1998年1月13日(読売新聞)
同性愛者が通う学校「私はゲイ。だれも私を理解してくれなかった。この高校に入って、やっと他人に心を開いて話しかけられるようになった。かけがえのない存在である自分の姿を見つけ、ゲイであることに今、誇りを感じる」
ルベン・マクドナード君(19)は、学校の作文に、今の心境をこうつづった。普通高校と同じ教育
ルベン君の通うハーベイ・ミルク高校は、全校生徒のほぼ全員が同性愛者であるというユニークな学校だ。ニューヨーク・マンハッタンにあるこの高校は、85年に開校され、市教育委員会と非営利民間団体が共同運営している。開校の目的は、同性愛を理由に学校からはじき出された生徒たちの救済。現在、14歳から21歳までの生徒80人が学ぶ。専任教師4人、ボランティア教師30人。カリキュラムは普通の高校とほぼ同じだ。
ここにいると安全
生徒の45%がヒスパニックで、25%が黒人。残りが白人とアジア系。だが、ホームレスを含め低所得者層がほとんどだ。
子供が大人に成長する過程で直面する「性」。同性愛者であることで悩んだ末、友達や先生に打ち明けたとたん、偏見と悪意に満ちたいじめが襲う。そして登校拒否や中退。多様な性に寛容とみられるニューヨークですら、子供となると抵抗は強い。
「2つの高校に行ったが、どちらも1年で中退した。ここに来るまで2年間学校に行かなかった。小さいときからレズビアンであると認識していた」。昨年卒業した黒人女性ティーシャさん(21)は、姓を明かさないことを条件に話し始めた。「この学校は、同じ問題を抱える人たちばかりで、快適。不得意だった化学も好きになった。何よりも、ここにいると安全です」
クリス・ロドリゲス同校教務部長(34)が、「ゲイに比べレズビアンに対する社会の拒絶反応は大きい。特に黒人社会では伝統的にレズビアンはタブー視されがちだ。ティーシャはその圧迫に耐えられなかったようだ」と、言葉を継いだ。
男性から女性に性を転換したいという「トランスジェンダー」の生徒も受け入れている。グローリアという女性名で通す昨年の卒業生(21)は、「同級生による嘲笑やいじめには耐えられた。でも、先生に殴られたとき、恐怖と絶望のどん底に突き落とされた」と、苦い思い出を語る。自覚隠し不安な日々
教務部長の元に、今年3月から編入するある生徒の面接記録があった。「ブロンクス地区に住む黒人。最近、親友の同級生にゲイであることを打ち明けた。ところがすぐにこのことが学校中に広まり、校内で集団リンチされた。両親も息子がゲイであることを初めて知ることになった」
教務部長は、「暴力にさらされ、かつ、性の秘密が親に知られることで受ける2重の苦しみは、子供の心をずたずたにしかねない。これは典型例だ」と言う。
ペンシルバニア州立大学のアンソニー・ディオジェリ教授がさる91年に行った調査では、同性愛者であることを親に告げるのは平均して18歳の時。自らが認識するのが平均10−12歳だから、少なくとも6年間は、同性愛者としての自覚を心の底に隠し不安な時期を過ごさねばならない。
「一般の高校で同性愛への偏見と暴力が無くなれば、この高校も必要なくなる」と教務部長は言う。だが、その日は来るだろうか。(ニューヨーク 水島敏夫)◇ハーベイ・ミルク校を含め同性愛者のための高校は、全米で3校。94年のシカゴ大の調査では、米国の男性2.8%、女性1.4%が同性愛者との結果が出た。米連邦捜査局(FBI)の「偏見に基づく憎悪犯罪」(96年)によると、同性愛者に対する暴行、脅迫事件は人種、宗教的偏見の基づく犯罪数に次ぎ第3位の1000件にのぼった。
1998年2月24日(朝日新聞)
同性愛者は牧師になれるか 分かれる聖書解釈
日本のキリスト教界でも論議に日本のキリスト教界でも同性愛の問題が論議を呼んでいる。最大のプロテスタント教団である日本基督教団の会議で「同性愛者は牧師にふさわしいか」との声が上がったのが発端。「同性愛は罪」「同性愛者も神の前では平等」と、聖書の解釈もからんで、賛否さまざまな意見が聞かれる。(池田洋一郎)
1月下旬の日本基督教団常議員会で、この春行われる、牧師の資格を得るための検定試験が議題に上った際、「同性愛を表明している人が受験すると聞いているが、そうした人は倫理的に牧師にふさわしくない」との発言があった。これに対し「差別だ」との反論が相次ぎ、議論は紛糾。結局、継続審議となった。
欧米のキリスト教界では、同性愛を認める司祭や牧師が解任される一方、容認する教派が出てくるなど論議は活発だが、日本では、公の場で議論されることはほとんどなかった。同教団の小島誠志総会議長も「これまではひとごとだった。今回初めて、議論のスタートラインに立った」と戸惑う。しかし、「同性愛も人間の性指向の1つであり、差別するのはおかしい。それにより傷ついている牧師や信徒がいるのも事実」(大下幸恵・性差別問題特別委員会委員長)という声もある。
聖書はこの問題をどう教えているか。その解釈を巡って議論は分かれている。
信徒でもある多井一雄武蔵工大教授(倫理学)は、旧約聖書「レビ記」18章の《女と寝るように男と寝てはならない。それはいとうべきことである》といった記述や、新約聖書「ローマの信徒への手紙」1章の《女は自然の関係を自然にもとるものに変え、同じく男も、女との自然の関係を捨てて、互いに情欲を燃やし、男どうしで恥ずべきことを行い、その迷った行いの当然の報いを身に受けています》というパウロの言葉を挙げて、「同性愛は自然に反し、罪だ」とする。
「新訳『コリントの信徒への手紙』6章でも、男色をする者は決して神の国を受け継ぐことができないとあり、新訳『テモテへの手紙』1章では、健全な教えに反することとして、誘拐や殺人などと並んで、男色が挙げられている」
「聖書は、男女の結婚関係を神の創造の秩序としている。いつの時代も変わらぬ倫理規範として聖書を受け止めるなら、同性愛を道徳的に正当化できないはず」と指摘する。
一方、森本あんり国際基督教大凖教授(キリスト教倫理)は、こう反論する。
「『レビ記』には、同性愛と並んで、食物や衣服などに関する多くの禁止事項があるのに、なぜ同性愛だけをことさら取り上げるのか。『ローマの信徒への手紙』でも、同じ文脈でどん欲、不誠実、親への反逆、無慈悲なども非難されている。同性愛を非難しながら、これらの罪を無視するのは、矛盾している」
「聖書は、自然に反する行いを批判しており、元々同性愛指向のある人は、それが自然なのであって、問題とするに当たらない」
さらに「批判者は、聖書の都合のよいところだけを取り上げている。奴隷制や女性差別などに関することも書かれているが、聖書の時代的制約としてそうしたことは乗り越えられてきた。聖書には、どんな人でも、神の前で平等であり、神に愛されるという、より根源的な洞察が含まれている。同性愛者同士の結婚にしても、それが1対1の誠実な人格的関係なら教会は認めてもいい」と主張する。
同性愛者が牧師にふさわしいかどうかについて、多井氏は「信徒ならまだ容認の余地はあるが、罪である以上、教えを説く牧師となると問題外」という。これに対し、森本氏は一般論とことわりつつも、「信徒と牧師で倫理規範が異なるいわれはない。神の前で平等である以上、牧師にもなれる」とする。
同性愛を自然に反することとして禁じてきたカトリックはどうか。吉山登上智大神学部教授は「司祭にはなれない。信徒の多くは女性であり、その気持ちを理解し、司祭の務めを果たすには、男性同性愛者は無理がある」という。
しかし、同性愛の牧師や信徒のための礼拝を主宰し、自ら同性愛者という女性牧師は「悩んで牧師に相談しても、『罪だ』『信仰が足りないからだ』と批判され、ありのままの自分を認めてもらえず、苦しんでいる人は多い」と訴える。
そして、「同じ境遇にある人の痛みや悲しみを共有できる同性愛の牧師こそ必要。イエスは社会から疎外され、差別された人々と共に生きた。そのイエスの生き方こそ信仰の中心であるはず。現在の教会は、本来のイエスの生き方を忘れ、いろんな人を切り捨てているのではないか」と語る。
ただ現状では、こうした肯定論、否定論以外に「まだ論議できるほど準備がない。結論を急がず、慎重に議論を」という声が大勢を占めてもいるようだ。1998年3月1日(中日スポーツ)
シドニーで華麗に同性愛者の祭典 1万人が行進【シドニー28日共同】同性愛者たちの祭典「マルディグラ」が28日夜、シドニー市内で盛大に開かれた。沿道は、奇抜な衣装の参加者やさまざまな工夫を凝らした約270台の山車のパレードを楽しむ約75万人の見物人らで埋め尽くされた。
「神よシドニーを許したまえ」と書かれた横断幕を先頭に、参加者約1万人は山車などに乗って、市南部の目抜き通りを約2キロにわたってパレードした。同性愛者の人権確立を掲げる「マルディグラ」は1978年、シドニーを舞台に始まった。今年はちょうど20回目に当たり、パレードは例年以上の盛り上がりを見せた。
第1回祭典の参加者は1000人にすぎず、しかも警察との衝突で約50人の逮捕者が出る騒ぎとなった。その後、同性愛者が“市民権”を得て、祭典も盛大になり、今年の参加者は日本など外国からやって来た約4000人を含め、初めて1万人を超えた。1998年3月5日(中日新聞)
同性間のセクハラ認める 米連邦最高裁、初の判断【ワシントン4日共同】米連邦最高裁判所は4日、ルイジアナ州の男性の石油掘削労働者が職場で同性の上司3人からセクハラを受けたとして損害賠償を求めていた訴訟で、セクハラは同性の間でも起き、被害者は訴えを起こす権利があるとの判決を言い渡した。米連邦最高裁が同性間のセクハラを訴訟の対象として認めたのは初めて。米国では同性間のセクハラ問題が増えているが、被害者は同性愛者の場合が多く、米国の人権団体は「同性愛者の擁護に大きな役割を果たす画期的な判決」と歓迎している。
訴えによると、メキシコ湾の石油掘削現場で1991年に4カ月間働いていたこの男性は、上司3人から体を触られたり、体を押さえ付けられてレイプすると脅されたりした。石油掘削会社に被害を訴えたが、上司らは「男だけの職場にありがちなばか騒ぎの1つ」と弁明し、同社も対策をとらなかったため、恐怖感から退職した。
米国では、職場での性による差別を禁じた64年の公民権法がセクハラを禁じる法的根拠となっている。今回の判決は、同法には同性間のセクハラを認めないとする文言がないと指摘。「被害者の職場環境を変えてしまうような性に基づく嫌がらせ」をセクハラと定義し、同性間でもあり得ると判断した。
男性の訴えはニューオーリンズ連邦高裁で破棄されていたが、連邦最高裁は差し戻した。
連邦最高裁は1月12日、女性の上司による男性職員に対するセクハラを認めるなど、セクハラで進歩的な判決を下している。1998年3月5日(朝日新聞)
故三島由紀夫氏 同性愛の相手が実名小説発表
「禁色」執筆中に出会い ストーリー変更に影響?作家三島由紀夫(1925-70)と一時期、同性愛関係にあったという作家が、三島との交際を赤裸々につづった実名小説「三島由紀夫──剣と寒紅」が、7日発売の文芸誌「文学界」4月号に掲載される。同性愛は三島文学の重要なテーマで、自身も同性愛者ではないかといわれてきたが、当事者が具体的に証言したのは初めて。
筆者は熊本市の元高校教師で作家の福島次郎さん(68)。教え子との同性愛を描いた「バスタオル」で96年、芥川賞候補になった。今回の作品は「私の目に映った事実にもとづいて書いた私小説」(福島さん)で、悩める内面を見つめながら、三島との交際をつづっている。
それによると、出会いは、三島が同性愛者を描いて話題となった「禁色」を連載中の51年5月。大学入学で上京した「私」が、この作品に登場するゲイバーの場所を知りたいと三島宅を訪ねた。1カ月後、ホテルに誘われ、「私」を抱きながら三島はむせび泣いた。以来、5、6回ホテルに行った。夏には伊豆の宿に呼び出されたが、1週間後、関係は破局を迎えたという。
この直後に三島は「禁色」第1部を打ち切り、ストーリー変更の「改訂広告」を出しており、筆者は、自分との関係が影響をもたらしたと推測する。約10年後に2人は交流を再開し、三島の自決の4年前まで続いたという。
三島の同性愛については、本人が認めたとする複数の証言などがあるが、自己演出という見方もある。文芸評論家の故村松剛さんは同性愛説を否定している。これに対して福島さんは「そんな形で三島さんの名誉を守ろうとしている(のは同性愛者への)差別意識」だと「序」に記している。
原稿用紙400枚を超える長編で、前半が同誌に掲載され、全編は今月中旬に文芸春秋から刊行予定。三島の個人伝 修正迫られる
文芸評論家松本健一さんの話 三島の死後、夫人(95年に死去)が三島神話を作りあげ、同性愛について封印してきた。三島の個人伝は修正を迫られるだろう。この小説によれば、三島は同性愛の相手を初めて得たが、精神的には失恋しており、執筆中の「禁色」に大きな変更を与えたとみられる。
1998年3月31日(日本経済新聞)
「三島」実名小説、出版中止・回収へ
東京地裁が仮処分決定 著作権を侵害作家の福島次郎氏(68)の実名小説「三島由紀夫──剣と寒紅」を巡り、三島氏の遺族が「小説の中で三島氏の手紙を無断で公表され、著作権を侵害された」として、福島氏と出版元の文芸春秋(東京都千代田区)に出版の差し止めなどの仮処分を求めた裁判で、東京地裁(八木貴美子裁判官)は30日、遺族側の請求を認め、差し止めや小説の回収などを命じる決定を出した。文春側は決定に従う考えで、本も回収される見通しだ。
遺族側の代理人によると、私信が著作権法上の著作物に当たることを認めた初のケースという。問題の小説は今月20日に刊行。福島氏と三島氏との交際を描いたとされるもので、三島氏から福島氏にあてたという15通の手紙やはがきの内容が掲載されている。
遺族側は「手紙などの著作権は、三島氏の死後、その継承者の遺族にある。無断での全文公表は、三島氏が生存していれば、著作者人格権の侵害にも当たる」などと主張。文春側は「遺族の申し立ては、小説の主たるテーマである著者との同性愛の記述を秘匿しようというもので、著作権の乱用」などと反論していた。雨宮秀樹・文芸春秋社長室長の話 手紙は故人の名誉やプライバシーにかかわることは一切記されておらず、(遺族側の)今回の手続きの意図は別にある。裁判所の決定には従うが、三島文学を解く性的な鍵(かぎ)が隠ぺいされようとしていることは、痛惜の思いだ。
1998年4月8日(日本経済新聞)
米軍、同性愛絡み除隊増加【ワシントン支局7日】米国防総省は7日、同性愛行為にかかわり除隊した米軍兵士が増加しているとの報告書を発表した。報告書は米軍が94年に採用した「同性愛者の入隊を認めるものの、実際の行為を禁止する」との新方針の“効果”を調査する目的で実施した。
「聞くな、語るな政策」といわれる同方針は94年に、軍内の同性愛者の容認を求めるクリントン大統領と、軍部首脳部の妥協措置として成立した。同報告書によると、97会計年度(96年10月―97年9月)に同性愛行為の結果、除隊した兵士は997人で、94年度に比べて61.6%増加。ベーコン報道官は報告書について、「同性愛者に関する方針が効果的に運用されていることを示した」と語った。1998年4月9日(中日スポーツ)
