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アメリカとイスラエルのための狂騒組曲
「新世界秩序」[第11楽章:2001年1月-2月]
バルカン帰還兵にがん多発 劣化ウラン弾が原因?
【ローマ3日共同】平和維持活動でボスニア・ヘルツェゴビナ、ユーゴスラビア・コソボ自治州に派遣されたイタリア軍人らの間で白血病などのがんが多発、北大西洋条約機構(NATO)軍が使用した劣化ウラン弾が原因ではないかとの疑いから、他の欧州各国にも騒ぎが広がっている。
イタリアでは「バルカン症候群」とも呼ばれ、2日までにボスニアとコソボに派遣された軍人約6万人のうち6人が白血病で死亡したことが明らかになった。国会でも特別調査委員会設置の動きがあり、軍事検察官は、死亡者を含め全体で30人前後を対象に調査している。
NATOは昨年12月に、1994、95年にボスニアで1万800発、99年にコソボで3万1500発の劣化ウラン弾を使用したことを認めた。
イタリア国防省は「バルカン症候群」の原因を劣化ウラン弾に特定する根拠はまだないと慎重な構えだが、バルカン派遣部隊を撤退させるべきだとの要求も出始めた。
ポルトガルでも、死亡した帰還兵の父親が死因の再調査を要求。これをきっかけにコソボ帰還兵約900人の医学調査が命じられ、スペインもバルカン帰還兵約3万2000人の調査を決めた。ベルギーは欧州連合(EU)国防相会議での対応を求めている。
劣化ウラン弾と因果関係があるとすれば、軍人に限らず、ボランティアを含む文民や関係地住民にも被害が出ている可能性がある。国連は既に現地調査を実施しているという。
劣化ウラン弾は、戦車などの標的に対する破壊力を強めるため弾頭部に劣化ウランを利用したもの。91年の湾岸戦争でも使用され、米英軍の帰還軍人に広がった「湾岸症候群」との因果関係が疑われたが、結論は出ていない。(共同通信 2001/01/03)バルカン帰還の伊軍兵士に白血病死相次ぐ
バルカン半島の紛争に派遣されたイタリア軍兵士に白血病が相次ぎ、これまでに6人が死亡していることがわかり、問題となっている。イタリア各紙が4日までに伝えたもので、北大西洋条約機構(NATO)が使った劣化ウラン弾との因果関係が疑われている。国防省は死んだ6人について内部調査するための専門家による委員会を設置。野党は国会にも特別調査委員会の設置を求めている。アマート首相はNATOに公式な説明を求める方針だ。
劣化ウラン弾は戦車攻撃などに用いられ、使用後の放射性物質による影響が心配されている。湾岸戦争でも問題となったが、人体への影響との因果関係はまだ解明されていない。NATOはボスニア・ヘルツェゴビナで1994―95年に約1万発、99年にはユーゴスラビア・コソボ自治州で3万発以上の劣化ウラン弾を使ったとされる。
イタリア国防省のオスティリオ次官は、両紛争の前線で活動したすべての兵士の健康状態について保健省が把握しているかどうか確認を求めた。ボスニアに展開する和平安定化部隊からイタリア兵を撤退させるべきだ、との声も出ている。
ポルトガルやベルギーなどからも調査を求める声が高まっている。NATOの報道担当者は「イタリアが求める情報を提供するため準備中」としており、来週の大使級理事会でこの問題が取り上げられる見通しだ。(朝日新聞 2001/01/04)「バルカン症候群」の死者は8人=伊紙報道
【ローマ5日AFP=時事】5日付のイタリア紙レプブリカは、ボスニア・ヘルツェゴビナから帰還したイタリア兵2人ががんで死亡していたことが新たに分かり、「バルカン症候群」によるイタリア兵の死者は計8人になったと報じた。(時事通信 2001/01/05)「バルカン症候群」でチェコ兵も死亡
【ウィーン4日時事】4日付のチェコ日刊紙ムラダ・フロンタ・ドネスによると、ボスニア・ヘルツェゴビナに駐留している北大西洋条約機構(NATO)主体の平和安定化部隊(SFOR)に属するチェコ兵が1年前に白血病で死亡していたことが分かり、チェコ軍当局は、劣化ウラン弾汚染による「バルカン症候群」の疑いがあると見て、専門家調査チームを設置した。(時事通信 2001/01/05)バルカン症候群:NATO兵士に健康被害相次ぐ
【ロンドン5日岸本卓也】バルカン地域に派遣された北大西洋条約機構(NATO)の兵士に「バルカン症候群」と呼ばれる健康被害が欧州各国で相次いでいる問題で英BBC放送は5日、ボスニア・ヘルツェゴビナで勤務した元英軍工兵も似たような症状に苦しんでいることを伝えた。
英中部に住むケビン・ラドランドさん(41)は1995年12月から5カ月間にわたりボスニアに派遣されたが、帰国後に慢性疲労に陥り、頭髪が抜け落ちた。最近では内臓疾患にも苦しんでいる。しかし、英国防省は「劣化ウラン弾と病気の因果関係は認められない」として、バルカン地域に派遣された英軍兵士の健康調査も実施しない方針だ。(毎日新聞 2001/01/05)劣化ウラン弾と白血病の因果関係を否定 米国防総省
北大西洋条約機構(NATO)軍が劣化ウラン弾を使ったバルカン半島から帰還した欧州の兵士に白血病などが相次いでいる問題について、ベーコン米国防総省報道官は4日、「劣化ウラン弾と発病との因果関係は一切見つかっていない」と述べた。米国では、1991年の湾岸戦争時から劣化ウラン弾の後遺症の可能性が指摘されていたが、同省は一貫して因果関係を否定。イタリアなど欧州諸国で調査を求める声が上がり始めた今回の問題についても改めて否定した形だ。
報道官は、ボスニア・ヘルツェゴビナやコソボ自治州で従軍した兵士の間に実際に白血病が異常に高い率で発生しているかどうかの調査は「欧州諸国か我々かが進めることになるだろうが、まだ実施されてはいない」と強調。「科学的な基礎調査もされていない段階から劣化ウラン弾と白血病の関係をうんぬんするのは早すぎる」とくぎを刺した。
ただし報道官は、米軍チームはすでにコソボ自治州の土と水のサンプルを採取して5つの研究所で分析を進めていることを明らかにした。その結果は今春にも公表する。劣化ウラン弾による兵士への影響をめぐっては、国防総省が委託した独立機関ランド研究所が99年、体の不調との因果関係は認められないとの結論を出している。(朝日新聞 2001/01/05)英国防省が危険認識か 劣化ウラン弾
【ロンドン6日共同】6日付の英紙デーリー・テレグラフは、英国防省がコソボ紛争時に劣化ウラン弾の取り扱いに注意するよう兵士に指示するなど、当時から危険性を認識していたと報じた。
国防省は「(劣化ウラン弾の)放射能は極めて低いため健康への危険はほとんどなく、指令は予防措置にすぎない」と説明している。
同紙によると、ドイツ軍も劣化ウラン弾の着弾場所や施設への接近を禁じるなどの規則を定め、「劣化ウランにさらされると健康面での危険があり得る」と警告していたという。(共同通信 2001/01/06)劣化ウラン弾でスペイン兵にも被害か
【マドリード6日AFP=時事】スペイン紙エルムンドは6日、ユーゴスラビア・コソボ自治州などに駐留したスペイン兵などの間で、ここ数カ月間に少なくとも8人のがん患者が報告され、うち1人が死亡していると伝えた。
