原子力発電【放射能】

[1997-2000]



「もんじゅ」トラブル 動燃、また通報遅れ
空調故障 敦賀市の指摘で判明
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀死)で昨年12月、中央制御室などの空調設備が故障したことを、動燃が県や敦賀市に報告していなかったことが、31日分かった。7年12月のナトリウム漏れ事故の際も、事故発生から約1時間も後に通報し、その遅れが批判を浴びたばかり。動燃の体質があらためて問われている。
空調設備はA、B2系統あり、昨年12月20日、このうちのA系統がショートしてモーターが破損、自動停止した。このため、動燃はB系統の機器を動かし空調する一方、A系統を修理していた。ところが、1月26日には、頼みのB系統もフィルターの目詰まりでダウンした。
原子炉本体に影響のないトラブルは、毎月15日までに開く月例報告で県や敦賀市に説明する決まりになっている。しかし、動燃はA系統の故障を報告せず、B系統の故障を連絡した1月27日になって、市の「もう1系統はどうなっているのか」との指摘で、A系統でも故障があったことを説明。この日まで隠していたことを認めた。
この点について、もんじゅ建設所技術課の広井博課長は「施設本体に影響ないからと安易に判断してしまった」と話している。敦賀市原子力安全対策課の塩津晃治課長らは「異常時報告でなくても、口頭で報告があってしかるべきだ。こちらの指摘で故障を認めるとはあまりにひどい。ナトリウム漏れ事故の際にも厳重注意したばかりだ」と憤慨し、この日、県とともに通報連絡を徹底するよう動燃に強く申し入れた。(中日新聞 1997/02/01)

米スリーマイル島の原発事故 がん患者が多発
大量の放射能漏れか 大学が報告
【ワシントン24日時事】米史上最悪の放射能漏れ事故となった1979年3月の東部ペンシルベニア州スリーマイル島原子力発電所事故で、原発の風下にいた住民のその後のがん発生率が極めて高く、これまで考えられていた以上の放射能漏れがあったとする調査報告が、24日発行の米環境保健科学研究所機関誌・環境保健展望に掲載された。
同事故をめぐっては、コロンビア大学が90年に「放射能流出の人的影響は軽微」と結論付けたが、ノースカロライナ大学のスティーブン・ウィング助教授らのチームが実施した調査分析によると、事故から18年を経て原発の風下にいた住民の肺がんや白血病の羅患(りかん)率は風上の住民より2−10倍高いという。
同助教授らは「原発周辺のがん患者多発や動植物の生態異変、住民の染色体破壊などの事実はすべて、流出した放射能値がこれまでの推計よりはるかに高かったことを示している」と指摘。従来推定されていた放射能量では、住民全体にがん患者が増加した理由は説明できないとしている。同誌は、「調査に新事実はなく、一方的な解釈」と批判するコロンビア大学専門家の反論も併せて掲載した。(中日新聞 1997/02/25)

茨城・東海村 再処理工場 火災“鎮火”後に爆発
動燃施設外に放射能漏れ 室内の10人被ばく 
茨城県東海村の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の再処理工場内のアスファルト固化施設で11日午後8時すぎ、大きな爆発音が聞こえ、施設のドアやシャッター、建物の窓ガラスなどが破損した。午後11時現在、けが人などは確認されていない。同日午前に同施設で火災が起きており、動燃は爆発音とともにあらためて出火した可能性があるとみて、作業員に被害がなかったかどうか確認を急いでいる。また敷地境界に設置したモニタリングポストの値も一時異常を示した。同日午後9時には正常に戻ったという。動燃は事態を重視、午後8時22分に現地に防護活動本部を、同8時40分、本社内に災害対策本部(本部長・近藤俊幸理事長)を発足させた。
同施設では同日午前10時ごろ、低レベル放射性廃液と高温のアスファルトを混合してドラム缶に詰めるターンテーブルで火災が起きたが、14分後に鎮火したとみられていた。科技庁核燃料規制課や動燃によると、爆発音があったのは午後8時14分。その後、鉄筋コンクリート4階建て(一部5階)の固化施設の窓と、固化した廃棄物をトラックで搬出するためのものなど2カ所のシャッターが壊れているのが確認された。施設の2階と4階部分の窓から煙が上がっていた。また、固化施設と渡り廊下でつながっている放射性廃液処理施設の扉2つも破損していた。
事故直後に施設の排気口の放射線モニターの警報が鳴り、同8時50分すぎには、施設に最も近い放射線モニタリングポストの値が20%程度上昇。周辺に放射性物質が漏れたと考えられる。動燃は午前の火災直後に、放射線管理区域への放射能漏れに気付き、施設内で作業員を避難させるとともに、現場にいた59人を調査した結果、10人からごく微量の放射性物質を検出した。さらに、2人について調査を続けている。科学技術庁核燃料規制課によると、全身の汚染状況を調べた結果、判明した限りで最大の被ばく量は約2700ベクレルで、年間摂取限度の2000分の1以下だった。

<アスファルト固化施設> 動力炉・核燃料開発事業団東海事業所内にある使用済み核燃料の再処理工場の付属施設。工場から出る低レベルの放射性廃液を、アスファルトと混合してドラム缶に詰め固化する。1982年に実際の廃液による試験運転を開始、これまでにドラム缶約3万本分を処理している。84年5月には施設内で白煙が上がる事故があった。(中日新聞 1997/03/12)

動燃事故 プルトニウムも外部漏出 検出量ごく微量
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所(茨城県東海村)で11日起きた再処理工場爆発事故で、プルトニウムなど人体に有害なアルファ線を出す超ウラン元素が放出されていたことが14日までに、分かった。検出量は微量だが、建物の3階まで噴き上げられ、外部にも漏れていた。
爆発のあったアスファルト固化処理施設3階で、動燃が12日に床をぬぐって測定したところ、2カ所でアルファ線を検出した。放射能レベルは1平方センチ当たり0.028ベクレルで、立ち入り禁止区域を設定する基準値1平方センチ当たり4ベクレルを大きく下回っている。
また、14日公表された排気筒の放射線検出器データでも、爆発後、アルファ線を放出するチリをとらえており、割れたガラス窓か、または排気筒を通じて、外部にプルトニウムなどが漏れたことは確実だ。
アルファ線はヘリウム原子核と同じもので、破壊力が強く、呼吸などで体内に取り込むと、がんを起こす恐れがある。半面、ベータ線やガンマ線と比べて粒子が大きいので、紙1枚で遮ることができる。核分裂によって放射されるアルファ線は空気中を数センチ飛ぶだけ。爆発の規模が大きかったために、爆風で超ウラン元素が1階から3階まで10メートルも噴き上げられたとみている。
また、同じ排気筒のベータ線検出器では爆発の直後から放射線レベルが急上昇し、30分足らずの間に約100倍になっていた。
動燃は、放射性ヨウ素の外部への放出量は210万ベクレルとしているが、超ウラン元素をはじめとする他の放射性物質の放出量は「把握していない」という。
再処理工場で処理する使用済み燃料には、プルトニウムなど超ウラン元素が含まれており、低レベル廃棄物の中にも除去し切れなかったものが少量含まれている。こうした元素が周囲にまき散らされたらしい。超ウラン元素は放射能の半減期が1000年、1万年単位と長く、処理が難しい。

<プルトニウム> 放射性元素の1つ。自然界には存在せず、原子炉の使用済み核燃料を再処理して取り出す。核燃料に使われるプルトニウム239は半減期が約2万4000年で、人体に取り込まれると、放射線障害を起こしやすく、きわめて危険だとされている。ウランよりも原子核中の陽子の数が多い元素を総称して超ウラン元素という。すべて人工の放射性元素で、プルトニウムやアメリシウムなどがある。(中日新聞 1997/03/15)

動燃事故 爆発的燃焼 分かっていた
71−73年に固化体実験 結果生かされず
爆発事故を起こした動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の再処理工場で使われているアスファルト固化体は、放射性廃液の主成分である硝酸ナトリウムが混ざっているため発熱しやすく、爆発的に燃焼する恐れがあることを、動燃は自主的に行った実験でつかんでいたことが19日までに分かった。
科学技術庁は、火災が爆発にまで進展した事故の流れを解明する重要な手掛かりとして、火災の後にこうした反応が生じなかったかを重点的に調べる方針だ。
動燃はこの性質を確かめていながら、施設の設計、建設では、充てん室内のドラム缶の温度を計測する手だてを取っておらず、試験結果は結局生かされなかったことになる。
実験結果は、動燃が同施設建設前の1971−73年に実施した安全性評価試験の報告書としてまとめられた。
それによると、アスファルト単体では加えた熱が蓄えられるだけだったが、実際の工程と同様に廃液の成分である硝酸ナトリウムを混ぜた試料では、200度から225度でゆっくりと発熱が始まった。
一部の試料では300度付近で発煙、燃焼が始まり、燃えなかったケースでも、硝酸ナトリウムの分解温度である380度から400度付近で、急速に発熱反応が強まった。
発熱は硝酸ナトリウムとアスファルトとの酸化還元反応が原因。酸素がなくても硝酸ナトリウムが酸化剤として働いて反応が持続するため、二酸化炭素の注入による酸欠消火よりも、冷却を兼ねた水による消火がより有効だとしている。
報告書は「熱伝導の悪いアスファルトはわずかな発熱も内部に蓄積していくので、安全の限界温度220度を厳守する必要がある」と注意を促していた。(中日新聞 1997/03/19)

セシウムを検出 水戸など 動燃事故の影響か
動燃再処理工場爆発事故で、茨城県は21日夜、水戸市と同県大洗町の県内2カ所で放射性物質のセシウム137などが検出されたと発表した。
検出値は、水戸市では3月7日から14日にかけて採取した大気からセシウム137が1立方メートル当たり41マイクロベクレル(1マイクロベクレルは100万分の1ベクレル)、大洗町では10日から17日でセシウム137が最大で600マイクロベクレル、セシウム134が60マイクロベクレル検出された。
同県原子力安全対策課は「自然放射能の約1000万分の1から100万分の1で、健康には影響はない」としている。
2つの物質は通常、大気中から検出されないため、同課は11日の同県東海村での動燃再処理工場爆発事故の影響とみている。
17日には、同県つくば市の気象庁気象研究所で大気中のチリを集めて測定した。その結果、1立方メートルあたり84マイクロベクレルのセシウム137と13マイクロベクレルのセシウム134が検出されている。(中日新聞 1997/03/22)

再処理工場火災 動燃またウソ報告
消火確認していなかった
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所の再処理工場爆発事故で、動燃の近藤俊幸理事長は8日夜緊急会見し、最初の火災の消火作業の後に、あらためて消火を確認した事実はなかったとし、従来の発表内容を訂正した。
これまで動燃は、事実経過について「消火活動の9分後に作業員が窓から目で見て消火していると判断した」と説明。.法令に基づいて事故の10日後に科学技術庁に提出した報告書第一報にも記載していた。
今回の事故では、消火確認が不十分だったために火がくすぶり続けて、室内に可燃性ガスが充満。約10時間後に爆発に至ったという見方が有力。従来、消火と確認した根拠があいまいなことが問題視されていた。
動燃は、一昨年の高速増殖原型炉もんじゅのナトリウム漏れ事故でも施設への立ち入りを事実に反する時刻で同庁に報告。住民から原子炉等規制法の虚偽報告に当たるとして告発されている。(中日新聞 1997/04/09)

「放射能防護」機能せず 全ドラム缶から火柱
爆発事故で動燃訂正報告
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が14日、科学技術庁に提出した、東海事業所爆発事故報告書の訂正報告で、最初の火災は激しいもので、発見直後には、アスファルト固化処理施設内に煙が広がっていった様子が明らかになった。アスファルト充填(じゅうてん)室から煙が漏れ出し、放射能の防護システムは、すぐに機能しなくなっていた。意図的な隠ペいではないというが、重要な事実経過だけに、報告の遅れに対して、批判が出そうだ。
訂正報告には、出火から約30分後までの、生々しい状況が追加された。
それによると、出火当時の3月11日午前10時6分から8分にかけて、充填室内のドラム缶1本から約2メートルの火柱が上がっていた。その直後、作業員から見えるすべてのドラム缶から火柱が上がったのが目撃されたという。
さらに、同13分ごろ、隣接の操作区域で、作業員がスプリンクラーの停止作業をしていた際に「煙が室外に出ていることを確認」。同24分ごろには、2階の通路や、隣接するビルとの連絡通路でも煙が確認されていた。
充填室は放射能レベルが高く、操業以来、操作区域から厚い壁越しにロボットアームを操って作業を行っている。このアームを取り付けた部分のすき間から煙が漏れていた。
また、ほぼ同時に気圧差が失われていくことを示す警報が鳴り、同15分ごろに隣接の別の部屋で「気圧差がゼロ」になっていた。
これらの新事実は、室外より気圧を低くし、放射性物質などが漏れるのを防ぐ「負圧システム」が、かなり早い段階で損なわれていたことを示している。
事故直後に動燃は、換気設備が目詰まりなどで故障し、放射性物質が拡散し続けていたと発表。専門家などから、負圧システムは火災時には役に立たないのではないかと指摘されていた。
しかも、放射性物質が外部に漏れているのに気付くのが約5時間も遅れたことや、茨城県へは当初「環境への影響があるとの報告はない」と連絡していたことが問題になっていた。
今回、「煙が室外に出ているのを目撃」と報告が訂正されたことから、現場では早くから、放射性物質が外部に出ている可能性が高いことは分かっていたとみられる。
動燃の中野啓昌理事は、最初の報告にこうした事実が書かれていなかった理由について「情報はあったが、(虚偽報告の聞き取りを行うまで)はっきりしなかった」と説明している。(中日新聞 1997/04/15)

動燃また通報遅れ 「ふげん」放射能漏れ30時間余
科技庁長官 運転停止を命令
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の新型転換炉原型炉「ふげん」(出力16万5000キロワット、福井県敦賀市)で、放射性物質のトリチウムが漏れていたことを、動燃が発生から30時間もたってから国や自治体に連絡していたことが15日、分かった。近岡理一郎科学技術庁長官は同日夜、近藤俊幸理事長を呼んで「ふげん」の運転停止を命じた。不祥事を理由に原発が止まるのは初めて。橋本首相も「いい加減にしろ」と強い不快感を表明した。また、科技庁は、爆発事故で虚偽の報告書を提出した動燃東海事業所(茨城県東海村)の管理職ら数人を16日に原子炉等規制法違反の疑いで茨城県警に告発する。
福井県原子力安全対策課によると、14日午前5時33分、ふげんの重水を精製し再使用するための装置がある建物で、内部や排気塔の放射能モニターレベルが高いことを示す警報が作動。運転員が装置を停止して調べた結果、施設1階にある重水循環ポンプ出口の配管継ぎ手から微量の重水が漏れ、含まれている放射性物質のトリチウムが、排気塔から外部の環境に漏れたことが分かった。漏れたトリチウムの量は通常の約18倍あったが、平成7年度の年間放出量実績の300分の1で微量だったという。
しかし、地元福井県に放射能漏れを通報したのは警報作動から30時間余りたった翌15日の正午だった。14日、竹下徳人所長は東京に出張中。残った幹部は、装置の停止などにより放射能レベルも通常状態に戻っていたため軽微なトラブルと考え「所長が帰るのを待って報告し、それから自治体に連絡すればいいと判断ミスした」(竹下所長)という。
14日午前9時から副所長、発電課長、技術課長らが開いた定例の所内会議でも「自治体に連絡した方がいい」との指摘も一部にあったが、ほとんど問題にならなかったという。15日午前6時15分に電話で報告を受けた竹下所長も「安全協定に基づく連絡事項と考えたが、自治体には出勤してから連絡すればいい、と自分も判断を間違えた」と釈明した。
地元自治体は安全協定違反だとして動燃に強く抗議。原発反対派住民も一昨年12月の高速増殖原型炉「もんじゅ」事故、茨城県東海村・再処理工場事故で虚偽報告した動燃の体質が変わらない証拠、と反発している。
もんじゅ事故後、ふげん発電所でも毎月1回、通報連絡訓練を実施しているが、初動の段階で通報しようとせず、訓練は役に立たなかった。竹下所長は「弁解の余地はなく本当に申し訳ない」と陳謝した。

動燃が新型転換炉原型炉「ふげん」の放射性物質トリチウム漏れを発生から30時間もたってから国や自治体に連絡していた問題で、近岡理一郎科学技術庁長官は15日夜、近藤俊幸理事長にふげんの運転停止を命じ、情報伝達体制の改善を指示した。不祥事で原発が止まるのは初めて。

<ふげん> もんじゅなど高速増殖炉が実用化されるまでの中継ぎとして開発が進められてきた新型転換炉の原型炉。燃料にはプルトニウムや、ウランとプルトニウムの混合燃料を使う。政府は、コスト面などから原型炉の次の段階である実証炉の開発を断念することを決めている。もんじゅ事故の影響で今後の取り扱いが決まらず、いわば宙に浮いた形の原発。(中日新聞 1997/04/16)

「ふげん」重水漏れ11件も 過去3年間 動燃、報告怠る
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の新型転換炉原型炉「ふげん」の重水漏れ事故で、動燃は16日、平成6年11月からことし1月にかけての過去3年間で今回と同様の事故が12件あったことを明らかにした。いずれも微量と判断して、動燃は福井県や敦賀市への報告を怠っていた。
放射性物質のトリチウムを含んだ重水漏れ事故は、運転中が2件、原子炉を起動する前の準備中が2件、定期検査中が7件。
14日起きた今回の事故では、通常運転中に放出される1週間分のトリチウムが一度に漏れて大気中に放出された。11件のうち、今回の事故を上回る量が漏れたのは警報機器が作動した平成6年12月と7年9月の2件あった。
この2件にとどまらず、全11件の重水漏れすべてについて、動燃は「安全協定に基づき、県など自治体に通報する義務があった」と認めている。
報告を怠った理由について動燃は「環境への影響のない微量だったため、報告する必要がないと思った。『もんじゅ』事故を教訓に厳しくやらなければならないと徹底させたが、認識が甘く、浸透しなかったようだ」と話している。
この日わかったのは事故を契機に作業日誌などをさかのぼって調べた分だけ。平成6年以前の重水漏れについては「ないとはいえない」と説明している。

<トリチウム> 三重水素とも呼ばれる放射性物質。普通の水素に比べて中性子が2個多い。弱いベータ線を出してヘリウムに変わる。自然界では宇宙線(放射線)と大気中の窒素の反応などで生成される。水の中に溶け込んでいることが多い。アルファ線を出すプルトニウムなどに比べると、人体への影響は10分の1程度とされる。(中日新聞 1997/04/17)

動燃『ふげん』新たに7件 重水漏れ 微量と判断、報告せず
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の新型転換炉原型炉「ふげん」(福井県敦賀市)の放射性物質トリチウムを含んだ重水漏れ事故で、これまでに明らかになった12件以外に、平成4年と5年の2年度の間で新たに7件の重水漏れがあったことが19日、分かった。警報が鳴らず、いずれも放射線障害防止法で決められた基準値を下回っていたため、動燃は微量と判断して、これまでと同様、福井県や敦賀市などに報告していなかった。
4月の重水漏れ事故で、科学技術庁が立ち入り詞査し、法律に基づいて保管が義務付けられている5年間分の資料を調べた結果、分かった。
7件は平成4年7月から5年11月にかけてで、このうち5件が作業ミスによる。これで「ふげん」の重水漏れ事故は、過去5年間で19件発生していた。
動燃は放射性物質のトリチウムを含む重水漏れ以外の設備異常では、故障個所の補修を担当者に依頼するための文書「故障票」を作成していたが、重水漏れに関しては1件も「故障票」を作っていなかった。
動燃は「すべて基準値以下のため安易に判断した。故障票を発行する基準があいまいだった。重水漏れを隠すという意識はなかった」と話している。
故障票は、「ふげん」の運転監視のために常駐している科技庁の運転管理専門官が、すべて確認する。同庁もんじゅ・ふげん安全管理事務所(敦賀市)の榊原裕二所長は「故障票がないと、報告がない限り事故は把握できない」と説明している。
立ち入り調査は19日で終了。科技庁の松本義幸放射線安全企画官は「今回見つかった放射能漏れは法令上は報告の義務はないが、(報告しなかったのは)動燃の内部規定に照らしても不適切だった。もんじゅの事故を契機に整備した通報体制がもっとうまく機能するようにしてほしい」と話している。(中日新聞 1997/04/20)

動燃事故 現場確認 下請け任せ
火災後の施設 入った正職員は1人
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所の火災・爆発事故で、最初の火災から爆発までの間に事故施設の内部に入ったのはほとんどが下請け作業員で、動燃の正職員は1人しかいなかったことが21日、動燃関係者の証言で分かった。被害の拡大を防止する上で重要となる現場の状況確認を下請け任せにしていた動燃の実態が浮き彫りとなった。
動燃関係者によると、事故当日の3月11日午前に起きた火災から夜の爆発にかけての約10時間に、作業員ら計10人が3つの班に分かれて施設内部に入っている。このうち動燃の正職員は第2班の1人だけで、第1班にいた東海村の消防署員1人を除くと、残り8人はすべて下請け会社の作業員だった。
しかも、この正職員は放射線管理の担当者で、施設内部では、入り口付近の廊下や更衣室で壁と床面のふき取り検査などを行ったが、出火したアスファルト充てん室の消火状況の確認はしなかったという。
一方、第1班では放水による消火の約2時間後、消防署員と下請け作業員2人が施設に入った。アスファルト充てん室の内部は暗くて見えなかったとされているが、追加の放水処置はとらなかった。第3班は下請け作業員4人だけの構成で、火災後に停止した換気装置の再起動を試みたが、動かなかったという。
動燃が3月21日に科学技術庁に提出した報告書には、作業員らが施設内部に入った時間帯や班ごとの人数は記載されているが、正職員か下請けかの区別や作業員の所属部署などについては書かれていない。(中日新聞 1997/04/21)

動燃爆発事故 火災直後の写真処分 所長らに報告せず
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所(茨城県東海村)アスファルト固化処理施設の火災・爆発事故で、火災直後に施設内に入った運転員らが撮影した写真が存在していたにもかかわらず、同事業所長などに報告のないまま処分されていたことが29日分かった。「事故隠し」の疑いも出てきたことから科学技術庁は、30日にも動燃から詳しく事情を聴く。
動燃の虚偽報告事件を原子炉等規制法違反容疑で調べている茨城県警捜査本部もこの事実に重大な関心を示しており、この日午後、撮影した運転員とともに施設内に入った東海村消防本部の消防員らから撮った写真の内容などについて事情を聴いた。
写真は3月11日午前の火災発生後の同日午後1時34分ごろから約10分間、消火確認の「第1班」として同消防本部の消防員1人とともに施設に入った下請け会社の運転員2人が撮影した。事故現場のアスファルト充てん室ものぞき窓などから撮影しており、写真は同施設を管理する同事業所環境施設部処理第1課に渡された。
ところが、撮影の事実は事業所長や本社には報告されなかった。写真があったことは、科技庁による原子炉等規制法に基づく告発後、同社本社が組織した特別調査班の聞き取り調査で発覚したという。
撮影写真は、フィルムごと民間現像所に外注して現像などを処理、その後複数の職員が写真を見るなど存在を確認している。動燃は「だれがいつ、どういう理由で処分したかはまだ調査中」としているが、写真は意図的に廃棄された可能性が強いという。(中日新聞 1997/04/30)

