| BACK | HOME | NEXT |
アメリカとイスラエルのための狂騒組曲
「新世界秩序」[第8楽章:1998年]
ビキニ核実験「人体影響調査」意図か 前年の文書に研究項目列記
マーシャル政府、米に調査要求
【ワシントン4日=石合力】米国が冷戦さなかの1954年3月に太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で実施し、島民や日本のマグロ漁船 「第五福竜丸」乗組員らが被ばくした水爆実験「ブラボー」をめぐり、米エネルギー省がマーシャル諸島共和国政府にこのほど公開した当時の公文書に、島民らを対象に米軍が実施した「偶発的被ばく者」の研究の報告書と、この研究の事前計画の可能性を示唆する文書が含まれていることがわかった。マーシャル政府は米議会に事実関係の再調査を求めている。米国は被ばくは偶発的に起きた事故で、研究も「医療を目的としたもの」としているが、報告書は「動物、できれば人体でさらに研究を進める必要がある」と結論づけるなど、調査・研究色の濃い内容になっている。
米軍が行った研究は「放射性降下物で偶発的に被ばくした人間の反応の研究――プロジェクト4・1」。94年以降、マーシャル側に公開された計約2万ページの公文書に報告書が含まれていた。被ばくした妊婦12人を含む島民253人を対象に、白血球数など血液の変化のほか、放射能による皮膚のやけど、つめの変化などについて分析している。
エネルギー省の説明では、風向きなどで島民に予期しない放射能被害が生じたため、海軍医だったユージン・クロンカイト医師らを中心とする医学チームを緊急に組織し調査した。現在もブルックヘブン米国立研究所(ニューヨーク州)が、人体への長期的影響などの調査を続けている。
この研究の「事前計画を示唆する文書」としてマーシャル側が注目しているのは、前年の53年11月に軍などの合同任務部隊が、実験に必要なデータ収集の項目、担当者などを記した「科学プログラムの概要」。「爆発規模の測定」や「放射能の影響」など全19項目のうち、第4項目「生物医学研究」の第一の研究課題であることを示す「4・1」項に、「大規模兵器からの降下物によるベータ、ガンマ線に被ばくした人間の反応の研究」と記されている。
このためマーシャル側は、この研究課題の結果をまとめたのが「プロジェクト4・1」報告書だと主張、事前に計画があったとする根拠としている。
だが、53年文書の「4・1」の項目は文書に別紙をはり付けた形になっており、ブルックヘブン研究所は、議会に研究予算を承認させるため「実験後に追加されたものだ」と説明。エネルギー省は、だれがなぜ、いつ追加したかについては確認できないとしている。
一方、在米マーシャル外交筋は、すでに米上院エネルギー委員会、下院天然資源委員会などに事実関係の再調査を要請しているとした上で、「文書は、米国がマーシャル住民らを対象に放射能の人体への影響を計画的に調べようとしていたとの疑いを強く抱かせるものだ」と述べ、「人体実験」への疑念を示した。
「事前計画」の可能性をめぐっては、同研究文書が公開される前の94年、マーシャル政府が米議会で「米軍は実験場の風向きの変化を事前に予測できたのに、住民を避難させなかった」などと証言した。ビキニ核実験
米国が信託統治領だったマーシャル諸島で実施した核実験は1946年から58年まで計67回。ブラボーは広島原爆の約1000倍にあたる15メガトン級で最大規模だった。エネルギー省の前身の原子力委員会(AEC)と、各軍で構成する合同任務部隊(JTF7)が実施。科学、軍事両面からデータ収集を進めた。(朝日新聞 1998/01/05)ビキニ実験「人体研究」 「事故後の医療目的」強調
指揮のクロンカイト医師に聞く
【ワシントン4日=石合力】ビキニ環礁での水爆実験(1954年)で、人体研究「プロジェクト4・1」を指揮したユージン・クロンカイト医師(83)は昨年12月中旬、ニューヨーク州の自宅で朝日新聞記者のインタビューに応じた。主なやりとりは次の通り。――この調査の目的は?
調査とは事前に計画したうえで実施するものだ。これは事故後に、被ばくした米兵とマーシャル人の手当てをするためのものだ。――なぜ、「4・1」と命名されたのか。
その質問に私は答えられない。最初からそういう名前だったからだ。(核実験を統括した各軍の)合同任務部隊が決めたのではないかと思う。――53年の文書をどうみるか。
単なる作りごとだと思う。陸軍によっていくつかの動物実験は事前に計画されていたが、その後、不必要と削除された。――医療目的の研究というが、「勧告」では医療にほとんど触れていない。
これは、どのような情報がさらに必要かを勧告するより科学的な文書で、別にマーシャル人の生涯研究を勧告した文書がある。――なぜ、研究対象を4島だけに絞ったのか。
その質問には答えられない。なぜ、彼らを避難させられなかったのか、知らない。軍が放射能を測定し、医学的に問題ないと結論づけたのだろう。――その決定は、科学者として正当と思うか。
合理的だ。重要なのは、ソ連の恐怖から実験プログラムの実施が急務だったということだ。当時、彼らは我々より進んでいたのだ。略歴
1942年に海軍入り。専門は血液学で46年にビキニ核実験の担当血液学者に任命される。54年に「4・1」を指揮。同年秋、ブルックヘブン国立研究所に移り、今もビキニ実験被ばく者の研究をしている。島住民の疑念さらに強まる
<解説>米軍がビキ二水爆実験で被ばくしたマーシャル諸島の住民らを対象に実施した人体研究「プロジェクト4・1」は、全島が被ばくしたにもかかわらず、約250人だけを対象に選び、報告書が出た後も、現在に至るまで40年以上にわたり長期調査を続けてきた。米エネルギー省は「医療」と主張するが、報告書はデータを「被ばくした人間の最も完全なデータセット」と呼ぶ。事前に計画を示唆する米公文書の存在は、マーシャルの人々の「人体実験ではないか」との疑念を強めた。
この被ばくが「意図的」だったとの疑惑は、これまでも示されてきた。米政府文書によれば、被ばくが判明した後、米兵はシェルターに退避し、34時間以内に全員救出されたが、地元住民は、最も早い環礁で50時間も放置された。