同紙によれば、死亡した兵士はマケドニア駐留の補給部隊に属し、米軍部隊が劣化ウラン弾を使ってから約1年後のコソボにたびたび出動していた。残りの7人は6人が兵士で、1人はボランティアの援助関係者という。(時事通信 2001/01/06)バルカン帰還兵、仏でも4人が白血病で入院中
フランス国防省は4日、旧ユーゴスラビア紛争に従軍したフランス軍帰還兵4人が白血病で入院していることを明らかにした。4人は劣化ウラン弾を使って攻撃した戦車の近くにいたとみられている。
リシャール国防相は5日、「現状では白血病と劣化ウラン弾との関連は薄いと見ているが、今後も調査を継続する」と述べ、北大西洋条約機構内での協議にも参加する意向を示した。(朝日新聞 2001/01/06)劣化ウラン弾:100倍以上の放射線反応を確認 調査団長明示
【ブリュッセル5日森忠彦】一昨年の北大西洋条約機構(NATO)のユーゴスラビア連邦空爆で、米軍が人体への影響が指摘される劣化ウラン弾を使用した問題で、コソボ自治州で調査に当たっていた国連環境計画(UNEP)のペッカ・ハービスト劣化ウラン弾調査団長(前フィンランド環境相)は5日までに毎日新聞の会見に応じた。団長は、現地から多数のウラン弾を発見し測定したところ、自然値の100倍以上の放射線反応があったことを明らかにした。さらに、攻撃地点の多くで使用弾の回収が進まず、野放し状態だと指摘した。劣化ウラン弾問題で第3者機関が放射線反応を確認したのはこれが初めて。最終報告書は3月に発表する予定で、その中で現地で治安維持活動に当たっている国際治安維持部隊(KFOR)に回収作業を要請する方針だ。
劣化ウラン弾は一昨年3〜6月の空爆中、米軍がユーゴ軍の戦車や装甲車部隊に使用した。NATOによるとコソボ南西部を中心に112地点で計3万1000発を発射した。NATOが昨年夏に具体的な攻撃地点を報告したのを受けて、UNEPの劣化ウラン弾調査団(ジュネーブ)は、昨年11月に2週間、11地点で現地調査した。
調査にはスイスやスウェーデンなどの放射線専門家らが参加。畑や集落、山間部など条件が異なる地点で土や水、植物などを集め、化学物質や重金属汚染の分析を続けている。
このうち8カ所から不発弾や破片など計15個のウラン弾が収集された。コソボ南部の都市プリズレンの南西約10キロのセジャ地区(山間部)からは2個の不発弾と4個の弾片が見つかった。劣化ウラン弾が当たったブロック塀の放射線を測定したところ、52点から高い数値を観測した。ベータ線とガンマ線が通常、自然界に存在する量の100〜200倍の数値が出た所もあった。
団長は「劣化ウラン弾がかなりの広範囲で使われたことが確認された。問題はその情報が開示されず、回収作業も進んでいないことだ」などと語った。
復興が進むコソボでは大気汚染や水質汚濁などの環境問題が深刻化している。住民やKFOR兵士の中には疲労感や頭痛などの慢性疾患を訴えるケースが目立ち始めており、「コソボ症候群」と呼ばれている。(毎日新聞 2001/01/06)NATO:劣化ウラン弾と兵士の健康障害との因果関係を否定
【ブリュッセル6日森忠彦】バルカン半島に駐留する治安部隊兵士の健康障害と米軍が使用した劣化ウラン弾との関係が取りざたされている問題で、北大西洋条約機構(NATO)や加盟国当局は6日までに相次いで因果関係を否定し始めた。各国で白血病などの報道が続いているため、政府は国民や軍関係者の動揺を抑えようと努めている。
同弾が集中使用されたユーゴスラビア・コソボ自治州南部に治安維持部隊を派遣しているドイツ国防省幹部は5日、「現段階ではコソボのドイツ兵の中に健康被害は確認されていない」と語った。
米国が4日、従来の姿勢通りに劣化ウラン弾が及ぼす健康被害との因果関係を否定したのを受ける形で、自国兵に尿検査などを行ったトルコやカナダ、スイスなども否定。自国兵に白血病患者が出たフランスやスペイン、ハンガリーも「現状では白血病と劣化ウラン弾との関係は立証できない」(仏国防相)などと述べ、相次ぐ報道で劣化ウラン弾への疑惑が国内で膨らむのを打ち消している。
NATOのロバートソン事務総長も5日までにイタリア側の疑問に答える形で、これまで明らかになっていないボスニアでの同弾の使用地点などを調査する意向を伝えた。同弾に関する詳細な情報は米軍だけが持っているため、NATOとしても米軍に対して情報公開を求め、来週予定されている大使級理事会で明らかにする見通しだ。
一方、5日付のイタリア紙レプブリカは新たにボスニアからの帰還兵2人ががんで死亡していたことが判明、「バルカン症候群」による同国兵の死者は8人になったと報じた。またボスニアやコソボに派兵しているロシア軍は5日、自国兵に対する白血病などの健康検査を行う意向を示した。(毎日新聞 2001/01/06)英国:強力な新型爆弾の開発に着手 人権団体は批判
歩兵が発射…数百メートル先の3階建て住宅全壊
【ロンドン5日岸本卓也】英国防省は4日、市街戦で1人の兵士が発射するだけで建物を破壊できる強力な新型爆弾の開発に着手したことを明らかにした。爆発による高熱と衝撃波の威力は従来の砲弾などをはるかにしのぐという。人権団体などは国際法で開発が規制されている非人道兵器の可能性を指摘しているが、軍事大国の間では実際に使えない核兵器や生物兵器の代替として殺傷能力の高い通常兵器の開発を目指す動きが強まっている。
新型爆弾は歩兵が携行して肩掛け式で発射する。数百メートルの距離から敵の陣取る建物に爆弾を命中させ、3階建てまでの住宅ならば全壊できる。全壊しなくても、衝撃波と高熱が建物内部に広がって敵兵の生存する確率はほとんどないという。
軍事専門家によると、この爆弾はロシア軍がチェチェン紛争で使った気化爆弾を参考にしているという。気化爆弾は揮発性の高い燃料の爆発で生じる熱波に威力がある。さらに爆発によって周辺の酸素を一挙に奪うため、建物などに隠れた敵兵を窒息死させる。英国が開発する新型爆弾は気化爆弾を改良して熱波と衝撃波を組み合わせたものという。
ボスニア・ヘルツェゴビナやコソボなどの地域紛争では、建物に隠れた兵士同士の激しい銃撃や砲撃が展開された。一般市民の居住する建物を避けて敵兵の隠れた建物だけを狙える効果的な兵器の開発が各国の軍事関係者の間で求められており、英国が開発を目指す新型爆弾も同じ発想に基づいている。
しかし、赤十字国際委員会(ICRC)など人権団体は「過剰な危害を加える新兵器の開発を禁止するべきだ」と通常兵器の開発競争に反対している。英国の新型爆弾についても各人権団体から批判の声が上がっているが、英国防省は「兵器の規制を定めたジュネーブ条約などの国際協定に違反していない」と突っぱねている。(毎日新聞 2001/01/06)クローズアップ:バルカン症候群 情報不足広がる懸念
沖縄・鳥島の米軍誤射事件で日本国内からは撤去された劣化ウラン弾がいま、ヨーロッパで新たな疑惑の焦点になっている。ユーゴスラビア・コソボ自治州やボスニア・ヘルツェゴビナに駐留する北大西洋条約機構(NATO)軍に参加したイタリア、フランス兵らの間で、がんや白血病を発症する「バルカン症候群」の事例が相次ぎ、米軍を中心に空爆で使用された劣化ウラン弾との因果関係が取りざたされている。米欧当局は関連を否定しているが、欧州を席巻した不安はぬぐい去れずにくすぶっている。●悲しみの遺族
