英軍が長年の毒ガス人体実験、当局も事実認める 英紙報道
【ロンドン12日=荒田特派員】英国の保守系日曜紙メール・オン・サンデーは12日、特ダネとして英軍の研究所が、長年にわたり致死性の神経ガスを使った人体実験を行っていると1面で報じた。
これに対して英国防省は同日、基本的にその事実を認める一方、「これは英国が毒ガスを開発するための実験でなく、敵が使用した時いかに防衛するかを知るための研究である」と弁明した。
同紙によると、この研究所は南部イングランド、ポートン・ダウンにある軍の化学防衛研究施設。3軍から志願を募り、毎年約200人の男女兵士にさまざまな毒ガス関連の実験が行われているという。
同紙は、実験に使われた神経ガスは、サリン(SARIN)、ソマン(SOMAN)であると伝え、被験者を「ガス室」に閉じ込め、濃度が薄いとはいえ、致死性の神経ガスを吸わせる実験も含まれるという。
実験参加者には105ポンド(約2万5000円)の特別手当が支給され、前後に念入りな健康診断が実施されている。
国防省は、マスコミ各社の問い合わせに対し、「国防上の理由」から実験の詳細を公表することは拒否しているが、過去25年間にわたり、「敵が使用するこの種兵器にわが軍がさらされた時に予想される結果と防衛手段を研究するため」、ボランティアを使った実験が行われてきたことを明らかにし、神経ガスの素材となる有機リン系の物質を使ったテストも「時々実施された」ことを認めた。
だが、同省は、こうした実験に使用される有毒な物質は極めて少量に限られており、被験者の人体には影響を与えない、と主張している。
しかし、同紙は米国でこの種の実験が禁止されていることを指摘、長期的にみて被験者に影響が出る恐れがある、などとする科学者の声を紹介している。化学物質の毒性に詳しい内藤裕史・筑波大教授の話 原則的には人体に影響のない量での実験は考えられる。中毒症状は起こさない範囲で、酵素の働きがどう変化し、それをもどす方法などの研究だ。ただ、少ない量とはいえ、サリンなどによって万一筋肉のけいれんやマヒ、意識混濁などの症状が起きると、軽くても元に戻りにくいのが特徴だ。
〈注〉実験に使われたと伝えられているサリン、ソマンは、いずれも神経系統に障害を与える有毒化学剤。2フッ化リン酸メチル、2塩化リン酸メチルなど有機リン剤が原料。神経伝達物質の分解を妨げるため、震えが続き、死に至る。(朝日新聞 1987/07/13)
毒ガス実験の映像あった 英米軍が豪に施設 日本人助教授ら発見
英米軍が第2次大戦中、ニューギニアで見つけた日本軍の毒ガス弾をもとに、オーストラリアに化学戦の研究施設をつくり、オーストラリア兵50人を使って人体実験をしていたことが、メルボルン大学の田中利幸・助教授(40)らの手で明らかになった。同助教授らは、オーストラリア政府の情報公開制度を利用、国立戦争記念博物館などに残っていた軍の記録フィルムを見つけた。化学兵器は、イラン・イラク戦争でも使われたものの実態は明らかでなく、人体実験のフイルムは珍しい。
公開されたのは、国立戦争記念博物館(キャンベラ)にあった白黒フイルム(25分)、写真十数枚と、オーストラリア国防省付属資料研究所(メルボルン)に保管されていたカラーフィルム(45分)。
田中助教授らによると、オーストラリア軍は1943年、ニューギニアのサラモアで、日本軍が置き逃げしたルイサイトとイペリット(マスタード)混合の毒ガス弾を見つけた。これをきっかけに、英米軍は、オーストラリア北東部、クインズランド州タウンズビルに「オーストラリア化学兵器戦防衛研究所」を設立、英米が製造した毒ガスで人体実験をするためオーストラリア兵約50人を集めた。
カラーフィルムには、研究所での実験の様子が記録されている。毒ガスの充満した大きなガス室の中で、ガスマスク以外は普通の軍服の兵士が、部屋の隅から隅へ砂袋を運んでいる。汗が毒ガスでどんな影響を受けるのかを調べる実験だ。数日後、全身に水疱(すいほう)ができ、とくに汗をかいたわきの下や性器の部分がはれあがった兵士たちの姿を撮影している。
また英米軍は、タウンズビルに近い無人島ブルックアイランドに空中から大量の毒ガス弾を撃ち込み、毒ガスの残留期間を調べる実験もしている。
白黒フイルムは島での実験を記録。島には背中に番号の書かれた多数のヤギが運び込まれ、毒ガス弾投下後、ガスマスクと防御服に身を固めたオーストラリア兵が島に乗り込み、測定器を使ってヤギの様子や残留している毒ガスの濃度を調べている。フイルムは、7日夜のTBS系列「筑紫哲也ニュース23」で放映される。日本の毒ガス作戦に詳しい粟屋憲太郎・立教大学教授(日本現代史)の話 毒ガスの人体実験は、日本陸軍の旧関東軍731部隊などが旧満州国で、中国人やロシア人捕虜に対して行ったが、フイルムは残っていない。毒ガス実験を映像で記録したものとしては、おそらく世界で初めて明らかになったものではないか。化学兵器の恐ろしさを伝える貴重な資料だと思う。英米軍がこれほど大規模で非人道的な毒ガス実験をしたのはこのオーストラリアの実験が最初で最後ではないかと思う。(朝日新聞 1989/12/07)
米、大戦中に人体実験 化学兵器対策で6万人に
【ワシントン6日=共同】第2次世界大戦中に米政府が6万人以上の米軍兵士らを対象に、化学兵器用防護服や治療法の開発を目的として実施した大規模な人体実験の全容が6日、全米科学アカデミー医学研究所が発表した調査報告書で明らかになった。
実験の事実は戦後45年以上も秘密にされてきたが、最近になり、がんや呼吸器疾患の後遺症に苦しむ実験参加者や家族が救済を訴えて明るみに出た。
報告書によると、実験は米政府の科学研究開発局による化学戦準備の一環として、メリーランド州エッジウッド弾薬しょうなど9カ所で行われ(1)汚染を防ぐ薬剤開発のための化学剤塗付実験(2)防護服とマスクを着けた兵士らに毒ガスを浴びせ防護性能を確かめるガス室実験(3)汚染地域で行動させる野外実験−に分かれていた。このうち、2500人以上が参加したガス室実験は通常1回1−4時間。兵士らは防護服などのすき間から入ってくる毒ガスで皮膚に赤い斑点ができるまで何日も実験を受けさせられた。(朝日新聞 1993/01/07)朝鮮戦争 米が生物・化学戦準備
兵器の備蓄 日本に想定 機密文書明るみ
1950年6月に始まった朝鮮戦争の時期に、米国が細菌、毒ガス兵器を使った生物・化学(BC)戦の準備を具体的に進めていたことを裏付ける米国防総省の最高機密文書のコピーを、常石敬一・神奈川大教授(科学史)が、13日までにワシントンの米国立公文書館から人手した。文書は(1)開戦後、空軍参謀総長が「報復のみに使用する」というBC兵器に関する従来の政策を、放棄するよう提案した(2)米国内で陸軍が神経ガス工場の建設や、ペスト菌の野外実験をした(3)BC兵器の備蓄場として池子(神奈川)や呉(広島)が想定されていた──などの新事実を明らかにしている。
朝鮮戦争では当時、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)側が、細菌戦を実行したと米国を非難したが、真相は不明になっている。研究者らは、「実行に向けた米国の意図を示す貴重な資料」と指摘している。
文書は「統合参謀本部(JCS)1837」など計600ページを超え、75年からは機密解除になり、細菌戦研究をしている常石教授が請求、入手した。
参謀本部の機関決定をまとめた「1837」によると、BC兵器の研究が具体化するのは48年後半で、使用については「(敵の攻撃に対する)報復手段としてのみ」認め「防御」が前提だった。
だが、開戦直後の50年6月30日付「特別委員会報告書」では、国防長官の諮問機関である同委員会が「『報復のみ』という政策は米国の安全保障に有害」と提言、BC兵器の攻撃能力の重要性を訴え、これまでの政策放棄を主張した。
また、バンデンバーグ空軍参謀総長も統合参謀本部への52年7月3日付文書で「報復のみ」の政策放棄を提案。統合参謀本部も同意して政策変更を促した。これは戦局の行き詰まりを背後に、方針を転換する意図をうかがわせている。だが、その後の過程は、触れられていない。
コリンズ陸軍参謀総長のメモ(52年2月25日付)などによると、陸軍がそのころ、神経ガス工場の建設をロッキー山脈で開始したほか、ユタ州でペスト菌などの野外実験を本格化したという。
東京駐在のクラーク国連軍司令官がワシントンの陸軍省へ送った52年10月15日付交信では「化学兵器の備蓄場は日本が望ましい」として、米軍弾薬庫があった池子や呉の地名を挙げて、極東地域への化学兵器の輸送を促している。戦場での試験を切望
常石敬一・神奈川大教授の話 朝鮮戦争での生物戦の実行を考える際、これまで不明だった点の一つは米側の意志や意図だった。この資料は、米軍が生物・化学(BC)兵器を全兵器体系の中に位置付けるため、戦場での試験(トライアル)を切望していたことを明確に示している。空軍参謀総長の提案も、当時生物戦を理由に北側に捕らえられた兵士の多くが空軍パイロットだったことと関連して興味深い。『BC戦免責』裏付け
占領史に詳しい粟屋憲太郎・立教大教授(日本近現代史)の話 日本に化学兵器を運ぼうとしていたというのは全く新しい事実で、私にとっても大きな驚きだ。東京裁判で米国は日本軍のBC戦を免責しているが、それは自分たちもBC兵器を使用したかったからではないか。今回の資料はそういった事実を裏付けたといえる。朝鮮戦争
1950年6月25日にぼっ発、朝鮮半島全域を舞台とした戦争。北緯38度線で韓国軍と対じしていた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)人民軍が南下して始まったとされる。開戦直後に米国は軍事介入を決定、国連にも働き掛け、安全保障理事会で国連軍の派遣を決議した。50年10月には、中国人民義勇軍が北朝鮮を支援して参戦。53年7月27日に休戦協定が調印された。
52年2月、北朝鮮側が米軍機による細菌戦の実行を非難。写真資料などでその非人道性を国際世論に訴えたが、北朝鮮が第三機関による調査団の派遣を拒否して、真相は確認されなかった。(中日新聞 1993/11/14)米からイラクへ細菌輸出
【ワシントン9日=共同】リーグル米上院議員(民主)は9日の上院本会議で、米政府が1980年代に炭そ菌やサルモネラ菌など細菌兵器開発につながる微生物のイラクへの輸出を許可していたと明らかにした。
同議員は、この細菌を利用して開発されたイラクの生物兵器が、湾岸戦争から帰還した米兵が今も苦しんでいる「湾岸症候群」の原因となった可能性もある、と指摘した。(朝日新聞 1994/02/11)反体制派に細菌兵器使用
【ロンドン15日=AP】人権擁護団体の「国際キリスト教連帯」は15日、ロンドンで記者会見し、ミャンマー政府が反体制派の少数民族「カレン族」に対し、細菌兵器を使用し、300人以上が死亡した「極めて有力な状況証拠」があると明らかにした。
会見したのは、英上院のコックス副議長らで、同組織が現地で聴いたカレン族の居住地の住民の証言によると、ミャンマー軍機は数十の「白い箱」付きのパラシュートを夜間に投下、この直後からコレラや真性赤痢に似た伝染病が発生した。
国際キリスト教連帯側は、「白い箱」の投下直後から、ミャンマー軍はこれらの村落への進攻を中止し、商人にも立ち入り禁止を命じており、軍隊は何を投下したか知っていたと指摘している。(朝日新聞 1994/11/17)生物兵器テロで防衛態勢を調査 米国防総省が模擬演習
【ワシントン13日=時事】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作員が細菌入りの時限爆弾を米国各地に仕掛け、在韓米軍の撤収を要求──米国防総省はこのほど、こんなシナリオの模擬演習(ウォーゲーム)を行った。
米シンクタンク「生物・化学兵器管理研究所」のオルソン副所長が13日明らかにしたもので、演習の参加者から説明を受けたという同副所長によると、この演習は生物兵器によるテロ攻撃に対する防衛態勢について調べるため実施された。その結果、生物兵器による攻撃を防ぐ有効な手段が現時点ではないことが確認された。
国防総省はこの模擬演習を受けて、陸海空3軍合同の生物兵器防衛チームを編成したほか、生物兵器用のワクチンの増産体制の検討も始めたという。(朝日新聞 1995/03/14)米英が地下鉄で細菌実験 テロの攻撃想定 汚染状況を調査
60年代 乗客に知らせず
【ロンドン22日時事】英民間テレビITNは21日夜放送の番組で、英政府が1963年に、ロンドン市内の地下鉄を利用して細菌戦争に備えた模擬実験を行っていたと報じた。
実験に当たったのは英国防省兵器研究所の科学者らで、テロリストによる細菌を使った攻撃を想定、走行中の電車からバクテリアの胞子をまいた。胞子は地下鉄網を10マイル(約16キロ)にわたって運ばれ、ほかの電車に高濃度の汚染が見られたとしている。【ニューヨーク22日共同】米陸軍当局者は22日、生物兵器によるテロ襲撃に備えるため、1966年にニューヨーク市の地下鉄で人体に無害の細菌を乗客に知らせず線路にばらまき、その拡散状況を調査する秘密実験を行っていたことを明らかにした。
AP通信によると、以前に陸軍の生物戦センターが置かれていたフォートデトリック基地(メリーランド州フレデリック)のスポークスマンが実験の概要を公表。それによると、ラッシュアワーのニューヨーク市の地下鉄駅で細菌を詰めた電球を線路にたたきつけて壊し、細菌が拡散する速度と範囲を調べた結果、20分後に10ブロック(約500メートル)離れたところで細菌を検知したという。
スポークスマンは、公衆衛生の改善、医薬品の十分な備蓄、予防の徹底が生物兵器への防衛策としての結論だったと述べた。(毎日新聞 1995/03/24)イラクの生物兵器 湾岸戦争時も保有
【ニューヨーク22日=上治信悟】イラクが1991年の湾岸戦争当時、毒性の強い細菌を使用した生物兵器を保有していたことを、国連のイラク大量破壊兵器廃棄特別委員会のメンバーに認めた。23日付のニューヨーク・タイムズ紙が報じた。イラクはこれまで、生物兵器用の原料を製造し、湾岸戦争前に廃棄した、と主張していたが、開発状況は、これまで同国が明らかにしていたよりも進んだ実用段階だった、という。
同紙によると、イラクは生物兵器を湾岸戦争では使用せず、戦争後に廃棄した、と説明している。(朝日新聞 1995/08/24)仏機関が細菌作戦計画 10年前、反核運動を妨害
【パリ15日=磯松浩滋】核実験に反対するグリーンピースの行動を阻止するため、仏情報機関は黄熱病などのウイルス注射作戦まで計画していた──。11日のルモンド紙によると、10年前の1985年9月にフランスの核実験に反対する活動をしていた、カリブ海のオランダ領アンティルに停泊していたグリーンピースのメンバーに対し、仏対外治安総局(DGSE)が予防接種と称して、黄熱病や激しい下痢を引き起こすウイルスを注射し、メンバーの活動を妨害する計画を立てていた。同紙はDGSEに近い筋から情報を得たという。
DGSEは同年7月、ニュージーランドのオークランド港でグリーンピース調査船「虹(にじ)の戦士」を爆破、メンバーの1人を死なせていた。その後も続く活動を妨害するため、同情報機関はこの計画を立てたが、過激すぎるとの理由で変更された。結局、地元税関を抱き込んで、停泊中だったグリーンピースの船の出港を遅らせたという。(朝日新聞 1995/09/16)日本のO157食中毒 米情報機関「テロの可能性」
【ワシントン25日共同】米誌USニューズ・アンド・リポート最新号(9月2日号)は、病原性大腸菌O-157による日本の集団食中毒が「個人またはグループにより慎重に計画された」テロの可能性もあるとみて、米情報機関が極秘に調査している、と報じた。
同誌は、生物兵器の専門家は慎重な計画によって食中毒を発生させることは可能とみているとする一方、「O157の食中毒が仮に個人やグループの犯行だったとしても、追跡は難しい」というのが専門家の見方だ、と伝えた。
同誌によると、これまでのところ(テロ)攻撃の明確な証拠は得られておらず、情報機関の調査は「予防のため」に行われ、アトランタにある「疫病管理予防センター」の専門家チームが調査のために日本に派遣された、という。(中日新聞 1996/08/25)エイズ研究で孤児に人体実験? 故意に感染
チャウシェスク政権下ルーマニア
【ウィーン20日時事】ルーマニアでは孤児にエイズ患者が多いことが知られているが、同国の地元紙は20日、1989年に崩壊したチャウシェスク独裁政権時代に、実験目的で孤児がエイズウイルスに故意に感染させられたと報じた。
ブカレストからの報道によると、エベニメントゥル・ジレイ紙は、複数の医師の話として、チャウシェスク政権下の87年と88年、エイズ研究を目的として、当局からの指示で孤児がエイズウイルスに感染させられたと伝えた。多くの免疫学者がこの人体実験に関与していたという。
世界保健機関(WHO)によれば、ルーマニア人のエイズウイルス感染者のうち、85%が子供だという。(中日新聞 1997/02/21)梅毒実験被害者に米大統領が謝罪
1930年代から40年間、黒人対象に実施
【ワシントン16日立尾良二】米政府が1930年代から40年間も貧しい黒人を対象に実施した梅毒の生体実験について、クリントン米大統領は16日、同実験の被害者をホワイトハウスに招き、初めて公式に謝罪した。生存者8人のうち5人が同席したセレモニーで、大統領は実験が「明らかに人種差別によるものだった」「米国は恥ずべきことをした。本当に申し訳ない」と頭を下げた。
生体実験は32年から72年まで、米公衆保険局がアラバマ州タスケギーの黒人399人に実施した。被害者は小作人や日雇い労働者が大半で、抗生物質による治療が可能だったにもかかわらず、梅毒の進行状況を研究するため治療せずに放置した。米政府は74年に生存者と被害者の家族に総額1000万ドルを慰謝料として支払ったが、公式謝罪はなかった。
クリントン大統領は「米国民は、犠牲者と何年も苦しんでいる被害者におわびする。みなさんは何も悪いことをしていないのに、虐待された」と述べた。同大統領は、事件を風化させないために、地元に生物倫理学と健康保険のセンター建設を支援すると約束した。
被害者の1人(94)は「信頼を回復するのに遅すぎることはない」と語った。(中日新聞 1997/05/17)ロンドンで細菌戦実験 英国防省が極秘に 英紙報道
【ロンドン2日共同】2日付の英日曜紙サンデー・テレグラフは、英国防省が1963年から77年にかけて、ロンドンをはじめ同国南部で微生物をばらまくなど、極秘で細菌戦の実験を行った、と報じた。航空機や船舶からの大量散布も実施された、と伝えている。
同紙は、当時の国防省所属の科学者が記した政府の秘密資料を入手。それによると、微生物はウオータールー橋などロンドン中心部や南部海岸線で散布された。人体に影響を与えずに細菌の広まり方を調べるため、大腸菌O162やセラチア属の腸内細菌など3種類の「模擬細菌(兵器)」が使用された。
この実験について、国防省は「満足できる結果を得られた」と評価した、という。
ポーティロ国防相は昨年夏、これらの細菌戦実験に関する労働党議員の問い合わせに対し、手紙で実験が実施されたことを認め、「使われた菌は人体には危険を及ぼさない」と強調した、という。