動燃爆発事故 飛散物回収…慌てて元に
写真破棄は主査独断
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の再処理工場爆発事故をめぐる“写真隠し”問題で、動燃は30日、東海事業所の職員が独断で写真を破棄し、管理職もこれを知っていたと発表した。また、同日、科技庁と茨城県に修正報告善を提出、爆発直後、現場周辺の散乱物を回収した後、現場保存のために慌てて元の位置に再び戻していたことを明らかにした。さらに、爆発時に監視カメラがとらえた現場のビデオを公開した。科技庁原子力安全局は、相次ぐ事実隠しに「考えられないこと」として、厳しい姿勢で臨むことを明らかにしたほか、動燃も写真破棄の問題で関係者を近く処分する方針。
動燃によると、火災発生後の3月11日午後1時半ごろ、爆発があったアスファルト固化処理施設に入った作業員が、環境施設部処理第1課の主査の指示で写真を撮影。同日中に現像して、課員数人がこれを見たが、同16、7日ごろにこの主査がネガごと、裁断処分してしまった。
当時の上司の担当役は、数日後に破棄処分の経過を知ったというが、対応策はとらなかった。前課長や前部長は、写真撮影すら「記憶にない」といい、今月8日の虚偽報告発覚後に、内部調査が本格化するまで知らなかったと話している。
主査は破棄処分にした理由を「今さら、この写真を出すと隠していたと思われる、ととっさに思い、なかったことにしようと思った」と説明したというが、写真破棄で、火災と爆発の因果関係を調べる重要な資料の1つが失われた。
これらの管理職や職員はいずれも、虚偽報告の隠ペい工作にかかわっていたとされている。
一方、修正報告書によると、火災翌日の3月12日未明には、施設周辺で爆発による散乱物を清掃、回収したが、直後に処理第1課長の指示で散乱物を元に戻す作業が行われていた。
作業員の中からは「わざわざ回収したのに戻せというのは矛盾している」との不満も出たという。“復元”では扉のうち1枚が、吹き飛んだ位置に直されていないなど、飛散状況は完全には再現できなかったといい、作業員らの記憶頼みの“現場”が事故調委などに報告されてしまった。動燃は「虚偽報告と言わざるを得ない」と認めた。
このほか、被ばく測定の対象者が112人から17人増えた、放射能漏れの通報が5時問余り遅れたのはデ一夕を把握していたものの報告すべき数値ではないと判断を誤っていた−ことなどが新たに加えられた。
科学技術庁の池田要原子力安全局長は「回収は、動燃が独断でやっていいことではない。きちんとした指揮管理が行われていない」と、組織上の点で問題があると指摘。「法律上の問題点は今後検討したい」と話した。(中日新聞 1997/05/01)

ウラン集める細菌発見 放射性廃棄物処理で利用も
宮崎医科大と原研
日本原子力研究所(原研)は16日、宮崎医科大の坂口孝司教授らの研究グループと原研が共同で行った研究で、水溶液中のウランやプルトニウムイオンを効率よく捕集する性質を持った細菌が発見されたと発表した。
原研によると、細菌は坂口教授らがオーストラリア北部のウラン鉱山周辺の土壌や水から採取した6種類のバチルス属細菌。実験は、ウランやプルトニウムの水溶液に培養した細菌を混ぜ、数分から数十分間かきまぜてろ過した溶液中のウラン、プルトニウム濃度を測る方法で行った。
その結果、一番能力の高い細菌で細菌1グラム当たり約0.6グラムのウランを捕集。同様の働きをする高性能キレート樹脂の2倍近い能力を示した。
プルトニウムについても、四価のプルトニウムイオンを効率よく捕集することを確認。これまで困難とされてきた酸性度の高い溶液からでも捕集できることが分かった。
原研は、細菌を焼却して容易にウランなどを回収できる利点があるため、ウラン、プルトニウムの回収のほか、放射性廃棄物処分の際の放射能閉じ込めにも応用できると期待している。(中日新聞 1997/05/17)

核燃料廃棄物、民間で埋設 原子力委懇談会案
地下数百メートルへの最終処分 費用、電気代に転嫁

原発の使用済み核燃料から出る高レベル廃棄物の処分について、原子力委員会の高レベル放射性廃棄物処分懇談会(座長=近藤次郎・元日本学術会議会長)は29日、地中深くに埋める処分は民間組織が行い、費用は電気料金の原価に算入して消費者が負担すべきだという報告書案を公表した。発生者責任と受益者負担を強調している。電気事業連合会の荒木浩会長(東京電力社長)は「国が前面に出てもらわないと」と、構想に異論を唱えた。
高レベル廃棄物は、使用済み核燃料から、まだ燃やせるウランやプルトニウムを取り出した残り。フランスから返還されたガラス固化体について、30−50年間の「一時貯蔵」が、青森県六ケ所村の日本原燃貯蔵管理センターで始まっている。議論されているのは、その後に地下数百メートルの安定した地層に埋める「地層処分」を、だれがどのように実施するかだ。
報告書案は「原発で発生した高レベル放射性廃棄物は1996年現在、ガラス固化体(直径40センチ、高さ1.3メートル)にして約1万2000本にのぼる。2030年までには、さらに約5万8000本が発生する」と現状を分析した。「国や電気事業者は原発の立地に重点を置き、廃棄物処分問題への対応を十分にしてこなかった」と批判し、すでに地層処分の会社をつくったスウェーデンや、国が処分地を探している米国やドイツに比べて「10年程度遅れている」と指摘した。
そのうえで、国民1人ひとりの身に迫った問題と位置付け、2000年をめどに地層処分を担う組織を設立できるよう法律などの早急な整備を求めている。
処分の担い手については、国の場合と民間の場合を比較し、発生者負担の原則とともに、国が事業の実施と監督の両方を行うことを問題とし、民間主体で進めることが適当と結論づけた。国は円滑な処分と安全確保のための制度と体制を整備する。電力会社は実施主体とともに、資金の確保と処分地選定に当たる。
事業資金は、受益者負担の原則から「処分に直接要する費用は、電気料金の原価に算入し電気利用者が負担することが適当」との考えを示した。直接の処分費用は電気料金1キロワット時あたり数銭から10銭程度との試算を示した。立地地域との共生事業は、内容によっては国が取り組む。
処分地の選定では、求められる条件や事業内容の情報公開を徹底し、共生事業案とともに提示する。そのうえで、公募や申し入れに基づき処分する組織が選ぶが、関係行政機関が一体となって処分地の確認にあたることを求めた。
報告書案は外部の意見も検討したうえで、来春、最終報告書にまとめる。懇談会委員の荒木氏は「少なくとも処分地の選定は、民間では難しい」「決して逃げているわけではないが、法的な裏付けが必要だ」と述べた。
懇談会は、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)理事長、原発立地県などでつくる協議会の会長(鹿児島県知事)、大学教授、生活評論家ら幅広い分野の25人で構成されている。

通常産廃と同じ原則 「負担の公平」図る必要

<解説> 原子力委員会の高レベル放射性廃棄物処分懇談会が29日公表した報告書案は、「放射性廃棄物も通常の産業廃棄物と同じ原則で処分されるべきだ」ということを初めて明確に示した。
地層処分は、地上とは隔絶された深い地下に、ガラスに封じ込めた廃棄物を埋める。放射能を含むウラン鉱床が地下深くに眠っていても地上には影響がないから、安定な地層なら大丈夫というのが国や研究者の言い分だ。反原発団体などは半永久的な放射能管理が必要と主張。事業を国が担うか民間が担うかは、世界でも2つの流れがあった。
地層処分は、動燃が茨城県東海村で地下深くの条件を再現して研究しているほか、岐阜県瑞浪市におく超深地層研究所で数百メートルから1000メートル程度の地下研究を計画している。同研究所の設置は、地元の求めで、放射性廃棄物を持ち込まず、将来処分場にしないとの協定が結ばれた。北海道幌延町で計画している貯蔵工学センターは高レベル廃棄物の貯蔵もする構想だが、ここも「総合研究センターを目指すものであり、処分場の計画と明確に区別」(1996年版原子力白書)することになっている。
民間主体の方針に電力業界が異論を唱えたのは、民間だけでは地元に同意を得るのが容易でないとの懸念があるからだ。とはいえ、原子力委員会は懇談会などでの論議の積み上げで政策を決めている。電力業界の代表も入った懇談会が、民間主体を打ち出した案を公表したことで、大きな流れが提示されたといえる。
もちろん、「国策」として原発建設を推進してきた国が、民間に任せきりでいいわけはない。「電力消費地域と処分地地域の公平」や「世代間の負担の公平」の実現に、真正面から取り組む必要がある。(朝日新聞 1997/05/30)

動燃で放射性物質漏出 施設浸水 最大 基準の1万倍
科技庁 15年前把握…放置 東海事業所
茨城県東海村の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所で、低レベル放射性廃棄物の貯蔵施設が長年にわたって浸水し、ドラム缶に詰められた放射性物質が水中に漏れ出していることが分かった。施設外への影響や作業員の被ばくはないという。科学技術庁は26日夕から原子炉等規制法に基づき、現場の管理状況を立ち入り検査した。27日には周辺でサンプリング調査を行う。科技庁は15年前の調査で浸水の実態を把握しながら、その後、状況を点検していなかった。一連の不祥事で動燃を新法人に改革する動きが始まっているが、動燃のずさんな管理とともに科技庁の規制の在り方も厳しく問われそうだ。
浸水していたのは地下式の「廃棄物屋外貯蔵ピット」。ウラン製錬などで発生したウラン廃棄物のうち低レベルの放射性廃棄物の入ったドラム缶を貯蔵している。ピットは5槽に分かれ、現在は約2000本が保管されている。
当初から雨水がたまる傾向があり、ここ数年は浸水がひどくなった。8月上旬の測定では、C槽と呼ばれる槽で深さ131センチも水がたまり、ドラム缶が水没、他の槽の水深は4−11センチだった。昨年8月には、C槽の水位が250センチになっていたこともある。このため、一部のドラム缶は腐食して穴が開き、ウランが漏れ出していた。
放射性物質は主にウランで、浸水中の濃度は、最大で1ミリリットル当たり26ベクレル。施設外への排出基準の1万倍にあたる。動燃は「水は抜いて放射性物質として処理している。床や壁はコンクリート製で、水位が自然に下がることもなかったので、外部への漏れはないと判断している」と説明している。
科技庁は82年、貯蔵ピットを検査して「水たまり」を確認、水を除去するよう指導していた。しかし動燃は以後15年間、抜本的な対策は取らず、たまったら水を抜くという措置を続けてきた。科技庁もその後指導はしていなかった。動燃はまた、このことについて地元の茨城県や東海村に報告していなかった。
94年に動燃が施設近くの土壌を調べた時は普通の20−30倍の濃度の放射性物質が検出されたが「製錬をしていた当時に汚染されていた可能性がある」といい、施設外への漏出があったかどうかは不明だ。
動燃は「来年5月には新しい処理施設ができるため、廃棄物はそこで処理したい。環境への影響については、土壌を採取して調べたい」と話している。
もんじゅの事故や、再処理工場の事故に加え、長年のずさんな管理が発覚したことは、動燃の信頼回復にも影響しそうだ。
一方、科技庁は26日、全国の核燃料加工、使用施設に対し、放射性廃棄物の管理が正しく行われているかどうか調査するよう、通達することを決めた。動燃東海事業所で、ずさんな管理が明らかになったことを受けての措置で、施設は民間も含めて全国に十数カ所ある。(中日新聞 1997/08/27)

動燃漏出事故 ドラム缶腐食20センチの穴
茨城県職員会見 ずさん管理に怒り
事故と不祥事に揺れ続けた動力炉・核燃料開発事業団(動燃)がまた、ずさんな管理体質をさらけ出した。26日、明らかになった東海事業所(茨城県東海村)での放射性物質の漏出事故。高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れや再処理工場の火災・爆発事故、その後の虚偽報告など事故や不祥事続きの動燃。周辺住民からは、怒りを超えた失望の声が上がる一方で、いったんは漏出を確認しながら長期にわたって放置してきた科学技術庁に対する不信感が一気に噴き出した。
「貯蔵ピットのマンホールには(低レベル放射性廃棄物の入った)ドラム缶の一部に直径20センチほどの穴が開き、腐食が激しく赤茶けていたり、塗装がはがれたりしていた」 動燃東海事業所の廃棄物屋外貯蔵ピットの管理状況を調査するため同日午後、現地に赴いた同県原子力安全対策課の職員2人は、会見の席で動燃の無責任な姿勢に怒りの声を上げた。
同課によると、2つの貯蔵ピットの中には計5つの槽がある。浸水が激しい槽では3段に積み重ねられているドラム缶(高さ90センチ)のうち、最下段のドラム缶は水没、中段のドラム缶も半ば水没の状態。ドラム缶の一部に開いた穴からは廃棄物の塩化ビニール管も見える状態だったという。
ピット外への放射性物質の漏出について、東海事業所は「ないと考えている」としているが、ピット周辺の2−10メートル離れた土壌3カ所から最大で天然に存在する約20倍のウラン238が検出されていることから、県は早急に適切な処理を行うよう動燃に求めていく方針。
茨城県内には現在、国内の貯蔵量の約3分の1に当たる200リットルドラム缶で約30万本の低レベル放射性廃棄物が貯蔵されている。
今月19日に動燃の新本社移転が決定したばかりの東海村では、午後零時半に職員を現地に派遣したが、アスファルト固化施設の火災・爆発事故に続く動燃のずさんな管理体制にいら立ちを募らせた。
村役場には「放射能が外に漏れているのでは」「避難しなければならないのか」「避難勧告が出たというが本当か」といった村民からの問い合わせが殺到。
この日、須藤富雄村長は出張で留守で、対応した萩野谷博企画課長は「村に何の連絡もないのは残念。本社も村に来ることになったのだから、もっと安全管理を徹底してほしい」と厳しく注文をつけた。(中日新聞 1997/08/27)

動燃 科技庁に“うそ報告”
ピット上に建物 予算とり実行せず
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所のウラン廃棄物貯蔵施設の放射性物質漏出問題で、動燃は1993年度から98年度までの6年計画で地下式貯蔵施設(ピット)の上に建屋を建てる予算をとっておきながら、実際にはピットの補修に追われ、まったく実行していなかったことが28日分かった。予算の申請と執行内容が5年間も異なったままで、監督官庁である科学技術庁にもうその報告を繰り返していたことが明らかになった。
科技庁に認可された予算の名目は、93年度が「設計費」、94年度が「建屋工事費」、95年度が「廃棄物移転」などと工事が順調に進んでいるような名目になっていたが、実際にはピット外壁の防水工事や周辺の補強工事などが行われた。96年度は「ピット補修」と「補修」名目だが、実際には排水処理をする小型蒸留装置の購入に使われていた。予算総額は約10億円だった。
動燃は科技庁に毎年の概算要求の説明で、予定通り作業が進んでいると虚偽の説明を続けていた。
うそをついた理由について動燃は「93年度予算の時に立てたプランが甘かった。着手しようとしたら、意外に工事が難しかったようだ。だが、新規事業が認められると、翌年からは科技庁にあまり説明しなくてもいいので、94年度以降も、以前の計画のまま申請してしまったようだ。東海事業所からは、動燃本社にも特に報告はなかった」としている。
科技庁では「特殊法人の予算の場合、予算の運用に多少の柔軟性は認められるというものの、明らかに行き過ぎだ」としている。(中日新聞 1997/08/28)

動燃 27年前から浸水把握
抜本的対策取らず 東海事業所の貯蔵施設
たまった水を処理 ボイラーを無許可使用
ウラン廃棄物のずさんな管理が問題になっている動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が束海事業所廃棄物貯蔵施設にたまった水を蒸発させる小型ボイラーを法に違反して許可なく使っていたことが科学技術庁の1日までの調べで分かった。さらに、施設に施すべき防水加工をしていなかった可能性が高いことや27年前から廃棄物貯蔵施設内にたまった水の放射能を測り、くみ出していたことも明らかになった。
動燃は施設の浸水が分かって水の除去を始めたのは15年前で、放射能測定は13年前からと説明してきたが、これを覆す内容。早くから浸水を把握しながら科技庁にも報告せず、抜本的な対策を取らなかった動燃の姿勢があらためて問われることは間違いない。
科学技術庁によると、動燃は施設内にたまった水を蒸発させて量を減らすため、今年2月に小型ボイラーを購入。本来は原子炉等規制法に基づく使用許可が必要だが、動燃は「汚染の程度が低い」などの理由で、申請は必要ないと勝手に判断して申請をしなかった。
また、2つある貯蔵施設のうち、1つについては科技庁への申請では「防水モルタル加工をする」となっていたのに、1967年の使用当初から加工していない可能性が高いことが分かった。
科技庁の片山正一郎核燃料規制課長は同日夜の記者会見で「どういう経緯だったのかを確認した上で対応を検討したい」と語った。
さらに、現場の担当者が事業所内の放射線管理担当者に、施設内にたまった水をくみ出す方法について相談した記録も科技庁の立ち入り検査で見つかった。記録は、70年から74年まで5回分。たまった水の量に関する記録は、まだ見つかっていない。
動燃はこれまで「施設の浸水は82年4月の科技庁の調査で分かった。それ以前に水の除去はしていない」(鶴巻宏一・環境技術開発推進本部副本部長)と説明。放射能測定を始めた時期も84年としていた。

動燃の全施設で管理体制を点検 科学技術庁が発表

動燃がウラン廃棄物貯蔵施設をずさんに管理していた問題で、石田寛人科学技術事務次官は1日、記者会見し、監督が行き届かなかった点を陳謝するとともに、動燃の全事業所の安全管理体制を総点検すると発表した。
石田事務次官は冒頭「国民や関係者の方々に多大なご心配をお掛けしたことを深くおわびする。国民に信頼されるように全く新しい組織に作り替える努力を続けたい」と頭を下げた。その上で、今回発覚したずさん管理問題を踏まえ、動燃が茨城、岐阜、福井、岡山の各県に持つ6事業所すべてについて、管理状況や老朽化対策などを徹底的に調べる方針を示した。(中日新聞 1997/09/02)

動燃、隠ぺい組織ぐるみ 93年『目立たず改修』指示
「東海」ずさん管理 科技庁調査結果
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)束海事業所(茨城県東海村)でウラン廃棄物貯蔵施設のずさんな管理が明らかになった問題で、動燃が1993年から実態を隠すために「目立たないように改修作業をせよ」などと指示していたことが5日、科学技術庁の立ち入り調査結果の発表で分かった。今年3月に同事業所アスファルト固化施設で火災・爆発事故が起きた後の安全性総点検でも同貯蔵施設を対象から外しており、組織ぐるみでずさんな管理実態を意図的に隠そうとしていた疑いが濃くなった。
調査では、同事業所幹部が93年ごろ、「廃棄物貯蔵施設の付近では目立たないように作業をする。質問を受けたら別の目的を説明する」と申し合わせていたことを示す内部文書が見つかった。
当時の宮原顕治所長(現監事)は、科技庁の調査に対して隠ぺい指示を認めている。同事業所では当時、再処理工場が停止したり、プルトニウムの滞留が厳しく指摘されている最中で、廃棄物のずさんな管理の発覚を恐れていたらしい。結果的に人目を引く建屋の建設は先延ばしになった。
しかし、予算面では「いまさら科技庁には言えない」などの理由から、動燃本社も承知のうえで、実態とかけ離れた予算要求を続け、別の事業に改修費を流用していた。
93年にはまた、下請け業者による調査で、貯蔵施設の一部に亀裂が生じ、ドラム缶の腐食が激しいことが報告されていたが、同事業所はこれも無視して隠ぺいを図っていた。
動燃は、同事業所のアスファルト固化施設火災爆発事故後の安全性一斉点検の際も、貯蔵施設だけ点検対象から外していた。動燃では「現場から対象施設を報告する際、抜け落ちていたようだが、さらに調べたい」としている。しかし貯蔵施設の管理問題は、歴代所長の申し送り事項とされており、科技庁では「意図的に脱落させた可能性もある」としている。
一連の問題について動燃の中野啓昌理事は「汚いものは法に触れない範囲で、そうっとして次の人に渡せばいいという感じがあった。遅れれば遅れるほど(修正することが)やりにくくなった。深く反省している」と話している。

『亀裂から漏水』既に業者が指摘

動力炉・核燃料開発事業団(動燃)束海事業所は5日、1993年に下請け業者が作成したウラン廃棄物貯蔵施設の補修に関する事前調査報告書の内容を公開した。
それによると、業者が施設に入って目視で確認した内部状況について「貯蔵槽(ピット)側壁に、亀裂が生じていた」と記され、施設の補修方法を検討する項目では「亀裂から漏水の恐れがある」と指摘があった。
動燃はピットの亀裂について「コンクリート壁の上に加工したモルタルの亀裂で、コンクリートそのものに亀裂があるわけではない」としている。また、動燃はこの報告書があることを知りながら、科技庁には4日の立ち入り調査まで、茨城県には5日まで提出していなかった。(中日新聞 1997/09/06)

核施設13以上で異常 雨漏りや腐食、さび
動燃の東海事業所 科技庁と茨城県調査
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所(茨城県東海村)の低レベル放射性廃棄物貯蔵施設での放射性物質漏れに関連して、科学技術庁が所管する主な原子力施設の廃棄物関連施設で行った現地調査の結果、既に判明した貯蔵施設以外にも東海事業所内でドラム缶や鉄製コンテナの腐食、雨漏りなどが13施設以上あったことが11日分かった。同庁が調査した全国38カ所の事業所のうち、安全管理上問題があったのは動燃東海事業所だけとして、動燃に対して改善措置を指示した。
また、科技庁調査に続いて茨城県も9月9日から県内の23事業所への一斉立ち入り点検を実施。東海事業所内の35施設のうち8施設で問題点を発見したが、他の事業所にはなかった。同県も同事業所に口頭で改善要求した。
科技庁や同県によると、同事業所で全般的にコンテナやドラム缶のさびや表面塗装のはがれや腐食が放置されていたほか、プルトニウム系低レベル廃棄物の貯蔵施設の床には数十カ所水たまりがあり、壁面のしみや鉄骨支柱のさびも確認した。ウラン系の廃棄物貯蔵施設では換気装置からの雨漏りもあった。
また、火災・爆発の起きたアスファルト固化施設でドラム缶に詰めた廃棄物を貯蔵する施設では、監視カメラの台車が故障して、正常時の3割の範囲しか撮影できないことが判明。しかし科技庁には全体が異常なしと報告されていた。動燃は昨年12月に故障に気付きながら「予算が下りない」などの理由で放置していたという。
科技庁や県は、安全上直ちに問題はないが他事業所に比べて管理状態の差が歴然とあると指摘。動燃は「社会との感覚のずれを教育や人事を通じて意識改革させるしかない」(中野啓昌理事)としている。(中日新聞 1997/09/12)

放射性廃棄物を“投棄” 海中にドラム缶2本
仏の核燃料再処理工場
【パリ16日臼田信行】フランス北部ラアーグにある使用済み核燃料再処理工場近くの海底で、放射性廃棄物を詰めたとみられるドラム缶が放置されていたことが明らかになり、ボワネ環境・国土整備相は16日、工場を操業するフランス核燃料公社(COGEMA)の措置に「安全規則上の誤りがあった」と言明した。
同工場周辺では廃液のため子どもの白血病発生率が通常の3倍近くに上ると指摘されており、同相は周辺海域への立ち入りを禁止しているが、公社の安全対策の欠陥を認めたのは初めて。日本、英国、ドイツの放射性廃棄物を処理している公社の再処理計画に影響を与えそうだ。
放射性廃棄物の放置場所とみられているのは、工場の沖合約250メートルの海底。国際環境保護団体グリーンピースが14日、放射性廃棄物が入ったと思われる2つのドラム缶などを発見したと発表。写真も公開し、工場が排水管の洗浄作業の過程で捨てたものと非難した。
公社は「ドラム缶は捨てたのではなく、近く回収するつもりだった」と釈明したが、同相は「排水管の清掃作業の際、放射性廃棄物や廃液の完全回収を義務づけている原子力施設保安局の指示に従わなかった」と、公社の安全規則違反を指摘。「放射性廃棄物の完全密封が保証されるまで、洗浄作業の再開は認められない」と述べた。
工場周辺の白血病多発の問題では、調査にあたる政府専門委貝会の委員長が先に住民集会で「放射性廃棄物と白血病の発生に因果関係はない」と説明したが、公社側のデータに基づく見解とみられたことから委員同士が対立。委員長は辞任するなど、核燃料再処理工場をめぐって事態は混迷の度を深めている。(中日新聞 1997/09/17)

