地球温暖化

[2010-2012]



破綻した地球温暖化データ 科学界は徹底的検証を 伊藤公紀
昨年11月のことだ。ハッキングか内部告発かは不明だが、英国の気候研究機関から大量の文書が漏出した。その内容から、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書作成に際しての地球気温データの改竄(かいざん)や論文審査の歪曲(わいきょく)が疑われたため、クライメートゲート事件と呼ばれる騒ぎとなった。この事件は、コペンハーゲンで行われた気候変動に関するCOP15を混乱させた要因の1つである。その背景に、かつて地球温暖化の象徴ともされた有名な曲線データの破綻(はたん)があることを本稿では指摘したい。
地球の気温が20世紀に急に上がったと思っている読者はまだ多いだろう。それは図1(江原註:グラフは割愛)の“ホッケースティック曲線”のために違いない。右端がぐっと上がったこの曲線は、米国の古気候研究者M・マンらが1998年に発表したもので、2001年のIPCC報告書の目玉ともなった。しかし最新の観測による代表的な気温データは図2(江原註:グラフは割愛)のようなもので、ホッケースティックとは似ても似つかない。
ホッケースティック曲線は間違いだったのだ。さて、研究手法が古かったのか、測定誤差か、それとも…。実は、カナダの統計学者S・マッキンタイアらによって、あっと驚くような事実がいくつも分かってきている。
マンらのホッケースティック曲線には複数の版がある。最初の曲線(図1、以下HS98)では方法に問題があった。HS98曲線は樹木年輪法を基礎としていたが、実際に用いられた樹木試料では気温以外の影響が大きく、気温変化を知るのは無理だったことが分かっている。
マンらは08年、基本的にはHS98とそっくりだが、別のデータを使って作成し、前述の問題はないとされる曲線(以下HS08)をアメリカ科学アカデミー紀要に発表したが、これには別の深刻な問題があった。
HS08曲線に使用されたデータのうち、その形の基となったのは湖底に堆積(たいせき)した泥のデータで、フィンランドの研究グループの報告が引用されている。
その元論文を読むと、とんでもないことが分かる。HS08曲線には、データがひっくり返しで使われていたのだ。つまり、温度の上下が逆になっている。しかも元論文には、データの20世紀の部分は使わないようにと書いてある。農薬や牧畜の影響で湖底が乱されているためだ。
マンらは、データの気温を逆にした上に、気温とは関係ない20世紀のデータ部分からホッケースティックを生み出したわけだ。これはマンらの論文からは分かりにくい。しかし、マンらのデータを引用した他の研究者が後から訂正を出したので発覚したのだ。
HS98曲線が20世紀の気温を特別なものにした理由はもう1つある。最後の部分に最近150年の温度計測定データを重ねてあるので、20世紀後半の気温上昇がホッケースティックの強い印象を与えている。
しかし温度計による測定にも誤差がある。特に、気温測定サイトの劣化のため、気温が高めに出てしまう。基準となるべき田園の測定サイトでも、温度計周囲の環境変化は大きい。例えば、米国では温度計の近くに建物や駐車場がある場合が多く、誤差は1〜5℃に達する。
図2のデータは、このような誤差のない測定手法で得られた一例だ。中世温暖期と小氷期がはっきり見え、しかも気温変化は太陽活動変化とよく対応している。これらの特徴は、ホッケースティック曲線によって一旦(たん)は否定されたものだ。
こうしてホッケースティック曲線は破綻した。これだけ社会的な影響力を持ってきたデータが間違いであっては、気候科学の研究自身が信用を失ってしまいかねない。クライメートゲートが燃え上がったのも無理からぬことだろう。この問題について、科学界は徹底的な調査を行うべきである。
このように気候変動の科学は、終わったどころか、むしろ本格的に始まったばかりだ。読者には、この問題に改めて興味を持っていただくとともに、科学に対する広い目を養っていただくよう望みたい。(いとう・きみのり=横浜国立大大学院教授、物理化学・環境計測科学)

図1 過去1000年の北半球の気温変化を記したとされる、マンらのホッケースティック曲線(世界気象機構1999年レポートより)。縦軸は平均気温からのずれで、1950〜80年の平均を0としてある。1900年以降の気温上昇が大きく、それ以前の温度変化の幅が極端に小さい。

