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アメリカとイスラエルのための狂騒組曲
「新世界秩序」[第13楽章:2001年5月-6月]
TMDの開発優先を示唆 中国を刺激するのは必至
【ワシントン2日共同】ブッシュ米大統領は1日の演説で終始「ミサイル防衛」という表現を繰り返し、米本土ミサイル防衛(NMD)と戦域ミサイル防衛(TMD)との区別を避けた。さらに迎撃ミサイルの海上発射や発射直後のミサイルを迎撃するというTMDの特性にも言及した。
これは現在、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の迎撃よりも、射程の短いミサイルを撃ち落とす技術開発の方が先行しているという事実を反映しており、米国がとりあえずはTMDシステムの開発を優先させる姿勢を示したとみられる。
TMDは、アジアでは中国や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が発射した中距離ミサイルを、日本の基地や海上から迎撃ミサイルで撃ち落とすことを想定。欧州では、欧州に設置する基地から迎撃ミサイルを発射、ロシアのミサイルを撃墜することを意図して研究が行われている。
ロシアはTMDには比較的寛容な姿勢を示しているが、中国はNMDより、台湾にも配備される可能性があるTMDに対して警戒感を抱いており、ブッシュ大統領の演説は欧州よりアジア地域で波紋を広げることになりそうだ。(共同通信 2001/05/02)17歳の少年が死亡 ガザ自治区にイスラエル軍
2日未明、パレスチナ自治区ガザ南部のラファにイスラエル軍の戦車とブルドーザーが入り、15棟のビルを破壊した。銃撃戦があり、17歳のパレスチナ人少年が死亡した。さらに14人以上がけがをした。
イスラエル軍は予防的なピンポイント攻撃だとしている。(CNN 2001/05/03)国連人権委:改選投票で米国が落選 1947年の創設以来
【ニューヨーク3日上村幸治】国連経済社会理事会は3日、53カ国で構成する国連人権委員会のうち今年末に3年の任期が切れる14カ国について改選投票を行い、1947年に同委員会が創設されて以来初めて、米国が落選した。高圧的な人権外交に途上国が反発しただけでなく、京都議定書不支持表明といった一連の強引な姿勢に、先進国まで拒否反応を示した模様だ。
今回改選で米国は「西欧その他」(定数3)枠で再選を目指したが、フランス52票、オーストリア41票、スウェーデン32票に対し、29票で最下位に終わった。
ブッシュ政権発足後、国連大使が正式就任しておらず選挙運動が不十分だったのは事実だが、最近の一連の政策が広範な批判を招いたとの見方が有力だ。米国はクリントン前政権も、対人地雷全面禁止条約などに反対する一方で、中国やキューバの人権侵害を声高に非難した。
今回の落選で少なくとも来年1年間は委員会で投票できなくなる。メンバー国に働きかけて決議案を共同提出したり、委員会外でロビー活動を行うことはできる。来年5月の改選で当選すれば、翌年、メンバーに復帰できる。
米国のカニンガム国連代理大使は「失望した。人権問題をめぐる国連内外での米国の関与に影響を与えるだろう」と述べた。
今回当選したメンバー国の中には、人権状況の悪化で批判を受けているスーダン、ウガンダ、シエラレオネ、トーゴの4カ国も含まれている。(毎日新聞 2001/05/04)日本では情報筒抜け=与野党訪米団に不満表明−米国家安全
【ワシントン5日時事】米国家安全保障会議(NSC)のパターソン・アジア担当上級部長が3日に与野党の訪米議員団と会った際、日米の戦略対話に関連して「日本側の機密保持の甘さ」に不満を示す場面があった。議員団の前原誠司衆院議員(民主党)が4日の記者会見で明らかにした。
それによると、前原氏はパターソン氏との会談で、「米国には台湾防衛義務がある」とした先のブッシュ大統領の発言に中国が強く反発したことについて「米国が勝手に中国と厳しい関係になり、中台紛争が起きれば、日本が中国から攻撃される事態となる」と述べ、「日米間の十分な戦略対話が重要」と主張。
これに対し、パターソン氏は「日米で戦略対話をしても、(現状では)その内容が日本側で筒抜けになってしまう。日本が機密保持をしっかりしてくれないと議論できない」と応じた。(時事通信 2001/05/05)ブッシュ大統領、ミサイル防衛への強い意志を表明
ワシントン(CNN)ブッシュ米大統領は1日、メリーランド州の国防大学で演説し、1972年に締結された弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を「過去の遺物」と定義、それに代わるミサイル防衛システム構築への米国の意志を明確にした。
しかし、この日の発言は米国のABM条約からの一方的離脱の意向を意味するものではなく、欧州やアジアの同盟国などに対し、米国の推進するミサイル防衛計画への協力を改めて訴えたものと解釈される。
ブッシュ大統領は「今日の世界の脅威に対抗するには、ミサイル防衛の構築を可能にする新しい枠組みが必要だ」と述べ、ミサイル防衛構想の制約になっているABM条約はロシアなど当事国と協議の上で「新しい枠組み」に置き換えるのが好ましいとの考えを示唆した。
大統領は米国とソ連が軍拡競争をしていた冷戦時代に締結されたABM条約は現在の世界を取り巻く状況にそぐわないと主張、イラクや北朝鮮などからの核兵器攻撃に備えるためには、ミサイル防衛システムが必要であると述べた。