英国人人気ロック歌手ジョージ・マイケル逮捕
ビバリーヒルズの公園でわいせつ行為【ロサンゼルス8日共同】英国の人気ロック歌手ジョージ・マイケル(34)が7日、米ロサンゼルス郊外ビバリーヒルズの公園内トイレで、わいせつな行為をしたとして警察に逮捕された。罰金500ドル(約6万6500円)を払い、約3時間半後に釈放された。
地元警察によると、公衆トイレ内で1人でわいせつ行為をしているところを捜査官に見つかった。わいせつ行為の具体的内容は明らかにされていないが、外電は「自慰行為とみられる」と報じている。同公園は同性愛者が相手を探す場所として有名で、付近の住民から警察に苦情が寄せられていた。
ジョージ・マイケルは、1980年代に2人組のロックグループ「ワム!」のメンバーとして人気を得て、「フリーダム」や「ケアレス・ウィスパー」など数多くのヒット曲を出した。86年にグループを解散、ソロ活動初のアルバム「フェイス」は1000万枚売れた。故ダイアナ元英皇太子妃が好きだった歌手の1人で、昨年9月に行われた同妃の葬儀にも参列している。1998年5月10日(毎日新聞)
日本でも誕生 同性愛の男性牧師
倫理か寛容か… 基督教団に波紋プロテスタント教団としては国内最大の日本基督教団(東京都新宿区、小島誠志総会議長)に今春、同性愛の男性牧師(29)が誕生した。教団によると、牧師(教師)試験の前に同性愛者であることを告白して牧師に任用されたケースは初めて。男性の受験に際し、教団内では賛否両論が起こり、「同性愛者に関する規定がない」との理由から合格が認められたが、聖職者の「性」をめぐる論議は聖書の解釈にもかかわるだけに波紋を広げそうだ。【栗原俊雄】
この男性は都内の神学校の学生だった昨年春、キリスト教関係の月刊誌で実名で同性愛を告白した。「これまで教会関係者には同性愛者はいないものとして、公に議論されなかったが、実際には、いることを認知させたかったため」で、今年3月初旬の筆記と面接による牧師検定試験を受けて合格。現在、都内の教会で牧師を務め、信徒への説教を行っている。
同教団では、1月の会議で、男性が受験することを知っていた常議員の牧師から「倫理の問題としてそういう方々(同性愛者)を教師にすべきではない」と問題提起があり、他の常議員から「積極的に受け入れるべきだ」などの反論が出た。
一連の論議は2月、教団機関紙に掲載され、全国の信徒の関心を呼び、排除を求める牧師発言に対し「セクシュアル・マイノリティーの尊厳をないがしろにする差別発言」などの批判がある一方、「冷静に論議すべきだ」との意見が教団側に寄せられたという。
男性のもとにも「信仰と同性愛が両立するはずがない」「黙っているべきだった」などの声が寄せられているが、男性は「告白できずに苦しむキリスト教信者に『教団に同性愛者がいてもいい』ということを伝えたい」と説明する。
一方、同教団の小島総会議長は「アメリカでの事例は知っていたが、日本では予想しておらず戸惑っている。結論を急がずに議論を続けたい」と話す。ようやく議論開始
飯坂良明・アジア宗教者平和会議事務総長(聖学院大学大学院教授)の話 聖書には、同性愛を禁じていると読める個所がいくつかあるのは事実。だが、この問題は欧米では数十年前から議論され、すでに同性愛の牧師が誕生している。日本でもようやく議論が始まったということだ。
1998年6月22日(読売新聞)
「同性愛」自認 英政界で相次ぐ労働党のゴードン・マースデン下院議員がさる10日、自らゲイ(男性同性愛者)であることを認めた。マースデン議員は、地元の地方紙とのインタビューでゲイであることを明らかにしたが、ゲイであることが政治活動にさほど影響するわけではない、としている。先週は、45歳の労働党議員デービッド・バロウ氏も同性愛者であることを明らかにしており、2人はこれで、カミングアウト(同性愛者であることを明らかにすること)した政治家の増え続けるリストに名を連ねることになった。
クリス・スミス、スティーブン・トウィッグ、ベン・ブラッドショーの3人は、公式にゲイであることを認めているし、アンジェラ・イーグル議員も昨年、本紙とのインタビューで、レズビアンであることを明らかにした。
保守党の前議員でジャーナリストのマシュー・パリス氏は、カミングアウトはもはや日常茶飯事で興味をひくものではなくなったとしてこういう。「我々は今、新たな性の解放に立ち会っている。カミングアウトには個人的な宣伝の狙いさえあるかもしれない」と。
同性愛者の権利擁護団体ストーンウォールのアンジェラ・メイスン氏によれば、同性愛はあらゆる職業において受容されつつあり、今それが議会にも及んだに過ぎない。「同性愛者も、日陰暮らしがいやになっただけだ。無数の同性愛者があらゆる分野でカミングアウトし、平等を求めている」
議会では近く、同性愛行為の法定同意年齢(本人が同意すれば、性犯罪と見なされない年齢)を18歳から16歳に引き下げる法案が採決に付されるが、メイスン氏は、これがマースデン議員らの決断を促した、と見る。「彼らは議会審議で発言し、この問題をオープンに討論したいのだ」。かつては歴史学者として大学で教鞭を執っていたマースデン議員は、昨年の選挙で、ブラックプール・サウス選挙区で約1万1000票を取って当選した。「選挙区の人々には私のセクシュアリティーを知る権利があると思う。ブラックプールでは多くの人がそれを知っている。私は隠したり、ごまかしたりしようとしたことは1度もない。今回のインタビューは、単に初めて、記録に残る形で、公然と話したというだけだ」
マースデン氏は、ブライトンで、リチャードという名のパートナーと長年同居している。2人は12年前、ロンドンで出会った。議員は言う。「私はまず政治家であり、しかる後にゲイなのだ。ゲイであることは私のアイデンティティーの大切な要素だが、私は(同性愛者の権利だけを問題にするような)シングルイシュー議員ではない」と。
保守党も同性愛問題について、姿勢を軟化しつつあるように見える。今の議会では、ゲイを自認する保守党議員はいないが、前の議会では、保守党のマイケル・ブラウン議員がゲイであることを認めていた。現在、本紙に議会だよりを書いているブラウン氏である。(英「インデペンデント」紙6月11日付=特約)1998年8月24日(日本経済新聞)
「私たちを抑圧しないで」
同性愛者をはじめとする性的少数者らが自らの存在を「私たちを抑圧しないで」──。同性愛者をはじめとする性的少数者らが自らの存在をアピールし、権利保護を訴える「セクシャル・マイノリティ・プライドマーチ」が23日、札幌市の大通公園で開かれた。参加者らは独創的な衣装を身につけて約4キロメートルをパレードし、家族連れなど道行く人々の関心を引いていた。
米国ニューヨークの同性愛者が警察の迫害に抗議パレードを開いたのが1969年。この精神を引き継いだ今回のパレードには約360人が参加、「誇りを持って生きたい」などのプラカードを掲げ、性的少数者の個性を尊重するよう呼びかけた。
パレードに参加したアパレルメーカー勤務の男性(30)は、「日常生活では自分が同性愛者ということを隠しているため直接的な差別はない。しかし、事実を公にすれば偏見を受ける社会自体がおかしい」と訴えていた。1998年10月24日(読売新聞)
同性愛者への犯罪 米で増加、先鋭化
「防止法案」宙に浮いたまま【ロサンゼルス22日=河野博子】米ワイオミング州で、同性愛者の男子学生が惨殺された事件をきっかけに、同性愛者を標的とする犯罪の先鋭化が米国で注目を集めている。事件後、各地で集会が開かれ、立法措置を急ぐよう求める声も高まっている。ところが、現行法を強化し、同性愛者への暴力を対象に加えた「新ヘイト・クライム防止法案」は、連邦議会で宙に浮いたまま。犯罪の増加や立法化の遅れの背景には、「同性愛は罪」と強調するキリスト教右派など宗教・倫理に踏み込んだ指摘もあり、議論をいっそう複雑にしている。
事件は今月7日夕、ワイオミング州ララミー市で、ワイオミング大学生、マシュー・シェパードさん(21)が頭がい骨が砕けるまで殴られたうえ、道端の塀に体を縛り付けられ、意識不明の状態で発見されたもの。通りがかった人に救出されたが、5日後に死亡。21歳と22歳の容疑者2人が第1級殺人罪で逮捕・起訴され、警察は、犯行の動機を「ゲイ(同性愛者)バッシングと強盗」としている。
司法省の統計によると、96年に起きた「偏見に動機づけられた犯罪」(計8759件)のうち、同性愛者が被害者となったケースは1016件で全体の11.5%。また、民間団体「南部貧困法律センター」が物理的暴力が振るわれた被害者を分類した結果、同性愛者は黒人の2倍、ユダヤ系や中南米系の6倍という結果だった。
米国では、公民権運動が盛んだった68年、人権、肌の色、出身国、宗教を理由に、投票や教育を受けようとする人に嫌がらせや暴力を加えることを禁じた連邦法が制定されている。同法の対象を同性愛者をターゲットにした犯罪に拡大する新たな「ヘイト・クライム防止法案」が昨年秋、連邦議会に上程された。
クリントン大統領は事件後、「憎悪(ヘイト)と偏見はアメリカ人が持つべきものではない」と語り、議会に対して法案の成立を促しているが、審議はなお継続中。「同性愛は罪」「同性愛は治療可能」とのキリスト教右派勢力のキャンペーンなど、同性愛イコール病気で、存在と権利を認めるべきではないとの見方が広がっており、法案への反対が根強いからだ。参照:ゲイ虐殺にネット市民の声(WIRED NEWS 1998/10/13) 1998年11月9日(中日新聞)
英閣僚 相次いで同性愛問題浮上
公務と私生活は別 世論は冷静?【ロンドン8日共同】閣僚の同性愛問題が相次ぐ英国で、新たにブラウン農漁業食糧相が同性愛者であることを認め、波紋を広げている。
同性愛問題が取りざたされた閣僚は10月下旬以降、これで3人目。同相は大衆紙の報道をきっかけに7日夜、告白を迫られた。ブレア首相は直ちに、辞任を求めない意向を示したが「私生活には関与せず」と釈明に大わらわだ。
最初に「疑惑」が浮上したのがデイビス前ウェールズ相。10月下旬に同性愛者が多いとされる場所で強盗事件に巻き込まれ「判断を誤った」と閣僚を辞任した。ただ同氏は、同性愛との関連を否定している。
続いてマンデルソン貿易産業相が、英国放送協会(BBC)の番組に出演した政治解説者から同性愛者であると指摘され、BBC会長が同相に謝罪の手紙を送るなどの騒ぎになった。
デイビス氏の問題は尾を引いているが、他の2閣僚の同性愛は、議会周辺では以前から公然の秘密だったとされ、深刻な問題にはなっていない。現内閣にはスミス国民文化相のように同性愛者であることを「告白済み」の閣僚もいる。有権者の間でも「公務と私生活は別」との意見が多く、世論はここまでのところ「大人の反応」を示している。1998年12月5日(中日新聞)
火付けた同性愛映画 インド
「秩序乱れる」過激派襲撃 上映中止に【ニューデリー5日共同】インドで女性の同性愛をテーマにした映画に、ヒンズー至上主義を唱える過激派が反発、首都ニューデリーやムンバイの映画館が襲われ、上映中止に追い込まれる事態となっている。
警察当局は4日、極右政党シブ・セナの幹部2人を逮捕、事件の捜査を始めた。ヒンズー至上主義を掲げるインド人民党(BJP)政権は「成人映画」としてこの映画の上映をいったん許可しているが、騒ぎをきっかけに再審査を映画倫理協議会に求めるなど腰が定まらない。
問題の映画は「ファイアー(情熱)」という題名で、夫に冷たくされている義理の姉妹が愛し合うという内容。
上映中止に追い込まれたニューデリーの映画館の支配人は「かなりの人の入りがあり、特に女性客が多かった」と話し、残念がっている。
シブ・セナは「社会の秩序が乱れる」として上映の実力阻止を宣言、2日にムンバイの映画館が襲われたほか、3日には同党の支持者約40人がニューデリー中心部の繁華街コンノートプレースにある映画館に押し掛け、窓ガラスをたたき割ったり、映写器具を壊すなど暴れ回った。1999年1月21日(中日スポーツ)
授業中に「私は同性愛」 大阪の女子高女性教諭
大半の生徒は告白に好意的授業中に同性愛であることを告白した大阪府内の私立女子高校教諭(34)が22日、全日本教職員組合(全教)の教育研究会全国集会(滋賀県)で、生徒らの好意的な反応を報告、性的少数者に配慮した学校の在り方も提言する。
同性愛を告白したのは池田久美子さんで、2年前、教員会議で同和教育の主任担当に立候補、その所信表明の中で同僚に打ち明けた。5カ月後、生物演習の25人の生徒に男性同性愛者が周囲の偏見を受け苦しむ姿を取材したビデオを見せ、こう話した。
「わたしも女性と暮らしていて、彼女は恋人なの。うちの先生はみんな知ってる」。大半の生徒は「少し驚いたけど、自分たちを信頼して話してくれた。うれしい」という反応だったという。
校内の生徒と付き合っている、と無記名で打ち明けたある生徒は「ずっとそばにいてくれる子にひかれる。相手が男でなくてもいい。1人でも多くの人が、多様な性があることを理解してほしい」と感想を寄せた。
あこがれるのは常に女性だという別の生徒は「好きな子に嫌われたくないから、先生のように告白する勇気は持てません」と答えた。
教研集会では、男女が必ず結婚し子供をもうけるという図式に抵抗を感じる生徒の存在を認め、スカートなど制服や校則の押しつけをやめ、性的少数者であることがいじめのきっかけにならないよう配慮することも必要、などと訴える。
池田さんは「生徒に『結婚せえへんの』と尋ねられて、きちんと答えられない自分がずっと苦しかった。自分を肯定した今はとても自然に生きられる」と話している。1999年2月1日(朝日新聞)
同性愛 授業で 思春期、悩む子いるから…
中高の取り組み 少しずつ拡大中同性愛の問題を学校教育に取り入れる試みが、少しずつ広がっている。中学校や高校の授業などで同性愛を取り上げた実例が、1月21日からの2つの教研集会で発表された。「自分は性的に異常ではないか」と悩んできた生徒からも反応が返ってきているといい、教師たちは性的少数者の人権に配慮した教育の必要性を訴えた。
先生が「告白」/劇のテーマ
岡山での日教組主催の教研集会では、京都府内の高校で数学を教える土肥謙一郎先生(36)が、同性愛者であることを公表した同僚教師の話を発表した。
土肥先生は2年前の文化祭で、教職員劇の脚本を担当した。同性愛をギャグとして織り交ぜるかどうか迷い、同僚の高取昌二先生(36)に相談すると、分厚い手紙を渡された。
高取先生が自らゲイであることをつづった「手記」だった。中学生のころから男性に恋愛感情を抱きながら「そんなはずはない」と自己否定し続けたこと。「性」が話題にのぼるたびに、肉体と精神が引き裂かれるような苦しみを味わったこと、同性愛について正しい知識を得てようやく、自分を認めることができたこと……。
劇では、この体験をストーリーの柱にすえることにした。文化祭当日。ゲイの主人公を大声で笑っていた生徒たちも、肉親にさえ理解してもらえない孤独感や悩みを主人公が告白する場面になると、急に静かになったという。
