米研究チーム、リシンのワクチンを開発…効果も確認
【ワシントン=笹沢教一】テロに使われる恐れのある猛毒リシンに対するワクチンを、米テキサス大の研究チームが作り出し、臨床試験で予防効果を確認した。
リシンワクチンの開発は世界初。30日付の米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
研究チームは、リシンを遺伝子操作して無毒化したワクチンを実験協力者15人に注射。一定量以上のワクチンを受けた人の血中にリシンに対する抗体ができていることを確認した。
抗体の働きを確認するため、実験用のマウスに抗体と致死量のリシンを与えたところ、マウスは死なず、ワクチン投与によってできたリシン抗体が機能していることが認められた。
リシンはヒマ(トウゴマ)の種子からひまし油を取った後のしぼりかすから抽出される天然の猛毒。
米国ではホワイトハウスや議会にあてた郵便物からリシンが見つかる事件が起きている。英ロンドン北部のアパートでリシンが押収されたこともある。(読売新聞 2006/01/31)サリン実験の過失認める 英国防省、53年ぶり
【ロンドン14日共同】英国の化学・生物兵器研究施設で1953年、元英軍兵士=当時(20)=が死亡した事件で、英国防省は13日、軍に「重大な過失があった」とする合意書を遺族側と交わし、神経ガスのサリンを使った実験で元兵士が犠牲になったことを53年ぶりに認めた。
兵士は液体のサリンを腕に垂らされた後、意識を失って死亡したとされる。当時は「事故死」とされたが「死因はサリンの人体実験によるもの」とする遺族の再審請求を2002年に高等法院が認め、その後の再審で「兵士は不当な行為で死に至った」と認定された。
同施設での実験をめぐっては、後遺症に悩む500人以上の元兵士が政府に損害賠償を要求している。(共同通信 2006/02/15)マラリアまん延させ米英軍阻止狙う=伊で「生物兵器」作戦−ナチス・ドイツ
【ロンドン14日時事】14日付の英紙デーリー・テレグラフによると、第2次世界大戦中にナチス・ドイツがイタリアで、マラリアを媒介する蚊を大量に発生させ、米英連合軍の進撃を阻止しようとしていたことがこのほど明らかになった。(時事通信 2006/02/15)生物テロ攻撃想定し訓練 米政権
【ワシントン18日共同】ブッシュ米政権は18日、天然痘ウイルスを使った生物テロ攻撃を想定した訓練をホワイトハウス近くの施設で実施。大きな被害を出した昨年夏のハリケーン「カトリーナ」襲来の際の対応遅れが批判されたのを教訓に、緊急時の対策をあらためて確認した。米メディアが伝えた。
訓練にはチャートフ国土安全保障長官やレビット厚生長官ら政府高官も参加。ブッシュ大統領は週末をワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドで過ごしており、参加しなかった。
天然痘ウイルスは、炭疽(たんそ)菌などと並び生物テロへの悪用が懸念されているが、ホワイトハウス側は天然痘ウイルスによるテロの差し迫った危険があるわけではないとしている。(共同通信 2006/03/19)アルカイダによるバイオテロは現実的な脅威=インターポール幹部
【シンガポール29日ロイター】国際刑事警察機構(インターポール)の幹部が、アルカイダは生物化学兵器を使って攻撃を行う能力があり、そうした攻撃の脅威は依然として現実的なものだとの見解を示した。インターポールのバイオテロリズム小委員会のアボット委員長が、当地でアジアの司法当局者や医療専門家の会合に出席した際、ロイターのインタビューに応じた。
アボット氏は、各国の警察や医療サービスは危険な毒物を用いた攻撃に対する用意ができていないうえ、そうした攻撃に対処するための知識や能力に欠けている、と指摘。「脅威は存在する。アルカイダは生物・化学物質の使用を容認する姿勢を明らかにしている。その能力があることを示唆するケースが最近、世界中でいくつか報告されている」と述べた。
「この問題を真剣に考えれば、われわれはどんな事態にも備えができていると考えるのは自己満足にすぎないと誰もが気付くだろう。犯罪者やテロリストは革新的だ」と語った。(ロイター通信 2006/03/29)米軍 毒ガス海洋投棄 戦中戦後に70カ所 流出の懸念も
【ロサンゼルス24日共同】第2次世界大戦で旧日本軍や米国、ドイツなどが貯蔵していた毒ガスなど化学兵器を、米軍が戦中から戦後にかけ、世界各地の海に大量投棄していた実態が24日までに、米軍の調査報告書で明らかになった。投棄場所は日本近海を含め70カ所。容器の腐食で毒ガス流出が懸念され「海の時限爆弾」(米環境保護団体)になりかねない状況が浮き彫りになった。
当時、保管場所や処理に窮した米軍が投棄していたことは断片的に知られてきたが、全体像が示されたのは初めて。報告書は2001年に作成され、一般に知られていなかったが、バージニア州の地方紙「デーリー・プレス」が昨年10月に概要を報道。共同通信もこのほど報告書を入手した。
報告書によると、米軍は戦中から日本近海を含む太平洋や大西洋、インド洋、北海、メキシコ湾など計70カ所の海上で投棄を実行。1970年が最後で、米議会は72年に海洋投棄を禁じた。
投棄された化学兵器はマスタードガスや神経ガスのVXなど少なくとも10種類。マスタードガスだけでも砲弾約45万発、容器などに入った状態で少なくとも8万1000トンに上る。ただ、内容や量が不明な投棄記録も多く、戦前には海洋投棄がより一般的だったため、実際には報告書をかなり上回る量が投棄されたとみられる。
日本近海では、主に旧日本軍が製造した嘔吐(おうと)性ガス弾11万発などを、計6カ所で45年から46年にかけ投棄。ハワイ・オアフ島のわずか約8キロ沖にマスタードガス弾1万6000発が投棄されたことも記録されている。