研究を指揮したクロン力イト医師も「ビキ二実験では、それまで行われていた住民の事前避難が、予算上の理由で実施されなかった」ことを明らかにしている。「偶発的」の根拠とされている「風向きの変化」についても、マーシャル側は、米政府が気象学者らの事前の警告を無視して実験を強行したと指摘してきた。
ビキ二核実験にたずさわった原子力委や軍部の当局者の多くは亡くなり、生存者が「研究は後で追加されたもの」と口をそろえるなか、「事前計画」の立証は難しい。カギを握るのはやはり「情報公闇」だろう。
今回の文書公開のきっかけともなったオリアリー前長官の「公開政策」が復活すれぱ、エネルギー省が自らの公文書でそれを証明する時代が来るかもしれない。(ワシントン=石合 力)<報告書要旨>
4日明らかになった米エネルギー省のプロジェクト4・1最終報告書「放射性降下物に偶発的に被ばくした人間の反応の研究」の抜粋は次の通り。【目的】(1)放射性降下物で被ばくした程度の調査(2)被ばく者への治療提供(3)放射線による負傷の科学的研究を行う。
【被ばく者の状況】最大の被ばくをした現地住民は、ヤシの葉で簡単に造った家に住み比較的原始的な生活をしていた。
米軍の要員は放射性降下物の危険性を知っており、皮膚を守るため即座に重ね着をした。軍の任務に差し支えない限り、アルミ製シェルターに避難し続けた。現地住民でも降下時に泳ぎに行っていた子どもらは、水の中で多量の放射性物質が皮膚から洗い落とされた。
【爪(つめ)の変色】被ばく後23日目に、指の爪が青茶に変わる現象が観察された。変色が全体に及ぶと爪がはがれる現象が数例、観察された。変色は白人にはなかったことから、放射綜に対する有色人種に特有の反応とみられる。
【結論】(放射線の)べー夕線による皮膚の損傷について次の結論が導き出される。(1)核爆発地点から相当の距離があっても、放射性降下物による深刻な皮膚損傷が起きる可能性がある(2)広い範囲の皮膚損傷があっても、体内や血液への影響はほとんど見られない(3)迅速な皮膚の汚染除去が必要(4)皮膚損傷の兆候が見られる前の潜伏期間が数日から3、4週間ある(5)重ね着またはシェルターヘの避難により皮膚はほほ完全に防護される。
【放射能による体内汚染】現地住民と米国人グループの各体内の平均的なベータ線の状況を比較すると、ほぼ同じ被ばく量であるにもかかわらず米国人のほうが体内汚染の程度がやや低い。この違いは、現地住民が避難するまで汚染された食べ物や飲み物をとり続けたためとみられる。
【勧告】次の分類に従って実験室で追加データを得るための措置がとられるべきである。(1)ガンマ線に被ばくした大きな動物、できれば人体の血液反応。通常の被ばく後30日間を過ぎた、できれば最低1年経過後のデータが必要(2)ベータ線のエネルギーを変えるなどした際の人間の皮膚の反応。(朝日新聞 1998/01/05)ビキニ核実験 致死放射線量を推定 「広島・長崎」と比較 元軍医ら認める
【ワシントン5日=石合力】米国が太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で1954年3月に行った水爆実験の際、被ばくした島民らを対象にした米軍の人体研究「プロジェクト4・1」で、広島、長崎の被ばく者のデータと比較して、核兵器使用を想定した作戦立案に欠かせない人間の致死放射線量を導き出していたことが、研究報告書や担当した元軍医の証言で明らかになった。この研究については、実験の前年から計画していた可能性を示唆する別の米軍文書が見つかっており、マーシャル政府は「人体実験の疑いがある」と米議会に調査を求めている。被ばく者のデータは、米国が広島、長崎につくった原爆傷害調査委員会(ABCC)=現・財団法人放射線影響研究所=によるもので、それが「灰色」の研究で軍事目的に使われていた。
米政府がマーシャル側に公開した研究報告書によると、広島・長崎で死亡した人の多くは、白血球の一種で殺菌機能を持つ好中球数が、1立方ミリ当たり1000以下と正常値を大きく下回っていた。動物実験では球数が1000以下に減る放射線の線量は50―100ラド(当時の単位でリンコン)と出ていたため、人間では100―200ラドと推定し、島民が浴びた線量と球数との関係を比較研究した。
最も被ばくの程度が大きかったロンゲラップ環礁住民の約4割が球数1000―2000だったが、病気の兆候はなく健康だった。このため、付近の空気中の線量約175ラドより50―100ラド高ければ死者が出ていたと推定し、人間が死に至る放射線の量を示す「最小致死吸収線量(MLD)」を約225ラドとしている。
当時軍医として研究を指揮したユージン・クロンカイト氏(現・ブルックヘブン米国立研究所)は朝日新聞記者に、「この推定値を得られるかが軍部が指示した研究の主要課題の1つだった」と語り、医療だけでなく軍事目的が含まれていたことを認めた。
MLDは「4・1」研究以前から推定されてはいたが、極めて高い数値となっており、「この研究で放射能の危険性への懸念が強まった」という。
ABCCは、原爆放射線被ばくの健康に及ぼす影響に関する長期的調査を目的にエネルギー省の前身、米原子力委員会(AEC)の資金提供で47年に設立された。翌年に調査を始めたが、被爆者から「検査ばかりで治療しない」との批判が相次いだ。ABCCの活動を引き継いで75年に日米合同でつくった放影研は、設立目的に「平和目的の下に、放射線の人に及ぼす医学的影響を調査研究」するとうたっている。「偶発」の説明 強まる疑念
<解説>ソ連との核軍拡競争のさなかだったビキニ実験当時、米軍がどうしてもほしかったデータがMLDだった。研究を指揮した医師は、このデータを得ることが軍が命じた主要課題の1つだったと明かしている。「主目的はあくまで医療」(米エネルギー省)と説明される研究に軍事目的もあったことは、マーシャル政府の疑念を強めるものといえる。
報告書を見ると、MLDは動物実験と「広島・長崎」に「ビキニ」が加わることで、初めて有効な推定が可能になったことがわかる。被ばくが「偶発的事故」だったならば、米軍にとって、これほど絶妙の事故はなかっただろう。
同時に報告書は、広島や長崎で被ばくした人たちが抱いてきた「検査ばかりで治療しない」というABCCに対する批判が的を射ていたことも示している。