埼玉県上尾市立東中学校の小島佐知子先生は昨年、3年生を対象に「異性愛と同性愛」の授業をした。事前のアンケートで「好きな相手」に同性または両性を挙げた生徒が、男女とも数%あった。
授業では、愛には様々な形があることを説いた。多くの資料を紹介し、恋愛の対象が同性に向かっている生徒に、自己肯定ができるよう手助けをした。
小島先生は「多くの文献から、同性愛者が自分の性的な関心に気づくのは思春期だと知った。だからこそ、中学校で取り上げる必要性がある」と訴える。
全教などが滋賀で開いた教研集会では、大阪の私立女子高校で生物を教える池田久美子先生(34)が「性的少数者の人権」のテーマで発表した。
一昨年、3年生の授業で、エイズや同性愛について取り上げた。その授業で池田先生は自分も同性愛者であることを打ち明けた。
その後、何人かの生徒が無記名の感想文を寄せた。「私も今まで本気で好きになった人は女の子でした……自分が同性愛者か異性愛者か、いまだに分かりません」「実は、自分も今、女の子と付き合っています」
今年度も1年生の授業で同じテーマを取り上げた。池田先生は「結婚して出産するのが普通の道と一般には考えられているが、それができない人たちもいるという情報を学校で教えておかなければ。人知れず悩む子どもたちは必ずいる」と話している。1999年2月22日(中日新聞)
男が“妊夫”に? 英の専門家が可能性を指摘
内臓に着床、開腹出産 『大転換』早くも賛否【ロンドン21日共同】最新の医学技術を使えば男性が妊娠して赤ちゃんを産むことも可能−。21日付の英日曜紙サンデー・タイムズは、英国の体外受精の先駆者の1人であるロンドン大学のロバート・ウィンストン教授のこんな常識を覆す見解を紹介した。
同性愛の男性カップルにとっては朗報かもしれないが、人類始まって以来の営みを大転換させるだけに、早くも賛否両論が出ている。
教授によると、体外受精した胚(はい)を男の腹腔(ふくこう)内に移植し、大腸などの内臓に「着床」させる。胎児は胎盤を通じて大腸から栄養分を吸収して成長、臨月を迎えたら開腹手術で取り出す。
男性には「流産」を防止するため大量の女性ホルモンを投与する必要があるが、原理的には女性の子宮外妊娠と同じ。実際に英オックスフォード州で、受精卵が女性の腹腔内に移動して大腸の表面に着床、無事に育って産まれるという珍しい子宮外妊娠の例があった。
これについて、ノッティンガムの不妊治療センターのサイモン・フィシェル博士は、女性が事故で子宮を失い、代理母を使わずに子供をつくりたいと望んでいるカップルの場合などは倫理的に問題はなく、危険性さえなければ施術するだろうと賛成論。
また同紙は、男の妊娠を禁止するのは、法的には性差別になるので不可能なはずという専門家の意見も伝えた。
これに対し、やはり体外受精専門家のイアン・クラフト氏は「男が妊娠可能でも、認めるかどうかは別問題。危険が伴うし、自然の摂理に反する」と反対を表明した。1999年3月23日(中日新聞)
ハエの同性愛から分かること
「心の性」決める遺伝子の存在? 人間との共通点探る三菱化学生命科学研究所の山元大輔さんは、科学技術振興事業団の「山元行動進化プロジェクト」で、キイロショウジョウバエの突然変異体から、ハエにも「同性愛」や「性同一性障害」があるなど、さまざまな性行動異常を見つけた。異常をもたらす遺伝子は人間にも共通するものがあるという。ハエの“同性愛”から何が分かるのか──。(吉田 薫)
山元さんの研究は、ハエの遺伝子のいろいろな場所を壊し、変異体をつくって、行動を観察することから始まる。
雌に興味を示さない雄の変異体は、satori(悟り)と名付けられた。実は悟っているわけではなく、雄と交尾をしようとする同性愛の群れだった。サトリたちは、互いのおしりに頭をくっつけようとして輪になってしまう。
またspinster(スピンスター=未婚女性)と名付けられた雌の変異体は、雄をけったり自分の体を曲げたりして、雄を受け入れようとしない。このほか6種の変異体を分離した。
サトリの体は、神経系に支配されたある筋肉の異常を除いては、正常な雄。しかし、言い寄る相手は雄であり、人間でいう同性愛の状態だ。よく調べると、サトリの変異は、すでに発見されていたfru(フルートレス)遺伝子の変異が原因だった。
ハエの体の性は、dsx(ダブルセックス)という遺伝子が決めることが分かっている。fru遺伝子は神経、つまり人間でいう「心の性」を決めるのにかかわっているのではないか──。山元さんはそう考える。
人間にはfru遺伝子に相当する塩基配列は、見つかっていない。人間の場合は、母親の胎内でホルモン・シャワーを浴びることから男性としての脳がつくられていく、というのが定説。その過程に遺伝子の変異が1枚かんでいるのかどうか、いずれ解明されそうだ。
研究グループは、ハエの脳内のどこでfru遺伝子が働いているかを調べ、性志向をつかさどる神経細胞を突き止めることを狙っている。
一方、スピンスター遺伝子は、人間、線虫、マウスに、いずれも似た配列があることが分かった。スピンスターの行動からみると、この遺伝子に異常があると、幼い行動パターンがそのまま保存されるようだ。「外から送られてくるホルモンを組織に取り込む物質と関係しているのでは」と、山元さんはみている。この遺伝子を壊したマウスをつくり、機能を探ることにしている。1999年8月23日(中日新聞)
憎悪犯罪 米で増加 少数民族や同性愛者が被害
白人至上主義 ネット上で広がる【ニューヨーク23日真能秀久】米ロサンゼルス郊外のユダヤ人施設で起きた銃乱射事件をきっかけに、憎悪犯罪(ヘイトクライム)の増加が全米に衝撃を与えている。増加の一因としてインターネットを通じた白人至上主義の広がりがあり、新法制定の論議も急速に高まっている。
乱射事件で逮捕されたビュフォード・ファロー容疑者(37)は、ユダヤ人施設襲撃で幼児ら5人に銃弾を浴びせた後、偶然出くわしたアジア系郵便配達員を「白人じゃなかったから」と、銃を乱射して殺害していたことも判明している。
同容疑者はネオナチ系の「アーリアン・ネーションズ」(アーリア人国家)など2つの白人至上主義者組織に所属。ロサンゼルス郡検事局は一連の犯行を人種差別を動機とする憎悪犯罪と断定した。
米国では、今年6月にカリフォルニア州で3カ所のユダヤ教会が放火で焼失。容疑者は白人至上主義者で、放火とは別に同性愛者のカップルを殺害していた。
7月には、同じ団体に所属する男がインディアナ州とイリノイ州で黒人男性、韓国系学生を射殺し、ほかにユダヤ人など9人を負傷させる事件も発生した。
黒人やユダヤ人などの少数民族や同性愛者などを対象にする憎悪犯罪は増加傾向にあり、米司法省によると、1996年には前年比10%増の約8800件が発生した。
白人至上主義の広がりの1つの背景とされるのがインターネット。この種の団体のホームページには「アメリカを100%支配しているのはユダヤ人マフィア」「クリントン大統領はユダヤ人にすべての権力を渡すことでホワイトハウスに居座っている」などの“警告”が書き込まれている。
ロサンゼルスでの事件後、クリントン大統領は憎悪犯罪に厳罰を処すよう連邦法の強化を訴えた。警察当局はユダヤ人団体の警備を強化。CNNなどの米メディアは連日のように特集を組んで憎悪犯罪の多発に警鐘を鳴らしている。1999年9月28日(読売新聞)
英軍兵士同性愛禁止は人権侵害 欧州人権裁判所が判決【ロンドン27日=芝田裕一】欧州人権裁判所(仏ストラスブール)は27日、英軍が軍の規律で兵士の同性愛を禁じているのは、人権侵害に当たるとの判決を下した。判決に強制力はないものの、同性愛者に寛容なブレア英政権が、この問題の再検討を迫られるのは必至。原告は、1993年から95年にかけ、同性愛を理由に英空軍、海軍を解雇された男女4人。
1999年10月21日(朝日新聞)
急成長の同性愛ネット 国境越えて共感の輪
サイト一気に2000に増えるインターネットに同性愛者のフリースペースが広がりつつある。出会いの場から、共に悩み、考えるフォーラムへ。網の目は国境を越えて、欧米のゲイ・レズビアンたちが地位向上を求めてきた自由化の動きへと連なる。人だれしもが味わう「好きにならずにいられない」という気持ち。1人ひとりの根源的な感情を通じて結び合う共感の輪は、匿名空間を、そして同性愛者の枠をはみ出し、20世紀末のリベラリズムの1つの形を描き出しつつある。(木村彰一)
「もう○○君大好き大好き! 超大好き! 死ぬほど大好き!」
首都圏の高校生A君が今年立ち上げたインターネットのホームページ(サイト)には、同性のクラスメートへの熱い思いがつづられた恋愛日記のコーナーがある。
「授業中とかも、ときどきちらちら○○君の事見るんだけどよく目が合っちゃうんです」「忘れていったジャージがあったから、それをとってちょっと匂いを嗅いだ。『これが○○君の匂いかぁー』。ちょっと幸せ気分で○○君にジャージを返した」
自分で選曲や作曲をした音楽とともに伝えられる日々の出来事。友人に自分の同性愛を打ち明けたら、一緒に考えてくれて勇気づけられたこと。それでも「どきどきしてなかなか話せずにいる」自分。
サイトを始めた理由についてA君は「簡単に言うと自分を表現したいと思ったからです。僕の価値観や思考などをいろいろな人に見てもらって、おしかりや同感の言葉がほしくて……」と説明する。
実際、延べ2000人を超す人たちがサイトを訪れ、交流の輪ができた。「読んで胸がキューンとしちゃった」「なあんだ、私たちと同じじゃん」といった女子高生の声も伝わってきた。
「いろいろな人との出会いがあり、励まされたりして、こういうことで悩んでるのは1人じゃないんだとすごく元気づけられました」とA君はいう。☆ ホームページを開くと、女性2人の顔のイラスト。絵が動き始め、徐々に髪が薄く、白くなり、それでも仲良く寄り添う2人。
女性パートナーと2人、都内で暮らすBさんが運営している個人サイトは「セクシュアリティと恋愛」をテーマにしている。
お好みのアートや映画のページとともに、同性カップルのための情報欄などが設けられている。セクシュアリティの用語集のページには、「世界のレズビアン・ゲイ」「バイセクシュアル」といった言葉が並ぶ。
中でもBさんがぜひ載せたかったのは前の彼女と別れたときの「失恋日記」。
「振られたときの『私ってずっとひとりぼっちなの?』という言いようのない孤独感、脱力感。もし、あのときにほかにも自分みたいなつらさを感じている人もいる……と思えたら」とBさんはいう。
同時進行で公開中の現在の日記では、社員旅行に「同性の恋人」を同行してよいか社長に掛け合い、OKをもらった話などを紹介。ネットを通じて見知らぬ者たちが支え合い、社会に対していこうとする雰囲気が伝わってくる。☆ 同性愛に関する正確な情報を発信する「すこたん企画」を運営し、2年半前から同名のサイトを開いている伊藤悟さんによると、開設時には100に満たなかった同性愛関係の日本語サイトは約2000に増えたという。
「一般に『出会い系』と呼ばれるパートナーや友達探しサイトの同性愛者版もあれば、フォーラムのような交流にも道を開いているサイトもある。日本ではまだゲイやレズビアン同士が見えない存在。特に仲間を見つけにくかった10代やレズビアンの人たちにとってこうした場が生まれた意味は大きい」と伊藤さんは話す。
こうしたサイトのもう1つの特徴として伊藤さんがあげるのが、海外との連動。例えば同性愛に関するこんな国際ニュースが日本語に訳されている。
「クリントン大統領は一般教書演説の中で、同性愛者に対する差別問題に触れ、反差別法の制定を強く求めた」「クリントン大統領はルクセンブルクの新大使に、同性愛者を自認している実業家ホーメル氏(66)を任命した。米政府が同性愛者を公言する大使を任命するのは初めて」
日本の一般メディアには紹介されにくい欧米の動きを通じて、同性愛者の権利意識が自然に流入しているといえる。
かと思えば、「先日ウガンダで同性愛者同士の結婚式が行われたというニュースをお伝えしましたが、最新情報によると、この話はでっち上げられたものなのではないかという疑いが強まっています。続報が入り次第お伝えします」なんてニュースもあるのだが。☆ 5時間に1人の割合で思春期の同性愛者が自殺している。そんな推測もインターネットに載るアメリカでそうした実態を知らせ、ティーンズが必要としている情報がより簡単に手に入るようにしよう、と設けられたホームページがある。
「ホワイトリボンキャンペーン」と名付けられたそのサイトは今、日本の賛同者によって何ページにもわたる情報が日本語に訳され、個人のホームページとして提供されている。
「悩み苦しんで死を選ばざるを得なかった同性愛者がいることを私たちは忘れてはなりません」
こう日本語で記すそのキャンペーンに賛同するリンク(つながり)が今、日本のゲイネットのあちこちで見られる。連帯が生まれる可能性──北村雄二さん
インターネットがゲイにとって大きな力であるのは間違いない。アメリカの調査でも、同性愛者のネット利用は平均より多い。
アメリカではインターネットが普及する以前から、同性愛者の政治的運動組織が数多くできていた。例えばゲイ・レズビアン関係のニュースを専門に配信する組織もあるし、ゲイ人権団体の年次総会にはクリントン大統領やゴア副大統領も出席する。。そうした公的なサイトや事実に支えられてゲイの子供たちは生きる勇気を持つ。半面、ゲイへの憎悪もすさまじいけれど。
日本ではまだゲイの本当の姿が見えづらい。。自分以外のゲイに会ったことがない子も多い。孤絶感は想像を絶するだろう。その意味でも、アメリカとは順番が逆だが、ネットでの出会いから始まって現実の世界、オフラインでの友情や連帯が生まれる可能性に期待したい。若い世代にすでにその兆しは見える。
民主党の大統領候補ゴアやブラッドリーがゲイ雑誌の表紙を飾り、長時間のインタビューを受ける。それもニュースとしてネットで流れ、世界中のゲイが自らの情報を共有できる。少数者にとってこれは大きい。(在米ジャーナリスト、元東京新聞ニューヨーク支局長)1999年11月23日(日本経済新聞)
トゥルー・トラベル ゲイ向け旅行専門 東京で営業開始同性愛者(ゲイ)向け旅行を専門に扱う企業が日本にも登場した。9月に設立されたトゥルー・トラベル(東京・新宿、早瀬陽一社長)がこのほど東京都に旅行業登録を完了、営業活動を始めた。同性愛者を対象にした旅行業の業界団体、IGLTA(米フロリダ州)に加盟、第1弾としてオーストラリアで来年3月に開かれるゲイの国際イベント「マルディグラ」への参加ツアーの販売を開始した。現状では同性愛者のニーズに合った商品はほとんどないと判断。まず年間1000人の取り扱いを目指す。
「マルディグラ」は毎年2、3月にシドニー市内で開かれる同性愛者たちの国際的なイベントで、パレードが目玉。毎年数十万人の参加がある。発売した「シドニー・マルディグラ・ツアー」はこれに参加するための6日間のツアーで、来年3月1日に成田を出発。カンタス航空系の旅行会社、キューエイチ・インターナショナル(東京・港)が主催し、トゥルー・トラベルは販売を受け持つ。同社はこのほか、一般の旅行会社の接客に抵抗を感じる同性愛者を対象に、手配旅行やハワイでの海外ウエディングも手掛けていく。