「軍病院は最初、息子の病気の原因をストレスと決めつけ、入院さえさせてくれなかった」
イタリア・サルデーニャ島カリアリ近郊の山村ヌクシス。1999年9月に白血病で死亡した兵士、サルバトーレ・バッカさん(当時23歳)の遺影の傍らで、黒衣の母親ペッピーナさん(55)が目頭を押さえた。
婚約者との結婚資金をためようと入隊したサルバトーレさんは98年11月、ボスニア・ヘルツェゴビナ平和安定化部隊(SFOR)に参加し、サラエボ近郊のセルビア人居住地域に派遣された。入隊前の8月に受けた血液検査では何の異常も発見されなかった。
99年4月、吐き気や下痢、原因不明の手足の出血のために休暇をとって帰国した。サッカーで鍛えた身長180センチのサルバトーレさんの体重は激減し、55キロになっていた。首のリンパ腺に腫瘍(しゅよう)ができ、7月にはじん臓障害や肺水腫を併発。8月に白血病と診断され、がん病棟に移されて3週間後、息を引き取った。
この出来事を契機に、北大西洋条約機構(NATO)軍が劣化ウラン弾を大量使用したボスニア、コソボへの派遣兵士の間に広がる原因不明の疾患が相次いで報道された。欧州では「バルカン症候群」と呼ばれるようになった。しかし、伊国防省やNATOは「劣化ウラン弾を原因と考えるには発病までの期間が短すぎる」と冷淡だった。
サルバトーレさんの死に続き、バルカン地域への従軍者など兵士6人の白血病死が明らかになる中で、マタレラ伊国防相はそれまで全面否定していたボスニアでのNATOによる劣化ウラン弾使用の事実を一転して認めた。
初めて大量の劣化ウラン弾が実戦使用された湾岸戦争がぼっ発(91年1月)する直前、サルデーニャ南部のテウラーダ伊軍基地で米軍が参加して行われた対戦車砲撃演習に、同弾が使われていた可能性も浮上した。当時、兵役で基地におり、戦車や砲弾の破片を素手で回収した兵士が白血病になって94年5月に22歳で死亡していたからだ。
北部に比べて貧しい南部の中でも、失業率が30%にも達するサルデーニャやシチリアでは、兵役を終えた若者がそのまま志願兵となってバルカンへ派遣されたケースが多く、被害者は両島出身者に目立つ。
地元紙「ウニオネ・サルダ」の編集局長(32)は「志願兵は軍のかん口令で証言できないが、兵役の若者たちに不信感が広がっている。実態は明らかになってくるだろう」と言う。同紙記者(30)は「サルデーニャだけで、死者2人のほかに、バルカン地域に派遣された経験のある兵士少なくとも4人が白血病やがんの治療を続けている」と話している。【カリアリ(伊サルデーニャ)・井上卓弥】●自国兵保護に使用
なぜ、ボスニアやコソボで劣化ウラン弾が使われたのか。
NATOは欧州17カ国と米国、カナダで構成する軍事同盟。冷戦が終結し、東西陣営の対立の構図が消えた1990年代、NATOは地域紛争対応型へと役割の重点を移し始めた。この紛争介入の舞台になったのが94年に初の空爆を行ったボスニア内戦で、99年のコソボ紛争がこれに続いた。
NATOの盟主・米国は自国兵が犠牲になる危険のある地上戦には慎重で、空爆主体の軍事介入に傾く。高度の上空からA10対地攻撃機などで戦車部隊を攻撃するために破壊効果が大きい劣化ウラン弾を使用する選択は、米軍の論理からすれば自明の結論だった。
同じように劣化ウラン弾が大量使用された湾岸戦争と異なるのは、空爆後に和平協定が結ばれ、NATO自体や欧州諸国の兵士が国際平和維持部隊として現地に長期滞在している点だ。しかし、米軍は劣化ウラン弾の正確な使用状況など詳細な情報について、平和維持活動に従事する他のNATO加盟国部隊に十分に伝えていなかった。「米軍が(劣化ウラン弾の)影響はないと説明する以上、問題ではない」と現地のフランス軍医は語るだけだ。
さらに、劣化ウラン弾の被弾地域で暮らす住民たちへの影響も不明なままだ。人体被害や環境汚染が心配されながら、行政当局が実態究明に及び腰で、貧弱な医療施設では住民の健康調査も実施し切れない。
NATOや欧州各国政府は「劣化ウラン弾が人体に及ぼす影響は立証できない」(米国防総省)という公式見解を踏襲している。しかし、米軍の情報公開が進まない中で、「バルカン症候群」への疑惑と懸念が膨らみ、欧州では劣化ウラン弾の使用中止を求める世論が高まりつつある。【ブリュッセル・森忠彦】●米国は因果関係否定
米政府は「バルカン症候群」といわれる症例が実際に存在するかどうかを疑い、これと劣化ウランを結び付ける考え方に強く反発している。劣化ウラン弾は湾岸戦争で多用され、米国ではその後、白血病や貧血などを含む湾岸戦争症候群が問題化した。米国防総省は96年ごろから劣化ウランと同症候群の関連を調べ、直接的な因果関係には否定的な報告書をまとめている。
こうした調査は欧州諸国も承知しており、国防総省高官は「貫通力の強い劣化ウラン弾は、コソボ紛争などでNATO軍兵士の安全に寄与した」と述べ、今さら問題にするのはおかしいと主張する。「バルカン症候群」が問題化した背景として、圧倒的な軍事力を誇る米国に対する欧州の反感を指摘する見方も強い。
ただ、国防総省の調査で劣化ウランの「安全性」が完全に立証されたわけではない。官主導の調査がいま一つ透明性を欠くのも確かで、欧州などの中立機関による包括的な調査を期待する声もある。【ワシントン・布施 広】<ことば>劣化ウラン弾
天然ウランの濃縮処理過程で派生する劣化ウランを弾頭に使用した砲弾で、貫通性に優れる。米軍が湾岸戦争(1991年)でイラク戦車部隊に大量使用。米英の従軍兵に発生した疾患「湾岸戦争症候群」との因果関係が問題となった。
NATOはボスニア(94〜95年)で約1万発、コソボ(99年)で3万1000発を撃ち込んだと認めている。現地の国際部隊に「バルカン症候群」と呼ばれる同様の健康被害が現れ、原因究明を求める声が高まっている。
日本では95〜96年、米海兵隊が鳥島爆撃場で1520発を誤射したことが発覚。在日米大使館は97年8月、在日米軍基地の劣化ウラン弾をすべて撤去したことを明らかにした。(毎日新聞 2001/01/07)NATO、劣化ウラン弾の危険性認識 内部文書で判明
バルカン半島で北大西洋条約機構(NATO)軍が使った劣化ウラン弾について、NATOが1999年夏に、劣化ウラン弾による健康被害の可能性を指摘していたとするドイツ国防省の内部文書がある、と8日付の独紙ベルリナーモルゲンポストが報じた。
同紙が伝えた99年7月16日付の文書によると、NATOは同月初め、バルカン半島の作戦で使われた劣化ウラン弾に毒性がある可能性を指摘した上で、予防手段をとるよう奨励してきた。文書は国防次官名で出され、NATO側には同弾の「毒性」による汚染を除去する計画はない、とも指摘した。
