽化が原因ではないのか。原発の耐用年数を40―50年と設定しているが、何が根拠なのか」と詰め寄るなど、現地でも不安が高まっている。
中部電力によると、米国の原子炉施設の機器はライセンス制により耐用年数が定められているが、国内では原則的に年1回の定期点検を通過すれば使用は可能で「耐用年数はあってないようなもの」(中電静岡支店)。
水漏れが起きた制御棒を収納する「ハウジング」は設置以来、25年間交換されておらず、内部の本格的な点検もなかった。
1号機で13年前に起きた原子炉水漏れは、ハウジングと同じ材質、溶接方法をとる配管「インコアモニタハウジング」の溶接部分の応力腐食割れ(SCC)が原因。
市民団体「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」の長野栄一代表は「配管の破断や水漏れは原子炉の『心臓』に寿命がきていることの表れ。1号機と同じ時期に設置された2号機も経年劣化しているのではないか。修理だけで済ませたら同じことの繰り返しになる」と安全性を危ぶんでいる。(共同通信 2001/11/11)

MOX輸送は「テロの標的」 環境団体が反対声明
【ワシントン14日共同】製造データの改ざんが発覚し日本から英国に返還されるプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の海上輸送について、環境保護団体グリーンピースと核管理研究所(NCI)は14日「MOX燃料中のプルトニウムは核兵器などに利用可能でテロリストの格好の標的になる」として、事前同意しないよう米政府に求める声明を発表した。
このMOX燃料は計約255キロのプルトニウムを含んでおり、日本政府は英国への返還輸送について、日米原子力協定に基づき米国に事前同意を要請している。
NCIなどによると、エネルギー省から輸送に関する意見を求められた米国の原子力規制委員会(NRC)は9月11日の米中枢同時テロ事件直前の9月初め、米国の安全保障上の問題はないとの見解をまとめた。
しかし、エネルギー省はNRC以外にも国務省や国防総省の意見を求めており、その後2カ月以上たっても米政府の正式決定には至っていない。テロ事件が影響している可能性もあるという。
両団体は「テロ事件後の国際情勢は非常に不安定になった。エネルギー省は、テロ事件後、米国内のすべての核燃料輸送を差し止めたのだから、公海上の輸送も当然、認めるべきではない」と指摘。米政府や議会に、輸送を承認しないよう求めた。
このMOX燃料は、英核燃料会社(BNFL)が製造、関西電力が高浜原発(福井県高浜町)でのプルサーマル発電用に輸入したが、BNFLでの製造データ改ざんが発覚、日英政府が英国に返還することで合意した。(共同通信 2001/11/14)

地域丸ごと消滅の予想も 原発標的のテロ
【ウィーン28日共同】国際原子力機関(IAEA)が原発の上空飛行禁止を事実上義務化するなど防護強化を進めようとしているのは、米中枢同時テロと同様のテロが原発に仕掛けられた場合、一地域が丸ごと消滅するほどの甚大な被害が出るとの専門家の予想があるためだ。
国際環境保護団体グリーンピースが11月に発表したリポートによると、ドイツの原発に燃料を満載したジャンボ機が突入、炉心部のある建物を直撃した場合、炉心溶融(メルトダウン)が起きる可能性は極めて高く、被害はチェルノブイリ原発事故を上回り「最悪の場合、欧州が消滅する可能性もある」としている。
IAEA内でも同時テロ級を想定して研究した結果、(1)ジャンボ機が炉心部に正確にぶつかる可能性はかなり低いが、否定できない(2)仮に衝突すれば、メルトダウンも含め、周辺地域に甚大な被害を及ぼす?との結論を得て、これまでの防護策の全面的な見直しに着手したという。
原子力工学の専門家によると、原発の設計は偶発的な航空機事故、それも最大で軍用機の衝突しか想定されていない。同時テロのように訓練されたテロリストが燃料を満載したジャンボ機で正確に突入してくれば「世界中で安全な原発など1つもない」(IAEA高官)という。(共同通信 2001/11/29)

ドイツ脱原発法が成立
【ベルリン2日=小松潔】ドイツ連邦参議院(上院に相当)は1日、国内で稼働中の原子力発電所を平均運転期間32年で廃止、新規の原発建設も禁止した脱原発法案を承認した。連邦議会(下院)はすでに通過しており、同法は成立した。国内に19基ある原発は2020年ごろまでに全廃されることになる。
2003年にもドイツ北部で廃止第1号が出る。国外で委託している使用済み核燃料の再処理も2005年半ばで中止する。脱原発政策の推進役だったトリッティン環境相は同法成立後に「原発がテロの標的にされる可能性が高い今、廃止の意義はさらに強まった」と指摘した。
一方、9月の総選挙を最大野党グループの首相候補として闘うシュトイバー・バイエルン州首相は、政権を奪回すれば脱原発政策を白紙に戻すと表明した。原発政策が総選挙の争点になりつつある。(日本経済新聞 2002/02/03)

女川原発2号機で火災 作業員に放射性物質付着
9日午前9時35分ごろ、宮城県女川、牡鹿両町にある東北電力女川原子力発電所の2号機(沸騰水型軽水炉、出力82万5000キロワット)の原子炉建屋地下1階の放射線管理区域で出火、ビニールシート一枚を焼き約6分後に消し止められた。24歳と32歳の男性作業員2人が顔などに軽いやけどを負った。
東北電力によると、作業員2人の顔に微量の放射性物質が付着し、ガーゼでふき取った。作業員が身に着けていた線量計では被ばくはなく「健康には影響ないはずだ」としている。
経済産業省の原子力・安全保安院によると、作業員は顔に何らかの汚染物質が付着、すぐにふき取った。汚染物質は極めて低いレベルで、厳密には被ばく事故に該当しないとみている。
東北電力などによると、作業員が検査作業中に使い終わったスプレー缶約30本を袋に入れ移動させた際、火が出てビニールシートに引火したらしい。建屋などの施設は焼けなかった。外部への放射能漏れなどはなかった。同社や石巻署などが出火原因を調べている。
2号機は昨年12月21日から定期検査中で、原子炉は停止されていた。
東北電力によると、女川原発は1月30日に3号機(沸騰水型、出力82万5000キロワット)が営業運転を開始し、3基体制になったばかり。
2000年2月には、定期検査中の1号機(沸騰水型、出力52万4000キロワット)制御棟の電源室から出火したことがある。(共同通信 2002/02/09)

安全管理に疑問の声 作業は下請け任せか
目に見えぬ放射性物質を扱う原子力発電所で9日、火災が起きた。女川原発2号機で作業員2人がやけど、顔に放射性汚染物質が付着する事態にも、東北電力側は「原因は分からない」を連発。問題の作業工程は、下請け任せだった可能性もあり、同電力の安全管理を問う声が出ている。
出火現場は原子炉建屋内の地下1階にある「制御棒駆動機構補修室」。当時、作業員は、引火性溶剤が入っていた使用済みのスプレー缶を取り扱っていた。
東北電力幹部は会見で「下請け会社に聞かないと作業工程は分からない。作業マニュアルの有無も把握していない」などと語った。
しかし京大原子炉実験所助手の小出裕章さんは「作業現場は汚染の程度が高く、被ばくの危険がつきまとう。なおさら安全な工程が要求される。原発を所有する電力会社が『分からない』では常識的におかしい。どんな現場管理をしていたのか」と指摘。
一方、作業員2人は、身に付けた線量計の数値がゼロで鼻こうの検査でも「被ばくはなかった」という。
小出さんは「顔の皮膚に汚染物質が付いたのは事実。被ばくの程度としては恐らく問題はなくよかったが、念のために体内被ばくがないか尿検査もして確認すべきだ」と話している。(共同通信 2002/02/09)

航空機突入には耐えられず 原発へのテロ対策不十分
【ワシントン14日共同】米原子力規制委員会(NRC)は14日、全米104カ所の原子力発電所に対し、テロ対策として従業員の経歴調査徹底や警備強化などを命令した。しかし米原発監視団体は同日、原子炉建屋が米中枢同時テロのような航空機突入テロには耐えられない可能性があることなど、これらの対策では原発をテロから防ぎ切れないと指摘した。
米連邦航空局(FAA)はすでに原発上空の航空機の飛行を禁止するなどの対策を講じているが、連邦捜査局(FBI)などはウサマ・ビンラディン氏のテロ組織アルカイダが依然テロ攻撃を計画していると警告しており、今回の指摘は、米国だけにとどまらず、日本や欧州など原発を抱える諸国のテロ対策にも影響を与えそうだ。
米原発監視団体「原子力管理研究所」によると、原子炉建屋の厚さ1.2メートル以上あるコンクリート壁でも、燃料を満載した航空機の全速力での突入には耐えられない可能性があるという。
また同研究所は、原発は冷却水確保のため海、河川、湖のそばにあることが多いため、爆薬を積んだ船舶の突入にも対策を講じるべきと指摘した。(共同通信 2002/02/15)

高性能砲の地上配備検討 原発防空で米
【ワシントン14日共同】米原子力規制委員会(NRC)が14日、原子力発電所の警備強化を命令したことに関連し、米国防総省は艦船搭載の機関砲を原子力発電所の周囲に地上配備し、戦闘機の緊急発進との組み合わせで防空能力を維持する案を検討している。
機関砲はファランクスと呼ばれ、毎分4500発を発射。ミサイルが接近した場合に撃ち落とす近接防空システムの中核をなす装備で、米軍のほか自衛隊の護衛艦にも搭載されている。
米軍は中枢同時テロ直後からワシントンやニューヨークなど主要都市や原発の上空で戦闘機による空中警戒待機(CAP)を24時間態勢で続行。ファランクス配備案はパイロットらの過重負担を軽減する意味合いもある。(共同通信 2002/02/15)

ベルギー政府「脱原発」を決定 25年までに全廃へ
【ブリュッセル1日=脇阪紀行】ベルギー政府は1日の閣議で、現在運転中の7基の原発が使用期限を迎えても、新規の原発を建設せず、25年までに全廃する方針を決定した。発電量の58%を原発でまかなうなど原発への依存度が高い同国の決定は、ドイツやスウェーデンに続いて欧州での「脱原発」の流れに弾みをつける可能性がある。
閣議では大災害などの緊急時には運転再開もあり得るとの条件付きで方針を承認した。法案が議会に送られるが、承認されるとの見方が強い。
「脱原発」の方針は、フェルホフスタット首相が率いる連立政権に加わる緑の党など環境保護派の働きかけによるものだ。99年に政権を樹立した際、首相は「脱原発」の基本方針を掲げた。しかし、電力業界などは(1)原発なしでは、温暖化ガスの削減を決めた京都議定書を実施できない(2)有力な代替エネルギー源がなく、電力価格も上昇する可能性がある──と反発し、政策の正式決定は遅れていた。
国際原子力機関(IAEA)によると、同国の総発電量に占める原発の割合は、フランス、リトアニアに次いで世界で第3位。7基の原発は15年から25年にかけて相次いで運転開始から40年間という使用期限を迎える。新規の原発建設は行っていないため、節電とともに天然ガス、水力、さらに風力、太陽などの自然エネルギーなどによる発電で需要をまかなう方針だ。

プルサーマルで日本とも関係

「脱原発」を閣議決定したベルギーでは、99年に誕生した自由党、社会党、緑の党の連立政権下で同年7月、運転開始から40年間たった原発は順次運転を停止していく「段階的廃止」について基本合意していた。だが、その後、具体的な計画づくりは進んでいなかった。
天然資源に乏しいベルギーは70年代の石油ショック後、原発をエネルギー開発の主軸に据えてきた。75〜85年までの間に、出力40万キロワットと100万キロワット級の加圧水型炉(PWR)計7基が稼働している。
だが、80年代後半に8基目の新規原発の立地計画が地元の反対運動で行き詰まった後、同国の核燃料会社ベルゴニュークリア社の新しい混合酸化物(MOX)燃料加工工場の建設計画や、使用済み核燃料の再処理を英仏両国に委託する政策などに反対の世論が高まり、エネルギー政策の見直し論議が続いていた。
日本も、東京電力が福島と新潟の原発で実施を計画中の「プルサーマル計画」に使うプルトニウムとウランのMOX燃料の製造を、ベルゴニュークリア社に委託するなど関係が深い。(朝日新聞 2002/03/02)

米がMOX燃料返還に同意 核テロの危険ないと判断
【ワシントン5日共同】製造データ改ざんが発覚し、福井県高浜町の関西電力高浜原発から英核燃料会社(BNFL)に返還されるプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の海上輸送について、米政府は5日、日米原子力協定に基づいて同意することを日本政府に伝えた。この結果、早ければこの夏にも返還輸送が実施される見通しとなった。
輸送に当たって日英両国は、英国の2隻の武装輸送船を使い、英原子力公社の武装警察隊を乗り込ませることを決定。米政府も「テロリストグループに奪われる危険はなく、米国の安全保障上も、核不拡散上も問題ない」と判断した。
このMOX燃料は、BNFLが製造、高浜原発でのプルサーマル発電用に1999年に輸入したが、BNFLでの製造データ改ざんが発覚、日英政府が英国への返還で合意。プルトニウム生産に使ったウランが米国の管理下にあったことから、米政府の同意が必要となっていた。
輸送計画によると、輸送船には、30ミリ砲3門を備え、有事の際に使う高速の武装ボートも装備する。武装警察隊はライフルや短銃などの火器、高圧電流銃などで武装、ガスマスクも配備するなど、過去2回、英国から日本にMOX燃料を輸送した際と同様の警備方法となる。
米政府によると、このMOX燃料には約3500キロのウランと、255キロのプルトニウムが含まれ、BNFLの工場で燃料からプルトニウムを抽出し、再度、MOX燃料に加工して日本に輸送される。
核不拡散に反対する米市民団体、核管理研究所のトム・クレメンツ代表は「昨年9月11日のテロ事件以降、核ジャックへの懸念が高まる中でのプルトニウムの輸送や利用は、世界の安全保障上、大きな脅威だ」と批判している。(共同通信 2002/03/06)

総事業費3兆9000億円に 日本原燃の再処理工場
日本原燃が青森県六ケ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場について、これまで公表されていた建設費2兆1400億円に加え、完成時から15年後までの諸費用が1兆7600億円かかり、合計事業費が3兆9000億円に達する見通しであることが25日、分かった。複数の電力関係者が明らかにした。
これまで日本原燃は、建設費の見通しだけを発表しており、その後の諸費用は公表していなかった。増加分は電力会社からの再処理委託費に上乗せされるため、将来的には電気料金のコストアップ要因になりうる。
国と電力業界に対し批判が出るのは必至。見通しを公表しない電力業界の姿勢にも問題がありそうだ。(共同通信 2002/03/25)

千島列島・新知島に核最終処分場か 頓挫の計画復活とロ紙
【モスクワ27日共同】27日付のロシア紙イズベスチヤ(早版)は1面トップで、千島列島のシムシル島(新知島)に、ロシア初の核廃棄物の最終処分場が建設される可能性があると報じた。しかし、原子力省はこの建設計画を否定している。
同紙によると、クルチャトフ研究所が数年前に考案したこの計画は、同地域に地震が多く危険との結論から頓挫したとみられていた。しかし今年2月、一部の下院議員が地元サハリン州に計画支持を要請、ロビー活動を本格再開した。
同紙は計画の実現性に懐疑的な見方を示しながらも、最終処分地をどこにつくるかという問題は残されていると指摘。地震の多い日本でも核廃棄物の処分場は建設されていると伝えた。
シムシル島での核廃棄物貯蔵施設建設をめぐっては、原発から出る低レベル放射性廃棄物の処分地に悩む台湾の電力会社が、クルチャトフ研究所などとの間で検討を進めたことがこれまで明らかになっている。(共同通信 2002/03/27)

核処分場建設に否定的 ロシア原子力相
【モスクワ27日共同】ロシアのルミャンツェフ原子力相は27日の記者会見で、千島列島のシムシル島(新知島)に核廃棄物の最終処分場が建設されるとの報道について「低レベル放射性廃棄物の貯蔵施設なら技術的には可能だが、環境団体が許さない」と述べ、現段階での建設に否定的な考えを示した。
また朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との原発建設協力については、北朝鮮側の前向きな姿勢を指摘した上で「具体的な(交渉の)基盤はない」と述べ、交渉に入っているわけではないと語った。
原子力相はさらに、米国が懸念を強めているロシアによるイランの原発建設について「ロシアは核兵器に転用できる技術は与えていない」として、今後もイランへの原子力技術供与を進める方針を強調した。(共同通信 2002/03/27)

原発「後処理」費用、30兆円にも 電事連の長期試算で
原子力発電所で発電をした後の放射性廃棄物処分や発電所撤去、核燃料再処理などのいわゆるバックエンド(後処理)費用が、電気事業連合会による初の長期試算で、2045年までに全国で約30兆円にのぼることが明らかになった。電力自由化で競争が激しくなるなか、電力業界からは、こうした負担を軽くするため、政府の新たな支援策のほか、核燃料再処理計画の凍結を求める声も浮上しつつある。
電力自由化論議の本格化を控え、電事連が中心となって昨年後半から試算を積み上げてきた。
原発の使用済み核燃料から再利用のためのプルトニウムを取り出す再処理工場が、青森県六ケ所村で05年7月に運転開始を予定している。試算はこの工場の稼働期間を40年と仮定し、同工場を止めるまでの総費用を計算した。
また、現在52基が商業運転中の原発についても、稼働期間を40年と想定し、一定の増設を見込んだうえ、解体・撤去のための積み立て費用や高・低両レベルの放射性廃棄物の貯蔵・処分など一連の費用を織り込んだ。
その結果、六ケ所村と全国の原発にかかる総費用は約26兆6000億円に達した。
これには、(1)再処理中に発生する超ウラン元素(TRU)廃棄物の処分(2)再処理工場そのものの解体・処分のための積み立て費用は含まれていない。(1)と(2)については、現在、管理対象の廃棄物となる放射線レベルなど処分基準が制度化されておらず、「ルール次第で大きく変動する」(関係者)ためだ。
概算では、TRU処分を3兆円程度、工場の解体・処分の積み立てを1兆円程度と見積もり、総額は約30兆円という。うち、再処理関係だけで10兆円程度とみられる。
電事連は期間中の原発の総発電電力量は、稼働率を8割と仮定して約16兆キロワット(kW)時と試算しており、1kW時あたり2円弱の負担となる。
原発の撤去や再処理費用の一部は積み立てが始まっており、すでに電気代に織り込まれている費用もある。しかし、電力各社が再処理工場に長期的に支払う費用負担などは含まれていないうえ、事故などで工場の稼働が止まると、人件費や修理費、金利などで毎年800億〜1000億円の損失を生み、新たなコストが加わる。
電力業界はもともと、政府とともに「原発の発電コストは安い」とPRしていたが、後処理に巨額のコストがかかるとの試算は、その主張と矛盾しかねない。すでに、「廃棄物の発生者責任が原則」(経産省幹部)と電力会社の負担を求める政府と、公的支援を求める機運が高まっている電力業界との対立も生まれつつある。
さらに、再処理で取り出したプルトニウムを使ったMOX燃料を通常の原発で使うプルサーマル計画には、各地の抵抗が強いことも重なって、コストの面から計画の凍結を求める意見も業界内外で出始めている。(朝日新聞 2002/03/31)