欧米では既に「ゲイ・トラベル」市場がかなりの認知度を得ており、IGLTAにはアメリカン航空、英国航空など大手航空会社も加盟しているという。1999年12月15日(日本経済新聞)
同性愛者の差別解消、米軍が政策見直しへ【ワシントン=共同】ベーコン米国防総省報道官は米軍が1993年から続けている「同性愛の将兵は、同性愛であることを明らかにしてはならない」との政策を、コーエン国防長官が6年ぶりに見直すよう命じたことを明らかにした。米軍内で同性愛者が差別を受けていないかなどを調べて、新政策が必要かどうかを決める。
米軍の政策は同性愛者の入隊を禁じていたが、6年前に規定を変更。しかし、同性愛であることを認めた場合は除隊となることから「差別措置」との不満が強い上に、嫌がらせも減らない。同性愛者権利擁護団体は入隊しても差別を受けないような制度の確立を求めている。1999年12月22日(毎日新聞)
東京都:同性愛者含む少数者の人権も新たな保護対象に東京都知事の諮問機関「人権施策推進のあり方専門懇談会」(座長、戸松秀典・学習院大教授)は22日、人権を守るための総合的な具体策をまとめ、提言した。
これまで国が人権対策の対象としていなかった同性愛者を含む性的マイノリティー(少数者)らも新たに対象に含めた。
提言で拡大した対象は、同性愛者のほか性同一性障害の当事者、医療被害者、犯罪被害者ら。
1997年に国がまとめた「『人権教育のための国連10年』に関する国内行動計画」では女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、エイズウイルス感染者、元服役者の9分野を対象にしていた。
一方、同性愛者や犯罪被害者らが差別されている現状が社会的に認知されるようになった実態を踏まえ、懇談会は同性愛者らからもヒアリングし、対象を広げた。
提言は被害者の発言の場を確保するためテレビの番組枠の買い切り、学校や企業での「出前」講義への公費助成、訴訟費用の援助など行政の積極的な支援を求めた。
また、虐待児童や保護者から十分な養育を受けられない子供を施設でなく、一時的に別の家庭で養育する「ショートステイ里親」制度の導入を提案した。
具体策に踏み込んだ先進的な提言で、都は具体化するため来年7月をめどに指針を策定する。2000年3月16日(時事通信)
同性愛教育の自由化で政府と教会が合意 英紙
学校で男女恋愛の尊さ教えます【ロンドン16日=時事】16日付の英紙タイムズは、同性愛教育の自由化と引き換えに、男女の恋愛の尊さを教えることを教師に義務付けることで、英政府が国教会やカトリック教会と合意したと報じた。現行法では、同性愛を助長するような学校教育を自治体に禁じているが、ブレア政権は同法廃止を目指していた。
今回の合意を基に改正案が議会で可決されれば、学校では男女の結婚の意義のほか、家族と子育ての重要性を教えることが義務化される。しかし、今回の合意に対しては法改正に反対する保守党以外にも、自ら同性愛者であることを認めているスミス文化相など閣内からも異論が出る可能性が大きいという。2000年4月18日(読売新聞)
同性愛への理解ジワリ 偏見解消求め積極的行動も自分のしていることが他の大勢と違うことに気づいた時、人は疎外感に悩む。『人生案内』欄は、そんな相談を多く受け止めてきた。同性愛の悩みもその1つ。
<18歳男。外国人男性にすべて許し、生活している。私の行動をどうお考えか>
「心も体もいれかえなければなりません」=1954(昭和29)年1月
日本人は歴史的に同性愛に寛容だったが、明治以降、西洋化の影響もあって人倫にもとることとして次第に抑圧されていった。回答も、当時の社会意識を反映している。法律で規制されることはないものの、多くは胸に秘めて苦しんできた。東京の30代の男性会社員。地方の実家に帰るたびに家族から結婚を勧められ、憂うつになる。明るくて、女性にも人気があるが、子供のころから男の子に興味がある。初恋の人も男性で、現在、付き合っている男性がいる。
母親には、「なぜ結婚しないのか」と責められる。実家に、母親のお気に入りの幼なじみが来て家事をしていて驚いたこともあった。しかし、「同性しか好きになれないのに、結婚するのは不誠実」と独身生活を続けている。「この会社員と同様のケースは多いはず。日本では同性愛の問題に対する関心は低い」。日本性教育協会(東京)の女性研究員・鍛冶良実さんは不満気だ。ボランティア活動で同性愛活動家と知り合ったのをきっかけに、アメリカの大学で性の問題を研究。偏見解消に取り組んでいる。
「右利きと左利きがいるように、同性愛は人間の多様な性のあり方の一部。個性の1つと考えて」と鍛冶さん。
しかし、周囲の目を恐れ、カミングアウト(公表)する人はわずか。悩んだ末に結婚したものの、同性との関係を続ける人も多い。気づいた家族の動揺も大きい。
<48歳の夫が同性愛だと分かった。子供の手前、平静を装っているが──>=77(昭和52)年3月孤立しがちだった同性愛者だが、最近はインターネットの関連ホームページが急増、情報交換の場になっている。94年からは毎年、各地で「レズビアン/ゲイパレード」も開かれ、積極的に社会に理解を求めるようになった。
<20歳の女。女性の恋人がほしいが──>
「愛する相手が異性でも同性でも、誠意と互いの信頼があればまっとうな愛」(回答・漫画家の里中満智子さん)=97年6月
相談は、今も昔も変わらない。しかし、回答は明らかに変わった。社会の理解も、ほんのわずかずつ進んでいるようだ。(質問と回答は要約)2000年5月17日(日経ヘルス)
ホモ、レズになるのは妊娠中のホルモンの影響が関係?同性愛になるのは、母親の体内にいるころに子宮内で男性ホルモンである「アンドロゲン」の影響を受けたため──とする論文が、3月30日の科学雑誌「ネイチャー」に発表された。
これを発表したのはカルフォルニア大学バークレー校の心理学者マーク・ブリードラブ氏らの研究グループ。子宮内のアンドロゲンの濃度が高いと、男女とも同性愛傾向を帯びるということを統計学的手法で説明している。
ブリードラブ氏らは、まず、子宮内でアンドロゲンの影響を受けた人は手の指、特に右手の人差し指と薬指との比に違いが生じていることに着目。一般に、女性では人差し指と薬指の長さはほぼ等しい。しかし男性の場合には人差し指が薬指より短いのが普通だ。
サンフランシスコの街頭で720人の男女の指の長さを測り、さらに性的傾向や長男、次男などの出生順序、年上の兄弟の数などについてアンケートを実施した。その結果、まず同性愛的傾向にある女性は、右手の人差し指が薬指に比べてかなり短いことがわかったという。一方、男性では、同性愛傾向のある人とない人では指の長さの比にはほとんど違いはなかった。
同性愛者の男性では、年上の兄弟の男女比が男140対女100で、年上の兄弟に男が多い人で同性愛の傾向が強くなることがわかった。同性愛者ではない男性の場合、年上の兄弟の男女比は106対100だった。また、年上の兄弟に男性が多い人の手の指は、人差し指が薬指より短いという男性的な特徴が強かった。
これらのデータを基にブリードラブ氏らは、「母親は男の子を何人産んだのかをある程度記憶しており、次に男性を妊娠すると男性ホルモンをより多く与えるのではないか。その結果、同性愛的傾向が出るのではないか」と考察している。
ただし、こうした生物学的な条件だけでなく、同性愛者となるには社会的、心理的な要因も関係していることをブリードラブ氏らは強調している。2000年6月10日(共同通信)
同性愛者スパイが“決起” CIAで初の公認集会【ワシントン9日共同】米中央情報局(CIA)でこのほど、ゲイやレズビアンの職員が当局公認で初の“決起集会”を開いた。冷戦時代は「敵に弱みを握られる危険性がある」として、スパイの同性愛はタブーとされていたが、時代は変わった。
集会は「CIAの同性愛者のプライドを高める」ことを目的に6日、ワシントン近郊ラングレーのCIA本部で開かれ、職員約60人が参加。姉妹組織の国家安全保障局(NSA)からも貸し切りバスでゲイ仲間が駆けつけた。
スパイ組織とあって非公開だったが、自らもゲイで来賓として参加したバーニー・フランク下院議員(民主党)がワシントン・ポスト紙などに明らかにした。
1950年代以来、CIAは同性愛と分かった職員を排除してきたが、95年になってクリントン大統領が「性的な傾向を理由に採用などで差別してはならない」との大統領令に署名、門戸を開いた。2000年7月10日(共同通信)
同性愛者数10万人がデモ 法王のおひざ元ローマ【ローマ9日共同】同性愛を「自然の摂理に反する」と戒めるローマ法王のおひざ元ローマで8日午後、イタリア国内や世界各国から集まった同性愛者らがお祭りムードでデモ行進した。参加者数の推計は、主催者側によると40万人以上、イタリア放送協会では約20万人、警備当局は約7万人と大きく食い違った。
1日から開催されていた同性愛者の権利擁護と差別撤廃を訴える祭典「世界ゲイプライド2000」の最後の行事。人権擁護運動の象徴ともされるコロシアム前をクライマックスとする行進には、ベリロ機会均等相(共産主義者党)や最大与党左翼民主党のベルトロ二書記長のほか、法王庁の意向に反してカトリック教会のビタリアノ・デラサラ教区司祭も加わった。
キリスト生誕2000年祭の最中とあって、カトリック教会や保守・右翼勢力などは教会に対する「挑発行為」と強く反発、不測の事態も懸念されたが、極右組織が予定していた対抗デモを中止したこともあり、平穏に終わった。2000年7月17日(朝日新聞)
揺れる同性愛者の人権、都が人権指針骨子から削除東京都が、このほどまとめた「人権施策推進のための指針骨子」から「同性愛者」という表現を削った。専門家による懇談会が事前にまとめた都への提言では、国や他県に先がけて同性愛者を人権施策の対象に挙げ「画期的」と評価されていた。欧米などでは同性愛を権利として認める動きが定着していることもあり、人権団体から反発を招いている。
都は今月21日まで都民の意見を募集し、秋に指針を策定する予定だ。
都が6月に発表した指針骨子は、人権の現状について「性同一性障害のある人々などに対する偏見や差別がある」などと記した。だが、半年前の昨年12月に都知事の諮問機関「人権施策推進のあり方専門懇談会」(座長・戸松秀典学習院大教授)がまとめた提言では、同性愛者や性同一性障害などをまとめて「性的マイノリティー(少数者)」と呼び「都の施策に取り込む」となっていた。
都によると、担当者が作った骨子原案では同性愛者も対象に含めていたが、庁内で意見を集約する際に反対論が続出した。「好みや趣味で同性愛を選ぶ人もいる。人種や性別など『生まれ』による差別と違うのでは」「人権概念として未成熟。都民に理解されない」などで、石原慎太郎知事も慎重意見だったという。
懇談会委員をつとめた安念潤司・成蹊大教授は「同性愛者が削除されたのは大変遺憾。首都東京として人権面でも国際的な水準が要求されるのに、才能豊かなマイノリティーの人たちに働きにくい都市だと敬遠されると経済的にも悪影響が出る」と語る。都の指針づくりに意見を述べてきた、差別問題にかかわる10団体でつくる「都人権指針対策連絡会」も「同性愛者を人権の課題として明記する必要がある」とする声明を出している。2000年8月1日(毎日新聞)
「3人以上はわいせつ罪」は違法
有罪の男性同性愛者 英政府を訴えたら…
↓
「プライバシー侵害」欧州人権裁判所が判決【ロンドン31日=笠原敏彦】欧州人権裁判所(仏ストラスブール)は31日、男性の同性愛者によるグループでの性行為を禁じている英国の法律規定を、「プライバシー侵害」に当たり違法だとする判決を下した。この法律によって有罪判決を受けた英国人男性(52)が同裁判所に救済を訴えていたもので、英政府は統合が進む欧州の基準に沿って法改正を迫られることになった。
英国の現行法では、18歳以上の男性同性愛者の2人での性行為は合法だが、3人以上のグループになると「わいせつ罪」で違法になる。女性は対象になっていない。
訴えていたのは英中部ヨークシャーの男性。4年前に警察が押収したビデオから、自宅で複数の同性愛仲間と“違法行為”に及んでいたことが明らかになり、罪に問われた。この男性は処罰規定が男だけを対象としているのは「性差別」だとして、英政府を人権裁判所に訴えた。
同裁判所は31日の判決で性差別論議には触れないまま、同規定が「欧州人権条約が定める個人生活の尊重」を侵害しているとの判断を示すとともに、英政府に補償金など約3万3000ポンド(約550万円)の支払いを命じた。
判決に対し、英政府は「時間的な制約はないが、法律改正を行なう義務がある」とし、判決に従う見解を示している。しかし、欧州問題はブレア政権のアキレスけんだけに、野党・保守党からは「欧州の判決に従順なのは弱腰過ぎる」と早くも批判が出ている。2000年9月1日(朝日新聞)
カトリックの国イタリア 同性愛めぐり論議熱く
差別撤廃へ政治家動く バチカン反発カトリック国のイタリアで今年、同性愛をめぐる論議がにぎやかだ。現職大臣がバイセクシュアルを宣言。献血でのゲイ差別撤廃も動き出した。同性愛者らは「偏見をなくして」と訴える大集会も開いた。が、会場となったローマは同性愛を認めないカトリックの総本山バチカンのおひざもと。バチカンは猛反発した。同性愛者の「解放」という時代の流れと、異議を唱えるカトリックの教義が様々な波紋を描いている。(ローマ=磯村健太郎)
●献血
同性愛者も献血していいと思う──ベロネジ保健相は8月2日、献血の指針を改めたいとの考えを明らかにした。イタリアでは1991年から献血の際に同性愛者かどうかを問う決まりがある。答えが「はい」だと、血液検査をするまでもなく、献血は断られる。臓器提供も同様だ。エイズ防止が目的とされるが、保健相は「同性愛者との理由でひとくくりに差別するのはばかげたことだ」と話す。
「緑の党」はこの法改正や、ゲイカップルの遺産相続などに関する差別撤廃法案を準備中だ。所属議員の1人、スカニオ農林相(41)は週刊誌で「性のうえで完全な自由を選ぶ」とバイセクシュアルを宣言した。
同性愛問題が、政治の世界で真正面から取り上げられることは近年なかった。
同性愛者の権利擁護に積極的な議員と、カトリック系の保守派議員の間での論争が予想される。●誇り
マスメディアはこの夏、同性愛問題を盛んに取り上げた。大臣のバイ宣言もその中で飛び出した。きっかけを作ったのは、ローマで7月に約1週間開かれた「世界ゲイプライド」という大会だった。同性愛者や性転換者らが「誇り」を確かめ合い、「平等な社会」の実現を訴えた。最終日のパレードには世界から約20万人が集まった。
参加者の1人、セルジョ・ロ・ジュディチェさん(38)が、同性である男性に恋をしたのは17歳の時。今は国内最大のゲイ団体「アルチ・ゲイ」(約8万人)の代表で、職業はボローニャ市の高校教師だ。
「人が好きになる以上に自然なことがあるだろうか。気持ちを封じ込める以上に不自然なことがあるだろうか」