劣化ウラン弾による健康被害への懸念は、バルカン半島に派遣されたイタリア軍兵士らが白血病で死亡したことなどから問題化した。ドイツではユーゴスラビア空爆に参加したり、その後ユーゴのコソボ自治州に派遣された約6万人の連邦軍兵士のうち、これまで約120人を抽出して健康診断した結果、国防省が劣化ウラン弾による健康被害はないとした。しかし、99年夏に危険性を認識していたことが明るみに出て、シャーピング独国防相は世論の批判を浴びている。(朝日新聞 2001/01/08)劣化ウラン弾:コソボ派兵以前に危険性の警告受ける 独連
【ベルリン8日藤生竹志】バルカン地域に派遣されたNATO軍兵士に「バルカン症候群」と呼ばれる健康被害が相次ぎ、劣化ウラン弾との関連が疑われている問題で、ドイツ国防省報道官は7日、独連邦軍が1999年7月のコソボ派兵以前にNATOから劣化ウラン弾の危険性について警告を受けていたことを認めた。報道官によると、軍は予防措置を取るよう指示されていたという。
ドイツではこれまでのところ、97年8月から11月まで工兵部隊の下士官としてボスニアのモスタルに駐留し、98年初めに白血病を発病した元連邦軍兵士(25)の症例が見つかり、この元兵士のケースを再調査。しかし、シャーピング国防相は7日、「白血病発病はボスニア派遣が原因かどうか疑わしく、劣化ウラン弾が原因であるとは思えない」と、因果関係に否定的な見方を示した。(毎日新聞 2001/01/08)駐留米軍が演習で劣化ウラン弾使用=80年代から独国内に
【ベルリン9日時事】9日付の独紙ウェルトは、在独駐留米軍が1980年代半ばから、「バルカン症候群」との因果関係が注目されている戦車用劣化ウラン弾を大量に独国内の武器庫に保管し、一部を演習で使用していたと報じた。独国防省はこれまで、駐留米軍の演習は安全が確保されており、劣化ウラン弾は使用されていないとの見解を示していた。
同紙によれば、劣化ウラン弾の保管が始まったのは、北大西洋条約機構(NATO)に戦車部隊が導入されたころ。独連邦軍高官は同紙に対し、ユーゴ空爆などの際に、独南部の2カ所の演習場で「実際に使用された可能性を排除しない」と指摘した。(時事通信 2001/01/09)「因果関係は証拠ない」 劣化ウラン弾 米国務長官
【ニューヨーク8日共同】オルブライト米国務長官は8日、ユーゴスラビア・コソボ自治州などからの帰還兵が白血病となり、北大西洋条約機構(NATO)が使用した劣化ウラン弾との関連が疑われている問題で「(両者の)因果関係については証拠がない」と述べた。
長官はまた、旧ユーゴ国際戦犯法廷(ハーグ)に起訴されているミロシェビッチ前ユーゴ大統領を裁く問題で「(裁判は)ハーグで行われるべきだ」と述べ、ユーゴのコシュトニツァ政権周辺から浮上しているユーゴ国内での裁判は認められないとの考えを示した。(共同通信 2001/01/09)劣化ウランと白血病の因果関係を否定 世界保健機関
バルカン半島で北大西洋条約機構(NATO)軍が使った劣化ウラン弾に健康被害の疑念が出ていることについて、世界保健機関(WHO)の専門家は8日記者会見し「劣化ウランを含む粉じんを長期間吸引し続けると、肺がんの発生率が高くなる可能性は理論的にあるが、白血病との因果関係は確認できないし、ありえないと思う」と語り、白血病との関係に否定的な見解を示した。
同専門家によると、劣化ウラン弾が目前で爆発した場合、最悪でも1回当たりの被ばく量は最大10ミリシーベルト(放射線被ばくの共通単位)程度で、原発作業員らの年間の許容量である20ミリシーベルトより低いという。WHOは2月末までに、劣化ウランが健康に及ぼす影響をめぐる報告書をまとめる予定。
劣化ウラン弾の影響については、国連環境計画(UNEP)も調査を続けており、3月に最終報告を公表する。(毎日新聞 2001/01/09)劣化ウラン弾多数死亡か ボスニア・ヘルツェゴビナのハジチ
【ウィーン9日共同】1995年に北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆にさらされたボスニア・ヘルツェゴビナのハジチ村から脱出した村民約5000人のうち約400人がこれまでに、主にがんで死亡していたことが9日、明らかになった。専門家は空爆で使われた劣化ウラン弾が関係しているとみている。
ユーゴスラビアの独立系ベタ通信によると、ボスニア東部ブラトナツのヨバノビッチ保健センター長は9日、首都サラエボ近郊のハジチからブラトナツに逃れた難民のがん死亡率が異常に高く、劣化ウラン弾による放射能被ばくが原因だった可能性があると述べた。
大半がセルビア人住民だったハジチには旧ユーゴ軍の兵器工場があり、これを破壊するため劣化ウラン弾が大量に使用されたとみられる。(共同通信 2001/01/10)ユーゴからの帰還兵6人が入院=劣化ウラン弾問題−仏
【パリ11日AFP=時事】フランス国防省当局者は11日、劣化ウラン弾問題に関連し、旧ユーゴスラビア地域で平和維持活動に従事後、これまでに白血病などで入院した仏軍の帰還兵は6人であることを明らかにした。(時事通信社 2001/01/11)北朝鮮と中国が最大の懸念 米国防総省の報告書が指摘
米国防総省は10日、核、生物・化学兵器や弾道ミサイル開発の報告書を発表し、「北東アジアでは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と中国が最大の懸念だ」と指摘した。コーエン長官は、報告書を引用しつつ、北朝鮮、イラン、イラクの「脅威」を強調し、米本土ミサイル防衛(NMD)の必要性を唱えた。NMD配備を掲げるブッシュ次期大統領は、政権発足を目前に、NMD開発の根拠を得た形だ。エネルギー省の諮問委員会も同日、「ロシアの核物質管理が新政権の最も緊急な課題となる」との報告書をまとめ、大幅な予算増を提言した。
国防総省の報告書「拡散の脅威と対応」は、クリントン政権末期に和解ムードが高まった北朝鮮について、「南北朝鮮の首脳会談や米朝の高官会談にもかかわらず、強力な軍事力維持の方針を堅持しており、大量破壊兵器やミサイルの開発計画は安保戦略の核心であり続けるだろう」と述べ、「外貨の獲得手段として中東や南アジアにミサイル技術を輸出している主要国のひとつ」と強調した。
中国については、100発以上の核弾頭を保有し、核ミサイル戦力の大型化、精度の向上を進めている▽2015年までに米国を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)を数十基に増やす▽NMDに対抗して核兵器の近代化を速 める可能性が強い、と指摘した。
また、国際テロの黒幕として、米国が行方を追うオサマ・ビン・ラディン氏のイスラム過激派組織が、大量破壊兵器の獲得に関心を示している、と述べ、「経済の衰退、犯罪組織の強大化、兵器の研究機関の警備のゆるみ、核物質の輸出管理の甘さ」などが顕著になっているロシアが最も狙われやすい、と警告した。
4万発以上の核兵器、1000トン以上の高濃縮ウラン、150トン以上の兵器用プルトニウムがあるロシアについては、ベーカー元上院議員とカトラー元大統領顧問が共同議長を務めるエネルギー省の諮問委員会が、10日の報告書で、「核物質が盗まれ、テロリストや敵対国家の手に渡る危険が切迫している」と訴えた。委員会はブッシュ次期政権に対し、向こう8年から10年間で、核物質の管理強化予算として300億ドルを投じるべきだ、と提言した。(朝日新聞 2001/01/11)劣化ウラン弾:ギリシャ兵65人がコソボ派遣を拒否