図2 米国グループによって2009年ネーチャー誌に発表された、過去2000年の熱帯太平洋西部の海表面温度変化(3つのデータが重ねてある)。下は太陽活動の変化(炭素同位体法による)で、値が大きいほど活動が盛ん。太陽活動が極めて不活発だった1700年ごろはマウンダー極小期と呼ばれ、気温が低かった小氷期と対応している。(中日新聞 2010/01/08)

「25年後にヒマラヤ氷河消失」根拠なし? 英紙が報道
【ワシントン=勝田敏彦】国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年に出した第4次評価報告書で、ヒマラヤの氷河が「このまま地球温暖化が続くと、2035年までに消失する可能性が非常に高い」とした記述について科学的根拠がなかったと、英紙サンデー・タイムズが17日付で報じた。
IPCC報告書は世界の一線の研究者約1000人が学術雑誌に掲載された論文やデータなどを元に作成しており、これだけで報告書の結論が揺らぐものではないが、地球温暖化懐疑派の攻撃材料がまた一つ増えることになる。
同紙によると、報告書のこの記述は、一般向け英科学誌「ニューサイエンティスト」が1999年に掲載したインドの科学者への電話インタビューが根拠だったが、この科学者が「憶測だった」ことを認めたという。この記述は、世界自然保護基金(WWF)が05年に作成した報告書のデータにも使われ、第4次報告書はWWFの報告書を参考文献にしていた。
世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)の呼びかけで89年に設立されたIPCCの影響力は大きく、07年にはノーベル平和賞をゴア米元副大統領と共同受賞している。
英紙テレグラフは、IPCCのパチャウリ議長が、温室効果ガスの排出量取引などでもうけている銀行の顧問なども務め、その報酬はパチャウリ氏が理事長を務める団体に振り込まれていると報じている。同紙はパチャウリ氏のIPCC議長としての活動が、団体の活動拡大につながった可能性を示唆。「利益相反」の疑いに言及している。
IPCC報告書に関しては昨年11月にも、基礎になった気温データで温暖化を誇張したとも受け取れる研究者間の電子メールのやりとりが盗み出される騒ぎ「クライメートゲート」が発覚している。(朝日新聞 2010/01/19)

ヒマラヤ氷河の2035年消失は「誤り」 国連パネル
【ワシントン=勝田敏彦】国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は20日、「ヒマラヤの氷河が2035年までに消失する可能性が非常に高い」などとしていた第4次評価報告書の記述について、「十分に立証されていない見積もりに基づいていた」との声明を発表、事実上、誤りを認めた。
ただ、声明では「氷河から流れ出る水や冠雪が減る傾向は今世紀いっぱい加速し、水不足につながる」などとする報告書の記述については、「ゆるがず、適切なものだ」と強調した。
この問題は17日付英紙サンデー・タイムズの報道で発覚した。誤った経緯として、「2350年」としていた研究を引用する際に、「2035年」と書き誤った可能性も指摘されている。(朝日新聞 2010/01/22)

温室効果ガス:「芝で緑化」温暖化促進? 肥料や手入れで、吸収の4倍排出
都市部の公園などに芝を植えるとかえって地球温暖化を加速する恐れのあることが、米カリフォルニア大アーバイン校の分析で分かった。施肥や手入れのため、芝が吸収する約4倍の温室効果ガスを排出してしまうという。調査対象は米国だが、日本でも進む都市の緑化政策に一石を投じそうだ。米地球物理学誌「ジオフィジカル・リサーチ・レターズ」電子版に掲載された。【大場あい】

研究チームは同校近郊にある4カ所の公園の芝や土壌を分析。二酸化炭素(CO2)吸収量と、草刈り機の燃料によるCO2、肥料使用に伴う一酸化二窒素(N2O)などの排出量を比較した。N2Oは、CO2の約310倍も温室効果が強い。ともに京都議定書で排出削減の対象ガス。
その結果、観賞用の芝では、吸収分の約1?3割に相当するN2Oを排出していることが分かった。手入れのための燃料使用による排出分も含めると、吸収分の約4倍の温室効果ガスを排出していた。運動場用芝は、頻繁に植え直すことから、土壌に蓄えられるCO2が少なく、観賞用の芝より吸収効果が小さかった。
同大によると、芝についてN2Oを含めた吸収量と排出量を比較したのは初。日本国内では、排出を抑制する施肥方法の研究も進んでいる。(毎日新聞 2010/01/23)