ABCCが集めたデータは、原発事故の被害者治療や放射線を扱う職場の安全基準作りなどでも役立った。だが、ビキニ「核実験」は、そこで生活する人々にとっては、まさに「核戦争」だったことも忘れるわけにはいかない。(ワシントン=石合 力)(朝日新聞 1998/01/06)米核実験のマーシャル諸島 財源細る被ばく補償
若年層にも被害が拡大 米からの基金支払い膨らむ
米国が冷戦期に実施した核実験の放射能汚染に苦しむマーシャル諸島共和国で、被害補償のため米政府からの基金をもとに設立された核損害賠償裁判所(本部・マジュロ)が、深刻な財源不足に陥っている。健康に障害を訴える人々が予想以上に増えたためで、支払いが追いつかないだけでなく、全額を受け取る前に亡くなる高齢者も目立つ。この裁判所の財源難は、マーシャル政府が、核の「人体実験」疑惑を理由にして米国に追加補償を求める動きの背景にもなっている。(マジュロ〈マーシャル諸島共和国〉=石合 力)甲状せん7割
「ロンゲラップにいた人なら珍しいことではない」。避難先のマジュロに住むハリー・ボアズさん(51)は、首もとの手術跡を見せた。6歳で被ばくし、30歳を過ぎてから甲状せんがんの手術を受けた。心臓発作で昨年倒れ、伝道者の職を失った。
1946年から58年まで続いた核実験から長年を経た今、特に目立つのは甲状せんの異常だ。88年から補償の支給を始めた裁判所に対し、放射線に起因する病気にかかって補償を申請した計1500人の約7割を占める。実験後に生まれた若年層にも被害が広がっているという。
被害補償を盛り込んだ自由連合協定を締結した82年、米国は、被ばくの範囲をロンゲラップなど実験場周辺の環礁に限定していた。裁判所は米の公文書などから91年、マーシャル諸島全体を申請の対象に拡大した。米国は95年になって大統領諮問委員会の報告書で全島への被害を公式に認めたが、基金1億5000万ドルは増額されなかった。基金による「医療ケア」は4つの環礁だけが対象だ。
マーシャルに住む米国人で裁判所の広報担当ビル・グラハムさん(51)は、「米国がケアの対象にしていない島で93年から東北大の医療チームの協力で健康調査を実施したところ、甲状せんの異常が相次いで見つかった。これも申請急増の理由だ」と話す。「米と不公平」
申請の増加に伴い、支払額も増えた。97年までの支払総額は6300万ドルを超え、協定が発効した86年から2001年までの15年間に見込まれていた運用益約4500万ドルを大きく上回っている。
この結果、病名ごとに定めた規定額の半分以上を申請時に受け取っていたのが、96年からは25%に減額された。97年以降、規定額の数パーセントしか支給できない。いま発病して2年で亡くなれば、本人の受取額は3割だけだ。
規定額は、米国が実験場の風下にあたるネバダ、ユタ、アリゾナ州の当時の住民らを対象にした「被ばく補償法」に準じて定めている。が、米国市民は申請時に全額を受け取れるのに比べて違いは大きい。同諸島のミュラー外相は「核実験でモルモット扱いされたうえ、米国の被害者よりも受取額が少ないのは不公平だ」と話す。
基金は、マーシャル政府が米民間投資会社などに委託して運用している。87年秋の株価大暴落で大きく目減りしたこともあり、今は1億ドル弱まで落ち込んだ。米国経済が好調を維持しても、十分な運用益を出すのは難しい状況だ。協定に反対も
裁判所は、健康被害の補償のほか、死の灰で汚染され使えなくなった土地の賠償も扱うことになっている。当面、被害の大きいビキニ、エニウェトク、ロンゲラップの3環礁を優先して進めている。被害総額は、少なくとも数億ドル。
「ほとんど算定不可能でだれも分からない」(グラハム氏)のが実態だ。
これらの環礁の人々は協定発効前、米連邦地裁に損害賠償を申し立てていた。ところが、協定は核損害賠償裁判所が「唯一の窓口」と定めているため、独立後に訴えは門前払いされた。
ビキ二環礁の代理人、ジャック・ニーデンタールさん(40)は、「ビキニの人々は、補償が不十分だとして、8割以上が協定を結ぶのに反対していた。追加補償を求める動きは遅すぎる」と政府を批判する。
「核実験に関する過去、現在、将来のあらゆる請求権の完全な解決として制定」した、とうたう協定と、マーシャルが抱える現実との差は余りにも大きい。自由連合協定
米国の信託統治領だったマーシャル諸島共和国が、内政と外交は自国で行う一方、安全保障を米国にゆだねて基地を提供する代わりに、経済援助を得ることを取り決めた。 86年10月の協定発効でマーシャル諸島は事実上独立した。協定のうち経済援助を得る条項は2001年に見直される。核被害補償に関しては、新事実が明らかになった場合、見直しできる規定がある。ミクロネシア連邦、パラオ(ベラウ)共和国も同様の協定を米国と結んでいる。(朝日新聞1998/01/14)
イラクの生物・化学兵器の開発を支援したのは米国であった
イギリスのテレビ局「チャンネルフォー」が2月12日に報じたニュースによると、イラクの生物・化学兵器開発プログラムを1980年代に支援したのは米国であり、また神経ガスの解毒剤を1992年3月にイラクに輸出したのはイギリスであったという。
同テレビ局が見つけた米国の機密文書によると、1985年から1989年の間に、米国からイラクに合計14種類の生物物質が入った貨物が輸出されたという。その中には、炭疽菌が19個、ボツリヌス中毒を引き起こす生物、ボツリヌス菌15個も含まれていた。この輸出は米国務省が支持し、商務省からの許可を得たものであったと番組は報じた。また、イラクはこの他の有害物質も米国から購入し、バグダッドにある原子力エネルギー委員会は、人の遺伝物質や「培養基」用の大腸菌バクテリアも手に入れていたということであった。