しかし、同紙は微生物学者らの話として、「一部の菌は急性肺炎などを引き起こす可能性がある」と報じている。(中日新聞 1997/02/03)遺伝子操作で頭部ないカエルの胚
英の学者が生成に成功 英紙報道
【ロンドン19日共同】19日付の英紙サンデー・タイムズは、英国バース大学のジョナサン・スラック教授(発展生物学)が、遺伝子操作によって頭部のないカエルの胚(はい)をつくり出すことに成功した、と報じた。
同紙は、この技術は、人工子宮の中で心臓や腎臓(じんぞう)、肝臓などの人間の臓器を育成することにも応用可能だと指摘。クローン人間の技術が確立された場合、2つの技術を総合することで、人間の移値に最適な臓器をつくることが可能になるとしている。
同紙によると、スラック教授はある種の遺伝子を操作することで、容易に頭部がないカエルの胚をつくることだけでなく、胴体やしっぽのない胚をつくることもできるという。
スラック教授は、同じ遺伝子がカエルと人間で同様の機能を果たすと指摘。「完全な胎児の代わりに、必要な臓器と心臓、血管だけの人間の胎児をつくれるように遺伝子を操作することは可能だ」と述べている。
オックスフォード大のアンドルー・リンゼ一教授(動物倫理)は「科学的なファシズムであり、生命の変異体を創出することは道徳的に後退している」と批判している。(中日新聞 1997/10/20)クローン羊 高い死亡率 英紙報道
【ロンドン19日共同】19日付の英紙インディペンデントは、病気治療を目的に人間の遺伝子を組み込んだクローン羊に、死亡率が高いなどの異常が起きていることが分かり、実験グループに懸念が高まっていると報じた。
実験は昨年、英ロスリン研究所とともにクローン羊「ドリー」を世界で初めて誕生させた民間の「PPLセラピューテイクス社」が実施。同社は人間の血液凝固因子をつくる遺伝子を組み込んだクローン羊「ポリー」を誕生させることにも成功したが、同紙が入手した同社の英政府への報告書によると、異常が起きているのはポリーから作られたクローン羊。
実験の第1段階として生まれた、人間の遺伝子を組み込んだ羊14匹のうち、9匹が死亡。通常の死亡率8%に比べて、64%もの高率に上っている。生まれてくる時の体重にもばらつきがみられ、1匹は8.7キロだったのに対し、ほかの羊は約3キロにすぎなかった。(中日新聞 1998/01/20)イラクの生物・化学兵器の開発を支援したのは米国であった
イギリスのテレビ局「チャンネルフォー」が2月12日に報じたニュースによると、イラクの生物・化学兵器開発プログラムを1980年代に支援したのは米国であり、また神経ガスの解毒剤を1992年3月にイラクに輸出したのはイギリスであったという。
同テレビ局が見つけた米国の機密文書によると、1985年から1989年の間に、米国からイラクに合計14種類の生物物質が入った貨物が輸出されたという。その中には、炭疽菌が19個、ボツリヌス中毒を引き起こす生物、ボツリヌス菌15個も含まれていた。この輸出は米国務省が支持し、商務省からの許可を得たものであったと番組は報じた。また、イラクはこの他の有害物質も米国から購入し、バグダッドにある原子力エネルギー委員会は、人の遺伝物質や「培養基」用の大腸菌バクテリアも手に入れていたということであった。
また同番組によれば、イラクがクルド人の町、ハラブジャを1988年にガスで攻撃し、5000人の死者を出した後もイラクに向けて生物物質の貨物が少なくとも29個輸出されたという。1980年代の国防総省の元高官ステファン・ブライアンは、危険物の輸出を阻止しようと自分も同僚も努力したが、「彼らは愚かだった。愚かという一語につきた。彼らは自分達が何を行っていたか全く理解していなかったと思う」とチャンネルフォーのインタビューに答えた。ブライエンは、1988年に神経ガスから兵士を保護するために使われるアトロピン150万投与分の注文がイラクから出されたが、これはなんとか阻止することができたという。米国防省の機密文書からチャンネルフォーが引用した内容によれば、イラクは湾岸戦争後の1992年3月に、イギリスから神経ガスの解毒剤であるプラリドクシンを購入したとされる。「この解毒剤の売却は我々が政権をとるずっと以前に行われたと私は理解している。これについて調査は行うが、恐らく医薬品扱いで輸出されたのであろう。医薬品は現在でもイラクへの輸出が認められている」とイギリスの国防相、ジョージ・ロバートソンは同番組で語った。また、米国の機密文書から、イギリスと米国はすでに1990年8月の時点で恐ろしい神経ガス、エージェント15の存在を知っていたことも明らかになったとチャンネルフォーは報じた。
ロバートソンは彼が述べたことは1991年のイラクの兵器庫に関する新しい情報であるとしながら、サダム・フセインは大量のエージェント15を所有していた可能性があるとした。「当時フセインが所有していたものに関して大体のところは知られていたが、具体的な情報は最近になって徐々に明るみに出てきている」とロバートソンはチャンネルフォーに語った。(ロイター通信 1998/02/12)生物兵器に変わる物質 英企業 イラクに輸出 湾岸戦争後に
【ロンドン16日三瓶良一】英国の会社が生物兵器に転用の恐れのある物質をイラクに輸出していたことが明らかになり、英国で大きな問題になっている。英軍は米軍とともに対イラク攻撃の準備に入っているが、問題物質の輸出は「ブーメラン効果」で、自軍の兵士を危険にさらすことになりかねず、ブレア政権は輸出管理の総点検を迫られている。
英紙「デーリー・テレグラフ」が報じたところによると、食品・洗剤関連の世界的な大手、ユニリーバ社の英子会社であるオクソイド社は1991年から94年にかけてイラクに対して医学用として細菌培養物質を3000ポンド(約1360キロ)輸出していた。これは保守党政権時代のことで、いずれも貿易産業省から正規の輸出許可を得ていた。
しかし、同物質は医学用ではあるが、炭そ菌などの製造にも使われることが可能だ。湾岸戦争後に行われた大量の問題物質の輸出だけに、イラクの生物兵器開発に一部役だったのではないかとの疑いも出ている。
これに対してユニリーバ社は「輸出は英当局の許可の下に行われた。我々の知る限り、イラクは医学目的のために使用している」と語った。
一方、ボスニア内戦時に国連軍の司令官などを務め英国で著名なマイケル・ローズ退役将軍は、政府の輸出管理のずさんさを批判するとともに、自国が輸出した兵器で自軍兵士が苦しめられる「ブーメラン効果」が過去のボスニア内戦や湾岸戦争でもあったことを指摘。事態を重視したブレア労働党政権は、過去の輸出許可が適当だったかどうかの調査に乗り出した。
下院国防委員会のジョージ委員長(労働党)は「我が軍の兵士に重大な損傷を与えかねない物質の輸出を許可するとは奇怪なことだ」と述べ、前政権のやり方を批判した。(毎日新聞 1998/02/17)精神障害者や児童4500人にロボトミー手術
スウェーデンで44年から19年間
【ロンドン5日共同】ストックホルムからの5日の報道によると、スウェーデンの国営テレビは6日、1944年から63年にかけて、同国で精神障害者や発育不全の児童ら約4500人が、脳の前頭葉を切断する「ロボトミー手術」を受けていたと暴露する番組を放映する。
内容を伝えたTT通信によると、7歳の男児が手術されたり、肉親の許可なしに病院側が独断で手術した例もある。
同国では昨年8月、精神障害者ら約6万人が、35年から67年にかけて強制的に不妊手術を受けさせられていた事実が発覚した。ロボトミー手術の問題は、福祉国家スウェーデンの暗部を再び暴くことになりそうだ。
ロボトミー手術は、精神障害の緩和が目的で行われたが、術後の患者の体の機能は維持されるものの、感情がほとんど失われるなどの問題が起きたという。
番組では、63年に夫が手術を受けた女性が登場。「(病院は)夫から感情や性欲をすべて奪い、私や子供から夫を奪った。どうしてこんなことが起きるのか」と話している。(中日新聞 1998/04/07)墜落イスラエル機、サリン製造物質搭載か
【ブリュッセル1日=三井美奈】1992年にオランダ・アムステルダム郊外でイスラエル「エル・アル」航空の貨物機が墜落し、40人以上が死亡した事故で、同機に有毒ガスのサリン製造物質が搭載されていたことが、地元紙(30日付)の報道で明らかになった。この物質のあて先がイスラエル国防省関連研究所となっていたことから、イスラエルが生物化学兵器製造に関与していたのではないかとの疑いも取りざたされている。
92年10月、アムステルダム南郊の高層アパート群に、ニューヨーク発アムステルダム経由テルアビブ行きのエル・アル機が突っ込んだ。事故発生後、周辺住民や現場にかけつけた警官や消防士から、じん不全や視力低下などの訴えが相次いだ。(読売新聞 1998/10/02)イスラエルが『民族兵器』を開発か
イスラエルは、アラブ民族には有害だがユダヤ民族には影響しない生物兵器を開発中だと、ロンドンの『サンデー・タイムズ』紙が報じた。
イスラエル軍と西側情報機関を情報源に挙げるこの記事によると、科学者たちは、アラブ人特有の遺伝子を突き止め、それに合わせて遺伝子操作を行なった細菌またはウィルスを作り出すという課題に取り組んでいるという。
先日、イラクがあとわずか数週間で生物兵器を完成できそうだと伝えられたが、この『民族爆弾』は、その脅威に対するイスラエル側の反応だと報じられている。
『民族爆弾』計画は、イスラエルの『ネス・ジヨナ(Nes Tziyona)』研究所を中心に進められている。ここで科学者たちが取り組んでいる課題は、ウィルスや細菌を使って生体細胞内のDNAを変化させ、アラブ的な遺伝子を持っている細胞だけを攻撃するというもの。
アラブ民族もユダヤ民族もともにセム系であるため、この課題は非常に複雑なものだ。しかし記事によるとイスラエル人は、あるアラブ民族、「特にイラク人に」特有の特徴を分離することに成功しているという。
イスラエルの国会議員、デディ・ズッカー氏は『サンデー・タイムズ』紙上でこの研究を非難した。「われわれの歴史、伝統、経験に基づく倫理から見て、このような兵器は極悪非道なものであり、認められるべきではない」
先月、世界の軍事情報を提供しているジェーン・グループの『フォーリン・レポート』は、イスラエルは『民族弾』を開発中と思われるが、これはアパルトヘイト時代の轍を踏む恥ずべき研究であると論じた。(WIRED NEWS 1998/11/16)ref. Israel is Developing 'Ethnic Bomb' for Growing Biological Weapons Arsenal
(Genesis Herbarium 1998/11/15)遺伝子兵器開発5―10年で可能 特定の民族・一族殺傷
【ロンドン=加藤秀央】英医師会(BMA)はこのほど、遺伝子工学の発達により特定の民族だけを殺傷する「遺伝子兵器」の開発が理論的に5年から10年後には可能になると発表した。英医師会は早期にこうした兵器の開発を防ぐ手立てを講じるべきだと提言している。軍事専門家の間でも遺伝子情報で目標を選ぶ兵器の開発の可能性が指摘されている。
遺伝子研究の中では米政府が中心になって進めている「ヒトゲノム計画」が知られており、同計画によって2003年には人間の全遺伝子の働きが解明されると見られている。英医師会はこうした研究がさらに進めば、ある民族や個人を含む一族に固有の遺伝子を特定することが可能になると指摘した。これを利用すれば、例えば特定の遺伝子に反応するウイルスなどを開発すれば兵器として転用できる。(日本経済新聞 1999/01/23)ref. Health Genetic weapons alert (BBC News 1999/01/21) 特定民族のみ有効な遺伝子兵器「10年内にも出現」 英医師会が警告
【ロンドン31日=田中規雄】英医師会(BMA)は、このほど遺伝子工学の発達により、特定の民族を選んで死に至らしめるという遺伝子兵器が、5年から10年のうちに出現する可能性がある、と警告を発した。
医師会の保健行政研究部門の責任者であるビビアン・ネイサンソン博士は「遺伝子兵器は現在存在しているわけではないが、実現の可能性は高まっており、われわれは早急に対策を立てなければならない」と訴えている。
医師会が発行した報告書「生物兵器と人類」は、遺伝子兵器誕生の主たる根拠として、米政府が進めている「ヒトゲノム計画」の進展をあげている。
ヒトゲノム計画は、人間の遺伝子情報の総体ヒトゲノムのすべてを解析しようという計画で、1988年から米国を中心に進められてきており、2003年までに、約10万種と見積もられている人間の全遺伝子の解読をめざしている。実現すれば、がんや老化、遺伝子病の研究や診療に計り知れない恩恵を与えるといわれているが、その一方で、個人や民族の遺伝子の特徴が明らかになることによって、軍事目的に使われるおそれが出てきた。たとえば、ある民族の遺伝子だけに反応して、発病するウイルスを、その民族の居住地近くにまき散らすといった、悪夢のようなテロも起こりうるという。
すでにイラクでは、アラブ地域に特有の細菌を使って、免疫のない欧米人をねらい撃ちにする生物兵器の開発が進んでいた、との国連査察官の証言がある。また、南アフリカでは、黒人に対する細菌兵器の研究が知られている。
生物兵器の廃絶をめざした生物・化学兵器禁止条約は、現在140カ国が調印しているが、査察の権限や制裁が盛り込まれておらず、効力には限界がある。英医師会では、遺伝子兵器の開発を阻止するために、まず条約の強化を求めている。(産経新聞 1999/02/01)実験動物生産技術 デュポンに供与
発がん性試験向け 実中研
実験動物中央研究所(実中研、川崎市)は、同所で開発した遺伝子組み換えマウスの生産技術を米化学大手のデュポンに供与する。
新薬の発がん性を調べる試験に使うマウスで、デュポンは年内にもこの技術で育てたマウスを日本を除く世界市場で販売を始める。日米欧の間では医薬品の安全性試験を共通化する動きがあり、日本生まれの実験動物が事実上の世界標準になる可能性が出てきた。
供与するのは人間の発がん遺伝子を組み込んだマウスの量産技術。人間の遺伝子を組み込んだため人間の体質に近い状態で発がん性をチェックでき、従来2年近くかかっている新薬の毒性を調べる試験の期間を半年に短縮、費用も5分の1程度にできるという。
デュポンは供与を受けた技術をもとに、同社と関連のある実験動物生産の専門会社でマウスを量産、日本以外の市場で製薬会社などに売り込む。売り上げの一部は実中研に支払う。日本国内では実中研が販売する。実験用マウスは国内だけでも年間約740万匹(95年度)の需要があり、市場規模も500億円を超えるとみられている。
新薬を効率的に市場に出すため日米欧政府・製薬業界が国ごとでばらばらの医薬品の承認審査を共通化する動きがある。発がん性試験でも期間短縮とコスト削減を狙い遺伝子組み換えマウスの使用を認めることが決まっている。デュポンは実中研の技術を活用して実験動物市場での優位を固める狙いとみられる。
実中研は実験動物の開発を手掛ける財団法人。ポリオ・ワクチン試験用マウスを世界保健機関に供給するなど技術力に定評がある。(日本経済新聞 1999/02/06)天然痘ウイルス「生物兵器テロ対策に有用」 米科学アカデミーが報告書
【ワシントン16日=大塚隆一】米科学アカデミーは15日、世界保健機関(WHO)が廃棄処分を決議している天然痘ウイルスについて、保存しておけば、生物兵器テロに悪用された場合の予防ワクチン開発などに役立つとする報告書をまとめた。
伝染力の強さで知られる天然痘は1967年にWHOが撲滅作戦に乗り出してから患者数が激減、80年に根絶宣言が出された。その後、世界各地の研究所のウイルスは処分され、米ジョージア州アトランタとロシア・モスクワの研究施設だけが残されたウイルスを研究用に保管してきた。
今回の報告書は事実上の廃棄中止を米政府に勧告するもの。クリントン米大統領は科学アカデミーの勧告を重視すると明言してきている上、ロシアも廃棄には反対とされ、今年6月30日に地上から姿を消すことになっていたウイルスの処分は再び先送りされる可能性が強まってきた。
WHOの専門家は、保管中のウイルスがテロリストの手に渡り、細菌兵器として使われる恐れがあるとして、再三にわたって廃棄を勧告。96年のWHO総会で廃棄処分を求める決議を採択した。
米科学アカデミーがワクチン開発の意義を強調した背景には、財政難で管理が不十分とされるロシアの研究施設から、すでにウイルスが外部へ持ち出されているのではという懸念がある。今年1月にはイスラエルが天然痘ウイルスをひそかに保管しているとの報道もあった。WHOは今年5月の総会で廃棄処分を最終決定する方針だったが、米露両国が反対した場合、紛糾するのは必至とみられる。(読売新聞 1999/03/17)北朝鮮、炭そ菌兵器開発? 韓国で報道 在韓米軍は予防注射
【ソウル4日五味洋治】韓国のMBCテレビは4日夜のニュースで、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が大量殺傷能力を持つ生物兵器の一種で致死性が強い「炭そ菌兵器」を開発、在韓米軍が昨年9月から、全将兵を対象に炭そ菌を予防するワクチン注射を始め、今後は一般の在韓米国人にも注射を行うと伝えた。
この報道に対し韓国国防省は、本紙の取材に「在韓米軍が予防注射をしているのは事実だが、民間人に行うかどうかは分からない」と述べた。
炭そ菌は、内臓の機能不全や肺炎などを引き起こし、注射を受けなければ、ほぼ全員が数日で死亡する強い毒性を持つといわれる。すでに米国防省は1997年に米兵約240万人全員に炭そ菌予防注射を行うことを発表しているが、MBCテレビは、「今回の在韓米軍の措置(ワクチン注射)は、北朝鮮が生物兵器の大量生産態勢に入ったため」としている。(中日新聞 1999/07/06)細菌放出の実験を中止 米ロスアラモス国立研究所
【ロサンゼルス8日共同】米ニューメキシコ州にあるロスアラモス国立研究所は8日、細菌戦に備えた探知器を実証試験するため、細菌を施設外に放出する実験を計画していたが、住民の強い反対にあって、実験を中止した。
AP通信によると、この細菌は、土壌にある一般的な細菌で、ジャガイモやニンジンなどの野菜の根に付着しており、同研究所は、健康に害は与えないと説明している。
計画では毎月1回午後9時から午前3時までの夜間に約10グラムを放出する実験を1年間続けることになっていた。
探知器を試験するには施設外に放出する必要があるため、施設から約16キロ離れた集落(人口約6500人)の住民と話し合いを続けていた。
同研究所は、別の実験方法を検討するとしている。(共同通信 1999/07/09)遺伝子換えて社交的に 米科学者がマウスで実験
【ワシントン18日共同】たった1つの遺伝子を換えただけで、孤独を好むマウスが社交的な性格になった、と米エモリー大のラリー・ヤング博士らが19日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
動物の社会行動の多くは複数の遺伝子や環境が関与する複雑な現象とみられるが、今回の研究は遺伝子と行動の関係を解明する重要な一歩になると期待される。
博士らは、動物の生殖行動などに影響があるホルモンの一種、バソプレッシンに着目した。このホルモンの受容体は、動物の脳内にあるが、近種のげっ歯類の間でも、社会行動の違いによって脳内の配置に大きな違いがあることを突き止めた。
