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自衛隊イラク派兵差し止め訴訟

全国的に提訴の動き




2004年1月21日(中日新聞)

元防衛族が派遣“待った”
「自衛隊は国守るためのもの」
箕輪元郵政相 差し止め提訴へ


自衛隊のイラク派遣に、自民党の防衛族だった元衆院議員が差し止め訴訟を起こし「待った」をかけようとしている。箕輪登・元郵政相(79)=北海道小樽市=だ。「イラク派遣は自衛隊法に違反する恐れがある」。主張は、専守防衛から「なし崩し的に」海外派遣へとかじを切った古巣、自民党政権への抗議でもある。(社会部・臼井康兆)


「小泉(純一郎)君は昔の仲間だし、訴訟には内心、じくじたるものがある。しかし、自衛隊法に正面から向き合った論議がない。そんなことがまかり通っていいのか」と提訴を決意した。
1967年、旧北海道1区から初当選。90年の引退までに8回の当選を重ね、この間、防衛政務次官や党国防部会副部会長も務めた。
「現役時代に自衛隊法をさんざん勉強した。自衛隊の任務はわが国の防衛だ。自衛隊法には外国の復興支援なんて書いてない」。約10年前に脳梗塞(こうそく)で倒れ、つえに頼る生活だが、自衛隊を知り尽くしているとの自負がのぞく。
「自衛隊は国家防衛のためなら命も惜しまない集団ですよ。私自身、現役時代に感激した。しかし、国家防衛でないのに、死ぬのは犬死にだ」
自衛隊法3条は自衛隊の任務を「わが国を防衛すること」と定める。政府は湾岸戦争やアフガニスタン攻撃などのたび、新法を成立させ派遣への道を開いてきた。
「本来なら自衛隊法を改正しなければならなかった。なし崩し的に派遣に踏み切った」と怒りを込める。
特に懸念するのはイラクでの武器使用。自衛隊法では隊員や設備を守るための武器使用を認めるが、「武器使用の条文は警察にならって拳銃など小火器の使用を想定しており、対戦車用の無反動砲は明らかに範囲外。もし使えば正当防衛の枠を超え、海外での武力行使になる。憲法違反、自衛隊法違反だ」。
現役を退いた今も、自宅の居間に日の丸を掲げ、自らを「タカ派」と称する。「自衛隊の武器は本来、隊員が自分たちを守るためにあるんじゃない。国を守るためにあるんだ」と声を振り絞った。


イラク派兵の実態を国民に

訴訟準備を進める佐藤博文弁護士によると、自衛隊の派遣によって平和的生存権や生命・身体を侵害されるとして、今月中にも札幌地裁に提訴する。日本が戦争当事国になり、テロ組織から攻撃を受ける危険が増す、との主張だ。
こうした訴訟で差し止めが認められるのは極めて少ないが、同弁護士は「イラク派兵の実態を、法廷を通じて国民に分かってもらう狙いもある。イラクで仮に何かあった場合に自衛隊を引き返させる、そういう世論の旗振り役を担いたい」と話す。
イラク派遣差し止めをめぐっては、愛知県の非政府組織(NGO)関係者らも名古屋地裁への提訴を決めた。自衛隊による米軍アフガン攻撃支援の根拠となったテロ特措法については、市民団体が無効確認を求める訴訟をさいたま地裁に起こしたが、1審で敗訴し、東京高裁で係争中。


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2004年01月29日(北海道新聞)

自衛隊派遣中止求め提訴−箕輪元郵政相
札幌地裁


「自衛隊のイラク派兵は憲法9条や自衛隊法などに違反し、平和に生きる権利(平和的生存権)を侵害する」として、元自民党衆院議員(旧道1区選出)の箕輪登・元郵政相(79)=小樽市=が28日、国に派遣差し止めと慰謝料1万円を求める訴えを札幌地裁に起こした。


弁護団には佐藤博文弁護士(札幌弁護士会副会長)ら道内の弁護士106人が参加した。イラク派遣問題で、大規模な弁護団を組織して差し止め訴訟を起こすのは全国で初めて。弁護団は今後、道内の元国会議員や市民に呼びかけ、第2次提訴を検討している。
訴えでは、米英軍などによるイラク占領は国際法上「交戦状態」に当たると主張。そのうえで(1)最小限度の自衛力を合憲とする「専守防衛」の憲法解釈に立っても、侵略行為がないのに外国領上で武力行使するのは憲法9条に違反する(2)無反動砲など重装備での派遣は「武力の行使」に当たり、自国の防衛にのみ武力行使を認めた自衛隊法に違反する(3)全土が戦闘状態にあるイラクでの活動はイラク特措法に違反する−などとしている。
原告はさらに「派遣によって自衛隊員や国内外で暮らす日本人がテロ攻撃の標的となる可能性が高まり、生命や身体の危険にさらされている」と主張している。
提訴後の会見で、箕輪氏は「国は都合よく法律の拡大解釈を重ねている。法治国家としてこれでいいのか」と訴えた。
同様の派遣差し止めは、名古屋の市民団体が2月上旬にも集団提訴を予定。東京や大阪でも弁護士や市民団体が検討を始めている。
北原巌男・防衛庁長官官房長の話 訴状を入手していないので、内容については承知していない。訴状を検討のうえ、適切に対処したい。


法の拡大解釈批判 「平和的生存権」を問う

「小泉首相には、派兵を思いとどまっていただきたい」。自衛隊のイラク派遣差し止め訴訟を起こした元郵政相の箕輪登さん(79)=小樽市=は、提訴後の会見で自衛隊法などの拡大解釈を重ねる国の姿勢を批判した。
箕輪さんは1967年から80年まで衆院議員(旧道1区)を務め、防衛政務次官や党国防部会副部長を歴任。党きっての「防衛族」として知られた。その目から見ても、イラク派遣に向けた小泉純一郎首相の言動は目に余るという。
「自衛官がイラクで人を殺せば、日本の刑法で殺人罪に問われる。国会答弁を聞いていても、自衛隊法が規定する『武力の行使』の意味さえ十分理解していない。シビリアン・コントロール(文民統制)のトップがこれでいいのか」
提訴表明後、ある現役自衛官は箕輪さんに「私たちは日本国民のために命を懸けている。イラクのためではない」と複雑な心中を明かしたという。弁護団事務局の佐藤博文弁護士は「箕輪さんを“先遣隊”とし、2次提訴につなげたい」と話す。
一方、弁護団には道内421人の弁護士のうち、106人が名を連ねた。正式な呼びかけは先週末からで、さらに増える見込みという。
31年前の73年には、同じ札幌地裁で長沼ナイキ基地訴訟の1審判決があり、「自衛隊は違憲」と判断された。弁護団は、その根拠となった「平和的生存権」(平和に生きる権利)がこの提訴でも焦点になるとし、「イラク派遣は違憲との世論を北海道から喚起したい」としている。


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2004年02月24日(京都新聞)

イラク派遣は生存権侵害 中止求め集団提訴
全国から市民1200人 名古屋地裁


自衛隊のイラク派遣は憲法違反で「武力行使をしない日本」に生きる国民の権利(平和的生存権)を侵害するとして、愛知県を中心に全国の市民1262人が23日、派遣差し止めと違憲の確認、さらに原告1人につき1万円の慰謝料支払いを国に求める訴訟を名古屋地裁に起こした。
原告側弁護士によると、同趣旨の訴訟は1月に箕輪登元郵政相が札幌地裁で起こしているが、集団訴訟は初めて。23日時点でさらに数十人以上が訴訟に加わる意思を示しており、原告団は順次、追加提訴する方針。
原告代表の非政府組織(NGO)代表池住義憲さん(59)=愛知県日進市=と弁護士有志らが1月下旬からホームページなどを通じて一口3000円で原告を募ったところ、外国人を含め10代から高齢者まで幅広く全国から集まった。翻訳家の池田香代子さんや評論家の大塚英志さんも原告に参加。愛知県の弁護士81人で弁護団をつくった。
原告団は訴状で、「イラク国民の視点で見るとイラク戦争は侵略そのもの。自衛隊派遣は侵略への加担にほかならない」と指摘。派遣は憲法9条に抵触する上、「日本国民はいやおうなく加害者にされて平和的生存権を侵害され、精神的苦痛を受ける」と主張している。
自衛隊の派遣はすでに始まったため、原告団は今後、請求に撤収を加えることも検討する。
原告団は、訴訟になじみのない人にも目を向けてもらおうと、訴訟の狙いや原告になる方法をホームページで易しく解説。訴状は全文を「ですます調」とし、憲法がテーマの詩を結びに据えた。
池住さんは「日本政府がやっていることは、どう考えてもおかしい。予想よりはるかに多数の人が賛同してくれた」と話している。
原告団は引き続き参加者を募集。問い合わせは、事務局TEL. 052(781)0165。ホームページのアドレスは、www.haheisashidome.jp


ですます調や結びに詩使う 若者の共感狙う訴状

イラクヘの自衛隊派遣中止を求め市民約1200人が23日に起こした訴訟は、訴状を「ですます調」の文章で貫いた上、憲法をテーマにした高校生の詩で締めくくった。
原告代表の池住義憲さんは「次世代、次の次の世代に直結する問題。若い人に訴訟を身近に感じてもらえるように努めた」と狙いを語る。
訴状は、22ページのうち前半13ページを報道などから拾ったイラク戦争についての客観的な事実に割いた。作成に当たった弁護団の岩月浩二弁護士は、がん発症につながる劣化ウラン弾の使用や民間人の死者が多数に上る実態に触れ「心動かされた」という。
結びの「私たちの日本国憲法」と題する詩は、10代の作品集からの引用。「私たちは、この国の主権者であり、この国を動かし見守る権利と義務があることを忘れないでください」と「話し言葉」で訴えかける。


「将来に悔い残したくない」 幅広い世代結集

自衛隊イラク派遣に反対する声はたった1カ月の間に全国に広がリ、1200人を超える集団訴訟に発展した。「今アクションを起こさずに、将来に悔いを残したくない」。先の戦争で涙を流した80代から戦争を知らない学生たちまで、あらゆる世代の思いが結集した。
「これじゃあ昔と一緒じゃないか。何のために僕の友達は死んだんだ」。第2次世界大戦で捕虜となった経験を持つ名古屋大名誉教授の水田洋さん(84)は提訴後の記者会見で語気を強めた。原告団も最初は60代以上が多かったが、やがて若者の参加が増え始めた。
三重県桑名市の大学1年伊藤めぐみさん(18)は顔を紅潮させ「武器を持った人が外国に行くことはもちろん、そういったことに感覚がまひしていく自分がすごく怖い」と話した。
弁護団に届いた訴訟の委任状には、原告たちのさまざまな思いが込められている。
訴訟参加費用の3000円について家族で話し合い、「小5と中1の子供たちが小遣いから1000円を払った」とメッセージを送ってきた家族もいれば、遠くボリビアや東ティモールから委任状を送ってきた原告もいる。



【関連記事】

「対イラク戦は憲法違反」 米議員らが差し止め訴訟
【ワシントン13日共同】連邦議会の宣戦布告なしに対イラク戦を始めるのは合衆国憲法違反だ−として、下院議員や米軍兵士ら15人が13日、ブッシュ米大統領とラムズフェルド国防長官に戦争の「差し止め」を求める訴えをボストンの連邦地裁に起こした。訴状によると原告らは、合衆国憲法は「宣戦布告」の権限は連邦議会にあると定めており、ブッシュ政権が宣戦布告なしで対イラク戦の準備に入ったのは憲法違反だとしている。昨年10月に上下両院は対イラク武力行使を容認する決議を可決しているが、この決議だけでは開戦には不十分と主張している。(共同通信 2003/02/14)

連合軍のイラク攻撃は国際法違反=国際法廷に持ち込まれる恐れ──豪州の法曹家43人が警告
【シドニー】連合軍のイラク攻撃は国際法違反であり、国際刑事裁判所(ICC)などの国際法廷に持ち込まれる可能性がある、とオーストラリアの43人の指導的な法律専門家が警告している。43人は元最高裁判事や長老弁護士、一流大学の国際法教授らのグループで、最近の新聞などに寄稿し、連合軍を構成する米英、豪州はイラク侵攻が国際法により正当化され得るという説得力のある論拠をまだ提示していないと指摘。また、現在、直接的な脅威に直面しているのはイラクであり、イラクが米国およびその連合国に先制攻撃を掛けることが正当化されるだろうと述べている。
グループは、国際法が2つの場合に武力行使を認めているとし、その1つは「攻撃が現実のものか、差し迫っている時にのみ自衛行動として認める」と規定した国連憲章第51条、もう1つは、国連安全保障理事会が武力の行使またはその脅しへの集団的対抗として武力の行使を認めた場合だが、安保理は国連憲章第7章により、交渉や追加的な兵器査察など他の手段によって回避できないような現実の脅威が存在する証拠があった場合に限って武力行使を認めることが可能であり、これはイラクには当てはまらないと論じている。グループは、イラクは攻撃を受ける懸念を有効に主張できる立場にあるので、この国連の原則は皮肉なことに、イラクが連合国側に先制攻撃を掛けるのを正当化すると述べている。〔AFP=時事〕(時事通信 2003/03/05)

「イラク攻撃は国際法違反」 英仏学者がブレア首相に警告
英仏の著名な大学で国際法を教える学者16人がブレア英首相に公開書簡を送り、「国連安保理の明白な同意を得ずにイラク攻撃に踏み切る場合、国際法違反となる」と警告した。
書簡は7日付の英紙ガーディアンに掲載された。侵略に対する自衛であるか、集団で脅威に対処する行動を安保理が認めない限り、国連憲章は戦争を禁じていると指摘。イラクによる将来の攻撃といった仮説に基づく軍事力の先制使用には法的な根拠がない、と主張している。
英国が過去、安保理で32回も拒否権を行使した事実にもかかわらず、武力行使を容認する新決議案の採決をめぐり、フランスやロシアによる「非合理な拒否権の行使」を無視する、と公言する首相を批判。第2決議を経ずに米英が戦争を始めれば、国際社会における法の支配の原則を大きく傷つけるだろうと訴えた。
16人はオックスフォード、ケンブリッジやパリ大学の教授ら。ブレア首相のシェリー夫人と同じ事務所で、弁護士として活動する法学者も含まれている。(朝日新聞 2003/03/08)

ref. War would be illegal(Guardian 2003/03/07)

決議欠く攻撃は「国際法違反」 研究者ら声明提出へ
日本の国際法研究者が「イラク問題に関する声明」をまとめ、近く外務省に提出する。国連安全保障理事会の新たな決議なしの武力攻撃は国際法上違法とし、「力による支配ではなく、法による支配を強化して国際平和を確保するには、国連を育んでいくほかに道はない」と訴える。
声明は、大沼保昭東大教授、古川照美法政大教授、松井芳郎名大教授が国内の研究者約40人に賛同を呼びかけた。「武力の行使と武力による威嚇」は国連憲章によって禁止されており、例外的に認められるのは自衛権の行使か、平和に対する脅威や破壊に対する集団的措置として安保理が決定する行動に限られる、と指摘。今回の武力行使はいずれにも当たらないとしている。
古川教授は「国際法研究者が共有している意見を表明し、社会に知ってもらうことが大事だと考えた。イラク問題を考える際の基準にしてほしい」と話している。

    ◇

日本の国際法学者らがまとめた「イラク問題に関する国際法研究者の声明」の要旨は次の通り。
国連憲章が認める武力行使禁止原則の例外は(1)武力攻撃が発生した場合、安保理が必要な措置をとるまでの間、国家に認められる個別的または集団的な自衛権の行使(2)平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為に対する集団的措置として安保理が決定する行動──の2つだけである。
(1)について現在、自衛権発動の要件である武力攻撃は発生していない。将来発生するかもしれない武力攻撃に備えて今先制的に自衛しておくという論理を認める法原則は存在しない。もし、まだ発生していない武力攻撃に対する先制的自衛を肯定する先例をつくってしまえば、例外としての自衛権行使を抑制する規則は際限なく歯止めを失っていくであろう。
(2)について、集団的措置を発動するための要件である平和に対する脅威等の事実の存在を認定し、武力行使を容認するか否かを決定するのは、安保理である。安保理によって容認されない、すなわち明確な各別の同意を得ない武力行使は違法であろう。安保理決議1441はそのような同意を与えたものではない。
国連における協力一致のためには、拒否権の行使は慎まなければならないという声がある。本来、拒否権は、国際の平和と安全の維持には常任理事国の協力一致が不可欠で、常任理事国が分裂している状況で行動することはかえって平和を害することになるという考えを反映している。現在、2常任理事国が実行しようとする武力行使に対し、他の3常任理事国が強い異議を呈している。拒否権は乱用されてはならないが、行使されなければならない状況下では適正に行使されるべきである。5常任理事国にはそれだけの権利とともに責任が付託されている。
国連は脆弱(ぜいじゃく)だと言われながら五十余年、多くの困難をしのいで生き続け、とりわけ冷戦後は国際紛争の平和的処理の主な舞台となっている。イラク問題についても安保理が適時に招集され、15理事国の意見が戦わされ、世界中にその模様がテレビで中継された。
国連と国際原子力機関による査察も十分とはいえないまでも着実に成果を上げつつある。国連という平和のためのツールが21世紀の国際社会で、その役割を果たすためようやく成長しようとしている。力による支配ではなく、法による支配を強化して国際の平和と安全を確保するためには、国連を育んでいくほかに道はない。(朝日新聞 2003/03/18)

日弁連会長:イラク攻撃は国連憲章に違反
日本弁護士連合会(本林徹会長)は19日、「国連憲章に違反する」として、米国のイラク攻撃に反対する会長声明を出した。日本政府に対しても「戦争に反対する圧倒的多数の国民の声を真摯(しんし)に受け止め、憲法の平和主義・国際協調主義の理念に立ち返り、攻撃に反対することを求める」としている。(毎日新聞 2003/03/19)

参照:アメリカなどによるイラク侵攻に反対する会長声明(日弁連 2003/03/19)

明らかに国際法違反 広島市立大・太田助教授
新たな国連決議のないままイラクへの武力行使に踏み出そうとする米国の対応について、広島市立大国際学部の太田いく子助教授(41)=国際法=は「明らかに国際法違反」と指摘する。問題点を聞いた。(森田裕美)

―米国が最後通告を突き付けました。
国連憲章下での武力行使禁止に、例外が2つある。加盟国に対する武力攻撃があった時、安全保障理事会が必要な措置を取るまでの間に個別的または集団的自衛権を行使する場合か、安保理が国際平和や安全の維持回復に必要だと認める場合だ。今回はどちらにもあてはまらず、国際法違反は明らか。しかも、安保理で決議案が否決されると分かってそれを避け、国連の枠外で実行しようとしている。

―過去にも、安保理決議なしの武力行使がありました。
1999年のコソボ紛争もそう。国連の明確な決議なしの空爆は批判を受けた。しかし、北大西洋条約機構(NATO)が同意した点で、国際法違反とは言えない。

―戦争を防ぐうえで、国連に「もろさ」があるのでしょうか。
安保理の常任理事国が武力行使に反対した。国連は全く無力ではない。曲がりなりだったかもしれないが、イラクに経済制裁や査察を続け、役割を果たしてきた。大国の利害で動いている面も否定できないが、その枠内で妥協点や一致点を探ってきた。希望は捨てなくていい。今回も、国連総会を緊急招集し(武力行使反対の)決議をまとめる、などの方法はある。

―米国の「独走」を止められるでしょうか。
英国、スペインとの3カ国首脳会談以降、国連を全く無視した動きに驚いている。米国には攻撃後のビジョンもない。報復攻撃が起これば中東は不安定になる。テロも起きるかもしれない。米国がここまで攻撃にこだわるのは、軍部などからの圧力もあるのだろう。 本当は、そうした根源こそ変えなくてはいけない。

―国際社会はどう対処すべきでしょう。
米国のレトリック(巧言)に、はまってはいけない。米国は、査察継続か武力か、フセイン大統領亡命か戦争かなどと、すぐに二者択一にしたがる。しかし、もっとさまざまな国際法を活用すれば、 武力行使ではない別の道もありうることを、米国に提示できる。国際社会は、仮に攻撃が始まったとしても、被害を最小限にとどめる方策を追求すべきだ。(中国新聞 2003/03/19)

自衛官募集:個人情報、557市町村で提供 3村では本籍も
自衛官募集の適齢者情報収集問題で、防衛庁は19日、最新の調査結果を公表した。住民基本台帳法上で閲覧可能な4情報(氏名、住所、生年月日、性別)以外の個人情報を提供していた自治体は、前回の追加調査時よりさらに100以上増えて557市町村に達した。提供された情報には、これまで明らかになっていた世帯主名などのほか、プライバシー性の高い「本籍」が含まれていたことも判明した。
4情報以外を提供していた自治体は、問題発覚直後の先月23日の調査では332、25日の追加調査では441だったが、今回はさらに116市町村増えた。
「本籍」の提供があったのは山形県大蔵村▽同戸沢村▽山梨県小菅村──の3自治体。本籍については、出身地によって選別される可能性があるとの指摘があり、プライバシー性の高い、いわゆるセンシティブ情報とされている。
このほかの4情報以外を提供した自治体数は▽世帯主431▽保護者等88▽筆頭者4▽続き柄153▽郵便番号39▽電話番号25▽一連番号165▽自治会等162▽学校11▽年齢75▽住民区分19▽職業5▽父兄5──と発表されている。(毎日新聞 2003/05/19)

小泉総理「自衛隊は軍隊」 改憲の必要性を強調
日本の小泉純一郎首相は「自衛隊は実質的に軍隊だと考えている」として、自衛隊を軍隊に位置付けるための憲法改正が必要だと主張した。
小泉首相は20日、参議院有事法制特別委員会の答弁で「自衛隊が国の平和と独立を守る軍隊だと正々堂々と話せるように将来、憲法を改正することが望ましい。自衛隊に名誉と地位を与える時期が来た」と述べた。
これは、日本政府が戦時を仮定して民間物資徴発などを明示した有事法制が16日、衆議院を通過したのに続き、自衛隊の軍隊化と天皇を国家元首化するための改憲に乗り出すことを公式に表明したものと分析され注目される。
日本の首相が国会で自衛隊を軍隊と宣言したのは、初めてのことだ。現行の日本憲法は「陸海空軍とその他の戦力を保有しない」と規定している。
これと関連し、日本の連立与党が今国会に自衛隊の海外派遣を可能にする「イラク復興・安定化支援法案」を提出し、今国会中の成立を目指す方針だと読売新聞が報道した。
この法案は、米英のイラク治安維持活動を支援するという名目で作られたが、一部では海外の紛争地域への自衛隊派兵の前例となり、永久合法化しようとする狙いがあると指摘している。(東亜日報 2003/05/21)

自衛官、自治体『有事』に関与 17都県市出向、再就職
有事関連法案をめぐり国民保護の在り方が問われる中、防衛庁のあっせんで、岐阜県や石川県輪島市など少なくとも全国の17都県市に、現職やOBの自衛官計22人が出向・再就職し、一部では住民の避難要領の作成など、自治体の有事対応に関与していることが5日、共同通信の調べで分かった。
防衛庁内には「自衛官の軍事知識は自治体に役立つはず」(幹部)として、自衛官の派遣を増やし有事対応の要にしたいとの意向もある。しかし、自治体側では、自衛隊出身者の役割は防災以外は決めていないところが多いのが実情だ。
防衛庁や各自治体によると、22人の内訳は陸上自衛隊20人、海上自衛隊、航空自衛隊各1人。自治体側から派遣を要請したケースが多い。
現職自衛官が出向しているのは東京都と鳥取県。東京都は今年4月から総合防災部の課長クラスに2等陸佐を、鳥取県では2001年8月から防災危機管理課の課長補佐クラスに1等陸尉をそれぞれ迎えている。
OBは北海道から九州までの自治体に、嘱託を含め20人が再就職。岐阜県では危機管理室長、石川県輪島市では交通防災対策室長を務めている。(中日新聞 2003/06/05)

「戦争の正当化、問題だ」 イラク特措法案で民主・岡田氏
民主党の岡田克也幹事長は15日のテレビ朝日などの番組で、イラク復興支援特別措置法案について、「法案の一番の問題は『目的』の項目でイラク戦争を正当化するような前提で書かれていることだ。そこから変えないと」と指摘、その上で「あの戦争は国連憲章違反の疑いが濃厚だ」と語った。
岡田氏の発言は、政府・与党が米軍などの対イラク武力行使の根拠として、大量破壊兵器の査察を求めた国連決議1441などを挙げながら、同兵器がいまだ見つかっていないと批判し、政府案には賛成できないことを改めて強調したものだ。また、岡田氏は(1)自衛隊派遣が国会の事後承認となっている(2)法案の期間が4年間で長い(3)戦闘地域と非戦闘地域の線引きが難しい──などの点も批判した。(朝日新聞 2003/06/15)

自民の野中、古賀氏らが途中退席 イラク特措法採決
衆院本会議を4日通過したイラク復興支援特別措置法案の採決で、自民党の野中広務元幹事長と古賀誠前幹事長、西田司元自治相が採決前に退席、稲葉大和元科学技術政務次官が起立をせず、反対した。法案に反対した野党4党に造反はなかった。法案は参院に送られ、7日の本会議で趣旨説明と質疑があり、審議入りする。
野中氏は本会議後、記者団に「国の運命を決める重要法案だ。自衛隊の死傷者、イラク国民の命を奪うようなことを思うと、政治家が責任をもつ記名投票でないと納得できない」と語った。古賀氏も「記名投票なら賛成した」と述べた。両氏はテロ対策特別措置法案が可決された01年10月の衆院本会議でも、同様の理由で退席している。
これに先立つ4日の自民党総務会では、中川秀直国対委員長が「野党から記名採決の求めがなく慣例で起立とした」と説明。野中氏は反発したが、採決方法は今後も国対委員長が野党と協議することを確認した。
一方、稲葉氏は本会議後、記者団に「(憲法の禁ずる)集団的自衛権行使につながるおそれがある。自衛隊の任務は専守防衛に限るべきで、海外派遣すべきでない」と反対した理由を説明した。(朝日新聞 2003/07/04)

「政府の姿勢は米追随」 高知知事がイラク法案反対表明
高知県の橋本大二郎知事は22日の定例記者会見で、参院で審議中のイラク復興支援特別措置法案について「自衛隊を派遣することには強い疑問を感じる」と述べ、法案に反対する考えを明らかにした。
橋本知事は反対理由として、イラクで米英兵への襲撃が続いていることなどを挙げ、「自衛隊が行って、本当に安全が保証されるのか」と指摘。さらに「なんでもアメリカに追随していくという日本の政府の姿勢が、政治の面でも経済の面でも様々なひずみを生んでいる。そういう日本の国のあり方をそろそろ考え直す時期だ」と述べた。(朝日新聞 2003/07/22)

イラク特措法案:野中元幹事長が批判を展開
「国そのものが壊れていくような気がして、私のような世代は不安で仕方がない」──。自民党の野中広務元幹事長は24、25の両日、テレビの報道番組に相次いで出演し、イラク復興特措法案批判を展開した。
25日午前は日本テレビの番組で「イラクに安全な場所は絶対にない。自衛隊派遣はあくまでも慎重にして、可能な限り別の国際貢献をやるべきだ」と発言。24日夜のTBSの番組では「衆院では十分な審議が行われたとは思わない」との認識を示し、「安易に重要法案が可決されていく。本当にこれで日本の国はいいのか」と語った。
野中氏はイラク法案の採決時に退席し、投票を棄権している。テレビ行脚はイラク新法の成立を前に、反対姿勢をアピールするとともに、自民党総裁選をにらんで小泉純一郎首相をけん制する狙いもあったようだ。(毎日新聞 2003/07/25)

野中氏、「首相の息子をイラクに」
自民党の野中広務元幹事長が18日発売の週刊誌「週刊文春」に寄せた手記で、自衛隊のイラク派遣問題を巡る小泉純一郎首相の姿勢に関して「安全だと思うのなら、まず(首相が)息子を自衛隊に入れて行かせる覚悟を見せろ」などと批判していることが分かった。
野中氏は引退表明に関する経緯を説明したうえで、総裁選で首相支持に回った青木幹雄参院幹事長を「いつからこんなに権力の化け物のようになってしまったのかと悲しくなる」と非難。青木氏と歩調を合わせる村岡兼造元官房長官、額賀福志郎幹事長代理、久間章生政調会長代理ら橋本派幹部も名指しで批判した。(日本経済新聞 2003/09/17)