生徒たちに聞かれれば、こう答えている。「ゲイは選択したわけじゃなく、個人の特徴の1つ。ゲイ差別は、肌の色で差別するのと同じだ」●大聖年
今年はキリスト生誕2000年を祝う「大聖年」。その特別の年にローマで開かれたゲイ集会をローマ法王ヨハネ・パウロ2世は「侮辱だ」と激しく非難した。数万人の信徒らを前に、同性愛者を「客観的に見てゆがんだこと」とし、「私には善悪を区別する義務がある」と述べた。
同性愛は「自然の摂理に反する」と言うのがバチカンの立場だ。しかし現実には柔軟な対応を実践する神父も現れている。
北イタリアの町に住むフランコ・バルベロ神父(61)は週刊誌の取材に、ゲイの「結婚式」を取り持っていることを認めた。「ゲイの多くは神からも捨てられたと思っている」と、救いが必要だとの立場だ。
同性愛や避妊に理解を示す発言が問われ、5年前に司教の座を追われたフランス人神父、ジャック・ガイヨー氏(64)はイタリア紙に「バチカンは息子がゲイと知った親のようにふるまうべきだ。初めは気が動転するだろうが、あるがままに受け入れてほしい」と語る。●少子化
同性愛への偏見や抵抗感はまだ残る。ローマの街頭には、「イタリアには子どもが必要だ」と書いた同性愛反対のポスターがいたるところに張られた。
極右運動「新しい力」の創立者の1人、マッシモ・モルセロ氏(42)は「カトリックを基盤にした家族の姿が壊れ、今は危機的な状況だ。子どもをつくらない同性愛は悲劇だ。なのに、何か良いことのようにもてはやされている」
イタリアも少子化の波が押し寄せる。日本の厚生省によると1人の女性が一生に産む子どもの数は、日本が1.34人。イタリアは1.19人まで下がっている。カトリックの教義とない交ぜになった伝統的な大家族主義の価値観が、同性愛否定論者の主張の底にはあるようだ。ゲイにこだわらぬ世論
雑誌「ベネルディ」6月30日号は、「ゲイかどうかを問わない職業は?」というアンケートの結果を掲載した。600人を対象とし、ゲイへの偏見を測るのが目的だ。それによると抵抗感のない順に医者(88%)、判事(85%)、警官(84%)、兵士(77%)など。一番低かったのは聖職者(44%)だが、編集部は「イタリア人の多くはゲイかどうかをあまり気にしていない」と結論づけている。一方、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は同性愛や避妊、中絶、女性聖職者の登用などをめぐっては特に保守的な立場だとされる。
2000年9月3日(朝日新聞)
同性愛 市挙げて応援 台北
官製「公民権運動」を展開台北市が主催する初の「同志」公民権運動が2日から始まった。「同志」というのは、今風の中国語では男性や女性の同性愛者のことを指す。馬英九市長が、「国際化と現代化の21世紀は人権に対する関心も多様化すべきで、台北市は『同志』にやさしい都市でありたい」と企画した。
初日は、「台北の渋谷」といわれる信義地区の映画館街に、シンボルであるにじの旗を掲げ、全台湾から参加した「男同志」や「女同志」の19団体が市民にビラを配った。美しさをアピールする寸劇を演じる「男同志」の団体も。
儒教文化の根強い台湾社会だけに、行政が税金を使って運動を主催することに反対の声も多い。脅迫電話を受けた林正修・民生部長は、「同志への社会の風当たりの強さが身にしみた」と、公民権運動の必要性を痛感したという。(台北=清水勝彦)2000年10月26日(朝日新聞)
同性愛傾向 三島の告白
精神科医あて書簡の全文公表へ来月25日の三島由紀夫没後30年を前に、「仮面の告白」刊行の直後に自らの同性愛傾向を認めた、精神科医あての書簡の全文が25日、明らかになった。1日に発行される「決定版三島由紀夫全集第1巻」(新潮社)に収録される。また、月刊誌「新潮」は同日発売の臨時増刊号で、「金閣寺」の2冊の創作・取材ノートの全文を掲載する。
三島研究家の田中美代子氏が、全集解説の中で書簡全文を引用。1949年7月の「仮面の告白」刊行後、著名な精神科医で性心理も研究していた式場隆三郎にあてたもの。
三島は、紹介もなく本を贈り、「貴下様のほかに正確な御理解を仰ぐべき方はなからうと考へた」からと説明している。「この国の芸術家」が、芸術の発生や芸術家の成り立ちについての、心理学的な洞察はおろか、芸術的洞察にも「全く欠けて」いると嘆き、モデルの修正などをのぞき、「凡て私自身の体験から出た事実の忠実な縷述」と認めている。また、「正常な方向への肉体的無能力」に悩んでいたので、「告白は精神分析療法」の1つとして有効と考えた、という。(台北=清水勝彦)2000年10月26日(日本経済新聞)
三島由紀夫の代表作「仮面の告白」は体験から
精神科医に書簡で告白三島由紀夫(1925−70年)が、代表作「仮面の告白」の刊行直後、精神科医に「凡(すべ)て私自身の体験から出た事実の忠実な縷述(るじゅつ)」と告白した書簡が25日、初めて明らかになった。主人公が同性愛傾向を自覚していく過程を描いた同小説の虚実を巡っては、三島は明言を避けてきただけに、三島文学の核心に触れる貴重な資料となりそうだ。
書簡は1949年7月19日付で、精神科医の故・式場隆三郎氏あて。三島は同作品を式場氏に送った理由を「この告白小説の内容や表現につきまして、貴下(あなた)様のほかに正確な御理解を仰ぐべき方はなからうと考へた」と説明。
小説の内容は「モデルの修正、2人の人物の一人物への融合」などを除き、すべて体験から出た事実で「己れの本来のTendenz(性癖)についてよりも、正常な方向への肉体的無能力について、より多く悩んでをりましたので、告白は精神分析療法の一方法として最も有効であらうと考へた」としている。
だが、書き進めるうちに「作品の独立性と告白衝動との矛盾についての表現上の困惑」が生じ、それが作品を「不安定なもの」にした、と自己分析している。
書簡は「決定版 三島由紀夫全集」(新潮社)第1巻(11月1日刊行)に収録される。
2000年11月9日(毎日新聞)
著作権訴訟:三島由紀夫の手紙掲載 文春の上告棄却 最高裁作家、三島由紀夫の未公表の手紙を小説に掲載したのは著作権侵害と主張して、三島の遺族が「三島由紀夫──剣と寒紅」の著者で作家の福島次郎氏と出版元の文芸春秋に出版禁止などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(大出峻郎裁判長)は9日、遺族側の請求を認めた1・2審判決を支持し、福島氏と文芸春秋側の上告を棄却する決定をした。手紙を著作物と初めて認めた判決が確定した。
確定判決によると、福島氏は三島との同性愛関係をつづった実名小説を執筆し、三島の手紙15通を遺族の了解なしに掲載し、1998年に出版された。
東京地裁は昨年10月、「手紙は三島の思想や感情を個性的に表現したもの」と著作物と認め、福島氏と文芸春秋に対し、出版禁止や計500万円の賠償金支払い、三島の名誉回復のための新聞広告掲載を命じた。東京高裁も今年5月、1審判決を支持した。
小説は98年3月20日に発売されたが、東京地裁は同月30日、著作権侵害との遺族側の主張を認めて出版差し止めと回収を命じる仮処分を決定、文芸春秋側がこれに従い、販売された約9万部の一部を回収した。2000年11月22日(朝日新聞)
「同性愛者」再記述 東京都の人権指針東京都は20日、初めて策定した人権施策推進指針の中に、同性愛者の人権に関する記述を盛り込んだ。専門家による懇談会が昨年12月にまとめた提言では、国やほかの道府県に先駆けて同性愛者を人権施策の対象としたが、今年6月に都が出した指針骨子では「都民の理解を得られない」などの理由で削除され、同性愛者団体などから批判されていた。だが、記述の復活を求める都民の意見が500件を超えたのを受けて、都が記述を見直した。
指針では、人権問題の現状に関する「その他の人権問題」の記述の中で、「近年、同性愛者をめぐって、さまざまな問題が提起されています。今後、論議を深める必要があります」などとしている。
指針骨子に対して都民の意見が746通寄せられたが、このうち同性愛者の問題を人権施策として盛り込むよう求める意見が520件ほどあった。特定非営利活動法人「動くゲイとレズビアンの会」の稲場雅紀副代表理事は「都民の力で記述を復活させることができた。行政が指針の中で明示することで、共通の問題として解決していく基盤ができる」と歓迎している。2000年12月21日(朝日新聞)
世紀の終わりに 独り身ゲイに老人ホーム マニラ
日本への出稼ぎ仲介料で運営「さあ、お化粧の仕方を教えてあげるわ」
日本への出発を控えた若い女性たちを前に、ワルターさん(76)は忙しく化粧ブラシを動かす。自らもファンデーションと口紅、マニキュアを塗り、きれいにまゆを描いている。
クリスマスの派手な電飾に彩られたマニラ首都圏。繁華街を抜け、せまい路地を入った一角に、同性愛者のための老人ホーム「ホーム・オブ・ゴールデン・ゲイ」がある。長年、ナイトクラブなどで働いてきたワルターさんはその最年長者である。
「『バクラ(ゲイの意味のタガログ語)野郎』と呼ばれ、ばかにされがちなゲイが老後を迎えたとき、穏やかに暮らせる場所を作るのが夢だった」
5年前に自宅の一部を改造し、私費でホームを作ったマニラ首都圏パサイ市議のフスト・フストさん(59)は話す。
2階建てのホームに15人ほどが住む。すべて無料。週末には、遊びに来る若いゲイたちと明け方までビールやジンを飲む。
「たまに三角関係からけんかをすることもあるけれど、ここは理想の家」と住人は口をそろえる。希望者が多いため、面接で「身寄りがなく貧しいゲイ」に絞っている。
フストさんの父は太平洋戦争直後に亡くなった。母が子どもを3人抱えて途方に暮れていたとき、住み込み家政婦の仕事をくれたのがゲイだった。
「だからホームは、お世話になったゲイに対する私の恩返し」
フィリピン女性をエンターティナーとして日本へ送り出す仲介料がホームの維持費になる。
「自然な感じに仕上げるのが日本人好みよ。ほお紅は、こう入れて」
ワルターさんの繊細な手つきを若い女性が真剣な表情で見守る。
「あか抜けない子が、私が教えるとみるみるきれいになるの。年寄りゲイの私にだって、やれる仕事はあるのよ」(マニラ=郷富佐子)2001年2月23日(読売新聞)
「差別主義」エミネム受賞に騒然 米グラミー賞
同性愛者虐待あおる歌詞 式会場で抗議活動、ば声も【ロサンゼルス支局22日】「差別主義者に賞を与えるな」──。21日、ロサンゼルスで行われた米音楽界恒例の「グラミー賞」授賞式は、過激な歌詞で物議をかもす白人ラッパー「エミネム」の受賞に反対する市民の抗議行動で、例年と異なる騒然とした雰囲気に包まれた。
エミネムは、アルバム「ザ・マーシャル・マザーズLP」が800万枚の売り上げを記録。現在もアルバムチャートの上位を占めるが、ネオナチを思わせる風ぼう、憎しみと怒りの表情で、同性愛者や女性への虐待をあおる歌詞を叫ぶ、今最も論議を呼ぶ歌手の1人だ。
授賞式会場前では、「ネオナチに賞をやるのは恥辱」と叫ぶ同性愛者の権利擁護団体メンバーに、エミネムのファンがば声を浴びせるなど騒然。他の出演者も「彼は単なるホモ嫌い。抵抗を覚える」(テクノ演奏者「モビー」)、「なんとかしないと、トラブルが起きる」(グロリア・エステファン)など、まゆをひそめていた。
結局エミネムは、最優秀アルバム部門は逃したが、ラップ部門など3部門で受賞。受賞スピーチで、「このアルバムに賛否の声を唱えてくれたすべての人に感謝します」と話す余裕を見せた。2001年3月5日(毎日新聞)
シドニー同性愛の祭典 市民を味方に熱く夜の街にサンバが響き、8000人のパレードが始まった。先導するのはレズビアンのオートバイチーム。その後に鳥やチョウをかたどった華やかな山車が続く。たくましい体を原色ドレスに包んだ「ドラッグ・クイーン」(女装の女王)が山車の上から投げキスを送ると、観衆は一斉にホイッスルを吹いて応え、沿道は熱狂状態になった。
ブラジルで「リオのカーニバル」が開幕するころ、同じ南半球にあるシドニーで知る人ぞ知るカーニバルがクライマックスを迎える。同性愛を謳歌(おうか)する人々が集う「マルディ・グラ」は世界最大といわれるゲイの祭典だ。
「各国の移民が作り上げた豪州にはさまざまな文化がある。この祭典は、異なる価値観に寛容な豪州を象徴するイベントです」。主催本部のジュリー・リーガン代表(46)は胸を張った。
マルディ・グラが誕生するきっかけは1978年にシドニーで行われたゲイの集会だった。同性愛者に対する偏見と差別に抗議するデモ行進は警察との衝突に発展し、135人が逮捕された。普通ならこれで運動は下火になるか、過激になる。しかし、参加者たちは知恵を絞り、翌年からは派手な衣装と山車を使ったパレードに仕立て、市民と観光客を味方につけようとした。これが当たった。
見物客は年々増え続け、今年は40万人に達した。1カ月にわたる祭典の経済効果は60億円といわれ、自動車レースのF1豪州シリーズを上回る。「今では多くの政治家や大企業が祝辞を寄せてくれる。警察も会場の安全確保に協力してくれ、ゲイの警察官有志がパレードに参加するまでになった」とリーガン代表は感慨深そうに話す。
今年の祭典のテーマは「家族」。人気投票で1位の山車はピンクのフラミンゴ12羽が赤ちゃんをくわえたデザインになっている。赤ちゃんを運ぶのはコウノトリの役だが、ゲイのためにフラミンゴに代えた。
豪州では同性愛カップルが人工授精などで子供を持つ権利の是非をめぐり論争が続く。山車を制作したキャシー・サントさん(35)は「誰もが家庭を持ち、良き親になれることを政府に伝えたい」と説明した。
最終日の3日夜、パレードは3時間続き、終点のムーアパークは徹夜のパーティーでにぎわっていた。「少数派」の人々が堂々と自己を主張し、表現できる社会。マルディ・グラにはそんな誇りも込められている。【堀内宏明】2001年3月12日(人民日報)
「同性愛は病気ではない」4月から新基準 中国「中国の精神障害の分類と診断基準」第3版が4月20日発行される。同書では、同性愛の定義について細かく触れられており、同性愛は病気ではないと記されている。新華網が12日伝えた。
この本が出版に先立ち、専門家グループが同性愛についての研究を進めた。同性愛者51人に対する1年以上の追跡調査の結果、精神科の医師による治療が必要と認められたのは6人のみ。この結果を踏まえ、同書の診断基準では、1989年版より同性愛に関する部分がより詳細になったほか、「同性愛は必ずしも心理的な異常ではない。同性愛の性行為により心理的な矛盾が引き起こされ、結果として日常生活に支障をきたした場合だけが精神障害と見なされる」との記述が追加された。この基準は、世界保健機構(WHO)の政策により近く、国際的な精神病疾患の診断基準にも合致している。
中国社会科学院の李銀河研究員は記者の取材に対し、同性愛を病的疾患ではないとする基準は、中国社会の進歩を示していると述べ、「このような基準の変更は、アメリカでは28年前に行われている。当時は同性愛解放運動の影響を受け、米国心理学協会が同性愛を精神病の項目からはずす決定をした。しかし、だからといって中国での変更が遅すぎるというわけではない。アメリカでは現在でも同性愛を違法としているという州もある」と説明した。