その上で同博士らは、社交性が強いハタネズミの一種から、この受容体の遺伝子を取り、雄マウスに組み込んだ。
すると、遺伝子を組み換えたマウスは脳内の受容体配置が変わった。バソプレッシンを投与すると、ハタネズミと同じように、雌に対して毛繕いなどの社交的な行動を盛んにするようになったという。(中日新聞 1999/08/19)“賢い”マウスが誕生 遺伝子操作で学習強化 米大助教授ら
【ワシントン1日共同】脳神経に関係する遺伝子を操作して、学習能力や記憶力を強化した“賢い”マウスをつくることに米プリンストン大のジョ・チェン助教授らが成功し、2日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
記憶のメカニズム解明につながるほか、記憶障害などの治療法開発にも道を開く研究。遺伝子操作で人間の知能を高めることができる可能性もあり、将来は遺伝子技術をめぐる倫理問題も発生しそうだ。
記憶は脳神経細胞の間に信号の通り道ができることで形成されるといわれる。同助教授らは、細胞の末端で信号を受け取る受容体の数を増やせば通り道ができやすくなると考えた。
そこで、NMDAと呼ばれる神経伝達物質の受容体が脳に多くできるように遺伝子を操作したマウスの系統をつくって、学習や記憶力を調べた。
その結果、ドゥギーと名付けた系統の遺伝子操作マウスは、物体の形の記憶、刺激と音や場所の関連を覚える能力、迷路脱出能力のすべてで通常のマウスを上回った。具体的には、同助教授らがつくったマウスは、通常マウスに比べ、記憶時間が4、5倍長く、迷路からの脱出も半分の試行錯誤回数で成功した。(中日新聞 1999/09/01)遺伝子で脳の老化を回復 サルで実験、人に応用へ
【ワシントン13日共同】神経成長因子の遺伝子をサルの脳内に注入し、老化のため委縮した脳神経細胞を若返らせるのに成功した、と米カリフォルニア大サンディエゴ校のマーク・チューシンスキー准教授らが14日付の米科学アカデミー紀要に発表した。
脳細胞が若返った結果、思考力や記憶力が回復したかどうかの実験は今後行うが、同チームは人間のアルツハイマー病などの治療に応用可能とみて、臨床試験の実施を米食品医薬品局(FDA)に申請した。
同准教授らは、人間なら60―70歳に相当する20歳代のアカゲザルの脳を詳細に調べ、老化の結果、脳の前脳基底核と呼ばれる部分の神経細胞の数が若いサルの60%ほどに減り、大きさも1割程度委縮していることを発見した。
そこで、神経を成長させる効果がある神経成長因子をつくる遺伝子を組み込んだサルの皮膚の細胞を培養して増やし、脳に移植した。すると、約3カ月後には神経細胞の数が若いサルと同等にまで回復、委縮もほぼ解消したことが分かった。
同准教授は「脳の老化を回復できる可能性を示しており、人への応用にも期待が持てる」と話している。(共同通信 1999/09/14)遺伝子操作しハエを小型化 通常の半分に、スイスで
【ベルリン24日共同】24日付のドイツ紙ウェルトによると、スイスの研究チームが遺伝子工学を使って、通常の半分の大きさのショウジョウバエをつくり出すことに成功した。
誕生したハエは個々の細胞が小さくなり、細胞の成長も遅くなったが、細胞の数は通常のハエと同じだった。ほ乳類への応用の可能性はまだ不明だが、特定の細胞の成長を遅らせることができれば、がんの治療に役立つ可能性もある。
研究チームは、ショウジョウバエの遺伝情報のうち個体の大きさだけに関係するスイッチを見つけ、これを操作してハエを小型化した。
この研究は、バーゼルにあるフリードリヒ・ミーシャー研究所のジョージ・トーマス教授(米国)が中心となり、チューリヒ大も参加した。
トーマス教授は、生物の個体の大きさは本来、細胞の数で決まるとした上で、細胞数は通常と同じなのに細胞そのものが小さくなった個体が生まれたことは「非常な驚きだ」と話している。
ウェルト紙は「いずれ盆栽サイズの人間が生まれるかもしれない」と指摘した。(共同通信 1999/09/25)北朝鮮の化学兵器2500−5000トン
サリン、VXなどミサイル搭載可能 韓国国防白書が分析
【ソウル12日山本勇ニ】韓国国防省は12日、1999年国防白書を発表し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の軍事情勢を分析して、化学兵器の保有量は従来の1000トンから大幅に増えて2500−5000トンに達すると推定した。
北朝鮮は化学薬品を大量生産できる工場が8カ所あり、水ほう性、神経性、血液性、催涙性など有毒ガスを保有。韓国国防省関係者によると、北朝鮮はサリン、」ィなどの化学兵器を持ち、保有するミサイルの50−60%は化学兵器を搭載できるという。また炭痘(たんそ)菌など生物兵器の開発も進めている。白書は、化学・生物兵器は生産コストが安く、深刻な経済難に直面する北朝鮮は今後も保有を続けると分析している。
一方、ミサイルはテポドン1号(射程2000−2500キロ)、テポドン2号(射程6700キロ)を重点的に開発中。またプルトニウム抽出技術からみて、1、2個の初歩的な核兵器を生産する能力は持っているが、起爆装置、運搬手段の開発には高度な技術を要するため、核兵器を既に保有しているかどうかは確かではないとしている。
白書は北朝鮮の兵力を陸軍100万人、海軍6万人、空軍11万人と推定。これに対し韓国軍は陸軍56万人、海軍6万7000人、空軍6万3000人となる。北朝鮮は今年、国防予算は13億6000万ドルであり、全体の予算に占める比率を14.5%と発表したが、白書は実際は予算総額の30%以上になると推定している。(中日新聞 1999/10/13)米が68年に細菌兵器実験 太平洋ジョンストン環礁
【ワシントン5日共同=石山永一郎】中部太平洋ハワイ南方の米領ジョンストン環礁で1968年、米軍が細菌を空中散布する大規模な生物兵器実験を行っていたことが5日までに分かった。
92年に米国に移住した旧ソ連生物兵器研究所の元副所長のケン・アリベック氏(49)=バージニア州在住=が、かつてソ連情報機関から報告を受けたとして共同通信に語った。米国側の当時の実験責任者の1人である米国防総省の生物戦争研究所元幹部のウィリアム・パトリック氏(73)=メリーランド州在住=もこれを確認した。
旧日本軍「731部隊」の研究内容を入手して進められたとされる米国の生物兵器の開発が、72年の生物兵器禁止条約調印による「開発、生産、貯蔵」の放棄直前まで続けられ、当時、既に実戦配備のできる段階に至っていたことを示している。
アリベック氏によると、実験に使われた細菌はヒトが感染するとペストに似た症状になる野兎(やと)病菌だった。実験には多くのサルを乗せた複数の艦船が使われ、軍用機が細菌を含んだ粉末状物質を散布、サルの感染率、死亡率を調べた。「実験は信じ難いほどの成功を収めた」という。
環境への影響についてアリベック氏は「野兎病菌は長期間、安定的には生存せず、問題は生じていないと思う」と述べている。
米側のパトリック氏は「実験により、われわれは決定的なデータを得た」と語り、これらの事実を認めた。しかし「使用した細菌名など詳細は現在も機密扱いであり、答えられない」と語った。
米国防総省は96年、ジョンストン環礁に化学兵器を貯蔵していた事実とともに、これを廃棄する方針を発表したが、生物兵器については触れていない。同環礁ではかつて核実験が行われたことがあり、現在は少数の米軍、政府関係者のみが居住している。
また、沖縄の米軍基地に貯蔵されていた化学兵器が、71年に同環礁に移送されている。(共同通信 1999/11/05)米国防総省は確認せず
【ワシントン5日共同】米国による太平洋のジョンストン環礁での細菌兵器実験について米国防総省スポークスマンは4日、共同通信に対し「現在の問題ではなく古い話であり、答えられない」と述べ、実験を実施したかどうか確認しなかった。(共同通信 1999/11/05)旧ソ連も731部隊利用 陶器爆弾、羊毛使用などで
【ワシントン5日共同】中国東北部(旧満州)で細菌兵器の生体実験を行うなどした旧日本軍「731部隊」から第2次大戦後、旧ソ連が細菌爆弾製造技術に関する情報を入手、スターリン特命による本格的な生物兵器開発で利用していたことが、5日までに分かった。1992年に米国に移住した旧ソ連生物兵器研究所幹部のケン・アリベック氏(49)が語った。
旧ソ連は、研究内容提供と引き換えに731部隊関係者の戦犯訴追を免責したとして米国を非難、49年にハバロフスク軍事裁判を独自に開き関係者を裁いたがその裏で同様に負の遺産を利用していたことになる。
アリベック氏によると、ソ連は(1)細菌を広範囲に飛散させるため羊毛を利用する(2)さく裂した時に熱が生じにくい陶器で爆弾をつくる―などの情報を特に参考にした。
同氏は「731部隊の研究全体が当時のソ連を上回っていたとは思わないが、いくつかの技術は明らかに優れていた」と話し、これは旧ソ連の生物兵器研究者の間でも共通認識だったという。
同氏が今年、米国で出版した著書「バイオハザード」によると、旧ソ連はロシア革命の際に赤軍兵士が実際の戦闘以上にチフスで死亡したことで生物兵器の重要性を認識、革命直後に研究を始めた。
スターリンは731部隊から押収した文書、戦犯の証言などから得た情報を重視、同部隊を上回る生物兵器を開発するように旧ソ連国家保安委員会(KGB)に命令。その後、アラル海のボズロジェニャ島など連邦内約40カ所に研究・実験施設が建てられた。(共同通信 1999/11/06)米基地に波紋状の巨大施設 68年の衛星写真を公開
【ワシントン7日共同】米中西部ユタ州のダグウェー米軍基地内に、中央施設の周りを大小の同心円が幾重にも囲む巨大な施設がつくられていたことが、米国立公文書館が7日までに公開した米衛星「コロナ」の1968年撮影の写真で判明した。同基地は生物・化学兵器開発の実験場として使用されてきたことが知られており、実験場の施設とみられる。
衛星写真によると、付近の地形の様子から直径は少なくとも数キロはある。
ダグウェーでは生物兵器投下実験が60年代までモルモットなどを使って行われていたことが分かっており、施設の構造から、一定距離ごとに動物を置き、死亡率などを調べるための実験場だったとみられる。
その巨大さは、米国が当時、局地的な戦術兵器にとどまらず、生物・化学兵器を核兵器なみの戦略兵器と位置づけていたことも示唆している。
ワシントンの米軍関係者は、写真が撮影された理由について「ソ連の偵察衛星などを警戒、上空から実験場がどのように見えるかを確かめたのではないか」と分析している。
中心施設を同心円状に囲む構造は、中国東北部(旧満州)で旧日本軍「731部隊」が同心円上に打ったくいに捕虜を縛り付け、細菌兵器生体実験を行った際の構造とも似ている。
88年に米国で公開された文書によると、同基地では50年代から60年代にかけて炭疽(たんそ)菌などの生物兵器を爆弾や噴霧器で航空機から投下する実験が69回以上行われた。現在は化学兵器の廃棄作業が進められている。
ダグウェーはソルトレークシティーの南西約140キロ。ユタ州は核実験場のあるネバダ州に隣接、「核実験の風下」の州としての被害も出ている。(共同通信 1999/11/07)遺伝子治療 子孫に遺伝 米ラット実験で確認
人間でも可能 論議必至
【ワシントン12日共同】高血圧を予防する遺伝子治療の実験で、親ラットに組み込んだ遺伝子が子供や孫にも伝わることが、米フロリダ大の研究で分かった。12日付の米医学誌サーキュレーション・リサーチに掲載された。
遺伝子治療の実験で、組み込まれた遺伝子が子供や孫にまで働くことが確認されたのは初めて。人間に利用した場合、生まれてくる子供に対する遺伝的な改造も可能になることを示したことから、今後遺伝子治療の在り方をめぐって、大きな論議を呼びそうだ。
同大のフィリス・リーブス博士らは、高血圧になる系統のラットを使って予防の遺伝子治療を試みた。
生体内で血圧を上げる効果があるアンジオテンシンという物質に着目。この物質が作用する受容体が細胞表面に形成されないようにする遺伝子を、構造の一部を変えたウイルスに組み込んだ上、生後5日のラットの心臓内に注入した。
100日後、ラットを調べると高血圧は起きておらず、1回の遺伝子治療の効果が永続することが分かった。
しかし、治療を受けたラットのペアから生まれた子や孫も高血圧にならないことが判明。DNA分析の結果、治療に使った遺伝子が子孫に伝わっていることが分かった。ウイルスが治療の目的とする細胞だけでなく、生殖細胞にも遺伝子を組み込んだ可能性が高いという。
同博士らは、高血圧を永続的に防ぐ治療法となる可能性を示す実験とする一方「遺伝する可能性が示された以上、今後すべての遺伝子治療について、子孫に影響が伝わるかどうか注意深く検討する必要がある」と指摘している。(中日新聞 1999/11/13)遺伝子操作で子ブタが40%大きく=米専門家が発表
【ワシントン7日時事】遺伝子操作によってブタの成長ホルモンを刺激し、子ブタを通常より40%大きく、早く成長させる方法を発見したと、米テキサス州ベイラー医科大学のロバート・シュワーツ教授らのチームが7日発表した。人間への応用に成功すれば、子供の成長障害やがん患者の治療に効果があるという。(時事通信 1999/12/08)「人工生命」米企業が計画 遺伝子を合成
生命体を作るためには最低限300前後の遺伝子が必要であると、米バイオ企業セレラ・ジェノミクス社のクレイグ・ベンター社長らが突き止め、米科学誌サイエンスに発表した。
同社長らは、この成果を受け、DNAをつないで遺伝子を作り生命を人工合成する研究を計画。倫理的な問題がないかどうか、外部の学者に委託して検討を進めている。
人工生命の実現にはまだ克服しなくてはならない多くの課題がある。もし成功すれば、自然現象だった生命の概念自体に変更が迫られる可能性や、細菌兵器などに悪用される懸念も出てくる。
今回の研究に使ったのは、マイコプラズマ・ゲニタリウムと呼ばれる微生物。人間の遺伝子は8万−14万個と推定されるが、この微生物は生物で最少の517個しかないことが知られている。
同社長らは、遺伝子のDNA配列に入り込んで遺伝子機能をなくしてしまうトランスポゾンというDNA断片を使い、どの遺伝子が壊れるとマイコプラズマが死ぬかを調べた。そのデータをもとに生命体を作るために必要な遺伝子数を割り出したところ、最低でも265−350個の遺伝子が必要であることがわかった。(共同)(朝日新聞 1999/12/27)脳細胞への遺伝子操作で、スーパー記憶マウス誕生
脳細胞に遺伝子操作を加え、記憶力を高めたマウスを、東京大学医科学研究所の御子柴克彦教授(細胞分子生物学)ら科学技術振興事業団のグループが誕生させた。
同グループは、細胞の中にある小胞体という器官からのカルシウムの出入りが情報伝達にかかわっていることに着目した。
脳の中央に記憶を支配する海馬がある。海馬の細胞にある小胞体で、カルシウムの出入りを制御しているたんぱく質の遺伝子を働かないようにした。その結果、このたんぱくのあるはずの位置からカルシウムが出ないマウスが誕生した。
このマウスの脳細胞を電気刺激したところ、反応が普通のマウスより明らかに高まっていた。
記憶力についてはプールで実験した。最初に足場を置いて泳がせ、その位置を覚えさせた。次に、足場をなくした上、水面下が見えないような濁った水を満たして泳がせた。すると遺伝子操作マウスは、足場があったはずの所を泳ぎ回って探した。その周辺にいた時間が普通のマウスより長かった。
外から細胞に入ってくるカルシウムが増えるよう遺伝子操作をすると、カルシウムが刺激となって記憶力が高まることは、動物実験で知られている。今回の実験は細胞内のカルシウムが減ることでも記憶が高まることを示し、矛盾しているようにみえる。
御子柴教授らのグループは、1つの細胞内であっても、場所によってカルシウムの役割が異なると考えている。小胞体から出るカルシウムは神経の働きを抑制するみられ、「記憶は一見相反するように見える『刺激と抑制』のバランスで成り立っているのではないか」と話す。(朝日新聞 2000/01/01)献血者のDNAを無断解析=1300人分、民間の研究所
厚生省の認可法人医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構と日本ロシュなど製薬4社が出資した研究開発会社「エイジーン研究所」(神奈川県鎌倉市)が、県衛生研究所に保管されていた日赤の輸血用血液のサンプルから採ったDNA(デオキシリボ核酸)抽出液の提供を受け、遺伝性の難病の研究に利用していたことが、8日分かった。
同省や神奈川県によると、エイジーン研究所は1998年5月から99年1月にかけ、県衛生研究所から約1300人分のDNA抽出液を提供を受け、老化が加速度的に進む難病「ウエルナー症候群」の原因遺伝子を調べるための疫学調査を行った。(時事通信 2000/03/08)ユダヤとアラブは血縁 染色体分析で確認
【ワシントン8日共同】ユダヤ人と、パレスチナ人などアラブ人が共通の祖先を持つことがDNA分析で確認された、と米ニューヨーク大のハリー・オストラー博士らが9日付の米科学アカデミー紀要に発表した。
ユダヤ人とアラブ人に血縁関係があることは旧約聖書など宗教、歴史文書の記述から当然とみられていたが、遺伝分析ではっきり確認できたのは初めてという。
同博士らは中東地域をはじめ、北米、アフリカ、欧州各国など世界29地域の1371人の男性のY染色体のDNAを調べた。同染色体は父親から男の子に伝わり、遺伝的に近い人は共通の特徴を持つ。
その結果、イスラエルや北米、欧州、アフリカ北部に住むユダヤ人のY染色体に共通点が多いことが判明。ユダヤ人は紀元前にパレスチナから世界各地に離散した後も他民族とあまり混血せず、遺伝的な同一性を保ってきたと分かった。
またパレスチナ人、シリア人はユダヤ人とY染色体の特徴を共有しており、旧約聖書などが示すように遺伝的なルーツは同じと分かった。(共同通信 2000/05/09)遺伝子:ユダヤとアラブの先祖は同じ 国際研究グループ
【ワシントン8日斗ケ沢秀俊】イスラエルとアラブとの対立が続いているが、遺伝子上はユダヤ人はアラブ人と「兄弟」とも言える近い関係にあることが欧米とイスラエルの国際研究グループの調査で判明し、9日付の米科学アカデミー誌に発表される。
米ニューヨーク大医学校やイスラエルのテルアビブ大などのグループは、7地域のユダヤ人を含む世界29地域の男性1371人を対象に、男性の性染色体であるY染色体の塩基配列を調べた。
調査の結果、ユダヤ人はパレスチナ、シリア、レバノンなど中東のアラブ人と祖先が共通で、塩基配列に同じ特徴を持っていた。ユダヤ人とアラブ人は、中東以外の非ユダヤ人とは塩基配列の違いが大きく、遺伝子上は離れた関係にあった。ユダヤ人は地域ごとの塩基配列の違いが少なく、他民族との混血があまりなかったことも分かった。
研究グループは「ユダヤ人とアラブ人はみな、古代ヘブライ民族の始祖アブラハムの子供たちであり、いずれも4000年以上にわたって中東の遺伝的な特徴を保っている」と分析している。(毎日新聞 2000/05/09)ref. Journal axes gene research on Jews and Palestinians
(Observer 2001/11/25)エイズは生物兵器の陰謀?