テロ特措法延長法案が衆院通過、野中氏ら採決棄権
11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法を2年間延長する同法改正案と、選挙期間中に冊子形式のマニフェスト(政権公約)を配れるようにする公職選挙法改正案が3日の衆院本会議で与党3党などの賛成多数で可決、参院に送付された。両法案とも6日から参院で審議入りし、10日の本会議で成立する見通し。これを受け首相は同日中に衆院を解散する意向だ。
テロ特措法改正案の採決では、自民党の野中広務元幹事長、古賀誠元幹事長、西田司元自治相が棄権した。野中氏は国会内で記者団に「心情的には反対したいくらいだ。派遣される自衛官の心境を思うと退席するのが政治家としての道だ」と説明。古賀氏は同法案を起立採決としたことについて「筋が通らない。記名投票ならいつでも応じる。(法案の)中身ではない」と語った。両氏は2001年秋の臨時国会のテロ特措法の採決も棄権している。(日本経済新聞 2003/10/03)

「自衛隊は国軍」 首相、9条改正の必要性改めて指摘
小泉首相は2日、フジテレビの報道番組で「自衛隊は国軍というか、侵略を阻止する基本的な集団だ。自衛隊が軍隊だというのは常識でしょう」と述べたうえで、「(自衛隊が)憲法違反だと議論が出るような表現は改めた方がいい」として、憲法9条改正の必要性を改めて指摘した。
首相は「自衛隊は軍隊でない、戦力でないという規定、これは常識に合わない」と強調。自衛隊は「陸海空軍その他の戦力を保持しない」とした9条に照らして合憲、としてきた政府見解との関係をただされると、「いろいろ国民も憲法学者にも議論がある。まぎらわしい解釈がないように、しっかり国を守る部隊だと、国軍だと、誤解ないように表現を改めた方がいい」と述べ、改めて9条の「戦力不保持」を見直すよう主張した。
さらに「非武装中立で軍隊がなかったら侵略されてどう守るのか。訓練も装備もなく市民に戦えというのか。こんな無責任な政治はない」とも語った。(朝日新聞 2003/11/02)

自衛隊派遣に「怒っている」 大江健三郎氏が仏紙で論陣
フランスの有力紙リベラシオンは1日、ノーベル文学賞を受けた作家大江健三郎氏の「私は怒っている」と題する論文を、1ページ全面をつかって掲載した。大江氏は自衛隊のイラク派遣を「日本がテロの標的とされる危険が深刻になる」と批判。米国から距離を置くべきだと主張している。
リベラシオン編集局によると、同紙側が意見を求めた。
大江氏は「小泉首相は兵士を派遣することがテロとの戦いだと思っているが、それは米国が取り組むべきこと。イラクへは純粋な人道的援助を提供するにとどめるべきだ」と論じている。
また、「派遣は開戦当初から決まっていた。小泉首相がブッシュ米大統領に無条件に従うと決めたからだ。だから私は怒っている。戦後半世紀あまりの中でも、日本がこれほど米国追従の姿勢を示したことはない」と指摘した。(朝日新聞 2003/12/01)

「イラク派遣、不安ない」と想定問答 陸自隊員に配る
香川県善通寺市に本部を置く陸上自衛隊第2混成団が10月下旬、イラク派遣について報道機関の取材を受けた場合に備えた想定問答を作成し、善通寺駐屯地所属の全部隊(計約1000人)に配っていたことが2日、わかった。同混成団はいまのところ、派遣部隊の候補にはなっていないが、派遣への不安を問われたら、「特に感じません」と答えるように指示していた。
想定問答のタイトルは「イラク関連取材対応Q&A」。「取材に関する注意」という団本部広報室長名の10月31日付文書とともに、善通寺駐屯地に所属する各部隊の「総務・広報担当者」あてに出された。
「注意」は、ある民放局の名前を挙げ「番組の中で、自衛官のイラク派遣反対コメントを放送するような情報がありました。通勤途中や官舎地区での取材に対しては十分注意してください」と述べている。取材を受けたら、記者や報道機関の名前などを混成団本部の広報班に通報するよう求めている。
想定問答は全6問。「解(わか)らないことは『わかりません』と返事 推測、憶測で応答しない」と断ったうえで、「派遣に関する命令(指示)はあったか」「いつごろ命令が下るのか」といった問いに、「ありません」「わかりません」などと答えるように求めている。
最後の6番目が「もし、派遣されるとしたら不安はないですか」という設問。回答例は「特に感じません。普段の訓練を一生懸命やっておれば特に問題ないと思います」となっている。
同混成団によると、想定問答を用意したのは10月。自衛隊のイラク派遣をめぐる取材が善通寺駐屯地の隊員に相次いだためだった。
新浜定夫・広報室長は「誤った情報が流れるのを防ぐために作った。取材は広報を通してもらいたいという思いもある。任務とあればイラクにも行くのが自衛官だ。派遣される自衛官に不安があるとなれば、国民も不安にさせてしまう」と話している。(朝日新聞 2003/12/03)

上田札幌市長が派遣反対を表明
上田文雄札幌市長は2日、開会中の第四回定例市議会の代表質問で、自衛隊のイラク派遣について反対の考えを表明した。
上田市長は「最近のイラク情勢は、日本の外交官が殺害されるなど相当緊迫していると言わざるをえない」とした上で、「駐屯地を抱える札幌市長として、このような状況が続く中での自衛隊のイラク派遣には反対である」と述べた。
地方自治体の首長で自衛隊イラク派遣に明確に反対を表明したのは異例のことで、高橋はるみ知事は1日の道議会で「慎重に判断されるべきもの」と述べるに止まっていた。
上田市長は弁護士出身で、7月に示した施政方針では「戦争に反対する立場を国内外に示す」と述べていた。(北海道新聞 2003/12/03)

自衛隊のイラク派遣中止求め首相に抗議文「歴史的暴挙」 県原水協、県被団協 /広島
県原水協(大森正信筆頭代表理事)と県被団協(金子一士理事長)は4日、自衛隊のイラク派遣の基本計画が来週にも閣議決定される情勢を受け、計画中止を求める抗議・要請文を、小泉純一郎首相あてにファクスで送付した。
抗議・要請文は「日本外交官2人が殺害されるという痛ましい事件も起きる中での派兵は、自衛隊員を人身御供にしてイラクに新たな敵を作り出すもの。イラク国民にも、日本国民にも不幸な事態をもたらす歴史的暴挙だ」などとしている。【石塚孝志】(毎日新聞 2003/12/05)

『自衛隊派遣ならテロの標的に』 シーア派最高位聖職者が警告
イスラム教シーア派の最高位聖職者で、レバノンのシーア派組織ヒズボラの精神的指導者とされてきたムハマド・フセイン・ファドルラー師(68)が本紙のインタビューに応じ、9日に基本計画が閣議決定される日本の自衛隊のイラク派遣について「日本の兵士は(先月12日にイラク南部での自爆テロで16人が死亡した)イタリア兵と同様の事態に直面するのではないか」と警告した。(ベイルートで、嶋田昭浩)

イラクでは、住民の多数派を占めるシーア派の動きが、今後の政治体制を決めるカギとなる。
ファドルラー師は「ブッシュ米大統領は、イラクがテロとの戦いの戦場であると宣言した。つまり、米国の関心はいかにイラクの抵抗勢力と戦うかであって、イラクに平和と安全をもたらすかではない。現時点での派兵は日本の国益にかなっていない」と指摘。
その上で「イラクの人々は、米国との(同盟)関係で派遣されてくる他国の兵士を、イラクの平和維持でなく米兵の防護が目的だと考えている」として、自衛隊などが派遣されれば抵抗を受けるとの見通しを語った。
さらに同師は「日本の人々に分かってほしいのは、われわれはテロに反対するが、ナチス占領下のフランスの抵抗のように(占領された)自国の自由を守る人々をテロリストとは考えないということだ」と強調した。
一方、イスラエル軍に対するゲリラ戦を続けてきたヒズボラと自らの関係を否定した上で「イスラエル軍がパレスチナから撤退しさえすれば、パレスチナ人は自分の側から(イスラエルに向け)1発の弾丸も撃たないと言っている」とし、イスラエルに“肩入れ”する形で仲介に入る米国の中東政策を批判。「われわれは米国民やユダヤ人を嫌っていない。他の民族の土地を占領する彼らの政策を嫌っているのだ」と語った。(中日新聞 2003/12/08)

イラク派遣「石油の利益分配の狙い」 中国・新華社分析
中国国営通信・新華社は10日未明、「日本政府のイラク派兵決定の背景」と題する東京発の分析記事を配信。外交官2人が殺害され国民の不安が強いにもかかわらず派遣を急ぐのは「日米関係をより近づけるほか、米国の力を借りてイラクでの地盤をつくり、石油などの利益の分配を受けることもできる」との狙いがあると分析した。
派遣計画について「戦闘が続く国に重火器を持った陸海空の自衛隊を派遣するのは初めてで、第2次世界大戦後に日本が海外派遣する部隊では最大規模」と解説。「日本の戦後防衛政策の一大転換点だ」と指摘した。
さらに「日本政府は一歩ずつ自衛隊を海外の戦地に送り出し、日本が経済力だけでなく軍事力でも大国だということを国際社会に示そうとしている」とする評論家の分析を引用。自衛隊派遣が野党や民間団体の強い反対を受けている、と報じた。(朝日新聞 2003/12/10)

野中元幹事長、自衛隊のイラク派遣は「大きな誤り」
政界を引退した自民党の野中広務元幹事長は11日、東京都内で開かれた討論会で、イラクへの自衛隊派遣について、「戦争状態が続いている。国際貢献とか復興支援という名で(自衛隊を)出すのは、大きな誤りだ」と批判した。
自自公連立の「生みの親」でもある野中氏はまた、3党連立から2党連立になった自公体制にも触れ、「本当に日本の政治のためになるのか疑問だ。平和と安全保障(の問題)で、公明党はだんだん自民党に取り込まれていく。その代償として、年金や児童手当という小さなアメで結果的に歩み寄るのではないか」との見方を示した。(朝日新聞 2003/12/11)

日本メディアの自作 サマワの歓迎横断幕
【サマワ(イラク南部)12日共同】自衛隊派遣先に決まったイラク南部サマワの目抜き通りに掛けられている「ようこそ自衛隊の皆様」と日本語で記された横断幕が、日本人ジャーナリストによって書かれ、アラビア語の原文にない「自衛隊」が加えられていたことが12日までに分かった。
横断幕の映像は派遣に絡む報道で何度も放映された。派遣をめぐって国内を二分する意見がある中、報道関係者がかかわった「歓迎」横断幕がニュース素材となったことは論議を呼びかねない。
横断幕を思い立ったのは近くの商店街で貴金属店を営むアンマール・モーセンさん。「勤勉な日本人はサマワの復興を助けてくれるはず。派遣決定はとてもうれしい」と自衛隊派遣先にサマワが注目され始めた約1カ月半前から準備。歓迎のアラビア語のほかに日本語も並べようと思い、サマワを訪れたニュース番組制作会社の日本人ジャーナリストに訳してもらった。モーセンさんは日本語の清書に自ら挑戦したが失敗、結局このジャーナリストに頼んだ。
ジャーナリストは善意から協力したとみられるが、「日本人を歓迎します」との内容のアラビア語原文にはない「自衛隊」が使われており、写真の使用を一時控えた日本の一部報道機関もあった。(共同通信 2003/12/12)

派遣中止要望の陳情書採択 自衛隊員の親族らが提出
自衛隊のイラク派遣問題をめぐり、福島県船引町議会の総務常任委員会は18日、自衛隊員の親族でつくる「船引町自衛隊父兄会」の石井勝治会長が提出した「安全が十分確保されるまで派遣を中止するよう要望する」との陳情書を採択した。19日の本会議で採択されれば、町議会は国に意見書を提出する。
全国自衛隊父兄会(東京)は「父兄会は本来、自衛隊員の活動を激励するための組織。派遣反対の陳情書を出した例は、聞いたことがない」としている。
陳情書は「国が進める人道支援の考え方は理解するが、子を持つ親としては戦争の巻き添えによる犠牲者が発生する事態は憂慮に堪えない」などとしている。この日の委員会では「現在のイラクはまだ危険を伴う状況で、親族らの心情を踏まえ十分な安全確保を確認して派遣すべきだ」とした。(共同通信 2003/12/18)

自衛隊イラク派遣阻止へ、提訴を検討──箕輪元郵政相
元自民党衆院議員の箕輪登氏(79)=小樽市在住=は18日、「イラクへの自衛隊派遣は自衛隊法に違反する」と小泉純一郎首相に派遣中止を求める訴訟を検討していることを明らかにした。記者会見した箕輪氏は「首相は自衛隊法をよく理解していない。けんかしたくはないが、派遣を止めるには司法の判断を仰ぐよりほかない」と語った。
箕輪氏によると、自衛隊法で自衛隊が行動できるのは▽防衛出動▽災害派遣▽警察の力で治安維持できない場合──に限られる。仮にイラクに派遣できたとしても、同法95条が定める武器は小火器程度で「重装備では行けない」という。「(応戦で)自衛官を殺人者にしたくない」と話した。
箕輪氏は67年以来、衆院選で8期連続当選。防衛政務次官や党副幹事長などを歴任し、81年郵政相。87年衆院安全保障特別委員長。90年引退した。(毎日新聞 2003/12/19)

若手弁護士が反対アピール 自衛隊のイラク派遣
自衛隊のイラク派遣に反対し、若手弁護士が28日、東京・上野公園で家族連れらにビラや風船で作った動物を配り「自衛隊派遣は憲法違反。法律家として許せない」などと呼びかけた。
「自衛隊派兵に反対する若手弁護士の会」の十数人。弁護士になって1〜5年目の20、30歳代でつくる。有事法制に反対する活動をきっかけに集まった仲間で、航空自衛隊の先遣隊が出発したことから緊急に抗議行動をすることになった。
事務局の大山勇一弁護士(33)は「日々の法律相談で紛争は暴力では解決しないと感じている。国連中心の復興支援を求めたい」と話した。 (朝日新聞 2003/12/28)

イラク戦争は「宗教戦争」 加藤氏、陸自派遣に反対表明
自民党の加藤紘一元幹事長は10日、山形県鶴岡市での講演で、イラクへ陸上自衛隊の先遣隊を送る派遣命令が出たことについて、「首相の判断だが、議員の1人としては反対だ」との考えを明確にした。
加藤氏は「自衛隊に犠牲が発生する場合もありうる」との見通しを示したうえで、「今度の戦争は宗教戦争だ。自衛隊がアラブの人々とやむを得ず戦火を交える時、日本はアラブの敵となり、日本国内でもテロが起こりはしないだろうか」との懸念を示した。 (朝日新聞 2004/01/10)

自衛隊派遣:全国で差し止め訴訟の動き
イラクへの自衛隊派遣を中止させようと、国を相手取って派遣の差し止めなどを求める訴訟を起こす動きが、全国で出始めている。名古屋地裁と札幌地裁への提訴は固まっており、ほかの地域でも模索している。政府は着々と派遣を進め、国会が歯止めにならない現状を、市民や弁護士が裁判を通じて打ち破ろうとしている。
今月末にも札幌地裁に提訴する準備を進めているのは、1967年から8期、自民党衆院議員を務めた箕輪登・元郵政相(79)=北海道小樽市。衆院本会議で小泉純一郎首相が「やむを得ず武器を使用する行為は、憲法違反の武力行使にはあたらない」と答弁する様子に「小泉君も、質問する菅(直人)君も、憲法や自衛隊法について、何も分かっていない」と漏らした。
防衛政務次官や党国防部会副会長を務めた防衛族でもあった箕輪さんは「自衛隊は、わが国の防衛のためだけに存在すると、憲法や自衛隊法に書いてある」と話す。
第2次大戦後、進駐米軍を目の当たりにした箕輪さんは、その威圧感が忘れられない。イラクには40近い国の軍隊が駐留する。「イラク 国民が、重装備の軍に威圧感を抱かないはずがない。憲法9条には『武力による威嚇』を放棄すると書いてある」
小泉首相や石破茂・防衛庁長官はかつての党の同僚。「仲間を訴えるのは正直、いやだ。だが、憲法や法律の拡大解釈、無理解が続けば、この国はまた、軍事国家に戻ってしまう」
訴訟準備をするのは、佐藤博文弁護士。自衛隊の存在自体を問題視しており、防衛のための自衛隊を認める箕輪さんとは、立場が異なる。だが「派遣は憲法違反」と手を結んだ。佐藤弁護士は「国が逃げられない土俵の上で問題点をえぐる意義は大きい」と話す。
名古屋では、市民団体代表の池住義憲さん(59)=愛知県日進市=の呼びかけで、「原告1000人規模」を目指し準備が進む。2月中旬までには名古屋地裁に提訴する方針だ。
今月19日の訴訟説明会には約70人が参加した。多くは市民団体のメンバー。そんな中、名古屋市瑞穂区の会社員(35)は「私は、普通の市民です」と自己紹介した。これまで反対デモや集会に参加したことはない。同僚や友人と「派遣、やだよね」との会話はある。「でも、自分が何をすればいいのか、皆、分からない」。原告になることが、自分たちの考えを表明できる手段と考えて参加を決めた。
ほかにも東京や大阪などの市民団体メンバーや弁護士の間で提訴に向け話し合いがある。東京の内田雅敏弁護士は「全国各地の裁判所に、一斉に訴訟を起こすべきだ」と各地の弁護士らに呼びかけを始めた。
国連平和維持活動(PKO)協力法に基づく自衛隊のカンボジア派遣(1992〜93年)をめぐる訴訟では、原告が敗訴したものの、証人調べが行われるなど実質審理が進んだという。だが最近の同種訴訟では、審議はすぐに打ち切られるケースも増えている。内田弁護士は「この手の裁判に慣れてしまった大きな裁判所は、ほとんど審議しない可能性がある」と、全国どこかの「スレていない」裁判所で、まともに審理されることを願っている。【荒川基従】(毎日新聞 2004/01/23)

Japan PM faces law suit over troop dispatch
(Aljazeera.Net 2004/01/27)

「首相は自衛隊法読め」 箕輪氏が自衛隊派遣反対集会で批判
北海道平和運動フォーラムは26日、イラクへの自衛隊派遣を決めた小泉純一郎首相らを相手取り、派遣中止を求める提訴の準備を進めている元郵政相の箕輪登氏=小樽市在住=らを招いた集会を、札幌市内のホテルで開いた。
約250人が参加。箕輪氏は「自衛隊法88条で、武力行使はわが国が攻撃されたときに限定されている。(イラクは日本を攻撃していないので)現状での派遣は自衛隊法違反」と指摘。小泉首相と石破茂防衛長官について「自衛隊法を読み返してほしい」と批判した。また箕輪氏は、提訴時期は今週中で、弁護団は100人規模になることを明らかにした。(北海道新聞 2004/01/27)

天木氏、箕輪元運輸相の訴訟の共同原告に 自衛隊派遣差し止め求め
【東京27日=河合敦】イラク戦争に反対する意見具申をしたことを理由に外務省を解雇された天木直人前レバノン大使が、自衛隊のイラク派遣は違憲・違法であり、国民の平和的生存権を侵害するものだとして派遣差し止めなどを求める元自民党衆議院議員の箕輪登元運輸相(79)=北海道小樽市=らの訴訟に共同原告として加わる意向を示していることが、関係者へのメールなどでの連絡で分かった。...(日刊ベリタ 2004/01/27)

先遣隊調査前に報告書作成 共産暴露に政府確認拒否
外務省と防衛庁が、イラク南部サマワ入りした陸上自衛隊先遣隊の調査実施前に「治安情勢は比較的安定」と結論を先取りした報告書を作成していたことを示す内部文書が29日、明らかになった。共産党の赤嶺政賢氏が衆院イラク復興支援特別委員会に示した。石破茂防衛庁長官は、同文書について「初めて見る。真偽を調べるつもりはない」と確認を避けた。
政府は調査報告について「今回の先遣隊だけでなく、これまでの調査を踏まえた内容」(福田康夫官房長官)としているが、イラク治安情勢の判断の信ぴょう性に疑問が投げ掛けられるのは必至だ。
文書は「(案)最新のイラク情勢と陸自派遣の調整状況等について」と題された8ページ。最終的な報告書の内容はほぼ含むが、より長文で、原案とみられる。1月20日昼に「防衛庁運用局運用課」からファクス送信され、翌日「外務省安全保障政策課」から返送された記録が残り、両省で内容について調整したことがうかがえる。(共同通信 2004/01/29)

自衛隊イラク派遣 派遣差し止め求め、箕輪登・元郵政相が提訴──札幌地裁に
自衛隊のイラク派遣は国民の平和的生存権を侵害し違憲、違法として、元自民党衆院議員で防衛政務次官も務めた箕輪登・元郵政相(79)=小樽市在住=が28日、国に派遣差し止めと慰謝料1万円の支払いを求める訴訟を札幌地裁に起こした。
訴状によると、自衛隊のイラク派遣は(1)武力行使を禁じた憲法9条に違反する(2)主な任務をわが国の防衛出動と定めた自衛隊法に違反する(3)イラクは全土が戦闘状態にあり「非戦闘地域」は存在しないため、派遣の根拠となっているイラク復興特別措置法にも違反する──と主張している。
そのうえで、「自衛隊員だけでなく、国内外で活動する日本人がテロの標的にされる可能性が増えている」と指摘。このような事態は憲法が保障する「平和的生存権」や「幸福を追求する権利」を侵害している、として派遣差し止めを求めている。
さらに、既に先遣隊などが派遣されていることから「平和的に生きたいと考えている原告には耐え難い」として精神的苦痛に対する慰謝料を請求した。
派遣差し止め訴訟は、ほかにも市民グループなどにより名古屋、東京、大阪でも提訴に向けた動きがある。

◇防衛庁の北原巖男官房長の話
訴状を入手していないので内容は承知していない。訴状を検討し適切に対処したい。

◇「日本の防衛に徹するべきだ」──箕輪さん会見
「自衛隊は日本の防衛に徹するべきだ。大砲のような武器を持たせて海外に出すべきではない」。自衛隊のイラク派遣差し止めを求め提訴した箕輪登さんは28日、札幌市内で会見し、訴訟に踏み切った理由を説明した。
箕輪さんは「国の将来を考え、一番大事な平和的生存権を守るため提訴を決めた。国を守る自衛隊員を殺人者にしたくない。何とか派遣をやめさせたい」と意気込んだ。
弁護団の佐藤博文弁護士は「勝つのは容易ではないが、自衛隊が早く戻ってこられるように頑張りたい」と話した。(毎日新聞 2004/01/29)

5300人署名集め首相に”直談判” 宮崎の高3・今村さん 内閣府に提出「軍隊の撤退を」
平和的手段でのイラク復興支援を小泉純一郎首相に求め、1人で署名活動に取り組んでいた宮崎県三股町の高校3年生、今村歩さん(18)が2日、首相あての請願書と5358人分の署名を内閣府の担当者に手渡した。今村さんは「みんなの気持ちを小泉首相に届けたくて、直接持ってきた。ぜひ首相に勇気ある行動を取ってほしい」と話した。内閣府は同日午後にも首相秘書官まで届けるという。
今村さんは昨年12月10日から、高校の知人らに呼びかけ、署名活動を始めた。次第に活動が広がり、国内だけでなく米国やオーストラリアからも郵送してきたという。
請願書では「イラクには雇用、電気、ガソリンなどが必要で、自衛隊派遣では本当の支援はできない」などと指摘、小泉首相に「イラク国民を傷つけないために、各国に軍隊の撤退を呼びかけてほしい」と求めている。また、米国の武力による解決は「非民主的」であり、劣化ウラン弾やクラスター爆弾の非人道性を日米両政府に認めるよう求めている。
今村さんは、イラク戦争終結後もテロが頻発していることを知り、「暴力の連鎖を断ち切るためには平和的な解決が必要だ」と思い、小泉首相への直談判を決意したという。この日、母親の理絵さん(44)と上京した。(西日本新聞 2004/02/02)

小泉首相:高校生のイラク復興支援署名で教育に注文
小泉純一郎首相は2日、宮崎県の高校3年生が武力に頼らないイラク復興支援を求める5358人の署名を提出したことについて「よくイラクの事情を説明して、なかなか国際政治、複雑だなあという点を、先生がもっと生徒に教えるべきですね」と述べ、教育のあり方に注文をつけた。首相官邸で記者団に感想を聞かれ答えた。
首相は「署名を読みましたか」との記者団の質問に「いや、読んでません」と述べた。さらに「読む考えは」と聞かれ「自衛隊は平和的貢献するんですよ。学校の先生も、よく生徒さんに話さないと。いい勉強になると思いますよ。この世の中、善意の人間だけで成り立っているわけじゃない。なぜ、警察官が必要か、なぜ軍隊が各国で必要か」と語った。(毎日新聞 2004/02/02)

イラク・自衛隊派遣「平和憲法に反する」 首相に抗議文──コープ石川など /石川
県平和運動センターは2日、陸上自衛隊本隊のイラク派遣命令に対し、「平和憲法を踏みにじる暴挙であり、断じて容認できない。本隊派兵の中止を断固求める」とした抗議文を小泉首相、石破防衛庁長官宛にファクスした。
今月8日14時からは県教育会館(金沢市香林坊1)で「2・8イラク派兵に反対する石川県青年・女性集会」を開き、集会後はデモ行進を予定している。
生活協同組合コープ石川も2日、「今回の派遣は、戦後初めて『戦争が行われている国』への派遣であり、『戦争はしない、軍隊は持たない』と決めた平和憲法に反するものであり、私たちが求めている平和なくらし、平和な社会の実現から程遠いものと考えます」とするイラクへの自衛隊派遣に反対する声明を小泉首相あてに郵送した。(毎日新聞 2004/02/03)

派遣違憲と教えるな 首相、教育に口先介入繰り返す
小泉純一郎首相は5日午後の参院イラク復興支援・有事法制特別委員会で、自衛隊イラク派遣に関連し「先生方が『自衛隊は戦争に行くんです。憲法違反です』と(生徒に)言ったら問題がある」などと、教育現場への「介入」とも取れる発言を繰り返した。
首相は2日にも、女子高生が派遣反対の署名を提出したことについて「自衛隊は平和的貢献をする。学校の先生も生徒に話さないと」と発言し、教育現場に政府の考えを押しつけるものだと波紋を広げたばかり。
民主党の斎藤勁氏が「賛否両論ある問題で教育現場への強制と受け止められるのは問題だ」と追及したのに対し、首相は「なぜわたしが発言を撤回しなければいけないのか分からない」と反論。その上で「日教組には『憲法違反だ』とデモしている人もいる。先生は政治活動に精を出すよりも生徒の教育に精を出してほしい」と注文をさらにエスカレートさせた。(共同通信 2004/02/05)

自衛隊派遣に憤まん 痛烈批判で久々真紀子節
田中真紀子前外相は5日午後の衆院憲法調査会の小委員会で、自衛隊イラク派遣について自ら発言を求め「派遣は本当に間違ったことだ。取り返しがつかず憤まんやる方ない。どう言いくるめても人道支援ではない」と厳しく批判、久々の真紀子節を披露した。田中氏は今後、衆院外務委員として小泉純一郎首相や外務省幹部との対決も予想されており、まずは挑戦状を突き付けた形だ。
田中氏は冒頭、「私は憲法調査会設立時の最初のメンバーだ。1年2カ月議員を辞していたが、今回皆さまのおかげで復帰した」とあいさつ。自衛隊派遣に話題を変えると「国連中心で、できるだけの貢献をすることが本当の人道支援」と指摘。さらに「一番問題なことは、憲法を変えるうんぬんでなく、日米安保条約改定と地位協定見直しだ」とボルテージを上げ、政府にとっての「タブー」にも切り込んだ。(共同通信 2004/02/05)

陸自先遣隊報告書;派遣前草案のまま 首相答弁撤回の原因に
イラク南部サマワに関する陸上自衛隊先遣隊の調査報告書が、部分的に実際の調査結果を反映せず、派遣前に作成されたままになっていたことが4日、防衛庁関係者の証言で明らかになった。関係者は「急いで報告書を提出しなければならず、草案を書き換え忘れた部分がある」と認めた。この報告書に基づいて答弁した小泉純一郎首相と石破茂防衛庁長官は相次いで答弁の撤回、訂正に追い込まれている。防衛庁のずさんな情報管理とともに、報告書そのものの信ぴょう性も疑われる事態になった。
関係者によると、この報告書は昨年の政府専門調査団報告やオランダ軍などからの情報を踏まえ、先遣隊の派遣前に作成された。数ページからなり、サマワの治安を「比較的安定している」と表現し、調査結果を受けて修正する予定だった。
先遣隊はムサンナ県知事と会談し、地元の部族長やサマワ市評議会議長らが同席することになっていたため、この報告書には各出席者の肩書と過去の調査での発言内容などが記載されていた。実際の面談では市評議会議長は欠席し、「評議会代表」と名乗る別人が出席していたにもかかわらず、報告書では「代表」の発言が議長発言として記載され、「評議会は機能している」との評価も草案のままだったという。
先遣隊は先月16日に出発し、一部が23日に帰国して報告書を完成。早期派遣を目指す政治日程上の都合で、現地での調査期間が1日半に限られた。
この報告書の問題では、1月29日の衆院テロ防止特別委で共産党の赤嶺政賢氏が、外務省と防衛庁で交わされたという文書を示して追及。しかし、政府側は「真がんを確認できない」として存在そのものの確認を避けている。【宮下正己、松尾良】(毎日新聞 2004/02/05)

