全米初の潮力発電計画を申請〜NY企業、イースト川に水車設置へ
現在、発電に使える再生可能エネルギーでは風力とソーラー(太陽光・太陽熱)が最も大きなシェアを占めるが、ニューヨーク州では潮の干満を利用する米国初の潮力発電計画が進められている。
クリスチャン・サイエンス・モニターによると、エネルギー再生技術開発のバーダント・パワー(ニューヨーク市)はこのほど、同市内を流れるイースト川に水中タービン(水車)30基を設置して商用規模の電力を生産する計画を、連邦エネルギー規制委員会(FERC)に申請した。
同社は2002年に試作タービンによる実験を始め、06〜08年にタービン6基で実用試験を行い、市内企業に電力を供給しながら詳細なデータを収集した。新しいタービンのデザインや実験資金の一部はエネルギー省が提供し、コロラドの国立再生可能エネルギー研究所(NREL)、ニューメキシコのサンディア国立研究所(SNL)、ミネソタ大学なども同社の研究を支援している。
潮力発電は、満ち引きする海水でタービンを回し、電力を作り出す発電方法。実際には「海峡」であるイースト川に設置されるバーダントの水中タービンは3枚羽根で、形は風力発電用のタービンに似ている。同社はこれまでに、発電システムが水中の生態系に損害を与えないことを証明した。
潮力発電研究が最も進んでいるのは英国で、スコットランド沖の大規模な試験事業では、英国の電力需要の20%を潮力発電で供給できる可能性が示されている。カナダでも、潮位の差が激しいことで知られるファンディ湾で試験事業が進められている。
米国で1年間に消費される電力量は約4000テラワット時(TWh)だが、マサチューセッツ大学の再生可能エネルギー研究者ジョン・ミラー博士によると、海上風力発電はそのうちの約1000TWh、波力発電は現在のダム式水力発電の総生産量とほぼ等しい約260TWhを供給する可能性が見込まれており、潮力発電でさらに約110TWhを供給できる可能性があるという。(U.S. FrontLine 2011/01/07)安価で安定、さらにエコ 水を有効発電 電力各社が注目
電力会社が、農業用水や砂防ダムなど、これまで発電にあまり使ってこなかった水に目を向け始めた。大規模なダムをつくって水力発電をすることはできないが、水力は太陽光と違って夜でも雨の日でも発電できるため、少しの水でも有効に使おうという狙いだ。背景には、産業界が温室効果ガスの排出削減を問われていることがある。
東京電力は昨年12月から、長野県大町市の高瀬川支流で農業用水を使った発電所を建設している。用水をためておく池と約114メートル下の発電所を管でつなぎ、管の中で水を落として発電する。
出力は1000キロワットで、来年6月に運転開始予定。農業用水を使った発電所は東電では1931年以来79年ぶりだ。
同県栄村の栃川でも昨年12月、出力1000キロワットの発電所の運転を始めた。こちらは川にせきをつくって水をため、そこから水を水路に流し込んで発電する。水路式発電所の開発も48年ぶりだ。
東電は「温暖化対策への関心の高まりから、これまで注目していなかった水資源も活用した」という。
中部電力は昨年9月、同県の烏川で、大雨の時に土砂の流出を防ぐ砂防ダムを電力会社で初めて使い、発電を始めた。出力は240キロワットと小規模だが、このような小規模な水力発電所は同社では57カ所目になった。
関西電力は同県の木曽川にあるダムで、下流の生態系などを守るために最低限流し続けなければならない水を使う発電所をつくっている。同社では初の試みだ。
出力は480キロワットで、昨年10月に運転し始めた堺市の太陽光発電所の2850キロワットより小さい。だが、夜でも雨でも一日中発電できるため、年間の発電量は逆に15%ほど多くなるという。建設費は5億円の予定で、堺太陽光発電所の方が数倍高いとみられる。
電力各社は温室効果ガスの排出削減のため、新エネルギー利用特別措置法(RPS法)で、太陽光や風力、小規模水力など再生可能エネルギーによる電力を一定割合以上に増やすことを義務付けられている。太陽光発電所の建設も競っているが、費用が少なく、いつでも発電できる水力も見直されつつある。(竹中和正)(朝日新聞 2011/01/16)自然エネルギー:島の自然を活用、自給へ
島や地域で使うエネルギーの大半を、太陽光やバイオマスなど自然エネルギーで賄おうというプロジェクトが各地で広がっている。環境対策と同時に、経済的な自立をもくろんでいる。【足立旬子】●反原発が出発点
「約500人の島民が使う電力を100%自然エネルギーで賄う」──。瀬戸内海に浮かぶ山口県上関町祝島の島民と支援者が今月16日、こんな構想を公表した。構想実現に向けて、住民らが「祝島千年の島づくり基金」を発足させた。
祝島周辺には美しい自然海岸が残り、絶滅危惧種のカンムリウミスズメなどが生息する。しかし、82年、対岸に中国電力上関原子力発電所計画が浮上した。海域を埋め立てるため、貴重な生態系への影響が懸念されている。
原発に反対する住民はエネルギーを自給させることが重要と考えた。そこで、住宅100戸にそれぞれ3〜4キロワットの太陽電池を設置する。し尿を生かすバイオマス発電や小型の風力発電、太陽熱温水器を順次導入し、10年間ですべての島民が暮らすのに必要な約1000キロワットの自給を目指す。
特徴的なのは、趣旨に賛同する企業やアーティストらから売り上げの1%を寄付してもらうことだ。イラストレーターの黒田征太郎さん、祝島を舞台にしたドキュメンタリー映画「ミツバチの羽音と地球の回転」を製作した鎌仲ひとみ監督ら支援者は多彩だ。アウトドアウエアメーカー「パタゴニア」も参加の意向を示した。
基金理事の山戸孝さん(33)は「島内外の人を巻き込みながら、エネルギーの自給に加え、豊かな自然を生かしたエコツーリズムや海産物などで経済的な自立を目指したい」と訴える。●地域経済に貢献
島で使うエネルギーを自然エネルギーで賄う取り組みは、デンマークのサムソ島が知られる。98年から10年間で100%自給の島を目指し、陸上と洋上の風力発電や太陽光発電、家畜のふん尿を使ったバイオマスを利用し、すでに電力自給100%を達成した。祝島のプロジェクトに協力するNPO「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長は「サムソ島の成功によって、世界で自然エネルギーが飛躍的に普及し始めた」と話す。
国内では岩手県葛巻町が約10年前から風力発電や、牛ふんなどを利用したバイオガス発電を進める一方、省エネにも取り組み、町内の約7割のエネルギーを賄っている。全国の自治体などから年200件の見学がある。
徳島県上勝町は、総務省が募集した「緑の分権改革」の調査事業として、地域経済の活性化のため、自然エネルギー利用の拡大を目指している。
町の人口1940人のうち、65歳以上の高齢者がほぼ半数を占める。山の手入れは不十分で、建材に向かないスギなどが広がる。これらを利用したバイオマス発電や、急峻(きゅうしゅん)な川を利用した家庭用の小規模水力発電、太陽光などを組み合わせる。町の担当者は「調査をすることで、かつて小規模水力発電が盛んだったことなど、町の資源を再認識した。自然エネルギー普及に伴う雇用確保も目指したい」と話す。
滋賀県東近江市は2030年までに二酸化炭素排出量を90年比で半減することを目指している。太陽光発電を設置している世帯は約4%で全国平均の1.1%を上回る。このうち、約120戸を対象に、太陽光で発電する電力に見合う金額を市内の商店で使える地域商品券として交付し、地域にどのような経済的波及効果が見込まれるかを調査した。近く報告書をまとめる。「売り手よし 買い手よし 世間よし」を「三方よし」という近江商人の発想が根底にある。市は「地域商店街にも恩恵がある仕組みを考えたい」と話す。(朝日新聞 2011/01/31)日立、風力発電用発電機を7割増産
日立製作所は9日、日立事業所山手工場(茨城県日立市)内に風力発電用の発電機の生産する新棟を建設したと発表した。投資額は40億円。既存の設備と合わせて新設備を順次稼働して増産体制を築き、2013年までに生産能力を現在の7割増となる年産2400台に高める。
風力発電用の発電機としては2棟目となる新棟は、2階建てで延べ床面積は8660平方メートル。工程集約や生産時間の短縮のなど効率化を図るといい、15年度までに同市場での世界シェアを6%以上に高めるのが目標だ。
日立は出力の不安定な風力電源を安定して使用できる制御機器に強みがあり、今年に入って富士重工業と共同開発した大型風力発電システム8基が、納入先の中部電力御前崎風力発電所(静岡県御前崎市)で稼働を始めている。