【ジュネーブ8日共同】「エイズは何者かが開発した生物兵器であり、アフリカはその犠牲者だ」―エイズ禍に苦しむナミビアのヌジョマ大統領は8日、国際労働機関(ILO)総会が開かれているジュネーブで記者会見し、独自の説を展開した。
大統領は「エイズがアフリカ起源だという説は真っ赤なうそ」と述べ、アフリカ起源説は生物兵器による陰謀を隠そうとするたくらみだと強調した。
各国記者が生物兵器説の根拠をただしたが、大統領は「あなたの母国に戻って科学者に尋ねれば、すぐに分かることだ」とかわした。
大統領は、エイズが労働人口に与える影響をめぐるILO会合に出席した。(共同通信 2000/06/08)ヒトゲノム解読完了 生命科学の飛躍期待
【ワシントン26日安藤淳】「人間の設計図」であるヒトゲノム(全遺伝情報)の全体像が史上初めて明らかになった。クリントン米大統領は26日にホワイトハウスで記念式典を開き、米バイオ企業のセレーラ・ジェノミクス社と、日米欧の国際ヒトゲノム計画のチームが解読作業をほぼ終えたと発表。ブレア英首相も衛星回線で会見に参加した。ゲノムは人体が誕生し成長するのに不可欠な生命の基本データであり、多くの病気とも深ぐ関係している。その全解読は画期的な新薬や診断技術を生み出す足掛かりとなり、生命科学や医療、バイオ産業を21世紀に向けて大きく飛躍させる「跳躍台」になると期待される。ヒトゲノム計画は、人類を月に送り込んだ「アポロ計画」と比較される巨大科学プロジェクト。アポロ計画はコンピューターや新素材の進歩に波及効果をもたらすとともに、地球や生命に対する人々の見方を変えた。ゲノム計画も様々な難病克服などを通じ医療・医学に革新をもたらすだけでなく、生命観や人間観を大きく変える可能性を持つ。
クリントン大統領は「150歳まで生きたいとする人々の願いの実現に道を開く成果だ」とした。「解読は人類にとって計り知れない未知の可能性を開く」と、大統領とともに会見したセレーラ社のクレイグ・ベンダー社長は述べた。
ホワイトハウスでの会見に先立ち、榊裕之理化学研究所ディレクターら「国際ヒトゲノム計画」の科学者が東京とロンドンで会見し、ゲノムの86.8%を明らかにしたと発表した。このデータの67%は米国が、22%は英国が解読。日本は7%を受け持ち、ほかに独仏などが加わった。
また米バイオベンチャー企業のセレーラ社は30億文字に相当するゲノムの99%以上を読み取り、文字を正確な順番に並べたと発表した。ジグソーパズルに例えれば、すべてのピースを正しい場所に置いたことになる。同社は大量の解析装置を使った物量作戦と国際計画が公表したデータの利用で、わずか9カ月あまりで10年がかりの国際計画を追い越した。ベンダー社長は「10億ドル(約1000億円)を投じて民間の力で解読をけん引した」と成果を誇った。
セレーラ社は解読データを米ファイザーや武田楽晶工業などに有料で提供するビジネスを展開しており、人間の遺伝情報を「公共財」ととらえチータの公開を進めてきた国際共同チームは同社の動きに強く反発してきた。対立は解けていないが、一部科学者の仲介で共同会見にこぎつけた。クリントン大統領は「官民協力の実現」と評価している。
ゲノム解読完了後、バイオ研究は30億文字のデータの中から医薬品開発などに役立つ有用遺伝子を探し出すことに重点が移る。ゲノム解読で先行したセレーラは重要と考えられる遺伝子の特許をすでに出願済みで、同社が遺伝子を活用した医療ビジネスの根幹を押さえる可能性もある。
ヒトゲノムは人間が持つすべての遺伝情報。塩基と呼ばれる化学物質約30億個の配列としてデオキシリボ核酸(DNA)に記録されている。この中には体を構成するたんぱく質の設計図となる遺伝子の情報が10万個程度隠されており、さらにその中の数百〜千個の遺伝子はがんやアルツハイマー病などの病気にかかわるなど医薬品開発に極めて有用と考えられている。(日本経済新聞 2000/06/27)遺伝子操作後の複製DNA、病院の4割が密封せず廃棄
遺伝子診断をしている大学病院や総合病院の4割以上が、複製したDNAを使用した後に、一般廃棄物として処理したり、排水施設に流したりするなど密封処理していないことが、厚生省研究班の実態調査で分かった。研究班は、こうしたDNAが研究者や清掃作業員の体内に入ると発がん性などの悪影響を与える危険性があるとして、廃棄方法を定めた指針案を作り、処理装置の開発を目指す方針だ。
ここ数年、遺伝子の特徴から患者の体質や病気の有無、病原体を調べる遺伝子診断を行う研究施設や病院が増えている。診断は、患者の血液や病巣、病原体からDNAを取り出して大量に増やして行う。複製されたDNAは分解されにくい。
厚生省の研究班(班長、松島肇・浜松医大教授)では、保科定頼・東京慈恵会医大講師(臨床検査)が中心になり、全国119の大学病院、224の総合病院を対象に遺伝子操作の有無、廃棄方法などを聞いた。7割の大学病院、3割の総合病院が遺伝子操作を実施していた。がんや遺伝病の患者の細胞から採ったDNAをはじめ肝炎ウイルス、結核菌など様々な病原体のDNAを扱っている。このうち、複製したDNAを、使用後に、密封式の特殊容器に封じ込めて処分している施設は大学病院で6割、総合病院で半数にとどまっていた。多くの施設は、検査・実験室で排水施設に流したり、分解や不活性化せずに一般廃棄物として処理したりしていた。遺伝子操作中に手袋を使用しない施設も多数あった。
保科講師によると、DNAをずさんに扱うと、研究者や処理業者らが吸い込んだり、皮膚の傷口などから入ったりして細胞に取り込まれ、発がん性などの悪影響を与える危険性が否定できないという。
回答した半数以上の大学病院、4割の総合病院では、複製したDNAが体内に入って自分のDNAと組み換えを起こしたり、自然界のウイルスが複製DNAを取り込んで変異体が出現したりすることを心配していた。
フランスのパスツール研究所では1989年、DNA操作をしていた7人の研究者が特殊なリンパ肉腫にかかり、複製DNAが体内に入って発がんを促したのではないかと疑われた。
複製DNAの廃棄方法に関する法的規制は現在ないが、密封容器に入れて焼却処分するのが最も安全とされる。
研究班では今年度、廃棄方法を定めた指針案を作成するほか、メーカーの協力も得て、複製DNAを安全に分解、不活性化できる装置の開発を目指す。
保科講師は「複製DNAが人体や環境にどんな悪影響を与えるのかは十分、分かっていない。しかし、今後、遺伝子を扱う医療機関はさらに増えることから、規制策が必要だ」と話している。(朝日新聞 2000/07/06)エイズ原因で議論喚起 HIV説疑う南ア大統領
【ダーバン9日共同】南アフリカのムベキ大統領はHIVがエイズを引き起こすとの定説を否定する科学者を大統領直属のエイズ調査委員会のメンバーに加え、国内外で議論を巻き起こしている。だが9日のエイズ会議開会式での演説ではこの問題に直接触れず、定説に関する「見解表明」は先送りされた。
ムベキ大統領は、代表的なエイズ治療薬のAZT(ジドブジン)の効果にも疑問を提起。母子感染防止に効果があるとされるAZTだが、南アの公立病院では妊婦に投与されない状態が続いている。
南アフリカのエイズ感染者は世界最多の420万人に達するとみられ、多くの科学者は「エイズとの闘いに無用な議論を持ち込んだ」と大統領を批判。
「HIVがエイズを引き起こす原因であることに疑いはなく、エイズ撲滅はこの事実を認識することから始まる」との宣言にこのほど世界中の5000人以上の科学者が署名する事態にまで発展した。
ただ、エイズが猛威を振るう国を発信地とする論争がエイズへの関心を高めたのも確か。会議に参加する医師の1人は「アフリカのエイズ禍に先進国の目を向けさせるのが大統領の狙いだったのかもしれない」と話した。(共同通信 2000/07/10)血管壊すタンパク質発見 エボラ出血熱で米NIH
【ニューヨーク1日共同】米国立衛生研究所(NIH)は31日、致死率が90%に達する「エボラ出血熱」の病原ウイルスから、血管壁の細胞を破壊し、激しい出血を引き起こしているとみられるタンパク質の特定に成功した、と発表した。
エボラ出血熱は、致死率の高い特定の感染症「国際伝染病」の1つで、高熱と大量の内出血などで急速に死に至る。効果的な治療法がなく、最も恐れられているウイルス性熱病。
NIHは「このタンパク質を標的にした薬やワクチンの開発で、エボラ出血熱の予防や治療が可能になるかもしれない」と成果を強調した。(共同通信 2000/08/01)「あなたのDNAください」 米新興有力企業がネットで呼びかけ
【ニューヨーク1日共同】米カリフォルニア州の新興企業ディーエヌエー・サイエンシスは1日、病気の原因となる遺伝子を発見することを目的に、一般の人にインターネットを通じDNAの提供を求め、データベースをつくる活動を始めた。
同社にはDNAの二重らせん構造を突き止めたノーベル賞学者のジェームズ・ワトソン博士や、有力ネット企業ネットスケープなどを創業したジム・クラーク氏が役員に名を連ねている。
1日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、この試みが医薬品の開発などを大きく発展させる可能性はあるが、これほど広範囲な遺伝子情報の収集には倫理やプライバシーの問題がつきまとうと指摘している。(共同通信 2000/08/02)「異種移植」でウイルス感染、ヒトへの応用に警鐘
【ワシントン16日=館林牧子】肝臓病などの患者に動物の臓器を移植する「異種移植」の安全性を研究していた米スクリップス研究所(カリフォルニア州)のダニエル・サロモン博士らの研究グループは、16日までに、臓器提供用の動物として最も期待されている豚の組織を、マウスや人間に移植すると、豚特有のウイルスが感染しうることを実験で初めて確認した。
異種移植により、新種のウイルスが人間にまん延する危険性があることになる。日米欧など各国で、遺伝子操作やクローン技術を使って移植にふさわしい豚を作る研究が活気づく中、大きな課題になりそうだ。成果は、英科学誌「ネイチャー」に近く発表される。
研究グループは、豚の染色体の中にもともと潜んでいる内在性レトロウイルス(PERV)に着目、このウイルスを作り出す豚のすい臓の細胞と、人間の細胞を一緒に培養した。その結果、人間の細胞にウイルスが感染した。さらに細胞だけでなく、動物の体にもウイルスが感染するかどうかを調べるため、豚のすい臓の細胞をマウスのじん臓に移植したところ、18―56日後、やはり感染していることがわかった。
PERVは、豚の体内では病原体としての性格を失っており特に症状は出ないが、人間に感染すると新種の病気を引き起こす可能性もあるため、研究グループは、「異種移植の安全性には重大な懸念が残る」と指摘している。◇ 日本でも、異種移植用の豚を作る研究は活気づいている。しかし、実際の異種移植を規制したり、審査したりする体制はない。サルから人間に広がったといわれるエイズのように、未知の新種ウイルスが、いったん人間に感染すると、人間から人間へと感染が広がる恐れもあり、今後、論議を呼びそうだ。
東京医科歯科大の山本直樹教授(微生物学)も、「種を超えた感染が起きない保証は何もない。その恐れを示す実験だ」と、警鐘を鳴らしている。(読売新聞 2000/08/17)保険会社の遺伝診断認可へ 13日に政府発表と英紙
【ロンドン12日共同】12日付の英大衆紙デーリー・メールによると、英政府は保険会社に対し、保険加入希望者が遺伝病を持っているかどうかを調べる遺伝子診断を認めることを決めた。13日発表する。
この結果、保険会社は、遺伝病を持つ人との契約を拒否したり保険料を引き上げたりできることになる。
遺伝子情報の利用は保険のほか、長期ローンや雇用などの契約の際にも差別を生む可能性が高いとして世界的に論議を呼んでいるが、英国は遺伝子技術の商業的目的での利用を認める初めての国になる。
同紙によると、診断が認可される最初の病気は、ハンチントン舞踏病。このほかアルツハイマー病や遺伝性乳がんなど7種類の遺伝病の診断認可の動きも進んでいる。
また、雇用の際、雇用者側に遺伝子情報を閲覧することを認めることも検討中という。
クリントン米大統領はことし2月、連邦政府の職員雇用や昇進の際、遺伝子情報に基づく差別を禁じる大統領令に署名。また、欧州連合(EU)は、7月に遺伝的特徴に基づく差別の禁止を明記した包括的な憲章原案をまとめるなど、遺伝子利用に歯止めをかける動きが広がっていた。(共同通信 2000/10/12)エボラウイルス、免疫を破壊 米大チーム、増殖の機構解明
【ワシントン=共同】全身に出血を起こし高率で死に至るエボラ出血熱のウイルスは、生体のウイルスに対する免疫を破壊して、感染者の体内で増殖することを米マウントサイナイ医大(ニューヨーク)などの研究チームが突き止め、24日付の米科学アカデミー紀要に発表した。
同出血熱は現在、ウガンダで流行しており23日までに、55人が死亡した。
同チームが見つけたのは、生体が持つウイルス防御因子のインターフェロンがつくられるのを妨げる作用。
インターフェロンは、生体内で作られ、ウイルスの増殖を抑え込む。ところが、エボラ出血熱ウイルスが持つVP35というたんぱく質にはインターフェロンがつくられるのを妨げ、生体の防御機構をくぐり抜ける働きがあることが、培養細胞を使った実験の結果、分かった。(日本経済新聞 2000/10/25)エボラ出血熱 猛威 根絶へ国際的対応急務
高い致死率で恐れられる伝染病「エボラ出血熱」がウガンダで広がり10月30日までに224人が感染、うち73人が死亡した。1990年代半ばから大規模な発症例の報告はなかったが今回の再発で根絶されていない実態が鮮明になった。アフリカ諸国との通商の活発化などにともない、エボラ熱が先進国に波及する可能性も否定できない。エイズのような世界的な脅威になる前に、世界保健機関(WHO)などを中心とする国際的な対応が急務となっている。
▼致死率は50−90%今回、ウガンダ北部のグルでエボラ熱が発見されたのは10月半ば。感染すると発熱や頭痛などの症状の後、消化管などから出血、死に至る。有効なワクチンも治療方法も無く、致死率は50−90%。
76年にスーダンで初めて発生して以来、アフリカ中部を中心に散発的に発生し、しばしば数百人規模の犠牲者を出している。ウガンダで発生するのは今回が初めてだが、244人が死亡した95年のザイール(現コンゴ)以降で最大の規模となっている。▼通商拡大で病原体流入も
米専門家は、今回のウイルスが79年にスーダンで発見されたものと同じ型であると発表。スーダン南部を本拠地とするウガンダの反政府勢力「神の抵抗軍」(LRA)が持ち込んだ可能性が指摘されている。劣悪な衛生状態に加え、地域紛争という政治的な要因がエボラ熱の拡大に拍車をかけている。
先進国も無縁ではない。96年にフィリピンから実験用に輸出されたサルが米テキサス州の検疫所でエボラ熱で死亡した。今回ウガンダで発見されたウイルスは型が違うが、アフリカと他地域を行き来する人や動物を通じ病原体が短期間で世界に広まる可能性は否めない。米国や欧州連合(EU)は今年、貿易を通じてアフリカ諸国の経済を支援するため、関税撤廃などを決めたが、通商拡大が病原体の流入を招くことを危ぐする意見もある。▼WHOが緊急支援を要請
ウガンダでの発症をうけて、WHOや米疾病対策センター(CDC)などは専門家を現地へ急派した。日本も国立感染症研究所の研究員ら2人を派遣している。同研究所の倉田毅副所長は「治療より感染拡大防止が先決」と指摘する。
今後の広がりについて、初めてエボラ熱が流行した76年にWHOのウイルス研究チームを率いてウガンダ入りした札幌医科大学の千葉峻三教授(臨床ウイルス学)は「国際機関はこれまでも成果を上げており、今回も終息まで長くはかからない」と楽観視する。ただ、WHOの専門家は「ピークはまだ」と慎重だ。
WHOは今回の流行の対策費用として84万8000ドル(約9000万円)の緊急支援を加盟国に要請した。(国際部 柳沢佳代子)(日本経済新聞 2000/11/01)米国で、遺伝子組み換えサル誕生──霊長類初、難病研究に弾み
【ワシントン11日斗ケ沢秀俊】遺伝子を組み換えたアカゲザルを誕生させることに米オレゴン健康科学大の研究グループが成功し、12日発行の米科学誌「サイエンス」に発表した。遺伝子組み換え霊長類の誕生は世界で初めて。
アルツハイマー病やエイズなどの難病の治療法開発に役立つと期待されている。
成功したのは同大オレゴン地域霊長類研究センターのジェラルド・シャテン博士などのグループ。同グループは昨年1月の同誌で、受精卵の分割による方法で誕生させた初のクローンサル誕生を発表している。
同グループは、遺伝子の組み換えが成功したかどうかを調べるための遺伝子である「標識遺伝子」を、ウイルスを改変したベクター(遺伝子の運び屋)を使い母ザルの卵子に注入した。その卵子に、父ザルの精子を注入した。
224回の体外受精でできた受精卵40個を、20匹の代理母に移植したところ、5匹が妊娠した。2匹は死産だったが、3匹が無事に生まれた。このうち昨年10月2日に生まれた「ANDi(アンディ)」だけに、注入した遺伝子が組み込まれていると判定された。
同グループの研究目的はネズミよりもずっとヒトに近い遺伝子を持つサルで遺伝子組み換えを実現し、病気の新治療法を開発することにある。シャテン博士は「病気の原因遺伝子を入れたサルを誕生させて研究することにより、アルツハイマー病のワクチン開発などを促進することができる」と話している。医学実験に意味大きい──山海直・国立感染症研究所主任研究官(サル類発生工学)の話
人間に応用できる医学実験は、同じ霊長類でなければできないことが多い。アルツハイマー病の研究には脳の構造が近い動物での実験が重要だし、霊長類はマウスなどより寿命が長いので高齢特有の病気の研究もできる。サルの遺伝子組み換えは、受精卵の発生が体外ではすぐに止まってしまうなどの難点があって、これまでできなかった。今回の成功は将来、さまざまな遺伝子治療に道を開くだろう。(毎日新聞 2001/01/12)遺伝子操作で致死ウイルス 研究中に偶然できる
【ワシントン23日共同】遺伝子を組み換えたウイルスを研究中に、致死性の高いウイルスを偶然作り出してしまったと、オーストラリア国立大などの研究チームが23日までに、米医学誌「ウイルス学」に発表した。
この致死性ウイルスはネズミにしか感染せず人間への危険はないが、同チームは「この方法で、危険な病原体を簡単に作り出せることが分かった」と指摘。遺伝子操作技術が生物兵器に悪用されないよう、条約などで規制する必要があると強調した。
同チームが研究に使ったのはネズミの病気の一種、マウス痘のウイルス。免疫を活性化するインターロイキン4の遺伝子を組み込んでネズミに感染させて、生殖細胞を免疫反応で破壊し不妊化。ネズミの繁殖を抑えて農作物への被害を小さくすることを狙った。
ところが、遺伝子を組み込んだウイルスを感染させると、先天的に免疫がありマウス痘にかからない系統のネズミも病気を発症して次々に死んでしまい、予防薬も効果が少なかった。
同チームのボブ・シーマーク博士は「遺伝子組み換えでウイルスの致死性が高まった。理論的には人間に感染するウイルスに同じ操作を加えることが可能」という。同チームは当初、このウイルスを政府にだけ通報したが「世界に警告することが技術の悪用防止につながる」と学術誌での公表に踏み切った。(共同通信 2001/01/23)米セレーラ、日本人の遺伝子を解析へ