特異な例では60―64年に大西洋で、少なくとも190トンの放射性廃棄物が化学兵器とともに捨てられた。北海での投棄は大半が旧ドイツ軍のマスタードガスだが、サリンなど神経ガスも大量投棄されたとされる。(西日本新聞 2006/05/25)組み換え生物を違法使用 文科省が2機関を厳重注意
文部科学省は8日、法に基づく適切な措置を取らずに遺伝子組み換え生物を使用するなどしたとして、琉球大(沖縄県西原町)と産業技術総合研究所(茨城県つくば市)を厳重注意した。生物は拡散しておらず、周辺環境に影響はないという。
同省などによると、琉球大では医学部の教授らが、クラゲの遺伝子を組み込んだエイズウイルス(HIV)を、文科相の承認を得ずに使用していた。
産総研では、生物機能工学研究部門などが第6事業所で、必要な表示をせずに遺伝子組み換えマウスを9つの部屋で飼育。うち一部屋の入り口には、マウスが逃げるのを防止する板を設置していなかった。(東京新聞 2006/09/08)琉大HIV違法使用 遺伝子組み換え ウイルスで実験
琉球大学は8日、医学部で遺伝子組み換えエイズウイルス(HIV)の違法使用があったとして、文部科学省から厳重注意を受けた。同省によると、使用されていたHIVは文科相の承認が必要だが、同大の認識不足で法に基づく申請をしていなかった。HIVは拡散しておらず、周辺環境に影響はないという。
文科省によると、琉大医学部の教授らは研究の一環で、クラゲの遺伝子を組み込んだHIVを文科相の承認を得ずに実験などに使っていた。
今年4月と8月、同省が2回の現地調査を行い、違法使用を確認した。拡散防止措置は適切に行われていたという。
2004年2月施行の法律で、安全性が定まっていない遺伝子組み換え生物を取り扱う場合、文科相の承認が義務付けられている。しかし、琉大は担当者の認識が不十分で、法施行以前の使用方法を今年4月ごろまで続けていた。
琉大は8月、学内安全委員会の体制強化や責任の明確化、法理解のための勉強会開催などを盛り込んだ再発防止策をまとめ、文科省に提出した。
ほかに、遺伝子組み換えマウスの取り扱いが不適切だったとして、産業総合研究所(茨城県つくば市)も同省の厳重注意を受けた。(沖縄タイムス 2006/09/09)風邪ウイルスの付着、ホテル客室で実験 米研究
サンフランシスコ(AP) 風邪をひいたホテル宿泊客のウイルスは、テレビのリモコンや照明のスイッチなど客室内の至る所に付着し、数日後まで感染源となり得る──。米医師らによる研究で、こんな実験結果が報告された。
研究を実施したのは、耳鼻咽喉科専門医のバージット・ウィンサー博士ら。このほど開かれた米微生物学会で成果を発表し、「ホテルだけでなく、家族が風邪をひいた時の感染予防にも役立つはず」と強調した。
研究チームは、軽い風邪の代表的な原因とされるライノウイルスに注目。感染が確認された患者15人に、最寄りのホテルで一晩を過ごしてもらい、退室後、それぞれの患者が「触れた」と申告した備品など10点をチェックした。ウイルスの付着が確認されたのは、ドアの取っ手(14件中7件)、ペン(14件中6件)、照明スイッチ(15件中6件)、テレビのリモコン(同)、水道の蛇口(同)、電話機(15件中5件)など。一方、水洗トイレのハンドルでウイルスが検出されたのは、10件中1件にとどまった。また、ウイルスは布に付着すると乾燥して活動が弱まるため、ベッドカバーなどの布製品は対象外とした。ウィンサー博士はこの結果について、「ウイルスは予想を上回る率で残っていた。放置すれば4日間以上存続するはずだ」と話している。
研究は、洗剤メーカー大手レキット・ベンキーザーの出資で行われた。同社は殺菌作用のある家庭用清掃洗剤などで知られているが、今回はウイルスに関する基礎的なデータ収集が目的で、商品の効果は試していない。
これに対し、ホテルチェーン大手ヒルトンの客室係を統括するミシェル・パイク氏は「わが社の全ホテルでは、宿泊客がチェックアウトした後、リモコンから電話機に至るまで、すべて殺菌消毒する。感染の可能性は、家庭よりずっと低いはずだ」と主張している。(CNN 2006/10/08)「スペイン風邪」免疫異常で重症化 人工ウイルスで実験
世界で大流行した「スペイン風邪」と呼ばれるインフルエンザのウイルスが、ウイルスに対抗する免疫機能の異常を引き起こす強い病原性によってサルを死なせてしまうことを、河岡義裕・東京大医科学研究所教授を中心とする日米カナダの研究グループが実験で示した。18日付の英科学誌ネイチャーで発表する。
1918年から数年間猛威をふるったスペイン風邪は、全世界で4000万人の死者を出したとも言われている。その後、残されていた当時の標本などからウイルスの遺伝子配列がわかり、同じウイルスを人工的に作り出せるようになった。グループは、人工ウイルスを生物学的にヒトに近いカニクイザルに感染させ、症状を調べた。
ヒトやサルはウイルスに感染すると、その活動を阻止しようとする免疫機能が体内で働く。ウイルスの増殖を阻止するため、インターフェロンというたんぱく質を分泌することなどが知られる。
ところが、この人工ウイルスに感染させたサルの場合、インターフェロンの分泌が抑えられるなどの異常が現れた。その結果、体内でウイルスが増え続けて肺炎や肺水腫を起こし、死に至ることがわかった。インフルエンザウイルスが、マウスなどに重い症状を起こすことは実験で確かめられていたが、サルの仲間で重症化の仕組みが確認できたのは初めてだ。
現在、アジアを中心に問題となっている鳥インフルエンザウイルスがヒトに重い症状を起こすのも、同様の仕組みで説明できる可能性がある。河岡教授は「さらに研究を進めることで、鳥インフルエンザや新型インフルエンザの治療に役立てたい」と話している。(朝日新聞 2007/01/18)『子どもできなくする米の陰謀』 ポリオワクチン 接種イヤ!!