さらにブッシュ大統領は、冷戦後の現実を反映させ、米国が近く一方的核軍縮を行う考えを示唆した。(CNN 2001/05/05)日本が米安保戦略の中心に 在日米軍司令官が言明
【ワシントン9日共同】ヘスター在日米軍司令官は9日までにロイター通信と行ったインタビューで、米国が安全保障政策の重点を欧州からアジア・太平洋地域に移す結果、地理的に日本が米国の安保戦略の中心になるとの見解を表明した。
この発言は日米同盟重視を公言しているブッシュ米政権の意向を反映したもので、安全保障の分野で米国が今後、日本に対し一層の責任分担を求めることは確実とみられる。
司令官は、米安保戦略見直しの結果「日本がアジア・太平洋地域の安保機構の中心になる。日本は(アジア安保戦略上)地理的に理想的な位置にある」と述べた。
ラムズフェルド米国防長官は、ペルシャ湾と朝鮮半島での2つの大規模紛争に同時対処する「2正面戦略」を事実上放棄、今後は中国の急速な軍事力の近代化をにらみ、安保政策の重点をアジア・太平洋地域に置くべきだとの報告を今週中にブッシュ大統領に進言する方針を決めている。フライシャー大統領報道官らによると、大統領はこの進言に沿ったかたちで米政府の新安保政策を近く正式表明する予定。
ヘスター司令官はまた、米原潜と愛媛県の実習船の衝突事故で日本国民の反基地感情が高まったという事実は「確かにある」と指摘。さらに沖縄県などでの米軍基地撤退要求について「地域を代表する地元政治家がそう主張するのは当然だ」としながらも「(米軍駐留の是非は)日本政府と米国政府の間の問題だ。われわれは日本のよき隣人でありたい」と述べ、米軍駐留は必要と主張した。(共同通信 2001/05/09)イスラエル軍の砲撃で乳児死亡 シャロン首相が遺憾
エルサレム(CNN)パレスチナ自治区ガザの難民キャンプで7日、イスラエル軍からの砲撃によって生後4カ月の乳児が死亡した。イスラエルのシャロン首相は8日の記者会見で「子どもたちを巻き込むべきではない」と述べ、乳児の死に遺憾の意を示した。
砲撃を受けたのは、ガザ南部のハンユニスにある難民キャンプ。イスラエル軍の戦車から発射された砲弾が民家の屋根を直撃し、4カ月の女児が背中に破片を受けて死亡した。さらに女児の母親(19)ら、家族5人が負傷。パレスチナの赤新月社によると、この砲撃でほかに20人のパレスチナ人がけがをした。
イスラエル軍はこの砲撃について、ガザ南部のユダヤ人入植地に迫撃砲が撃ちこまれたことに対する報復と説明している。(CNN 2001/05/09)憲法改正の必要性示唆 集団的自衛権で米副長官
【ニューヨーク9日共同】9日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、今週訪日したアーミテージ米国務副長官が同紙とのインタビューで、日米関係を一層緊密化させる必要性を訴えるとともに「集団的自衛権についての(日本国内の)合意の欠如がその障害になっている」と述べ、憲法改正の必要性を強く示唆した。
副長官は「日米関係を米英関係と同様に緊密化させたい」との期待を表明。「日本は安保条約の当事者でありながら、集団的自衛行動に参加する能力を欠いている」と指摘して日本側に防衛政策を見直すよう求めた。
副長官はミサイル防衛政策説明のため東京を訪れ、8日同紙記者と会見した。
アーミテージ氏は歴代共和党政権で対日安保政策を担当。同氏も参加して昨年秋まとめた日米安保の戦略的な強化のための提言の中では、日本側に憲法が定める集団的自衛権不行使の原則放棄や国連平和維持軍(PKF)への参加凍結の解除を求めた。(共同通信 2001/05/10)国連分担金支払いを凍結 米下院、人権委落選で報復
【ワシントン10日共同】米下院本会議は10日、来年に支払期限が来る国連未納分担金2億4400万ドル(約300億円)の支出を、国連人権委員会のメンバーとして復帰するまで凍結する予算修正条項を賛成252、反対165で可決した。
米国は先週、国連経済社会理事会で行われた人権委メンバーの改選選挙で落選、「人権の旗手」としての面目を失ったことで、反国連の機運が生まれていた。この日の分担金支出への条件付けは、米国を落選させたことへの議会による“報復”措置と言える。
ただ、未納金支払いに関する米国と国連の合意(1999年)そのものを覆すものではなく、議会の「怒り」を示す象徴的な意味合いが強い。本年度分の5億8200万ドルの支出には影響しない。
修正条項を共同提案したラントス議員(民主党)は「国連の友人たちは、延滞金の支払いを得たいなら米国を人権委に戻さなければならない」と演説した。
ブッシュ政権は来年のメンバー改選で返り咲きを果たすと約束、下院で提案された修正条項には反対していた。
下院はまた、同じ国務省関連予算のうち、米国の国連教育科学文化機関(ユネスコ)復帰のための6700万ドルの支出権限に反対する修正条項を、賛成193、反対225で否決した。この結果、ユネスコ復帰のための予算上の準備はできたが、ブッシュ政権は復帰に反対しており、米国が近い将来に復帰する見通しはない。(共同通信 2001/05/11)核爆発実験:英、兵士の意図的な被ばくを認める
英BBC放送などによると、英国防省報道官は12日、同国が1950年代にオーストラリアの砂漠で実施した核爆発実験に参加した英、オーストラリア、ニュージーランドの兵士18人が、放射線防護服の性能を調べる目的で意図的に被ばくしたことを認めた。英政府はこれまで意図的に被ばくした兵士はいないとしていたが、同報道官は、兵士は事前に被ばくに同意しており、浴びた放射線量は「低レベル」と釈明した。(ロンドン共同)(毎日新聞 2001/05/14)集団的自衛権行使、国会決議で可能・自民検討