ヒトゲノム(人間の全遺伝情報)を解読した米セレーラ・ジェノミクス(メリーランド州)は21日、バイオベンチャー、ヒュービットジェノミクス(東京・千代田、木村広道社長)に近く資本参加するとともに、共同で日本人の遺伝子を解析すると発表した。ゲノムを利用した医薬品の開発が焦点となっているが、、医薬品に対する反応など遺伝子レベルの体質は人種により多様性があるため、アジア地域でも研究を進める必要があると判断した。
来日したセレーラのクレイグ・ベンター社長が都内で開いた記者会見で明らかにした。ヒュービットの第三者割当増資を引き受け、3分の1程度を出資する第2位株主となる。取得金額は明らかにしていないが、セレーラから非常勤取締役を1人迎え入れる。
ヒュービットは、日本の遺伝子研究者らが中心となって2000年4月に設立した。旧社名はメディカルゲノムシステムズ。
両社は今後、日本人の遺伝子を解析し、高血圧など特定の病気になりやすいかどうか、医薬品を投与したときの反応などを調べる。(日本経済新聞 2001/03/21)人クローンは無謀 流産や異常発育 危険大 『ドリー』の英博士
【ワシントン28日共同】世界初の体細胞クローン動物である羊のドリーをつくった英ロスリン研究所のイアン・ウィルムット博士らが、クローン技術は流産や異常発育の危険が大きく人間に試みるのは無責任な行為だと、人間クローン計画を発表したパノス・ザボス前ケンタッキー大教授らを名指しで非難した意見書を30日付の米科学誌サイエンスに発表する。
科学誌にはクローン動物の成功例ばかりが紹介されがちだが、失敗が多いことをあえて明らかにし、人間への応用を防ぐ狙いだ。
ウィルムット博士らによると、体細胞の核を移植した卵子で子宮に戻せるものは全体の数%しかない。子宮に戻すことに成功しても、多くは誕生前に死亡。誕生にこぎ着ける例はごくわずかな上、しばしば通常より体が大型化しており、関係者の間では「大型子症候群」という専門用語さえある。健康に見えても免疫不全、腎(じん)不全、脳機能不全を起こすこともあり、人間でも同じ結果になるだろうと警告している。
ザボス前教授らは遺伝子診断で異常を防止できると主張しているが、ウィルムット博士らは「クローンに伴う異常は現在の技術では事前には分からない」と強調している。(中日新聞 2001/03/29)
遺伝子組み換え実験:阪大の研究グループが未承認施設で行う
大阪大健康体育部の研究グループが、大阪府吹田市のキャンパスにある実験室で、国の指針に基づく学内の安全委員会の審査を受けないまま、遺伝子組み換え実験を行っていたことが4日、分かった。吹田市は指針の順守を義務づけた条例に違反するとして、阪大に順守を勧告。阪大はグループの教授と助教授を厳重注意処分にした。
阪大や吹田市によると、グループは1996年から、承認を受けた実験室で、免疫機能の解明を目指す遺伝子組み換え実験を開始。99年6月から未承認の実験室も使うようになり、昨年11月まで数十回以上の実験をしたという。
今年2月初め、市に寄せられた投書で問題が発覚。市は同15日に条例に基づく勧告を行い、グループは実験を中止した。(毎日新聞 2001/04/04)ヒトから「悪い遺伝子」の除去を=ノーベル賞学者、英紙で訴え
【ロンドン16日時事】DNAの二重らせん構造解明で1962年にノーベル医学・生理学賞を受賞した米科学者ジェームズ・ワトソン氏(73)は16日付の英紙インディペンデントに寄稿し、遺伝病を招く「悪い遺伝子」をヒトの精子や卵子、胚(はい)から取り除く遺伝子組み換え治療に道を開くべきだと訴えた。(時事通信 2001/04/16)ゲノム研究「生物兵器」の危険性増す 英科学誌が警告
細菌のゲノム(遺伝情報全体)研究が進み、凶悪な生物兵器開発の脅威が高まっている、と警告する特集記事を英科学誌ネイチャーが17日付で掲載する。遺伝子操作で病原性が強められたり、特定の民族をねらう細菌が作られたりする懸念があるという。米国ではハイテク生物兵器に対抗する研究も始まっている。
同誌によると、今年1月、オーストラリアの研究者がマウスの病原ウイルスの遺伝子を改変しているうち、非常に悪質なものが出来てしまった。この操作を人間の天然痘ウイルスに応用すれば、さらに危険になると気づいたという。
これまで、コレラ菌や病原性大腸菌O-157など多数の病原菌ゲノムが読み取られている。薬に耐性をもつ菌もこの例外ではない。結果は公開され、インターネットを通してだれでも見ることができる。
民族間の遺伝情報の違いなどヒトゲノム研究の成果と組み合わせ、「特定の民族を標的にする」病原体をつくることも可能になってきたという。
一方で、「現実的ではない」というウイルス学者もいる。実験室で作られた病原体は外部環境で生き残るのは難しいというのだ。
ただ、米国立サンディア研究所は、インターネットで情報を集め、生物兵器による攻撃の兆しを早く見つけるシステムを研究中。米国防高等研究計画局も、新しい病原体を検出できる装置を開発しているという。(朝日新聞 2001/05/17)生物兵器禁止条約、米は検証議定書の草案を不支持へ
(CNN)生物兵器禁止条約の締約国がひそかに生物兵器を製造していないか調査できるようにする検証議定書の草案について、米政府の検討チームが支持しないよう大統領に勧告したことが20日、明らかになった。『ニューヨーク・タイムズ』紙が伝えた。検証議定書の草案は、6年がかりの交渉の末、今年11月の最終合意を目指すばかりとなっていた。ブッシュ大統領は検討チームの勧告に従うとみられており、最終合意直前になって議定書が空文化する可能性が出てきた。
『ニューヨーク・タイムズ』紙が米政府筋の話として伝えたところ、ブッシュ政権発足後に、国務省、国防総省、商務省などの専門家チームが、生物兵器禁止条約・検証議定書の草案を検討しなおした。
専門家チームは、検証議定書の内容では生物兵器製造をごまかそうとする国を摘発しにくい上、ほかの国が米国の医薬品やバイオテクノロジーの開発を盗む手段になりうると指摘。11月の交渉期限までに修正するには時間が不十分として、不支持を勧告した。
米政府は正式な不支持を決めていないが、『ニューヨーク・タイムズ』紙は「関係省庁がすべて同意している以上、ホワイトハウスが勧告に従うのはほぼ間違いない」と指摘。米国からの提案として、11月の交渉期限を延長して米国の主張を盛り込んだ内容に作りかえるか、検証対象を限定するなどの代替案提案も検討されている。
生物兵器禁止条約は1972年に調印され、1975年に発効した(日本は1982年批准)。2000年1月現在の締約国数は143カ国。生物(細菌)兵器の開発、生産、貯蔵を禁止する。しかし条約自体には違反行為を調査したり監視する検証規定が欠けており、実効性が疑問視されてた。
1992年に新生ロシアの大統領となったエリツィン氏によって、条約署名後もソ連が生物兵器製造を続けていたことが暴露され、条約の実効性を問題視する議論が激しくなった。さらに湾岸戦争を機に条約締約国イラクなどの生物兵器所持が明らかになり、1995年からジュネーブで検証議定書の交渉が始まっていた。
議定書交渉を取りまとめてきたハンガリーのトト大使は『ニューヨーク・タイムズ』に対して、「国際社会が生物兵器禁止を強化する議定書に合意できなければ、非常に困ったメッセージを世界に送ることになる」と述べ、今週中にもワシントンを訪れてブッシュ政権と協議すると明らかにした。
ブッシュ政権はこれまでにも、地球温暖化防止に向けた「京都議定書」不支持や弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の修正要求などを次々と表明してきた。国際交渉の流れを無視した米国中心主義の表れと欧州各国の反発を呼んでいるだけに、生物兵器禁止条約の検証議定書不支持はさらに各国間の摩擦を生む恐れがある。(CNN 2001/05/21)クローン動物の成長異常 遺伝子抑制物質に乱れ
東大教授ら推定
クローン羊「ドリー」で有名な体細胞クローン動物が、正常に生まれて成長する割合が2、3%しかないのは、遺伝子の働きを抑制する物質の作用が乱れるのが原因との説を、東大と米ハワイ大の研究グループが米専門誌ジェネシス6月号に発表した。クローンに異常が起こるのは、この物質が、必要な遺伝子を抑制したり、不必要な遺伝子を抑え損なったりするためとみられる。受精卵や胚(はい)が心臓や脳などの組織に分化するなぞを解明する手掛かりにもなりそうだ。
東大農学部の塩田邦郎教授によると、この物質は炭素原子1個と水素原子3個が連なった分子でできた「メチル基」。遺伝子は長大なDNAの塩基配列の一部分だが、メチル基がくっついて「メチル化」すると、遺伝子は働かなくなるという。
体細胞クローンは、既に分化を終えた皮膚などの体細胞から核を取り出し、未受精卵に移植してつくられる。羊やマウスのほか、ウシやブタなどもクローン化されているが、成功率は極めて低く、人間に応用した場合も同じとみられている。
研究グループは体細胞クローンマウス2匹と普通のマウスを用意し、胎盤と皮膚の細胞について、1490個の遺伝子のメチル化の有無を分析。その結果、クローンマウスは4カ所が普通のマウスと違っていた。また、クローンマウス同士でも違いがあった。
塩田教授は、細胞が心臓や脳などに分化するメカニズムについて、「心臓や脳になるよう働く特定の遺伝子以外の遺伝子が、メチル化によって働かなくなるためだ」と説明。その上で、「クローンはメチル化のパターンという点で、オリジナルの完全なコピーにはならない。一定のパターンができてしまった体細胞の核を未受精卵に戻しても、大本のパターンには戻らないためだろう」と推定している。(中日新聞 2001/06/18)米国が「生物兵器禁止条約」議定書を正式に拒否
ジュネーブ(CNN)米政府は25日、生物兵器の開発、生産、貯蔵の禁止と保有する同兵器の廃棄などを規定した「生物兵器禁止条約」の検証議定書草案に反対することを正式に表明した。米国の反対により、国際社会が目指してきた11月の議定書採択はきわめて難しくなった。
米国代表のドナルド・マーレー大使は「われわれの評価によると、草案は国家の安全と企業秘密を危険にさらす」と述べ、修正案が認められても米政府として、同条約を支持することはないと明言した。
一方で、マーレー大使は、米政府が大量破壊兵器に関する多国間協議を支持しないわけではないとして、すべての取り組みは「実効的で革新的な方法」に集中すべきだと述べた。
米国は草案の査察方法では、イランやイラク、中国などの違反を発見できないほか、米企業への査察で、最先端のバイオ技術などが漏れることを懸念したとみられる。
「生物兵器禁止条約」は、米国を含む143カ国が批准しているが、検証措置がないため、95年から検証議定書を作る交渉が続いていた。
最終協議は23日に始まったが、冒頭でトット議長(ハンガリー大使)は、「どの国も自国の立場に固執すべきでない。全体の利益のために、協力の精神が必要だ」と述べ、米国の反対を強くけん制していた。(CNN 2001/07/25)U.S. Germ Warfare Research Pushes Treaty Limits
(The New York Times 2001/09/04)米がひそかに生物兵器研究 米紙報道、防護目的か
【ニューヨーク4日共同】4日付の米紙ニューヨーク・タイムズは米政府が数年前からひそかに生物兵器の研究を続けており、ブッシュ政権は今月中にも実験継続に向けての最終決断をする見通しと報じた。
研究は現在米兵に供与されている生物兵器用ワクチンが実際に効果を持つかどうか評価する目的で、クリントン前政権時代に始まり、現政権に引き継がれたという。
1975年発効の生物兵器禁止条約はワクチン開発など防護策研究を除き生物兵器の開発や保持を禁じている。米政府は今年7月、生物兵器研究の情報公開を柱とする同条約検証議定書案の拒否を決めたばかり。生物兵器研究の実施が事実なら、各国から一層の反発を招くことが予想される。
同紙によると、米中央情報局(CIA)は旧ソ連が開発したのとほぼ同型の模擬生物兵器爆弾を試作して実験に使用。また国防総省の専門家はネバダ州の砂漠に市販の材料を使って細菌を繁殖させる工場を建設した。
米当局者は、模擬爆弾には信管がなく実際に兵器として使用することはできないなどと指摘し、条約には違反しないと強調。しかし前政権関係者は、研究は69年にニクソン政権が中止した生物兵器開発を再開したとの誤解につながると懸念、条約違反の疑いもあるとしている。(共同通信 2001/09/04)米政府が生物兵器を秘密研究 「細菌工場」も
ワシントン(CNN)米政府がクリントン前政権時から生物兵器の研究を秘密裏に行っていることが4日、国防総省高官の話で明らかになった。この研究はあくまで、「防衛」が目的であり、生物兵器の開発や保有を禁じた1972年の生物兵器禁止条約(75年発効)には抵触しないという。
この問題は4日付ニューヨーク・タイムズで報じられた。同紙は研究はクリントン政権時代に始まり、ブッシュ政権はこれをさらに押し進める意向だとしている。クリントン政権時代には、ネバダ砂漠に「細菌工場」を建設したことも明らかになった。
この報道を受け、国防総省のスポークスマンは、現在行われている研究は99年後半に国務省、国防総省、司法省、国家安全保障会議が検討した上で条約に違反していないと判断したもの、と説明した。
国防総省の当局者はCNNに対し、現在、進行中の研究については詳細は明かせないと語った。
ニューヨーク・タイムズ紙は政府筋の話として、条約では「防衛のため」の研究について定義していないため、米国は抵触すれすれの線で研究に踏み込んだ、としている。(CNN 2001/09/05)クリントン前政権が「細菌工場」建設
米政府が生物兵器の秘密研究を数年前から行っていることがわかった。テロリストらによる生物兵器の脅威を把握するのが目的。クリントン前政権下で「細菌工場」がすでに建設されるなどしており、ブッシュ政権はさらに研究を進める意向だ。生物兵器禁止条約(75年発効)は生物兵器の開発や保持を禁じている。
米政府筋は、研究はあくまで米国人を守るためで条約に抵触しないとしている。複数の当局者はまた、今年7月に米国が、生物兵器研究の情報公開を含む同条約の議定書案の拒否を決めたのは、この秘密研究のためだったことも明らかにした。
ブッシュ政権筋によると、国防総省は今年初め、伝染病である炭疽(たんそ)熱を引き起こす菌を遺伝子操作でより強力にする計画をまとめた。米国兵士に配布されているワクチンが効果があるかを見きわめるためで、国家安全保障会議(NSC)は今月中にも最終的に計画を承認する見通しだ。
また、クリントン前政権時代には、旧ソ連が開発し、国際市場に出回った可能性のある細菌爆弾を、中央情報局(CIA)が模造して製造、実験した。
また、ネバダ砂漠に「細菌工場」も建設した。「ならず者国家」やテロリストたちが容易に細菌を増殖できることが確認できたという。(ニューヨーク・タイムズ特約 朝日新聞 2001/09/05)米国:少量の生物兵器製造を検討 攻撃から米兵を防護
【ワシントン中井良則】米政府は4日、生物兵器攻撃から米兵を防護する措置を確実にするため、少量の生物兵器製造を検討していることを明らかにした。生物兵器禁止条約はワクチンなど防護手段や平和的な目的以外は細菌剤の所有を禁止しており、同条約に違反しないかを検討するため、今年初めから開発作業は中断されている。
国防総省のクラーク次官補によると、クリントン政権時代の97年、ロシアが新型の炭そ菌兵器を開発したという情報に基づき、国防総省は新型菌の攻撃を防護する研究「ジェファーソン計画」を始めた。ロシアに新型菌のサンプル提供を申し入れたが入手できず、米国が独自に新型菌を製造できないか検討した。実際の製造に乗り出す前に、条約との整合性や政府各省庁の調整のため、今年初めから中断している。
4日付のニューヨーク・タイムズ紙はこの新型菌計画のほか、中央情報局(CIA)が外国で入手した生物兵器開発情報を確認するため、実験設備で生物兵器の模擬製造を試みたと伝えている。(毎日新聞 2001/09/05)クローン人間 未熟な技術 安全性疑う研究相次ぐ
染色体異常、多発も/牛でも流産高い
欧米の一部でクローン人間の実現に向けた動きが出ている中、クローンを作る技術の安全性を疑問視する研究が相次いでいる。旭川医科大学の研究者はクローン作製に不可欠で不妊治療で実用化している顕微授精の技術をクローン人間作りで用いた場合、染色体などの異常の発生が多くなる可能性を指摘。畜産草地研究所の専門家はほ乳類の中でクローン研究が進んでいる牛では流産の確率が高く、技術の不確実性を強調する。クローン技術の人への応用に反対する声が一段と強まっている。
旭川医大の上口勇次郎数授らは不妊治療で余った人の未受精卵と精子で染色体異常(数や形状)がどれくらいあるか調査した。その結果をもとに、顕微授精などで作られる人の受精卵での染色体異常の割合を推定した結果、30−70%となった。実際に蹟微授精の技術で作ったマウスの受精卵の染色体異常を調べたところ、50%の割合で起きていることが分かった。
顕微授精では細い管を使って小さな精子を未受精卵に入れる。クローンを作るときは体細胞の核を未受精卵に入れるが、核は大きいために、顕教授精で使う管より太いものを使うことになる。
このため、未受精卵を傷つける可能性がある。上口教授は「通常の顕微授精でもまだ染色体異常を防ぐ手立てはない。このまま顕微授精の技術をクローン人間作りに応用するのは危険過ぎる」と指摘する。
これまでに国内で約250頭のクローンが誕生し研究が進んでいる大型ほ乳類の牛では流産の確率が高いことが分かってきた。畜産草地研究所の塩谷康生育種繁殖部長によると、クローン牛の胚(はい)を母牛の子宮に戻してから2カ月以内に流産する確率は約50%で、通常の人工授精などの5倍だ。
こうした異常の原因は、核を未受精卵に入れてから、核の中の遺伝子が正しく働かないためとの見方が研究者の間で強まっている。
塩谷部長は「順調に成長している最年長のクローン牛でも約3歳。畜産分野でも応用にはまだ時間がかかる技術」と指摘する。同一人物でなく“一卵性双生児”
誤解の多い技術応用に根強い批判クローン人間を作る動きは1996年、英ロスリン研究所のチームが初めてクローン羊「ドリー」の誕生に成功したことで一気に現実味を帯びた。それまではカエルなどでしかクローンは作れず、体の複雑なほ乳類では無理とみられていたためだ。しかし、クローンは作製技術が未完成なうえ、まったくうり2つの個体を作れるわけではなく、誤解されているところが多い。
クローン人間の作製方法はヤギや牛などのクローン作りと基本的に同じで、動物で培われた技術や、不妊治療の顕微授精などのテクニックを用いる。手順は、(1)体を構成する細胞(体細胞)から核を取り出す(2)それを女性から提供された末受精卵に入れてクローン胚(はい)を作る(3)クローン胚を子宮に移植する。子宮で成長すると出産に至る。
ただ、これまでの動物実験からの推測では、こうした手順でクローン人間が生まれてくる確率はわずか1%といわれている。
たとえ生まれたとしてもクローン人間は体細胞の核の提供者と完全に同じ“コピー”ではなく、いわば年齢の離れた一卵性双生児だ。
核の中の遺伝情報は同じで外見は似ていても、育つ環境の違いなどによって意識や性格は異なり、まったく別の人間に育つと予想されている。
クローン人間を希望するのは主に子供のできない人や亡くなったわが子を再生させたいと願う親など。このため、ごく一部の不妊治療専門医などがクローン人間作りを打ち出している。しかし、不妊治療医らの国際学会「A PART」でもクローン人間作りを表明したイタリアのセベリノ・アンティノリ医師の会議への参加を認めないことを決めるなど、推進派への批判は高まっている。(日本経済新聞 2001/09/17)スペインかぜのウイルスはブタと人間の合の子だった?
