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米軍が戦争で使用する

劣化ウラン弾の危険性




2003年1月13日(サンフランシスコ・クロニクル紙)

ウラン兵器とガンとの関連をイラクが指摘
アメリカは再び戦争で使用する方針


バグダッドの病院では、あとからあとから来る病気のこどもたちで溢れ、そして子どもたちは死んでいく。アル・マンスール小児科病院では、エマッド・ウィザム医師が病室を巡回していた。5才の喉に腫瘍ができている子を診察し終わると、ウィザム医師は振り返り苦痛の面もちで、「この子はまもなく死ぬでしょう。この子たちはほとんど助かりません。私たちにはなすすべがないのです。」と語った。
近年、イラクでは子どものガン、白血病、奇形出産が劇的な増加を示している。ウィザム医師やイラクの医療機関それに多くのアメリカ活動家たちが、1991年の湾岸戦争と1998年のバグダッドとその他の都市を襲ったミサイル攻撃の際使われた劣化ウランを含むアメリカ軍の兵器のせいだとしている。また、それらはボスニア、コソボ、セルビアでも小規模ながらも使用され、1991年湾岸戦争時のアメリカ軍復員兵5万人から8万人が冒された湾岸戦争症候群という原因不明の病気の原因であると主張している。
DUとして知られる劣化ウランの健康への影響は、21世紀の最大の医学ミステリーとされている。イラク側は証拠は病院や死体安置所にあると主張するが、各国の専門家は決定的な科学的研究が不足しているとして、判断を控えている。
しかし今度の戦争では劣化ウラン兵器が使用されるのは必至と多くの国防アナリストが指摘しているために、広く一般に論議を呼ぶ問題に発展してきた。
核燃料と核爆弾製造過程で生成される低レベル放射性廃棄物である劣化ウランはアメリカ、イギリス、ロシアやその他の国々で砲弾とミサイルに使用されているが、イラクが使用している徴候はない。


【魔法のような威力】

兵器材料としては他と比べようがないほどの魔法のような物質だと専門家は言う。劣化ウランは鉛より1.7倍の比重をもち、それで作られた兵器がタンクや地下塹壕に当たるとその壁を通り抜け、爆発して放射性雲を発生する。さらに、劣化ウランで作られた装甲車は戦場で破壊されることが少ないとされている。湾岸戦争ではアメリカ軍の飛行機とタンクは320トンの劣化ウラン弾を発射した。イラクの健康統計によれば、最近の健康障害増加はアメリカ軍に攻撃された地域、バグダッド、その南部港湾都市バスラ、北部都市のモスル、キルクークと一致している。
アメリカの専門家によれば、クウェートでは同じ問題は起きていない。その理由は、劣化ウラン兵器は主に人口の密集した地域の外で使用され、また、クウェートが戦後充分なコストを掛けて使用された砲弾や破壊された兵器を徹底的に除去したからとしている。
イラク政府によれば、イラク全土で1990年以来子どものガンは5倍、生殖器異常出産と白血病は3倍に増加している。イラク国民全員ではガンは38%増加になっている。劣化ウランの半減期は45億年なので、もしガン増加がそのためだとされると、イラクは永久的にこの病魔にとりつかれることになる。
アメリカ国防総省は今度のイラク戦争に劣化ウラン兵器が使用されるかという質問に返答を拒否している。しかし、国防総省スポークスウーマンのバーバラ・グッドノは、「劣化ウランはアメリカ軍兵器の重要な構成部分である」ことを認めている。ワシントンの国防インフォメーションセンターのチーフアナリストのクリストファー・ヘルマンは、「間違いなく100%使用される」と断言する。劣化ウランの毒性が問題になっていることで、アメリカとイギリスの軍作戦指導者が考えを変えることがあるかと訊ねられて、ヘルマンは、「ないです。彼らの考えは簡単です。これは戦争であって、破壊された敵の戦車は、その残余劣化ウランの影響がどうであれ、こちらに砲撃している戦車よりは危険が少ないからです」と答えた。
しかし、その健康に対する影響がどのようなものかについては熱い議論が交わされている。アメリカ国防総省高官は、イラク市民であろうとアメリカの湾岸戦争復員兵であろうと、一切の関係性を否定している。彼らは、イラクの主張するガン、奇形出産、白血病の増加報告は1990年の比較ベース値そのものが信用できないとして否定している。
国防総省は特に、1999年に国防総省の予算でランド研究所によって行われたガンと劣化ウランについての科学的報告書を指摘する。それによると関係性は何も見い出されなかったと結論されており、WHO(世界保健機構)とECの同様な研究でも同じであったとしている。しかしランド報告書は、通常ウラニウムの比較的軽い影響について主に研究したもので、「劣化ウランそのものについての研究はほとんどなされていない」ことを認めている。アメリカの活動家たちは、発表されている報告書はすべて、劣化ウランを被曝して病気になった多数のアメリカ人とイラク人を実際に調べていないことを指摘する。アメリカ軍はいくつかその調査を行っているが、それは極秘扱いになっている。イラク軍は同じ湾岸戦争症候群に復員兵が冒されているかについてコメントを拒否している。


【アメリカの専門家】

劣化ウランの影響について最も詳しいアメリカの人物はたぶん、アメリカ軍劣化ウラン計画の前責任者だったダウグ・ロックであろう。彼は約100人の兵隊からなる調査チームを卒いて、湾岸戦争の際劣化ウラン弾に被弾したイラクの戦車とアメリカ軍の車両を調査しきれいに片付けた。
その仕事はぞっとするようなものだった。劣化ウランの爆発で兵隊の死体があまりにもひどく焼け焦げていたため、チームはそれらを「ぱりぱり人間」と呼んだ。この調査チームのメンバーは残余劣化ウランの危険性について知らされていなかったので、彼ら自身深刻な被曝を受けた。ほとんどがその後の何年かのうちに深刻な病気に掛かり、ロックによれば「あまりにも多くが」死んだと言う。しかし彼は、劣化ウランとの直接的関連性を示すことが困難なためはっきりした数を言うことを避けた。
物理学の博士号を持ち、最近までジャクソンビル州立大学教授だったロックは、「自身のからだが許容基準を5000倍超える放射能を受けている」と語り、南イラクの住民と彼の仲間たちの間に起きている健康障害を劣化ウランによる「直接の影響」とした。
国防総省は、湾岸の戦闘地域で被曝した彼と他のメンバーの体内の高いウラニウム値は食事のせいだとくり返し言っている、とロックは言う。彼は、最近発表した声明で、劣化ウランの即時禁止を呼びかけ、「どこの国の軍隊でも故意に他国を汚染し、市民と環境に危害を与え、その影響を無視することは許されるべきではない。そのようなことは神と人類に対する犯罪である」と語った。


【国際的な意見】

サンタ・クルスの活動家で湾岸戦争復員兵のダン・ファヘイが形容するところの「見ざる、探さず」という態度を国防総省が取り続けている一方で、他の国々では劣化ウラン弾に対しては批判的な意見が多数である。

■1999年ヨーロッパ議会はNATOに対して、独立の研究結果が出るまでは劣化ウラン弾の使用を停止するよう決議要請した。その要請は無視された。

■昨年の夏、国連の人権促進擁護に関する分科委員会が劣化ウランの危険性の調査研究を承認した。委員会の委員たちはすでにそれを大量破壊兵器として位置付けている。アメリカとイギリスの反対を押し切って決定されたこの措置は、サンフランシスコの弁護士であるカレン・パーカーにとって意味ある勝利であった。彼女は国際教育開発/人権法プロジェクトに関わり、長年劣化ウラン反対運動に関わって来た。

■1991年のイギリスの核エネルギー公社による研究で、湾岸戦争での劣化ウラン兵器使用の結果「50万人がガンによって死ぬ可能性」があることが判明した。この報告書はイギリス政府によって1998年まで伏せられていた。

しかし、劣化ウラン問題に関するしっかりした科学的研究はきわめて少ない。ボストン大学公共医学科の感染病理学者で数少ない劣化ウラン/ガン関連性研究者の1人であるリチャード・クラップは、マサチューセッツの復員兵の湾岸戦争症候群を研究している。彼の当初の調査研究では、劣化ウランに被曝した湾岸戦争復員兵にホジキンズ病の増加が見られるが、他のタイプのガンの増加はない。しかしクラップはより総合的な研究がさらに必要だとしている。彼は、「劣化ウランとガンの関連(特に、ほこりや煙の粒子で劣化ウランを吸い込んだ人たちの肺ガン)の可能性についてはまだわかっていません。私は、生物学的な見地からの可能性を否定することは確かにありません、よく言うように、危険性の証拠がないことは安全だという証拠にはなりません」と語った。


【石油燃焼、化学兵器】

イラク人の健康障害とアメリカ人の湾岸戦争症候群は劣化ウラン以外にも多くの原因が考えられる、とクラップと他の専門家は指摘する。他の可能性としては、イラク兵がクウェートから撤退する際火を付けた油田燃焼とアメリカのミサイルが命中したイラクの化学兵器からの汚染物質である。
「劣化ウランと特異な病気の関連性を示す証拠がない理由は、誰もそれを真剣に追求しようとしないからだ」と、アトランタ、広島、長崎にベースを置くアメリカ/日本共同グループ、劣化ウラン兵器禁止グローバル・アソシエーションの共同代表のスティーブ・リーパーは言う。
リーパーは、「放射能の最大の問題は、特に同様に毒性化学物質である低レベル放射能発生源を含むばあい、非常に多くの形で害を与え得ることです」と言う。また「どんな障害を受けるかは劣化ウランがからだのどこに行き、どんな細胞にどのような損傷を与えるかによるのです。その影響を本当に知るには、政府がすべての復員兵、とくに復員兵局に医療保護を求めている20万5000人と南イラクの人々を調査し、尿、諸器官、骨中のウランを試験し、そして様々な病理との関連性を探る必要があります」と語った。
イギリスで教育を受けた感染病理学者で、バグダッドのムスタンシリヤ大学長のアリム・ヤクーブ医師は、イラクの健康危機に対する世界の反応に憤りを示している。「なぜ国際的な研究がなされていないのか」と彼は問う。「世界保健機構(WHO)はどこにいるのか。この問題はあまりに政治的で、アメリカの圧力のプロパガンダで影響されている」。
WHOは、2001年に国連の機関が劣化ウランを含むすべてのガンの問題についての総合的調査をイラクに提案したが、何も回答がなかったと言う。


【国連の経済封鎖】

ヤクーブ医師は、その企画は湾岸戦争以来イラクに対して課せられた国連の厳しい経済封鎖によってさまたげられていると主張する。彼によれば、国際原子力委員会(IAEA)がイラクが研究に必要な放射線医学用の装置を、それが2重使用つまり核兵器開発にも使えられるという理由で、輸入することを禁じている、という。
国防アナリストのヘルマンは劣化ウラン問題を要約して「これについては科学はまだ全会一致ではない」と語った。「私のやり方としては、安全に使用できないなら、使うべきではない。軍のやり方はこれとは180度反対です。彼らは『安全ではないと証明できないかぎり、それを使っていく』と言っている」。


(ロバート・コリエ/森田 玄=訳 「TUP-Bulletin」より)


原文:Iraq Links Cancers to Uranium Weapons U.S. Likely to Use Arms Again in War



【関連記事】

1996年8月、国連人権小委員会において「核・化学・生物兵器・気化爆弾・ナパーム弾・クラスター爆弾・劣化ウラン兵器の製造・使用の禁止を求める決議」が賛成15、反対1で採択された。(反対1はアメリカ)

米軍が劣化ウラン弾誤射 鳥島射爆撃場に1520発
【東京】外務省は10日、米海兵隊岩国基地所属の垂直離着陸機AV8Bハリアー部隊が一昨年12月と昨年12月、沖縄本島西方の米空軍鳥島射爆撃場で行った実弾発射訓練中、放射性物質である劣化ウランを使った特殊銃弾計1520発を誤って発射する事故があったことを発表した。日本政府への連絡は今年1月16日になって初めてあったという。米側は人や環境への危険はないと説明しているが、外務省は米側に遺憾の意を表明。県へは10日に連絡されたが、県への通報の遅れについて外務省の林貞行事務次官は記者会見で「十分でなかった」と非を認めた。米国の訓練管理システムの不手際と、外務省の公表遅れは強い批判を呼びそうだ。
外務省によると、95年12月と96年1月に計3回、ハリアー機部隊が劣化ウランを含む徹甲焼夷弾(25ミリ)をその表示が不適切だったために誤って搭載、使用した。劣化ウラン弾は米国本土の特定の射爆撃場でのみ使用することが米軍の内部規則で定められ、特に日本国内では使用を禁じていたという。
米軍は昨年3月と4月に事故調査と銃弾の回収を行ったが、無人島である鳥島の土壌での放射線含有量は米国原子力規制委員会の改善要求レベル値の10分の1より少なかったという。
銃弾は192発しか回収されていない。米側は劣化ウランを摂取しない限り健康への危険はなく、残りのウラン弾も環境や海洋生物へ影響を与えないと説明しているが、今後も定期的に調査するとしている。
米軍は日本政府への連絡が遅れたのは、通知義務のない訓練中の事故であり、環境上も影響がないためと説明しているという。
外務省は先月、折田正樹北米局長からデミング在日米臨時代理大使らに対し、事故や通報の遅れに対し遺憾の意を表明。日本側としても事故を分析するために米側調査の詳細などの情報提供を求めた。
外務省では米側のデータを基に科学技術庁などとの間で詰めた上で、環境調査や回収の必要性を検討するとしている。
林次官は事故や米側からの通報の遅れに遺憾の意を示したうえで、発表が米側の連絡から3週間余も遅れたことに関し「米側が環境への恐れがないと言っており、日本が立ち入りを認められている地域でもないので、もう少し詳細なデータや事実関係を把握した上で公表したいと判断したため」と釈明した。

<劣化ウラン弾> 劣化ウラン弾は通常兵器と分類されており、米国内の承認された射爆撃場で使用されている。劣化ウランは鉛に似た毒性を有する重金属で、衝撃に際してより大きな力を発揮し、装甲など硬化された標的を貫通できることからいくつかの種類の弾薬に使用されている。今回の25ミリ劣化ウラン弾には放射性物質である劣化ウランが約147.4グラム含まれている。(琉球新報 1997/02/11)

琉大教授が放射能汚染の可能性指摘 劣化ウラン弾事件
米軍による鳥島での劣化ウラン弾事件で、琉球大学の矢ヶ崎克馬・理学部教授は、「鳥島周辺への放射能汚染はない」などとする報告書をまとめた米国・アームストロング研究所の調査結果について、「結論されていることは信頼できない」として環境や人体への放射能汚染を強く懸念している。矢ヶ崎教授は、発射訓練が行われた1995年12月、96年1月の鳥島周辺の風向きなどを考慮した上で、「エアゾール(微粉末)化した劣化ウランの放射能により、久米島をはじめ、慶良間諸島や沖縄本島も汚染している可能性が高く、長期的に見れば原爆に劣らない環境汚染となる」という。
劣化ウラン弾に含まれる金属ウラニウムはエアゾール化した状態が最も危険。室温でも容易に活性化し、酸素、水、窒素と結び付く。呼吸などで体内に取り込んだ場合、増血細胞を破壊しガンを誘発するなど「被爆効果のある」放射能物質だ。
現在、矢ヶ崎教授が最も懸念するのは、エアゾール化し、陸に降ったウラン。呼吸や飲水により体内に取り込まれる確率が非常に高い。一方、水に極めて溶けやすい性質であることから、「海に落ちたウランは海流に乗りすでに流されており、海水や生物に被害を及ぼすことはないものと考えてよい」という。
米国ブルックス空軍基地のアームストロング研究所が96年3月および4月にまとめた調査報告書は、安全性を印象付ける一方で、エアゾール化したウランの危険性についてはまったく触れていない。
また、矢ヶ崎教授は「徹甲焼夷弾の爆破威力は通常兵器と見間違える程度のものではないのではない」として、3回にわたり劣化ウラン弾が撃ち込まれたことを疑問視している。(琉球新報 1997/02/21)

劣化ウラン弾 米兵被害は40万人 従軍者支援3団体報告書
【ワシントン2日伊藤芳明】湾岸戦争(1991年)の従軍米兵支援3団体は2日、劣化ウラン弾に汚染された米兵の被害を「40万人にも達する」との報告書を公表するとともに、イラク危機でペルシャ湾に展開中の米軍に、直ちに劣化ウラン弾処理訓練を実施するよう要請した。米国防総省は今年1月に初めて、汚染可能性を「数千人規模」と公式に認めているが、報告書は被害の一層の拡大を推定。米メディアも汚染被害を報じ始め、湾岸戦争症候群と劣化ウラン弾との関連を調査する独立機関設置などの動きが加速しそうだ。
従軍米兵の支援組織「湾岸戦争財源センター」(本部・ワシントン)など3団体がまとめた235ページの報告書によると、米軍機などは湾岸戦争中、計285トンの劣化ウランを含有する劣化ウラン弾を発射。戦闘中や、停戦後の処理のために現地に入り、破壊されたイラク軍戦車の中に入ったり、破片を記念に持ち帰るなどした米兵の比率は、3団体の聞き取り調査で65〜82%にも達し、従軍米兵全体で汚染可能性のある人数は、40万人に達するという。
報告書はそのうえで、(1)現在ペルシャ湾に展開中の米軍に、直ちに劣化ウラン弾の安全処理措置の訓練を実施(2)米議会の独立した調査機関による元兵士の健康被害調査の実施(3)汚染可能性のある元兵士や家族への医療措置の提供──など米政府に早期の対策を求め、代表が議会などへの説明を開始した。
湾岸戦争に従軍した兵士らに原因不明の記憶喪失や出産異常が発生している「湾岸戦争症候群」については、米大統領の諮問機関、米国防総省、米議会などが個別に調査を進め、(1)イラク軍の化学・生物兵器による汚染(2)劣化ウラン弾による汚染(3)戦時の精神的緊張──などの可能性が浮上。国防総省は劣化ウラン弾の被害について、汚染が判明していた33人以外は否定してきたが、今年1月の年次報告書で数千人規模の汚染の可能性を認めている。
これまで劣化ウラン弾の影響に焦点を当ててこなかった米国の大手メディアも、CNNテレビやAP通信がこの日、報告書の内容を報じ始めており、劣化ウラン弾と湾岸戦争症候群との因果関係解明に拍車がかかりそうだ。(毎日新聞 1998/03/03)

イスラエル機墜落 住民に次々異常 積載劣化ウラン汚染疑惑調査へ
オランダ政府、専門家に要請
【ブリュッセル3日=永田和男】オランダ政府は2日、1992年、アムステルダム郊外にイスラエル「エル・アル」航空の貨物機が墜落し、40人以上が犠牲になった事故で、積載されていた劣化ウランによる現場周辺の汚染の可能性と、事故後相次いでいる住民の健康異常との因果関係の調査を専門家に要請した。
エルス・ボルスト保健相が議会の緊急質疑で明らかにしたもの。オランダでは先月末、民間活動団体が「住民の排せつ物から高い濃度のウラニウムが検出された」との独自の調査結果を発表。放射能汚染への懸念と、政府に真相究明を求める声が急速に高まっていた。
政府はこれまで、事故と健康異常の因果関係を否定し、住民の補償請求も却下してきた。
事故は92年10月、アムステルダム南郊ベイルメアール地区の高層アパート群に、スキポール空港を離陸した直後のエル・アル機が突っ込み、少なくとも43人の死者を出した。
事故の後、周辺の住民や、現場にかけつけた消防士、警官、また事故機の残がいが運ばれたKLM航空倉庫の職員からも、じん不全や皮膚病、筋肉痛、視力低下などの訴えが相次いだ。原因として、重量バランスを取るため機体後部に積まれていた、約400キロの劣化ウランが溶解、流出していた可能性が取りざたされた。劣化ウランは、半分の約200キロしか回収されていない。
事故機はニューヨークからアムステルダム経由でテルアビブに向かっていたが、ミサイルなど大量の武器弾薬が搭載されており、これが墜落時の爆発規模を大きくし、劣化ウランが流出したという説もある。
発着国である米国、イスラエル両国とも、税関当局は事故機の貨物送り状を一切公開せず、ブラックボックスも回収されなかった。「事故直後に宇宙服のようなものを着た、英語を話す人々が、何かを回収していた」とのカメラマンの目撃談もある。
現場近くに住むタルシク・スキッパーさん(54)は「米、イスラエルとも何か隠している、という疑いが膨らむばかりだ」と憤る。
軍関係者の間では、「米国からイスラエルへの武器運搬の中継点であるスキポールは、イスラエルの軍事的生命線」とも呼ばれていた。また「貨物送り状改ざんは日常的に行われていた」とのエル・アル航空元職員の証言も、疑惑を増幅させた。
政府が腰をあげたのは、こうした事情によるが、調査要請を受けたアムステルダム大学病院は2日、「事故機が何を積んでいたのかなど、基本的な情報が不足しており、調査は難しい」とし、要請受け入れを留保している。
米、イスラエルの協力なしに、オランダ側がどこまで真相に迫れるか、見通しは明るくない。(読売新聞 1998/04/05)

コソボ紛争:米軍機が劣化ウラン弾使用 NATO認める
【ブリュッセル20日森忠彦】北大西洋条約機構(NATO)のジュゼペ・マラニ軍事報道官(イタリア空軍准将)は20日、毎日新聞に対し、NATOの米軍機がユーゴスラビア連邦への空爆で「劣化ウラン弾」を使用していることを認めた。実戦における劣化ウラン弾使用が公式に確認されたのは、湾岸戦争(1991年)以来初めて。報道官は「すべてのNATO軍機が使っているわけではなく、環境や人体への影響もない」としているが、湾岸戦争症候群との関連が指摘されるなど、劣化ウラン弾の毒性が健康や環境に及ぼす影響が問題となっているだけに、論議を巻き起こすのは必至だ。
マラニ報道官は取材に対し、劣化ウラン弾を使用しているのは米軍機だけで、他国の戦闘機は装備していないことを明らかにしたうえで、「対戦車攻撃は劣化ウラン弾がもっとも効果的」と語った。コソボ自治州に展開するユーゴ連邦軍の戦車部隊攻撃用に、米軍が投入したA10爆撃機やF15戦闘機から発射する30ミリ銃やガトリング砲などの砲弾に使っているという。
報道官はまた95年のボスニア内戦でも「戦車攻撃に大きな成果を挙げた」と証言、NATO軍が劣化ウラン弾をボスニアのセルビア人勢力攻撃に使用したことも初めて認めた。
劣化ウラン弾は貫通力に優れた特性を生かし、戦車や装甲車の鋼板貫通用に開発された。NATOは現在、コソボ自治州内で連日数台のユーゴ軍の戦車を破壊したと発表しており、この攻撃で威力を発揮しているとみられる。
一方で劣化ウラン弾は貫通の際に瞬時に燃焼し、ミクロン単位のちりとなって空中に拡散。吸入した人体内や地上に堆積(たいせき)し、化学的毒性や放射性が人体や環境に悪影響を及ぼすことが、指摘されている。安全確認が十分でない兵器の大量使用は、国際的論議を呼びそうだ。

ユーゴ情報相も使用確認と指摘

【ベオグラード20日高橋龍介】ユーゴスラビア連邦のコムネニッチ情報相は毎日新聞に対し、NATOがユーゴ連邦に対し使用したミサイルなど爆発物の総量は広島に投下された原爆4発分に相当し、中には劣化ウラン弾、化学兵器も含まれていると断言した。
情報相は、劣化ウラン弾はボスニア・ヘルツェゴビナ内戦でもNATO軍によって使用され、その後、機能障害を持った子供が増加するなど深刻な影響を残していると指摘。劣化ウラン弾が今月13日、ベオグラードの南約13キロのラコビツァに対する空爆で使用されたことを確認したと語った。

<劣化ウラン弾> 核兵器に使用するため、天然ウランを濃縮処理する過程で派生する核廃棄物が劣化ウラン。米軍は湾岸戦争(1991年)で劣化ウランを弾頭に使用し、貫通力を高めた特殊弾を、イラクの戦車部隊に大量使用、大きな成果を挙げた。しかし従軍兵士が帰国後、健康障害に陥り、劣化ウラン弾との関連が問題化した。日本でも在日米軍が95年12月から96年1月に沖縄・鳥島の演習で劣化ウラン弾1520発を誤射したことが判明。米国は通告遅れを謝罪し、在日米軍のすべての劣化ウラン弾を日本国外に撤去した。(毎日新聞 1999/04/21)

コソボ紛争:劣化ウラン弾使用 破壊力優先「軍の倫理」
【ワシントン20日布施広】NATO軍が、ユーゴスラビア攻撃に劣化ウラン弾を使用しているとの証言は、空爆下で暮らす市民の健康と攻撃終結後の環境問題に大きな不安を投げ掛けた。米国内で劣化ウランの影響調査が続く中での大量使用だとすれば、破壊力を優先する「軍の論理」が厳しく問われることになりそうだ。
劣化ウランはタングステンの1.6倍の比重を持ち、貫通能力が高いため、1991年の湾岸戦争で大量使用された。兵器としての性能に優れる半面、化学的毒性や放射性物質を含むため、人体への悪影響を指摘する声が強い。湾岸戦争後、元従軍兵士らが原因不明の身体不調を訴える「湾岸戦争症候群」が多発、米議会や国防総省が劣化ウランの影響調査を行ってきた。
国防総省は、劣化ウランの粒子を吸引するなどした元兵士の尿、肝機能検査などを基に、劣化ウランと健康障害の因果関係は立証できないとしているが、劣化ウランの破片が体内に入った患者の追跡調査を続けている。
米国のシンクタンク「軍事的毒物研究所」のレマール所長はユーゴ攻撃に関して発表した文書の中で、「NATOは集中的に劣化ウラン弾を使用しているのではないか。イラクでは白血病などの多発が報告されている。我々は劣化ウラン弾と湾岸戦争症候群は関係があると信じる」と、一般住民の健康への悪影響や環境汚染を懸念している。
国防総省は劣化ウラン弾の安全確認が十分でないことを認めており、NATOの軍事報道官の発言は、安全性よりも破壊力を優先する軍の論理を改めて浮き彫りにした形だ。市民への誤爆続発でNATO軍の主力、米国への信頼が大きく揺らいでいる時期だけに、劣化ウラン弾使用は米国への反発を増幅させることになりかねない。