気候変動報告の誤り、責任執筆者「確信犯」 英紙報道
【ワシントン=勝田敏彦】国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書に、科学的立証がないのに「ヒマラヤの氷河が2035年までに消失する可能性が非常に高い」という誤った記述が含まれていた問題で、該当部分の統括責任執筆者が英紙の取材に「私たちがこの部分を強調できれば政策決定者や政治家に衝撃を与え、しっかりした対応を取るよう働きかけることになると考えていた」と述べていることがわかった。
24日付英紙デーリー・メール電子版が報じた。記事によると、この統括責任執筆者は、IPCCの作業部会でアジア編を担当したインド人研究者のムラリ・ラル博士。取材に対し、参考文献にした世界自然保護基金(WWF)の報告書が、科学的に検証されていない「あいまい(grey)な文献」と知っていたと話した。
科学者の集まりであるIPCCの報告書は、温暖化対策をめぐる国際交渉の基礎資料になっている。多数の論文をもとに作られていることから、人為影響による温暖化を強調した報告書の骨格部分が覆ることにはならないが、博士の証言により、政治的中立性を疑う見方が強まるとみられる。
IPCC報告書をめぐっては昨年11月にも、基礎になった気温データについて温暖化を誇張したとも受け取れる研究者間の電子メールのやり取りが盗み出される騒ぎが起きている。(朝日新聞 2010/01/26)

地球温暖化対策:気温上昇鈍化「原因は水蒸気の減少」──米・スイス研究チーム
◇温暖化対策議論に波紋
今世紀に入って地球の気温上昇が鈍化した原因は上空の水蒸気が減少したためとする分析を、米国とスイスの研究チームがまとめた。地球温暖化の原因と対策を考える上で論議を呼びそうだ。28日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、20世紀後半の気温は10年当たり0.13度上昇した。00年以降も温室効果ガスは増えているが、気温上昇はほぼ横ばい。このため「上昇は人間活動が原因である可能性が90%以上」とするIPCCの分析を疑問視する見解が出ている。
研究チームは二酸化炭素(CO2)と同じように温室効果を持つ水蒸気がかかわっていると考え、人工衛星と気球で上空の水蒸気濃度を調べた。
それによると、成層圏(約10〜50キロ)の水蒸気が増え、1980年からの20年間の気温上昇率は30%増だった。だが、その後の10年間は水蒸気が10%減り、気温上昇率も25%減だった。本来0.14度高くなるところを0.10度に鈍化させる効果をもたらした。
分析した米海洋大気局のスーザン・ソロモン博士(IPCC第1作業部会共同議長)は「水蒸気は(太陽光をさえぎる)火山噴火と同様、気温の変化に影響を与える。しかし、CO2などの排出増がなければ気温上昇は説明できず、IPCCの結論は変わらない」と語った。【田中泰義】

赤祖父俊一・米アラスカ大名誉教授の話 温暖化の原因はCO2だけではない。自然変動もある。温暖化のどこまでが人間の寄与かを示すことは、対策を考える上で重要だ。観測が難しいとはいえ、水蒸気を十分考慮してこなかったIPCCの姿勢に疑問を感じる。(毎日新聞 2010/01/29)

CO2は“真犯人”か 温暖化懐疑論 法廷へ
IPCC データ改ざん 疑惑で揺らぐ信頼
地球温暖化の原因は何なのか?。科学者同士の論争が損害賠償訴訟の形で法廷に持ち込まれた。法廷で論争に決着がつく可能性は低いが、二酸化炭素(CO2)を主因とする温暖化に対する懐疑論や温暖化そのものへの疑問が根強いことを示した。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のデータ改ざん疑惑など、科学的知見への“信頼の揺らぎ”もその一因だ。(社会部・蒲敏哉)