自民党は13日、憲法論議の焦点である集団的自衛権の行使について、憲法改正を伴わなくても国会決議によって容認できるよう具体策の検討に入る方針を固めた。党幹部の1人は「憲法改正までの暫定的措置」と位置付けており、新法によって行使の範囲を制限する案なども浮上している。小泉純一郎総裁(首相)の直属機関「国家戦略本部」で近く検討を開始する考えで、野党の対応も絡み、論議を呼びそうだ。
自民党内では集団的自衛権行使を認めるため政府の憲法解釈の変更や憲法改正を求める声が根強いが、連立与党の公明党は反対姿勢を強めており、代替措置の意味合いから国会決議導入が浮上した。首相も国会答弁などで集団的自衛権に関する多角的な議論を歓迎する意向を明確にしている。
自民党の山崎拓幹事長は同日のNHK番組で「改憲には時間がかかる。立法府が国会決議を行って認めるなら一つの考え方だ」と表明。保守党の野田毅幹事長も「基本的に結構だ」と賛意を示し、野党側でも自由党の藤井裕久幹事長が「国会で決議すればそれでいいと思う」と述べた。(日本経済新聞 2001/05/14)ゲノム研究「生物兵器」の危険性増す 英科学誌が警告
細菌のゲノム(遺伝情報全体)研究が進み、凶悪な生物兵器開発の脅威が高まっている、と警告する特集記事を英科学誌ネイチャーが17日付で掲載する。遺伝子操作で病原性が強められたり、特定の民族をねらう細菌が作られたりする懸念があるという。米国ではハイテク生物兵器に対抗する研究も始まっている。
同誌によると、今年1月、オーストラリアの研究者がマウスの病原ウイルスの遺伝子を改変しているうち、非常に悪質なものが出来てしまった。この操作を人間の天然痘ウイルスに応用すれば、さらに危険になると気づいたという。
これまで、コレラ菌や病原性大腸菌O-157など多数の病原菌ゲノムが読み取られている。薬に耐性をもつ菌もこの例外ではない。結果は公開され、インターネットを通してだれでも見ることができる。
民族間の遺伝情報の違いなどヒトゲノム研究の成果と組み合わせ、「特定の民族を標的にする」病原体をつくることも可能になってきたという。
一方で、「現実的ではない」というウイルス学者もいる。実験室で作られた病原体は外部環境で生き残るのは難しいというのだ。
ただ、米国立サンディア研究所は、インターネットで情報を集め、生物兵器による攻撃の兆しを早く見つけるシステムを研究中。米国防高等研究計画局も、新しい病原体を検出できる装置を開発しているという。(朝日新聞 2001/05/17)憲法9条守ってと申し入れ 首相に紛争地の若者ら
旧ユーゴスラビアやイスラエルなど世界の紛争地から来日した20代の男女5人が21日、内閣府を訪れ、小泉純一郎首相あてに「憲法9条は人類にとって重要な財産、守り続けてほしい」とする申し入れ書を提出した。
5人は、それぞれが紛争地でボランティアや非政府組織(NGO)の一員として活動する若者たち。NGOのピースボートによる第33回地球一周クルーズの「地球大学」に国際奨学生として招かれ来日した。
申し入れ書は「軍隊を送ってくれなくても難民救援や医療援助など他にいくらでも支援する方法はある。日本が憲法9条を捨ててまで軍事的な平和維持活動に参加することを望みません」などと書かれ、内閣府では総務課職員に手渡した。
申し入れ後、イスラエル人のケレン・アッサフさん(20)は「応対した職員は全く知識も関心もない人だった。真剣に受け止めてくれず失望した。軍事力優先の紛争解決は成功していないことを伝えたかったのに」と、がっかりした表情で話していた。(共同通信 2001/05/21)生物兵器禁止条約、米は検証議定書の草案を不支持へ
(CNN)生物兵器禁止条約の締約国がひそかに生物兵器を製造していないか調査できるようにする検証議定書の草案について、米政府の検討チームが支持しないよう大統領に勧告したことが20日、明らかになった。『ニューヨーク・タイムズ』紙が伝えた。検証議定書の草案は、6年がかりの交渉の末、今年11月の最終合意を目指すばかりとなっていた。ブッシュ大統領は検討チームの勧告に従うとみられており、最終合意直前になって議定書が空文化する可能性が出てきた。
『ニューヨーク・タイムズ』紙が米政府筋の話として伝えたところ、ブッシュ政権発足後に、国務省、国防総省、商務省などの専門家チームが、生物兵器禁止条約・検証議定書の草案を検討しなおした。
専門家チームは、検証議定書の内容では生物兵器製造をごまかそうとする国を摘発しにくい上、ほかの国が米国の医薬品やバイオテクノロジーの開発を盗む手段になりうると指摘。11月の交渉期限までに修正するには時間が不十分として、不支持を勧告した。
米政府は正式な不支持を決めていないが、『ニューヨーク・タイムズ』紙は「関係省庁がすべて同意している以上、ホワイトハウスが勧告に従うのはほぼ間違いない」と指摘。米国からの提案として、11月の交渉期限を延長して米国の主張を盛り込んだ内容に作りかえるか、検証対象を限定するなどの代替案提案も検討されている。
生物兵器禁止条約は1972年に調印され、1975年に発効した(日本は1982年批准)。2000年1月現在の締約国数は143カ国。生物(細菌)兵器の開発、生産、貯蔵を禁止する。しかし条約自体には違反行為を調査したり監視する検証規定が欠けており、実効性が疑問視されてた。
1992年に新生ロシアの大統領となったエリツィン氏によって、条約署名後もソ連が生物兵器製造を続けていたことが暴露され、条約の実効性を問題視する議論が激しくなった。さらに湾岸戦争を機に条約締約国イラクなどの生物兵器所持が明らかになり、1995年からジュネーブで検証議定書の交渉が始まっていた。