環境配慮型のエネルギーの重要性が増す中で、風力発電の需要は世界的に増加。09年に1億6000万キロワットだった発電出力は14年には4億4500万キロワットまで増えると見込まれている。(産経新聞 2011/02/09)沖縄・南大東島で新型風力発電 営業運転開始
沖縄電力は3日、沖縄本島の東約400キロにある南大東島で可倒式風力発電設備2基(出力各245キロワット)の営業運転を始めたと発表した。台風接近時などに倒して強風をやり過ごし、損壊を防ぐことができる設備。一般の電力供給に使うのは全国初という。
風速20メートルになると運転を停止、風車の支柱を倒す。仏ベルニエ社製で風車の直径は32メートル。建設費は4億円かかった。
南大東島では約600世帯に、ディーゼル発電設備6基で電力を供給。今回の風力発電設備の能力は合わせて約200世帯分に相当するという。燃料費と二酸化炭素(CO2)排出量の削減がねらい。(産経新聞 2011/03/04)太陽光発電のコスト激減 米長官、10年で火力並みに
【ワシントン共同】チュー米エネルギー長官は30日、20年末までに太陽光や風力によって一定の電力を得るための発電コストは火力発電と同等かそれ以下になるとの認識を示した。
オバマ大統領が米国の新しいエネルギー安全保障政策について演説した後の記者会見で質問に答えた。太陽光や風力発電は火力や原子力発電に比べて発電コストが高いことが普及の妨げになっている。
特に、太陽光発電のコストは技術の進歩で急速に下がっており、エネルギー省は20年末の発電コストは現在の半分に下がり、7割超下がる可能性もあるという。
また、食用に適さない茎や葉からバイオ燃料を作る最新型の工場を2年以内に4カ所建設する計画を発表した。
このほか、大統領が同日掲げた原油の輸入依存度を約33%削減する目標の期限は25年であることを明らかにした。(共同通信 2011/03/31)スペインの風力発電、最大の電力供給源に
【4月1日 AFP】再生可能エネルギーへの取り組みで知られるスペインの3月の電力供給で、風力発電の占める割合が前年同月比5%増の21%に達し、初めて最大の供給源になった。同国の送電網管理会社REEが31日に発表した。
太陽光や水力を含む再生可能エネルギー全体の割合は42.2%で、こちらは前年同月の48.5%より減少した。他の供給源の割合は、水力17.3%、太陽光2.6%、原子力19%、石炭火力12.9%などとなっている。
スペイン風力発電協会(AEE)によると、同国の3月の風力発電量は、ポルトガル程度の広さの国の電力消費1月分をまかなえるという。ホセ・ドノソ(Jose Donoso)AEE会長は、「この歴史的な成果は、風力が自然のクリーンなエネルギー源である上に競争力もつけており、スペインの300万世帯に供給する能力があることを示している」と語った。(AFP 2011/04/01)燃料ゼロ大助かり 移動太陽光発電機フル稼働 大船渡
電力復旧のめどが立っていない岩手県大船渡市周辺地区の避難所で、相模原市の光学部品製造「相光技研」(本田義広社長)が贈った移動式の太陽光発電機が活躍している。
同社は3月18日、碁石コミュニティセンターと後ノ入公民館の2カ所に発電機を設置した。宇宙航空研究開発機構の関係施設がある縁から「銀河連邦」として大船渡市と交流を続けてきた相模原市から依頼を受けて、無償で協力した。
発電機は一辺約1メートルの立方体で、1メートル四方の太陽光パネル5枚を広げて使う。大容量のバッテリーを搭載し、電圧100ボルト、電流30アンペアで10時間、出力できる。
テレビや掃除機を動かすのに使っている同センターのリーダー役、及川宗夫さん(60)は「自家発電機は燃料をたくさん消費するため、あまり長く使用できない。これは大変助かる」と喜ぶ。
同社は「約1年前に開発した時は『電力は大災害でも2、3日で復旧するから使えない製品だ』と評判が悪かった。現在、利用されているのは被災地にある2台のみで、役立ててもらえてありがたい」としている。(佐藤理史)(河北新報 2011/04/05)風力発電フル稼動、被災地支える 三谷商事、地震耐え無傷
三谷商事(本社福井市、三谷聡社長)が東日本大震災の被災地である茨城県神栖(かみす)市で行っている外海洋上風力発電が、震災後も24時間フル稼働を続けている。ほぼ無傷の状態で、一般家庭約7000世帯分の電力を東京電力に供給している。原発事故で電力不足が深刻化する中、地震と津波に耐えた洋上風力発電への関心が高まりそうだ。
同社は昨年、鹿島臨海工業地帯の護岸から約50メートル沖合に7基を設置し、6月から本稼働を始めた。風車の羽根の直径は約80メートル、支柱の高さは海面から約70メートルで、海底に直径3.5メートルの鋼管杭(くい)を25メートルの深さまで打ちこんでいる。7基合計の総発電能力は1万4000キロワット。同社によると、外海の洋上風力発電は国内で初めて。
3月11日の震災時、同市は震度6で、5メートル以上の津波があった。工業地帯にある複数の工場が被災し操業停止に追い込まれた中、風車7基は震災直後も稼働していた。ただ、大きな余震が続いたため自主的に運転を停止。メーカーの技術者が14日現地に駆けつけ、風車や地下送電線、変電所の電気系統など運転に支障がないことを確認し、以降24時間発電し続けている。東電からは「電力不足のため、フル稼働をお願いしたい」との要請があったという。
洋上風力発電は陸上より安定した風量が得られ、騒音や振動などの周辺への影響が少ないといったメリットがある。政府の「海洋再生可能エネルギー戦略」素案では、海洋の風力発電で、2020年までに原子力発電所約10基分に相当する1000万キロワット以上の発電量を目指すとしている。
一方、同社は現在の7基と同型の8基を同じ場所に増設する計画で、山本良孝専務は「震災によって原子力発電が停止に追い込まれてしまった。地震、津波の影響がなかった洋上風力など、自然エネルギー発電の注目度はさらに高まり、普及が進むのではないか」と話している。(福井新聞 2011/04/07)バングラデシュの村で太陽光発電普及、電力問題に対応
(CNN) 深刻な電力問題を抱えるバングラデシュで、各地の村に太陽光発電を普及させるプロジェクトが進んでいる。
同国では人口1億6200万人のうち半数近くに電気が行き渡っていない。そうした人たちに快適な生活を営んでもらおうと、非営利企業のグラミンシャクティが太陽光発電の推進に乗り出した。
太陽光発電パネルの取り付けや修理、民家や事業所への電源導入は、同社の研修を受けた村の女性たちが担う。パネルの設置作業を終えた女性は「こうした仕事は女性を助け、女性は家計に貢献できるようになる。これで雇用機会が広がればうれしい」と話した。
村人たちの生活も変わり始めた。40歳の女性は生まれて初めて自宅に電気が通り、家電を使い始めたと打ち明ける。
ただし太陽光発電パネル導入にかかる費用は約300ドルと、バングラデシュ人の平均年収の約半分にも達する。そこでグラミンシャクティは、貧困層向けに無担保で少額を融資するマイクロクレジットの制度を活用、利用者が全額を一括で払わずに済むようにした。
民家だけでなく事業所でも太陽光発電を利用するところが増えた。それによって働ける時間が長くなり、利益を上げている事業所もある。村人たちの起業家精神にも火が付いた。電力を貸し出す事業や携帯電話の有料充電サービスに乗り出した人もいる。
グラミンシャクティは1996年のプロジェクト開始以来、これまでに4万の村で55万世帯に太陽光発電を導入している。(CNN 2011/04/12)再生エネルギー 各国にはずみ
ドイツ 原発の完全撤退めざす
風力・太陽光などで発電
地球温暖化防止のための対策として以前から注目されてきた再生可能エネルギー。世界に衝撃を与えた福島第1原子力発電所の事故は、温暖化防止対策の1つの柱と見る向きもあった原発推進の見直しを迫るとともに、再生可能エネルギー開発に新たなはずみをつけています。地熱、バイオマスも柱に
ドイツのメルケル政権が、原子力発電からの撤退に伴い生じる発電量不足などを補う「エネルギー転換」政策の基本点が12日までに明らかになりました。
フランクフルター・アルゲマイネ紙などが報じたところによると、発電不足を補う柱は風力、太陽光・太陽熱、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーによる発電で、特に風力に力点が置かれています。
風力発電では今後、洋上建設が有望だとして、ウインドファーム(多数の風力発電施設を一定の地域、海域に集中させたもの)の洋上への整備を進めます。また、地上にある風力発電では、風力を多く集められるより高い風力発電風車に切り替えます。風力発電には50億ユーロを支出します。