日立の下請け虚偽報告 原発溶接工事後の熱処理
東京電力、中部電力などの原子力発電所で、配管溶接工事後の熱処理の記録について、工事を請け負った日立製作所(本社東京、金井務社長)の下請け会社が偽の報告をしていたことが16日、通産省・資源エネルギー庁の発表で明らかになった。ただ同省などは、溶接部の強度など運転を継続するための基本的な性能に支障はない、としている。
通産省では17日朝から日立製作所のほか、溶接工事を施工した子会社の日立エンジニアリングサービス(茨城県日立市、中野清蔵社長)、熱処理を行った伸光(同、鈴木光社長)に対して立ち入り検査を行い、記録改ざんの事実や場所を調べるとともに、あらためて溶接部の安全性を検査する方針だ。
伸光が熱処理を行ったのは、柏崎刈羽(新潟県)福島(福島県)志賀(石川県)敦賀(福井県)浜岡(静岡県)島根など、東電、中電、北陸電力、日本原子力発電、中国電力の5事業者の沸騰水型原発8カ所、計18基。
溶接後の熱処理の工程で、温度記録計約5万6700件のうち167件について乱れを修正したり、別のデータを使ったりした疑い。日立製作所などが12日、資源エネルギー庁に報告していた。
配管の強度が溶接後の耐圧、機能検査で確認されているうえ、温度記録に疑義はあったものの熱処理の作業が確認されていること、該当する18基の原子力発電所で過去にトラブルが生じていないことなどから、当面の運転には支障がないという。
熱処理は、溶接後に配管に生じるゆがみを直すとともに、配管を折れにくくするため、しなやかさを回復させる目的で行う。溶接部分に電気コイルを巻き、600−700度まで徐々に加熱し、一定時間後にゆっくりと冷却する。伸光は火力発電所でも配管の熱処理を行っており、東電などは原発と合わせて検査を実施する。(中日新聞 1997/09/17)

原子炉工事の虚偽報告 書類だけで合格に 検査協会
原子炉配管溶接工事の温度記録虚偽報告問題で、国の工事検査を代行している財団法人「発電設備技術検査協会」(東京)が、施工者の日立製作所側から出された虚偽の温度記録を書類審査のみで合格させていたことが17日、通産省資源エネルギー庁の調査で分かった。同庁は検査方法に問題があったとみて、記録作成時に検査担当者を立ち会わせたり、確認のため実測を求めるなど検査態勢の全面的な見直しを行う。
同庁はこの日、同協会や日立製作所日立工場など4カ所で立ち入り検査を実施。関係資料の提出を求めたが、電気工事業「伸光」(茨城県日立市)が請け負った溶接工事は全国で約4万3000件に上っているため、日立工場などは18日も引き続き検査する。
エネ庁の調べなどによると、検査協会は1970年に電気事業法に基づく発電設備の検査・試験を目的に設立。職員240人のうち約30人が通産省OBで、常勤理事も5人中3人が通産省からの「天下り」で占められている。
原子炉の配管溶接工事は同法で国の検査に合格することが義務付けられているが、同協会は業者が提出した資料の数値を確認するなど書類審査しか行わず、伸光の虚偽記録についても気が付かなかったという。
日立側の内部調査によると、虚偽記録は温度グラフの波形に断線や乱れがなく、不自然なラインになっており、社員が記録を見比べた結果、81年以降に少なくとも167件が原子炉とは別の配管などを使って作られた疑いが持たれている。(中日新聞 1997/09/18)

原子炉溶接 虚偽報告14基で248件『日立側、黙認も』
エネ庁検討会温度記録鑑定
原子炉配管溶接工事の温度記録の虚偽報告問題で、通産省資源エネルギー庁は26日、金属・溶接工学の専門家らでつくる「溶接部健全性評価検討会」(会長・近藤駿介東大教授)の2回会合を開き、温度記録を鑑定した結果、判明した虚偽報告容疑個所の総数は14原子炉で新248カ所に上る、と報告した。
また電気工事会社「伸光」(茨城県日立市)が行った虚偽報告の作成について、発注元である日立製作所の子会社の電気設備会社「日立エンジニアリングサービス」(同市)の担当者が誘導・黙認したケースがあった、と認定した。
エネ庁報告によると、伸光が日立側から請け負った工事数は、全国18原子炉で計4万4819件。このうち記録グラフの波線が不自然に整っているなどの観点から虚偽報告容疑個所を特定した。容疑個所が最も多いのは、東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)6号機の38件。このほか、同原発5号機で37件、中国電力の島根原発2号機で36件など。
東京電力の福島第1原発1号機、同6号機、柏崎刈羽7号機、中部電力の浜岡(静岡県)1号機の計4基では、容疑個所はなかった。
また、関係者からの事情聴取で伸光は1982年ごろ、日立エンジニアリングの現場担当者から「温度記録の見栄えが悪い」などと言われ、虚偽報告の作成を開始、担当者も黙認していたことが分かった。
これまでの日立の内部調査では、11原子炉の計百167件が「虚偽の疑い」とされていたが、同庁は「少しでも疑いのある記録については『容疑個所』に数え、チェックする方針」としている。(中日新聞 1997/09/26)

プルトニウム輸送容器検査ねつ造 動燃の違法行為13件
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は24日、フランスからプルトニウムを運んできた輸送容器の使用期間を更新する際、実際にはしなかった検査をしたように記録をねつ造して申請していたことが分かったと発表した。原子炉等規制法に違反しており、動燃は容器の使用の廃止届を科学技術庁に提出した。
同時に公表された安全性総点検の中間結果では、他にも何らかの改善措置が必要な問題は計約1700件にも上り、検査記録のねつ造のような違法行為も13件あった。動燃は「早急な安全対策を必要とする例はない」と説明しているが、動燃のずさんな体質はもちろん、問題を見過ごした科技庁の甘い規制も問題になりそうだ。
記録がねつ造されたのは、1992−93年にあかつき丸がフランスからの返還プルトニウムを運んだ際に使った輸送容器。輸送後は茨城県東海村の動燃東海事業所で保管されており、3年ごとに定められている使用期間の更新手続きを95年に実施した。
原子炉等規制法によれば、使用する目的がある場合、133基の容器すべてについて気密性などを検査しなければならないのに、実際には40基の抜き取り検査しかせず、未検査分のデータはねつ造して申請した。
容器全部の検査には約3カ月もかかるため、抜き取り検査で済ませたらしく、その後の毎年1回の自主点検も抜き取り検査を続けていた。
これらの容器を使うプルトニウム輸送計画は当面ないため、動燃は24日、科学技術庁に使用の廃止届を提出した。
また同時に公表した総点検の中間結果で、東海事業所から新型転換炉原型炉ふげん(福井県敦賀市)に燃料を運ぶ容器の一部を国の承認を受けずに使ったことも判明した。(中日新聞 1997/10/25)

科技庁幹部『動燃とは裏で連携』『世論の手前、非難』
会議でなれ合い発言
今年3月に起きた茨城県東海村の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)束海事業所の火災・爆発事故の10日後、科学技術庁と動燃が開いた動燃の組織問題に関する会議で、科技庁幹部が「今は世論を考えて動燃を非難せざるを得ないが、今後もお互いに連携して組織改革を進めたい」と発言していたことが29日、内部文書で明らかになった。一連の対応が、あくまで両者の“協調関係のシナリオ”に沿って進められていたことを示している。
文書によると、会議は3月21日午後4時半ごろから約1時間、科技庁内で開かれた。科技庁の政策課長ら4人、動燃の企画部次長ら4人が出席し、動燃の組織改革に対する科技庁の考え方が伝えられた。
会議で政策課長は「事故で原子力開発推進の根幹が揺らいでいる。今は動燃だけが悪者になっているが、今後、科技庁まで非難されだしたら収拾がつかない」と発言。「科技庁も当面、動燃を非難せざるを得ないだろうが、裏では動燃と連携した形での組織改革を進めたい。今は厳しいだろうが、耐えていただきたい」と述べるなど、事故後も両者の“なれ合い”の関係が続いていたことを裏付ける内容になっている。
さらに同課長は「動燃の組織改革は落とし所を考えてやる必要がある。原子力開発に影警を及ぼさない形にしたい」とした上で、「できるだけ素人受けする形がよい」と指摘。日本原子力研究所(原研)との統合などではなく、動燃単独の改革で済ませる意向を示し、本社機能移転の可能性を示唆したという。
科技庁は4月、動燃改革検討委員会を設けたが、わずか6回の討議で終了。8月の最終報告では動燃解体や統合は見送られ、動燃の新法人への移行と東海村への本社移転などで決着した。核燃料サイクル事業は新法人に引き継がれるなど、科技庁が推進する原子力政策の根幹には踏み込まず、「不徹底な改革」との指摘も出ていた。
科技庁は虚偽報告事件で動燃を刑事告発したものの、組織改革の面では3月の会議で示した方針の範囲内で落ち着いた。当初から、科技庁への責任波及や、原子力政策の大幅な見直しを避ける意向が強く働いていたとみられる。(中日新聞 1997/11/30)

長崎原爆生産の米施設 放射性廃棄物漏れ 地下水汚染
【ワシントン28日共同】世界最初の原爆「トリニティー」や長崎に投下された原爆「ファットマン」を生産した米最大の核兵器用プルトニウム生産施設、米ワシントン州のハンフォード核施設で、貯蔵タンクから漏れた高レベル放射性廃棄物が地下水にまで到達し、地域住民の健康への影響が懸念されていることが、28日までに米エネルギー省の報告書で判明した。
エネルギー省が今年2月に発表した3つの報告書によると、同施設中央部にある「200東」「200西」地区にある3つの地下タンク群から漏れた高レベルの放射性廃棄物が、地下水に到達。半減期21万年のテクネチウム99、ヨウ素129、トリチウムなどが、飲料水の含有基準の20倍などの高い濃度で検出された。
同施設では過去に低レベル放射性廃棄物を溝などに捨てる作業をしたが、報告書は検査用の井戸の設置場所や検出された物質などから、旧式で寿命20年程度の貯蔵タンクから漏れた廃棄物であると結論付けた。

<ハンフォード核施設> 米国の原爆製造計画「マンハッタンプロジェクト」で1943年に建設開始。原子炉冷却用の大量の水をコロンビア川から得られることから選ばれた。44年9月に第1号のB炉を完成し、以後、米最大の兵器用プルトニウム生産施設に。最盛期には約5万5000人が働き、米国の核兵器用プルトニウムの3分の2を生産した。91年に軍用原子炉の閉鎖を宣言したが、半世紀にわたる活動では低レベルの放射性廃棄物も大量に地中に捨てられている。(中日新聞 1998/03/29)

動燃東海事業所一般廃棄物置場 放射性廃棄物混じる
作業員の衣服や靴汚染
作業員の25日午後3時20分ごろ、茨城県東海村の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所のプルトニウム燃料工場の敷地内にある一般廃棄物置場「屋外器材ピット」で、廃棄物の分別をしていた作業員がプルトニウムに汚染されたプラスチック製瓶2本を見つけた。この際、作業員3人の衣服や靴底が汚染されたが体内被ばくはなかった。
同ピットは地下を掘り込んでコンクリートで固めた構造で、1970年ごろまでに同工場で発生した金属やゴムなどの一般廃棄物を保管しており、本来は放射性廃棄物が混じることのない場所。
この日、作業員8人が可燃物と不燃物の仕分けをしていたところ、ポリ袋に入った瓶2本を発見。袋を開けたところ、瓶はプルトニウムに汚染されており、表面1平方センチ当たりの放射性物質濃度は最高3.4ベクレルで、放射性物質としての取り扱いが必要になる最低基準の0.4ベクレルを上回った。(中日新聞 1998/06/26)

プルトニウムまた検出 一般ゴミ焼却灰から 動燃東海
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は30日夜、茨城県東海村の動燃東海事業所で、一般の廃棄物用の焼却炉で燃やした焼却灰から、放射性物質のプルトニウムやアメリシウムが見つかったと発表した。
同事業所では、プルトニウム燃料工場に隣接する屋外一般廃棄物貯蔵施設から回収したゴムやガラス類の焼却作業を進めており、この中に燃料工場で汚染された物質が混入していたものとみているが、外部環境への影響などはないという。
同事業所では、所内の廃棄物関連施設を総点検する一環として、5月下旬から、放射性物質による汚染がないはずの一般廃棄物貯蔵施設の掘り起こし作業を進め、6月15、22、25日の3日間、排出された廃棄物の一部を焼却炉で焼却処分した。
しかし、25日に、法令の持ち出し基準の約9倍のプルトニウムで汚染されたサンプル瓶で、作業員3人の靴や衣服が微量の放射能で汚染されたことから、焼却作業を中断、焼却灰をサンプリング調査し、汚染が判明した。
焼却灰のプルトニウム濃度は、通常の土壌の100倍以上だった。一連の作業や連絡の不手際を重く見た科学技術庁は1日、保安上の措置や環境影響調査が適切に行われているかを確認するとともに、独自に土壌などのサンプリング調査を行うために、担当者を派遣する。(読売新聞 1998/07/01)

動燃・再処理工場の廃棄物 焼却炉から放射能
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は7日夜、茨城県東海村にある東海事業所で、使用済み燃料の再処理工場から排出した一般廃棄物の焼却灰から通常の5倍以上の放射能を検出したと発表した。作業員に対する放射能汚染や周囲の環境への影響はないという。分析の結果、灰には放射性物質のセシウム137と同134が含まれていた。動燃は放射線管理区域外に存在しないはずの放射性物質が一般廃棄物に混入した経緯などについて調査している。
この焼却灰は再処理工場内の一般廃棄物を同工場の焼却炉で処理したものだが、どの施設からいつごろ発生した一般廃棄物なのか不明。焼却灰は約300本のドラム缶に詰めて野積みされた状態で保管されており、1本ずつふたを開けて調べたところ、210本目で放射能を検出した。残りのドラム缶については調査を中断している。
動燃東海事業所は6月、プルトニウム燃料工場の屋外にある一般廃棄物の貯蔵施設から放射性物質を発見したほか、放射能で汚染された一般廃棄物を焼却していた。このため、再処理工場でも一般廃棄物の焼却灰を点検していた。(日本経済新聞 1998/07/08)

「レーザー核融合は兵器研究」 米シンクタンク 阪大などに中止要求
【ワシントン15日共同】米国や欧州、ロシアの各国が研究を推進し、日本では大阪大などが進めているレーザー核融合研究について、米民間シンクタンクのエネルギー環境研究所15日、核融合が実現した場合、あらゆる核爆発を禁止した包括的核実験禁止条約(CTBT)に違反するとして各国の研究中止を求める報告書を発表した。
報告書は、レーザー核融合は起爆用の原爆を必要としない「純核融合爆弾」の研究につながると指摘している。
レーザー核融合は、小さな容器に閉じ込めた水素に四方八方からレーザーを浴びせて高温高圧状態を作り、水素原子を融合する技術。
まだこの方法での核融合は実現していないが2002年の完成を目指し、米国立ローレンスリバモア研究所で建設中の巨大レーザー施設NIFは出力が従来よりけた違いに大きく、核融合の点火が可能とされる。
報告書は「レーザー核融合は爆発的にエネルギー放出するためCTBT違反」と指摘。実現可能性が実証された後では兵器への技術転用を押しとどめるのは困難として、NIFとフランスが計画中の同規模の施設「メガジュール」の中止を訴えた。
将来の発電など平和利用を目的としている大阪大の研究についても、エネルギー環境研究所は実験装置の出力を拡大する構想は放棄すべきだとしている。

平和目的に限定

三間圀興・大阪大レーザー核融合研究センター長の話 米国がNIFを核兵器の維持管理にも使おうとしているのは事実だが、レーザー核融合で原爆のいらない核兵器ができるというのは根拠のない非科学的な主張だ。われわれの研究は平和目的に徹しており、目的の異なる軍事目的に簡単に応用できるものではない。(中日新聞 1998/07/16)

使用済み核燃料輸送容器 遮へい性能試験値改ざん
規定を満たさず
原子力発電所から出た使用済み核燃料を青森県六ケ所村の再処理施設まで輸送する容器の製造試験で、データの一部が改ざんされていたことが7日、明らかになった。容器に封入する中性子遮へい材の性能が規定より低かったのに、製造指導した企業が数字を書き換えていた。
この企業は日本原子力発電の全額出資会社の原電工事(東京・千代田区、塚田浩司社長)。同社は「遮へい性能に影響を及ぼすレベルでなく、実際の輸送に使った容器の放射線量は規定を下回っている」と説明している。ただ、科学技術庁は容器の遮へいデータを再確認するよう指示するとともに、関係企業の調査に乗り出す。
遮へい試験は96年3月に実物大の容器模型で実施した。ところが今月6日に報道機関からデータ改ざんの問い合わせがあり、原電工事が調査したところ、同社の担当課長が遮へい性能の目安となるホウ素濃度の一部を実際より高い数値に書き換えさせたという。
使用済み核燃料は今月2日、初めて輸送された。輸送を担当する原燃輸送(東京港区、中島光夫社長)は「容器全体の安全性に問題はなく、(今月下旬に予定されている)今後の輸送は計画通り進めたい」と話している。(日本経済新聞 1998/10/08)

原電の子会社 製品試験データ改ざん
使用済み核燃料運搬容器遮へい材
原発から出る使用済み核燃料の運搬容器(キャスク)に使われる中性子遮へい材を製造している「原電工事」(本社東京)が、製品試験データを改ざんしていたことが7日、中日新聞の調べで分かった。原電工事はこの事実を認め同日、科学技術庁で会見し、経緯を説明した。中性子遮へい材はキャスク内部に充てんされ、使用済み核燃料から出る中性子などを吸収し、外部に漏れるのを防ぐ。
原電工事の遮へい材を使ったキャスクは全部で40基製造され、うち16基が改ざんされたデータを基に作られた。2日、東京電力福島第2原子力発電所から青森県の日本原燃(本社青森市)六ケ所村再処理工場に使用済み核燃料を運搬する際に使われたキャスクもこのうちの2基だった。その際の測定でば容器外部の放射線量は、基準値以下だったという。
原電工事によると、1996年3月ごろ、実物と同じ工程で作られた試験用キャスクの遮へい材からサンプルを採取し、成分分析を日本油脂(本社東京)に依頼。この際、いずれも成分中のホウ素濃度が社内で定めた基準値よりも低いことが分かった。
このため、原電工事の担当課長(43)が「基準値より上でないと発注元の意向に添えない」として日本油脂に対し実際よりも約10%高い数値とするようデータ改ざんを示唆、基準に合う分析結果報告書を出させた。日本油脂では「ホウ素濃度が変化しても機能に影響しない、と担当課長から説明を受けた」としている。
中日新聞が入手した手書きの報告書は「データがあまり好ましいものではありませんが、ご検討ください」と注意書きがあり、当初の測定数字を斜線で消して重き換えられている。この後、基準値を上回る数字を記入した分析結果報告が作られている。
原電工事は原電の全額出資の子会社。国内メーカーに対してキャスク遮へい材を独占的に納入している。
科技庁は「改ざんされたデータは、キャスク承認には直接関係ないが、他のデータの信頼性にも疑問がある」として、輸送に使われるすべてのキャスクについて、遮へい材のデータを再確認するよう指示した。(中日新聞 1998/10/08)

使用済み核燃料輸送検査データ 実用容器でも改ざん
六ケ所村搬入、知事が拒否表明
原子力発電所の使用済み核燃料を輸送する容器の検査データ改ざん問題で、試験容器のデータ改ざんだけでなく、実際に輸送に使う実用容器についてもデータが改ざんされていたことが9日、分かった。原電工事(本社・東京)の塚田浩司社長らが同夜、科学技術庁で会見し、明らかにした。
国内の原発から出た使用済み燃料の青森県六ケ所村への初搬入が今月2日に行われ、27日には2度目の輸送が予定されていたが、同夜会見した木村守男知事は調査のめどがつくまで拒否することを表明した。
輸送容器の製造は、輸送を行う原燃輸送(本社・東京)から原電工事に発注され、同社が国内5社に製造させた。ところが、各社が製作した容器が仕様通り作られているかどうか調べる試験容器の検査で、放射線遮へい材料のデータが改ざんされていたことが7日に判明。科学技術庁が8日から、両社などを立ち入り調査しており、この過程で、新たな改ざんが発覚した。
遮へい材はレジンと呼ばれる合成樹脂に、放射線を防ぐ効果のあるホウ素や水素を混ぜて作られる。実用容器に使われたレジンのうちの一部に、ホウ素や水素濃度が規定値より低いものがあった。しかし、このデータが正常であったように改ざんされて製造に回されていた。実用容器は計52基作られたが、どの容器に不適切な材料が使われたかについては、調査を行っているという。

西尾漠・原子力資料情報室共同代表の話 「今になって発表するということは、これまで隠していたのか知らなかったのか。いずれにせよ、原子力関係の分野でこうした事実隠しが頻発しており、これまで安全だと説明していた根拠があやふやになり、信用できなくなってしまう」(読売新聞 1998/10/10)

核燃料容器遮へい材原料に不純物 データ改ざんの直接動機
原子力発電所から使用済み核燃料を輸送する専用容器のデータ改ざん問題で、改ざんされた「中性子遮へい材」の原料に不純物が混入、これを交換していた事実を、製造会社が隠ペいしていたことが、科学技術庁の調査検討委員会の調べで新たに明らかになった。製造会社側はこの混入の事実を隠した上、急きょ一部の原料を交換。これが今回のデータ改ざん問題の直接の原因だったことも明らかになり、原子力開発技術をめぐり、虚偽情報が二重、三重に塗り込められていた形。12日に開かれる同委員会で報告される。
不純物によって遮へい材原料を交換していた容器は、原電工事(本社・東京)と日本油脂(同)が製造にかかわった4基。遮へい材は(1)樹脂(2)硬化材(3)水素やホウ素を含む粉末──の原料を混合して作るが、使われた原料のうち、海外の材料供給会社から輸入された硬化材に炭酸カルシウムと見られる不純物が混入していた。
このため両社は別の硬化材と交換したが、その際、国の承認の前提となる「材料証明書」に、これに応じた修正をしなかった。両社では、これまでデータの改ざんについて「データの自然なばらつきを基準値内に補正するため」としてきたが、同庁では、実際は予期せぬ不純物混入による混乱があり、このつじつまを合わせるためにデータを偽った──と見て、ほかの容器にも同種の不正がなかったかどうか、調査している。(読売新聞 1998/11/12)