議定書交渉を取りまとめてきたハンガリーのトト大使は『ニューヨーク・タイムズ』に対して、「国際社会が生物兵器禁止を強化する議定書に合意できなければ、非常に困ったメッセージを世界に送ることになる」と述べ、今週中にもワシントンを訪れてブッシュ政権と協議すると明らかにした。
ブッシュ政権はこれまでにも、地球温暖化防止に向けた「京都議定書」不支持や弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の修正要求などを次々と表明してきた。国際交渉の流れを無視した米国中心主義の表れと欧州各国の反発を呼んでいるだけに、生物兵器禁止条約の検証議定書不支持はさらに各国間の摩擦を生む恐れがある。(CNN 2001/05/21)
エシュロン:人権侵害、と欧州議会報告草案 米など5カ国盗聴
【欧州総局】米英など英語圏5カ国の通信傍受機関(暗号名エシュロン)の実態を調べた欧州議会エシュロン調査委員会の最終報告書草案を毎日新聞は27日、入手した。調査委は世界の電話、ファクス、Eメールを盗聴しているエシュロンの存在を「疑いない」と断定した。草案は「プライバシー保護を定めた各種の国際協定に違反している」と米英を強く批判し、企業や個人に対し通信の暗号化による自己防衛を呼びかけている。
国際的に権威ある機関がエシュロンの存在を確認して人権侵害だと告発するのは初めて。調査委は欧州連合(EU)加盟国がエシュロンのような盗聴機関に参加した場合「欧州人権規約に違反する」として英国に警告した。米国には人権保護の国際協定への加入を要求しており、欧米間の外交課題となるのは必至だ。
米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国はエシュロンの存在を公式に認めていない。しかし、調査委は「傍受基地のアンテナの種類から軍事通信ではなく民間通信を傍受している」などの根拠を示し、5カ国は傍受した情報を共有する協定を結んでいると結論づけた。
草案は「エシュロンは企業秘密を入手できる」と明記し、テレビ会議を含む企業情報の盗聴が可能だと強調した。調査委は「産業スパイの証拠は見つからなかった」と述べたが、「米情報機関の関係者は産業スパイの発覚を恐れているかのように否定する」と疑惑濃厚であることを示唆した。
調査委は、フランスとロシアがエシュロンに似た盗聴機関を持つ可能性のあることに触れたが、「米英の盗聴能力は圧倒的だ」と断じた。民間通信が対象の盗聴機関への対応策として、調査委は「企業や個人が盗聴を防ぐ手段を持つしかない」と暗号システムなどの商品化を認めた。
調査委はエシュロンの通信傍受基地の疑いがある世界20カ所の施設を挙げ、青森県の米軍三沢基地には14基のアンテナがあると記載している。また96年、日本の通産省の米国車輸入交渉の情報が米国側に盗聴された疑いも指摘した。
調査委はEUに対してプライバシーなど人権関連法規の一元化や情報機関の規制統一を求めた。国連や世界貿易機関(WTO)には情報機関の盗聴から企業や個人の通信を守る新協定策定を提唱。“情報戦争”が市民の人権を侵害する時代に入ったことに警鐘を鳴らしている。
最終報告書は6月上旬にも公表される。草案全文はA4判119ページ。<ことば>エシュロン
人工衛星などを使った米国主導の大規模な通信傍受網。暗号名エシュロン(ECHE LON)は階段格子、階層などの意。47年、米英が秘密裏に組織し、他の3カ国が加わった。情報は米国家安全保障局に送られる。冷戦期は共産圏を対象にしたが、現在は商業通信や個人向けも傍受できる。欧州連合(EU)の欧州議会は昨年7月、調査委員会を発足させた。(毎日新聞 2001/05/28)エシュロン:毎日新聞が入手した欧州議会最終報告書草案=要旨
毎日新聞が入手した欧州議会調査委のエシュロン最終報告書草案の要旨は次の通り。▽調査委員会設置の理由=欧州連合(EU)規約に規定された人権を侵害する恐れのあるエシュロンを調査するため、欧州議会は調査委員会を設置した。
▽エシュロンの特徴=受信基地と衛星を使って電話、ファクス、電子メールなどの個人や企業の情報を盗聴できる。他に例を見ない大規模な通信傍受システムである。英、米、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5カ国が参加する世界規模の盗聴網で、参加国は入手した情報を共有できる。
▽エシュロンが存在する証拠=軍事施設など立ち入りが厳しく制限されている場所に傍受施設がある。また、受信アンテナの種類と大きさから判断できる。通信傍受に使われるアンテナは通常、直径15〜18メートル。パラボラアンテナは球状の白いカバーで覆われ、アンテナが向いている方向を隠す目的がある。こうしたアンテナは軍事目的では利用されておらず、民間の通信傍受に使われている可能性が高い。
▽UKUSA協定=第2次世界大戦の際、英国(UK)と米国(USA)が中心となり、日本の無線を傍受するために結んだ同盟。戦後の1948年にはソ連の通信傍受を目的に再編され、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの諜報機関が加わった。豪防衛信号局(DSD)幹部はUKUSA協定の存在を認め、外国通信傍受機関と協力していることを認めている。