【ローマ10日井上卓弥】10日付のアテネの地元紙「アテネ・ニュース」によると、コソボ平和維持部隊(KFOR)参加兵の交代期(1月半ば)を控え、ギリシャ国防省が8日に実施した志願確認調査の結果、コソボ勤務を希望していたギリシャ人兵士340人のうち、65人が「バルカン症候群」への不安などを理由に志願を取り下げた。
ギリシャは兵士約1400人をコソボに派遣しているが、軍人団体が9日、全員ををただちに帰還させるよう政府に要請するなど、バルカンに駐留した兵士が白血病やがんを発症する「バルカン症候群」への恐怖と、劣化ウラン情報を伏せてきた米英など北大西洋条約機構(NATO)中枢部に対する反発が高まっている。
バルカン半島南端に位置するギリシャは、地理的な条件や同じ東方正教を信じるセルビア人への親近感から、NATOのユーゴスラビア空爆(1999年春)に最も強硬に反対した。現在も米英に対する反感は根強く、「バルカン症候群」問題を契機に、KFOR参加拒否を唱える左翼系団体の抗議行動も活発化している。
ギリシャでは98年にボスニア平和安定化部隊(SFOR)に参加した兵士1人が白血病を発症したことがわかったばかりで、国防省が劣化ウランとの関係を調査している。(毎日新聞 2001/01/11)劣化ウラン弾:英軍は以前から危険性を認識と報じる 報道各社
【ロンドン11日岸本卓也】白血病など人体への悪影響が問題になっている劣化ウラン弾について、BBC放送など英報道各社は11日、4年前に英軍内部で作成された有害性を指摘する報告書を基に「国防省は以前から危険を認識していた」と報じた。発がん性などの症状との因果関係を否定する英国防省は「作成された書類は下士官の下書きであって幹部は採用していない」と弁解している。
報告書は1997年3月4日付の軍人向けの「医学リポート」と記され、劣化ウラン弾が破裂した際の粉じんを吸いこむことにより「二酸化ウランの粒子が体内に蓄積する」と指摘。二酸化ウランの「毒性は低い」としながらも「放射能によって肺やリンパ節などのがんを誘発する恐れがある」と強調している。
また、報告書は戦場でのウランの量は基準の8倍にもなるとして、防御用マスクなどの着用で粉じんの吸入を極力少なくするように警告している。一方、報告書とは別に、各報道機関は「ウラン粉じんが約50キロ四方にわたって浮遊し、地域住民の健康にも悪影響を与える」との専門家の話も紹介している。
バルカン地域に派遣した自国兵士に白血病が多発したイタリアなどの欧州各国政府の懸念に対して英政府は米政府とともに劣化ウラン弾と健康被害の因果関係を否定し、「湾岸戦争の帰還兵にも異常はない」と主張している。しかし、湾岸戦争に派遣された元兵士の間でも白血病などの「湾岸戦争症候群」が問題化している。(毎日新聞 2001/01/11)コソボ空爆後、がん患者急増=「劣化ウラン弾原因」と病院
【コソブスカミトロビツァ(ユーゴスラビア・コソボ自治州)11日AFP=時事】ユーゴスラビア・コソボ自治州北部コソブスカミトロビツァの病院関係者は11日、劣化ウラン弾問題に関連し、1999年の北大西洋条約機構(NATO)軍によるコソボ空爆後、同病院に入院するがん患者数が200%増加し、昨年は160人に達したと指摘した。
同関係者はAFP通信に対し、「患者の4割は劣化ウラン弾による空爆を受けた地域の出身者だ」とした上で、「がん患者がこれほど増加した原因は、劣化ウラン弾以外に考えられない」と非難した。(時事通信社 2001/01/12)劣化ウラン弾:1年前までの使用を認める イスラエル軍
【エルサレム11日海保真人】イスラエル軍は11日、1年前まで劣化ウラン弾を使用していたことを初めて明らかにした。
軍報道官によると、劣化ウラン弾は海軍が空と海上の標的のみを対象に用い、約1年前に使用をやめた。具体的な使用場所や中止の理由は明らかにしなかったが、レバノンとの国境紛争では使わなかったとしている。兵士の健康被害などは確認されていないという。
イスラエル軍はこれまで劣化ウラン弾の使用を公式には認めていなかったが、欧州での問題化を機にイディオト・アハロノト紙が11日、過去の使用を報じた。同紙によれば、1985年に地中海でパレスチナ・ゲリラの船を撃沈したのが最初の使用だったという。(毎日新聞 2001/01/12)劣化ウラン弾:兵士の本国帰還認める ギリシャ国防相
【ローマ12日井上卓弥】ユーゴスラビア・コソボ自治州を訪問中のギリシャのツォハツォプロス国防相は12日、コソボ平和維持部隊(KFOR)に参加しているギリシャ人志願兵に対し、「劣化ウラン弾の健康への影響に不安を感じる者には帰国を認める」と述べた。バルカン地域駐留兵士の健康被害「バルカン症候群」が問題化して以来、KFORに参加する北大西洋条約機構(NATO)加盟国のうち、兵士の本国帰還を認めたのは初めて。
ギリシャは志願兵約1400人をKFORに派遣しているが、今月半ばに予定される兵員交代期を前に、コソボ派遣が決まっていた志願兵約330人のうち、12日までに100人近くが希望撤回の意思表示をするなど、「バルカン症候群」への不安が高まっている。同国防相は記者団に対し、「劣化ウラン弾による健康被害の可能性が存在する限り、たとえ1人の兵士であっても、本人の意思に反してコソボに駐留させることは好ましくない」と述べた。
NATO加盟国の中で米英は劣化ウラン弾と「バルカン症候群」の関係を否定しているが、因果関係を追及するギリシャや独伊との溝がさらに深まりそうだ。(毎日新聞 2001/01/13)原水協、米英などに劣化ウラン弾使用禁止を要求
原水爆禁止日本協議会(原水協、共産党系)は13日、北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴスラビア空爆で使用された劣化ウラン弾でコソボ自治州などで白血病が多発するなどの影響が出ているとされる問題で、劣化ウラン弾の使用禁止を求める文書を米国、英国、NATO本部、国連事務総長あてに送付した。日本政府には、在日米軍の劣化ウラン弾配備や演習での使用の実態の調査、公表などを求めた。(朝日新聞 2001/01/14)生き延びたフセイン政権:石油利権巡り各国の企業が攻勢
バグダッド随一の高級ホテル「アルラシッド」。最近は外国人ビジネスマンの宿泊客がめっきり増えた。対イラク国連経済制裁で乳幼児死亡率が高まったなどの批判を受け、1996年12月、制裁が部分解除され、国連監視の下で石油が輸出できるようになったのがきっかけだ。「以前から多いフランス、ロシアのビジネスマンに加え、日本や米国からの方も目立つようになりました」とフロント係の男性が明かした。
ホテルで会った中国人ビジネスマンから商談の内実を耳にした。「今、イラクを訪れるビジネスマンはみな、必死にラマダンもうでをするんです」