先遣隊報告「原案」は本物 石破氏、参院特別委で認める
陸上自衛隊先遣隊の調査報告前に防衛庁と外務省が原案を用意していたことを示す内部文書が明らかになった問題で、石破防衛庁長官は5日の参院イラク復興支援・有事法制特別委員会で「文書の管理は着任以来厳重にしているつもりだったが、今回のことを教訓、反省として厳正を期したい」と述べ、文書が本物であることを事実上認めた。石破長官は問題発覚以降、真偽の確認を避けていた。
自民党の舛添要一氏が、内部文書が流出した責任問題をただしたのに答えた。石破長官は内部文書を両省庁の担当部局がファクスでやり取りした理由について「防衛庁と外務省が距離的に離れている」などと説明した。(朝日新聞 2004/02/05)

イラク派遣:戦闘中の他国軍支援は可能 石破防衛庁長官
石破茂防衛庁長官は6日の参院イラク復興特別委員会で、イラクに派遣した自衛隊の宿営地近くでオランダ軍がテロリストの攻撃を受けた場合の自衛隊の対応について「オランダ軍が安全に避難できるよう武器を使用せずに支援を行うことは法が禁止することではない」と述べた。武器を使用しないことを前提に事実上、戦闘中の他国軍を自衛隊が支援することも可能との考えを示したものだ。具体的な支援として「車やその他の物品を中に入れることで相手の射撃を遮断すること」と述べ、車両などをオランダ軍部隊の前に移動させる方法を挙げた。
小泉親司氏(共産)の質問に答えた。
イラク特措法は自衛隊の派遣が憲法9条の禁じる海外での武力行使とならないよう自衛隊の活動を非戦闘地域に限定。民間人の保護などを想定し「自己の管理下に入った者」を守るための武器使用は認めているが、他国軍支援の武器使用については「憲法上、極めて困難」(石破長官)と説明されてきた。
他国軍支援のために投入した自衛隊の車両が攻撃を受け、乗っている自衛官が正当防衛で反撃する場面も想定される。そうなれば事実上、自衛隊が戦闘現場に駆けつけて応戦することにつながるため、石破長官の答弁は今後、憲法との関係で議論になりそうだ。【竹島一登】(毎日新聞 2004/02/06)

自衛隊派遣、憲法違反は問題…首相、教育現場に不快感
小泉首相は5日の参院イラク支援・武力攻撃事態特別委員会で、「先生方が自衛隊派遣は憲法違反だ、武力行使に行くんだと言ったとすればこれは問題だ」と述べ、教育現場での自衛隊派遣の取り上げられ方に不快感を示した。
首相が宮崎県の高校生が自衛隊撤退の署名を集めたことについて、「自衛隊は平和的に貢献する。イラク事情を説明し、国際政治が複雑だと先生は教えるべきだ」と語ったことに関し、民主党の斎藤勁氏が真意をただした。首相は「客観的判断ができる材料を提供し、生徒間で議論するのはいいことだ」としたうえで、「日教組の中には、憲法違反だと言ってデモをしている人もいる」と日教組を名指しで批判した。(読売新聞 2004/02/06)

自衛隊イラク派遣、日本ペンクラブが反対声明
日本ペンクラブ(井上ひさし会長)は6日、東京都内で緊急集会「いま、戦争と平和を考える」を開き、「自衛隊のイラク派遣に反対する声明」を出した。声明では、国連の承認を得ないアメリカの攻撃は国際法違反で、しかも戦争の大義である大量破壊兵器が見つかっていないと批判。自衛隊派遣を憲法9条違反としたうえで、「イラクの『復興支援』にはならず、米英軍の占領統治を『軍事支援』することにほかならない」などとして自衛隊の派遣に抗議し、イラクからの撤退を訴えている。(毎日新聞 2004/02/06)

参照:「自衛隊のイラク派遣に反対する声明」(日本ペンクラブ)

国会、自衛隊のイラク派遣を承認
【東京9日ロイター】国会は、自衛隊のイラク派遣承認案件を参議院本会議で採決し、与党の賛成多数で承認した。(ロイター通信 2004/02/10)

イラク・自衛隊派遣 一緒に拒否を 伊丹駐屯地周辺を元自衛官らが反戦デモ /兵庫
イラクへの自衛隊派遣に抗議する集会「2・11 みんなで行動in伊丹」が11日、伊丹市内であり、元自衛官2人が反戦を訴え、参加者約450人とともに陸上自衛隊伊丹駐屯地(同市緑ケ丘)周辺をデモ行進した。
参加したのは、元航空自衛隊員の小多基実夫さん(53)=東京都稲城市=と、元海上自衛隊員の村中哲也さん(57)=横浜市港南区。
小多さんは70年に入隊し、沖縄返還に伴う自衛隊の沖縄入りに反対演説し、懲戒免職に。28年間、処分取り消しを求める裁判を闘った。この日は「自衛隊は戦争する軍隊になった。黄色いハンカチを振って無事を願うのではなく、早く隊員を呼び戻すべき。現役の隊員も家族も拒否の声を上げづらい。2次、3次の派遣を止めるのが我々の責務だ」と訴えた。
一方、村中さんは65年に入隊し、整備士として航空会社に転職。現在、航空労組連絡会副議長を務め、「大量輸送できる民間飛行機は、自衛隊員の輸送に使われかねず、実際、使われた例もある。労働者が声を上げねばならない」と説いた。
この後、同駐屯地内の中部方面総監部と近くの第3師団までデモ行進して隊員に抗議文を手渡し、小多さんらが自衛隊員官舎でも「一緒に拒否しよう」と呼びかけた。(毎日新聞 2004/02/12)

サマワ:自衛隊重武装で抗議ビラ、邦人一時拘束
ボランティアでイラクに入った埼玉県の薬剤師の男性(25)が1月末、自衛隊が重武装で派遣されたことに反対するビラをサマワで配り、「治安を乱す」という理由でオランダ軍に連行され、事情聴取されたことが分かった。男性は無事で、既に帰国した。外務省は事実関係を認めたうえで、「自衛隊派遣後、サマワで日本人が一時的にせよ身柄を拘束されたのは聞いたことがない」と話している。
男性は、バグダッドで病気の子供や小学校にクッキーや色鉛筆、画用紙などを贈った人道支援団体の一員として、1月5日に入国。同月中旬からは1人でサマワに入り、自衛隊の重武装に反対するビラをアラビア語や英語で作成。約3000枚を学校や病院、商店街で配布したという。
男性によると、連行されたのは1月29日午後7時半(現地時間)ごろ。宿泊先のホテルにオランダ軍兵士4人が突然現れ、米英占領当局(CPA)施設に連行された。オランダ軍からは「なぜビラを配るのか」「どこの団体に所属しているのか」などと聴かれたという。男性はこれ以上ビラを配らないことを条件に、約3時間後に釈放された。
男性は「自衛隊派遣には反対しないが、重武装は将来の本当の派兵につながり、平和憲法が危うくなる」とビラを配った理由を語り、「テロが続発して占領当局が敏感になっているのは分かるが、意思表明の自由が奪われるのは納得できない」と話している。【青木英一】(毎日新聞 2004/02/13)

戦争体験者が「派遣反対」 最高齢90歳、東京・巣鴨で
「米国と一緒だと思われてもいいのでしょうか」。とげぬき地蔵で知られる“お年寄りの原宿”東京・巣鴨で14日、最高齢90歳の戦争体験者ら約20人が、自衛隊のイラク派遣反対を訴えて街頭演説と署名活動をした。
呼び掛けたのは「2度と戦争は許さない!戦争体験者杉並100人の声」のメンバー。平均年齢が85歳となる7人のお年寄りがマイクを握った。
「米国が本当の盟友なら『憲法があるから派遣はできない』とはっきり言うべきだ」と訴えたのは、杉並区の八木ケ谷妙子さん(90)。太平洋戦争当時は小学校の教師をしており、終戦で疎開先から東京の下町に戻った。子どもたちと見た焼け野原の光景が今も忘れられないという。
蔵通り商店街に買い物に来た都内の女性(82)は「いろんな人の意見を聞くと、賛成とも反対とも簡単には結論が出せない。関心は持っているのですが」と、八木ケ谷さんの演説に耳を傾けた。
声をからして訴えるお年寄りには見向きもせず、通り過ぎていく女子高生の姿も。メンバーの1人は「いつか恋人が戦争に行くことになるかもしれないのよ。勉強してちょうだい」と言って、ビラを配っていた。(共同通信 2004/02/14)

イラク・自衛隊派遣 県内各地で抗議行動相次ぐ 声明やデモ、要請書 /広島
県内では13日、自衛隊のイラク派遣に抗議する声が相次いだ。
広島弁護士会は、自衛隊のイラク派遣は憲法9条違反として、「自衛隊のイラク派遣に反対する会長声明」を小泉純一郎首相らに送付した。
臼田耕造会長は「サマワは、イラク復興特別措置法が定める非戦闘地域とはいえない。そもそも自衛隊の武器使用を認めたこの法自体が、憲法9条の武力行使の禁止に違反している」とした。
連合広島(宮地稔会長)は13日、中区の県庁前広場で、派遣反対の集会を開いた。組合員ら約1000人が参加し、集会後、広島市内中心部をデモ行進した。宮地会長は「イラクの治安は悪化の一途。なのに、政府は説明責任を果たさず自衛隊を派遣した。国連を中心にイラクの復興にあたるべきで、我々は被爆地としていかなる戦争にも反対だ」と演説した。
市民団体「ピースリンク広島・呉・岩国」のメンバー約10人も13日、呉市幸町の海上自衛隊呉地方総監部を訪れ、派遣中止を求める要請書を手渡した。(毎日新聞 2004/02/14)

「戦前に似ている」と警告 加害証言続ける元日本兵
自衛隊のイラク派遣に対し「戦争へと突き進んでいった戦前の状況に似ている」と各地の講演で警告を発している元日本兵がいる。太平洋戦争中、中国と沖縄の最前線で日本兵として戦い、加害体験や戦争の悲惨さを語り続けている三重県桑名市の近藤一さん(84)だ。「あの犠牲は何だったのか。戦争ができる国にしてしまった小泉首相は許せない」との思いが近藤さんの原動力になっている。
近藤さんは1940年から、歩兵として中国各地を転戦。44年8月、沖縄に送り込まれた。背中に銃弾を受けて負傷し、その後、米軍の捕虜になって終戦を迎えた。
「事実を伝えることが戦争抑止につながる」と言う近藤さんは、略奪、殺人、強姦(ごうかん)など中国人への残虐行為の体験を積極的に証言。無謀な作戦で下級兵士が無残に死んでいった沖縄戦の様子も語っている。
近藤さんは2月上旬、中国での旧日本軍の性暴力などを調査している団体と一緒に沖縄本島南部の戦跡をたどり、仲間が玉砕した場所で「これまでは平和な国になったから安心してくださいと呼び掛けていたが、今は悔しい、すまないという気持ちでいっぱいだ」と声を詰まらせた。
「(戦争の傷は)60年近くたっても消えません。心の中はズタズタになるんです」。山中で敵が迫っているが、弾が切れて銃が撃てない…。そんな夢を、今でも講演の後に必ず見るという。
24日には三重県内の高校で講演する。そのときには「戦争に持っていく国の体制は巧妙に仕組まれる。後戻りするのは至難の業です」と自身の体験を振り返りながら訴えるつもりだ。(共同通信 2004/02/21)

イラク・自衛隊派遣「違憲・違法で私戦予備罪」 市民5人、小泉首相告発 /滋賀
イラクへの自衛隊派遣準備は刑法93条の「私戦予備」罪にあたるとして、派遣に反対する大津市民5人がこのほど、小泉純一郎首相を告発する書面を大津地検に提出した。イラク戦争を国際法で裁く市民運動「イラク国際戦犯民衆法廷」(ICTI、事務局・東京)のメンバーらが全国的に展開している運動の一環。自衛隊派遣は違憲・違法で、小泉首相の一連の行為は犯罪にあたるとしている。
イラク特措法に基づく自衛隊派遣について、(1)武器を携帯した軍隊の戦闘地域への派遣で明らかに憲法違反(2)派遣先だけが非戦闘地域ということはありえず同特措法にも違反する──と主張。「派遣は国家としての合法的意思に基づくものでなく、外国に対して私的に戦闘行為をする『私戦』に該当する」と結論づけている。
告発人の一人、同法廷滋賀実行委準備会事務局の中川哲也さん(47)は「自衛隊派遣は、正当性のない戦争への加担になってしまう。隊員の命を危険にさらすのはもちろん、状況次第でイラクの人の命を奪うことになる。責任者の小泉首相を告発することで、憲法論議にもつなげていきたい」と話している。(毎日新聞 2004/02/22)

自衛隊イラク派遣は日本の国益にかなうのか 米ジャーナリストが対米従属に懸念
陸上自衛隊の本隊主力部隊第1陣が21日、イラクにむけて出発した。小泉内閣の決定は世界のイスラム教徒の失望、反感、怒りを買っているが、欧米人の眼にはどのように映っているのだろうか。アメリカの独立系ジャーナリスト、ティム・ショロックは、これを日本の歴代首相の「気恥ずかしいほどの対米追従」の一環と評し、冷戦時代にソ連という主人に忠勤を励んだ旧東ドイツの指導者の小者ぶりになぞらえている。そして、米国との軍事同盟の世界的な展開が日本の国益にかなうものなのかどうかについて、国民的な論議がまったく見当たらないような状況に失望感を示している。(TUP速報=ベリタ通信)(日刊ベリタ 2004/02/22)

参照:『自衛隊イラク派遣は“対米依存”の病気』(TUP速報 2004/02/22)

イラク派遣:市民1262人が差し止め集団訴訟 名古屋地裁
イラクへの自衛隊派遣は憲法違反などとして、全国の市民1262人が23日、国を相手取り派遣の差し止めと違憲の確認、原告1人あたり1万円の慰謝料を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。提訴後に会見した原告団の池住義憲代表(59)=愛知県日進市、市民団体代表=は「派遣に反対して何かしたいが、具体的に何をしたらいいか分からないという人は大勢いる。訴訟をその思いの受け皿にし、声を合わせて国にぶつけていきたい」と話した。
派遣差し止めを求める訴訟の動きは札幌や東京などでもあるが、集団訴訟は名古屋が初めて。訴えでは、今回の派遣は目的が「自衛」の範囲を超えており、派遣地域が非戦闘地域とはいえないことから、正当防衛のためとされる武器使用も憲法が禁じる武力行使と区別が出来ない──などとしている。また、憲法が定める「平和的生存権」を侵害され精神的苦痛を受けたとして、慰謝料の支払いを求めた。
原告は池住代表らが中心となり、インターネットのホームページやメールなどを利用して集めた。約半数の631人は愛知県民だが、北海道から沖縄までに広がり、海外在住者も2人(東ティモール、ボリビア)が参加している。名古屋弁護士会所属の弁護士81人が弁護団を結成した。
この日は名古屋地裁に約100人の原告が集まった。伊藤めぐみさん(18)=三重県桑名市=は「テレビや新聞を見ていても『また(自衛隊が)行ってしまったんだなあ』と思うだけで、自分の感覚がまひしていくのが怖い。本当に支援だけが目的か分からないし、もっと鋭い目でこの問題を見ていきたいと思った」と語った。
原告団の事務局は「問題をより深く考えるための情報として、訴訟の過程を広く市民に公開、発信していきたい」としている。さらに原告の募集を続け、今年4月にも第2次提訴を行う方針。【加藤隆寛】(毎日新聞 2004/02/23)

自衛隊員死傷なら改憲進展 石原知事
【ロンドン3日共同】3日付の英紙フィナンシャル・タイムズによると、石原慎太郎東京都知事は、イラクに派遣されている自衛隊員が死傷すれば、国民は政府の下に結集し、憲法改正の動きが進展するとの考えを示した。
最近のインタビューで語ったとしているが、どのメディアかには触れていない。
石原知事は「日本の兵士が死亡するのを見れば国民は怒り、結束し、政府を支持するだろう」と言明。また、平和憲法見直しの動きについて「私はこれを支持する。われわれは米国の言いなりにならなくていいように憲法を変える」と語った。(共同通信 2004/03/03)

派遣反対ビラを自衛隊官舎で配って逮捕 憲法学者ら抗議
東京都立川市の自衛隊駐屯地に隣接する官舎の郵便受けに、「イラク派遣反対」のビラを配布した市民団体のメンバーが先月末、住居侵入容疑で警視庁立川署に逮捕されていたことが4日、分かった。郵便受けには日常的に業者の宣伝チラシなどが入れられており、同団体の代表や憲法学者らは「市民の正当な表現活動を抑圧するものだ」との声明を発表し、立川署に抗議した。
逮捕されたのは、72年から駐屯地周辺で反戦運動を続けている「立川自衛隊監視テント村」(加藤克子代表)のメンバー3人。3人は1月17日昼前、同官舎の敷地内に立ち入り、2棟の1階に集められている郵便受け数十世帯分に、自衛隊のイラク派遣について「一緒に考え、反対の声をあげよう」とのビラを入れてまわったという。
警視庁によると、官舎の住民から「各戸にビラを配布している男女がいる」との110番通報があり、捜査していた。1カ月余りたった先月27日朝、警視庁がテント村の事務所や関係者の自宅などを捜索、名簿などを押収するとともに3人を逮捕した。
現場は国家公務員住宅の一角。道路からの入り口に門扉などはなく、宅配業者や出前業者などが自由に出入りし、宣伝チラシなどを配っているほか、自治体議員の議会報告なども並んだ郵便受けに入れられていた。
地元の大沢豊・立川市議らは3日午後、立川署を訪れ、「反戦運動への弾圧だ」として3人の釈放を要求。署側は「法律に基づいて正当に捜査している」と答えた。
奥平康弘・東大名誉教授、水島朝穂・早大教授、阪口正二郎・一橋大教授ら憲法学者や刑法学者ら56人も「住居侵入罪によって保護される法益は平穏な私生活。郵便受けは外からの情報を受け取る通路でもある。今回の措置は自由な民主主義社会の基礎を揺るがす」との声明を発表し、抗議している。(朝日新聞 2004/03/04)

「バカの壁内閣のバカの壁予算」 委員会で達増氏批判
民主党の達増拓也氏は5日の衆院予算委員会の反対討論で、小泉内閣について「国民との間に『バカの壁』を築き、説明しても無駄だという態度を繰り返すバカの壁内閣だ。バカの壁内閣の、バカの壁予算に賛成することはできない」と批判した。
小泉首相が先の同委審議で、自衛隊のイラク派遣への慎重論に対し養老孟司氏のベストセラー「バカの壁」を持ち出して反論したことを逆手に取ってこき下ろしたもの。
これに対し、自民党の中川秀直国対委員長は同日の党代議士会で、「バカと言ったのは許さない。極めて厳正に抗議し、それに応じない限り(衆院の)予算委は開かないつもりで頑張っていきたい」と述べ、民主党に抗議する考えを示した。(中日新聞 2004/03/06)

エジプト人作家:サーダウィさん 自衛隊イラク派遣を批判
アラブ・イスラム社会を代表する女性知識人のエジプト人作家、ナワル・エル・サーダウィさん(72)が毎日新聞と会見。日本政府がイラク支援を目的に自衛隊を派遣したことについて、「現在、イラクで続いている米兵攻撃は決してテロばかりではなく、占領に反対する抵抗運動でもある。イラク人が占領に反対している中での軍隊派遣は、日本政府がどう取り繕うとも、米政府支援であってイラク人支援ではない」と厳しく批判した。(毎日新聞 2004/03/08)

米兵家族が戦争反対訴え 市民団体の招きで来日
イラク戦争に反対する米兵家族らでつくる「発言する軍人家族の会」(MFSO)のメンバーが13日、大阪の市民団体の招きで来日。陸軍兵士の長男(20)を持つ母親ビッキー・モンクさん(48)が「昨年4月にイラクに派遣された息子も戦争を支持していなかった。米国はこれ以上イラクにいる必要はない」と訴えた。
関西空港での記者会見でビッキーさんは「イラクに行った米兵は戦争経験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)や劣化ウラン弾による被害に苦しんでいる」と指摘。「イラクに派遣された日本の自衛隊の家族にも運動に参加してほしい」と呼び掛けた。
同会は2002年11月、米兵の母親らが結成した反戦団体。現在約3000家族が参加し、派遣兵士の早期帰還を訴える運動を進めているという。(共同通信 2004/03/13)

自衛隊のイラク派遣は違憲 市民グループが連日提訴へ
自衛隊のイラク派遣は違憲、違法として、市民グループ「イラク派兵違憲訴訟の会・東京」のメンバー前田哲男・東京国際大教授(軍縮安全保障論)が17日、国を相手に派遣禁止と慰謝料1万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。
「裁判所に違憲立法審査権の発動を求めたい」として、同会は18日以降も土、日曜日を除く毎日、メンバー1人が提訴する。現在約100人が準備しており、今後も呼び掛けを進める。イラク復興支援特別措置法の違憲確認も訴えに盛り込む。
同会は「イラクでの自衛隊の活動は、武力の不保持、交戦権の否認を規定する憲法9条などに違反する」と主張、「イラク派遣は、単に政策の問題ではなく、裁判所は違憲立法審査権の行使を躊躇(ちゅうちょ)してはならない」としている。(共同通信 2004/03/17)

自衛隊派遣:差し止め求め前田哲男氏が提訴 鎌田、佐高氏も
イラクへの自衛隊派遣は憲法違反などとして、軍事評論家の前田哲男・東京国際大教授が17日、国に派遣差し止めと慰謝料1万円の支払いを求め、東京地裁に提訴した。
同種訴訟は札幌、名古屋の両地裁でも起こされている。前田教授は同日、記者会見し「薄弱な根拠で命をかけて派遣されている自衛隊員のためにも、法的に正しいかどうか司法が判断すべきだ」と述べた。
原告側の弁護士は、18日にルポライターの鎌田慧氏、19日に評論家の佐高信氏が提訴することを明らかにしたうえで「土曜、日曜を除く毎日、提訴を続ける。現段階では約100人が原告になる意思を表明している」と述べた。【小林直】(毎日新聞 2004/03/17)

「自衛隊は軍隊」と小泉首相=英紙
【ロンドン25日時事】25日付の英紙タイムズによると、小泉純一郎首相は24日、同紙との単独会見で、憲法の改正を支持するとともに、自衛隊を実態通りに軍隊と呼べるようにすべきだと強調した。
同紙は「平和憲法は時代遅れと首相言明」との見出しを取り、憲法改正の動きが今後1年間に強まると小泉首相が予想したと伝えた。(時事通信 2004/03/25)

派遣差し止め訴訟で初弁論 箕輪元郵政相が意見陳述
自衛隊のイラク派遣は違憲・違法で、国民の平和的生存権を侵害するとして、元自民党衆院議員で防衛政務次官も務めた箕輪登元郵政相(80)=北海道小樽市=が国に対し、派遣差し止めと慰謝料1万円を求めた訴訟の第1回口頭弁論が29日、札幌地裁(原啓一郎裁判長)であった。
国側は答弁書で慰謝料の請求棄却を求め、派遣差し止めの請求部分については「具体的内容を明らかにされたい」と、原告側に釈明を求めた。
意見陳述で箕輪氏は「小泉総理も防衛庁長官も私の仲間。提訴は私の本意ではないが、湾岸戦争以来、だんだん拡大解釈してこれが慣例になった。将来日本の国はどうなるのか、軍事国家になったら大変と思い、今回提訴した」と述べた。(共同通信 2004/03/29)

自衛隊見返りに契約容認 イラン油田、米議員が批判
【ワシントン30日共同】米野党民主党のシャーマン下院議員は30日の下院外交委員会で、日本とイランのアザデガン油田開発契約について、自衛隊のイラク派遣の見返りにブッシュ政権が容認したとし、核開発疑惑のあるイランに巨額投資を決めた日本とともに米政権の対応を厳しく非難した。
これに対し、ボルトン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は「ブッシュ政権は公的にも私的にも油田開発に反対する立場を日本側に伝えてきた」と反論。先の国際原子力機関(IAEA)理事会で日本が対イラン強硬姿勢で米国と共同歩調を取ったことを評価しながら「日本の不拡散の立場に揺らぎはない」と日本を擁護した。
議員は「再選に必死なブッシュ政権」が「うわべだけの国際的支持」を獲得するため、自衛隊派遣を優先し、油田契約問題で日本に譲歩したと指摘。次官が「事実ではない」と激しく応酬する一幕もあった。(共同通信 2004/03/31)

ref. U.S. traded Iran oil deal for SDF in Iraq: Democrat
(Japan Times 2004/04/01)

日本も秘密情報機関強化を=川口外相、英紙と会見
【ロンドン31日時事】川口順子外相は31日、英紙タイムズとのインタビューで、日本は秘密情報機関を強化するとともに、英国など友好国との間でもっと情報交換を行うべきだとの考えを明らかにした。また、日本がテロの対象になる可能性はあると認める一方、攻撃を受けても、日本政府はイラクに展開する自衛隊を引き揚げる誘惑には抵抗すると述べた。(時事通信 2004/04/01)

日本初「良心の囚人」認定 反戦ビラまき逮捕、起訴
東京都立川市の防衛庁宿舎で、ポストに自衛隊イラク派遣反対のビラを入れた市民運動家3人が住居侵入罪で逮捕、起訴された事件で、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル本部(ロンドン)は3日までに、3人を思想信条を理由に拘禁された「良心の囚人」と認定した。日本での「良心の囚人」認定は、アムネスティの1961年の発足以来、初めて。
「良心の囚人」はミャンマー民主化指導者のアウン・サン・スー・チーさんのほか、アジアでは中国や北朝鮮に多い。
3人は「立川自衛隊監視テント村」メンバーで、1月17日にビラをポストに入れたとして2月27日逮捕、その後起訴された。現在も拘置されている。
アムネスティは「良心の囚人」認定にあたり「この運動家たちは、表現の自由を侵害されて拘禁された。ただちに釈放されなければならない」と指摘している。(共同通信 2004/04/03)

自衛隊イラク派遣で国提訴 憲法違反と山梨の住民
自衛隊のイラク派遣は憲法9条などに違反するとして、山梨県の住民らが8日、国に派遣差し止めなどを求めて甲府地裁に提訴することを決めた。
住民らは13日に甲府市内で集会を開いて「『派兵は決定的違憲』市民訴訟の会・山梨」を発足させ、提訴の準備に入る。会の代表は小出昭一郎・東大名誉教授が務め、原告を全国から募った上で5月中旬をめどに提訴する予定。
住民らは、自衛隊のイラク派遣は「米英による大義のない戦争への加担」とした上で「憲法9条や、憲法の定める平和的生存権の侵害に当たる」と訴えている。
原告の1人となる翻訳家の久松重光さん(55)は「憲法は積極的な平和主義をうたっており、主権者である国民として、明確な違憲行為に対して声を上げていかなければならない」と話している。(共同通信 2004/04/08)

武装米兵の輸送実施 C130、空幕長が認める
【クウェート8日共同】航空自衛隊トップの津曲義光航空幕僚長が空自部隊派遣先のクウェートを訪問。8日に記者会見してC130輸送機によるクウェート、イラク間の米兵や連合軍関係者の輸送を実施していたことを初めて明らかにした。
イラク復興支援特別措置法に基づく空輸が始まって約1カ月。空自は人道支援や連合軍の物資以外に、兵員輸送も手掛け、コアリション(連合軍)の一員としての立場を築いたことになる。
津曲空幕長は過去の輸送任務について「米兵や(連合軍の)軍属を運んだことはある」と答え、さらに「武器、弾薬を単独で運んだことはない」と説明。輸送した米兵が小銃など軽火器類を携行していたことも認めた。
これまでの輸送回数や状況については「20回弱の任務を実施したが、(地上からの)攻撃はなかった」と述べ、武装勢力によるテロはなく安全だったことを強調。タリルやバスラの空港があるイラク南部は「比較的安全」との認識を示した。(共同通信 2004/04/08)