また同番組によれば、イラクがクルド人の町、ハラブジャを1988年にガスで攻撃し、5000人の死者を出した後もイラクに向けて生物物質の貨物が少なくとも29個輸出されたという。1980年代の国防総省の元高官ステファン・ブライアンは、危険物の輸出を阻止しようと自分も同僚も努力したが、「彼らは愚かだった。愚かという一語につきた。彼らは自分達が何を行っていたか全く理解していなかったと思う」とチャンネルフォーのインタビューに答えた。ブライエンは、1988年に神経ガスから兵士を保護するために使われるアトロピン150万投与分の注文がイラクから出されたが、これはなんとか阻止することができたという。米国防省の機密文書からチャンネルフォーが引用した内容によれば、イラクは湾岸戦争後の1992年3月に、イギリスから神経ガスの解毒剤であるプラリドクシンを購入したとされる。「この解毒剤の売却は我々が政権をとるずっと以前に行われたと私は理解している。これについて調査は行うが、恐らく医薬品扱いで輸出されたのであろう。医薬品は現在でもイラクへの輸出が認められている」とイギリスの国防相、ジョージ・ロバートソンは同番組で語った。また、米国の機密文書から、イギリスと米国はすでに1990年8月の時点で恐ろしい神経ガス、エージェント15の存在を知っていたことも明らかになったとチャンネルフォーは報じた。
ロバートソンは彼が述べたことは1991年のイラクの兵器庫に関する新しい情報であるとしながら、サダム・フセインは大量のエージェント15を所有していた可能性があるとした。「当時フセインが所有していたものに関して大体のところは知られていたが、具体的な情報は最近になって徐々に明るみに出てきている」とロバートソンはチャンネルフォーに語った。(ロイター通信 1998/02/12)生物兵器に変わる物質 英企業 イラクに輸出 湾岸戦争後に
【ロンドン16日三瓶良一】英国の会社が生物兵器に転用の恐れのある物質をイラクに輸出していたことが明らかになり、英国で大きな問題になっている。英軍は米軍とともに対イラク攻撃の準備に入っているが、問題物質の輸出は「ブーメラン効果」で、自軍の兵士を危険にさらすことになりかねず、ブレア政権は輸出管理の総点検を迫られている。
英紙「デーリー・テレグラフ」が報じたところによると、食品・洗剤関連の世界的な大手、ユニリーバ社の英子会社であるオクソイド社は1991年から94年にかけてイラクに対して医学用として細菌培養物質を3000ポンド(約1360キロ)輸出していた。これは保守党政権時代のことで、いずれも貿易産業省から正規の輸出許可を得ていた。
しかし、同物質は医学用ではあるが、炭そ菌などの製造にも使われることが可能だ。湾岸戦争後に行われた大量の問題物質の輸出だけに、イラクの生物兵器開発に一部役だったのではないかとの疑いも出ている。
これに対してユニリーバ社は「輸出は英当局の許可の下に行われた。我々の知る限り、イラクは医学目的のために使用している」と語った。
一方、ボスニア内戦時に国連軍の司令官などを務め英国で著名なマイケル・ローズ退役将軍は、政府の輸出管理のずさんさを批判するとともに、自国が輸出した兵器で自軍兵士が苦しめられる「ブーメラン効果」が過去のボスニア内戦や湾岸戦争でもあったことを指摘。事態を重視したブレア労働党政権は、過去の輸出許可が適当だったかどうかの調査に乗り出した。
下院国防委員会のジョージ委員長(労働党)は「我が軍の兵士に重大な損傷を与えかねない物質の輸出を許可するとは奇怪なことだ」と述べ、前政権のやり方を批判した。(毎日新聞 1998/02/17)劣化ウラン弾 米兵被害は40万人 従軍者支援3団体報告書
【ワシントン2日伊藤芳明】湾岸戦争(1991年)の従軍米兵支援3団体は2日、劣化ウラン弾に汚染された米兵の被害を「40万人にも達する」との報告書を公表するとともに、イラク危機でペルシャ湾に展開中の米軍に、直ちに劣化ウラン弾処理訓練を実施するよう要請した。米国防総省は今年1月に初めて、汚染可能性を「数千人規模」と公式に認めているが、報告書は被害の一層の拡大を推定。米メディアも汚染被害を報じ始め、湾岸戦争症候群と劣化ウラン弾との関連を調査する独立機関設置などの動きが加速しそうだ。
従軍米兵の支援組織「湾岸戦争財源センター」(本部・ワシントン)など3団体がまとめた235ページの報告書によると、米軍機などは湾岸戦争中、計285トンの劣化ウランを含有する劣化ウラン弾を発射。戦闘中や、停戦後の処理のために現地に入り、破壊されたイラク軍戦車の中に入ったり、破片を記念に持ち帰るなどした米兵の比率は、3団体の聞き取り調査で65〜82%にも達し、従軍米兵全体で汚染可能性のある人数は、40万人に達するという。
報告書はそのうえで、(1)現在ペルシャ湾に展開中の米軍に、直ちに劣化ウラン弾の安全処理措置の訓練を実施(2)米議会の独立した調査機関による元兵士の健康被害調査の実施(3)汚染可能性のある元兵士や家族への医療措置の提供――など米政府に早期の対策を求め、代表が議会などへの説明を開始した。
湾岸戦争に従軍した兵士らに原因不明の記憶喪失や出産異常が発生している「湾岸戦争症候群」については、米大統領の諮問機関、米国防総省、米議会などが個別に調査を進め、(1)イラク軍の化学・生物兵器による汚染(2)劣化ウラン弾による汚染(3)戦時の精神的緊張――などの可能性が浮上。国防総省は劣化ウラン弾の被害について、汚染が判明していた33人以外は否定してきたが、今年1月の年次報告書で数千人規模の汚染の可能性を認めている。
これまで劣化ウラン弾の影響に焦点を当ててこなかった米国の大手メディアも、CNNテレビやAP通信がこの日、報告書の内容を報じ始めており、劣化ウラン弾と湾岸戦争症候群との因果関係解明に拍車がかかりそうだ。(毎日新聞 1998/03/03)
イスラエル機墜落 住民に次々異常 積載劣化ウラン汚染疑惑調査へ
オランダ政府、専門家に要請
【ブリュッセル3日=永田和男】オランダ政府は2日、1992年、アムステルダム郊外にイスラエル「エル・アル」航空の貨物機が墜落し、40人以上が犠牲になった事故で、積載されていた劣化ウランによる現場周辺の汚染の可能性と、事故後相次いでいる住民の健康異常との因果関係の調査を専門家に要請した。
エルス・ボルスト保健相が議会の緊急質疑で明らかにしたもの。オランダでは先月末、民間活動団体が「住民の排せつ物から高い濃度のウラニウムが検出された」との独自の調査結果を発表。放射能汚染への懸念と、政府に真相究明を求める声が急速に高まっていた。
政府はこれまで、事故と健康異常の因果関係を否定し、住民の補償請求も却下してきた。