ドイツ、脱原発法施行 21年ごろには全廃の見通し
ドイツ国内19基の原子力発電所すべてを、段階的に廃棄する道筋を盛り込んだ改正原子力法が、27日から施行された。順調ならドイツの原発は、21年ごろには全廃される見通しという。
同改正法によると、原発の寿命を稼働開始から30年程度とし、寿命になったものから順次廃棄する。新しい原発の設置は認めない。使用済み燃料の再処理は05年7月1日までとする。
代替エネルギーとして、地域に熱と電力を同時に供給するコージェネレーション、太陽光や風力など再生エネルギーの活用などに力を入れる。(朝日新聞 2002/04/27)

チェルノブイリ:甲状腺がんになった子供の人数が33倍強に
【モスクワ田中洋之】タス通信によると、ベラルーシのオスタペンコ保健相は17日、86年に発生したチェルノブイリ原発事故後に国内で甲状腺がんになった子供の人数が事故前の33.6倍に増加していることを明らかにした。大人の甲状腺がん患者数も事故前より2.5〜2.7倍に増えているという。
ベラルーシ甲状腺腫瘍(しゅよう)センターのデミドチク所長によると、同国内で登録されている甲状腺がんの患者数は現在8602人。このうち原発事故の放射能汚染の影響による患者は1677人という。数十年後には事故時に18歳未満だった子供のうち、さらに1万2500人が甲状腺がんになるという専門家の分析もある。(毎日新聞 2002/04/18)

浜岡原発:市民らが運転差し止めの仮処分を申し立て 静岡地裁
中部電力浜岡原発(静岡県浜岡町)について、市民ら1016人が25日、運転差し止めの仮処分を静岡地裁に申し立てた。この種の仮処分申請は浜岡原発では初めて。
「浜岡原発とめよう裁判の会」(白鳥良香代表)の会員と県内外の賛同者らが申し立てた。
会は(1)東海地震(マグニチュード8.0以上と想定)が近く起きる可能性が高い(2)想定震源域の真上にある浜岡原発はこれに耐えられる構造ではない──と指摘。昨年11月に配管破断と炉水漏れ事故が起きた1号機と、同じ構造の2号機(ともに停止中)について「運転開始から20年以上たち、耐震性に問題がある」と運転再開禁止を求めている。稼働中の3、4号機は地震発生まで止めるよう求めている。
会は「事故防止には原発を止めるしかない。中部電力だけでなく、地震に伴う原発問題を無視してきた国や県の姿勢も問いたい」と話している。
これに対し、中部電力は「昨年11月の事故の教訓を生かし、一層の安全確保に全力で取り組んでおり、東海地震への耐震性も十分確保されている」とのコメントを出した。事故原因調査の最終報告書を24日に出した中部電力は、国の評価を待って2号機を夏までに、1号機は10月末までに運転を再開したい意向。【北川仁士】(毎日新聞 2002/04/25)

放射線の影響、孫の代まで マウスの生殖細胞に異常
【ワシントン6日共同】放射線によって起こる生殖細胞異常の発生率は、放射線を浴びなかった子や孫でも、被ばくした親と同様に高くなることを、英国レスター大のグループがマウスを使った動物実験で突き止め、7日付の米科学アカデミー紀要に発表した。
放射線被ばくによる先天異常発生の可能性が、後の世代にまで引き継がれることを示す結果で、グループは「人間への被ばくの影響を考える上で、重要な結果だ」と指摘した。
グループは、生物に与える影響の大きい中性子線と、比較的影響の少ないエックス線をマウスに照射。生まれた子を、放射線を浴びていないマウスに交配、生まれた子(孫)を、被ばくしていないマウスと再び掛け合わせた。そこで、子や孫の精子などの生殖細胞の特定の遺伝子領域に発生する異常の率を調べた。
異常の発生率は、放射線の種類とほとんど関係なく上昇。孫マウスでも、放射線を浴びていないマウスのほぼ3倍になっていることが判明。放射線の影響が、被ばくをした親やその子供だけでなく、少なくとも次の世代の生殖細胞にまで伝わることが分かった。
グループは「生殖細胞の異常が何世代にも及ぶことは、被ばくによる先天異常発生のリスクが、これまで考えられていた以上に大きいことを示唆している」としている。(共同通信 2002/05/07)

東海地震過ぎるまで運転停止を=専門家らが声明−浜岡原発事故
「東海地震が過ぎるまで、震源域にある浜岡原発を止めて」と、村田光平前スイス大使、水野誠一元参議院議員ら3人が20日、東京・永田町で記者会見し、中部電力浜岡原子力発電所の運転停止を求める声明を発表した。
声明は下河辺淳元国土庁事務次官や尾崎行雄記念財団の相馬雪香副会長ら計6人が名を連ね、「東海地震の予知と災害軽減に努力している中で、1号機の事故で原子力への信頼性は大きく損なわれた」として「破局的な事故」の未然防止を訴えている。(時事通信 2002/05/20)

航空機突入でも「大丈夫」 米原発で業界側が調査結果発表
【ワシントン17日共同】米国内の原子力関係企業で組織する原子力エネルギー協会は17日、米国内の原子力発電所はハイジャックされた大型航空機が突入しても耐えられるとのコンピューター解析結果を発表した。
中枢同時テロを受け米国の反核団体が先に、大型航空機が突入すれば大規模な原子力災害につながるとの報告書を発表。米原子力規制委員会(NRC)も、航空機突入の影響解析を始めていた。
同協会は、大型旅客機が、米国防総省に突入したのと同じ時速約480キロで、さまざまな角度から原子力発電所の中心部に突入した時の影響を解析。航空機本体や部品が、厚いコンクリートで覆われた原発中心部や格納容器を突き破ることはないと結論づけた。
また、コンクリートの壁が最も薄い原子炉の上部から急角度で突入したり、480キロ以上の速度で原発を狙って突入することも不可能として、米国内の原子炉の安全性を強調した。(共同通信 2002/06/18)

原発:ハイジャック機衝突の安全性 米国内で論議
【ワシントン斗ケ沢秀俊】同時多発テロ事件と同様に、ハイジャックされた民間機が原子力発電所に衝突しても、原発の中心部は破壊されないとの報告を、米原子力関係企業でつくる原子エネルギー協会が17日、ワシントンで開かれた会合で発表した。一方、核関連の民間シンクタンクは中心部が損傷する恐れがあるとの見解を示し、テロに対する原発の安全性が論議を招いている。
同協会は、ハイジャック機が同時テロで米国防総省に衝突した際の速度と同じ時速約480キロで原発に衝突した場合の損傷をコンピューターで解析した。その結果、原発の中心部で原子炉を包み込んでいるコンクリート製の格納容器は壊れないことが確かめられたという。
世界貿易センターに衝突したハイジャック機は同約800キロだったと推定されている。しかし、「こうした高速で地上近くを飛行すると、操縦者は方向を制御できなくなり、原子炉に衝突させられない」との理由で、高速の衝突を想定した解析は実施されなかった。
これに対し、同席した民間シンクタンク「核管理研究所」の代表は「民間機が同約850キロで衝突したら、原子炉は破壊される」との計算結果を示し、安全性に疑問を投げかけた。
米原子力規制委員会(NRC)も、航空機突入の影響解析を進めることにしている。(毎日新聞 2002/06/19)

原発拒否者リスト:給付金受け取らない住民情報 自治体に提供
資源エネルギー庁の外郭団体「財団法人電源地域振興センター」(東京都港区)が、原子力発電所の周辺地域の住民らに給付される原子力立地給付金の受け取りを拒否した人のリストを、電力会社から受け取り、立地自治体に提供していたことが分かった。拒否者の情報は給付事務を受託している各電力会社が毎年、同センターに報告しているもの。個人の思想信条にかかわる情報が含まれているケースもあった。
原子力立地給付金は、国が原発立地や隣接の15道県の住民や企業に給付するもの。01年度は計約216億円で、電気料金を割り引く形で交付されている。給付事務を受託している各電力会社が、給付時期に合わせて毎年、受け取りの実績を同センターに報告。同センターが原発立地県などに渡していた。
島根県が受け取っていたのは「給付金受領辞退のお客様一覧表」「原子力立地給付金受領拒否のお客さま受付票」「受領辞退申出書」の3種類。お客さま受付票には「原子力発電所に対する思想信条による拒否ではない様子」などと書かれていた。
3種類の資料は、原発立地周辺自治体である松江市で給付金の給付が始まった94年度ごろから、県が給付金の額を確定させ、給付実績を国へ報告するための資料として、センターに依頼し受け取っていた。給付金の辞退は松江市で10件だった。
県土地資源対策課の槙原保課長は「外部には一切流していない。個人情報保護の問題もあり、ここまでの資料は必要ないので、今後は見直しを検討したい」と話している。
また、茨城県では、原発給付金の支給状況を確認する参考資料として毎年3月末、名前と住所、口座番号を載せたリストが、同センターから届けられていた。00年度に転居などで給付できなかった不交付契約者74人のうち、受け取り拒否が理由だったのは2人。リストにはそれぞれ「(99年の)JCO臨界事故の関係で」「来年度から受け取りを拒否」などと付記されていた。01年度は新たな拒否者はいなかった。このほか、北海道や青森、宮城、新潟、福島の各県でも給付辞退者が掲載されたリストを受け取っていた。
同センターの長洲孝勝給付金課長は「電力会社が持ってきたリストを、県が必要と言うから渡していただけ。数字の裏付けとして渡していただけで個人情報としての認識はなかった」と話している。(毎日新聞 2002/06/27)

米首都の被ばくは30万人 核のごみ輸送事故で予測
【ワシントン27日共同】米国のワシントン近郊で原発の使用済み核燃料などの放射性廃棄物を積んだ列車が脱線、放射性物質が漏れ出したら、30万人以上が放射線を浴び、1000人以上が後に、がんで死ぬなどとする予測を、米国の環境保護団体「環境ワーキンググループ」が27日、発表した。
予測をまとめたリチャード・ワイルズさんは「ネバダ州の施設で国内の原発の廃棄物を処分する政府の計画が実施されれば、約40年間で2700回の輸送が行われる。事故の危険は大きい」と指摘した。
グループは、米エネルギー省のデータや事故想定と、同省の放射性物質拡散予測プログラムを利用。米国の大都市近くで、輸送列車やトラックが事故を起こし、廃棄物に含まれるセシウムが漏れ、火災で周辺に広がると想定して、影響を調べた。
ワシントンでは放射性物質が風下約55キロまで拡散。約31万人以上が被ばくし、約1000人が、後にがんで死亡するとの結果だった。シカゴでは被ばくは約35万人、がん死は1200人以上と、影響がさらに大きくなった。(共同通信 2002/06/28)

中部電の経営に打撃 全原発停止でコスト上昇
浜岡原発の再循環系配管にひび割れの兆候が出ていることを国に報告していなかった問題で、中部電力は20日、点検のため同原発3号機の運転を停止した。同社の原発4基すべてが同時に止まるのは初めて。当面は燃料費の高い火力発電に頼らざるをえず、経営に深刻な打撃を与えるのは必至だ。
浜岡原発は昨年秋から今年にかけて事故やトラブルが相次いだ。1、2号機は検査のため停止中で、4号機も夏の電力需要ピークが過ぎたのを見定め、今月4日から定期点検に入ったばかり。
寺沢宏副社長は「4基すべてが運転を停止したのは大変ゆゆしき問題だが、火力発電所を使うので電力供給に支障をきたす状況ではない」と強調する。しかし同原発3号機の停止で、代替として使う火力発電の燃料費が1日に約6000万円増加し「経営には大変な重荷」(寺沢宏副社長)と認める。
需要低迷や電力自由化を背景に9月から平均約6%の値下げに踏み切ったが、原発の運転再開はめどが立っておらず、業績悪化は避けられそうにない。(共同通信 2002/09/20)

原発で水爆の原料を生産へ 米、民生施設を軍事利用
米エネルギー省・核安全保障局(NNSA)は25日、水爆用トリチウムの国内生産体制が13年ぶりに整ったと発表した。テネシー州の商業原発が、国の原子力規制委員会から製造免許を得た。他国に対しては民生用の原子力施設の軍事利用を認めていない米国が、自国内では核不拡散に背を向ける形となる。
免許を得たのは、テネシー渓谷開発公社が持つワッツバー原発。商業運転中の軽水炉内に原料を入れ、中性子を照射してトリチウムをつくる。開始の時期は明らかにされていないが、同原発でできたトリチウムの精製工場は06年から稼働する。
トリチウムは、水爆のエネルギー源となる核融合反応に欠かせない。弾頭の保管中に変質して12年ほどで半減するため、爆弾の設計性能を保つには定期的な補充が必要になる。
米国はかつて、軍事用のトリチウム生産施設を持っていたが、冷戦後の核軍縮の流れを受けて89年に生産施設を閉鎖。現在は備蓄していたトリチウムを取り崩している。
NNSAのブルックス臨時局長は「このままでは備蓄が底をつく。米国の安全保障は有効な核抑止力の保持にかかっており、今回の製造再開はそれを担保するものになろう」と述べた。(朝日新聞 2002/09/26)

ずさん運転、米原発でも 容器腐食の兆候見逃す
【ワシントン3日共同】米オハイオ州のデービス・ベッセ原発の加圧水型原子炉で今年初め、腐食による劣化で圧力容器に穴が開く寸前になったトラブルで、米原子力規制委員会(NRC)は3日までに、異常なデータが得られていたにもかかわらず、その兆候を見過ごして運転を続けるなど10件の違反が確認されたとの中間報告書をまとめた。
NRCによると、同原発では過去数年にわたって、圧力容器の上部付近で腐食につながるホウ素濃度の異常値などが検出されていたにもかかわらず、対策を取らずに運転を続けていた。
また、2月末に格納容器上部のノズル付近で圧力漏れが発生、異常が確認される端緒となった際にも、原発を管理するファースト・エナジー社は、定められた時間内に原子炉を停止しなかった。(共同通信 2002/10/04)

小柴氏が昨年本紙でITER反対訴え
ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊東大名誉教授は、2001年2月、ITER(国際熱核融合実験炉)の国内誘致に関する本紙の取材に応じ「ITERが新しいクリーンなエネルギーの開発につながると考えたら大間違い」などと、明確に反対の立場から持論を展開していた。東大本郷キャンパス内で約1時間、穏やかな笑みを浮かべながら取材に応じた小柴氏だったが、ITERの問題点に話題が及ぶと、一転厳しい口調となった。
“夢のエネルギー”と呼ばれる核融合については「重水素とトリチウムをぶつけてエネルギーを取り出せる核融合炉を本当に造るとすれば、経験したことのないような強力な中性子が大量に出てくる」と説明。「どうやってそれに耐える炉壁を用意するのか」と、中性子が炉壁を直撃して放射線損傷を起こすという構造的欠陥を指摘した。
また「実際に使える核融合エネルギーというのは、今から20年、30年と地道な研究が必要だ」とも述べた。
誘致の理由として、本県や六ケ所村が地域振興につながる点を挙げていることに対しては「甘い夢を見すぎている。大きな施設を抱えたけど、結局モノにならなかったらどうするのか」と、疑問を投げ掛けた。(東奥日報 2002/10/09)

仏産キノコから放射能 都が回収指示
東京都は8日、フランス産の生鮮キノコ「ピエ・ド・ムトン」=和名・鹿の舌(かのした)=から食品衛生法の基準の1.6倍の放射能を検出したと発表した。都と中央区は輸入業者の「アルカン」(中央区)に対し、回収を指示した。
都によると、キノコは同社が10月に45キロを輸入、すべてを東京や神奈川、愛知、福岡県などのホテルやレストランなどに販売済みだった。
検出された放射能濃度は基準値の1.6倍の1キロ当たり590ベクレルで、健康への影響はないという。
都はチェルノブイリ原発事故以降、欧州から輸入される食品の放射能検査をしてきた。年間700検体の検査をしているが、検出はスウェーデン産トナカイ肉(1989年)やフランス産キノコ(94年)に次いで3回目。国も検疫所で検査しており過去約50検体から検出している。(共同通信 2002/11/08)

延命か破綻か、経営危機の英原発会社めぐり議論
経営危機に陥っている英原子力発電会社ブリティッシュ・エナジー(BE)をめぐり、英政府が難しい対応を迫られている。緊急融資で延命させているが、29日がその期限。英政府は救済を検討している模様だが、破綻(はたん)させるべきだとの声も強い。
英国は90年に電力自由化に乗り出し、国営電力事業を民営化してBEなどに分割・再編。電気を売買する卸売り市場もつくった。だが、期待されたほど卸売価格が下がらなかったため、01年3月により競争的な仕組みを導入。卸売価格は1年で2割以上も下がった。
BEはこの環境変化に追いつけず、電気を売れば売るほど赤字が膨らむ状態に陥り、今夏、経営危機が表面化した。年間3億ポンド(約600億円)を超える使用済み核燃料の再処理・貯蔵費用も業績悪化の一因になった。
英政府は9月、リストラ策の作成を条件に6億5000万ポンドの緊急融資を実施した。原発の安全性にかかわるためだけでなく、BEが電力供給の約2割を占め、破綻すれば「すぐに電力価格が上昇する」(英紙オブザーバー)懸念があったからだ。
英国内では、融資期限切れを前に「国有化という救済が忍び寄ってきている」(英紙ガーディアン)との見方や政府機関による債務肩代わり案も取りざたされている。
しかし、救済措置には「(原発という)危険で高価なエネルギーはもう必要ない」(国際環境団体グリーンピース)といった批判が根強い。与党・労働党系のシンクタンク「社会主義環境資源連合」のマーク・ジョンストン氏も、朝日新聞の取材に「政府はBEを破綻させ、原発から他のエネルギーへの転換を急ぐべきだ」と説いた。(朝日新聞 2002/11/24)

電力自由化:原発の扱い結論出ず コスト面で不利に
総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会が27日まとめた電力自由化の枠組みでは、自由化の範囲や制度が決まったものの、原子力発電と電力自由化をどう両立させるかについては結論が得られなかった。電力の自由化が進むと、コスト面で原発は不利な立場に追い込まれる。政府は05年末をめどに核燃料サイクルを含む原子力発電の収益性や官民の役割分担を改めて検討することになったが、電力会社は「原発が本当に優位なのかオープンに議論したい」としており、自由化をきっかけに原子力政策が方向転換する可能性もある。
電力の自由化で、新規参入の電気事業者の大半は、余剰の石炭火力発電所を利用してコストの安い海外炭を燃やし、安価な電力を供給する。これに対し、既存の電力会社は1基約4000億円と膨大な初期投資のかかる原発を「国策」として建設し、40年間以上の長期にわたる運転で採算をとろうとしている。
このため「原発は短期的にはコスト面で不利だ」と電力会社は主張。政府は原発の発電コストが1キロワット時当たり5.9円で、石炭火力の同6.5円より安いとしているが、電力会社は「現実的でない」と反発している。使用済み核燃料の再処理など核燃料サイクルを含めるとコスト面や安全面で未知の領域もあり、「原発にこれ以上、手を出したくない」というのが電力会社の本音だ。
電力自由化が進むにつれ、初期投資がかさむうえ、トラブル続きの原発は電力会社にとっては重荷となりつつある。05年末に向けた政府の原子力政策の検討会の中で、電力業界は「自由化問題と原子力政策のあり方を原点に返って議論し、現実的な選択をすべきだ」(電気事業連合会幹部)と主張している。【川口雅浩】(毎日新聞 2002/12/27)