「自衛隊は直ちに撤退を」 JVJAが首相らに声明文
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)は9日、イラクの日本人人質事件について「拘束・脅迫という行為は憎むべきものだが、引き起こした責任は日本政府にある。直ちにイラクから自衛隊を撤退させることを政府に要請する」との声明文を発表した。首相と外相、防衛庁長官あてにメール送信したという。
声明は「日本人の命が脅かされているとの理由ではなく、政府の米国支援と自衛隊派遣が不正義であるからだ」とし、自衛隊派遣について「人道援助という名を用いようと、米国の占領を補完するものにほかならない」と批判。「拘束された3人の生命の責任はすべて政府にある」としている。
JVJAは、人質3人の様子を放映したカタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」に対しては、3人がイラクの子供への支援活動や自衛隊の派遣反対運動に取り組んできたことをイラク国内に向け報道するよう求めるファクスを送付している。(共同通信 2004/04/09)

与党は早期解決へ事態注視 自衛隊撤退論の高まり懸念
与党内では11日、イラク日本人人質事件で解放の声明が出たことに安堵(あんど)の声が相次いだが、解放の動きが進展していないため、政府と緊密に連携して引き続き情報の収集を急ぎながら、事態の動きを注視している。
自民、公明両党は午後7時すぎから自民党本部で、人質事件に関する与党対策本部を開き、自民党の額賀福志郎政調会長、堀内光雄総務会長、公明党の冬柴鉄三幹事長、東順治国対委員長らが出席。情報の分析を急ぐとともに、早期解決に向けた連携を確認した。
自民党の青木幹雄参院幹事長は山梨県昭和町での講演で「政府で全力を挙げ、解放に向けた努力を続けている。絶対にテロに負けてはいけない」と強調。公明党の神崎武法代表は北海道釧路市での演説で「イラクは民間人が動き回るには危険だ。非政府組織(NGO)活動をしている人もいるが2度と人質にならないことが大事だ」と述べ、いら立ちものぞかせた。
公明党幹部は、記者団に対し「3人が解放されて、帰国後にヒーロー、ヒロイン扱いされ、マスコミで自衛隊撤退を訴えられたら厄介なことになる」と、解放後に自衛隊撤退論が高まることに懸念を示した。
今回の事件で自衛隊派遣に対する反発とイラクの治安悪化があらためて浮き彫りになり、夏の参院選への影響を懸念する声も出ている。(共同通信 2004/04/11)

派遣疑問に思う隊員をサポート 元自衛官らが連絡会発足
「イラク派遣を疑問に思う現職自衛官は多い。彼らを支える運動をしたい」。元自衛官や現職隊員の家族の呼びかけで、「とめよう戦争! 隊員家族と元自衛官連絡会」が10日、発足した。
東京・中野で同日開かれた有事法制に反対する市民集会で、陸上自衛隊・衛生隊の元陸士長、看護師の三尾雅信さん(33)=京都市在住=らが「イラクからの自衛隊撤退」を訴える中で明らかにした。
現職隊員や家族からの相談も受け付ける。連絡先は電話080・5490・4874。(朝日新聞 2004/04/11)

倉本聰さんが家族に励ましの手紙 人質事件で
北海道富良野市に住む作家の倉本聰さん(69)が12日、イラク人質事件の家族を励ます手紙をしたため、東京の北海道東京事務所を通じて家族に渡された。倉本さんは手紙の中で3人の無事救出を祈る一方、「自衛隊撤退という選択肢を最初から捨ててかゝり、一顧だにしないという不思議な態度」と小泉首相や政府の対応を批判している。
手紙では、人質になっている家族の心中を思いやりつつ「こゝ4日間の世の中の動き、小生の頭では整理つかぬまゝ、しかし、鋭い痛みと激しい怒りでいっぱいです」と憤りをつづる。
《国益はたしかに大切ですが、しかし「国格」──人格に相当する国格は国益に勝る一国の尊厳だと僕は思います。国益を重視して、人質を救出する最大の選択肢を最初から放棄してしまうこと。いかなる理由があろうとも、政府のとった今回の態度には、激しい憤りを覚えます》
そして「あらゆる面子(めんつ)や利害関係を捨て、人の命を考えて下さい!」と訴えている。
倉本さんは「3人の救出のため、もっともっと地元から声を上げていくべきではないか」と話している。(朝日新聞 2004/04/12)

参照:倉本聰氏より 今井直子様(ネットワーク『地球村』)

サマワで初の反自衛隊デモ サドル派300人、撤退要求
【サマワ14日共同】陸上自衛隊派遣部隊が活動するイラク南部サマワで14日、イスラム教シーア派の強硬派指導者ムクタダ・サドル師を支持する学生ら約300人が米国主導の占領統治に反対し、駐留オランダ軍や自衛隊のサマワ撤退を要求するデモをした。
陸自部隊の撤退を求めるデモがサマワで行われたのは初めて。陸自が13日、中断していた宿営地外での活動を9日ぶりに一部再開した矢先の抗議行動となった。
目撃者によると、デモ参加者の大半は大学生で、サドル師の肖像などを掲げながらムサンナ州庁舎に近いサドル師の事務所前などを行進。拡声器で「自衛隊と占領軍を区別するのは困難。陸自部隊はイラクに駐留する連合軍の傘下で活動すべきではなく、サマワから出て行くことが(日本にとって)最善の選択だ」などと訴えた。
サマワのシーア派聖職者マード・アルワイリ師は13日、自衛隊を「占領軍」と区別し、保護を呼び掛けるファトワ(宗教令)を出しており、サドル派がこれに反発した可能性がある。(共同通信 2004/04/14)

「人質の身代わりになる」 箕輪元郵政相がアルジャジーラへ声明
【小樽】自衛隊イラク派遣の差し止め訴訟を起こしている元自民党衆院議員の箕輪登元郵政相(80)=小樽市在住=は14日までに、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラに対し、イラクで人質となっている日本人の身代わりになる用意がある、とするメッセージを送った。
犯人グループにあてたもので、「私は元閣僚の1人で、自衛隊派遣という小泉純一郎首相の誤った政治選択に関して提訴中です」と自身を紹介したうえで、「あなた方が拘束した3人の日本人の代わりに人質になる覚悟があります」として、テレビ番組などでメッセージを流すよう求めている。
これについて箕輪氏は、「当面の問題は3人を助けることで、80歳になった私の命など惜しくはない。小泉首相ら政府関係者は、『テロ』という言葉を使うのはやめた方がいい。レジスタンスだと思っている彼らの神経を逆なでする」と話している。(北海道新聞 2004/04/14)

イラク:「自衛隊のイラク派遣は違憲」 小田実さんら提訴
イラクの日本人人質事件に絡み、「自衛隊のイラク派遣は違憲」などとして、作家の小田実さん(71)ら関西の文化人や有識者、戦争体験者など約20人が今月30日、国に派遣差し止めと1人1万円の慰謝料を求める訴えを大阪地裁に起こす。イラク派遣をめぐっては名古屋地裁に続く集団訴訟となるが、今回は特に「自衛隊派遣により日本人3人の命が脅かされるなど国民の平和的生存権が具体的に侵害されている」などと主張する。
原告は、小田さんのほかに哲学者の鶴見俊輔さんや、伝統芸能専門誌「上方芸能」代表の木津川計・立命館大産業社会学部教授(芸能文化論)ら関西を代表する有識者▽沖縄戦争体験者▽大阪空襲の体験者▽元自衛官▽広島被爆者など。関西の弁護士ら約165人が「自衛隊イラク派遣反対関西訴訟弁護団」を結成して支援する。
訴えでは、原告らは、イラク派遣は自衛隊の武力行使を禁じた憲法9条や自衛隊法に違反する▽イラクは非戦闘地域とはいえず、派遣は根拠となるイラク復興特別措置法にも反する──などと主張。「石油利権獲得のために米国に追随して、武力行使に加担している」と訴える。
小田さんは「人質事件からみてもイラクが戦争状態にあることは明白」と主張。木津川教授は「自衛隊は装甲車や銃を持って海外へ出ており、人道派遣と言いつくろっても憲法違反だ。人質の3人を救出するためにも自衛隊を撤退すべきだ」と訴える。
自衛隊のイラク派遣を巡っては、元自民党衆院議員で防衛政務次官も務めた箕輪登・元郵政相が1月に同様の訴訟を札幌地裁に、2月には市民団体の代表者ら市民1200人余が名古屋地裁に提訴している。
弁護団は6月上旬にも2次提訴を予定しており、原告を募集している。5月25日午後6時半から、大阪市北区西天満2の大阪弁護士会館6階で、裁判の説明会を予定している。問い合わせは弁護団事務局(06・6945・0308)。【堀川剛護】(毎日新聞 2004/04/15)

「自衛隊派遣」2次提訴 名地裁 違憲訴訟、総勢2363人に
イラクへの自衛隊派遣は憲法違反として、全国の市民が国を相手に派遣差し止めを求めて名古屋地裁に起こした訴訟で、新たに1101人が14日、2次提訴して原告に加わった。提訴後、名古屋市中区であった報告集会ではイラク邦人人質事件を受け「事件は自衛隊派遣が原因だ」「今ほど政府が国民の命を軽んじている時はない」などと即時撤退を求める声や政府批判が相次いだ。
2次提訴は愛知475人、岐阜55人、三重48人、長野16人、滋賀16人など。1、2次で計2363人に上ったが、現在も問い合わせが続いているといい、訴訟の会は今後も原告を募り5月をめどに3次提訴する方針。
集会で、訴訟の会代表の池住義憲さん(59)=愛知県日進市=は「(人質事件の発生は)国際法に違反する米国などに加担し日本が自衛隊を派遣したからだ。3人の命より重い“人道復興支援”などあり得ず、事件解決のためにも自衛隊は撤退させるべきだ」と力を込めた。(中日新聞 2004/04/15)

「自衛隊は出ていって」=解放の邦人に武装グループがメッセージ
武装グループから解放された渡辺修孝さん(36)は17日、NHKの電話取材に対し、グループから「自衛隊はイラクから出ていってほしい」などとするメッセージを口頭で伝えられていたことを明らかにした。
メッセージは、「米国と英国はイラクの敵なので、われわれは今後も戦う。日本人はイラクにはなるべく来ないでほしい。なぜならば、わたしたちの友人を傷つけたくない」という内容だという。(時事通信 2004/04/18)

宗教者委のアルクベイシ師、自衛隊派遣への不満伝える
イラクで拘束された日本人のフリージャーナリストら2人の解放を武装グループに呼びかけたイスラム宗教者委員会のアブドルサラム・アルクベイシ師は17日、日本の上村司・駐イラク臨時代理大使に対し、自衛隊派遣への不満を伝えた。ロイターテレビが報じた。
外務省によると、上村代理大使は17日夕、解放された2人を迎えに行ったバグダッド市内の同委員会事務所で、15日の3人の日本人の解放への努力について感謝する川口外相名のメッセージをアルクベイシ師に伝えた。ロイターテレビによると、この時に同師は感謝の意を表したうえで、「私たちは日本国民ではなく日本政府を責めているのです。自衛隊をイラクに派遣したことで憲法に反する行動をとったからです」と話したという。(朝日新聞 2004/04/18)

日本の評判イラクで低下 カンボジア国王が指摘
【プノンペン19日共同】カンボジアのシアヌーク国王は18日、滞在先の平壌で出したカンボジア国民向けの声明で、イラクに部隊を展開している日本や英国などについて「(米国に同調し)イラクやイスラム諸国での評判を落としている」と指摘した。
声明はベトナム戦争を例に挙げ「イラクから連合軍が撤退するまで、抵抗は日々激化するだろう」と述べた。(共同通信 2004/04/19)

小泉政権危機の可能性も 自衛隊駐留継続でアラブ紙
【カイロ19日共同】19日付のアラブ紙アルハヤトは、イラク情勢悪化にもかかわらず自衛隊を駐留させ続ける小泉純一郎首相は、選挙で敗北したスペインのアスナール前政権と同様、危機に陥るかもしれないとの論説記事を掲載した。
記事はイラク南部サマワの宿営地にいる自衛隊について「イラク入り前にクウェートの米軍キャンプで実弾射撃訓練を行い、軍服も米軍と変わらない」と指摘。「イラク再建のためという触れ込みだったが、サマワで軍事基地の建設を始めた」と伝えた。
イラク日本人人質事件で武装組織は「アラブと日本の関係を血で染めたくなかった」ために人質を解放したが、小泉首相は政治的な打撃を避けるために自衛隊の駐留継続を決めたと解説している。(共同通信 2004/04/19)

地方に「防衛局」創設 防衛庁方針、全国8施設局格上げ
防衛庁は20日、全国8カ所にある防衛施設局を「地方防衛局」(仮称)に格上げし、50の自衛隊地方連絡部を同局の直轄とする方向で組織再編する方針を固めた。
有事法制の整備に伴い、日本が外国から武力攻撃を受けた際の対応や平時の訓練などで、防衛庁と地方自治体との接点が今後、増大することを見越した措置で、自治体との円滑な協力体制を築くのが狙い。今年中にまとめる新たな「防衛計画の大綱」に明記、2005年度から具体的な作業に着手する見通しだ。
防衛施設局は現在、札幌、仙台、東京、横浜、大阪、広島、福岡、那覇に置かれており、自衛隊や在日米軍の基地の建設、米軍施設の返還などの問題で自治体との調整を行っている。また、地方連絡部は、すべての都道府県にあり、自衛隊員の募集や退職者の再就職支援を担っている。
組織上は施設局が防衛施設庁、地方連絡部は陸上自衛隊の方面総監部の下にある。「地方防衛局」構想は、防衛庁の下に両組織を一体化、有事対応の機能を持たせるのが目的だ。(共同通信 2004/04/20)

集団自衛権「認めるべきだ」=海自トップ、異例の言及−将来の海外活動増加前提に
防衛庁の古庄幸一海上幕僚長は20日の定例記者会見で、自衛隊の国際貢献活動が将来増えることを前提とした上で、集団的自衛権を認めるのが「当然だ」との見解を示した。自衛隊トップが憲法上の問題にかかわる見解を明らかにするのは極めて異例。政府は「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」としており、踏み込んだこの発言は今後、国会などで論議になるとみられる。(時事通信 2004/04/20)

イラク派遣隊員から血液採取=事故発生時はDNAも−防衛庁
石破茂防衛庁長官は27日午前、閣議後の記者会見で、イラク南部サマワに派遣している陸上自衛隊員(約550人)から本人の同意を得た上で血液を採取していることを明らかにした。現地で感染症にかかった場合に免疫力の変化を調べることなどに使用するとしている。
また、保存血液からDNAを採取することについては「交通事故とか、危険に遭遇することもある。その場合に必要なことが万一生じた場合には当然、行われることだ。家族の同意を頂くことになる」との考えを強調した。(時事通信 2004/04/27)

自衛隊イラク派遣は違憲 小田実さんら20人が提訴
自衛隊のイラク派遣は違憲として作家小田実さん、哲学者鶴見俊輔さんら文化人や元自衛隊員ら20人が30日、イラクでの自衛隊活動差し止めと違憲確認、1人当たり1万円の慰謝料を国に求める訴訟を大阪地裁に起こした。
自衛隊派遣をめぐっては札幌、東京、名古屋各地裁でも訴訟が起こされているが、近畿以西では初めて。
提訴後、小田さんは「派遣はあらゆる面から見て憲法違反。訴訟を通して国の在り方をただしたい」と話した。
弁護団は今後、6月の2次提訴に向けて一般市民にも訴訟への参加を呼び掛ける。
訴状で原告らは「派遣は憲法9条に違反するだけでなく、自衛隊法や、戦闘地域に派遣しないとするイラク特措法にも違反する」と指摘。その上で、日本人がイラクで人質になったことに触れ「派遣は現実に国民の平和的生存権を侵害している」と主張している。
問い合わせは大手前法律事務所(辻公雄弁護団長)、電話06(6945)0308。(共同通信 2004/04/30)

自衛隊派遣は違憲と提訴へ 撤退求め、静岡の市民団体
自衛隊のイラク派遣に反対する静岡市の市民団体のメンバーらが10日、静岡県庁で記者会見し、派遣は憲法9条などに違反するとして、自衛隊の活動差し止めと撤退、原告1人につき1万円の慰謝料支払いを国に求める訴訟を26日に静岡地裁に起こすことを明らかにした。
会見したのは「イラク自衛隊派兵違憲裁判の会」(会長・桜井規順元参院議員)。1口3000円で原告を募っており、10日現在で静岡県を中心に約160人が参加を表明しているという。
同会は、自衛隊派遣について「憲法9条やイラク特措法に違反しており、国内外でテロの危険性が増大するなど平和的生存権の侵害に当たる」と指摘。森正孝事務局長は「人道復興支援と言いながら、実態は参戦国になっていることを裁判で具体的に立証したい」と話している。
同様の訴訟は、既に札幌、東京、名古屋、大阪各地裁でも起こされている。(共同通信 2004/05/10)

東京・立川の反戦ビラ配布事件で、被告3人を保釈
東京都立川市の自衛隊官舎に反戦ビラを配ったとして、住居侵入罪に問われ、東京地裁八王子支部で公判中の市民団体「立川自衛隊監視テント村」(同市)の男女3人の被告が11日、保釈保証金を納めて保釈された。
東京高裁が同日、保釈を許可した同支部の決定を支持し、検察側の抗告を棄却したためだ。
3人は2月末に警視庁立川署に逮捕された。今月6日の初公判では、官舎でビラを配ったことは認めたが、「表現の自由を侵害する違法な起訴だ」などと述べ、公訴棄却や無罪判決を求めた。(朝日新聞 2004/05/11)

自衛隊派遣:イラク撤退求め提訴 原告団に渡辺さんも
イラクへの自衛隊派遣は憲法9条違反などとして、静岡県などに住む市民団体代表ら218人が国を相手取って自衛隊の即時撤退を求める訴訟を26日、静岡地裁に起こした。原告団には4月にイラクで武装勢力に拘束された市民団体メンバー、渡辺修孝さん(36)も加わった。渡辺さんは原告団に知人がおり、参加を要請されたという。
訴えでは、イラクは侵略した米英が軍事的占領を続けており、米英占領当局(CPA)の指揮下での活動はイラク占領行政に加担することになり、憲法9条に違反するなどと主張。自衛隊の即時撤退と原告1人あたり1万円の慰謝料支払いを求めている。
渡辺さんは原告団に加わったことについて「自衛隊の派遣はイラク人の反感をかっており、自分を拘束した人間も日本人を選んだと言っていた。その体験も訴えたいと思い、決めた」と話している。【古関俊樹】(毎日新聞 2004/05/26)

「戦争」の法律絵本で考えて 有事関連法案の危うさ訴える
「世界がもし100人の村だったら」をまとめた翻訳家池田香代子さんらが書いた子ども向けの絵本「戦争のつくりかた」が1日、発行される。国会で審議中の有事関連法案の危うさを問いかける内容。「ここに書いてあることがひとつでもおこっていると気づいたら、おとなたちに、『たいへんだよ、なんとかしようよ』と言ってください」と結んでいる。
全国の主婦や会社員ら26人がこの5月、メーリングリストで約1500通の意見を交わし、内容を練った。法案が成立しないうちにと急ぎ、画家の井上ヤスミチさんは、12枚の挿絵を1日で描き終えた。
「わたしたちの国は、60年ちかくまえに、『戦争しない』と決めました」と絵本は語りかける。「でも、国のしくみやきまりをすこしずつ変えていけば、戦争しないと決めた国も、戦争できる国になります」「政府につごうのわるいことは言わない、というきまりも作ります」とわかりやすい言葉で訴える。
絵本は1部300円(税込み)。問い合わせは、りぼん・ぷろじぇくと(FAX020・4665・1339)。ホームページ(http://www.ribbon-project.jp/book/)でも絵本を公開している。(朝日新聞 2004/05/31)

イラク自衛隊:新決議後に多国籍軍に参加 政府方針固まる
政府は6日、国連安全保障理事会での新たなイラク決議に基づいて今月末の主権移譲後に編成される多国籍軍に、自衛隊を参加させる方針を固めた。多国籍軍の目的として、新決議に「人道復興支援」が明記されることが確実になったほか、現状と同様に自衛隊独自の指揮権を確保できると判断したためだ。新決議は早ければ今週中に採択されるとみられ、採択後に小泉純一郎首相が「憲法とイラク復興特別措置法の範囲内」で多国籍軍に参加するとの方針を正式に表明する見通しだ。自衛隊の多国籍軍参加は初めてになる。
多国籍軍への参加問題は、直接的には自衛隊員の法的地位を確保する手段として浮上していた。現在は米英占領当局(CPA)の行政命令17号によって、イラクで活動する自衛隊員はイラク国内法の適用を受けないことになっている。しかし、今月末には主権がCPAからイラク暫定政権に移るため、政府は多国籍軍に参加することで一括して同様の法的地位を得ることを検討してきた。
ただし、政府はこれまで「武力行使を伴う多国籍軍に参加することはできない」との見解を示してきたため、外務省は自衛隊の参加を可能にするような新安保理決議の内容にするよう働きかけを行ってきた。この結果、米英両国が1日に提示した修正案には、多国籍軍の目的として治安維持のほかに「人道復興支援」が盛り込まれたため、政府はイラク南部のサマワで行っている給水、医療活動を多国籍軍としても継続が可能と判断した。
指揮権については、自衛隊が多国籍軍の統合司令部から個別の指揮を受けず、日本独自の判断で部隊の任務や活動場所を決められると判断した。外務省は「統合司令部」の役割を「参加各国の調整役」とみなしている。(毎日新聞 2004/06/07)

イラク自衛隊:多国籍軍参加で日米同盟強化 指揮権が課題
政府が多国籍軍に自衛隊を参加させる方針を固めた背景には、日米同盟の強化に向けて実績を積み重ねようという政治的、軍事的な狙いがある。現在、有志連合の一員として行われている自衛隊の活動内容は、多国籍軍になっても変わることはないが、日米が国連決議に基づく多国籍軍という「同じ傘」に入ることで、日本はより積極的に米国の対イラク政策を後押しすることになるためだ。ただし、独自の指揮権が確保されるかどうかをめぐっては灰色の領域も残っている。
多国籍軍への参加をめぐって、政府は「武力の行使自体を目的、任務とする多国籍軍に参加することは憲法上許されない」(01年12月、津野修内閣法制局長官)との解釈を示してきた。憲法9条が海外での武力行使を禁じているためだ。
しかし、秋山收内閣法制局長官は1日の参院イラク武力攻撃事態特別委員会で「武力行使を行わず、活動が他国の武力の行使と一体化しない場合には、武力行使を伴う任務、伴わない任務の両方が与えられる多国籍軍に参加することは憲法上問題がない」と答弁。従来の見解と矛盾が生じないよう、人道復興支援などの任務に限定すれば参加は可能と論理的に整理したものだった。
すでに外務省はこうした法制局見解の条件を満たす国連安保理決議の内容になるよう、外交的な働きかけを続けていた。秋山長官の答弁は新決議案に日本が期待する内容が盛り込まれる見通しが立ったことを受けたものでもあるようだ。
一方で憲法に抵触しない参加形態にするには、多国籍軍に入っても、自衛隊が独自の指揮権を確保することが必要になる。防衛庁の守屋武昌事務次官は3日の記者会見で、多国籍軍へ参加する場合の条件として、(1)統合司令部の指揮下に入らない(2)武力行使を伴わない任務がある(3)イラク復興特別措置法の範囲内の活動(4)武力行使をしない──の4つを示した。
政府内では多国籍軍の司令部の役割を「並列した立場にある参加各国の統制」と解釈することなどが検討されており、防衛庁幹部は日本独自の判断による撤退も可能と主張する。しかし、それをどのように担保するかは依然、不透明だ。【中川佳昭、南恵太】(毎日新聞 2004/06/07)

渡辺さん、「拘束で苦痛」と提訴=イラク撤退求め500万円請求
イラクへの違法な自衛隊派遣のために身柄を拘束され、苦痛を受けたとして、市民団体メンバー渡辺修孝さん(36)が8日、国を相手に自衛隊派遣差し止めと慰謝料500万円の支払いなどを求める訴訟を東京地裁に起こした。
外務省が帰国の航空費用の一部として請求した約2万3000円(215米ドル)の支払い義務がないことの確認も求めた。
渡辺さんは会見し、「サマワ市内は住民が射殺されており、非戦闘地域ではない。武装組織は『イラクに軍隊を派遣した日本人だから拘束した』と言っていた。3日間銃を向けられ、活動の場も奪われた」と語った。
訴状によると、自衛隊のイラク派遣は、「非戦闘地域」に活動を限定したイラク特措法や憲法に違反しているほか、国は外国で身柄拘束された邦人を保護する責務があり、費用負担は当然と訴えている。
渡辺さんは4月、フリー記者安田純平さん(30)とともにイラクで一時拘束された。(時事通信 2004/06/08)

弁護士の「自衛隊派遣反対」ステッカー、裁判所が警告書
「自衛隊のイラク派遣に反対しています 日本弁護士連合会」。かばんに付けたステッカーは、裁判所が構内持ち込みを禁じる「プラカード類似物」か、「認められるべき表現行為」か。裁判所と弁護士の間で論争が続いている。
東京弁護士会所属の内田雅敏弁護士(59)が、ステッカーをかばんに張って街を歩き出したのは今年1月ごろ。「違憲のおそれが大きい」とイラク特措法に反対してきた日弁連がつくった約300枚のうちの1枚だ。
革かばんの側面にじかに張るとすぐにはがれるため、いったんボール紙に張り、それをかばんの取っ手からひもで下げるように取り付けた。出張で地方の裁判所構内に入ったときも、警察の留置場に被疑者の接見に行ったときも、「何も言われなかった」という。
裁判所法では、裁判長(官)は法廷内の秩序維持のための措置を命じることができる。最高裁はさらに、裁判所構内(敷地内)でも管理規定を設け、プラカードの持ち込みやゼッケンの着用などを禁じている。
内田氏が東京地裁・高裁の構内で、警備員から「外して下さい」と言われたのは4月末。「プラカードではない」と反論して入っていた。当初から法廷に入るときは裁判官の権限を尊重し、ステッカーの側を隠したりボール紙ごとかばんの中にしまったりしてきた。
5月下旬、庁舎を管理する高裁事務局長らの名で警告書が届いた。ステッカーを「プラカード類似物」とし「裁判の公平への国民の信頼を損なうおそれがある。今後も同様の行動を続けた場合、退去命令を出す」という。
内田氏は東京高裁の山名学・事務局長と面談。
〈事務局長〉 裁判所は政治的主張から中立的な立場で、法廷のやり取りだけで判断したい。
〈内田氏〉 法廷ではしまっている。公道の延長上といえる場でこの程度の表現行為は認められるべきだ。裁判の公平を損なうとの見解は納得できないが、退去させられては弁護活動をできないので警告があれば従う。
以来、警告があるたびにしまっている内田氏だが、「裁判所は形状だけでなく、メッセージの中身まで問題にしているのでは?」と疑う。山名事務局長は「構内は公道とは違う。一方の政治的主張をされると、反対側もさせろとなり、混乱を来す。主張の中身、思想のチェックはしないが、形状とともに一定の主張が表示されていることも総合的に判断する」。
では「護憲」と書いたTシャツは「ゼッケン類似物」として脱がされるのか。平和を訴えるシンボルバッジはどうか。裁判所は「一つひとつ具体的個別的に判断していくしかない」という。(朝日新聞 2004/06/10)

大江健三郎氏ら9人「9条の会」結成 改憲に危機感表明
「憲法9条の危機を鋭く感じる」という評論家の加藤周一氏が作家の大江健三郎氏らに呼びかけ、知識人9人による「9条の会」を結成した。10日、東京都内で記者会見した加藤氏らは「改憲の意図は日本を『戦争をする国』に変えるところにある」とするアピールを発表した。
大江氏は「憲法は空洞化されたというが、文字や言葉としてあるとないでは根本的に違う。今が戦後一番の危機だ」と指摘。作家の小田実氏も「大江君とはこのために10年ぶりに会った。そのくらい危機だ」と強調した。
憲法学者の奥平康弘・東大名誉教授は「改憲論の焦点は9条なのに、それがぼかされている。その問題点を浮き彫りにしたい」と参加の理由を説明した。
他に作家の井上ひさし、沢地久枝、哲学者の鶴見俊輔、梅原猛、元首相夫人の三木睦子の各氏が参加し、今後、講演会なども開いていくという。(朝日新聞 2004/06/10)