原電工事 またデータを改ざん
使用済み核燃料など運搬容器の38本
使用済み核燃料の輸送容器のデータ改ざん問題で、青森県六ケ所村の施設に燃料を運ぶための容器や、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の海上輸送容器など計38本でデータの改ざんやねつ造があったことが原燃輸送(本社東京)と原電工事(同)の調査で判明、13日開かれた科学技術庁の調査検討委員会で報告した。このうち2本は今月2日、六ケ所村の施設への搬入に使われていた。同施設への使用済み燃料の今後の搬入計画のほか、MOX燃料を利用し1999年に開始する予定だった国のプルサーマル計画に大きな影響を与えそうだ。
原電工事などによると、ホウ素や水素の濃度などのデータが不自然な中性子遮へい材を使って作られた容器は、原燃輸送が発注した輸送容器43本中、使用済み核燃料用が29本、原発の構内での輸送用が8本の計37本。MOX燃料用1本を加えると合計38本に上った。
報告によると、原電工事の担当課長が設計基準に合致する値に書き換えることを、分析をした日本油脂の担当者に指示。日本油脂が分析結果と異なったデータを作成した。
水素やホウ素濃度について実際とは異なったデータを記載したのは計31カ所に上り、うち、架空の数値を記載した「ねつ造」が18カ所。遮へい材の密度についても3つのデータが書き換えられていた。
同社は改ざんやねつ造について「今回の事象は原電工事の原料の発注が遅れ、分析結果を待っていたのでは期限内に供給することが困難となったためと思われる」とした。(中日新聞 1998/10/14)

原発で水爆材料生産 軍民分離違反と批判も 米国
【ワシントン22日=辻篤子】米エネルギー省は22日、核兵器に使うトリチウム(三重水素)をテネシー州の原子力発電所で生産することを決めたと発表した。核兵器内にあるトリチウムは自然崩壊して減っていくため補充しなくてはならず、早ければ2005年までに補充分を確保する必要があるという。米国は他国に対し、核不拡散の立場から、原発や再処理工場の軍事利用の禁止を求めている。国内でそれと矛盾する政策をとることに、反核グループなどの市民団体は反発を強めでいる。
トリチウムは水素の放射性同位体で、軍事用としては水爆の材料に使われている。崩壊で量が半分になる半減期は約12年。毎年約5%ずつ減っていく計算になり、補充しないと核兵器の性能が落ちてしまう。
生産に使われるのは、テネシー渓谷開発公社(TVA)が所有するワッツバー原発とセコヤー原発。いずれも加圧水型で120万キロワット級。原子炉の中で発生する中性子をリチウムに当ててトリチウムを作る。
米国は冷戦の終結で1988年以来軍事用トリチウムの生産を停止、国内の生産施設も閉鎖した。エネルギー省は核兵器保管計画の一環として、トリチウム生産用に新たに加速器を建設するなどの計画も検討してきたが、原発を使う方が安くつくとの結論に達した。政府所有の原発でもあり、保有する核兵器を維持するという安全保障上の目的なら問題はないと考えた。
米下院議会は今年初め、核不拡散上の理由から、民生用原子炉での軍事用トリチウムの生産を禁止する法案を承認したが、上院と両院協議会で否認された。下院の法案支持者らは現在も、原子力利用の軍民の分離原則に反すると批判を続けている。(朝日新聞 1998/12/24)

米ネバダ州の核廃棄物地下貯蔵施設 危ぶまれる建設
地下水に漏れたら「移動速い」と報告書
米国がネバダ州の山中に計画している世界初の高レベル核廃棄物地下貯蔵施設の建設実現が危ぶまれている。今年中に全米の原子力発電所から出た廃棄物を運び込み始めるという当初予定は既に大幅先送りとなっているが、万一、廃棄物が漏れた場合、これを運ぶことになる地下水の移動が予想よりもはるかに速いことがこのほどまとまった中間報告書で明らかになり、ネバダ州が計画撤回を求める事態になっている。現場を訪ねた。(米ネバダ州ユッカマウンテンで、河野博子)

処分場予定地ユッカマウンテンでは、地質などの適性を検証する「特性調査」が86年から約30億ドルかけて進められている。貯蔵所が作られる地下の予定区画と地上を結ぶ直径7.6メートル、長さ8キロの巨大なトンネル沿いに掘られた「研究室」で、様々な実験を実施する。エネルギー省職員の案内でトンネル内に入ると、予定区画に隣接した第5実験所では、貯蔵容器を様々な方法で加熱し、その耐久性を検証する実験が行われていた。
米国は77年、カーター政権が核兵器の拡散を防ぐ観点から、再処理をやめ、82年には、原子炉から出る使用済み燃料棒を政府が集めて永久貯蔵、一括管理するとした「核廃棄物政策法」を制定した。これに基づき、電力会社45社がこれまでに計100億ドルを拠出、エネルギー省は98年に使用済み燃料の受け入れを始めるとしていた。
その後、ユッカマウンテンは唯一の候補地となり、地元ネバダ州政府を中心に反対運動が激化、計画差し止めなどを求める訴訟を次々と起こしたことから連邦政府は建設の正式決定延期に追い込まれた。さらに、今月18日に発表されたエネルギー省の中間報告書に掲載された「新発見」ともいうべきデータをめぐって、科学論争が再燃している。
焦点は、これまで同省が「保存容器から万一、廃棄物が漏れても、240メートル下にある地下水面(地下に湖状にたまる水の表面)まで地下水に乗って核物質が運ばれるのは1000年以上かかるため、問題ない」としてきた点。特性調査で、貯蔵予定区画わきの坑道から天然にない塩素同位体が採取されたことから、州の科学者らは、50年近く前に行われた核実験の結果、放出された物質が断層沿いの亀裂を通る地下水に乗って移動し、地下の岩盤に付着していたものと判断。地下水が予定区画から地下水面まで達するのは「3日から110年」と独自に試算した。
そのうえで、約50キロ離れた集落の井戸がこの地下水面につながっていることを重視。「地下水の移動時間を含む基本的な自然条件に見込み違いがあった場合、計画を撤回する」との同省のガイドラインを根拠に、ボブ・ミラー州知事は計画の撤回を申し入れた。
これに対し、エネルギー省側は「地下水の移動が予想より速いことがわかったのは事実だが、計画撤回が必要になるようなデータではない」としている。
環境団体「ネバダ核廃棄物作業部会」のジュディ・トレイシェル事務局長は「原発施設での貯蔵を続け、その間に様々な処分法を検討すべきだ」と訴える。

<ユッカマウンテン高レベル核廃棄物地下核貯蔵施設計画> ユッカマウンテンは、ラスベガスから北西に約130キロ、50年近く前に行われた核実験場の端に位置する標高約1500メートルの丘陵。地下378−420メートルに面積計約8100平方メートルの貯蔵所を作り、計7万本の使用済み燃料棒を貯蔵する予定。
エネルギー省は廃棄物の受け入れ開始を当初計画の今年から12年先の2010年に延ばした。2001年には、科学的な特性調査の結果に基づき適格性について判断することになっている。(読売新聞 1998/12/24)

北極で広い放射能汚染 トナカイ肉 基準の4−7倍
核実験など影響 初の総合環境調査
過去の核実験や原発事故などによるとみられる放射能で、北極周辺に広範囲の環境汚染が起きており、住民が食用にしているトナカイの肉から、日本の食品暫定基準の4−7倍に相当する放射能が検出されていたことが、北極域の環境汚染に関する国際調査プロジェクトの報告書で6日までに分かった。放射性物質が大気の流れや海流により、北極周辺に運ばれ蓄積したとみられる。北極域の放射能汚染はこれまで一部で指摘されてきたが、発生源まで含めた包括的な研究は初めてという。
これは米国やカナダ、北欧諸国など8カ国が1991年に組織した「北極モニタリング・アセスメント計画(AMAP)」による北極の環境に関する初の総合的調査研究。
報告書によると、放射能汚染は最近、低下傾向にあるとみられるものの現在もかなり深刻。グリーンランドやノルウェーの沖から北極海中央部にかけての広い地域で、表層水1立方メートル中8−16ベクレルのセシウム137が検出された。1993年の日本海での調査の最高値が同3.8ベクレルだったのに比べかなり高い値だ。
また、ノルウェー北部などでトナカイの肉1キログラム当たり1,500−2,500ベクレルという高濃度のセシウム137が検出され、トナカイの肉を特に多く食べる先住民の放射能摂取量は、そうでない人の50倍と見積もられた。日本は食品中の放射性セシウムの暫定限度を同370ベクレルとしている。
こうした高い数値について報告書は、過去の核実験やチェルノブイリ原発事故に加え、英国などの核燃料再処理工場も主要な放射能発生源の1つとしている。
ダイオキシンや農薬などの有機塩素化合物や重金属の汚染もひどく、北極の魚や動物の肉を多く食べるカナダの先住民で一部農薬の摂取量が世界保健機関(WHO)の許容量を超えるケースもあった。(中日新聞 1999/05/06)

15歳以上でも甲状腺がん増加 チェルノブイリ原発事故
旧ソ連・チェルノブイリ原発事故(1986年4月)の影響で、甲状腺がんが大人(15歳以上)も増加していることが、ベラルーシ共和国科学アカデミー物理化学放射線問題研究所のミハイル・マリコ博士の調査で初めて明らかにされた。子供の甲状腺がんの急増は明確だったが、大人の場合、相関関係ははっきりしないとされていた。増加率は予想された自然増よりも3〜2倍高かった。これにより、ベラルーシ共和国の事故による甲状腺がん発生数は、推定よりも10倍も多い約7000人に達すると推計される。
ベラルーシ共和国は、事故の時に風下だったため、ほぼ全土が放射性ヨウ素などで汚染した。大人の甲状腺がんは、自然増もあり、感受性の強い子供に比べて放射能の影響を受けにくいことから、当時からあいまいなままになっていたが、マリコ博士は、事故を挟んで20年間(77〜97年)に同共和国保健省などがすべての病院から集めたデータを分析した。その結果、87年に1.4倍、90年に1.8倍、93年に3.1倍、97年に3.6倍と、事故を境に増加率が著しく高まっていることが明確になった。(毎日新聞 1999/05/24)

放射能被ばくにコーヒーが効く カフェインが障害防止
インドの研究チームが発見
【ロンドン24日共同】インドの科学者チームがコーヒーなどに含まれるカフェインが放射能被ばくによる障害の防止に有効なことを発見、24日発売の英科学誌ニュー・サイエンティストに発表した。
ムンバイにあるバーバ原子力研究所のチームがマウス471匹に異なる量のカフェインを注射後、致死量とされる7.5グレイのガンマ線を照射したところ、照射の1時間前に休重1キロ当たり80ミリグラムのカフェインを与えたマウスの70%は25日以上生きていた。
対照的に、カフェインを全く与えなかったマウス196匹はすべて死んだ。
また、ガンマ線の照射30分前に、同100ミリグラムのカフェインを注射したマウスの大半も同程度の期間を生きていたが、同50ミリグラム以下のカフェインを与えたマウスや、ガンマ線照射後にカフェインを与えたマウスはいずれも死んだという。
責任者のK・C・ジョージ博士は、放射線を浴びた細胞組織がつくり出す水酸基にカフェインが反応し、水酸基が骨髄による血液生成などの体機能に及ぼす悪影響を防ぐと説明。
マウス実験をそのまま人間に当てはめることは難しいとしながらも、実験結果は「コーヒーが放射線汚染に有効であろうことは示唆している」と強調している。
カップ1杯のコーヒーには80−100ミリグラムのカフェインが含まれており、体重70キログラムの人間がマウスと同率のカフェインを取るためには100杯以上を飲む必要がある。(中日新聞 1999/06/24)

ロ当局が原発大事故を警告 プルトニウム生産炉で
【モスクワ8日共同】8日付のロシア紙、独立新聞によると、西シベリア・トムスク州セベルスク近郊にある化学コンビナートの兵器用プルトニウム生産用原子炉で6月14日に起きた放射能漏れ事故について、ロシア原子力監督局は、事後処理を誤れば1986年のチェルノブイリ原発事故を上回る大事故が起き得ると警告した。
原子力監督局は、安全性が確認されるまで事故の起きた炉を通常の出力で稼働しないようコンビナート側に命令した。しかし、同原子炉は地元に電力も供給しているため、コンビナート側は早期の出力回復を政府に要望、監督局が懸念を強めている。
事故の詳細は不明だが、同紙は、原子炉の核燃料棒が落下、うち8本は中央ホールの床下に残った状態だと報じた。コンビナート側は、放射能レベルを下げるため床下を鋳鉄で埋めたが、原子力監督局の専門家は、この処置が原子炉に悪影響を及ぼしているとみているという。
同原子炉は、チェルノブイリ型と同じ黒鉛減速炉だが、チェルノブイリ型より旧式。事故の際には、作業員2人が被ばくした。(共同通信 1999/07/09)

憲法に『原発禁止』 オーストリアが明記 欧州初
【ウィーン14日富田光】オーストリア国民議会(下院)は13日開いた本会議で、原子力発電所の建設や核兵器の製造や国内持ち込みなどを全面的に禁止する非核化を新たに憲法に盛り込むことを全会一致で承認した。核の禁止を憲法に明記するのは欧州ではオーストリアが初めて。
オーストリアでは1978年、ウィーンの西約50キロのツウェンテンドルフにある唯一の原子力発電所の稼働の是非をめぐり国民投票を行い、操業停止が決まっていた。それ以降、国内には核関連施設は一切建設されていない。
またこの国民投票の結果を受け、平和利用を含む非核化を定めた一般法が制定されていた。今回の議会承認は、非核化を一般法から憲法に格上げして明記することで、核の全面廃絶に向けた全国家的な意志を内外に示したものとみられる。(中日新聞 1999/07/14)

米ウラン濃縮工場汚染 政府と企業が隠ぺい ワシントン・ポスト報道
【ワシントン8日共同】米ケンタッキー州のウラン濃縮工場(国有)で、多くの従業員がプルトニウムを含む粉じんにさらされていたことを政府と操業を請け負う企業が隠ぺいしてきたと、8日付の米紙ワシントン・ポストが訴訟記録などを基に報じた。ずさんな安全管理と汚染の隠ぺいが明らかになったのは、同州パデューカのガス拡散方式の濃縮工場。1952年に操業を開始、1800人以上の従業員を抱え、一時は原発燃料の低濃縮ウランに加え原爆に用いる高濃縮ウランも製造していた。
同紙によると、工場はウラン専用の設計だが53年ごろから、原発使用済み燃料から分離したウランが使われるようになり、混入したままのプルトニウムの汚染が広がった。汚染は50年代半ばから70年代がひどかったが、操業を請け負う企業が隠ぺい。90年代になっても汚染は続いているとして、今年6月、従業員3人が企業側を相手に提訴した。
請負企業の1つ、マーチン・マリエッタ社が92年にまとめた報告書は、工場が重大な環境問題を抱えているとし、従業員に放射線被害が出る恐れも指摘していたことが分かった。工場を所管するエネルギー省は汚染があったことを一部認める一方で「従業員らの健康が懸念されるような汚染ではない」との立場を取り続けている。(毎日新聞 1999/08/09)

米核兵器製造で周辺住民被爆
【ワシントン8日共同】リチャードソン米エネルギー長官は8日、ケンタッキー州のウラン濃縮工場で従業員がプルトニウムを含む粉じんに汚染されていたとのワシントン・ポスト紙の報道を受け、「事実解明の完全な調査」に乗り出すとの声明を発表した。
声明は、事実関係と責任者を解明し、再発防止策を徹底すると述べている。
同紙によると、核兵器に使われる高濃縮ウランなどが作られた同州バデューカの濃縮工場で、1950年代半ばから汚染が始まったが、請負企業が隠ぺいし、今年6月に従業員3人が訴訟を起こした。
長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設が7日開いた「原研公開セミナー」で、米ワシントン公衆衛生研究所のサンディー・ロック医師が「核兵器用のプルトニウム製造工場周辺で1940年から72年にかけて、約200万人が被ばくした可能性がある」などと報告した。
セミナーは、放射能の人体への影響を知ってもらおうと開催。長崎市民ら約60人が参加した。ロック医師は、長崎に投下された原爆が製造されたワシントン州のハンフォード核施設周辺の住民の健康調査を実施している。
ロック医師によると、同施設では、プルトニウム浄化工場から放射性物質が排出、約200万人が被ばくした可能性があり、特に、子どもの被ばくがひどかったという。
また、セミナーではロシアやカザフスタンの医師らが、旧ソ連の核実験場だったセミパラチンスクの現状などを説明。参加者から「どの程度情報公開されているのか」「核実験の影響は」などと、質問が相次いだ。(共同通信 1999/08/09)

核燃料データねつ造 高浜プルサーマル用、寸法測定せず
英社が報告 燃料漏れの可能性
関西電力は14日、高浜原発(福井県高浜町)3号機で予定されているプルサーマル用のウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料について、製造委託先の英国核燃料会社(BNFL)による品質管理検査のデータねつ造があったことを明らかにした。BNFLは関電などに対し、輸送中の高浜4号機向けのMOX燃料には問題ないとしているが、通産省・資源エネルギー庁は詳細な調査を指示、関電は現地に調査員を派遣した。高浜4号磯では11月にも国内初のプルサーマルを実施する計画だが、延期の可能性も含めスケジュールに微妙な影響を与えそうだ。
関電によると、データねつ造があったのは、ウランとプルトニウムを焼き固めた円筒形の燃料「MOX燃料ペレット」を製造する際の品質管理検査。ペレットの直径の寸法について、実際には測定せずに架空の数値を記録していたことがBNFLの内部調査で判明し、13日に関電に報告された。
ペレットは直径8.179−8.204ミリ、高さ10.0−13.0ミリの円筒形。BNFLは製造工程中にもすべてのペレットについて直径の寸法を自動測定した後、品質管理検査でも1口ット(約3000個)から200個を抜き取り、再度寸法を測定しているが、11ロットの検査データに不自然な数値が見つかった。
高浜3号機は来年にもMOX燃料を利用したプルサーマル発電を実施する予定で、25ロットで構成する燃料集合体を8体製造中だったが、すでに完成している4体はすべてデータねつ造の疑いのあるロットが含まれていた。MOX燃料は1本の被覆管(ジルコニウム合金製)にペレット約300個を入れ、長さ約3.9メートルの燃料棒となる。ペレットは規定外の寸法だと、運転中に被覆管が破損する恐れがある。
このため通産省は、BNFLが「問題ない」とした高浜4号機向けのMOX燃料も含め、再度詳細な調査を行うよう関電に指示。東京電力に対しても、福島第1原発3号機に利用するベルギー社製造のMOX燃料について、検査データを確認するよう指示した。
現在、海上輸送中の高浜4号機向けのMOX燃料は今月中にも到着するが、通産省では「安全性を確認し、信頼を得な
ければならない。99年中にプルサーマルを開始できるかできないか、現時点では何とも言えない」として、スケジュールの変更もあり得るとの見通もを示した。

国に徹底調査を要請 

栗田幸雄・福井県知事の話 昨年の輸送容器データ改ざんに続いてMOX燃料製造時データの疑義が判明したことは、原子力発電に対する国民・県民の不信感を招くものであり、極めて遺憾である。福井県は国と関西電力に対して徹底した調査を強く要請した。県はその結果を確認のうえ、高浜原発におけるプルサーマル計画についても必要な判断をする。

<プルサーマル> 使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムをウランと混ぜた燃料に加工し直し、再び普通の原子力発電所で燃やすこと。政府は使用済み核燃料をそのまま廃棄する方式に比べてウラン資源を有効利用できるとしており、97年2月の閣議でプルサーマルの早期実施が了解された。日本の電力会社は、今回プルサーマル用燃料を輸送している関西電力高浜原発4号機、東京電力福島第1原発3号機を皮切りにプルサーマルを拡大していく計画で、2010年までに16−18基の原発で実施する予定。

<解説> 今回、製造デ−タがねつ造された混合酸化物(MOX)燃料のペレットは大きさが指先程度で、核燃料を構成する基本単位。ジルコニウム合金製の燃料被覆管に封入し、燃料棒として扱う。ペレットは原子炉で燃やすと核分裂の影響で膨張するため、もしペレットの寸法が大きいと被覆管を圧迫し、逆に小さい場合は内部で震動を起こす。最悪の場合は被覆管が割れて燃料が漏れだし、安全性に影響が出る可能性がある。
プルサーマル用のMOX燃料は通常のウラン燃料と同様、原料粉末を円柱形状に焼き固めた後、削って寸法を整える。焼結に伴う寸法変化があるためで、直径の寸法を8.179−8.204ミリの範囲に抑えることになっている。
こうした要求に対応するため、英国核燃料会社(BNFL)の工場でもペレットの寸法測定で精度が0.1マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルという超高精度のレーザー光測定器を導入しているうえ、二重に寸法をチェックする品質管理体制を敷いている。
今回問題になっているMOX燃料の一部はペレットを入れた燃料棒を束ねた最終製品になっている。被覆管は両端を溶接しているため、被覆管からペレットを取り出して寸法を再確認することは事実上不可能。通産省が核燃料を原子炉で利用する前に行う検査も、燃料棒を束ねた製品の外観検査だけで、それ以外には製造記録と製造管理体制の確認にとどまっている。(日本経済新聞 1999/09/15)

重大な事故につながる恐れ 英核監視団体が警告
【ロンドン14日共同】核燃料の積み出し港、英北西部バローで核監視団体「CORE」を主宰するマーティン・フォーウッド氏は14日、英国核燃料会社(BNFL)の検査データ不正について「重大な事故につながる可能性がある」と警告、同社の危機管理の実態を強く批判した。
同社は不正発覚後も「規格より大きなペレットは被覆管に入らず、実際の輸送に用いられることはない」と安全性を強調しているが、フォーウッド氏は「被覆管には余裕があるため、規格より多少大きなペレットも入ってしまい、輸送中や使用中に破裂する危険がある」と語った。
規格より小さなペレットが被覆管に入れられた場合は、輸送の際の振動などで破裂する恐れがあり、「BNFLの主張には大きなウソがある」と指摘している。(中日新聞 1999/09/15)

米政府ウラン工場放射線環境汚染を認める
【ワシントン16日共同】16日付の米紙ワシントン・ポストは、ケンタッキー州のウラン濃縮工場で問題になっている放射能汚染で、がんなど健康被害を受けた従業員に総額2000万ドルを超える補償を行う方針を米政府が決めた、と報じた。
同工場は、1952年から核兵器や原発燃料製造のためウラン濃縮を行っている。同紙が先月、従業員が起こした訴訟記録などをもとに深刻な汚染が起きていると報じ、エネルギー省が調査を進めていた。
同省が14日発表した調査報告は、現在は従業員や周辺住民の健康への危険は少ないとしながら、「汚染管理は以前より著しく改善した」との表現で、過去には汚染があったことを事実上、認めていた。(共同通信 1999/09/16)