ほかには、(1)住宅やオフィスビルなどの建物にエネルギー効率を高める設備をつける(2)全国にエネルギー効率の高い電力網を整備する(3)蓄電池技術の改善(4)ドイツ復興銀行による風力発電投資や建物のエネルギー効率を高める設備などへの融資−など。ガス火力発電も増設します。
原発からの撤退については、「2020年に完全撤退をめざす」とする一方で、(1)電力供給の保障(2)電力消費者が支払い可能な電気料金(3)気候変動対策での温室効果ガス削減の目標−を勘案し、完全撤退の時期は23年までずれる可能性もあるとしています。
政府は、この政策案をもって、15日に各州首相と協議するのを皮切りに、連邦議会に議席を持つ各党や、環境団体、労組といった社会団体とも協議し、国民的合意を目指します。福島原発の事故を受け、実施している原発総点検が終了するまでに、エネルギー転換政策として正式提案する予定です。(片岡正明)(しんぶん赤旗 2011/04/14)再生エネが10年に原発を逆転 米シンクタンクが報告
【ワシントン共同】2010年の世界の発電容量は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーが原発を初めて逆転したとする世界の原子力産業に関する報告書を、米シンクタンク「ワールドウオッチ研究所」が15日までにまとめた。
原発は、安全規制が厳しくなったことや建設費用の増加で1980年代後半から伸び悩み、2010年の発電容量は3億7500万キロワット。一方、再生可能エネルギーは地球温暖化対策で注目されて急激に増加し、風力と太陽、バイオマス、小規模水力の合計は3億8100万キロワットになり、初めて原発を上回った。
報告書は、福島第1原発事故の影響で廃炉になる原発が多くなり、新設も大幅には増えず、再生可能エネルギーとの差はさらに開くとみている。
報告書によると4月1日現在、世界で運転中の原発は30カ国で437基。運転開始から平均で26年が経過し、このうち145基は、2020年までに運転開始から40年を迎える。福島第1原発事故の影響で、40年を超えて運転する原発は限定的になるとみられるという。
建設中は14カ国で64基。中国などで今後、新たに建設される分を見込んでも、世界の原発の総数は減少するという。
報告をまとめたマイクル・シュナイダー氏は「原子力ルネサンスで原発が増えると思っていたら、それは間違い。40年を超える運転を認めても、いずれ数は減ることになる」と指摘している。
世界の総発電量は、石炭、天然ガス、石油などの火力発電が半分以上を占め、原発は13%程度。(共同通信 2011/04/16)米風力発電に出資、伊藤忠と住商 世界最大級
伊藤忠商事と住友商事は19日、米国で世界最大級の風力発電事業に出資した、と発表した。大型風力発電施設の建設や運営の技術を吸収する狙い。福島第1原発事故の影響で、原子力に代わるエネルギー源の開発が急務となっており、日本国内での風力発電事業の拡大につなげる。
米国での事業は、米電機・金融大手のゼネラル・エレクトリックなどが手掛ける。伊藤忠、住商はそれぞれ約170億円を出資し、権益の一部を取得する。
風力発電施設は米オレゴン州で、2012年夏の完成を予定。敷地面積は約80平方キロメートルで、風力発電機を338基備える。総発電容量は845メガワットで、米国の一般家庭で約24万戸に供給できる。(共同通信 2011/04/19)沖合風力発電建設を初承認=クリーンエネルギー拡大策の一環−米
【ワシントン時事】サラザール米内務長官は19日、マサチューセッツ州ケープコッド沖合の風力発電施設建設計画を承認したと発表した。米国が沖合風力発電施設を建設するのは初めてで、今秋にも着工の予定。
独シーメンス社の風力タービン130基を設置。完成後は、ケープコッドなどの4分の3の電力需要を賄い、同州で排出される二酸化炭素(CO2)のうち年間73万3000トン以上を削減するという。
オバマ大統領は、温室効果ガスの排出量が少ないクリーンエネルギーの利用拡大を推進。沖合風力発電もその一環で、サラザール長官は「クリーンエネルギーの恩恵にさらに一歩近づくことになる」と述べた。(時事通信 2011/04/20)風力や地熱の潜在力大きいと発表 東北のエネルギー調査
環境省は21日、風力や地熱、水力発電など再生可能エネルギーの利用可能性について、東北地方(新潟県を含む)では、火力や原子力などによる現行の発電量を上回る潜在力があるとする調査結果を発表した。福島第1原発事故を受け原子力を含むエネルギー政策の見直しが避けられない中、注目を集めそうだ。
環境省が民間調査会社に調査を委託。規制などのため立地困難な場合を除き、風速や河川流量などの一定要件を満たす場所すべてで設置を進めると仮定し、発電可能な電力量を推計した。
それによると、風力発電は陸上と洋上設置を合わせて全国で19億キロワットの発電が可能だった。うち東北地方は3億キロワットで、東北電力の2009年度の供給力1655万キロワットを大きく上回った。
温泉発電を含む地熱発電は、全国1400万キロワットのうち東北が350万キロワット。河川や農業用水を利用した中小水力発電は、全国1400万キロワットに対し東北430万キロワットだった。
環境省は「太陽光は地域によって大きな差は出ないが、風力や地熱は地形など自然条件から東北に大きな可能性がある」と話している。
また、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を導入した場合、事業として採算が取れる発電量も試算。風力発電は全国ベースで2400万〜1億4000万キロワット、地熱発電は110万〜480万キロワットだった。ただ今国会に提出済みの同制度の導入を盛り込んだ関連法案は、成立の見通しは立っていない。(共同通信 2011/04/21)電力回復、再生可能エネで 低コストで早いとシンクタンク
米国のシンクタンク「ノーチラス研究所」は21日までに、東日本大震災で失われた電力の供給を回復するには原子力や火力の発電所を再稼働、新設するよりも、省エネや再生可能エネルギー、小規模分散型の発電を拡大する方が、供給を早期に実現できる上に、年間の費用も安く済むとの調査報告書をまとめた。
省エネや再生可能エネへの投資は不確定要素が少なく、短時間で復旧が可能な上、二酸化炭素(CO2)の排出量も大幅に減らせるとしている。
同研究所は、日本の研究成果や国際的なデータを基に東京、東北両電力管内に建設可能な風力、太陽光発電の投資額や設備容量、コストを試算。小型、中型の発電機や燃料電池など小規模分散型の発電設備を増やすことも加味して、地震で失われた発電能力をカバーできるかどうかを調べた。
その結果、2015年3月末までにこれらの手法で発電したり節約できたりする電力量は計809億7400万キロワット時。施設整備には年平均では8370億円が必要と推定された。
原発の改修や火力発電所などを建設してほぼ同量の発電をする場合は、防災対策や地域の合意取り付けなどに多大な時間を要するため、実際の発電が実現するのは大きく遅れる上、年平均のコストは8470億円とかえって高くつくという。
報告書は「省エネ効果を加えれば、原発や火力で発電するのに比べてCO2排出量を5000万トン減らすこともできる」と環境保全面での利益を強調。再生可能エネルギーや分散型発電に適した高性能の次世代送電網(スマートグリッド)の開発など、日本の送電網の改革を復興計画の一環として進めることを提言した。(共同通信 2011/04/21)ソフトバンクの孫社長、自然エネルギー財団を設立へ
ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は2011年4月20日、民主党の復興ビジョン会合で講演し、日本のエネルギー政策について提言する「自然エネルギー財団」を設立すると発表した。ソフトバンクではなく、孫氏個人の資金を投入するという。講演の模様は、動画配信サイトの「Ustream」や「ニコニコ動画」でも配信された。
孫氏は、原子力発電所の発電コストは、放射性廃棄物の処理費用を別にしても、最近は15円/kWh前後に上がってきており、東日本大震災後は安全基準などが世界的に厳しくなるため、発電コストはさらに上がるとした。よく引用される7円/kWh、あるいはそれ以下の原子力発電の発電コストは、30年近く前の数字であるという。
一方で、太陽光発電のコストは急速に低下しており、米国では2010年に原子力発電の発電コストと並ぶか、むしろ安い水準にまで下がってきた、と指摘した。「今後は技術革新などでさらに下がる」(孫氏)。
孫氏は、2012年度にも開始が検討されている再生可能エネルギーの「全量固定価格買い取り制度」についても、買い取り期間を10年から、欧米で標準的な20年に伸ばすべきだと訴えた。