▽傍受局の疑いのある基地=世界に20カ所。ヤキマ、シュガーグローブ(米国)、セバナセカ(プエルトリコ)、モーウェンストウ、メンウィズ・ヒル(英国)、ジェラルトン(豪州)、バート・アイブリング(独)、グアム、香港など。この中に青森県・三沢米軍基地が含まれている。
▽三沢基地=米陸軍の諜報セキュリティ司令部(INSCOM)、海軍セキュリティグループなどが駐留し、情報の解析を行っている。敷地内には14の衛星アンテナがある。三沢は「暗号解析センター」の役割を担う。
▽他に通信傍受システムが存在する可能性=仏、露は理論的には可能だが今のところ情報はなく、通信傍受網は事実上、英米が独占している。
▽エシュロンとEU規約の対比=エシュロンが産業スパイ目的に使われたり、個人情報の侵害につながっているとすれば、EUの人権規約に違反する。EU加盟国の参加は規約違反である。
▽諜報機関による通信監視とプライバシー=個人情報を監視すること自体が基本的人権の侵害である。米国家安全保障局(NSA)などが欧州で活動する主たる国は英国とドイツであり、特に両国は米国に対して、欧州人権規約を尊重するよう要請し、違反する場合は活動の禁止を求めるべきである。
▽EU市民の情報機関からの保護=共通外交・安全保障政策面から見ても統一基準の作成が望ましい。
▽産業スパイの防止=エシュロンは企業秘密を入手できる。世界規模で展開する企業はテレビ会議などの先進技術を導入しているが、こうした企業情報をエシュロンは盗聴できる。米中央情報局(CIA)はエシュロンへの関与を否定している。
▽暗号化による自衛=個人や企業情報を守るには、発信する情報を暗号化するなどの自衛措置が必要である。ただ、個人情報の暗号化には技術面やコストで問題が多い。
▽結論と提案=欧州議会は、「欧州評議会」(43カ国加盟)に対し、通信傍受などの新技術による人権侵害を考慮する欧州人権規約の見直しを求める。EUに対して、企業情報保護に関する相談窓口の設置を勧告する。
また、米国には「市民・政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約」の追加議定書への署名国連にプライバシーの保護を定めた同規約17条の見直しを求める。さらに、世界貿易機関(WTO)の枠組みで、産業スパイ防止対策の話し合いを提案する。【欧州総局】(毎日新聞 2001/05/28)エシュロンの存在「疑いない」 欧州議会が報告書案
米国や英国が共同運用しているとされる通信傍受システム「エシュロン」についての調査報告書案が29日、欧州議会の特別委員会に提出された。地球規模の傍受システムの存在を「もはや疑いようもない」としたうえ、個人や企業のプライバシーを守るために欧州連合(EU)ぐるみの対応策を促している。採択されればEUの公式文書の性格が強まり、米欧関係や「身内」である英国の立場にも影響しそうだ。
「エシュロン特別委員会」に出された報告書案は、民間通信までを傍受する大がかりなシステムが存在する根拠として、世界各地の軍事基地にある大型アンテナを挙げている。それによると、民間の衛星通信を傍受するには、旧型で直径25〜30メートル、新型でも15〜18メートルのパラボラアンテナが必要。この規模のアンテナが軍事目的で使われることはなく、基地内にある直径18メートル以上のアンテナは民間通信の傍受用とみられる、としている。
該当する基地はシュガーグローブ(米)、メンウィットヒル(英)、三沢(日本)など11カ所。大型アンテナはないが、傍受にかかわっている疑いのある基地を別に9カ所列挙している。
具体的な産業スパイ疑惑については「立証できなかった」としたが、多国籍企業のテレビ会議や、本社と工場、研究所間の情報交換が傍受される可能性に触れた。
報告書案は結論で「無差別な通信傍受は、個人のプライバシー尊重をうたった欧州人権憲章などに違反する」と述べ、関係国の自制を求めた。EU加盟国である英国とドイツについては、国内の軍事基地に常駐する米国人の活動に一定の制限を設けるべきだと指摘。欧州市民や企業の権利を守るため、暗号ソフト開発などの対抗策をEU単位で講じるよう進言した。(朝日新聞 2001/05/29)米アムネスティ:年次報告を発表 米政府を厳しく批判
【ワシントン中井良則】世界最大の人権擁護組織アムネスティ・インターナショナルのシュルツ米国代表は30日、世界各国の人権状況をまとめた年次報告を発表し「米政府は人権における義務を放棄している」とした。
これに対し、米国務省のリーカー副報道官は同日「米国は世界中の人権を擁護している。アムネスティとは基本的に見解が異なる」と反論し、人権をめぐる米政府と非政府組織(NGO)の論争に発展した。
シュルツ代表は、対人地雷全面禁止条約や国際刑事裁判所など重要な条約や国際機構に米国が反対していることや、米国が中国、イラン、サウジアラビアとともに「死刑大国」となっていることを指摘した。
同代表は「米国は政治的な都合で人権を犠牲にすることが多すぎる。人権への冷淡な姿勢で、中東など地域紛争が激化し犠牲者が増えた」と述べた。さらに、「米国が国連人権委員会を追放されたのは不思議ではない」と語った。
記者会見でアムネスティの批判について聞かれたリーカー副報道官は「国務省も毎年、世界中の人権報告を入念に作っている。非政府組織の人権推進活動は尊重するが、今回のアムネスティの結論には反対だ」と言い返した。
アムネスティ年次報告によると、63カ国で「良心の囚人」が拘束され、125カ国で拷問が報告された。(毎日新聞 2001/05/31)チェチェン紛争:人権団体が告発 遺体に拷問の形跡