【バンコク=大場司】イスラム保守派の勢力が強いパキスタン北西辺境州で、「子どもをつくれなくする米国の陰謀だ」とのデマを信じ、自分の子どもへのポリオのワクチン接種を拒否する親が相次いでいる。AFP通信が伝えた。
同州の保健当局者によると、宗教的な理由などで、ワクチン接種を受けていない子どもは2万4000人前後に上る。特にアフガニスタンの旧政権タリバンと親密な民族地域では、ワクチン接種への抵抗が強いという。
イスラム保守派のラジオ局が「イスラム教徒を断種させ、人口を減らすための米国の陰謀だ」とのデマを流していることが影響している。ラジオ局は大半が無許可で設置され、西欧へのジハード(聖戦)を呼び掛けるなど以前から問題視されている。
保健当局は「ワクチン接種は子どもをつくる機能に影響しない」とデマを信じないよう呼び掛けている。
パキスタンでは昨年、ポリオは40症例が確認されている。(東京新聞 2007/02/17)遺伝子組み換えマウスが逃亡 成田空港で
輸出のため成田空港に運び込まれた遺伝子組み換えマウス1匹が今年1月、保管中に箱から逃げ出していたことがわかった。文部科学省が2日発表した。遺伝子組み換え生物は、環境に出ると生態系に悪影響を与えるおそれがあるため、法律で厳重な閉じ込めが義務づけられている。すぐに回収されたが、文科省は、マウスを作製・搬入した実験動物中央研究所(川崎市)に厳重注意した。
文科省によると、今回のマウスは人間の白血病の研究などに使われるもので、輸出するため同研究所が1月23日、40匹を5匹ずつ箱に入れて成田空港の動物室に搬入した。
翌日、飛行機に積み込もうとしたところ、作業員が輸送箱から逃げ出したマウス1匹を動物室内で見つけ、捕まえた。箱の1つに穴が開いており、マウスが箱を食い破って出たらしい。
動物室には40匹のほかにマウスはおらず、逃亡中に交尾した可能性は考えられないという。
同研究所はマウスを逃がさないよう箱の内側に金網をつけることにしているが、今回の箱にはついていなかった。
遺伝子組み換え生物は、生物多様性条約カルタヘナ議定書に基づく国内法(カルタヘナ法)で規制されている。
文科省によると、動物の逃亡は04年の同法施行以来、初めて。(朝日新聞 2007/03/02)遺伝子組み換え:ウイルスを無届け使用、3機関に厳重注意
遺伝子組み換えウイルスを無届けで使っていたとして、文部科学省は18日、千葉県がんセンター、広島大、シゲタ動物薬品工業(富山県小矢部市)の3機関に厳重注意し、再発防止を求めた。
3機関は、風邪や鳥インフルエンザなどの遺伝子組み換えウイルスを03〜04年から実験に使用。法に基づく文科相の確認が必要だが、申請書は未提出だった。同省の現地調査によると、外部へのウイルス拡散はないという。【下桐実雅子】(毎日新聞 2007/05/18)新型結核の患者発生で大騒ぎ=「細菌テロ攻撃」連想する声も−米
【ワシントン31日時事】薬への耐性が強く最悪の場合は死に至る新型の結核菌に感染した患者が米国で発生、44年ぶりに強制的な隔離命令を受けて大騒ぎになっている。テレビは病院前から断続的に生中継放送を行うだけでなく、専門家が出演してこの病気の恐ろしさを訴えている。しかもこの患者が感染したまま欧州との間を飛行機で往復していることから、「もしこれが細菌テロだったら大変だ」として、国境警備の甘さを問題視する声まで出始めた。(時事通信 2007/05/31)米軍、沖縄で枯れ葉剤散布 60年代、元兵士にがん
【マニラ8日共同】米軍がベトナム戦争で使用した、猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を1961−62年、沖縄の米軍北部訓練場(国頭村・東村)などで散布、作業に携わった元米兵が前立腺がんの後遺症を認定されていたことが8日までに米退役軍人省の公式文書で明らかになった。米領グアム島での枯れ葉剤使用の実態調査を進めているグアム議会議員らが入手した。
米軍が沖縄に枯れ葉剤を貯蔵していたとの指摘はこれまでもあったが、貯蔵・使用が文書で認定されたのは初めて。文書は米軍が沖縄に枯れ葉剤を集積、ベトナムへの運搬基地としていたことをうかがわせており、現在も北部訓練場などの土壌にダイオキシンが残留している可能性もある。
同訓練場は96年の日米両政府合意で面積7800ヘクタールのうち約4000ヘクタールの返還が決まっており、今月3日には一部返還に向けた工事が始まったばかり。周辺は「沖縄の水がめ」ともいわれる地域で、汚染除去問題などを契機に県民の反米感情が高まれば、米軍基地返還や移設をめぐる協議の行方にも影響を与えそうだ。
文書は後遺症の補償などを求めた元米兵に対する退役軍人省不服審判委員会の98年1月13日付の決定文。
決定文によると、元米兵は61年2月から62年4月まで輸送兵として沖縄に赴任。枯れ葉剤が入ったドラム缶の輸送やドラム缶に枯れ葉剤を注入する作業のほか、北部訓練場内とその周辺の道路脇の雑草除去のために枯れ葉剤の散布を行った。上官は枯れ葉剤の害については説明せず、防護服なども与えられなかったため散布の際、枯れ葉剤が身体や衣服に付着した。
元米兵は、このため前立腺がんになったと主張。決定は沖縄での枯れ葉剤使用を示す軍の公式書類はないとしたが、元米兵の証言内容や証拠は「矛盾がなく正当」とし、前立腺がんがダイオキシンを浴びたことに起因するのは確実として、補償などの権利を認めた。(共同通信 2007/07/08)口蹄疫:近隣研究施設、感染源の疑い──英国、ウイルス一致
【ロンドン共同】英南部サリー州ギルフォード近くの畜産農家で約60頭の牛から家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)感染が確認された問題で、英保健衛生当局は5日、牛から検出されたウイルスと、感染農家近くの動物研究施設が保管していたウイルスが同型で、感染源となった疑いがあるとして同施設の立ち入り調査を実施した。
ブラウン首相は4日、夏休みを打ち切ってロンドンに戻り緊急閣僚会議を開催。感染源や感染規模の把握、拡大防止に全力を挙げる構えだ。感染した牛約60頭は同日、処分された。
感染源の疑いのある研究施設は、大手動物用医薬品メーカー「メリアル」が所有。この施設で7月中旬、ワクチン製造に使われたウイルスと、感染牛から検出されたウイルスが同型だったとされる。英政府系の研究施設も隣接しており、同様に調査対象となっている。(毎日新聞 2007/08/06)組み換えウイルスを流す 一般排水に、タカラバイオ
文部科学省は7日、遺伝子治療の研究、開発などをしているタカラバイオ(大津市)が、実験で使った遺伝子組み換えウイルスが入った溶液を一般排水として流していたと発表した。
文科省によると、このウイルスは増殖に必要な遺伝子を欠損させており、人の体内、自然環境中で増殖する可能性はほとんどない。感染は血液などを介した場合だけで、今回流した排水が原因で人に感染する危険はないという。文科省は同社に文書で厳重注意した。