風当たり必至

【ウィーン20日町田幸彦】NATO軍が20日、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦における劣化ウラン弾の使用を認めたことで、劣化ウラン弾問題を無視する姿勢を貫いてきたNATO主体の平和安定化部隊(SFOR、ボスニア駐留)は、情報開示を求める動きに直面しそうだ。
ユーゴ当局がまとめた報告書などによると、NATO軍は95年8月末から9月上旬までの間、ボスニアの「セルビア人共和国」領に空爆を実施した際、30ミリ口径劣化ウラン弾を使用。発射したのは米軍A10戦闘機と特定した。ユーゴの調査団はサラエボ近郊やボスニア北部数カ所で劣化ウラン弾が爆撃に使われたのを確認したが、具体的な規模、数量などは不明だ。
一方、SFOR報道官は97年12月、ボスニアでの劣化ウラン弾使用問題に言及し、「NATOはボスニア空爆で1度も劣化ウラン弾を使ったことがない」と断言。「SFOR部隊は劣化ウランを考慮した健康上の予防措置を義務づけられていない」と強調した。
ところが、米国の復員軍人局は96年4月、ボスニアからの帰還兵に対し、劣化ウランの影響を検査する「劣化ウラン・プロジェクト」を受けられると表明。ボスニアでの劣化ウラン弾使用を前提にした対応とみられ、SFORと著しい食い違いを見せていた。
ボスニアでの劣化ウラン弾使用問題はSFOR、ボスニア政府双方から具体的な情報提供がない状況が続いており、ボスニアでも真相解明の動きが浮上することになろう。(毎日新聞 1999/04/21)

ユーゴ空爆 劣化ウラン弾使用 NATO当局者明かす
【ブリュッセル21日共同】北大西洋条約機構(NATO)当局者は20日、ユーゴスラビア空爆作戦で、ウランの廃棄物を弾芯(しん)に用いた劣化ウラン弾が使用されていると述べた。
劣化ウラン弾は貫通力と破壊力が高く、戦車などの装甲を破壊するため砲弾の弾芯に用いられる。1991年の湾岸戦争で大量に使用されたほか、当局者によると、最近では、94年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争での空爆の際に使われた。
同当局者は「劣化ウラン弾は土や岩など、自然界と同じ程度の最低含有量のウランしか含んでおらず、人体に害はない」と説明した。使用しているのは米軍機とみられる。
しかし、ごくわずかながら核分裂物質を含むほか、重金属としての毒性も指摘されている。91年の湾岸戦争後には、劣化ウランが原因とみられる兵士の健康被害が表面化した。また97年には、在日米軍機が95−96年にかけ、沖縄県・鳥島の射爆撃場での訓練中、劣化ウラン弾を「誤射」したことが明らかになり、政治問題化した。(中日新聞 1999/04/21)

米軍、劣化ウラン弾誤射 プエルトリコ 訓練中止求める声
【ロサンゼルス30日=宮川政明】カリブ海の北方に浮かぶ米自治領プエルトリコで、米軍機が訓練中に劣化ウラン弾を誤射し、大半が未回収であることが分かった。その事実を知らされていなかった島民たちは激しく反発し、訓練中止を求める声もあがっている。沖縄県鳥島の米軍射爆撃場でも誤射が起こっており、米軍の劣化ウラン弾管理や事故通報のあり方に改めて疑問符がついた格好だ。
米軍などによると、プエルトリコのビエケス島(島人口約9000人)にある米軍訓練場で今年3月初旬、ハリアー攻撃機が25ミリの劣化ウラン弾263発を発射した。
同訓練場では同弾の使用が禁じられているが、米軍側は、米本土のフロリダ州かバージニア州の基地で誤って積み込み、そのまま発射されたと説明している。回収したのは57発だけ。「単発の出来事」で組織的なミスではなく、「健康への影響はない」としている。
米軍は国の原子力規制委員会(NRC)やプエルトリコの環境部局には報告していたというが、プエルトリコ側はロセジョ知事はじめ、知らされていなかったとしている。
今年4月19日に同じ訓練場で米軍機の誤爆によって、民間の警備員1人が死亡した。訓練反対運動の高まりの中で、劣化ウラン弾誤射も暴露され、米軍も5月27日に誤射の事実を認めた。(朝日新聞 1999/06/01)

NATO軍がコソボで劣化ウラン弾使用 UNEPが確認
国連環境計画(UNEP)は21日、北大西洋条約機構(NATO)軍が昨年のコソボ紛争で、劣化ウラン弾約3万1000発を使用したことを確認したと発表し、地域住民の健康や環境への懸念を表明した。
UNEPによると、ロバートソンNATO事務総長がアナン国連事務総長への書簡の中で明らかにしたもので、アメリカ軍のA10型対地攻撃機がユーゴスラビア軍の車両などの攻撃に使った。100波の出動で約3万1000発、約10トンが使われた。書簡には使用場所の地図が添えられていた。
UNEPなどの国連専門家チームは、劣化ウランは発がんなど健康への影響、環境汚染が心配されるとして、昨年からNATOの情報提供を求めていた。同チームは今回提供された情報は不十分だとして、今後(1)着弾地域を特定できる詳細な地図(2)A10型機がコソボ以外のユーゴスラビア領人口密集地で活動した情報、などをさらにNATOに求める。また世界保健機関(WHO)は住民の健康調査報告を5月に出す予定だ。(朝日新聞 2000/03/22)

劣化ウラン弾:3万1000発を使用 NATOのユーゴ空爆で
【ブリュッセル21日森忠彦】北大西洋条約機構(NATO)が昨年春のユーゴスラビア連邦空爆の際に対戦車攻撃で使用した「劣化ウラン弾」が3万1000発に上ったことが21日、明らかになった。NATOが国連環境計画に報告する形で認めたもので、米軍が劣化ウラン弾の使用数を公表したのは初めて。NATOの空爆1周年を機会に人体への影響が指摘されている武器の使用実態が再確認された形だ。
報告は、劣化ウラン弾が環境に与える影響を調査している国連環境計画がNATO側に行った質問に対してロバートソンNATO事務総長が答えたもの。それによると、78日間の空爆中、米軍のA10対戦車攻撃機がユーゴ軍の戦車や装甲車に対して行った攻撃の一部に貫通力が優れた劣化ウラン弾を使用したという。コソボ自治州の中でもユーゴ部隊の主力が配置された西部と南西部で集中的に使われた。
劣化ウラン弾は天然ウランを濃縮する過程で派生する劣化ウランを弾頭に付けた特殊弾で、米軍は湾岸戦争やボスニア紛争でも使用。貫通力は優れているものの、従軍兵士が健康障害に陥るなどの問題が発生し、人体や環境面での被害が指摘されている。ユーゴ空爆での使用については、当初は米軍側が使用の事実を否定するなど、あいまいな見解を示していた。
報告の中で事務総長は「ウラン弾は人体などへの影響はない」としている。しかし、環境調査に当たっているハービスト団長(元フィンランド環境相)は「NATOがコソボの中でも人口密集地帯で劣化ウラン弾を使用した実態が明らかになった。NATO側が示した資料は十分とは言えず、セルビア共和国やモンテネグロについては明らかではない」として、さらに使用実態や環境への影響調査を続ける方針を示した。(毎日新聞 2000/03/22)

ユーゴ空爆で使用の劣化ウラン弾、環境に影響ない=米国防総省
【ワシントン22日ロイター】米国防総省軍は、北大西洋条約機構(NATO)のユーゴスラビア空爆の際に米軍が使用した劣化ウラン弾について、これに関する情報は隠しておらず、健康に悪影響を与えることはないと強調した。
国連のバルカン半島環境調査団が21日ジュネーブで発表した調査は、NATOが3万1000発の弾薬の使用を認めたが、使用地域の詳細に関する情報は不十分と指摘した。
国防総省スポークスマンは、「この弾薬に関する情報は、NATOが十分開示した。それが、われわれの有する最良の情報だ」と述べた。
他のスポークスマンも、米国の科学的調査で、健康や環境への大きな影響はないとされた、としている。
ただ、一部の専門家は、この弾薬の成分が土地や水源を汚染する可能性もあるとみている。(ロイター通信 2000/03/22)

NATOがコソボで劣化ウラン弾を使用したことを認める
国連環境計画(UNEP)と国連人間居住センター(UNCHS)は22日、北大西洋条約機構(NATO)が昨年ユーゴスラビアのコソボ地区での戦争において約3.1万発の劣化ウラン弾を使用したことを認めたとコミュニケを発表した。
コミュニケによると、NATOから劣化ウラン弾の発射の正確な地点と詳細資料が提出されていないため、現在環境と人類の健康への影響について推定評価ができていない。
これまでNATOはユーゴスラビアでの戦争中に劣化ウラン弾を使用したことを否定し、国連環境計画と国連人間居住センターが組織したバルカン行動グループの調査を阻止してきた。
科学者の分析によると、劣化ウラン弾の爆発後、放射能が放出され、有毒な微粒子と土埃が水質と土壌を汚染するとのこと。(人民日報 2000/03/24)

嘉手納弾薬庫に劣化ウラン弾を貯蔵 米空軍が認める
沖縄県の米軍嘉手納弾薬庫に、劣化ウラン弾が貯蔵されていることが25日までに分かった。管理している米空軍第18航空団のジェームス・スミス司令官は「貯蔵しているのはごく少量で、人体への影響はない」としている。今後も貯蔵されるというが、県は県外への移設などを求めていく方針だ。
同航空団によると、貯蔵されている劣化ウラン弾はA10攻撃機が使用する。同機は在韓米軍に配備されており、朝鮮半島有事に備えての貯蔵とみられる。
劣化ウラン弾をめぐっては1995年から96年にかけて、在日米海兵隊機が同県内の鳥島射爆撃場で約1520発を発射していたことが明らかになった。在日米軍は当時、海兵隊基地からすべての劣化ウラン弾を撤去したと説明していたが、陸、空軍の貯蔵については明らかにしなかった。
鳥島では政府と米軍が放射線量など環境への影響調査を続けている。(朝日新聞 2000/05/25)

バルカン帰還兵にがん多発 劣化ウラン弾が原因?
【ローマ3日共同】平和維持活動でボスニア・ヘルツェゴビナ、ユーゴスラビア・コソボ自治州に派遣されたイタリア軍人らの間で白血病などのがんが多発、北大西洋条約機構(NATO)軍が使用した劣化ウラン弾が原因ではないかとの疑いから、他の欧州各国にも騒ぎが広がっている。
イタリアでは「バルカン症候群」とも呼ばれ、2日までにボスニアとコソボに派遣された軍人約6万人のうち6人が白血病で死亡したことが明らかになった。国会でも特別調査委員会設置の動きがあり、軍事検察官は、死亡者を含め全体で30人前後を対象に調査している。
NATOは昨年12月に、1994、95年にボスニアで1万800発、99年にコソボで3万1500発の劣化ウラン弾を使用したことを認めた。
イタリア国防省は「バルカン症候群」の原因を劣化ウラン弾に特定する根拠はまだないと慎重な構えだが、バルカン派遣部隊を撤退させるべきだとの要求も出始めた。
ポルトガルでも、死亡した帰還兵の父親が死因の再調査を要求。これをきっかけにコソボ帰還兵約900人の医学調査が命じられ、スペインもバルカン帰還兵約3万2000人の調査を決めた。ベルギーは欧州連合(EU)国防相会議での対応を求めている。
劣化ウラン弾と因果関係があるとすれば、軍人に限らず、ボランティアを含む文民や関係地住民にも被害が出ている可能性がある。国連は既に現地調査を実施しているという。
劣化ウラン弾は、戦車などの標的に対する破壊力を強めるため弾頭部に劣化ウランを利用したもの。91年の湾岸戦争でも使用され、米英軍の帰還軍人に広がった「湾岸症候群」との因果関係が疑われたが、結論は出ていない。(共同通信 2001/01/03)

バルカン帰還の伊軍兵士に白血病死相次ぐ
バルカン半島の紛争に派遣されたイタリア軍兵士に白血病が相次ぎ、これまでに6人が死亡していることがわかり、問題となっている。イタリア各紙が4日までに伝えたもので、北大西洋条約機構(NATO)が使った劣化ウラン弾との因果関係が疑われている。国防省は死んだ6人について内部調査するための専門家による委員会を設置。野党は国会にも特別調査委員会の設置を求めている。アマート首相はNATOに公式な説明を求める方針だ。
劣化ウラン弾は戦車攻撃などに用いられ、使用後の放射性物質による影響が心配されている。湾岸戦争でも問題となったが、人体への影響との因果関係はまだ解明されていない。NATOはボスニア・ヘルツェゴビナで1994―95年に約1万発、99年にはユーゴスラビア・コソボ自治州で3万発以上の劣化ウラン弾を使ったとされる。
イタリア国防省のオスティリオ次官は、両紛争の前線で活動したすべての兵士の健康状態について保健省が把握しているかどうか確認を求めた。ボスニアに展開する和平安定化部隊からイタリア兵を撤退させるべきだ、との声も出ている。
ポルトガルやベルギーなどからも調査を求める声が高まっている。NATOの報道担当者は「イタリアが求める情報を提供するため準備中」としており、来週の大使級理事会でこの問題が取り上げられる見通しだ。(朝日新聞 2001/01/04)

「バルカン症候群」の死者は8人=伊紙報道
【ローマ5日AFP=時事】5日付のイタリア紙レプブリカは、ボスニア・ヘルツェゴビナから帰還したイタリア兵2人ががんで死亡していたことが新たに分かり、「バルカン症候群」によるイタリア兵の死者は計8人になったと報じた。(時事通信 2001/01/05)

「バルカン症候群」でチェコ兵も死亡
【ウィーン4日時事】4日付のチェコ日刊紙ムラダ・フロンタ・ドネスによると、ボスニア・ヘルツェゴビナに駐留している北大西洋条約機構(NATO)主体の平和安定化部隊(SFOR)に属するチェコ兵が1年前に白血病で死亡していたことが分かり、チェコ軍当局は、劣化ウラン弾汚染による「バルカン症候群」の疑いがあると見て、専門家調査チームを設置した。(時事通信 2001/01/05)

バルカン症候群:NATO兵士に健康被害相次ぐ
【ロンドン5日岸本卓也】バルカン地域に派遣された北大西洋条約機構(NATO)の兵士に「バルカン症候群」と呼ばれる健康被害が欧州各国で相次いでいる問題で英BBC放送は5日、ボスニア・ヘルツェゴビナで勤務した元英軍工兵も似たような症状に苦しんでいることを伝えた。
英中部に住むケビン・ラドランドさん(41)は1995年12月から5カ月間にわたりボスニアに派遣されたが、帰国後に慢性疲労に陥り、頭髪が抜け落ちた。最近では内臓疾患にも苦しんでいる。しかし、英国防省は「劣化ウラン弾と病気の因果関係は認められない」として、バルカン地域に派遣された英軍兵士の健康調査も実施しない方針だ。(毎日新聞 2001/01/05)

劣化ウラン弾と白血病の因果関係を否定 米国防総省
北大西洋条約機構(NATO)軍が劣化ウラン弾を使ったバルカン半島から帰還した欧州の兵士に白血病などが相次いでいる問題について、ベーコン米国防総省報道官は4日、「劣化ウラン弾と発病との因果関係は一切見つかっていない」と述べた。米国では、1991年の湾岸戦争時から劣化ウラン弾の後遺症の可能性が指摘されていたが、同省は一貫して因果関係を否定。イタリアなど欧州諸国で調査を求める声が上がり始めた今回の問題についても改めて否定した形だ。
報道官は、ボスニア・ヘルツェゴビナやコソボ自治州で従軍した兵士の間に実際に白血病が異常に高い率で発生しているかどうかの調査は「欧州諸国か我々かが進めることになるだろうが、まだ実施されてはいない」と強調。「科学的な基礎調査もされていない段階から劣化ウラン弾と白血病の関係をうんぬんするのは早すぎる」とくぎを刺した。
ただし報道官は、米軍チームはすでにコソボ自治州の土と水のサンプルを採取して5つの研究所で分析を進めていることを明らかにした。その結果は今春にも公表する。劣化ウラン弾による兵士への影響をめぐっては、国防総省が委託した独立機関ランド研究所が99年、体の不調との因果関係は認められないとの結論を出している。(朝日新聞 2001/01/05)

英国防省が危険認識か 劣化ウラン弾
【ロンドン6日共同】6日付の英紙デーリー・テレグラフは、英国防省がコソボ紛争時に劣化ウラン弾の取り扱いに注意するよう兵士に指示するなど、当時から危険性を認識していたと報じた。
国防省は「(劣化ウラン弾の)放射能は極めて低いため健康への危険はほとんどなく、指令は予防措置にすぎない」と説明している。
同紙によると、ドイツ軍も劣化ウラン弾の着弾場所や施設への接近を禁じるなどの規則を定め、「劣化ウランにさらされると健康面での危険があり得る」と警告していたという。(共同通信 2001/01/06)

劣化ウラン弾でスペイン兵にも被害か
【マドリード6日AFP=時事】スペイン紙エルムンドは6日、ユーゴスラビア・コソボ自治州などに駐留したスペイン兵などの間で、ここ数カ月間に少なくとも8人のがん患者が報告され、うち1人が死亡していると伝えた。
同紙によれば、死亡した兵士はマケドニア駐留の補給部隊に属し、米軍部隊が劣化ウラン弾を使ってから約1年後のコソボにたびたび出動していた。残りの7人は6人が兵士で、1人はボランティアの援助関係者という。(時事通信 2001/01/06)

バルカン帰還兵、仏でも4人が白血病で入院中
フランス国防省は4日、旧ユーゴスラビア紛争に従軍したフランス軍帰還兵4人が白血病で入院していることを明らかにした。4人は劣化ウラン弾を使って攻撃した戦車の近くにいたとみられている。
リシャール国防相は5日、「現状では白血病と劣化ウラン弾との関連は薄いと見ているが、今後も調査を継続する」と述べ、北大西洋条約機構内での協議にも参加する意向を示した。(朝日新聞 2001/01/06)

劣化ウラン弾:100倍以上の放射線反応を確認 調査団長明示
【ブリュッセル5日森忠彦】一昨年の北大西洋条約機構(NATO)のユーゴスラビア連邦空爆で、米軍が人体への影響が指摘される劣化ウラン弾を使用した問題で、コソボ自治州で調査に当たっていた国連環境計画(UNEP)のペッカ・ハービスト劣化ウラン弾調査団長(前フィンランド環境相)は5日までに毎日新聞の会見に応じた。団長は、現地から多数のウラン弾を発見し測定したところ、自然値の100倍以上の放射線反応があったことを明らかにした。さらに、攻撃地点の多くで使用弾の回収が進まず、野放し状態だと指摘した。劣化ウラン弾問題で第三者機関が放射線反応を確認したのはこれが初めて。最終報告書は3月に発表する予定で、その中で現地で治安維持活動に当たっている国際治安維持部隊(KFOR)に回収作業を要請する方針だ。
劣化ウラン弾は一昨年3〜6月の空爆中、米軍がユーゴ軍の戦車や装甲車部隊に使用した。NATOによるとコソボ南西部を中心に112地点で計3万1000発を発射した。NATOが昨年夏に具体的な攻撃地点を報告したのを受けて、UNEPの劣化ウラン弾調査団(ジュネーブ)は、昨年11月に2週間、11地点で現地調査した。
調査にはスイスやスウェーデンなどの放射線専門家らが参加。畑や集落、山間部など条件が異なる地点で土や水、植物などを集め、化学物質や重金属汚染の分析を続けている。
このうち8カ所から不発弾や破片など計15個のウラン弾が収集された。コソボ南部の都市プリズレンの南西約10キロのセジャ地区(山間部)からは2個の不発弾と4個の弾片が見つかった。劣化ウラン弾が当たったブロック塀の放射線を測定したところ、52点から高い数値を観測した。ベータ線とガンマ線が通常、自然界に存在する量の100〜200倍の数値が出た所もあった。
団長は「劣化ウラン弾がかなりの広範囲で使われたことが確認された。問題はその情報が開示されず、回収作業も進んでいないことだ」などと語った。
復興が進むコソボでは大気汚染や水質汚濁などの環境問題が深刻化している。住民やKFOR兵士の中には疲労感や頭痛などの慢性疾患を訴えるケースが目立ち始めており、「コソボ症候群」と呼ばれている。(毎日新聞 2001/01/06)

NATO:劣化ウラン弾と兵士の健康障害との因果関係を否定
【ブリュッセル6日森忠彦】バルカン半島に駐留する治安部隊兵士の健康障害と米軍が使用した劣化ウラン弾との関係が取りざたされている問題で、北大西洋条約機構(NATO)や加盟国当局は6日までに相次いで因果関係を否定し始めた。各国で白血病などの報道が続いているため、政府は国民や軍関係者の動揺を抑えようと努めている。
同弾が集中使用されたユーゴスラビア・コソボ自治州南部に治安維持部隊を派遣しているドイツ国防省幹部は5日、「現段階ではコソボのドイツ兵の中に健康被害は確認されていない」と語った。
米国が4日、従来の姿勢通りに劣化ウラン弾が及ぼす健康被害との因果関係を否定したのを受ける形で、自国兵に尿検査などを行ったトルコやカナダ、スイスなども否定。自国兵に白血病患者が出たフランスやスペイン、ハンガリーも「現状では白血病と劣化ウラン弾との関係は立証できない」(仏国防相)などと述べ、相次ぐ報道で劣化ウラン弾への疑惑が国内で膨らむのを打ち消している。
NATOのロバートソン事務総長も5日までにイタリア側の疑問に答える形で、これまで明らかになっていないボスニアでの同弾の使用地点などを調査する意向を伝えた。同弾に関する詳細な情報は米軍だけが持っているため、NATOとしても米軍に対して情報公開を求め、来週予定されている大使級理事会で明らかにする見通しだ。
一方、5日付のイタリア紙レプブリカは新たにボスニアからの帰還兵2人ががんで死亡していたことが判明、「バルカン症候群」による同国兵の死者は8人になったと報じた。またボスニアやコソボに派兵しているロシア軍は5日、自国兵に対する白血病などの健康検査を行う意向を示した。(毎日新聞 2001/01/06)

クローズアップ:バルカン症候群 情報不足広がる懸念
沖縄・鳥島の米軍誤射事件で日本国内からは撤去された劣化ウラン弾がいま、ヨーロッパで新たな疑惑の焦点になっている。ユーゴスラビア・コソボ自治州やボスニア・ヘルツェゴビナに駐留する北大西洋条約機構(NATO)軍に参加したイタリア、フランス兵らの間で、がんや白血病を発症する「バルカン症候群」の事例が相次ぎ、米軍を中心に空爆で使用された劣化ウラン弾との因果関係が取りざたされている。米欧当局は関連を否定しているが、欧州を席巻した不安はぬぐい去れずにくすぶっている。

●悲しみの遺族

「軍病院は最初、息子の病気の原因をストレスと決めつけ、入院さえさせてくれなかった」
イタリア・サルデーニャ島カリアリ近郊の山村ヌクシス。1999年9月に白血病で死亡した兵士、サルバトーレ・バッカさん(当時23歳)の遺影の傍らで、黒衣の母親ペッピーナさん(55)が目頭を押さえた。
婚約者との結婚資金をためようと入隊したサルバトーレさんは98年11月、ボスニア・ヘルツェゴビナ平和安定化部隊(SFOR)に参加し、サラエボ近郊のセルビア人居住地域に派遣された。入隊前の8月に受けた血液検査では何の異常も発見されなかった。
99年4月、吐き気や下痢、原因不明の手足の出血のために休暇をとって帰国した。サッカーで鍛えた身長180センチのサルバトーレさんの体重は激減し、55キロになっていた。首のリンパ腺に腫瘍(しゅよう)ができ、7月にはじん臓障害や肺水腫を併発。8月に白血病と診断され、がん病棟に移されて3週間後、息を引き取った。
この出来事を契機に、北大西洋条約機構(NATO)軍が劣化ウラン弾を大量使用したボスニア、コソボへの派遣兵士の間に広がる原因不明の疾患が相次いで報道された。欧州では「バルカン症候群」と呼ばれるようになった。しかし、伊国防省やNATOは「劣化ウラン弾を原因と考えるには発病までの期間が短すぎる」と冷淡だった。
サルバトーレさんの死に続き、バルカン地域への従軍者など兵士6人の白血病死が明らかになる中で、マタレラ伊国防相はそれまで全面否定していたボスニアでのNATOによる劣化ウラン弾使用の事実を一転して認めた。
初めて大量の劣化ウラン弾が実戦使用された湾岸戦争がぼっ発(91年1月)する直前、サルデーニャ南部のテウラーダ伊軍基地で米軍が参加して行われた対戦車砲撃演習に、同弾が使われていた可能性も浮上した。当時、兵役で基地におり、戦車や砲弾の破片を素手で回収した兵士が白血病になって94年5月に22歳で死亡していたからだ。
北部に比べて貧しい南部の中でも、失業率が30%にも達するサルデーニャやシチリアでは、兵役を終えた若者がそのまま志願兵となってバルカンへ派遣されたケースが多く、被害者は両島出身者に目立つ。
地元紙「ウニオネ・サルダ」の編集局長(32)は「志願兵は軍のかん口令で証言できないが、兵役の若者たちに不信感が広がっている。実態は明らかになってくるだろう」と言う。同紙記者(30)は「サルデーニャだけで、死者2人のほかに、バルカン地域に派遣された経験のある兵士少なくとも4人が白血病やがんの治療を続けている」と話している。【カリアリ(伊サルデーニャ)・井上卓弥】