事故は92年10月、アムステルダム南郊ベイルメアール地区の高層アパート群に、スキポール空港を離陸した直後のエル・アル機が突っ込み、少なくとも43人の死者を出した。
事故の後、周辺の住民や、現場にかけつけた消防士、警官、また事故機の残がいが運ばれたKLM航空倉庫の職員からも、じん不全や皮膚病、筋肉痛、視力低下などの訴えが相次いだ。原因として、重量バランスを取るため機体後部に積まれていた、約400キロの劣化ウランが溶解、流出していた可能性が取りざたされた。劣化ウランは、半分の約200キロしか回収されていない。
事故機はニューヨークからアムステルダム経由でテルアビブに向かっていたが、ミサイルなど大量の武器弾薬が搭載されており、これが墜落時の爆発規模を大きくし、劣化ウランが流出したという説もある。
発着国である米国、イスラエル両国とも、税関当局は事故機の貨物送り状を一切公開せず、ブラックボックスも回収されなかった。「事故直後に宇宙服のようなものを着た、英語を話す人々が、何かを回収していた」とのカメラマンの目撃談もある。
現場近くに住むタルシク・スキッパーさん(54)は「米、イスラエルとも何か隠している、という疑いが膨らむばかりだ」と憤る。
軍関係者の間では、「米国からイスラエルへの武器運搬の中継点であるスキポールは、イスラエルの軍事的生命線」とも呼ばれていた。また「貨物送り状改ざんは日常的に行われていた」とのエル・アル航空元職員の証言も、疑惑を増幅させた。
政府が腰をあげたのは、こうした事情によるが、調査要請を受けたアムステルダム大学病院は2日、「事故機が何を積んでいたのかなど、基本的な情報が不足しており、調査は難しい」とし、要請受け入れを留保している。
米、イスラエルの協力なしに、オランダ側がどこまで真相に迫れるか、見通しは明るくない。(読売新聞 1998/04/05)精神障害者や児童4500人にロボトミー手術
スウェーデンで44年から19年間
【ロンドン5日共同】ストックホルムからの5日の報道によると、スウェーデンの国営テレビは6日、1944年から63年にかけて、同国で精神障害者や発育不全の児童ら約4500人が、脳の前頭葉を切断する「ロボトミー手術」を受けていたと暴露する番組を放映する。
内容を伝えたTT通信によると、7歳の男児が手術されたり、肉親の許可なしに病院側が独断で手術した例もある。
同国では昨年8月、精神障害者ら約6万人が、35年から67年にかけて強制的に不妊手術を受けさせられていた事実が発覚した。ロボトミー手術の問題は、福祉国家スウェーデンの暗部を再び暴くことになりそうだ。
ロボトミー手術は、精神障害の緩和が目的で行われたが、術後の患者の体の機能は維持されるものの、感情がほとんど失われるなどの問題が起きたという。
番組では、63年に夫が手術を受けた女性が登場。「(病院は)夫から感情や性欲をすべて奪い、私や子供から夫を奪った。どうしてこんなことが起きるのか」と話している。(中日新聞 1998/04/07)イスラエルのペレス前首相 核保有を初めて明言
【カイロ14日田原拓治】14日付のヨルダン紙アルアラビアルヨームなどによると、イスラエルのペレス前首相は13日、アンマンのヨルダン大学での講演で「イスラエルにとって、核兵器保有はアラブとイスラム世界の隣人から国を防衛する唯一の戦略的選択だった。これがなければ(エジプトとの)キャンプデービッド合意や(パレスチナとの)オスロ合意、ヨルダンとの和平もなかった」と述べ、同国が過去に核保有していたことを公に認めた。
前首相はイスラエルが現在も核保有しているかについては明言しなかったが、いまも核兵器を保持し続けている可能性が強い。これまでイスラエルの歴代指導者は、核保有をあいまいにし周辺国を疑心暗鬼にすることが安全保障上、好ましいと、核についての明言を避けてきた。
米、英研究機関などの情報では、イスラエルは現在、100発以上の核弾頭を所有しているとみられている。包括的核実験禁止条約(CTBT)には署名しているが、未批准で、核拡散防止条約(NPT)には加盟していない。(中日新聞 1998/07/15)「レーザー核融合は兵器研究」 米シンクタンク 阪大などに中止要求
【ワシントン15日共同】米国や欧州、ロシアの各国が研究を推進し、日本では大阪大などが進めているレーザー核融合研究について、米民間シンクタンクのエネルギー環境研究所15日、核融合が実現した場合、あらゆる核爆発を禁止した包括的核実験禁止条約(CTBT)に違反するとして各国の研究中止を求める報告書を発表した。
報告書は、レーザー核融合は起爆用の原爆を必要としない「純核融合爆弾」の研究につながると指摘している。
レーザー核融合は、小さな容器に閉じ込めた水素に四方八方からレーザーを浴びせて高温高圧状態を作り、水素原子を融合する技術。
まだこの方法での核融合は実現していないが2002年の完成を目指し、米国立ローレンスリバモア研究所で建設中の巨大レーザー施設NIFは出力が従来よりけた違いに大きく、核融合の点火が可能とされる。
報告書は「レーザー核融合は爆発的にエネルギー放出するためCTBT違反」と指摘。実現可能性が実証された後では兵器への技術転用を押しとどめるのは困難として、NIFとフランスが計画中の同規模の施設「メガジュール」の中止を訴えた。
将来の発電など平和利用を目的としている大阪大の研究についても、エネルギー環境研究所は実験装置の出力を拡大する構想は放棄すべきだとしている。平和目的に限定
三間圀興・大阪大レーザー核融合研究センター長の話 米国がNIFを核兵器の維持管理にも使おうとしているのは事実だが、レーザー核融合で原爆のいらない核兵器ができるというのは根拠のない非科学的な主張だ。われわれの研究は平和目的に徹しており、目的の異なる軍事目的に簡単に応用できるものではない。(中日新聞 1998/07/16)核戦略用に設置? 米の研究所、治療はせず
原爆被害を科学的にきちんと明らかにすることは、被爆者の心理的な不安を解消し、核兵器の廃絶を国際社会に認めさせる上でも不可欠だ。けれども人体への影響の研究は、被爆者のためというより、被爆者を利用する動機で始まったといってもよい。(核取材班=添田孝史)■NYに落ちたら