民族紛争の続くロシア南部・チェチェン共和国で2月24日、51人もの遺体が発見された事件で、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、51人中16人はロシア連邦軍に拘束されて行方不明となった民間人で、ロシア軍関係者が殺害に関与した可能性が強いと告発した。人権団体が行った報告を紹介する。【モスクワ石郷岡建】遺体が発見されたのはチェチェン共和国の首都グロズヌイ郊外。ロシア連邦軍基地ハンカラの南約1キロにある別荘菜園地区「ズダロビエ」。廃墟となった小屋や菜園に遺体が散乱していた。
現場周辺は連邦軍兵士の警戒が激しく、民間人の立ち入りは難しい。
遺体はいずれも着のみ着のまま。弾痕のあとなどから銃などで殺害され、放棄された可能性が強い。また、目隠しされたり、両手を縛られた遺体もあった。さらに耳や手足を切断、首や背中に鋭い刃物の傷跡があるなど、拷問の形跡が濃厚なものが多かった。
検察庁は遺体発見後、捜査の開始を発表したが、3月10日には遺体の埋葬を決定した。検察庁は十分な検死や実況検分を行っておらず、その道具もない。また、証拠物件となる衣服や手足を縛ったひも類、さらには弾丸なども保管しておらず、今後の捜査は極めて難しいという。
その後、24人の身元が判明したと発表され、そのうち16人については人権団体が行方不明の状況を突き止めている。その状況は以下の通りだ。
<ルールエワさんら女性3人の場合>=昨年6月3日、グロズヌイの市場でイチゴを売っていた時、装甲車に乗って現われた覆面武装兵士に取り囲まれ、連行された。
元裁判官のルールエワさんの夫が目撃者などから証言を集め、地元警察に通告したが、当日の拘束記録はなく行方不明とされた。遺体は目隠しされ、衣類から身元が確認された。死因は不明。
<リスハーノフさんら3人の場合>=昨年12月9日、グロズヌイの南西約10キロのアルハン・ユルトで、車の爆破事件が起き、その夜、自宅から連邦軍兵士により連行された。
その後、ハンカラの軍事基地と推定される場所で、穴の中に閉じ込められていたとの目撃証言が伝えられた。遺体は手が縛られ、背中や首に傷跡が多数あり、ひどい拷問を受けた可能性が強かった。
検察庁は、「遺体は武装兵士」「チェンチェン武装兵士の仕業」「連邦軍兵士の関与の証拠はない」などの発言を繰り返しているが、正式の捜査結果の発表はない。
人権団体は、軍内部に立ち入り権限のない一般検察官が捜査責任者になっており、真相解明は困難と指摘。(1)埋葬した遺体の再調査(2)捜査官への全権付与(3)独立調査委員会の設置(4)政府指導部による捜査発表などを求めている。
さらに、事件再発を防ぐため、(1)秘密機関による逮捕・連行の禁止(2)逮捕・拘留の事実の公開(3)弁護士の接見などの法的保護などを強く要求している。
人権団体によれば、チェチェン紛争の死者は推定数万人、行方不明者は数百人から数千人とされ、今回の事件は氷山の一角と見ている。(毎日新聞 2001/05/31)
田中外相、米ミサイル防衛計画を強く批判
田中真紀子外相が5月25日にイタリアのディーニ外相に対し、ブッシュ米政権が積極姿勢を示すミサイル防衛計画を強く批判するとともに、欧州と日本が協力して米国に自重を求めるよう提案していたことが1日、明らかになった。日本政府はこれまで、ミサイル防衛計画について「米国が計画を検討していることは理解している」との立場を表明。田中外相の発言は政府の見解と異なる。
北京でのアジア欧州会議(ASEM)の昼食会で、隣に座ったディーニ外相に発言したもので、外務省関係者によると、田中外相は米政府の姿勢について「ミサイルの脅威というが、本当にミサイル防衛が必要なのか。日本と欧州は米国に対し『やりすぎるな』と言うべきだ」と提案。
また「米国は中国の経済的脅威、軍事的脅威に対抗したいがためにミサイル防衛構想を推進しているのだろう。武力で対抗してはならない」と述べた。
田中外相は1日の記者会見では発言について「そんなことはないし、いちいちマスコミの報道にコメントしない」と述べた。
日本政府は5月8日、来日したアーミテージ米国務副長官に対し(1)弾道ミサイルの拡散が深刻な脅威であるという米国の認識を共有する(2)米国との戦域ミサイル防衛(TMD)の共同技術研究は推進する――との見解を伝えている。(朝日新聞 2001/06/01)田中外相、豪外相にも米の批判 ミサイル防衛で
田中外相が5月28日に行われたオーストラリアのダウナー外相との会談で、米国のミサイル防衛計画に批判的な発言をしていたことが分かった。外務省関係者によると、ダウナー外相は「同盟国として、そんなことを言うべきではない」とたしなめたという。田中外相は25日のイタリアのディーニ外相との会談でも同計画を批判していた。(朝日新聞 2001/06/01)米放射能人体実験に死産児利用 日英豪からも骨提供か
(CNN)放射能の人体実験で米政府が1950年代から1960年代にかけて、死産児の遺骨を集めて利用していた米原子力委員会(AEC)の「サンシャイン計画」で、実験に利用されたのは米国内の死産児だけでなく、日本や英国、オーストラリアの病院で集められた遺体も使われていた。計画の概要は1995年ごろまでに米国で公開されたが、英日曜紙「オブザーバー」が3日、英国政府がこの計画に協力していたことが初めて分かったと伝えた。
オーストラリア政府は7日、残留放射能の測定のために、死産児や成人の遺骨が、遺族の許可なしに海外に運び出されたと認めた。
トルーマン政権下で発足したAECが、ロスアラモス国立研究所で行った「サンシャイン計画」は、放射性落下物による被曝(ひばく)効果の調査を目的にしたもので、乳幼児にストロンチウムやヨウ素などを摂取させ、骨内のカルシウム濃度との関連を調べるなどの実験を行った。ノーベル賞受賞者のウィラード・リビー博士らが指導した。