●自国兵保護に使用

なぜ、ボスニアやコソボで劣化ウラン弾が使われたのか。
NATOは欧州17カ国と米国、カナダで構成する軍事同盟。冷戦が終結し、東西陣営の対立の構図が消えた1990年代、NATOは地域紛争対応型へと役割の重点を移し始めた。この紛争介入の舞台になったのが94年に初の空爆を行ったボスニア内戦で、99年のコソボ紛争がこれに続いた。
NATOの盟主・米国は自国兵が犠牲になる危険のある地上戦には慎重で、空爆主体の軍事介入に傾く。高度の上空からA10対地攻撃機などで戦車部隊を攻撃するために破壊効果が大きい劣化ウラン弾を使用する選択は、米軍の論理からすれば自明の結論だった。
同じように劣化ウラン弾が大量使用された湾岸戦争と異なるのは、空爆後に和平協定が結ばれ、NATO自体や欧州諸国の兵士が国際平和維持部隊として現地に長期滞在している点だ。しかし、米軍は劣化ウラン弾の正確な使用状況など詳細な情報について、平和維持活動に従事する他のNATO加盟国部隊に十分に伝えていなかった。「米軍が(劣化ウラン弾の)影響はないと説明する以上、問題ではない」と現地のフランス軍医は語るだけだ。
さらに、劣化ウラン弾の被弾地域で暮らす住民たちへの影響も不明なままだ。人体被害や環境汚染が心配されながら、行政当局が実態究明に及び腰で、貧弱な医療施設では住民の健康調査も実施し切れない。
NATOや欧州各国政府は「劣化ウラン弾が人体に及ぼす影響は立証できない」(米国防総省)という公式見解を踏襲している。しかし、米軍の情報公開が進まない中で、「バルカン症候群」への疑惑と懸念が膨らみ、欧州では劣化ウラン弾の使用中止を求める世論が高まりつつある。【ブリュッセル・森忠彦】

●米国は因果関係否定

米政府は「バルカン症候群」といわれる症例が実際に存在するかどうかを疑い、これと劣化ウランを結び付ける考え方に強く反発している。劣化ウラン弾は湾岸戦争で多用され、米国ではその後、白血病や貧血などを含む湾岸戦争症候群が問題化した。米国防総省は96年ごろから劣化ウランと同症候群の関連を調べ、直接的な因果関係には否定的な報告書をまとめている。
こうした調査は欧州諸国も承知しており、国防総省高官は「貫通力の強い劣化ウラン弾は、コソボ紛争などでNATO軍兵士の安全に寄与した」と述べ、今さら問題にするのはおかしいと主張する。「バルカン症候群」が問題化した背景として、圧倒的な軍事力を誇る米国に対する欧州の反感を指摘する見方も強い。
ただ、国防総省の調査で劣化ウランの「安全性」が完全に立証されたわけではない。官主導の調査がいま一つ透明性を欠くのも確かで、欧州などの中立機関による包括的な調査を期待する声もある。【ワシントン・布施 広】

<劣化ウラン弾> 天然ウランの濃縮処理過程で派生する劣化ウランを弾頭に使用した砲弾で、貫通性に優れる。米軍が湾岸戦争(1991年)でイラク戦車部隊に大量使用。米英の従軍兵に発生した疾患「湾岸戦争症候群」との因果関係が問題となった。
NATOはボスニア(94〜95年)で約1万発、コソボ(99年)で3万1000発を撃ち込んだと認めている。現地の国際部隊に「バルカン症候群」と呼ばれる同様の健康被害が現れ、原因究明を求める声が高まっている。
日本では95〜96年、米海兵隊が鳥島爆撃場で1520発を誤射したことが発覚。在日米大使館は97年8月、在日米軍基地の劣化ウラン弾をすべて撤去したことを明らかにした。(毎日新聞 2001/01/07)

NATO、劣化ウラン弾の危険性認識 内部文書で判明
バルカン半島で北大西洋条約機構(NATO)軍が使った劣化ウラン弾について、NATOが1999年夏に、劣化ウラン弾による健康被害の可能性を指摘していたとするドイツ国防省の内部文書がある、と8日付の独紙ベルリナーモルゲンポストが報じた。
同紙が伝えた99年7月16日付の文書によると、NATOは同月初め、バルカン半島の作戦で使われた劣化ウラン弾に毒性がある可能性を指摘した上で、予防手段をとるよう奨励してきた。文書は国防次官名で出され、NATO側には同弾の「毒性」による汚染を除去する計画はない、とも指摘した。
劣化ウラン弾による健康被害への懸念は、バルカン半島に派遣されたイタリア軍兵士らが白血病で死亡したことなどから問題化した。ドイツではユーゴスラビア空爆に参加したり、その後ユーゴのコソボ自治州に派遣された約6万人の連邦軍兵士のうち、これまで約120人を抽出して健康診断した結果、国防省が劣化ウラン弾による健康被害はないとした。しかし、99年夏に危険性を認識していたことが明るみに出て、シャーピング独国防相は世論の批判を浴びている。(朝日新聞 2001/01/08)

劣化ウラン弾:コソボ派兵以前に危険性の警告受ける 独連
【ベルリン8日藤生竹志】バルカン地域に派遣されたNATO軍兵士に「バルカン症候群」と呼ばれる健康被害が相次ぎ、劣化ウラン弾との関連が疑われている問題で、ドイツ国防省報道官は7日、独連邦軍が1999年7月のコソボ派兵以前にNATOから劣化ウラン弾の危険性について警告を受けていたことを認めた。報道官によると、軍は予防措置を取るよう指示されていたという。
ドイツではこれまでのところ、97年8月から11月まで工兵部隊の下士官としてボスニアのモスタルに駐留し、98年初めに白血病を発病した元連邦軍兵士(25)の症例が見つかり、この元兵士のケースを再調査。しかし、シャーピング国防相は7日、「白血病発病はボスニア派遣が原因かどうか疑わしく、劣化ウラン弾が原因であるとは思えない」と、因果関係に否定的な見方を示した。(毎日新聞 2001/01/08)

駐留米軍が演習で劣化ウラン弾使用=80年代から独国内に
【ベルリン9日時事】9日付の独紙ウェルトは、在独駐留米軍が1980年代半ばから、「バルカン症候群」との因果関係が注目されている戦車用劣化ウラン弾を大量に独国内の武器庫に保管し、一部を演習で使用していたと報じた。独国防省はこれまで、駐留米軍の演習は安全が確保されており、劣化ウラン弾は使用されていないとの見解を示していた。
同紙によれば、劣化ウラン弾の保管が始まったのは、北大西洋条約機構(NATO)に戦車部隊が導入されたころ。独連邦軍高官は同紙に対し、ユーゴ空爆などの際に、独南部の2カ所の演習場で「実際に使用された可能性を排除しない」と指摘した。(時事通信 2001/01/09)

「因果関係は証拠ない」 劣化ウラン弾 米国務長官
【ニューヨーク8日共同】オルブライト米国務長官は8日、ユーゴスラビア・コソボ自治州などからの帰還兵が白血病となり、北大西洋条約機構(NATO)が使用した劣化ウラン弾との関連が疑われている問題で「(両者の)因果関係については証拠がない」と述べた。
長官はまた、旧ユーゴ国際戦犯法廷(ハーグ)に起訴されているミロシェビッチ前ユーゴ大統領を裁く問題で「(裁判は)ハーグで行われるべきだ」と述べ、ユーゴのコシュトニツァ政権周辺から浮上しているユーゴ国内での裁判は認められないとの考えを示した。(共同通信 2001/01/09)

劣化ウランと白血病の因果関係を否定 世界保健機関
バルカン半島で北大西洋条約機構(NATO)軍が使った劣化ウラン弾に健康被害の疑念が出ていることについて、世界保健機関(WHO)の専門家は8日記者会見し「劣化ウランを含む粉じんを長期間吸引し続けると、肺がんの発生率が高くなる可能性は理論的にあるが、白血病との因果関係は確認できないし、ありえないと思う」と語り、白血病との関係に否定的な見解を示した。
同専門家によると、劣化ウラン弾が目前で爆発した場合、最悪でも1回当たりの被ばく量は最大10ミリシーベルト(放射線被ばくの共通単位)程度で、原発作業員らの年間の許容量である20ミリシーベルトより低いという。WHOは2月末までに、劣化ウランが健康に及ぼす影響をめぐる報告書をまとめる予定。
劣化ウラン弾の影響については、国連環境計画(UNEP)も調査を続けており、3月に最終報告を公表する。(毎日新聞 2001/01/09)

劣化ウラン弾多数死亡か ボスニア・ヘルツェゴビナのハジチ
【ウィーン9日共同】1995年に北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆にさらされたボスニア・ヘルツェゴビナのハジチ村から脱出した村民約5000人のうち約400人がこれまでに、主にがんで死亡していたことが9日、明らかになった。専門家は空爆で使われた劣化ウラン弾が関係しているとみている。
ユーゴスラビアの独立系ベタ通信によると、ボスニア東部ブラトナツのヨバノビッチ保健センター長は9日、首都サラエボ近郊のハジチからブラトナツに逃れた難民のがん死亡率が異常に高く、劣化ウラン弾による放射能被ばくが原因だった可能性があると述べた。
大半がセルビア人住民だったハジチには旧ユーゴ軍の兵器工場があり、これを破壊するため劣化ウラン弾が大量に使用されたとみられる。(共同通信 2001/01/10)

ユーゴからの帰還兵6人が入院=劣化ウラン弾問題−仏
【パリ11日AFP=時事】フランス国防省当局者は11日、劣化ウラン弾問題に関連し、旧ユーゴスラビア地域で平和維持活動に従事後、これまでに白血病などで入院した仏軍の帰還兵は6人であることを明らかにした。(時事通信社 2001/01/11)

劣化ウラン弾:ギリシャ兵65人がコソボ派遣を拒否
【ローマ10日井上卓弥】10日付のアテネの地元紙「アテネ・ニュース」によると、コソボ平和維持部隊(KFOR)参加兵の交代期(1月半ば)を控え、ギリシャ国防省が8日に実施した志願確認調査の結果、コソボ勤務を希望していたギリシャ人兵士340人のうち、65人が「バルカン症候群」への不安などを理由に志願を取り下げた。
ギリシャは兵士約1400人をコソボに派遣しているが、軍人団体が9日、全員ををただちに帰還させるよう政府に要請するなど、バルカンに駐留した兵士が白血病やがんを発症する「バルカン症候群」への恐怖と、劣化ウラン情報を伏せてきた米英など北大西洋条約機構(NATO)中枢部に対する反発が高まっている。
バルカン半島南端に位置するギリシャは、地理的な条件や同じ東方正教を信じるセルビア人への親近感から、NATOのユーゴスラビア空爆(1999年春)に最も強硬に反対した。現在も米英に対する反感は根強く、「バルカン症候群」問題を契機に、KFOR参加拒否を唱える左翼系団体の抗議行動も活発化している。
ギリシャでは98年にボスニア平和安定化部隊(SFOR)に参加した兵士1人が白血病を発症したことがわかったばかりで、国防省が劣化ウランとの関係を調査している。(毎日新聞 2001/01/11)

劣化ウラン弾:英軍は以前から危険性を認識と報じる 報道各社
【ロンドン11日岸本卓也】白血病など人体への悪影響が問題になっている劣化ウラン弾について、BBC放送など英報道各社は11日、4年前に英軍内部で作成された有害性を指摘する報告書を基に「国防省は以前から危険を認識していた」と報じた。発がん性などの症状との因果関係を否定する英国防省は「作成された書類は下士官の下書きであって幹部は採用していない」と弁解している。
報告書は1997年3月4日付の軍人向けの「医学リポート」と記され、劣化ウラン弾が破裂した際の粉じんを吸いこむことにより「二酸化ウランの粒子が体内に蓄積する」と指摘。二酸化ウランの「毒性は低い」としながらも「放射能によって肺やリンパ節などのがんを誘発する恐れがある」と強調している。
また、報告書は戦場でのウランの量は基準の8倍にもなるとして、防御用マスクなどの着用で粉じんの吸入を極力少なくするように警告している。一方、報告書とは別に、各報道機関は「ウラン粉じんが約50キロ四方にわたって浮遊し、地域住民の健康にも悪影響を与える」との専門家の話も紹介している。
バルカン地域に派遣した自国兵士に白血病が多発したイタリアなどの欧州各国政府の懸念に対して英政府は米政府とともに劣化ウラン弾と健康被害の因果関係を否定し、「湾岸戦争の帰還兵にも異常はない」と主張している。しかし、湾岸戦争に派遣された元兵士の間でも白血病などの「湾岸戦争症候群」が問題化している。(毎日新聞 2001/01/11)

コソボ空爆後、がん患者急増=「劣化ウラン弾原因」と病院
【コソブスカミトロビツァ(ユーゴスラビア・コソボ自治州)11日AFP=時事】ユーゴスラビア・コソボ自治州北部コソブスカミトロビツァの病院関係者は11日、劣化ウラン弾問題に関連し、1999年の北大西洋条約機構(NATO)軍によるコソボ空爆後、同病院に入院するがん患者数が200%増加し、昨年は160人に達したと指摘した。
同関係者はAFP通信に対し、「患者の4割は劣化ウラン弾による空爆を受けた地域の出身者だ」とした上で、「がん患者がこれほど増加した原因は、劣化ウラン弾以外に考えられない」と非難した。
また、「未検査の者が多く、がん患者はまだまだ増える恐れがある」と警告している。
ただ、この関係者は、劣化ウラン弾との因果関係について、科学的な根拠を示していない。(時事通信 2001/01/12)

劣化ウラン弾:1年前までの使用を認める イスラエル軍
【エルサレム11日海保真人】イスラエル軍は11日、1年前まで劣化ウラン弾を使用していたことを初めて明らかにした。
軍報道官によると、劣化ウラン弾は海軍が空と海上の標的のみを対象に用い、約1年前に使用をやめた。具体的な使用場所や中止の理由は明らかにしなかったが、レバノンとの国境紛争では使わなかったとしている。兵士の健康被害などは確認されていないという。
イスラエル軍はこれまで劣化ウラン弾の使用を公式には認めていなかったが、欧州での問題化を機にイディオト・アハロノト紙が11日、過去の使用を報じた。同紙によれば、1985年に地中海でパレスチナ・ゲリラの船を撃沈したのが最初の使用だったという。(毎日新聞 2001/01/12)

劣化ウラン弾:兵士の本国帰還認める ギリシャ国防相
【ローマ12日井上卓弥】ユーゴスラビア・コソボ自治州を訪問中のギリシャのツォハツォプロス国防相は12日、コソボ平和維持部隊(KFOR)に参加しているギリシャ人志願兵に対し、「劣化ウラン弾の健康への影響に不安を感じる者には帰国を認める」と述べた。バルカン地域駐留兵士の健康被害「バルカン症候群」が問題化して以来、KFORに参加する北大西洋条約機構(NATO)加盟国のうち、兵士の本国帰還を認めたのは初めて。
ギリシャは志願兵約1400人をKFORに派遣しているが、今月半ばに予定される兵員交代期を前に、コソボ派遣が決まっていた志願兵約330人のうち、12日までに100人近くが希望撤回の意思表示をするなど、「バルカン症候群」への不安が高まっている。同国防相は記者団に対し、「劣化ウラン弾による健康被害の可能性が存在する限り、たとえ1人の兵士であっても、本人の意思に反してコソボに駐留させることは好ましくない」と述べた。
NATO加盟国の中で米英は劣化ウラン弾と「バルカン症候群」の関係を否定しているが、因果関係を追及するギリシャや独伊との溝がさらに深まりそうだ。(毎日新聞 2001/01/13)

原水協、米英などに劣化ウラン弾使用禁止を要求
原水爆禁止日本協議会(原水協、共産党系)は13日、北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴスラビア空爆で使用された劣化ウラン弾でコソボ自治州などで白血病が多発するなどの影響が出ているとされる問題で、劣化ウラン弾の使用禁止を求める文書を米国、英国、NATO本部、国連事務総長あてに送付した。日本政府には、在日米軍の劣化ウラン弾配備や演習での使用の実態の調査、公表などを求めた。(朝日新聞 2001/01/14)

「バルカン症候群」 NATOがウラン弾説否定
【ブリュッセル16日=三井美奈】北大西洋条約機構(NATO)の医療関係者による専門家委員会は16日、バルカン半島で平和維持活動に参加した兵士が白血病やがんを発病する「バルカン症候群」と、劣化ウラン弾との因果関係を否定する調査報告を発表した。
NATO欧州側では、バルカン症候群は、一昨年のNATOの対ユーゴスラビア空爆などの際に、米軍が使用した劣化ウラン弾に起因するとの懸念が高まっている。
このため、同委員会は15日の特別会合で、NATO加盟国から提供されたデータや調査を基に分析。「バルカン半島派遣兵の発病率や死亡率が、派遣されていない兵士より高いとは認められない」との結果を得た。報告は、NATOが設置した特別調査委員会に提出される。(読売新聞 2001/01/17)

ソマリアでも使用か 米軍の劣化ウラン弾
【ベルリン20日共同】22日発売予定のドイツ週刊誌シュピーゲルは、米軍がアフリカ東部のソマリアでも、がんとの因果関係が疑われている劣化ウラン弾を使用していたと報じた。
同誌が入手した米軍の内部文書によると、1993年に国連平和維持活動(PKO)でソマリアに展開した米軍当局は「被ばくで多数の被害者が出ている」として、衛生兵に安全管理の徹底を指示していた。
同誌によると、米軍は劣化ウラン弾の危険性について、国連や他のPKO参加国、地元住民らに知らせていなかったという。(共同通信 2001/01/20)

国連 劣化ウラン弾の毒性を実証
国連環境計画(UNEP)は17日、コソボ地区で北大西洋条約機構(NATO)が使用した劣化ウラン弾の破片からウラン236を確認、これは劣化ウラン弾にある劣化ウランが「処理された劣化ウランであることを証明している」と指摘した。
科学者らによると、劣化ウラン弾は着弾すると、弾頭の含まれているウランとプルトニウムが気化して微粒子となり大気中に放出され、呼吸を通じて肺に取り込まれる。プルトニウムの放射性はウランの20万倍あり、毒性も100万倍あると言われ、例え微量であっても健康に影響を与え、肺がんや骨がんなどの発病率が高まる。(人民日報 2001/01/20)

健康被害の増加認められず 劣化ウラン弾でNATO委
【ブリュッセル24日共同】劣化ウラン弾問題に関する北大西洋条約機構(NATO)の専門委員会は24日、バルカンに派遣されていない兵士らと比べ、帰還兵の健康被害が増えている事実は認められないと発表した。
NATO加盟国の軍医総監らで構成する軍医長委員会は16日、同様の中間報告を発表しており、今回の現状報告もこれを踏襲する内容となった。
専門委は、NATO非加盟国を含め、同委に参加している約50カ国と5つの国際機関から得た情報を検討した結果、「健康被害と劣化ウラン弾の関連を裏付ける報告をした国はなかった」としている。
NATOは同日、情報開示の一環として、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争での劣化ウラン弾の使用状況に関する地図をインターネット上で公開した。(共同通信 2001/01/25)

欧州会議が禁止求め決議 劣化ウラン弾
【パリ25日共同】欧州と旧ソ連諸国など計43カ国で構成する欧州会議は24日の総会で、北大西洋条約機構(NATO)軍が旧ユーゴスラビア地域の紛争で使用し、多数の兵士らの発がんが報告されている劣化ウラン弾について「全面禁止」を求める決議を採択した。
決議は劣化ウランを使用した兵器について「製造、実験、使用、販売の禁止を求める」とした上で、NATOと国連に対し、旧ユーゴ地域に住む市民や従軍兵士、紛争地域で活動した非政府組織(NGO)メンバー、記者らの健康被害調査を実施するよう要請した。(共同通信 2001/01/25)

国連、劣化ウラン弾破片からウランを検出 コソボ
国連環境計画(UNEP)のバルカン調査チームの責任者は24日、同チームによる調査により、NATO(北大西洋条約機構)がコソボで使用した劣化ウラン弾の破片からウラン(236)が検出されたことを明らかにした。
同責任者は、イタリアの環境省副省長との会談後開かれた記者会見の席で、上のように述べた。また調査チームはコソボの11の地域で調査を行い、水、土、植物、ウラン弾の破片など340種類をサンプルとして持ち帰り、現在検査が進められていることも明らかになった。結果は3月初めには発表される予定。
同責任者によると、「現在の状況から判断して、劣化ウラン弾の影響はないという説は明らかに間違ったものである」と述べ、ウラン(236)が、児童、動物、地下水に大きな悪影響を及ぼす可能性が高いとの考えを明らかにした。さらに対象地域以外の場所にも汚染が広がる危険性についても言及した。(人民日報 2001/01/26)

イラク:劣化ウラン弾の健康被害を見る
湾岸戦争(1991年)で、多国籍軍の主体となった米軍が劣化ウラン弾を大量使用したイラクでは、開戦から10年を経た今、がんなどの健康被害を訴える住民や元兵士が急増している。だが、国連経済制裁下、劣悪な医療事情などのため、原因究明に向けた科学的な実態調査は緒に付いたばかりだ。ボスニア・ヘルツェゴビナ(94〜95年)、コソボ(99年)紛争で使用された劣化ウラン弾と健康被害との関連に、改めて世界の関心が集まる中、劣化ウラン弾使用の“先進地”といえるイラクの現状を見た。【イラク南部バスラ、ハルサで小倉孝保】

イラク南部の中心都市・バスラ(約150万人)にあるバスラ小児・産科病院。モハメド・ホージーちゃん(5つ)は7カ月前に白血病と診断され、入院中だった。実母を1年前にやはり白血病で亡くしたばかりだった。担当のスリン・シルブ医師は「家族や兄弟が相次ぎ、がんや白血病になるケースが目立つ。湾岸戦争前には見られなかった現象だ」と話す。付き添いの叔母、アベドさん(32)は「戦争が終わった後も、なぜ、こんなに苦しまなければならないのか・・」とため息をついた。
湾岸戦争では米軍がイラクの戦車部隊などに対し、95万発、約300トンもの劣化ウラン弾を使用したとされる。その多くが、激戦地となった、クウェート国境に近いイラク南部で使われた。
戦後、イラクでは白血病やリンパ腫などの患者が目立つようになった。イラク保健省によると、バスラ州のがんによる死者は戦前の1988年が33人だった。だが、戦後の94年には219人に急増、97年303人、98年428人、99年450人と患者数は増加の一途だ。また、90年に人口10万人当たり11人だったがんの発生率は、昨年は83人と約7.5倍になった。
バスラ医大付属病院がんセンター長、ジャワッド・アリ医師は「詳しい調査が不可欠だが、これだけ急増している原因は劣化ウラン弾の影響しか考えられない」と指摘する。最も被害が集中しているとみられるのは、バスラ近郊の都市ハルサ(約15万人)だ。アリ医師は「兄弟6人全員ががんを発症した例もある。このあたりにペルシャ湾岸からの海風が吹き付けることと関係しているのでは」と証言する。
ハルサに住む会社員、ファーレハ・マシュートさん(51)は「この街の住民は体調が悪くなると、すぐ劣化ウラン弾と関係があるのではと疑うようになった。だが、きちんとした調査は手つかずで、住民は今も『見えない敵』と戦っている」と話した。
バスラ医大付属病院では、1年ほど前から、腰に痛みを感じていたというイラク海軍の兵士、ドゥライド・サアドさん(35)がレントゲン写真を前に、医師からせき髄がんの宣告を受けていた。
サアドさんは湾岸戦争当時、イラクのペルシャ湾への拠点の1つ、ウンム・カスル港で兵士として勤務した。連日、多国籍軍の空爆の下で働いた記憶がある。医師は「爆撃によって飛び散ったウラン微粒子を大量に吸い込んだ可能性がある」と言う。妻と長男(10)と長女(6)を抱えるサアドさんは「ショックで何も考えられない。家族の将来が心配だ」と消え入りそうな声で話した。

◆被害調査ようやく

イラク保健省は非政府組織(NGO)の医療、環境問題の専門家らとともに「劣化ウラン弾調査対策委員会」を結成、世界保健機関(WHO)などと、徐々にだが、被害調査と対策の検討を進めてきた。だが、国際機関による本格的な現地調査は欧州で劣化ウラン弾問題が注目され始めたのを受け、今月19日、WHOの専門家5人がイラク入りしたのが初めてだ。
同委メンバーのサミ・アラジ博士(環境工学)は「劣化ウラン弾が使用された地域では、健康被害が年々、拡大して行くことをイラクの例が証明している」と指摘、国際社会が被害救済の仕組みを早急に構築する必要性を訴えた。(毎日新聞 2001/01/27)

人体への影響に否定的見解=劣化ウラン弾問題でEU専門家委
【ブリュッセル6日時事】欧州連合(EU)の独立専門家委員会は6日、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ユーゴスラビア・コソボ自治州で北大西洋条約機構(NATO)軍が使用した劣化ウラン弾の人体への影響に関する報告書を発表、劣化ウラン弾とがんや白血病との間に因果関係があるとの見方に否定的な見解を示した。
同委員会は「現時点で入手可能な情報に基づき調査した結果、劣化ウラン弾からの放射線が(がんなどの形で)健康に明らかな影響を及ぼすことはなかったとの結論に達した」とした。さらに白血病に関して「ウランが骨髄などの組織に蓄積されることはほとんどない」と指摘、「白血病にかかる危険性は極めて小さい」との結論を示した。(時事通信 2001/03/06)

コソボで微量のプルトニウム検出 劣化ウラン弾影響報告
国連環境計画(UNEP)は13日、ユーゴスラビア・コソボ自治州に対する空爆作戦の際に、北大西洋条約機構(NATO)軍が使った劣化ウラン弾について、健康と環境に対する影響調査の最終報告を公表した。それによると、通常のウラン238に加えて、自然界にはほとんど存在せず、原子炉内でできるとされる放射性のウラン236やプルトニウム239、240を検出した。
いずれも微量のため、ただちに健康や環境に悪影響を与えることはないとされるが、ウラン弾の製造に原発の使用済み燃料の再処理工程などで生じる廃棄物を使用している疑いが高く、今後論議を呼びそうだ。
最終報告は、調査の過程でみつかった7.5個分の劣化ウラン弾の着弾地点で低いレベルの放射性物質が検出されたが、汚染は広がってはいない、としている。ただ、地下に埋められたウラン弾や汚染した衣服による地下水汚染の危険性を指摘。世界保健機関(WHO)の飲料水の健康基準に達しなくなる可能性があるとみている。
UNEPとしては、当面の危険性はないとしつつも(1)劣化ウラン弾や汚染服の除去(2)着弾付近住民への情報の徹底、など予防的措置を取るよう求めている。(朝日新聞 2001/03/13)