2011年内にも設立する自然エネルギー財団には、世界から100人の科学者を招き、再生可能エネルギーを軸にした研究発表やエネルギー政策提言をしてもらうとした。
この他、孫氏は、東日本大震災の津波で被災した東北地方の太平洋沿岸に太陽光発電施設を設置する「東日本ソーラーベルト構想」も明らかにした。(日経エレクトロニクス 野澤哲生)(日本経済新聞 2011/04/21)独エーオン、再生可能エネルギーに3100億円投資 3年間で
独エネルギー大手のエーオンは、太陽電池や風力発電など再生可能エネルギー事業を拡大する。2013年までの3年間で26億ユーロ(約3100億円)を投資する計画をまとめた。電力供給源の多様化を進める考え。同社はメルケル独首相が3月中旬に決定した原子力発電所の一時操業停止措置を受け、独南部にある最も古い原発の操業を止めている。
エーオンは昨年、風力発電と太陽電池の増強に10億ユーロを投じた。特に今後は海外での再生エネルギー事業を拡大する考えで、このほど米イリノイ州では15万キロワットの発電能力を持つ風力発電基地が操業を開始。4万5000世帯分の電力をまかなえるという。同社が北米に持つ風力発電の発電能力は計200万キロワットになるという。
英国では100万キロワットの洋上風力発電基地の建設を進めている。欧州でも北海やバルト海で計100万キロワットの風力発電を計画している。(フランクフルト=下田英一郎)(日本経済新聞 2011/04/25)バルト海で洋上風力発電=首相、「電力生産に新時代」と評価−ドイツ
【ベルリン時事】ドイツのエネルギー大手EnBWは2日、バルト海で洋上風力発電施設「バルチック1」の稼働を開始した。民間企業が全額出資する洋上風力発電施設はドイツで初めて。
「バルチック1」は風力発電機21基を備え、発電容量は48.3メガワット。5万世帯の電力需要を賄えるという。稼働開始のボタンを押したメルケル首相は「ドイツの電力生産に新しい時代が到来した」と評価した。
EnBW社は、バルト海に発電機80基の第2の洋上風力発電施設を計画中。2013年に稼働開始の予定で、34万世帯に電力を供給できる。
ドイツ政府は福島第1原発の事故を受け、脱原発路線に転換しており、再生可能エネルギーの開発を急いでいる。(時事通信 2011/05/02)日本を救うか、太陽熱発電の「アジア・デザーテック計画」
福島第1原子力発電所の事故によって、原子力発電に軸足を置く日本のエネルギー政策は大きな見直しを迫られた。その代替として太陽光や風力といった再生可能エネルギーへの関心が高まっているものの、発電量が天候などに左右されるため、一定量の電力を安定的に供給する「ベース電源」の役割を担うことは難しい。世界有数の資源を持つ地熱発電など、これまでに設置に制約が多かった再生可能エネルギーの開発を進める必要がある。
同時に、再生可能エネルギーのコストの高さを克服するため、従来の常識にとらわれない斬新な発想が求められている。そのひとつとして最近注目されているのが、中国における太陽熱発電による電力を高圧直流(HVDC)送電網で日本に輸入する「アジア・デザーテック計画」である。
デザーテック計画はそもそも、北アフリカの砂漠地帯に巨大な太陽熱発電設備を設け、HDVC送電網を通じて欧州に電力を供給する壮大なプロジェクト。ローマクラブが提唱し、デザーテックファンデーションが推進している。スイスの重電機器メーカーのABBや独シーメンス、電力・ガス会社の独イーオンなど12社が参加し、2050年までに地中海沿岸部や欧州の電力の15%を供給する計画だ。
太陽熱発電は太陽光を鏡(ヘリオスタット)で1カ所に集光し、その熱によって蒸気をつくり、蒸気タービンに送って発電する仕組み。太陽光発電に比べて発電コストが大幅に安い。そればかりでなく、蓄熱装置に熱をためることで夜間にも発電できるのが大きな利点だ。北アフリカ以外にも北米やオーストラリアの「サンベルト」といわれる太陽エネルギーの豊富な地域で開発が始まっており、一部では商用運転も行われている。
アジア・デザーテックでは、中国の中央部に位置する陝西省楡林(ユリン)に太陽熱発電設備を設置する。電力を周辺地域に供給するとともに、直線距離で1500キロ離れた日本まで韓国経由でHDVC送電網を敷設し、日本に電力を届けるものだ。この構想を進める東京工業大学の玉浦裕教授は「中国政府の関心は高く、早ければ数年以内にプロジェクトを開始したい」と言う。
アジア・デザーテックの特徴は、太陽熱発電設備でつくった電力をそのまま利用するだけでなく、豊富な石炭や天然ガスからジメチルエーテル(DME)を生成する工程にも使うことだ。楡林は中国有数の炭鉱地区である。DMEは石油代替の液体燃料として自動車に供給するとともに、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電の燃料にする。
玉浦教授は「石炭火力に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に減らせる。太陽熱発電の電力を使ってDMEを生成すれば、石油や天然ガスから取り出せるエネルギー量を約1割増やせる」と話す。こうしたプラントは現在の技術で実現可能で、DMEは価格面で石油に十分対抗できるという。長距離の送電網の設置や送電時の電力損失といった問題も解決できるとしている。
実際、玉浦教授やコスモ石油、三井造船などのグループはアラブ首長国連邦(UAE)で開発中の環境未来都市、マスダールシティで太陽熱発電の実証プラントを2009年に建設済みだ。タワー上部にある鏡に太陽光を集め、下にある集光器に再反射させるビームダウン型と呼ばれる方式で、溶融塩を使って蒸気を発生させる。現在は光学特性などを検討している。(日本経済新聞 2011/05/02)大宜味村で風力発電 全世帯使用量に相当
【大宜味】沖縄電力(石嶺伝一郎社長)は2013年4月までに、大宜味村根路銘の石山展望台付近に風力発電設備2基を整備し、一般家庭約2200世帯の年間使用量に相当する電力800万キロワット時を供給する計画を進めている。5月中に近隣区で村主催の住民説明会を開き、住民の理解を得た上で6月にも設計などの作業に入る予定。
村企画観光課によると、整備される風力発電設備は2000キロワット級の出力で、原油に換算すると年間約2000キロリットルを削減でき、二酸化炭素の排出量も約7000トン減らすことができる計算。環境への負荷を低減する効果も期待される。
同村の世帯数は約1500といい、一般家庭に限定するとすべての世帯の年間消費電力を同設備で賄える計算になる。
村は09年に「地域新エネルギービジョン」を策定して太陽光や風力、バイオマス、水力などのクリーンエネルギーを積極的に導入する方針を打ち出しており、今回風力発電を導入することで、住民に対し新エネルギーの普及啓発を図りたい考えもある。
住民説明会は6日の根路銘区を皮切りに、9日に饒波区、押川区、10日に大宜味区の各公民館で実施される。(外間愛也)(琉球新報 2011/05/05)再生可能エネルギー、40年後に総電力の最大77%に=国連
【アブダビ9日ロイター】国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は9日、太陽光や風・水力などを使った再生可能エネルギー発電は、各国で正しい政策が取られれば、2050年までに世界のエネルギー需要の約8割をまかなうことが可能だとする報告書を発表した。
全26ページからなる同報告書は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開催されたIPCC会合で、各国代表が合意。世界のエネルギー需要に占める再生可能エネルギーの比率は現在12.9%だが、最も普及が進むシナリオでは、2050年までに77%まで引き上げることが可能だとしている。また、その場合は向こう40年で最大5600億トンの二酸化炭素排出量削減が見込めると試算している。
報告書では、再生可能エネルギーは過去数年で急速に普及が進み、コストも低下していると指摘。パチャウリIPCC議長は記者会見で、「風力発電や太陽光発電は特に急増している」と述べた。(ロイター通信 2011/05/10)資源メタンハイドレート 採取へ実験装置導入 新エネ確保“切り札”