またある専門家は、今回発行される診断基準は同性愛を病的疾患とはしていないが、中国の法律や社会が正式に同性愛の地位を認めたということではない、と述べた。2001年3月20日(毎日新聞)
パリ市長に選出されたベルトラン・ドラノエ氏パリ市長に選出された、ベルトラン・ドラノエ氏(50)は、市長就任に向けて、「有権者は自らの自由意思でパリの政権交代を選択した」と淡々と語った。
柔らかな物腰の中に、強い信念をのぞかせる。カリスマ性欠如との批判には、「真のカリスマとは政治家と有権者とのつながりの中に見いだされるべきもの」と切り返す。
公約の第一は「長期の保守市政で汚職体質のまん延したパリ市政に、透明性と公正さを回復する」。
1950年、チュニス生まれ。トゥールーズ大学で経済学を学び、社会党に入党。77年、パリ市議会議員に初当選し、81〜86年にはパリ18区選出の国民議会(下院)議員も務めた。下院当選と前後して党内ではスポークスマンにも任命された。95年からは上院議員を兼任。それでも、有力政治家のひしめく仏中央政界では影が薄かった。
党内ではジョスパン現首相の側近として知られる。2002年春の大統領選で保守のシラク現大統領を破り当選を狙うジョスパン首相によりパリ市長選の党公認候補としてお墨付きをもらい、一気に仏内政の主役の1人に躍り出た。
98年11月、仏テレビで同性愛者であることを告白した。同性愛者だと明らかにした政治家がフランス政界の主要ポストに就くのもこの人が初めてだ。【パリ・橋本晃】2001年4月17日(ロイター通信)
スピルバーグ氏、“差別的”として米ボーイスカウト顧問を辞任【ロサンゼルス16日ロイター】米映画監督スティーブン・スピルバーグ氏が、米ボーイスカウト協会の顧問を辞任したことを明らかにした。同氏は、ボーイスカウト協会に同性愛者が参加できないことに抗議の意を示したものとみられている。
同協会は、活動の理念に反するとして、「同性愛者であることを告白した者」の参加を禁止している。昨年6月には、米連邦最高裁がこれを支持する判断を示したが、同協会にはこの数年間、批判の声が相次いでいる。
スピルバーグ氏は、「ボーイスカウトは機会の平等を追求するものだと考えていたし、私自身も公私にわたり、一貫して民族、宗教、人種、性的志向による非寛容や差別に対する反対を主張してきた」と述べた。
同協会ロサンゼルス支部の広報担当ジョーイ・ロビンソン氏はこれに対し、「(ボーイスカウトの規則は)差別ではなく、われわれにも会員資格を定める権利があるということを示している」とした上で、「いずれの団体にも資格基準がある。ガールスカウトには、少女でなければならない、という規則がある」と述べた。2001年4月17日(読売新聞)
同性愛は変態じゃない 中国の精神病学会
「性心理障害」と新見解打ち出す【北京16日=藤野彰】新華社電(15日)によると、中国の中華精神病学会は同性愛について、「性的変態」との従来の診断を改め、「性心理障害」と見なすことを決めた。欧米諸国に比べれば、中国では同性愛への偏見がまだ根強いが、「変態ではない」との学会の公式見解が出されたことで、同性愛者を巡る社会的環境も多少は変化しそうだ。
近く発行される同学会編集の「中国の精神障害分類と診断基準(第3版)」で、これまで「性的変態」の範囲に含まれた同性愛について、新たに「性指向障害に過ぎず、性心理障害の一種」との見解が打ち出された。
新華社電は、今回の変更を「わが国の精神障害の分類と診断が、一段と科学的で寛大な方向へと向かっていることを示しており、世界保健機関(WHO)の国際基準とも合致するものだ」と指摘している。2001年5月11日(CNN)
「同性愛は努力で治せる」との研究報告に反論が続出ニューオーリンズ──米コロンビア大の精神医学者が「同性愛者の一部は、心理療法などの努力によって性的指向を変えることができる」との研究結果を報告したことに対し、同性愛者グループなどから「研究の対象に偏りがある」との反論が続出している。
この研究は、コロンビア大精神医学教授のロバート・スピッザー博士が9日、米精神医学学会で発表。200人の元同性愛者との電話インタビューを試みた結果、長年にわたる心理療法などで実際に性的指向を変え、異性のパートナーと円満な関係を保っている例が、一部にみられたという。
これについて、同性愛者への差別撤廃を訴えるジョアン・ゲリー氏は、「研究対象に選ばれたのは、自分の性的指向に悩み、それを変えるためなら何でもしたいと考えている人ばかり。スピッザー氏は『やる気のある人々』と表現しているが、差別を受けている同性愛者が変わりたいと願うのは当然だ」と批判する。
また、同性愛者の権利擁護団体を率いるジェイソン・リッグズ氏は、研究の対象となった人々について「約半数は、宗教団体による同性愛の『矯正』プログラムを通して紹介されている。プログラムの途中で挫折した参加者などは当然含まれていないだろう」と指摘する。
同性愛などの性的指向については、専門家らの間で「発達障害などとは別のもので、矯正しようとするのは間違い」との見方が主流となっている。米心理学会は1973年、精神障害のリストから同性愛という項目をはずしたが、当時はスピッザー博士自身も、こうした動きを先導する立場をとっていた。2001年5月16日(スポニチ)
「ハッシュ!」 仏で300館規模公開【カンヌ(フランス)14日 鈴木元】監督週間に出品された橋口亮輔監督(38)の6年ぶりの新作「ハッシュ!」が、フランスで300館という破格の規模で公開されることになった。海外セールスを担当するオランダのフォルティシモ社が、仏の配給会社UGCと契約したもの。橋口監督が、初めてのカンヌで大きな“収穫”を手にした。
「ハッシュ!」は、30代のゲイのカップルと暗い過去を持つ同世代のヒロインが、友情を深め前向きに生きる活路を見いだしていく人生賛歌。市内のノガ・ヒルトンで行われた公式上映では、会場を揺るがすほどの拍手で迎えられた。
橋口監督は「会話が多いので細かいところが分かるか不安だったけど、映画に託した思いが伝わりました」と安どの表情。主演の田辺誠一、高橋和也、片岡礼子も「カンヌに来て本当に良かった」と声をそろえ、感激に浸った。
日本では今秋以降に20館程度で封切られる予定だが、それをはるかに上回る仏での公開決定。橋口監督は「なんとなく日本映画がビジネスになる波がきているような気がします」と喜びを語った。2001年6月12日(中日新聞)
三重大 ユニーク講座 同性愛者など講師に
男女だけじゃない性のあり方考えて三重大(津市)の共通教育科目でこの春、ユニークな講座が始まった。その名も「性の多様性概論」。同性愛、性同一性障害、先天的に男女双方の身体的特徴を持つ半陰陽など、性的マイノリティー(少数者)の当事者らを非常勤講師に招き、「多様な性のあり方」や「性の自己決定」について考える。講義には毎回、多くの学生たちが詰め掛けているが、彼らは当事者たちの話をどう受け止めているのだろうか。(三重総局・田島真一)
「性のあり方には身体の性と心の性、性的指向の3つの要素があります。私は体は女性、自分を女性と思い、好きになるのは女性ばかりでした。それでレズビアンと呼ばれますが、3要素の組み合わせによって性のあり方は実は多様。『女性は女性として生き、男性を好きになる』という異性愛中心主義の枠にはまらない存在を認められない社会の方が、問題じゃないでしょうか」
大阪の高校教諭で「先生のレズビアン宣言」の著書がある池田久美子さん(37)が、教壇で熱弁を振るう。講義では、同性を好きになる自分はおかしいと悩み、好きでもない男性と交際した苦悩や、同性に愛を告白して受け入れられなかった悲しみ、そしてそれらを乗り越え、同性愛者であることをカミングアウト(公表)するに至った経緯を、時にユーモアを織り交ぜながら語る。
「性の尊厳には大事なことが3つ。性は『個性』であり、『プライバシー』であり、同意が重要な『コミュニケーション』だということです」
講座には154人が履修登録しているが、居眠りや途中退室する学生はほとんどいない。中には友人から評判を聞きつけ、“モグラ”で聴講する学生もいる。
教育学部1年の河村早紀さんは「周囲に同性愛を告白できない痛みや苦しさがよく分かった。それでも堂々と自分を肯定する池田さんの生き方はかっこいい」と感動した様子。人文学部3年の後藤祐介さんは「面白そうだと気軽に受講したんだけど、いろんな考え方があることは分かってきた。でも、難しいですね」と頭をかいていた。
講座は夏までの全13回。池田さんのほかに、体は男性だが女性として生きる作家・蔦森樹さんや、半陰陽者として仲間やその家族の支援活動をしている橋本秀雄さんら5人が交代で教壇に立つ。
講座を設けたのは、医学部の島津威雄講師(生理学)。もともと在日外国人などマイノリティーの問題にかかわってきたが、三重大OBから、別のある国立大医学部で性同一性障害の学生が「適格性を欠く」と退学勧告を受けたことを聞き、ショックを受けた。「本来、このような悩みを一緒に考えていくのが医療機関の役目でしょう。でも、この問題を議論したり教育を受ける機会がない」と思い立ったのが、開設のきっかけという。
講座では毎回、学生たちに感想文を書かせている。大半は講義の内容を好意的に受け止めているが、島津講師は「まだ『話に感動した』という段階にとどまっているものが多い」と言う。しかし、「教師になりたくて入学したが、その講義の経験を生かしたい」「これから医療の道を進む上で、勉強しなくてはいけないことが限りなくあることを知った」などと、回を重ねるごとに学生たちの姿勢も深みを増しつつある。
島津講師は「マイノリティーの問題は全部、自分の生き方につながってくること。一部の少数者の問題ではないと考えてほしい。そういう学生が1人でも多く出てきて、広がっていくといいですね」と期待している。<三重大の性の多様性概論の講義テーマ>
(1)性の多様性の基礎知識
(2)半陰陽者と身体の性の多様性
(3)教育から性の多様性を考える
(4)性別2元制の問題と身体の性の多様性
(5)同性愛者の視点から
(6)ジェンダーとセックス
(7)性と個性
(8)性腺(せん)からみた身体の性の多層構造
(9)性の生理学
(10)性差別と性の多様性の社会学
(11)こどもの性の自己決定と医療
(12)性の多様性教育入門
(13)性の多様性と語り2001年6月29日(中日新聞)
『二青年図』に見る同性愛図/乱歩と準一
「虚実入り乱れたモデル小説」日本の探偵小説の基礎を築いた作家、江戸川乱歩(1894-1965年)と、交友があった三重県鳥羽市の風俗研究家、岩田準一(1900-45年)。この2人をモデルに、準一の孫、岩田凖子さん(33)が小説『二青年図』を書き、新潮社から出版した。「ほとんどがフィクション」というものの、2人を実名で、しかも同性愛者として描いた小説だけに関係者の注目を浴びている。
乱歩は同県名張市生まれ。無名だったころの1917(大正6)年から1年余り、鳥羽市中心部にあった鈴木商店鳥羽造船所に勤務。ともに文学好きだったのが縁で準一と知りあった。
乱歩の鳥羽時代のことは、岩田家に保存されている準一日記に、乱歩の本名「平井太郎」をもじって「H」との符号でたびたび記されているという。その後、いったん交友は途絶えるが、25年、東京・駿河台に西村伊作氏がつくった文化学院美術科に準一が入学すると、乱歩との交流が復活する。一緒に気ままな旅行をしたり、書簡を交わしたりして凖一が45歳で亡くなるまで親交があった。
『二青年図』では、2人の交流を軸に物語を展開。鳥羽で準一が絵画展を開いたのがきっかけで偶然に出会い、東京での再会後、男色文献を競い合って収集したことや、お互いに心を通わせたことを準一の目を通して描いた。
準一と実際に交友があった博物学者の南方熊楠のほか、第4中学校(現宇治山田高校)の後輩で後の映画監督小津安二郎、『明星』の創刊者与謝野寛(鉄幹)らも実名で登場させた。
凖子さんは鳥羽市内の観光施設に勤めたが20代半ばに退職した。「高校時代、いじめられっ子で、つらい思い出ばかり」といい、こうした「孤独感」が創作に向かうバネになったという。
身近な存在である祖父を題材にすることにし、約8年がかりで原稿用紙約600枚を書き上げた。岩田家にある準一関係の多くの資料も参考にし「虚実入り乱れたモデル小説にした」という。
乱歩が男色関係の文献を集めていたことは「研究者の間では知られている」が、月川和雄・青山学院大学非常勤講師(西洋古典学)は「乱歩と岩田準一については未解明の部分が多い」ともいう。
乱歩に詳しい名張市図書館嘱託の中相作さん(48)は「乱歩の同性愛的傾向は自らも書いている。乱歩が題材の小説は多いが、『二青年図』はこれを中心テーマに据えたことに新しさがある」と語る。
一方、乱歩の遺族は「まあ、いいんじゃないですか」と寛容な態度を見せている。(鳥羽通信局・酒井直樹)2001年8月3日(毎日新聞)
【データ】同性愛や両性愛の男性の64%「自殺考えた」同性愛(ゲイ)や両性愛(バイセクシュアル)の男性のうち、それらを隠そうとすることからくるストレスで精神的健康を害し、自殺を考えたことがある人が6割あまりもいることが、京都大大学院博士課程の日高庸晴さん(国際保健学)の調査で分かった。同種の調査は国内で例がなく、性教育などでの重要な基礎データとなりそうだ。調査結果の一部はホームページで紹介している。
今回の調査はインターネット上で99年7〜9月に実施。約200の質問項目を設け、有効回答は全国の14〜65歳、1025人。平均年齢は27歳。
調査結果によると、先の見通しのつかない漠然とした不安を持つ人は70%近くに上り、半数以上が抑うつ傾向。さらに自殺を考えたことがある人は64%に上り、15%が自殺未遂の経験があった。また全体の約60%が「ホモ、おかま、おとこおんな」といった言葉でいじめられたことがあった。
年齢別にみると、10代が最も精神的健康を悪化させている。ゲイを隠し異性愛者を装うことに対する葛藤(かっとう)は10代が最も低く、30代が最も高かった。結婚や「孫を親に見せる」など、周囲から求められる異性愛者としての役割に悩むケースが30代に多いためとみられる。学校教育で同性愛について情報を得たかという問いでは「習っていない」「否定的な情報を得た」などと答えた人が91%だった。【調査結果】
http://www.joinac.com/tsukuba-survey2001年9月25日(日経流通新聞)
航空券卸のルゥエスト、ゲイ専門の旅行会社
パレードツアーなど中小旅行会社に航空券を卸売りするルゥエスト(大阪市、岡田直樹社長)は11月、同性愛者(ゲイ)だけを顧客とする旅行会社を立ち上げる。ゲイ専用ツアーを扱う旅行会社はあるが、専業会社は日本では珍しい。
新会社は「レインボー(仮称)」。資本金は1000万円で、ルゥエストが全額出資する。東京都内に本社を置き、都に旅行業登録をする。まず数人の従業員でゲイパレード参加ツアーなどを販売する。ゲイのカップルの宿泊に偏見を持たないホテルやリゾート施設も紹介していく。