文科省や同社によると、流したのは免疫に関する人の遺伝子を組み込んだレトロウイルス。8月2日と17日、実験を終えた研究員がこのウイルスを含む溶液0.03ミリリットルと0.5ミリリットルを実験室内の流しに流した。ウイルスは数万−数十万個入っていたとみられる。
この研究員は、遺伝子組み換えウイルスが含まれていることを実験責任者から知らされていなかったという。(共同)(中日新聞 2007/09/07)カナダ:枯れ葉剤被害に補償金 60年代の米軍実験
【ニューヨーク共同】カナダ政府は12日、ベトナム戦争中の66〜67年にカナダ軍基地で米軍が行った枯れ葉剤の散布実験により健康被害を受けた住民らに、1人当たり2万カナダドル(約220万円)の補償金を支払うと発表した。カナダ通信などが伝えた。外国政府により散布実験の事実が公式に認められたのは初めてとみられる。
同通信によると、枯れ葉剤が散布されたのはカナダ東部ニューブランズウィック州のゲージタウン基地で、米軍はヘリコプターで約338キロの枯れ葉剤を複数回散布したという。その後、基地で勤務していた元軍人や近隣住民に呼吸器疾患などが報告され、補償を求める動きが出ていた。
カナダ政府は12日の声明で、枯れ葉剤と健康被害の因果関係を認め、基地で勤務した元軍人や5キロ以内に住んでいた住民らのうち被害が認められた被害者に補償金を支払うと表明した。対象者は約4500人という。
米軍はベトナム戦争中、密林を枯らす目的で猛毒ダイオキシンを含んだ枯れ葉剤を散布。散布地域ではがんが多発し先天性異常児も多く生まれている。米退役軍人省の文書によると、沖縄でも61−62年に散布されていたことが判明している。(毎日新聞 2007/09/13)ノーベル賞博士が差別発言「黒人、知能で白人に劣る」
DNAの二重らせん構造を発見し、1962年のノーベル医学・生理学賞を共同受賞した米コールド・スプリング・ハーバー研究所会長のジェームズ・ワトソン博士(79)が「黒人は知能で白人に劣る」と発言し、新著宣伝のため訪問していた英国内で波紋を広げている。
政治、宗教、人種問題をめぐる歯にきぬ着せぬ発言で知られる同博士は、14日付の英日曜紙サンデー・タイムズのインタビューで「アフリカの人々(黒人)の知能はわれわれと同じという前提で社会政策がつくられているが、すべての知能テストがそうではないことを示している」と発言。「今後10年内に遺伝子が人間の知能に差をもたらしていることが発見されるだろう」などと語った。
19日に同博士の講演を予定していたロンドンの科学博物館は17日、「博士の発言は科学的論争の限界を超えている」として講演会の中止を決定した。(ロンドン 木村正人)(産経新聞 2007/10/19)ノーベル賞学者、黒人差別発言 米英で大きな波紋
【ロンドン=土佐茂生】DNAの二重らせん構造を発見して1962年にノーベル医学生理学賞を受けた米国の分子生物学者ジェームズ・ワトソン博士(79)が英紙とのインタビューで、黒人が人種的に劣っているという趣旨の差別発言をし、大きな波紋を呼んでいる。
同博士は14日付のサンデー・タイムズ紙で「アフリカの将来を悲観している」とし、「社会政策はすべて、彼ら(=黒人)の知性が我々の知性と同じだという前提を基本にしているが、すべての研究でそうなっているわけではない」と語った。さらに「黒人労働者と交渉しなければならない雇用主なら、そうでないことを分かっている」と続けた。
この発言に対して、同博士が所属する米ニューヨーク州のコールド・スプリング・ハーバー研究所の理事会は18日、「遺憾だ。我々は、ワトソン博士の発言につながるような研究は一切行っていない」と厳しく批判。博士を停職とすることを決めた。
ワトソン博士は新著の宣伝活動で英国を訪れていたが、講演のキャンセルが相次いだ。博士は18日、「ただただ謝るのみ。発言は私の本意ではない。もっと大切なことは、発言に科学的な根拠がまったくないことだ」と謝罪し、宣伝活動を中止して帰国した。(朝日新聞 2007/10/20)エボラウイルスを無毒化 東大チームが世界初
感染すると致死率が50−90%と高く、ワクチンも治療薬もないエボラ出血熱の原因であるエボラウイルスを遺伝子操作で無毒化し、実験用の特殊な人工細胞の中でしか増えないようにすることに、東京大医科学研究所の河岡義裕教授、海老原秀喜助教らが世界で初めて成功し、米科学アカデミー紀要に22日、発表した。
ウイルスの危険性が研究のネックだったが、この無毒化ウイルスを使えば、治療薬探しなどの研究が進むと期待される。このウイルスをワクチンとして使う道も考えられるという。
チームは、遺伝子からウイルスを合成する「リバースジェネティクス」という手法を使い、エボラウイルスが持つ8個の遺伝子のうち、増殖に欠かせない「VP30」という遺伝子だけを取り除いたウイルスを作製した。
できたウイルスは、通常の細胞の中では増えず、毒性を発揮しないが、VP30遺伝子を組み込んだサルの細胞の中でだけ増殖。それ以外の見た目や性質は、本物のエボラウイルスと変わらず、治療薬探しなどの実験に使えることを確認した。
エボラウイルスを使った研究は、感染事故などを防止するため、研究者が宇宙服のような防護服を着用するなど、厳重な封じ込め措置が取られた「P4」と呼ばれる研究施設でしかできない。
河岡教授は「無毒化ウイルスは、通常の実験室でも扱えるため、エボラウイルスの解明が大きく進むと期待できる」と話している。<エボラ出血熱> エボラウイルスが原因の急性感染症。重症化すると吐血、鼻出血などを伴う。ワクチンや治療法はなく、感染者の致死率は50−90%。米疾病対策センターによると1976年のザイール(現コンゴ)での集団発生が初の記録。動物のウイルスが人の世界で広がった新興感染症の代表例とされるが、保有動物は特定されていない。ウイルスが生物兵器テロに利用される恐れも指摘されている。(共同通信 2008/01/22)
米炭疽菌事件で容疑者特定 陸軍研究所科学者らと報道
【ニューヨーク28日共同】米FOXテレビは28日、2001年の米中枢同時テロ後に米国で起きた炭疽菌事件で、米連邦捜査局(FBI)がメリーランド州フォートデトリックの陸軍感染症医学研究所で炭疽菌研究にかかわった科学者ら4人を容疑者と特定、捜査を進めていると報じた。
事件は炭疽菌入りの郵便物を報道機関や政府機関に送り付ける生物テロで、5人が肺炭疽で死亡、全世界を震撼させた。生物兵器の開発を進めてきた同研究所の関係者の関与が確認されれば、管理責任を含め軍への批判が強まるのは必至だ。
同テレビによると、FBIが捜査対象としているのは、炭疽菌研究ではトップレベルとされる研究者、微生物学者ら科学者3人を含む4人。現在、郵便物に残された筆跡を4人と照合する作業中で、事件でどのような役割を果たしたかについては明らかにされていない。容疑者は4人からさらに絞り込まれる可能性がある。(共同通信 2008/03/29)神戸大:廊下で大腸菌培養 遺伝子組み換え実験で──大学院医学研究科 /兵庫