初の臨界事故、制御不能 2人が原爆並み被ばく
茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー東海事業所で30日午前、放射能が漏れて社員3人が重度の被ばくをした事故は、日本初の臨界事故で、国内原子力施設事故で初めて、30万人以上の住民が避難や屋内退避する事態に発展した。敷地内などでは同日夜、放射線レベルが推定で通常の2万倍に達し、原子力安全委員会は同日夜になっても、施設内で核反応が止まらず、臨界が続いているとの見解を示した。橋本昌茨城県知事は、1日午前1時18分、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。
社員の被ばく量は、少なくとも8シーベルトと原爆被爆に匹敵し、2人が重症。事業所内にいた同社社員11人と、近くの建築現場にいた作業員5人も被ばく、被ばく者は計19人になった。原因は作業上の判断ミスの可能性が大きく、事故対策も手付かずで、日本の原子力事故で最悪となった。
政府は、対策本部を設置、本部長の小渕恵三首相は「厳しい事態と判断される」と内閣を挙げて、万全の対策を取るよう指示。状況次第で退避要請の範囲を拡大する。
同社などによると、核分裂反応の時に出る中性子の値が、工場敷地内で30日夕から午後9時すぎになっても、通常の1万−2万倍の放射線量に当たる1時間当たり3ミリ−4ミリシーベルトを記録。事故直後、周辺の舟石川測定所などで空間線量率が通常の約7−10倍に上昇した。
茨城県は半径10キロ以内の9市町村住民31万3000人に屋内に退避することを呼び掛け、JR常磐線は水戸−日立間で運転を中止。住民約160人が避難した。文部省は半径10キロ圏の学校に、10月1日を休校とするよう要請した。原子力事故で周辺住民の避難などが行われたのは例がないという。
事故があった東海事業所転換試験棟では、ウラン酸化物を硝酸に溶かす作業中。沈殿槽と呼ばれる容器にウラン化合物を移す際、制限値の2.4キロを超える約16キロの放射性物質を入れ臨界に達したらしい。事故原因について同社は通常は配管を通じて移すところを、社員が手作業で行うなど、作業上の判断ミスの可能性が大きい。
茨城県警によると、重度の被ばくをしたのは同社社員の大内久さん(35)=常陸太田市山下町、篠原理人さん(39)=日立市田尻町2丁目、横川豊さん(54)=ひたちなか市足崎=の3人。最も重症の大内さんは、事故発生直後、施設内に倒れており、おう吐の症状があった。
3人は同日午後、ヘリコプターで千葉県の放射線医学総合研究所に運ばれたが、同研究所によると、大内さんと篠原さんは、少なくとも8シーベルトという大量の放射線を浴びている。大内さんは、重い下痢で、意識障害がある重症。篠原さんにも意識障害がある、という。
科技庁は10月1日未明、沈殿槽の周囲を覆っている容器中の水を抜き、連鎖反応の原因となる中性子を拡散しやすくする対策の検討を始めた。
被ばく者の1人は「約16キロのウランを溶解槽に移している時に青い光が出た」と話している。この施設では核燃料サイクル開発機構の高速増殖炉実験炉常陽のための燃料加工の一部を行っており、扱うウランの濃縮度は19%と、通常の原子炉燃料に比べて高かった。
同社から科技庁などへの連絡は事故発生から45分後で、連絡態勢にも問題を残した。(共同通信 1999/09/30)

通常放射線量の7000倍 事故直後の付近民家
東海村臨界被ばく事故で、9月30日午前の事故発生から約1時間後、現場となったジェー・シー・オー東海事業所転換試験棟に最も近い民家付近で、放射線量が通常の約7500倍にもなっていたことが茨城県などの測定で1日までに、明らかになった。
付近民家に警察や村から避難の呼び掛けがあったのは、1時間半以上が経過してからで、連絡、広報体制の不備があらためて問題になりそうだ。
県などの測定結果のまとめによると、発生約1時間後の午前11時36分から同50分まででは、現場西側の各ポイントで測定値が高く、特に南西側約150メートルの民家付近では、1時間当たり840−190マイクロシーベルトを計測した。通常の約7500倍から1700倍の数値だ。
一方で、東海村役場にジェー・シー・オーから「臨界事故の可能性がある」と連絡があったのは、事故から1時間近く過ぎた午前11時34分ごろ。ひたちなか西署が、現場から半径200メートルを立ち入り規制したのはさらに遅れ、午後零時10分だった。
問題の民家近くでは、午後7時過ぎになっても、500−120マイクロシーベルトを計測。転換試験棟から1キロ程度離れている東側の各ポイントでも、同日夜までの5回の測定で、毎回、通常の数十倍の放射線量を計測した。(共同通信 1999/09/30)

国内初の臨界事故 東海村の放射能漏れ
分裂反応なお続く 10キロ圏30万人に外出自粛勧告
茨城県東海村にある民間のウラン燃料加工施設で30日に起きた深刻な放射能漏れ事故は、13時間以上たっても核分裂反応が続いたままで、日本で初めての臨界事故となった。施設周辺で検出される放射線のレベルは夜になっても高いままで、茨城県は現場周辺10キロ以内の住民約31万3000人に被ばくの恐れがあるとして、家から出ないよう呼び掛けた。科学技術庁は、作業員が線量等量にして最大8シーベルトを被ばくした日本の原子力史上最悪の事故を収拾するため、1日未明、核分裂反応を止めるための対策を取ることを明らかにした。

事故は30日午前10時35分、JR常磐線東海駅の北西約2キロにある核燃料加工会社の「ジェー・シー・オー」(東京・港)東海事業所の転換試験棟で、酸化ウランを硝酸で溶かす作業中に発生した。沈殿槽と呼ばれる容器に入れるウラン溶液の量を、臨界を防ぐ規定値の2.4キロを超える16キロ加えたため、核分裂反応が起きて制御できなくなり、分裂が連続して起きる「臨界」に達したとみられる。被ばくした職員は「青い光を見た」と話している。
事故当時、加工作業をしていた製造部製造グループの横川豊さん(54)、篠原理人さん(39)、大内久さん(35)の3人が被ばくし、ヘリコプターで放射線医学総合研究所(千葉市)に運ばれた。横川さんの意識ははっきりしているが、ほかの2人は下痢や嘔吐(おうと)を繰り返すなど重症だ。
施設周辺など21カ所設けた放射線監視装置のうち、南西部の境界に設置した装置で1時間当たり0.84ミリシーベルトの空間線量を記録した。通常の約4000倍にあたり、茨城県は施設敷地外を含む半径200メートルへの立ち入りを禁止。
敷地内の放射線量は午後8時になっても通常時の約2000倍と高い水準を保っている。施設の敷地境界では中性子が検出されており、核分裂反応が続いているとみられる。このため、茨城県は住民に対して家の外に出ないよう避難勧告を出した。また事故施設の半径1キロ以内で販売される食品サンプルを調査することにした。東海村や那珂町は近隣を流れる久慈川からの取水を停止した。午後10時現在、東海村で50世帯、151人が、安全のために公民館などへ避難している。避難した社員らのうち11人の毛髪から放射線が検出され、被ばくしていることがわかった。茨城県は住民が放射線障害にならないよう予防薬のヨウ素剤約340万錠をひたちなか保健所などに用意した。
JR東日本は同日午後10時28分、常磐線の水戸−日立間で上下線とも運転を見合わせている。日本道路公団水戸管理事務所も東海パーキングエリアに職員を派遣して、エリアの利用者に退避するよう呼び掛けた。
ジェー・シー・オーは住友金属鉱山のウラン転換技術部門が79年に分離独立してできた。本社は東京都港区で、99年3月期の売上高は17億2300万円。東海事業所(茨城県東海村)は天然ウランを濃縮した6フッ化ウランを2酸化ウランに転換し、原子力燃料加工会社に納めている。98年10月までに累計で8080トンの2酸化ウランを生産している。

被ばく患者2人が重症

被ばくした患者3人が収容された科学技術庁放射線医学総合研究所(千葉市稲毛区)では、30日午後7時過ぎから佐々木康人所長や担当医が記者会見、患者の容体などを説明した。
佐々木所長らによると、大内さん、篠原さんの2人は重症で無菌室に収容。2人よりやや軽い症状の横川さんは通常の病室に収容し、ウランの解毒剤やステロイドを投与するなど懸命の治療にあたっている。患者の吐しゃ物と携帯電話からは放射能を持つナトリウム24が検出され、症状からの推定では、大内さん、篠原さんは8シーベルト以上、横川さんは1−2シーベルトを浴びた可能性があるという。
大内さん、篠原さんは医師の問いかけには反応するものの、はっきりした受け答えはできない状態。

臨界事故 制御困難な分裂反応

ウランやプルトニウムなどの核燃料で起きた核分裂反応で中性子が発生、その中性子が衝突して周囲の核燃料も次々と分裂、反応が続く状態を臨界と呼ぶ。核燃料が一定の密度以上に集まると臨界に達する。原子力発電所では制御棒などを使って反応にブレーキをかけているが、人為的に制御できなくなって暴走するのが臨界事故だ。原子力技術の開発初期には、海外の研究用原子炉や濃縮度の高い核燃料を扱う軍事用施設で臨界事故が起き、作業員が被ばくしたことがある。普通の原発(軽水炉)で燃やす低濃縮燃料を加工する民間施設では起こりにくく、80年以降は欧米でも民間事故の報告はない。(日本経済新聞 1999/10/01)

「青い光」目の水晶体で反応? チェレンコフ光
「突然、青い光が広がった」。今回の事故で大量被ばくし、病院に運ばれたJCOの作業員は、事故の瞬間をこう語っている。この「青い光」とは何か。専門家は、目を突き抜けた放射線によって生じたのではないかと指摘している。
水やガラスなど、透明な物質の中を電子などの電気を帯びた粒子が高速で運動すると「チェレンコフ光」という青白い光が発生することが知られている。原発などで、燃料貯蔵プールが青く見えるのもこの光のためで、放射線によってはじき出された粒子が水の中を高速で運動した結果だ。
日本原子力研究所によると、臨界事故で青い光を見たという報告は海外ではあり、「今回の場合、作業員が見たのは、沈殿槽の水や室内のちりと反応した光とも考えられるが、自分の目の水晶体の中で起こったチェレンコフ光が青白く見えた可能性がある」としている。
目の中でレンズの役割を果たしている水晶体は水分を含んでいる上、透明で、チェレンコフ光が発生する条件を満たしている。
放射線医学総合研究所などによると、光の正体は分からないとしながらも、水晶体は人体の中でも放射線の影響を受けやすい組織だという。
国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告している局所的な放射線被ばくの限界値は骨髄細胞や生殖細胞、血管など、水晶体を除くすべての組織は年間500ミリシーベルトなのに対し、水晶体については年間150ミリシーベルトと定めている。(朝日新聞 1999/10/01)

2作業員の被ばく、国内最悪 年間限度量の160倍
茨城県東海村の核燃料工場で起きた事故で作業員3人が運び込まれた放射線医学総合研究所(千葉市稲毛区)は、症状から推定して、3人のうち2人が浴びた放射線量は、少なくとも8シーベルトになるという。これは、職業被ばく者に対する年間の最高線量限度50ミリシーベルトの160倍、一般人に対する年間限度1ミリシーベルトの8000倍。国内の原子力施設で起こった被ばく事故で、これほどの大量被ばくは初めて。
同研究所によると、3人のうち大内久さんと篠原理人さんは意識が混濁しており、リンパ球数が著しく低下するなど重症。無菌室で治療を受けている。横川豊さんは意識ははっきりし、自覚症状はないが、リンパ球がかなり少なくなっている。
放射線の働きで起こる放射線障害には、被ばく後、まもなく現れる急性障害と、数カ月以上の期間を経てから出る晩発性障害がある。今回のは急性だ。
急性障害の場合、被ばく線量が1シーベルトを超えると、一部の人に吐き気が起こる。3シーベルトに達すると、大半の人に吐き気が見られるようになり、皮膚が赤くなったり、脱毛したりする症状も現れる。
晩発性障害は低線量でも起こり、白血病などのがん、白内障などを発症することがある。また、胎児期の被ばくの影響が後に現れることもある。(朝日新聞 1999/10/01)

通常の5倍の放射線観測 東海村でグリーンピース
環境保護団体、グリーンピースは3日、臨界被ばく事故を起こした茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所周辺で独自の放射線観測を実施。同事業所そばの公道上に、通常の5倍以上の放射線が観測される場所があることが分かった、と明らかにした。
グリーンピースは事故直後に、欧州の放射能測定専門チームのメンバーを東海村に派遣。3日から観測を始めた。
その結果、公道上での放射線の最高値は1時間当たり0.54マイクロシーベルトで、通常値の同0.1マイクロシーベルトの5倍以上という。
グリーンピースの核問題担当、ショーン・バーニー氏は「放射線レベルが高い所で子供が遊んでいた。オランダやドイツでは通常値の5倍以上の放射線が観測される場所を放置することは許されない」と指摘している。(共同通信 1999/10/03)

ストロンチウム91を検出 茨城県の周辺調査で
東海村臨界被ばく事故で、核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所周辺の放射能調査をしている茨城県は3日、8つの調査地点のうち1地点の大気中から、放射性物質のストロンチウム91を検出した、と発表した。検出されたのは同事業所の南東約900メートルの東海村舟石川の測定地点。
放射能濃度は大気1立方メートル当たり0.021ベクレル。国が定めた限度値500ベクレルの約2万5000分の1で、健康上の影響はないとしている。
ストロンチウム91はウランが核分裂してできる核分裂生成物の一種。これまでに事故現場周辺からは、放射性ガスが崩壊してできたセシウム138が微量見つかっていたが、核分裂生成物が、事業所敷地外に直接放出された可能性が示されたのは初めて。
9月30日午前零時から10月1日午後1時すぎまでの測定で検出した。同県によると、これまでストロンチウム91が周辺の大気から検出された例はなく、半減期が約9時間半と短いことから、事故で放出されたとみられるという。
他の調査地点の空気や水、土壌からは事故で放出されたとみられる放射性物質は見つからなかった。(共同通信 1999/10/03)

大内さんの被ばくは約17シーベルト 造血幹細胞移植へ
茨城県東海村の民間ウラン加工施設JCO東海事業所で起こった臨界事故で、放射線医学総合研究所(千葉市)は2日、大量の放射線を浴びた作業員の大内久さん(35)の被ばく量が、放射線によってできた血液中のナトリウム24の量から「約17シーベルト相当」と推定されることを明らかにした。これは、職業上の被ばくに対する年間の最高線量限度の340倍。
大内さんは2日午後、放射線医学総合研究所から東京都文京区の東京大学病院に移された。リンパ球の減少が激しく、東大病院は免疫細胞のもとになる「造血幹細胞」を移植する方向で準備を進めている。
放医研によると、大内さんは1日夜、腸管の膨満などがみられたが、2日朝にやや回復したという。佐々木康人所長は「消化管症状がひどくなる前に移植をしなければならない。副作用のリスクはあるが、あえてすべきだと考えた」と話した。
大内さんは2日夕、東大病院の集中治療室で点滴などを受けている。意識はあり、血圧や体温は比較的落ち着いているが、「過去の放射線事故の例から考えると見通しは厳しい」(木村哲・副院長)という。
放医研は、同時に被ばくした2人の推定被ばく量を、それぞれ「約10シーベルト相当」、「約3シーベルト相当」とみている。

◆造血幹細胞移植
赤血球や、リンパ球など白血球をつくる骨髄の大切な働きが失われた場合、それを回復させるのをねらう治療法。造血幹細胞は、リンパ球などをつくるもとになる細胞のことで、骨髄液にあるほか、最近では赤ちゃんのへその緒(さい帯)の血液や、体を流れる血液(末しょう血)からも採取できるようになった。
白血球の型(HLA)が合う提供者から造血幹細胞を採取し、増殖させるなどしたうえで患者に移植する。(朝日新聞 1999/10/03)

作業員3人は被ばく線計量具を着けず 保安規定に抵触
JCO東海事業所で起きた臨界事故で、被ばくした作業員3人が、ウラン加工の作業で装着が義務付けられている、被ばく線量を測るための計量具(フィルムバッジ)をつけていなかったことが、わかった。また、事故直後、JCOは臨界事故に気づかず、119番通報で「てんかんの症状」と説明し、救急要請をしていた。
同社の小川弘行・製造部計画グループ長が3日、茨城県庁で記者会見して明らかにした。説明によると、被ばくした3人は救急車で搬送される際、フィルムバッジをつけていなかった。原子炉等規制法に基づく保安規定では、放射線管理区域内に入る際、被ばく線量をはかることが義務付けられている。
小川グループ長は「作業員がうっかり、装着を忘れて、管理区域に入ることはあるが、基本的に作業員は装着している。不装着が慣習化していたわけではない。なぜ、つけていなかったのか、わからない」と話している。また、同社は事故後、救急要請をした際、通報した社員が「救急です。てんかんの症状」と連絡していた。JCOでは、被ばくによる急性障害の症状などについて、社員教育をしていなかったという。(朝日新聞 1999/10/04)

砂糖で放射線調査 岐阜薬大・葛谷教授が考案
東海村臨界被ばく事故で、自宅に放射線が入り込んだかどうか、各家庭で保存してある砂糖を使って調べる方法を岐阜薬科大学(岐阜市)の葛谷昌之教授(薬品物理化学)が3日、考案した。「心配な人は砂糖を研究室まで送ってください。」と呼び掛けている。
放射線を浴びた原子は「ラジカル」と呼ばれる特別な状態になる。通常、ラジカルは空気中の酸素と反応してすぐに形を変えてしまうが、砂糖は酸素と反応しない。このため、砂糖に含まれているラジカルを調べれば、事故当時に放射線を浴びたかどうかがわかるという仕組み。
葛谷教授は最先端科学のプラズマ化学の専門家。放射線も、プラズマと同じような反応を物質にもたらすことから、この方法を思いついたという。
調査に必要な砂糖はスプーン一杯分。ラジカルは水と反応するため、湿気の入らない容器に密封。事故当時、砂糖はどのような素材の容器に入っていたか▽自宅と事故現場との距離▽住所▽氏名▽電話番号▽──を書いた紙を同封する。
葛谷教授は「サンプルが多ければ多いほど、放射線量の相対的な強弱を知ることができます」と話し、調査結果は砂糖を送った住民に直接、知らせるという。
砂糖の送り先は〒502-8585岐阜市三田洞東5-6-1、岐阜薬科大学薬品物理化学教室=電058(237)3931へ。(東京新聞 1999/10/04)

放射性ガス屋外に漏れる フィルター除去困難
JCO東海事業所で起きた臨界事故で、核分裂で生じた放射性ヨウ素やクリプトンなどのガス状の核分裂生成物が排気筒から建屋外に大量に放出された疑いが強いことが3日わかった。ガス状の生成物はフィルターでの除去が難しいためと見られている。
事故の起きた転換試験棟は、建屋内を周囲よりも気圧の低い負圧に保つ排風機1台が配備され、放射性物質を吸着するフィルターも備え付けられている。同社が安全審査の際に作成した申請書では「強制換気で内部を負圧に維持できる構造」としている。
しかし、現場から1キロ離れた東海村舟石川地区では、事故直後から核分裂生成物のヨウ素やクリプトンの影響と見られる高レベルのガンマ線が検出され、平常値に戻ったのは事故から1日後だった。
また同事業所の東側約6キロにある核燃料サイクル開発機構では、30日午後9時前後に通常の6、7倍の放射線レベルに達したという。臨界によって生じた大量のガス状生成物が漏れ続けたためらしい。
同社では事故発生直前までは、負圧機能の維持を確認しているが、汚染された建屋内に排風機があるため、正常に動いているのか確認できない状態。同社は「外部に出る放射性物質の99%以上はフィルターで除去される。しかし、一部のガス状の放射性物質が建屋外に放出された可能性は否定できない」としている。(読売新聞 1999/10/04)

ヨウ素・ガスも放出?──現場近くの植物から検出
健康への影響なし

茨城県東海村の臨界事故で4日、現場近くのヨモギの葉から、ウランが核分裂してできる放射性のヨウ素131が見つかった。また、重症の被ばく者を治療している放射線医学総合研究所も、臨界事故の際に発生した放射性のガスが外部に放出されたらしいことを確認した。しかし、被ばくの面では、大量に照射された中性子線の影響の方が、外部に出た放射性物質の影響とくらべ、はるかに大きかったとみられている。
ヨモギを分析したのは、京都大学原子炉実験所の小出裕章助手。事故現場から約100メートル離れた施設敷地外に生えていた葉を2日午前に採取して分析した結果、1キログラム当たり23−54ベクレルのヨウ素131を検出した。国の摂取制限値の数十分の1で、健康への心配はない。
一方、放医研は、入院した作業員3人の衣類や、鼻の穴、吐しゃ物などを調べ、3人の周囲に放射性の希ガスであるキセノン139やクリプトン91ができていた証拠を検出した。
ウランが次々に核分裂反応を起こす臨界では、大量の中性子線を放射するとともに、大量の核分裂生成物と熱が発生する。二つの希ガスも核分裂生成物だ。
軽くて反応性の少ない希ガスは、排気フィルターをすり抜け外部に出ていたとみられる。ヨウ素も熱で気化し、外に出たらしい。
事故当時、現場から1キロの地点で一時、通常の約10倍の放射能を観測するなど周辺で数値が上がったが、放医研は、これは放射性ガスが原因とみている。(朝日新聞 1999/10/05)

JCO周辺土壌から、放射性ヨウ素検出
臨界事故を起こしたJCOの周辺から、自然界に存在しない放射性ヨウ素が検出された。京都大原子炉実験所の小出裕章助手(原子力工学)らが4日、土壌や植物から検出した。放射能濃度は、チェルノブイリ原発事故の際、厚生省が輸入食品の基準とした濃度の約10分の1。専門家は「体に重大な影響をもたらす値ではない」としているが、放射線でなく放射性物質そのものが地上に降り注いだことの証拠で、「科学技術庁などは、一刻も早く詳細な調査結果を公表するべきだ」と指摘している。
サンプルは同大学工学部の荻野晃也助手が事故2日後の今月2日、転換試験棟近くの敷地境界から道路を挟んだ地点のヨモギの葉と土壌から採取。小出助手が、放射能検出器で分析したところ、放射性物質のヨウ素131が1キログラム当たり23〜55ベクレル検出された。放射性同位元素のヨウ素133も検出されている。
ヨウ素131は、ウランの核分裂反応に伴って生成する放射性物質で、半減期は約8日。チェルノブイリ原発事故の際は国際的にこの汚染が広がり、はるかに高濃度のものを体内に取り込んだ小児らが甲状腺(せん)がんになった。
同臨界事故では、これまで放射線量のレベルなどは公表されてきたが、事故によって生成された放射性物質の種類などは公表されていない。科学技術庁防災環境対策室は「放射性物質のデータはとりまとめ中で、いつ公表するかは分からない」としている。
検出されたヨウ素131の濃度は、自然界の土壌などにあるカリウム40の放射能濃度の約10分の1だが、性質から年間に摂取しても体に影響がないとされる限度は約10分の1と厳しく、小出助手は「カリウム40とほぼ同じ危険性と考えるべき」としている。

◇安斎育郎・立命館大国際関係学部教授(放射線防護学)

食品への影響がただちに大きな問題になるレベルではない。しかし、放射性物質そのものが拡散した証拠として、極めて重要だ。事故時に爆発のような状況になって飛び散ったことを示すのかもしれない。汚染の実態を国民に知らせるために、国のデータの公表が重要だ。(毎日新聞 1999/10/05)

プルトニウムから撤退を 米で日本の原子力に不信感
【ワシントン5日共同】東海村臨界事故で安全を無視したずさんな作業が明らかになったことで、米民間シンクタンク、エネルギー環境研究所は5日、「日本は危険なプルトニウム利用から撤退すべきだ」との声明を発表、日本の原子力に対する不信感が米国内で高まってきた。
日本は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを原発の燃料にするプルサーマルを推進。欧州から燃料を海上輸送したばかりだが、事故をきっかけに輸送経路沿岸国からも安全面で批判が高まりそうだ。
臨界事故について、同研究所は「日本の安全規制の緩みを示す」と指摘。
今回は約16キロのウランによる事故だったが、トン単位のウランやプルトニウムが使われる原発で事故があれば「汚染は朝鮮半島や中国にも広がる恐れがある」と分析、適切な安全監視ができないのにプルトニウム利用を進めるのは無責任と断じた。
別のシンクタンク、核管理研究所も、高速増殖炉原型炉用の燃料をつくる途中で事故が起きたことを重視。増殖炉開発を断念し、既存の原発の安全運転に専念すべきだと訴えた。(共同通信 1999/10/06)