多国籍軍参加に反対声明 日本ペンクラブ
日本ペンクラブ(井上ひさし会長)は23日、イラク多国籍軍に自衛隊が参加することについて「憲法の不戦原則に背く」として反対する声明を発表した。小泉純一郎首相や各政党党首に送付する。
声明は、この参加決定が小泉首相がサミット寸前の日米首脳会談でブッシュ大統領に約束したことに端を発することを指摘し、「憲法の根幹にかかわる重大事を、国会に諮らず、国民に何一つ説明しようとせずに大統領に約束した」と非難。「多くの疑問を残したまま閣議で決めるにいたっては、憲法の精神を踏みにじり、国民を置き去りにする暴挙」「国民は憲法と国会を小泉首相に強奪された」などとして、すべてを白紙に戻したうえで、イラクの人びとのための支援はどうあるべきかを議論すべきだと主張している。(共同通信 2004/06/23)

アラブ連盟 自衛隊はイラク撤退を
【カイロ=秦融】アラブ地域の22の国・機構が加盟するアラブ連盟(本部・カイロ)のアムル・ムーサ事務局長(67)は22日、本紙と会見し、イラク南部サマワに展開する日本の自衛隊について「占領軍は混乱の原因。自衛隊も早期に撤退すべきだ」と述べた。同事務局長が自衛隊の撤退を求めたのは初めて。
ムーサ事務局長は「外国軍の存在がイラク国内の混乱の原因であることは誰の目にも明らかだ」と指摘。今月30日に予定される主権移譲後の暫定政権の課題として「占領軍の撤退時期を明確にし、イラク国民に知らせることだ」と強調。具体的な時期は「占領下での選挙は(公正さに)問題を残す」と述べ、来年1月に予定される選挙前の撤退が望ましいとした。
自衛隊については「人道支援活動は評価されるべきことだが、問題はブルーベレー(国連平和維持活動要員)ではないことだ。それでは占領軍と同じ。イラク国民は占領軍に拒絶反応を示している」と国連指揮下でない点を問題視した。
アラブ地域の対日感情については「日本の評判はこれまで非常によかった。しかし、ブルーベレーでない軍隊を派遣するようでは」と悪化の傾向を指摘した。
アラブ諸国の派兵は「国連安保理が平和維持軍派遣を決定し、さらにイラク国民の要請が最低限必要だ」と述べ、現状での可能性を否定した。(東京新聞 2004/06/24)

200人余が国を提訴へ 自衛隊イラク派遣で
自衛隊のイラク派遣は憲法9条に違反するとして「『派兵は決定的違憲』市民訴訟の会・山梨」は6日、223人が国に派遣差し止めなどを求める訴訟を原爆の日の8月6日、甲府地裁に起こすと発表した。
同会代表の小出昭一郎・東大名誉教授は「派兵が憲法に反するのは明らか。政権党のうそとごまかしをこれ以上黙って見逃すわけにはいかない」と訴えた。
同会は、自衛隊のイラク派遣を「米英による大義のない侵略戦争への加担。憲法9条や憲法の定める平和的生存権の侵害に当たる」と訴える。
原告になる元衆院議員の川田悦子さんは「命が奪われたり、他人の命を奪うのに加担することを許してはいけない。戦争でごく一部の人は得をするが、圧倒的多数の人々は被害者だ」と話した。(共同通信 2004/07/06)

全都道府県3000人が原告に イラク訴訟で3次提訴
自衛隊のイラク派遣は憲法に違反するとして、国に派遣差し止めと原告1人当たり1万円の慰謝料を求めた訴訟で20日、新たに682人が名古屋地裁に提訴した。
今回が3次提訴。島根県の住民が参加し、全都道府県の住民が原告となった。1、2次提訴と合わせ原告は計3045人。
訴えでは、自衛隊のイラク派遣は武力行使の放棄を規定した憲法9条に反する上、「日本人はイラク人を武力で抑圧する加害者になることを強いられ、精神的苦痛を受ける」と主張している。
同様の訴訟は東京、静岡、大阪の各地裁でも起こされている。(共同通信 2004/07/20)

無防備地域:「非戦の地」宣言、全国20カ所で準備進む
外国から攻撃を受けない非戦の地であることを宣言する「無防備地域宣言」を目指す平和運動が全国に広がっている。大阪市の市民団体が6月に条例制定を求めて同市に直接請求して以降、準備会の発足が相次ぎ、運動が進む地域は全国約20カ所に上る。有事法制に対する国民の不安が背景にあるとみられ、海外からも関心が寄せられている。
無防備地域は、国際人道法とされるジュネーブ条約の追加第1議定書に定める概念。軍事行動を支援しないことなどを条件に宣言すると、紛争が起きても外国から攻撃を受けないとされる。80年代に奈良県天理市と東京都小平市で運動が起きたが条例化には至らず、以後、同様の動きは全国的に見られなかった。
しかし、市民団体「無防備地域宣言をめざす大阪市民の会」が今春から署名活動を展開。有権者の50分の1(約4万2000人)を超える5万3657人の署名を集め、6月30日に大阪市に直接請求した。この動きの後、各地で運動が活発化し、大津市、東京都国立市、兵庫県西宮市などで準備会が相次いで発足した。
ジュネーブ条約の普及に努める赤十字国際委員会は「熱心な運動に共感した」と評価。米国やベルギーの市民団体からも運動の成功を願うメッセージが届いているという。
「大阪市民の会」事務局の桝田俊介さん(56)は「多くの国民が有事法制に不安を抱いている証拠。モデルケースになるよう条例化を実現させたい」と話す。【鵜塚健】(毎日新聞 2004/07/20)

憲法9条は日米同盟の妨げ=常任理入りには軍事力展開を−米国務副長官
【ワシントン21日時事】アーミテージ米国務副長官は21日、訪米中の中川秀直自民党国対委員長と国務省で会談し、日本の憲法改正問題について「日本国民自身が決めること」としながらも、個人的な見解として「憲法9条は日米同盟関係の妨げの1つになっている」と述べ、日米同盟強化のためには9条改正が望ましいとの考えを示唆した。
また、「われわれは日本の国連安保理常任理事国入りを強く支持している」とする一方、「常任理事国は国際的利益のために軍事力を展開しなければならない役割がある。それができないと常任理事国入りは難しい」と語った。会談後、中川氏が記者団に明らかにした。(時事通信 2004/07/22)

意見広告:自衛隊イラク撤退で市民団体らカンパ呼び掛け
自衛隊のイラクからの即時撤退を求める意見広告を新聞に掲載しようと、約30の市民団体などで作る「市民意見広告運動」がカンパを呼び掛けている。5月から始め、これまで約1200万円が集まった。目標は2000万円で、8月上旬の掲載を目指している。
NPO法人ネットワーク地球村(大阪市)や市民の意見30の会・東京(東京都渋谷区)などが呼び掛けた。作家の小田実さんや漫画家の石坂啓さんらも賛同し、これまで約2500人と約100団体から寄付があった。陸上自衛隊がイラクに派遣された今年1月、一部の全国紙に広告を掲載。今回は、8月15日の終戦記念日に合わせて「イラク自衛隊の即時撤退」「憲法改悪反対」などとPRする予定だ。
熊本県西合志町の元教員、安武深さん(70)は「イラクで殺されたイラク人、米国人、日本人らの家族に思いをはせてほしい」とカンパした。安武さんは、長崎市に原爆が落とされる1週間ほど前、米軍機の機銃掃射で母親を亡くした。地元小中学校で戦争体験を語り、平和の尊さを訴える活動に取り組んでいる。
事務局には「毎日、人殺し。やりきれないこの世ですが、変えたい」「どんな理由であろうとも、やって良い戦争はない」など連日、平和を求めるメッセージが届いている。問い合わせは同事務局(03・3423・0185)へ。【宍戸護】(毎日新聞 2004/07/25)

イラク派遣訴訟で2次提訴 近畿など400人、大阪地裁
自衛隊のイラク派遣は違憲として、作家小田実さんら20人が、活動差し止めと違憲確認などを国に求めている大阪地裁の訴訟で、新たに近畿地方を中心とする402人が26日、同地裁に追加提訴した。
原告団は「自衛隊の多国籍軍参加で違憲性はますます明らか」と主張。今後さらに原告を募り、3次提訴する方針。
提訴後に会見した大阪市城東区の元中学校教諭田中洋子さん(64)は「新たな原告の半数は女性。素晴らしい憲法があるのに、孫や教え子たちが戦争に駆り出されては大変だという思いで参加することにした」と話した。
同様の訴訟は札幌、東京、静岡、名古屋の各地裁で既に起こされているほか、甲府地裁などでも提訴が予定されている。(共同通信 2004/07/26)

イラク派遣費用支出は不当 労組メンバーらが提訴
自衛隊のイラク派遣は違憲で税金を無駄遣いしているとして、労働組合や市民団体のメンバーら36人が28日、国に派遣費用の支出差し止めと原告1人当たり1万円の慰謝料を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
原告団は京都、大阪、兵庫、奈良の各府県の住民で「国はイラクでの自衛隊活動費用として403億円の支出を承認しているが、憲法に違反する派遣への支出も違憲・違法。実際の仕事ぶりも非政府組織(NGO)に比べ、自衛隊は著しく非効率だ」などと主張している。
元自衛官で労組幹部の川村賢市原告代表(56)=大阪市=は「訴訟を通じ、戦争ができる国家体制づくりに歯止めをかけたい」と話した。(共同通信 2004/07/28)

「イラク派遣は違憲」県内原告団も提訴 甲府地裁に225人が差し止め請求
自衛隊のイラク派遣は憲法違反として、山梨県内の会社員や主婦など市民225人が6日、国に派遣差し止めなどを求めて甲府地裁に提訴した。訴状によると、自衛隊のイラク派遣や多国籍軍参加は「米英による大義のない侵略戦争への加担」で「憲法9条や平和的生存権の侵害に当たる」としている。「59年前の日本でも大勢の市民や子どもが犠牲になったことを思い出してほしい」と戦争の悲惨さを訴えるために、提訴を広島原爆の日に合わせたという。
集団訴訟を起こしたのは、市民有志で4月に結成した「『派兵は決定的違憲』市民訴訟の会・山梨」(代表・小出昭一郎元山梨大学長)のメンバー。90歳代の戦争体験者から未体験の10歳代まで世代は幅広い。原告以外に、訴訟に関する作業に協力する賛助会員に135人が名前を連ねた。県弁護士会の弁護士ら6人による弁護団も結成された。
訴状では、「専守防衛が役割とされたはずの自衛隊が、戦闘状態のイラクに重装備で出向き、多国籍軍の一員にまでなったのは憲法9条や自衛隊法に違反する」などと主張。国に対し、違憲確認と派遣の差し止め、平和的生存権が侵害されたことへの慰謝料として原告1人につき1万円の支払い−などを求めている。
同種の訴訟は、1月に箕輪登元郵政相が札幌地裁で起こしているほか、名古屋地裁、東京地裁などでも集団訴訟が係争中。今回の訴えでは、市民が能動的に平和を求めて行動する「平和追求権」の考えを取り入れたのも特徴。「現地のニーズを把握し、信頼関係もあるNGO(非政府組織)の活動(平和追求権に基づく行為)が自衛隊派遣で阻害されている」などと主張している。
さらに北富士演習場の全面返還・平和利用を県是に掲げていることも踏まえ、「同演習場でのイラク派兵に向けた模擬訓練施設の建設と軍事訓練はこれに反する行為だ」としている。
原告らはこの日、甲府中央公園でミニ集会を開いた後、約60人でプラカードなどを掲げながら甲府地裁までパレードした。提訴後の会見で原告弁護団の小笠原忠彦弁護士は「山梨で短期間に225人もの原告が集まったことは意義が大きく、大都市の数万人に匹敵すると思う。粘り強く声を上げていくことが大切だ」と話した。(山梨日日新聞 2004/08/07)

自衛隊駐留を非難 サドル師派代表
【バグダッド14日共同】イラク中部クーファでイスラム教シーア派対米強硬指導者サドル師の代表を務めるカファジ師は、南部サマワに駐留する自衛隊は「占領軍と協力している」と非難した。14日付のイラク紙アルマシリクが伝えた。
同師は「日本は米国の大量破壊兵器で広島や長崎を破壊されたのに、今はイラク人に武器を向けている」とし「占領軍への協力はわれわれの怒りを呼んでいる」と述べた。
クーファはサドル師が立てこもるシーア派聖地ナジャフの近郊。(共同通信 2004/08/14)

憲法9条:元B29爆撃機パイロット、米の“アテネ”から不戦の理念訴える
◇「今こそ9条の精神を」──折り鶴で被爆の少女紹介
「平和の祭典」オリンピックにわくギリシャの首都と同じ英語読みの名を持つ米中部の小さな町アセンズから、日本国憲法9条の「不戦の理念」を広げようと、地道な活動を続ける元B29爆撃機パイロットがいる。チャールズ・オーバービー・オハイオ大名誉教授(78)だ。9条の条文などを印刷した折り鶴を配り、戦争放棄を各地で訴える。対テロ戦争中の米国では「(単身無謀な戦いをした)ドン・キホーテだと言われる」(同氏)が、「今こそ、米国憲法も『9条』を持つべきだ」との思いは堅い。【オハイオ州アセンズで和田浩明】

オーバービー氏は第2次大戦中にB29の機銃手の訓練を受け、朝鮮戦争では副操縦士として沖縄の米空軍嘉手納基地から約20回、朝鮮半島の爆撃飛行に参加。復員軍人向け奨学金制度で工学などを学び、米オハイオ州のアセンズで教職に就いた。
オーバービー氏と9条の出合いは81年。オハイオ大と交流制度のある中部大(愛知県春日井市)で短期間客員教授を務めたことがきっかけだった。
「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し……武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。模索していた平和の理想が体現されている「本当に美しい文章」と感じた。
同年に広島を訪問し原爆の被害を知った。衝撃を受けたオーバービー氏の胸に、当時軍拡路線を推進していた故レーガン米大統領への強い怒りがわき上がった。
10年後の91年、イラクのクウェート侵攻を契機に湾岸戦争が始まった。「石油のための戦争ではないのか」との思いにかられたオーバービー氏は米国で「アーティクル・ナイン・ソサエティー」(第9条の会)を創設。勝守寛・中部大元副学長(今年6月死去)らが呼応して、日本側の組織も立ち上がった。
数年前から、9条の条文と、原爆症の回復を信じて鶴を折り続け12歳で亡くなった佐々木禎子(さだこ)さんを紹介する折り鶴を配るようになった。「米国人は9条もサダコも知らない。少しでも多くの人に知ってほしいと思いついた」という。
イラク戦争前後には日本でも講演し、軍事面での協力関係を深める両国の現状に警鐘を鳴らした。
「9条は人類の英知。日本の人たちは、そのことを忘れないで」。そうオーバービー氏は語った。(毎日新聞 2004/08/16)

コスタリカ:「イラク戦争支持は違憲」、最高裁が決定 「有志連合」脱退、米に要請
【メキシコ市・藤原章生】コスタリカ最高裁の憲法法廷は8日、米英など多国籍軍によるイラク戦争を政府が支持するのは、常備軍を禁じ戦争を放棄する同国の49年憲法に違反するとの決定を7判事の全会一致で下した。これを受け、同国のトバル外相は9日、米政府に対し、現在49カ国で構成される「有志連合」からコスタリカを外すよう要請した。
コスタリカのパチェコ大統領とトバル外相は、イラク戦争開戦直前の昨年3月19日、「対テロ戦争の連合を支持する」との文書に署名し米国が率いる有志連合に加わった。直後、同国の護民官や弁護士団体が「コスタリカによる軍事行動支持は違憲で、イラク攻撃は国連安保理の承認も得ていない」と非難し、政府に撤回を求めた。
護民官らの告発状によると、パチェコ政権は「連合参加は道義的なもので軍事支援ではない」「米国などテロ被害国の戦いは我が国の平和主義と矛盾しない」と解釈し、撤回を拒否してきた。米側も「我々はコスタリカの平和主義を尊重し、軍事支援は求めない」と表明してきた。(毎日新聞 2004/09/12)

裁判所は毅然とした態度を イラク訴訟で小田実さん
自衛隊のイラク派遣は憲法に違反し国民の平和的生存権を侵害するとして、作家の小田実さん(72)ら約420人が自衛隊の活動差し止めと違憲確認などを国に求めた訴訟の第1回口頭弁論が16日、大阪地裁(吉川慎一裁判長)であり、小田さんらが意見陳述した。
小田さんは「憲法は世界平和宣言に等しい素晴らしい憲法。大義ない戦争に突き進む米国のバスに乗って降りられずにいる状況を打開する唯一の道は、裁判所が毅然(きぜん)とした態度を示すことだ」と訴えた。
ほかに原告2人が意見陳述し、太平洋戦争の空襲体験や、米軍が投下した劣化ウラン弾によるイラクの民間人の被害状況などを報告した。(共同通信 2004/09/16)

自衛隊イラク派遣 差し止め求め提訴へ 仙台の写真家ら
自衛隊のイラク派遣に反対する仙台市青葉区の写真家後藤東陽さん(79)ら3人が、国に派遣の差し止めなどを求める訴訟を仙台地裁に起こすことを決めた。弁護団には仙台弁護士会の約60人が名を連ねる予定で、17日にも結成し、提訴の時期を決める。
訴えでは(1)派遣根拠となるイラク復興支援特別措置法は自衛隊の武力行使を事実上容認し、違憲(2)特措法は自衛隊の活動範囲を非戦闘地域に限っているが、派遣先のサマワは非戦闘地域と言えず、違法─と主張する。
自治体首長らが自衛隊の壮行式に出席するために公費を支出していることについても、監査請求などを起こすことを検討している。
派遣期間は12月14日で切れるが、政府は延長の方針を示している。
後藤さんらは「女性や子供、老人が犠牲になる戦争を目の当たりにした経験から、どこの国であろうと、絶対に戦争はさせるべきではないと考えている」と話している。(河北新報 2004/11/11)

自衛隊イラク派遣 差し止め提訴に向け結成大会──住民の会 /熊本
熊本市内で23日、県内の住民団体メンバーらでつくる「自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本」の結成大会があった。
来年1月中にも熊本地裁に提訴する予定で、国に対し自衛隊のイラク派遣差し止めを求めるほか、派遣でテロの脅威が高まり平和的生存権を脅かされたとして、1人1万円の慰謝料を請求する。
大会では、当面の目標として自衛隊の派遣延長が決まった場合予想される陸上自衛隊第8師団(熊本市)の派遣差し止めを目指すことなどが提案された。約20人の参加者からは「子を持つ親として派遣は容認出来ない」などの声が上がった。
今後は、県内から広く原告団参加者や支援者を募るという。(毎日新聞 2004/11/25)

日本ペンクラブ:イラク派遣延長反対を表明
日本ペンクラブ(井上ひさし会長)は3日、東京都内で開かれたシンポジウム「女性と戦争3」の席上、「自衛隊のイラク派遣延長に反対する」意思を表明した。これまで、ペンクラブはイラク戦争反対や、米英軍を支援する政府に抗議する声明を出してきた。イラクへの自衛隊派遣を続けることは「イラクの『復興支援』にはならず、米英軍の占領統治を『軍事支援』することにほかならない」などと主張している。【内藤麻里子】(毎日新聞 2004/12/03)

自衛隊イラク派遣 宮城学院大元学長ら、「違憲」と差し止め提訴 /宮城
◇仙台地裁で慰謝料請求も
自衛隊のイラク派遣は平和憲法に違反するとして、宮城学院大の山形孝夫元学長(72)ら3人が8日、国に派遣差し止めと1人100万円の慰謝料支払いを求める訴訟を仙台地裁に起こした。県内の弁護士の約半数に当たる101人が弁護団を結成して訴訟を支える。勅使河原安夫・弁護団長は「軍国の歴史を突き進んだ過去の反省の意味を込め、太平洋戦争開戦日の8日を提訴日に選んだ」と話した。【赤間清広】

◇太平洋戦争開戦日選び
訴状によると、自衛隊のイラク派遣は▽武力行使の禁止を定めた憲法違反▽専守防衛を明記した自衛隊法違反▽非戦闘地域に派遣先を限定したイラク特措法違反──に当たると主張。「米英軍に加担したことでテロ発生の危険が高まり、平和的生存権が脅かされた」と、派遣差し止めと違憲性の確認を求めている。
また「原告は過去の戦争体験から不戦の誓いをし、平和憲法の堅持を願ってきた。(派遣により)多大な精神的打撃を受けた」として、慰謝料の支払いも請求した。
同様の訴訟は東京、大阪など全国6地裁で係争中だが、国は「平和的生存権は具体的権利ではなく、提訴そのものが不適法」と事実認否を避けている。このため、弁護団は訴訟以外の手段も模索。イラク派遣要員の壮行会に市費を支出した石巻市長を相手取った住民監査請求を起こし、監査委員の審理を通して派遣の不当性を明らかにする戦術も用いるという。
提訴後、記者会見した山形さんは「平和憲法が踏みにじられ、歯止めのない海外出兵が続いている。戦争を知る我々がストップをかけたい」と話した。(毎日新聞 2004/12/09)

元防衛庁局長、「米国のポチになるな」 派遣反対集会で
自衛隊のイラク派遣期間延長前の期限だった14日夜、東京・日比谷でイラクからの自衛隊撤退を求める集会が開かれた。市民ら約3000人が参加。元防衛庁教育訓練局長の小池清彦・新潟県加茂市長が、新防衛計画大綱を「もっともっと海外派兵するということだ」と批判。「日本はますます『米国のポチ』になっていく。平和憲法を守る長い長い闘いが始まる」と訴えた。
翻訳家の池田香代子さんは「戦前と今が似ていると言われるが、昔の人たちより自由にものが言える私たちの方が責任が大きい。ここで反戦を訴えても警察官に連行されることはないし、周りにはたくさん情報がある」と呼びかけた。参加者らは「大義なき戦争と殺戮(さつりく)をやめよ」などと訴え銀座周辺をパレードした。(朝日新聞 2004/12/14)

自衛隊イラク派遣 延長決定 派遣の差し止めを地裁に提訴──訴訟の会 /栃木
◇市民団体が訴訟の会結成
自衛隊員のイラク派兵は憲法の保障する「平和的生存権」などに反するとして、市民グループが「イラク派兵・違憲訴訟の会・栃木」(原告47人)を結成し、違憲の確認と派遣の差し止めなどを求める訴訟を14日、宇都宮地裁に提訴した。全国でもこれまで、7都道府県で同様の訴訟が提起されている。
訴状によると、今年1月から始まった自衛隊のイラク戦争への派遣が憲法前文が規定する「平和的生存権」や9条、さらに個人の「人格権」を侵害し、原告らに精神的苦痛を与えている。
訴訟の会は、3年前から始まった憲法の勉強会の市民メンバーを中心に結成した。代表を務める宇都宮大国際学部教授、杉原弘修さん(59)は「憲法の禁止する戦争に参加すること自体に責任を求めたい。平和的生存権を具体的権利として確立することにこの裁判の意義がある」と話している。【関東晋慈】(毎日新聞 2004/12/15)

自衛隊宿舎のビラ配り無罪=東京地裁八王子支部
自衛隊のイラク派遣に反対するビラを配るため、自衛隊宿舎の階段や通路に立ち入ったとして、住居侵入罪に問われた市民団体メンバー大洞俊之被告(47)ら3人の判決公判で、東京地裁八王子支部は16日「刑事罰に値する違法性はない」として、懲役6月の求刑に対し無罪を言い渡した。
判決理由で長谷川憲一裁判長は「ビラ配りは憲法の保障する政治的表現活動。いきなり検挙し刑事責任を問うことは、憲法の趣旨に照らし疑問」と述べ、捜査手法に苦言を呈した。検察側は控訴について「検討し決定する」としている。
判決理由で長谷川裁判長はまず、通路などへの立ち入りが「侵入」に当たるかどうかについて「居住者らの承諾を得ていない立ち入りは侵入に当たる」と判断した。(共同通信 2004/12/16)

イラク支援、あまりに危険…国境なき医師団仏事務局長
国際的な民間活動団体(NGO)「国境なき医師団」(MSF)フランス支部のピエール・サリニヨン事務局長(38)は17日、都内で読売新聞と会見し、「現在のイラクは人道支援活動を行うにはあまりに危険だ」と述べ、人道活動を取り巻く環境悪化の原因は、連合国が人道活動を戦争遂行の大義名分に「悪用」しているためだとして米国などを批判した。
MSFは11月、「深刻な危険」を理由にイラクから全面撤退した。事務局長は、イラク駐留米軍が自らも人道援助を行っているなどと主張し戦争と人道活動を混同しているため、「武装勢力が、外国の占領軍と人道団体とを一体視し、人道団体も襲撃するようになった」と指摘。責任は、米国だけではなく自衛隊を派遣している日本にもあると強調した。国連や米国はイラク復興にはNGOなどの協力も必要だとしているが、紛争地帯での活躍が知られるMSFさえ撤退したことは、今後のイラク復興に民間団体がかかわることの難しさを浮かび上がらせている。
サリニヨン事務局長はMSFのイラクや北朝鮮などでの活動を統括する立場にある。(読売新聞 2004/12/18)

陸自派遣は憲法違反 サドル派が小泉首相非難
【サマワ15日共同】イラクのイスラム教シーア派反米指導者サドル師派の事務所は15日、陸上自衛隊が活動するイラク南部サマワで、「(陸自のイラク派遣は)日本の平和憲法に違反する」などと小泉純一郎首相を非難する声明を配布した。
声明は、米国によるイラク戦争について「広島、長崎への原爆投下を思い起こさせる」とした上で、米軍に対し日本が「物質的、精神的支援を与えている」と強く非難。
さらに「日本が(米国による攻撃、占領などの)抑圧を受けた後で、イラクに対し、同じ抑圧をしないよう求める」などと主張した。(共同通信 2005/01/16)

派遣差し止め、2次提訴へ 札幌地裁のイラク訴訟
自衛隊のイラク派遣は違憲で、国民の平和的生存権を侵害するとして、箕輪登元郵政相(80)=北海道小樽市=が国に対し、派遣差し止めと慰謝料1万円を求めた訴訟で、原告側は24日、3月末に札幌地裁に2次提訴する方針を明らかにした。原告は計約100人になる見込み。
原告側弁護士によると、自衛隊のイラク派遣をめぐっては箕輪氏が昨年1月に提訴。その後東京、名古屋、大阪などの地裁に、市民団体メンバーらが相次いで提訴した。(共同通信 2005/01/24)

イラク人男性2人も提訴 自衛隊派遣で大阪地裁に
作家小田実さんらが自衛隊のイラク派遣差し止めと違憲確認などを国に求めている訴訟で、イラク人男性2人を含む計208人が15日、大阪地裁に追加提訴した。
2人はいずれもイラク在住で、通訳のハルブ・ハミードさん(56)とジャーナリストのハッサン・アボッドさん(38)。弁護団によると、9都道府県の地裁で起こされている同種訴訟で、イラク人が原告団に加わったのは初めて。小田さんらの訴訟は今回が4次提訴で、原告は1000人を超えた。
訴状によると、2人はイラク戦争で親族を亡くしたり、米兵によるモスク銃撃に居合わせるなどして精神的苦痛を受けたと主張。日本は米国などによる侵略戦争を支持して自衛隊を派遣、不法な占領に加担しているとして、それぞれ100万円の賠償を求めている。(共同通信 2005/02/15)

壮行会支出で住民訴訟へ 自衛隊のイラク派遣で
自衛隊イラク派遣の差し止め訴訟を仙台地裁に起こしている原告弁護団は22日、派遣要員壮行会の公金支出は憲法違反だとして、宮城県石巻市など1市2町の住民6人が国と市長らに公費の返還を求める住民訴訟を28日に起こすことを明らかにした。
派遣差し止め訴訟は全国で相次いでいるが、弁護団によると、イラク派遣に絡む住民訴訟は全国で初めてという。
弁護団は「壮行会は違憲であるイラク派遣をほう助しており、参加費の公費支出も違憲」などと主張し、昨年12月と今年1月に1市4町の支出額計3万3500円について返還するよう住民監査請求。石巻市などで請求が棄却されたため、住民訴訟に踏み切った。(共同通信 2005/02/22)