神戸大は4日、大学院医学研究科(神戸市中央区)の50歳代の男性教授のグループが、法令に基づく遺伝子組み換え実験に関する大学規則に反し、実験室外の廊下で大腸菌の遺伝子組み換え実験の一部を行ったと発表した。神戸大は、大腸菌に病原性はなく、実験に使ったフラスコは密閉されており、人体への影響はないとした。
神戸大によると、遺伝子組み換え実験は、生態系に影響を与える恐れがあるため、法令で定められた拡散防止措置を施した実験室などの施設で行わなければならない。ところが、教授のグループは、昨年から今年3月にかけ、遺伝子を組み換えた大腸菌の培養実験を廊下に置いていた培養装置で行った。神戸大の調査に対し、教授は「実験室が狭くなったから装置を廊下に置いた」と説明したという。
今年3月に文部科学省に「不適切な実験が行われている」という内容の通報があり、神戸大は実験を中止させ、調査していた。【岩嶋悟】(毎日新聞 2008/04/05)遺伝子操作の大腸菌、下水に 神戸大教授が不法投棄指示
神戸大大学院医学研究科(神戸市中央区)の久野(くの)高義教授(57)の研究室(分子薬理・薬理ゲノム学)で、がん発症のメカニズムを研究するために遺伝子を組み換えた大腸菌や酵母を滅菌処理せず、違法に処分していたことがわかった。同教授によると、滅菌処理は手間がかかるため、院生らに違法な投棄を指示していたという。文部科学省は同大に調査と報告を求めている。
久野教授らによると、同研究室では、発がんの仕組みなどを調べるため、大腸菌や酵母の遺伝子を組み換えて培養。少なくとも4年ほど前から、大腸菌などが入った培養液や寒天状の培地を加熱処理して死滅させず、そのまま下水に流したり、一般ごみとして捨てたりしていたという。
遺伝子組み換え生物を扱う実験では、危険度に応じて管理方法が4段階に区分されているが、同研究室は危険度が最も低い「P1」レベルだった。遺伝子組み換え生物等規制法は、生態系へ影響を与えないよう、拡散防止措置を取らなければならないと定めている。違反すると、懲役1年以下か100万円以下の罰金と定められている。
久野教授は朝日新聞の取材に「実験に使っていた大腸菌が人体に無害であることから、安全だと過信して処理に手を抜いてしまった」と話している。同研究室には助教、助手、大学院生ら約25人が在籍している。
文部科学省生命倫理・安全対策室によると、3月17日に、処理について匿名の通報があり、神戸大学に調査を指示した。同大は今月4日、遺伝子を組み換えた大腸菌を廊下で違法に培養していたと発表。菌の処理方法については「調査中だが、流出は確認されていない」と説明していた。
大阪大微生物病研究所の菊谷仁所長(免疫学)は「遺伝子を組み換えた大腸菌は生命力が弱く、自然界に出してもすぐに死んでしまうが、環境や人間への実害がほとんどないからといって、違法に処理するのは、倫理上の観点からも問題がある」と話している。(朝日新聞 2008/04/11)遺伝子組み換え大腸菌など6年前から違法廃棄 神戸大大学院
神戸大大学院医学研究科の久野高義教授の研究室(分子薬理・薬理ゲノム学)が、遺伝子を組み換えた大腸菌などを違法に廃棄したとされる問題で、神戸大は10日、殺菌処理をせずに大腸菌を排水口に流すなどの不適切処理が、同研究室で少なくとも6年前から続いていたと発表した。記者会見した野上智行学長は「今後、研究室間の相互チェックなど適切な体制づくりに取り組みたい」と話した。
外部識者も交えた調査委員会の調査で判明。久野教授は調査に対し、菌の入った培養液を実験室外の廊下に置いていたことを認めたが、違法処理の指示は否定。大学側は、適正な排出方法を指導していなかったことを重くみて、久野教授らを近く処分する方針。
調査結果によると、研究室在籍の院生や学生20人のうち15人と、調査に協力した研究室OB20人中8人が不適切な処理を認めた。最も古いのは平成14年4月に在籍していたOBの証言で、少なくともこの時点で違法処理が行われていたことが分かった。
一方、下水から大腸菌は検出されず、下水処理場で菌が死滅することも確認。一般ゴミとして廃棄された器具などは焼却処理されるため、「環境に影響を与える状態ではない」とした。
同大では、問題発覚後の4月11日から学内すべての遺伝子組み換え実験を停止したが、他の研究室では適切に処理されているとし、10日付で実験中止を解除した。再開する実験は生命分野を扱う医・農・理学部など371実験に上る。(産経新聞 2008/05/10)ベトナム戦争時、枯れ葉剤を豪国内で試験散布…現地報道
【シドニー=岡崎哲】複数のオーストラリアのメディアが18日報じたところによると、豪州北東部クインズランド州の熱帯雨林で豪軍研究所の科学者が1966年、ベトナム戦争にも使用された枯れ葉剤を試験散布していたことが、豪戦争博物館の軍関係文書や関係者の証言で明らかになった。
サン・ヘラルド紙は、散布された付近の住民の間で、がんによる死者が通常より多いと報じている。
散布されたのは、猛毒のダイオキシンを含み、枯れ葉剤の中でも最も強力とされる「オレンジ剤」。ベトナム戦争では南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)が潜むジャングルを裸にしてゲリラ活動をしにくくするために用いられたとされる。
報道によると、ベトナム戦争研究者のジーン・ウィリアムズ氏が、戦争博物館の公文書保管庫で発見した3箱分の豪軍関係文書に、同州イニスフェル市の熱帯雨林で66年6月にオレンジ剤が散布されたとの記述があったという。同氏はサン・ヘラルド紙に、「化学物質が飲料水を汚染した可能性が高い」と指摘した。
サン・ヘラルド紙は、人口1万2000人のイニスフェル市民のがん死亡者は2005年に76人で、州全体の人口にがん死亡者が占める割合の10倍だと報じた。だが、AAP通信によると、州当局者は18日夜、「がんの死者数の割合は他の地域と同じだ」と反論した。一方、サン・ヘラルド紙は、「66年に、2人の科学者がイニスフェル市内で薬品を散布した」との退役軍人の証言を紹介した。証言によると、散布した周辺の森は3週間で完全に消えたという。
豪州は1965〜72年、ベトナム戦争に参戦した。(読売新聞 2008/05/18)炭疽菌事件への関与疑われる研究者が自殺と 米紙報道
ワシントン(AP) 1日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、01年秋に米国で起きた炭疽(たんそ)菌事件で近く起訴される見通しだった研究者が、自殺していたことが分かったと報じた。
同紙によると、この研究者はメリーランド州フォート・デトリックにある生物兵器研究施設に過去18年間勤務していたブルース・E・イビンズ博士(62)。炭疽菌事件を調べている米連邦捜査局(FBI)が容疑者として特定した人物とされ、本人もそれを知らされていたという。