ラマダン副大統領を中心とした「ラマダン委員会」という名の組織が設置され、外国企業との取り引きを取り仕切っているのだ。外国人ビジネスマンは石油開発や販売などをめぐり、石油省や貿易省などと下交渉を重ねた末、ラマダン副大統領と面談、委員会の了承を願い出るという。
委員会に認められた企業のビジネス案件だけがフセイン大統領に届くしくみと言われ、商談成立までには半年から3年はかかるとされる。だが、委員会構成メンバーなど詳細はベールに包まれたままだ。
世界全体の11%、1120億バレル。イラクはサウジアラビアに次ぐ世界第2の原油確認埋蔵量を誇る。制裁後、10年を経て、世界各国はすでに制裁全面解除後をにらんだ石油利権獲得に奔走している。
湾岸戦争当時、対イラク空爆容認で足並みをそろえた米、英、仏、露、中の国連安保理常任理事国はその後、強硬派の米英と、制裁の早期解除を求める他の3カ国に分裂。安保理が武器査察のため創設した「国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)」の委員長人事をめぐっても、決着までに「反イラク的でない委員長を」と主張する仏露中と米英が対立する一幕があった。
露、仏、中の各国はそれぞれイラクに160億ドル、100億ドル、50億ドルの債権を持つ。3国が制裁解除に前向きな背景には債権早期回収の思惑もある。
11月、バグダッド入りしたエジプト紙「エル・オスボア」のムスタファ・バクリ編集局長との会見で、ラマダン副大統領は「各国はイラクが豊富な石油資源を抱える重要な国だと改めて気付きつつある。イラクとの関係改善を志向する国を結集すれば、反米英社会を築ける」と自信を示したという。
バグダッドではここ数年、高級レストランが増え続けている。あるレストラン店員は「最近は週末になると、外国人ビジネスマンばかりでなく、イラク人の家族連れがひっきりなしにやって来る」と話す。
大半の国民が依然、貧困にあえぐ中、「ラマダン委員会」は、外国企業とのビジネスでもうけた“新興成金”を生むほど、制裁解除に向けた実を上げている。【バグダッド・小倉孝保】(毎日新聞 2001/01/16)「バルカン症候群」 NATOがウラン弾説否定
【ブリュッセル16日=三井美奈】北大西洋条約機構(NATO)の医療関係者による専門家委員会は16日、バルカン半島で平和維持活動に参加した兵士が白血病やがんを発病する「バルカン症候群」と、劣化ウラン弾との因果関係を否定する調査報告を発表した。
NATO欧州側では、バルカン症候群は、一昨年のNATOの対ユーゴスラビア空爆などの際に、米軍が使用した劣化ウラン弾に起因するとの懸念が高まっている。
このため、同委員会は15日の特別会合で、NATO加盟国から提供されたデータや調査を基に分析。「バルカン半島派遣兵の発病率や死亡率が、派遣されていない兵士より高いとは認められない」との結果を得た。報告は、NATOが設置した特別調査委員会に提出される。(読売新聞 2001/01/17)ネズミの異常発生を防ぐ技術が生物兵器に悪用される?(WIRED NEWS 2001/01/19) ソマリアでも使用か 米軍の劣化ウラン弾
【ベルリン20日共同】22日発売予定のドイツ週刊誌シュピーゲルは、米軍がアフリカ東部のソマリアでも、がんとの因果関係が疑われている劣化ウラン弾を使用していたと報じた。
同誌が入手した米軍の内部文書によると、1993年に国連平和維持活動(PKO)でソマリアに展開した米軍当局は「被ばくで多数の被害者が出ている」として、衛生兵に安全管理の徹底を指示していた。
同誌によると、米軍は劣化ウラン弾の危険性について、国連や他のPKO参加国、地元住民らに知らせていなかったという。(共同通信 2001/01/20)国連 劣化ウラン弾の毒性を実証
国連環境計画(UNEP)は17日、コソボ地区で北大西洋条約機構(NATO)が使用した劣化ウラン弾の破片からウラン236を確認、これは劣化ウラン弾にある劣化ウランが「処理された劣化ウランであることを証明している」と指摘した。
科学者らによると、劣化ウラン弾は着弾すると、弾頭の含まれているウランとプルトニウムが気化して微粒子となり大気中に放出され、呼吸を通じて肺に取り込まれる。プルトニウムの放射性はウランの20万倍あり、毒性も100万倍あると言われ、例え微量であっても健康に影響を与え、肺がんや骨がんなどの発病率が高まる。(人民日報 2001/01/20)
遺伝子操作で致死ウイルス 研究中に偶然できる
【ワシントン23日共同】遺伝子を組み換えたウイルスを研究中に、致死性の高いウイルスを偶然作り出してしまったと、オーストラリア国立大などの研究チームが23日までに、米医学誌「ウイルス学」に発表した。
この致死性ウイルスはネズミにしか感染せず人間への危険はないが、同チームは「この方法で、危険な病原体を簡単に作り出せることが分かった」と指摘。遺伝子操作技術が生物兵器に悪用されないよう、条約などで規制する必要があると強調した。
同チームが研究に使ったのはネズミの病気の一種、マウス痘のウイルス。免疫を活性化するインターロイキン4の遺伝子を組み込んでネズミに感染させて、生殖細胞を免疫反応で破壊し不妊化。ネズミの繁殖を抑えて農作物への被害を小さくすることを狙った。
ところが、遺伝子を組み込んだウイルスを感染させると、先天的に免疫がありマウス痘にかからない系統のネズミも病気を発症して次々に死んでしまい、予防薬も効果が少なかった。
同チームのボブ・シーマーク博士は「遺伝子組み換えでウイルスの致死性が高まった。理論的には人間に感染するウイルスに同じ操作を加えることが可能」という。同チームは当初、このウイルスを政府にだけ通報したが「世界に警告することが技術の悪用防止につながる」と学術誌での公表に踏み切った。(共同通信 2001/01/24)健康被害の増加認められず 劣化ウラン弾でNATO委
【ブリュッセル24日共同】劣化ウラン弾問題に関する北大西洋条約機構(NATO)の専門委員会は24日、バルカンに派遣されていない兵士らと比べ、帰還兵の健康被害が増えている事実は認められないと発表した。
NATO加盟国の軍医総監らで構成する軍医長委員会は16日、同様の中間報告を発表しており、今回の現状報告もこれを踏襲する内容となった。
専門委は、NATO非加盟国を含め、同委に参加している約50カ国と5つの国際機関から得た情報を検討した結果、「健康被害と劣化ウラン弾の関連を裏付ける報告をした国はなかった」としている。
NATOは同日、情報開示の一環として、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争での劣化ウラン弾の使用状況に関する地図をインターネット上で公開した。(共同通信 2001/01/25)欧州会議が禁止求め決議 劣化ウラン弾
【パリ25日共同】欧州と旧ソ連諸国など計43カ国で構成する欧州会議は24日の総会で、北大西洋条約機構(NATO)軍が旧ユーゴスラビア地域の紛争で使用し、多数の兵士らの発がんが報告されている劣化ウラン弾について「全面禁止」を求める決議を採択した。