自衛隊、イラクから撤退を 京でも民事訴訟の動き
自衛隊のイラク撤退などを国に求め、民事訴訟を起こす動きが京都でも広がっている。京都弁護士会の50人が18日に「やめて!イラク派兵」京都訴訟弁護団を結成。原告を募集しており、現在までに143人の市民が原告団への加入を希望している。3月4日に京都市で原告団結成集会を開き、22日に京都地裁への提訴を予定している。
自衛隊撤退のほか、今後の自衛隊派遣の差し止めや原告1人につき1万円の慰謝料を求める訴訟で、同種の訴訟が東京や大阪など九地裁で係争中だ。京都では弁護士や市民を中心に原告を公募する形で裁判の準備を進めている。
弁護団長には京都弁護士会有事法制問題対策本部の出口治男本部長代行が決まった。弁護団の小笠原伸児事務局長は「京都はこれまで憲法9条にかかわる問題は市民運動が中心だったが、イラク派兵をめぐる昨今の情勢を見ると、裁判に問うことが必要だと考えた。多くの市民に参加してもらいたい」と話す。
原告団結成集会は中京区のハートピア京都で午後6時半から開かれる。原告団やサポーター加入の問い合わせは弁護団事務局の京都法律事務所Tel: 075(256)1881。(京都新聞 2005/02/23)

「隣人が米軍に殺された」 イラク人原告が訴え
作家小田実さんらが自衛隊のイラク派遣差し止めと違憲確認などを国に求めている訴訟の口頭弁論が24日、大阪地裁(吉川慎一裁判長)であり、原告のイラク人ジャーナリスト、ハッサン・アボットさん(38)が本人尋問で、テロが続く現地の状況などを訴えた。
ハッサンさんは原告側代理人の弁護士にイラク各地で目にした出来事などを聞かれ「自宅近くの住民が1カ月前、米軍のチェックポイントに気付かず通過しようとして射殺された」と述べた。(共同通信 2005/02/24)

「自衛隊駐留は間違い」 渡辺さん、証人尋問で
作家小田実さんらが自衛隊のイラク派遣差し止めと違憲確認などを国に求めた訴訟の口頭弁論は24日午後も大阪地裁で続き、昨年4月にイラクで一時人質になったNGO活動家の渡辺修孝さん(37)が、武装勢力に拉致された経緯や自衛隊撤退の必要性について証言した。
渡辺さんは「殺害されなかった最大の理由は、自分たちの身を守る武器を携帯しなかったから。武器を持ってイラクに入る人間は米軍と同じとみなされる」と指摘。
渡辺さんは同種の静岡地裁訴訟の原告でもあり、閉廷後の会見では「自衛隊がサマワに駐留することによるメリットはごく一部の人にしか行き渡っていないのが実情。駐留は間違っており、撤退すべきだ」と述べた。(共同通信 2005/02/24)

「米の破壊、広島と同じ」 元大統領の弁護士が会見
フセイン元大統領の弁護団スポークスマンを務めるヨルダン人のジアド・ハサウネ弁護士(55)が3日、甲府市内で記者会見し「アラブの人々は、自衛隊員が健康なうちに早く撤退することを願っている」と訴えた。
山梨県北杜市の市民団体「イラク戦争の実態を伝える会」(久松重光代表)の招きで今月1日に来日した同弁護士は「アメリカはイラクを60年前の広島と同じように破壊している。日本がイラクに自衛隊を送ったことに、アラブの人々は非常に驚いている」と話した。
また、日本各地でイラク派兵違憲訴訟が起こされていることについて「訴訟は新聞やテレビでアラブ世界にも伝わっている。派遣が日本の憲法に違反することは私たちも認識している」と指摘した。(共同通信 2005/03/03)

イラク派遣「違憲」と提訴 熊本の市民団体
自衛隊のイラク派遣は「憲法違反」として熊本市の市民団体メンバーが、今秋派遣予定となっている陸上自衛隊第8師団(熊本市)の派遣差し止めと、原告1人当たり1万円の慰謝料支払いを国に求める訴えを18日、熊本地裁に起こした。同様の訴訟は、全国10地裁で係争中だが、九州では初めて。
訴えたのは、「自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本」(代表=藤岡崇信共同代表ら3人)のメンバー46人。訴状によると、原告側は「自衛隊派遣は憲法9条に違反し、戦闘地域への派遣はイラク復興支援特別措置法の要件にも反する」と主張。「派遣によって戦争の加害者にさせられ、憲法が保障する平和的生存権を侵害され精神的な苦痛を受けた」と訴えている。
原告代表の藤岡共同代表は「これ以上戦争をする道を進んではならない。憲法の理念を守るべきだ」と話している。(西日本新聞 2005/03/19)

ひと:ハッサン・アボッドさん 自衛隊派遣違憲訴訟の原告
亡くなった隣人たちの写真を携えながら異国の法廷に立った。「この女性は米軍の誤射の犠牲になり、遺族には補償もない。近所の5歳の男の子は必要な手術が受けられず、死んでいきました」
自衛隊のイラク派遣は「武力行使にあたり違憲」と関西の市民らが昨春、大阪地裁に起こした訴訟の原告団に加わった。2月下旬の口頭弁論では母国の惨状を証言。「イラクの現実を日本の人々に伝える。私の役割はまさにそこにある」
詩人になるのが夢だった。だが、イラクはイランと8年にわたって争い、続いて起きた湾岸戦争では自身も戦場に。「こんな状況では詩どころではない。それで死とか戦争の問題を記事として書くようになったのです」
新聞や雑誌に投稿しながらも文学への思いは募る。00年春、「世阿弥の心を知りたい」と日本の大学に留学。3年の期間を修了していざ帰国、というとき米英の攻撃が始まった。
「無辜(むこ)の民の命を奪うのはもうやめてくれ」と心の中で叫びながらこの2年、取材を続けてきた。「イラク人のジャーナリストが海外のメディアに記事を書いてもすべてが載るわけではない。イラク側の損害には紙面を割こうとしない」と唇をかむ。その悔しさから、裁判の原告になった。
「私の国はいまも戦闘状態にある。我々が求めるのは非軍事の支援。特に医療援助は緊急に必要です」と切実な声をあげる。イラク人の手によってこそ「真の国の再建ができる」と断言する。(文・明珍美紀)

【略歴】イラク・バビロン市生まれ。ジャーナリスト。バグダッド大卒。88〜91年、軍に入隊。00〜03年、岐阜大に留学。現在はフリーで地元紙などに寄稿。38歳。(毎日新聞2005/03/28)

陸自イラク派遣に反対声明 2団体
陸上自衛隊第3師団(司令部・兵庫県伊丹市)を中心とする第6次イラク復興支援群の編成命令が出たことに対し、平和団体「良心的軍事拒否国家日本実現の会」(同県芦屋市、小田実代表)など2団体は22日、派遣に反対する声明を発表した。
声明は「日本中に広がる師団派遣の動きは、市民を巻き添えにする戦争への過程そのもの」と批判。「平和憲法に基づき、いかなる軍事にも加担しない日本の旗を掲げることが世界平和に寄与できる道」と訴えている。(共同通信 2005/04/22)

自衛隊イラク派遣は違憲、52人新たに提訴
政府による自衛隊のイラク派遣は憲法違反だとして市民有志が派遣の差し止めなどを求めた裁判で、県内外の52人が21日、甲府地裁に新たに提訴した。提訴済みの225人を併せた原告の合計は277人にふくらみ、国内11地裁に起こされているイラク派遣をめぐる違憲訴訟のなかで、全国3番目の規模となった。
訴訟弁護団によると、原告52人の内訳は、県内33人、県外から19人。20代半ばから80代までの会社員や主婦らという。
訴えの内容は1次提訴と同じで、自衛隊派遣の違憲確認と派遣の差し止め、「平和的生存権」を脅かされたことによる慰謝料1万円の支払い、の3点を求めている。
今回、原告に加わった長野県小海町の会社員油井秀明さん(31)は「平和憲法を掲げる日本が違う方向に向かっているようで、傍観者ではいられなくなった」という。
昨年8月に提訴された裁判は、すでに2回の口頭弁論を終えている。いまの時期の追加提訴となったのは、「原告の訴えは抽象的」などとして実質的な審理に応じない国と裁判所を牽制(けん・せい)して、膠着(こう・ちゃく)状態を破る狙いがある。
弁護団の関本立美弁護士は「衆参両院の憲法調査会が報告書を出し、改憲が政治の焦点となっている。われわれは、平和憲法を生かせるかどうかの歴史的に重大な時期に戦っていることも認識しなければならない」と話した。
自衛隊のイラク派遣をめぐる訴訟は、愛知や大阪、東京、静岡など11都道府県で起こされている。4次提訴までされた愛知県の訴訟には原告約3000人が参加し、大阪府では約1000人が提訴している。
甲府地裁の3回目の口頭弁論は5月31日に開かれる。今回の追加提訴分は、審理が併合される見込みだ。 (毎日新聞 2005/04/22)

イラク派遣訴訟:差し止め請求を却下 東京地裁
自衛隊のイラク派遣は憲法違反などとして、東京都在住の男性ジャーナリストが国を相手に派遣差し止めと違憲確認、1万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、東京地裁であった。鬼沢友直裁判長は「訴えは不適法」として差し止めと違憲確認請求を却下し、賠償請求は棄却した。
男性は「自衛隊派遣により、日本は米国に従属して独立主権を放棄しており、平和的生存権が侵害された」などと主張したが、判決は「平和的生存権は法律上保障された具体的権利でない。国との間に権利義務の紛争があるとは認められず、違憲確認の利益を欠いている」などと判断した。【井崎憲】(毎日新聞 2005/05/16)

「9条は地域安保の土台」 世界のNGOが国連に提言へ
平和や人権に取り組む世界のNGO(非政府組織)が今月19日から3日間、ニューヨークの国連本部に集まり、「戦争や紛争を防止するための行動提言」をアナン事務総長を通じて各国政府に提出する。事務総長の呼びかけに、世界15地域ごとのNGOがまとめあげたもので、「日本国憲法9条は地域安全保障の土台となってきた」との文言も盛り込まれた。
国連本部で開かれるのは、「武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ」(GPPAC)世界会議。
国連経済社会理事会が東北アジア地域では日本のピースボート(吉岡達也・共同代表)などに意見集約を要請。中韓ロなどの25団体が「9条の原則に基づく軍縮の実行を通じ、協調的安全保障システムに転換すべきだ」などとする「地域行動提言」をまずまとめた。
これらを受け、世界15地域の代表らが世界提言を作成。「公正な平和を平和的手段で実現する」などの基本原則を掲げ、「軍備不保持と戦争放棄を宣言した日本国憲法はアジア太平洋地域の集団的安全保障の土台となってきた」と評価。9条を「法的誓約が地域の安定と信頼醸成を高めた例」として紹介している。
世界会議に参加する吉岡代表らは「国内の政界などでは改憲論が盛んだが、9条は国際的にも逆に評価が高まっていることを、内外で訴えていきたい」と話す。10日午後2時からは東京・渋谷の青山学院大・総研ビルでNGO主催の公開市民会議がある。(朝日新聞 2005/07/06)

「戦争中毒、9条で治して」 米の大学名誉教授ら訴え
「私の戦争中毒症を憲法9条で治してください」。米国を擬人化したアンクル・サムの帽子をかぶったチャールズ・オーバービー・米オハイオ大名誉教授(79)が11日、東京の衆院議員会館で会見し、9条の改憲は「進む道を間違った米国への追随だ」として「9条の地球憲法化」を訴えた。
同氏は朝鮮戦争時の米軍爆撃機B29の元パイロット。会見には、19日からニューヨークの国連本部で開かれる武力紛争予防世界会議に参加する日本のNGO(非政府組織)支援のため、戦争体験の語り部活動を続ける和歌山県みなべ町の本多立太郎さん(91)らとともに参加した。
本多さんは第2次大戦の中国戦線などで戦い、戦後はシベリアに抑留された。全国をまわりながら「武力で紛争は解決しない」と戦争の実態を説いている。(朝日新聞 2005/07/11)

「憲法に戦争放棄を」 元外交官、終戦直後に首相へ書簡
日本国憲法の制定前の46年1月、後にA級戦犯として終身禁固刑を受けた白鳥敏夫・元駐イタリア大使=服役中に病死=が、9条の原型となる戦争放棄や軍備撤廃を新憲法の条項に盛り込むべきだとする提案をまとめた書簡を、当時の吉田茂外相を通じて幣原喜重郎首相に送っていた。ドキュメンタリー番組制作者鈴木昭典さん(76)が憲法制定にかかわった関係者の証言テープや極東軍事裁判の記録を調査し、一連の経過をまとめた。9条の基になる考えが日米どちらから出たのかについては議論が分かれているが、非軍事国家を目指す
ことを憲法に明記する構想が、日本側にあったことになる。
白鳥元大使は外務省内で軍部と近い革新官僚として活躍し、38年にイタリア大使となった。日独伊三国同盟を推進し、衆院議員も務めた。
手がかりは日本国憲法制定時の憲法担当の国務相だった金森徳次郎氏が、国立国会図書館長時代に残した憲法の制定にかかわった人物の証言を記録した約30時間分のテープの中にあった。金森元国務相自身が白鳥元大使の書簡の存在に触れる発言をしていた。鈴木さんが同図書館憲政資料室にある約800冊に上る「極東国際軍事裁判記録」を調べ、書簡を見つけた。
書簡は45年12月10日付。原文は英文で書かれており、戦犯の指名を受けて入所した巣鴨拘置所から吉田外相あてに出された。末尾には、検閲のため46年1月20日ごろまでマッカーサー司令部に留め置かれたことが付記されている。
それによると、「将来この国民をして再び外戦に赴かしめずとの天皇の厳たる確約、如何(いか)なる事態、如何なる政府の下においても(略)国民は兵役に服することを拒むの権利、及び国家資源の如何なる部分をも軍事の目的に充当せざるべきこと等の条項は、新日本根本法典の礎石」になると位置付け、「憲法史上全く新機軸を出すもの」とした。
そのうえで、「天皇に関する条章と不戦条項とを密接不可離に結びつけ(略)憲法のこの部分をして(略)将来とも修正不能ならしむることに依(よ)りてのみこの国民に恒久平和を保証し得べき」と述べ、戦争放棄の条項を天皇制条項と結びつけることで、天皇制を守ることもできると強調した。
極東軍事裁判で白鳥元大使の弁護をした広田洋二氏が47年12月に作成した吉田茂の陳述書によると、この書簡は「11月26日白鳥氏が(巣鴨拘置所に)入所する直前私と会見し、新憲法を如何に制定すべきか、(略)戦争放棄の問題等について口頭で意見を述べ、時の幣原首相にも伝達方を申し出たので、書き物にして送(っ)て呉(く)れるやうとの私の要求に基いて書かれたもの」で、「私は白鳥氏の要請を容(い)れ当時首相にも写を一部手交しました」とある。
戦争放棄を新憲法に盛り込む発想は46年1月24日のマッカーサー・幣原会談で出たとされる。幣原が言い出したとされるが、どちらから出たのか、あるいは合作なのかについては論争があり、決着はついていない。
1月20日ごろに検閲が解除され、吉田外相を通じてマッカーサーとの会談前の幣原首相に届けられた可能性が高い。
白鳥元大使の書簡については、広田氏が56年に雑誌「日本週報」に書いているが、研究者の間でもあまり知られていなかった。

鈴木さんの取材成果をまとめた番組「田原総一朗スペシャル戦後60年〜私達は間違っていたのか」は14日午後2時からテレビ朝日系列(関西地区は15日午前1時25分)で放送される。 (朝日新聞 2005/08/14)

反戦ママ「自衛隊も撤退を」 ワシントン
【ワシントン=小栗康之】イラク駐留米軍の撤退を求め、米国内の反戦運動の象徴になっている「反戦ママ」のシンディー・シーハンさんは22日午前、ワシントンで記者会見し、日本の自衛隊も含めてイラクからの撤退を訴えた。シーハンさんが自衛隊に言及したのは、今回が初めて。
シーハンさんは「この悪夢は早く終わらせるべきだ。これ以上のイラク人、米国人、日本人の命を危険にさらすべきではない。この状態を続けることは無意味だし、回避できる。正しいのは軍隊を自分の国に返すことだ」と強調。イラクに駐留している点で、米軍も自衛隊も事実上同じとの認識を示した。
シーハンさんは、全米51都市をバスで回る活動を展開中。24日にはホワイトハウス近くで大規模な反戦集会を開催する。(中日新聞 2005/09/23)

戦争抗議元閣僚が法案
イラク戦争に反対しブレア英政権の閣僚を辞任したクレア・ショート前国際開発相は21日、議会の同意なしでは開戦できないようにする法案を発表、党派を超えた議員の支持を呼びかけた。
法案は、戦争に参戦する際には上下両院に法的根拠を示した上で、議決を得ることが必要と定めている。ショート氏は、国連決議なしで英国がイラク攻撃に参加したことに抗議し、ブッシュ米大統領が大規模戦闘の終結を宣言した一昨年5月に閣僚を辞任した。(ロンドン・池田千晶)(中日新聞 2005/10/22)

自衛隊イラク派遣:違憲確認訴訟 派遣の差し止め却下──甲府地裁 /山梨
イラクへの自衛隊派遣は憲法違反などとして、市民団体「『派兵は決定的違憲』市民訴訟の会・山梨」(代表、小出昭一郎・元山梨大学学長)と、会の主張に賛同した県内外の会社員ら282人の原告団が国を相手取り、派遣の差し止めと違憲の確認、原告1人当たり1万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が25日、甲府地裁であった。新堀亮一裁判長は、原告側の訴えを全面的に退けた。
判決によると、原告側の訴えの根拠となる「派遣によって平和的生存権が侵害された」との主張について「派遣が原告らに直接的な義務を課したり、原告らの権利を侵害するものではない」として派遣の差し止めと違憲確認を却下し、慰謝料の請求も棄却した。
原告側代理人は「原告側の被害感情や被害実態をきちんと聞かず判断するのはおかしい」と反発。国側の防衛庁広報室は「国の主張が認められた。自衛隊部隊のイラク国内等への派遣及び活動は憲法の範囲内でイラク人道支援特措法などに基づく適正なものと思慮する」とコメントした。
同会は「法廷が東京に移ると、これまでのように活気ある訴えができない」として控訴しない方針。【中村有花】(毎日新聞 2005/10/26)

派遣差し止めの訴え却下 甲府地裁、イラク自衛隊で
自衛隊のイラク派遣は憲法違反として、山梨県の住民ら283人が、違憲確認と国に派遣差し止めなどを求めた訴訟の判決で甲府地裁は25日、差し止めの訴えを却下した。国民がイラクでの戦争に加担することを強いられ精神的苦痛を被ったとして求めた損害賠償請求については棄却した。
判決理由で新堀亮一(しんぼり・りょういち)裁判長は「憲法9条は国家の統治機構について定めたものであって、国民の権利を保障したものではない」と指摘した。
新堀裁判長は第4回口頭弁論で原告側の証人尋問申請を却下し結審したため、原告側は地裁に裁判官忌避を申し立てたが認められず、最高裁に特別抗告している。
原告弁護団によると、同様の訴訟は、札幌、仙台、名古屋など計11地裁で起こされており、9月には大阪地裁で訴えを退ける判決が出ている。(共同)(産経新聞 2005/10/25)

「サマワの外国軍必要ない」=最も安全な地域の1つ−イラク報道官
【シドニー18日時事】18日のオーストラリアの国営ABC放送によると、イラクのジャファリ首相の報道官は、自衛隊が駐留するイラク南部サマワについて、「最近サマワを訪れたが、イラクの中で最も安全な地域の1つ。(外国の)軍隊は必要ない」と語った。サマワには現在、豪州と英国の軍隊が駐留し、自衛隊警護のほかイラク軍の訓練を行っている。(時事通信 2005/11/18)

「無防備地域」宣言 国防協力を拒否? 21自治体、条例化へ署名運動
ジュネーブ条約で有事の際に攻撃が禁じられている「無防備地域」の宣言をするよう地方自治体に求める運動が全国に広がりをみせている。これまでに宣言条例が成立した例はないが、確認されただけで21区市町で署名活動などが進められている。国の責任で行う防衛行動を自治体が制約することには疑問があるほか、国民や自治体に協力を定めた国民保護法、武力事態対処法に正面から反する問題点も指摘されている。
運動が展開されているのは、札幌市、苫小牧市、東京都国立市、神奈川県藤沢市など21区市町(判明分)。「宣言すれば平和を確保できる」「武力攻撃を免れることが可能」などの合言葉で戦争不参加や反戦を呼びかけ、自治体に「無防備地域」宣言の条例制定を請求するため署名運動などが進められている。
すでに全国規模の連絡組織もできており、署名が法定数に達した大阪市、大阪府枚方(ひらかた)市、兵庫県西宮市などでは市議会に条例が提出されている。
ジュネーブ条約追加第一議定書は「紛争当事国が無防備地域を攻撃することは手段のいかんを問わず禁止する」と規定。敵国の占領や攻撃に対し、抵抗も武装もしない地域を無防備地域とし、敵の無血占領を認め、無条件降伏を宣言することで、消耗戦や敵の不必要な攻撃をやめさせ、住民の無用の犠牲を防ぐのが本来の狙いだ。
ただし、地域に指定されるには、(1)すべての戦闘員や移動兵器、移動軍用施設が撤去されている(2)固定された軍用施設や営造物が敵対目的に使われていない(3)当局や住民による敵対行為がない(4)軍事行動を支援する活動がない−などが必要条件。宣言してもこうした条件を満たせない場合は背信行為とみなされる。
しかし、自衛隊の施設などの管轄権は自衛隊法で内閣総理大臣にあると規定され、地方自治体には与えられていない。政府や自衛隊などと合意なしに戦闘員や軍事施設の撤去などを地方自治体が実行することは非現実的だ。
国民保護法なども自治体に国の方針に基づく協力義務を定めており、自治体が条例でこうした条件を確保する規定を勝手に盛り込む行為は、国防への協力拒否を意味するだけでなく、仮に条例が制定されても法律違反として無効とみなされる可能性が高い。
ジュネーブ条約はこれまでも守られないケースが多々あり、「条約に依拠して宣言したところで地域住民の安全は守れない」といった声も出ている。
これまでに、条例を可決した自治体はないものの、運動自体は次々と別の地域で展開される状況が続いている。(産経新聞 2005/11/21)

陸自車列にデモ隊が投石・サマワ近郊
【サマワ=共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワの近郊ルメイサで4日、陸自が改修した施設の完成式典中、銃などで武装した約40人のデモ隊が施設を取り囲み、目撃者によると一部が付近に止まっていた陸自の車列に投石、車両のミラーが割れた。デモ隊は現地警察ともみ合いとなった。陸自側を含め、負傷者はなかったもようだ。
ルメイサはサマワの北約30キロ。式典には陸自の代表者のほか、サマワを州都とするムサンナ州のハッサン知事らが出席していた。
現地警察などによると、デモ隊は、イスラム教シーア派の反米指導者サドル師派の民兵組織「マハディ軍」のメンバーら。サドル師派は陸自を「占領軍とみなす」との姿勢で、ハッサン知事とも敵対。デモの参加者は「日本にノー」「州知事にノー」などとスローガンを叫んだ。(日本経済新聞 2005/12/04)

「日の丸」踏んで記念式典 サマワでサドル師派
【サマワ10日共同】陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで10日、陸自を「占領軍」とみなしているイスラム教シーア派の反米指導者、サドル師の支持者が式典を開催、路上に大きく書いた日の丸やイスラエル国旗、米国の星条旗を踏んで同派の民兵組織「マハディ軍」がパレードし、日米に反発する姿勢を強調した。
式典は、旧フセイン政権下で暗殺されたサドル師の父でシーア派の最高権威だったムハンマド・サドル師を追悼する目的。サマワを州都とするムサンナ州の高官や警察本部長らが参列したが、日の丸の上をパレードすることに抗議の声は上がらなかったという。(共同通信 2005/12/10)

陸自部隊幹部の残留促す イラク復興で米政府
【ワシントン31日共同】米政府が、陸上自衛隊がイラク南部サマワから撤退した後も、南部を中心とした地域に陸自部隊の中堅幹部ら少人数を残留させ、地方復興などを目的とした人的貢献に関与させられないか、日本政府に検討を促していたことが、31日分かった。複数の日米関係筋が明らかにした。陸自の他地域への移動提案に続く米側の打診。移動提案について日本側は既に断っている。
2006年には多国籍軍(25カ国)から各国部隊が大幅に離脱することが予想されている。このため、少人数だけでも軍事要員を残留させることで、日本など主要同盟国を含めた現在の枠組みをできるだけ堅持、反米武装活動の長期化が懸念される連邦議会選挙後のイラク復興プロセスを「多国間協力体制」で推進したい思惑があるとみられる。(共同通信 2005/12/31)

米、南部バスラに派遣打診 陸自のイラク復興関与
【ワシントン26日共同】米政府が最近、日本政府に対し、陸上自衛隊幹部らをイラク南部バスラに派遣し、治安・行政能力向上を目的とした新規事業「地方復興チーム(PRT)」に参加させるよう打診していることが26日分かった。さらにC130輸送機を使った航空自衛隊の活動地域を首都バグダッドなど2カ所に拡大するよう日本側に要請しているという。複数の日米関係筋が明らかにした。
イラクの正統政府を早期に樹立させ、復興事業を加速させたい米政府は昨年秋以降、5月末の陸自サマワ撤退をにらみ、日本のPRT参加を繰り返し促してきたが、具体的地名を挙げて関与を求めてきたのは初めて。(共同通信 2006/02/26)

自衛隊イラク派遣「米国の言いなりなだけ」 差し止め訴訟に箕輪さん出廷
札幌地裁(原啓一郎裁判長)で続いている自衛隊イラク派遣差し止め訴訟で27日、防衛政務次官も歴任した原告の箕輪登元郵政相(81)に対する証人尋問が行われた。病気を押し出廷した箕輪さんは「自衛隊は国を守るためのもの。海外に出てはならない」と懸命に訴えた。
箕輪さんは一昨年1月、自衛隊のイラク派遣は違憲だとして国に派遣差し止めと慰謝料1万円を求め提訴。だが昨年春に肺炎を悪化させ札幌市内の病院で入院生活を続けている。病院の主治医も付き添い、陳述する箕輪さんの後ろで容体を見守った。
箕輪さんは「日本がいつまでも平和であってほしいから」と提訴に踏み切った動機を説明。弁護人から「イラク派遣を決めた政府をどう思うか」と聞かれ、「アメリカの言うことを聞いているだけ」とこぶしで机をたたき、思うように出ない声をからして訴えた。尋問は休憩を2回はさみ2時間半続いた。
尋問を終えて、箕輪さんはやや疲れをみせながらも、「言いたいことは言えた。これでもうみんなの前に出ることはないと思う」と、晴れやかな表情で語り、病院へ戻った。(北海道新聞 2006/02/28)

香田さん殺害:拘束の男が自供 「陸自撤退拒否で…」供述
イラクで04年10月に福岡県出身の香田証生さんが殺害された事件で、バグダッドの警察幹部は2日、内務省が拘束した男が香田さん殺害を自供したことを明らかにした。警察幹部によると、男は香田さんについて「スパイだと思った。日本政府が陸上自衛隊の撤退に応じなかったので殺害した」などと供述している。(毎日新聞 2006/03/02)

1年半で3人が自殺 イラク派遣の陸自隊員
イラク復興支援特別措置法に基づく人道復興支援のため、同国南部のサマワに派遣され帰国した陸上自衛隊員に、2004年初めから05年夏までの約1年半に3人の自殺者が出ていたことが9日、防衛庁関係者の話で分かった。
陸上幕僚監部広報室は「3人の自殺がイラク派遣によるものかは分からない。プライバシーの問題があり、詳細は明らかにできない」としている。
関係者などによると、3人が自殺した約1年半の間に派遣を終え帰国した隊員は約2800人。
内訳は、本隊が北海道の部隊が中心の第1次隊から、中部方面隊第10師団(司令部・名古屋市)中心の第5次隊まで約2500人。本隊以外に、現地との連絡調整などに当たる業務支援隊も、北海道の部隊中心の第1次要員から中部方面隊が中心の第3次要員まで約300人が活動した。
一方、全国の陸自隊員約14万7000人のうち、04年度の自殺者は64人。自殺率を単純に比較するとイラク派遣隊員の方が高い計算になる。
陸自は、派遣隊員がテロへの恐怖などで大きなストレスを受けることを想定し、メンタルヘルスの専門教育を受けた隊員をサマワに派遣、カウンセリングなどに当たらせていた。帰国した隊員にも「心のケア」対策を取っているという。
現在、イラクへは陸自第1師団(司令部・東京都練馬区)が主力の第9次隊が派遣されている。(東京新聞 2006/03/09)

イラク経験者で自殺5人=陸・空自派遣2年間−防衛庁
イラク復興支援特別措置法に基づく人道復興支援のため、イラクとクウェートに派遣された経験のある陸上、航空自衛隊員のうち、計5人が自殺していたことが11日、分かった。防衛庁は「自殺の原因を特定することは困難で、イラク派遣が原因になっているかどうか分からない」としている。
政府関係者によると、2004年1月から今月10日までの約2年余で、陸自で4人、空自で1人の自殺者が出た。これまでに派遣された隊員は陸自が延べ5000人、空自が延べ1600人に上る。(時事通信 2006/03/11)