イビンズ博士は7月29日、同州内の病院で死亡した。同紙は匿名の同僚や家族らの話として、同博士が大量の鎮痛剤などを服用して自殺したと伝えた。
米司法省は、この報道についてコメントしていない。
同博士は炭疽菌研究の第一人者として知られ、最近では、7月初めに専門誌に発表された肺炭疽の治療に関する論文でも、共同執筆者として名を連ねていた。
米同時多発テロ直後に起きた同事件では、報道機関や政府機関に炭疽菌入りの郵便物が送り付けられ、計5人の死者が出た。(CNN 2008/08/01)研究者の炭疽菌事件関与、DNA分析で判明と
ワシントン(CNN) 生物兵器の研究者で、先月薬物で自殺したブルース・E・イビンズ博士(享年62)が01年秋の炭疽(たんそ)菌事件に関与していた容疑は、DNA分析で判明していたことが、捜査関係筋の発言で3日分かった。
関係筋によると、米連邦捜査局(FBI)は新たな遺伝子工学による調査で、事件当時に報道機関や政府機関に送りつけられた郵便物内の炭疽菌が、メリーランド州フォートデトリックの米陸軍感染症医療研究所にあったイビンズ博士の研究室のフラスコに由来することを突き止めた。当局は捜査終結に先立ち、早ければ今週中にも証拠を公表する可能性がある。
同博士は同研究所に数十年間勤務し、炭疽毒素に対抗するワクチンの開発に取り組んでいた。検察当局と司法取引について話し合った先月27日、自宅で薬物を服用し意識を失っているところを発見され、29日に搬送先の病院で死亡した。
事件では郵便局職員2人を含む5人が死亡し、十数人に健康被害が出た。捜査当局は、同博士が炭疽菌を研究室の外に出した目的が、開発していたワクチンの試験だったのではないかと見て調べを進めている。
同博士は自殺当時、以前カウンセリングを受けたソーシャルワーカーへのいやがらせや付きまとい、脅迫といった行為で、一時的接近差し止め命令を受けていた。ソーシャルワーカーが法廷で述べたところによると、同博士は精神病院への入院歴があったという。(CNN 2008/08/04)「2013年までに生物テロの可能性」 米次期政権に対策提言
ワシントン(AP) 米国で2013年までに核または生物兵器を使ったテロが起きる可能性があるとして、オバマ次期政権に対策の強化を促す報告書を超党派の大量破壊兵器拡散・テロリズム防止委員会がまとめた。報告書は3日に公表される予定。
AP通信が入手した報告書は「わが国の安全の余地は拡大どころか縮小している」と述べ、テロ組織は現時点では細菌兵器や核兵器を作れるだけの科学力・技術力を持っていないが、ノウハウ提供に応じる科学者が見つかれば、その溝は容易に解消できると指摘。「米国は生物学者がテロリストになることを懸念すべき」だとした。
次期政権に対しては、米国家安全保障会議(NSC)で核・生物兵器の拡散防止に関する情報政策と外交政策の調整を担う選任の担当官を任命することを提言している。
報告書によれば、生物兵器は核兵器よりも先に入手・利用される可能性が高いという。核施設が厳重に警備されているのに対し、危険な病原体を扱う民間の研究所は多数あり、簡単に破壊・侵入され得るというのがその理由だ。「生物兵器は核よりも大きな脅威となる。危険な病原体の入手と兵器化、空中散布は、核兵器の製造に比べて技術的な障壁が少ない」(報告書)
こうした状況を踏まえ、これまで核テロの阻止に重点を置いてきた米政府の拡散防止対策は、生物テロ防止優先に切り替えるべきだと提言した。
調査を主導したボブ・グラハム元上院議員はAP通信の取材に応え、生物兵器には炭疽菌が使われる可能性が依然として最も高いが、インフルエンザのような伝染性のウイルスが使われる危険も高まっていると語った。インド・ムンバイの同時テロでも「実行犯がもし生物兵器や核兵器を手にしていたら、犠牲者数は激増していただろう」とグラハム氏は言う。
報告書によれば、米国に対する核テロを計画している組織はアルカイダのみだが、まだ兵器を製造できるまでは至っていない。しかしアルカイダに協力する技術者や科学者が見つかれば、状況は一変する見通しだ。
また、核や生物を使ったテロの危険が差し迫っている国として報告書はパキスタンを挙げた。実際に、同委員会の委員はこの秋に予定していたパキスタン訪問を中止したが、委員が宿泊するはずだったイスラマバードのマリオットホテルでは、委員がチェックインを予定していた時刻のわずか数時間前に爆弾テロが発生した。(CNN 2008/12/02)米軍施設が病原体サンプル紛失、人間にも感染の恐れ
ワシントン(CNN) 米メリーランド州にある米陸軍の生物研究施設で、病原体の入った小瓶3本の行方が分からなくなり、軍の犯罪捜査部隊が調査に乗り出していたことが分かった。
問題が発覚したのは同州フォート・デトリックの研究所。紛失した小瓶には、ベネズエラウマ脳脊髄炎の病原体サンプルが入っていた。米軍の感染症研究所によると、これは蚊を介して馬から人間に感染する疾患で、人間が感染するとインフルエンザのような症状を呈し、約100人に1人の割合で死亡することがある。米国では1971年以降、流行したことはないという。
紛失した小瓶は10年以上前からあったもので、2004年に退職した研究者が管理していた。別の研究者が最近になって管理記録を調べ、紛失に気付いた。
同研究所では数年前、病原体サンプルが入った冷蔵庫が故障して中に保管されていた全サンプルを破棄したことがあり、なくなった3本もこの中に含まれていた可能性が高いという。ただし確証は得られていない。
軍捜査部隊の報道官は、これまでの調べで犯罪の痕跡はないことが分かったと話している。(CNN 2009/04/23)ref. Fort Detrick disease samples may be missing
(Frederick News-Post 2009/04/22)アルカーイダ 米で生物兵器テロ計画か
3日付の米保守系紙ワシントン・タイムズは複数の米政府当局者の話として、国際テロ組織アルカーイダがメキシコから米国に生物兵器を密輸入し、大規模テロを計画している可能性があると伝えた。
同紙によると、アルカーイダのメンバーを勧誘する人物が最近ビデオで、炭疽(たんそ)菌をメキシコから密輸するだけで「1時間に33万人」の犠牲者を生むテロが容易に実現できると呼び掛けた。このビデオはウェブ上に流れ、今年2月に中東の衛星テレビ、アルジャジーラでも放映された。米当局はこの人物がアルカーイダ指導部と連絡を取っているとみて事態を重視。実際に生物テロを実行する能力を得たかどうかは確認できないものの、専門知識を持つ人物を求めているのは確かだとして、アルカーイダと麻薬密輸組織などとの連携を注視しているという。(共同)(産経新聞 2009/06/04)Fort Detrick Inventory Turns Up 9,220 More Vials of Pathogens
(Washington Post 2009/06/17)東京を化学兵器で空襲…英軍、第2次大戦で検討