日本近海に分布するシャーベット状のメタンガス、メタンハイドレートの効果的な採取に向け、産業技術総合研究所のメタンハイドレート研究センター(札幌市)が世界初となる大型実験装置を導入したことが14日、明らかになった。産総研では装置を活用し今月末から本格的な実証試験に乗り出す。東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、政府は原子力発電の比率を高めることを盛り込んだエネルギー基本計画の見直しも視野に入れており、メタンハイドレートは新たなエネルギー源として、にわかに期待が高まっている。
実験装置は内径1メートル、高さ1.5メートル、厚さ7センチの鉄製で、産総研は砂、水、高圧のメタンガスを順に注入することで、海底1200〜1300メートルに存在する170〜180気圧、温度十数度のメタンハイドレート層を再現。この層に井戸を掘り30気圧に減圧することによって、メタンハイドレートを「安全かつ効果的に採取する」(成田英夫・産総研メタンハイドレート研究センター長)実験を行う。
実験では(1)採取によって地層が縮まり、生産性が低下しないか(2)井戸にどの程度の負荷がかかるか−などを検証し、平成24年度には海洋実験に乗り出す方針。
メタンハイドレートは、日本近海の東部南海トラフだけで日本の天然ガス年間消費量の13.5年分に相当する約1兆1400億立方メートルの存在が確認されており、現在のガス田の埋蔵量ランキングに当てはめると世界20位程度に位置する有望な資源。
東電福島第1原発の事故を踏まえ、菅直人首相は10日の会見で、平成42年までに原子力発電の割合を50%以上に引き上げることを目標にしたエネルギー基本計画について、「いったん白紙に戻して議論する必要がある」と表明。エネルギー安全保障の見地から、原発に代わる新たなエネルギーの確保が求められる中で、メタンハイドレートの採取技術については「米国や中国、韓国などが国家プロジェクトとして研究を進める中で日本が最も進んでいる」(成田センター長)という。日本のメタンハイドレート開発については、平成6年から通産省(現経済産業省)が中心となって基礎的研究を開始していた。<メタンハイドレート> 天然ガスの原料となるメタンを水の分子が取り囲んだ状態の固体結晶。永久凍土地帯や大陸縁辺部の海域に高圧低温の条件下で生成され、火をつけると燃えるため“燃える氷”といわれる。燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量は石炭や石油に比べると半分程度で、地球温暖化対策にも効果的な新たなエネルギー源として注目される。(産経新聞 2011/05/14)
東芝が風力発電システム事業に参入、韓国メーカーと提携
【東京23日ロイター】東芝<6502.T>は23日、風力発電システム事業に参入すると発表した。韓国の風力発電機器メーカーであるユニスン社(サチョン市)と業務提携するとともに、同社の転換社債400億韓国ウォン(約30億円)を引き受ける。
内外での再生可能エネルギーを用いた発電システムの需要増に対応する。
提携により、東芝はグローバル販売網を活用し、ユニスンの機器を拡販する。日本国内のほか、風力発電システムの需要が拡大するとみられる中国、インドなど新興国市場においても拡販を目指す。
両社は共同で高効率型の風力発電システムの開発に取り組むことも検討する。耐久性の高い永久磁石同期型発電機を活用したユニスンの風車技術と、東芝の蒸気タービン向け設計技術などを融合させることも視野に入れる。(ロイターニュース 長田善行;編集 内田慎一)(ロイター通信 2011/05/23)地熱発電:国内初、斜め掘り利用 十和田八幡平、域外から国立公園下へ
三菱マテリアルと東北電力が地中を斜めに掘る技術を利用して、国立公園の直下にある地熱エネルギーを使う発電を計画していることが11日、分かった。日本は地熱資源の約8割が国立公園など自然公園に存在するとされるが、開発が厳しく制限されていた。しかし、政府は10年6月、景観に配慮した開発を認めるよう規制を緩和した。実現すれば斜め掘りを利用した日本初の地熱発電となり、他地域の地熱活用にもはずみがつきそうだ。
三菱マテリアルは7月、十和田八幡平国立公園から0.5キロ離れた澄川(すみかわ)地熱発電所(秋田県鹿角市)から掘削を開始。地下2.4キロの地点まで井戸を斜めに掘り進め、年内に約0.5万キロワット分の蒸気が生産できる。蒸気を利用した発電は東北電力が行う。同発電所は現在約3.5万キロワット分の発電能力を持つ。ほぼ真下の地熱資源を利用しているが、国立公園直下の方が、より高温で発電に適した蒸気が得られるという。
自然公園の地熱資源は政府が1972年、景観保護などを理由に「(すでに)発電所がある6地点以外は、新規開発を推進しない」と通達を出し、活用を制限してきた。しかし、10年6月、再生可能エネルギーを有効活用するため、規制を見直す方針を閣議決定。斜め掘りは地表の自然景観に配慮しているとして、環境省も許可に動き始めた。東北電力が秋田県湯沢市の上(うえ)の岱(たい)地熱発電所で同様の許可を取得している。
経済産業省などによると、日本はインドネシア、米国に次ぐ世界3位の「地熱資源国」。原発約20基分にあたる推定2000万キロワット超の地熱資源がある。しかし、原子力や火力に比べてコストがかかるとして、54万キロワット分しか活用されていない。自然公園にある資源を有効活用できれば、規模拡大によるコスト低減も期待されている。ただ、地熱発電は、温泉事業への悪影響を懸念する声があり、地元の理解を得ながら開発を進める必要がある。【寺田剛】(毎日新聞 2011/06/11)世界最大の屋上太陽光発電プロジェクト、米政府が支援
(CNNMoney) 米銀行のバンク・オブ・アメリカ(BOA)は22日、全米のビルなどの屋上に太陽光発電パネルを設置する計画について、エネルギー省を通じて融資保証が受けられることになったと発表した。この種のプロジェクトとしては世界最大の規模になるという。
プロジェクトの総工費26億ドルは4年間かけて民間から調達し、エネルギー省を通じて融資保証を受ける。不動産会社のプロロジスおよび電力会社のNRGエナジーと組み、全米の各州で産業用の建物など数百棟に太陽光発電パネルを設置。発電量は733メガワットを見込んでおり、これは原子炉1基の発電量の約半分に相当し、約10万世帯に供給できる量だという。
米国では政府が多額の補助金を拠出して太陽光発電を推進している。連邦、州、地方自治体の制度を利用すると、太陽光発電システムにかかる経費の最大50%を補助金でまかなえるケースもある。
政府が業界を支援しているのは、市場を創設すれば技術革新に弾みが付き、太陽光発電パネルのコストが下がって化石燃料と競合できるようになるとの考えによる。(CNN 2011/06/23)創エネ:住宅で発電、蓄電 太陽光、地中熱…自給自足し余れば売却も
◇メーカー続々開発、各地で実験
福島第1原発の事故で自然エネルギーへの関心が高まる中、新世代の家づくりが盛んになっている。太陽熱などで自宅の発電をまかない、余った分をためたり売ったりする「創エネ」タイプの家が開発されているのだ。こうした次世代型住宅の可能性を探ってみた。【小川節子】東京都葛飾区の住宅街の一角に、大きな窓とソーラーパネルの屋根が目を引く2階建て住宅がある。LIXIL住宅研究所アイフルホーム(東京都江東区)が昨年、省エネルギーの実験住宅として建設したものだ。
玄関アプローチには、日中の光を蓄え夜に発光する蓄光磁器が敷かれ、外灯は必要ない。広いダイニングには家全体の電力の使用状況が一目で分かる「スマートクロック」が置かれている。省エネ度が高い時には笑顔、低い時は困った顔になるキャラクターがモニターに現れ、楽しみながら節電ができる。
エネルギーとしては、ソーラーパネルで集めた太陽光で電気を作り出す「太陽光発電」▽太陽熱で水を温める「エコキュート」▽廃材や間伐材を燃料として使う「ペレット暖炉」が3本柱だ。研究所の千明和彦さんは「これらの組み合わせで、家全体のエネルギーの130%をまかない、使わないエネルギーは売ることができる。余ったエネルギーをとっておく蓄電機能が備われば、雨や曇りの日も対応できる」と話す。
この家では、風が効率良く取り込めるよう窓を配置している。軒を深くすることによって夏の日をさえぎり、逆に冬は、低く入ってくる日光を取り込む工夫もされている。
太陽光発電は天気に左右されるので、他の安定したエネルギーと組み合わせることが必要だ。同研究所のフィアスホーム(江東区)は、太陽光発電と地中熱の利用ができる家の販売を今春から始めた。
地中熱は外気温に比べ変化が少なく、1年を通じ約15度を保っている。戸外に地下100メートルの穴を掘り、ヒートポンプで熱を取り込む。夏は冷たく冬は暖かい熱を取り入れることで、通常のエアコンの3分の1程度の電気代ですむという。
建築費は33坪の家で地中熱エアコン4キロワットが2台、太陽光発電3・7キロワットがついて、約2300万円。