劣化ウラン弾:アドリア海などに投棄 環境相会議で懸念表明
【ローマ16日井上卓弥】イタリア、ギリシャ、ユーゴスラビアなどアドリア海とイオニア海に面する7カ国の環境相らは16日、イタリア中部・アンコナで会議を開き、北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴ空爆(1999年春)の際、イタリア国内の空軍基地への帰路に両海域に投棄された劣化ウラン弾などによる環境汚染への懸念を公式に表明した。
参加した環境相らは会議後、「海上で投棄された汚染物質や劣化ウランを含む武器・弾薬の存在を危惧する」との共同声明を発表。各国が今後、共同で海域の浄化を進め、不発弾問題を科学的に分析する公開討論会を開催することなどを決めた。(毎日新聞 2001/03/17)

劣化ウラン弾:NATOボスニア空爆 がん併発、異常な症例。劣化ウラン弾原因?
ボスニア・ヘルツェゴビナで北大西洋条約機構(NATO)軍が空爆を強行してから約6年がたった。NATOは今年1月、ボスニア空爆で3地域の劣化ウラン弾使用を公表したが、健康被害などとの因果関係は否定した。だが被災地では不思議な症状の病例報告が相次いでいる。科学的な関連立証がないまま、患者らは原因不明の病に苦しんでいる。【ボスニアで福井聡】

「なんとも不思議な症状が増えている」。ボスニアの首都サラエボ近郊のカシンドゥ総合病院のズドラーレ院長(51)が首をかしげる。
院長によると、白血病やガンなど悪性血液症の患者は95年は43人だったが、NATO空爆(95年8〜9月)を境に過去5年間で急増し続け、00年は年間248人に達した。患者の症状は、例えば腸がんと腎臓がんなど、同一患者の体内で別のがん細胞を持つ例が非常に多いという。
同病院はサラエボ南15キロのセルビア人共和国内にあり、周辺には95年の空爆などで難民化したセルビア人が多く移り住んでいる。NATOは今年1月、サラエボ周辺、同市西郊ハジッチ、東部ハンピエサクの3地域での軍事施設攻撃で劣化ウラン弾を使用したことを認めた。
患者の1人の血液を調べたビンチャ核科学研究所(ユーゴスラビア連邦ベオグラード)のパブロビッチ博士は「現時点で劣化ウランが原因と特定できないが、患者のじん臓腺ガンはおそらく大気中の劣化ウランの塵が肺から血液に入って起きた悪性血液疾患ではないか。結腸がんは血液でなく食物経由のしゅようだろう」と話す。
中北部ドボイにあるドボイ総合病院のバーシッチ泌尿器科医長も前例のない症例続出に頭を抱えている。泌尿器科に来た患者数は89〜94年の5年間は185人だったが、空爆以降の95〜00年は324人に増え、ぼうこうの悪性しゅよう患者はかつて一度手術でガンを削除すれば再発率が少なかったが、過去5年間は「同じぼうこう内で術後も再発する頻度がより多く、発症の期間がより短くなっている」。
また、じん臓がんの患者がまったく別の細胞からなる肺がんを発症するという例が起きるようになり、「こういう患者はかつてはいなかった」という。
ドボイ東郊の通信塔7基は95年の空爆を受け、NATOの公表地域には入っていないが、空爆後の劣化ウランによる放射能検出が確認されている。
医長は1年半前に死亡した患者のスライドを示した。ドボイ近郊在住の男性(当時63歳)で、右首筋に大きなしゅようが表出していた。このガン細胞を調べてみるとぼうこうがんの細胞で、死後検出したところ首筋からぼうこうまで体内を60センチ以上にわたってがん細胞が管のようにつながっていたという。
「ぼうこうがんは下腹部に転移することはあるが、上半身の、しかも首筋まで転移するなど医学の常識では考えられない」。医長は今も驚きから覚めやらない。(毎日新聞 2001/08/04)

劣化ウラン弾:不発弾持ち帰り白血病に 病気の証拠捨てきれず
「こんなもの、本当にどうしようもないものだ」。ボスニア東部ブラトナツの自宅玄関脇で、ある不発弾を見せながらエルチッチさん(48)が吐き棄てるように言った。
エルチッチさんは中部ハジッチにあったセルビア人勢力の軍事車両修理工場に務めていた。ハジッチは95年12月の和平協定締結後にボスニア連邦(イスラム教徒、クロアチア人で構成)領となったため、工場をセルビア人共和国内のブラトナツに移転し、それに伴って従業員やセルビア人関係者も集団移住した。NATOは今年1月、95年9月5日の同工場への劣化ウラン弾攻撃を認めた。
工場幹部は空爆終了後、従業員全員に破壊された工場の整理と清掃を命じた。同時に、空爆で投下された爆弾痕など軍事物資として再生できる部品の収集も行われた。エルチッチさんは何の疑問もなく命令に従い、多くの同僚がそうしたように、劣化ウラン弾とみられる不発弾(直径3センチ、長さ12センチ)1発を記念に自宅に持ち帰った。
98年に体のあちこちに異変が始まり、病院で白血病と診断された。体力と視力が落ち、後頭部がはげ上がり、手のひらがカサカサになった。
医者には原因不明といわれたが、ベオグラード大学医学部に通っている長男が、「空爆時の劣化ウラン弾と関係があるのはないか」と指摘した。ほかに原因に心当たりはなかった。それまで記念に居間の飾り棚に置いていた劣化ウラン弾をあわてて捨てた。いや、迷いに迷って玄関脇に積んである薪の束の中に紙に包んで隠した。病気の原因かもしれないと思うと、消し去ることができなかった。
工場の同僚の多くが同じような症状に苦しみ、何人かは死んでいった。兄(当時57歳)と妻(同46歳)はハジッチの自宅近くが空爆され、その後同じような症状を起こした後、98年と99年に相次いで他界した。
エルチッチさんは「広島の被爆者がまだ生きていると本で読み、励まされた。私のことは良い。NATOへの怒りももう消えた。しかし、セルビア人全体が戦争犯罪者だと受け取られることだけは我慢できない。」と話した。【ブラトナツで福井聡】(毎日新聞 2001/08/04)

「米軍が化学兵器使った疑い」 タリバーンが非難
アフガニスタンからの報道によれば、タリバーン政権のアッバス保健相とアフガン人医師らは29日、カブールで記者会見し、「米軍がアフガン空爆で化学兵器や劣化ウラン弾を使用している疑いがある」と語った。
空爆で負傷した患者らを治療しているワジリ医師は「12歳と15歳の少女と15歳の少年が空爆で負傷して運ばれてきた。3人とも外見は軽傷だったが、呼吸困難をきたしたほか、内出血し、数時間で死亡した」という。さらに同医師は「ほかにも同様の空爆犠牲者を診たが、いずれも呼吸困難と内出血が特徴だ」とし、「米軍が化学兵器を使用している疑いが濃厚だ」と言っている。アッバス保健相は「米軍はコソボで使った劣化ウラン弾をアフガンでも使っている疑いがある」と語った。(朝日新聞 2001/10/30)

劣化ウラン弾:腎臓に障害 英国王立学士院の研究班が報告書
【ロンドン岸本卓也】米国などが湾岸戦争などで使用した劣化ウラン弾による健康被害を調査していた英国王立学士院の研究班は12日、使用された劣化ウラン弾から出る物質は腎臓に障害を起こすという報告書をまとめた。
報告書によると、使用された劣化ウラン弾から飛び散った物質が空気中から吸入されたり、水などとともに体内に入ると腎臓にたまる。かなりの量が蓄積されると急性の腎臓病を起こすことがわかった。研究班は劣化ウラン弾によって汚染された土壌や水による健康被害は大人よりも子供に危険が大きいと警告した。
王立学士院は昨年5月にも「劣化ウラン弾から出る粉じんは肺がんを起こす恐れがある」という報告書を出している。国連は旧ユーゴスラビア・ボスニア紛争などで米軍などが使用した劣化ウラン弾による土壌調査を進めているが、王立学士院は兵士や住民の定期的な健康診断の必要性を指摘している。(毎日新聞 2002/03/13)

劣化ウラン:ユーゴ空爆時の粒子残留 国連環境計画が発表
【ジュネーブ大木俊治】国連環境計画(UNEP)は27日、北大西洋条約機構(NATO)軍による99年のユーゴ空爆で使用された劣化ウラン弾の環境への影響に関する報告書を発表した。調査対象はセルビア、モンテネグロの計6カ所で、昨年発表されたコソボ自治州での調査報告に次ぐ第2弾。今回の調査では初めて大気中にも劣化ウランの粒子が残留していることが確認された。報告は「現時点では汚染度は低レベルで環境や健康への影響はないが、今後の継続的な監視が必要」と結論づけている。
調査はUNEPのほか国際原子力機関(IAEA)の専門家も加わり昨年10―11月に行った。
今回初めて実施した大気中のサンプル調査では6カ所すべてで劣化ウランの残留粒子が確認された。濃度は年間被曝量1マイクロシーベルト以下と低く、健康への大きな被害はないと判断されるが、爆撃後2年たってもなお粒子が大気中に残っていたことはこれまでの常識を覆す結果だ。人や車の通行などによって砂塵が巻き上げられたのが原因とみられ、報告書では着弾地点付近での建設・土砂採取は行わないよう勧告している。
また6カ所中5カ所で広範囲にわたる土壌の放射能汚染を確認した。昨年のコソボでの調査同様、汚染濃度が低いため大きな健康被害はないと結論づけているが、今後は地下水への汚染浸透も考えられるため、着弾地点の封鎖と継続的な監視が必要としている。(毎日新聞 2002/03/27)

放射線の影響、孫の代まで マウスの生殖細胞に異常
【ワシントン6日共同】放射線によって起こる生殖細胞異常の発生率は、放射線を浴びなかった子や孫でも、被ばくした親と同様に高くなることを、英国レスター大のグループがマウスを使った動物実験で突き止め、7日付の米科学アカデミー紀要に発表した。
放射線被ばくによる先天異常発生の可能性が、後の世代にまで引き継がれることを示す結果で、グループは「人間への被ばくの影響を考える上で、重要な結果だ」と指摘した。
グループは、生物に与える影響の大きい中性子線と、比較的影響の少ないエックス線をマウスに照射。生まれた子を、放射線を浴びていないマウスに交配、生まれた子(孫)を、被ばくしていないマウスと再び掛け合わせた。そこで、子や孫の精子などの生殖細胞の特定の遺伝子領域に発生する異常の率を調べた。
異常の発生率は、放射線の種類とほとんど関係なく上昇。孫マウスでも、放射線を浴びていないマウスのほぼ3倍になっていることが判明。放射線の影響が、被ばくをした親やその子供だけでなく、少なくとも次の世代の生殖細胞にまで伝わることが分かった。
グループは「生殖細胞の異常が何世代にも及ぶことは、被ばくによる先天異常発生のリスクが、これまで考えられていた以上に大きいことを示唆している」としている。(共同通信 2002/05/07)

イラク副首相:米の攻撃「新たな環境破壊に」 サミットで演説
【ヨハネスブルク森忠彦】イラクのアジズ副首相は2日、当地で開かれている「環境・開発サミット」で演説し、米国が進めているイラク攻撃準備について「新たな環境破壊につながる愚行」と批判、国際社会への理解を呼びかけた。
演説の中でアジズ副首相は91年の湾岸戦争で米軍が使った劣化ウラン弾被害に言及、「放射能汚染は今も続いている」と指摘。その上で「(国連経済制裁解除に反対する)米国のせいで、イラク国民は貧しいままだ。加えて米国は新たな攻撃で、イラクに甚大な環境被害を与えようとしている」と述べ、米国のイラク攻撃が今回のサミットの狙いとされる貧困撲滅や環境保護に反すると訴えた。だが、米国が指摘する大量破壊兵器開発疑惑については触れなかった。(毎日新聞 2002/09/03)

イラク:湾岸戦争後、小児がん急増 治療法学ぶ医師が来日
湾岸戦争(91年)で大量使用された劣化ウラン弾が原因とされる小児がんに苦しむ子どもたちの治療を学ぶため来日しているイラク人医師2人は28日、東京都内の日本記者クラブで会見した。両医師は、湾岸戦争後イラクの子どもたちのがん患者が増加している現状について、写真を交えながら紹介した。
イラク南部の都市・バスラでがん患者を治療するジョワード・アルアリ医師(58)は、「劣化ウラン弾が大量に使われた結果、同市周辺で妊娠中の被爆が原因と思われる子どものがんや奇形が戦後急増した。特に奇形児が生まれる率は3倍になった」と述べた。さらに、人口約170万人の同市で、「がん発生率は戦後10倍に、がんの死亡率も20倍近く激増した」と指摘。「劣化ウラン弾の使用は、ヒロシマ、ナガサキに次ぐレベルの犯罪行為だ」と述べた。
バグダッド大医学部のフサーム・ジョルマクリー教授(67)は「経済制裁などで本や医薬品、医療機器の入手が難しく医学教育の水準も後退している」と述べ、支援を求めた。
27日に始まった国連の対イラク大量破壊兵器査察で「何も見つからなければ経済制裁は解除すべきだ」とのイラク政府の主張について、アルアリ医師は「我々は政治家ではなく医師だが、正しいと思う」と語った。【和田浩明】(毎日新聞 2002/11/28)

劣化ウラン弾:イラク南部のがん発生率、10倍以上に増加
【バスラ(イラク南部)小倉孝保、和田浩明】米国が攻撃準備を進めるイラクでは今も、湾岸戦争(91年)で米軍が使用した劣化ウラン弾によるとみられる被害で苦しむ人々がいる。激戦地となった南部バスラでは特に被害がひどく、戦争前の88年に10万人あたり11人だったがん発生率は98年75人、01年116人と10倍以上にのぼる。がんによる死者数は88年の34人から98年428人、01年603人と17倍だ。
がん治療の拠点、バスラ教育病院の医師らは「国連制裁による栄養不足、医薬品の不足などを考慮しても、これほどの数値の上昇は、劣化ウラン弾の影響としか考えられない」と口をそろえる。
医師らはまた、「バスラの患者が、より設備が整ったバグダッドの病院で治療を受ける例も多く、がん発生率はもっと高くなる可能性がある」と指摘する。
劣化ウランは、原発や核兵器などに使用するため、天然ウランを濃縮処理する過程で出てくる核廃棄物。これを使った劣化ウラン弾は貫通力に優れ、米軍は湾岸戦争でイラク軍戦車への破壊力を高めるため、劣化ウラン弾約300トンをバスラ西部で使用したとされる。
米国でも、湾岸戦争に従軍した元兵士に白血病などが多発する「湾岸戦争症候群」が問題化。米国防総省は98年の報告書で、劣化ウランが「有害物質であり、戦場を汚染する」可能性があることを認めた。専門家らは「イラクでの被害を根本的に解決するには、2000平方キロにわたって土壌表面を深さ約50センチ分取り除く必要がある」と話す。(毎日新聞 2002/12/17)

劣化ウラン弾:病院で苦しむがん患者たち イラク南部
【イラク南部バスラで小倉孝保、和田浩明】苦痛に顔をゆがめて泣き叫ぶ赤ちゃん。息も絶え絶えに一点を見つめる少女──。湾岸戦争(91年)で米軍が使用した劣化ウラン弾によるとみられる被害が最も大きいイラク南部バスラの病院は11年以上たった今も戦場のようだ。国連経済制裁のため薬も十分に届かない。米が準備を進める新たな攻撃が、こうした悲劇に追い打ちをかけるのは間違いない。
16日午後、市内を流れる川を望むバスラ教育病院。包帯が巻かれたカラール君(9)の額に、父親のモハメドさん(50)はいとおしげにキスを繰り返した。脳腫瘍(しゅよう)の手術を終えたばかりのカラール君は、同市ハルサ地区出身。劣化ウラン弾によるとみられるがん患者が多発している地域という。
カラール君は医者になるのが夢の小学生だった。得意な学科は国語。元気な毎日を送っていたカラール君が頭痛を訴えるようになり、脳腫瘍(しゅよう)と診断されたのは1年前だ。手術を受けたが、腫瘍(しゅよう)のすべてを取り除くことはできなかった。今後、設備の整った首都・バグダッドの病院で放射線治療を受けることになる。タクシー運転手のモハメドさんの肩に、交通費などの負担が重くのしかかる。
別の病室では、4人の子の母親のインアムさん(36)を、親類の女性らが見舞っていた。インアムさんに乳がんが見つかったのは10カ月前。以来、毎月同病院に3日間入院、化学療法を受けている。めいのヘジールさん(26)は「痛みがひどく苦しんでいます」と話す。
バスラ小児婦人科病院に入院するゼイン君(5)は5カ月ほど前、突然、腹部がはれ、白血病と診断された。ゼイン君は日に日に元気がなくなり、はしゃぐこともできない。母セマーヘルさん(25)は「米国は、戦争が何代にもわたって私たちを苦しめることを知ってほしい」と訴えた。
また、3年前に白血病と診断されたアッバース君(5)は、母ハムディさん(30)の横で静かに眠っていた。薬の影響で頭髪が極端に薄い。ハムディさんは「苦しむ我が子を救ってやれないのがつらい」と話した。この病院のジャセム医師(32)は「戦争の被害は一時のことではない。その後、将来にわたって罪のない人たちを苦しめる」と語る。
バスラの病院では体に障害を持って生まれてくる赤ちゃんが急増。そうした赤ちゃんのほとんどが誕生から数時間で息を引き取るという。(毎日新聞 2002/12/17)

劣化ウラン弾:「薬が手に入らない」 イラクの医師訴える
バスラ教育病院のがん治療センター長、ジャワッド・アリ医師(58)はイラク南部の劣化ウラン弾によるとみられる被害に関する第一人者だ。劣化ウラン弾被害の現状について聞いた。【バスラ(イラク南部)小倉孝保】

──どんな特徴的な現象が起こっているのか。
◆バスラでは、複数のがん患者を抱えている家族が50家族以上あるなど、湾岸戦争前にはみられなかった異常な事態となっている。

──劣化ウラン弾がどうやって人々の体に影響するのか。
◆燃焼した劣化ウラン弾の放射能を帯びた微細なチリが広範囲にわたって広がり、風で飛ばされ口から人間の体内に入る。被ばくした状態が何年か続くと異常をきたす。バスラでは94、95年ごろから、がん患者が増えた。

──対策は。
◆対症療法しかないのが実情だ。国連制裁を解除して、一刻も早く薬が手に入るようにすべきだ。患者が痛みで顔をゆがめているのに、薬を投与してやれないのは医師として本当につらい。

──どんな薬が入手できないのか。
◆制裁に伴う規制でイラクに入らない薬は一時に比べて減っている。だが、こんなもので化学兵器が造れるはずがないと思われる薬が手に入らない。医療機器が制裁にかかったり、最新の医療情報が入手できないなど国連の制裁は死のふちにいる人たちを苦しめている。

──今後の被害予測は。
◆被害が何年続くか分からない。因果関係がはっきりしなくても、ここへ来れば被害は明らかだ。米国はまた、新しい戦争を計画しており、再び劣化ウラン弾を使うといった罪を犯すべきではない。(毎日新聞 2002/12/17)

イラク:がんや白血病と闘う子供たち 劣化ウラン弾影響の疑い
【バグダッド小倉孝保】戦争の危機が迫るイラクで子供たちが、がんや白血病と闘っている。こうした病気の急増の背景として、湾岸戦争(91年)で米軍がイラク軍に対して使用した劣化ウラン弾の影響が疑われている。バグダッドのマンスール子供教育病院で21日、病院側と患者家族らの了解を得て、乳幼児のがん手術に立ち会った。
90年以来続く国連の制裁でイラク国内の薬品不足は慢性化している。医師たちは「薬さえあれば助かったのに」との思いを何度となく経験してきた。今も厳しい状況が続く中、比較的設備や医薬品の整った施設で手術を受けることができた子供たちは、幸運だという。
手術室に入ると、0〜4歳の子供4人が手術台で眠っていた。それぞれの手術台に医師、看護師ら3、4人ずつのスタッフがついて無言で仕事をこなしている。
食料品会社に勤めるガリブさん(45)の三男、ハッサンちゃんは先月末、生まれた。大腸の異常がわかり、調べたところ小さながんが見つかった。全身麻酔で眠っているハッサンちゃんの手や胸に、心臓の状態を知るための機械のコードが取り付けられ、酸素注入のチューブが口に通される。顔は白いテープでぐるぐる巻きだ。ハッサンちゃんは、顔をしかめながら大きな呼吸をした。
主治医のアブドラ・アラウィ医師が助手たちに指示を出しながら、腹部を開く。「ここだな。切り取るぞ」。がんの場所を示しながら、アラウィ医師は周りのスタッフに説明する。アラウィ医師は心臓の動きを表す機械のモニターを見ながら、「うん、大丈夫だ。小さいけど、頑張っているな」と語りかけた。
約2時間半でハッサンちゃんの手術が終わった。しばらくすると、ハッサンちゃんは泣き声を上げた。
手術室の前では、父ガリブさんが心配そうに長いすに座っていた。手術が無事終了したことを看護師に告げられ、「神様のおかげだ」と満面の笑みを浮かべた。
隣の手術台では、アブドルアリ君(4)の手術が進んでいた。アブドルアリ君も大腸がんだ。アブドルアリ君の手術は終了したが、病院側は「回復するかどうかは今後の経過をみるしかない」と説明する。父アリさん(32)は「私にできることは祈ることしかない。何としても生かしてやりたい」と語った。
病院側の説明では、週に10〜20人の子供の手術が、この病院で行われる。97年ごろから、小児がんの手術が以前に比べ3、4倍に増えたという。
こうしたがんの急増に関して、イラク保健省や世界保健機関(WHO)は劣化ウラン弾の影響を調査しているが「患者への対応で精いっぱい」(保健省)の状態だという。イラク南部バスラの医師の調査では、バスラでのがんの発生率は湾岸戦争前の10倍、がんによる死者数は17倍になったとのデータもある。(毎日新聞 2003/01/22)

イラク:幼い命よ安らかに 劣化ウラン弾犠牲の疑い バスラ市
夕刻の祈りの呼びかけがモスク(イスラム礼拝堂)から街中に響く中、その墓地ではこの世に生を受ける前の「幼い命」が埋葬されようとしていた。
イラク南部バスラ市内にある墓地には、近くのバスラ産科小児科病院などから、毎日のように子どもや胎児の遺体が運び込まれるという。地元医師は、91年の湾岸戦争時に、米軍が使用した劣化ウラン弾が原因とみられる白血病や各種のがん、異常出産などで亡くなった子どもたちだと打ち明けた。
同産科小児科病院のムハンマド医師(33)は、「小児白血病の死亡率はスイスでは6%程度だが、バスラでは80%以上です。国連経済制裁などで薬が不足しているのが一番の原因です」と嘆いた。墓守のアハマッドさん(30)が空を見上げてつぶやいた。「すべて戦争が悪いのです」
再び戦争が始まれば、同様の犠牲者が生まれるだろう。埋葬の準備が整った遺体にそっと手を合わせた。【五味宏基】(毎日新聞 2003/02/24)

劣化ウラン弾 人体・環境に長期間影響 「大量破壊兵器」製造・使用禁止を
1991年の湾岸戦争で、米英両軍が初めて実戦で使った「劣化ウラン弾」の製造・使用禁止を求める機運が、高まりを見せている。米国のブッシュ政権は、イラクが大量破壊兵器を隠し持っているとして「第2の湾岸戦争」を仕掛けようとしている。だが、人体や環境に長期にわたって影響を及ぼす「放射能兵器」である劣化ウラン弾もまた、核兵器や化学・生物兵器と同じように「大量破壊兵器」として使用禁止されるべきである。(特別編集委員・田城明)

劣化ウラン弾の影響については3年前、米英両国の湾岸戦争退役兵、米国の製造現場や試射場、戦場となったイラクでの取材に基づき、「知られざるヒバクシャ 劣化ウラン弾の実態」と題して本紙で連載した。
しかし、念のために劣化ウラン弾とはどういう兵器なのか、おさらいしておこう。
劣化ウラン(ウラン238)は、核兵器や原子力発電用の濃縮ウラン製造過程で大量に生まれる低レベル放射性廃棄物である。半減期は45億年。鉛より1.7倍も比重が重い。この物質を砲弾の弾芯(だんしん)に利用すると貫通力が増し、対戦車砲として絶大な威力を発揮する。
摩擦熱による発火力も高く、発火の際に酸化ウランの微粒子が大気中に飛散。この微粒子を体内に吸入すると、放射線による影響だけでなく、ウランの持つ化学的毒性と併せて腎(じん)臓障害やがんなどさまざまな健康障害を引き起こす。さらに生殖機能に作用し、先天性障害児の増加など次世代にも悪影響を及ぼすとされる。
湾岸戦争では、米英両軍の戦車や戦闘機から約95万個(劣化ウラン約320トン分)の砲弾がイラク南部などに投下された。 その後、米軍は95年のボスニア、99年のコソボ紛争でも使用。さらに2001年10月に始まったアフガン戦争では、洞穴やコンクリート製の防護施設を破壊するため、劣化ウランが硬化目標誘導兵器(巡航ミサイルなど)に加えられていることが、カナダの医学専門家や英国の劣化ウラン研究者らの調査で明らかになってきた。
イラクでは、湾岸戦争後、戦場となった南部を中心に子どもらの間に白血病が急増するなど、がん患者が3〜4倍に増加。その数はなお増え続けている。先天性障害児の誕生も、がん患者とほぼ同じような増加傾向を示している。
劣化ウラン弾を使用した米英軍をはじめ、多国籍軍として参戦したカナダなどの退役兵の間でも、白血病や肺がん、腎臓疾患、胃腸や気管支障害、関節痛などが多発している。米軍の戦闘による戦死者は148人。が、これまでに約1万人にも上る元気盛りの年代の退役兵が死亡した。
米国防総省や英国防省は、劣化ウランの微粒子を体内に取り込むことの危険は認めている。が、「健康に悪影響を及ぼすほど吸入はしていない」との立場を崩していない。
最近では湾岸退役軍人をはじめ、欧州議会や米地方議会、日本を含めた非政府組織などからの製造・使用禁止を求める訴えを無視できなくなったためか、ホワイトハウスのホームページに、フセイン大統領の「数々のうそ」の一例として、劣化ウラン弾の影響についても挙げている。ウランという名前は、普通の人々の心に恐怖心となって結びついている。イラクはそれを利用している、というわけである。
米英両政府は、劣化ウラン弾は「通常兵器」であり、その使用は「国際法や人道法に違反しない」と主張する。しかし飛散したウラン微粒子は「ダーティ・ボンブ(汚い爆弾)」そのものである。
イラクの生物・化学兵器などの大量破壊兵器は、査察によって廃棄されるべきである。だが、その目的のために武力行使に訴え、劣化ウランを含む放射能兵器を使用するなら、米英両政府はフセイン独裁政権の「犯罪性」を非難する以上に、自ら人類への犯罪行為を犯しているのである。
もし日本政府がその攻撃を支持するようなら、国際世論の非を免れ得ないだろう。(中国新聞 2003/03/02)