陸自の貢献継続「確信」 イラク復興で米高官
【ワシントン10日共同】ブッシュ米政権がイラク復興の主要事業として進める「地方復興チーム(PRT)」派遣事業に携わる米政府高官は10日、陸上自衛隊の南部サマワからの撤退に関連して「日本が多国籍軍に貢献し続けるものと確信している」と言明、日本の軍事的貢献が引き続き必要になるとの認識を示した。共同通信など一部メディアに語った。
高官は、自衛隊の今後の具体的な貢献策については「現地の情勢変化をみて日本政府自身が決めること」とする一方、サマワの安定に寄与した自衛隊が「ほかの役割」を担うことが可能だと指摘。米政府内に依然、陸自のPRT参加を望む声があることを示唆した。(共同通信 2006/03/11)

「自衛隊、即時撤退を」 イラク戦争3年で反戦集会
イラク戦争の開戦から20日で3年を迎えるのを前に、市民団体のネットワーク「ワールド・ピース・ナウ」が18日、東京・日比谷で集会を開き、反戦やイラクに駐留する自衛隊の即時撤退を訴えた。主催者側によると、参加者は約2000人。
漫画家の石坂啓(いしざか・けい)さんは「平和憲法があるのに、アメリカが起こした戦争に追随する日本のことを、恥ずかしくて子供に説明できない。この国は岐路にあるのではなく、もう曲がり角を曲がり切った」と危機感を表明した。
また、タレントのインリン・オブ・ジョイトイさんは「武力が平和を守るといううそにだまされるのはやめよう」とメッセージを寄せた。
集会後、参加者は「軍隊は平和をつくらない」「アメリカの言いなりでいいの」などと書かれたプラカードや横断幕を持ち、東京・銀座をパレードした。(産経新聞 2006/03/18)

イラク派兵差し止め訴訟弁護団
各党に 質問書
穀田議員ら応対、激励

自衛隊のイラク派兵は違憲だとして全国で差し止め訴訟を起こしている弁護団の全国連絡会議は22日、各党に対し公開質問書を届けました。日本共産党は穀田恵二衆院議員、赤嶺政賢衆院議員らが応対しました。
この訴訟は全国の11地裁で進められ、原告は5600人、全国弁護団は800人に及びます。
質問書は、イラク戦争開始から3年、自衛隊派兵から2年たった今、イラク戦争と自衛隊派兵に対する各党の態度を公開することで、この重要問題に対する国民の関心に応えるのが目的です。
質問項目は、▽イラク戦争が虚偽の情報に基づいて行われた事実、戦争の「正当性」が崩壊した事実をどう受けとめているか▽派兵された経験のある自衛隊員5人の自殺について▽航空自衛隊の活動拡大について──などの六点です。4月5日が回答期限で、同月中の公開を予定しています。
日本共産党との面談では、同連絡会議の佐藤博文事務局長(弁護士)が、この訴訟が党派を超えた取り組みになっていることを紹介しました。
穀田氏は、みずからイラク戦争の正当性について国会で追及した経験などを紹介。質問書に回答する考えを説明しつつ、連絡会議の活動をねぎらいました。(しんぶん赤旗 2006/03/23)

“日本の憲法9条守れ”
仏でも大きな反響
国法協が会見

【パリ=浅田信幸】「日本国憲法の9条を守れ」の運動の国際化をめざし訪仏中の国際法律家協会(国法協)の新倉修会長は23日、パリで記者会見をおこない「想定外の成果があった」とし、「9条と平和」をテーマとした市民レベルの国際会議(「9条世界会議」)の2008年東京開催に向け「非常にいいスタートを切った」とのべました。
「9条世界会議」は日本のピースボートや国法協らが提唱しているもので、その準備に向け海外に代表を派遣するのは今回が初めてだといいます。国法協の一行は、国際民主法律家協会に加わるフランスの「法と連帯」協会の招待で訪仏し、パリの法律家や平和運動、元レジスタンス闘士の組織などと懇談し、9条を守る意義などについて意見を交換しました。
新倉会長はこれらの出会いを通じて「フランス人の間にも9条のことを正確に力強くとらえている人がいることを発見した」と感想を語りました。
記者会見では司会を務めたロラン・ベイユ国際民法連副会長も発言し、日本の憲法9条を守るたたかいへの支援が「世界の憲法に9条を書き込ませる」たたかいとも連動する意義を指摘し、グローバルキャンペーンの推進に取り組むとの立場を表明しました。(しんぶん赤旗 2006/03/25)

自衛隊イラク派遣訴訟 差し止めの訴え却下 名古屋地裁
自衛隊のイラク派遣で憲法の平和的生存権が侵害されたとして、全国の3200人余りが国に派遣の差し止めと1人あたり1万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が14日、名古屋地裁であった。内田計一裁判長は、派遣差し止めの訴えを却下し、慰謝料の請求を棄却した。
同様の訴訟は、ほかに東京や札幌、京都、熊本の各地裁などで起こされている。名古屋訴訟の提訴は6次にわたり、原告数は最も多い。この日の判決は、5次提訴までの原告のうち、訴訟が分離された天木直人・元レバノン大使を除く3237人に言い渡された。
原告側は「自衛隊派遣は、戦争や武力行使をしない日本に生存する権利を侵害する」と主張。裁判所に違憲審査権の行使を求めていた。
これに対し、国側は「原告の言う平和的生存権は、個々人に保障された具体的権利ではない」と反論。訴えを却下するよう求めていた。(朝日新聞 2006/04/14)

「訴え不適法」と却下 自衛隊派遣差し止め訴訟 名地裁
自衛隊のイラク派遣は憲法違反だとして、全国の市民3237人が国に派遣差し止めや原告1人1万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決が14日、名古屋地裁であった。内田計一裁判長は「訴えは不適法」として派遣差し止めの訴えを却下し、慰謝料請求については「派遣によって具体的権利や法的保護に値する利益を侵害されたとは認められない」として棄却した。原告らは控訴する方針。
訴えていたのは、47都道府県や海外在住の小学生から高齢者までの市民。「戦闘地域への武器使用の可能性を認めた派遣で、非戦の誓いをうたった憲法9条に反する」と主張し、今後の自衛隊派遣差し止めや既に行われた派遣の違憲確認、加害者の立場を強いられた精神的苦痛に対する慰謝料を求めていた。
弁護団などによると、同様の訴訟は全国計11の地裁で起こされ、集団訴訟の判決は甲府、大阪両地裁に次いで3例目。両地裁とも昨年秋に派遣差し止め請求を却下している。
名古屋では2004年2月から、愛知県内の非政府組織(NGO)役員らがインターネットなどで呼び掛け、集まった市民らが順次提訴し、今回の判決は併合審理となった第1−5次提訴分。イラク戦争に反対し外務省を退職した元駐レバノン大使の天木直人さんの提訴については分離されて審理が続けられ、1月に16人が起こした第6次分は新たに5月25日から裁判が始まる。
今回の訴訟をめぐっては、内田裁判長が公判で原告本人尋問などの申請を却下し結審決定したことなどに対し、一部の原告が3月に「裁判を受ける権利が侵害された」として国家賠償請求訴訟も起こしている。(中日新聞 2006/04/14)

憲法判断なく不当と控訴へ イラク派遣訴訟の原告
自衛隊イラク派遣差し止め訴訟で、訴えを退けた名古屋地裁の判決を受け、原告団らは14日、会見し「派遣が合憲か違憲か判断していない不当な判決。控訴する」と話した。
弁護団は事実上、約110ページの判決文のうち、裁判所の判断は約6ページしかないとし、判決理由の文章も同様に訴えを退けた甲府地裁とまったく同じだったと指摘。「初めに結論ありきの判断だ」と非難した。
原告らでつくる「訴訟の会」の池住義憲(いけずみ・よしのり)代表(61)は、900人以上の原告が控訴する予定とした上で「派遣反対の世論が、盛り上がらなくなることを危惧(きぐ)している」と話した。(共同通信 2006/04/14)

箕輪登さんが死去 イラク派遣訴訟原告
元郵政相で自衛隊イラク派遣差し止め訴訟原告の箕輪登(みのわ・のぼる)さんが14日午後5時3分、札幌市内の病院で死去した。死因は公表されていないが、昨年春から肺炎の悪化などで入退院を繰り返していた。82歳。小樽市出身。自宅は小樽市花園2の5の2。葬儀・告別式の日時は未定。喪主は妻イネさん。
1945年、北海道帝大医専卒。67年、当時の道1区から衆院選初当選。自民党竹下派に所属し、衆院議員に8期連続当選、防衛政務次官、鈴木内閣の郵政相のほか自民党道連会長などを歴任した。
議員引退後の91年、脳梗塞(こうそく)で入院したが、リハビリで言語障害などを克服した。2004年1月、「国民の平和的生存権を侵害する」として、自衛隊イラク派遣差し止めを求め札幌地裁に提訴、係争中だった。今年2月27日に証人として出廷し、「(政府は)アメリカの言うことをきいているだけ」と訴えた。(北海道新聞 2006/05/15)

上映会:米軍による無差別攻撃…イラク人ジャーナリスト、実情を映像で訴え /佐賀
◇「自衛隊が来た後もサマワは好転していない」──戦争の実情を映像で訴え
イラク人ジャーナリストのイサーム・ラシードさん(33)が撮影した、イラク戦争の実情を伝えるビデオ上映会が15日夜、佐賀市の勤労者福祉会館であった。昨年に続いての来日で、佐賀を含めた全国約35カ所で上映会を開いている。
映像は米軍の無差別な奇襲攻撃によって命を落とした、ファルージャの住民らの姿をとらえている。飛び交う銃弾と砲弾を避け、子どもを抱えて逃げまどう母親たち。掃討作戦の後に残されたおびただしい数の死体は、大きな穴にまとめて埋められている。手足をもがれ、劣化ウラン弾の放射能で顔が2倍にふくれあがった子どもたちと、泣き叫ぶ親の姿。
ラシードさんが「みんな、米軍が占領してくるまでは平和に暮らしていた人たちです。イラク人と米国人、いったいどっちがテロリストでしょうか」と問いかけると、会場は静まりかえった。「主流メディアはこうした戦争の現状を伝えていない。イラク人は日本に対して親しみを持っていたのに、まさか自衛隊を送り込み、米国の侵略を手助けするとは思わなかった。自衛隊が来た後もサマワの人々の暮らしはまったく好転していない。憲法9条の精神にのっとり、武器を持った自衛隊を早く撤退させてください」と訴えた。英語で解説したラシードさんは、自衛隊を「ジャパニーズ アーミー」と呼んでいた。イラク人は自衛隊を「日本軍」と認識しているという。【朴鐘珠】(毎日新聞 2006/06/17)

アイスランド、「軍隊のない国」に 米軍、駐留継続せず
北極圏に接する世界最北の島国、アイスランドが30日、数少ない「軍隊のない国」になる。半世紀以上同国の安全保障を担ってきたケフラビーク米軍基地が閉鎖されるからだ。約1200人の米兵やその家族は順次引き揚げ、基地に配備されていたF15戦闘機4機とヘリコプター3機はすでに母国に帰還した。
アイスランドは人口約30万人の小国。小規模の沿岸警備隊はあるが、自前の軍隊は持たない。北大西洋条約機構(NATO)発足当初からの加盟国で、1951年に米国と締結した防衛協定に基づき、国の安全保障だけでなく、山岳・海難救難をも米軍に頼ってきた。
NATO加盟国の対ソ戦略拠点の役割を果たしていたが、冷戦終結で戦略的価値は失われた。アイスランド政府は基地の駐留経費の全額負担などを申し出て駐留継続を促してきたが、米国側は「地球規模の戦力再編成の一環」と突っぱねた。
AFP通信によると、アイスランド政府の外交顧問は「(米軍の)常駐は終わるが、米国は今後もアイスランドの安全保障を担い続けると言っている」と語った。自前の軍隊については「選択肢にない」としている。(朝日新聞 2006/09/30)

クラウチ米大統領副補佐官:「日本の軍事貢献不十分」 海外展開能力求める
【ワシントン笠原敏彦】クラウチ米大統領副補佐官(国家安全保障担当)は23日、ワシントンでの講演で、日本の軍事面での国際貢献が十分ではないとした上で、自衛隊が海外で展開できる能力を強めるよう求めた。北朝鮮の核実験に対する国連制裁決議を受けて行われる貨物検査では、関係国が情報を共有する環境を築くことが当面は最も重要だと指摘した。
クラウチ副補佐官は、イラクへの部隊派遣など、対テロ戦争での自衛隊の貢献を高く評価する一方で「日本の世界的な国益と潜在力からすれば、まだ控えめだ。世界第2の経済力を持つ日本だが、紛争地域に安全をもたらす能力は非常に低い」と語った。その上で「日本が部隊を海外に展開できる能力を高めるよう努力することを望む」と訴えた。
クラウチ副補佐官は、ホワイトハウスの国家安全保障担当者ではハドリー補佐官に次ぐナンバー2。(毎日新聞 2006/10/24)

9条は世界の模範
米法律家団体が憲法決議
日本代表も参加

【オースティン(米テキサス州)=山崎伸治】18日から当地で開かれていた米国の進歩的法律家団体「ナショナル・ローヤーズ・ギルド」の第69回年次総会は最終日の22日、日本国憲法の国際的意義を評価し、憲法9条を守る日本の運動に連帯を表明する決議を採択しました。同ギルドが日本の憲法9条に関する決議を採択したのは初めてです。
決議は、憲法9条が「発達した国の憲法で唯一、『戦争と、武力による威嚇又は武力の行使』を『国際紛争を解決する手段』として放棄した」と指摘。日本国民は、アジア諸国に対する侵略と原爆投下など第2次世界大戦で惨禍を被った経験から「憲法9条と平和主義を国是として受け入れた」としています。
また、9条は「国連憲章の諸原則を国内法に取り入れた模範であり、すべての国が追求すべきもの」と強調しています。
大会には日本国際法律家協会と自由法曹団を代表して、笹本潤、田中俊両弁護士が出席。20日夜に開かれた同ギルドの国際委員会主催の集会で笹本氏は「多くの米国人に憲法9条を守る必要性を理解してもらいたい」と呼び掛けました。
「ナショナル・ローヤーズ・ギルド」は1937年、米国で最初の人権擁護組織、人種差別をしない法律家組織として創設され、弁護士や法学者、法科大学院生などで構成。労働者の利益擁護や公民権運動などを担ってきました。(しんぶん赤旗 2006/10/24)

元大使の自衛隊イラク派遣差し止め訴訟、訴えを却下
自衛隊のイラク派遣で憲法の平和的生存権が侵害されたとして、元レバノン大使の天木直人さん(59)が国に派遣の差し止めなどを求めた訴訟の判決が10日、名古屋地裁であった。内田計一裁判長は「訴えは不適法で、権利や利益は侵害されていない」と述べ、派遣差し止めと違憲確認の訴えを却下し、派遣や大使職の退職勧奨に伴う精神的苦痛に対する慰謝料1万円の請求を棄却した。
天木さんは、同地裁に起こされた集団訴訟の原告の1人。ほかの原告3237人に対しては今年4月、訴えを退ける判決が出たが、天木さんは「外務省から退職勧奨を受けたのはイラク戦争に反対したためで、違法だ」とも訴えていたことから、訴訟が分離されていた。
内田裁判長は4月の判決と同様、「憲法9条や平和的生存権は、国民の権利を保障したものではない」などと指摘。イラク派遣に関する訴えを全面的に退けた。
その上で、天木さんの退職について「手続きは法に従っており、退職を拒否することが可能だった以上、退職勧奨の目的や動機が何であろうと違法ではない」と結論づけた。
天木さんは01年からレバノン大使を務めており、03年3月の米軍のイラク攻撃を批判する公電を送った。同年8月に大使を辞職し、外務省を退職した。(朝日新聞 2006/11/10)

安倍首相:自衛隊「海外活動ためらわず」──NATOで初演説
【ブリュッセル西田進一郎】ベルギーを訪問中の安倍晋三首相は12日午前(日本時間同日夜)、ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)の理事会で日本の首相として初めて演説した。首相は「憲法の諸原則を順守しつつも、いまや日本人は国際的な平和と安定のためなら、自衛隊が海外での活動を行うことをためらわない」と述べ、NATOとの連携を強化していく方針を表明した。
NATOは昨年11月の首脳会議で、日本やオーストラリアを念頭に非加盟国との関係強化方針を決めており、演説はこれに応えたものだ。首相は「日本とNATOは基本的価値を共有しており、互いの能力を発揮して共に行動すべきだ」と指摘。日本とNATOとの間で平和構築や復興支援を話し合う閣僚レベルの定期協議を設けることなども提案した。
首相はさらに、自衛隊の海外派遣を可能にする恒久法について「一般的な法的枠組みを含め、国際平和協力の最適なあり方を議論している」と積極的に検討する考えを表明。NATOが行っているアフガニスタンでの人道活動でも協力を強化する考えを示した。
一方、対北朝鮮政策では、すべての核兵器と核計画の放棄を求めた国連決議(1718号)に基づく経済制裁の実行をNATO全加盟国に求め、拉致問題に関し「欧州諸国も関係する重大な人権じゅうりんだ」と解決への協力を呼びかけた。
中国については「急速な国防費の増大や透明性の欠如などの不確実性がある」と言及。日本とNATOは「価値観を共有するパートナーとして協力を強化すべきだ」とし、中国をけん制した。(毎日新聞 2007/01/13)

自衛隊PKO、武器の先制使用を検討…対象は非正規軍
政府は13日、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき海外で活動する自衛隊員らの武器使用について、従来の憲法解釈を変更し、自らの身に危険がない場合でも、任務遂行への妨害を排除する場合は使用を容認する方向で検討に入った。
自衛隊が停戦監視などの国連平和維持隊(PKF)本体業務に参加するのに必要と判断した。ただ、武器使用の対象は、犯罪集団など国の正規軍でないことが明確なケースに限定。国連施設を守ったり、逮捕者の逃亡を防いだりする時、相手から撃たれなくても先に武器を使うことを可能とする。政府は年内に解釈変更を表明し、PKO協力法など関連法の改正作業に入りたい考えだ。
現在の政府の憲法解釈では、「(自分の身を守るための)自然権的権利を超える武器使用は、憲法9条が禁ずる武力の行使に該当するおそれがある」としている。このため、PKO協力法が定める武器使用は、自衛隊員らが不測の攻撃にさらされた場合、自分や共に現場にいる人の命や身を守る時以外、できないことになっている。(読売新聞 2007/01/14)

イラク帰還の自衛隊員
自殺増加 計7人
内部文書で詳細判明

アメリカの無法なイラク戦争とその後の占領支配によって治安の悪化がつづくイラクに派遣された自衛隊員のなかで、帰還後の自殺者が増えていることが13日までにわかりました。自殺した自衛隊員が「『米兵には近づくな、殺される』と騒いでいた」と関係者は証言しており、イラク派兵が自衛隊員に耐えがたい精神的ストレスとなっていたことが本紙入手の内部文書などから浮き彫りになりました。(山本眞直)

防衛省広報課は、本紙の問い合わせに、イラクに派兵された自衛隊員(5500人)の自殺者が陸上自衛隊で6人、航空自衛隊で1人の合わせて7人と回答しました。
防衛庁(当時)は昨年3月、国会でイラク派兵隊員の自殺について、陸自が4人、空自が1人と答弁していました。
国会答弁以降も、陸自で2人が新たに自殺したことになります。
アメリカでもイラク帰還米兵の3割が精神疾患の症状(昨年3月)を訴えるなど「大義なきイラク侵略戦争」症候群は深刻ですが、自衛隊内でも同様の事態が進行しているとみられます。
本紙は、防衛庁の「平成17年度自殺事故発生状況」と題する内部文書を入手しました。
リストには自殺した日時、所属、職種、階級、既婚・未婚、自殺の手段などのほか、「特記事項」として通院状況や「海外派遣」の有無などが記入されています。
防衛省は、自殺した隊員の所属などは「プライバシーにかかわる」として公表していません。
自衛隊員の詳細な自殺者一覧の存在が明らかになったのは初めてです。
同文書によると、自殺者総数は47人(2006年1月現在)で、目を引くのはイラク派兵の隊員です。
▽05年4月3日 第1次イラク復興支援群に参加した北部方面隊第2後方支援連隊(旭川駐屯地)の2曹(29)が午前5時、自宅で自殺。
▽同5月27日 第4次イラク復興支援群に参加した東北方面隊第20普通科連隊(神町駐屯地=山形県東根市)の陸士長(23)が早朝、同演習場で自殺。
▽同8月7日 第2次イラク復興支援群に参加した北部方面隊第11師団司令部(真駒内駐屯地)の3佐(38)=イラクで警備中隊長=が午前4時、一般道の車内で自殺。
安倍内閣は「防衛庁」から「防衛省」への昇格に合わせて、自衛隊の海外活動も「本来任務」に“格上げ”しました。米軍の新たなイラク増派策を無条件で支持し、「(国際貢献で)自衛隊の海外派兵はためらわない」(NATO理事会で安倍首相)と、自衛隊の海外派兵のいっそうの推進を表明しました。
自衛隊OBの1人は「自衛隊の海外派兵は憲法違反であり、イラク派兵のような海外活動が増えれば、一般隊員を危険にさらし、さまざまな犠牲を強いることになる。“一将功成り万骨枯る”という悲惨な海外派兵=海外活動の本来任務化は絶対反対だ」と話しています。(しんぶん赤旗 2007/01/14)

「陸自隊員の殺傷を試みた」 マハディ軍の幹部が証言
【サマワ17日共同】陸上自衛隊が駐留したイラク南部サマワのイスラム教シーア派の反米指導者サドル師派民兵組織マハディ軍の中堅幹部(36)が、17日までに共同通信の取材に応じ、駐留期間中に宿営地への砲撃を実行したと言明、「占領軍」である陸自を撤退に追い込むため「隊員の殺傷を試みた」などと証言した。マハディ軍メンバーが陸自攻撃を実行したことを認めて、具体的な動機などを証言するのは初めて。
証言によると、幹部は2004年、南部マイサン州でマハディ軍に入り、翌年からサマワの同軍事務所に所属。30人の部隊を率い、市内でのデモ行進に参加している。
幹部は「隊員を1人でも死傷させれば、日本政府が自衛隊撤退を決断すると思っていた。しかし、結局できなかった」と指摘。「攻撃は4−6人で行い、通常は迫撃砲、時には路上爆弾も使った」と述べた。(共同通信 2007/01/17)

イラク派兵の陸自幹部 本紙に胸中
犠牲者ゼロ 憲法のおかげ 9条変えない方がいい

「憲法の存在が大きかった。(戦争放棄の)9条はこのまま変えない方がいい」。イラク南部サマワでの「イラク人道復興支援任務」に参加した陸上自衛隊の制服幹部が帰国後、本紙のインタビューに応じ、憲法9条の重みなどその胸中を率直に語りました。
制服幹部は、自衛隊員から1人の犠牲者も出すことなく任務を遂行できた背景として、自衛隊独自の対応を除いた2つの要因をあげました。
1つは「日本ブランド」。第2次世界大戦で敗れ、広島・長崎への原爆投下などの深刻な戦災にあいながら、自動車、家電製品に象徴される世界第2位の経済大国にまで復興したアジア人の国、日本へのイラク人の共感です。2つ目に憲法の存在をあげました。
同幹部は「自分たちは米軍などとちがって、海外での武力行使を日本の憲法が禁じていることを一生懸命に説明した。イラクの人たちもそれを理解してくれた。そういうイラクの人たちによって自衛隊は結果的に守られたんです。その意味で憲法9条の存在の大きさを改めて実感した」と語りました。
安倍政権は、「防衛庁」から「防衛省」への昇格とセットで自衛隊の海外活動を「本来任務」に格上げし、米軍の「先制攻撃」戦争に呼応した海外での武力行使を可能にする憲法改悪=「戦争する国づくり」に走っています。
制服幹部は、米軍による「掃討作戦」、武装勢力による「テロ」などでイラク市民の犠牲が連日のように続くバグダッドを「向こうは地獄だ」としたうえで、憲法9条への思いを込めていいました。
「自衛隊員として憲法を議論できないが、(イラクの体験からも)自分としては憲法9条は変えないほうがいいと思う」(しんぶん赤旗 2007/01/22)

自衛隊イラク派遣、差し止めの訴え却下 京都地裁判決
自衛隊のイラク派遣は憲法9条などに違反するとして、京都府民ら362人が国に自衛隊のイラクからの撤退と今後の派遣差し止め、原告1人あたり1万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。山下寛裁判長は、撤退と派遣差し止めの訴えを却下し、慰謝料の請求を棄却した。
判決は、撤退と派遣差し止めについて「原告には、行政権の行使の取り消し変更や発動を求める私法上の請求権はない」と判断。慰謝料は「派遣で原告らの生命、身体の危険が具体的に生じていると認められる証拠はなく、権利や法律上の利益の侵害はない」として退けた。
原告側によると、同様の訴訟は京都のほか、東京や大阪、名古屋など11地裁で起こされ、判決が言い渡された8地裁で原告側が敗訴している。(朝日新聞 2007/03/23)

長崎で広がる「戦争ほうき」 アクセサリーで平和を発信
「戦争ほうき」。被爆地・長崎で、ほうきの形をした小さな手作りアクセサリーが広まっている。中心になっているのは、平和をテーマにした民間の展示施設ナガサキピースミュージアム(長崎市)。「平和の大切さを声高に叫ぶのではなく、静かに伝える手段にしたい」と、来館者に配ったり、作り方を教える体験会を開いたりしている。
戦争ほうきは手のひらに乗るぐらいの大きさ。柄に見立てた小枝の先に、フェルトで巻いた毛糸の房を取り付ける。
東京に住む環境市民団体メンバーの入江篤子さん(55)が、91年の湾岸戦争と自衛隊派遣の動きに反対の意思を示そうと発案し、胸に着けたのが始まりだ。
05年ごろ、入江さんの知人を通じて戦争ほうきがミュージアムに届けられた。これをきっかけに、ミュージアムの運営メンバーが作ったり、全国各地から寄せられたりした戦争ほうきを来館者に配り始め、その数は3000個を超えた。小学校や街頭での体験会も人気だ。
今年の元日、テレビ番組に生出演した長崎出身の歌手さだまさしさんが、戦争ほうきを胸に着けていた。さださんはミュージアム開設の呼びかけ人。ただ、番組の中で戦争ほうきについては何も語らなかった。
ミュージアム専務の増川雅一さん(66)はこう思う。「戦争をなくすための地道な活動は、押しつけでは長く続かない。さださんは戦争ほうきをそっと胸に着けることで、そのメッセージを伝えたかったのではないか」 (朝日新聞 2007/05/04)

テロ特措法:海自給油「政府答弁の4倍」 市民団体指摘、米艦の日誌入手
03年のテロ特措法による米空母への海上自衛隊による給油支援を巡り、市民団体「ピースデポ」は20日、海自からの給油量について、約80万ガロンと記載された米艦船の航海日誌を入手したと発表した。これまで政府が答弁してきた約4倍の量で、梅林宏道代表は「大きな食い違いがあり、大部分の燃料がテロ特措法に反し、対イラク作戦に転用されたのではないか」と話している。
政府は03年5月の国会答弁などで、海自がイラク戦争開戦直前の03年2月25日に米補給艦に給油した量を約20万ガロンと説明していた。同団体によると、日誌は空母に給油した米補給艦のもので、米情報公開法に基づく情報公開請求で入手。「ときわ(海自補給艦)から受けたDFM(船舶用ディーゼル燃料)は1万8704バレル(約78.6万ガロン)」との記載があった。
テロ特措法はインド洋でテロ掃討作戦などに従事する艦艇に給油先を限定している。【本多健】(毎日新聞 2007/09/21)

韓国で「9条の会」発足 学者や市民ら100人
【ソウル17日共同】憲法9条を守ろうと作家の大江健三郎氏らがつくった「9条の会」の趣旨に賛成する韓国の学者や市民ら約100人が17日、ソウルで「韓国9条の会」を結成した。日本の護憲運動を応援するとともに、朝鮮半島で平和憲法を実現することが目標。結成の中心になった尹海東・成均館大教授は「平和憲法は日本に侵略された国の人々の平和への願いも含まれた世界の希望だ」と評価。 (共同通信 2007/11/17)