大阪ガスと積水ハウスは今春から共同で3年間、「スマートエネルギーハウス」の居住実験を奈良県で実施している。天然ガスを利用した発電(エネファーム)、太陽電池、蓄電池、電気自動車を組み合わせた家で、実際に家族が住み、エネルギー効率や住み心地を調べているのだ。
積水ハウス環境推進部長の石田建一さんは「自分で使う分のエネルギーを自ら作り出せるような住宅が将来、増えてくるだろう」と予測する。
環境・エネルギー問題に詳しい慶応大学大学院教授の金谷年展さんは、各家庭での創エネルギーを基本とした、小地域による分散型発電の時代が来るとみている。自家発電で余った電気を地域内でやりとりもでき、災害時も困らない。
「いくつかの自然エネルギーを利用し、電池機能を持たせれば、各家でエネルギーの自立が可能になる。吸湿素材の壁や風をうまく取り入れ、断熱気密を高くすることで、快適な暮らしが実現するだろう」と話している。(毎日新聞 2011/06/27)地熱発電所:岩手に 八幡平市とJFEなど、15年事業化へ
岩手県八幡平市とJFEエンジニアリングなど3社は11日、同市郊外のスキー場跡地を活用し、15年に地熱発電所の事業化を目指す協定を結んだ。国内の地熱発電所は、東京電力が99年に八丈島で運転を始めたのを最後に新設されておらず、実現すれば、16年ぶりの新規稼働になる。
協定を結んだのは、ほかに地熱掘削技術を持つ日本重化学工業と地熱エンジニアリング(岩手県滝沢村)。3社は09年から蒸気や熱水など発電に適した地熱資源があるかを現地調査し、最大で5万キロワットの発電に相当する資源があると確認した。まずは7000キロワット級の発電設備を建設し、15年の送電開始を目指す。地熱発電はこれまで、温泉の枯渇を懸念した温泉業界からの反発もあって、普及が進まなかった。ただ、今回の発電予定地周辺にあった温泉施設はすでに廃業している。予定地は十和田八幡平国立公園の区域外にある。
地熱発電は、再生可能エネルギーの普及をにらみ、企業の調査活動が相次いでいる。
だが経済産業省によると、全国で事業化を明確に表明しているのは、今回の八幡平と湯沢地熱(秋田県湯沢市、三菱マテリアルなどが出資)のみ。ただ、湯沢地熱は、環境アセスメント(環境影響評価)の実施に時間がかかり、事業化は早くて20年になる見通しだ。【寺田剛】(毎日新聞 2011/07/12)再生可能エネに転換で 電気代減 雇用は増
米国 中西部10州 科学者らが試算
再生可能エネルギーへの転換で一般家庭の電気料金負担は下がり、雇用増につながる−。米国の学者・研究者団体「憂慮する科学者連盟」(UCS)は19日、米国の主要工業地帯を抱える中西部諸州で再生可能エネルギーの利用を促進した場合の効果について試算した報告書を発表しました。
中西部諸州は米国の心臓部(ハートランド)と呼ばれ、工業地帯が多く、石炭による火力発電の依存度が高い地域。温室効果ガス排出量は全米の約25%を占めています。
このため、中西部10州の知事会は温室効果ガス削減のための協定を結び、風力、太陽熱など再生可能エネルギーの普及促進に取り組んできました。協定では、2030年までに電力供給量の30%を再生可能エネルギーでまかなうこと、エネルギー利用の効率化をはかり、15年までに年間電力消費量の2%を節減し、以後、毎年2%節減することなどを、各州に求めています。
UCSは、こうした知事会の協定内容をもとに試算。報告書によると、風力や太陽熱発電に必要な資材供給関連の企業はオハイオ州で169社、イリノイ州で100社以上となるなど、10州で8万5700人の新規雇用が見込まれています。
再生可能エネルギーの比率を30%まで増やすことで、火力発電で使用していた石炭やその他の化石燃料を大幅に減らし、30年には年21億ドル節減できるとしています。
エネルギー利用の効率化や、化石燃料の利用を減らすことによる効果は、再生可能エネルギーや技術革新への投資を上回ると試算。一般家庭の電気料金は30年には、10年と比べて平均4・4%下がり、ガス料金との合計で年78ドルの節約になるとしています。(しんぶん赤旗 2011/07/22)EU:太陽熱発電、地中海諸国に増設へ 脱原発と投資見込む
【パリ福原直樹、ロンドン会川晴之】欧州諸国が北アフリカやトルコなど地中海沿岸諸国に、太陽エネルギー発電施設の増設を急いでいる。海底電線を整備して欧州連合(EU)諸国に送り、50年にはEUの電力供給の15%を目指す。EU側は「脱原発」による電力不足に対処する一方、発電国側は外国投資も見込める「一挙両得」の計画だ。
フランス政府などによると、計画はEU諸国と、地中海沿岸などの16カ国が対象。仏が主に送電、独が発電分野を担当する。現在、欧州から電力供給を受けている北アフリカ諸国に、EU諸国が資金と技術を提供して太陽熱発電施設を建設。20年までに標準的な原子力発電所の20基分に当たる2万メガワットの発電量を確保し、5000メガワットを欧州に輸出する。
発電の主力は、トルコの1万メガワット、モロッコ、チュニジアの各2000メガワットなど。送電は、チュニジア→シチリア島(イタリア)→イタリア本土など、アフリカとEU間だけで海中送電線の長さは計3000キロとなる。
ベッソン仏エネルギー担当相が今月、モロッコ、チュニジアの両国を訪問。モロッコへの技術支援や、チュニジアの送電線建設参加を決めた。モロッコではすでに中北部での発電所建設計画が本格化し、15年稼働を目指して、建設企業の選定作業が進んでいる。
EUでは90年代に電力自由化が進んだことを受け、海底送電線も含め、各国の送電網が縦横につながる。電力を互いに融通しあうシステムで取引市場も整備されている。22年までの脱原発を決めたドイツは、仏やチェコなどから電力供給を受けるほか、国民投票で原発再開を見送ったイタリアも仏から電力供給を受けている。
国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男事務局長は、「日本も韓国との送電線網を整備するなど、エネルギー安全保障を高める方法を検討すべきだ」と述べている。(毎日新聞 2011/07/27)相馬市に太陽光発電 米マスク財団が費用など寄付
米国の再生可能エネルギー研究・支援団体マスク財団(イーロン・マスク会長)は29日、相馬市に太陽光発電システムを寄付、同市の相馬中核工業団地で着工した。同市は同システムを「東日本大震災による津波浸水地域での活用も視野に検討していきたい」としており、今回のパネル設置にモデルケースとして期待を寄せている。
同財団が寄付したのは太陽光パネル96枚と設置に伴う費用で25万ドル(約2000万円)相当。パネルの合計出力は20キロワットで、石炭灰処分場の埋め立て地に設置、同施設の水処理施設の電力として活用する。マスク会長は電気自動車開発「テスラモーターズ」(米国)のCEOで、電子決済サービス「ペイパル」(同)の創業者。
マスク会長は同日、相馬市で記者会見し、再生可能エネルギーを活用した被災地支援の意義を強調した。(福島民友ニュース 2011/07/30)田んぼ発電の研究進む 稲の有機物「餌」に微生物が電子放出
太陽光など自然エネルギーへの注目が高まる中、微生物の働きで電気を生み出そうという研究が進められている。ゆくゆくは、発電能力が高い微生物を使った燃料電池の開発が目標だが、田んぼなど身近な自然に生きる微生物でも発電できるという。(加藤益丈)「おー、回った」
千葉県野田市にある市民農園の水田。モーターの力で勢いよく回る小さなプロペラを見て、東京薬科大の渡辺一哉教授は満足そうな表情を浮かべた。
微生物発電研究の第一人者で、5月まで特任准教授として在籍していた東大とともに、水田の一角を借りて研究を進めている。
渡辺教授によると、ある種の微生物は、有機物を分解してエネルギーを取り出す際に、電子を体外に放出する性質を持っている。この電子を電極に受け渡すことで、電気を生み出せるという。
有機物の分解で目をつけたのが水田だ。稲は光合成で有機物をつくり出すが、その一部は根から流出される。これを微生物に「餌」として与え続けることで、発電を促そうというわけだ。
現在は稲42株に電極を設置し、データを収集している。「発電は稲と微生物の共同作業。稲が頑張ると微生物も頑張るんです」と渡辺教授。日差しが強い夏の時期は光合成も盛んで、発電量も増えるともくろむ。
発電による稲の成長への悪影響は確認されていないが、難点は、稲1株あたり生み出される発電量が数ミリワット程度にとどまること。家庭用の白熱電球をともすには、およそ稲1万株(約5アールの田んぼに相当)が必要になる計算だ。
渡辺教授は、効率よく微生物の電子を集める電極の素材や設置方法を模索するとともに、発電能力がある新たな微生物を探し続けている。