米国は47年、原爆傷害調査委員会(ABCC)を設立。広島、長崎に研究所をつくり、原爆が人体に与えた影響を調べ始めた。75年からは、米国エネルギー省と日本の厚生省が費用を折半する財団法人の放影研が調査を引き継いでいる。
87年から全米に散らばるABCC関連の文書を探し集め、ABCCの元所員らにインタビューして被爆者研究の歴史を調べているペンシルベニア大のスーザン・リンディー教授に尋ねた。――ABCCの研究は軍事目的だったのですか。
「研究は、核兵器が人類にとってどんな意味を持つかを決めるためのもので、冷戦戦略の一部だった。米国の将来の核戦争に備えるためだったことは疑いの余地がない。ニューヨークに原爆が落とされたら社会的にどうなるか、人問がどうなるか、というモデルでもあった」――ABCCは調査だけで治療はしないといわれてきました。なぜでしょう。
「治療すれば、原爆投下の謝罪につながると考えていたようだ」ABCCは、多い時は1000人を超える職員を抱えていた。16万の被爆者を選び、どこでどんな状況で被爆したかを数年かけて1人ひとりにインタビューし、亡くなった7500人を解剖した。
現在も母集団の12万人について、亡くなるたびにその死因を追跡し、2万人を2年に1度健康診断する。8万人の被爆2世、そして2800人の胎内被爆者の調査も継続中だ。放射線以外でも、疫学調査としてこれを超える規模のものは世界に存在しない、といわれる。
被爆者をモルモット扱いしたと言われるABCCの姿勢は、放影研にも引き継がれてはいないだろうか。
占領史研究者、笹本征男さん(54)は、今年末に発行される「通史日本の科学技術〈国際期〉I・II」(学陽書房)の中で、ABCCの研究を引き継ぐ放影研の設立目的にも不明確さが残る、と指摘している。
財団法人の目的には「被爆者の健康保持及び福祉に貢献する」ことをうたっている。一方、両国政府が74年に交わした公式の外交文書では、目的は「放射線が人に及ぼす影響の調査研究活動」とされ、「被爆者のため」という文言はどこにもないのだ。
ABCC、放影研の研究成果は結果として人類の貴重な財産となり、被爆者にも役立ってきたことは間違いない。一方で、米国側のエネルギー省は核兵器開発を担当する部局である。研究成果が核開発に応用されてきたのではないだろうか。■年20億円の投入
6月末に訪れたワシントン郊外のエネルギー省で、「シーダ」という名前のデータベースを見た。
ハンフォード、ロスアラモス、オークリッジといった核兵器製造現場で働いた人たちの健康状況を1人ひとり追跡するデータベースだ。その中に「JALSSA01」というファイルがあった。
ABCC、放影研が集めた被爆者7万5991人の被ばく線量、性別、死因などの関連がオンラインで分析できる。利用するにはエネルギー省の許可が必要だという。
被爆者のデータは、実は原爆をつくり、落とした国の、核兵器をつくる省に管理されていた。
同省のセリグマン次官補代代理は「放射線の人体への影響を知るには、日本の被爆者の研究が最も基本となる」と話す。被爆者のデータは、核兵器、原子力関係の労働者から得られたデータと違い、一挙に放射線を浴びせられた子供から老人までの男女多数が、長期にわたって追跡されているからだ。
米国が今も年間約20億円を広島・長崎の研究に投じ、威力の見直しなども進めているのは、データの重要性が極めて大きいからと思えば納得できる。原子力発電、X線などの医療分野、そして核兵器工場でも、放射線をどれだけ浴びると有害かという基準づくりに、被爆者を追跡したデータは必要不可欠となっている。
データベースの中では、被爆者1人ひとりは数字でしか表れていない。数字の裏には、家族や友人、生活基盤を根こそぎ奪われ、病気の影におびえ続けた被爆者の実際の人生がある。そのデータの重みを、私たちはどれだけわかっていたのだろう。軍事、産業目的の被爆者調査の恩恵を受けながら、データの持つ意味に無関心に過ごしてはこなかっただろうか。
核兵器の廃絶を目指すために、「被爆者」という言葉を世界共通語にしようというアピールを採択したのは、内外の非政府組織(NGO)が77年に広島で主催した「被爆者の実情に関するシンポジウム」だった。以後、英語の辞書も「HIBAKUSHA」と表記するようになった。
被爆者の思い、被爆国の願いを広く、深く理解してもらうには何をしていくべきなのか。広島・長崎の原点から、もう一度考えてみたい。(朝日新聞 1998/07/29)沖縄で核戦争も辞さず 1950年代に計画 米軍、有事防衛で 秘密文書判明
沖縄が米国の施政権下にあった1950年代後半、現地駐留の米軍が、旧ソ連など敵の侵攻を受けた際に備え、核兵器の使用を含む沖縄本島の防衛作戦計画を立てていたことが1日、米海兵隊の秘密指定文書で明らかになった。作戦計画には、米軍が損害を受け反撃能力を失ってしまったような最悪の場合などに、敵の進撃や占拠、利用を阻むため、自ら核攻撃を加える島内の主要な軍事拠点や使用核弾頭の種類を事前に定めたリストも添えられている。住民を巻き込み大きな犠牲を出した激戦地を今度は、「核の戦場」ともしかねなかった計画は、冷戦時のアジア太平洋における米軍事戦略の一端を示す新たな史料。
この文書は、沖縄のキャンプ・コートニーに今も司令部を置く米第3海兵師団が57年10月14日付で作成した「作戦計画4−57(琉球諸島の地上防衛戦)」の一部。米原子力法の制限に基づき公開されていないが、沖縄をめぐる日米外交史を調べていた米国の研究者がワシシトンの海兵隊歴史センターで見つけた。
同計画によると、琉球諸島の有事の際、在琉球米陸軍・陸軍第9軍団は沖縄本島の防衛を最優先に地上戦闘を遂行し「核兵器が発射可能な8インチ(203ミリ)りゅう弾砲、もしくはオネストジョン・ミサイルの部隊の展開準備を行う」などとしている。
その上で、第3海兵師団を陸上の反撃部隊の主力と位置付け「嘉手納飛行場、関連核兵器貯蔵施設など最重要防衛地点」が集中する島中部の石川地区から南を「いかなる犠牲を払っても守る」よう努め、必要なら核兵器を用いると明記している。(中日新聞 1998/08/02)「ウワサの真相…」映画とそっくり 米、テロ報復攻撃