イラク派遣差し止め請求却下:札幌地裁 慰謝料も棄却
自衛隊のイラク派遣は戦争の放棄を定めた憲法9条に違反するとして、故箕輪登元郵政相(06年5月死去)ら道内の33人が派遣の差し止めと1人当たり1万円(総額33万円)の損害賠償を国に求めた訴訟で、札幌地裁は19日、原告の訴えを全面的に退ける判決を言い渡した。竹田光広裁判長は「自衛隊のイラク派遣差し止めを求める請求権は私法上認められず、不適法。慰謝料請求には理由がない」と述べ、派遣差し止めについては却下、賠償請求は棄却した。
訴えによると、イラク全土は戦闘状態にあるため、派遣の根拠となっているイラク復興特別措置法に違反しているうえ、主な任務を防衛出動と定めた自衛隊法にも反すると指摘。「湾岸戦争以来、憲法の拡大解釈が慣例になりつつある」と主張した。これに対し国側は「原告には訴えの利益がない」と反論していた。
同様の訴訟は全国11地裁で起こされ、これまでに判決があった8件すべてで原告側が敗訴している。【水戸健一】(毎日新聞 2007/11/19)

日米共同の戦争司令部
昨年2月横田に創設

日米両政府の在日米軍再編合意に基づく日米共同の戦争司令部である「共同統合作戦調整センター」(BJOCC)が、昨年2月に米軍横田基地(東京都福生市など)に創設されていたことが判明しました。同センターがすでに活動を始めていることは今年6月に在日米軍側が明らかにしていましたが、設置時期が分かったのは初めてです。
同センターの設置は、事実上、自衛隊が米軍の指揮のもとに置かれ、憲法違反の集団的自衛権の行使につながる重大な動きです。
在日米軍再編で日米両政府は、米軍と自衛隊のいっそうの一体化・融合を狙っています。その中核の1つが、米軍と自衛隊との“統合司令部”である同センターです。在日米軍再編の日米合意(2005年10月)で横田基地への設置が打ち出されていました。
米軍準機関紙「星条旗」11月17日付によると、同センターは、同基地の在日米軍司令部の地下施設に設置され、昨年2月実施の日米共同統合指揮所演習で活動を開始。昨年7月の北朝鮮のミサイル発射などにも対応しました。24時間態勢で運用され、最大で150人が12時間交代で勤務できます。11月実施の日米共同統合実動演習でも使用されました。
同センターの設置は、アジア太平洋地域を管轄する米太平洋軍の司令官や日本の軍事当局者と在日米軍司令官との意思疎通をよりよくするのが狙いとされます。刻々と新しい戦況情報が送られてくる「危機行動チーム」のメーンフロアでは、それぞれの部署に米陸・海・空軍、海兵隊の兵士らとともに、それに対応した各自衛隊の兵士が配置されます。
在日米軍再編では、「ミサイル防衛」などを担う航空自衛隊航空総隊司令部(東京都府中市)が、10年に横田基地に移設される計画です。同基地に建設される航空総隊の新しい建物は、BJOCCとトンネルで結ばれる予定だとされています。(しんぶん赤旗 2007/12/01)

「空自イラク派遣は憲法9条に違反」 名古屋高裁判断
自衛隊イラク派遣差し止めなどを求める集団訴訟の控訴審判決のなかで、名古屋高裁(青山邦夫裁判長)は17日、航空自衛隊が首都バグダッドに多国籍軍を空輸していることについて「憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」との判断を示した。ただ、結論は原告側の敗訴とした。
各地で提起された同種訴訟で違憲判断が示されたのは初めて。「実質的な勝訴判決」と受け止めた原告側は上告しない方針を表明している。勝訴した被告の国側は上告できないため、今回の高裁判決は確定する見通しだ。
判決はまず、現在のイラク情勢について検討。「イラク国内での戦闘は、実質的には03年3月当初のイラク攻撃の延長で、多国籍軍対武装勢力の国際的な戦闘だ」と指摘した。特にバグダッドについて「まさに国際的な武力紛争の一環として行われている人を殺傷し物を破壊する行為が現に行われている地域」として、イラク復興支援特別措置法の「戦闘地域」に該当すると認定した。
そのうえで、「現代戦において輸送等の補給活動も戦闘行為の重要な要素だ」と述べ、空自の活動のうち「少なくとも多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸するものは、他国による武力行使と一体化した行動で、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と判断。「武力行使を禁じたイラク特措法に違反し、憲法9条に違反する活動を含んでいる」とした。
さらに判決は、原告側が請求の根拠として主張した「平和的生存権」についても言及。「9条に違反するような国の行為、すなわち戦争の遂行などによって個人の生命、自由が侵害される場合や、戦争への加担・協力を強制される場合には、その違憲行為の差し止め請求や損害賠償請求などの方法により裁判所に救済を求めることができる場合がある」との見解を示し、平和的生存権には具体的権利性があると判示した。
ただ、今回のイラク派遣によって「原告らの平和的生存権が侵害されたとまでは認められない」と述べ、1人1万円の支払いを求めた損害賠償は認めなかった。また、訴えの利益を欠くなどとして、違憲確認や差し止め請求はいずれも不適法な訴えだと指摘。原告側敗訴とした一審・名古屋地裁判決の結論を支持し、原告側の控訴を棄却した。

〈憲法9条1項〉(戦争の放棄) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。(朝日新聞 2008/04/17)

イラク派遣訴訟控訴審判決要旨名古屋高裁
自衛隊のイラク派遣をめぐる訴訟の控訴審で、名古屋高裁が17日に言い渡した判決の要旨は次の通り。

【派遣の違憲性】
自衛隊の海外活動に関する憲法9条の政府解釈は、自衛のため必要最小限の武力行使は許されるとし、武力の行使とは、わが国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうことを前提としている。
自衛隊の海外での活動については(1)武力行使目的の「海外派兵」は許されないが、そうではない「海外派遣」は許される(2)他国による武力行使への参加に至らない輸送や補給などの協力は、他国による武力行使と一体となるようなものは自らも武力を行使したとの評価を受けるため許されないが、一体とならないものは許される(3)一体化の有無は、戦闘活動の地点と行動場所との地理的関係や行動の具体的内容、協力する相手の活動状況などを総合的に勘案して個々的に判断される?ことを内容としている。
イラク特措法はこうした政府解釈の下、人道復興支援活動または安全確保支援活動を行うこと(1条)、活動は武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないこと(2条2項)、戦闘行為が行われることがないと認められる地域で実施すること(2条3項)を規定。「国際的な武力紛争」とは国または国に準じる組織の間で生じる国内問題にとどまらない武力を用いた争いだ。
認定できる事実によると、2003年5月のブッシュ大統領による主要な「戦闘終結宣言」後も、米軍を中心とする多国籍軍はバグダッドなどの都市で、多数の兵員を動員し武装勢力の掃討作戦などを繰り返し、標的となった武装勢力は海外の勢力からも援助を受け、米軍の駐留に反対するなど一定の政治的目的を有して相応の兵力を保持し組織的、計画的に多国籍軍に抗戦している。
その結果、多数の死傷者が出ており多国籍軍の活動は単なる治安活動の域を越えている。イラクでは宗派対立に根差す武装勢力間の抗争や武装勢力と多国籍軍との抗争があり、これらが複雑に絡み合い泥沼化した戦争の状態になっている。多国籍軍と国に準じる組織と認められる武装勢力との間で、治安問題にとどまらない武力を用いた争いがあり、国際的な武力紛争が行われている。
特にバグダッドは07年に入っても、米軍がシーア派、スンニ派の両武装勢力を標的に掃討作戦を展開。武装勢力も対抗し、多数の犠牲者を出しており、国際的な武力紛争の一環として殺傷や破壊行為が現に行われ、イラク特措法にいう「戦闘地域」に該当する。
航空自衛隊は、米国の要請を受け06年7月ごろ以降、バグダッド空港への空輸活動を行い、輸送機3機により週4、5回、定期的にクウェートの空港からバグダッド空港へ武装した多国籍軍の兵員を輸送している。
空自の輸送活動は、主としてイラク特措法上の安全確保支援活動の名目で行われ、それ自体は武力の行使に該当しないとしても、現代戦では輸送なども戦闘行為の重要な要素であり、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っているといえる。
空自の空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員を、戦闘地域のバグダッドへ空輸するものについては、他国による武力行使と一体化した行動で、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない。
空自の空輸活動は、イラク特措法を合憲としても、武力行使を禁止した同法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる。

【平和的生存権】
平和的生存権はすべての基本的人権の基礎にあり、単に憲法の基本的精神や理念を表明したにとどまらず、憲法上の法的な権利として認められるべきだ。
裁判所に対し、その保護・救済を求め法的強制措置の発動を請求できる具体的権利性が肯定される場合がある。憲法9条に違反する戦争の遂行や武力行使などで個人の生命、自由が侵害される場合などには、裁判所に対し違憲行為の差し止め請求や損害賠償請求などにより救済を求めることができる場合がある。

【控訴人らの請求】
本件の違憲確認請求はある事実行為が抽象的に違法であることの確認を求めるもので、現在の権利や法律関係に関するといえず請求は確認の利益を欠き不適法だ。
本件の差し止め請求は防衛大臣による行政権の行使の取り消し変更またはその発動を求める請求を含む。このような行政権の行使に対し、私人が民事上の請求権を有すると解することはできず、訴えは不適法だ。
控訴人らの切実な思いには平和憲法下の国民として共感すべき部分が多く含まれるが、本件派遣によって具体的権利としての平和的生存権が侵害されたとまでは認められない。損害賠償請求で認められる程度の被侵害利益がいまだ生じているとはいえず、本件損害賠償請求は認められない。(共同通信 2008/04/17)

空自イラク派遣『違憲』 9条1項初判断 『武力行使と一体』
自衛隊のイラク派遣は武力行使の放棄などを定めた憲法9条1項に違反するとして、全国の市民や元外交官ら約1100人が国に派遣差し止めや慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は17日、多国籍軍の武装兵士を輸送する航空自衛隊(空自)の活動について「憲法に違反する活動を含んでいる」として違憲との判断を示した。同項について違憲の司法判断が示されたのは初めて。イラク特措法にも違反しているとした。慰謝料などの訴えそのものは棄却されており、主文以外の判決文に法的拘束力はない。 
勝訴した国側は事実上、上告できず、原告側も上告しないため判決は確定する見通し。
判決理由は、審理を担当した青山邦夫裁判長(退官)に代わって高田健一裁判長が代読した。
判決は、現在のイラクの状況について「泥沼化していて、国際的な武力紛争が行われており、イラク特措法でいう戦闘地域である」と指摘。
空自が米国からの要請を受け、2006年7月以降実施しているバグダッド空港への空輸活動について、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っていると認めた。
その上で「他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と述べ、「イラク特措法に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」と認定した。
派遣差し止めについては「控訴人(原告)らに違憲な戦争の遂行や協力などを強制される事態にはなっていない」として、原告としての訴えが認められないとした。
06年4月の名古屋地裁での1審判決は、派遣差し止めなどについて却下した。
これまで憲法9条に違反するとの判断が示されたのは1973年9月、札幌地裁で出た長沼ナイキ基地訴訟の判決だけ。長沼判決は、自衛隊の存在について憲法9条2項(戦力不保持)に違反しているとした。2審では原告住民が逆転敗訴、最高裁は原告の上告を棄却した。

証拠を重ね違憲性裏付け

<解説> 戦闘地域で行う兵たん活動も戦闘に参加していることと同じ−。名古屋高裁が示した判断は、派遣について、真っ向から違憲性と向き合って、結論を導き出したまれにみるものだ。
全国で約4年にわたり行われてきた市民の訴えに対し、裁判所は一度も憲法判断に踏み込むことはなかった。こと憲法9条に関しては、自衛隊の存在が違憲だと認定した1973年の札幌地裁の長沼判決以来であり、いかに裁判所が憲法判断を避けてきたかが分かる。
1審では裁判長の訴訟指揮により弁護団にとっては立証の機会が十分に与えられなかった。そこで控訴審では映像から書面までイラク戦争にかかわる多くの証拠を提出した。
現在のイラクの紛争状況を写したDVDは証拠として採用され、法廷で約30分間流された。証人の山田朗・明治大教授は「現代戦では輸送等の補給活動も戦闘行為の重要な要素である」という趣旨を話し、空自の輸送活動の違憲性を裏付けた。(名古屋社会部・長田弘己)

<自衛隊イラク派遣差し止め訴訟> 2004年1月の札幌地裁を皮切りに名古屋、東京、静岡など全国11地裁に市民ら約5800人が12件の訴訟を起こした。岡山地裁などの3件が現在係争中。(東京新聞 2008/04/18)

イラク空自訴訟、「違憲」判決確定へ
イラクで続く航空自衛隊の輸送活動をめぐり、憲法9条に違反すると初めての判断を示した名古屋高裁の控訴審判決が、2日午前0時の上告期限を迎え、確定する。
自衛隊のイラク派遣差し止めなどを求める訴えそのものは、判決で全面的に退けられていた。このため今回の集団訴訟の原告側は上訴する権利を持つものの、「歴史に残る画期的な判決。最高裁で争う必要がない」と評価し、上告しない。勝訴した被告の国側は上告できない。
これまで憲法9条をめぐる裁判で、違憲判断を下したケースは地裁で2件ある。しかし、敗訴した国側の上訴で確定せず、上級審は地裁判決を破棄し、憲法判断を避けた。原告・弁護団などによると、今回は自衛隊の活動について9条への違憲性を指摘した初めての確定判決となる。
4月17日の名古屋高裁判決は判決理由の中で、首都バグダッドがイラク復興支援特別措置法の「戦闘地域」にあたると認定。この地域での多国籍軍の空輸が9条1項に反すると指摘した。(朝日新聞 2008/05/02)

「政府の過ちただす」 違憲判決確定で原告会見
自衛隊のイラク派遣差し止め請求訴訟で、航空自衛隊のバグダッドへの空輸活動を違憲と判断した名古屋高裁判決が2日に確定したことから、原告団と弁護団が同日、名古屋市内で会見し「この判決を全国に広げて多くの市民と共有し、政府の過ちをただすことが、わたしたちの責務だ」とあらためて判決の意義を強調した。
原告団の池住義憲代表は「この判決を活用し、政府に政策の転換を迫りたい」と表明。イラク復興支援特別措置法の廃止と、自衛隊派遣の恒久法の法案提出の中止を呼び掛けた。
弁護団の川口創弁護士も判決確定証明書を手に「確定判決が同種の訴訟での判断基準になり、ほかでも(違憲と)認められる可能性が出てきた」と指摘。「政府の政策決定に緊張感が生じ、市民と司法を無視して派遣を継続することが難しくなった」と力を込めた。(共同通信 2008/05/02)

自衛隊、危険な任務にも 常任理事国入りで米高官
【ワシントン12日共同】アービジュー米国務副次官補(東アジア・太平洋担当)は12日、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りが実現すれば、自衛隊が武力行使を伴う危険な国連平和維持活動(PKO)などへの参加も求められるとの見方を示した。下院外交委員会小委員会の公聴会で証言した。
副次官補は日本の常任理事国入りを支持するという従来の米国の姿勢をあらためて示したが、常任理事国は「難しい決断が迫られる問題への対処が必要とされる。クラブに入れば会費を払わなければならない」と強調。常任理事国の地位を得れば、より一層の責任分担が求められるとの認識を示し、日本側にも“覚悟”を迫った格好だ。
副次官補は「ここ10−15年の間に、自衛隊の役割に対する世論には劇的な進展がみられる」とし、国連の活動に自衛隊を派遣することに抵抗感がなくなってきていると言及。「平和維持には時に武力行使が必要だといった認識が、日本国内でより受け入れられるようになってきていると思う」と述べた。(共同通信 2008/06/13)

自衛隊イラク派遣:差し止め訴訟 地裁で敗訴も原告側、高く評価 /岡山
◇「平和的生存権は基底的権利」と判示
憲法が保障する平和的生存権を「賠償請求の根拠になり得る具体的な権利」と判断しながらも、自衛隊イラク派遣の憲法判断には踏み込まなかった24日の岡山地裁判決(3次訴訟)。原告側は、平和的生存権を徴兵拒絶権などの具体例を示して「基本的人権の基底的権利」としたことを高く評価。一方で、憲法判断に触れなかった点については批判もあった。【石川勝義、坂根真理】

◇憲法判断避けたとの批判も

「自衛隊イラク派兵差止訴訟弁護団全国連絡会」の佐藤博文弁護士は札幌市から駆け付けた。「結論は敗訴だが、内容的には5年間イラク戦争に反対し、さまざまな人々が裁判を戦った成果が見事に反映された」と判決を評し、「有事法制など強制的に国民を動員する仕組みが現実に出来ている中で、抵抗権を具体的に示している」と意義を強調した。
名古屋弁護団事務局長の川口創弁護士は、「平和的生存権は『自衛隊は違憲』とする学者でも認めないことが多い。しかし、(名古屋高裁判決を踏襲して)権利性が認められ、正面から争える可能性を確認できた」と歓迎。また、具体的な権利名を挙げた点に触れ、「自衛隊員が海外派遣に『ノー』と言った場合、この判決を基に争える。時代状況を見据えた判決だ」とした。
一方で、憲法判断をしなかった点には厳しい意見が相次いだ。矢山有作原告団長は「司法の真の独立のため違憲立法審査権があり、裁判所はこれを十分に行使しなければならない。イラク派兵が海外での武力行使であるのは間違いなく、裁判所はなぜ判決で言えないのか。猛省を促したい」と語気を強めた。
河原昭文弁護団長は「平和的生存権については前進した。ただ、イラクの現状、自衛隊派遣の違憲性の判断は回避し、大事な裁判所の任務を拒否したと思う。(4月23日の)1・2次訴訟の判決は、今回の判決を超えてほしい」と話した。

◇識者が談話

名古屋高裁以降、初の司法判断となった岡山地裁判決の評価を識者に聞いた。【佐藤慶、石戸諭、松井豊】
高裁判決の平和的生存権に関する論文を執筆した奥平康弘・東京大名誉教授(憲法)は「名古屋高裁を意識した判決だ。特に平和的生存権の解釈に力点を置いている。(徴兵拒絶権など判決で)例示された事例に対応するような状況が乏しい以上、現実への影響は少ないが、憲法の持つ平和主義の精神を中心に据えた解釈だ。9条に基づく提訴の可能性を残した判決」との見方を示した。
また、平和的生存権に詳しい愛知大法科大学院の小林武教授(憲法)は「平和的生存権の内容を具体的に挙げた点が特徴といえる。政府は名古屋、岡山と続いた司法の判断に誠実に耳を傾け、現在日程に上っているソマリア沖への自衛隊派遣などに慎重になるべきだ」と語った。
百地章・日大教授(憲法)は「自衛隊のイラク派遣部隊は既に撤収しており、派遣差し止めと違憲確認を不適法として却下したのは当然」。平和的生存権については「現実的な侵害はないとして損害賠償請求を退けたが、一部の学説を基に裁判規範性まで認めたのは単なるリップサービスではないか」と述べた。
一方、高裁判決を「そんなの関係ねえ」と一蹴した田母神俊雄・元航空幕僚長は「議論を経て国会が決めたことを、司法がいちいち判断しないのは当然。平和的生存権をもとに命令を拒絶するような自衛官はいないだろう。高裁判決も傍論に過ぎず、今後の自衛隊の海外活動にも特段の影響はないのでは」と話した。(毎日新聞 2009/02/25)

自衛隊イラク空輸、日ごとの実績明らかに 記録全面開示
防衛省が、情報公開法に基づき、これまで実質非公開としてきた航空自衛隊のイラク空輸支援活動を記録した「週間空輸実績」を請求者に全面開示した。5月までの5回の請求に対しては、週の輸送日数を除いて黒塗りの不開示で、日ごとの発着場所や輸送人数、武装装備の詳細が開示されたのは初めて。請求者の異議申し立てを受けて、9月の政権交代後に一転して全面開示された。
請求していたのは、イラク派遣差し止め訴訟の原告団の1人だった岐阜県大垣市の近藤ゆり子さん(60)。開示の決定は9月24日付で、北沢俊美防衛相名で「現時点で不開示とする理由がないことから、そのすべてを開示することとした」としている。
開示された文書は、06年7月から、空自が撤退した08年12月までの「週間空輸実績」(124週間分)で、C130輸送機で空輸した日付と、自衛隊や米軍、国連などの輸送人数の内訳、それぞれの小銃や拳銃の携行数などが記録されていた。米兵の輸送が全体の約7割を占めていた。
同省は7月、国会などに03〜08年度の運航実績について、月別や総計を報告。821回で、輸送人数は4万6479人、うち米軍が2万3727人だったなど大枠を公表していた。今回の開示された文書で、さらに細かな活動実態が明らかになった。
近藤さんは07年1月から請求を繰り返してきたが、同省は「公にした場合、他国部隊等の動向が把握され、関係諸国・関係機関との信頼関係を損なうおそれがある」などとして事実上の不開示を続けてきた。近藤さんは、撤退後の今年5月も同様の理由で不開示とした決定を不服とし、7月に異議を申し立てていた。
近藤さんは「派兵の検証・総括をするための最低限の情報が開示されたことは喜ばしい。政権交代による『チェンジ』の兆しを感じる」と評価している。
昨年4月に名古屋高裁でイラク派遣違憲判決を引き出した元原告代表の池住義憲さんは「米軍の兵士と物資を運んでいたという事実が、開示資料で裏付けられた。新政権には情報公開だけでなく、派遣活動を厳しく総括した上で、説明責任を果たして欲しい」と話している。(朝日新聞 2009/10/06)

イラク空輸活動初の全面開示 政権交代で一転
防衛省は情報公開法に基づき、航空自衛隊がイラクで行った空輸活動を記録した「週間空輸実績」を請求者に開示した。陸上自衛隊が撤収した2006年7月以降の空輸活動で、昨年、名古屋高裁が憲法違反とした首都バグダッドへの米兵空輸を行っていた時期にあたる。自民、公明の前政権時代は黒塗りでの公開だったが、北沢俊美防衛相名の「現時点で不開示とする理由がない」との通知とともに初めて全面開示された。請求者は「政権交代の効果」と評価している。
開示された「週間空輸実績」は06年7月から空輸活動が終わった08年12月までの124週分。運航日数は467日あり、うち218日、47%がバグダッド空輸に充てられた。
空輸した人数は2万6384人。米軍は1万7650人で67%を占め、他国も含めると71%が兵士だった。一方、国連職員は2564人で1割にとどまった。
前政権で政府は「空自は人道復興支援を行っている」と説明してきたが、復興支援を担う国連職員に比べ、武力行使を伴う治安維持を担当する兵士の空輸数が圧倒的に多く、米軍などの「後方支援」にあたる実態があらためて確認された。
請求したのは、岐阜県大垣市田町の近藤ゆり子さん(60)。過去6回の請求は「実施期間」「運航日数」以外は黒塗りで開示され、空輸の実態は不明だった。
これを不服として4回異議申し立てをしたが、3回は「防衛省・自衛隊の効果的な運用に支障が生じる」「関係国・関係機関との信頼関係を損ねる」として不開示だった。今回は7月に異議申し立てし、北沢防衛相の9月24日付の通知とともに全面開示された。

◆真実示す方が有益

北沢俊美防衛相の話 国民の知る権利を阻害する政治は本来の姿ではない。一定の軍事機密があることは十分承知しているが、政治の意思として国民にきちんと情報を提供するよう官僚に指示すれば、このように明らかにできる。情報の隠ぺいは日本のためにも省庁のためにもならない。国民に真実が明らかになるプラスの方が、日本の政治としてはるかに大きい。

◆派兵の本質判明

名古屋イラク訴訟弁護団の川口創弁護士の話 イラク派兵の本質が米国などの軍事作戦の一環だったと判明した。鳩山政権には、小泉政権で進められたイラク戦争支持と派兵の総括を求め、「国際貢献=自衛隊」の構図を改めるよう期待する。

<イラク空輸活動> イラク特別措置法に基づき、航空自衛隊のC130輸送機3機が2004年3月から08年12月まで、クウェートを拠点にバグダッド空港などイラクの空港に国連や多国籍軍の兵士、物資を空輸した。名古屋高裁は昨年4月、「他国の武力行使と一体化し、憲法9条などに違反する」と違憲判断を下したが、政府は拘束力はないとして活動を継続させた。(東京新聞 2009/10/06)

自衛隊の国際平和協力活動後押し 米が国家軍事戦略発表
【ワシントン共同】米軍の最高機関、統合参謀本部(マレン議長)は8日、軍指針となる「国家軍事戦略」を発表、自衛隊による国際平和協力活動の能力拡大や、日本と韓国の間の防衛協力を支援する方針を示した。中国の軍拡や朝鮮半島情勢を踏まえ、米軍は「北東アジアの戦力を今後数十年間堅持する」と明記する一方、地域の安定化に向けた自衛隊の役割拡大に期待をにじませる内容となった。
国家軍事戦略は、昨年2月公表のオバマ政権の安全保障戦略指針「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」などを具体化する軍側の指針。統合参謀本部によると全面改定は2004年以来で、オバマ政権下では初めて。
アジア太平洋地域の分析では、北朝鮮に関し、核兵器開発の進展と金正日総書記からの権力継承問題が情勢を不安定化させ、核拡散につながる危険性を指摘。中国の人民解放軍による軍事力近代化の戦略的意図が不透明なことや、南シナ海や東シナ海、黄海での攻撃的対応について「懸念を持ち続けている」とした。
こうした安全保障環境を受け、新たな「防衛計画の大綱」に盛り込まれた自衛隊の国際平和協力活動の強化方針を「支援する」と強調。米国や友好国の安全や権利を危険にさらす行為にも「必要な手段を講じる」とくぎを刺した。(共同通信 2011/02/09)

米、憲法9条は防衛協力の障害 日米同盟で議会報告書
【ワシントン共同】米議会付属の議会調査局が今年1月にまとめた日米同盟に関する最新報告書で、戦争放棄をうたった憲法9条に基づき、集団的自衛権は行使できないとする日本政府の解釈が、より強固な日米の防衛協力を進める上で障害になっているとの見方をあらためて強調していたことが10日分かった。
米政府は、北朝鮮の核搭載ミサイルが5年以内に米本土への「直接の脅威になる」(ゲーツ国防長官)と警戒している。報告書はミサイル発射などの可能性を念頭に、米国が攻撃を受ける局面でも日本は何の対応もできないと懸念を示した。
報告書は「憲法と法的な制約」と題した項目で、日本側の幾つかの法的要因が日米協力の足かせになっていると指摘。最も根本的な問題は「戦後の占領期に米国が起草し、『国権の発動』としての戦争を放棄して『交戦権』を禁じた日本国憲法9条だ」とした。
さらに自国と密接な関係にある国が武力攻撃を受けた場合、自国が直接攻撃されていなくても実力で阻止できる集団的自衛権についても、日本政府が行使できないと解釈していることが「密接な防衛協力にとって障害」と問題視した。(共同通信 2011/02/10)

PKO、武力行使も容認…安保理議長声明採択へ
【ニューヨーク=柳沢亨之】国連安全保障理事会が26日、平和維持活動(PKO)に関する会合を開き、紛争当事者に対する原則として、不介入を意味する「中立」でなく、武力行使も容認される「公平」を掲げる議長声明を全会一致で採択することがわかった。「中立」を前提とする日本のPKO5原則の見直し論議への影響も予想される。
本紙が25日入手した声明案は、PKO活動の原則として「当事者の同意」「自衛限定の武器使用」と並んで「公平」を挙げている。
「公平」の原則はこれまでも国連事務局内部文書で確認されているが、安保理で正式に採択されることになる。外交筋は「市民を弾圧する当事者への武力行使も辞さないとの国連の方針に安保理がお墨付きを与える意義は大きい」と解説する。
PKOは従来、停戦監視などの任務が中心で、国連も長年、「中立」を原則としてきた。しかし、1990年代以降は内戦が戦われていた国に派遣されるケースが増え、市民保護を目的に武力行使を認める「公平」の概念が重視されるようになった。今年4月にはPKO部隊が、落選後も居座りを続けるコートジボワール大統領の官邸を襲撃して投降させたこともあった。(読売新聞 2011/08/27)



【関連サイト】

自衛隊イラク派兵差止訴訟の会

イラク派兵違憲訴訟の会・東京

自衛隊イラク派兵差止北海道訴訟

自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本

自衛隊イラク派遣に反対する訴訟 〜 関西

「派兵は決定的違憲」市民訴訟の会・山梨

オホーツク新聞緊急インタビュー(箕輪 登/天木直人)

陸上自衛隊のイラク派遣命令に反対する声明(京都弁護士会)

自衛隊のイラク派遣に反対する総会決議(日本国際法律家協会)

国を亡ぼし、国民を不幸にする自衛隊のイラク派兵反対(元防衛庁教育訓練局長・新潟県加茂市長 小池 清彦)



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