■異端と正論

「私は地球温暖化は進んでいると認めている。しかし原因はCO2が一番じゃない。別の論を唱える科学者に何の事前連絡もなく、一方的に批判本を東大が出すのは異論者の社会的評価をおとしめる政治的なものだ」
著書「CO2温暖化説は間違っている」に対する批判で名誉を傷つけられたとして、東大などを相手取り損害賠償を求めて東京地裁に提訴した槌田敦元名城大教授(76)はこう主張する。
提訴のきっかけになった「地球温暖化懐疑論批判」を執筆した研究者らは、政府の温暖化対策などに疑問を呈する槌田氏ら約20人の研究者に対し、「科学の蓄積を無視し、独断的な結論に読者を導いており、看過することはできない」と昨秋、同書を出版した。
出版に携わった1人の教授は「温暖化の主因がCO2であることは世界的な研究で確定している。気候変動の危険が迫る中、誤った議論を正したまでで個人批判ではない。全面的に争う」と一歩も引かない。
このほか同書の中で批判している懐疑論は「2001年以降、気温上昇が止まっている」「最近の温暖化は自然変動にすぎない」といった内容。これに対し、「09年7月の世界平均海水温度は史上最高を記録している」などと反論している。

■苦しい釈明

これまで温暖化問題では、科学的データに基づくIPCCの知見が最も信頼度が高いとされ、国際交渉の科学的裏付けとなってきた。
しかし、IPCCの第4次評価報告書に関し、昨年、研究に参加していた英国の科学者が、温暖化が人類の活動に起因することを強調するため、英気象庁のデータを改ざんしていた疑惑が浮上。さらに今年1月にもヒマラヤの氷河の融解データについて誤った引用が問題化した。
このためIPCCのパチャウリ議長が「大勢の分析傾向として誤りはない」と釈明に追い込まれるなど、科学的知見に対する信頼性が揺らいでいる。
小沢鋭仁環境相は「温暖化が人為的、あるいはCO2が原因という科学的根拠が揺らげば国民、産業界の対応も変わってくる」と、この問題の行方を懸念する。

■リスク管理

昨年、コペンハーゲンで開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)のように温室効果ガス削減のための国際交渉の場も各国の思惑から混迷の度合いを深めており、地球温暖化問題は科学的評価も含め重大な岐路に立つ。
元中央環境審議会長で日本気候政策センター理事長の森島昭夫氏は「科学には常にイエスがあれば、ノーがある。温暖化の原因にCO2があるとはいえ、まだまだ研究が必要だ」と指摘する。
温暖化対策の国際交渉に長年携わってきた環境省OBの小島敏郎青山学院大学教授は「温暖化問題ではCO2削減がうまくいかず、地球の気温が2度以上上昇した場合の被害を想定し、リスク管理の観点から対策がとられている」と説明。その上で「国民に積極的な対応が求められている一方、この問題は裁判になるほど研究者同士で論争があるのは事実で、それぞれがリスクを判断し行動することが重要だ」と指摘する。(東京新聞 2010/02/21)


地球温暖化 懐疑論批判が反論する主な論点

懐疑論

反論
温暖化問題に科学者の合意はない 世界の多数の学術団体が合同で人為的排出二酸化炭素による温暖化説を支持している
マスコミは懐疑説も併記すべき 温暖化対策の必要性が増す中「人が犬にかみついた」のノリだけで懐疑説を取り上げるのはやめるべき
最近の温暖化は自然変動 自然起源のみでの気候モデル計算では観測された気温上昇は再現できず、人為起源を加えると再現できる
大気汚染が温暖化の原因 ススや土壌粒子などの大気汚染物質の効果は副次的
ツバルでは海面上昇が起きていない 1993〜2005年は海面上昇があった。温暖化が進めば洪水被害が甚大になる
京都議定書を守っても効果はない 日本は世界第4位の温室効果ガス排出国であり、目標達成は世界における排出削減に大きく貢献する


温暖化懐疑派の声拒絶を=対策前進求める−国連総長
【ニューヨーク時事】国連の潘基文事務総長は24日、インドネシアのバリ島で同日開幕した気候変動に関する国際会議にメッセージを寄せ、「交渉を頓挫させようとする懐疑派の試みを拒絶するよう求める」と述べ、温暖化対策の科学的根拠を疑問視する声に影響されないよう訴えた。
潘事務総長は、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の報告書が示したヒマラヤ山脈の氷河消滅の可能性などに誤りがあったことに関連し、懐疑派が報告書の不備を誇張していると非難。IPCCの知見に基づく対策を前進させるよう求めた。(時事通信 2010/02/25)

