自然エネルギー

[1991-2009]



風はやさしいエネルギー 北欧など新型風車で発電に本腰
風車の里、北欧やオランダでモダンな風車が増えている。環境にやさしい風力発電に力を入れ始めたからだ。最も進んでいるデンマークではすでに新型の風車が3000基を数え、電力の2%を担うまでに成長、コストも火力発電などと肩を並べてきた。(コペンハーゲン=竹内敬二)

コペンハーゲン空港南の田園地帯。高さ約25メートルの風車が9基立ち、白い3枚羽根が音もなく回っていた。障害物のない畑を風速10メートルほどの強い風が吹く。
「この風は自然が私たちに与えてくれた資源です」。案内してくれた環境保護団体「再生エネルギー機関」のアウグスブルグさんがいう。「この国は新しい風車の国に変わりつつあります。もっとも1920年には約3万の風車がありましたが」。昔の風車も製粉と発電に使われている。
デンマークの風力開発は石油ショックのあとに本格化した。85年、国会が「将来も原発を持たない」と決議したことが拍車をかけた。政府も電力税の軽減などで後押しし、現在は合計出力が約35万キロワット。国の電力消費の約2%を供給するまでになった。
プラントの大部分は200−250キロワットの小規模なもの。大量生産によるコストの低下効果も表れ、88年のデータでは1キロワット時当たり0.27クローネ(約6円、耐用年数25年の場合)からO.46クローネ(約10円、耐用15年)。化石燃料による発電の約0.35クローネ(約8円)に比べても、十分競争可能になっている。
コペンハーゲンの対岸、スウェ−デンのマルメ郊外には世界最大級のプラントがある。風車を支える塔の高さ78メートル、両翼の長さ80メートルの2枚羽根が「シュルン、シュルン」と1分間に25回転している。定格出力は3000キロワット。150−200世帯分の電力を供給している。
稼働率はほぼ5割とまあまあだが、実験プラントなのでコストは高い。所有する電力会社「シドクラフト」の技術担当者ラーソンさんは、コスト低減に必要なものとして(1)風の知識を深めて適地を確実に選ぶ(2)耐用年数の改善(3)大量生産(4)大型、小型それぞれの分野で最適サイズの決定──などを挙げた。
しかし「現在のコスト高を理由に開発を遅らせてはならない。将来、クリーンエネルギーがある程度の規模で支持されるのは確かなのだから」ともいう。
スウェーデン政府も建設費の25%を補助。オランダも今世紀末までに「3000基、総出力100万キロワット」の風力発電を目指し、建設費の40%補助を始めた。
ただ、コスト問題はやはり風力の将来性に大きな影を落としている。
2000年までに電力の10%を目指すデンマークでは、風が強い沖合での大量建設に乗り出しているが、発電コストは1キロワット時当たり0.63クローネ(耐用20年)ほどに上昇すると予想されている。一方、北海油田のガス開発が進み、93年までにエネルギーは完全に自給できるとされている。それ以降も、高い風力を推進する政策を取り続けるかどうかは微妙だ。(朝日新聞 1991/05/11)

トーメン、英でも風力発電事業 93年完成 77000kw
総合商社のトーメンは、1993年から英国で風力発電を始める。英国政府は環境問題の高まりに配慮し、石油など限りのある資源を大切にするため、クリーンエネルギーの割合を高める計画を立てており、米国と英国の企業とトーメンの合弁会社が入札した風力発電事業の案が採用された。英国で日本企業が発電に携わるのは初めてで、トーメンは欧州での風力発電事業をさらに拡大したい考えだ。
英国政府は、2000年までに風力、潮力、地熱などの代替エネルギーで100万キロワットの発電を見込み、昨年から年1回入札を実施している。トーメンの落札は今月上旬に発表された。
トーメンの計画は、米国の風力発電の開発業者シーウエスト社、英国の代替エネルギー開発業者のエコージェン社と合弁で、計7万7000キロワットの風力発電をしようというもの。トーメンが60%、シーウエストが30%、エコージェンが10%を出資し、「ブリティッシュ・ウィンド・ファーム」を設立した。
建設地点はウェールズ4カ所、コーンワル9カ所。風車のような発電機を1カ所に10基から40基設置する。英国の西岸は平均8メートルぐらいの風が吹き、風力発電に適しているという。
発電した電力は英国電力公社が買うことになっている。総投資額は200億円程度になるものと見られ、トーメンは来年末までには完成させるつもりだ。
風力発電は、日本では風が強く、土地が広いという立地条件のいい場所が少ないため、東北電力が青森県竜飛崎で5基を実験的に動かしているぐらいで実用化されていない。米国では盛んで、すでに2万基ある。トーメンは87年から風力発電に参加、ロサンゼルスの北方で営業中。現在三菱重工業製の660基の発電機を使って16万5000キロワットの発電をしている。(朝日新聞 1991/11/20)

クリーンな開発 風力発電の可能性
デンマークでは国中で3500基が稼働 6割が個人の風車
デンマーク。人口500万人。国土の広さはほぼ九州に等しい北欧のこの小さな農業国は、世界中の注目を集める環境先進国の一面を持つ。
デンマーク政府は3年前、エネルギー省と環境省を統合し、新たにエネルギー環境省を発足させた。
「環境政策を強力に進めていく上で、エネルギー問題を避けて通ることはできない。環境とエネルギーの『共生』を目指す布陣」。政府関係者は省統合の理由を、こう説明しているという。
その「共生」の手段として同省が積極的に展開しているのが、大量消費や大量廃棄を伴わないクリーンなエネルギー源としての風力発電だ。
デンマーク国内で稼働中の風力発電機は、約3500基(500キロワット)。年間の発電量は10億キロワットと、国全体の消費量の約3.5%を生み出している。エネルギー環境省は、この比率を2000年に10%、2030年には20%にまで引き上げる意向でいる。
世界最大の風力発電量を誇る米国では、多数の風車を1カ所に集めた「ウインドファーム型」の施設が目立つのに対し、デンマークでは国中の至る所で、農場の真ん中に個人所有の風車が1、2台、のどかに風を受ける風景があり、個人の風車は全体のおよそ6割にも上るという。
元デンマーク日本大使館職員で現在は風力発電の普及に携わるステファン・鈴木さんは言う。
「風力発電のいいところは、まず、動力源としてほかのエネルギーを使い捨てにしないこと。そして場所を取らない(1基建てるのに必要なスペースは3平方メートル)ので、自然環境との『共生』が比較的容易なこと。『環境に優しい時代』のエネルギー源として最も象徴的だと思います」
日本のエネルギー事情にも詳しいステファンさんは「日本では現在、石油に代わるエネルギー源として石炭を最も有望視しているようですが、石炭を原料とする火力発電所では、1ワットの電力を得るのに700−1250グラムもの二酸化炭素を放出し、地球の温暖化を引き起こします。これからの時代の流れには沿いません」と指摘する。そして、「国土が狭い日本では、原発や水力発電所の増設は風力発電の適地を探すより、はるかに困難なことでしょう。資源を無駄にしないだけでなく、大切な命や環境を汚染から守るためにも、『小さな国』に学ぶべきことは少なくないでしょう」と訴えている。

期待と夢 補助的に利用すれば活路は広い

愛知県大口町で電設会社「ウインドム穂高」を経営する仙田和正さんは、風車の直径5メートル、最大出力100ワットの実験用風力発電システムを開発。大学やエ業高校などに教材として設置している。
仙田さんは言う。
「かつて私は、風力発電の可能性には否定的でした。現代人は電力が安定的に供給されることを当たり前のように求めています。ところが風力発電は、文字通り風任せ。いわば『フーテンの寅(とら)さん』みたいなもんですからね」
「それでも、ものは考えようでして…」と仙田さん。「何も風力を電力供給の主役にする必要はありません。画期的なクリーンエネルギーが見つかるまで補助的に利用していけばいい。EVカー(電気自動車)のバッテリーの電源や、風が多い冬場にはヒートポンプの熱源として十分活用できます」
「『風』と『太陽』は、クリーンな未来をひらくための一種のシンボルなんですよ」
こう語るのは、産廃処分場問題などを扱ったドキュメンタリー作品を通じて、大量廃棄社会への警鐘を鳴らし続けている映画監督の西山正啓さんだ。
「電気というエネルギーをつくり出すために、別のエネルギーを大量に消費する−こうした愚かな繰り返しが、地球環境を危機に追いやってきました。風力発電の普及を『夢物語』だと考えるのもいい。しかし、その夢は『私たちの地球を守る』という、とても大きな夢なんです−」(中日新聞 1996/07/01)

山形県立川町に見る“もうかる”日本初の風力発電所
「風の町」として風力発電に力を入れている山形県東田川郡立川町で事業化が順調に進んでいると聞き、先月下旬、現地を訪ねた。秋から冬へのこの季節、庄内米の刈り入れも終わり、田んぼには何もない。空はどんよりと曇り、小雨が降る寂しい雰囲気だ。だが売り物の風は間違いなく強く吹きまくり、町が建てた風車も、民間企業が建てた風車もフル回転していた。日本で初の「もうかる風力発電」がここにあるのだ。(吉田薫)

同町は、最上川が峡谷から平野に流れ出すところで、夏は峡谷からの南東風、冬は北西の季節風が吹く。同町は「風車村構想」を打ち出し、3年前、丘の上に3台の米国製風車(出力計300キロワット)を建設し、風力発電を始めた。
さらに純民間会社の「山形風力発電研究所」が休耕田の中にデンマーク製風車2台を建設し、この1月から発電を始めた。出力はいずれも400キロワット。高さ36メートル、三枚羽根の白い風車は遠くからでもよく目立つ。
10月末までの総発電量は89万キロワット時に達した。町が建てた米国製風車の発電量は、10月末までの約3年半で59万キロワット時。半年余りでこれを追い抜いた。
共同研究をしている長井浩・日大生産工学部助教授は「事前の風速調査で予想していた発電量の約9割程度の数字になった」と話す。とくに8月は月別で最多の15万6000キロワット時を発電した。
「日本は夏の風が弱いから、風力発電は電力のピークカットに役立たない」といわれていた。だが場所を選べば夏でも発電できることを示した。
技術的に残る課題は落雷対策や、風力で起こした電気をうまく送電系統へ組み込む方法。突然大きな電流が系統に流れ込むと、全体の電圧降下のおそれもあるという。騒音は風車の風切り音程度で、それほど問題にはなっていない。風車の耐用年数は20年。管理は遠隔ででき、運転コストがあまりかからないのも利点だ。発電した電気は現在、1キロワット時当たり16円で東北電力に売電している。
同研究所の母体となっているエコロジー・コーポレーション(東京・目黒区)は「風車は2基で約2億円。金利負担などを含めても、年間2000万円分(120万キロワット時)の電気を売れば、12年で黒字転換する」とみている。
商業化のめどが立った日本最初の風力発電所といえ、町おこしのシンボルから収益事業へと転換点を迎えているようだ。
デンマーク製は輸送費を含めても日本製に比べて3、4割安い。発電コストも1キロワット時10円を切る。沖縄電力の試算でも宮古島の風力発電コストは1キロワット時11.7円。10円前後でしのぎを削っている火力・原子力に劣らないコストだ。
エコロジー・コーポレーションでは、商社やリース会社、橋梁(きょうりょう)メーカーなどと共同出資して、山形に続き、新潟県名立町や北海道の襟裳岬で計4基(設備容量1600キロワット)の運転を開始し、青森県風間浦村でも計画中だ。「いまは損益トントンの状態。電力会社がどれだけの値段で買ってくれるかに将来の浮沈がかかっている」という。
もっとも風力発電はお天気まかせだけに、発電量の月変動、日変動は大きいが、長井助教授は「冬に強い風力発電、夏に強い太陽光発電など、自然エネルギーの組み合わせで、日本でも主役は無理でも、ある程度の役割を果たすことができる。風車の形はどんどん進歩して、山形のものもヨーロッパの先端からみたら1世代前のもの。いまはメガワット(1000キロワット)級の時代です」と話している。