中性子線2キロ先まで 臨界事故の瞬間に観測
茨城県東海村の民間ウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所で起きた臨界事故の瞬間の9月30日午前10時36分、現場から約2キロ離れた日本原子力研究所(原研)那珂研究所=茨城県那珂町=で、通常はほとんど検出されない中性子線を一瞬、通常の数倍の強さで観測していたことが5日、わかった。1時間当たり0.数マイクロシーベルトで、この距離では健康に心配はない。事故発生時の中性子発生量はこれまで不明だった。このデータによって、事故の規模や周囲の住民の被ばく線量の推定が可能になる。
原研によると、中性子線はその後、通常の数割増し程度に減り、臨界状態が終息したとみられる10月1日に通常に下がった。
中性子の強さは発生源からの距離が半分になると4倍になるため、ピーク時に例えば10分の1の距離の200メートルでは100倍強い1時間当たり数十マイクロシーベルトになるが、中性子線量が通常の数倍だった時間は短時間だったため、この距離でも一般の人の年間線量限度1ミリシーベルトに比べると少ない。
原研、科学技術庁はデータを詳細に解析し、実際の中性子線の強さを推定したいとしている。
那珂研では、事故時にウランが核分裂して発生した放射性物質から放出されたとみられるガンマ線で、警報が鳴った。担当者が点検しに行った際には、既に通常値に戻っていた。このため、中性子線量の上昇にはしばらく気が付かなかったという。(朝日新聞 1999/10/06)

現場近辺で放射性ヨウ素 茨城県が検出、と発表
茨城県の東海村臨界事故で、県生活環境部は7日、事故を起こした核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)敷地境界付近で放射性ヨウ素を検出したと発表した。放射性ヨウ素は自然界になく、事故によって外部に放出されたとみられる。
発表によると、JCOの敷地境界付近で5日に採取した雑草を調べ、1グラム当たり0.0014−0.037ベクレルの放射能を持つヨウ素131を検出した。半減期が20時間と短いヨウ素133も1グラム中0.011−0.038ベクレル検出した。
事故現場から200−300メートル離れた場所でとったサツマイモからはヨウ素131は検出されなかったため、放射性ヨウ素は現場にごく近い場所にしか飛散しなかったと県はみている。
県は「検出された最大値でも野菜類の摂取制限値の50分の1で、食べたとしても健康への影響はない」と説明している。(共同通信 1999/10/07)

中性子線、17時間も放射 原子力安全委に報告
東海村臨界事故で、事故が発生した先月30日午前から翌10月1日未明まで、約17時間にわたって臨界状態がほぼ継続、強い中性子線の放射が続き、その間、核分裂でできる放射性ガスが放出されていたことを示す現場近くの測定データを日本原子力研究所那珂研究所(茨城県那珂町)が7日、原子力安全委員会に報告した。
事故発生から終息までの中性子線などの連続的な推移が示されたのは初めて。
また科学技術庁は、事故があった転換試験棟以外の場所で被ばくした46人分の線量のデータを安全委員会に報告した。一般人の被ばく許容限度の20倍を超える可能性があるケースも判明、次第に日本の原子力史上最悪の臨界事故の深刻な事態が浮き彫りになった。
中性子線の測定データは現場からそれぞれ1.7キロ、2キロ離れた同研究所敷地内の2カ所の中性子線、ガンマ線モニターで得た。
中性子線は、発生直後の30日午前10時36分に、モニターの1つが1時間当たり0.26マイクロシーベルトと、直前に比べ数十倍強い中性子線を検出した。
通常考えられない高レベルのため原研は当初、ノイズと判断。同日午後になって科技庁に報告した。
2つのモニターは、その後も通常を上回る強さの中性子線を検出し続けたが、沈殿槽の冷却水を抜き取り始めた1日午前3時半ごろ、約17時間ぶりに低下し、平常値に戻った。
これは、冷却水が抜け始めるまで臨界状態が衰えずに中性子が周辺に出続けていたことを示している。
ガンマ線は、事故発生直後と午後4時すぎ、午後8時すぎ、午後11時すぎの計4回、高い数値で検出され、その間も平常時に比べ高めの状態が続いた。ガンマ線検出は、事故現場から放出された放射性ガスが変化した放射性物質が届いたためとみられる。
周辺の土壌などから見つかった放射性物質は、ウランの核分裂で直接できるヨウ素133のほか、放射性ガスのキセノンとクリプトンが変化してできるセシウム138、ストロンチウム91などだった。
科技庁は、見つかった放射性物質はいずれも極めて微量で、健康への心配はないとしている。(共同通信 1999/10/07)

科学技術庁、JCO施設を7年間調査せず 問われる安全行政
茨城県東海村の民間ウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の臨界事故で、科学技術庁が施設への調査を7年前からまったくしていなかったことが8日、わかった。今回は、ウラン溶液をつくる際に許可を受けていないステンレス製のバケツを使うなど、違法な作業手順を記した「裏マニュアル」の存在が明らかになったうえ、それをも逸脱した作業がなされていた現実が浮かび上がった。ウラン加工施設への調査は、法的な義務づけのない「任意調査」だが、違法行為を見抜けなかった背景には、こうした監督体制の甘さがあったとみられ、安全行政のあり方が改めて問われそうだ。
施設調査の実態は、原子力安全委員会の事故調査委員会(委員長=吉川弘之・日本学術会議会長)がこの日開いた初会合で、明らかになった。
科技庁によると、JCOのようなウラン加工施設への調査は「保安規定順守状況調査」と呼ばれ、作業上の安全対策などを定めた保安規定が確実に守られているかどうかを確認するねらいがある。保安規定は、原子炉等規制法で科技庁長官への提出が義務づけられている。
調査では、科技庁の調査官が現地に出向いて、保安の実態が、提出された書類と違っていないかを確かめる。実際に工場内に立ち入り、作業の様子を見たり、安全教育や訓練がどのように実施されているかを点検したりする。
科技庁が事故調査委員会に提出した資料によると、この調査は、事故があった転換試験棟が操業を始めた1985年から92年までは、ほぼ年に1回のペースで実施されていた。ところが、92年11月の7回目の調査以降は、1度も行われていなかった。
科技庁は、東海村の核燃料サイクル開発機構(核燃機構)東海再処理施設の火災・爆発事故を受け、昨年4月から、核燃料施設が安全に運転されているかどうかを確かめる「運転管理専門官」を、核燃機構内に常駐させている。
これ以来、運転管理専門官はJCOの転換試験棟を2度、巡視したが、いずれも運転休止中で作業ぶりを見る機会はなかったという。
「保安規定順守状況調査」は法で義務づけられていないとはいえ、ウラン加工施設には原発のような定期点検の義務づけもない。このため、国にとって、施設完成後は、この調査が安全を確認するための事実上、唯一の手段だ。
7年間も調査しなかった理由について、科技庁は「地元の東海村には核燃機構という巨大な事業所があり、ほかの施設の点検まで手が回らなかったのではないか。これから実態を調査する」と説明している。(共同通信 1999/10/09)

始まりは「即発臨界」制御不能な急激反応 一歩違えば汚染拡大
核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故は、核分裂反応が極めて急激に進む「即発臨界」と呼ばれる現象から始まっていた可能性が高いことが13日、専門家のデータ分析で明らかになった。
即発臨界は、原子炉内で通常起きている臨界状態と違い、核分裂エネルギーが1000分の1秒単位という極めて短時間に放出され、人間による制御は不可能とされる。
ある専門家は「より危険な即発臨界まで起きてしまったのがショックだ。今回は幸い沈殿槽や配管に破損はなかったが、場合によっては壊れていた可能性もあり、試験棟や環境への汚染がさらに拡大した恐れもあった」と指摘している。
事故原因の究明や実態把握を目指している原子力安全委員会の事故調査委員会(委員長、吉川弘之・日本学術会議会長)もこうした事実に注目、さらに詳しく調べて事故の実像を明らかにしたい考えだ。
核分裂が連鎖的に起きる臨界には、連鎖反応が一気に進む即発臨界と、通常の原子炉内での反応のように放出エネルギーの増減が緩やかな「遅発臨界」の2種類がある。
原爆の核爆発は即発臨界で起きるが、今回の事故では、放出されたエネルギーの量も反応の速度も原爆とは比べものにならないほど小さかった。
専門家によると、即発臨界が起きていたことを示す大きな根拠は、現場から約1.7キロ離れた日本原子力研究所那珂研究所のモニターがとらえた、環境中の中性子量のデータ。
臨界発生直後とみられる9月30日午前10時35分すぎ、中性子の値が突然、通常の数十倍にまで跳ね上がった。1分単位でまとめているデータを秒単位で詳しく分析した結果でも中性子量の伸びは急激で、即発臨界である可能性が極めて高いとされた。
今回、臨界を起こしたウランは溶液だったため、核分裂が一定程度進んだところで溶液が膨張するなどして即発臨界はストップしたとみられる。その後は、JCO社員による懸命の冷却水抜き作業が行われるまでの約17時間、遅発臨界が続いていたとみられている。(共同通信 1999/10/14)

さらに高い中性子線量判明 1時間10ミリシーベルト
東海村臨界事故で、臨界が続いていた10月1日午前零時から1時にかけ、ジェー・シー・オー(JCO)の敷地内で、最高で1時間に10ミリシーベルト以上の中性子線量が記録されていたことが15日、原子力安全委員会の事故調査委員会に報告された。
日本原子力研究所が車で移動しながら測定した。事故のあった転換試験棟から30−40メートル離れた地点で中性子線量が1時間あたり10ミリシーベルト、数メートルの地点では、さらに高く測定不能だった。ガンマ線も20ミリシーベルトと測定された。
これまで測定されたのは、敷地外で1時間あたり4.5ミリシーベルトの中性子線量が最高とされていた。(共同通信 1999/10/15)

白血病を労災認定 原発労働で被ばく
原子力発電所での作業従事期間中に放射線被ばくで白血病になったとして労災申請していた茨城県日立市の電機メーカー下請け会社の男性作業員について、茨城労働基準局と日立労働基準監督署は14日までに、被ばくと白血病の因果関係を認めて労災認定した。
同労基局によると、男性は1984年12月から97年1月まで約12年間、同県東海村の日本原子力発電東海発電所や中国電力島根原発、東京電力福島第1原発などで、原発施設内の機器や装置の点検作業に従事。98年9月に人間ドックで異常が見つかり、リンパ性白血病の診断を受け、同年末、日立労働基準監督署に労災申請していた。
労働省は被ばくによる白血病の認定基準について「放射線被ばく総量が、5ミリシーベルトに作業従事年数を掛けた数値を上回り、作業に従事し始めてから1年以降の発病が要件」としている。男性の12年間の被ばく総量は60ミリシーベルトを超え、作業に携わるようになって10年以上たってから発病していることから労災認定された。
労働省によると、原子力関連施設の労働者で放射線被ばくにより白血病や皮膚障害、悪性リンパ腫(しゅ)にかかったとする労災申請はこれまで9件出されているが、認定されたのは今回を含め4件目。いずれも白血病という。(共同通信 1999/10/14)

原発事故10キロ圏内は車で遠くへ 屋内退避は汚染の恐れ
市民団体が防衛策
東海村臨界事故をきっかけに、環境NGO「日本子孫基金」(東京)は、独自に「原発事故防災マニュアル」を作成。会員向け冊子「食品と暮らしの安全」11月号に9ページにわたり掲載した。住民参加の防災訓練の実施などを盛り込んだ原子力防災新法の骨子を国がまとめたばかりだが、同基金では「市民は独自に防衛策をとる必要がある」としている。
原発問題に詳しい槌田敦名城大教授(熱物理学)が監修。今回の事故で現場から10キロ圏内の住人が屋内待機させられたことを受け「待機となると逃げられず、現場近くで放射能を浴び続ける。事故が起きたら、汚染源から遠く離れることが大切」と強調している。
逃げ方は、現場から10キロ圏内なら、屋内退避と指示される前に自動車で逃げる。渋滞したら、原則乗り捨てて歩いて逃げる。雨が降った場合、特に降り始めは危険なので、車内で待機する。
10−30キロ圏では風下から離れる。30キロ以上の場合は情報収集し、必要なら逃げる、としている。
被ばく対策として、皮膚や髪の外部被ばくは洗い流せるとしたうえで、(1)呼吸にはぬれタオルで口を覆い、何度も取り換える(2)飲食に気をつけ、ヨウ素131を吸収しないよう、ヨウ素を多く含むとろろ昆布などを早めに食べる(3)傷のある部分が外部に触れないようにする──などのポイントを挙げた。
科学技術庁の防災環境対策室では「避難により起きうる混乱や経済的な損失とのバランスもあり、予測被ばく線量が50ミリシーベルト以内なら屋内待避、という国の指針に立っているが、個人の考えに対し強制することはない」としている。
同基金の小若順一事務局長は「東海村では周辺住民にあらかじめヨウ素も配られていないし、情報の遅れが目立った。個々に関心を高め、対策をとる参考にしてほしい」と話している。
マニュアルは会員向け以外に4000部あり、送料込みで1000円。問い合わせは日本子孫基金=電03(5276)0256=へ。ファクス=03(5276)0259=でも受け付ける。(中日新聞 1999/10/23)

東海村と那珂町が120人を被ばく認定 長期健康調査へ
茨城県東海村の民間ウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」の臨界事故で、茨城県と東海村、那珂町は、事故で被ばくした住民を確定し、遺伝子への影響を調べるDNA検査や長期の健康調査を継続するための「被災地住民登録」を開始した。実質的な被ばく者登録に当たる。事故発生時、現場から半径350メートル付近にいた住民や勤務者ら約250人をはじめ、通行人、通過車両も対象に、県などが行動調査をし、科学技術庁が算出中の臨界の規模、放射線量と照らし合わせるなどして、登録者を確定する。東海村と那珂町はすでに、事故当日に避難所を利用した120人については「放射線を浴びた可能性が高い」と判断して登録した。県などは、登録者には今後10年以上の健康調査が必要としており、科技庁や厚生省と財源や具体策を協議する方針だ。
科技庁の調査では、今回の被ばく者数は69人とされてきた。内訳は、JCO関係者59人、救急隊員3人、付近の建設会社社員7人。住民については直後の詳細な検査が実施されなかったため、何人被ばくしたか不明だ。
科技庁は臨界が起きた「沈殿槽」に残ったウラン溶液を採取して、臨界の規模や周囲に放出された中性子線の総量などを算出中だ。県などはこの結果によっては、被ばく者数が大幅に増える可能性が高いとみており、登録制度を運用することにした。
被災地住民登録は、科技庁が医療関係者向けにまとめた「緊急時医療の知識」をもとに、県が防災計画で定めている。原子力災害が起きた場合、避難住民らを対象に、「事故発生時の状況の記録」と「医療問題や損害賠償問題が生じた際の資料」とすることを目的に、市町村などが聞き取り調査をして、住民の登録を進めるとしている。
聞き取り調査は、事故発生から10分間ごとの居場所、手や体を洗浄した時期など除染の方法、避難した道順や手段など、事故当時の行動が中心となる。これに、事故時の放射線量データなどを照らし合わせることで、被ばくの有無や放射線を浴びた量などが分かり、登録者が確定される。線量が高ければDNA検査なども実施する予定だ。
調査の対象は、事故時に避難区域に指定された半径350メートル内の東海村と那珂町の全住民約150人、同区域内の企業など11法人の社員ら約100人。付近の通行人や通行車両の運転者も調査したい考えだが、事故時に付近を通過した車両については、特定方法を検討している。
この登録は、法律に基づいた制度ではないため、県などは今後、他県などに転居する登録者も含め、長期にわたる健康追跡調査を続けるには、国の早急な法制化が急務としている。(朝日新聞 1999/10/30)

プルトニウム埋設を提唱 兵器転用阻止にと米長官
【ワシントン1日共同】リチャードソン米エネルギー省長官は1日、コロラド州デンバーで開かれた核廃棄物処分国際会議で、核燃料として使い切れる見通しがないプルトニウムを、兵器に転用できないように固化して埋設処分する選択肢を、国際的に追求すべきだと提案した。
同長官は9月末の国際原子力機関総会でも、日本などが貯蔵するプルトニウムについて「核兵器に利用可能」と強調しており、処分を求める国際的圧力が強まる事態も予想される。
日本は、原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出す核燃料リサイクルを原則にしているが、高速増殖炉もんじゅ事故などの影響で利用が進まずプルトニウムは余り気味だ。
同省によると、軽水炉などで利用するために使用済み燃料から再処理で取り出されたプルトニウムは、日本の保有分を含め世界で200トン以上が蓄積、毎年数トンずつ増え続けている。
リチャードソン長官は「蓄積したプルトニウムのほとんどは原発で使用する見通しが立っていない」と述べ、固化して埋設処分する研究開発を進めるべきだと強調。来年、米国で固化技術の国際会議を開催する考えを明らかにした。(共同通信 1999/11/02)

JCO臨界事故は世界最大規模
JCOの臨界事故は、世界で過去20件発生している核燃料施設での臨界事故と比べても最大の部類に入ることが4日、明らかになった。日本原子力研究所の分析で、核分裂を起こしたウラン235原子核の数が1兆個の250万倍と推定されたため。
過去最大は1959年に米国で起きた事故で、核分裂したウラン数は1兆個の4000万倍、次いで78年の米国の事故で1兆個の270万倍。今回の事故はこれに次ぐ。約20時間という臨界状態の継続時間でも、米国(62年)の37時間、ロシア(97年)の27時間に次ぐ長さだった。(朝日新聞 1999/11/05)

臨界事故 避難前に許容量超す?
350メートル圏被ばく量推計 科技庁報告
核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故で、科学技術庁の事故調査対策本部は4日、事業所の敷地境界付近に人がいた場合の被ばく線量は、最大に見積もると臨界終息までに一般人の年間被ばく許容限度(1ミリシーベルト)の160倍、避難区域の350メートルの端でも同2.1倍に達した恐れがあるとの分析結果をまとめ、原子力安全委員会(佐藤一男委員長)に報告した。
避難圏内でも避難が呼び掛けられる前に既に許容限度を超えていた可能性があり、危機管理体制の不備があらためて問われそうだ。
科技庁ば茨城県や東海村などの関係自治体と協力して周辺住民の行動を調べ、このデータと突き合わせて被ばく線量を推定する。
また、原子力安全委員会も、4日設置を決めた「健康管理検討委貝会」で住民の長期の健康管理について検討する方針だ。
発表ではまた、測定データや溶液試料、事業所にあった書類などの分析から、投入されたウランの量は16.6キログラムで、1000分の1グラムが核分裂したことや、放射線量の半分近くが臨界初期に放射したことも判明した。
科技庁は、今回発表した周辺への放射線量は、被ばく量を慎重に計算した最大値で、実際の放射線量は、被ばく者の実測値からみて数分の1以下だった可能性が高いと強調している。
日本原子力研究所などの計算によると、事故が発生した9月30日午前10時35分から約25分間、事故現場から300メートル離れたところにとどまった場合の被ばく線量は1.7ミリシーベルトと、短時間で一般人の年間被ばく許容限度1ミリシーベルトを超えた。同じ時間80メートルの敷地境界付近にとどまった場合では75ミリシーベルトだった。
臨界終息後の10月1日午前6時すぎまでの約20時間での被ばく線量は、80メートル地点に人がいた場合160ミリシーベルト、同500メートル地点でも年間限度の約2分の1に当たる0.49ミリシーベルトだった。
一方、全身の放射能量を測定して被ばくが確認された60人のデータ分析から、中性子線とガンマ線を合わせた被ばく線量が0.6−64ミリシーベルトだったことが分かった。臨界を止める作業に当たったJCO社員は、簡易線量計データでは最大100ミリシーベルト以上だったが、全身の精密測定でこれより少ない44ミリシーベルトの被ばくと分かった。敷地のすぐ外で建設作業をしていた7人では最大15ミリシーベルト、被ばく社員の救助に当たった救急隊員は最大13ミリシーベルトだった。(中日新聞 1999/11/05)

臨界事故350メートル内の150人中、DNA損傷8人が平均超す
聖マリアンナ医大調査 茨城県 本人に通知せず
茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故で、避難勧告を受けた現場から350メートル圏内にいた150人について聖マリアンナ医大の山内博・助教授(予防医学)が放射線被ばくによる健康影響を調査した結果、8人からDNAの損傷を示す物質が健康な人の平均より高いレベルで検出されていたことが7日、明らかになった。茨城県は数値の報告を受けながら本人や東海村など地元自治体に通知せず、再検査などの措置も取っていない。
細胞内で生命維持に重要な役割を果たすDNAは放射線などを受けると壊れ、将来発がんなどの「晩発影響」が現れる可能性もあるとされ、山内助教授は「早急な再検査と長期的な追跡調査をする必要がある」としている。
検査は事故直後の10月2−4日、県が実施した健康診断を受けた1838人のうち、350メートル圏内で事故当時働いていた27人と、住民123人の尿を分析。放射線などでDNAが損傷したときに尿中に排出される「尿中8ヒド口キシル2デオキシグアノシン」の濃度を測定し、日本人の平均値(1ミリグラム・クレアチニン当たり15.7ナノグラム)と比較した。
この結果、27人中5人と123人中3人の計8人が、正常値の上限(21.1ナノグラム)を上回る数値を示し、最大で29.1ナノグラムに達した。
同助教授は当初この数値を「心配ない」と見ていたが、その後DNA損傷の進み具合を検討し「事故5日後から影響が顕著になる」と判断。「8人の検体は2−4日後に採取されたもので、正確な検査には早過ぎ、この後さらに高まった恐れが強い」として茨城県に強く再検査を勧めた。
しかし県は「検査は信頼性が未知数で、リンパ球が減少する『早期影響』の検査が先」として取り合わず、「数字を公表すると住民が不安がる」として本人にも伝えなかった。
今後についても「晩発影響は科学技術庁の調査に任せる」と消極的な態度を取っている。
今回検査した150人には既に被ばく者と認定された69人や、事故当時JCO内で働いていた作業員は含まれていない。

<放射線とDNA> 放射線の人体への影響は、大量の被ばくでリンパ球の数が減るなどし最悪の場合は死亡する「早期影響」と、少量被ばくでも年月を経てからがんや白血病などを発病する「晩発影響」に分けられる。休内のタンパク質合成で重要な働きをするDNAは放射線によって損傷を受ける。人体にはDNA損傷を修復する働きがあるが、修復力が弱かったりすると壊れたままとなり、将来的にがんや白血病などの発病の恐れがあるとされる。詳しいメカニズムは分かっていない。

<DNA損傷尿検査> 放射線を浴びたり、ある種の毒物を摂取したりすると細胞内のDNAの鎖が断ち切られる。切れたDNAの破片は細胞中で8ヒドロキシル2デオキシグアノシンとして合成され、老廃物として血中から尿を通じて体外へと排出されるため尿検査で調べることができる。染色体を1つ1つ調べる方法よりも簡便なのが利点。(中日新聞 1999/11/08)