「温暖化」米で懐疑論…政府間パネル失策続き
【ワシントン=山田哲朗】米国で地球温暖化に対する懐疑論が再燃している。
懐疑派の拡大に危機感を抱いた温暖化対策の推進派や科学界は反撃を始めたものの、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の失策が続く中、苦戦を強いられている。
懐疑論を勢い付かせるきっかけとなったのは、昨年11月、英イーストアングリア大のコンピューターから大量の電子メールが盗まれ公開された「クライメート(気候)ゲート事件」。IPCC第4次報告書の作成にかかわった有力研究者がデータを粉飾したとも取れるやりとりが暴露され、「科学スキャンダル」を追及するキャンペーンが広がった。今年に入っても、同報告書の記述に「ヒマラヤの氷河が2035年までに消える」など明らかな間違いが次々と見つかり、オバマ政権が成立を急ぐ温暖化対策法案に反対する議会の勢力が、地球温暖化自体を否定するのが効果的とみて攻勢に出た。
懐疑派の代表格、ジェームズ・インホフ上院議員(共和党)は2月23日、同事件についての報告書を環境・公共事業委員会に提出、関係した米欧の17人の気象学者の実名を挙げ、「科学者による非倫理的かつ違法な可能性がある行為」を指弾した。
温暖化対策法が成立しない場合に備え、米環境保護局(EPA)による立法措置抜きの温暖化ガス排出規制を探るオバマ政権をけん制するとともに、温暖化論議を支える科学界に警告を発した形だ。
名指しされた科学者には、嫌がらせの電子メールが殺到、「捜査をちらつかせて科学者に圧力をかけるとは恥知らず」(環境団体)と魔女狩りのような手法を懸念する声も上がっている。
IPCCとノーベル平和賞を共同受賞したアル・ゴア元副大統領は2月28日付の米紙ニューヨーク・タイムズに論考を寄せ、「私も気候変動が幻想だったら良いと願うが、事実として、危機は増大している」と、守勢に回った温暖化対策の推進派を援護した。
IPCCは2月27日、外部専門家委員会を設け第5次報告書の作成過程を見直すことを発表した。米石油大手コノコフィリップスなど3社は2月、温暖化対策を推進する企業団体から離脱するなど、懐疑派へ合流する動きが強まっている。(読売新聞 2010/03/08)

1.3万年前の欧州寒冷期、北米の大洪水が原因か=英研究
【シンガポール31日ロイター】約1万3000年前にヨーロッパで急激に気温が低下し、約1400年にわたって続いた「ヤンガードリアス」と呼ばれる亜氷期が、大規模な洪水によって引き起こされた可能性があることが分かった。英国の科学者が英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
英シェフィールド大学のマーク・ベイトマン博士の研究によると、当時北米にあった英国ほどの大きさの湖で洪水が発生し、大量の水が大西洋に流入。このため、メキシコ湾からヨーロッパに北上していた暖流がせき止められたという。
気象学者らは、地球温暖化によってグリーンランドで急激な氷河の融解が起きると危惧しているが、ベイトマン博士の研究は、氷河融解によってヨーロッパが再び寒冷化する可能性も示唆している。(ロイター通信 2010/04/01)

温室効果ガス:家畜放牧が抑制? 草原放出量、独チーム研究
家畜の放牧をしている草原ほど土壌から放出される温室効果ガスの一酸化二窒素(N2O)が少ないことが、ドイツなどの研究チームの分析で分かった。現在推定されている草原からの放出量は実際より最大7割多い可能性があるという。常識をくつがえすデータで今後の温暖化対策で議論を呼びそうだ。英科学誌ネイチャーに掲載された。
国連の「気候変動に関する政府間パネル」によると、現在のN2O濃度は産業革命前に比べて1.2倍の319ppb(ppbは10億分の1)に増えた。N2Oは同じ量の二酸化炭素に比べて約310倍も温室効果が強く、家畜の排せつ物や土壌中の微生物活動などが原因で放出されている。
研究チームは07年8月から1年間、中国の草原で、非放牧地3カ所と羊の放牧地7カ所の放出量を測定した。その結果、放出量は非放牧地で多く、放牧密度の最も高い地点(1ヘクタール当たり2.24匹)に比べ2倍以上になることが分かった。また、放牧密度の高い場所では夏に放出量が多く、非放牧地では雪解け時期に年間放出量の約7割を占めた。
こうした特徴などから研究チームは「草の量や丈が維持される非放牧地では、地表面が雪に長期間覆われて低温になりにくく、微生物活動が活発化して大量排出された」と推測している。
しかし、草による二酸化炭素吸収や家畜からのメタン排出などを考慮していない。この分野に詳しい米農務省のデル・グロッソ氏は「放出量は季節変動が大きく、年間を通して観測した意義は大きい。しかし、放牧を増やすことが単純に温暖化対策になると言えない」と話す。【大場あい】(毎日新聞 2010/04/15)