劣化ウラン弾の使用も
【ロンドン=福田伸生】米英が対イラク軍事行動に踏み切る場合、劣化ウラン弾が再び使用される可能性が高そうだ。戦闘員、非戦闘員を問わず、がんなどの健康被害を起こす恐れが指摘されているものの、米英軍はイラクの戦車を無力化する性能を重視している。英陸軍は先月、スコットランド南部のダンジェナン演習場で、数百発の劣化ウラン弾を試射した。その後、湾岸へ移送されたチャレンジャー2型戦車が訓練に動員されており、イラクでの地上戦を想定した、とみられる。
陸軍は昨年、劣化ウランではなくタングステン を用いた対戦車弾を購入 する考えを明らかにした。海軍も、洋上艦に配備する対空砲に劣化ウラン弾を使わない方向を打ち出した。不使用こそ明言しなかったものの、ともに劣化ウラン弾を徐々に減らしていく考えだったとみられる。
欧州ではこの数年、コソボなどへ派遣された帰還兵が次々に白血病やがんを発病。旧ユーゴスラビアの紛争地帯で、北大西洋条約機構(NATO)部隊が大量に使った劣化ウラン弾との関係が疑われている事情がある。
しかし、国防担当のイングラム閣外相は最近、 湾岸へ派遣する部隊に劣化ウラン弾を調達する計画を公表。人体への悪影響が懸念されるにもかかわらず、前線に配備され、戦闘が始まれば使われるのは確実な情勢だ。
防衛関係者によると、米英やフランス、ロシアなどの戦車乗員はほぼ一様に、甲板を撃ち抜く能力で、タングステン弾などより劣化ウラン弾が優位、とみている。安価なこともあり、今回、数千両の戦車を保有するイラクとの戦闘に適した兵器、と判断した模様だ。(朝日新聞 2003/03/07)

米、対イラク戦で「劣化ウラン弾使う」
湾岸戦争でがん多発 国際世論の反発必至
【ワシントン14日豊田洋一】米陸軍補給司令部のノートン大佐らは14日、国防総省で記者会見し、「劣化ウラン弾は(戦車や装甲車などの)機甲部隊を攻撃する必要が生じた際、米軍が使用し続ける兵器だ」と、対イラク攻撃でも劣化ウラン弾を使用する方針を明らかにするとともに、「劣化ウラン弾自体は健康や環境に影響はない」と強調した。劣化ウラン弾使用を正当化すると同時に、イラクをけん制する狙いがあるとみられる。
しかし、1991年の湾岸戦争では、米軍の使用した劣化ウラン弾による発がんなどの健康被害が報告されており、戦争反対の国際世論とともに米軍の劣化ウラン弾使用に対する国際的な反発が広がる可能性もある。
大佐らは「劣化ウランは天然ウランよりも40%放射性物質が少なく、世界保健機関(WHO)や国連などの研究でも、劣化ウラン弾と健康、環境との関係は指摘されていない」と述べた。
劣化ウラン弾は、天然ウランから核分裂物質ウラン235を取り出した後のウラン(劣化ウラン)合金をしんにした銃砲弾。劣化ウランは重く硬いため貫通力が強く、戦車や装甲車などを標的にした貫通弾の弾頭として米軍が開発した。
米軍が湾岸戦争で初めて使用したのに続き、北大西洋条約機構(NATO)軍がバルカン半島のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(94−95年)、ユーゴ連邦コソボ空爆(99年)で使った。
湾岸戦争後、イラク南部で子どもたちを中心に白血病や甲状腺がんが多発し、異常出産も増えたと報告されたほか、バルカン半島で活動した軍関係者らに白血病などのがん患者が多いのではないかという「バルカン症候群」も指摘された。(中日新聞 2003/03/15)

大気や地下水に劣化ウラン ボスニア紛争で国連報告
【ジュネーブ25日共同】国連環境計画(UNEP)は25日、1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で米軍などが使用した劣化ウラン弾に関する報告を発表、大気中や地下水の一部から微量の劣化ウランが検出されたことを明らかにした。
報告は、劣化ウランによる汚染はごくわずかで「環境や人体に直ちに危険を及ぼすものではない」としている。しかし、米軍はイラク戦争でも劣化ウラン弾を使用している可能性があり、イラクや非政府組織(NGO)などの批判を招きそうだ。
UNEPは劣化ウラン弾の使用から約7年が経過した2002年10月に調査を実施。この結果(1)地中に埋まった劣化ウラン弾が腐敗し、地中を通じて地下水の一部を汚染した(2)一部の建物内部で大気中から微量の劣化ウランを検出した−−ことなどを確認した。
また、7年間で劣化ウラン弾の約25%が腐食しており、完全に消滅するまで25―35年を要するとみられるなど、新たな事実も判明した。米軍は、A10対地攻撃機に搭載しているガトリング砲などの貫通力を高めるため、劣化ウランを使用している。(共同通信 2003/03/26)

劣化ウラン弾の使用認める 米中央軍
【カタール26日共同】米中央軍のブルックス准将は26日、米軍基地キャンプ・アッサイリヤで記者会見し、イラクでの作戦で米軍が劣化ウラン弾を「非常にわずかな量」ながら使用していることを認めた。使った日時、量については具体的に言及しなかった。しかし、准将は「われわれが使用しているものは戦闘への使用目的としては安全なもので、これまで考えられてきたような危険性はない」と述べるにとどまった。弾芯(しん)に劣化ウランを使用、高速で装甲を破壊することを可能にした劣化ウラン弾は、コストが安く、破壊力が優れており、湾岸戦争以降実用され始めた。湾岸戦争の参加者に放射性疾患に似た「湾岸戦争症候群」が現れたことが確認されている。(共同通信 2003/03/27)

イラク戦争:劣化ウラン弾 湾岸戦争の後遺症に悩む市民に衝撃
【アンマン小倉孝保】米軍当局はイラクの首都バグダッドの爆撃で、劣化ウラン弾を使用したことを認めた。どの程度の劣化ウラン弾が今回のイラク戦争で使用されているのか、実態は不明だ。しかし、湾岸戦争後のがん多発などの後遺症に悩むイラク市民や医師たちは、大きな衝撃を受けている。
イラク南部のバスラ・サダム教育病院に入院していた女子中学生、デラルさん(16)は昨年7月、脚の痛みに気づいた。次第に脚を引きずるようになり、骨がんと診断された。医師団は湾岸戦争の際に使用された劣化ウラン弾の後遺症とみている。
大きく腫れ上がった左足のひざを医師に見せながらデラルさんは「将来は学校の先生になりたいけど、これでは無理かな……」と不安な表情。付き添っていた母(46)は「娘をこんな病気にしておいて。また、過ちを繰り返そうとしている」と憤った。
昨年12月取材に応じたイラク南部バスラの小児婦人科病院でジャセム医師(32)は「戦争の被害は一時のことではない。その後、将来にわたって罪のない人たちを苦しめる」と語り、同僚の医師たちも口々に「米軍には劣化ウラン弾は使ってほしくない」と話す。
バスラでの病院で取り扱った患者数は10万人当たり88年は11人だったが、98年75人、01年116人と急増。また、死者数は88年の34人から98年428人、01年603人と17倍となった。同じ家族内でがん患者が複数以上同時に発生したケースが約50件あり、医師の経験則からすれば「極めて異常な状況」という。
一方、米軍当局は26日の記者会見で、英米軍が劣化ウラン弾を使用していることを認めながらも「劣化ウランの使用は極めて少数」と説明した。さらに、「人体への影響は攻撃対象の極めて近くにいる場合だけ」と、一般住民への影響の可能性を否定し「科学的に(劣化ウラン弾とがんの発生などとの)因果関係が証明されていない」との立場を説明した。
世界保健機関(WHO)は01年1月から、イラク保健省と協力して劣化ウラン弾の影響についての本格的な調査に入った。しかし、調査は進まず、イラク側は「米国の圧力でWHOが調査に消極的になった」(ムバラク・イラク保健相)と批判していた。

◇「民間人の被害拡大」と批判の声

劣化ウラン弾の使用は「第2の対人地雷」と言われるクラスター弾の使用とともに、「民間人の被害が拡大する」と国内からも非難の声が強まっている。
劣化ウランは、ウラン235を原子炉や核兵器に使うために濃縮する過程で生じる「核のごみ」で、他の金属に比べて比重が高い。貫通力に優れ着弾時に発火するなど破壊効果が高い。91年の湾岸戦争で米軍が使用した。99年のコソボ紛争でもNATO(北大西洋条約機構)軍が使用したが、使用後数年たって兵士や付近住民にがんや白血病などのさまざまな健康被害が報告され、劣化ウラン弾との因果関係が指摘される。
今回のイラク戦争では今後想定される戦車同士の戦闘などに多用される可能性がある。
コソボ紛争などでの被害を現地調査したNGO(非政府組織)「ピースボート」の中原大弐共同代表は「米軍は民間人は攻撃しないと言っているが、戦争が終わって数年後に民間人に影響が出てくる。使用に強い怒りを覚える」と話している。
広島県原水協と同県被団協は27日、ブッシュ米大統領あての抗議文を米国大使館に送付。この中で「劣化ウラン弾は人体に与える影響が極めて大きい。このまま進めば、イラクの化学兵器使用、米国の小型核兵器使用という最悪の事態を招きかねない」と訴えている。【宮澤勲】(毎日新聞 2003/03/31)

劣化ウラン弾報道で米大使館が反論
イラク戦争で米軍が使用した劣化ウラン弾に関して、在日米国大使館は7日、在京の報道機関に対し「報道の中には、事実関係に疑問が見受けられるものがある」として、米国務省などがインターネットで公開する日本語資料を参考にして報道するよう促す文書を送った。
白血病やがんなど湾岸戦争後の健康被害が、米軍の使用した劣化ウラン弾が原因だとする報道に、米国側が打ち消しの姿勢を示した形。
資料は、国務省国際情報プログラム室の「劣化ウランに関する情報」と国防総省の「劣化ウランはどのように、なぜ使われるのか」の2件。
「情報」では「劣化ウランについての誤った情報と根拠のない不安感が多くみられる」として、「劣化ウランがイラクの新生児がんの原因だという非難は事実無根」「イラクによる化学兵器の使用こそが、がんや出生異常の原因である可能性が最も大きい」としている。
劣化ウラン弾は、弾芯(しん)にウランの廃棄物を使って貫通力を増した砲弾で、湾岸戦争やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で米軍が使用。環境や人体への影響が指摘されたが、イラク戦争でも米軍は使用を認めた。(産経新聞 2003/04/07)

放置軍車両から放射能 米軍 劣化ウラン弾影響? 自然界の15倍を検出
【バグダッド11日萩文明】バグダッド市内などに放置されたままのイラク軍車両の残がいの多くが放射能に汚染されていることが11日、バグダッド大学の現地調査で分かった。米軍による劣化ウラン弾の使用が原因とみられる。放射能の吸収線量は最大で、自然界に存在する量の15倍を記録した。戦後も市民が被ばくの危険にさらされることになる。

調査は10、11日、バグダッド大物理学部のアシア・マシャドニ助教授(環境工学)がイラク高等教育省などの協力で実施。破壊されたイラク軍戦車などの車両計16カ所(バグダッド内13カ所、郊外3カ所)で、放射線測定器を使ってガンマ線を計測した。本紙などの記者が同行した。
調査結果によると、1時間当たりの放射線の吸収線量(=グレイ)は16カ所のうち15カ所で、自然界に存在する0.5マイクログレイを上回り、放射能汚染されていることが判明。うち3カ所で、最大の7.5マイクログレイを記録し、自然界の15倍に達した。
マシャドニ助教授によると、劣化ウラン弾は戦車などに命中した際、放射能を帯びた粉じんが拡散する。このため戦車の残がいで測定すると最高値は15倍程度にしかならないが、実際の汚染は広範囲に及んでいる可能性が高いという。
マシャドニ助教授は「劣化ウラン弾による放射能汚染は明らか。大変、危険な状態だ。微粉じんを吸引して蓄積されれば体内被ばくを引き起こし、がんなどになるおそれがある」と話している。
米軍はイラク戦争で劣化ウラン弾を使用したことを認めているが「健康や環境に影響はない」との立場を崩していない。
マシャドニ助教授は、湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾による健康への被害調査をした同大グループの1人。(中日新聞 2003/05/12)

イラク劣化ウラン弾 汚染戦車脇 遊ぶ子ども
調査の助教授 数値に顔色変わる

【バグダッド11日萩文明】「ここは危ない。私たちも早く去った方がいい」。放射線測定器を手にしたマシャドニ助教授(バグダッド大学)が、顔色を変えた。米軍が破壊したイラク軍戦車の残がいが道路の脇に横たわる。そのそばで、何も知らない子どもが、笑顔で走り回っていた。
記者は2日間、同教授の現地調査に同行した。自然界ではありえない数値を測定器が示す現場で、子どもが遊び、大人の男が戦車の鉄くずを拾っている。周りには住居も多く、牛が草を食べている。このまま放置すれば、放射線による被害は拡大する一方だ。
バグダッドと周辺だけではない。イラク全土で、劣化ウラン弾で破壊された戦車の残がいが放置されたままなのだ。
マシャドニ助教授によると、湾岸戦争(1991年)以降、イラクの環境汚染はまったく解決していない。同戦争で激しい戦車戦があったイラク南部では、白血病や先天性異常の子供が数多く生まれるなど、明らかに被ばくの影響が出ている。「劣化ウラン弾こそ、後生にまで被害を与える大量破壊兵器だ」と指摘する専門家もいる。
バグダッドを流れるチグリス川も劣化ウランなどで汚染されており、昨年までに大量の魚が死んだことが目撃されている。それでもチグリス川の水は現在も、飲料水として使用されている。大量の劣化ウラン弾が使われたイラク戦争で、さらに汚染が進むのは必至だ。
米国でも、湾岸戦争で40万人以上の兵士が地上戦の際、劣化ウラン弾が使用された汚染地帯に入った。その後、9000人以上が健康障害を訴え、いわゆる「湾岸戦争症候群」で死亡している。ただ、明確な因果関係は分かっていない。
マシャドニ助教授が話す。「国際的な協力のもとに、科学者たちが汚染状況を調査し、公表しなければ、イラクは大変なことになる」

イラクやコソボで劣化ウラン弾の汚染状況を調べている藤田祐幸・慶応大助教授(物理学)の話 劣化ウラン弾は、戦車などを貫通する際に燃焼し、5ミクロン程度の微粒子となって大気中に放出される。肺に蓄積されると摘出は無理だ。攻撃対象を外れた劣化ウラン弾は地中で地下水に触れ水溶性ウランとなる。食物連鎖で人間の体内に取り込まれ、やはり体内被ばくする。体内被ばくすると、がんや白血病、異常出産など、長期間にわたって深刻な被害を受け続ける。ただ、被ばくとウランを体内に取り込むことによる重金属中毒の複合的影響は、十分に研究されていない。
北大西洋条約機構(NATO)軍が劣化ウラン弾を使用したコソボは、白血病の潜伏期間が体外被ばくの半分以下の1、2年になる例があった。胎児や抵抗力の弱い子どもが最大の犠牲者となることは間違いない。(中日新聞 2003/05/12)

アフガンもむしばむウラン兵器
湾岸戦争やボスニア、コソボ紛争で使われた「劣化ウラン弾」が一昨年のアフガン戦争でも使用され、深刻な健康被害を生んでいる−との疑惑が、NGO(非政府組織)による調査で濃厚になった。従来の対戦車砲だけでなく、「バンカーバスター」など巨大兵器にも用いられたとみられ、影響は計り知れない。(田原拓治)

カナダのNGO「ウラニウム医療研究センター(UMRC)」は昨年5月と9月にアフガン現地を調査、その結果を先月発表した。
それによると、昨年9月に採取したアルカイダ掃討作戦で激戦区だった東部ジャララバードの住民の尿からは、通常の40倍から200倍の高濃度ウラン汚染が確認された。爆撃跡やそれに近い田畑からも27倍の汚染が検出された。
首都カブールでは、アフガン戦争と同時に関節や背中または腎臓の痛み、筋肉の衰弱、記憶障害、感覚まひなど米英の従軍兵に発生した「湾岸戦争症候群」とほぼ同じ症状を訴える人々が相次いでいるという。
さらに新生児にも先天性障害が多発しており、街の長老たちは、新生児の25%以上が不可解な病気にかかっていると話した。爆撃にさらされた人々は直後に鼻血が止まらなくなったなどと語り、これも劣化ウラン弾の被害を訴える退役軍人の症状と酷似している。
これに対し、米、英両政府ともタリバン前政権、アルカイダの掃討を狙ったこの「不朽の自由」作戦では公式には劣化ウラン弾の使用を否定してきた。
ラムズフェルド米国防長官は2002年1月、劣化ウランによる高濃度の汚染報告を受けたと認めたが、アルカイダの隠していた兵器によるものと片付けた。
だが、アルカイダやタリバンに劣化ウラン弾を発射する装備がなかったうえ、米国防情報センター(CDI)のフィリップ・コイル上級顧問は「(開戦2カ月後の01年)12月に使用量を最小に抑えるよう訴えたが、劣化ウランが使われていた」と証言した。
さらにパキスタンのドーン紙は同年11月、軍事情報筋の話として「開戦後、米空軍は劣化ウラン弾の雨を特にタリバン前線の北部に降らせた」と報じた。

■劣化弾とは違う成分が人体から

気になるのはUMRCの調査で、人体から検出されたウラニウムの中に劣化ではない成分が混ざっているという指摘だ。ちなみに調査したジャララバード周辺にはウラン鉱山はない。
この点について、英国の劣化ウラン研究者ダイ・ウィリアムス氏は「(劣化ウラン弾使用の非難を避けるために)米軍は天然ウラン汚染に見せかけられる劣化ではないウランを使った可能性がある」と推測する。
現段階では、ウラン汚染の実態はつかみ切れていない。国際機関も政治的配慮か、調査に及び腰だ。アフガンで環境調査を実施している国連環境計画(UNEP)は昨年8月、ウラン汚染について特別な調査計画はないと発表。世界保健機関(WHO)に至っては、バルカン半島での調査で米国防総省のシンクタンク「ランド研究所」の放射能汚染を扱った報告書を引用してお茶を濁している。
劣化ウラン弾の特質は戦車の甲板すら撃ち抜く破壊力だ。アフガンで懸念されるのは、この劣化ウランが従来の対戦車砲のみならず、「バンカーバスター」弾など洞穴や地下要さいを破壊する貫通弾として使われた可能性が高いためだ。
アルカイダは洞穴を拠点にしていたため、東部トラボラではバンカーバスターが多用された。劣化ウランの使用量は、対戦車砲では1発に付き5キロ分だが、「GBU37B」といった2トン級のバンカーバスターには1.5トンが含まれるとされる。一説ではアフガン戦争で約6000発が使われ、湾岸戦争の2倍から3倍の劣化ウランが降り注いだとされる。
米国政府は公的には劣化ウラン弾による悪影響を否定している。にもかかわらず、国際非難の風が強まるにつれ、軍需産業も兵器の材質を隠すようになった。
バンカーバスターに劣化ウランが使われているか否かも公表されていない。
ただ、英ガーディアン紙などは貫通力が通常の爆弾の2倍という事実から「断面積を変えずに貫通力を倍にするには長さを倍にすればよいが、軍用機に積めない。となると、材質を鋼鉄の2倍の比重にするしかない。それはタングステンか劣化ウランになる。タングステンは高価で加工しにくい。劣化ウランは加工しやすく、本来は“ゴミ”なので安価」として劣化ウラン製は確実と結論付ける。
深さ約100メートルまで進むバンカーバスターの場合、汚染は表土にとどまらず、地下水まで進むことが新たな問題として浮上してくる。
アフガン現地で活躍する日本の医療NGO「ペシャワール会」の職員は「はっきりとした影響は分からない。しかし、現地ではアルカイダ掃討作戦後の01年の暮れごろから、通常の爆死とは異なる妙な死に方が増えたとの報告はあった」と不安を隠さない。

■タングステンは高価で使えず

東京国際大の前田哲男教授(軍縮安全保障論)は「アフガンで劣化ウラン弾が使われたことはほぼ間違いない。コソボ紛争でイタリア、ベルギー軍から劣化ウラン弾を使うなと通告されて以来、米国は使用を公表しなくなった。自衛隊は原子炉規制法で劣化ウランが使えず、タングステンを使用している。だが、演習用で量がいらない。しかし、米軍のようにあちこちの紛争に顔を突っ込んでいれば高価なタングステンでは賄えない」と指摘する。
そのうえで前田教授は「米国が認めない以上、疫学調査の徹底が急務だ。さらに国際条約で1日も早く禁ずべきだ」と提案する。
自衛隊は使っていなくても日本も劣化ウラン弾と無縁ではない。資源エネルギー庁核燃料サイクル産業課によると、日本の原発では国産の約150トンのほかに年間700トンの濃縮ウランを輸入している。最も多いのが米国濃縮会社(USEC)製で580トンだが、同社の濃縮工場では劣化ウラン弾を製造している。
市民団体「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」は一昨年、関西電力との交渉で、同社が買い付けた自然ウランの濃縮をUSECに委託し、そこで発生する劣化ウランをUSECに無償提供しているとの言質を得た。この問題は国会質問にも発展したが、同団体は劣化ウラン弾製造に事実上、加担するものと関西電力を強く批判している。

■「影響はない」と断言する米政府

先のイラク戦争では、米中央軍は「非常にわずかな量」と前置きしながら、劣化ウラン弾使用を認めた。
しかし、ことし4月、米政府は「90年に劣化ウラン弾が地域住民や環境に影響があるとした研究結果は時代遅れ」であり、「長期にわたる影響はない」と決めつけたうえで、「イラクにおいて劣化ウラン弾の破片などを除去する作業の必要はない」と発表している。

<劣化ウラン弾> 原子力発電などの燃料となる濃縮ウランの製造過程で生じる劣化ウラン(ウラン238=低レベル放射性廃棄物)を弾頭に使った砲弾。劣化ウランは鉄の2.5倍、鉛の1.7倍と比重が重く、貫通力が強い。発火と同時に放射能を含んだ酸化ウランの微粒子が飛散し、人体などに悪影響を及ぼす。
湾岸戦争では米英両軍が95万発(320トン)使った。湾岸戦争に従軍した米兵のうち、約18万人が劣化ウランによるとみられる疾病、障害に対し、補償を請求した。イラク現地では、子どもたちの白血病の多発や湾岸戦争後の先天性障害児の多さが問題になっている。だが、米国防総省や英国防省は人体や環境への影響を認めていない。(東京新聞 2003/06/11)

湾岸戦のウラン弾なお危険 IAEAの調査結果
【ウィーン13日共同】国際原子力機関(IAEA)は13日、1991年の湾岸戦争時にクウェートで使用された劣化ウラン弾の残がいから現在も微量ながら放射線が検知されており、人体に危険な場合もあるとの調査結果を発表した。
放射線値は年々減少しており、ほとんどは健康上問題となるレベル以下。しかし残がいには劣化ウラン弾やその破片がそのまま残っているものもあり、これらに長時間、直接触れた場合は放射能障害を引き起こす可能性があるという。
IAEAによると、調査はクウェート政府の要請で昨年2月から開始。11カ所で残がいから出る放射線の測定や、付近の大気や土壌などのサンプリング調査などを続けてきた。
劣化ウラン弾は、弾芯(しん)に劣化ウランを使用、高速で装甲を破壊することが可能で、湾岸戦争で米軍が初めて本格的に使用。白血病やがんとの因果関係が疑われている。(共同通信 2003/06/14)

バグダッドで放射線検出 被弾の戦車・建物などから
イラク戦争で、米軍が使ったとみられる劣化ウラン弾の破片や、破壊された戦車や建物から、通常値の数倍から最大で100倍程度の放射線(ガンマ線)が検出されたことが、藤田祐幸・慶応大助教授(物理学)の現地調査でわかった。広島市で15日開かれた「アフガニスタン国際戦犯民衆法廷」で報告された。藤田助教授は「人体にすぐに影響する値ではないが、長期的に健康被害が懸念される」と指摘する。
5月22日から今月1日にかけてバグダッドと南部のバスラで調査。バグダッド市中心部の政府機関の建物周辺から、30ミリ機関砲で使われる劣化ウラン弾の破片が多数見つかり、1発につき最大で1時間あたり約6マイクロシーベルトの放射線が測定された。市内で攻撃されなかった公園で測定した値の約100倍だという。
同市内で被弾した戦車からは最大約24倍、バンカーバスター(地中貫通爆弾)によってできた穴からは約1.5倍の量が検出された。バスラでは、砲撃で地中に劣化ウラン弾がめり込んだとみられる跡が多数見つかり、地下水などへの汚染が懸念されるという。
藤田助教授は「劣化ウラン弾の痕跡が現地で容易に見つかった。かなり使われた印象を受けた。同弾の破片などは早急に回収すべきだ」と話している。(朝日新聞 2003/06/16)

米軍も生体への影響を認識 劣化ウランで調査報告
【ワシントン8日共同】米軍が湾岸戦争やイラク戦争で使い、環境汚染や健康被害への懸念が高まっている劣化ウラン弾について、米軍内部での研究でも生体への影響が指摘されていたとする調査報告書を米国のシンクタンク、核政策研究所が8日発表した。
報告書をまとめた同研究所のヘレン・カルディコット博士は「劣化ウランは特に子供への影響が大きいとされており、予防的観点からも使用を中止すべきだ」と訴えた。
報告書によると、米軍の放射線生物学研究所のグループは、劣化ウランを体内に埋め込んだ雌のラットから生まれた子が小さくなるなどの影響を論文で報告したほか、人間の骨の細胞のがん化を招く可能性も指摘した。
また、米軍の環境政策研究所の研究者は、劣化ウランには放射線の影響以外に、重金属としての腎臓への悪影響や、化学的な毒性があることを指摘。環境中では一部が水に溶けて地下20センチ程度にまで広がり、地下水や土壌を汚染することを論文にまとめていた。(共同通信 2003/07/09)