米政府が行った一連の放射能人体実験については、1994年に当時のオリアリー・エネルギー長官が情報開示を指示し、1995年に公開された。これによって明らかにされた「サンシャイン計画」担当者らの書簡によると、1950年代のロスアラモス研究所には米国やインド、日本の病院から死産児の骨が集められ、ストロンチウム90の人体残留量を調べる実験に使われたことが、すでに明らかになっていた。
AECの科学者のひとりロバート・ダドリー博士が1953年に同僚にあてた手紙には、「人骨の自然な放射量とその地域差を調べることを名目に、各国から骨を集める」とあり、「日本からは、原爆傷害調査委員会(ABCC)に頼むのがいいだろう。6―8体分の骨が手に入るといい」と書かれている。ABCCは1946年、広島・長崎の原爆放射線被曝者における放射線の医学的・生物学的影響の長期的調査を目的に、米政府が設立した。
英オブザーバー紙によると、同紙が入手した米エネルギー省の文書から、この「サンシャイン計画」に英国政府も参加していたことが新たに分かったという。同紙によると英国の政府原子力機関の指示で1955年―1970年の間に死産児6000人分の骨が英ミドルセックス病院などに集められ、一部は米国へ送られ、残りは英国の放射能科学者らが独自の実験に利用。英米は実験結果を互いに報告しあっていたという。
さらにオーストラリア放射能保全原子力安全庁のジョン・ロイ長官は7日、1950年代に、死産児だけでなく、生後数週間の乳児、5歳―19歳の子供、39歳以下の成人の遺骨が、遺族の許可なく米国に送られたと認めた。オブザーバー紙などの報道を機に、ウールドリッジ健康担当相が5日、事実関係の解明を約束したためで、このほど当時の政府文書が発見されたという。
ロイ長官は、「1950―60年代に世界各地で繰り返されていた大気中核実験による放射能汚染が、オーストラリア国民にどう影響しているか知るのが、当時の政府の目的だった」と説明した。(CNN 2001/06/07)地球温暖化、やはり現実…米科学アカデミー
【ワシントン6日=館林牧子】米科学アカデミーは6日、ブッシュ大統領からの要請を受けて科学的に検討していた地球温暖化に関する報告書を公表した。科学的に不確定な部分が残るものの、二酸化炭素など温室効果ガスの排出増加で地球温暖化が確実に起きているとしている。そのうえで温暖化対策の根拠である国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の結論は妥当とした。地球温暖化に疑念を持つブッシュ政権の今後の温暖化防止政策に大きな影響を与えることになりそうだ。
ブッシュ大統領は地球温暖化について「科学的な根拠が十分ではない」と度々発言し、今年3月には先進国に温室効果ガスの削減義務を定めた「京都議定書」からの離脱を表明。独自の代案を作るため、閣僚レベルでの検討会を設置し、米国内の科学、経済などの有識者に検討を依頼していた。
今回の報告書は、全米の科学者で組織する米科学アカデミーが特別に設置した委員会で約1か月かけて集中的に論議をした成果。「気候変動の予測には科学的な不確定さが残る」としながらも、「温室効果ガスの排出がこのまま続けば、今世紀末までに地球の平均気温は1.4〜5.8度上昇するだろう」とした。IPCCも今年1月、同様の結論を出している。
地球温暖化が環境問題として取り上げられ始めたころから、温暖化は長期的な自然の気候変動に過ぎず、人為的な温室効果ガスの排出の結果とは考えにくいという説が一部にある。今回の委員会にも、温暖化について懐疑的な立場の研究者も参加しており、結論の行方が注目されていた。(読売新聞 2001/06/07)米ミサイル構想に当面、参加せず=TMDの日米共同研究は継続−防衛庁長官
中谷元・防衛庁長官は17日午前、テレビ朝日の報道番組に出演し、ブッシュ米政権のミサイル防衛構想について「米国がやろうとしていることであり、現在のところ参加するということはない」と述べ、当面、日本政府として同構想に関与することはないとの考えを明らかにした。政府はこれまで同構想に関して「米国の検討を理解する」などの見解を示してきたが、防衛庁長官が関与しないことを言明したのは初めて。(時事通信 2001/06/17)パレスチナ少年、ガザでデモ中に撃たれて死亡
エルサレム(CNN)パレスチナ自治区ガザ南部のハンユニス難民キャンプで17日午後、近くのユダヤ人入植地に投石したパレスチナ人デモ隊にイスラエル軍が発砲し、11歳の少年が死亡したほか、3人が負傷した。パレスチナ赤新月社が明らかにした。17日午前には、前日に銃撃された12歳のパレスチナ少年が死亡した。イスラエルとパレスチナとの間には13日、米国の仲介で「停戦」が発効したが、その後も衝突は頻発し、不穏な情勢が続いている。
イスラエル軍によると、ハンユニス難民キャンプのフェンス周辺にパレスチナ人が集まり、ユダヤ人入植地に向けて火炎びんなどを投げ始めた。軍は催涙ガスなどで鎮圧しようとした後、群集の足元へ威嚇射撃し、少年ひとりに銃弾があたったと認めている。
16日の別の事件で、パレスチナ人によるイスラエル兵への銃撃で被弾した12歳少年も、17日午前に死亡した。パレスチナ関係者筋は、この少年は味方の流れ弾に当たった可能性があるとして、イスラエル側を糾弾してはいない。(CNN 2001/06/18)米副大統領が関わった石油採掘会社、イラクと取引?