これまでの研究で、米国の湖で見つかった「シュワネラ菌」などは高い発電能力が確認されている。渡辺教授らが目指すのは、こうした菌を使った「微生物燃料電池」の実用化だ。
特に期待されるのが下水処理場での活用。汚水に含まれる有機物を餌に発電すれば、処理に使う電力消費量を減らせる上、発電の過程で有機物が分解され、処理の助けにもなるからだ。
さらに食品工場などの廃棄物や、家畜の排せつ物などからも微生物の力で発電できる、と渡辺教授。「地域にある資源を生かしてエネルギーを生産する21世紀型の発電技術だ」と強調している。(東京新聞 2011/08/13)ギリシャで太陽光発電計画=「脱原発」の独に販売−地元紙
【パリ時事】27日付のギリシャ紙タネアは、同国政府が国内で計2万ヘクタールの太陽光発電施設を整備し、ドイツに電気を売却する計画を進めていると報じた。景気回復の起爆剤としたいギリシャと、「脱原発」で代替のエネルギー供給元を探すドイツの思惑が一致した形だ。AFP通信が伝えた。
ギリシャ神話の太陽神にちなみ「ヘリオス計画」と名付けられたプロジェクトは、推計予算総額200億ユーロ(約2兆2200億円)で、6万人分の雇用創出効果を見込む。パパコンスタンティヌ環境相は「ドイツは投資に大きな関心を持っている」と述べ、既に国外銀行と資金調達に向けた協議を開始したと明らかにした。(時事通信 2011/08/28)海水の塩で発電 無尽蔵の新エネ、日欧で開発競争
海水と真水の塩分濃度の違いから電力を作り出す新エネルギーを実用化しようと日本とノルウェーで研究開発が進んでいる。太陽光や風力のように天候に左右されず、事実上無尽蔵に存在する夢のエネルギーだ。自然エネルギーはコスト高や効率の低さなどで普及が遅れており、新顔への期待は高い。
漬物で発電?──。新エネルギーの研究現場に一石を投じた発電法は、キュウリやナスの塩漬けができる仕組みを使う。野菜の水分が抜けて、しわしわになる力を電力に変える。
日本のプロジェクトを主導する東京工業大学の谷岡明彦教授は「浸透圧発電」と呼ぶ。海水と真水の塩分濃度の差に着目した。水は通すのに塩分は通過できない膜で海水と真水を仕切る。塩分の濃い海水側に真水が移動する「浸透」という現象が起きる。海水と真水を送り続けると、海水側の流量が増えて流れに勢いが増す。タービンが力強く回り、発電する。
水力と言えば水力発電があるが、これは高低差で水に勢いをつける。水に勢いをつけるという意味で原理は一緒だが「浸透圧発電は、高低差のない平地に水力発電所をつくるようなもの」(谷岡教授)という。
東工大と長崎大、水処理メーカーの協和機電工業(長崎市)の研究グループは、福岡市に実証プラントを建設して実験を進めている。海水から真水を作る施設で出た塩分濃度が約2倍の濃縮海水と下水処理施設で発生した真水を使う。ポンプでプラントの心臓部である直径30センチメートル、長さ1.4メートルの8本の筒に流し込む。内部には浸透膜が組み込まれていて海水の流れに勢いがつく。流量が5〜8割は増える。使った海水と真水は海や河川に戻す。
協和機電の坂井秀之社長は「筒1本で300メートルの落差がある水力発電所と同等の発電能力がある」と話す。ポンプの駆動に電力を使うが、それ以上の電力を発生するので発電所として機能する。1〜2キロワットの電力を発電することに成功した。
一方、ノルウェーの電力大手、スタットクラフトも実験施設をつくって実用化に向けた研究を進めている。同社と技術提携した日東電工は、厚さがわずか0.1ミリメートルほどの薄い浸透膜がカギを握るとみる。琵琶湖を望む小高い丘の上にある同社滋賀事業所(滋賀県草津市)で研究開発を急いでいる。
浸透圧発電では海水と真水の濃度差を保ち続けることが重要だ。「海水中の塩分が真水に移動するのを防ぎつつ、真水は効率よく海水側に浸透させる技術が必要」と日東電工メンブレン事業部の広瀬雅彦開発部長は説明する。
海水から塩分を取り除いて真水をつくる浸透膜で培った技術をもとに浸透圧発電向けの膜の開発に挑む。広瀬部長は「来年には新しい浸透膜を(ノルウェーの実験施設に)供給して検証したい」と意気込む。
日本とノルウェーのグループが開発を競う浸透圧発電は天候に左右されない。実質稼働率は85%以上と太陽光や風力の4倍以上だ。
東工大などのグループの試算によると、1キロワット時の発電コストは9〜26円で太陽光の同40円を下回り、風力の同14〜24円に匹敵する。
海水と真水を同時に調達できる河口付近などへの建設が想定される。谷岡教授は「日本の河川流入量を考えると潜在能力は600万キロワットと原子力発電所5、6基分に相当する」と言う。
とはいえ発電所を造るには課題も多い。膜が実用に耐えるのか、大型のプラントを確実に動かせるのか。さらなる技術革新が必要だ。
東工大などのグループは、東レと東洋紡、山口大学を新たに加えて3年後をメドに商用プラントの建設を目指している。スタットクラフトと日東電工のグループは15年に2000キロワット級の実証プラントを建設する計画を掲げる。
東日本大震災による福島第1原発の事故によって原発の安全神話は崩壊。太陽光など自然エネルギーへの期待は高まる。日本は領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせると世界6番目という海洋国家の側面を持つ。海洋資源を活用する浸透圧発電のデビューが待たれる。(日本経済新聞 2011/09/03)国内最大級の太陽光発電始動 関電、大阪・堺の処分場跡
関西電力は7日、堺市で国内最大級の堺太陽光発電所の運転を全面的に始めた。出力は1万キロワット。大阪湾岸の産業廃棄物埋め立て処分場跡地(約21ヘクタール)に太陽光パネル約7万4000枚を置いた。年間の発電量は一般家庭約3000世帯の使用量にあたる約1100万キロワット時となる。
関電初の太陽光発電所で2009年12月に着工。昨年10月から出力を段階的に増やしてきた。八木誠社長は「運転で得た情報を広く公開し、太陽光発電の普及や電力供給網の信頼性向上につなげたい」と話した。
出力でみると、同社の発電設備(3488万キロワット)と比べて1%にも届かない水準。関電は新たに太陽光発電所を建てる計画はなく、八木社長は「安定的に電気を送るという意味で、太陽光発電が原子力発電に代わるのは難しい」と改めて強調した。(朝日新聞 2011/09/07)地熱発電 再び脚光 原発20基分、埋蔵世界3位
ぬかるむ道を車に揺られて山奥へ進んだ。地元通からは「ヒグマに気をつけて」と言われた。9月中旬、北海道小樽市から南へ十数キロ離れた阿女鱒(あめます)岳。訪ねた国有林の一角では、作業着の技師らが地中の電磁波を測定する装置を使い、地下に「天然のボイラー」がないかを探っていた。地熱発電に使える熱水のたまり場のことだ。
地熱発電は温泉と同じように地球内部の熱を利用する。温泉より深い地下1〜3キロまで井戸を掘り、200〜300度の熱水のたまり場から噴き上がる蒸気でタービンを回して発電する。
国内では1999年以降、商用の地熱発電所は新設されていないが、阿女鱒岳で事業化を目指すエネルギー大手、出光興産と国際石油開発帝石(INPEX)は本気だ。出光の古谷茂継主任技師は「太陽光や風力発電に比べ天候の影響を受けず、昼と夜、季節による変動が少ない。安定的に発電できる再生可能エネルギーだ」と明快に話す。
地熱発電は二酸化炭素(CO2)の排出量も少ない。地球温暖化を防ぐ利点があるクリーンエネルギーで、福島第一原発事故を境に、にわかに代替電源として注目を集め始めた。
地上で進める調査は地熱発電所の建設までの第一段階。集めたデータによって地下の熱や水の流れを示す「イメージ図を作る」(INPEX担当者)ことで、どんな規模の地熱発電が可能かがわかる。出光の後藤弘樹地熱事業総括マネジャーは、結果を分析したうえで「来年度中には、次の段階のボーリング(掘削)調査に進みたい」と期待する。
火山が100以上ある日本では、地熱資源量は約2300万キロワットと試算される。世界でも米国、インドネシアに次ぐ第3位の地熱資源大国だ。原発(100万キロワット級)の20基分以上に当たる。1970年代のオイルショックで「石油が枯渇する」と危機感が生まれた。政府は当時、輸入に頼らない純国産エネルギーの地熱開発を後押しし、90年代半ばの開設ラッシュにつながった。
しかし、調査用に直径8センチの井戸を1本掘ると約2億円かかる。発電所を建てるのに出力3万キロワット級の例で264億円という高い費用や、発電所が小規模で山中に分散するという特徴が開発の足を引っ張った。国と電力会社は大規模で集中立地できる原発や火力発電を優先した。国内18カ所の地熱発電所の出力は54万キロワットにとどまり、国内電力量のわずか約0.3%だ。