風力先進国は米、インドなど

世界の風力発電は、すでに設備容量が500万キロワットに達している。昨年末の段階で米国が約170万キロワット。ドイツが100万キロワット、デンマークとインドが60万キロワットで続いている。とくにインドの伸びがめざましい。日本は約1万キロワットにとどまっているが、地方自治体の取り組みが盛んで、「風力発電推進市町村全国協議会」には北海道から沖縄まで18市町村が参加している。(中日新聞 1996/11/12)

風力発電に追い風 「商業用」売電認められ普及加速
電源開発、参入へ 国内最大級“風の農園”構想
電力会社に電力を供給している特殊法人の電源開発は16日、風力発電事業に参入する方針を明らかにした。電気を起こす風車を大量に導入した国内最大級の大規模発電所「ウインド・ファーム(風の農園)」を北海道など国内2、3か所に建設することを検討している。一部については早ければ2000年度から電力会社に売電する。発電所1か所当たりの規模は、97年末時点ですでに国内にある風力発電の全発電能力を上回る2−3万キロ・ワットという壮大さだ。クリーンエネルギーとして脚光を浴びながら欧米に比ベて導入が遅れていた風力発電の普及が、電源開発の参入で一気に加速しそうだ。
計画によると、「ウインド・ファーム」には1000キロ・ワット級の風車を20−30基設置する。発電した電気は地元の電力会社に販売し、電力会社の送配電網を通じて一般家庭などに供給される。
北海道西部など2、3か所が候補地として浮上し、詳細な調査を進めている。
風力発電は発電量が一定せず、火力発電などに比べコストも高いのがネックだ。電力各社は環境への配慮から、風力発電など新エネルギーを対象に、自家発電で使い切れない「余剰電力」を電気料金と同額で買い取る優遇制度を設け、普及を後押ししてきたが、売電を目的とした商業用は対象外にしていた。
しかし、東京電力や北海道電力など電力5社は温暖化防止などの環境対策を加速させるためには、風力発電への新たな支援策が必要と判断し、機器類の価格低下などで発電コストも下がっていることから、今年4月以降、商業用風力発電を対象にした購入制度を相次いで導入した。
商業用風力発電の買い取り価格は1キロ・ワット時当たり11円台で、余剰電力より2割程度安いが、購入期間は15−17年の長期契約になっており、電源開発は十分に採算が取れると判断し、参入を決めた。
風力発電は欧米を中心に導入が進み、97年末の世界全体の発電能力は768万4000キロ・ワットに達している。しかし、日本の97年末の発電能力は1万7000キロ・ワットにすぎず、ドイツの207万9000キロ・ワット、アメリカの180万5000キロ・ワットなどに比べて大きく立ち遅れている。(読売新聞 1998/06/17)

クリーンエネ地熱発電 八丈島の選択
マグマの力でCO2 4割削減
東京電力管内で初、日本で12番目の地熱発電所が東京都八丈町に誕生、1カ月が過ぎた。大々的なオープニングセレモニーを控え、静かなスタートを切った「八丈島地熱発電所」を訪ね、日本の地熱発電の現状を見た。
東京の都心から南へ約290キロに位置する八丈島は、標高700メートルの三原山、854メートルの八丈富士に象徴される火山島。新エネルギー・産業技術総合開発機構が1989年から3年かけて調査した結果、三原山の山ろくの地下4000メートルに1000度のマグマだまりがあることが判明し、地熱発電のきっかけとなった。
地熱発電は、地下にある熱水や高温の岩体の熱エネルギーを利用し、タービン発電機などで電気エネルギーをつくり出す仕組み。これら熱水や岩体の温度は250度あれば発電可能といわれる。東電は三原山ろくに1650メートルと960メートルの2本の井戸を掘ったところ「325度を得、しかもバルブさえ開ければ、自分で蒸気を噴き出す『自噴井』という良好な状態だった」(真島俊昭・東電八丈島地熱工事事務所長)。
両井戸を基に、施設建設に着手したのは昨年6月。「井戸さえあれば…」で、総投資額約50億円、10カ月の超スピードで誕生したのが出力3300キロワットの八丈島地熱発電所。日本は多くの火山帯に覆われており、地熱発電の適地も多い。東電管内でも、群馬県・草津、栃木県・那須、静岡県・伊豆などが候補に挙がるが、一方で、これらは古くからの温泉地。「源泉が枯渇したら…」の懸念が先立ち、地元の了承が得られないケースがしばしば。
真島所長は「八丈も島内のあちこちに温泉があるけれど、町が『クリーンアイランド』をキャッチフレーズとしており、二酸化炭素を排出しない地熱発電の誘致に熱心だった」と話す。
八丈町の人口は1万人弱。これまで「八丈島内燃力発電所」の計5基、1万1100キロワットのディーゼル発電で電力を賄ってきた。地熱発電所はこれらの老朽化に伴う代替発電設備として一部を補う。
中村親夫・東電八丈島事務所長は「所要電力の3分の1を地熱で賄うということで逆算的に3300キロワットの規模が決まりました」と説明する。これでドラム缶にして2万5000本分のA重油、これまでの年間使用量の4割が削減可能になり、二酸化炭素の排出量も4割減少する勘定。
98年度の日本の総発電電力量は約9050億キロワット時。うち地熱は35億キロワット時で、全体の0.4%程度にすぎない。しかし、地球温暖化防止が叫ばれるなかで、二酸化炭素を排出しないのは、何といっても魅力。「技術の蓄積、深化の観点からも、八丈に続く適地を見つけ、掘ってみたい」と真島所長は話す。(中日新聞 1999/04/26)

風力発電パワー倍増 自治体・民間建設ラッシュ
売電で収入、活性化弾み コスト高・供給過剰も
クリーンエネルギーを生み出す風力発電施設が全国に続々と誕生している。電力会社だけでなく、第三セクターを設立し自ら発電に乗り出す自治体もある。電力会社に電気を売る「売電ビジネス」としても脚光を浴び、発電規模は1年前の2倍以上に達する勢い。ただ、火力などに比べコストが高い問題があるほか、風車が林立し早くも供給過剰になる地域も出てきた。「風任せ」では解決できない課題も多い。
北海道北西部、苫前(とままえ)町の町営牧場。日本海を見下ろす、なだらかな緑の丘陵に巨大な風車が立ち並ぶ。高さ45メートル、羽根の直径56メートルのデンマーク製の風車が20台。国内最大の風力発電施設(総出力2万キロワット)として、トーメンが約45億円をかけて建設した。10月から稼働を開始、電力は北海道電力に17年間長期販売する契約を結んだ。
秋から冬にかけて町には日本海から平均風速7メートルの風が吹きつける。その風の強さを利用し苫前町は「風力発電の好適地」として95年から企業誘致活動を進めてきた。
風車はさらに増える。同じ町営牧場の高台に、電源開発やオリックス、苫前町などが出資する第三セクター「ドリームアップ苫前」が2000年12月の稼働を目指して計画中。トーメンを上回る発電能力の風車計19台(同3万キロワット)を導入する計画だ。両施設で作り出す電力は年間1億1000万キロワット時、北海道で使用する総電力量の約0.4%を賄う計算になる。
「工場の誘致ではなく、地域の潜在力を掘り起こして、まちづくりに生かせないか。官民一体になって取り組んできた成果だ」と仕掛け人である地元のまちづくりグループ「ラブTOMA21」の坂川資樹代表(39)は胸を張る。
東北の北上山地のほぼ中央にある岩手県葛巻町。人口9500人の乳牛による酪農と林業が主体の町だが、輸入品に押され将来性は期待できない。「このままでは町が衰退する」(同町の町づくり推進課)という危機感が、同町を風力発電事業に走らせた。葛巻町でも、採算ラインとされる風速5メートルを大幅に上回る平均7.9メートルの風が吹く。
葛巻町が出資した三セク「エコ・ワールドくずまき風力発電」が先月、同町の袖山高原牧場内に風力発電施設を3台設置した。東北電力と17年間の長期売電契約を結び、供給を開始した。電力収入は年間3400万円。約1年間データを収集し採算性を調べた上で、企業誘致活動を展開する。
続々と自治体・民間で建設が進む風力発電施設だが、早くも問題が浮上している。最大のネックは他のエネルギーに比べた発電コストの高さ。風力の発電単価は電力会社による原子力や火力発電に比べて40−50%は高いといわれる。
北海道電力は自然エネルギー普及を後押しするため、風力発電事業者の採算が確保できるよう高い単価で電力を購入してきた。現在、道内で計画されている風力発電規模は約55万キロワットに達する。
しかし同社は今年6月、急増する風力発電の電力購入を制限するため、出力3000キロワット以上の大規模発電を対象に受け入れ枠を設けた。今秋に実施する競争入札では受け入れ枠6万キロワットに対し、22万キロワットの応募があった。
北海道電力は「現在稼働中のものを含め、風力発電の電力購入は15万キロワットが限度」としており、今後、受け入れ枠が拡大しない限り、風力発電の拡大は望めない。東北電力も枠は設定していないが、状況は同じだ。
今月9日、風力発電を手掛ける全国35市町村で構成する「風力発電推進市町村全国協議会」が東京で会議を開いた。風力発電の普及を促すため、要望に力を入れることで合意。政府などに出した陳情書には(1)風力発電の電気は電力会社による買い取りを義務づける(2)買い取り価格は発電事業者の採算が合うように優遇する(3)買い取り価格と火力発電など通常コストとの差額分は国民全体の負担で充当する──を盛り込んだ。
クリーンなエネルギーとして脚光を浴び、急速に供給が増える風力発電。コスト負担の問題を解決しなければ、風車は林立する無用の長物になりかねない。(函館支局、盛岡支局)

政策誘導を求め陳情

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、国内で設置、運転中の発電用風車は98年末で117台。99年末には200台近くに増える見通し。97年冬、京都で開催された地球温暖化防止会議がクリーンエネルギーの導入推進を決めたことを受け、政府が各種助成制度を整備したり、電力会社が長期買い取り制度を導入したことなどが追い風になっている。当初は電力会社の試験研究用が中心だったが、最近は自治体や民間企業の参入が増えた。風力発電の代替による二酸化炭素(CO2)削減量は推定で、0.4−1.7%に相当する。
風力発電推進市町村全国協議会(会長・舘林茂樹山形県立川町長)のメンバーは北海道、東北、北陸の比較的財政力の弱い市長村が多い。「建設後の補助金制度の創設」「建設地条件の規制緩和」など様々な政策支援を求め、9日に通産省、運輸省、環境省などに陳情した。メンバーの自治体からは「運営の政策誘導は不可欠」(葛巻町)との声が強い。(日本経済新聞 1999/07/25)

陸で海で巨大風車が発電 1000キロワット級登場
欧州では商業化
ドンキホーテがたじろぐような巨大な風車が各地に誕生している。地球温暖化の原因になる二酸化炭素を排出せず、クリーンなエネルギーとして注目される風力発電。技術革新が進んだ結果、20階建てビルに匹敵する大型風車が登場し、風のエネルギーを効率的に利用できるようになってきた。陸に比べ風が強い海に建てる計画も浮上、総発電量の1−2割を風力でまかなうことも夢でなくなってきた。