米の報復攻撃はまるで映画のストーリーだった。米政府は、ケニアとタンザニアで7日に起きた米大使館同時爆破事件が、サウジアラビア出身の富豪ウサマ・ビン・ラディン氏が率いるテロリスト・グループの犯行と断定。20日午後(日本時間21日深夜)、アフガニスタンとスーダン国内の同グループの訓練施設など計7カ所に巡航ミサイルで報復攻撃を実施した。この空爆が米大統領の女性スキャンダルを戦争で覆い隠す物語の米映画に酷似していることが分かった。(共同、時事)大統領のスキャンダル 戦争で覆い隠す物語
米CNNテレビなどによると、米政府は米東部時間20日午後1時半(日本時間21日午前2時半)、紅海とアラビア海に展開中の潜水艦を含む海軍艦船7隻から、計75-100発の巡航ミサイルを発射した。米軍戦闘機の投入はなかった。巡航ミサイルの攻撃としては、イラクに300発近くを撃ち込んだ1991年の湾岸戦争に次ぐ規模。
この空爆はクリントン大統領がホワイトハウス元実習生(25)との性的関係を認めた直後で、大統領の女性スキャンダルを戦争で覆い隠す物語の米映画「ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ」(5月東宝系で公開)にあまりにも酷似しており、「事実がコメディを後追いしている」ことが明らかにされた。
「ウワサの真相」は「レインマン」などで知られるバリー・レビンソン監督の近作。大統領がホワイトハウスで若い女性と性行為に及んだことが暴露され、政治コンサルタント(ロバート・デ・ニーロ)と映画プロデューサー(ダスティン・ホフマン)がマスメディアの目をそらすためアルバニアとの戦争を計画する─というストーリーだ。
米公開直後の今年1月に、現実の大統領の不倫もみ消し疑惑が浮上、性的スキャンダルが映画に似ていると注目を集めていた。洪水のような疑惑報道が続く中で米政府が報復空爆し、現実が映画のストーリーとますます酷似する展開になった。
20日の米国防総省の緊急会見で、この点を質問されたコーエン国防長官は「作戦を遂行した唯一の動機は米国民をテロから守ることで、ほかのことは考慮していない」と答えた。映画の配給会社は、今回の攻撃についてコメントを拒否している。
ただ大統領にとっては、不倫もみ消し疑惑で揺さぶられ続ける中での武力行使決断は間違いなく、アラブ諸国などからは疑惑をそらすための攻撃との指摘が出ている。米政府は「米国民を守ることが唯一の攻撃理由」(コーエン長官)と反論。「不倫隠しでない」ことを強調している。
この攻撃終了後、クリントン大統領は「テロリストに聖域などない。われわれは米国の権益を守り、必ず勝利する」と国民向けにテレビ演説。ラディン氏らと全面対決する決意を表明して、リビアなどのテロ支援国家にだけでなく、個人レベルも含めたテロリスト・組織に対しても武力で対決する姿勢を鮮明にした。
大統領は同氏らのグループが(1)過去にも対米テロを仕掛けた(2)新たなテロを計画していた─などと、報復の正当性を強調。コーエン国防長官は、二次攻撃を実施する可能性があると警告した。死傷者約70人に
【カイロ21日共同】米大使館同時爆破事件への報復として米国が強行したミサイル攻撃で、現地から21日伝えられたところによると、アフガニスタンのイスラム過激派拠点で少なくとも21人が死亡、約30人が負傷した。スーダンの製薬工場でも従業員ら10人が重軽傷を負った。
またパキスタン外務省は同日、米巡航ミサイル1発が自国領内のアフガニスタン国境付近を誤爆、パキスタン人6人が死亡したと発表。パキスタン当局は、米大使館を通じて強く米側に抗議した。
首都ハルツームの日本大使館はスーダンへの攻撃で3人が死亡したとの情報があると明らかにしているほか、破壊された製薬工場施設内で技術者ら多数が行方不明になっているとの未確認情報もあり、今後死傷者はさらに増える見通しだ。アフガニスタンの首都カブールなどでは住民数百人が街頭で米国非難を繰り返した。ラディン氏が事件関与否定
【イスラマバード21日ロイター】今年7日に起きたケニアとタンザニアの米大使館同時爆破事件で、米国が首謀者と断定したサウジアラビア出身の富豪ウサマ・ビン・ラディン氏は21日付のパキスタン英字紙ニューズに対し、側近を通じて同時爆破事件への関与を否定した。
ラディン氏は20日、米国の報復攻撃実施前に同紙の衛星電話によるインタビューに、エジプトのイスラム過激派組織ジハード(聖戦)の指導者ザワヒリ氏を通じて回答した。
ザワヒリ氏は「ラディン氏はイスラム社会に、ユダヤ人と米国人から自分たちの聖なる場所を解放するための聖戦を呼び掛けた。しかし、彼はナイロビとダルエスサラームでの爆破事件に関しては、いかなる関与も否定している」と言明した。ニューズ紙はこのインタビュー当時、ラディン氏がアフガニスタン内にどの場所にいたのかは明らかでないと伝えている。ルインスキさん2回目の証言 ドレスから精液を検出
【ニューヨーク20日共同】米紙ニューヨーク・タイムズによると、元ホワイトハウス実習生モニカ・ルインスキさん(25)は20日、米連邦大陪審での2回目の証言で、クリントン米大統領がホワイトハウスでの密会の際「胸を愛撫し、局部にも触れた」と、1回目の証言より詳細に性的関係について述べた。
検察側は、この日の証言内容は大統領がポーラ・ジョーンズさんのセクハラ訴訟で今年1月にルインスキさんとの関係を否定した際の「性的関係」の定義にあてはまると主張する見通しで、大統領の偽証が成立するかどうかをめぐり検察、弁護側双方の論争が続いている。
また、同紙によると、ルインスキさんが提出したドレスから精液が検出された。検察側はDNA鑑定のため、既に提出された大統領のサンプルと照合する。(中日スポーツ 1998/08/22)
|
ref. WAG THE DOG(Official Site)参照:クリントン大統領のスキャンダル 参照:映画「ウワサの真相 Wag the Dog」と情報操作 三菱電・米ロッキード提携 防衛分野で共同研究 レーダーなど電子機器
三菱電機と米防衛最大手のロッキード・マーチンは24日、防衛分野で広範に提携することで基本合意した。次世代のミサイル、レーダーなどの防衛装備品の主要部分を業界で初めて共同開発するほか、防衛庁への受注活動でも共同歩調をとる。米社の最先端技術を導入し研究開発を効率化したい三菱電機と、日本市場でのシェア拡大や日本の高度な電子技術の取り込みを狙うロッキードの利害が一致した。両社の提携は縮小する日本の防衛市場で日米企業が生き残りを目指したもので、世界で進む防衛産業再編の波が日本にも及んできた。