劣化ウラン弾:米政府に使用停止要求 民間シンクタンク
【ワシントン河野俊史】米国の民間シンクタンク「核政策研究所」(ワシントン)は8日、劣化ウラン弾が人体に及ぼす影響を検証した報告書「劣化ウラン弾──危険評価の科学的論拠」を公表した。湾岸戦争(1991年)以降の政府機関による研究や動物実験のデータの分析をもとに、「イオン化したウラン酸化物による突然変異の誘発など、住民や兵士、とりわけ子供にとって有害なことが確認された」と結論づけ、米政府に対して速やかな使用停止を求めている。
報告書の作成には同研究所の理事長でもあるヘレン・カルディコット博士やトーマス・ファシー・マウントサイナイ医科大教授(病理学)ら専門家が加わった。
報告書は、湾岸戦争の際に劣化ウラン弾が大量に使用されたとされるイラク南部のバスラでの15歳以下の子供の悪性腫瘍発生率が1990年から2001年の間に3倍に増加した、などのデータを確認。これが劣化ウラン弾の影響を受けたものかどうかを科学的視点から追跡した。
その結果、吸引で体内に入り込んだ三酸化ウランの微小粒子はほぼ全量が肺などに蓄積するのをはじめ、経口の場合も10%程度が腎臓や骨格、その他の臓器に残留。アルファ線などの影響で遺伝子に不安定な状態をもたらすことが確認されたという。特に、イオン化したウラン酸化物(ウラニル・イオン)は突然変異の誘発性が強く、がんやDNAの損傷による先天異常を引き起こす要因になる、としている。
報告書は、米軍放射線生物学研究所と国立衛生研究所(NIH)のマウスを使った共同研究のデータなどを参考に、「ウラニル・イオンは母親の胎盤によっても阻止できない」と危険性を指摘するとともに、米政府は劣化ウラン弾の人体への影響を過小評価していると警告している。
この上で、報告書は米政府に対し、(1)速やかに劣化ウラン弾の生産・使用を停止し、タングステンの利用など代替策を検討する(2)今回のイラク戦争で劣化ウラン弾が使用された地域の住民や兵士の尿のサンプルを採取し、調査する(3)イラク国内での被害の拡大を防ぐため、占領当局は放置された戦車などへの住民の接触を避ける措置を即急に講じる──などを勧告している。(毎日新聞 2003/07/09)

劣化ウラン弾「危険」 動物実験などで確認 米国防総省傘下研究所
【ワシントン=村山知博】劣化ウラン弾が生体へ悪影響を及ぼす恐れのあることを、米国防総省傘下の研究機関が動物実験などで確かめていたことが分かった。米シンクタンク核政策研究所(NPRI)が研究論文や議会報告書を調査した。同省は劣化ウラン弾と兵士の健康状態の関連を否定、米軍はイラク戦争でも使ったばかりだ。
劣化ウランは天然ウランから濃縮ウランをつくる過程で出る。鉛の1.7倍の密度があり、これでつくった砲弾は通常弾より貫通力がある。ただ、弱いながらも放射線を出し、重金属としての毒性もある。
NPRIによると、軍放射線生物学研究所は、劣化ウラン片を埋め込まれたネズミから生まれた子は体が小さいことを確認。「胎盤は劣化ウランを遮らない」という論文を昨年末にまとめた。
同省の予算を受けた民間研究機関は00年、劣化ウラン片を理め込むとネズミの発がん率が上がることを確かめた。別のチームは、人間の細胞ががん化する危険性を試験管の実験で確かめた。
NPRIは、▽米軍兵士やイラク市民の尿検査▽汚染された戦車などへの接触防止対策▽環境中の残留量の長期的な監視、などを米政府に求めている。国防総省は「劣化ウラン弾が兵士らの体に深刻な悪影響を及ぼす証拠はない」との立場だ。(朝日新聞 2003/07/12)

イラクの米兵に謎の肺炎 100人発病し2人死亡
イラク国内や周辺に展開中の米軍兵士の間で「謎の肺炎」が発生していることが分かった。米メディアの報道では、これまでに陸軍を中心に100人ほどが発病、2人が死亡したという。米軍医総監は1日、調査チームをイラクなどに派遣した。現時点では生物化学兵器の影響とは考えにくく、重症急性呼吸器症候群(SARS)のような特定の病気との関係も分かっていない。
発病者が出始めたのは3月初めで、人工呼吸器が必要な重症者は15人を数えている。ロイター通信によると、死亡した2人以外では10人がすでに回復し、3人が現在もドイツの米軍病院などに入院しているという。
重症者は7月まで毎月2〜4人のペースで出ている。多くが陸軍で、所属部隊も展開地域も異なる。現時点では、発病者に共通する病原体は検出されていない。
軍医総監は、感染症専門医や疫学者、病原体検出の技術者ら6人のチームをイラクに派遣。ドイツの米軍病院にも感染症専門医ら2人を送った。発病者や医療関係者に聞き取り調査をするほか、何らかの細菌またはウイルスが関係していないか詳しく調べる予定だ。
AP通信によると、陸軍の肺炎の発生頻度は、通常兵士1万人あたり年間9人ほどだという。現在、イラクと周辺には14万人あまりが展開しており、100人という発病者数は必ずしも異常な水準ではない。(朝日新聞 2003/08/02)

湾岸戦争でがん発症10倍に イラク人医師が広島で講演
湾岸戦争やイラク戦争で使用された劣化ウラン弾の後遺症などを訴えるため来日中のイラク人医師、ジャワド・アル・アリさん(59)が5日、広島市中区で開かれた平和集会に出席し、講演した。
アリさんは「超大国は2つの罪を犯した。1つは原爆の投下、もう1つはイラクで使われた劣化ウラン弾だ」と、米国を批判。湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾の影響で「がんの発症率が10倍になった」と指摘し、参加者に「劣化ウラン弾に反対の声を」と呼び掛けた。
アリさんは、6日に平和記念式典に参加。8日まで広島に滞在した後、長崎を訪れる予定。(共同通信 2003/08/05)

米軍の使用は「承知せず」 劣化ウラン弾で政府答弁
政府は29日の閣議で、米軍がイラク戦争で劣化ウラン弾を使用したかどうかについて「承知していない」とする答弁書を決定した。社民党の福島瑞穂幹事長の質問主意書に対する答弁。
それによると、米中央軍のブルックス准将が「非常にわずかな量」の使用を認めたとされることについて「米軍の保有する弾薬のうち、劣化ウランを使用した弾薬がわずかにあることを述べたもので、今回使用したことを述べたものではない」としている。
米国政府に問い合わせたところ「劣化ウラン弾を使用したかどうかについて、今後も明らかにすることはない」との回答を得たとしている。
化ウラン弾による健康被害については「確定的な結論が出されているとは承知しておらず、国際機関などによる調査の動向を注視していく」と述べるにとどめた。(共同通信 2003/08/29)

劣化ウランの急性障害か イラク駐留米兵に謎の病気
イラク駐留の米軍兵士の一部で肺炎や皮膚疾患などが広がっており、急死する例も出ている。原因は不明だが、専門家の間では、米軍がイラクで使用した劣化ウラン弾が原因との見方が浮上している。
この問題に詳しい慶応大学の藤田祐幸助教授(物理学)は「急性の放射線障害の可能性が高い」と指摘した上で「自衛隊が汚染地に派遣されれば同様の被害を受ける恐れがある」と警告している。
米ミズーリ州のスプリングフィールド・ニュースリーダー紙は7月16日、同州出身の男性兵士(20)が7月2日にバグダッドで倒れ、ドイツの病院に搬送された後、急死したと報じた。病院の医師は男性の家族に「肺に何らかの毒素が入り、肺炎を起こした」と説明。家族は、同じ病院で同様の症状の兵士数人が治療を受けていたと証言したという。(共同通信 2003/09/04)

「500トンの劣化ウランをイラクで使用した」 米軍大佐が認める
「メディアにおける自由思考のための連合」のスタッフのジェイ・シャフト氏によると、イラク作戦に関与した米軍特殊部隊の大佐の1人が匿名を条件に、同氏の3回にわたるインタビューで、米国と英国はイラクに500トンの劣化ウラン弾をイラク戦争で使用したことを認めた。
この大佐は、BLU-113、貫通体を持つ5000ポンドのGBU-28バンカーバスター爆弾は弾頭に劣化ウランが含まれていることも明らかにした。米軍はこれまで、BLUの弾頭をつくるために使用される素材は、秘密のベールで覆い、明らかにしていなかった。
同大佐によると、米国防総省は非公式ながら、何年も前から劣化ウランの健康への危険を認識していた、ということを認めたという。(TUP速報=ベリタ通信)(日刊ベリタ 2003/09/23)

参照:米軍大佐の証言(TUP速報 2003/09/13)

自衛隊派遣候補地のイラク・サマワ 劣化ウラン弾で汚染か
核医学の第一人者ドゥラコビッチ博士 放射能を確認

自衛隊のイラク派遣の時期が注目される中、核医学の第一人者の米国人で、元米軍医(大佐)のアサフ・ドゥラコビッチ博士(63)が初来日し、本紙の取材に対し「自衛隊の派遣候補地のイラク南部のサマワ周辺も、米英軍がイラク戦争で使用した劣化ウラン弾による高濃度の放射能汚染が予測される」と語った。また「自衛隊派遣は、日本のどのような利益につながるのか。日本が得られるものは何もない。イラクの復興は、破壊した米英国の責任でなされるべきだ」と指摘した。(東京社会部・佐藤直子)

「戦車の装甲を焼き切るため、砲弾のコーティングに使われた劣化ウランは、爆発の際に粉じんとなって大気中に飛散する。これを吸入することで体内被ばくが起きる。サマワでもウラン汚染が予測され、被ばくの危険性は否めない」と博士は警告する。
博士が所長を務める独立系の民間団体「ウラニウム医療研究センター(UMRC)」では最近、イラク戦争で激しい爆撃を受けた南部のバスラ近郊の村の9歳の少年の手術を行ったところ、全身に高濃度の放射能汚染が確認された。
また、約3週間前にはセンターの研究チームがバグダッド、バスラ、カルバラ、サマワなどイラク国内15カ所で、住民の尿や遺体の組織、土、水、大気など100以上のサンプルを採取。これまでに分析した放射能は、比較対象としたカナダ・トロントの水や空気の数千倍に達するものもあった。サマワの汚染も確認されたが「十分に分析されたものではないので、数値はまだ公表したくない」と語った。
劣化ウラン弾は貫通力が高く、安価。イラク戦争では英国国防省が使用を認め、米中央軍も31万1000発余を使用したと発表している。
米政府は、劣化ウランの人体への影響を否定しているが、博士は「米軍も英国軍も、環境や人体に壊滅的な影響を与えた罪を負いたくはないし、補償問題を恐れているからだ」と批判した。
博士はかつて、大佐の地位にある医師として米軍に所属していた。湾岸戦争(1991年)後、多くの帰還兵や退役軍人に発症した原因不明のさまざまな疾患が「湾岸戦争症候群」として社会問題化した際に治療、研究に当たり、元兵士らの体内に高いレベルでの被ばくが起きていることを確認。「対戦車砲に使用された劣化ウランの微粒子を吸ったことが原因で、重い肝臓疾患や機能不全が生じている」と結論づけた。
こうした研究によって政府から「政治的な圧力がかけられるようになり、軍医を解職された」という。博士は「イラク戦争時の『衝撃と恐怖』作戦に参加した兵士の中にも、『湾岸戦争症候群』のような症状が起きている、という情報を得た」とも語った。

<劣化ウラン弾> 天然ウランの濃縮する過程でできる放射性廃棄物「ウラン238」の合金を弾頭に付けた砲弾。優れた貫通力だけでなく、激しい燃焼力を持つ。貫通時にウランの微粒子が飛び散るため、戦闘地域周辺の住民は呼吸で劣化ウランを吸入し、体内被ばくを起こす。生殖器やリンパ節、脳髄などに蓄積されたウラニウムは、免疫低下や精神障害、胎児の奇形などを引き起こすとされる。(中日新聞 2003/11/21)

新型ウラン兵器使用か 米の研究者 広島で報告
カナダに本拠を置くウラニウム医療研究センター(UMRC)の責任者で元米陸軍軍医のアサフ・ドラコビッチ氏=米ワシントン在住=の調査報告集会が21日夜、広島市中区の原爆資料館東館であった。ドラコビッチ氏は、米軍が2001年から始めたアフガニスタン空爆で「新たなウラン兵器を使った可能性がある」と指摘した。
新兵器使用の裏付けとしてドラコビッチ氏は、UMRCがアフガニスタン住民の尿を分析した結果を紹介。核分裂性の強いウラン235などの割合が、天然ウランとも劣化ウランとも異なった。天然ウランに極めて微量が含まれるウラン234も検出されたという。
さらに、民間人8人の尿から検出されたウラン全体量は、平均で国際水準の約23倍、最大で200倍にも上った点を挙げて、劣化ウラン弾とは違うタイプのウラン兵器使用の見方を強調した。どんな兵器なのか断定はしなかった。
このほか、イラクの住民の尿を調べた結果、イラク戦争で使用された劣化ウラン弾が原因とみられる高濃度のウラン汚染があることも伝えた。
湾岸戦争の帰還兵の健康調査をした後、ドラコビッチ氏は米国防総省から解雇された。23、24の両日、大阪と東京でも報告する。(四国新聞 2003/11/22)

「劣化ウラン弾使った」 自衛隊派遣候補地イラク・サマワ
米兵が家族に手紙 駐留のオランダ議論再び

自衛隊のイラク派遣候補地サマワに従軍した米軍兵士がことし4月、家族あての手紙の中で劣化ウラン弾を撃ったと記していた。政府はこの兵器をイラク戦争中、米軍が使用したか否かについてさえ、「承知していない」と事実上、否定している。(田原拓治)

年明けに先送りされる公算が大きくなった自衛隊のイラク派遣だが、候補地のイラク南部サマワにはことし8月からオランダ軍約700人が駐留している。そのオランダでは派遣決定後に1通の手紙をめぐり、国会で派遣論議が再燃した。
手紙はイラク戦争中、米軍第1歩兵師団第41歩兵連隊の一員としてサマワに従軍したエドワード・ペンネル氏がほぼ毎日、家族にあてたものの1通だ。家族が地元教会のホームページに載せたため、メディアが気づくことになった。
手紙によると、ペンネル氏の部隊は3月29日にサマワに到着。彼は22ミリ機関砲を搭載したブラッドレー歩兵戦闘車の乗員だった。翌日の戦闘の模様はこう描かれていた。
「私たちは5回の一斉射撃をした。1回目は劣化ウラン弾で、標準の作戦手順に従った使用だった。劣化ウラン弾は敵の装甲車両を貫通する。約300メートル離れた2人の敵兵の間に撃ち込まれた。後の4回の掃射は高い爆発力を持った弾丸を使い、うち1回は確実に敵に的中した。(戦闘の)結果は目を見張るものだった」
地元紙などによると、オランダ国会での派遣論議では、サマワ現地における劣化ウラン汚染が焦点となった。しかし、オランダ政府は「米国からの情報では1991年の湾岸戦争当時の残りかすはあるかもしれないが、今回の戦争中、サマワで使用されたことはない」と主張し、野党労働党も最終的に賛成した。
しかし、この手紙が報じられるや、軍の労働組合に当たる統一軍人連盟(AFMP)などが反発。政府に派遣隊員には血液や尿検査を義務づけるよう要求するなど、論議が続いている。
しかし、この手紙のみならず、サマワ近郊で戦争中に劣化ウラン弾を使ったという情報は少なくない。
第3歩兵師団第7機甲部隊の報告では、部隊がナジャフに向けてサマワを通過中、「作戦は上々だった。特に25ミリと7.62ミリの劣化ウラン弾の威力はすばらしい」とされている。
この報告を裏付けるように開戦前の3月12日付けの仏紙ルモンドでは、第3歩兵師団のバフォード・ブラウント司令官が「われわれはすでに対戦車用に劣化ウラン弾を装てんしている」と取材に答えている。

『ちりが広がって湾岸諸国を汚染』

サマワでは劣化ウラン弾を使うような大きな戦闘はなかったという反論もあるが、民間人を含め112人が死亡する激しい抵抗があったという報道がある。
今回の戦争でイラク全土で英軍発表で1.9トン、米軍については米紙クリスチャン・サイエンス・モニターが「30ミリ機関砲だけで30万発」分の劣化ウラン弾が使われたと報じた。英国の研究者ダイ・ウイリアムス氏は計1700トンが使われたと試算している。
劣化ウラン弾と白血病やリンパ種など湾岸戦争の米帰還兵らが侵された「湾岸戦争症候群」との因果関係については米、英政府や世界保健機構(WHO)が否定する一方、日本の政府系原子力研究機関筋でさえ「弾丸自体は安全。だが、飛散した飛沫(ひまつ)を吸い込めば、肺が被爆し極めて危険」と話す。
来日中の元米軍医で民間団体「ウラニウム医療研究センター(UMRC)」のアサフ・ドゥラコビッチ所長は20日の記者会見の席上でも「劣化ウラン弾のちりは砂あらしにより、湾岸諸国を広く汚染するだろう」と述べており、サマワ現地での使用の有無を超えた危険性を示唆している。(東京新聞 2003/11/24)

サマワで高レベルの放射線 劣化ウラン弾の影響か
自衛隊の派遣予定地となっているイラク南部サマワとバグダッド国際空港の兵器残がいで、高いレベルの放射線を民間の研究機関などが11日までに確認。現場を訪れたフォトジャーナリストの森住卓さん(52)は「劣化ウラン弾が使われたことがはっきりした。長期滞在した場合は被ばくの危険は避けられない」と指摘している。
森住さんは今月4日、サマワに放置されていたキャノン砲を発見。砲の付け根部分にめり込むなどして弾自体は確認できなかったが、被弾個所からは手持ちの計器で自然レベルの20倍以上の線量が測定された。
場所はサマワ中心から約1キロのユーフラテス川沿い。森住さんが住民から聞いた目撃情報によると、3月下旬にアパッチヘリから攻撃があったという。
一方、バグダッド空港などの調査は、カナダを拠点に活動する独立系の研究機関「ウラニウム医療研究センター」(UMRC)が9−10月に実施。空港周辺では、劣化ウラン弾でできたとみられる戦車の貫通孔で自然レベルの600倍近く、バスラ近郊の戦車貫通孔では約2600倍の線量が測定された。(共同通信 2003/12/11)

イラク派遣:自衛隊員、放射線測定器を携行
陸上自衛隊はイラクへの派遣隊員全員に放射線測定器の「新型線量計」を携帯させることを決めた。20日に第2師団(北海道旭川市)が開いた家族説明会で示し、「劣化ウラン弾に対する隊員の不安を解消するため」と説明した。
イラクでは、湾岸戦争時に米軍が使った劣化ウラン弾の残留放射能被害が指摘されている。陸自派遣が予定されるイラク南部のサマワ周辺で劣化ウラン弾が使われたかどうかは確認されていないが、防衛庁は万一を考えて対策を検討していた。
携行する「新型線量計」はボールペン大の大きさで、放射線が一定の基準値を超えると音で警告する。隊員は活動中、襟と腰に付ける。
劣化ウラン弾は、天然ウランを濃縮する過程で派生する核廃棄物の劣化ウランを利用した弾丸。米軍がイラクで使用した地域で、がん患者が戦前の数倍から数十倍に上るという調査結果もある。
元米軍医で放射線医学の専門家、アサフ・ドラコビッチ博士は先月、大阪市での講演でサマワ周辺でも汚染の可能性があると指摘。「派遣するなら、防護服や被ばく対策の専門家の随行が必要」と警告した。【渡部宏人】(毎日新聞 2003/12/20)

サマワで劣化ウラン弾 オランダ軍が発見、米軍が大量に使用か
【カイロ31日田中祥彦】陸上自衛隊が派遣される予定のイラク南部サマワで、米軍が使用したとみられる劣化ウラン弾が見つかっていたことが31日までにわかった。サマワに駐留するオランダ軍が発見し、同国国防省が確認した。これまで民間団体や研究者が、首都バグダッド周辺や南部地域で劣化ウラン弾を発見、サマワでも使用された疑いを指摘しており、今回、オランダ政府という公的機関によって、こうした専門家の見方が裏付けられた形となった。
劣化ウラン弾を調査するオランダの民間非営利団体(NPO)、国際社会問題レビュー(RISQ)は、サマワで大量に使用された可能性を指摘しており、劣化ウラン弾の放射能による自衛隊員の健康被害を懸念する声が高まるのは必至だ。
オランダ国防省によると、見つかったのは30ミリ劣化ウラン弾。12月10日にサマワ市内にある廃棄兵器爆破用の敷地で発見されたが、個数は明らかにされていない。同省は、砲弾が無傷の状態であったため、被ばくの原因となるウラン微粒子は放出されず、発見したオランダ兵に健康被害の恐れはないとしている。
RISQによると、問題の30ミリ劣化ウラン弾は、米軍のアパッチ攻撃ヘリコプターかA10攻撃機がイラク戦争中に使用した可能性が高い。米国はイラク戦争での劣化ウラン弾の使用を認めているが、その量、使用地域などの詳細な情報は公表していない。
サマワを含むムサンナ州に1100人の部隊を展開しているオランダでは、イラク派兵にあたり、劣化ウラン弾が兵士の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、議会で問題化した経緯がある。「懸念されるほどの量は使っていない」という米国の言い分に対し、議会や世論には根強い不信感があり、サマワで劣化ウラン弾が確認されたことで、オランダ政府は苦しい立場に追い込まれそうだ。
政治学者でRISQを主宰するマーテン・バンデンバーグ氏は、「米英軍は劣化ウラン弾の使用地域の情報を提供していない。にもかかわらず、オランダ政府も日本政府も派兵を承諾した。これは自国の兵士の健康を危険にさらす行為だ」と批判している。(北海道新聞 2004/01/01)

イラク戦 環境も泣く 米英が劣化ウラン弾 国連環境計画が報告書
イラク戦争の軍事行動やそれに続く略奪などの結果、同国内で放射性物質や化学物質の汚染による、深刻な環境問題が数多く起きているとする国連環境計画(UNEP)の報告書が明らかになった。

米英軍による劣化ウラン弾の使用を確認するとともに、汚染が起きたとみられる地区を数カ所特定。周辺住民や環境への影響調査など、対策が早急に必要と提言した。
しかし昨年8月の国連事務所爆弾テロ事件で、環境復興を支援できる国連職員はイラクから撤退。治安悪化で復帰の見通しも立っておらず、早期解決は困難な情勢だ。
UNEPはイラクの環境をめぐる過去の調査を土台に、昨年7、8月には2度の現地調査を実施。優先的な対応が求められる問題に焦点を当て、報告書をまとめた。
報告書は1991年の湾岸戦争で大量に使用された劣化ウラン弾について、今回の戦争でも「米英当局が使用を認めた」と記述。英当局から得た情報として、英軍戦車が南部のバスラ周辺で1.9トンの劣化ウラン弾を使用したことなどを明らかにしている。米軍の使用量は不明のままだ。
汚染物質除去などの対応が緊急に必要な地区の代表例として、(1)ミシュラク硫黄鉱山、工場(イラク北部)(2)ツワイサ原子力センター(中部)(3)ドゥラ製油所貯蔵施設(同)などを列挙。
硫黄工場では昨年6月から約1カ月続いた原因不明の火災で、硫黄酸化物が大量に放出され、周辺住民が呼吸器や皮膚の異常を訴え、樹木が枯れるなどした。
原子力センターでは同4月、放射性物質入りの容器が多数持ち出される略奪が発生。周辺住民が中身を捨て、容器を食品や水の保存などに利用したとみられ、深刻な被ばくが懸念されている。

<国連環境計画(UNEP)> 環境分野の国際協力推進などに携わる国連機関。1972年に開かれた国連人間環境会議が採択した環境国際行動計画を実施に移すための機関として設立された。オゾン層保護、気候変動、廃棄物、生物多様性保護など幅広い分野で活動している。本部はナイロビ(ケニア)。(中日新聞 2004/01/07)

イラク男児が名大に入院 劣化ウラン弾?で血液疾患
湾岸戦争やイラク戦争で使われた劣化ウラン弾の影響とみられるがんや白血病が多発するイラクで血液の病気を患うアッバース・アリ・アルマルキー君(5つ)が9日、支援団体の仲介で名古屋大病院に入院した。
アッバース君は昨年5月に発病、イラク南部バスラの病院で治療を受けていたが、名古屋市の市民団体「セイブ・イラクチルドレン・名古屋」(小野万里子代表)の招きで来日が実現した。
母親に抱かれ、病院での記者会見に臨んだアッバース君は不安げな表情だったが、担当医の小島勢二教授は「どこの国の子だろうが診るのが当然。気負いはない」と受け入れに自信を見せた。
会見には小島教授の下で2月から半年間研修を受ける2人のイラク人医師も同席、1980年代後半に比べイラクでがんや白血病の件数が約15倍増え、十分な医薬品がないため死亡率も高くなっていると訴えた。(共同通信 2004/01/09)