【ロンドン=鶴原徹也】第2次大戦中、英軍の化学兵器開発部門で東京を化学兵器で空襲する作戦案が検討されていたことが25日、英公文書館の公表した機密文書で明らかになった。
米軍に対して、東京毒ガス攻撃を非公式に提言した可能性もある。
文書は、英軍需省(当時)化学兵器委員会分科会座長会議の備忘録。1944年5月25日、同26日の2つの押印があり、「ゴルドニ少将は米国での討議の報告で、東京への化学兵器攻撃の効果評価を試みるよう提言した」と記されている。
備忘録には、英専門家による「東京化学兵器攻撃」と題する44年5月8日付文書が添付されており、ここでは「東京の夏は高温多湿でマスタードガス使用に好条件。降雨時を避けて投下すれば最大の脅威となる」と指摘。
また、「神田、日本橋、京橋、本所、深川」など「人口密集地」は「木造の伝統的家屋が多く、可燃性が高い」と言及。空襲は「ホスゲンガス、マスタードガス、焼夷(しょうい)弾」の3つの選択肢があり、「ホスゲンガス使用の場合はかなりの死傷者を出す。マスタードガス使用の場合は密集地から人々を追い払い、数日後に焼夷弾を使用できよう」などとしている。(読売新聞 2009/06/26)英、毒ガスで東京攻撃を検討=「小型爆弾が効果的」−第2次大戦文書
【ロンドン26日時事】英公文書館は26日、第2次世界大戦中の1944年、英国当局が東京を毒ガスで攻撃する計画を検討していたことを示す秘密文書を公開した。同日付英紙タイムズによれば、欧州戦末期の翌45年1月の文書では、ドイツ軍にも同様の毒ガス武器を使用することが検討されていた。
政府系学者は44年5月8日付の「ガス爆弾による東京攻撃」と題するメモで、戦争省(国防省の前身)の軍事情報局長が提供した東京の情報や写真に基づいて、効率的な毒ガス攻撃を説明。「(東京の)冬は平均的に寒く、マスタードガスの危険は(日本人にとって)無視しうる程度かもしれない。暑い夏の場合、例年到来する大雨の間隙(かんげき)をぬって攻撃すればベター(より効果的)だろう」と述べている。
また、(1)東京の建物の多くが木でできていて燃えやすい(2)住宅地域は狭い通りばかりだが、オフィス街の通りは欧州型の広い道路だ−などとした上で、「日本型建物の密集地域では通りは狭く、ガスの流れがそれによって阻害されてしまうだろう」と結論。この問題を解消するため「極めて多数の小型(ガス)爆弾を使用」するよう勧告している。(時事通信 2009/06/27)炭疽菌事件犯人は自殺した研究者 単独犯行、捜査終結
【ワシントン共同】米司法省は19日、2001年10月以降に米国で炭疽菌入りの手紙が新聞社や上院議員事務所に相次いで送りつけられ、5人が死亡した事件について、08年に自殺した米陸軍感染症医学研究所の研究者ブルース・アイビンス氏=当時(62)=の単独犯行と結論付ける捜査報告書を発表し、捜査を正式に終結した。
事件は米中枢同時テロの直後に発生。バイオテロへの恐怖をあおり、米社会を震撼させた。
捜査報告書は、炭疽菌の型の分析から、アイビンス氏が実験室で培養した菌が事件で使用された菌を生み出したと断定。事件発生の直前に長時間実験室にこもっていたことなど「強力な状況証拠」と併せ、アイビンス氏の犯行と結論付けた。
また同氏が抑うつ状態にあり精神的な問題を抱えていたことが「犯行の動機と、恐ろしい犯罪を実行できた理由を示している」と指摘した。
アイビンス氏は事件発生後、炭疽菌の専門家として捜査に協力。検察当局が容疑者を同氏に絞り込み、起訴の準備を進めていた08年7月に解熱剤を大量に服用し自殺した。同氏の弁護士らは無実を主張していた。(共同通信 2010/02/20)携帯電話で生物化学テロを感知 国土安全保障省が開発主導
(CNN) 大気中の有毒物質を感知して警報を出してくれる携帯電話の開発を目指し、米国土安全保障省が携帯電話メーカー4社との協議に着手した。生物兵器や化学兵器を使ったテロ発生時の対応に役立てられると見込んでいる。
この次世代携帯電話は、例えばガス漏れ事故や毒ガスを使ったテロ、列車事故でアンモニアが漏れた場合など、あらゆる事態に対応できることを目指す。そのために組み込む半導体のコストは1ドル程度で済むという。
有毒物質の検出には、カブトムシなど甲虫の殻に似せた多孔質シリコンを使う方法が検討されている。カリフォルニア大学サンディエゴ校のマイケル・セイラー教授は、甲虫の殻が虹色に変化する仕組みに着目。化学薬品を使ってシリコンにスポンジ状の構造を持たせ、有毒物質の分子を認識して吸収できるようにした。この「人工嗅覚」で、さまざまな化学物質を検知できる可能性があるという。
化学物質の検知には米航空宇宙局(NASA)も協力し、宇宙で大気質を分析するための技術を提供する。
国土安全保障省のプロジェクト責任者、スティーブン・デニス氏によると、携帯電話の開発と並行して緊急サービス当局とも協議を進め、携帯電話から自動的に消防や警察に通報が行くシステムを検討中だという。携帯電話からの通報が1カ所から集中すれば、事件や事故の内容や規模を把握しやすくなって迅速な対応に役立ち、人が電話で通報するよりも効果は高いと予想される。
例えば1995年にオウム真理教が起こした地下鉄サリン事件などの際に、こうしたシステムがあれば大きな役に立ったとみられる。
携帯電話は1年以内に80台の試作機を開発し、さまざまな薬剤に対して実験を行う計画だという。ただし設計問題や電力問題、誤検知の問題など課題は多く、実用化は何年も先になる見通しだ。(CNN 2010/04/22)合成ゲノムで生きた細菌 米研究チーム、世界初
【ワシントン共同】人工的に合成した細菌のゲノム(全遺伝情報)を別の細菌の細胞に組み込み、生きた細菌を作ることに成功したと、米国のクレイグ・ベンター博士が率いる研究チームが20日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。
ウイルスを人工的に作った例はあるが、ゲノムがより複雑な細菌での成功は世界初という。細胞膜や細胞内の物質は人工合成していないため完全な「人工生命」ではないが、その実現に近づく画期的技術と言える。
チームは今後、バイオ燃料を製造したり、有害物質を分解したりする有用な微生物作成を試みたいとしている。一方、人工的な生物を環境中で利用した場合、ほかの生物や自然環境にどのような影響を与えるのか未解明な点が多い。生物兵器開発に利用される恐れも指摘され規制を求める声も強まりそうだ。
作成したのは、遺伝情報として約100万個の塩基対を持つ「マイコプラズマ・マイコイデス」という細菌とほぼ同じゲノムを持つ細胞。
チームは、マイコイデスのゲノムの設計図を基に1000塩基対程度の短い情報を持ったDNAの断片を化学的に合成。さらに、DNA断片を大腸菌や酵母菌に組み込んでつなぎ合わせ、完全なゲノムを合成した。