新設へ追い風が吹き始めた地熱発電所だが、国内では実際に運転を始めるまでに10年はかかるのが常識とされてきた。地下水や温泉、動植物など環境への影響を調べたうえ、審査や手続きも長い時間がかかるからだ。潜在力は高いのに控えの座に甘んじている背景に、乗り越えるべき課題が浮かび上がる。(東条仁史)(東京新聞 2011/10/09)電気は全て水力発電、開発と環境を両立 ブータン
チュカ(CNN) ヒマラヤ山脈の東に位置するブータン王国は、世界最高峰の山々に囲まれており、全土に渓谷が連なる。1970年代に至るまで外国人観光客は入国出来ず、テレビ放送が開始されたのは1999年のことだった。
ブータンは環境保護を重んじており、同国が国内総生産(GDP)よりも重視する「国民総幸福(GNH)」の指標にも環境保護が取り入れられている。こうした価値観は節度ある開発と両立している。そんなブータンが熱い視線を送っている資源が、同国に豊富にある水だ。
近代化を進めるブータンでは恵まれた地形と豊かな水資源を活用して水力発電がさかんに行われている。「川が水力発電に適した形で流れているため大規模な発電が可能で、(得られる電力は)クリーンエネルギーでもある」とブータン初の水力発電所があるチュカの電力企業DGPCLで主任エンジニアを務めるテンジンさんは語る。河川を「流れる黄金」と呼んだ人もいるという。テンジンさんによると同国は2020年以降新たに15の水力発電所をつくる計画で、すでに3基が着工済みだ。
国内の電力需要はすべて水力発電でまかなわれている。また、電力は主要な輸出産業でもある。同国のティンレイ首相によるとGDPの60%以上を電力輸出が占めており、主な輸出先は隣国インドだ。
ティンレイ首相は「ブータンの国土は生態系的に他の影響を受けやすい、ヒマラヤの脆弱(ぜいじゃく)な地形環境に位置している。水力発電の推進に関しても、生態系に配慮した方法だから採用するという側面が大きい」と語る。
ブータンの電力インフラ普及率は現在80%で、2013年までに全土に電力を供給する目標が掲げられている。
電気の普及で人々の暮らしは変わった。農業を営むザンモさんは「電気がなかった頃はいろいろ大変だった。何をするにも薪に頼っていた」と語る。以前は収穫したコメの脱穀は何日もかけて家族で行っていたが、今では電動の脱穀機で効率化でき、収入が増加したという。
ザンモさんは、電気がどうやって作られているかは知らないが、電気には感謝していると語る。実際、水力発電の恩恵を受けているブータン国民の多くは、河川を流れる水が自宅や職場の明かりを生み出すことを知らない。
川を流れる水から電気が作られていることを説明すると、ザンモさんは「水から電気を作れるなんて知らなかった。信じられない」と目を見開いた。
国内の電力をすべて水力発電でまかなうブータン。発電に適した形態に流れている河川を「流れる金」と呼ぶ人もいるという。(CNN 2011/11/15)別府で小型地熱発電の実験開始へ 地元企業4社
日本一の源泉数を誇る大分県別府市で、温泉の蒸気と熱水でタービンを回して発電する「小型地熱発電機」の実験を、発電機メーカー「ターボブレード」(大分市)など県内の中小企業4社が4月から始める。
既存の温泉施設の配管を活用するため、大規模な地熱発電所のように温泉の井戸を掘削する必要はなく、低コストの自然エネルギーとして注目を集めそうだ。
実験は、別府市内の一般家庭に温泉水を供給している温泉販売会社の給湯施設の配管に、小型発電機の試作機を接続。配管から取り込んだ蒸気と100度近い熱水で2つの小型タービンを高速回転させて発電する仕組み。
大分県の補助金を受けて3月中に完成させる試作機の出力は5キロワット時だが、将来的には200〜400世帯分の電力供給が可能な100〜200キロワット時級の発電機の開発を目指す。ターボブレードの林正基社長は「電気は九州電力に販売し、3、4年で初期投資分を回収できる。電力の地産地消を目指したい」と意気込む。
弘前大の村岡洋文教授(地熱地質学)は「別府の温泉は高温で勢いがあるので、地熱発電に適している」と話す。(共同通信 2012/01/15)EU再生可能エネ発電所急増
太陽光イタリア 風力ならドイツ
欧州連合(EU)の再生可能エネルギー発電施設が顕著に増加していることがわかりました。欧州風力エネルギー協会(EWEA)が明らかにしたもので、2011年にEU圏内で新規発電所の発電容量に占める再生可能エネルギーの割合は71.3%と初めて3分の2を超えました。発電容量は前年の10年よりも37%増の約3200万キロワットとなっています。(片岡正明)2020年目標に前進
EUは20年までに(発電以外に集中暖房の給湯、自動車などを含む)消費エネルギーの20%を再生可能エネルギーで賄うとする数値目標を掲げています。また、地球温暖化につながる温室効果ガス排出を30%削減するとしています。新規の再生可能エネルギー発電増はこの2つの目標に着実に向かっていることを示しています。
新規分で最も多いのは太陽光発電で47%、発電容量は約2100万キロワット。続いて風力発電が21%、960万キロワットでした。
新規分を加えたEUレベルでの総発電能力でみると、再生可能エネルギーは31%で、うち水力が14%、風力が10%、太陽光が5%などとなっています。このほか原子力発電は14%、石炭火力発電は26%、ガス火力発電は23%です。
石油・石炭火力発電、原子力発電は、いずれも新規増設よりも、停止・廃炉などによるマイナスが大きく、発電能力は前年より低下しました。
欧州太陽光産業協会によると、発電容量でみた新規の太陽光発電増設が最も多い国はイタリアで900万キロワット、2位はドイツで750万キロワット。一方、EWEAによると、風力はドイツで209万キロワット、2位は英国で129万キロワットとなっています。(しんぶん赤旗 2012/02/25)ソフトバンク:太陽光発電所を建設へ 北海道に最大規模
ソフトバンクが北海道苫小牧市に少なくとも20万キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を検討していることが4日、明らかになった。実現すれば国内最大規模になる。7月には、再生可能エネルギーの全量買い取りを電力会社に義務づける「固定価格買い取り制度」が始まる。同社は、北海道電力と買い取りを協議中で、今後建設時期や発電規模を決定する。
ソフトバンクの子会社「SBエナジー」(東京都)が、同市の工業団地「苫東地区」の480ヘクタールに太陽光パネルを設置する。一般家庭10万世帯分をまかなえる出力34万キロワット規模を計画しているが、北電は「買い取り可能なのは20万キロワット程度」と回答しているとみられ、両社で発電規模を調整する。(毎日新聞 2012/04/04)デンマーク、2050年までに全発電を再生可能エネルギーに
【4月27日 RenewableEnergyWorld.com】再生可能エネルギー分野で先駆的な役割を果たしてきたデンマークが、その名声をさらに高めるべく大胆な計画を発表した。2020年までに発電量の3分の1を再生可能資源でまかない、2050年までには全発電量を再生可能エネルギーに切り替える、というものだ。
政府の全面的な支援を受け、デンマークは将来見込まれるエネルギー価格変動による影響の回避を目指す。
自由党(Liberal Party)のリュッケ・フリース(Lykke Friis)氏は英国放送協会(BBC)に対し、「どのような対策を取ろうと、この先エネルギー価格の上昇は避けられない。理由は単純だ。インドや中国の人々が自家用車を持ち、旅行をしたいと思うようになるからだ」と指摘。「このため、わが国は化石燃料からの自立という明確な目標を持つようになった。そうすればエネルギー価格の大きな変動の影響を受けずに済む」と説明した。
デンマークは3月にも、2020年までにエネルギー消費量を2006年比で12%削減すると発表している。
この再生可能エネルギー政策を受け、デンマークの国営総合エネルギー企業Dong Energyが動いた。ブルームバーグ(Bloomberg)の報道によると、同社は24日、7億9500万ドル(約640億円)を投じて、石炭やガスを燃料とする火力発電施設の3工場をバイオマス発電施設に転換する計画を発表。計画が順調に進めば、2015年にはバイオマス発電施設への転換工事が3施設全てで終了する見通しだという。
デンマークでは、再生可能エネルギーでバイオマス発電が占める割合が既に70%に達している。(AFPBB News 2012/04/27)
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