「米国ではゲイの人々の社会的地位は高く平均収入も高い。専門会社を設立し、きめ細かなサービスを提供すれば日本でも高額ツアーの需要を掘り起こすことができる」(岡田社長)と判断した。初年度1億円の売上高を目指す。
ゲイ専門の旅行会社では1999年秋に誕生したトゥルー・トラベル(東京・新宿)が先べんをつけたが、今年春に廃業している。2001年10月6日(共同通信)
同性愛者説を補強 ヒトラー研究者が近著で【ベルリン6日共同】6日付のドイツ大衆紙ビルトは、同国の歴史学者がヒトラーは同性愛者だったとの俗説を補強し、「ヒトラーの秘密」として今月9日に出版すると報じた。
本を書いたブレーメン大学のローター・マハタン教授(近代史)が同紙に語ったところによると、ヒトラーに同性愛の傾向があったことは、ナチス副総統のヘスを「ぼくのヘスちゃん」などと呼んでいたことからも裏付けられるという。
ヒトラーは1934年、側近のナチス突撃隊長で同性愛者でもあったレームらを粛清したが、マハタン教授は、ヒトラーが自分の性向の秘密を守るためレームらの殺害を決断した可能性もあるとみている。2001年10月6日(ロイター通信)
ヒトラー、多数の同性愛関係をもっていた=新著書【ベルリン5日ロイター】ヒトラーは1920年代後半に、数多くの同性愛関係をもっていたとの見解が示された。
これはドイツ・ブレーメン大学で現代史を研究するMachtan教授が執筆した著書のなかで明らかにしたもの。
新聞のインタビューに応じた同教授は、ヒトラーが同性愛者の性質を備えていたことを指摘。この見解を考慮に入れることで、ヒトラーの新たな側面が見えてくると述べた。
同教授は“同性愛行為”の解釈には注意が必要であるとしたうえで、ヒトラーが20年代後半にもっていたとされる同性愛関係は、現代においての同性愛行為に相当すると説明した。
ヒトラーは1930年代に入ると、自分の性癖が不利になると感じ、1934年にはミュンヘン時代に同性愛関係をもった多くの友人を殺害。後に強制収容所では数万人のドイツ人同性愛者がナチスによって殺害されているという。
同教授は、ヒトラーがウィーンで同性愛者生活を送っていた時に、反ユダヤ感情を高めたという証拠があるとしている。2001年11月15日(CNN)
同性愛者のパーティーで23人が実刑に エジプトカイロ―エジプトの国家治安裁判所は14日、同性愛者同士のセックス・パーティーに参加した男性23人に、1年から5年の実刑判決を下した。4カ月に及んだ裁判をめぐっては、国内外の人権団体などから、同性愛者への迫害だとする批判の声が上がっていた。
起訴されていたのは、今年5月、ナイル川の船上レストランで、同性愛者のパーティーに出ていたとして逮捕された男性52人。このうち1人がイスラム教を侮辱した疑いなどで懲役5年となったほか、22人が1年から3年の実刑判決を受けた。
エジプトの法律は同性愛の禁止を明記してはいないが、わいせつ罪や公衆道徳に反した罪などは定め、実刑の対象としている。
この裁判をめぐり、アムネスティ・インターナショナルは、性的志向に基づく訴追である上、国家治安裁判所には国家権力が介入していると批判してきた。また、米国に本拠を持つ「国際ゲイ・レズビアン人権委員会」のロング会長はAP通信に対し、エジプト政府は宗教を乱用していると述べ、「52の人生が無残に破壊された」と非難した。
アムネスティ・インターナショナルによると、被告の中には16歳の少年も含まれていた。少年はすでに3年の実刑判決を受け、少年裁判所に控訴している。2002年2月19日(CNN)
「同性愛は罪」 アラバマ州最高裁が判決アラバマ州モンゴメリ(AP)10代の子供3人の親権をめぐり、離婚した父親と、同性愛者になった母親が争っていた裁判で、アラバマ州最高裁は15日、父親に親権を認める理由として、「同性愛は罪悪である」と断定した。
判事9人は全員一致で、15―18歳の子供3人の親権を父親に認めた。母親は現在、カリフォルニア州で女性パートナーと生活している。
ムア裁判長は判決理由として、「同性愛は下劣で、非道徳的で、おぞましい、自然の摂理に反した罪」であるとして、女性と暮らすことを選んだ女性に母親としての資格はないと断定し、聖書の言葉をいくつか読み上げた。
ムア裁判長は昨年、州最高裁長官に就任。以来、モーゼの十戒を刻んだ重さ2.6トンもの巨大オブジェを裁判所に設置させるなど、その激しく保守的な宗教観が物議をかもしてきた。州地裁の裁判官時代は、法廷内に十戒を刻んだプレートを掲げていた。
アラバマ州は米国南部の「バイブル・ベルト」と呼ばれる、キリスト教原理主義など保守的なキリスト教の影響が強い地域にある。2002年3月19日(ロイター通信)
E・ジョンら、エジプトの同性愛者権利擁護キャンペーンに参加【ブリュッセル18日ロイター】歌手エルトン・ジョン、俳優イアン・マッケランら英国出身の著名人らが、エジプトの同性愛者の権利擁護キャンペーンに参加した。
このキャンペーンは、エジプト・カイロの同性愛者に人気のナイトクラブで行われた強制捜査で、逮捕、処罰された23人のエジプト人男性の釈放を求めるもの。
キャンペーンを主催する英労働党所属、欧州議会のキャッシュマン議員によると、ジョンらは男性の釈放を求める嘆願書に署名。19日に欧州連合に駐在するエジプト大使に手渡されるという。
嘆願書に署名する著名人はこのほか、アカデミー賞女優エマ・トンプソン、コメディアンのエディ・イザードら。2002年4月7日(CNN)
シェークスピアはゲイ? 英日曜紙オブザーバー【ロンドン22日共同】シェークスピアはゲイ(同性愛者)だった可能性がある──。英国の文化財を保護する権威ある民間組織ナショナル・トラストの美術顧問がこう言い出して波紋を呼んでいる。
21日付の英日曜紙オブザーバーなどによると、長いこと無名の貴族の女性を描いたと思われていた絵が実はシェークスピアのパトロンだった伯爵の肖像画だったとこのほど新たに鑑定された。
肖像画は口紅をつけて女装しているが、伯爵はれっきとした男性。シェークスピアが伯爵と親しかったため、各紙は「この絵は果たして女性なのか女性でないのか、それが問題だ」などとハムレットの有名なせりふをもじって大きく報じている。
肖像画は近くロンドン近郊サリー州にあるナショナル・トラストの施設で公開されるという。2002年4月19日(毎日新聞)
橋口亮輔監督、5年ぶり新作「ハッシュ!」
ゲイのカップルと子供が欲しい女子供をつくるという目的を通して、30代のゲイの男性2人と1人の女性が新しい家族像を作り上げていく過程をコミカルにリズミカルに映画化した「ハッシュ!」。「二十才の微熱」「渚のシンドバッド」の橋口亮輔監督の5年ぶりの新作だ。
「ハッシュ」とは英語で「静かにさせる」とか「シーッ」という意味。「タイトルは意味があるようでない、シンプルで強いものにしたかった。ハッシュには別に『ごった煮』みたいな意味もある。(映画製作にあたって)僕の興味は子供が生まれるかどうかではなく、人物の意識の変化や人生のプロセスにあった」と橋口監督。
当初、ゲイのカップルに育てられた女の子の話を考えていた橋口監督だが、雑誌の取材でオランダに行った時、今作のモデルとなった家族に出会った。家族の1人である30代の女性は橋口監督に「人とうまくやっていけず自分には欠陥があると思っていた。家族が欲しかったが結婚でしばられるのはいやだった」とゲイの男性との間に子供を持った理由を話した。
橋口監督は「家族の誰かが死んだらとか子供がいじめにあったらなど、あらゆることをシビアに突き詰めて話し合っていて、既存の価値観に頼らないとてもキツイ関係です。でも、うそ臭いぐらい調和が取れていた」とオランダの家族の印象について語った。
映画では、ゲイのカップルに田辺誠一と高橋和也、子供を欲しがる女性に片岡礼子がふんしている。足が悪いという障害を武器に男に言い寄る女(つぐみ)や見合い結婚して自分を抑えて生きてきた兄嫁(秋野暢子)が登場し、さまざまな愛の形を提示することで、片岡演じる朝子が何を求めているのかを明確にしている。
27日から大阪の梅田ガーデンシネマほかで公開。【戸沢美佐】2002年4月20日(スポニチ)
同性愛者差別CD回収
人気ヒップホップグループ キングギドラの2曲人気音楽グループ「キングギドラ」が歌う2曲に差別的表現があったとして、CD販売元のソニー・ミュージックエンタテインメントが19日、出荷停止と在庫回収に急きょ乗りだした。このCD2作品は最新オリコンチャート(22日付)で5位と6位に同時初登場するほどヒットしているが、同性愛者やエイズウイルス(HIV)感染者に対する差別的歌詞が含まれているとされた。
ヒットチャート上位を独占するシングルCD2作品が一気に全国のCD店から回収されるという異常事態となった。
HIVについて誤解を招くような歌詞と指摘された曲はチャート5位の「F.F.B.」。その内容は歌詞カードに「制作者の意図により、一部歌詞を掲載しておりません」との断り文付きで発売されたほど。
一方、同性愛者を攻撃する表現とされたのは「ドライブバイ」。チャート6位の「UNSTOPPABLE」に収録され「こいつやってもいいか」「命奪ってもいいか」などと過激にののしるような表現が問題視された。
2作品ともソニー系のデフスターレコーズから10日に発売された。約7万枚ずつが店頭出荷され、オリコン調査によると、1週間で約3万枚を実売した。店頭に並んだ直後から、同性愛者などでつくる市民団体「すこたん企画」(千葉県船橋市)の抗議を受けたという。
事態を重くみたソニー側はこの日、ホームページ上で釈明。メンバーとともにあらためて歌詞の内容を検討し「悪意はなかったとはいえ、結果的に不快な思いをさせかねない歌詞が含まれている」と判断。「ご迷惑をおかけしましたことをおわびしたい。内容を検討し、あらためて両商品を出荷する予定」としている。◇キングギドラ 日本ラップシンガーの第一人者ZEEBRA(31)が所属するヒップホップ系3人組。96年に活動停止したが、近年のラップブームで伝説の存在として脚光を浴び、再始動。5日のイベントには米倉涼子(26)窪塚洋介(22)ら有名人が多数集まり、復活を熱烈歓迎した。問題となったCD2作品が6年ぶりの復活作だった。
2002年4月24日(毎日新聞)
明るく温かく「家族とは?」
映画「ハッシュ!」の橋口亮輔監督◇「未来に希望持ちたい」
「人生トホホなことも多いけど、頑張ろうよ」──。橋口亮輔監督の新作「ハッシュ!」は、そう観客の肩をたたくように明るく温かい。「未来は暗いと思いたくないですから」。橋口監督はそう語る。
高校生の恋愛を切なく描いた前作「渚のシンドバッド」から7年。「『渚……』で、20代までの過去に区切りがついた気がした。次は大人になっていく話を、と」。選んだのは「家族」だった。「ずっとやってみたいと思っていた素材。自分の家族もあまり恵まれなくて。『大草原の小さな家』みたいなのが理想だったけれど、ほど遠かった」。伝統的な理想の家族像が揺らぐ今、家族って一体なんだ?という出発点から映画は始まる。
直也(高橋和也)と同棲(どうせい)するゲイの勝裕(田辺誠一)の前に現れた朝子(片岡礼子)は、「恋愛とか付き合うとかじゃなく、あなたの子供が欲しい」と切りだした。朝子の思いつきをきっかけに、3人は次第に人生を見つめ直していく。
「因習的な家族ではなくて、自分がやるならこんなのを、と考えた。家族の形は変わっていい。でも、家族という言葉が表現しようとしていること、ぬくもりや信頼、愛は必要だと思う」。荒唐無稽(こうとうむけい)な思いつきは、それぞれの肉親を巻き込んで具体化していく。オランダの、実際にこうした形で子供を育てている例がヒント。「でも、これが理想とは思ってない。これもアリ、という余地を残したいということ」
テーマは深刻だが、ユーモアにあふれた軽妙さが、包み込むような温かさを生む。「人間、どんなにつらい時でも、だれかとバカ話したりして、何とか乗り切っていくもの。過酷な運命を生きるどこかの国の人だって、日常には笑いがあると思う。つらいときほど笑いがなければ耐えられない。希望を持ちたいし、未来が暗いと思いたくないんです」
それぞれに、人との深いつながりをあきらめていた3人。それが新しい形の家族を夢想することで生きる力を得ていく。「自分の生き方をガチガチに固めることもないんじゃないかな。なろうと思えば、人間はいろんなふうになれるものだから」。軽やかにしなやかに、橋口監督は自らの人生を重ねて、映画を語る。「ハッシュ!」は27日から東京・渋谷のシネクイントで、順次全国で公開。【勝田友巳】2002年5月1日(共同通信)
トランスジェンダー保護へ NY市が新人権条例性転換者など「トランスジェンダー(性的越境者)」と呼ばれる人々の人権を保護する新しいニューヨーク市条例が30日、ブルムバーグ市長の署名で成立した。
ゲイやレズビアンの人権団体は「歴史的な出来事」と高く評価、ニューヨーク・タイムズ紙も社説で「もっとも弱い立場の市民であるトランスジェンダーの保護拡大に、新たな地平を広げた」と支持を表明した。
条例の対象は、性同一性障害などから異性の服装を着たり性転換手術を受けた人。レストランや商店でのサービス拒否や、就職や住居探しでの差別を広範に禁止する内容。
同性愛者には寛容なニューヨークでもトランスジェンダーは、服装や振る舞いで差別的扱いを受けることが多かったという。
反対派は、トランスジェンダーも既存の人権条例で保護されており新条例不要は不要と主張していたが、市議会が賛成45、反対5の圧倒的多数で可決したことを受けて、ブルムバーグ市長も署名を決断したようだ。2002年5月17日(日経ヘルス)
男と女の両方を愛する人は、心の悩みで大変!両性愛者は、同性愛者や、普通の異性愛者と比べると、メンタルヘルス上の問題を多く抱えているという研究結果が「英精神医学雑誌」で報告された。
オーストラリアの「パス・スルー・ライフ・プロジェクト」という団体の研究者が、キャンベラに住む4824人の成人男女を対象に調べたもの。
研究者たちは、1999年から2001年にかけて、20歳から24歳までの男女と40歳から44歳までの男女にインタビュ−した。
その結果、自分を両性愛者と認めている人は、不安感を持ち、うつの傾向が強く、悲観的、否定的、拒絶的な態度を取りやすいことがわかった。この傾向は、若い両性愛者にも中年の両性愛者にも共通だった。
研究者たちは、「ホモでもヘテロでもないという中途半端な気持ちがストレスとなり、その上に、変わった性行動の持ち主という目で見られて、社会的なプレッシャーを強く受けるからではないか。両性愛者は、概して、社会的なサポートを受けられず、貧しい人が多いのも心の病の一因」と説明している。2002年5月23日(CNN)
“女装”した男性の遺骨、古代英国社会の風俗新資料ロンドン(ロイター)イギリス北部カターリックにあるローマ時代後期の遺跡から、珍しい女装した若い男性の遺骨が発見されたことが分かった。4世紀ごろ埋葬されたとみられ、黒玉のネックレス、ブレスレット、腕輪、ブロンズ製の足首に飾るアンクレットを身に付けており、知られていなかった古代英国社会の風俗をしのばせる資料として、興味深いものになりそうだ。