技術革新で実現

北海道北西部の苫前町。日本海に面した牧場の小高い丘に20基の巨大な風車が林立する。大手商社のトーメンが建設し、10月に試運転を始める「ウインドファーム」。風車1基の出力は1000キロワットで、支柱の高さ45メートル、羽根の直径56メートル。高さは奈良の大仏のおよそ4倍に達する。
90年代前半に建てられた風車は高さ10−30メートル、発電能力も100キロ−250キロワット級が大半だったが、今年初め、北海道室蘭市に国内初の1000キロワット級風車が登場した。苫前町では2000年末にさらに19基の大型風車が稼働し、年間発電量は1億1000万キロワット時、一般家庭約3万世帯分の電気をまかなう計画だ。
風車を大型化する利点は規模の効果にとどまらない。地上50メートルの地点は10メートルの地点に比べ、風が1.6倍強い。風力エネルギーは風速の3乗に比例するため、利用できるエネルギーは4−5倍になる。羽根のサイズが2倍になれば、パワーは10倍になる計算。軽くて強い素材を駆使することで大型化が可能になった。
年間を通じて風速5メートル以上の風が吹くことが風力発電の適地の条件。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の試算では、国内では500キロワット級の風車1万8000−7万基が建設可能で、全国の総発電量の1−4%を風力でまかなえる。政府は2010年度に風力発電を30万キロワット(総発電量では0.03%)に増やすという目標だが、大型風車の登場で「楽々達成できる」(三重大学の清水幸丸教授)との見方が強まってきた。

国の支援策カギ

大型風車の開発にいち早く取り組んだのが欧州だ。デンマークは地球温暖化を防ぐため、2030年までにエネルギー消費の35%を風力など自然エネルギーでまかなう目標を掲げた。
ドイツでも、風力による電気を電力会社が高値で買い取るよう義務付け、政府が普及を支援。98年末時点の発電規模は日本の30−70倍に達する。風力発電機メーカーも力をつけ、主要産業に成長した。苫前に建設された大型風車もデンマーク製。同国とドイツだけで世界の風力発電機のシェアの70%を握り、約2万人の雇用を生み出したとされる。
一方、日本では通産省がニューサンシャイン計画の一環として500キロワット級風車の開発に取り組んできたが、欧州に比べて発電コストが5−8割高く、太刀打ちできないのが実情。「日本の計画は研究のための研究という色彩が強く、欧州のように普及を想定した支援策が遅れた」と反省する関係者も多い。

洋上建設も注目

しかし、日本が遅れを取り戻すチャンスは残っている。最近、世界的に注目されているのが沖合1−3キロの海に風車を建設する洋上風力発電。風車を陸に建てると電波障害や景観悪化といった問題が生じるが、洋上ならこれらを避けられる。沖合は陸上より風が強いことも好材料だ。
運輸省は2000年度から港湾に建てる風力発電所の費用を補助する計画。「日本の海岸線は約3万4000キロに及び、船の出入りの少ない発電適地も多く、電力需要の2割程度をまかなえる」と同省は期待を寄せている。(日本経済新聞 1999/09/05)

夢の天然ガス、初の採掘実験
経済産業省・資源エネルギー庁は22日、日本とアメリカ、ドイツ、カナダの4か国の政府が共同で、21世紀のエネルギー源として期待される「メタンハイドレート」の世界初の採掘実験を来年、カナダで行う計画を明らかにした。
メタンハイドレートは、メタンガスが低温、高圧下で氷状になった物質で、埋蔵量は石油や天然ガスに匹敵すると言われる。燃焼時の2酸化炭素の排出量が少ないため、クリーンエネルギー源として期待される。採掘に成功すれば、日本近海などでの採掘にも道が開けるため、国内の関係者も大きな関心を寄せている。
メタンハイドレートは、南極、シベリア、アラスカなどの永久凍土地帯や、水深500メートルを超える深海底のさらに地下深層部に分布している。溶けると天然ガスの主成分であるメタンと、水に分離する。
共同採掘実験は、北極圏に位置するカナダ北西部のマッケンジー川河口付近のデルタ地帯で行われる。厳冬期で地盤が安定する来年1〜3月に、4か国が技術者や研究者を派遣、地下1200メートルまで掘り進める。
メタンハイドレートの回収については、氷状の固形物として取り出すのは、コストもかかり、効率的でないため、外部から空気を入れて圧力を下げたり、水を注いで温度を上げ、気体で取り出す方式が検討されている。今回の実験でも、こうした手法を使い、気化させて地上に噴出させる予定で、効率良くガスが取り出せるかなどを検証する。
メタンハイドレートは、日本近海でも静岡県の御前崎沖などに存在することが確認されている。御前崎沖を含む日本近海(日本の経済水域)の推定埋蔵量は7兆4000億立方メートルと、日本の天然ガス消費量の約100年分にのぼる。(読売新聞 2001/01/22)

英、新エネルギー比率10%へ−風力発電で1000万kW
【ニューキャッスル(英国)=駒橋徐】英国は京都議定書の発効を間近にして2010年に再生可能エネルギーで10%、20年には20%へ高めるため、そのほとんどを風力発電でカバーする大増強策に乗り出した。
現在の立地は陸地がほとんどだが、今後は洋上の比率を大幅に高め、10年に1000万キロワットの実現を目指す。
このため国と地方が出資している開発会社のNaREC(新エネ・再生可能エネルギー機関)は、ニューキャッスルに05年完成予定で再生可能エネの総合研究・商業施設を設け、技術移転と新技術開発に拍車をかけていく。
英国はすでに00年のエネルギー白書で、20年に新エネの比率を20%、50年までに二酸化炭素(CO2)削減比率50%を達成する計画をまとめている。(日刊工業新聞 2004/11/05)

国内最大の太陽光発電計画 三菱重工業、長崎県で
三菱重工業は3日、国内最大となる出力7000キロワットの太陽光発電設備を、長崎県大村市の九州電力大村発電所跡地に建設する計画を明らかにした。大規模な太陽光発電設備を安定的に運用するための研究用で、長崎県と三菱重工などが組み、独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究に応募する。認められれば来年度中にも稼働させる。
計画では同発電所跡地の一部を九電から借り、3000キロワット分は自社の長崎造船所諫早工場(長崎県諫早市)で開発・製造したパネルを使用、残り4000キロワット分は外部から調達して建設する。(共同通信 2006/06/03)

国立公園でも風力発電、温暖化対策で厳しい規制を転換
環境省は4日、国立公園内での風力発電施設の設置を推進していくことを決めた。
これまでは景観への悪影響や、野鳥が風車の羽に当たる「バードストライク」などを懸念し、自然公園法の施行規則で厳しい基準を設けて最低限の許可にとどめてきた。
しかし、地球温暖化対策が進まない中、温室効果ガスを排出しないクリーンエネルギーとして、風力発電導入の必要性が一層高まったとして、方針転換することにした。
来年度から年間10億円、3年計画で計30億円を投入し、バードストライクの防止策などを検討する。具体的には、〈1〉渡り鳥の接近をレーダーで把握して風車を止めることができるか〈2〉野鳥が近付かない色があるか〈3〉夜間のライトアップは鳥の衝突防止に効果があるか──などを研究。景観影響評価のマニュアルを作成したりする一方で、電力会社などに設置を働きかけていく。(読売新聞 2006/08/04)

低温地熱発電 ホテルで稼働 霧島で全国初
霧島国際ホテル(霧島市牧園町高千穂)は、温泉蒸気を活用し、従来の地熱発電よりも低温域の蒸気や熱水で発電できるバイナリー発電施設を設置、9月から本格稼働を始めた。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などによると、ホテルでのバイナリー発電導入は全国初。同ホテルは、全使用電力の約5分の1にあたる60キロワット時の発電を見込んでいる。
バイナリー発電は、地中蒸気を沸点の低い媒体に通し、その媒体蒸気で発電させる。富士電機システムズ(東京都品川区)がNEDOの助成を受け、3年かけて開発した。
同ホテルの既存の3本の温泉井戸を活用し、地中70−300メートルから最大で4トンの地熱蒸気を取り込み、媒体イソペンタンを介してタービンを駆動させる。最大電力は220キロワット時。同媒体を使った設備は国内初。
同ホテルは1984(昭和59)年、地中蒸気で直接発電させる地熱発電施設を敷地内に設け、冷暖房など一部電力をまかなってきたが、近年、老朽化が進行。同社から実用化や実証試験への協力要請があり、昨年10月から準備を進めていた。同社は経年劣化やメンテナンス状況などを調査し、08年度をめどに市場投入したい考え。
同ホテルは「既存の温泉から出た蒸気を余すことなく活用し少しでも地球環境に貢献できれば。修学旅行生など希望があれば視察も受け入れたい」としている。(南日本新聞 2006/09/23)

電事連会長、自然エネルギー義務量拡大に「反対」
電気事業連合会(電事連)の勝俣恒久会長(東京電力社長)は17日の記者会見で、風力や太陽光など自然エネルギーを使い発電した電力の供給を電力会社に義務付ける数値目標の見直し論議について「引き上げには反対」と明言した。
電力会社は2010年度までに供給電力の1.35%を自然エネルギー由来とするよう義務付けられている。経済産業省は11年度以降の新しい義務量を来年1月をめどに決める方針。
勝俣会長は「既存目標も相当努力しないと無理な数値」とし、「温暖化ガス削減など本来の目的に照らし、自然エネルギーありきではなく、原子力発電や途上国での削減分を自社の削減分に組み入れられる仕組みも重視すべき」と強調した。
一方、日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)が原発事業の事実上の統合で合意したことについては「原発事業も国内だけではやっていけない時代。日立がGEと組み、海外市場に乗り出せば技術の開発・承継につながる」と前向きに評価した。(日本経済新聞 2006/11/17)

世界最大の海上風力発電建設へ=年間190万トンのCO2削減−英
【ロンドン18日時事】英政府は18日、南東部のエセックス州沖に世界最大の海上風力発電施設を建設する計画を承認した。発電能力は100万キロワットで、年間190万トンの二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献することになる。
英政府によると、同州沖20キロの海上の230平方キロもの広さに計341基の風力タービンが建設される。政府は、2010年までに国内電力供給の10%を風力など自然エネルギーで賄う方針を示しており、同施設が完成すれば、この目的達成に近づくことができるという。(時事通信 2006/12/09)

世界最大の海上風力発電=英で計画、国内需要の1%
【ロンドン4日共同】英政府はこのほど、南東部のテムズ川河口沖に発電能力が海上風力発電所としては世界最大の「ロンドン・アレー」の建設計画を承認した。出力100万キロワットと英国の電力需要の1%をまかなう規模で、最大で年間190万トンの二酸化炭素(CO2)排出を削減する効果があるという。
英政府によると、エセックス、ケント両州の沖合20キロの海上に、341基の風力タービンを建設する。事業総額は15億ポンド(約3500億円)で、英国、ドイツなどのエネルギー企業が共同で開発する。
現在は自治体による陸上施設の建設認可を待っている段階。運転開始時期は決まっていないが、施設建設には4年かかるという。
英政府は2010年までに、風力など再生可能なエネルギーで電力供給の10%をまかなう目標を立てており、ミリバンド環境相は「今回の計画承認で風力発電推進に弾みをつけたい」と話している。
建設予定付近では、08年完成予定の100基のタービンによる別の海上風力発電所の計画もあり、両施設で約100万世帯分の電力を供給できる見込みだ。(共同通信 2007/01/04)