もんじゅ訴訟:設置許可は無効 住民側全面勝訴 高裁金沢支部
核燃料サイクル開発機構(核燃機構、旧動燃)の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(出力28万キロワット)=福井県敦賀市=を巡り、周辺住民32人が国の原子炉設置許可処分の無効確認を求めた行政訴訟の控訴審判決が27日、名古屋高裁金沢支部であった。川崎和夫裁判長は、国側の主張をほぼ全面的に認めた1審・福井地裁の判決を取り消しし、「炉心崩壊の恐れがある」として設置許可を無効とした。許可にあたり行われた安全審査の内容に重大な違法があったと判断した。もんじゅの安全審査の全面やり直しの必要性も指摘した。住民側の完全勝訴で、高速増殖炉をかなめとする「核燃料サイクル」を中心に位置づけるわが国の原子力政策は、見直しを迫られることになる。全国各地で争われている原発訴訟で、住民側が勝訴したのは初めて。
もんじゅは、95年にナトリウム漏れ火災事故が発生して以降、運転停止中。プルトニウムを増やし、使用済み核燃料から取り出して再び燃料に使う核燃料サイクルの研究開発はストップしている。ナトリウム漏れ対策の強化を中心とする改造工事のための原子炉設置変更が昨年12月、国に許可された。福井県など地元が工事に合意するかどうかの判断が注目されており、今年4月の同県知事選でも大きな争点として浮上する可能性が出てきた。

■文科省「決内容を検討し対応決める」
核燃料サイクル開発機構を所管する文部科学省核燃料サイクル研究開発課は「判決の内容がくわしく分からないので、現段階でのコメントは避けたい。判決内容を検討したうえで、関係各省が協議のうえ、対応を決めることになるだろう」と話した。

■保安院「信じられない」
逆転敗訴の判決に、経済産業省原子力安全・保安院には驚きの声が広がった。訟務室にこもっていた渡辺格・核燃料サイクル規制課長は判決の連絡を聞いて、すぐさま部屋を飛び出し、保安院次長室に駆け込み敗訴の報告をした。保安院内の関係各部からは「え? うそ」との声が漏れた。渡辺課長は「判決を聞いたばかりなので、くわしい分析はこれからだ。信じられない」と話した。

■判決骨子
・ナトリウム漏えい事故などで2次冷却漏えい事故についての本件安全審査には、床ライナーの健全性(腐食の可能性)などに関する安全評価に看過し難い過誤、欠落がある。その結果、すべての冷却能力が失われる可能性がある。
・細管が相次いで破損する高温ラプチャ現象による破損伝播(でんぱ)の可能性は審査されておらず、本件原子炉施設の蒸気発生器では、高温ラプチャ発生の可能性を排除できない。「蒸気発生器伝熱管破損事故」について原子力安全委員会の本件安全審査の調査審議及び判断の過程には、看過しがたい過誤、欠落があった。その結果、出力の異状な上昇と制御不能を招き、炉心崩壊を起こす恐れがある。
・本件安全審査の評価には欠落のあることが認められ、炉心崩壊事故という重大事故の評価に直接かかわるため、看過し難い。
・原子炉容器内の放射性物質が外部環境に放散される具体的な危険性を否定できないことは明らか。(毎日新聞 2003/01/27)

ベルギーで原発全廃法案が成立 稼動7基、25年までに
ベルギー上院は16日、運転中の原子力発電所7基を25年までに全廃する法案を賛成多数で可決、同法を成立させた。原発が使用期限を迎える15年ごろから順次、運転を停止、解体する方針だ。
欧州ではドイツやスウェーデンが「脱原発」の方針を明確にしている。同国は発電量の6割近くを原発に依存しているが、将来は、他国からの電力輸入や省エネ、天然ガス・風力発電などで代替していく計画だ。
ベルギーは70年代から原発開発に力を入れ、加圧水型炉を建設してきた。だが、近年、新規原発の立地計画が反対運動で行き詰まり、99年には環境保護派を含む連立政権が成立し、「脱原発」の基本方針を掲げていた。法案は02年3月に閣議決定され、昨年12月に下院を通過していた。
ただ、経済界は反発しており、5月に予定されている総選挙後に成立する新政権に運転停止、解体時期の見直しなどを求めると見られている。(朝日新聞 2003/01/18)

もんじゅ訴訟「原子力必要か考える必要」 奥田経団連会長
日本経団連の奥田碩会長は27日の会見で「もんじゅ」の判決に関連し、「日本のエネルギー政策全体を考えた時、原子力がいるのかいらないのか、考えてみる必要があるのではないか」と述べた。経済界トップが原子力推進に慎重な考えを示すのは初めて。
奥田会長は「原子力だげでなく石炭、石油、ガスもある。燃料電池もどれだけ進歩するかわからない。原子力だけが国のエネルギーの中心をなすべきか、将来の変化を読んでやっていくべきだ。今回の判決は考えるきっかけになる」と政府に政策見直しの必要性を訴えた。【川口雅浩】(毎日新聞 2003/01/27)

東海再処理施設、プルトニウム206キロが「不明」
核燃料サイクル開発機構の東海再処理施設(茨城県東海村)で、1977年の操業開始から昨年9月末までに累計206キログラムのプルトニウムが見掛け上“行方不明”になっていることが28日、分かった。処理工程で生じる廃液への混入など計量上の誤差が原因という。同機構は「不正な持ち出しなどはなく、今後計量方法などを改善する」としている。
同日開いた原子力委員会で文部科学省が報告した。国際原子力機関(IAEA)にも既に報告済みという。
東海再処理施設は原子力発電所の使用済み核燃料を処理してプルトニウムを取り出す施設。受け入れた使用済み燃料に含まれるプルトニウム量と、回収したプルトニウム量を比較したところ不足が判明した。
文科省や同機構によると、不明分のうち72キログラムは同施設内で保管している廃液に混入したとみられ、29キログラムは放射性崩壊で別の元素に変わったとみられる。また使用済み燃料に含まれるプルトニウムの量が推定値と異なる可能性もあるという。(日本経済新聞 2003/01/28)

再処理工場不良溶接の疑い16カ所
日本原燃が建設中の六ケ所再処理工場で、貯槽の内張り溶接を請け負った業者が不良溶接を行ったと証言していた問題で原燃は5日、事前調査で不良溶接が疑われる溶接個所16カ所を発見したと発表した。原燃は3日から着手した本格点検などを踏まえ、不良溶接の有無を最終的に確認する。また漏水を起こした使用済み核燃料貯蔵プールを含む同燃料受け入れ・貯蔵施設の点検では、不良溶接の指標となる不自然なグラインダー痕がこれまでに297カ所見つかったと公表した。
再処理工場の事前調査は薬品や水などの貯槽25基が対象で、県と六ケ所村が立ち会う本格点検に先立ち原燃が実施。溶接跡を削り落としたようなグラインダー痕が見つかったため、溶接業者の証言などを基に詳細調査を行った結果、9基の貯槽で不良溶接の可能性があるグラインダー痕16カ所を発見した。内訳は継ぎ足し溶接の恐れが4カ所、肉盛り溶接の恐れが10カ所、溶接部追加の恐れと補修溶接の恐れが各1カ所だった。
また不良溶接の疑いのある個所が見つかっていない貯槽16基のうち2基は事前調査未実施で、別な2基は事前調査を実施中だ。このため、今後の本格点検で不良溶接の疑いがある個所が増える可能性もある。
一方、1月7日から本格点検を行っている受け入れ・貯蔵施設では、点検対象となる全溶接線(総延長約14キロ)のうち22%(3.2キロ)で表面点検を終えた。原燃は「見つかったグラインダー痕すべてが不適切溶接なわけではない」と話している。(東奥日報 2003/02/06)

米、国家戦略で「水素エネルギー社会」推進──2020年ごろに転換
【ワシントン=吉田透】ブッシュ米大統領は6日、国家戦略として「水素エネルギー社会」の実現に取り組む考えを表明した。石油に依存する社会システムを変革し、2020年ごろに水素を主要エネルギー源の1つにする構え。水素を利用する燃料電池自動車の商業化を官民協力で推進するほか、今の原子力よりクリーンとされる核融合発電の実用化を目指す。
水素燃料電池自動車の実用化に向け昨年始めた「フリーダム・カー計画」と、水素の生産・貯蔵技術の開発や水素ガススタンドの実用化などを目指して今年から着手する「フリーダム・フューエル計画」の2つが中核プロジェクト。
今後5年に総額17億ドル(約2000億円)を投じ、うち12億ドルをフリーダム・フューエル計画に充てる。両プロジェクトとも民間の活力を全面的に活用する方針だ。
水素エネルギー社会の実現を目指すのは、エネルギー自給率の向上と地球温暖化の防止が狙い。米エネルギー省の試算によると、水素利用の燃料電池自動車の普及により2040年には現在の米国の年間原油輸入量(日量約1100万バレル)に匹敵する石油を節約できる。2酸化炭素の排出量も年間5億トン(炭素換算)減らせる。
水素燃料電池自動車では日本が先行。トヨタ自動車とホンダが世界に先駆けて市販の燃料電池乗用車を納車したが、大統領は水素エネルギーで「米国が世界をリードする」と強調し、本格的な巻き返しに出る考えを強調した。
核融合反応をエネルギー源として利用する核融合発電の実用化に向けては、日欧ロシアなどが参加する国際熱核融合実験炉(ITER)計画に全面的に復帰する方針を改めて示した。(日本経済新聞 2003/02/07)

参照:燃料電池自動車の早期普及を目指すブッシュ大統領
(WIRED NEWS 2003/02/10)

原子炉使って水素生産? 米ブッシュ政権が新計画
【ワシントン16日共同】燃料電池への利用などで需要増加が予想される水素を、原子炉を使って作り出そうという新プロジェクトを米国が始めることになった。原子炉が出す高熱を使い、大量の水素を生産する技術の実用化を目指すという。原子力や核融合など、巨大エネルギー技術志向が強いブッシュ大統領ならではの計画だが、専門家の中には「効率のよい生産法は他にもある」と、実現を疑問視する声も。環境保護団体も「原子炉で作った汚い水素はいらない」と批判的だ。「原子力水素イニシアチブ」と名付けられたこの計画は、米エネルギー省が2004会計年度から始める。1000度近くの高温が得られるガス炉と呼ばれる原子炉を建設し、高温で水を水素と酸素に分解する「熱化学没で水素を作る計画だ。08年に試験プラントを建設、15年の商業化を目指す。同省は04会計年度に400万ドル(約4億8000万円)を要求した。(共同通信 2003/02/17)

化学物質、放射性物質の発がん危険性、赤ちゃんは10倍
子供たちは大人に比べて3〜10倍も化学物質に弱い──。米環境保護局(EPA)は初めて、大人と子供の違いを考慮した発がん危険性評価の指針案をつくった。3日から意見を募って、夏ごろ正式にまとめる。
指針案は、2歳未満の乳幼児と胎児の場合、化学物質や放射性物質で将来がんになる危険性が大人の10倍、2〜15歳の子供は少なくとも3倍だとしている。
成長の過程にある子供たちは、大人に比べ、化学物質や放射性物質によって遺伝子が突然変異を起こしやすい。動物実験の結果や、広島や長崎の被爆者の健康調査などのデータをもとに数字をはじき出した。
86年にできた既存の指針は、大人と子供の違いを考慮していない。新指針ができれば、環境汚染物質の環境影響評価がより厳密になる。ロイター通信などによると、複数の環境保護団体は「弱い立場の子供たちがようやく守られる」と新指針案を評価している。(朝日新聞 2003/03/04)

ITER誘致に「反対」 見直し求め嘆願書──ノーベル賞受賞の小柴昌俊さん
日本、欧州、ロシアなどが進める国際熱核融合実験炉(ITER)計画に対し、計画に批判的な物理学者が誘致の見直しを求める嘆願書を内閣府などに提出していたことが17日、分かった。
内閣府によると嘆願書は今月11日に届けられたといい、長谷川晃・元米国物理学会プラズマ部会長と、ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊・東京大名誉教授の連名。誘致反対の理由として、多量の放射性廃棄物が出ることなどを挙げている。
ITERは未来のエネルギー源とされる核融合が科学的、技術的に実現可能かを検証する施設で、炉本体の建設費は約5700億円。【金田健】(毎日新聞 2003/03/18)

核燃機構の不明プルトニウム、問題なしと判断・文科省
核燃料サイクル開発機構の東海再処理施設(茨城県東海村)で、1977年から2002年9月末までに累計206キロのプルトニウムが行方不明になっていた問題で、文部科学省は実際の不明量は59キロで、測定・計算上の誤差と見なして問題ないとの報告をまとめた。1日午前の原子力委員会に報告した。
原子力発電所から持ち込んだ使用済み燃料に含まれるプルトニウム量と、同施設で回収した量に食い違いがあるのが1月に判明し、文科省とサイクル機構、国際原子力機関(IAEA)が共同で調査していた。(日本経済新聞 2003/04/01)

チェルノブイリ原発、原子炉の封鎖壁崩落の恐れ
【モスクワ22日ロイター】ロシアのルミャンツェフ原子力相は、1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所の原子炉爆発事故を受けて、放射性物質の拡散を防ぐため作られたコンクリート壁が、崩落する可能性があることを明らかにした。
同相は事故からほぼ17年を経過するこの日、記者会見し、「屋根、あるいは、むしろ屋根を支える壁面が崩落し得る状況が見受けられる。(コンクリートの)石灰質に多くの穴がみられる」と語り、コンクリート自体からも放射能が漏れている、と付け加えた。
また同相は、現在監視チームから報告を受けているとした上で、「壁面は(当時の)放射能のなか、厳しい状況で建設された。作業員たちは危険から逃れるため、迅速に作業しなければならなかった。この壁面を、さらに封印する必要がある」と指摘した。
この事故は、4つの原子炉のうちの1つが爆発して、欧州など広範囲に放射性物質が拡散。史上最悪の原子炉事故となった。(ロイター通信 2003/04/23)

被ばく:原発作業で骨髄腫 大阪の男性が労災請求
原発内の配管工事やその監督で被ばくし、骨髄がんの一種の多発性骨髄腫になったとして、元プラント建設会社社員、長尾光明さん(77)=大阪市西淀川区=が13日までに、富岡労働基準監督署(福島県富岡町)に労災認定を請求した。多発性骨髄腫の労災認定例はないが、原爆症では認定例があるうえ、被ばく量は、同じ骨髄のがんである白血病の労災認定基準を超えている。専門医は「労災認定の理由が十分にある」と訴えている。
多発性骨髄腫が進行すると、全身の骨の融解が起こり、突然、骨折したりする。さまざまな臓器に障害も起こる。
長尾さんが所持する放射線管理手帳によると、77〜82年の4年3カ月間に、福島第1原発(福島県)、新型転換炉「ふげん」(福井県)、浜岡原発(静岡県)で作業に従事し、70ミリシーベルト被ばくした。年間の被ばく量は電力会社の社員の平均に比べ3〜8倍、下請け労働者の平均と比較しても1.5〜3.5倍だった。86年に退職したが、前歯や首の骨が折れた98年、兵庫医大で多発性骨髄腫と診断された。
原爆症などに詳しい村田三郎・阪南中央病院内科部長兼放射線科医長の意見書によると、00年に明らかにされた米国の原子力関連施設の労働者の調査では、累積被ばく量が50ミリシーベルトを超える人の多発性骨髄腫による死亡率は、同10ミリシーベルト以下の人に比べて約3.5倍高い。旧厚生省原爆医療審議会による原爆症の認定基準では「原爆放射線起因性」がある病気として多発性骨髄腫が記載され、過去10年間で17人が認定された。
厚生労働省の労災認定基準では、白血病の場合、「5ミリシーベルト×従事年数」以上の被ばくをし、発病は被ばく開始から1年以上という条件がある。多発性骨髄腫はこの基準が適用される病気として明示されていないが、長尾さんの場合を白血病に当てはめると、基準の約3倍の被ばくをしたことになる。
原発作業では白血病で過去5人が労災認定されている。
長尾さんは「鎖骨が溶けるなどして冷え込む日は上半身が痛くてたまらない。原因は被ばくしか考えられない。認定してもらい、他の被ばく労働者にも道を開きたい」と話している。【大島秀利】(毎日新聞 2003/05/14)

東海地震の第1人者、浜岡原発「極めて危険」
「直下でマグニチュード(M)8の地震がおきる浜岡原発は、極めて危険な状況だ」。茂木清夫・前地震防災対策強化地域判定会長が1日、札幌市で開かれている地震の国際学会で、中部電力の浜岡原発(静岡県浜岡町)について、こう警告した。東海地震の第1人者による、学術集会としては異例の発言に、注目が集まった。
茂木さんは元東大地震研究所長で、96年まで判定会長、01年まで地震予知連絡会長を務めた。
英語で約30分間講演。世界中の原発の分布図と、地震の起きている場所をスライドで重ねあわせて、「M8の地震が起きるとわかっているところなのに、原発があるのはここだけ」と、浜岡原発の異常さを際だたせた。
政府や中部電力が「大地震は想定ずみ」としていることに対し、茂木さんは「揺れ、岩盤の壊れ方など大地震のことはわかっていないことが多い。地震のたびに、想定外のことが起きている」と、技術者の慢心を心配した。
茂木さんが浜岡原発に関心を持ったのは、01年に起きた1号機の配管破断以降。「それまでは警戒宣言の問題に集中していたが、原発を調べてみると平気でいられる問題ではなかった。地震の専門家として発言する責任を感じた」という。
発表したのは、国際測地学・地球物理学連合の総会。この分野ではもっとも伝統ある会で、4年に1度開かれ、アジアでは初の開催。日本学術会議などが主催した。世界99カ国から約4500人が参加、11日まで開かれている。(朝日新聞 2003/07/01)

「浜岡原発は最も危険」 東海地震を想定し警告
地震による原発事故の恐れなどを研究している石橋克彦・神戸大教授は7日、札幌市で開催中の国際測地学・地球物理学連合総会で「最も危険なのは、東海地震の想定震源域の真上にある浜岡原発だ」と述べ、浜岡原発(静岡県浜岡町)の危険性を警告した。
石橋教授は、東海地震が起きると浜岡原発を5−10メートルの津波が襲い、地殻が約1メートル隆起するというデータを示した。さらに地震による災害と、それによる原発事故の複合災害を「原発震災」と名付け、「原発事故の救助復旧活動さえできなくなる。日本にとって致命的で、全地球規模の災害」とした。
石橋教授によると、日本には52基という世界で3番目の数の大型原子炉が稼働しているが、同様に多くの原発が稼働するドイツ、フランスと比べ、地震の発生数がはるかに多い。「柏崎刈羽原発(新潟県)や、島根原発(島根県)、福井県の若狭湾岸の原子力施設も危険性が高い」と指摘した。(共同通信 2003/07/07)

原発は基幹電源として推進 エネルギー計画の概要判明
長期的なエネルギー政策の方向性を示す経済産業省のエネルギー基本計画の概要が14日、明らかになった。昨年6月に成立したエネルギー基本法に基づく初の計画で、地球温暖化防止の立場から、原子力発電を「今後とも基幹電源と位置付け引き続き推進する」と明記し、天然ガス利用促進を盛り込んだのが特徴だ。
石油の過度の中東依存を解消するためパイプライン建設でロシアとの協力も進める。18日に開く総合資源エネルギー調査会の基本計画部会に報告する。
計画は、原発推進の理由として(1)燃料のエネルギー密度が高く備蓄が容易(2)使用済み燃料を再処理して再利用できる(3)二酸化炭素などを排出せず環境負荷が少ない−などを挙げた。ただ、東京電力によるトラブル隠しなど批判も多いため国民理解の重要性も強調、「国が前面に出て説明責任を果たす」とした。(共同通信 2003/07/14)

自然界の400倍以上で早死に=マウスの放射線照射実験−環境科技研
文部科学省の外郭団体、環境科学技術研究所(青森県六ケ所村)は30日、マウスにごく弱い放射線を長期間照射する世界初の実験を行ったところ、累積の放射線レベルが自然界の400倍以上になると、がんなどで早く死ぬ傾向が表れたと発表した。自然界の20倍では寿命に影響はなく、原子力発電所などに現在適用されている放射線防護基準が適正であることが分かったという。(時事通信 2003/07/30)