両社が提携するのは、航空機や艦艇に搭載するレーダーや武器管制装置、電子戦システム、ミサイル用の各種電子機器など防衛エレクトロニクス分野。合意内容は(1)両社の持つ防衛技術や市場情報を交換する(2)防衛庁向けに新製品・技術を共同で提案活動する(3)ロッキードは電子機器の日本でのライセンス先として三菱電機との提携を深める――などが骨子。
具体的な提携内容を詰め、近く合意文書を交わす。ミサイルの心臓部となる誘導制御装置などを第1弾の開発候補として検討していると見られる。
日本の98年度防衛予算のうち戦闘機や艦船などの正面装備費は、ピークだった90年度の約3割減となる7980億円まで減少する見込み。国内防衛産業は大幅な受注減に見舞われ、対策を迫られていた。
ロッキードの97年の売上高は280億ドル。日本へは対戦哨戒機P3Cやイージス艦などを納め、納入額は海外勢では長年トップだった。しかし、市場が縮小してきたため、三菱電機との提携により、日本国内の研究開発プログラムに参画して需要を開拓する。
一方、三菱電機は97年度防衛庁向け売上高が約300億円で国内3位だが、すべて防衛エレクトロニクス分野が占め、同分野ではNEC、東芝を引き離してトップ。戦闘機用レーダーやミサイル制御装置などは電子化が技術のかなめとなっており、同分野での技術力を強化するため、電子化で定評のあるロッキードと手を組むことにした。(日本経済新聞 1998/08/25)
墜落イスラエル機、サリン製造物質搭載か
【ブリュッセル1日=三井美奈】1992年にオランダ・アムステルダム郊外でイスラエル「エル・アル」航空の貨物機が墜落し、40人以上が死亡した事故で、同機に有毒ガスのサリン製造物質が搭載されていたことが、地元紙(30日付)の報道で明らかになった。この物質のあて先がイスラエル国防省関連研究所となっていたことから、イスラエルが生物化学兵器製造に関与していたのではないかとの疑いも取りざたされている。
92年10月、アムステルダム南郊の高層アパート群に、ニューヨーク発アムステルダム経由テルアビブ行きのエル・アル機が突っ込んだ。事故発生後、周辺住民や現場にかけつけた警官や消防士から、じん不全や視力低下などの訴えが相次いだ。(読売新聞 1998/10/02)イスラエルが『民族兵器』を開発か
イスラエルは、アラブ民族には有害だがユダヤ民族には影響しない生物兵器を開発中だと、ロンドンの『サンデー・タイムズ』紙が報じた。
イスラエル軍と西側情報機関を情報源に挙げるこの記事によると、科学者たちは、アラブ人特有の遺伝子を突き止め、それに合わせて遺伝子操作を行なった細菌またはウィルスを作り出すという課題に取り組んでいるという。
先日、イラクがあとわずか数週間で生物兵器を完成できそうだと伝えられたが、この『民族爆弾』は、その脅威に対するイスラエル側の反応だと報じられている。
『民族爆弾』計画は、イスラエルの『ネス・ジヨナ(Nes Tziyona)』研究所を中心に進められている。ここで科学者たちが取り組んでいる課題は、ウィルスや細菌を使って生体細胞内のDNAを変化させ、アラブ的な遺伝子を持っている細胞だけを攻撃するというもの。
アラブ民族もユダヤ民族もともにセム系であるため、この課題は非常に複雑なものだ。しかし記事によるとイスラエル人は、あるアラブ民族、「特にイラク人に」特有の特徴を分離することに成功しているという。
イスラエルの国会議員、デディ・ズッカー氏は『サンデー・タイムズ』紙上でこの研究を非難した。「われわれの歴史、伝統、経験に基づく倫理から見て、このような兵器は極悪非道なものであり、認められるべきではない」
先月、世界の軍事情報を提供しているジェーン・グループの『フォーリン・レポート』は、イスラエルは『民族弾』を開発中と思われるが、これはアパルトヘイト時代の轍を踏む恥ずべき研究であると論じた。(WIRED NEWS 1998/11/16)ref. Israel is Developing 'Ethnic Bomb' for Growing Biological Weapons Arsenal
(Genesis Herbarium 1998/11/15)
原発で水爆材料生産 軍民分離違反と批判も 米国
【ワシントン22日=辻篤子】米エネルギー省は22日、核兵器に使うトリチウム(三重水素)をテネシー州の原子力発電所で生産することを決めたと発表した。核兵器内にあるトリチウムは自然崩壊して減っていくため補充しなくてはならず、早ければ2005年までに補充分を確保する必要があるという。米国は他国に対し、核不拡散の立場から、原発や再処理工場の軍事利用の禁止を求めている。国内でそれと矛盾する政策をとることに、反核グループなどの市民団体は反発を強めでいる。
トリチウムは水素の放射性同位体で、軍事用としては水爆の材料に使われている。崩壊で量が半分になる半減期は約12年。毎年約5%ずつ減っていく計算になり、補充しないと核兵器の性能が落ちてしまう。
生産に使われるのは、テネシー渓谷開発公社(TVA)が所有するワッツバー原発とセコヤー原発。いずれも加圧水型で120万キロワット級。原子炉の中で発生する中性子をリチウムに当ててトリチウムを作る。
米国は冷戦の終結で1988年以来軍事用トリチウムの生産を停止、国内の生産施設も閉鎖した。エネルギー省は核兵器保管計画の一環として、トリチウム生産用に新たに加速器を建設するなどの計画も検討してきたが、原発を使う方が安くつくとの結論に達した。政府所有の原発でもあり、保有する核兵器を維持するという安全保障上の目的なら問題はないと考えた。
米下院議会は今年初め、核不拡散上の理由から、民生用原子炉での軍事用トリチウムの生産を禁止する法案を承認したが、上院と両院協議会で否認された。下院の法案支持者らは現在も、原子力利用の軍民の分離原則に反すると批判を続けている。(朝日新聞 1998/12/24)
![]()
![]()
| BACK | HOME | NEXT |