エクリプス・エナジー、英で風力・ガス複合発電
【ロンドン=清水泰雅】英電力会社のエクリプス・エナジーは英北西部カンブリア州の沖合で世界初となる風力とガスの複合型発電プロジェクトに乗り出す。通常は風力で発電するが、風が弱いときにはガス火力で発電する。総投資額は2億8000万ポンド(660億円)で2009年に電力供給を開始する見込み。
複合型発電システムは最大で200メガワットの発電能力を持ち、うち41%程度は風力による発電となる見通しだ。ガスは現地の海底にある2カ所の天然ガス田から供給する。約7万戸の住宅に電力を供給できるという。
風力発電は二酸化炭素(CO2)などを排出しないクリーンエネルギーだが、天候により、発電量にばらつきがあることが欠点だった。ガス発電と組み合わせれば、安定的に電力を供給できるようになる。環境対応の新しいタイプの発電システムとして注目を集めそうだ。(日本経済新聞 2007/02/09)

インドネシア、地熱発電増強・2020年に世界最大600万キロワットへ
【ジャカルタ=代慶達也】インドネシア政府は世界最大の地熱発電大国を目指し、発電設備の拡大に乗り出す。伊藤忠商事など外資の地熱発電所建設を後押しするとともに、政府自らが新規に14カ所で地熱発電事業を推進。地熱発電能力を現在の80万キロワットから2020年には世界トップの600万キロワットに引き上げる。インドネシアは火山国で豊富な地熱資源を持っており、地球温暖化対策となる新エネルギーとして、地熱開発を促進する。
伊藤忠は07年後半にも同国北スマトラ州サルラで同国石油大手メドコ・エナジー・インターナショナル、米オルマット・テクノロジーズと3社で世界最大級の地熱発電所の建設に着手する。投資額は8億8000万ドル(約1000億円)。総発電能力は33万キロワットで、九州電力も事業参画を検討している。4社で発電所を建設・運営し、発電した電力は国営電力会社PLNに売電する。(日本経済新聞 2007/04/03)

NYで「潮力発電」開始=川底にタービン、環境負荷低く
【ニューヨーク18日時事】温暖化対策に熱心なニューヨーク市で、潮の干満を利用して電力を供給するクリーンエネルギー「潮力発電」により、民間施設に電力を供給する試みが始まった。環境汚染の源とされる大都市発の先進的な取り組み。現在、マンハッタン島の東岸を流れるイーストリバーの川底でタービン6基が稼働中だ。
潮力発電は、ダム建設が必要な水力発電と違い自然の潮流を利用するため、生態系に与える影響が少ないとされる。ブルームバーグ市長は今月11日、6基のフル稼働開始に当たり、「気候変動への影響を限定するため、あらゆる努力を払うことが重要だ」と強調した。(時事通信 2007/06/18)

ドイツ:風力や太陽光、30年には電力消費量の45%に
【ベルリン小谷守彦】ドイツ環境省は5日、風力や太陽光など再生可能なエネルギーを利用した電力消費量の割合を、2030年に全消費量の少なくとも45%とする新目標を発表した。再生可能エネルギーの利用が予想以上に進んでいるためで、「2020年に20%」としていたこれまでの目標を上方修正した。
ドイツは今年3月、欧州連合(EU)議長国として、温室効果ガス削減に向けた意欲的な目標設定に加盟国首脳の同意を取り付けた。環境省は再生可能エネルギーの消費割合向上について「率先して目標達成に貢献するため」と説明している。
新目標は「再生可能エネルギー法」年次報告で示された。報告は同エネルギー利用による電力消費が昨年、全消費量の12%に達したことを明らかにしたうえで、新目標を少なくとも▽20年に27%▽30年に45%と設定した。現目標は10年に12.5%▽20年に20%だが、10年の目標値は年内に達成され、10年には15%に至る見通しだ。新目標は年内に法案として議会に提出される。
ガブリエル環境相は同日の記者会見で「(再生可能エネルギーの利用は)ドイツが誇る成功物語だ。我々の政治決断が実行されることを世界に示したい」と述べた。(毎日新聞 2007/07/05)

豪政府:温暖化対策で全校に太陽熱温水器
オーストラリア政府は17日、地球温暖化対策の一環として、今後5年間で国内のすべての学校を対象に、太陽熱温水システムと雨水タンクを設置する計画を発表した。
エネルギーと水の効率利用が目的。設備導入支援のための費用は総額約3億3600万豪ドル(約358億円)に上る。
ハワード首相はビデオ演説で「エネルギーの節減と水の保存に役立つだけでなく、環境保護のためにどのように行動できるかを生徒たちに直接教えることができる」と計画を自賛した。
同国政府はまた、自宅に太陽熱温水器を設置する家庭に対してもそれぞれ1000豪ドルを支援する制度を導入。今後5年間で22万5000世帯が同制度を利用すると見込んでいる。(シドニー共同)(毎日新聞 2007/07/17)

風力発電機、風向き良好・最大手ヴェスタスなど好決算
風力発電機業界の業績が急拡大している。世界最大手のヴェスタス・ウインドシステムズ(デンマーク)が21日発表した2007年6月中間期業績は最終利益が6800万ユーロ(約100億円)となり、前年同期の600万ユーロから急回復した。温暖化への危機感から世界各国からの受注が伸びている。
発電効率の改善なども風力エネルギーには追い風。世界の風力発電能力は06年時点で7万4000メガ(メガは100万)ワット。年率2割の勢いで拡大し「10年までに17万4000メガワットに増える」(モルガン・スタンレー)という。
ヴェスタスは、07年12月期通期の売上高は45億ユーロと前期から17%増えると見込む。同社の株価(コペンハーゲン市場)は好決算を受け、急伸している。業界2位のスペインのガメサの07年6月中間期も売上高が7割近く増える好決算となった。(ロンドン=田村篤士)(日本経済新聞 2007/08/21)

市民パワーで自然力発電
共同設置増え185基
全国集会調査報告

市民の手で自然エネルギーを活用しよう―。1997年に滋賀県で始まった市民共同発電所が、ことし九月までに185基に達したと、22日から大阪市内で始まった「市民共同発電所全国フォーラム2007」で報告されました。
市民の寄付金や出資によって、公共施設や教育施設などに太陽光発電所や風力発電所などを設置して、自然エネルギーの普及や地域活性化・環境まちづくりをめざそうというとりくみで、現在、発電出力の総計は約1万6000キロワットとなっています。同フォーラムには全国から参加があり、交流しました。
全国で市民共同発電所づくりにとりくむ団体は昨年の調査から約1.5倍の71団体に。北海道から鹿児島県まで34都道府県に拡大しました。
設置された発電所は、太陽光発電が164基、風力発電が20基、小型水力発電が1基で計185基。発電出力は、太陽光発電だけで1000キロワット、風力発電は1万4000キロワットをこえました。寄付や出資総額が約20億円でした。
開会あいさつと基調報告をした和田武・同フォーラム実行委員長は「市民共同発電所は出資や寄付などで約1万1000人がかかわっている。200基の大台にのるのも現実になりつつある。飛躍的普及の出発点としていきたい」と指摘。「地球温暖化防止には水力、風力などによる発電は不可欠だが、日本は海外より立ち遅れている。
政府に(原発依存の)エネルギー政策を転換させ、自然エネルギー電力買い取り保障制度を実現していこう」と訴えました。
パネルディスカッションでは、市民団体の代表や自治体首長らをパネリストに、各地のとりくみの課題などを話しあいました。(しんぶん赤旗 2007/09/23)

火力発電所新設、10年凍結=再生可能エネルギーを9割へ−NZ
【シドニー11日時事】ニュージーランド政府は11日、地球温暖化ガスの排出量を削減するため、石炭や天然ガスを燃料とした火力発電所の新設を今後10年間、凍結する方針を発表した。緊急のバックアップ用の発電所以外は建設計画がストップする。
政府は水力や地熱など再生可能エネルギーの使用を促し、全体の発電量に占める割合を現在の74%から2025年までに90%に引き上げる目標を掲げており、火力発電所の建設凍結はそれに伴う措置。同国は水力発電の発電量が全体の7割もあるなど、もともと再生可能エネルギーの割合は大きい。(時事通信 2007/10/11)

地球最前線:救世主か、地熱発電 先進国アイスランド
ユーラシアプレートと北米プレートの2つの地殻が交わる大西洋中央海嶺(かいれい)の真上に、アイスランド最大のネシャベトリル地熱発電所がある。地熱発電は二酸化炭素(CO2)排出量が火力発電の20分の1と少ないだけでなく、今後、本格的な技術輸出が見込める。温室効果ガス削減の「救世主」として注目を集める地熱発電の現場を訪ねた。【ネシャベトリル(アイスランド)で藤好陽太郎】

◇温暖化対策で注目──「未来があり、我々の誇り」

こけむした溶岩台地に、直径90センチのパイプラインが道路沿いに延びる。首都レイキャビクから東に30キロ、火山活動の蒸気と雨雲が溶け合う中に地熱発電所が姿を現した。
硫黄のにおいが鼻をつく。発電所は活火山ヘンギルの真上にも位置し、地震は頻繁に起きる。広報責任者のトンズバークさん(29)が指さす壁には、大きなヒビが入っている。「耐震構造ですから」と強調するが、建物はあちこちヒビだらけ。アイスランドが火山と地震の国であることを改めて実感させられる。
地下1〜2.2キロにある380度に熱せられた岩の間から蒸気と熱湯が取り出される。高温の蒸気はタービンに吹き込まれ、アイスランドの発電全体の8%に当たる120メガワットを作り出す。山1つ隔てた地熱発電所が来年夏から300メガワットを発電する予定で、ヘンギル地区だけで約20%が発電されることになる。
一方、この熱湯を使って、近くの湖の冷水を86度に温める。海抜400メートルの丘に引き上げ、パイプラインでレイキャビク市内へ運ぶのだ。
7時間かけて、毎秒1640リットルもの高温水が運ばれる。だが、温度は1.8度しか下がらず、家庭のヒーターやシャワーから、プールや工場まで、同市の需要の約45%をまかなっている。
トンズバークさんは「たった4人の技術者が、システムのチェックなどすべての管理を行っている。地熱発電には未来があり、我々の誇りだ」と語った。

◇各国調査団が殺到──運営企業は高い格付け

アイスランドの06年の地熱発電は前年比6割増の大幅増を示す。水力発電と合わせた再生可能エネルギーは、アイスランドの全電力発電の99%を占める。自動車や漁船が使うガソリンなど化石燃料を含めたエネルギー供給全体でみても、再生可能エネルギーが7割超を占め、世界最高水準だ。
アイスランドの人口は30万人に過ぎない。しかし、1人当たり国内総生産(GDP)は約5万5000ドル(約630万円)と日米などをしのぎ、失業率も2.6%と低い。教育を最重要視し、大学まで無償。スカルプヘイジンソン産業相は「市民の意識は高く、政府と知恵の出し合いになっている」と語る。
産業相は国内の地熱発電所を倍増させ、6カ所にすると言う。10キロ四方のヘンギルの探査には25年もかかったが、地熱に不可欠な高温のマグマだまりを突き止めるノウハウも蓄積。今後、多くの国に地熱技術を輸出する方針だ。最近は「各国調査団が毎週のように押し寄せており、てんてこ舞いだ」と話す。
温室効果ガス削減のカギとなる地熱発電には、米欧の金融機関も関心を強めている。発電所を運営する企業の売上高は前年比2割近い伸びを示しており、米大手格付け会社は上から3番目の高格付けを付与。米ゴールドマン・サックスはゲイシール地熱発電所への出資交渉を始めたほか、米欧のファンドも高利回りの合併・買収の対象として注視している。(毎日新聞 2007/10/29)