旧型原発の閉鎖を検討 最終処理の遅れで英政府
【ロンドン1日共同】使用済み核燃料の再処理で発生する高レベル放射性廃棄物の最終処理の行き詰まりから、英政府が旧型原子力発電所の閉鎖を検討していることが分かった。2日発売の英科学誌ニュー・サイエンティスト最新号が、英核施設検査局(NII)の内部報告書として報じた。
世界有数の再処理施設を持つ英核燃料会社(BNFL)は英中西部セラフィールド工場内に、1300立方メートル以上の高レベル放射性廃棄物を貯蔵。NIIは安全性の観点から、2015年までに廃棄物をすべて処理するよう勧告している。
しかし、新しいガラス固化プラントの導入失敗による設備不足などで、最終処理に大幅な遅れが生じ「期限内達成が危ぶまれる」(報告書)情勢となった。
このため、NIIはBNFLに対し、再処理作業の一時停止、もしくは減速による廃棄物の発生量削減を勧告。さらに、使用済み燃料の排出量を減らすため「BNFLが運営するマグノックス型(黒鉛炉)原発10基のうち数基の閉鎖もあり得る」と警告するという。
同誌によると、報告書は「高レベル放射性廃棄物の貯蔵量削減計画にはいかなる遅れも許されない」と強調。2015年という期限厳守のためには、いかなる法的措置も辞さない強い姿勢を示している。
NIIの公式報告書は今月下旬にも公表される。(共同通信 1999/12/02)

福井・高浜原発 4号機もデータねつ造
MOX燃料 関電が使用断念 プルサーマル大幅遅れ
高浜原発4号機(福井県高浜町)で国内初のプルサーマルを計画している関西電力は16日、英国で製造されたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料データに、新たにねつ造が見つかったため、輸送された8体すべての使用を中止すると発表した。来年1月にも実施予定のプルサーマルは大幅に遅れる見通し。資源エネルギー庁や関電はこれまで「ねつ造はなかった」と強調していたが、同庁は同日、国としての責任を認めた。福島県知事が同日、東京電力福島第1原発3号機でのプルサーマルも延期見通しを示すなど、日本での計画全体への影響は必至。新たなねつ造の発覚で東海村臨界事故で強まっている原子力ヘの国民の不信感はさらに深まりそうだ。
関電の山崎吉秀専務は新たなねつ造の発覚について「われわれの調査不足と言われても仕方がない」としているが「プルサーマルからの撤退は全く考えていない」としている。燃料8体を英国へ送り返すかどうかは「検討中」という。
新たにねつ造が見つかったのは、燃料集合体8体に収められた直径約8ミリ、高さ約13ミリの燃料ペレット3000個の中から200個を抜き出して直径を測る検査のデータ。8体に入った199ロット(1ロットは3000個のペレット)のうち1つのロットのデータが、別のロットのデータを100個分そっくり引き写したものだったことが分かった。
また、英国の核施設検査局(NII)の調査で、別の2ロットのデータも統計的にみてねつ造の疑いがあることが分かった。燃料を調査した英国核燃料会社(BNFL)が16日、調査結果を関電に報告した。
今回の事態について資源エネルギー庁は関電に再発防止策が確立されるまでBNFLから核燃料を輸入しないよう指導。ベルギーの燃料加工会社で加工した燃料を使って福島第1原発でプルサーマルを計画している東京電力にも再度データの確認を指示した。
ねつ造問題では9月中旬に高浜原発3号機用MOX燃料データをBNFL検査員がねつ造していたことが発覚。関電は4号機用燃料についても英国に職員を派遣し調査したが「ねつ造はなかった」とする最終報告を11月にまとめ、通産や国の原子力安全委員会も「妥当」と判断していた。
しかし今月9日付の英紙がねつ造の疑いを指摘し、資源エネルギー庁や関電は職員、社員を英国に再度、派遣し調査していた。

英核燃料会社が謝罪

【ロンドン16日共同】英国核燃料会社(BNFL)は16日、同社が製造したMOX燃料がデータねつ造の疑いで使用中止となったことについて謝罪談話を発表した。談話は「関西電力などに謝罪したい。信頼を回復するためあらゆる措置をとる」としている。

<プルサーマル> 通常の商業用原発で、プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を燃やす。高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(1995年12月)などで、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを利用するめどが立たなくなり、余剰プルトニウムを出さないためにプルサーマルの必要性が高まった。このため政府は97年2月、「早急に進めることが必要」として閣議決定。関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)では2000年1月に始まる予定だった。(中日新聞 1999/12/17)

IAEAがJCOを査察 軍事兵器転用の有無確認
東海村臨界事故で、国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)の査察官2人が22日午前、JCO東海事業所を訪れ、査察した。
核物質が軍事兵器などに転用されていないことを確認するための定期査察で、科学技術庁の職員2人が同行した。
一行はJCO側から説明を受けた後、事務棟などで書類をチェックし、ウランなど核物質の在庫変動量や保管状況を点検。午後からは事故のあった転換試験棟にも入り、沈殿槽や消防ホースから抜き取られたばかりのウラン溶液の量、保管状況を確認するほか、スワイプサンプリングという汚染個所のふき取りも行い、未申告の核物質がないかを調べる。
IAEAは事故後に原子力防災などの専門家が同事業所を調査に訪れ「事故は汚染事故ではなく放射線照射事故」などとする報告をまとめている。(共同通信 1999/12/22)

被ばくの大内さん死亡 原子力施設事故では初
東海村臨界事故で大量の放射線を浴び、重症となっていた核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所社員、大内久さん(35)=茨城県金砂郷町大里=が21日午後11時21分、多臓器不全のため東京都文京区の東大病院で死亡した。9月30日の事故発生から83日目。
被ばくによる急性放射線障害での日本人の死者は1954年、米国のビキニ水爆実験に遭遇、死の灰を浴びた第五福竜丸無線長、故久保山愛吉さん=当時(40)=以来。国内の原子力関連施設事故では初めてで、原子力開発が根本的な見直しを迫られるのは必至だ。
臨界事故の人的被害は死者1、重症被ばく者2、その他の公表被ばく者66人となった。茨城県警は業務上過失傷害から業務上過失致死傷に容疑を切り替えて捜査を進める方針。遺体は22日未明、主治医の立ち会いの下で検視後、司法解剖され、同日午前、無言の帰宅をする予定。
小渕恵三首相は「ごめい福をお祈りする。政府として、事故原因の徹底究明などに取り組んでおり、原子力安全対策と防災対策の抜本的な強化のため、さらに格段の努力を傾注する」との談話を発表。中曽根弘文科学技術庁長官が、東大病院を弔問した。
大内さんと篠原理人さん(40)、横川豊さん(55)の社員3人は9月30日午前10時35分ごろ、JCO東海事業所の転換試験棟で、ステンレス製バケツなどを使ってウラン溶液を沈殿槽に移す作業中に臨界を引き起こし、被ばくした。
3人は千葉市の放射線医学総合研究所(放医研)で治療を受けた後、大内さんと篠原さんが東大病院と東大医科学研究所病院にそれぞれ転院した。大内さんの被ばく量は広島、長崎の原爆爆心地並みの17シーベルト、篠原さんは8シーベルトと推定された。
大内さんはリンパ球や白血球の著しい減少が続き、造血機能を回復させるため10月6、7日、被ばく医療では世界初の末しょう血幹細胞の移植を受けた。しかし白血球は増えたものの全身状態は改善せず、11月27日には約1時間10分にわたって心停止した。
その後も予断を許さない状態が続き、今月19日ごろからは昇圧剤を増やし辛うじて血圧や脈拍を維持する危篤状態となっていた。
当初、意識障害など重い症状を示した篠原さんは比較的安定した状態が続き、放医研に入院していた横川さんは20日朝退院した。(共同通信 1999/12/22)

日本の原子力計画見直せ 米反核団体
【ワシントン21日共同】米反核団体の核管理研究所は21日、東海村臨界事故で日本の原子力事故としては初めて被ばくによる死者が出たことに関連し「日本の原子力計画の見直しを行うべきだ」との声明を発表した。
声明は、日本の原子力規制当局や産業界は臨界事故を起こり得ない事故としていたと指摘。新たに別の安全審査を行うまで、同じ規制当局が認可した原発でのプルトニウム利用計画を中止すべきだと主張している。(共同通信 1999/12/22)

核兵器部品を極秘保管 被ばくの恐れと米紙報道
【ワシントン11日共同】11日付の米紙ワシントン・ポストは、米ケンタッキー州パドゥーカにあるエネルギー省所管のウラン濃縮工場周辺で、1600トン以上の核兵器の部品が極秘に保管され、被ばく事故の恐れがあると報じた。
工場関係者が米原子力規制委員会に文書で報告した。しかし工場労働者や周辺住民には被ばく危険性などについて、これまで一切知らされなかった。
文書によると、核兵器の部品は1950年代から運び込まれ、一部は埋められ、残りが工場内に分散保管された。この工場関係者によると、米エネルギー省の職員が核兵器解体に関する書類を最近運び出したという。(共同通信 2000/02/11)

MOX燃料データねつ造は96年から
【ロンドン18日=芝田裕一】関西電力高浜原子力発電所(福井県高浜町)向けウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の品質検査データねつ造事件で、英原子力施設検査局(NII)は18日、製造元の英核燃料会社(BNFL)の燃料製造部門の管理体質を厳しく批判する報告書を公表、同社に対して業務体制の大幅改善を求める勧告を出した。報告書は、ねつ造が長期にわたって常態化していたことを指摘する一方で、「燃料の安全性には影響を及ぼしていない」と結論づけている。
日本に輸送済みの燃料について日本は英国への返還を求めているが、英側は多大な費用や輸送沿岸国の反発などを懸念して難色を示しており、今後、この返還問題が大きな課題となる。
事件が起きたのは、イングランド北西部の同社セラフィールド事業所内のMOX燃料製造施設で、1994年に稼働を始めた。報告書によると、96年からねつ造が続けられていたといい、NIIは「管理体制の欠陥が、多くの従業員に品質保証記録のねつ造を許した」と厳しく断じている。またNII首席検査官は、BNFLが勧告された改善策をすべて満たさない限り、MOX施設の操業再開を認めないことを明らかにした。
報告書が、製造済み燃料の安全性に問題はないとした点について通産省資源エネルギー庁は、「精査する必要はあるが、今回の問題は安全性でなく、品質保証データにねつ造があったという、信頼性の問題だと考えている」と語った。

BNFL社長が関電に謝罪

関西電力高浜原発(福井県高浜町)で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の品質管理データがねつ造されていた問題で、製造元の英国核燃料会社(BNFL)のジョン・テイラー社長が18日午後、大阪市の関西電力本社を訪れ、「25年にわたる良好な関係を取り戻したい」と謝罪するとともに、経緯を説明した。この中でデータねつ造が発覚する以前の昨年9月、高浜原発3号機用の燃料棒にねじなどが混入され、不合格になっていたことを明らかにした。BNFL側は「社員が故意に入れた可能性がある」と認め、同社の悪質な作業ぶりが改めて浮き彫りになった。
BNFLの報告書などによると、同年9月7日、燃料棒2本の底にねじとコンクリート片のような異物が入っているのが見つかった。燃料棒には通常、燃料を焼き固めたペレットが詰められているが、「本来の作業工程では異物が入ることは考えられない」(BNFL)という。
当時、関電は不合格の燃料棒があることを口頭で聞かされただけで、異物の詳細などは知らなかったが、BNFLはこれをきっかけに外部の専門家に特別調査を依頼した。関電は「データのねつ造より悪質で、信じがたい」と、BNFLに社員教育や作業改善などを徹底するよう申し入れた。(読売新聞 2000/02/18)

原発 温暖化対策に不適 ウラン濃縮で大量CO2 WWF報告
原発からの二酸化炭素(CO2)の排出は燃料になるウランの濃縮まで含めると、少ないとは言えず、発電の効率も悪いため、原発の利用は有効な地球温暖化対策とはならないとの報告書を、世界自然保護基金(WWF、本部スイス)が6日、発表した。
WWFは「地球温暖化対策の名の下に、原子力技術を発展途上国などに移転すべきではない。CO2の排出は徹底した省エネやエネルギー利用効率の向上によって実現すべきだ」と指摘している。
報告書によると、核燃料として利用可能なウランを天然ウランの中から濃縮する過程で膨大な電力を必要とするため、1キロワット時当たりのCO2の排出量は35グラムと試算され、風力の同20グラム、水力発電の同33グラムを上回る。
原子力発電の熱がほとんどそのまま捨てられているのに対し、天然ガスや木材を利用したバイオマス発電では、発電過程で出る熟を電力と同時に供給する「熟電併給(コージェネレーション)」が可能。
このため熱利用まで含めて考えると、原発からのCO2排出量は天然ガスとほとんど変わらず、バイオマス発電の7倍近くなるという。
WWFは日本のように原子力発電への依存度が高い国ほどコージェネレーションの導入率が低いといった例を挙げ、「大規模な原発の利用が国内のエネルギー利用効率向上を妨げている」と指摘している。(中日新聞 2000/04/07)

チェルノブイリ事故処理 作業員3万人死亡 露保健省専門官が指摘
【モスクワ21日=布施裕之】インターファクス通信によると、ロシア保健省のヘリー・メスキフ主任専門官は20日、記者団に対し、86年4月のチェルノブイリ原発事故の事後処理に従事した作業員のうち、これまでに3万人が死亡したことを明らかにするとともに、うち38%の死因は「自殺だった」と述べた。
これに対し、同省のリュボーフィ・ボロパーロワ報道官は21日、本紙の問い合わせに対し、死亡数については確認したが、自殺に関しては「あくまでも専門官の個人的な解釈で、本省の公式データではない。そのような統計(自殺のデータ)は内務省の管轄に属するもの」と専門官の発言の信ぴょう性に疑問を投げかけた。
専門官の発言は、チェルノブイリ事故14周年を控えて開かれた記者会見の場でなされた。(読売新聞 2000/04/22)

作業員5万5000人死亡 旧ソ連、ロ副首相が公表
チェルノブイリ事故

【モスクワ26日共同=及川仁】ロシアのショイグ副首相兼非常事態相は史上最悪の原発事故であるウクライナ・チェルノブイリ原発事故から丸14年の26日、事故炉の処理に当たった旧ソ連の作業員86万人のうち5万5000人以上がこれまでに死亡したことを初めて明らかにした。
同原発は今年末に完全閉鎖されることが決まっているが、チェルノブイリ事故の大規模な被害の実態がようやく明るみに出てきた。
副首相はモスクワ市内の墓地での犠牲者追悼式典で述べた。死者すべてが事故の後遺症によるものかどうかについては言及しなかったが、多くは作業時に浴びた放射線障害などが直接、間接の原因とみられる。
作業員は兵士や技術者、建設労働者で構成され、事故直後に爆発が起きた4号機やその周辺地域で消火作業などに当たった。
またベラルーシのルカシェンコ大統領も26日、同事故で1020万人いる国民のうち、5人に1人が約50万人の子供を含め被ばくなどの被災をしたことを明らかにした。
ウクライナ非常事態省当局者も同日、同国内の被ばく者総数約342万7000人のうち病気にかかっている人の割合は、作業員が86.9%で最高と指摘。多量の放射線下で処理に当たった作業員らの健康悪化が深刻であることを強調した。
同国で被ばくした人のうち病気にかかっているのは、大人(10代の子供含む)では82.7%、10歳未満の子供は73.1%。特に血液、血液循環系統疾患、甲状腺(せん)がんが急増しているという。(共同通信 2000/04/26)

JCOの篠原さん死亡 臨界事故被ばくで2人目
東海村臨界事故で大量被ばくし、重症となっていた核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所社員、篠原理人さん(40)=茨城県日立市田尻町=が27日午前7時25分、多臓器不全のため入院先の東京都文京区の東大病院で死亡した。
昨年9月30日の事故から約7カ月。同12月21日に35歳で亡くなった大内久さんに続き2人目の犠牲者となった。事故の直接原因となった作業に当たり臨界の瞬間を目撃したのは死亡した2人だけで、発生時を知る証人が失われ、事故の刑事責任を追及する茨城県警の捜査にも影響を与えそうだ。
篠原さんや大内さんら社員3人は昨年9月30日午前10時35分ごろ、JCO東海事業所転換試験棟で、ステンレス製バケツなどを使ってウラン溶液を沈殿槽に移す作業中に臨界を引き起こし、多量の放射線を浴びた。
大内さんと篠原さんは転換試験棟の作業は初めてで、臨界の危険性について十分な教育を受けていなかったことから、事故を捜査している茨城県警は2人を被害者とする方針だ。
3人は千葉市の放射線医学総合研究所(放医研)に搬送され、集中治療を受けた。篠原さんの推定被ばく量は、広島、長崎の原爆爆心地並みとされる大内さんの17シーベルトに次ぐ10シーベルト前後とされた。
篠原さんは当初、意識障害に陥り、リンパ球や白血球の減少が続いた。10月4日、東大医科研病院に転院し、10月9日には造血機能を回復させるため、被ばく医療では初の臍帯血(さいたいけつ)移植を受けた。
放射線による皮膚の熱傷も全身の7割近くに及んだが、培養皮膚の移植手術を受けるなどして一時はリハビリを始めるまで回復。
しかし、今年2月下旬以降、肺炎や胃からの出血が起きるなど容体が悪化。4月10日には、大内さんの治療に当たった東大病院に転院し、集中治療室で全身の管理を受けていた。
事故では、大内さんが急性放射線障害による多臓器不全で死亡、作業していた3人のリーダー格の横川豊さん(55)は昨年12月に放医研を退院している。(共同通信 2000/04/27)

チェルノブイリ原発事故 700万人が後遺症
国連機関報告書
【ジュネーブ26日=大内佐紀】国連人道問題調整事務所は25日、ロシア、ウクライナ、ベラルーシなどで、700万人以上が旧ソ連チェルノブイリ原発事故の後遺症に苦しんでいるとする報告書を発表した。
報告書は、現在に至る間の死亡者数は明記していない。だが、後遺症に苦しむ約700万人の中には、事故の事後処理に従事した作業員約60万人や、約300万人もの児童が含まれているとした。
報告書によると、後遺症が出る期間には個人差があるため、早くとも2016年までは、同事故の被害の全体像は判明しないという。
同事故に関連しては、インターファクス通信が今月20日、ロシア保健省担当官の話として、事後処理にあたった作業員のうち3万人がこれまでに死亡したと報じている。(読売新聞 2000/04/27)

放射能の恐怖 次々明るみに
原子炉閉鎖で乳児死亡率激減 米研究機関が発表
【ワシントン26日大軒護】放射線の健康に与える影響を調査している米研究機関は26日、原子炉の閉鎖により周辺に住む乳児の死亡率が激減したとの調査結果を発表した。
調査は免疫学や環境問題などを専門とする医師、大学教授などで組織する「レイディエイション・パブリック・ヘルス・プロジェクト」(RPHP)が、1987年から97年までに原子炉を閉鎖した全米7カ所の原子力発電所を対象に、半径80キロメートル以内の居住の生後1歳までの乳児死亡率を調べた。
調査は、原子炉閉鎖前の死亡率と、閉鎖2年後の死亡率を比較しているが、それによると、87年に閉鎖したワイオミング州のラクロッセ発電所では、15.3%の死亡率減少だった。最も減少率の大きかったのが、97年に閉鎖したミシガン州ビッグロック・ポイント発電所周辺で54.1%の減少だった。減少は、がん、白血病、異常出産など、放射線被害とみられる原因が取り除かれたことによるものとしている。
RPHPによると、85年から96年までの全米幼児の死亡率は、平均で6.4%減にとどまっており、「原子炉の影響が実証された」としている。
米国では2003年までに28基の原子炉が、米原子力規制委員会(NRC)へ免許更新申請する時期にきているというが、RPHPによると更新にあたっては周辺の環境問題は考慮されておらず、今後、この問題でNRCへの強い働きかけが必要としている。(東京新聞 2000/04/27)

ロスアラモスの大火災で「死の灰」の恐怖
(WIRED NEWS 2000/05/16)

原発コスト:発電単価は安くない 環境NGOが試算
環境NGO(非政府組織)「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」は31日、原発の発電単価について「過去10年間の発電実績で計算すると1キロワット時当たり10.26〜10.55円で、水力、火力発電を上回る」とする調査結果を発表した。原発は二酸化炭素(CO2)を排出せず地球温暖化防止対策に有利とする国は、モデルケースを基に「1キロワット時当たり5.9円」という数字を公表している。市民会議は「実績値で原発選択の議論をするべきだ」と主張している。
市民会議の委託で高崎経済大学の大島堅一助教授(環境経済学)が、全国9電力会社の有価証券報告書にある人件費、原価償却費、燃料費などを基に、水力、火力、原子力それぞれの発電単価を試算した。
1989年度から98年度の10年間の1キロワット時当たりの平均単価は水力9.62円、火力9.31円、原子力8.71円だった。市民会議は、原発から出る高レベル放射性廃棄物の処理や原発解体など国が算出している将来コストを加えて、原子力は10.26〜10.55円とはじき出した。
一方、国の総合エネルギー調査会原子力部会は昨年12月、1キロワット時当たりの発電単価を、原子力(出力130万キロワット、稼働率80%)は5.9円、水力(同1.5万キロワット、同45%)13.6円、石油火力(同40万キロワット、同80%)10.2円と公表した。これは、いずれも98年度に運転を開始し40年運転した場合のモデルケースによる試算で、同部会は「(ほかの発電と比べ)原子力は経済性にそん色はない」と結論づけている。
市民会議の早川光俊専務理事は「新型原発で稼働率が高ければ発電単価は下がるが、実際には老朽化原発があり稼働率も低くなる。コストは実績値で議論すべきだし、原発のプラントごとの細かい数値も公表すれば、温暖化対策に原発が本当に有効なのか実りある議論ができるはずだ」と指摘する。
これに対し、通産省資源エネルギー庁は「今後の電源の選択を考える場合、過去のコストではなく、現時点を踏まえて将来を見越した形での試算が妥当だ」と話している。【吉川 学】(毎日新聞 2000/05/31)

独原発全廃:独政府が電力会社と今後32年で全廃に合意
【ベルリン15日藤生竹志】ドイツ政府と主要電力会社首脳は15日未明(日本時間同日朝)、国内に19基ある原子力発電所の廃止をめぐる協議を行い、今後32年で全廃することで合意した。これにより、1988年に運転を開始した最新の原発でも2030年初めまでに廃止される見通しになった。独政府は合意を受け、関連法案の策定に着手する。政府と電力業界が脱原発で合意したのは主要国で初めて。他の先進国の原子力政策にも影響を与えそうだ。
協議には政府側からシュレーダー首相、トリッティン環境相、ミュラー経済相、電力会社側はRWE社、フェバ社など主要4社の首脳が出席。首相によると、今後の原発19基の総発電量は累積で約2.5兆キロワット時と限定し、この発電量の枠に達した時点で運転を停止する。首相は、残りの稼動年数は32年に相当するとしている。
原発廃止をめぐってはこれまで、具体的な廃止時期をめぐって政府側と電力業界側が対立。連立政府は昨年末、「原子炉の寿命は30年」とする見解を打ち出した。しかし、電力業界は「原発の稼動は1年のうち11カ月程度で、これをもとに計算すれば、実際の原子炉の寿命は35年」と主張し、政府側と対立。今回の協議で妥協が成立したことで、ドイツの原発廃止は具体化に向けて動き出すことになった。
ドイツの原発依存率は日本とほぼ同じ約3割。98年秋に発足した社会民主党と90年連合・緑の党の連立政権が掲げてきた「脱原発」の公約は実現する運びになったが、原発廃止で火力発電への依存度が高まるため、今後は代替エネルギー源の開発や国外からの電力購入などを含めた電力確保が課題となる。(毎日新聞 2000/06/15)