地球温暖化:「海面上昇でもツバル沈まず」英科学誌に論文 農業・生活への影響は必至
【ジャカルタ佐藤賢二郎】「太平洋の島々は成長を続けており、海面が上昇しても沈むことはない」──。そう主張する研究論文が英科学誌「ニュー・サイエンティスト」に掲載され、議論を呼んでいる。
ツバルやキリバス、ミクロネシア連邦など南太平洋の島々は温暖化による海面上昇の影響で、将来的には地図上から消える「沈む島」と呼ばれてきた。
論文のタイトルは「変形する島々が海面上昇に挑む」。過去60年間に撮影された航空写真と高解像度の衛星写真を使い、ツバルやキリバスなど太平洋諸島の27島の陸地表面の変化を調査した。
その結果、海面は60年前よりも12センチ上昇しているにもかかわらず、表面積が縮小しているのは4島のみ。23島は同じか逆に面積が拡大していることが明らかになった。ツバルでは9つの島のうち7島が3%以上拡大し、うち1島は約30%大きくなったという。
拡大は「浸食されたサンゴのかけらが風や波によって陸地に押し上げられ、積み重なった結果」であり、「サンゴは生きており、材料を継続的に供給している」と説明。1972年にハリケーンに襲われたツバルで、140ヘクタールにわたってサンゴのかけらが堆積(たいせき)し、島の面積が10%拡大した事例を紹介している。
研究に参加したオークランド大学(ニュージーランド)のポール・ケンチ准教授は「島々が海面上昇に対する回復力を備えていることを示す」と指摘し、「さらなる上昇にも対応する」と予測。一方、海面上昇が農業など島民生活に影響を与えることは避けられないとして、「どのような地下水面や作物が温暖化に適応できるか調べる必要がある」としている。(毎日新聞 2010/06/09)

マッコウクジラの「排泄物」、CO2削減に貢献=豪研究
【シドニー16日ロイター】オーストラリアの海洋生物学者チームは16日、南洋に生息するマッコウクジラが、排泄行為を通じて二酸化炭素(CO2)排出量の削減(カーボンオフセット)に貢献しているとの研究結果を発表した。海に大量の鉄分を放出することで、CO2吸収に役立つ植物プランクトンの増殖に役立っているという。
今回の研究を率いた南オーストラリア州フリンダース大のトリシュ・ラベリー氏によると、マッコウクジラの排泄物には鉄分が多く含まれ、1頭が年間に排泄する鉄の量は約50トンに上る。
研究チームでは、南洋海域には推定で1万2000頭のマッコウクジラが生息するため、年間では約40万トンのCO2吸収に貢献しているとしている。(ロイター通信 2010/06/16)

IPCC:国連報告書、捏造疑惑・記述ミス 地球温暖化「結論揺るがず」──調査委
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第4次報告書に捏造(ねつぞう)の疑いや記述ミスが見つかった問題で、調査に当たった大学や政府は今月、「(地球温暖化は人間活動が原因で、深刻な影響をもたらすという)結論は揺るがない」との分析を相次いで公表した。この問題は温暖化交渉にも影響を与えたが、収束に向かう可能性がある。
公表したのは英イーストアングリア大の独立調査委員会とオランダ政府環境評価庁(PBL)。
昨年11月、同大のコンピューターに何者かが不正侵入し、約1000件の電子メールが流出。IPCC報告書を執筆したフィル・ジョーンズ教授が気温データについて「『トリック』を終えた」と記述していたため、データ改ざんの疑惑が浮上した。また、温暖化によるヒマラヤの氷河の消滅時期やオランダの海面以下の面積の割合──などに誤りが見つかった。
調査委は約半年かけて関係者を聴取。160ページの報告書の中で、「研究者の公正さを疑う余地はなく、IPCCの結論を否定する証拠は見つからなかった」とまとめた。ジョーンズ教授は、疑惑を理由に所長職を離れていたが、大学当局は疑いが晴れたとして復帰させた。
一方、PBLは氷河の消滅時期などについて「小さな誤りで、報告書の主要な結論に影響を及ぼさない」とした上で、報告書の質を高める体制整備を提言した。【田中泰義】(毎日新聞 2010/07/26)