低線量放射線「寿命に影響なし」
六ケ所村の環境科学技術研究所(大桃洋一郎理事長)は30日、低線量放射線が生物の寿命に与える影響に関する研究結果を発表した。1995年からネズミ4000匹を使って続けてきた実験で、自然界の20倍程度の放射線を400日間にわたり浴びたネズミは、放射線を浴びないネズミに比べ寿命にほとんど変化がないことが分かった。しかし線量が増えるに従い、ネズミの寿命が短くなる傾向がみられた。
環境研によると、低線量放射線と寿命の関係を明らかにしたのは世界初という。研究論文は近く米の放射線研究の学術誌に掲載される。
実験は、生後8週のネズミを1000匹ずつ4グループに分け、うち3グループにレベルの異なる放射線を照射。放射線を照射しない一グループと寿命を比較した。
1日の照射時間は22時間で、照射期間終了後もそのまま飼育、昨年4月までに4000匹すべてが死亡した。
各グループの寿命を比較した結果、最も少ない0.05mGy(ミリグレイ)の放射線を毎日浴びたグループは、放射線を浴びないグループ(平均寿命約3年)とほぼ同じ寿命だった。この線量は自然界の約20倍で、日本と欧州の間を航空機で往復する際に浴びる程度の線量という。
胸部エックス線検診を数回受診したのと同等の1mGyの放射線を毎日浴びたグループはメスだけに約20日の寿命短縮がみられた。胃エックス線検診を数回受診したのと同等の20mGyを毎日浴びたグループはオス、メスとも100日以上寿命が短縮した。
ネズミの死因は研究グループが解析を進めているが、放射線を浴びた結果、非胸腺リンパ腫というがんの発生が早まったとみられるという。
環境研の松本恒弥生物影響研究部長は「実験の結果、原子力施設作業従事者の被ばく線量限度を定めている国際基準が妥当であることが裏付けられた」と話している。(東奥日報 2003/07/31)

原子力委、プルトニウム利用推進を確認
国の原子力委員会は5日、プルトニウムを通常の原子力発電所で燃やすプルサーマルや高速増殖炉の開発を柱としたプルトニウム利用政策を推進する姿勢を改めて確認した。東京電力の原発トラブル隠しなどでプルサーマル計画は実施のメドが立っていないが、ウラン資源の有効活用などの観点から国として推進する必要があるとした。
原子力委は東電のトラブル隠しを受け、昨年11月から原発立地自治体の首長や電力事業者、学識経験者らの意見を聞き、同委としての見解をまとめた。プルサーマル計画を推進する一方、「余剰プルトニウムを持たない」とする国際公約を守るため、電力会社などにプルトニウム利用計画を毎年公表するよう求める。
1月の名古屋高裁金沢支部判決で原子炉設置許可が無効とされた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」についても、早期の運転再開が期待されるとした。(日本経済新聞 2003/08/05)

原発利用率低下で経常赤字 東電の第1四半期
東京電力が8日発表した4〜6月期連結決算は102億円の経常赤字だった。トラブル隠しによる原発停止の影響で原発設備に対する利用率が低下。その分を火力発電などで賄うことに伴う燃料費の増加が響いた。原発再開が予想より遅れており、燃料費などのコスト増要因は5月時点の予想より400億円増え、通期で2400億円に達する見込みになった。
4〜6月期の原発利用率は6.2%で、当初予想の10%を下回った。
販売電力量は4月の低温で暖房需要が伸び、前年同期比3.1%増の654億キロワット時。(朝日新聞 2003/08/08)

日本の保有プルトニウム、国内外に38トン
国内外の原子力施設に保管されている日本のプルトニウムは02年末時点で38トンに上ることが2日、明らかになった。文部科学省などが国の原子力委員会に管理状況を報告した。内訳は、核燃料サイクル開発機構の再処理施設や燃料加工施設などに約5トン、再処理委託をしている英仏の施設に約33トン。(朝日新聞 2003/09/02)

イルカ、アザラシも核汚染 全地球規模で分布解明
イルカやアザラシなど海のほ乳類に、人工放射性物質による汚染が全地球レベルで広がっていることが、愛媛県立衛生環境研究所の研究で3日、分かった。
海のほ乳類の筋肉中の放射性物質濃度が、海水中の濃度とほぼ比例することも判明。今後、同種の研究の基準となりそうだ。
対象は1981−2000年に世界11地域で捕獲したり死体で見つかったりした海のほ乳類から収集、保管されていた47検体。吉留竜仁研究員らは、核実験や原発でできる放射性物質で、ほ乳類の筋肉にたまりやすいセシウム137を測定。世界の約400検体についても、過去の論文を調べた。
その結果、最も高かったのは英国沿岸で、87年に採取されたアザラシでは、筋肉1キロ当たり岩手県沖のイルカ(平均0. 17ベクレル)の約100倍に相当する平均17.6ベクレルを検出した。(共同通信 2003/09/03)

東海村、増え続ける「核のゴミ」 ドラム缶35万4000本分に
東海村の日本原子力研究所東海研究所(原研東海)など、同村にある原子力施設が保管している放射性廃棄物の総量が、200リットル・ドラム缶換算で35万4000本余りに上っていることが分かった。開会中の第3回定例村議会で、永井一郎議員(共産)が明らかにした。
放射性廃棄物の主な核種はウラン、プルトニウム、コバルト、セシウムなど。同議員が村当局などから入手した資料によると、原研東海のほか、核燃料サイクル開発機構東海事業所、日本原子力発電東海第2発電所の、いわゆるご三家をはじめ、三菱原子燃料など民間事業所を含む大手5施設の保管量は、約33万8000本。
これに他の、第1化学薬物動態研究所、核物質管理センター、レーザー濃縮技術研究組合、三菱マテリアルなど10施設の保管量を加えると、約35万4200本に達する(6月30日現在)。
一方、この保管量に対する施設側の保管能力の比率(保管率)は、原研東海が94.4%、三菱原子燃料が88.2%と軒並み高く、貯蔵施設は満杯状態。すでに、ほぼ限界にあることを示しているようだ。
永井議員は、この放射性廃棄物の保管が地域環境に与える影響を危ぐし、「貯蔵施設の新増設は認めるべきでない」と主張している。村上達也村長も「施設側は(放射性廃棄物の)減容化に努めるべきで、これ以上の貯蔵施設は必要ない」と同調の構えだ。
増え続ける核のゴミを、施設側は今後どう処分し、減容化対策を進めていくのか。国、県に突き付けられた課題は重い。(常陽新聞 2003/09/17)

新型転換炉「ふげん」開発は戦略欠く…外部評価委答申
建設や研究に延べ4500億円を費やした揚げ句、実用化を断念して今年3月に運転を終了した核燃料サイクル開発機構の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)について、同機構の外部評価委員会は「経済性や国際的戦略性に欠けた研究開発だった」と指摘する答申をまとめた。
これを受けて同機構は、常に高コスト体質となりがちだった従来の原子力開発を反省、「もんじゅ」をはじめとする今後の高速増殖炉の開発では、「国際競争力を重視する」方針を明確にした。30日の原子力委員会に報告する。
答申は、ふげんが25年間も安全に運転され、プルトニウムの利用促進に大きく貢献したことなどを評価する一方、新型転換炉の発電コストが一般的な原子炉の約3倍という経済性の悪さに言及。ふげんと類似のカナダ型重水炉(CANDU)が韓国や中国、ルーマニアなどにも導入されている例を紹介し、「わが国が新たに実用化する原子力技術は、常に海外の同種の原子炉に比べて大幅に割高だった」と指摘した。
同機構は今後、高速増殖炉も「電力会社の原発とそん色ない発電単価」を条件として開発を進める。

◆ふげん=日本が初めて純国産技術で開発した発電用原子炉。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)などを燃料として、核反応を継続させるための減速材には重水を使う。25年間で世界最高の772体のMOX燃料を使用した。(読売新聞 2003/09/29)

仏へプルトニウム輸送計画 米、商業利用見合わせ転換
【ワシントン9日共同】米エネルギー省が、解体核兵器から出たプルトニウムをフランスに輸送、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料への加工を計画していることが9日、明らかになった。同省が米原子力規制委員会に許可を求めた文書を反核団体グリーンピースが入手した。
MOX燃料に加工後、米国内に再輸送、国内の商用原発で利用する計画。解体核からのものとはいえ、プルトニウムの商業利用を見合わせてきた従来の政策からの転換となる。
反核団体は「米国内や海上での輸送は危険で、核不拡散上も大きな問題を生む」(グリーンピースのトム・クレメンツさん)と批判、近く米国内で、輸送の差し止め訴訟を起こす。
計画によると、エネルギー省は、米国内の解体核兵器から出たプルトニウム140キロを護衛をつけた船でフランスに輸送。フランスの核燃料会社コジェマに委託して、MOX燃料に加工する。(共同通信 2003/10/10)

被害最大460兆円 大規模放射能漏れ 大飯原発モデルに試算
関西電力大飯原発3、4号機(福井県大飯町、加圧水型軽水炉、出力各118万キロワット)のどちらか1基で大規模な放射能漏れ事故が起きた場合、長期的な被害額は最大で約460兆円に上り、急性障害やがんによる死者も40万人を超える恐れがあるとの試算を、京都産業大の朴勝俊専任講師(環境経済学)が27日までにまとめた。
原発事故による損害は欧米の試算例はあるが、国内では1959年に旧科学技術庁などが3兆7000億円と試算したことがある程度で、原発建設が本格化してからの試算はほとんどないという。
朴講師は、大飯原発で炉心が溶融し格納容器も壊れ、チェルノブイリ事故に匹敵する放射能が漏れたケースを想定。京大原子炉実験所の故瀬尾健助手が開発した計算式にあてはめ、所得、農業生産額や人口データを基に事故後50年間の総被害を算定した。
高レベルの放射能の残留で風下側は原発から160―200キロ圏内が居住禁止となり、農業が禁止される地域は500キロ圏を超す地域まで広がる。
京都、大阪が風下に位置する北風想定の場合に被害額が最大となり、移住費用や農漁業の損失など物的損害が約391兆円、治療費など人的被害が約66兆円の計約460兆円。風向きを全方位にならした平均の損害額は約104兆円の予想となった。
事故後しばらくたってからのがんによる死亡は東京、神奈川まで汚染される西風のときが最も多く約41万人。急性死亡は最大約1万7000人。
原子力事故に備え、事業者は損害賠償責任保険への加入が義務付けられているが、保険額は最高600億円。
平均損害額約104兆円は最高保険額の約1700倍で、朴講師は「現在の制度では、万一の事故のときほとんどの被害者は補償を受けられない。こうした被害想定も踏まえた上で今後のエネルギーをどうするかの議論が必要だ」と話している。(共同通信 2003/10/27)

核燃サイクル:廃止までに21兆円 電事連が試算
国内の原子力発電所から出る使用済み核燃料の再処理・燃料への加工・最終的な廃止措置など核燃料サイクルにかかる総費用が、06年の再処理工場操業から廃止までの72年間で約21兆7000億円にのぼるとする電気事業連合会(電力会社10社で組織)の試算が3日、明らかになった。試算は、この費用を含めた原発の1キロワット時当たりの発電コストが、天然ガスや石炭火力をやや上回る7円台になるとしている。処分費用総額や発電コストはこれまで非公表で、電力会社側の試算が明らかになるのは初めて。
21兆円を超える費用は火力など原発以外では必要なく、原発でも使用済み核燃料を再利用せず、直接処分すれば、21兆円もかからない。そのうえ、21兆円についても、計画が順調に運ぶことを前提にしたもので、業界内には実際はもっとかかると試算に対する疑問が強く、議論を呼ぶのは必至だ。
21兆円の内訳は、電力各社が出資する日本原燃が青森県六ケ所村に建設中の使用済み核燃料の再処理工場の操業費用が6兆9000億円で最も多く、同工場を06年7月から40年間利用した後、32年間かかる工場の解体・廃止措置が1兆6100億円など。11月中にも総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)で公表する。
電力自由化に伴うコスト競争で、長期に多額の費用がかかる原発の推進に電力会社は慎重姿勢を見せ始めている。21兆円は、電力料金に上乗せして回収する方針で、工場の操業費用など一部は積み立てが始まっているが、廃止措置費など手当てできていないものも多く、負担方法を同調査会で議論することになる。
原発の発電コストは、99年の通産省(現・経済産業省)の審議会の試算で「5.9円」とされ、天然ガスの「6.4円」、石炭の「6.5円」に比べ割安とされてきたが、電力業界には「最終処理費用が正確に反映されておらず、現実的でない」と反発が強く、今回の見直しにつながった。
電事連は「国策である原発の最終処理は多額の費用がかかるため、民間事業になじまない」として、「国民に広く薄く負担を求める新たな費用回収制度」の創設や高レベル放射性廃棄物処分場の国有化などを政府に求める方針だが、世論の反発も予想される。【川口雅浩】

<核燃料サイクル>
原発で使った「使用済み核燃料」から、プルトニウムを取り出す再処理工場が06年7月に青森県六ケ所村で稼働する。40年間稼働し、プルサーマル発電に用いるウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の加工工場なども六ケ所村にできる。操業を終えた後は、「核のごみ」となる高レベル放射性廃棄物の処分、汚染された各工場の廃止措置などが必要。(毎日新聞 2003/11/04)

電力業界が原発後処理費用を初めて公表
電力業界が、使用済み核燃料の再利用や、放射性廃棄物処分に関連する費用の試算を示し、原子力発電のコスト負担をめぐる議論が総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)で始まった。財源が手当てされていない部分の扱いが焦点となる見通しで、自由化に伴う価格競争の中で新たな負担を回避したい電力業界は、公的な支援を求め攻勢に出る構えだ。

▽9兆円の財源は
試算した費用は「後処理(バックエンド)費用」と呼ばれ、全国の電力10社でつくる電気事業連合会が、“企業秘密”である原価計算を積み上げてまとめ、11日に同調査会に報告した。
それによると、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場(青森県六ケ所村)が操業を始める2006年から、関連施設を解体・廃棄処分する2078年ごろまでに、バックエンド費用の総額は18兆9100億円に達する。
電事連は、この費用のうち、電気料金に含めるなどの財源手当てができていない約半分(9兆円弱)について「国の担保や経済的支援など必要な措置を講ずることが重要。国民が広く薄く負担すべきだ」(会長の藤洋作・関西電力社長)と主張してきた。
単純に電気料金に上乗せすると仮定すれば、一般家庭で、月々100円強の料金上昇要因にすぎない。しかし電力業界では2000年以降、段階的に小売り自由化が進んだ。石炭火力発電所を使った新規参入会社などとの大口顧客の争奪戦が激しくなり、10社による地域独占の時代と違い、コスト増を安易に料金に転嫁できなくなっている。

▽優位性に影響?
そこで政府主導の下で、新規参入者に負担を求める仕組みをつくったり、税金投入などの公的な負担にも道を開きたいと考えている。
今回の試算には「数10年にわたり経営の足かせになりかねない」(業界関係者)莫大(ばくだい)なバックエンド費用の実態を明るみに出す狙いもあったようだ。国策で進めてきた核燃料サイクル事業の「暗部」を、国民的な議論の場に持ち出そうとの思惑が見え隠れする。
しかし原発と無縁の新規参入者には、電事連の求める「応分負担」は承服しがたい。政府も財政難の中で、負担拡大に簡単に応じるわけにはいかず、電事連の狙い通りに事が運ぶかは未知数だ。
国や電力会社は、原子力発電の優位性として、石炭や天然ガスを使った火力発電に比べ発電単価が安いことを強調してきた。コスト負担の方法が決まっていないことをはっきりさせた試算結果の公表には、電力業界が言う優位性を疑わしくする副作用もあった。(東奥日報 2003/11/16)

島根原発で作業員1人が社内基準量超える放射線被ばく
中国電力は22日、定期検査で停止中の島根県鹿島町、島根原発1号機(沸騰水型、46万キロ・ワット)で、作業員1人が放射線被ばくの1日あたりの社内基準量(1ミリ・シーベルト)を上回る1.12ミリ・シーベルトの放射線を被ばくした、と発表した。同原発で作業員が基準量を超す放射線を被ばくしたのは初めて。健康上の問題はないという。
同社によると、作業員は22日午前10時ごろから他の作業員2人と原子炉下部の配管バルブを約1時間にわたり点検。残る2人の被ばくは0.79、0.49ミリ・シーベルトだった。基準量を超えたのは、線量の強い原子炉付近で長時間作業していたためとみられる。(読売新聞 2003/11/22)

放射性廃棄物、一部は一般廃棄物に 05年にも改正法案
原子力施設で生じる放射性廃棄物について、経済産業省原子力安全・保安院は、放射能レベルが一般人の年間被曝(ひばく)限度の100分の1以下のものを、特別な管理を必要としない一般の廃棄物として扱う方針を決めた。原子炉等規制法の手直しが必要となるため、改正法案の05年提出をめざす。
現行法では、放射能に汚染された廃棄物はすべて安全な状態で保管・埋設処分することを義務づけられている。しかし、老朽原発の廃炉時代を迎えると、コンクリートや金属など大量の放射性廃棄物が生じ、処理に支障が出る。このため、欧米などで制度化されている「クリアランス」(規制除外)方式を導入することにした。
一般の廃棄物扱いできる放射能レベルは、国の原子力安全委員会が国際的な安全評価をもとに99年にまとめた基準値、0.01ミリシーベルト以下を目安にする。医療などの人工放射線による一般人の年間被曝限度1ミリシーベルトの100分の1以下にあたる。安全委は、リサイクルで社会に出回るさまざまなケースを想定し算出した。
110万キロワット級の沸騰水型原発を解体して廃炉にすると、まったく放射能に汚染されていない廃棄物が約50万トン、汚染物が約5万トン生じる。クリアランス方式を導入すれば、汚染物のうち約3万トンは一般の廃棄物として処理できる。リサイクルも推進するが、導入当初はできる限り原発施設内で再利用するよう求める考えだ。
保安院は今後、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の専門家組織で、海外動向を見ながらコバルト60など核種ごとの基準値や測定法の検討を進める。(朝日新聞 2003/11/23)

イラン、日本の原子力政策に疑義はさむ
国際原子力機関(IAEA)の26日の理事会で、イランのサレヒ大使が、平和目的に限定している日本の原子力政策に疑問をはさむ一幕があった。今回のIAEAの対イラン非難決議採択に際し、日本は英独仏の提出したイラン寄りの当初決議案を甘すぎると批判した経緯があり、大使の発言は、イラン側の意趣返しとみられる。
サレヒ大使は「IAEAが(過去の日本の原子力施設への査察の結果)日本の核計画を完全に平和目的と結論づけられたかどうか。私の知る限りでは答えはノーだ」と発言。原子力政策を平和目的に限定しているとしている日本政府の説明は信用できないとの認識を示した。
日本の高須幸雄大使は同日の演説で、IAEAのエルバラダイ事務局長が今月10日に理事国に提出した報告書で「イランの核計画を平和目的とはまだ断定できない」としたことを引用していた。(ウィーン=高坂哲郎)(日本経済新聞 2003/11/27)