イラク:劣化ウラン弾被害「5年後に出る」医師語る
【バスラ(イラク南部)小倉孝保】イラクで劣化ウラン弾によるとみられる被害の対応に当たっている2人の医師が8日、バスラでインタビューに応じ、イラク戦争における劣化ウラン弾被害について「5年後には出てくるのは間違いない」などと語った。
バスラ教育病院のジャワッド・アリ医師(60)とバスラ小児産婦人科医院のジャナン・ガリブ・ハッサン女医(47)の2人。ともに91年の湾岸戦争以来、劣化ウラン弾の被害調査に携わり、がん患者の治療のほか世界各地で講演をしたりシンポジウムに出席し、被害実態を訴えている。
アリ医師は「私の調査では、バスラのがんによる死者は88年には34人だったのが02年には644人と19倍になった」と指摘。イラン戦争について「湾岸戦争では郊外に集中していた劣化ウラン弾の使用地域が、今回はバスラやバグダッドの市街地にも拡大した。5年後には被害がはっきり出てくる」と語った。
また、ハッサン女医も「最近私の患者には骨のがん患者が増えている。劣化ウラン弾被害は収まる気配をみせていない」とし、「今回の戦争ではバスラ以上にバグダッドで劣化ウラン弾が使用された可能性がある。次に被害が続出するのはバグダッドかもしれない」との見方を示した。
フセイン政権下、2人が主張する劣化ウラン弾被害は同政権にとっても都合が良かったため、一部には「政権が2人を利用している」という見方があった。政権崩壊後、バスラ教育病院では一部の医師から「劣化ウラン弾被害はフセイン政権が作り上げたもの。2人の医師は政治利用された」と批判もあった。
これについて、2人は「科学的な根拠に基づいて発言しており、政権が変わっても、主張に変化はない。医師の中には米政府を怖がった
り、米政府に接近するため、被害を否定するものがいる」と口をそろえた。
バスラ教育病院のネザル・マフフーズ外科部長は「政権崩壊後、劣化ウラン弾の被害についてさまざまな意見が出たが、アリ医師らの調査は信頼できるものだと考えている」としている。(毎日新聞 2004/01/09)

300倍の放射線量を測定 イラク・サマワの一部で
【サマワ(イラク南部)10日共同】陸上自衛隊の派遣先となるイラク南部サマワで、地元の人権活動家と日本の市民団体「イラク国際戦犯民衆法廷」のメンバーが兵器の残がいの放射線量を調査した際、通常レベルの約300倍の線量が測定されたことが10日、分かった。
イラク戦争中、米軍が劣化ウラン弾を投下した可能性が高い。人権活動家のサーレさんは「同様に危険な場所は市内各地にある」としており、自衛隊にとって「見えない脅威」となりそうだ。
高レベル線量が測定されたのは、市中心部から約2キロの旧食肉解体場にある旧イラク軍の高射砲の残がい。サーレさんによると、昨年4月3日の米軍の空爆で、解体場は全壊した。
被弾したとみられる場所では、1時間当たり30マイクロシーベルトの線量が測定された。市内では同0.1マイクロシーベルト前後が通常値。
現場は、住民が農業用水などに利用するユーフラテス川の近く。付近は子供の遊び場になっており、サーレさんは「サマワ市当局に高射砲の撤去や現場の立ち入り禁止措置を取るよう何度も要求したが、イラクが占領下にあることを理由に何もしない」と憤っている。(共同通信 2004/01/10)

イラク:劣化ウラン弾、兵士に脅威 オランダ軍報告書
【ハーグ(オランダ)福原直樹】自衛隊先遣隊が活動するイラク南部・サマワで展開中のオランダ軍について、派遣直後3カ月間の活動状況を調査したオランダ国議会の報告書を毎日新聞は入手した。それによると同軍はサマワの治安維持を目指し、武器や車の密売団を摘発。劣化ウラン弾や皮膚病、腸炎、アスベスト(石綿)などを兵士の健康面での「現地での脅威」として警戒していたことが分かった。
報告書は昨年10月下旬に行われた与野党の議員団の現地調査に基づき作成された。
それによると、同軍はまずサマワでの犯罪摘発に全力を挙げた。米軍と共同で行われた暗号名「スイーニー」という作戦で兵士らはタクシーを使いサマワの米英占領当局(CPA)から約100メートル離れた武器密売市場をビデオ撮影するなどして監視。▽子供らが密売人の連絡役に使われている▽密売人の逃走経路が用意され、一部の住民が密売人をかくまっている──などを確認し、一斉摘発に踏み切った。
この結果、旧フセイン政権高官4人を含む120人を摘発し、一部は石油を密売していたことも判明。武器100丁も押収した。自動車盗の摘発にも力を注ぎ、路上の車を盗んで砂漠の工場で組み立て直して売却する組織も突き止めた。また同軍は、不審人物やテロ活動の情報収集のため、暗号名「トンボ」作戦を実施して住民に情報提供を呼びかけた。
一方、報告書は兵士の健康への「脅威」として、現地に残る劣化ウラン弾や、過去の建築工事で使用された発がん性の高いアスベストを指摘した。兵士は気管支障害、熱中症のほか、長時間歩行による足のマメに苦しめられたという。このほか、軍などの調査で現地人の20%がイスラム国家、30%が非宗教国家(世俗国家)の樹立を望んでいることも分かった。
同軍は昨年8月からサマワで1100人規模で展開。既に派遣された陸上自衛隊の先遣隊(30人)を警護するほか、施設部隊などの先発隊の警護の一部を担当する予定。(毎日新聞 2004/02/05)

イラク南部を調査の民間専門家2人が劣化ウランに汚染 UMRCが緊急警告書
カナダに本拠を置く独立系の民間団体「ウラニウム医療研究センター」(UMRC)は、イラクで現地調査を行った同センターのスタッフ2人が劣化ウランに汚染されたことを明らかにした。わずか13日間の滞在での汚染という。同センターは、イラクにいるNGOスタッフや連合軍兵士、イラク市民にウラニウム汚染に関する警告を出すとともに、国連に対して緊急に実態調査と汚染防止対策に乗り出すよう訴えている。(TUP速報=ベリタ通信)(日刊ベリタ 2004/02/14)

参照:<重要> イラクでのウラニウム汚染に関する警告(TUP速報)

劣化ウラン弾:イラク戦争で米軍使用、オランダが認める
【ブリュッセル福原直樹】オランダのカンプ国防相は17日、オランダ軍や自衛隊が展開するイラク南部・サマワ付近で、イラク戦争の際、米軍が劣化ウラン弾を使用したことを正式に認めた。同弾はコソボ紛争(99年)などで使われ、白血病などとの因果関係が問題になっていたが、国防相はこれまで「米軍の情報によればイラク戦争では劣化ウラン弾は使用されていない」と説明していた。だが、最近オランダ軍兵士がサマワ付近で同弾を発見、議会で追求が続いていた。
オランダ国防省によると、国防相が同日、議会に提出した書簡で明らかにした。それによると、イラク戦争中の03年春、サマワ市近辺の数カ所で米軍が他の弾丸と共に劣化ウラン弾を使用した。
書簡などで、国防相は「現場の兵士にはガン(白血病)などの危険はない」と主張。国防省によると、米軍などが同弾を使用した地域は現場の兵士に知らされている。また現地のオランダ軍兵士らの尿検査も実施したが、異常はなかったという。
オランダでの報道によると、最近、同軍がサマワで発見したのは劣化ウランを使用した30ミリ弾だった。
一部の議員によると、国防相側は昨年12月、少数の議員に内々に「懸念すべき量は使っていないという報告があった」と連絡していた。だが、これまで公式には認めなかったことから、オランダ軍人の労働組合は「国防相は米軍にだまされていた」と批判していた。(毎日新聞 2004/02/19)

劣化ウラン弾:自衛隊派遣には問題ない 福田官房長官
福田康夫官房長官は19日の会見で、オランダのカンプ国防相がイラク南部サマワ付近での米軍劣化ウラン弾使用を認めたことについて「オランダ国防省が米国に照会したところ、サマワ周辺のいくつかの場所で、劣化ウラン弾が使用された模様だ」と指摘した。
同時に「定期的に(放射能の)測定が行われているが、その結果は何ら懸念を要するものではないと(オランダ政府が)言っているようだ」とも語り、健康への影響を否定、自衛隊派遣には問題ないとの認識を示した。【古本陽荘】(毎日新聞 2004/02/19)

劣化ウラン弾 英軍内部で警告 イラク戦争時 健康注意促す
イラク戦争が始まった2003年3月、英国防省がイラクに派遣した英軍兵士に劣化ウラン弾(DU)の危険性を知らせる「情報カード」を発行していたことが24日までに、市民団体「NO DU ヒロシマ・プロジェクト」(嘉指信雄代表)の調べで分かった。公式にはDUの健康影響を認めていない英政府が、内部向けには警告を発していたことになる。
縦5.5センチ、横8.5センチのクレジットカード大でプラスチック製。「あなたはDUが使用された戦場に派遣されている。DUは低度ながら放射性重金属であり、健康障害を引き起こす可能性がある」と明記し、1991年の湾岸戦争で使用されたDUの危険性を指摘。裏面には「あなたは、ウラン検出のための尿検査を受ける資格がある」などと記し、注意を促している。
カードには「03/03」(03年3月)の日付があり、イラク戦争が始まった同月20日前後に配布されたとみられる。
嘉指代表の知人で、英国の湾岸戦争帰還兵がカードを入手した。嘉指代表は「英国は劣化ウラン弾の危険性を十分承知していたと考えられる。イラクの人たちに知らせず英兵だけに知らせたうえで、イラク戦争でも劣化ウラン弾が使用されたことは大きな問題だ」と指摘している。
英国防省はホームページでも、DUは対戦車砲などで使われることから、被弾した戦車に近づいた兵士は尿検査を受けるよう奨励。一方、DUの危険性については「健康を害するとの科学的、医学的根拠はない」と説明している。(中国新聞 2004/02/25)

劣化ウランと健康被害の因果関係認める 英退役軍人の裁判で画期的判決
湾岸戦争に従軍した英スコットランドの退役軍人が、健康被害は米英軍が使用した劣化ウラン弾による被曝が原因として年金の満額支給などを求めていた裁判で、英エディンバラの年金控訴審が2月初め、退役軍人の訴えを認める判決を下していたことが分かった。
スコットランドのヘラルド紙は「英裁判所が劣化ウラン被害を認めた初のケース」と報じている。(TUP速報=ベリタ通信)(日刊ベリタ 2004/02/26)

参照:英国で劣化ウランと健康被害を認める画期的判決(TUP速報)

WHO、劣化ウランの健康被害報告の発表認めず 上級顧問が「意図的な隠蔽」と告発
米英軍が湾岸戦争で使用した劣化ウラン兵器によって「イラク市民の健康が長期的に脅かされる」と警告した専門家の報告書が世界保健機構(WHO)によって闇に葬られていたことが判明した。英紙サンデー・ヘラルドが報じた。第一線の放射線科学者3人による研究は「放射能と化学毒性を持った劣化ウランを含むチリを吸い込んで、子供も大人も癌になる可能性がある」と警告していた。だが、執筆者の1人であるキース・ベイヴァーストック博士を放射能の上級顧問として雇ったWHOは、その報告の公表を阻止していたという。WHOは隠蔽を否定しているが、背景には、その本質は「原子力ロビイスト機関」ともいわれる国際原子力機関(IAEA)の圧力があったのではないかと疑われている。(TUP速報=ベリタ通信) (日刊ベリタ 2004/02/27)

参照:WHO劣化ウラン調査結果を“隠蔽”(TUP速報)

ref. WHO 'suppressed' scientific study into depleted uranium cancer fears in Iraq
(Sunday Herald 2004/02/22)

劣化ウラン弾の怖さ映画に 全国各地で20日以降上映
米軍が投下した劣化ウラン弾の影響で白血病になったとみられるイラクの子どもなどを追ったドキュメンタリー映画「ヒバクシャ―世界の終わりに」が、イラク戦争開戦から1年の20日に合わせて札幌、仙台、東京、大阪で一斉に上映される。
この映画では、米ワシントン州の核施設周辺の住民が、漏れ出した微量の放射性ガスや使用済み冷却水の危険に長年さらされている様子を紹介。広島、長崎の被爆者を通して、放射能汚染の恐ろしさも訴えている。
21日以降も、横浜、広島など全国17カ所で上映を予定している。問い合わせはグループ現代、電話03(3341)2863。(共同通信 2004/03/19)

劣化ウラン使用地域を特定 イラク・サマワ派遣の陸自
【サマワ4日共同】イラク戦争で米軍が使った劣化ウラン弾による健康への影響を避けるため、陸上自衛隊が派遣先のサマワで、連合国軍の調査を基に使用されたとみられる地域を特定、隊員の立ち入りを禁止するなど、独自に対応基準を作っていることが4日、分かった。
防衛庁は従来、劣化ウラン弾による具体的な健康被害は確認できていないと慎重な立場をとり、派遣隊員に放射線(ガンマ線)の線量計を携行させるなど万一の事態に備えてきた。
関係者によると、陸自と同じサマワに駐留するオランダ軍が、米軍情報を参考に昨年末までにムサンナ州(州都サマワ)の数カ所で、劣化ウランの砲弾が貫通したイラク軍の武器類の残骸(ざんがい)を見つけた。
陸自は部隊が展開する地域のデータをまとめる「地誌」に残骸跡を記載して、支援活動のエリアから除外した。(共同通信 2004/04/04)

劣化ウラン弾で米兵汚染、昨年サマワに駐留の4人
【ニューヨーク=河野博子】イラク・サマワで米憲兵隊員としての任務についていたニューヨーク州兵が9日、当地で記者会見し、尿検査で劣化ウランによる放射能汚染がわかり、劣化ウラン弾の健康影響が裏付けられたとして、今後米政府に対し、同地で任務についた兵士全員の尿検査や健康対策などを求めていくことを明らかにした。
オーギュシティン・マトス軍曹(37)らニューヨーク地区の警官や刑務官ら7人は、予備役の州兵としてイラクに派兵され、昨年4月から8月まで憲兵隊442中隊員としてサマワに駐留。負傷するなどして帰国し、首都ワシントンの陸軍病院に入院した。
昨年秋から頭痛、吐き気、血尿、聴力や視力の部分的喪失などの症状を訴え、劣化ウラン弾との関連を調べるよう陸軍病院に求めたが聞き入れられず、このほどカナダ・トロントの専門医療機関による検査を受けた。尿中の放射性同位体の比率を調べる検査の結果、7人のうち4人の数値が、高濃度の劣化ウラン汚染を示したという。
劣化ウラン弾は、核廃棄物の劣化ウランを弾頭に使った爆弾で、がんや白血病などの同弾が原因とみられる深刻な健康被害が指摘されている。日本では、自衛隊のイラク派遣で問題となり、政府は放射能測定器の携行などを約束した。(読売新聞 2004/04/10)

米軍サマワ帰還兵から劣化ウラン 元軍医が東京で報告
イラク南部のサマワに米憲兵隊員として駐留して帰国した9人が体調不良を訴え、4人の尿から劣化ウラン(DU)が検出されていたことがわかった。来日した元米陸軍軍医のアサフ・ドラコビッチ博士が12日、東京の市民集会で報告した。「米軍の砲弾の燃焼ダストによる被曝(ひばく)によるもので、現在、駐留中の自衛隊員も被曝の可能性は極めて高い」と警告した。
核医学を専門とするドラコビッチ博士は91年の湾岸戦争でのDU弾の使用を批判して米軍当局と対立。97年に軍を離れ、ウラニウム医療研究センター(UMRC)を設立した。
報告によると、昨年4月から8月にかけ、オランダ軍に引き継ぐまでサマワで警備任務などに就いていた軍曹(37)ら9人は、慢性的な頭痛、吐き気、腎不全、免疫障害などに悩まされUMRCに相談した。
昨年12月、9人から採尿してドイツの研究所で分析した結果、9人中7人から自然界では存在しないウラン236が、うち4人から他の劣化ウランの同位体が検出された。
博士は「ウラン236は核実験の影響などでごくまれに尿から検出されることはあるが、核廃棄物のDUとの組み合わせで検出された以上、4人がDU弾で被曝したことは間違いない」と結論づけた。(朝日新聞 2004/04/12)

「劣化ウラン弾で汚染」 イラク人医師が米批判
血液疾患の治療で名古屋大病院に入院したイラク人男児とともに来日し、同病院で研修中のアサード・アメール・カラフさん(34)らイラク人医師2人が8日、名古屋市内で講演し、イラクの医療について「湾岸戦争前と比べてがん患者が10倍以上になった。注射器などの簡単な医療器具も不足している」などと厳しい現状を訴えた。
約100人の参加者を前に、アサードさんは「劣化ウラン弾でイラクの土地を汚染した」などとイラク戦争で攻撃に使った米国を批判。「若い人が世界の将来を輝かしいものにできる。ベストを尽くしてほしい」と呼び掛けた。
モハメド・ダハム・ハッサンさん(30)は、参加者から今年夏にイラクに帰国した後の活動について質問を受け「研修で得た知識を病院の同僚に伝えたい」と答えた。(共同通信 2004/05/08)

「奇形の子供は3倍に」 イラクの医師が窮状訴え
イラク南部の都市バスラから来日し、広島大病院で半年間の研修を受けている小児科医フサーム・マフムード・サリッヒさん(34)が16日、広島県三次市で講演し、湾岸戦争の前後で奇形を持って生まれた子供が3倍に増えたなどと訴えた。
フサームさんは、両手足がなかったり脳が飛び出したりした状態で生まれた子供の写真を示しながら、1990年以降の数字を使い奇形や小児がんが増えていると説明。「湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾が原因だ」と話した。
また、「結局見つからなかった大量破壊兵器を理由に国際法を破った」などと米国を批判。イラク戦争の目的について「石油の確保とイスラエル支援だ」と指摘した。
質疑応答で自衛隊のイラク派遣について問われ、「どこの国であれ、軍服はもう見たくない。必要なのは非政府組織(NGO)による支援だ」と述べた。
講演会は三次市内の市民団体が主催。約50人が耳を傾けた。(共同通信 2004/05/16)

「白血病に結びつく理由ない」 劣化ウラン弾「安全」の記述 原子力財団の広報資料
米軍が湾岸戦争やイラク戦争などで使用し、現地の子供の白血病多発などとの関連が指摘される劣化ウラン弾の放射能について、文部科学省所管の財団法人・日本原子力文化振興財団(東京)が企業などに配布した広報資料に、「安全」と受け取られかねない記述があることが20日分かった。白血病との関係を否定するような表現もあり、研究者や市民団体から疑問の声が上がっている。
資料はA4判、10ページで、「劣化ウラン弾による環境影響」と題され、6月に780部が電力会社など原子力関連企業や報道機関に配布された。
劣化ウランの放射線量が天然ウランの100分の1であることなどを根拠に、「天然ウラン中のウラン成分より安全」と記述。「白血病、がんに結びつく理由はほとんど考えられない」としている。
こうした記述について、京大原子炉実験所の小出裕章助手は「安全なウランなどなく、(天然ウランとの)比較自体がナンセンス」と指摘。
「劣化ウラン弾禁止ヒロシマ・プロジェクト」の森滝春子世話人(広島市)は「イラクなど被弾地域で子供の白血病やがん増加が病院統計などで示されている」、「劣化ウラン兵器禁止市民ネットワーク」(東京)の柳田真さんも「根拠を明確にせず白血病と無関係と断じている」と批判。
同財団は1969年、「原子力の平和利用知識の普及啓発」を目的に設立され、社民党党首の福島瑞穂参院議員は今月上旬、「国連でも劣化ウラン弾は非人道的兵器とされ、財団の設立目的に照らしても不適切」と、政府に見解を求める質問主意書を参院に提出した。
同財団は「コメントできない」とし、文科省は「国が口を出すことではない」としている。(北海道新聞 2004/08/21)

イラク:サマワの放置戦車に放射能 劣化ウラン弾の影響か
14日付のイラク紙アルマシリクは、陸上自衛隊が駐留する南部サマワで、イラク戦争で損傷したまま放置されていた戦車などから、専門調査団が低い放射能を検出したと報じた。
住民の健康に被害を及ぼす可能性があり、調査後、多国籍軍が除去作業を行うという。
サマワでは、日本の市民団体などの調査で、兵器の残骸(ざんがい)から通常レベルの約300倍の放射線量が測定されており、米軍が使った劣化ウラン弾の影響が指摘されている。(バグダッド共同)(毎日新聞 2004/10/15)

アッバースくん 日本で病気治しイラクで急死 感染症か
悪性血液疾患のため名古屋大学付属病院で治療を受け、イラクに帰国したアッバース・アリ・アルマルキー君(6)が今月上旬に急死していたことが11日、主治医のフサーム・マフムード・サーリフ医師から名古屋市の市民団体「セイブ・イラクチルドレン名古屋」(小野万里子代表)に送られた電子メールで判明した。
小野代表によると、アッバース君は帰国後も元気に過ごしていたが、5日夜に突然発熱。翌6日朝に父親の手で病院に運ばれた時には意識はなく手の施しようがなかったという。詳しい死因など不明だが、悪性血液疾患の再発ではなく、感染症の疑いがあるという。
アッバース君は昨年1月、関節の痛みや下痢が悪化し、同団体の支援で来日した。同病院で約10カ月間、抗がん剤や抗生物質による治療プログラムを終了し、昨年10月に約1年半分の薬を持参してイラク南東部のバスラ市に帰国、現地で通院治療を続けていた。
小野代表によると、バスラ市では湾岸戦争で米軍が大量に使用した劣化ウラン弾が原因とみられる白血病の子供たちが多く、一昨年に発症した子供で生存していたのはアッバース君だけだったという。
小野代表は「日本の支援で元気になったアッバースは、白血病の子供たちの希望の星だった。語り尽くせない悲しみを感じます」と衝撃を隠せない様子だった。【桜井平】(毎日新聞 2005/02/13)

講演会:元米軍医、劣化ウラン被ばくの調査報告 自衛隊員の被害懸念──京都 /大阪
◇イラク・サマワ派遣の米帰還兵が被ばく
イラク・サマワへ派遣された米国の帰還兵が劣化ウランに被ばくし、体調を崩したとの調査結果を、「ウラニウム医療研究センター(UMRC)」のアサフ・ドラコビッチ所長が9日、京都市上京区の同志社大で報告した。同地に駐留する自衛隊員への健康被害を懸念した。
UMRCは米国などに拠点をおく民間研究機関。ドラコビッチ所長によると、ウラン汚染が確認されたのは、イラク戦争が終わった後の03年6月から2カ月、サマワに滞在した米兵。検査した9人のうち4人の尿から劣化ウラン、7人から人工のウラン236を検出した。放射能を帯びた空中の微粉末を吸い込んだとみられる。米軍が劣化ウラン弾など放射性兵器を使った証拠だという。「ガンや遺伝子異常につながる」と警告した。
またUMRCは03年9月、イラク国内の10都市で住民たちも検査した。激しい地上戦のあった南部バスラの住民から、高濃度の劣化ウランとウラン236を検出した。ドラコビッチ所長は「罪のない市民が犠牲になっているのに、政治家は事実を隠そうとしている。科学的な事実で、彼らのうそを暴かなければならない」と訴えた。
ドラコビッチ所長は元米軍医で放射線医学が専門。湾岸戦争(91年)から帰還した米兵の劣化ウラン被ばくを研究、治療したため軍を解雇された。96年にUMRCを設立。日本では「UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーン事務局」(ファクス072・331・1919)が活動を支援している。【花岡洋二】(毎日新聞 2005/03/11)

劣化ウラン弾で奇形も てぃるるでイラク人記者講演
混乱が続くイラクの現実を知ろうと、イラク人ジャーナリストのハッサン・アリ・ハッサン・アボットさん(38)を招いた講演会「イラク人ジャーナリストに聞く-いまイラクはどうなっているか」が15日、県女性総合センターてぃるるで開かれた。
ハッサンさんは、薬、ベッドが足りないイラクの医療現場や、米軍が撃ち込んだ劣化ウラン弾の影響で今も苦しみ続ける子供たちなどの現状を報告。「薬不足のために亡くなっていく小さな命を目の当たりにするとやりきれない。劣化ウラン弾の影響で奇形児が生まれてくる確率も高くなっている」と話し、「日本ができることがここにある」と援助を訴えた。
さらに、日本のメディアが自衛隊の活動に集中して報道していることに触れて、「本当に伝えなければならないことは別にあるはず」と報道の在り方に疑問を示した。
今月末にイラクへ帰国するハッサンさんは「日本からイラクへ、平和への希望を持ち帰りたい」と語った。
イベントの中心となった、呼び掛け人の池宮城紀夫弁護士は「沖縄からもイラク戦争へ兵士が派遣され、沖縄も加害者役割を背負わされている。1日も早く沖縄から米軍の撤退を目指さなければならない」と語った。(琉球新報 2005/03/16)

線量限度の被ばくで発がん 国際調査で結論
【ワシントン30日共同】放射線被ばくは低線量でも発がんリスクがあり、職業上の被ばく線量限度である5年間で100ミリシーベルトの被ばくでも約1%の人が放射線に起因するがんになるとの報告書を、米科学アカデミーが世界の最新データを基に30日までにまとめた。報告書は「被ばくには、これ以下なら安全」と言える量はないと指摘。国際がん研究機関などが日本を含む15カ国の原発作業員を対象にした調査でも、線量限度以内の低線量被ばくで、がん死の危険が高まることが判明した。
低線量被ばくの人体への影響をめぐっては「一定量までなら害はない」との主張や「ごく低線量の被ばくは免疫を強め、健康のためになる」との説もあった。報告書はこれらの説を否定、低線量でも発がんリスクはあると結論づけた。業務や病気の診断や治療で放射線を浴びる場合でも、被ばく量を低減する努力が求められそうだ。
米科学アカデミーは、従来被ばくの発がんリスクの調査に用いられてきた広島、長崎の被爆データに加え、医療目的で放射線照射を受けた患者のデータなどを総合し、低線量被ばくのリスクを見積もった。
それによると、100ミリシーベルトの被ばくで100人に1人の割合でがんを発症する危険が判明。この線量は、胸部エックス線検査なら1000回分に相当するという。また、100ミリシーベルト以下でもリスクはあると指摘。10ミリシーベルトの被ばくになる全身のエックス線CTを受けると、1000人に1人はがんになる、とした。
また、国際がん研究機関などが約40万7000人の原発作業員らを長期追跡した調査では、100ミリシーベルトの被ばくにより、がん死の危険が約10%上昇するとの結果が出た。調査対象の平均累積被ばく線量だった約19ミリシーベルト程度でも、がんの死亡率がわずかに高まる可能性が示された。
日本の商業原発では2002年度の1年間に作業員が浴びた線量の平均値は1.3ミリシーベルト、最も多く被ばくした作業員は19.7ミリシーベルトだった。(共同通信 2005/06/30)