温暖化対策で風力発電拡充へ=全世帯の電力需要賄える−英政府
【ロンドン10日時事】ハットン英商業相は10日、温暖化対策の一環として海上風力発電を拡充する計画を明らかにするとともに、2020年までに国内全世帯の電力需要を風力で賄うことが可能になるとの見通しを示した。
海岸沿いに最大7000基の風力タービンを設置し、風力による発電を現在の50万キロワットから20年までに、全世帯の電力需要に相当する3300万キロワットに拡大する計画。(時事通信 2007/12/11)

人工浮島で太陽発電=スイスの研究所がプロジェクト
【ジュネーブ2日時事】スイスの民間研究所CSEM(本部・ニューシャテル州)が太陽発電を行う人工の浮島を海上に建設するプロジェクトに取り組んでいる。強い日差しを遮る障害物のない海上で効率よく太陽発電を行う試みで、2010年代初頭の実用化を目標に、研究開発を進めている。
プロジェクトが進められているのは、アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国の1つ、ラスアルハイマ。07年5月にラスアルハイマ当局に太陽発電の浮島構想を説明し、500万ドル(約5億6500万円)の資金提供を含めたプロジェクト推進への支援を取り付けた。
プロジェクトでは、直径5キロの円形の浮島に太陽の熱エネルギーを集めて貯蔵する設備を設置。熱エネルギーによって蒸気を発生させたり、水素を取り出したりして、発電に活用することを想定している。直射日光の強い昼間に熱エネルギーを蓄えておくことで、夜間の発電にも利用できるという。(時事通信 2008/01/02)

街中の電力供給、再生可能エネルギーだけで・南仏にモデル都市
仏政府は、街中のすべての電力を太陽光や風力など再生可能エネルギーでまかなうモデル都市を整備する。南仏にある人口約20万人の都市が対象。市街地での消費電力を減らす一方、周辺に太陽光発電所などを新設。2015年までに電力の100%を再生可能エネルギーに切り替える。温暖化対策を推進する際の世界で初の大規模な実験となる。
モデル都市となるのは、スペイン国境に近い地中海岸の都市ペルピニャン。古都で市街地には古い建造物が多いため、建物の断熱性能を高め、冷暖房の消費電力を減らす。新規に着工する建物は設計段階から省エネを考慮する。
再生可能エネルギーの生産施設として、市街地にある大規模な市場の屋上に欧州最大となる太陽電池を設置する。郊外には敷地面積が100ヘクタールに及ぶ太陽光発電施設を新設するほか、数百ヘクタールの敷地に風力発電施設を建設する計画だ。全施設が稼働すれば、ペルピニャン市の消費電力は石油や石炭など化石エネルギーから再生可能エネルギーに切り替わるという。(日本経済新聞 2008/01/20)

東京・中野区:発電用風車を茨城に3基設置へ
東京都中野区は7日、発電用の風車3基を茨城県常陸太田市に設置すると発表した。生産した電力を東京電力に売り、利益分は区民が太陽光発電のパネルなどを購入する際の資金援助に充てる。5年後の稼働を目指しており、区は「温暖化対策のシンボルにしたい」としている。
都市部の自治体が別の自治体で風力発電をするのは全国初という。風車は高さ約70メートルで、3基の総工費は約15億円。風速5−6メートルの風が安定して吹けば、年間1050万キロワットの電力を作ることができ、東京電力への売却で年間約6000万円の利益が出る計算だ。(毎日新聞 2008/02/08)

太陽光発電所:国内最大 2500軒分、大阪・堺に シャープと関電、処分場活用
国内最大の太陽光発電所を、堺市臨海部の産業廃棄物処分場に設置する計画が進んでいることが分かった。処分場の有効利用策を検討していた大阪府に対し、大手家電メーカーのシャープ(本社・大阪市)と関西電力(同)が、発電所の事業者として参加する意向を伝えた。09年度に完成の予定。
太陽光発電は地球温暖化対策の新エネルギーとして期待されながら、国内での設置は伸びが鈍化している。官民が環境重視の姿勢を示すことで、太陽光発電の普及の弾みにもなりそうだ。
関係者によると、堺市西区の埋め立て地「堺第7?3区」(約280ヘクタール)の約20ヘクタールに、発電容量1万キロワットの太陽光発電パネルを設置する。09年度に着工予定。近くの別の埋め立て地に建設するシャープの新液晶工場と同時期の運用開始を目指す。
土地は、処分場のため大規模な建物を建設できず、地権者の府は無償で貸与できないか検討している。シャープは同社製の太陽電池を供給し、電力は関西電力が購入する。発電規模は、一般住宅の標準的な太陽光発電施設の約2500軒分に相当する。発電そのものは赤字と見られるが、PR効果を見込んだ。
新工場進出を受け、府とシャープが周辺の環境整備を協議する中、計画が浮上した。同社は太陽電池の生産量が世界1位。国内最大の太陽光発電所は、三重県亀山市の同社液晶工場にある5000キロワット。【久田宏、脇田顕辞】

<太陽光発電> シリコンなどで構成する太陽電池が光を受け、電気を発生させる。発電時に温暖化ガスが発生せず、クリーンな新エネルギーとして注目されるが、夜間は発電できず、日中も発電量が天候に左右されるのが弱点。太陽電池パネルの設置など導入時のコストも課題で、国内の太陽光発電は石油や石炭、天然ガス、水力など自然から直接得られる総エネルギーのうち、03年末で0.04%にとどまる。(毎日新聞 2008/02/14)

光と風だけで街に電力を=温暖化緩和へ−南仏ペルピニャン
【パリ17日時事】フランスで最も日照時間が長いといわれる南部の都市ペルピニャンが2015年までに、太陽光や風力発電だけで人口約20万人の消費電力を賄うことになった。ボルロー環境相によると、脱石油の再生可能エネルギー利用計画としては欧州最大規模。地球温暖化の緩和に向けた世界的な先進モデルになる。
計画では、地中海沿岸産の果物と野菜の集散地である同市のサンシャルル市場で、建物の屋根全体約7万平方メートルに総工費5500万ユーロ(約87億円)をかけてソーラーパネルを設置。このほか風力発電機40基、太陽光発電所3カ所、廃熱利用施設1カ所を市一帯に設ける。(時事通信 2008/02/18)

松山サンシャインプロジェクト:太陽光発電を促進 公共施設や個人住宅に導入 /愛媛
◇年6600トンのCO削減目指す
松山市は来年度から、太陽光エネルギーの有効活用を図る「松山サンシャインプロジェクト」を始める。公共施設への太陽光発電システムの倍増や個人住宅などへの導入を促進し、16年度末までに年間約6600トン(06年度の1年間実績は約3400トン)の二酸化炭素削減を目指す。
瀬戸内の温暖な気候条件で、昨年の日照時間は年間2000時間を超えている。00年から太陽光発電システム設置の補助を始め、06年度までの補助件数は2258件(約8000キロワット)と中核市で1位、世帯普及率は1・03%で中核市3位(1位は愛知県豊田市)の実績がある。
個人・法人向けの支援として、太陽光発電システムの出力4キロワットまでのものへ32万円までとしている現行の補助を、08年度からは出力5キロワットまでのものへ40万円までとし、上限を拡大。10キロワット以上の設置には1件100万円を補助する。12年度までに計1万5100キロワットの導入を目標としている。
一方、市有施設では、06年度末までに19カ所に設置された太陽光発電システム計325キロワットを、16年度末までに計650キロワットまで拡大する。学校施設への設置では、発電量などを示す表示装置も取り付け、環境教育にも役立てたいとしている。
また、環境先進地として知られる姉妹都市のドイツ・フライブルク市のソーラー技術の有効性などを、松山市内の住宅メーカーと調査していく。さらに、屋上緑化など、太陽エネルギーを活用したビジネスには、500万円(経費の2分の1以内)を補助する。【藤田健志】(毎日新聞 2008/02/18)

欧州、発電所で発生するCO2の地中封入相次ぐ
【パリ=古谷茂久】欧州の大手エネルギー会社が発電所で発生する二酸化炭素(CO2)を地中に封じ込める計画を相次ぎ打ち出した。仏石油大手のトタルは年内に仏南部の発電所を改造し、CO2を地下深くに注入する試験を始める。独電力大手のエーオンやRWEも近く同様のCO2注入施設を建設する。先進国は1月から京都議定書の約束期間に入り、排出規制を強化している。各社はCO2の地中貯留で対応するとともに、将来は貯留を通じ排出権獲得を狙う。
高圧ポンプを使って地下深くに送り込んだCO2は、微小な穴がたくさん開いている地下の岩石に浸透。その際、CO2が岩石の成分と化学反応で一体化し、半永久的に地下にとじ込められる。地表に噴き出てくる恐れはないという。封じ込めに適した地層は仏独のほかポーランドなど欧州各国で確認されている。(日本経済新聞 2008/02/22)

風力発電、世界で追い風・07年は27%増
【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)や米国、中国を中心に風力発電が急速に拡大してきた。風力発電能力は世界全体で2007年に前年比27%増え、なかでも中国は2倍以上に膨らんだ。EUが利用拡大で数値目標を定めるなど地球温暖化対策への取り組みが進んだため。原油高騰で代替エネルギーとしても注目されており、主要国は今後さらに積極投資を進める見込みだ。
欧州の風力発電関連の約390社でつくる業界団体「EWEA」のまとめによると、世界全体の風力発電能力は07年末で約9万4000メガ(メガは100万)ワットとなった。老朽化した発電設備を除き、年間に差し引き2万メガワットを超える新増設が進んだ。EWEA事務局は「最も楽観的な予測を上回る伸びだった」としている。(日本経済新聞 2008/02/24)

関西電力、ツバル国で建設してきた太陽光発電設備が運転開始
関西電力はこのほど、ツバル国で建設を進めてきた太陽光発電設備が完成し、運転を開始したことを発表した。
ツバル国は南太平洋に浮かぶ9つの環礁島から成る総面積約26平方キロメートルの小さな島国。海抜が平均2mと低く、地球温暖化による海面上昇により「最初に沈む国」と言われている。
関西電力はこれまで、国際貢献の一環として、ツバル国をはじめとする太平洋の島国の電力会社を対象に、新エネルギーに関するセミナーを行ってきた。その中で、ツバル国より、先進国に二酸化炭素(CO2)排出の抑制を求めるだけでなく、自ら新エネルギーを導入し、地球環境保全に直接貢献したいという思いを聞いてきたという。
関西電力は温暖化による海面上昇の被害に苦しむツバル国自らが新エネルギーを導入するという今回の事例が、地球温暖化に対する問題提起となればと考え、太陽光発電設備の建設を実施するとともに、設備のメンテナンスや運転のノウハウを伝達してきた。
このほど、太陽光発電設備が無事完成。ツバル国の首都フナフチで竣工式を行い、設備をツバル電力公社に移管した。設備容量は40kw、年間発電量は約5万6000kWh。年間、50t-CO2のCO2を削減する。今後2年間は、関西電力も設備のモニタリングと運転支援を行っていく(日経エコロジー編集/EMF)。(日経BP 2008/02/25)

アリゾナに世界最大の太陽光発電所建設へ
電力大手アリゾナ・パブリック・サービス(APS)は、スペインの太陽光発電技術開発大手アベンゴア・ソーラーと共同で、アリゾナ州に世界最大規模の太陽光発電所を建設する。
ウォールストリート・ジャーナルによると、発電所はフェニックスの南西約70マイルの場所に建設され、3マイル四方に数千枚の集光板を設置して280メガワットの電気を生産する。新しい技術によって熱を保存して後から使うこともできるため、日没後も数時間はフル生産を続けられるという。州の認可が下りれば2011年までに建設する予定で、APSは総工費を10億ドルを見込んでいる。
APSは1キロワット時当たり14セントをアベンゴアに30年間支払うことに合意しており、高価な電気となるが、石炭、天然ガス、原子力など他の方法で生産された電気と合わせて販売するため、料金への影響は軽減される見込み。
アリゾナは年間300日の晴天も珍しくなく、APSのドン・ブランド社長は「化石燃料の使用を減らすために、エネルギー源の多様化が必要」と話している。同社では現在、電気の3分の1をガスによる火力発電で生産しているが、燃料コストではガスが3分の2を占めている。(U.S. FrontLine 2008/03/07)