EUは仏に一本化 ITER建設候補地六ケ所と一騎打ちか
【ブリュッセル26日共同】日本など4カ国が建設を誘致している国際熱核融合実験炉(ITER)計画で、欧州連合(EU)の競争理事会は26日、フランスとスペインの欧州2カ所の候補地を、フランスのカダラッシュで一本化することで合意した。
政府間協議によって年内にもフランス、日本(六ケ所村)、カナダ(クラリトン)の3カ所から最終建設地が選定されるが、出資額の問題などから事実上、日本とフランスの一騎打ちとなりそうだ。
国や県の関係者によると、カダラッシュと六ケ所村を比較した場合、建設中の資機材運搬の容易さや、ITER運転後の冷却水確保などの条件から六ケ所村が有利−との見方が強い。ITER建設地点は、12月20日前後に米で開かれるITER計画参各国の閣僚級会合で最終的に決定する見通しだ。
実用規模のエネルギーを発生する最初の核融合実験炉の建設を目指す同計画には、日本、EU、ロシア、米国、中国、カナダ、韓国が参加。今後、条約締結を経て、ITERを建設し運転する事業体が発足、実験炉の建設作業が始まる。
順調にいけば2013年ごろには運転を開始、約20年かけて実験研究を行う。建設費や運用費を合わせると約1兆円規模の大プロジェクトだ。(東奥日報 2003/11/27)

六ケ所再処理工場「凍結を」/原子力業界内の論文が波紋
六ケ所再処理工場の本格操業に備えたウラン試験が来春に迫る中、同工場の凍結を訴える研究グループ「原子力未来研究会」(代表・山地憲治東大教授)の論文が原子力業界に波紋を広げている。同研究会を重用してきた業界誌「原子力eye」(日刊工業出版プロダクション)が「時期的に適当でない」と論文の連載を突然打ち切ったのに対し、核燃料サイクル政策の見直しを国に訴える福島県知事が「さまざまな観点から国民的議論をすべきで、非常に残念」と不快感を示した。同研究会の訴えは「核燃料サイクルの確立」という建前(国策)と本音が、取り繕えないほど乖離(かいり)してしまった現状の表れもといえそうだ。
同研究会は、中堅の研究者や実務家6人で組織する、れっきとした原子力推進グループ。代表以外に鈴木達治郎、谷口武俊、長野浩司(いずれも電力中央研究所)の3氏が実名を公表している。
論文は、六ケ所再処理工場を(1)計画通り運転(2)運転開始後、短期運転して中止(3)一時延期、その後運転(4)一時延期、その後廃止(5)即時廃止−という5つの選択肢を用意。経済、社会面などから総合評価したのが特徴で、「一時延期、その間に議論を尽くして運転回避せよ」との結論に達した。
電事連は今秋、同工場の操業費や放射性廃棄物の処分費、解体費などは総額18兆9000億円に上るとの試算を公表した。
研究会は「莫大(ばくだい)な金額」を要する同工場の本格操業に突き進めば、日本原燃(本社・六ケ所村)は多額の負債を抱え「倒産が避けられない」と指摘。プルトニウムの在庫量を増やすことにもなり、国際的批判やテロの危険性を招くと懸念する。
仮に工場を廃止した場合は、使用済み核燃料貯蔵費と地元補償対策費が必要になる。しかし、研究会は、中間貯蔵は経済性に優れ、自治体に入る予定だった交付金や税収、失職者への補償を合わせても対策費は1000億円以内で、再処理よりはるかに合理的と推定した。
電気事業者が同工場の廃止を言い出せない最大の要因は「約束違反だ」として本県や六ケ所村から使用済み核燃料やガラス固化体などの搬出を迫れられる可能性が強いため、との見方がある。貯蔵終了後の使用済み核燃料は再処理する、とむつ市民に強調してきた東京電力の中間貯蔵施設立地計画にも影響が出るだろう。
研究会はこの「最も恐れるシナリオ」を避けるためにも即時廃止は避け、ホット運転(ウラン試験)を最長2年間凍結し、停滞した事業の再評価を実施せよ、と提言。さらに利害関係者が本音の議論を重ねる場を設け合意形成を目指せ、と訴える。
業界内には「獅子身中の虫」と同研究会を敵視する向きもあるが、「頑固親父(国、事業者)に直言する孝行息子」と評価する声も少なくない。
論文の掲載中止について同研究会はホームページで「再処理とプルトニウム利用の開発に巨額の資金と人材を投入してきた『国策』は時代錯誤で、改める必要がある。原子力開発の中止を主張しているわけではない」との見解を掲載した。(むつ支局・福田悟)

◇提言、受けとめるべき
原子力問題に詳しい石橋忠雄弁護士(原子力委員会専門委員=青森市)の話 原子力未来研究会は以前から再処理事業の根本的見直しを提言していたのに、今になって「原子力eye」誌が国が核燃料サイクルを堅持する方針だから−との理由で掲載を中止したのは納得できない。当初、7000億円と試算された六ケ所再処理工場の建設費は3倍に膨れた。この例でゆけば、約19兆円という六ケ所再処理工場の関連費用は、本格操業すれば50兆円を超える可能性もある。溶接工程の不正工事がホット試験や本格操業に入る前に発覚したことは、青森県民だけでなく、日本原燃や電事連にとっても良かった。原子力委員会は今こそ提言を真摯(しんし)に受けとめ、サイクル政策の総合評価に着手すべきだ。(東奥日報 2003/12/08)

熱核融合実験炉誘致、日仏譲らず決定先送り
国際熱核融合実験炉(ITER=イーター)の建設地について、計画参加国の閣僚級会合が20日、ワシントン近郊であったが、合意できなかった。日本は青森県六ケ所村、欧州連合(EU)は南仏カダラッシュを提案していた。総事業費1兆3000億円の巨大プロジェクトの行方は来年に持ち越された。
日本からは細田博之内閣官房副長官が出席。ほかにEU、米国、ロシア、中国、韓国の代表が参加した。分担金の工面が困難なカナダは会議を欠席し、計画から事実上離脱した。
日仏は世界の核融合研究をリードし、技術基盤は互角。建設地の環境なども大きな差はなく、米国と韓国は日本、ロシアと中国はEUと支持が分かれた。
ITERの建設は05年度中にも始まる予定だったが、建設地決定の先送りで、計画の遅れは避けられない情勢になった。

<ITER>
外径20メートルのドーナツ形真空容器内で、燃料の重水素と三重水素を1億度以上に熱し、核融合反応を起こす実験炉。太陽で同様の反応が起きており、「地上の太陽」とも呼ばれる。計算上は燃料1グラムで石油8トン分のエネルギーが得られる。20年間の運転で、約3万トンの低レベル放射性廃棄物が出る。ITERのあと、実際に発電もする実証炉などを経て実用化されるのは、今世紀末になりそうだ。(朝日新聞 2003/12/21)

再処理費は18.8兆円 電事連が試算修正
電気事業連合会は、原発の使用済み核燃料の再処理関連コスト総額が、当初試算(約18兆9100億円)より約1100億円少ない約18兆8000億円になるとの報告をまとめ、25日開かれた総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)小委員会に提出した。
これまでの小委員会での議論を踏まえ、青森県六ケ所村に建設中の再処理工場などの保守点検費の算定基準を変更したり、工場を運営する日本原燃の一般管理費を見直したりした。
これらの見直しなどの結果、利用率80%で40年間運転する前提で試算した1キロワット時当たりの原発の発電コストも、当初の5.6円が5.3円になった。
電事連は今回の試算結果を基に、1月以降の同調査会の議論で、再処理関連費を徴収する仕組みや負担の在り方について、適切な制度整備を求めていく。(共同通信 2003/12/25)

米長官がITERの六ケ所誘致を支持
来日したエーブラハム米エネルギー長官は8日、都内で河村建夫文部科学相と会談し、国際熱核融合実験炉(ITER)建設地について、米政府として六ケ所村誘致支持を9日に公式に表明することを明らかにした。さらに同長官は、今週末に訪問する中国に対しても、六ケ所村支持を呼び掛ける考えを示した。
昨年12月に米国で開かれた閣僚級会合で中国は、欧州連合(EU)の建設候補地であるフランス・カダラッシュを支持している。
エーブラハム長官は、中国政府に対し「日本への立地はアジア全域にとって重要であり、(ITER計画参加国の)中国、韓国にも有益である」との考えを伝える方針で、六ケ所村誘致へ強力な支援となる。
文科省によると、会談で河村文科相は、米国の一貫した支持に謝意を伝えた。また9日に関係閣僚による会合を開き、誘致実現へ内閣の連携を強めることを説明した。
エーブラハム長官は「(誘致へ)日本と手を携えていく」との決意を示した。同長官は9日、都内で開かれる日本経済団体連合会の会合に出席し、スピーチの中で六ケ所村支持を公式に打ち出す予定。(東奥日報 2004/01/09)

労災認定:原発で被ばくの男性に 多発性骨髄腫では初
原発内の配管工事やその監督で被ばくし、骨髄がんの一種の多発性骨髄腫になったとして労災保険支給を請求していた元プラント建設会社社員、長尾光明さん(78)=大阪市西淀川区=に対し、富岡労働基準監督署(福島県富岡町)が労災認定したことが19日、分かった。原発労災認定基準では多発性骨髄腫は例示されておらず、白血病以外の認定は初めて。認定枠拡大の先例となる可能性がある。
多発性骨髄腫が進行すると、全身の骨が劣化し、突然、骨折する。さまざまな臓器に障害も起こる。
長尾さんは77〜82年の4年3カ月間に、福島第1原発(福島県)、新型転換炉「ふげん」(福井県)、浜岡原発(静岡県)で作業に従事し、計70ミリシーベルト被ばくした。年間の被ばく量は電力会社の社員の平均の3〜8倍だった。
厚生労働省の労災認定基準では、白血病の場合、「5ミリシーベルト×従事年数」以上の被ばくをし、被ばく開始から1年以上たって発病との条件がある。この基準に照らすと、長尾さんは約3倍の量の被ばくをしていたが、多発性骨髄腫の例示がなく、富岡労基署は本省に意見を求めた。厚労省の専門家検討会が、作業内容などや被ばく量の評価などから「被ばくと病気の因果関係あり」と判断を出したという。
原発作業では白血病で過去5人が労災認定されている。【大島秀利、東海林智】

原爆症に詳しい村田三郎・阪南中央病院内科部長の話 白血病でしか労災認定されなかった原発労働者被ばくで、多発性骨髄腫以外にも、悪性リンパ腫など白血病に関連する疾患の認定の道を開く可能性のある判断だ。(毎日新聞 2004/01/20)

六ヶ所村の再処理工場、検査ルール半数が「不十分」
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ヶ所村)で不良溶接などが見つかった問題で、原燃による書類の総点検の結果、約4000の設備のうち、約半数で検査ルールに問題があるなど、管理基準に対して6700件を超える不十分な点が見つかった。
経済産業省「六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会」で23日、報告した。(読売新聞 2004/1/23)

ITER 仏にデータ解析所 青森・六ケ所村に本体を建設
【パリ23日共同】国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致問題で、平林博・駐仏日本大使は23日付フランス紙ルモンドに寄稿し「本体を(日本の)青森県六ケ所村に建設し、内陸でも建設が可能なデータ解析・遠隔操作センターを(フランスの)カダラッシュに建設する」と提案した。日本がフランスに対し、こうした提案を公表したのは初めて。
「ITERで小競り合いはやめよう」との寄稿で、平林大使は、ラファラン首相が今月中旬「欧州単独でもITERを実施するかもしれない」と述べたことについて、「フランスは国際協力なしに計画を実施したいのか」と問い、国際協力が成功の鍵だと強調した。
大使は(1)核融合分野の科学的蓄積は日本がフランスより優れていることを世界の科学者が認めている(2)巨大な精密機器の運搬にはマルセイユ近郊の港からカダラッシュまで96キロの道路に問題があり、車線拡大、26本の橋の補強、トンネル迂回(うかい)路などの土木工事の計画が不明、などと指摘した。
大使は「日本はすべてを六ケ所村に建設することを考えてはいない」とし、本体を六ケ所村、データ解析センターなどをカダラッシュに建設するとの案を示した。
ITERの建設地誘致をめぐる昨年12月末のワシントンでの関係国閣僚級会合で、米国、韓国が日本を支持、ロシア、中国がフランスを支持して対立、2月の会合に決着が持ち越された。
今年1月初めエーブラハム米エネルギー長官が日本支持をあらためて表明した。(河北新報 2004/01/23)

柏刈原発・コバルト60検出 東電、検出可能性を否定せず/新潟
◇「フィルター持ち出し、焼却」
反原発団体の調査で柏崎刈羽原発の敷地外の土から自然界にない放射性物質「コバルト60」が検出された問題で、東京電力は6日、調査結果を発表し、管理区域内にあった排気用フィルターの木製外枠などが敷地外に持ち出され、焼却されていたことを認めた。東電は「フィルターの焼却が原因でコバルト60が検出されたのかは分からないが、可能性は否定できない」と説明した。
東電は、反原発団体が「放射性廃棄物が敷地外に持ち出され、焼却された」と指摘した99年春当時を知る現職の作業員延べ43人に聞き取り調査を行った。
その結果、1号機の放射性廃棄物処理建屋に設置されている排気用フィルターの木製外枠(長さ60センチ幅30センチ)計192個が99年3月に原発敷地外へ持ち出され、同4月、下請企業の倉庫や元請企業の寮にある焼却炉などで焼かれていた。
反原発団体が、寮のあった付近で昨年10月に土を採取し分析したところ、微量のコバルト60が検出された。東電によると、外枠の放射能量は、すべて国が定めている管理区域外への搬出基準値を下回っていた。
調査ではこのほか、「再生利用する」として管理区域外に持ち出された保温材やコンクリートなどの一部が再生利用されずに、原発敷地外で処分されていたことも判明した。
会見した岩城克彦副所長は「放射能量が国の基準値を上回る物を持ち出したケースはなかったが、区域外への持ち出しがあったことは大変申し訳ない」と陳謝した。
調査結果について、反原発団体の武本和幸・元刈羽村議は「我々の指摘を東電が認めたのは大きなこと」と話した。【田苗学】(毎日新聞 2004/02/07)

衝突で再処理工場崩壊も 原告側、青森県庁で記者会見
日本原燃(青森県六ケ所村)の使用済み核燃料再処理工場をめぐり、国に事業許可取り消しを求め青森地裁に提訴している原告側市民団体が10日、青森県庁で記者会見し、エンジン停止状態の戦闘機が国の安全審査の想定を上回る速度で同工場に衝突し、建物が崩壊する可能性を示した国側の資料が見つかったと発表した。
原告側によると資料は原燃か旧科学技術庁が作製したとみられる。原告側は旧科技庁がこの資料を踏まえた上で再処理工場の安全審査を通したとし「事業者に都合が悪いことを原子力安全委員会の2次審査に回さないよう画策した」と批判した。
原告側によると、現行の防護設計は戦闘機がエンジン停止し滑空状態で墜落した際の衝突速度を毎秒150メートルと想定。必要な壁や天井の厚さを約120センチ(最大180センチ)としている。(共同通信 2004/02/10)

「都合の悪い事実隠した」原告が国の文書提出 青森・核燃訴訟
青森県六ケ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場の事業許可取り消しを市民グループが国に求めた行政訴訟の口頭弁論が10日、青森地裁であり、原告団は再処理工場の安全審査のため国が使用したとされる文書を提出した。戦闘機墜落の想定で、秒速150メートルとされた落下速度が、最大340メートルに達する恐れがあるとする内容で、原告側は「再処理工場が崩壊する可能性がある」と指摘した。
文書には、「ほかの原子力施設での安全評価にも影響を与える」「立地点(六ケ所村)の適合性がクローズアップされ、社会問題化する」などとして、国側が衝突速度の設定を変更しなかったと書かれてあるという。
原告団の核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団(代表・浅石紘爾弁護士)の準備書面などによると、国はこれまで戦闘機が墜落する速度を秒速150メートルと設定。必要な壁や天井の厚さを1.2メートル程度(最大1.8メートル)として防護設計するよう求めていた。
しかし問題の文書は、戦闘機が訓練区域の上限高度の7000メートルから墜落した場合などには、秒速215―340メートルで衝突する可能性を指摘。秒速215メートルでも1.7―1.9メートルの厚さが必要な計算になるとした。
原告団は、秒速150メートルを超える速度で戦闘機が衝突した場合、建物が崩壊すると主張。「政治的な理由で本来検討すべきことがされず事業者に都合の悪い事実を隠すよう画策した」と訴えた。
弁論後、会見した経済産業省原子力安全・保安院の山田尚義訟務室長は「文書は事業者(日本原燃)から提出された物だが、安全審査で使ったかは確認できない。内容を検討し、必要に応じて反論していく」とし、文書の証拠採用に同意した。
文書は、別の訴訟の中で原告団が見つけた。(河北新報 2004/02/11)

核再処理工場:66カ所に仕様と異なる素材 青森・六ケ所村
青森県六ケ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場で、排気弁のボルトなど66カ所で仕様書と異なる素材が使われていたことが13日、分かった。日本原燃が同日、経済産業省原子力安全・保安院に提出した点検報告書で判明した。
問題があったのは排気弁のボルトのほか、放射性ガスの流れる弁のバルブや化学薬品系の弁など66カ所。弁メーカーが仕様書より上質素材に変更したことが元請け業者に伝わらなかったなど、意思疎通の不徹底や原燃の管理体制の不備が原因という。原燃は「設備の健全性に問題はないが、品質保証体制に問題があった」として、部品交換や仕様書の変更をする。
同工場の使用済み核燃料貯蔵プールなどでの不正溶接が昨年発覚したことから、原燃は保安院の指示に基づき、全設備の点検結果と改善策をまとめた報告書を提出した。【加藤潔】(毎日新聞 2004/02/14)

米濃縮ウラン:50年代から51カ国に供与・売却 回収15%
【ワシントン和田浩明】米国が平和利用目的で生産した濃縮ウラン燃料を1950年代からパキスタンやイランを含む各国に供与・売却し、96年から開始した回収事業が難航していることが16日、米エネルギー省の報告書で明らかになった。93年の時点で各国が保有する米国製の濃縮ウランの総量は51カ国約1万7500キロに上っているが、回収見込みは総量の15%程度にとどまる見込み。米国が苦慮する核拡散の発端の1つが米国にあったことに米政府内に憂慮が広がっている。
報告書は供与・売却された燃料のウラン濃縮度や国別の時期、量には触れていない。一般的な軽水炉では、核燃料となるウラン235の比率を、天然ウランに含まれる0.7%から、3〜4%に高めて使用する。
濃縮ウランの海外供与が始まったのは、アイゼンハワー米大統領が53年の国連演説で提唱した「アトムズ・フォー・ピース(平和のための原子力)」政策の一環。核兵器の開発に流用せず、使用済み燃料は米国に返却するとの約束だった。
しかし、米国は64年から売却を開始。使用済み燃料の返却は求めなくなったものの、処理のための受け入れは続けた。78年に核物質拡散の懸念からウラン濃縮度を低下させるようになったが、88年に使用済み燃料の受け入れを緊急時を除き停止。供与事業は核拡散防止条約(NPT)が発効した70年以降も続き、核兵器保有国の限定を主目的とする同条約体制下でも進められたという。
米国は、その後、供与・売却した濃縮ウランは「国家安全保障上の懸念材料になる」と判断し、96年から、回収事業を再開した。しかし、供与を受けた相手国が回収の費用を負担するなどの条件があることなどから、いずれの国も「回収事業に全面的に参加する見通しはない」(同省)。昨年10月の時点では、米国に返却された濃縮ウランは約1100キロにとどまっているという。(毎日新聞 2004/02/17)