1918年から19年にかけて世界的に大流行し、2000万人の死者を出したインフルエンザ「スペインかぜ」。人類の歴史で最悪の疫病の1つだったが、その原因ウイルスの正体については、いまもなぞが多い。
オーストラリアのキャンベラにある豪国立大学の科学者たちは、スペインかぜの原因となったウイルスに強力な毒性を与えたのは、ブタと人間のインフルエンザ・ウイルスの合体によってつくられたハイブリッド遺伝子だったと発表した。
スペインかぜの原因となったウイルスは、発生時には保存されなかったが、このかぜで死亡した女性の遺体が、アラスカの永久凍土に埋められていていることがわかり、これを97年に米国の科学者が発掘して、そこから遺伝物質を採取した。また、このかぜで死亡した2人の米兵の遺体の一部が標本として残されていた。
これらを材料として、ギブス博士らは、スペインかぜのウイルスの遺伝子の1つが、大流行の直前に人間と豚に流行していた2種類のインフルエンザ・ウイルスの遺伝子が組み替えられて、できたものだと突き止めた。異なるウイルスのハイブリッドだったために、「人間の免疫システムは、新型ウイルスを識別できずに、歯止めをかけられなかった」とギブス博士は語っている。(日経ヘルス 2001/09/18)オウム散布の炭疸菌は家畜用ワクチン…米で発表
【ワシントン9日=館林牧子】1993年7月に東京・亀戸のオウム真理教新東京総本部で炭疽菌が散布された事件で、教団所有の菌の調査にあたった北アリゾナ大は9日までに、菌は家畜のワクチン用に無毒化されたものだったと発表した。オウム真理教の散布では被害がなく、炭疽菌は生物兵器としての効果が薄いとの見方も出たが、同チームでは安易な断定は危険と警鐘を鳴らしている。
同大のポール・カイム教授らが、日本の国立感染症研究所と共同で、オウム真理教が保管していた炭疽菌を入手、DNAを分析した結果、教団は自然界にある有毒な菌を独自に培養したのではなく、ワクチン用の菌を米国から入手して使っていたことが判明した。同教授らは「菌に対する知識がなかったか、予行演習として無害な菌を散布したのではないか」と見ている。
この研究結果は、米同時テロの発生以来、米国で生物・化学兵器に対する関心が高まった結果、急きょ発表された。
オウム公判での検察側論告などによると、オウム真理教の元信者らは1993年、麻原彰晃こと松本智津夫被告(46)の指示で、教団内で培養した炭疽菌を東京都内で散布した。元幹部の法廷供述などで、炭疽菌は、医学関係の研究をしていた信者からワクチン用の菌株を手に入れて培養したことまでは分かっていたが、入手経路などは未解明だった。(読売新聞 2001/10/10)フロリダの炭そ菌、細菌兵器として研究された種類に似る
米フロリダ州で起きた炭そ菌感染事件を起こしたのは、約50年前に採取され、毒性が高いために細菌兵器として軍事施設で研究された種類と極めて近いことが、12日までの米連邦捜査局(FBI)の捜査で明らかになった。
米主要メディアの報道によると、感染事件を起こした株は、アイオワ州エームズで50年代に家畜を死亡させた炭そ菌。アイオワ大学が採取し、エームズ株と名付けられて薬品の開発などに利用されてきた。
NBCなどが「アイオワの政府研究機関から盗まれた」と報道。一方で、「エームズ株と完全一致したわけではなく、極めて近い種類ではないか」と異なった見方をする専門家も少なくない。
エームズ株は、大学、薬品会社の研究所、細菌バンク、軍の研究所など世界中の研究機関に提供されており、「アイオワ以外でも持ち出す場所は少なくない」という指摘もある。(朝日新聞 2001/10/13)新ウイルスで人類滅亡も 英ホーキング博士
【ロンドン16日共同】「車いすの天才科学者」として有名なホーキング英ケンブリッジ大学教授(応用数学・理論物理学)は「事故か故意によって、人類を滅亡させるウイルスがつくり出される恐れがある」と16日付の英紙デーリー・テレグラフに語った。
ホーキング博士は長期的には核兵器より生物兵器などに懸念を持つとし、その理由として「核兵器開発には大規模な施設がいるが、遺伝子工学は小さな実験室でできる。世界中のすべての実験室を規制するのは不可能だ」と述べた。
博士はさらに「今後1000年以内に人類が滅亡する危険を避けるには宇宙に乗り出すしかない」との持論を展開した。
博士は近く訪日の予定。(共同通信 2001/10/16)炭疽菌「兵器の水準」と米民主下院院内総務
【ワシントン23日=館林牧子】米民主党のリチャード・ゲッパート下院院内総務は23日、一連の炭疽(たんそ)菌送付事件で使われた菌について、「極めて粒子が細かく空中散布が可能な形状で、兵器の水準だ」との見方を示した。ブッシュ米大統領と議会指導者らの懇談後、記者団に対し語った。
トーマス・リッジ米国土安全局長はこれまでの会見で、菌は兵器用に開発されたものとは考えにくいとしていた。しかし、同院内総務は「菌の粒子の直径の小ささを考えれば、人工的に精製されたものに間違いない」と主張。同時テロ事件と炭疽菌事件の関連についても「我々はみんな疑っている」とした。(読売新聞 2001/10/24)送られた炭疽菌は米で開発の「エームズ株」
【ワシントン25日=館林牧子】トーマス・リッジ米国土安全局長官は25日、全米各地に送付された炭疽(たんそ)菌の分析の中間報告を発表した。発表によると、米フロリダ、ニューヨーク、ワシントン(米議会)に送られた炭疽菌はDNA鑑定で、いずれも米国産の「エームズ株」と判明した。
また、形状分析からは、米議会に送付された菌は、致死率を高めるため、粒子を小さく、純度を高めるなど特殊技術を用いて加工した危険なものであることが判明。加工を否定したこれまでの見解を覆した。こうした加工技術は米国のほか、イラク、旧ソ連など炭疽菌を生物兵器として開発した経験のある国が持つとされるが、リッジ長官は「調査段階にある」として、一連の炭疽菌テロとこうした国々の関連についての明言は避けた。
リッジ長官が初めて明らかにした「エームズ株」は、1950年代に米アイオワ州の研究所で開発され、米国で生物兵器開発研究やワクチン生産のために使われているほか、世界中に広く研究材料として流通しているという。遺伝子組み換えなどはしていないため、抗生物質で治療可能だ。
しかし、菌株がごく一般的なものだったのとは対照的に、米議会に送付された菌は、致死率の高い肺炭疽を発病させやすいよう、特殊な工夫が凝らされていた。米陸軍感染症医学研究所によると、現場である程度の量の菌が採集できた米議会と米紙ニューヨーク・ポスト社のものを比較したところ、ニューヨーク・ポスト社の菌は粒子が大きく不ぞろいだったが、米議会に送られた菌は手紙の開封時に拡散しやすいよう超微粒子に加工され、純度の高い「危険な」タイプだったことがわかったという。(読売新聞 2001/10/26)炭素菌に兵器加工 米ロ・イラクのみ技術
米紙報道
【ワシントン25日=安藤淳】25日付米紙ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズは政府関係者などの話として、ダシュル上院院内総務あての手紙に入っていた炭疽(たんそ)菌は「兵器」として高度な化学処理がされていた、と報じた。こうした加工技術を有するのは米国とロシア、イラクだけで、米国製の公算が大きいという。従来の政府見解を覆し、捜査の行方にも影響しそうだ。
両紙によると、炭疽菌は静電気が発生しにくいよう特殊加工してあった。静電気があると粒子どうしが引き合って大きな粒になり落下してしまう。特殊加工によって粒子は長時間空気中に漂い続けるようになり、近くにいる人が大量に吸い込み致死率の高い肺炭疽を発症しやすくなる。
ワシントンの郵便集配センターでは、飛散した炭疽菌の粒子を吸い込み職員2人が肺炭疽で死亡している。開封していない手紙からなぜ大量の菌が広がり、職員が吸い込んだのかはなぞだった。「兵器」として特殊加工がしてあったとすれば、説明がつくという。
ワシントン・ポストは、捜査情報を直接知る立場にある専門家が菌の加工を確認したと報じている。ニューヨーク・タイムズによると、米生物兵器開発の第一人者だったウィリアム・パトリック博士も、被害状況からみてこうした処理が施されていないとする政府の説明は「ばかげている」と指摘したという。
米国などでかつて開発していた手法は、炭疽菌を凍結乾燥させてから粉砕機で細かくする。乾燥や粉砕の過程で菌を殺さない技術や粒の大きさをそろえる方法には、特殊なノウハウが必要とされる。
捜査当局は陸軍の研究施設で電子顕微鏡などを使って歯の粒子を詳細に分析しており、加工につかった処理剤などがわかればどこで作られたかを特定する手がかりになる。エネルギー省サンディア国立研究所のアラン・ゼリコフ博士はニューヨーク・タイムズで「犯人が加工技術を取得しているとすれば大量に作ってばらまくことも可能なはずだ」と注意を促している。(日本経済新聞 2001/10/26)炭疽菌犯は米研究者か? グリーンピースの雑誌報道
【フランクフルト28日共同】環境保護団体グリーンピースの雑誌グリーンピース・マガジン(電子版)は28日、米国の炭疽(たんそ)菌事件について、米国の生物化学兵器の専門家が関与している可能性がある、と報じた。
ジュネーブの生物化学兵器会議に出席している米政府代表団筋から得た情報という。
ロイター通信によると、代表団スポークスマンは、記事に関しては情報を持っていないと語った。
同誌によると、ダシュル民主党上院院内総務に送られた郵便物の炭疽菌は、特殊な加工が施されていたが、米国の極秘の生物化学兵器計画で利用されていた加工技術だという。
事件の動機として「(騒ぎを起こし)生物化学兵器の国家予算を増やす狙いがあった可能性がある」と指摘。捜査当局は、行方不明のハーバード大教授と炭疽菌事件との関連も調べていると報じた。(共同通信 2001/11/29)エボラ専門家が2週間失そう 生化学兵器関連か
テネシー州メンフィス(CNN)エボラ出血熱やエイズなど感染症研究の権威の米ハーバード大教授が、2週間近く前にいきなり行方不明となった。近親者が「自殺は考えられない」と口をそろえているだけに、生物化学兵器関連で誘拐された可能性があるのではと不安が広がっている。
捜査当局などによると、ハーバード大学の分子生物学者ドン・ワイリー博士(57)は11月15日深夜、テネシー州メンフィスのホテルで開かれた学会の夕食会を最後に行方不明となった。翌16日午前4時に、博士のレンタカーがミシシッピ川にかかるヘルナンド・デ・ソト橋の上で発見された。夕食会会場から車で5分ほどの場所で、博士の宿泊先とは反対方向。ドアはロックされず、エンジン・キーも差したまま、ガソリンタンクは満タンだった。
メンフィス警察は、自殺、誘拐、殺人などあらゆる可能性を捜査している。ワイリー博士が、エボラウイルスやエイズウイルス(HIV)研究の世界的権威だという背景と失そうとの関連性を示すものは、まだ何もないという。
家族や友人は「自殺は考えられない」と口をそろえる。夕食会で博士と同席した医師も、「行方不明になる前日と当日の夜、ドンと一緒にいたが、彼が自殺するなど考えられない。まったくありえない」と、博士が犯罪の被害者になった可能性を強調している。
ワイリー博士は1999年、免疫反応を担う分子群の立体構造を解明した業績で、同僚とともに日本国際賞を受けた。(CNN 2001/11/29)バイオテロと関連?免疫学の権威が失そう
(スポニチ 2001/11/30)ハーバード大教授誘拐、バイオテロ目的か エボラ出血熱などを研究
(夕刊フジ 2001/11/30)炭疽菌事件の真犯人はU.S.軍関係者?