決議は劣化ウランを使用した兵器について「製造、実験、使用、販売の禁止を求める」とした上で、NATOと国連に対し、旧ユーゴ地域に住む市民や従軍兵士、紛争地域で活動した非政府組織(NGO)メンバー、記者らの健康被害調査を実施するよう要請した。(共同通信 2001/01/25)国連、劣化ウラン弾破片からウランを検出 コソボ
国連環境計画(UNEP)のバルカン調査チームの責任者は24日、同チームによる調査により、NATO(北大西洋条約機構)がコソボで使用した劣化ウラン弾の破片からウラン(236)が検出されたことを明らかにした。
同責任者は、イタリアの環境省副省長との会談後開かれた記者会見の席で、上のように述べた。また調査チームはコソボの11の地域で調査を行い、水、土、植物、ウラン弾の破片など340種類をサンプルとして持ち帰り、現在検査が進められていることも明らかになった。結果は3月初めには発表される予定。
同責任者によると、「現在の状況から判断して、劣化ウラン弾の影響はないという説は明らかに間違ったものである」と述べ、ウラン(236)が、児童、動物、地下水に大きな悪影響を及ぼす可能性が高いとの考えを明らかにした。さらに対象地域以外の場所にも汚染が広がる危険性についても言及した。(人民日報 2001/01/26)イラク:劣化ウラン弾の健康被害を見る
湾岸戦争(1991年)で、多国籍軍の主体となった米軍が劣化ウラン弾を大量使用したイラクでは、開戦から10年を経た今、がんなどの健康被害を訴える住民や元兵士が急増している。だが、国連経済制裁下、劣悪な医療事情などのため、原因究明に向けた科学的な実態調査は緒に付いたばかりだ。ボスニア・ヘルツェゴビナ(94〜95年)、コソボ(99年)紛争で使用された劣化ウラン弾と健康被害との関連に、改めて世界の関心が集まる中、劣化ウラン弾使用の“先進地”といえるイラクの現状を見た。【イラク南部バスラ、ハルサで小倉孝保】イラク南部の中心都市・バスラ(約150万人)にあるバスラ小児・産科病院。モハメド・ホージーちゃん(5つ)は7カ月前に白血病と診断され、入院中だった。実母を1年前にやはり白血病で亡くしたばかりだった。担当のスリン・シルブ医師は「家族や兄弟が相次ぎ、がんや白血病になるケースが目立つ。湾岸戦争前には見られなかった現象だ」と話す。付き添いの叔母、アベドさん(32)は「戦争が終わった後も、なぜ、こんなに苦しまなければならないのか・・」とため息をついた。
湾岸戦争では米軍がイラクの戦車部隊などに対し、95万発、約300トンもの劣化ウラン弾を使用したとされる。その多くが、激戦地となった、クウェート国境に近いイラク南部で使われた。
戦後、イラクでは白血病やリンパ腫などの患者が目立つようになった。イラク保健省によると、バスラ州のがんによる死者は戦前の1988年が33人だった。だが、戦後の94年には219人に急増、97年303人、98年428人、99年450人と患者数は増加の一途だ。また、90年に人口10万人当たり11人だったがんの発生率は、昨年は83人と約7.5倍になった。
バスラ医大付属病院がんセンター長、ジャワッド・アリ医師は「詳しい調査が不可欠だが、これだけ急増している原因は劣化ウラン弾の影響しか考えられない」と指摘する。最も被害が集中しているとみられるのは、バスラ近郊の都市ハルサ(約15万人)だ。アリ医師は「兄弟6人全員ががんを発症した例もある。このあたりにペルシャ湾岸からの海風が吹き付けることと関係しているのでは」と証言する。
ハルサに住む会社員、ファーレハ・マシュートさん(51)は「この街の住民は体調が悪くなると、すぐ劣化ウラン弾と関係があるのではと疑うようになった。だが、きちんとした調査は手つかずで、住民は今も『見えない敵』と戦っている」と話した。
バスラ医大付属病院では、1年ほど前から、腰に痛みを感じていたというイラク海軍の兵士、ドゥライド・サアドさん(35)がレントゲン写真を前に、医師からせき髄がんの宣告を受けていた。
サアドさんは湾岸戦争当時、イラクのペルシャ湾への拠点の1つ、ウンム・カスル港で兵士として勤務した。連日、多国籍軍の空爆の下で働いた記憶がある。医師は「爆撃によって飛び散ったウラン微粒子を大量に吸い込んだ可能性がある」と言う。妻と長男(10)と長女(6)を抱えるサアドさんは「ショックで何も考えられない。家族の将来が心配だ」と消え入りそうな声で話した。◆被害調査ようやく
イラク保健省は非政府組織(NGO)の医療、環境問題の専門家らとともに「劣化ウラン弾調査対策委員会」を結成、世界保健機関(WHO)などと、徐々にだが、被害調査と対策の検討を進めてきた。だが、国際機関による本格的な現地調査は欧州で劣化ウラン弾問題が注目され始めたのを受け、今月19日、WHOの専門家5人がイラク入りしたのが初めてだ。
同委メンバーのサミ・アラジ博士(環境工学)は「劣化ウラン弾が使用された地域では、健康被害が年々、拡大して行くことをイラクの例が証明している」と指摘、国際社会が被害救済の仕組みを早急に構築する必要性を訴えた。(毎日新聞 2001/01/27)寒さで避難民110人死亡 アフガニスタン
【イスラマバード31日ロイター=共同】国連アフガニスタン人道支援調整官事務所(UNOCHA)は31日の声明で、同国西部の都市ヘラートで、干ばつや内戦による避難民のうち女性や子供を中心として110人以上が一晩で、氷点下25度の寒さのため死亡した、と述べた。
声明によると、ヘラート地区には6つの避難民キャンプがあり約8000人が生活。昨年12月半ば以降、毎日300―500人の避難民が同地区に流入している。
また、干ばつのために同国西部で約5万世帯(約30万人)の生命が危機的状況にあり、被害地域は拡大する傾向にあるという。(共同通信 2001/01/31)「集団的自衛権を行使せよ」これがブッシュの対日政策だ
【資料】米国防大学国家戦略研究所(INSS)特別報告
合衆国と日本―成熟したパートナーシップに向けて
(自主・平和・民主のための広範な国民連合 月刊『日本の進路』2001年2月号)米政権、カスピ海原油パイプライン建設案を支持
【ワシントン31日ロイター】ブッシュ米大統領とパウエル国務長官のカスピ海エネルギー政策担当特別顧問のエリザベス・ジョーンズ大使は、ブッシュ政権が、トルコを経由して西側市場へカスピ海原油を輸送するパイプラインの建設案を支持していることを明らかにした。
この案は、30億ドルを投じて、アゼルバイジャンの首都バクーからグルジアを経由し、トルコの地中海沿岸のジェイハン港までの約1000マイル(約1600キロメートル)をパイプラインで結び、原油輸送を行うというもの。
同大使は、バクーとジェイハンを結ぶこのパイプライン建設案について、閣僚レベルでの協議は行われていないが、大統領はこの案を支持している、と述べた。(ロイター通信 2001/02/01)米本土攻撃で壊滅的被害…米超党派「安保委」報告
【ワシントン31日=林路郎】米議会の諮問を受けて今後25年の米国への脅威と対策を検討していた超党派の「21世紀国家安全保障委員会」(座長=ゲイリー・ハート元民主党上院議員)は31日、報告書を公表し、「今後25年内に米本土への攻撃で壊滅的な被害を受ける可能性がある」と予測した。