電力9社、原発後処理費を送電料に上乗せ──国に基金要求
東京電力など大手電力9社は原子力発電所の後処理費用を広く利用者に負担してもらうため、特別な基金の創設を国に要求する。制度が未整備で財源が手当てできていない4兆―5兆円を、大手電力だけでなく新規電力事業者の顧客にも負担を求める仕組み。電力の小売り自由化が拡大する2005年4月の実施を目指す。
原発の後処理とは、使用済み核燃料の再利用や放射性廃棄物を地下に埋める事業など。総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)電気事業分科会の小委員会で費用負担の検討作業が始まっており、電力側はこの作業の中で参考意見として基金構想を表明する方向で調整に入った。(日本経済新聞 2004/03/17)

原発の後処理費用、8兆7000億の負担方法が未定
総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)は18日、使用済み核燃料の再処理や廃棄など、2080年ごろまでにかかる原子力発電の後処理費用18兆8000億円のうち、半分近い8兆7200億円について、回収方法が決まっていないとする試算を発表した。
後処理費用のうち、再処理工場の操業費や高レベル放射性廃棄物処分など10兆800億円分は、電力会社の積み立てや引当金で回収する仕組みができている。
しかし青森県六ヶ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場を解体する費用や、プルサーマル発電に必要なMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料の加工費などについては、費用の負担方法が未定だ。
調査会は、回収方法が未定の8兆7200億円について今年末までに費用負担の方法を決める。電力会社は、このうち過去の発電にかかった少なくとも3兆1300億円については、電力会社や新規電力事業者の顧客に負担を求める方針だ。(読売新聞 2004/03/18)

日米が次世代原発を共同開発へ エネルギー協力拡大
日米両政府が次世代の原子力発電の技術開発を共同で進めることで合意した。5月に米国で開く次官級の「エネルギー政策対話」の場で確認する。約30年ぶりの原発新設を検討するなど、米ブッシュ政権は原発への関心を強めており、日本の技術的蓄積に期待している。日本は、世界的なエネルギー戦略を進めるうえで、米国との関係緊密化に役立つと判断した。
両政府が共同開発する原発技術は「第4世代原子炉」と呼ばれ、冷却材にヘリウムガスを使い、1000度近い高温にする「高温ガス炉」が有力。現在商業運転されている軽水炉に比べて設備が小型で、分散型電源に適しているとされる。
高温ガス炉を研究している日本原子力研究所は、高温を使って水素を製造することに成功している。日本の技術が先行している分野だ。共同開発は、将来の重要な電源になるとされている燃料電池に使う水素の供給もにらんでいる。
「政策対話」では、石油の安定供給や水素、液化天然ガス(LNG)の技術開発や有効活用でも協調し、エネルギー戦略の協力関係を強める方策を検討する。
また、日本企業によるイラン・アザデガン油田の開発について日本側が説明する。
米国と関係が悪いイランでの油田開発について米国は難色を示していたが、イランがより強制的な核査察を受け入れたことで米側は軟化しており、事実上「黙認」する見通しだ。
日米がエネルギー協力を強化する背景には、中国が石油消費量を増やし、世界のエネルギー消費の構図が変わっていることがある。米国にエネルギー源確保への危機感が強いのに加え、両政府は中東への依存度が高い石油から、原発やLNG、水素など新エネルギーの比重を高めたいとの思惑がある。(朝日新聞 2004/04/04)

使用済み核燃料 再処理「コスト合わぬ」 核拡散も懸念
米有力大、相次ぎ批判

【ニューヨーク=渡辺知二】原発から出る使用済み核燃料の扱いをめぐり、日本も計画している再処理の意義に疑問を投げかける研究報告を米有力大が相次いでまとめた。安いウラン資源の長期的な調達見通しを背景に、再処理によるリサイクルの意義が失われていることを強調。原発そのものには肯定的でも、再処理には批判的な立場を明確に打ち出しており、日本での論議にも影響を与えそうだ。

報告書は、マサチューセッツ工科大(MIT)の研究グループがまとめた「原子力の未来」(03年8月)と、ハーバード大の研究グループによる「再処理 vs. 直接処分の経済学」(同12月)。
双方とも、まずはコスト面で直接処分が優位だと指摘。「100万キロワット原発に換算して世界中で(現在の2.7倍にあたる)1000基が今後50年以上稼働しても、十分なウラン供給がある」(MIT)、「再処理が、比較的割安な、使用済み燃料1キロあたり1000ドルのコストで実現しても、ウラン価格が(現在の10倍近い)1キロ=360ドルに上昇しないと、直接処分と経済的に見合わない」(ハーバード)といった結論だ。
すでに米国では再処理は中止しており、英仏でも疑問の声が高まっている。米学界でも従来は再処理推進の声があったが、研究にかかわったレスターMIT教授は「研究が進んだ現在、再処理推進派を探すのは非常に難しくなった」と話す。
再処理は、多くの放射性物質が混じり合っている使用済み核燃料の中からプルトニウムを取り出し、ウランと合わせて混合酸化物(MOX)燃料に加工する方式だ。核爆弾の原料となるプルトニウムが取り出しやすくなるため、両報告書は核拡散の懸念も指摘している。
MIT報告の共同座長の1人で、元エネルギー省次官のモニス教授は「日本が商業用の再処理計画を進めていることが、原発をわずかしか持たないイランやブラジルまでが再処理を目指す言い訳材料に使われており、好ましい状況ではない」と心配する。
一方、モニス教授と、同じく共同座長を務めた元米中央情報局(CIA)長官のドイッチ教授は米議会などに原発推進策を助言しており、報告書でも「二酸化炭素を出さない原発は、選択肢として持ち続けるべきだ」と、コスト競争力をつけるための政策支援を求めている。

<日本の核燃料サイクル計画>
ウラン燃料を原発で燃やした後の使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを再利用する計画。もともと日本政府が「本命」とした高速増殖炉(FBR)での利用はもんじゅ事故などを背景に実用化のめどが立たず、ウランを混ぜたMOX燃料を通常の原発(軽水炉)で1回だけ燃やすプルサーマルが「つなぎ」の政策から主役に躍り出た。
欧州に委託して再処理・加工したMOX燃料を日本の原発で使う計画と、青森県六ケ所村で再処理する計画があり、事故やデータ不正などでともに遅れてきたが、3月末に関西電力が欧州でのMOX加工契約を結び、欧州再処理分のプルサーマルは実現に向けて動き出した。六ケ所村の再処理工場はウランなど放射性物質を利用した試験を予定している段階で、計画を進めるかどうかの判断が問われている。

計画凍結こそ日本の最善策
ハーバード大・バン上席研究員に聞く

ハーバード大の報告書を中心になってまとめたマシュー・バン同大上席研究員(42=核管理政策)は朝日新聞のインタビューに対し「日本は再処理計画をいったん凍結するのが最善の選択だ」と語った。同氏はホワイトハウス科学政策室アドバイザーを務めた経歴もある。主なやりとりは次の通り。(聞き手・ボストン=渡辺知二)

──再処理の経済性を問題視していますね。
「3万2000トンの再処理に11兆円をかける日本の計画では再処理コストが1キロあたり3000ドルを超える。ほかのコストが欧州並みに抑えられたとしても、ウランは1キロ=1600ドル以上にならないと見合わない計算になる」
「ウランにその費用をかけられるなら、地球の大陸の代表的岩石である花崗岩(かこうがん)や、将来的には海水からも、より安くウランを取り出せ、事実上、ウランは無尽蔵になり、リサイクルの意味はない」
「核燃料サイクルを進めた場合の日本の後処理費用(発電後に発生する費用)は、使用済み核燃料1キロあたり5500ドル。一方、数十年、乾式貯蔵してから最終処分に移す場合、最終処分コストが米国の3倍かかると考えても全体で1キロあたり1500ドル程度と、3分の1以下に抑えられる。今後40年間に単純計算で1000億ドル(10兆5000億円)以上の節約だ」

──利点はないのでしょうか。
「廃棄物自体の容積は減るが、それを管理する場所は小さくできない。放射能が強く高熱の廃棄物の割合が多くなるため、互いに離して置く必要があるからだ。欧州のように、再処理して作ったMOX燃料を1回だけ燃やして処分するなら、逆に直接処分の場合より管理施設は大きくなる」
「安全面も、使用済み核燃料を置いておくのに比べ、巨大な化学工場である再処理施設は汚染事故の可能性が高まらざるをえない」

──すでに欧州で日本向けプルトニウムが取り出されています。
「核爆弾は、民生用プルトニウムからも作れてしまうから、すでに抽出した分はMOX燃料として原発で使い、プルトニウムが取り出しにくい使用済み核燃料の状態にすべきだ。しかし、再処理工場を動かして新たなプルトニウムを取り出すと、核拡散への懸念は一層強まる」

──再処理工場はほぼ完成してウラン試験を待つ段階です。
「いったん放射性物質を使った試験をすると、施設の廃棄コストは跳ね上がる。現段階で日本にとって最善なのは、取り戻せない巨費の新規発生を防いだうえで、あらゆる選択肢を温存することだ。再処理工場は、いざとなれば数年で稼働できる現状を維持する一方、使用済み核燃料の乾式貯蔵施設を用意する。数十年は結論を出さずに貯蔵し、最終処分と再処理の双方の研究を続け、技術やコスト、政治情勢をみて判断すればいい」(朝日新聞 2004/04/07)

経産省の合同会議で核燃料サイクル見直し論相次ぐ
日本の原子力政策の柱である核燃料サイクル計画について、経済産業省のエネルギー環境合同会議で7日、見直しを求める意見が相次いだ。同会議は、30年までのエネルギー・環境政策を決めるために、総合資源エネルギー調査会と産業構造審議会(いずれも経産相の諮問機関)で構成。6月に中間報告をまとめる。見直し論が経産省の足元にまで及んだことは、今後、波紋を広げそうだ。
同サイクル計画は、原発(軽水炉)の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、原発で再利用(プルサーマル計画)する路線。
合同会議で、茅陽一・総合資源エネルギー調査会会長は「プルサーマル計画の停滞や、高速増殖原型炉『もんじゅ』の高裁での設置許可無効判決などを考えれば、今までの流れで推進しようということでは答えが出ない」と主張。何らかの革新的な原子力技術を導入しないと、行き詰まるという見通しを示した。
寺島実郎・日本総合研究所理事長は「青森県六ケ所村で建設中の使用済み燃料再処理工場は、40年近く前の技術」と、安全、採算面での疑問を提示。また、「核不拡散を徹底しようとしている米国は、日本の再処理に神経質になっているのではないか。熟慮して意思決定すべきだ」と訴えた。
原子力政策の根幹の原子力開発利用長期計画についても、国の原子力委員会が来年の改定に向けて専門家から意見を聴取しているが、やはり核燃サイクル計画への異論が相次いでいる。(朝日新聞 2004/04/08)

原発:設備利用率、過去最低59.7%
2003年度の国内の商業用原発(52基)の設備利用率(稼働率)は、前年度比13.7ポイント減の59.7%で過去24年間で最低だったことが9日、経済産業省原子力安全・保安院のまとめで分かった。02年に東京電力の原発トラブル隠しが発覚、点検や補修のために東電などが持つ沸騰水型軽水炉が相次いで運転停止に追い込まれたことが主な原因という。
原子炉の種類別では、沸騰水型軽水炉(29基)の利用率は39%で前年度比22.9ポイント減。過去3番目の低さだった。関西電力などが持つ加圧水型炉(23基)の利用率は87.9%だった。
法律や通達に基づき、経産省への報告が必要な原発のトラブルは14件で前年度と同数だった。【足立旬子】(朝日新聞 2004/04/10)

原発:核燃料再処理費用、料金に上乗せ 調査会方針
原子力発電所から出る使用済み核燃料の再処理費用回収を議論している総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の電気事業分科会は19日、小委員会(委員長・植草益東洋大教授)を開き、料金に上乗せする形で電力利用者全員に広く浅く負担を求める方向を確認した。事務局の原案の提示を求め、具体的な内容を検討していく。
使用済み核燃料の再処理費用は今後80年間に総額約18兆8000億円が必要になると試算され、半分は回収のあてがないい。特に過去に発電した分にかかわる3兆〜4兆円分の負担が大きな争点になっている。
電力会社側は「将来の電気料金に上乗せするしかない。公平性から新規参入の事業者の顧客からも回収するしくみが必要」として、送電料金に上乗せして回収する制度を求めている。一方、新規参入の電力会社は「過去分」の負担に反発、消費者代表は「過去の電力会社の利益の活用」を求めている。
具体的には、▽回収した費用の受け皿▽使用済み核燃料を再処理したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の位置付け──など意見が分かれている点も多く残っている。同小委員会は年内の決着を目指しているが、最終決定まで時間がかかりそうだ。(毎日新聞 2004/04/19)

次世代原発開発で日米協力 高温ガス炉や金属燃料
日米両政府は22日、水素製造も可能な高温ガス炉や新しい核燃料など、次世代の原子力技術の研究開発を協力して進める方針を決め、日米原子力協定に基づく合意文書を交わした。
冷却材にヘリウムガスを使う高温ガス炉は、900度を超える高温の熱を取り出せるため、その熱を利用して、温室効果ガスとなる二酸化炭素を出すことなく水素を製造することも可能になる。
日本では日本原子力研究所が茨城県大洗町の高温工学試験研究炉(HTTR)で研究しており、水素社会実現を目指し2010年ごろに高温ガス炉を建設する計画を持つ米国は、この分野で日本の協力を得たい考えだ。
また、高速増殖炉で従来のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料に替えて金属燃料を使う研究を進める。金属燃料は再処理が簡単で経済性が高く、核兵器に転用可能なプルトニウムが取り出しにくいなどの利点がある。(共同通信 2004/04/22)

放射能値は通常の100倍=石棺に亀裂も−チェルノブイリ原発
【モスクワ26日時事】26日付のロシア紙イズベスチヤは、1986年に放射能漏れ事故を起こしたウクライナ・チェルノブイリ原発の原子炉周辺で、現在も通常の100倍に上る放射能が検出されていると伝えた。
事故を起こした4号炉は「石棺」と呼ばれる防護施設で封印されているが、石棺から70メートル地点で計測器の数値は上限の毎時999マイクロレントゲンを振り切り、1000マイクロレントゲン以上を示したという。モスクワの放射能値は同10〜12マイクロレントゲン。同100マイクロレントゲンが危険水準とされる。(時事通信 2004/04/26)

ウクライナ被曝320万人 チェルノブイリから18年
史上最悪の放射能流出惨事となった86年4月26日のウクライナ・チェルノブイリ原発事故で、ウクライナ保健省が最近、事故による被曝(ひばく)者を320万人とする調査資料をまとめていたことが分かった。インタファクス通信が26日伝えた。
それによると、チェルノブイリ原発で放射能除去作業に当たった作業員の94%、立ち入り禁止区域となった汚染地域居住者の90%が被曝。
現在も、児童45万人を含む230万人が政府機関の保護観察下に置かれている。特に、86〜87年に放射能除去作業に携わった60万人が後遺症で治療を受け、医療面の監視が生涯必要とされる。
被曝者のうち17万人が事故から10年間に死亡したが、このうち被曝が死因であることが確認されたのは4000人以上という。(時事)(朝日新聞 2004/04/26)

放射能レベル一定以下なら原子炉解体ごみは産廃 新基準導入
経済産業省原子力安全・保安院は、廃炉となった原子炉の解体に伴って大量に出るコンクリートや金属などの廃棄物について、放射能レベルが一定以下なら再利用や産業廃棄物としての処分が可能とする基準の導入を決めた。
現在主流となっている110万キロワット級原発を解体した場合、50万トン程度の解体ごみが出るとされる。国内で稼働中の商業炉52基のうち、営業運転開始から30年を超えた炉が既に5基に上り、近い将来訪れる廃炉ラッシュで発生する膨大なごみの処分を見据えた制度整備が狙い。
来年の国会への法案提出を目指し、放射能の測定方法や制度などの検討を進めている。
保安院が導入するのは「クリアランスレベル」と呼ばれる基準で、人や環境への影響がないものを区分する放射性物質の濃度。
自然界から受ける放射線レベルに比べ十分小さく、人体への危険が無視できる年間0.01ミリシーベルト以下となるよう、放射性核種ごとに濃度の基準を設定する。
例えば、1998年に運転を終えた日本原電の東海発電所(茨城県東海村)の場合、2001年から始まった解体作業で約19万2000トンの廃棄物が発生する。
このうち、約12万8700トンは放射能に全く汚染されていない廃棄物。
さらに、排気筒や燃料取り換え装置などの約4万5400トンは放射能が極めて低く、クリアランスレベルが導入されれば一般の産業廃棄物として扱うことが可能になる。
放射性廃棄物として地中に埋めて処分するのは、炉心部分などの残る約1万8000トンで済むことになる。(中日新聞 2004/05/04)

日本の原発作業員の被ばく量最悪 他国は低減傾向 作業改善へ調査開始
日本の原発で保守点検に従事する作業員の放射線被ばく量は、原発を持つ主要な国の中でも最も多い状態が続いており、経済産業省原子力安全・保安院は、他国の保守点検状況などを分析し、作業の改善点を探る調査に乗り出した。
原発の作業被ばくは世界的に低減傾向にあり、日本の状況は2002年4月にウィーンで開かれた「原子力の安全に関する条約会議」でも指摘された。このため、保安院は05年に開かれる次回会議までに改善点をまとめる方針。
比較対象は軽水炉に関し、1年間に働いた全作業員の1基当たりの総被ばく量。単位は「人シーベルト」で表す。いわば、その国の原発1基を維持するために生じる被ばく量となる。
原子力安全基盤機構によると、日本は02年度も1.55人シーベルト。原発作業員の被ばくデータを集める「職業被ばく情報システム」の加盟29カ国の中でも、稼働する原発が多い主要国では4四年連続で最も高かった。
炉型別でも沸騰水型炉が2.10人シーベルトと最悪。加圧水型炉は1.0人シーベルトだった。
軽水炉全体でみると、主要国では米国が1.31人シーベルト、ドイツが1.00人シーベルト、フランスが0.97人シーベルト。最も少ない国は、チェコの0.20人シーベルトだった。
同機構によると、他の国々が近年、徹底した被ばく低減対策に取り組んでいることのほか、02年度は東京電力の原発トラブル隠しにより、保守点検の作業量が増えたことによる影響も考えられるという。
同機構の水町渉安全情報部長は「1人当たりの被ばく量を見れば作業員の健康に全く問題はないが、日本は被ばく低減の努力を怠っており、作業を見直せば下がる余地はある」と指摘している。

<原発の作業被ばく> 原発の作業員が保守や点検の際に放射線を浴びること。法令上は作業員の被ばく線量限度を1年間で50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトと定め、これを超えるとそれ以上の作業はできない。使用者への処罰規定もある。原発の管理区域での作業者はあらかじめ登録され、線量計などで被ばく量を測定、定期的に健康診断を受けるなど管理されている。作業に携わる人数が多い日本では1人当たりの被ばく量は少ないとされる。(中日新聞 2004/05/07)

原発後処理で電力会社負担2兆4000億円
総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)は11日、小委員会を開き、使用済み核燃料の再処理や廃棄など原子力発電の後処理にかかる約18兆8000億円のうち、燃料加工費など約2兆4000億円を電力会社の負担とすることを決めた。
ウラン濃縮工場の解体費用やMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料の加工費は、後処理費用ではなく、電力会社が負担すべき経費と判断した。さらに、使用済み核燃料の輸送費約9000億円も電力会社の負担とする方向で検討する。
後処理費用のうち約10兆800億円分は、電力会社の引当金などで回収する仕組みができているため、電気料金に上乗せする形で消費者から徴収する総額は、約8兆7000億円から5兆4000億―6兆3000億円の範囲に減額される見通しとなった。
また、電気料金に上乗せする形で消費者から徴収する費用のうち、既に発生した使用済み核燃料の再処理費用については、電力会社と新規参入した特定規模電気事業者(PPS)の顧客から15年間で回収することを決めた。今後発生する費用については、電力会社が顧客から40年間で回収する。
資源エネルギー庁は、この日の議論を受けて、電気代に上乗せされる費用の試算値などを21日に開かれる同調査会に提出し、具体的な制度設計を進める方針だ。
原子力発電所の後処理費用は、過去の分も含めて2080年ごろまでに計18兆8000億円かかると電気事業連合会が試算していた。(読売新聞 2004/05/11)