最も簡単な温暖化対策は「電球交換」 国連が報告書
【カンクン(メキシコ)=須藤大輔】省エネ電球が世界中に普及すれば、二酸化炭素の排出量を少なくとも1%削減できる──。こんな調査結果を国連環境計画が1日、気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)で報告した。報告書では「電球の交換がおそらく最も簡単な温暖化対策だ」と指摘している。
報告書によると、世界の電力の19%を消費している照明器具について100カ国を調べたところ、エネルギー効率の悪い白熱灯が電球の売り上げの半分以上を占めていた。これを電球型の蛍光灯や発光ダイオード(LED)などに置き換えれば、電力消費の2%以上を削減でき、470億ドル(約4兆円)の燃料代節約につながるという。(朝日新聞 2010/12/02)

地球温暖化:北半球のCO2、南に大量流入 「対策、地球規模で」──気象研など
◇気象研など初めて確認
北半球で発生した高濃度の二酸化炭素(CO2)が、上空を経由して南半球に大量に流れ込んでいることを、気象研究所と国立環境研究所の共同チームが初めて確かめた。その量は推定約7億トン(炭素換算)で、南半球全体の排出量を大きく上回る。北半球中心の地球温暖化対策を、地球全体で考えるべきだとしている。4月にオーストリアで開かれる欧州地球科学連合学会で発表する。【田中泰義】

人間が排出するCO2は年間約72億トン。海や森林が約32億トンを吸収し、残る40億トンは大気中に蓄積される。
CO2の95%は北半球が排出しているにもかかわらず、推定年間蓄積量は、南北半球ともに約20億トン。北半球から南半球へCO2が流入していると推定されていたが、地上以外でのデータが乏しく、実態は謎だった。
チームは日本航空の協力を得て、旅客機5機に、大気を機内で観測できる装置を搭載。地表−高度12キロのCO2濃度を05年から5年間測定し、赤道を越える航路約1500便のデータを解析した。
その結果、南半球のCO2濃度は、1〜3月には北半球より低かったが、4月ごろから赤道−南緯30度の上空6〜12キロで北半球並みに上昇。その傾向は9月まで続いた。
半年間の濃度上昇率を基に試算したところ、年間約7億トンのCO2が北半球から流れ込んでいると推定された。これは南半球の蓄積量の3分の1に当たる。残りがどこから来ているかも今後調べる。チームの澤庸介・気象研究所主任研究官(大気化学)は「CO2の動きが地球規模で分かれば、効果的な温暖化対策につながるのでは」と話す。(毎日新聞 2011/02/12)

温室効果ガス:豪雨・洪水増、気象データで因果関係を裏付け
【ワシントン共同】人間の活動によって大気中に排出された温室効果ガスが、豪雨や洪水が起きる危険性を高めたとする研究結果を、カナダや英国、日本の国立環境研究所などのチームが実際の気象データを用いた解析でまとめ、英科学誌ネイチャーに発表した。
温暖化で豪雨が増えるとの指摘は従来もあったが、実際のデータに基づいて関係を裏付けた研究は初めてという。温暖化が進むと、これまでの予測以上に豪雨が増えるとの分析も提示。発展途上国を中心に増加している豪雨被害を最小限に抑えるため、国際的な温暖化対策の一層の強化が求められそうだ。
カナダのチームは、1951〜99年の世界6000カ所の降雨データを解析。北半球の陸地の3分の2の地域で豪雨が増えたのは、温室効果ガスの増加が主な原因とみられると結論付けた。またコンピューターを用いた従来の予測の手法は、豪雨被害が増える危険性を過小評価している恐れがあると指摘した。
英国や国立環境研究所のチームは、英国で2000年秋に洪水被害を引き起こした記録的豪雨を分析。局所的な異常気象を再現できる高性能の計算モデルを使って実験したところ、温室効果ガスの増加が洪水のリスクを20%以上増大させた可能性が高いとの結論をまとめた。(毎日新聞 2011/03/01)