次に「マイコプラズマ・カプリコルム」という別の細菌を特殊な液体に入れて本来のゲノムを失わせ、そこに合成ゲノムを移植。すると、カプリコルムの細胞内で合成ゲノムが働き始め、細胞の自己複製が始まった。また、この細菌の外見は正常なマイコイデスに似ていたほか、マイコイデスと同じたんぱく質しか生成しなかったという。
ベンター博士は、ヒトゲノム解読で国際共同チームと競ったことで有名な科学者。(共同通信 2010/05/21)World Health Organization Scientists Linked to Swine Flu Vaccine Makers
(ABC News 2010/06/05)細菌:人工ゲノムで作成 期待と危ぶむ声と??米のベンター博士ら開発
米国のクレイグ・ベンター博士(63)らが先月、コンピューターで設計した人工合成ゲノム(全遺伝情報)を基に、細菌を作り出したと発表した。細菌は増殖し、生命体としての活動も確認。作る段階で天然の微生物を使っているため完全な人工生命ではないが、この技術を応用することで、有用な微生物を人工的に作り出せる。一方、生物兵器などへの悪用につながる恐れもある。【斎藤広子】■コンピューターで設計
ゲノムは「生命の設計図」と呼ばれ、その正体はDNAだ。DNAは4種類の塩基がペア(塩基対)を組んでらせん状に連なった構造。ベンター博士らは「生命維持に必要な最小限のゲノムを持つ生物」を作り出すことを目標に掲げ、15年がかりでその一部を達成した。投入した研究費は約40億円とも言われる。
DNAは構造こそシンプルだが、作るのは難しい。これまでに成功した人工DNAは切れやすく数万塩基対が限度だった。今回、博士らが作った人工ゲノムは108万塩基対。生命体として成り立つサイズだ。
今回の成果について、人工細菌を研究する慶応大の板谷光泰教授は「無生物のコンピューターでゲノムを設計し、それで生命体を作るという発想がすごい」と評価する。また、多くの専門家が「遺伝子工学に技術革新をもたらした」という。
従来の「遺伝子組み換え」など遺伝子工学を使った品種改良は、組み換えたくない遺伝子で組み換えが起きるなど、期待通りの結果が出にくく、時間がかかった。岩崎秀雄・早稲田大准教授(微生物学)は「2、3の遺伝子操作に膨大な時間を割いていたが、この技術を使えば1000単位で遺伝子をごっそり取り換えるなど、効率がけた違いに上がる」と話す。■地球環境に貢献?
活用がとりわけ期待されるのが、有用な微生物を人工的に作り出すことだ。
微生物は、外界から物質を取り込んで生命活動のためのエネルギーを作る。その過程を活用したのが「発酵」だ。また、副産物として石油を生み出す微生物もいる。しかし微生物は培養が難しいうえ、存在も機能も未知のものが圧倒的に多い。こうした微生物が、石油に代わるエネルギー源や医薬品の材料として期待されているのだ。
ベンター博士は04年、多種多様な微生物の集団をそのままゲノム解析する手法を発表。海水200リットルに含まれる約1800種類の微生物から、約120万の未知の遺伝子を見つけた。服部正平・東京大教授(ゲノム科学)は「未知の微生物を探すより、見つけた遺伝子を組み合わせて理想の微生物を作り出そうという狙いがあったのだろう」とみる。
実際、博士は自伝(「ヒトゲノムを解読した男」化学同人)で「変化させた生物で工場を作り、太陽光と水からクリーンな水素燃料を作ったり、大気中の二酸化炭素を吸収させたりすることを目指す」と語っている。■悪用の恐れも
一方で悪用の危険はつきまとう。ゲノムのデータさえあれば、人工DNA作成会社に断片を作らせ、今は根絶した危険なウイルスを復活させたり、毒性を強めたりすることが可能になる。安全だとしても、人工的に作り出された生物を自然環境に持ち出せば、生態系への悪影響も懸念される。
東京大の浅島誠名誉教授(発生生物学)は「この成果は、ゲノムが生命の本質であることを証明した重要な研究だが、地球上の生命は進化を重ねた何億年もの歴史がある。そこにまったく歴史がない人工的な生命を加えることについては議論が必要だ。また、使い方によっては非常に危険。この技術をどう使うかも、研究に透明性を持たせて社会への説明を尽くし、話し合わなくてはならない」と警鐘を鳴らす。◇原点はベトナム戦争
ベンター博士は米カリフォルニア州出身の科学者。ゲノムを細分化してそれぞれの塩基配列を解読した後、コンピューターで組み立て直す独自の「全ゲノムショットガン法」を開発した。それを使って95年、生物種として初めてインフルエンザ菌の全ゲノム配列を決定した。98年、バイオベンチャー「セレラ・ジェノミクス」を設立。ヒトゲノム解読では公的研究機関による国際共同チームに挑み、解読したゲノムを有料データベースで公開し物議をかもした。
自伝によれば、衛生兵としてベトナム戦争に従軍し、多くの若者の死を目の当たりにした経験から「生命の最も本質的で詳細な部分を理解したいと思うようになった」という。所長を務める「J・クレイグ・ベンター研究所」は民間として世界最大規模の約400人の研究者・スタッフを抱える。ベンター博士自身は今回の成果について「15年間の研究の集大成」と位置付けている。◇ベンター博士の細菌作成法
細菌の一種「マイコプラズマ・マイコイデス」のゲノムを解読し、これに人工物であることを示すわずかな配列を加えて新たなゲノムをコンピューターで「設計」。人工DNAを作成する企業に発注して約1000塩基対ずつの断片を作らせ、この断片を大腸菌と酵母の働きでつなぐ技術を新たに開発して、108万塩基対の「人工ゲノム」を作った。さらに、本来のゲノムを抜き取った近縁種の細菌にこの人工ゲノムを移植し、自己増殖させることに成功した。(毎日新聞 2010/06/15)
米科学アカデミー、炭疽菌の出所は特定できず
ワシントン(CNN) 米国で2001年に炭疽菌入りの封筒が、送り付けられ5人が死亡した事件をめぐり、米科学アカデミーは15日、炭疽菌の出所について「確固たる結論を出すことは不可能」とする報告書をまとめた。
この事件で米連邦捜査局(FBI)は2年半前、米陸軍の微生物学者だったブルース・アイビンズ氏が炭疽菌の郵送にかかわった疑いがあるとの見方を示し、事件に使われた炭疽菌と、同氏の研究室のフラスコにあった炭疽菌の胞子に遺伝子的つながりがある可能性があるとしていた。
科学アカデミーの報告では、報道機関や議員のもとに送り付けられたのはエームズ菌株の炭疽菌だったと述べ、封筒から採取した胞子は、アイビンズ氏のフラスコにあった胞子と「遺伝的類似性が多数ある」とした。しかし現在ある証拠だけで炭疽菌の出所を特定することは不可能と指摘。FBIの捜査は胞子の類似性についての検証が不十分だったと結論付けた。アイビンズ氏が関与したかどうかについての意見は盛り込まなかった。
アイビンズ氏は容疑をかけられていることを知って08年7月に自殺している。(CNN 2011/02/16)
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