原発後処理費用:電力利用者から広く徴収へ
総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の電気事業分科会は21日、使用済み核燃料の再処理など原子力発電の後処理費用を家庭や工場、大規模施設など電力利用者から広く徴収する制度の大枠を決めた。経産省の試算によると、1キロワット時当たり約15銭で、1世帯当たり1カ月45円程度になる。これまで制度化されていたもの(1キロワット時当たり約40銭)をあわせると同165円の負担になる見通し。
再処理工場建設費や解体費、核廃棄物の処分費用などで、電力業界は18兆8000億円と試算。このうち約10兆円についてはすでに利用者負担の制度があり、未手当ての約9兆円をどうするか同調査会で検討してきた。そのうち5兆円について新たな徴収制度を創設する。
電力事業者が要望していたうち、再処理して回収したプルトニウムをMOX燃料に加工する関連事業は「後処理ではなく燃料コストにあたる」として、4兆円分が今回の制度から除外された。ただ、最終的には電力会社が燃料コストとして料金に反映させると見られる。
この日の分科会では、消費者や学識者から「今後の費用増大が懸念される」などの意見が出たが、核燃料サイクルを推進する現行制度内で議論する場だとして最終的に承認された。法整備が必要で、国会でも議論される見通し。国会審議や施行までの時間を考慮すると、適用は来年後半以降になりそうだ。【小平百恵】(毎日新聞 2004/05/21)

Japan's deadly game of nuclear roulette
(Japan Times 2004/05/23)

ウラン資源量、270年分残存 核燃料サイクルに疑問符
原子力発電の燃料となるウランの推定資源量は、発電後の使用済み核燃料の再処理をしなくても270年分あるとする国際原子力機関(IAEA)などの試算が23日、明らかになった。再処理をしてプルサーマル方式で使用しても300年分にしかならず、大差はない。日本政府と電力業が巨費を投じて推進する核燃料サイクル計画の必要性に疑問を投げかける内容だ。
IAEA(本部・ウィーン)と、経済協力開発機構(OECD)傘下の原子力機関(NEA、同・パリ)が世界各国の協力で2年ごとに出版する報告書に近く掲載する。ウラン資源量について最も権威があり、44カ国の02、03年のデータに基づく03年版。
報告書は、再処理をするか否かに分けてウランの残存年数を試算。鉱山から採取できる従来型の資源量は、再処理をせずに使用済み核燃料を直接処分する方式を取った場合、既知資源量が80年分、これを含む推定資源量を270年分とした。
一方、再処理して取り出したプルトニウムを軽水炉で1回だけ再利用するプルサーマル方式だと、それぞれ100年分、300年分だった。
試算は、各国のデータから既知資源量を458万8700トン、推定資源量を1438万2500トンと見積もり、電力量10億キロワット時の発電に必要なウランを、再処理なしの場合に20.7トン、1回再処理する場合に18.4トンと設定。02年の原発総発電量から残存年数を算出した。
さらに、主に日本の研究者らが進めている海水中からのウラン採取の新技術を紹介し、実験段階ながら従来型ウランの5〜10倍の費用で採取が可能になった、と説明。海水ウランの資源量は約45億トンと鉱山ウランの約1000倍で、実用化されれば事実上無尽蔵になる。
日本の核燃料サイクル計画は、高速増殖炉を前提にした構想が事故で挫折し、プルサーマル方式が主役となり、総額約19兆円とされる原発の後処理費用の中心を占めている。米ハーバード大などは、低めに見積もってもウラン価格が現在の数十倍に値上がりしてようやく直接処分と経済的に見合うと指摘している。豊富な資源量を示す数字が示された今回の報告書は、日本の計画見直しを促す可能性もある。(朝日新聞 2004/05/24)

使用済み核燃料、今後50年以上は再処理必要ない──米・フェッター教授/福島
◇米・フェッター教授、エネ検で講演──「コスト面で直接処分に及ばず」
米メリーランド大のスティーブ・フェッター教授が31日、県幹部で作るエネルギー政策検討会(エネ検)で講演し、「使用済み核燃料の再処理はウランの価格が現在の10倍にならない限り、コスト面で直接処分に及ばない」と述べた。核燃料を1回の使用だけで埋設処理する方が圧倒的にコストが安いため、「再処理の必要は今後50年以上はない」との見解を示した。
教授は使用済み核燃料をリサイクルする再処理計画に、核不拡散の立場から反対の姿勢で研究している。講演では、再処理が直接処分に比べ割高なことは一般に合意されているとしたうえで「推進側はコスト差は解消できると主張するが、我々の結論では50〜100年間は続くとみている」と述べた。
佐藤栄佐久知事は青森県六ケ所村で準備が進められている再処理工場の稼働前に、計画を見直すべきだと主張しており、再処理した燃料を既存の原発で使うプルサーマルについても認めない方針を打ち出している。幹部からは、米国の再処理に対する考え方や日本での最終処分の難しさなどをめぐって質問が相次いだ。【上田泰嗣】(毎日新聞 2004/06/01)

原発再処理:新たな負担5兆円 電気料金に上乗せ
原子力発電の使用済み核燃料の再処理や最終処分の費用19兆円の負担制度を検討している総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の小委員会は7日、新たに利用者負担を求める範囲を約5兆円にすることを決めた。10兆円分はすでに回収制度があり、残る4兆円は電力会社が料金原価に算入するなどして徴収する。
電力業界は、40年後までに発生する使用済み核燃料の貯蔵、再処理や最終処分にかかるコストを約19兆円と試算していた。新旧の回収制度を使って15兆円を回収した場合の利用者負担について、経産省が改めて試算したところ、1キロワット時あたり35銭になった。一般家庭では月額105円程度になる見通し。
今回、創設する負担制度から、使用済み核燃料を輸送し中間貯蔵する費用や、再処理後に抽出したプルトニウムを使って燃料を作る「MOX燃料加工」関連費用など4兆円が除外された。これらも、事業費用が発生した時点で電力会社が料金原価に算入することになる。(毎日新聞 2004/06/07)

米国で核燃料輸送車が横転 東電用積載、環境影響なし
東京電力は9日、米ユタ州の高速道路で柏崎刈羽原発7号機(新潟県柏崎市・刈羽村)用の核燃料集合体を輸送していたトレーラーが、米東部時間8日午前5時半(日本時間同日午後6時半)ごろ、強風にあおられ横転した、と発表した。
トレーラーにはステンレス製輸送容器6個に入った計12体の未使用燃料を積んでいたが、コンテナから外には出ず、外部への放射能漏れはなかった。燃料は製造工場に戻し検査するという。
燃料集合体は来年3月に予定されている7号機の定期検査時に交換するため、東電が米国の核燃料製造会社に発注。東海岸のノースカロライナ州にある工場から、11台のトレーラーで西海岸の積み出し港に運ぶ途中だった。
東電によると、原発用核燃料の輸送中の事故は国内ではなく、海外でも珍しいが、7号機の運転には影響はないという。(共同通信 2004/06/09)

家庭の負担は年1300円 原発再処理の徴収策固まる
総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)電気事業分科会が18日開かれ、原発の使用済み核燃料再処理費のうち、徴収方法が未定だった約8兆7000億円分について対応を協議し、約5兆1000億円分を電気料金に上乗せして徴収する方針を固めた。標準的な家庭(電力使用量が月300キロワット時)の負担額は、年間1296円の見込み。
ただし、使用済み核燃料の全量再処理を前提とした方式が見直されるため、現在、標準的な家庭で負担している費用(年間1512−1728円)と比べると減少することになる。
電力業界は約8兆7000億円全額の徴収を求めていたが、使用済み核燃料を一時保管する「中間貯蔵」などにかかる費用は、「再処理事業と関連が薄い」として差し引き、当面、徴収の対象外とすることになった。(共同通信 2004/06/18)

プルトニウム溶液漏出 核燃機構の再処理工場
核燃料サイクル開発機構の東海再処理工場(茨城県東海村)の分析所で21日、地下にある保守区域のコンクリート製の壁に放射性物質による汚染が確認され、同機構は、この区域を立ち入り制限区域とした。
検出されたのはアルファ線で、放射能濃度は1平方センチ当たり555ベクレル以上だった。ただ外部への放射性物質の影響はなく、現時点では作業員らの被ばくも確認されていないという。
現場には分析が終わったプルトニウムやウランなどを含む硝酸溶液を処理するための配管があり、壁に長さ約2メートル、幅10−20センチの2カ所、床には1カ所、液体の漏れた跡が見つかった。核燃機構は、配管のバルブ付近から硝酸溶液が漏れた可能性があるとみて調べている。(共同通信 2004/06/21)

「核燃料サイクル費用割高」 10年前に試算、公表せず
原子力発電所の使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルについて、旧通産省(現経済産業省)が94年、再処理をしないで地中に埋める直接処分とのコスト比較をしていたことが明らかになった。朝日新聞が入手した資料によると、核燃サイクルが2倍近く高い。経産省は今春までこの試算の存在を否定しており、基本となるデータを公表しないで政策を進める行政のあり方が問われそうだ。
10年前とはいえ、核燃サイクルがかなり割高だとの試算の存在が明らかになったことは、今月から実質審議が始まる原子力開発利用長期計画の改定作業に大きな影響を与えるとみられる。
資料は、旧通産省が作り、94年2月4日に開かれた同省の総合エネルギー調査会・原子力部会作業部会の非公式会合に提出された。この作業部会は当時、核燃サイクルの進め方を議論していた。
資料は、費用を電気料金の上乗せ分として表示。計画期間中の平均的な金利を設定して比較している。
平均的な金利が5%の場合、核燃サイクルでは、上乗せは1キロワット時当たり2.30円。直接処分は1.23円だった。再処理を海外に委託すると1.59円と国内より安かった。
再処理や廃棄物処分など、核燃料を使った後の費用だけを比べると、国内再処理は1キロワット時あたり1.34円で、埋めるだけの直接処分の0.35円の4倍近く。再処理の海外委託だと0.80円だった。
当時は、海外の研究などで核燃サイクルがコスト高になることが分かり、欧米を中心に関心が薄まり始めていた。
会議の議事要旨によると、通産省は試算の公表を提案したが、電力会社や研究開発機関の代表から「直接処分が議論されたことはなく混乱する」「電気料金が若干高くなろうと、長期的な判断から(核燃サイクルは)必要がある」などの慎重発言が相次いだ。
結局、こうした意見に配慮して試算の公表は見送られた。原子力部会は同年6月の中間報告で「両路線の比較は困難」と結論づけただけだった。
その後も、試算は存在しないとされ、今年3月の参院予算委でも福島瑞穂社民党党首の質問に対し、日下一正経産省資源エネルギー庁長官(当時)は「コスト試算による比較はない」と答弁していた。
核燃サイクルの費用負担については、電気事業連合会が昨年末、試算を初めて公表。試算条件が異なるため、単純な比較はできないが、サイクル費用は今後数十年間で約19兆円、1キロワット時あたりの上乗せは1.43円(平均金利4%)とされた。
原子力委員会は6月にスタートさせた長期計画の策定会議で直接処分のコストを求めることにしている。

経済産業省原子力政策課の話 調べたところ、10年前の審議会で議論用参考資料としてコスト比較した試算が存在することが分かった。3月の国会で「試算したものはない」と答弁していたが、大変申し訳ないことながら、10年前の資料でもあり、国会答弁当時は資料の存在を認識していなかった。94年とは状況が大きく変化していると考えられるので、改めて原子力委員会で検討してもらう。

<核燃料サイクル> 普通の原発(軽水炉)で燃やした使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、高速増殖炉や軽水炉の燃料として再利用する政策。56年に始まった長期計画以来、原子力政策の中心。高速増殖炉は実用化されていないため、現実にはプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を軽水炉で燃やすプルサーマルが柱となる。再処理の際に出た高レベル放射性廃棄物はガラスで固め、地下深くに埋設する。日本、フランス、ロシアなどがこの路線。米国など原発保有国の大半は、使用済み核燃料をそのまま地中に埋める直接処分方式を採用している。(朝日新聞 2004/07/03)

核燃試算、原子力委も隠す 再処理最大2.4倍
原発の使用済み核燃料を再処理してリサイクルする方式と、そのまま地中に埋設処分する直接処分方式の費用を、国の原子力委員会が10年前に試算して比較したのに公表していなかったことが6日、同委員会の定例会で明らかになった。
再処理は直接処分に比べ最大2.4倍費用が掛かると試算しながら、「比較は困難」として再処理を軸とする原子力長期計画をまとめていた。
経済産業省も同様の試算を未公表にしていたのが発覚したばかり。青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場のウラン試験を控え、原子力政策の信頼性が問われそうだ。
コスト比較は1994年、同委員会長期計画専門部会の非公開の分科会で行った。同委員会事務局を務めていた科学技術庁(当時)が経済協力開発機構(OECD)原子力機関の試算を元に、日本で直接処分をした場合の費用を推計した。(共同通信 2004/07/06)

電事連も核燃コストの試算隠し 「直接処分3割安」
国と電力業界が推進する原子力発電の核燃料サイクルをめぐり、電気事業連合会は7日、使用済み核燃料を再処理せずに地中にそのまま埋める「直接処分」のコストを94〜95年度に試算していたことを明らかにした。これまでは「内部試算は存在しない」と事実と異なる説明をしていた。同コストについては経済産業省で試算隠しが発覚し、幹部が処分されたばかり。議論の基礎となるデータを公表せずに、重要なエネルギー政策を進める行政・電力業界の姿勢が改めて問われそうだ。
試算は、(1)直接処分(2)発生する使用済み燃料の約半分をすぐに再処理し、残りは長期間「中間貯蔵」した後に再処理する(3)国内と海外委託ですぐに再処理する──の3通りを想定。(1)の直接処分のコストが1キロワット時当たり0.99円なのに対し、(2)は1.34円、(3)は1.41円で、直接処分は再処理より3割程度安い。
この試算は、経産省の試算隠し発覚を受けて今週から電事連が内部調査した結果、6日深夜になって書庫で見つかったという。10年ほど前に電力各社の原子力部門の課長クラスが集まった勉強会で行われたものだが、電事連は「様々な前提条件を置いた精度の低いもので、責任を持って公表できるものではなかった」と説明している。
核燃料サイクルについては、国の原子力委員会が原子力開発利用長期計画を改定する中で、再処理に代わる選択肢である直接処分とコストを比較し、是非を議論する流れになっている。8日に開かれる長期計画策定会議は、国や電事連の姿勢に、出席者から批判が相次ぐ展開も予想される。(朝日新聞 2004/07/07)

旧科技庁も過去に核燃コスト試算 原子力長計改定会議
原子力発電所の使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルについて、国の原子力委員会(近藤駿介委員長)は29日、旧科学技術庁による直接処分とのコスト比較の非公開資料が82〜92年に5件あったことを明らかにした。原子力利用長期計画(長計)の改定を進める策定会議で報告した。会議資料が公開されていなかった時代のものだ。同会議は、青森県六ケ所村で建設中の使用済み核燃料再処理工場の廃止も含めた政策比較を、8月から公開で始める。
一連の分析は国際機関の評価手法を参考にしており、同委員会の事務局だった科技庁が82年と87年に改定された長計の資料(3件)として提出していた。1割ほどサイクルが割高になるなどの結果で、85年度と92年度にも外部の研究機関へ委託していた資料もあった。いまの事務局がある内閣府は「日本独自に積み上げて試算したものではない」とみている。
同会議はこの日、今後の評価想定について、(1)全使用済み燃料を再処理する(2)六ケ所再処理工場で処理し切れない残りは直接処分する(3)六ケ所再処理工場を操業せずにすべて直接処分する(4)当面は中間貯蔵し、その後に政策を決める──などの想定を提案。(4)については異論が相次いだ。
また、コスト面での評価にあたる技術検討小委員会(委員長=内山洋司筑波大大学院教授)の設置も決めた。(朝日新聞 2004/07/29)

50年代のビキニ核実験 日本近海に今も放射能
第五福竜丸が被ばくした水爆実験をはじめ、1950年代の一連のビキニ核実験で周囲にまき散らされたプルトニウムが、日本近海に堆積(たいせき)していることを、放射線医学総合研究所の山田正俊防護体系構築研究グループチームリーダーと鄭建研究員が31日までに確認した。
人体や環境に悪影響を与えるレベルではないが、この核実験によるプルトニウムの汚染が日本周辺で確認されたのは初めて。半世紀経た今も海流で運ばれてきているとみられ、過去の大気圏核実験で発生した降下物の海洋での動きを示すデータとして注目される。
山田リーダーは「プルトニウムが地球規模でどのような動きをしているかが分かれば、核事故の際の影響予測にも役立つ」としている。
原爆などに使われる核物質の組成は微妙に異なっており、放射性降下物の由来も、含まれるプルトニウム239に対する同240の割合を調べることで特定できる。
ビキニで発生した降下物の比率は約0.30だが、成層圏まで達し、さまざまな核実験によるものが混ざった降下物では約0.18となる。
研究グループは、相模灘などで90−91年に採取した海底泥試料を計測。50年代の層で0.28とピークになり、大半がビキニ実験の降下物と結論づけた。年代が新しいほど比率は低くなるが、80年代後半でも0.24前後で、詳しい分析の結果、ビキニ実験の降下物が含まれていた。放射能量は試料1グラム当たり最大13ミリベクレルで、米西海岸の10ミリベクレル、ペルー沖の24ミリベクレルに比べ特に高くはなかった。
プルトニウムはビキニ環礁付近から北赤道海流と黒潮で運ばれ、日本近海でプランクトンの死骸(しがい)や土の粒子などに付着して沈降しているとみられるという。(中日新聞 2004/08/01)

浜岡原発:「骨材反応試験を偽造」と内部告発
中部電力浜岡原子力発電所4号機(静岡県御前崎市)の基礎や建屋建設に使われたコンクリート用の骨材(砂利、砂)を納入した業者の元従業員が、「アルカリ骨材反応試験の結果を偽造した」と経済産業省原子力安全・保安院に内部告発し、同院が中電に調査を指示していたことが6日、明らかになった。
アルカリ骨材反応はコンクリート中のアルカリ成分が砂利や砂に含まれる鉱物と反応し、コンクリートが膨張する現象。80年代以降、コンクリートの変形やひび割れが高速道路などで見つかり、問題化した。
元従業員は同県浜岡町(現御前崎市)の砂利生産会社の製造管理部門に勤務していた。同院への申告書によると、87年ごろから約4回、公的試験機関の試験結果の偽造やサンプルすり替えなどの方法で改ざんした虚偽報告中電の品質管理委員会に提出し、アルカリ骨材反応が起こる危険性のある材料約100万トンを納入したとしている。
これに対し、中電は6日の会見で、4号機のコンクリートの仕様書を確認したところ、アルカリ総量は日本工業規格(JIS)規制値内だったと発表した。また、「4号機建設から10年以上経過し、アルカリ骨材反応によるひび割れが発生する期間は十分に過ぎているが、ひび割れが起きたことは一度もない」と、安全性に問題がないことを強調した。内部告発が指摘した試験結果の偽造などについては「確認中」としている。【足立旬子、小林慎】(毎日新聞 2004/08/06)