ツンドラ:蓄積の炭素が火災でCO2に 逆に排出源に
北極圏に広がるツンドラに蓄積された炭素が、頻発する火災で二酸化炭素(CO2)となり、大量に放出されていることが、米フロリダ大などの調査で分かった。南米アマゾンと並び「地球の肺」としてCO2を吸収してきたツンドラが、排出源に転じる恐れがあると警告している。28日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
ツンドラは1年の大部分が氷雪に閉ざされる荒原だが、夏季には低木やコケ類があらわれ、CO2を吸収。枯れ木や落ち葉などと共に泥炭となり、数千年かけて土壌中に大量の炭素を蓄えてきた。
チームは米アラスカ州北部のツンドラで炭素の量を測定した。通常は1平方メートルあたり約8キロが蓄えられているが、火災現場では約6キロに減った。減少分はCO2として放出されたとみられる。
アラスカでは近年、火災が多発している。地球温暖化で雪に覆われる期間が短くなり、ツンドラが乾燥。落雷などにより植物が燃え、土中の泥炭に燃え移るためだ。07年に起きた最大規模の火災は、東京都の面積の半分近い約1000平方キロに拡大し、推定で約200万トンの炭素が放出された。この量は北極圏のツンドラ全体が1年間で蓄える炭素の量とほぼ同じで、日本が09年度に排出したCO2に含まれる炭素の0.6%に当たる。
チームは「温暖化が火災を招き、それが炭素の放出に発展する悪循環。植物による吸収効果は相殺されている」とみる。【田中泰義】(毎日新聞 2011/07/28)

地球温暖化:野生生物が「引っ越し」 英ヨーク大など分析
地球温暖化のために、世界各地で野生生物が急速に“引っ越し”を始めたとの分析を、英ヨーク大と台湾・中央研究院のチームがまとめ、19日付の米科学誌サイエンスに発表した。絶妙のバランスで成り立つ生物多様性への影響が懸念される。
アフリカ、アジア、欧州、北南米に生息する2131種類の動植物を対象に、数十年間の分布域の変化を調べた。
例えば、英国に分布するウグイスの仲間はほぼ四半世紀で150キロ北上していた。この間に気温は0.24度上昇した。
また、マレーシアのボルネオ島・キナバル山にいるガの仲間は、42年間で0.7度気温が上昇し、生息地を67メートル高い場所に変えていた。
調査対象の動植物を平均すると、10年間で16.9キロ高緯度か、11メートル高い場所に移動したことになり、従来の学説より2〜3倍加速しているという。
専門家で作る国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、温暖化が生物の絶滅リスクを高めると予測した。
ヨーク大のクリス・トーマス教授(保全生物学)は「新たな安住の地を見つけた種もいるが、それ以上に多くの生物が環境変化に適応できない敗者となって絶滅の危険性にさらされているかもしれない」と警告している。【田中泰義】(毎日新聞 2011/08/19)

氷河期:CO2が幕引き役 深海から大量放出で気温上昇
約1万年前に氷河期が終わりを迎えた最大の要因は、二酸化炭素(CO2)の急増だったとの分析を、米ハーバード大などの国際チームが突き止め、5日付の英科学誌ネイチャーに発表した。CO2の増加が地球環境に大規模な変化をもたらすことを示す成果として注目される。
氷河期が終わった原因について従来、地球の公転軌道が変化し、大規模な気候変動が起きたこととの関連が指摘されてきたが、CO2が大きな役割を果たしていた証拠を得たのは初めて。
チームは、過去の大気をそのまま閉じ込め、当時の気温も推計できる南極の氷床や、気温に応じて増減する花粉、プランクトンの分布など、世界約80地点のデータを集め、氷河期末期の気温や大気中のCO2濃度の変化を解析した。(毎日新聞 2012/04/05)



【関連サイト】

CO2地球温暖化脅威説を考える(「環境問題」を考える)

原子力は地球温暖化抑止に貢献しない(グリーンピース・ジャパン)

研究報告「2.5億年前の大絶滅は隕石衝突が原因ではない」(WIRED NEWS)

槌田敦「自然の仕組み−生命が地球に存在できる理由−」(知のwebマガジンen)

The Great Global Warming Swindle (Channel 4)

'Blame cosmic rays not CO2 for warming up the planet' (The Times 2007/02/12)



btn_go_back.gif btn_go_home.gif btn_go_over.gif