(MANGAMEGAMONDO 2001/11/30)炭疽菌の出所絞られる 「捜査の糸口」と米紙
【ワシントン30日共同】30日付のワシントン・ポスト紙は、米国の炭疽(たんそ)菌事件で使われたとされる「エームズ株」の菌を研究などのために使用、保管している場所はこれまで考えられていた以上に少ない10カ所程度に絞られ、難航している捜査の糸口となる可能性があると報じた。
首都ワシントンやニューヨークの郵便物からはいずれも同種の炭疽菌が検出されている。
同紙が入手した政府資料に基づいた記事によると、エームズ株は1980年代半ば以降、メリーランド州にある陸軍の感染症研究施設からワクチン開発などの研究目的のため、英国とカナダの2研究施設やニューメキシコ州立大の衛生科学センターなど米国内3カ所の計5研究施設に配布されたことが判明。
その後、研究者間でのやりとりを経て拡散したとしても、配布先はせいぜい10カ所程度に絞り込まれる見通しだという。
これまでは研究者、施設が多数なことなどから追跡不可能なほど拡散しているとみられていたが、多くはワクチンなどから分離した毒性が低い株で、一連の事件で計5人の犠牲者を出している強い毒性を持つエームズ株は「出所」が陸軍施設から渡された5施設に限定される可能性が高いという。(共同通信 2001/11/30)尹集鈞氏、米炭疽菌事件と旧日本軍731部隊の関連性を指摘
炭疽(たんそ)菌調査のため浙江省金華市入りした米国籍の華人作家、尹州釣氏(米国旧日本軍細菌戦罪行調査委員会会長)は27日、米炭疽菌事件と旧日本軍731部隊が行っていた細菌戦の関連性について現地の記者の取材に応じ次のように述べた。
今回の調査はCNNテレビの要請でわざわざ行ったのだ。金華市は第2次大戦の細菌戦被害程度の高い地区。第2次大戦中、旧日本軍の731部隊は大量の炭疽菌を培養し、生身の人を実験台にその効果を試していた。731部隊の第3遠征隊は1942年、浙江・江西戦役に参戦。旧日本軍の1644部隊とともに、飛行機を使って炭疽菌など130キロの病原菌を特定の地区に運び、水源地や湖沼、住宅地に散布し、多くの人々が疫病に感染し亡くなった。
米当局の情報によると、米で問題となっている炭疽菌はAmesと呼ばれる種類で、旧日本軍731部隊の細菌専門家が研究開発を担当した。第2次大戦後、彼らは米メリーランド州Fort Detrickの生物兵器実験室で20年(1948〜68年)余りにわたり研究を続けていた。Amesは当時の研究を基に新たに開発された新種で、危険性は極めて大きい。
尹氏はこれから江西省玉山などを調査した後、調査資料をもってCNNテレビ出演する予定。(人民日報 2001/11/30)病原菌ゲノム利用 感染・発症の仕組み解明 米で官民共同研究 5年で30億円投入
【ワシントン=安藤淳】米国立衛生研究所(NIH)は、病原菌の全遺伝情報を使って感染や発症の仕組みなどを解明する新計画に着手したと発表した。非営利研究組織のゲノムリサーチ研究所(TIGR)と共同研究する。炭疽菌や天然痘ウイルスを使ったバイオテロ対策にも役立つとみており、5年間で2500万ドル(約30億円)を投じる。
計画実施のため、NIH傘下の国立アレルギー感染症研究所とTIGRが病原体機能ゲノム資源センターを新設した。バイオテロに使われる懸念がある炭疽菌や、マラリアなどの病原虫の中から10種類を選んで研究する。
TIGRは炭疽菌テロで使われた「エームズ株」と呼ばれる種類の炭疽菌をはじめ、複数の病原菌ゲノムの解読を手掛けた実績がある。病原菌のどの遺伝子が毒素たんぱく質を作るかを調べるほか、菌の成長や繁殖に必要な酵素を明らかにする。たんぱく質の働きを止める方法が見つかれば、副作用が少ない予防・治療薬の開発につながる。(日本経済新聞 2001/12/01)炭疽菌事件「菌タイプは米軍開発と同一」…米紙報道
【ニューヨーク3日=阪口忠義】3日付けのニューヨーク・タイムズ紙は、 専門家の話として、一連の炭疽(たんそ)菌事件で使われていた菌の粉末は、 米軍がかつて開発した超微粒子の炭疽菌とほぼ同一のものだと報じた。 さらに同紙は、米連邦捜査局(FBI)が捜査対象を軍施設などにも広げていることを指摘し、事件の背後には米軍の生物兵器開発にかかわった人物がいる可能性を示唆している。
同紙によると、ワシントンの米上院に送られた封書に入っていた菌の粉末は、1グラム当たり1兆個もの超微粒子だった。これは米軍の開発した菌と同レベルの細かさで、 これだけの精製技術は米国以外にはないとしている。専門家によると、通常は1グラム当たり5000億個の粒子を作成するのが限度だという。
炭疽菌は、生物兵器として実用可能にするためには微粒子にするなどの加工が必要で、米国は1969年に生物兵器廃止を宣言するまでに、フリーズドライと化学処理を組み合わせた超微粒子作成に成功している。 今回の一連の事件で、郵便局などで菌が検出されたのは、超微粒子の菌が封筒を通り抜け、拡散したためと見られている。(読売新聞 2001/12/03)衝撃! 炭疽菌は米軍から漏れた! 軍開発の同一種と断定
専門家によると、通常の技術ではせいぜい1グラム当たり5000億個の粒子を精製するのが限界で、1グラム当たり1兆個というのは「とてもテロリストが開発するには不可能なレベル」。
皮肉なことに、これだけの精製技術をもっているのは、国際テロとの戦いを続けている「米軍」しかないというのである。
米軍は1969年に廃止を宣言するまで攻撃用の生物兵器を開発しており、フリーズドライと化学処理を組み合わせた超微粒子の作製に成功している。つまり、米軍は生物兵器においても最先進国だったのだ。
米軍は生物兵器廃止後も、研究用などの名目で炭疽菌を保管していた。
米当局はこれまでに「米国内の研究施設から炭疽菌が持ち出された形跡はない」としているが、米国の生物兵器開発に携わり、最高水準の生物兵器開発技術を持つ何者かが、何らかの形で犯行に関与している疑いが強まった。(夕刊フジ・抜粋 2001/12/04)生物兵器条約会合が決裂 米と各国、主要分野で対立
【ジュネーブ7日共同】ジュネーブで続いていた生物兵器禁止条約の運用検討会議は最終日の7日、今後の行動指針となる「最終宣言」を採択できないまま会議を「中断」した。今後の条約強化に当たってどこまで法的拘束力を持たせるかなど主要分野をめぐり米国と各国の対立が解けなかったためで、事実上の決裂。
再開会議は来年11月11−21日の間、ジュネーブで開催する。5年に一度開かれる運用検討会議は米国で炭疽(たんそ)菌事件が発生して以降、生物兵器の対策で最も重要な会議だったが、国際社会に対して何の決意も打ち出せず、一方的外交を追求する米国と各国の対立だけが際立つだけの結果に終わった。(共同通信 2001/12/08)炭疽菌は軍関係者の可能性 米上院院内総務が発言
【ワシントン9日共同】今年10月、ワシントンの事務所に炭疽(たんそ)菌入り郵便物を送り付けられたダシュル米上院民主党院内総務は8日、CNNテレビのインタビュー番組で、炭疽菌事件の犯人は軍関係者である可能性が高いと述べた。
ダシュル氏は犯人像について、軍関係の背景を持つ人物と考えるかとの問いに「その通りだ」と明言。「すべての可能性を考えたとき、現在、それが最も信じられる説だと思う」と述べた。
ダシュル氏は、軍関係者と考える根拠については具体的に明らかにしなかった。しかし、事件に巻き込まれた同氏は捜査当局とかかわりが深い。ダシュル氏の発言は捜査当局の見方を反映している可能性もあり、注目される。
一連の事件で検出された炭疽菌の種類がいずれも、米軍の研究施設で研究のため使用しているものと同じ「エームズ株」であることや、特殊な加工方法から、研究者や軍の関係者による犯行という見方があることは、これまでにも報道されている。(共同通信 2001/12/09)米陸軍施設が炭疽菌を生産 FBIが関連捜査
【ワシントン13日共同】米中西部ユタ州にある陸軍の生物・化学兵器研究施設が空中散布の可能な高純度の炭疽(たんそ)菌を開発、生産していたことが13日、米紙の報道で明らかになった。
同日付ワシントン・ポストによると、施設は冬季五輪が行われるソルトレークシティーから約130キロ離れたダグウェー米軍基地にある。特殊加工された兵器水準の菌を同施設が生産していることは専門家にも知られていなかったという。
同紙は炭疽菌の生産は1992年ごろからとしているが、同日付ニューヨーク・タイムズは生物テロ専門記者の署名記事で、製造は98年ごろとしている。
同基地は紛失した菌はないとしている。米連邦捜査局(FBI)は米国で起きた一連の炭疽菌事件との関連の有無を調べている。
炭疽菌入り郵便物を送り付けられたダシュル米上院民主党院内総務は8日、犯人は軍関係者である可能性が高いとの見方を示した。
ダグウェーの施設では、炭疽菌攻撃を受けた際の滅菌方法などを調査するため、空中散布できるよう微細な粉状に特殊加工された少量の菌が生産されていた。
また、同施設と東部メリーランド州フォートデトリックの米陸軍感染症医学研究所の間で過去数年間に数回にわたって菌のサンプルの運搬が行われていたことも判明。最近では9月4日に研究所からダグウェーに菌が運ばれたことが分かっている。(共同通信 2001/12/14)米軍施設で炭疽菌製造 「98年」と米紙報道
【ニューヨーク13日=五十嵐浩二】13日付ニューヨーク・タイムズ紙は、米軍施設で98年に少量のパウダー状の炭疽菌が製造されていた、と伝えた。5人の死者を出した一連の炭疽菌事件で用いられたものとはタイプが異なるが、米国が69年に生物兵器の廃棄を始めてから「政府が殺害能力を持った炭疽菌を作っていたと分かったのは初めて」という専門家の判断を同紙は伝えている。(朝日新聞 2001/12/14)米軍、兵器級の炭疽菌を開発 Wポスト紙報道
【ワシントン時事】13日付の米紙ワシントン・ポストは、ユタ州にある生物・化学兵器戦争用の陸軍施設で92年以降、ひそかに兵器級の炭疽(たんそ)菌が開発されていたと報じた。米陸軍による兵器級の炭疽菌開発が分かったのは初めて。
開発された炭疽菌のサンプルは、ユタ州の施設からメリーランド州の軍駐屯地にも移送された記録がある。炭疽菌サンプルの発送記録や政府高官によると、ユタ州の施設とメリーランド州の軍駐屯地の間で、過去数年間に数回の炭疽菌の移送があった。サンプルはフロリダやニューヨークなどで5人が死亡した炭疽菌と同じものだった。陸軍幹部は、連邦捜査局(FBI)の炭疽菌をめぐる捜査にも協力していると話している。(毎日新聞 2001/12/14)CIA、炭疽菌を保有 「事件には関係なし」と主張
ワシントン(CNN)米中央情報局(CIA)が研究目的で炭疽(たんそ)菌を保有していることが、16日までに明らかになった。CIAの当局者が語った。米紙ワシントン・ポストは同日、一連の炭疽菌事件の捜査で、CIAの外部スタッフとして働いたことのある人物が浮かび上がっていると報じたが、この当局者は「事件の菌がCIAから出たということはあり得ない」と強調している。
CIA当局者によると、CIAでは、米上院などに送り付けられたのと同じ「エームズ」株の炭疽菌を、実験などに使うため、少量ながら保有している。エームズ株の菌は、数カ所の米軍関連施設にもあることがわかっている。
ワシントン・ポストは、事件に使われた炭疽菌の出所がCIAだった可能性もあるとしているが、この当局者は「われわれが作った菌ではない」と、疑惑を強く打ち消した。(CNN 2001/12/17)炭疽菌:米軍保有の菌と一致 遺伝子分析で判明 米紙
16日付の米紙ワシントン・ポストは、米上院に送り付けられた炭疽(たんそ)菌は、米軍が80年代から保有している菌と、遺伝子レベルの詳しい分析で一致することが分かったと報じた。
今回のバイオテロに使われた菌は、世界各国の機関が保有しているエームズ株と呼ばれる種だが、遺伝子レベルで一致するものは、米国の4機関と英国の1機関の計5カ所にあるだけ。しかもすべての菌が、米メリーランド州フォートデトリックの米陸軍感染症医学研究所から供給されたものだという。
菌の出所が限られたことで、菌の入手が可能な人間の範囲もかなり絞られることになる。
同紙によると、連邦捜査局(FBI)は、フォートデトリックの施設から菌を譲り受けていた中央情報局(CIA)を含め、生物兵器攻撃に対する防御策の研究に関与した米政府機関が菌の出所ではないかとの見方を強めており、各機関での菌の管理体制や紛失、盗難の有無などを調べている。
また、CIAの研究計画にかかわった外部の人間が捜査線上に上っているとの情報もあるという。
捜査当局は、遺伝子の特定配列の繰り返し回数が、菌によって違うことに着目するDNAフィンガープリント法を使って、上院議員会館に郵便で送られてきた菌を分析した。(ワシントン共同)(毎日新聞 2001/12/17)米軍の炭疽菌、農務省から入手 遺伝子一致に反論
【ワシントン16日=坂元隆】米陸軍感染症医学研究所(メリーランド州フォートデトリック)の報道官は16日、米上院議員らに送りつけられた炭疽(たんそ)菌が同研究所で保管してきた炭疽菌と遺伝子が一致したと報じられたことについて、同研究所の炭疽菌は1980年にアイオワ州エームズにある農務省の研究所から入手したことを明らかにした。また同報道官は、この炭疽菌をさらに別の5か所の研究所に供与したことを指摘、同研究所をテロで使われた炭疽菌の発生源と断定することはできないとの考えを示した。
報道官はまた、同研究所で保管している炭疽菌は液状であり、郵便物で送りつけられたような微細な粉状の炭疽菌を製造する技術は同研究所にはないと話した。(読売新聞 2001/12/17)炭疽菌は米軍施設から入手? パウダー状加工に特徴
【ワシントン18日=館林牧子】米国の一連の炭疽(たんそ)菌事件で 、ユタ州にある米陸軍の研究施設で、炭疽菌を生物兵器に開発する時に行うパウダー状の加工が行われていたことが、18日までにわかった。米議会に送られた炭疽菌もパウダー状に加工されており、犯人が何らかの方法でこの施設から炭疽菌を入手した可能性が浮上している。
この施設は、生物・化学兵器の研究を行う米陸軍のダグウェイ実験場。2年前の軍関係者の会議の議事録から、かつての米国の生物兵器開発者がこの技術を伝授したことが明らかになった。炭疽菌は通常塊を作って存在するため、生物兵器に仕立てる際には必ずパウダー状にするための特殊加工を施す。この加工技術は高度なもので、米国の他の研究施設で行われた可能性は薄いと見られる。(読売新聞 2001/12/18)炭疽菌ワクチンを開発 イスラエル、生物戦想定
【エルサレム20日共同】20日付イスラエル紙イディオト・アハロノトは、イスラエルがこのほど、炭疽(たんそ)菌ワクチンの開発に成功したと報じた。治安当局者が明らかにした。
イスラエルは10年前から生物戦を想定しワクチン開発の極秘プロジェクトを進めてきた。最近、テルアビブ郊外の生物学研究所が試作したワクチンが動物や兵士らへの試験の結果、有効と確認されたという。
炭疽菌ワクチンはこれまで米国やロシアが開発に成功しているが、米国は外国への提供を拒否している。
今回、開発されたワクチンは皮下注射で摂取でき、米国のワクチンが6回の服用を必要とするのに対し1回で済み、1年間有効という。専門家によると、製造が認可されれば数カ月で全国民に足りる量の生産が可能という。
イスラエルでは現在、生物・化学テロに対する防護態勢を緊急整備中で、厚生省を中心に一般の医師にも機材の配布などを行っている。(共同通信 2001/12/18)失跡のハーバード大教授、ミシシッピ川で遺体発見
日本国際賞の受賞者で、昨年11月から行方が分からなくなっていた米ハーバード大教授の著名な分子生物学者ドン・ワイリー博士(57)の死亡が、8日までに確認された。ミシシッピ川で見つかった死体の歯形が一致した。
博士はテネシー州出張中に失跡。ミシシッピ川に架かる橋にレンタカーが残されていた。最近エイズウイルス( HIV)やエボラ出血熱などの研究を手がけていたことから、「生物兵器開発を狙う集団に誘拐されたのでは」などの憶測も広がっていた。(朝日新聞 2002/01/09)◇関連資料1:ジャック・ストロミンジャー博士/ドン・ワイリー博士(財団法人国際科学技術財団)
◇関連資料2:日本/極東ロシア間物流事情(極東船舶事情−443)<口封じ>とは機密や秘密事項が外部に漏れない様にする人為的圧力行為を意味し、主として抹殺に拠る現世からの消し去り、死人に口なしをも併せて意味する。(Nippon Trade & Marine Agency Inc., 2001/11/30)
◇関連資料3:The mysterious deaths of top microbiologists(WhatReallyHappened.com)自殺的天然痘テロを懸念 米国立研究所長
【ワシントン14日=共同】米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は14日、ワシントンで講演し「天然痘ウイルスを使ったバイオテロが起こり得ると信じるのは、極めて合理的なことだ」と述べ、天然痘テロに備える必要性を強調した。
所長は、天然痘が炭疽(たんそ)病と違い人間から感染することを指摘。「自らウイルスに感染した人間が多くの人々の中を歩き回ったら、飛行機が世界貿易センタービルに突入したのと同じような状況になる」と、自殺的なバイオテロへの懸念を示した。
ファウチ所長は「天然痘のワクチン接種には、100万人に1人程度の確率で深刻な副作用がある」として、全国民対象のワクチン接種を再開するかどうかは今後の議論を待つべきだと指摘。米国とロシアが保管している天然痘ウイルスは廃棄すべきではないとの考えも明らかにした。(共同通信 2002/01/14)天然痘ウイルス 米ロの保有期間延長
世界保健機関(WHO)のブルントラント事務局長は14日の理事会で、米国とロシアの研究所それぞれ1カ所に限って02年まで認めている天然痘ウイルスの保有期間を、少なくとも2、3年延長することを提案した。事務局長の提案は理事会での審議を経て、5月の総会で採択される見通し。
炭疽(たんそ)菌事件を機に、米国が生物兵器テロに備えるためとして、天然痘ウイルスの保有継続を表明している。(朝日新聞 2002/01/17)炭疽菌:91年に27種の試料紛失 米軍研究所がずさん管理
21日付米紙ワシントン・ポストによると、メリーランド州フォートデトリックの米陸軍感染症医学研究所で91年ごろ、炭疽(たんそ)菌を含む27種の試料が紛失、軍が翌年に内部調査をしていたことが初めて明らかになった。
同紙は、紛失した試料の中に昨年の炭疽菌テロ事件で使われたエームズ株の炭疽菌があったかどうかは不明としながらも、当時の研究所のずさんな管理体制から、無許可で炭疽菌を作ったり、持ち出したりすることは可能だったと伝えた。
元職員の科学者や軍内部の調査資料、民事訴訟記録などに基づいた記事によると、91年ごろ、細菌兵器への防御研究の過程で人工的に炭疽菌やエボラ菌などに感染させた動物の組織などの試料27種が紛失したほか、正式の承認なしに炭疽菌を使った研究を週末や夜、行っていた人物がいた疑いも発覚した。
また軍当局は同研究所では粉状の炭疽菌を生産したことがないとしていたが、粉末化した炭疽菌が90年代に存在したことも分かったという。
当時、研究所では人事をめぐるいさかいが起こり、解雇された研究員が人種差別だとして係争中。(ワシントン共同)(毎日新聞 2002/01/21)紛失した炭疽菌標本に感染力なし…軍研究所関係者
【ワシントン22日=坂元隆】米メリーランド州フォートデリックの「米陸軍感染症医学研究所」から炭疽菌やエボラウイルスに感染させた動物の組織などの標本27点が紛失していたとの報道について、同研究所の元副所長は22日付ワシントン・ポスト紙に「標本は顕微鏡で研究するためいずれも殺菌処理が施されており、紛失した標本から病原菌やウイルスに感染することはない」と述べた。元副所長によると、感染力のある標本はほかの施設に保管され、より厳しい警戒態勢がしかれているという。(読売新聞 2002/01/22)クローンマウスは短命 国立感染症研究室長ら発表