劣化ウラン弾悩む米 報道写真家森住さんに聞く イラク帰還兵訴え次々
イラクから戻った米兵が、原因不明の健康被害に悩まされているという。生まれた子供に先天的な障害が出たと訴える米兵もいる。彼らは、イラク戦争で米軍が使用した劣化ウラン弾が原因と口をそろえる。4月中旬から1カ月間、米国ニューヨークで米兵たちを取材した報道写真家森住卓さん(54)=東京在住=に実情を聞いた。

「この子が劣化ウラン弾の残酷さを伝えているのです」
ニューヨーク市内の自宅で1歳になる娘ビクトリアちゃんを両腕に抱き、ジェラルド・マシューさん(31)はそう言いました。彼女の小さな右の手には、指が1本もありませんでした。
マシューさんはニューヨーク州兵としてイラク戦争直後の2003年5月から、クウェートとイラクの間で軍事物資を運ぶトラックを運転していました。破壊された戦車や軍事車両を載せたこともあったそうです。
輸送を重ねるうちに、顔の右半分がはれたり、頭痛、排尿時の痛み、血尿、下痢などの症状が出るようになり、4カ月後の同年9月、米国に戻りました。その後、すぐに妻が妊娠し、昨年6月に生まれたのがビクトリアちゃんでした。
医師はビクトリアちゃんがおなかにいるとき、検査で指の異常に気付き、マシューさんに「放射性物質に被ばくしたことはないか」と尋ねたそうです。彼はその言葉が「今も忘れられない」と言います。
マシューさん夫妻は中絶も考えましたが、「イラクで人を殺さずに済んだ。戻ってきて、新しい命を絶つことはできない」と思い直したそうです。
マシューさんは地元紙ニューヨーク・デーリー・ニューズが独自に州兵の尿をドイツの検査機関に送り、劣化ウランを検出したとの記事を読み、同紙に検査を依頼しました。その結果、通常の8―10倍の濃度のウランが確認されたそうです。
ビクトリアちゃんは指以外に障害はなく、とても元気そうでした。それでもマシューさんは「これから別の障害が出てくるかもしれない」と不安を募らせていました。
日本の陸上自衛隊が駐屯するサマワに滞在中、健康を害したニューヨーク州兵もいました。ハーバード・リードさん(51)はその1人で、03年7月まで、イラク人の刑務所で監督官をしていたそうです。
2、3日おきに全身が発疹(はっしん)に覆われ、後頭部に腫瘍(しゅよう)のようなものができ、激しい頭痛に襲われたそうです。
リードさんも同紙の検査で尿から劣化ウランが見つかりました。今も頭痛などに悩まされており、軍の病院が支給する15種類の薬を服用していました。
今回、尿から劣化ウランが検出され、体調不良を訴える計5人のニューヨーク州兵に会いました。彼らは自分たちの被害を通じ、イラク戦争の意味を問い直そうとしていました。
「私たちは戻ってきたからまだいいけれど、イラクの人たちはあの場所に住み続けなければならない。あの戦争はイラク人を解放する、と言っていたが、本当は違うのではないか」と。(西日本新聞 2005/07/02)

米、防衛庁は否定 劣化ウラン弾原因説 廃絶求める専門家も
米政府や日本の防衛庁は、劣化ウラン弾と健康被害の関係を否定している。専門家の間でも見解は分かれるが、「因果関係が証明できなくても、有害は間違いない」と廃絶を求める声は根強い。
劣化ウラン弾は放射性廃棄物の劣化ウランを用いた弾丸で、比重が重く、戦車の厚い装甲も貫く。一方で、微粒子になって飛び散り、土壌や地下水などを汚染するといわれ、イラク国内で増加する白血病やがんなどとの関連が疑われている。
米政府は、1991年の湾岸戦争で劣化ウラン弾の破片に当たった復員兵の研究結果を踏まえ「尿のウラン濃度は高かったが白血病、骨肉腫、肺がん、腎臓病の発病者は1人もいなかった。出生異常も1件も報告されていない」(国務省国際情報プログラム室)と、劣化ウラン弾と健康被害との関係を認めていない。
日本の防衛庁広報課も「劣化ウラン弾の影響で健康被害が増加した事実を確認する情報はない。イラクから帰国後、健康障害を訴える自衛隊員もいない」と強調。派遣隊員には帰国後、一般的な健康診断を行っているが、尿中の劣化ウラン検査は行っていないという。
専門家にも、ジェラルド・マシューさんの尿中のウラン濃度が「通常の8―10倍」だったことについて「日常生活の中でも数倍の変動はありうる。遺伝的な影響があったかどうかは検証が必要だ」と慎重な見方がある。
しかし、琉球大の矢ケ崎克馬教授(物理学)は「劣化ウランが体内に入った場合どうなるかという『内部被ばく』の実態は、未知の部分が多い」と指摘。慶応大の藤田祐幸助教授(物理学)も「がんなどの原因をさかのぼって特定するのは難しい。しかし、イラクは全域が劣化ウランの汚染状態にある。短期間の滞在でも、劣化ウランの影響でがんになったり、傷害のある子供が生まれたりすることはありうる」と警告している。(西日本新聞 2005/07/02)

イラクでがん、白血病が急増 湾岸戦争後の現状報告 名古屋
湾岸戦争後のイラクの医療事情をテーマにした講演会が27日、名古屋市熱田区の労働会館であった。イラクへの医療支援に取り組む市民団体「セイブ・イラクチルドレン・名古屋」など主催。全日本民主医療機関連合会の招きで来日しているバスラ教育病院の医師2人が、開戦した1991年以降、がんや白血病患者が急増している現状などを報告した。
同病院がんセンター長のアル・アリ氏は「夫婦やきょうだいが同時にがんを発症したり、本来なら成人が発症する病気に子どもがかかったりする異常な現象が起きている」と説明。「戦争が起きてから発症するまでの期間と一般的な潜伏期間が一致している」などと指摘し、米軍がイラク国内に大量投下した劣化ウラン弾の影響を示唆した。
その上で「被爆地における汚染状況、先天異常との因果関係を検証する必要がある」と強調。「だが、現地では医療機器も薬剤もスタッフも不足しており、十分な治療、調査ができない」と話し、日本の非政府組織(NGO)などのさらなる支援を呼びかけた。
講演に先立ち、栃木県栃木市の医療材料メーカー「タスク」の担当者が、がん検査に使用する「生検針」721本をアリ氏に贈り、現地の病院での活用を託した。(平井 一敏)(中日新聞 2005/09/28)

劣化ウラン:兵庫の金属工場で40キロ発見 文科省
文部科学省は17日、兵庫県朝来市の金属工場「生野株式会社」で、放射性元素の劣化ウラン約40キロが見つかったと発表した。現在は同社の倉庫に保管されている。倉庫外の放射線量は一般環境と同レベルで、安全上の問題はないという。
14日、同社が文科省に届け出た。同社はアルミニウム合金を作っており、原料となるアルミニウムスクラップ約16トンを8月、米国から輸入した。点検していたところ、他とは形状が異なる重い塊が2つ見つかり、うち1つに「劣化ウラン」という英語の表示があったという。輸入の過程で混入したらしい。
劣化ウランは、原子力発電や核兵器に使うために天然ウランを濃縮する過程で出る。原子炉等規制法は核燃料物質と定めている。【元村有希子】(毎日新聞 2005/10/17)

「劣化ウラン廃絶が使命」 イラク戦争帰還兵が講演
イラク戦争から帰還し、劣化ウラン弾による健康被害を訴えているニューヨーク在住の元米兵ジェラード・マシューさん(31)が妻ジャニスさん(31)とともに3日、広島市中区の原爆資料館で講演し「劣化ウラン弾など大量破壊兵器をなくしていくことがわたしの使命だ」と訴えた。
ジェラードさんは、軍のトラック運転手として2003年4月から従軍したが、頭痛や顔の腫れなどの症状が出て同年9月に帰国。尿検査でウランが検出され、さらに翌年6月に生まれた娘は右手の指3本が欠けていた。
ジェラードさんは「自分が娘と劣化ウランを結び付けてしまったことに大変ショックを受けた」と振り返り、ジャニスさんは「娘のような子どもが二度と生まれないように、声を上げることがわたしの役目」と涙ながらに話した。(共同通信 2005/11/03)

湾岸戦争症候群と認定 英裁判所 元兵士に障害年金支給
【ロンドン=岡崎衆史】1991年の湾岸戦争に従軍した兵士が身体的・精神的な障害を訴えている「湾岸戦争症候群」をめぐって、英国の裁判所がこのほど、元兵士1人が同症候群を患っていると認定し、障害年金の支給を命ずる裁定を出しました。
英国防省はこれまで、医学的根拠がないとして湾岸戦争症候群の存在を否定。今回、同症候群の存在を裁判所が公式に認めたことで、今後さらに多くの認定の可能性が出てきました。
年金控訴裁判所は10月31日、湾岸戦争に従軍後、記憶障害やぜんそく、精神的不安を訴えるダニエル・マーティンさん(35)を湾岸戦争症候群に認定。その上で、湾岸戦争症候群の用語を「適切な医学名」「有益な包括的用語」と指摘するとともに、国防省が同症候群を認めてこなかったことを「非常に遺憾」と批判しました。
国防省は1日声明を出し、「現状では湾岸戦争症候群を個別の医学的症状と認める適切な医学的基礎がないのは事実だ」としながらも、「それは、元兵士があらゆる障害補償を受けるのを妨げるわけではない」と表明しました。
英国の湾岸戦争退役軍人の団体によると、障害年金を申請した7500人のうち、1500人が湾岸戦争症候群を訴えています。
今年初めには、独立調査委員会が湾岸戦争症候群の存在を認め、最大6000人の元兵士に対して補償交渉を進めるよう国防省に促していました。
湾岸戦争症候群の原因については、対生物・化学兵器用のワクチンの摂取や、米軍が使用した劣化ウラン弾の放射性粒子の吸入などが、専門家によって指摘されています。(しんぶん赤旗 2005/11/04)

ハワイで劣化ウラン弾 米軍演習場に破片15個
【ワシントン8日=滝本匠本紙特派員】ハワイ・オアフ島にある米軍スコフィールド・バラックス基地の実弾演習場で、これまでハワイでは使用していないと米軍が説明してきた劣化ウラン弾が昨年発見されていたことが明らかになり、地元環境団体や先住民団体らが「(軍は)無責任だ」「完全なる説明を求める」などと米軍の姿勢を強く非難している。劣化ウラン弾をめぐっては米軍鳥島射爆場への誤射事件も未解決のままで、米軍の武器管理のずさんさを示すものとして、沖縄でも批判が出てきそうだ。
地元紙ホノルル・スター・ブレティンなどが伝えた。地元運動家からの問い合わせに対し、米陸軍が認めた。
昨年8月、基地内の複合射撃訓練場の拡張工事に伴い着弾地の不発弾除去を行っていた業者が、直径約2・5センチ、長さ約10センチの劣化ウラン弾の尾部15個を発見した。同基地駐留の米陸軍第25歩兵師団は1960年代に訓練で使用された劣化ウラン弾の破片だと説明している。
地元の平和団体アメリカン・フレンズ・サービス・コミッティーのカイル・カジヒロ・プログラム部長によると、これまで米軍側はハワイでは一切劣化ウラン弾を使用していないと発表していた。カジヒロ部長は「米陸軍は劣化ウラン弾の使用について把握していないか、あるいは故意に市民を欺いたかだ。どちらにしても大変な問題だ」と軍を批判した。
発見された劣化ウラン弾について陸軍では低レベル放射能で危険はないとしている。陸軍ハワイ守備隊のハワード・キリアン司令官は「陸軍は決して故意に欺こうとしたのではない」と釈明、そこ以外では存在しないことを強調した。
県内では嘉手納弾薬庫にも貯蔵される劣化ウラン弾。95年から96年にかけて米軍が鳥島射爆場で誤射したが、完全な回収もされず、地元の求めにも健康診断は実施されていない。また99年には薬きょうが米軍から民間に流出し、問題となった。(琉球新報 2006/01/10)

チョコでイラクの子救って 白血病児の支援団体が募金
バレンタインデーを前に、イラクの白血病の子どもに医薬品を送っている民間団体「日本イラク医療支援ネットワーク」(事務局・長野県松本市)は、1口500円の募金に応じてくれた人にチョコレートをプレゼントする運動を展開し「チョコでイラクの子どもを救おう」と呼び掛けている。
同ネットワークによると、イラクでは湾岸戦争後、白血病の子どもが急増しているが、抗がん剤は高価な上、冷蔵して届ける必要があり、慢性的に不足している。
チョコレートはイラクの子どもが描いた絵のカードとセット。募金500円のうち400円が薬代に充てられる。
募金申し込みは14日まで。その後はホワイトデー向けに募金運動をする。問い合わせは事務局、電話0263(46)4218。(共同通信 2006/02/11)

沖縄・米空軍嘉手納基地:劣化ウラン弾40万発を保管
沖縄県の米空軍嘉手納基地に01年当時、約40万発の劣化ウラン弾が保管されていたことが、米情報公開法に基づいて米空軍が公開した資料で分かった。湾岸戦争(91年)で米空軍が使用した劣化ウラン弾の約半分に相当する量となる。同基地は00年5月、劣化ウラン弾を弾薬庫に保管していることを明らかにしたが、具体的な量が明らかになったのは初めて。
米ハワイ州在住の米国人平和活動家、カイル・カジヒロさんが01年2月、米太平洋軍の劣化ウラン弾に関する全記録の公開を請求。米空軍は同年8月、「嘉手納基地と韓国の烏山(オサン)空軍基地から提供された記録」として公開した。

◇米空軍の情報公開資料で判明

資料には、劣化ウラン弾の種類や量の一覧表があり、嘉手納基地については「30MM API/HEI PGU 14B/BAJ」(30ミリ装甲貫通焼夷(しょうい)弾/高性能焼夷弾)など5種類の弾丸名と量が記載。30ミリ装甲貫通焼夷弾は、戦車や装甲車を上空から攻撃する戦闘機に搭載されるといい、5種類の総量は39万8768発に上った。また、韓国の各基地は▽水原(ス・ウォン)基地約136万発▽清州(チョン・ジュ)基地約93万発▽烏山基地約45万発──だった。
米空軍嘉手納基地は毎日新聞の取材に対し、「我々の兵器には劣化ウラン弾を使えるものもあるが、政策上、特定の弾薬の保管場所や量を明らかにすることはできない。訓練では劣化ウラン弾を使っておらず、取り扱う軍関係者や周辺地域の安全には最大限配慮している」と答えている。
今月3〜6日、広島で開かれる「劣化ウラン兵器禁止を訴える国際大会」で、同じ資料を分析した韓国人平和活動家が、この問題について発表する。【遠藤孝康】

<劣化ウラン弾> 原子炉や核兵器に使用する天然ウランを濃縮した後に残る核廃棄物「劣化ウラン」を弾頭に備えた弾丸。鉄や鉛などより比重が重く、貫通力に優れる。燃焼の際に放射能を帯びた微粉末が飛散することから大気や土壌などの汚染が懸念されている。また、微粉末を吸い込むと肺にとどまるため、白血病やがんなど健康被害との因果関係が疑われている。(毎日新聞 2006/08/02)

劣化ウラン兵器禁止を 広島で国際大会始まる
湾岸戦争などで使われ、人体や環境に被害を及ぼすとされる劣化ウラン兵器の使用禁止を被爆地広島から世界に訴えようと、「劣化ウラン兵器禁止を訴える国際大会」が3日、広島市中区の広島国際会議場で始まった。6日まで行われる。
市民団体などでつくる「ウラン兵器禁止を求める国際連合」(本部英国)の主催で、最終日には使用禁止条約や被害者への補償を求めるアピールを採択する予定。
実行委員長の嘉指信雄・神戸大教授が「米英政府が公式に否定している劣化ウランの危険性を国際社会に訴えることが必要だ」と大会の目的を説明した。
実際に劣化ウラン弾が使われたイラクの医師や湾岸戦争の帰還兵、米国や欧州の科学者や市民活動家ら約30人が被害を報告し意見交換するほか、広島の被爆者と交流する分科会も設けられる。(共同通信 2006/08/03)

劣化ウラン兵器廃絶アピール採択
「劣化ウラン(DU)兵器禁止を訴える国際大会」は6日、広島市中区の原爆資料館東館で、被爆地広島から世界へ向けたDU廃絶行動への参加を呼び掛ける「ヒロシマ・アピール」を採択し、4日間の日程を終えて、閉幕した。(滝川裕樹)

出席した約250人を前に、国内外の参加者が、日本語と英語で交互にアピール文を読み上げた。ウランの化学的・放射線毒性による危険性を明らかにするよう、科学者に求める一方、米国、英国軍がイラクやバルカン半島でDU兵器を大量に使ったことを非難した。
さらに、世界のマスコミ、とりわけ米英の報道人にDU兵器の問題を取り上げ、廃絶に向けた世論を起こすよう要請。永久的な禁止を実現するため、あらゆる法的手段を駆使する決意を示した。
DUの軍事利用の全面禁止や禁止条約締結のほか、被害者への補償▽医学的調査▽これまでに使用したDUの量や汚染地域の情報開示―などを求める、劣化ウラン兵器禁止国際連合(ICBUW)の声明もあらためて確認した。
嘉指信雄現地実行委員長は「いつか、このような会議を開かなくてすむよう、力を合わせていきたい」と強調し、大会を締めくくった。
このほか、大会に参加したユニタール広島事務所のナスリーン・アジミ所長に、計20万人分以上集まっているというDU禁止の賛同署名の一部を提出した。(中国新聞 2006/08/07)

劣化ウラン 自然と人体に地球規模で悪影響 米科学者ローレン・モレさんが警告
劣化ウランの危険性を世界各地で訴えつづけている米国の科学者ローレン・モレさんが10月3日、札幌で講演し、「自然や人体への悪影響は地球規模で今後さまざまな形で表面化し、歴史上かつてない健康被害の危機に直面する」と警告した。1991年の湾岸戦争以降に使用された劣化ウランは、長崎原爆の40万個分におよぶ。すでに同戦争で被爆した多くのイラク人や米兵が心身を蝕まれているだけではなく、劣化ウランとガン、糖尿病、精神疾患の関連を示す数値がそれ以外の各地で増加しているという。...(木村嘉代子)(日刊べリタ 2006/10/14)

ウラン使い新型爆弾か レバノンでイスラエル軍 英紙報道爆撃跡から放射線
【ロンドン28日共同】28日付の英紙インディペンデントは、イスラエル軍が今年夏に行ったレバノン空爆で、ウランを一部使用した新型爆弾を投下した可能性があると報じた。濃縮ウランとみられるが、どのような形で使われたかは不明としている。
同紙によると、欧州議会の決議に基づいて設置された「欧州放射線リスク委員会(ECRR)」の関係者が、レバノンで爆撃後に採取した2カ所の土壌サンプルから、ウランとみられる「高い値の放射線が検出された」と語った。英国内の研究所で内容を詳しく分析している。
イスラエルはレバノンで、クラスター(集束)爆弾や白リン弾を使用したことが分かっている。さらに新型兵器も使っていたとすれば、国際社会からの批判がさらに高まるのは必至だ。
ECRR関係者は初期分析の結果、イスラエルが使用したのは(1)小さな核分裂装置を伴う実験兵器(2)劣化ウランの代わりに濃縮ウランを覆いの部分に使用した地中貫通型爆弾‐の可能性があるとしている。
同紙によると、問題の土壌サンプルが採取されたイスラエル国境近くのヒアムでは、爆撃の際に巨大な黒煙が上がる様子が写真撮影されており、ウランが燃焼したためではないかとしている。(西日本新聞 2006/10/29)

ref. Robert Fisk: Mystery of Israel's secret uranium bomb
(Independent 2006/10/28)

民間戦犯法廷設立へ
イラク戦争などで
米大統領らを告発

【ハノイ=鈴木勝比古】ブッシュ米大統領らをイラクなどで戦争犯罪を犯したとして裁く民間法廷をマレーシアで設立する準備が進んでいます。

マレーシア前首相ら提案

マレーシアのチャン弁護士と5人の会議参加者がイラク、レバノン、パレスチナの被害者を代表して米国と同盟国を告発しました。チャン氏はブッシュ米大統領、ブレア英首相、ハワード豪首相が、(1)ごまかしやうそで議会をあざむいてイラク戦争を引き起こした(2)イラク、レバノン、パレスチナを経済的、軍事的に破壊する作戦を展開した(3)イラク、レバノン、パレスチナの市民生活に不可欠な施設の破壊を命じた(4)学校、病院、モスク、教会、住民居住地域、歴史史跡などを爆撃した(5)クラスター爆弾、ナパーム弾、リン弾、劣化ウラン弾などの大量破壊兵器を使用し、市民を標的に無差別に殺りくした(6)国連と国連安保理をあざむいた(7)イラク、レバノン、パレスチナの環境を破壊した(8)アルグレイブ収容所などで人権じゅうりんを命じた(9)マスメディアをあざむき戦争をあおらせた―など9つの罪状を明らかにしました。
会議ではイラクのファルージャ虐殺の生存者やパレスチナの犠牲者、レバノンのジャーナリストなどが証言しました。
マハティール氏は会議後の記者会見で、「会議は戦争犯罪についての申し立てに応えて、訴えに関する調査を行うことを決めた」とのべ、「戦争犯罪法廷を設立し、戦争犯罪犠牲者の訴えを聞き、補償を考える必要がある」と語りました。
今後、戦争犯罪会議が訴えを調査して、今後、設立される法廷に報告することになります。(しんぶん赤旗 2007/02/11)

クラスター爆弾:ベルギー金融機関が製造企業リスト作成
【ブリュッセル福原直樹】クラスター爆弾製造企業への投融資を禁止する世界で初めての法案を可決したベルギーで、大手金融機関が製造企業19社の「ブラックリスト」を作成し、投融資を自粛していることが分かった。リストには、関連企業が同爆弾を製造していた民間機エアバスの製造会社「EADS」など欧米の大手軍事関連企業が含まれている。欧州では同様の措置をとる金融機関も出始めており、こうした自粛措置が世界の潮流になる可能性がある。
リストを作成したのはベルギーの大手銀行・保険グループ「KBC」。従業員数は約5万人で、資産運用総額は約2000億ユーロ(30兆円)。ベルギーを中心に、世界各国で事業を展開している。
毎日新聞が入手したリストにある19社は、欧州のEADS、米国のジェネラル・ダイナミクス▽ロッキード・マーティン▽ノースロップ・グラマンなどのほか、韓国やトルコ、ルーマニアの企業も含まれている。
KBCのフーニンク融資担当によると、リストは有識者10人による行内の倫理委員会が作成。生物兵器▽対人地雷▽クラスター爆弾▽劣化ウラン弾などを「一般市民に多大な損害を与える武器」と判断し、04年に製造企業への投融資を禁止することを決めた。リストは毎年更新され、該当する企業への投融資は06年までにほぼ停止したという。
フーニンク氏は「クラスター爆弾などが反倫理的だというのは世界の一致した意見だ。リストに載ったことで、こうした武器の製造中止を検討する企業もあり、我々の努力は報われつつある」と話している。
ベルギー議会は昨年、クラスター爆弾の製造を禁止する世界で初めての法案を可決。2日には製造企業への投融資を禁止する法案も可決した。ベルギー政府はKBCのリストを参考に「ブラックリスト」を作成し、各金融機関に協力を求める可能性が高い。
欧州ではこのほか、KBCに触発される形で04年以降、ベルギー、英、オランダ、ノルウェーの金融機関が、問題のある武器の製造企業への投融資を自粛し始めている。(毎日新聞 2007/03/03)

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◆04/05年に取引停止決定の企業                理由

▽アライアント・テクシステムズ(米)              ●▲

▽欧州航空防衛宇宙会社(EADS、欧州)              ●

▽ジェネラル・ダイナミクス(米)                ●▲

▽ロッキード・マーティン(米)                 ●

▽レイセオン(米)                       ●

▽シンガポール・テクノロジーズ・エンジニアリング(シンガポール) ▲

▽テクストロン(米)                       ▲

▽タレス(仏)                         ●

◆06年に取引停止決定の企業

▽アエロスター(ルーマニア)                  ●

▽アセルサン(トルコ)                     ●

▽BAEシステムズ(英)                     ●▲

▽フィンメカニカ(伊)                     ●

▽ジェンコープ(米)                      ●

▽ハニウェル・インターナショナル(米)             ●

▽L−3コミュニケーションズ(米)                ●

▽マゼラン・エアロスペース(カナダ)              ●

▽ノースロップ・グラマン(米)                 ●

▽プンサン(韓国)                       ●

▽ラインメタル(独)                      ●

 *理由●=クラスター爆弾製造

    ▲=対人地雷製造

350カ所 戦争で汚染
環境相訴え 劣化ウラン弾被害
イラク

【カイロ=松本眞志】イラクのオスマン環境相は22日、エジプトの首都カイロで開かれたアラブ連盟主催の経済・環境会議後の会見で、米軍の使用した化学兵器や劣化ウラン弾によって国内350カ所が汚染されたと発言しました。
エジプト紙アルアハバル23日付によると、オスマン氏は、米軍が03年にイラクを攻撃した際に劣化ウラン弾を使用したと証言。汚染された大気や水を浄化する環境保全技術や経験を得るために、イラクが将来、国際的な協定に加わる意思があると主張しました。(しんぶん赤旗 2007/07/24)



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【関連サイト】

劣化ウラン研究会

劣化ウラン関連年表

NO!!小型核兵器(DU)サッポロ・プロジェクト

NO DU(劣化ウラン弾禁止)ヒロシマ・プロジェクト

劣化ウラン弾は核兵器だ(ヤパーナ社会フォーラム)

U.S. Military DU Movie (Information Clearing House)

米英、アフガンで非劣化ウラン使用か(ヤパーナ社会フォーラム)

湾岸戦争 米英が95万個使用 劣化ウラン弾 被爆深刻(中国新聞)

ハンブルグでの国際劣化ウラン/ウラン兵器会議資料の翻訳(美浜の会)

米ベテラン軍人が語る劣化ウラン等による戦争被害の実態(アマナク二)

劣化ウラン戦争を許すな! (アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名運動)

番組紹介:劣化ウラン戦争の恐怖を告発(アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局)

イラクでの劣化ウラン使用を否定し続ける政府答弁 自衛隊の「放射能測定器」携行のごまかし(アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名運動)



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