【ワシントン23日=林路郎】23日付の米ワシントン・ポスト紙は、チェイニー副大統領が昨年8月まで会長を務めていた大手石油採掘会社ハリバートン(テキサス州ダラス)が、国連制裁下のイラクに7300万ドル相当の石油採掘施設を建設・供与する契約にかかわっていた、と報じた。事実とすれば、「ブッシュ政権は石油業界の代弁者」という負のイメージが米国民の間に定着し、民主党も来年秋の中間選挙をにらんで、副大統領の「倫理性の欠如」を追及することになろう。
同紙は、石油業界幹部や国連の機密文書に基づく情報として伝えた。それによると、問題の取引は、石油採掘施設製造のドレッサー・インダストリー社とインガソル・ランド社の合弁会社がフランスの関連会社を介して、1997年から昨年にかけてイラク政府と結んだ石油採掘施設や排出ポンプの売却契約。ハリバートン社は98年にドレッサー社を買収したため、契約の履行にハリバートン社が直接かかわることになった。
この合弁会社はまた、湾岸戦争で多国籍軍が破壊したイラクの石油採掘施設の修復契約も結ぼうとしたが、クリントン前政権が「国策に反する」としてこれを阻止したという。
チェイニー氏はこれまで、ハリバートン社がイラン、リビアと取引をしたことは認めている。しかし、今回の件については、副大統領補佐官は同紙に対し、「こうした合弁事業の運営は(親会社とは)別で、(親会社の会長だった)チェイニー氏は何ら関与していない」などと説明している。
これに対し、子会社の役員は同紙に「極めて大きな商談であり、チェイニー氏は決定に参加していなくても、すべてを知っていたはずだ」と証言した。
国連制裁はイラクとの商取引そのものを禁じてはおらず、契約そのものが違法行為とは言えないが、チェイニー氏は91年の湾岸戦争を国防長官として指揮し、95年のハリバートン会長就任時には「イラクに対しては強硬姿勢で臨む」と公言した人物。言行不一致は副大統領の信用失墜につながりかねず、民主党の格好の攻撃材料となりそうだ。
イラクは国連制裁下にあるにもかかわらず、昨年秋の時点で、対米原油輸出量では、サウジ、メキシコなどに続いて第5位。問題の契約は、米国とイラクが敵対しつつも、米石油業界を通じて舞台裏で微妙な関係を維持していることを物語るエピソードとも言える。(読売新聞 2001/06/23)エシュロン:日本の外交電文も傍受 NZの研究者が証言
【ウェリントン堀内宏明】米英など英語圏5カ国の通信傍受機関(暗号名エシュロン)の一環として、ニュージーランドの情報機関がオセアニア地域で日本の在外公館の外交電文を傍受している実態が26日、明らかになった。エシュロン問題を調べ、欧州議会調査委員会で証言したニュージーランド在住の研究者、ニッキー・ハガー氏(42)が毎日新聞に明らかにした。日本の外交情報は「JAD」の暗号名で呼ばれ、81年以降、貿易や漁業など経済分野の情報を中心に収集され、米国に報告されていた。
ハガー氏によると、日本の外交情報収集の担当は、ウェリントンにある「政府通信安全保障局(GCSB)」。同氏はGCSBの現・元職員やエシュロンに詳しい政治家、軍人ら約50人を聴取した。
GCSBは89年までは米国の傍受施設から転送された情報を解析した。90年以降、ニュージーランド北部ワイホパイの傍受施設が通信衛星などを経由する日本大使館などの専用通信回線の電文内容を傍受していた。
日本の外交電文はすべて暗号化されていたが、米国から提供されたコンピューターは大半を解読したという。これを日本語に堪能な職員が翻訳し、エシュロン統括本部がある米国家安全保障局(NSA)に送っていた。
情報収集は、オセアニア各国の日本大使館の外交リポート、貿易・漁業交渉報告、途上国への支援内容、ビザ関連が主だった。80年代には日本政府が第三国と進めていた石炭売買契約の価格が傍受され、ニュージーランドの企業が落札したことがあったほか、施設の建設などで同国企業が参入できそうな日本の援助計画を察知したという。
ワイホパイの施設には90年代半ばに電話など音声通信の盗聴設備も導入され、在外公館以外に南太平洋で操業する日本漁船やプルトニウム運搬船の通信も傍受できる。
ハガー氏は「日本の外交情報収集は米国の要請を受けて始まった。経済に強い日本の政策が太平洋地域に及ぼす影響を分析するのが目的だった。高度の機密電文は複雑に暗号化されており、解読できなかったようだ」と話している。◇ 外務省幹部は毎日新聞の取材に対し「傍受されたのは簡略な電文だと思う。超極秘の外交電文を解読するのは無理だ。事情が今一つよくわからないが、日本の外交機密はしっかりと守秘されているものと確信している」と話している。
<ニッキー・ハガー氏> 1958年生まれ。外交・軍事問題の民間研究員。96年、GCSBの調査をもとにした著書「シークレット・パワーズ」を発表し、エシュロンの存在を指摘した。(毎日新聞 2001/06/27)
ペルー国家情報部にCIA資金 米の監視団体報告
【ニューヨーク28日真能秀久】米国の政府監視団体「公共保全センター」は28日、米中央情報局(CIA)がペルー国家情報部(SIN)に対し、10年間にわたって1000万ドル(約12億5000万円)以上の現金や盗聴機器を供与し、その一部がフジモリ前大統領の腹心だったモンテシノスSIN元顧問によって不正に使われていたとする報告書を発表した。
盗聴機器は、フジモリ前政権に敵対する政治家、ジャーナリスト、財界人などの電話盗聴に悪用され、盗聴によって得られた情報は、政権寄りの企業などにも1週間1000ドルから2500ドルで提供された。
CIAはモンテシノス元顧問が資金の一部を流用し汚職などの不正に関与していることを知り、米国家安全保障会議や国務省、国防総省に報告を上げたが、元顧問は「有用な人物」とされ、報告は長い間無視されてきた。
ペルーがヨルダンから輸入した自動小銃1万丁以上がコロンビアの左翼武装ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」に横流しされていた疑惑が発覚し、CIAが「モンテシノス降ろし」を決断。ペルー政変のきっかけとなった盗撮ビデオの一部をリークしたという。
CIAからの資金供与の詳細は、在リマ米大使館からペルーの捜査当局に既に提供されているという。(中日新聞 2001/06/30)
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