本土攻撃の例としては、ミサイルに搭載された核兵器よりも、生物・化学兵器や、国防・産業部門を支えるコンピューターシステムに対するサイバー攻撃の可能性が高まったと指摘。こうした新型テロ攻撃に対する本土のぜい弱性を克服するため、「ホワイトハウス、国務・国防両省、議会などの安全保障にかかわる政府部門の大規模な機構改革が必要だ」とも提言した。
報告は、こうした攻撃に即座に対応しなければ、「米国民を危険にさらすだけでなく、世界における米国の指導力を脅かすことになろう」と未来を悲観視している。(読売新聞 2001/02/01)ブッシュ大統領、シャロン党首勝利を電話で祝福
ワシントン(CNN)イスラエルの首相公選で野党リクードのシャロン党首が当選を確実にしたのを受け、ブッシュ米大統領は6日、シャロン党首を電話で祝福し、中東和平に向けた協力を期待していると語った。
ホワイトハウスのフライシャー大統領報道官が明らかにしたところによると、ブッシュ大統領は6日、イスラエルのバラク首相が敗北宣言をした直後に、シャロン党首と電話で会談。同党首の勝利を祝うとともに、「中東の平和と安定に向けた努力などに、協力して取り組むことを楽しみにしている」と語った。 (CNN 2001/02/07)イスラエル新首相シャロン「今日、イスラエルの国家は新たな道を歩み始めた」「私が組織する政府は、統一エルサレムをユダヤ人の永遠の首都とするよう尽力する」(テルアビブでの勝利演説で 2001/02/07)
パレスチナ自治政府エルサレム担当相アブ・ジアド「彼は軍人であり、戦いの人であり、イスラエル拡張主義の人であり、人の土地を占領するのに何のためらいもない人物だ」「イスラエルとパレスチナの民が互いに仲良くするという価値基準そのものが、受け入れられない人だ」(CNN 2001/02/07)
NMD推進、日本の核武装化もたらす=米上院議員が警告
【ワシントン6日時事】米上院外交委員会のバイデン議員(民主、デラウェア州)は6日、記者会見し、「ブッシュ政権が全米ミサイル防衛(NMD)構想を推進するなら、将来は日本の核武装につながる」と指摘。日本の核武装化の可能性にも言及して、同構想に強く反対する考えを示した。
バイデン議員は「ブッシュ大統領が欧州諸国の反対を押し切ってNMD構想を進めることは可能だが、その代償は非常に大きい。特に中国が対抗して核兵器を増強することは間違いない」と語った。その上で、「こうした状況は日本や朝鮮半島の核武装を招くことになる」と述べ、NMD構想の推進は日本や朝鮮半島の核武装に発展すると警告した。(時事通信社 2001/02/07)ラディン氏が最大の脅威 CIAが年次報告
【ワシントン7日共同】米中央情報局(CIA)のテネット長官は7日、米議会に年次報告「世界の脅威2001年」を提出、反米テロの黒幕とされるウサマ・ビン・ラディン氏を「米国にとって最も深刻で差し迫った脅威」と指摘、ブッシュ政権は同氏のテロに備える必要があると強調した。
報告はラディン氏が1998年に「すべての米国民はテロの正当な標的だ」と宣言したことを明らかにし、中東、南アジア、東南アジアに張り巡らしたラディン氏の「地球規模のネットワーク」が無防備な米国施設にいつでも同時テロを遂行できると警告した。
またラディン氏がインターネットを利用して「化学、生物、さらに核兵器を使った攻撃のための準備もしている」として、米情報機関はコンピューター時代に即した情報入手に努める必要があると述べた。
一方、フセイン・イラク大統領が国連制裁への反対でアラブ世界の支持を取り付け、化学兵器など大量破壊兵器の製造に必要な施設の建設に成功しており、ブッシュ政権の脅威となるだろうと予測。フセイン大統領はシーア派など国内の不満分子弾圧にも成功し、国内基盤を一層強化したとの見方も示した。(共同通信 2001/02/08)及び腰の米イラク空爆 ハイテク依存の軍事ショー
【ワシントン17日共同】ブッシュ米新政権は16日の対イラク空爆で「よりタフな姿勢でイラクに臨む」とのメッセージを伝えたと強調しているが、空爆で使われたミサイルは地上の対空ミサイルなどが届かない高高度の戦闘爆撃機から発射するハイテク兵器で、及び腰の対イラク空爆の印象はぬぐえない。
精密兵器に頼る空爆では地上の敵部隊の主力の排除は困難。米国が「目的は達した」(ニューボールド統合参謀本部作戦部長)と言うほど、イラク軍が破壊されたのかどうかは不透明で、包括的なイラク政策ができていない中、今回の単発の空爆は新政権発足に伴う軍事ショーのイメージの方が強そうだ。
米英軍機24機はすべて、イラク南部の「飛行禁止空域」のうち、イラク軍が地上に対空防衛施設を持っていない空域にとどまったまま精密誘導ミサイルの「AGM―130」「AGM―154」を発射、80キロ離れたイラク軍のレーダー基地の破壊に成功した。
しかも戦闘爆撃機は地上からはるかに遠い高高度を飛行中にミサイルを発射したとみられ、操縦士らに危険が及ぶ懸念はなかった。
こうしたハイテク兵器は、米兵の犠牲によって世論が軍事介入に反発を強めたベトナム戦争の反省から開発が進められ、1991年の湾岸戦争で使用を開始。一昨年のユーゴスラビア空爆では「新時代の軍事作戦の主役」となった。
しかし、マケイン共和党上院議員が「敵の弾が届かないところから一方的に攻撃するのは、戦争のモラルに反する」と批判しているほか、人権団体を中心に国際社会からは「目視での標的確認ができないことから、誤爆で民間人が犠牲になる例が多過ぎる」との指摘も根強い。(共同通信 2001/02/17)
命中率は4割以下 米英のイラク空爆は成功せず
【ワシントン22日共同】米国防総省のキグリー副報道官は22日の定例会見で、米英軍による16日の空爆で破壊したはずのイラク軍の2つのレーダー施設が完全に稼働していることを明らかにし、空爆の効果が予想外に上がらなかったことを認めた。
AP通信によると、標的とした25のレーダー関連施設への命中率は38―40%で、外れた爆弾は標的から90―130メートルずれて着弾。国防総省は空爆全体を「良くて中」とみているという。
イラク軍は22日、北部の「飛行禁止空域」で監視飛行に当たる米軍機を攻撃、米軍機が反撃するなど緊張は終わっておらず、米軍による再空爆の可能性も強まっている。
副報道官は「攻撃に使った爆弾は完全には効果を上げなかった」「高性能の爆弾を使った爆撃でも失敗することはある」などと説明した。
22日付の米紙ワシントン・ポストによると、標的を外したのは米海軍のF18戦闘爆撃機が発射した精密誘導爆弾JSOW。標的の25施設のうち8施設の破壊しか確認できていない。
JSOWは衛星利用測位システム(GPS)で標的を記憶する誘導爆弾で、1999年の対ユーゴスラビア空爆から使用を開始し「米軍が将来の戦闘で依存する爆弾」(同副報道官)とされる。(共同通信 2001/02/23)
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