美浜原発で蒸気漏れ、4人死亡・1人重体
9日午後3時30分ごろ、福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力82万6000キロ・ワット)で、原子炉が自動停止し、蒸気発生器の蒸気がタービン建屋内に充満、中にいた作業員がけがをした。
敦賀三方消防組合によると、11人が同県敦賀市内の市立敦賀病院と国立病院機構福井病院に搬送されたが、うち4人が死亡、1人が重体、6人が重傷という。負傷者は今後も増える見通し。関電が状況や原因を調べているが、周辺環境への放射能の影響はないとしている。
美浜原発3号機は、1976年12月に営業運転を開始。加圧水型軽水炉は、原子炉の熱を効率的に利用するため、原子炉内に150気圧以上の圧力を加え、1次冷却水の温度は300度を超えている。事故のあった2次冷却水は200度以上の高温となっている。(読売新聞 2004/08/09)

原発事故 また犠牲は… 危険作業は下請け頼み
福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機の蒸気噴出事故は、点検漏れ、点検軽視という“人災”の疑いが強まった。さらに、今回も「下請け」の作業員が犠牲になるなど、そのツケは、相変わらず弱いところに回ってくる。コスト削減、経済効率一辺倒で、安全性が軽んじられていないか。(早川由紀美、浅井正智)

■被ばく量 社員の3倍以上
「『気ぃつけて、帰ってこいよ』、こう言って送り出したんよ。社長、この気持ち、分かってくれるか。こんなきついこと言って悪いが、30年もわしら(夫婦)2人、努めてきたんや。その子がなんでこんなんなるねん。もう帰ってきぃへんのやど、うちの子は。最後に言うとく、二度と事故起こすな、うちの子だけにしといとってくれ」
事故で亡くなった高鳥裕也さん(29)=同県小浜市=の父実さん(60)は、号泣しながら弔問に訪れた関西電力の藤洋作社長に訴えた。
高鳥さんら犠牲になった4人が勤めていた「木内計測」(大阪市)は、関西電力の子会社、関電興業の下請けとして、関電の原発の工業計器類のメンテナンスを請け負っていた。関電から見ると「孫請け」の関係で、「協力会社」と呼ばれている。高鳥さんらは主に美浜を中心とした原発を担当、定期検査の事前準備中に事故に遭った。
原子力発電所で働くのは電力会社の社員と、下請けや孫請けなど非社員に分けられる。全国の原発で働く電力会社の社員は8200人足らず。これに対し、下請けや孫請けなどの非社員は7倍以上の5万8000人あまりに上る。美浜原発では社員404人に対し、非社員は2920人だ。
社員は発電所内ではいわばエリートだ。中央制御室で原子炉を運転したり、デスクワークなどに携わる。一方、原子炉の近くなど被ばくの危険性が伴う場所での作業を受け持つのは、圧倒的多数を占める非社員だ。

■社員はエリート「机上の仕事」に
脱原発を目指すNPO法人・原子力資料情報室のスタッフ、藤野聡氏は「特に危険が高いのは検査や破損部品の交換作業のときで、こうした仕事はもっぱら非社員が担当する」と話す。
それを裏付けるデータがある。経済産業省原子力安全・保安院のまとめによると、全国の原発で昨年度、電力会社社員が被ばくした放射線量は一人当たり0.5ミリシーベルトだが、非社員はその3倍以上の1.6ミリシーベルトに上った。社員と非社員の“差別構造”を浮き彫りにする数字だ。

■効率重視 検査短縮に報奨金
今回の事故は原子炉を稼働させたままの状態で、14日から始まる定期検査の準備をしていた中で起こった。「作業員の安全を考えれば、原子炉を止めてから検査に入るべきだ。しかし電力会社は近年、検査期間をいかに短くするかを課題にしている」(藤野氏)
その端的な例が2002年11月に明るみに出た。東京電力が、原発の定期検査の期間を短縮した請負業者に報奨金を支払っていたのである。これより先の8月、東電の福島、新潟両県にある原子力発電所でのトラブル隠しが発覚したが、検査の短縮が「データ隠蔽(いんぺい)、記録改ざんにつながる素地になった可能性がある」(当時の平沼赳夫経産相)とも指摘された。
技術評論家の桜井淳氏は、「検査短縮は原発の設備利用率が火力、水力発電に比べて優位性を示すために世界的に行われている」と背景を説明する。1990年代半ばに始まった電力自由化によって独占が崩れ、電力会社がコスト圧縮に急いだという事情もある。
 
■商業用の耐用年数に根拠なし
従来ならば10カ月稼働し、その後3カ月が検査に費やされるというサイクルだったが、現在の検査期間は40日程度だ。半減した日数を補うために検査は24時間体制で行われる。効率重視が下請け、孫請けに大きな負担を強いる構図が見えてくる。
今回の事故で、現場を視察した中川昭一経産相は「20年以上も検査を行っていなかったというのは、あまりにもひどい」と関電に強い不満を表明した。しかし「問題は原発の老朽化に楽観的な見通しを持ち続けてきた国の姿勢にこそある」と、桜井氏は強調する。
従来、商業用原発の耐用年数は30−40年とされていたが、政府は96年、運転開始から30年の原発に関して、検査の充実で60年まで運転可とする方針を示している。“長寿命化構想”だ。原発の新規立地などが難しいという背景がある。
 
■起こって初めて実態が明らかに
桜井氏はこう指摘する。「この年数はあくまで目安であって技術的な根拠はない。老朽化の詳細は分かっていない部分も多く、事故が起こって初めて老朽化が想像以上に進んでいた実態が明らかになる。明確な技術的指針のない現状では、原発の運転自体が試験研究的なものになっている」
 
■原発歌人の奥本さん「手抜きで死者 悲しい」
「工事を下請け、孫請けとおろすたんびにピンハネされて、国が安全ですと言った設計書通りではない。事故のあった3号機ではないけど、1、2号機と美浜で仕事してきたし、ああいう手抜きをしたから死ぬ人が出たんだと思うと、悲しい。近所の人も事故に遭った。悔しいし、情けない」
こう嘆くのは、美浜や敦賀、大飯などの原発建設現場で、下請け作業に従事した奥本守さん(73)=福井県上中町=だ。作業現場の実感を詠んだ歌集を3冊出版した「原発歌人」でもある。1冊目の歌集を出した1991年、建設会社を解雇された。
奥本さんが農機具のローン返済のため、建設現場に入ったのは68年、敦賀原発1号機工事から。当時は危険という意識はなかった。「大阪万博に原子の火を送るんだと皆一生懸命だったし、誇りに思っていた」
作業に慣れ、設計書を見る機会もあった。「前日に設計書をもらい、翌日作業に入ろうとすると、上から『あれはおまえらには難しい。簡単にできる方がいいさけ、こっちにする』と言われた。その時は喜んでたが手抜き工事じゃないか。鉄筋の数は変わらんが、補強筋の数が減ったりした」
給料のピンハネも横行し、一方で、安全性の要となる溶接作業でも、熟練者の数は多くはなかったという。「下請け会社は作業が予定より遅れると罰則金を払わないといけなかった。作業日報に載せるため、頭数はとにかくそろえておき、日延べしなければいけないときに言い訳できるようにした」
「完璧(かんぺき)」とは言えない状況で建設された施設が、当初の耐用年数とされた20年を超えて稼働することに、強い不安を覚えた。「知らん間に30年になって、今では60年とか言ってる。おかしいでしょう」。美浜、敦賀などかつてかかわった施設の事故が相次ぎ、その思いを歌に込めた。

<原発の設計や予算は完璧なれど曾孫(ひまご)請けなれば4割工事>
<原子炉を造りし労務者われなれば事故起こるたび詫(わ)び申したし>

「『もんじゅ』は実験炉と名前が付いてますけど、普通の原発だって30年以上稼働して安全やと証明された例はない。そういう意味では日本の原発は全部、実験炉だ。施設はどんどん老朽化で悪くなる一方、人はどんどん高慢になっている。そのすき間で事故は起きるのではないか」(東京新聞 2004/08/12)

「データねつ造 福島原発でも」 業者の元従業員、浜岡に続き告発
東京電力の福島第1原発(福島県大熊町)、第2原発(同県楢葉町)の建設時に使われたコンクリート用の砂利を納入した業者の元従業員(45)=静岡県在住=が、「砂利の品質を保証するアルカリ骨材反応試験の成績書をねつ造し、危険性のある材料を納入した」と経済産業省原子力安全・保安院に内部告発したことを明らかにした。
アルカリ骨材反応は、コンクリート内のアルカリが砂利などに含まれる成分と反応し、強度が劣化する現象。元従業員は大手セメント会社が出資する砂利生産会社に昨年末まで勤務し、浜岡原発や福島第1、第2原発の建設時に現地子会社に出向して製造部門を担当していた。福島第1、第2原発の現地子会社には2002年9月に出向したが、当時の生産会社社長や子会社専務から「以前、データをごまかした」との趣旨の発言を聞いたという。このことから、01年4月までに数回、公的試験機関の検査結果を無害であるとねつ造し、アルカリ骨材反応が起こる可能性のある材料を納入していたことが分かったとしている。(中日新聞 2004/08/13)

「関電の発表でたらめ」 美浜事故で専門家が批判
関西電力美浜原発の死傷事故を受け、東京都千代田区で18日開かれた市民グループの緊急集会で、反原発運動に取り組んでいる槌田敦・名城大教授(物理学)が講演し「関西電力は事実を発表しておらず、原子力保安院もそれを容認してしまっている」と批判した。
槌田教授は「関電側は蒸気漏れと言っているが、事故は配管の破裂で漏れたのは熱水。事故をなるべく小さくしようとしており、発表はでたらめばかりだ」と指摘。
「配管を(電力会社の)自主検査に任せているのがそもそもの誤り。配管を原子炉部分と同等に考えて対応しなければ、今回のような化学腐食による配管減肉は発見できない」とした。
さらに「関電は事故が起きる直前のことを発表しておらず、まだ何か隠していると考えざるを得ない」と述べた。(共同通信 2004/08/18)

使用済み核燃料:再処理なしなら中間貯蔵施設が多数必要
国の原子力開発利用長期計画策定会議(近藤駿介議長)は24日、原発の使用済み核燃料を再処理しない場合、2050年までに容量5000トン規模の中間貯蔵施設が全国で6〜11カ所必要になるとの試算をまとめた。
使用済み核燃料を直接地中に埋める場合も、30年間程度は事前に地上で保管し、冷却しなければならないため。再処理すれば、中間貯蔵施設は2〜5カ所で済むという。
同会議はこれらのデータを踏まえ、再処理した場合としない場合のコスト比較を実施する。【山本建】(毎日新聞 2004/08/24)

損賠訴訟:原発作業で骨髄がん 元プラント建設会社員、東電を提訴へ
原発の作業で被ばくし、骨髄がんの一種の多発性骨髄腫になったとして、大阪市西淀川区の元プラント建設会社社員、長尾光明さん(79)が東京電力を相手に、原子力損害賠償法に基づき、治療費や慰謝料など約4400万円を求める訴訟を7日、東京地裁に起こす。被ばくによる多発性骨髄腫での損害賠償訴訟は初めて。被ばくの危険性の説明を受けず、肉体的にも精神的にも苦痛を受けたなどと訴えている。
富岡労働基準監督署(福島県)は今年1月、業務と病気の因果関係を認め、労災認定していた。
長尾さんの放射線管理手帳などによると、77〜82年に福島第1原発(福島県)や浜岡原発(静岡県)などで配管工事や監督に従事し、被ばく量は計70ミリシーベルト(うち約60ミリシーベルトは福島第1原発)に達した。年間被ばく量は電力会社社員の平均に比べ3〜8倍、下請け労働者の平均の1.5〜3.5倍だった。東電側の指示に従って業務に従事すれば、被ばくの危険性は一切ないという趣旨の説明を受けたという。
長尾さんは98年に前歯や首の骨が折れ、兵庫医大から多発性骨髄腫と診断された。進行すると、全身の骨が溶け出し、さまざまな臓器にも障害が起きる。【大島秀利】

◇東京電力広報部の話 現段階ではコメントできない。(毎日新聞 2004/10/05)

電気代で年840円の差 再処理は直接処分より割高
原子力発電所から出る使用済み燃料を再処理すべきかどうかが争点となっている原子力委員会の新計画策定会議の小委員会は7日、再処理した場合、しないで直接処分するより費用が約1.8倍かかり、平均的家庭では電気代が最大で年間840円高くなるとの試算結果を公表した。
核燃サイクルコストの試算隠しで揺れた経済性の比較は、直接処分に軍配が上がることがはっきりした。原子力委員会では今後、将来のエネルギー源確保など経済性以外の観点も含め、核燃料サイクルのあり方について来月にも結論を出す。
委員会は、原発から出る使用済み燃料について、(1)全量を再処理(2)一部を再処理(3)全量を直接処分(4)当面、地上で貯蔵─の4つのシナリオに分けて、2002年度から60年度の59年間にかかる発電単価を試算した。(共同通信 2004/10/07)

放射能漏れ伏せる 再処理施設「ヨウ素放出」
核燃機構東海事業所
核燃料サイクル開発機構東海事業所(茨城県東海村)の再処理施設で、低レベル放射性廃液の処理中に放射性ヨウ素129が大気中に放出されるトラブルが、14日に起きていたことが分かった。
核燃機構は「ヨウ素が放出された」とだけ広報して、放射性物質とは説明せず、警報が鳴ったことも伏せていた。経済産業省原子力安全・保安院も「丁寧な広報を心掛けるべきだ」と同機構の姿勢を批判している。
関係者によると、14日午前11時すぎ、原発の使用済み燃料を再処理する施設の一部「低放射性濃縮廃液貯蔵施設」で、中間排気モニターの放射性ヨウ素の値が、自主的な管理設定値を超えて1分当たり350カウントに急上昇し、施設内に警報が鳴った。その後、外部に通じる排気筒のモニターの値も急上昇し、大気への放出が確認された。
東海事業所の広報担当者が「ヨウ素放出量の指示値が一時的に上昇」などと書いた紙を茨城県庁の記者クラブで配ったが、放射能漏れとの説明はなく、警報が鳴ったことも伏せられていた。
今年5月の処理の際にアルカリ性廃液が配管に残留し、今回の処理で酸性廃液を流したため混ざって反応、ヨウ素が揮発した可能性が高いとみて調べている。
広報担当者は共同通信の取材に「法令上、報告が必要な事態ではなかったが、放射性物質と説明しなかったのは不注意だったかもしれない」と話している。
このトラブル中に漏れた放射性ヨウ素の量は保安規定に定める1日当たり最大放出量の560万ベクレルの14分の1に当たる約40万ベクレルで、安全に問題はないとしている。(中日新聞 2004/10/17)

浜岡モデルの原発で基準超 地震による炉心損傷の確率
地震で原発の炉心が損傷する重大事故が発生する確率を3つのモデルで評価した結果、中部電力浜岡原発(静岡県)をモデルにした原発で国際基準を上回っていたと、独立行政法人原子力安全基盤機構が22日、発表した。
評価は昨年9月、原子力発電技術機構がまとめた。福島、大飯(福井県)、浜岡の各原発をモデルに、周辺で起きた過去の地震から将来の地震の発生確率や揺れの大きさを推計。運転期間を40年間とし、地震で原子炉が冷却できなくなって炉心が損傷する確率を出した。
福島原発は年当たりに換算して約0.00004%、大飯原発は約0.01%、浜岡原発は約0.06で、浜岡原発については国際原子力機関(IAEA)が推奨する「既設炉で0.01%以下」の基準を上回った。
浜岡モデルは、地盤は想定東海地震などを、原発機器は福島原発の110万キロワット沸騰水型原子炉を、それぞれ想定して組み合わせて評価しており、浜岡原発自体の評価ではないが「大筋では違わない」(同機構)という。
原発の耐震基準については、マグニチュード(M)6.5の直下型に耐えられる構造が求められているが、M7.3の鳥取県西部地震などM6.5を上回る地震が相次いだことから、国の原子力安全委員会が耐震基準の見直しを行っている。(共同通信 2004/11/22)

英核燃会社:核物質30年間放置 貯蔵プールに溶け出す
【ブリュッセル福原直樹】英国核燃料会社(BNFL)が運営する原子力施設の屋外貯蔵プールで使用済み核燃料を覆う合金が腐食、内部のウランやプルトニウムが一部溶け出したまま約30年間放置されていることが11日、欧州連合(EU)高官の証言で分かった。溶け出した放射性物質はプールの底に沈殿し、プールの水も放射能を帯びている。同施設についてはEUが9月、「安全情報が得られない」として、英国を欧州司法裁判所に提訴していた。
使用済み核燃料が溶け出したのは同社のセラフィールド事業所(英国中西部)の施設「B30」。
BNFLは、60年ごろから使用済み核燃料を施設内の屋外貯蔵プールに一時貯蔵、敷地内の工場で再処理し、核兵器や核燃料に使うプルトニウムを抽出していた。
ところが、74年に再処理工場が長期間稼働を停止したため、核燃料が長くプールに停滞。燃料を覆うマグネシウムとアルミの合金の表面が腐食した。このためウランやプルトニウムを含む内部の燃料が溶け出し、底部に沈殿した。水は濁り、放射能値も高まった。
その後、これらが障害となり再処理作業が遅れ続け、核物質の沈殿も続いたという。BNFLは沈殿量を明かしていないが、プールには92年まで核燃料が搬送されていた。関係者によると現在、プールの水はかなり濁り、付近での作業は一定時間内に制限されている。BNFLは「環境への影響や、安全性には全く問題はない」としている。
BNFLはプールなど同施設の解体を検討中だが、関係者は「10年以上の期間と、膨大な経費が必要だ」と話している。
同施設を巡っては、EUが昨年以来▽放射性廃棄物の全体量▽安全確保のための計画▽査察官の立ち入り調査──などを要求。だが英国は満足な回答をせず、EUは英国を同裁判所に提訴していた。BNFLは99年、日本向けのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の検査データねつ造が発覚、大きく批判されている。(毎日新聞 2004/12/11)

原発:想定外規模での耐震性、国内で1基も確認せず──電力10社にアンケート
国内の原子力発電所が想定を上回る地震に襲われた場合、どの程度の地震まで耐えられるかを確認した原発は1基もないことが、電力各社への毎日新聞のアンケートで分かった。「想定外」に対する安全性を国民にどう説明するかも尋ねたが、具体的な回答はほとんどなかった。原発は国の耐震指針に基づいて設計しているが、想定外への対応は不十分な実態が明らかになった。実際に想定外の地震も発生しており、国の原子力安全委員会が進める指針見直しにも影響しそうだ。
アンケートは原発を運転する電力10社に実施。設問は(1)どの程度の地震まで耐えられることを確認しているか(2)想定外の地震や大事故が起きる可能性はゼロと考えるか(3)「想定を大きく上回る地震で大事故の危険性はないのか」との疑問にどう答えるか──とした。
安全性を確認した地震は、全社が「耐震指針が定める大きさまで」と回答。具体的に想定外の地震に対する安全性を確認した社はなかった。
想定外の地震や大事故が起きる可能性は、「起こり得ない」と「ゼロではない」の二者択一で回答を求めたが、全社がどちらも選ばなかった。ある社は「ゼロでないと考えるが、これまで最大限まで考えて設計していると説明してきたので、ゼロでないと答えると矛盾する」と話す。【鯨岡秀紀、中村牧生】(毎日新聞 2004/12/17)



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