原子力発電コスト 火・水力より高い? NGO試算
非政府組織(NGO)の「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」(CASA)はこのほど、原子力発電のコストは1キロワット時当たり10円を超え、水力や火力発電より高くついているという試算結果を発表した。政府は5.9円で最も安くつくと発表しているが、CASAは「算定の元になる詳しいデータが公開されておらず、疑わしい」と話している。
CASAによると、1989年度から98年度までの10年間の発電単価は1キロワット時当たり、原子力が平均10.26−10.55円、水力が平均9.62円、火力が平均9.31円だった。通産省は昨年12月に原子力5.9円、水力13.6円、液化天然ガス(LNG)火力6.4円などの試算値を発表している。
CASAは大島堅一・高崎経済大助教授に委託し、電力9社の1970年度から98年度までの有価証券報告書総覧のデータと通産省令で定められた発電原価を求める規則から、電源ごとに発電単価を求めた。これに、政府が発表している解体放射性廃棄物や高レベル放射性廃棄物の処理費用、電源三法交付金などを加算した。
政府試算が理想的なモデルプラントで発電コストをはじき出しているのに対し、CASAは実際の発電コストを計算し、さらに技術開発・立地対策費用を加えたことで、違いが出ているという。(朝日新聞 2000/06/19)

危険・電力だぶつき「もうつくらぬ」流れ
ドイツが脱原発 市場自由化追い風
ドイツ政府と電力業界が国内に19基ある原子力発電所を段階的に全廃することで合意し、総発電量の約3割を原発に頼るドイツは脱原発へと大きく踏み出した。「もうつくらない」という欧米の潮流をさらに定着させる動きだ。ドイツの合意を可能にした事情や、原発をめぐる世界の現状をまとめた。(ベルリン=古山 順一、科学部・上田 俊英)

ドイツの原発は、1970年代に社会民主党(SPD)が加わった連立政権下で推進されたが、86年のチェルノブイリ原発事故を機に見直された。89年以降、新たな原発建設はなく、90年のドイツ統一前後には、旧ソ連製の原子炉を使っていた旧東独の6基すべての解体が決まった。
SPDは緩やかな脱原発へと方針を転換し、98年秋、環境問題を重視する90年連合・緑の党との連立協定に脱原発を盛り込んだ。
電力業界も、使用済み燃料の処理問題など金のかかる原発に代わるエネルギーを模索し始めていた。政府との協議は昨年初めに始まったが、採算などの面から原子炉の寿命35年を主張する電力側と、即時廃棄を求める90年連合・緑の党との隔たりは大きかった。
電力側との合意なしに一方的に原発廃棄を法制化すれば、損害賠償などでばく大な費用がかかることが予想された。SPDのシュレーダー首相は90年連合・緑の党の歩み寄りを求め、同党は今年3月、政権維持の立場から原発の即時廃棄の方針を放棄した。
90年連合・緑の党にとって大きな方針転換だが、今回の合意では原発の今後の総発電量を、これまでの総発電量を上回る約2.6兆キロワット時と算定した。企業寄りの妥協だとして、23日に開く党大会では連立政権にとどまるかどうかも含め、もめそうだ。
一方、電力市場は98年4月に自由化され、送電線がつながっていれば国内外の発電事業者から安い電気が買えるようになった。大手電力会社の地域独占は崩れ、料金が大幅に下がった。
さらに今年4月、風力など再生可能エネルギー利用の促進を目指す新法が制定され、同エネルギーの利用が電力会社に義務づけられた。政府は、再生可能エネルギーが発電に占める割合を現在の5%から2010年までに倍増させる計画だ。
また電力はだぶつき、一部を輸出しているほど。原発廃棄に伴う代替エネルギーの一部は、既存の発電所の稼働率を上げることで補えるとの目算もある。ロシアなどから天然ガスの輸入を増やして発電に利用することも検討されている。

スウェーデン流踏襲 先進国で魅力薄れる

ドイツ政府と電力業界との「原発全廃」合意は、すでに脱原発を進めるスウェーデンのケースとよく似ている。両国は、原発をすぐにやめると決めたわけではない。選んだのは「もうつくらない」という道だ。
スウェーデンでは1980年、原発の是非をめぐる国民投票が実施され、「原発は新設しない」ことなどを柱とする段階的廃止案が多数の支持を得た。これを受けて、国会が「2010年までに全原発を段階的に廃止する」と決議した。
当時、スウェーデンには運転中の原発が6基、建設中が6基あったが、どの原発も数十年後には必ず老朽化して、使えなくなる。新設しなければ、原発は寿命の順に閉鎖され、いずれはなくなることになる。
原発廃止というエネルギー政策の大転換には、代替エネルギー開発などに長い時間が必要だ。2010年という目標は、その準備の時間と、原発の寿命を25年間と見込んで決められた。
スウェーデンが脱原発に踏み出したのは、国民投票前年の1979年、米国でスリーマイル島原発事故が起こり、原発の安全性への不安が高まったからだった。
いま、原発は経済的にも逆風にさらされている。電力需要の伸び悩みや電力市場の自由化などによって、多額の初期投資が必要な原発は他の発電方式と比べ、経済的に次第に不利になってきている。
これは、先進国にほぼ共通する問題だ。現実に、北米と西欧では現在、建設中の原発は1基もない。
日本も現実には、原発の新規立地はまったくといっていいほど進んでいない。政府は2010年度までに最大20基の増設という目標を掲げているが、電力業界は今年3月、同年度までの増設計画を、20基から13基に引き下げた。
脱原発の道は、平たんではない。スウェーデンは97年、全廃目標の「2010年」を「雇用や福祉などへの悪影響を考慮」して撤回した。閉鎖した原発も、まだ1基だけだ。
しかし、原発の魅力は着実に薄らいでいる。電力関係者からは「原発建設のような多額の投資は、自由化の先が見えるまでは控えたい」という意見が、よく聞かれる。

賛成 経済的にも理にかなう

90年連合・緑の党のエネルギー政策責任者ミヒャエレ・フステット連邦議会議員 脱原発は経済的にも十分な理由がある。ドイツでは必要量よりも約3割過剰に発電しているため電力会社は発電所を新規につくる必要がない。最新の天然ガス発電所は、原発の発電コストの半分で済む。天然ガスのほか、風力や太陽光といった再生可能エネルギーヘの投資が必要だ。
お金がかかる原発を建設するよりも、これらの分野の投資に電力会社も前向きだ。キリスト教民主同盟(CDU)は、政権を奪取したら脱原発を放棄する、と言っているが、我々は長期的な経済効果もみながら脱原発を進めている。

反対 環境面、原発が優れる

電力会社などでつくるドイツ原子力フォーラムのオットー・マジェウスキー会長 社会民主党(SPD)と90年連合・緑の党の連立政権は、環境上や経済的理由で脱原発を進めようという考え自体が誤っている。
例えば、二酸化炭素(CO2)の発生の面では、原発の方が普通の火力発電よりも優れている。合意では将来のエネルギーをどう確保するか、など多くの問題が未解決だ。ドイツでは高度の安全が確保された新しい原子炉が開発されており、新技術を利用することで孫子の代まで原発は維持すべきだ。
次の総選挙でキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が勝てば、脱原発の道は放棄されるだろう。

《政府と電力会社の合意の概要》

▽原発の運転開始からの運転期間を基本的に32年とし、2000年1月からの各原発の残りの運転期間をそれぞれ算出する
▽運転停止中のミュルハイムケーリッヒ原発について電力会社は運転許可申請と、州政府に対する賠償請求を取り下げる。代わりに約0.1兆キロワット時分を全体の今後の総発電量に加える
▽同原発と稼働中の19の原発で今後発電できる総発電量を約2.6兆キロワット時と算定する
▽使用済み燃料の再処理は2005年7月以降、最終処分場に直接持ち込むことに限定する
▽原発建設の禁止などを骨子とする原子力法の改正に電力側は理解を示す
(注=今後の総発電量を各原発にどう割り当てるかは電力会社に任されているため、実際は32年以上運転される原発も出てくる)(朝日新聞 2000/06/22)

千島に核廃棄施設計画か サハリン州が反発
【モスクワ7日共同】ロシア紙な どは7日までに、同国の研究所が千島列島のシムシル島(新知島)に外国から受け入れる使用済み核燃料の貯蔵施設を建設しようと計画していると報じ、地元のサハリン州議会は建設に反対する書簡をカシヤノフ首相らに送った。
ロシアや台湾の一部新聞によると、ロシアのクルチャトフ原子力研究所(モスクワ)は北方領土に近いシムシル島に使用済み核燃料や放射性廃棄物の貯蔵・廃棄施設の建設を計画し、台湾の電力会社との間で台湾の原発から出る廃棄物を有料で受け入れる覚書も結んだという。
しかしロシアの環境保護法は使用済み核燃料などの外国からの受け入れを禁じており、研究所側は同法修正に向け議会でロビー活動中とされる。
7日のインタファクス通信によると、サハリン州議会は書簡でシムシル島は地震の危険があり「建設は受け入れられない」と反発、報道が事実かどうかも確認するよう首相らに求めている。(共同通信 2000/07/07)

核廃棄物貯蔵施設、火災でプルトニウム漏れ
(WIRED NEWS 2000/07/17)

震度速報されず、不安の声 原発抱える静岡・浜岡町
伊豆諸島の群発地震が続く中、中部電力浜岡原子力発電所を抱える静岡県浜岡町の震度がテレビなどの地震速報で表示されず、9月1日の防災の日を前に、地元の住民から「東海地震も心配されるのに、町の震度がなぜ発表されないのか」などと不安の声が高まっている。
浜岡町には科学技術庁と町が独自に設置した2つの地震計があるが、いずれも気象庁の検定に合格しておらず、同庁の地震速報網に組み込まれていないため、同町の震度は地震速報時に表示されないという。
気象庁によると、一定の距離間隔や人口密度を考慮して全国2650カ所に地震計が設置され、これらの観測地点から送られたデータを基に各地の震度は速報される。
群発地震後、住民からの問い合わせが相次いでいる浜岡町は「原発があるので、住民の不安も大きい。ぜひとも地震速報網に組み入れてほしい」と気象庁や静岡県に要望。
しかし気象庁は「浜岡町の隣接町に設置しており、震度は観測できるので、新たな震度計(地震計)は必要ない」と素っ気ない。
全国で原発を抱える市町村のうち、東海村(茨城)、柏崎市(新潟)、敦賀市、美浜町(福井)などは観測地点になっているという。(共同通信 2000/08/31)

「原発の段階的廃止」を日弁連が提言へ
日本弁護士連合会は、来月6日、岐阜市での人権擁護大会で採択予定の「エネルギー政策の転換を求める決議」案の中で、「原発の段階的廃止」を提言する方針を決めた。昨年9月の茨城県東海村での臨界事故や、ドイツの原発廃止決定などの国際的潮流を背景に、日弁連として初めて「脱原発」を掲げ、その道筋を具体的に示す政策提言をすることになった。
「原子力偏重から脱原発へ」との副題が付いた同決議案は公害対策・環境保全委員会(藤原猛爾委員長)のメンバーらを中心に、欧米への海外視察を繰り返しながら準備された。決議案では(1)既存原発の段階的廃止と新増設の停止(2)使用済み燃料の再処理の中止(3)高レベル放射性廃棄物の地層処分凍結などを提言する。
日弁連は「地球環境保全の立場」からプルトニウム利用などに対してはこれまでも批判してきたが、原発の是非については、会内合意の形成が難しく、明確な主張は避けてきた。しかし今回は相次ぐ事故などで、原発問題にかかわってこなかった弁護士からも「脱原発」の明確化に積極的な提案が出た。採択されれば、政府や電力業界には「新たな逆風の1つ」になりそうだ。(朝日新聞 2000/09/27)

最悪事故でがん死300万人 静大教授が台湾原発で試算
【台北28日共同】存廃をめぐり議論を呼んでいる台湾第4原子力発電所(台北県貢寮)について、静岡大工学部の小村浩夫教授が28日、炉心溶融などの大事故が発生した場合、台北市などの台湾北部で8000人余りが放射能で急死、300万人以上ががんで死亡するとの予測を台北で発表した。東向きの風の場合、沖縄県与那国島などでも深刻な人的被害が起きるとしている。
小村教授は、京都大原子炉実験所の小出裕章助手らとともに、2004年に稼働予定の同原発で、炉心溶融や格納容器内での水蒸気爆発など、最悪の事故が発生したと想定し試算した。
その結果、事故後3時間原発から放射能の放出が続き、人口が密集する台北市方向に西向きの風が吹いた場合、放射能を浴びて8767人が急死、後発性のがんで334万人が死亡するとしている。
これは事故後、1週間以内に避難が完了したケースで、避難できなければ2万8000人以上が急死し、がんでの死亡は台湾の人口の約3割に当たる716万人に上るとしている。
台湾では5月の陳水扁政権誕生に伴い、経済部(通産省)が建設中の第4原発の存廃を検討する再評価委員会を発足させ、工事続行の是非を検討。林信義・経済部長が30日にも唐飛行政院長(首相)に存廃の判断を伝える予定。(共同通信 2000/09/28)

国内の原発立地にも暗雲 通産、業界に衝撃
台湾の経済部長(通産相)が「第4原子力発電所」の建設中止を求める報告書を出したことは、日本の原発建設を進める通産省・電力業界、海外での原発建設で生き残りを狙う東芝など重電メーカー双方に、大きな衝撃を与えている。
通産省は今年に入り、それまで20基だった2010年度までの国内の新規立地原発を13基に下方修正した。しかし、この目標の達成すら危ぶむ声が出ている。
実際に現在、建設のめどが立っているのはわずか7基。背景には立地予定地の地元住民の反対運動などで新規立地が極めて難しくなっている状況がある。
それだけに台湾での脱原発の動きに同省は神経をとがらせている。東海村臨界事故などで国民の間に高まっている原発への不信が、さらに加速することへの懸念を隠さない。
ゼネラル・エレクトリック(GE)とともに台湾の原発建設に参加している東芝と日立製作所にとって状況はさらに深刻だ。国内での原発建設が進まない以上、生き残るためには海外輸出に頼らざるを得ないからだ。現地からの「ノー」に関係者の衝撃は小さくない。原発ビジネスは今後、抜本的な見直しが必要になりそうだ。(共同通信 2000/09/30)

核燃料輸送中タイヤに異常 無理な積み荷と監視団体
東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町)に核燃料を搬送していた日立物流のトラックが2日夜、宮城県大和町の東北自動車道鶴巣サービスエリアでタイヤに異常が見つかり、タイヤを交換するトラブルがあったことが、3日分かった。
搬送を監視した女川原発訴訟支援連絡会議は「無理な積み荷をしていた可能性がある。走行中のパンクは大事故につながりかねない」と指摘、東北電力に事実確認と安全管理の徹底の申し入れを行う。
日立物流は「タイヤ交換したのは事実だが、安全上特に問題はなかった」としている。
2日は日立物流と別の運送会社一社が大型トラック計18台で、来年春に試運転を開始する女川原発3号機の燃料集合体計216体を、神奈川県横須賀市の核燃料加工会社から初めて搬送。午後8時45分ごろ、休憩した際の点検で右後輪に異常が見つかったという。
同連絡会議は、日立物流の別のトラックが女川町内で、高さ制限の標識に積み荷上部を接触させたのを見たとも指摘したが、日立物流は「接触の事実はない」としている。(共同通信 2000/10/03)

チェルノブイリ原発処理作業者 白血病25%増と予測
ウクライナ
1986年4月の旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故の処理作業者が一生の間に白血病になる可能性は、作業に加わらなかった場合に比べ25%高まる。ウクライナ放射線医学センターがそんな長期予測をしていることが2日、明らかになった。
チェルノブイリ事故による健康影響について国連放射線影響科学委員会は6月、「甲状せんがんを除き、疫学調査でがん発生率や死亡率の増加を見つけるのは難しい」との結論をまとめている。同センターは今回の予測を盛り込んだ反論書を国連に提出した。
同センターが対象としたのは、86年から87年の間に事故処理に当たった作業者20万人、事故当時に原発から半径30キロ圏内に住んでおり、後に移住した住民13万5000人など。汚染地域の放射能レベルの推移や医療データなどをもとに、被ばく量と発がん率を調べた。
現在は、白血病などの「血液がん」や、乳がん、肝がん、胃腸などの「固形がん」の発生率に目立った変化はない。しかし、土壌や作物の放射能汚染は残っており、今後も被ばくは続く。
調査結果では、もし作業者が汚染現場で働かなかったら、生涯で血液がんになるのは800人。現実には放射能の影響でさら200人(25%)増える。また、固形がんも2000人(5%)増加する。
移住者の被ばくの影響は作業者より小さいが、血液がんは10人(2%)、固形がんは150人(0.7%)ほど増えると予測する。
同センターの」・ベベシコ所長代理によると、ウクライナで2000年までに発症した甲状せんがんの患者数はのべ約1400人。センターが1990年に予測した数に近かった。国際機関などの予測数はもっと小さく、「不幸なことにセンターの解析手法の正しさが示された」という。(科学部・斎藤義浩)(朝日新聞 2000/10/03)

女川原発の作業員が死亡
6日午前8時45分ごろ、宮城県女川町の東北電力女川原子力発電所2号機内の補助ボイラー室で、点検作業のために待機していた福島県富岡町の男性作業員(52)が、仲間の作業員に「具合が悪い」と訴えてしゃがみ込み、その後意識を失った。男性は女川町内の病院に運ばれたが、間もなく死亡した。
東北電力によると、男性は定期点検を委託した三和工機(東京都港区)の社員。10月いっぱい点検作業をする予定だった。男性に持病があったかなどは不明という。
補助ボイラー室は放射線管理区域外で、被ばくする場所ではなく、一緒にいた作業員8人に異常はないという。同社は原因などを調べている。(共同通信 2000/10/06)

空白時間の測定記録あった 臨界事故で反原発団体入手
昨年9月の東海村臨界事故後、現場の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所周辺で測定されたガンマ線量のうち、空白とされた時間帯の一部を埋める測定データを入手したと、市民団体「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」(小山英之代表)が15日、発表した。
ガンマ線はJCO、日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構がそれぞれ測定。このうち、核燃機構は事故当日の9月30日午後、事故現場から北西約700メートルの茨城県那珂町本米崎で測定したデータを原子力安全委員会の事故調査委員会に報告していた。
このデータには、午後3時半から同4時55分まで約1時間半の空白があったため、同会が科学技術庁に問い合わせた結果、「モニタリング車の交代のため、測定できなかった」との回答があったという。
しかし、昨年10月末に同町立本米崎小学校のPTA臨時総会で配られた資料には午後4時半のデータが記載されていたことが判明。測定値は1時間に4.6マイクログレイで、1時間前の0.6マイクログレイ、25分後の1.1マイクログレイより高く、ピークになっていた。
同会は「これを加味するだけで被ばく線量は公表より増える。住民調査をすべてやり直すべきだ」と指摘、近く科技庁に質問状を送るとしている。(共同通信 2000/10/15)

放射性物質輸送容器 英仏2社、自主検査怠る
運輸省 55基の使用停止
使用済み核燃料など放射性物質の輸送容器について、日本の電力会社の委託を受けて容器を管理している核燃料会社の「BNFL」(英)と「コジェマ」(仏)の2社が、運輸省が義務づけている安全確認のための自主検査を怠っていたことが1日、関係者の話で明らかになった。運輸省は今年2月に両社が保有する輸送容器55基の使用を停止するよう指示。関西電力や東京電力など5社は同3月、同省に「使用廃止届」を提出していたが、こうした事実はこれまで一切公表されていなかった。
英核燃料会社のBNFLを巡っては、昨年9月、関西電力高浜原発向けのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の検査データをねつ造していた問題が発覚。輸送を監督する運輸省や科技庁が検査漏れの事実を把握したのは、データねつ造が問題となっていた時期だけに、こうした事実を公表しなかった電力会社や行政官庁の姿勢が問われることになりそうだ。
放射性物質の輸送容器については、海上が運輸省、陸上輸送は科学技術庁が、その安全性を審査する。同省が1990年に出した通達は、この輸送容器を適切に保管するため年に1回、管理者が自主検査を行うよう日本の電力各社に義務付けている。
検査漏れが発覚したのは、関電と東電のほか、日本原子力発電、東北電力、北海道電力の5社が、BNFLとコジェマに使用済み核燃料を輸送する際に使用した26基の容器。
関係者によると、日本の電力会社に昨年12月、BNFLなどから一部の容器の検査が遅れたとの報告があった。電力会社は運輸省に報告、同省は検査漏れが確認された26基と、残り29基についても「電力会社が現地の管理状況を把握できていないのは問題」として、使用の停止を指導。今年3月、電力会社から使用廃止の届け出があった。
一方、科技庁は中部電力から検査漏れがあるとの報告があり、廃止届の提出を受けたが、指導はしていなかった。
運輸省は「使用を禁止したので実際に輸送することはあり得ず、安全性に問題が出ることはない。運輸省に事業者の監督責任はなく、積極的に開示する必要性はないと考えていた」と話している。

関西電力の話 運輸省の指導に従って廃止届を出しており、現在の原発運転や環境には影響はない。公表する事案ではないと考えていた。

東京電力の話 管理上の問題があったとは認識しているが、輸送容器は再利用するメドがなかったので、安全上の問題はないと思い公表しなかった。(日本経済新聞 2000/12/02)

チェルノブイリ原発閉鎖
傷む「石棺」安全は遠く 住民の雇用問題も深刻
ウクライナ国中がテレビ中継を見守る中、15日午後1時15分(日本時間同午後8時15分)すぎ、チェルノブイリ原子力発電所で最後まで稼働していた3号炉の停止ボタンが押された。同原発の完全閉鎖で、焦点は事故を起こした4号炉をコンクリートと鋼鉄で覆う「石棺」の補強工事の早期実施など廃炉の安全確保に移る。
キエフ市内で開かれた閉鎖式典。ウクライナのクチマ大統領が「チェルノブイリ原発の3号炉停止を命じる」と大統領令を読み上げると、テレビ画面にチェルノブイリ原発が現れ、運転停止のボタンが押される瞬間が映し出された。この後、同大統領は「チェルノブイリの事故は20世紀最後の悪夢だった」と演説。「私たちは国家の利益を捨て
ても世界の安全のために行動する」と決意を述べた。
キエフ市民は今も事故の影響におびえている。書店で働くラリサさん(31)は「チェルノブイリ原発は事故直後に閉鎖すべきだった。今でも食料に放射能汚染が残っていると思う。でも怖くてだれもその話はしたがらない」と不安を隠せない。美容師のガリーナさん(50)は「同じ集合住宅に住む22歳の若者が白血病で亡くなり、葬式があったばかり」と声を震わせた。
しかし、チェルノブイリ近郊の町スラブチチでは「政治的な決定には納得できない」など閉鎖反対を訴える横断幕が翻った。原発閉鎖で約6000人の従業員が解雇される見通しで、深刻な雇用問題が起こっているからだ。「安全」と「雇用」の間で、地元の人たちの心も揺れ動いている。
チェルノブイリ原発では日本を含む世界26カ国と欧州連合(EU)の支援を受けて放射能物質の除去や石棺の補強工事が進められる。石棺は30年の耐久性を確保する設計だったが、すでにコンクリート壁にひび割れが発生、内部には放射能を含んだ大量の水がたまり危険な状態にある。7億6800万ドルをかけて補強する計画だが、具体的な工事内容については検討段階にとどまっている。(キエフ=石川陽平)

<チェルノブイリ原発事故> 1986年4月26日未明、ウクライナ北部のチェルノブイリ原発4号炉=黒鉛減速軽水冷却炉=が爆発、隣接するベラルーシ、ロシアや欧州諸国など8万2000平方キロに放射性物質をまき散らした。ウクライナ政府によると、半径30キロなどの住民約16万人が避難。ショイグ・ロシア非常事態相は今年4月、事故処理に当たった旧ソ連の作業員86万人のうち5万5000人以上がこれまでに死亡したと発表した。(キエフ=共同)(日本経済新聞 2000/12/16)



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