アブダビ政府系機関、スペインに太陽熱発電プラント建設
【ドバイ=松尾博文】アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ政府系機関であるアブダビ未来エネルギー公社は12日、スペインのエンジニアリング会社セネルグループと、集光型太陽熱発電事業を展開する新会社を設立すると発表した。総額8億ユーロ(約1256億円)を投じ、次世代の発電システムとして注目を集める集光型発電のプラントをスペイン国内3カ所に建設する。
新会社はセネルが60%、アブダビ未来エネルギーが40%を出資する。スペインでのプラント建設を足がかりにして、2012年までに出力50万キロワット規模の発電事業を世界で展開する。
集光型太陽熱発電設備は、多数の反射板で集めた太陽光で熱を生み出し、発電に利用する。化石燃料を使わない新たな発電システムとして、欧州南部など日照時間の長い地域での普及が有望視されている。(日本経済新聞 2008/03/13)

太陽光発電設備:電機各社が増産 温暖化対策、原油価格高騰
◇時代は太陽光発電
シャープなど電機大手各社が太陽光発電設備の増産に乗り出している。地球温暖化対策に熱心なドイツなど欧州を中心に世界需要が急拡大しているためだ。発電量でかつて世界首位だった日本は最近伸び悩んでいるが、原油価格の高騰もあって将来的には再び成長が予想され、各社は投資に力を入れている。
生産量で世界トップクラスのシャープは、09年度に堺市で新工場を稼働させ、生産能力を現在の2.5倍の年1850メガワットに拡大する。投資額は約1000億円と見られ、家庭の年間の太陽光発電能力(約4キロワット、必要な総電力の7割程度をカバー)で約46万戸をまかなえる計算だ。
京セラも約200億円を投資して、滋賀県東近江市の工場を増設し、10年度までに生産能力を現行の2.4倍の500メガワットにする。三菱電機は今年10月までに約70億円で長野県飯田市などの工場を拡充し、現在の1.5倍の220メガワットとする。12年には500メガワット体制も検討している。
太陽光発電は高額な設備が普及の障害だったが、ドイツは電力会社が電力買い取り価格を大幅に引き上げるなど推進策を導入し急成長。05年には発電量で日本を抜いて首位となり、現在は世界需要の約半分。発電設備は日本の電機メーカーが世界生産量の約3分の1を占めるが、多くをドイツに輸出している。
一方、日本国内で太陽光発電を設置している家庭は約40万戸。企業も含めた需要は約200メガワットで世界全体の約1割。国が家庭への購入補助を05年度に打ち切ったため、伸びが鈍化している。また、設備は200万円程度となお高額。政府は補助制度の再開を含め普及策を検討しており、メーカー側も「世界的に省エネに関心が高まっており、将来的に有望」(シャープ)とみている。【森山知実】

<太陽光発電> 住宅などの屋根にパネル型の太陽電池を設置して太陽光を電気に変える。発電時の二酸化炭素の排出はゼロ。三菱電機の試算では、07年の世界需要は04年から倍増し、1950メガワット。12年には約2.8倍の5550メガワットに達すると見込まれている。(毎日新聞 2008/03/26)

15年度3倍の60基目指す 青山高原、風力発電日本一に
【三重県】三重県伊賀市と津市にまたがる青山高原に、風力発電のための風車が新たに40基建設されて計60基となり、日本一の「風力発電施設」となる見通しとなった。同高原で風力発電を手がける中部電力の子会社「シーテック」(名古屋市)と、伊賀、津両市出資の第3セクター「青山高原ウインドファーム」(津市)が27日、発表した。
40基の建設候補地は、標高700−800メートルにある高原内の約60ヘクタール。2003年にできた風車20基が並ぶ一帯の南北両側に、変電所とともに建てる。羽根部分の直径が80メートルと、現在の風車の50メートルより一回り大きく、風車全体の高さも現在の75メートルから100メートルになる。
総費用は約200億円を見込んでいる。
候補地の一部は国定公園のため、08年度から2年かけて環境影響評価を行い、10年度にも着工。15年度までの完成を目指す。
発電能力は、現在の最大1万5000キロワットから9万5000キロワットに。三重県松阪市(約6万4000世帯)や愛知県安城市(約6万5000世帯)に匹敵する約6万6000世帯の電力量を賄える。二酸化炭素(CO2)の排出量に換算すると年9万トン削減でき、「自然に優しいエネルギーで環境面でも貢献したい」としている。
現在、国内最大の風力発電施設は33基の風車がある郡山布引高原風力発電所(福島県郡山市)。(中日新聞 2008/03/28)

ビルの屋根使い太陽光発電〜南カリフォルニア・エジソン
電力大手南カリフォルニア・エジソンは27日、カリフォルニア州南部の商業施設の屋根を使った大規模な太陽電池の設置計画を発表した。まとめて1つの施設と考えた場合、太陽光による発電量は国内最大規模になるという。
ニューヨーク・タイムズによると、太陽電池パネルは、州南部の100以上の大型建造物の屋根に設置され、総面積は2平方マイル、約16万世帯分の供給量に相当する250メガワットを発電する。太陽光発電の電力量は通常、1施設当たり数千ワット程度で、計画施設の電力量は昨年の国内の太陽電池による発電量の総計に匹敵する。事業総額は、5年間で約8億7500万ドル。
同社は、2010年までに電力の20%を再生エネルギーから供給するよう州から求められている。ジョン・ブライソン会長兼最高経営責任者(CEO)は、風車など新世代の発電施設からの送電線敷設が難しいことなどから目標達成は難しいと見ているが、太陽光発電は屋根に装置を取り付けるだけで簡単に電気が集まるのが魅力だ。
現在のところ、ネバダ州ネリス空軍基地にある太陽発電装置が電力量14メガワットで国内最大となっている。世界最大は、スペインにある23メガワットの装置だ。(U.S. FrontLine 2008/03/28)

風力・太陽光発電:蓄電池が開く道 天候頼みで不安定…「安定電源」に
再生可能エネルギーである風力、太陽光発電の普及に大きな障害だったのが、「天候頼みで発電が不安定になる」という点だった。しかし大容量の「蓄電池」と組み合わせることで、弱点が克服されつつある。電気を蓄え、必要に応じて放出できるようになり、「安定電源」への道が開けてきた。【江口一】

◆立役者は「NAS」

「風力発電の技術的な弱点はなくなった」。電力の問題に詳しい早稲田大の横山隆一教授はこう断言する。その立役者になったのが「NAS(ナトリウム・硫黄)電池」という蓄電池だ。
NAS電池は、硫黄を正極(+)に、ナトリウムを負極(−)に使った電池。東京電力と日本ガイシ(名古屋市)が実用化に成功し、02年から販売している。直径約9センチ、長さ約60センチの電池を約300本集めて一つの蓄電池にする。その容量は約360キロワット時、出力は約50キロワットで、用途によっては蓄電池を多数つなげてパッケージ化する。
東電蓄電設備ソリューショングループの田中晃司マネジャーによると、NAS電池は(1)材料がナトリウムと硫黄で入手しやすい(2)大きさ(設置面積)が従来の鉛蓄電池の3分の1(3)自然に放電されることが少なく長寿命──などの利点がある。風力発電に組み合わせる蓄電池は、なるべくコンパクトで大容量の蓄電ができ、維持・点検が容易なことなどが求められるが、NAS電池は鉛など他の方式の蓄電池に比べ、これらの点で画期的だった。
実はNAS電池開発の歴史は古い。1960年代に米フォード社が、自動車用バッテリーとして開発を始めた。国内でも新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や電力各社が研究してきたが、実用化の決め手は、日本ガイシが持つセラミックの技術だった。電池内部でナトリウムと硫黄を分離する特殊な管はセラミックで造るが、決められた寸法に焼き上げるのに高度な技術が必要で、同社がこの関門を克服した。

◆秒単位の変動を調整

蓄電池と組み合わせることで、太陽光・風力発電がどう生かされるのか。
太陽光・風力発電の弱点は、秒単位で発電量が変動する不安定性にあった。この「ふらついた電気」が大量に送電網に入ると、送電システム全体が不安定になる恐れがあり、電力会社の懸念材料になっていた。
しかし蓄電池を用いれば、太陽光・風力発電の発電量が大きければ電気を蓄え、小さければ放出するという動作を瞬時に切り替えられる。つまり通常の発電設備と同様に安定した電力になることが、NEDOによる実証試験などで証明されている。
安定電源になれば、こんな効果も期待できる。電力会社は、電力需要の多い昼間に火力発電所を稼働させ、発電量を増やしている。蓄電池と組み合わせた太陽光・風力発電ならば、発電量がその時の需要を超えていれば余剰分を蓄積し、少なければ電気を放出することが可能になる。蓄電池が需要と供給の調整役となり、その結果として火力発電所などにかかる負担を減らすことができる。
こうした形での普及をにらみつつ、東電はこれまでに大型店舗など90カ所に、災害時の電源用などの目的でNAS電池を設置した。日本風力開発は5月、青森県六ケ所村で、NAS電池を併設した風力発電所(出力約5万キロワット)の試験運転を始める。

◆家庭用としても期待

蓄電池には家庭用電源の担い手としても、期待が大きい。
「理論上は、蓄電池と組み合わせた太陽光発電だけで、家庭の電力消費をまかなえる」。電池メーカー、ジーエス・ユアサパワーサプライ(京都市)の山口雅英・電源システム生産本部開発部長はこう話す。
同社はリチウムイオン電池を大容量化した蓄電池を開発。試算では、出力5キロワットの家庭用太陽光発電と蓄電池を併用すれば、夏季には発電量と家庭の消費電力がほぼ同じにできるという。さらに大型の太陽電池で夏季に十分な電気を蓄えれば、年間の消費電力すべてを太陽光でまかなえる可能性があるという。
ただ問題となるのは、そのコストだ。同社によると、家庭用の蓄電池設置には安価な鉛電池でも約150万〜200万円かかり、現状では省エネ効果で設備投資分を回収することはできないという。山口部長は「大量生産で値段が半分になれば、実用化も視野に入る」という。
NAS電池の普及もその価格(電力1キロワット当たり25万円以上)がネックになっており、横山教授も「これからの再生可能エネルギーは、蓄電池を併用したシステムが前提になるが、あとは社会によるコスト負担のあり方が課題になりそうだ」と指摘する。(毎日新聞 2008/04/28)

風力で電力の20%可能に 米エネルギー省報告書
【ワシントン12日共同】米エネルギー省は12日、2030年までに米国の総発電容量の20%を風力発電で賄うことが可能だとする報告書を発表した。近年の風力発電の急速な伸びを受けたもので、導入をさらに後押ししそうだ。
同省傘下の研究所と電力業界、環境保護団体などが共同でまとめた報告書によると、風力による発電容量は現在、1680万キロワットと米国の総発電容量の約1%にすぎないが、17年までに現在の3.5倍のペースで建設するようになれば、30年には20%に相当する3億キロワットに拡大可能だとした。技術の信頼性向上や送電施設の整備、許認可の緩和が課題だという。
同省によると、米国では07年に原発5基分に相当する500万キロワットの風力発電所が新設され、同年の新規発電容量の30%を占めるなど急成長している。
同省のカースナー次官補は「風力発電が主要なエネルギー源として有効で商業的にも成熟していることを示すものだ」と指摘している。(共同通信 2008/05/13)