イングリッシュ・ヘリティジの考古学者ピート・ウィルソン博士によれば、このように多くの女性装飾品を身につけた男性の、ローマ時代後期の埋葬は例がないという。この男性の墓は、1981年に発掘されていたが、多くの女性用装飾品を身につけていたナゾの解明のため、調査するのに20年掛かったという。
博士は「この男性は生前、公の祭りなどであがめられる自然の豊穣の女神『キュベレ』の信奉者か、服装倒錯者だと見なされていたのかもしれない」と指摘している。「キュベレ」の信奉者は、女神に敬意を表すため去勢、装飾品を身につけた女装した男性だったという。2002年7月26日(中央日報)
「韓国同性愛者連合」発足男性同性愛者の人権運動団体 「チングサイ(友人の間柄の意)」 など、4つの同性愛者団体で構成された「韓国同性愛者連合」が26日午前、ソウル 安国洞(アングクドン) 所在のあるカフェで発足記者会見を行い、同性愛者の人権保障を訴えた。
同性愛者連合は発足宣言文を通じ「人権の概念が位置付けられる中でも、同性愛者は保守的な法制度や、偏狭な家族制度のため、存在自体が排除されたり差別されている」とし「セクシュアル・マイノリティー(性的少数者)などの人生と価値を奪う各種道徳的、政治的、法律的行為から、同性愛者の市民的権利を防ぐために努力する方針だ」と語った。
同性愛者連合は今後▽海外性的少数者との国際連帯を強化▽同性愛者サイト「エクスゾーン(exzone.com)」の有害サイト決定に対する法廷訴訟連帯▽トランスジェンダー(性転換者)の戸籍訂正と平等な労働権の確保▽エイズ感染同性愛者の人権および治療権の確保など──を推進する方針だ。2002年8月9日(ロイター通信)
中国初のレズビアン映画、実験的手法で社会に挑む中国映画「残夏」(原題・今年夏天、2001年)は、同国初のレズビアンを題材とする長編作品。実際のレズビアンが出演しているうえ、男性出演者に共演者の女性たちの性的嗜好を事前に知らせない手法で撮影され、ベルリン国際映画祭で賞をさらった。
この作品で監督デビューしたリー・ユー(李玉)は「これは世間の人々がレズビアンをどのように見ているか知るための実験であり、冒険だった」としている。
映画には、儒教の伝統が残る社会で結婚を強く勧められる、中国国内のレズビアンの現状が反映されている。同作品は、中国で存在をほぼ無視されてきた同性愛者にとって、突破口となった作品の1つ。今や都市部のバーやインターネットなどでは、自由に行動する同性愛者の姿が見られるようになった。しかしその一方で、こうした人々に対する社会的認知はまだ不足しており、当局による弾圧の危険は常に存在する。
リー監督は他の中国人独立系映画監督と同じように、「残夏」について当局への許可申請を敢えて行わなかった。同作品は海外70以上の映画祭で上映されたものの、中国国内では同性愛者の映画祭で一度公開され、数日後に上映禁止になったという。2002年9月12日号(ローカルみえ)
「岩田準一と乱歩・夢二館」オープン
明治−昭和の風俗に光 鳥羽みなとまち文学館明治時代後期から昭和初期にかけて絵や風俗研究に尽力した岩田準一(1900−1945年)の功績を残すとともに、準一と交流のあった江戸川乱歩、竹久夢二、南方熊楠からの手紙などを展示する鳥羽みなとまち文学館「岩田準一と乱歩・夢二館」がこのほど、鳥羽市鳥羽2丁目にオープンした。
岩田準一は明治33年、鳥羽市生まれ。中学時代には既に辰巳京太郎という号を持ち、竹久夢二風の絵を描き、後に夢二に師事。交流のあった江戸川乱歩の作品に挿絵を提供したり、鼎銀治郎の名で探偵小説や通俗読み物も書いていた。
さらに民俗研究の分野では、志摩地方の海女や「はしりかね」と呼ばれる船遊女をテーマに研究を行い「志摩のはしりかね」を著し、江戸川乱歩とともに十数年にわたって収集した文献は、「本朝男色考」として出版、仏・英語にも翻訳されている。
準一のライフワークともいえる男色研究では、高名な民俗学者の南方熊楠と10年間にわたって文通を続け、170通もの書簡が残っている。この中には巻紙で5.3メートルの長さになるものもある。
絵画は第2次世界大戦中に準一が自分の手で燃やしてしまい、現在残っている数少ない作品の1つが「絵入り万葉集」。大正12年、準一が23歳のときに描いた作品で、表紙を含め52枚の絵から構成されている。
展示されているのは、準一の描いた絵や書物、友人から届いた書簡などの他、大正時代ごろの生活道具、岩田商店として扱っていた雑貨など約150点。このほか準一が使っていた書斎や竈(かまど)、火鉢なども残っている。
文学館になった建物は、準一が人生の大半を過ごした住宅を、鳥羽商工会議所が市の補助を得て修復した。準一の次男で元神宮徴古館館長の貞雄さん(68)が所有しており、7年前から空き家になっていたが、観光客誘致の一助にと商工会議所の働きかけで文学館が実現した。
貞雄さんは「当初は東京など、こことは違う場所で考えていた。軸物や屏風など狭くて展示できない資料もたくさんあるので、今後はもう少し広いパノラマ館のようになれば」と抱負を語っている。
文学館を担当した鳥羽商工会議所の佐藤吉彦事務局長(45)は、「地域に埋もれている文化を掘り起こし、生活者の視点に立った博物館を整備することで、観光客の誘致に努めたい。今後も点から面へと広げて鳥羽の文化をめぐるコースを作っていきたい」と意欲を燃やしている。
開館時間は平日が午前10時から午後3時。土・日・祝日は午前10時から午後4時30分。休館日は火曜と水曜(祝日の場合はその翌日)。入館は無料。問い合わせは鳥羽市鳥羽2丁目5−2、同館=電話0599(26)3745=まで。2002年9月23日(CNN)
靴を履けば全裸ではない?
ヌードで行進の男性、罪に問われずトロント──今年6月にトロントで行われたゲイ・プライド・パレードで、裸でパレードに参加したとして逮捕・起訴された7人の男性が、起訴取り消しになった。理由は、靴を履いていたため“全裸であることを証明するのは難しい”と判断されたからだという。
逮捕されたのは「トロントの全裸男性がヌードを楽しむ会(Totally Naked Toronto Men Enjoying Nudity‚ Inc.)の7人。毎年トロント市内で行われているパレードに、靴を履いて日焼け止めを塗っただけの姿で参加し、逮捕された。
しかし、今月18日に予定されていた予備審問を前に、検察が起訴取り消しを決定し、7人の弁護士ピーター・シム氏宛に文書で連絡。7人は無罪放免となった。
シム弁護士によると「法律は端的に“裸とは一切の衣服を着ていない状態”と定めている。しかし、もし体の一部分でも布などで覆われていた場合は、少し判断が難しくなる。検察側は今回、7人が“カナダの法律で定めるみだらな裸の状態だった”ことを証明しなくてはならなかったが、7人は靴を履いていた。このため法律の定める“裸”の要件を満たすと証明するのは難しいと判断したようだ」という。
シム氏は「彼らは逮捕された際、非常に取り乱していたが、起訴取り消しの連絡を受け、ほっと胸をなで下ろしている」と話している。しかし、送付された文書には「起訴取り消しは今回のケースに限ってのことで、今後同様のケースが起きても、起訴を免れるわけではない」と明記されており、次に“靴を履いただけの裸”でパレードなどに参加した場合、どうなるかはわからないという。2002年10月7日(サンスポ)
同性愛のパリ市長、数千人の目前で刺される自ら同性愛を公表するなど名物市長として知られるパリのベルトラン・ドラノエ市長(52)が6日未明、夜を徹して続く初の「白夜祭」で、男に腹を刃物で刺される事件が突発。幸い数針のけがで済んだが、周辺にいた数千人の群集は一時騒然。男はその場で取り押さえられ、パリ市警で動機などを追及しているが、さて…
◇ 「パリ市長刺される」のニュースは、事件直後からラジオなどで流され、フランス全土に衝撃が走った。
白夜祭、ドラノエ市長自身が発案したもので、5日夜から翌日まで映画館や美術館、デパートにレストランなど街中の電灯をつけて終夜公開しようというもので、約40万人が参加した。
6日午前2時半ころ、市長は音楽や映像の催しが続く市庁舎ロビーにいた。会場には市民や観光客ら数千人が詰めかけ、市長はボディーガードに囲まれて、市幹部らと話に花を咲かせていた。その一瞬のスキに、男が刃物で右腹部をグサリ。
市長は倒れこんだが意識はハッキリしており、そばにいたジラルド助役らに「大丈夫だ。大げさに騒ぐ必要はない。“パーティー”は続けなさい」と言ったという。病院で緊急を手術となったが、幸い数針を縫う程度で命に別条はナシ。
その場で逮捕された男はパリ郊外に住むコンピューター技術者のアズディン・ベルカーヌ容疑者(39)で「政治家、とくに同性愛の政治家を憎んでいた」と話している。
ドラノエ市長は今年6月まで内閣を構成した最大野党・社会党に所属し、同性愛者であることを公言。昨春の統一地方選挙でパリ市長に初当選後、同年6月のゲイ・パレードにも参加した。
今年7−8月には約1億8000万円をかけてセーヌ河畔にヤシの浜辺を出現させたり、パリ名物「犬フン」撃退をめざして各所にフン拾い指導員や視察官を置いたりして、話題に事欠かない。それだけに、ねたんでいる人も多かった?!2002年10月29日(日経流通新聞)
ヴァージン・メガストア、ゲイ専用コーナー
パリ・ルーブル店の話ですが…CD販売大手のヴァージン・メガストアが、店内にゲイ(男性の同性愛者)向けの専用コーナーを開設した。「えっ!?」と思ったら、日本ではなくフランスのパリ・ルーブル店内の話だ。
「マイビューティフル・メガストア」と名付けた。五平方メートルほどの売り場にはゲイ文化をテーマにした商品がずらり。小説などの書籍、映画DVD(デジタル多用途ディスク)、ゲイ向けナイトクラブで人気の音楽CD……。英映画「マイビューティフル・ランドレット」から命名した。
顧客から寄せられた「専門の売り場が欲しい」との声をきっかけに、構想から半年がかりで実現した。「ゲイ文化を隔離して疎外するのではなく、1つの文化としてスポットライトを当てて紹介する」(同社ローラン・ベルタイユ課長)
ゲイの人々は流行に敏感で購買力も高いとされ、他店にも同様の売り場の導入を検討している。日本での計画はまだないようだが将来、登場しないとは言い切れない。(パリ=橋本美輝)2002年11月5日(ZAKZAK)
同性愛者の国会議員誕生−イスラエル
ユダヤ教超正統派議員らは抗議【エルサレム4日共同】同性愛者であることを公言している国会議員が4日、イスラエルで初めて誕生した。
この議員は、左派政党メレツ所属で核技術専門家のテルアビブ大教授(化学)ウジ・エベン氏(62)。同党議員が辞職したことに伴い繰り上げ当選し、同日の国会で就任宣誓した。
エベン氏は、同性愛を理由に軍の研究者としての職を追われた経験を持つ。国会での演説では、同性愛者への差別解消などに努力すると明した。
同性愛に反対するユダヤ教超正統派議員らは議場から退席し、エベン氏就任に抗議の意思を示した。2002年11月7日(CNN)
同性愛の羊と人間、脳に同じ特徴 米研究ワシントン(ロイター)同性愛的行動をとる羊の脳に、同性愛の人間の脳とよく似た特徴があることがわかった。米国の研究グループが4日に発表したもので、人間の同性愛の研究に役立つとしている。
オレゴン健康科学大学と米農務省の共同研究グループは、10頭のメス、8頭のオス、オスとしか交尾しないオス9頭の、計27頭の羊の行動を観察した後、それぞれの脳の様子を調べた。
人間の脳では、性差や性的指向によって視床下部の大きさが部分的に違うと分かっている。女性や同性愛男性よりも、異性愛男性の方が視床下部の一部が大きくなっている。今回調べた羊でも同様に、同性愛行動をとるオス羊の視床下部の一部は、異性愛行動をとるオス羊のものより大きかった。
これまで、ホモセクシュアルな人間の脳を調べる場合には、エイズで死亡した男性患者の脳を用いることが多かったが、病気の症状や治療薬の影響を受けており、詳しく調べることができなかった。研究グループを率いた生理薬理学のチャールズ・ロセーリ教授は「動物モデルを利用することで、より選択的に管理した状態で観察することができる」として、同性愛羊の研究が、人間の同性愛の研究に役立つとしている。2002年11月15日(朝鮮日報)
同性愛者の差別表現を改善へ 韓国これからは国語辞典や英韓辞典など、各種の辞典で同性愛者を卑下する差別的な表現が改善される見通しだ。
国家人権委員会(委員長:金昌国(キム・チャングク))は今年3月20日、「同性愛者人権連帯」とソウル大学の「心005」など、4つの大学の同性愛者の集まりが同性愛者に対する差別的な表現の修正を要求して、国立国語研究院とD出版社を相手に申し出た陳情事件関し、「審議中に解決された」と15日に明らかにした。
同性愛者人権連帯側は「市中で販売されている辞典はほとんどが“同性愛”を蔑視する意味を含む“同性恋愛”と同義語としているか、変態性欲または倒錯症などと分類しており、“同性愛者”をゲイ、同性恋愛者、ホモなどに卑下して表現している」とし、「同性愛に対する偏見をなくすためにも陳情書を提出した」とした。
人権委員会は「国立国語研究院は改訂版の刊行時、陳情人の意見を充分に反映するという答弁書を送り、残り9カ所の出版社もこの意見を反映・参考するとした」と述べた。2002年12月3日(CNN)
同性愛セックス禁止法の合憲性を判断へ 米連邦最高裁ワシントン(CNN)米連邦最高裁は、同性愛者同士のセックスを禁止しているテキサス州法の合憲性の判断を行うことを決めた。同様の法は全米13州で存在しており、今回の連邦最高裁の判断はこれらにも影響を与えることになりそうだ。
この裁判は、1998年に「けんかが起きている」という通報で駆けつけたヒューストンの警察官が、「倒錯した性交」を行っている男性2人をテキサス州の「同性愛行動」法違反容疑で摘発したのがきっかけ。男性2人が州当局を訴え、同法の合憲性が問われている。
現在、同性愛セックスを違法としている州は13州しかないが、テキサス州控訴裁判所は同法を「州の正当な権益、すなわち、公衆のモラル維持を促進する」として合憲と判断し、原告側が連邦最高裁に上告した。
連邦最高裁は86年、ジョージア州の同種の法について「合憲」と判断したことがある。同性愛を支持するグループは「時代は変わっており、この種の法が実際に執行されるケースはわずか」と主張しているが、テキサス州検察当局は「州政府には法を執行することができ、その権利がある」と主張している。
原告側の弁護士は「夜、同性愛セックスに同意している人たちのベッドルームに入り込んで逮捕したりする権限は州にはない。この種の法は、同性愛者差別の根拠として使われている」と話している。
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