英、世界最大の海上風力発電 20年まで、2500万キロワット分
【ロンドン=清水泰雅】英政府は再生可能エネルギーの柱となる次世代風力発電計画をまとめた。2020年までに大規模な海上風力発電の設備を2500万キロワット分新設する。海上風力発電では世界最大の規模となる。二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制するため、世界各国が取り組んでいる再生可能エネルギー活用のモデルケースになりそうだ。
英政府は20年までに再生可能エネルギーの利用割合を現行の2%未満から15%に引き上げる計画を持つ。試算では再生可能エネルギーを使った発電設備を3000万キロワット以上持つ必要がある。だが、従来の計画では主力と見込む風力発電全体でも1000万キロワット前後にとどまっており、大幅な追加策が必要だった。
海上風力発電装置は設置の難しさから、世界的にもこれまでほとんど実績がない。ただ海上は風力が強く、大型設備を短時間で構築できるうえ、設置場所の確保が比較的簡単だ。発電装置1基あたりの発電量は5000―7500キロワットと、地上の風力発電に比べ、2―4倍になるため、再生可能エネルギーのなかでも有力視されている。(日本経済新聞 2008/06/06)

仏、脱「石油・石炭」を推進 全建物で太陽光と風力発電
フランス政府は温暖化ガス排出を大幅に削減するための包括対策に乗り出す。2020年末以降に建設する一般住宅を含むすべての建物に太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電装置の設置を義務付けるほか、同年をメドに石油、石炭など化石燃料の発電所での使用を事実上ゼロにする。7月の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)を前に踏み込んだ対策を打ち出し地球温暖化の国際交渉で主導権を握る考えだ。
包括案は電気事業者が展開する大規模発電については風力発電など再生可能エネルギーの比率を20年までに全体の20%に引き上げるよう規定。フランスでは現在、原子力発電が発電量の80%近くを占めている。再生可能エネルギーで20%を賄えば20年には事実上、化石燃料による発電がほとんどなくなり、大規模発電による二酸化炭素(CO2)の排出量がほぼゼロに近づく見込みだ。(日本経済新聞 2008/06/18)

太陽光パネル設置を義務付け 独マールブルク市、違反者は罰金も
ドイツ中部の大学都市マールブルク市で22日までに、新築の建築物すべてに温水暖房用のソーラーパネルの設置を義務付けるドイツ初の条例が採択された。違反者には1000ユーロ(約16万7000円)の罰金も科す徹底した規制策となる。
童話のグリム兄弟も居住した丘の町である同市の人口は約7万9000人。新条例は20日の市議会で採択され、10月1日に施行される。住宅や事務所などを新たに建てたり増改築したりする際、太陽光を利用したソーラーパネルを同時に設置しなくてはならない。
風力や地熱など別の再生可能エネルギーを使って暖房装置を設置している場合は対象外。欧州ではスペイン東部のバルセロナ市が既に同様の規制を導入している。(共同)(産経新聞 2008/06/22)

世界最大級の太陽光発電所 関電とシャープ、堺で建設へ
堺市臨海部に世界最大級の太陽光発電施設が誕生する。シャープが建設中の液晶パネル工場の屋根に太陽電池を敷き詰め、関西電力は隣にある大阪府所有の土地に太陽電池を設置して発電所を建設する。最大発電出力は2カ所合わせて2.8万キロワットで、現在最大のスペインの施設(2.3万キロワット)を上回る。
23日、両社が発表した。09年度中に着工、11年度中の稼働を目指す。発電量は一般的な家庭8000世帯分で、年間約1万トンの二酸化炭素(CO2)を減らせるという。国内にある太陽光発電設備はこれまでシャープ亀山工場の0.5万キロワットが最大だった。シャープの発電規模は1.8万キロワット。自社がつくる「薄膜型」と呼ばれる新型太陽電池を大規模施設では世界で初めて使う。シャープはシリコンの調達競争に苦しみ、従来型の太陽電池でシェア1位から陥落。シリコンを使う量が少ない薄膜型に投資を集中している。堺市で実績を作り、欧州や北米などで建設が進む大規模発電所への採用に結びつけて世界トップに再挑戦する。
一方、関電の発電所は1万キロワット。自社の電力系統を通して堺市内の工場や一般家庭などに供給する。太陽光発電は天候に左右されやすく、電力会社の太陽光発電所はこれまで四国電力(300キロワット)などいずれも小規模だったが、関電は「関西で数百万キロワットを導入する」と積極的だ。大規模発電所を実際に運用することで技術的課題を検証する。(朝日新聞 2008/06/23)

日本はもっと地熱発電を 米国の環境学者 レスター・ブラウン氏提言
日本のエネルギー自給率は10%未満。原油高騰が続くなか、国産のエネルギー資源開発が求められている。世界的な環境学者レスター・ブラウン氏は「火山が多い日本は世界有数の地熱資源大国。もっと地熱発電を活用するべきだ」と提言する。地熱発電はCO2排出量も少ないクリーンなエネルギーだ。(草間俊介)

「日本は地熱発電で国内電力の半分、もしかして、全部を賄えるかもしれない」
今月上旬、米アースポリシー研究所長でもあるブラウン氏が上智大主催、環境文化創造研究所協力の講演でこう強調すると、会場から驚きの声が上がった。
地熱発電は、地熱で発生した蒸気でタービンを回して、電気エネルギーを取り出す仕組み。
日本では現在、九州、東北地方を中心に18カ所の地熱発電所がある。最大は大分県の八丁原発電所で11万キロワット(発電認可出力)で、18カ所の年間総発電量(設備容量)は約54万キロワット。原発1基のほぼ半分で、全国の年間発電量(同)の0.2%にあたる。この数字は1996年からほぼ変わっていない。
ブラウン氏の提言の背景に、地熱発電に対する日本の消極的な姿勢がある。日本の地熱技術開発費は1982年をピークに減少を続け、2003年以降はゼロ。
日本が開発から事実上撤退した理由として、地熱資源(熱水層)の8割は、開発が難しい国立公園内に存在することがある。加えて温泉所有の観光業者からの強い反対で、開発が頓挫してきた経緯もある。
一方、CO2削減運動の高まり、原油高などから米国、インドネシア、フィリピン、アイスランドなどが地熱発電開発を加速。地熱資源に恵まれていないドイツ、オーストラリアも本腰を入れ始めた。「世界の主要地熱資源国で停滞しているのは日本だけ」(産業技術総合研究所=茨城県つくば市)という。地熱発電のCO2排出量は火力発電の約20分の1。風に依存する風力、天気に左右される太陽光、雨量の季節変動が大きい水力などの自然エネルギーと比べても、安定的な供給が可能なことから地熱発電が評価を高めている。

ブラウン氏のいう「全電力を地熱で」は可能なのか。
同研究所の地熱資源研究グループ長の村岡洋文さんらの研究では、(1)現在の地熱技術で、日本で開発可能なエネルギー量は年間2347万キロワット。全電力の8.6%を賄える(2)さらに深部の地熱資源を利用できる技術開発で、22.7%に上がる(3)「どんなに早くても開発に50年はかかるが」(村岡さん)マグマ熱を直接使えるようになると、全国電力需要の3倍近くを賄える−という。
ただし「すべて開発できたとして」との前提による推計。膨大な研究開発費を要することから、実現できるかどうか分からない。
一方、地域電力として活用する方法も模索されている。村岡さんらはベンチャー企業の協力で、53度以上の捨てられている温泉水や工場排水を使うミニ発電施設を研究している。
ちょっとした温泉宿泊施設の電力が賄える50キロワットの発電が可能になる。「早く試作機をつくり、3000万円程度で販売したい。すでに各地の温泉から引き合いが来ている」という。
ブラウン氏の提言について、村岡さんは「日本のエネルギー自給率は低く、純国産の再生可能なエネルギー資源の開発が必要だ。風力、太陽光などに加え、地熱も進めたほうがよい。その意味で、ブラウン氏の主張は、正鵠(せいこく)を得ている」と話す。(東京新聞 2008/06/23)

太陽光発電ができるカーテン 米建築家が開発
ロンドン(CNN) 窓辺で日差しを受けるカーテンが、自宅の電源に早変わり──。そんな手軽な発電が、近い将来日常化するかもしれない。米マサチューセッツ州の建築家でマサチューセッツ工科大の教壇にも立つシーラ・ケネディ氏らは現在、「ソーラーカーテン」の実用化に向けて研究を重ねている。
太陽光発電といえば、一般にまず連想されるのは厚みのある硬いソーラーパネル。だが、同氏の企業「ケネディ・アンド・ビオリッチ建築」が提案する素材は、布のように薄く、柔軟性がある。同氏によれば、従来のパネルとほぼ同等の発電機能を持つ一方、「新聞を印刷するのと同じような方法で、環境をほとんど汚さず、安価に生産することができる」という。
この素材を使ったカーテンのすそには、電力を蓄える充電池が取り付けられている。ここからさらに大容量の家庭用充電池に接続すれば、そのまま電源として使うことが可能だ。
ケネディ氏らの試算によれば、ポルトガルの民家の屋根にこのカーテンを広げた場合、屋根全体の約1割を覆うほどの面積で、家庭で一日に消費する電力の約7割がまかなえる。「さらに性能を高めるための研究が、現在も続いている。将来は夜間の発電も可能になるだろう」と、同氏は説明する。
ソーラーカーテンの試作品は、ドイツの家具メーカー、ビトラ社のデザイン博物館で見ることができる。未来型の住宅を提案する展示の一環だ。ケネディー氏は、「既存の電力供給に頼らない生活は、すでに技術的には可能となっている。普及の妨げになっているのは、伝統に縛られた固定観念。それを覆すためにも、ソーラーカーテンは非常に良い出発点になるはず」と話している。(CNN 2008/07/06)

風力発電2000基 海上に
温暖化対策 5兆円投入
ドイツ

地球温暖化対策として注目されている再生可能エネルギーの1つ、風力発電をドイツ政府が大幅に増やす計画が6日、明らかになりました。(片岡正明)

ドイツのティーフェンゼー運輸・建設相が同国紙ウェルト日曜版6日付で公表したもの。政府計画によると、同国の北海とバルト海の海上に30のウインドファーム(風力発電機を集中させた風力発電所)を建設、計2000基の風力発電機(総発電力1万1000メガワット)を設置します。建設費用は約300億ユーロ(約5兆円)の見込みです。
ドイツでは地球温暖化対策の1つとして、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスをほとんど発生させない風力、太陽光、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーに力を入れてきました。
2007年には再生可能エネルギーの全電力消費量に占める割合が14.2%ですが、2020年までに30%にするという目標を掲げています。
ドイツの風力発電は06年末現在の2万メガワット。計画が順調に進めば2030年の目標2万5000メガワットを大きく上回ることになります。
ドイツは太陽光発電も風力発電も世界一ですが、風力発電は陸地における設置がほぼ限界に達し、04年以降の伸び率はにぶっていました。今回の計画は、風力発電機を海上にも展開するというもの。隣国デンマークでは海上風力発電が普及しており、独政府は技術や環境問題もクリアできるとみています。
海上風力発電は地形や建物の障害がなく、より安定した発電が可能とされています。(しんぶん赤旗 2008/07/08)

太陽光発電を簡素化、途上国への普及目指す 豪研究者
(CNN) 「地球環境に優しい技術にはお金がかかる」──そんな現状を覆そうと、太陽光発電の分野で近年、途上国の貧しい住民が利用できる、安くて簡単な技術の開発が進んでいる。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大博士課程のニコール・ケッパー氏が考案した「iJET(アイジェット)」もその1つだ。
ケッパー氏によれば、アイジェットは「インクジェット方式のプリンターとマニキュアの除光液、ピザの焼けるオーブンがあれば作れる」太陽光発電機。従来の工程と違い、クリーンルームを備えた工場や熟練した技術者を必要としないため、約半分の費用で製造できる。同氏は今年、この技術で、同国の優れた科学者に贈られる「オーストラリア博物館エウレカ賞」を受賞した。「工程を簡素化し、分かりやすくすることが、太陽光発電を途上国に普及させるカギだと考えたのです」と、同氏は語る。
途上国ではすでに、インフラ整備に膨大な費用と時間のかかる従来の電力供給システムに代わるものとして、太陽光発電が注目を集めている。「一軒一軒の家、ひとつひとつの村に設備を取り付けることにより、太陽光発電は着実に普及するだろう」と語るのは、アフリカ東部などで灯油ランプをソーラー式発光ダイオード(LED)照明に切り替えるプロジェクトに取り組む非営利団体「ソーラーエイド」のジェレミー・レゲット会長だ。同会長は、「太陽光発電のコストを下げるための技術は日進月歩の勢い。新たな発明も大歓迎だ」と話す。
ケッパー氏が描くのは、アイジェットを途上国の企業が製造し、地元の家庭に販売するという将来像だ。「現地で製造できれば、雇用創出などの経済効果も期待できる」と、同氏は説明する。
同氏によれば、当面の課題は、太陽光発電機の主要な材料となるシリコンの使用量をいかに減らすかということ。「シリコンは製造コストの約50%を占めているのが現状。コスト削減のためには、この割合を低くする必要がある」という。(CNN 2008/09/06)

ペトロベトナム、IMPSAと合弁で風力・水力発電施設建設へ
【ハノイ1日ロイター】ベトナムの国営石油会社ペトロベトナムは、アルゼンチンの水力発電設備メーカーであるIMPSAと合弁で23億5000万ドルを投じ、1000メガワットのベトナム最大の風力・水力発電施設を建設することで合意した。ベトナムのハノイモイ紙が1日、ペトロベトナム側の情報として伝えた。
ペトロベトナムの出資比率は明らかにされていない。
中南部ビントゥアン省に建設され、完工は5年後という。
一方、ベトナム政府は30日、さらなる発電所増設資金に充てるため、来年から一般家庭向けの電気料金を20─30%引き上げると発表した。
電気料金は現在、1キロワット当たり862ドン(約0.05ドル)。
ベトナムでは旺盛な需要を背景に慢性的な電力不足に見舞われているが、09年末までに発電能力を25%引き上げ、15000メガワットにしたい考え。(ロイター通信 2008/10/01)

太陽光発電所:東電が川崎に最大級建設へ 各社が導入強化
東京電力は20日、川崎市内2カ所に約5900世帯分の電力を賄う国内最大級の太陽光発電所(合計出力2万キロワット)を建設すると発表した。市と共同で09年度に着工、11年度の運転開始を目指す。東電が本格的な太陽光発電に乗り出すのは初めてで、地球温暖化問題を背景に電力各社の太陽光導入の取り組みが本格化している。
発電所の建設予定地は同市川崎区の「扇島」と「浮島」の2地区。扇島では現在、東電が資材置き場として利用している土地(約23ヘクタール)に、発電能力約1万3000キロワットの発電所を建設。浮島では廃棄物埋め立て処分地として市が保有している土地(約11ヘクタール)に約7000キロワットの発電所を造る。建設費は公表していないが、1カ所につき数十億円程度とみられる。
関西電力も堺市に計約2万8000キロワットの太陽光発電計画を発表しているが、うち約1万8000キロワット分はシャープの関連工場内の自家発電設備。一般向けの太陽光発電としては東電の規模が上回る。
電気事業連合会は9月、20年度までに電力10社で全国約30カ所に計約14万キロワットの大規模太陽光発電施設を整備すると発表している。発電能力は07年度末実績の約30倍に達し、約4万世帯分の電力を供給する計画だ。二酸化炭素(CO2)排出量では、年間約7万トンの削減効果を見込んでいる。【谷川貴史】(毎日新聞 2008/10/20)

太陽電池と液晶パネルが環境汚染?〜製造過程から温暖化ガス発生を検知
過去2〜3年に驚異的成長と遂げている薄型平面テレビと、環境に優しい燃料として注目度を劇的に上げている太陽電池に逆風が吹く可能性が浮上した。
学術誌「地球物理学研究レターズ(Geophysical Research Letters)」に掲載された報告書によると、大気中の三フッ化窒素(nitrogen trifluoride)濃度は、当初の予測値より4倍高いと試算されている。三フッ化窒素は、液晶(LCD)パネル・ディスプレイや太陽電池用薄膜、微少回路の製造過程で発生するガスだ。
スクリプス海洋学研究所(Scripps Institution of Oceanography)が、三フッ化窒素の浸透度合いを初めて調べた結果、同ガスは、0.454ppt(parts-per-trillion)の大気中濃度を記録し、1978年の0.02pptから予測以上に濃くなっていることが判明した。当初は、2006年に0.1pptくらいだろうと予測されていた。
三フッ化窒素は二酸化炭素よりも1万7000倍も強力な温暖化ガスである可能性が指摘されることから、今回の発見は特筆すべき内容だと見られる。
「製造過程において大気中に逃げる三フッ化窒素は使用量の2%以下だと思われていたため、製造業界の多くは近年、ペルフルオロカーボン(perfluorocarbon)の代わりとして三フッ化窒素を使い始めた」と、米地球物理学組合(AGU=American Geophysical Union)は説明する。
同報告書の執筆者は、三フッ化窒素を温暖化ガスとして扱い、各種の国際気候協定(international climate agreements)によって規制されるべきである、と主張している。(U.S. FrontLine 2008/10/24)

地熱発電:熱水活用、2347万キロワット可能──国内の1割相当
火山帯地下にある熱水を地熱発電に活用すれば、国内全発電所の約1割に当たる2347万キロワットの電力を生み出せることが、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の調査で分かった。国立公園の開発規制地域にある約8割を除いても、原発3基相当の372万キロワットが開発可能という。
経済産業省が発足させた地熱発電研究会で1日、報告された。全国約40万地点を観測し熱水分布を推定した結果、発電に使える150度以上の熱水が5074平方キロメートルに分布し、発電可能量は従来の試算の1.5倍の3186万キロワット相当と判明した。誤差を修正した2347万キロワットが開発可能。【山田大輔】(毎日新聞 2008/12/02)

藻のバイオ燃料で飛行試験成功米コンチネンタル、世界初
【ニューヨーク7日共同】米航空大手コンチネンタル航空は7日、次世代バイオ燃料の原料として期待される藻から抽出した油を活用した飛行試験に成功したと発表した。同社によると、藻を使った燃料による商業的な飛行試験は世界初。北米でのバイオ燃料による飛行も初めてという。
米航空機大手ボーイングなどと共同で実施。ボーイング737?800型の双発エンジンのうち1基の燃料に、藻と多年生植物ヤトロファ(ナンヨウアブラギリ)から抽出した油を使ったバイオ燃料を50%混ぜた。
藻は、トウモロコシなど穀物を原料とするバイオ燃料と異なり、食料難や穀物不足を招く恐れがなく、生産効率も優れており、注目されているという。日本航空も1月下旬に、藻を含むバイオ燃料を使った飛行試験を予定している。
今回のバイオ燃料の藻とヤトロファの比率は4対6。ヤトロファも非食用で育てやすく、抽出した油を使用した飛行試験にニュージーランド航空が成功している。
飛行試験を担当したパイロットは「バイオ燃料を使ったエンジンの方が燃費効率が良かった」と話しているという。(共同通信 2009/01/08)

米国:加州ディズニー、乗り物燃料にポテトの揚げ油を再利用 CO2、80%削減
【ロサンゼルス吉富裕倫】米カリフォルニア州アナハイムのディズニーランド・リゾートは、園内の鉄道や船を動かすのに用いる燃料に、フライドポテトなどの調理油を再利用したバイオディーゼル燃料を導入した。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)排出を最大80%削減できるという。
バイオディーゼル燃料は、園内すべての飲食店で提供されるフライドポテトの揚げ油などから精製する。これにより「年間約20万ガロン(約76万リットル)のディーゼルオイルを節約できる」と見込んでいる。
園内の5列車は1月末から導入し、リバーボート「マーク・トウェイン号」も数週間以内にバイオディーゼル燃料に切り替える。
同施設では、昨年12月から16の路面電車すべてをディーゼル・ハイブリッドエンジンから圧縮天然ガスに切り替え、年間約5万ガロン(約19万リットル)分のディーゼルオイル利用削減も始めている。(毎日新聞 2009/02/03)

高効率の小型風車を開発 九大教授、中国でも活用
九州大応用力学研究所の大屋裕二教授(風工学)が、風車の周囲に特殊なカバーを付けることで、風車の大きさが同じでも発電能力が2−5倍になる小型の風力発電機を開発した。中国の砂漠化防止プロジェクトで活用されたり、福岡市が導入を予定するなど注目を集めている。
大屋教授によると、帽子のつばの様な形をしたカバーが風の流れを乱し、渦を発生させて風車の後方の気圧を下げることで、より強い風が風車に流れ込むようになる。風を集めて発電効率を高めるため「風レンズ風車」と名付けた。
建物や橋などに余計な負荷を与える渦をいかに抑えるかを研究してきたが、今までにない風車を作ろうとした結果、厄介者の渦をあえて利用する方法を思い付いた。
風車の羽根1枚の長さが約1メートルと小型のものでも、平均風速が4−5メートルあれば一般家庭の年間使用電力量をまかなえるといい、大屋教授は「風が強くなかったり、スペースがない場所でも使用でき、風力発電普及の可能性が広がる」と話す。大型の風車への応用も検討しているという。
小型で運搬に便利な点に注目した中国の清華大は2006年から、交通網が未整備な中国西北部の砂漠地帯のかんがいに利用。6基の風車で発電して地下水をくみ上げ、緑を育てている。福岡市も09年度に2基を市の施設に設置する予定で「将来的には分散型の電源として離島でも活用したい」と期待をかける。(共同通信 2009/04/30)

CO2:菌を使って地中でメタンに変換 再資源化の可能性
二酸化炭素(CO2)を地中深くに埋めたのと同様の条件で、天然ガスの主成分メタンに変換させることに佐藤光三・東京大教授(石油工学)が成功した。地球温暖化の主因である厄介者のCO2を新たなエネルギー源として確保する可能性が出てきた。千葉市で21日に開催された日本地球惑星科学連合大会で発表した。
大気中の濃度上昇を抑えるため、CO2を地中に回収・貯留する技術(CCS)が各国で注目されている。研究チームは、枯渇した油田などで生息している複数のメタン生成菌を使って実験。このうち、「メタノサーモバクター」だけがCCSで想定される65度、CO2濃度80%など6条件がそろった状態で、増殖しメタンを生成した。
生成効率は最適の条件に比べ3%と低いが、試算では約620万トンのCO2貯留が可能とされる八橋(やばせ)油田(秋田市)で実施すると、8年間で、国内で1年間に生産される天然ガス(輸入されたLNGも含む)の全生産量のうち約8%を占める国産天然ガス生産量とほぼ同じ225万トンのメタンを生成できるという。
佐藤教授は「排出されたCO2を回収して再資源化する循環システムが構築できる可能性が見えてきた」と話している。【石塚孝志】(毎日新聞 2009/05/22)



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