免疫力低下 ヒトへの応用に警鐘
体細胞クローンマウスは、通常のマウスに比べ寿命が短いことが分かったと、国立感染症研究所の小倉淳郎室長(現理化学研究所室長)らが11日、米科学誌ネイチャー・ジェネティクスに発表した。
クローン動物にはさまざまな異常が出ることが分かっているが、短命なことを示した研究は初めて。
小倉室長は「クローン動物は長期間育てると予想もしなかった問題が起きてくる」と指摘、一部で試みる動きがあるヒトへの応用に警鐘を鳴らしている。
小倉室長らは1999年3月から9月にかけ、12匹の雄のクローンマウスを、精巣の体細胞から作成。通常のマウスと同じ条件で飼育し、寿命を比べた。
クローンマウスは生後311日目に1匹が死んだのをはじめ、12匹のうち10匹が生後800日目までに死んだ。通常のマウスでは、800日目までに死んだのは7匹中1匹にとどまり、寿命に明らかな差があった。
死んだクローンマウスのうち6匹を調べると、すべて肺炎だった。4匹には肝臓組織の壊死(えし)もあり、2匹はがんも併発していた。クローンマウスは、抗体の生産量が少ないことも判明。小倉室長らは、免疫力が低下し肺炎を起こしやすくなったのが、短命の一因とみている。
一方で、小倉室長は今回つくったクローンマウスは寿命が短かったが、ほかのクローン動物が短命かどうかは不明と話している。(日本経済新聞 2002/02/11)米炭疽菌事件、首謀者は政府系機関の元研究者=米紙
【ワシントン24日ロイター】米連邦捜査局(FBI)は、昨年5人が犠牲になった炭疽(たんそ)菌事件の首謀者として、政府系研究機関に以前勤務していた科学者を特定した。米ワシントン・タイムズ紙が報じた。
同紙が当局や生化学研究者らの発言を引用しながら伝えたところによると、当局は、政府の炭疽菌関連プログラムに関与していた300人以上を対象に聞き込み捜査を行った。その結果、捜査の焦点はこの科学者に絞られたという。
科学者は以前、メリーランド州フォート・デトリックの米陸軍感染症医学研究所に勤務していたうえ、公職を2度解雇された経験を持つとされる。
一連の事件で、不審な郵便物から発見された炭疽菌の生産技術を持つ研究者は約50人おり、問題の科学者はそのうちの1人という。こうした報道内容について、FBIは今のところ何もコメントしていない。(ロイター通信 2002/02/25)エボラ熱そっくりウイルス、治療法研究に道
治療法がない感染症「エボラ出血熱」のウイルス遺伝子を使い、無毒な「疑似ウイルス」を作り出すことに、東京大学などのグループが成功した。疑似ウイルスは遺伝子を持たず、毒性や増殖能力はないが、外見上はウイルスにそっくり。ウイルスの扱いが難しいため研究が進まなかった同出血熱の治療法、予防法研究に道を開く成果として、国際的に注目を集めている。
エボラ出血熱は、血液や排せつ物によって感染、高熱を発し、消化管などから出血する急性感染症で、死亡率が9割に達することもある。東大医科学研究所の河岡義裕教授と北大大学院獣医学研究科の野田岳志さんらは、ウイルスを構成する8種類のたんぱく質のうち2種類を利用して、同じ立体構造を持つ、無毒のたんぱく質の殻を作り出した。
疑似ウイルスは、内部が空洞状態でウイルスの遺伝子を持たず、毒性が復帰する恐れもない。細胞の表面にウイルスと同じように付着できるため、従来より安全な手法でワクチンや治療薬の開発に活用できる。世界的な生物テロ対策を進める米疾病対策センター(CDC)からも、技術提供の依頼が来ているという。
エボラウイルスなどを取り扱うためには、厳格な安全基準を満たした「P4」施設が必要。国内にP4施設はほとんどなく、住民の反対もあることから、河岡教授らはカナダのP4施設で、この合成法を開発した。
エボラ出血熱は、現在もアフリカのガボンとコンゴ共和国で患者が発生しており、約100人の患者のうち、70人以上が死亡した。(読売新聞 2002/04/11)米国:医師の過半数が製薬会社から金品受け取る
【ワシントン斗ケ沢秀俊】米国の医師の過半数が製薬会社から金品を受け取っていることが、米国の医療関連団体「カイザー・ファミリー・ファウンデーション」の全国調査で判明した。
同団体は医療に関連する調査を実施している非営利団体。患者の治療を直接担当する立場にある全米の医師を対象にアンケート調査を実施し、2603人の回答を得た。
調査結果によると、92%は「製薬会社から無料の医薬品サンプルを受け取ったことがある」と答え、61%が食事や各種のチケット、無料旅行などの金品を「受け取ったことがある」と回答した。「財政的な利益を得たことがある」という医師も13%いた。
同団体は「金品の受領は違法ではないが、薬剤の選択など患者の治療に影響する可能性がある。より詳しい実態調査が必要だ」と話している。(毎日新聞 2002/04/17)ナチス「安楽死計画」の犠牲 子供600人遺体、埋葬へ オーストリア
【ウィーン26日=青木雪雄】第2次大戦中、ナチス・ドイツ併合下のオーストリアで、ナチスの「安楽死計画」によって殺された600人の子供たちの遺体が戦後57年を経て28日、ようやく埋葬されることになり、遺族や生存者が26日、記者会見した。
障害者や問題児とされた子供を「安楽死」させるという計画で、生後3カ月から16歳の子供たちが病院に収容され、毒物注射で殺害されたり、餓死させられたりした。
遺体はそのまま行方不明になっていたが、殺害に関与していたハインリヒ・グロス医師が、子供たちの脳や神経を標本として保存し、研究に使っていたことが79年に判明。グロス医師は戦後のオーストリアの精神医学界の重鎮となっており、社会に衝撃を与えた。
ナチスへの協力が裁判所で認定され、00年からは刑事責任を追及する裁判も始まったが、現在86歳になるグロス被告は「記憶が定かでない」と主張、審理は止まったままだ。年齢を考えれば、結審は不可能と見られる。
宗教上の理由でナチス式の敬礼を拒否して、病院に収容されたアンナ・マイヤーホーファーさん(75)は「父といとこが同じ病院で殺された。責任者がいまだに裁きを受けていないことに強い怒りをおぼえる」と語った。(朝日新聞 2002/04/27)クローン動物すべて異常か ドリーの生みの親が警告
【ロンドン28日共同】28日付の英紙サンデー・タイムズによると、世界初の体細胞クローン動物の羊ドリーをつくった英国のイアン・ウィルムット博士が、これまでにつくられたクローン動物すべての遺伝子に何らかの異常があるとみられるとの調査結果を発表した。
博士は、イタリアや米国の医師が進めているクローン人間づくりに対し、遺伝子の欠陥を伴う危険が極めて大きいと強く警告した。
博士は世界のクローン動物を追跡調査した結果、日常的に発生している異常として(1)羊、牛の場合は体の巨大化(2)マウスの場合、胎盤が正常の最大4倍に肥大(3)豚の場合は心臓の欠陥―を列挙した。このほか発育障害、肺の異常、免疫機能不全、突然死などもみられた。
博士は異常発生の原因として、DNAにくっついて細胞の機能を制御するメチル基の働きが、体細胞を移植するクローンと受精とで全く異なるためと推定。「問題が広範に発生しており、果たして完全に正常なクローン動物がいるのだろうかという疑問に行き着いた」と指摘した。(共同通信 2002/04/28)生物兵器テロ:100万人死亡の可能性指摘 米シンクタンク
29日付の米紙ワシントン・ポストは、米国で天然痘などによる生物兵器テロが発生した場合、最大で100万人が死亡する可能性があるとする米有力シンクタンクの報告書の内容を伝えた。
「米本土を守る」と題した報告書は、ワシントンにあるブルッキングズ研究所の経済政策や外交政策の専門家が執筆。それによると、天然痘のほかに、炭疽(たんそ)菌やエボラ出血熱の菌によるテロ攻撃の場合にも最大100万人が死亡する可能性がある。ただ、こうしたテロの発生する可能性は「極端に低い」としている。
また、生物兵器テロが大都市で起きた場合、7500億ドル(約96兆円)の被害が出るなど、大規模テロの際の経済損失の巨大さを指摘している。(ワシントン共同)(毎日新聞 2002/04/29)米司法省、炭疽菌捜査でポリグラフ検査を計画
米国で昨秋5人が死んだ炭疽(たんそ)菌事件で、米司法省が大規模なポリグラフ(うそ発見器)検査を計画していることが21日わかった。AP通信などが伝えた。検査対象は、菌を保有している陸軍施設の職員ら数百人という。一方、ワシントンの世界銀行と国際通貨基金(IMF)で、同日までに郵便物から菌の陽性反応が出た。
米陸軍は、兵器級に粉末化した炭疽菌をユタ州の施設でつくり、メリーランド州の感染症医学研究所で研究してきた。ポリグラフは両施設で現在働いている技術者、研究者を中心に、一部退職者にも実施するという。
世銀の郵便物から陽性反応が出たのは20日。4つあるビルの1つに届いた郵便物が初期検査で陽性になった。このため、このビルで働く約1200人は21日、自宅待機になった。IMFでも21日、一部郵便物が陽性を示した。いずれも検査結果は確定していない。(朝日新聞 2002/05/22)米軍艦船でサリン散布実験 60年代に太平洋で実施
【ワシントン24日共同】米国防総省当局者は23日、米軍が1964年から68年にかけて、太平洋の米海軍艦船内でサリンなど生物化学兵器の実験を4回実施していたことを明らかにした。AP通信が24日伝えた。
同通信によると、米軍は64年にハワイ沖の米艦内の換気装置にサリンなどをまいた実験を実施。サリンを散布した兵士は毒ガスから身を守る特殊な服を着用。毒ガスの効果を調べるためサルも使用された。
また64年と65年の実験には致死性の強い神経ガス「VX」が使われ、68年の実験では、感染した場合、発熱など風邪に似た症状を引き起こす細菌が使用された。
国務総省は実験に加わった米兵の健康への影響はなかったとしているが、米兵の間に健康不安が広がったことから復員軍人省が国防総省に照会していた。
プリンシピ復員軍人長官は23日、実験に参加していた退役軍人約600人に対し、健康調査などを促す文書を郵送したことを明らかにした。(共同通信 2002/05/24)「生物兵器テロ法」に署名 米大統領
【ワシントン12日共同】ブッシュ米大統領は12日、ホワイトハウスで炭疽(たんそ)菌などを使った「生物兵器」によるテロへの即応体制を高める「バイオテロリズム法」に署名した。
新法は、天然痘ワクチンや抗生物質などの製造、備蓄に6億4000万ドル、各州の病院での対応準備や飲料水システムの監視などに16億ドルなど、総額約46億ドルの拠出を認めている。
大統領は署名にあたり「テロ組織は生物兵器を手に入れようとしている。一部の『ならず者国家』は既に持っている。これら現実の脅威に立ち向かい、将来の緊急事態に備えることは重要だ」と述べた。(共同通信 2002/06/13)旧ソ連が生物兵器実験で天然痘散布か
【ワシントン(CNN)】旧ソ連が行った生物兵器の人体実験で、10人が天然痘に感染し、3人が死亡した可能性があることが分かった。ワシントンで15日開かれた全米科学アカデミーの天然痘ワクチン開発に関するフォーラムで、米エネルギー省の研究グループが報告した。
報告したのは、同省サンディア国立研究所のアラン・ゼリコフ博士ら。報告によると、旧ソ連当局はカザフスタンのアラル海上のボズロフデニエ島で天然痘などを使った兵器の実験をしていた。1971年7月に、散布用に開発されたスプレー状の天然痘ウィルスが大気中に漏出し、風に乗って島の南15キロを航行していた船に到達したという。船の乗員12人のうち女性1人が感染し、そのまま同海北部アラルスクに上陸したため、同地域で起きた天然痘集団感染の原因になったとしている。当時アラルスクでは10人が天然痘に集団感染し、3人が死亡しているという。
旧ソ連時代の調査報告では、この女性は船で航行中に一時上陸した場所で自然感染したことになっているが、ゼリコフ博士の調査に対し女性は、一時上陸は禁止されていたと話したという。
フォーラムでは、世界保健機関(WHO)の天然痘廃絶運動を指揮したヘンダーソン博士が、天然痘ウィルスが夏季に15キロも移動した上で、船上の12人中1人だけに感染するとは考えにくいと指摘したが、ゼリコフ博士は、風の方向や速度、大気温度などを総合すると、充分に可能だと主張した。(CNN 2002/06/16)米研究グループ、ウイルスの人工合成に成功
生命の設計図(遺伝情報)をもとに人工的に化合物をつなぎ合わせ、自然界に存在するのと同一のウイルスを合成するのに米研究グループが初めて成功した。遺伝子工学の力で生命体を自由につくり出せる可能性を示した。ウイルス感染症などの予防・治療法開発につながる半面、生命倫理上の問題も浮上しそうだ。
ニューヨーク州立大学医学部のウインマー教授らの研究成果。12日発売の米科学誌サイエンスに掲載する。
合成したのは小児マヒなどの原因となるポリオウイルス。同ウイルスの解読済みのゲノム(全遺伝情報)をもとに、遺伝子を構成する最も基本的な化合物(ヌクレオチド)を配列し、ウイルスの遺伝子を組み立てた。(ワシントン=吉田透) (日本経済新聞 2002/07/12)なぞのウイルス?150人以上が死亡 マダガスカル
インド洋の島国マダガスカルからの報道によると、同国南東部でウイルス性とみられる謎の感染症が広がり、これまでに150人以上が死亡した。死者はいくつかの村に集中し、イコンゴ村では60人に上っているという。
激しい頭痛を伴う風邪のような症状が続き、放置すると2週間ほどで死に至ることがある。死亡した多くの患者が治療を受けなかったり、風邪と思いこんで伝統的な治療で済ませたりしていたという。同国の保健相はテレビ、ラジオを通じ、疑わしい時には病院に行けば無料で診断が受けられると呼びかけた。(朝日新聞 2002/08/04)WHOが調査チーム派遣
【ジュネーブ6日共同】世界保健機関(WHO)スポークスマンは6日、アフリカ南部のマダガスカルで発生した原因不明の病気を調査するため、WHOの専門家チームを現地に派遣したと発表した。
マダガスカル保健省から同日までにWHOに入った連絡によると、発症者は1930人、死者は153人に達した。患者の症状はインフルエンザに似ているが、病原体は特定できていない。(共同通信 2002/08/06)マダガスカルでインフルエンザ大流行、死者700人超える
【アンタナナリボ27日ロイター】インド洋の島国マダガスカルでインフンエンザが猛威をふるっており、これまでの死者は700人を突破、報告された感染例は1万8000件を上回った。
保健当局の政府高官が明らかにした。
インフルエンザの流行は今年6月から全島に広がり、栄養失調の村民が最も大きな打撃を受けた。
感染は首都アンタナナリボにも及んでいる。
現地語で「ラポラポ」と呼ばれるインフルエンザは、近代医療を受けられない貧しい農民らの間で、死因の95%を占めているという。(ロイター通信 2002/08/27)米国で「西ナイル熱」猛威 感染453人、21人死亡
【ニューヨーク28日=福島申二】アフリカ北部のナイル川流域に多発する風土病の西ナイル熱が米国全土に広まり、27日までに全米50州のうち20州で453人の感染が確認された。うち21人が死亡している。ウイルスを媒介する蚊の繁殖を防ぐため、殺虫剤の散布に空軍機も出動。米疾病対策センター(CDC)は爆発的な感染拡大への警戒を呼びかけている。
西ナイル熱患者は、米国では99年夏に初めてニューヨークで確認された。感染経路は不明だが、大量死したカラスからウイルスが検出された。西半球で初めての確認とされた。
その後の感染は東南部に限られていたが、8月上旬に南部のルイジアナ州やテキサス州で感染者が確認され、またたく間に広がった。CDCによれば、人間以外の動物も含めると、これまでに41の州でウイルスが確認されている。感染した鳥の移動に伴って全土に拡散していると見られる。
8人が死亡したルイジアナ州では非常事態が宣言された。他の州でも池や川など蚊の発生源に殺虫剤が散布されている。CDCは長袖や長ズボンを着用して蚊に刺されないよう注意を呼びかけている。
死亡者が100人に達すると予測する専門家もいる。CDCの担当者は「西へ向かっている感染は近いうちに西海岸まで達し、米本土全体にウイルスが広がるだろう」と予想している。(朝日新聞 2002/08/28)炭疽病の菌を破壊するウイルス発見──生物テロとの戦いに友軍
昨年9月11日の同時多発テロに続いて、アメリカの東部を襲った炭疽菌事件。5人の死者を出し、郵便物への恐怖を植えつけた。まだ、犯人は見つかっておらず、抗生物質への耐性菌の出現の可能性も指摘されている。
こんな中、この細菌を破壊するウイルスが見つかったと米ロックフェラー大学の研究者が、国際科学誌「ネーチャー」で発表した。
研究を行ったのは、ビンセント・フィッチェティ博士。発表によると、バクテリオファージという細菌に感染するウイルスのうち、「PlyG」と呼ばれる遺伝子を持つ株は炭疽菌破壊に非常に有効性が高いことを見つけた。この遺伝子から作られる酵素が細菌を部分的に溶かすという。また、抗生物質に対して耐性をもった炭疽菌が出現しても、この酵素「PlyG」を持つバクテリオファージならば破壊できる。(日経ヘルス 2002/08/29)米軍貯蔵のサリン 職員誤って持ち帰る
米オレゴン州ユマティラ陸軍化学物質貯蔵所で27日、職員が劇薬サリンの希釈液が入ったガラス瓶をポケットに入れたまま帰宅していたことがわかった。
この職員はサリンが漏れた際の空気の汚染状況を調べる実験をしていた。頭痛のために早退した際、ポケットに瓶を入れたままだった。2時間交代時間になって同僚がサリンの瓶を数えたところ、1本なくなっていることが分かり大騒ぎになった。(ロサンゼルス)(朝日新聞 2002/08/30)クローンは遺伝子異常多発 高い死亡率や奇形の原因
【ワシントン12日共同】体細胞クローンの技術を使って生まれたマウスで遺伝子の発現異常が高頻度で起こっていることを、米ハワイ大の柳町隆造教授やホワイトヘッド生物医学研究所(マサチューセッツ州)などのグループが突き止め、11日、発表した。
グループは「クローン動物は外見上正常でも、遺伝子レベルでは異常があり、死亡率や奇形の発生率が高いことの理由の1つと考えられる」と指摘。「クローン人間づくりは危険で、倫理的にも許されない」と警告した。
研究グループは、培養したマウスの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と、卵丘細胞と呼ばれる細胞の2種類を使って体細胞クローンマウスを作製。約1万個の遺伝子について、肝臓と胎盤での発現状況を通常のマウスと比較した。
クローンマウスの胎盤では25個に1個の割合で遺伝子の働きが極端に盛んだったり、逆に遺伝子の発現が抑えられているなどの異常が確認された。発生率はやや低かったものの、肝臓でも、通常のマウスに比べて遺伝子発現の異常が多かった。
グループは異常が起こる理由として、クローンを作る際、遺伝子の働きを調節する仕組みがうまく初期化できないことなどが考えられる、としている。(共同通信 2002/09/12)米、対イラン戦争時イラクに生物兵器の原料提供
【ニューヨーク16日=河野博子】米誌ニューズウィークの最新号(16日発売)は、米国がイラン・イラク戦争当時の1980年代、イラクに対し、生物兵器の原料を提供していた、と報じた。同誌が入手した商務省の輸出管理関連文書(極秘扱い)によると、「細菌・菌類・原生動物」が何回にもわたって、イラク原子力エネルギー委員会あてに輸出された。複数の元政府高官によると、輸出された細菌は、炭疽(たんそ)菌を含む生物兵器製造に使われた可能性がある。
こうした輸出は、83年12月20日、現国防長官のラムズフェルド氏が、レーガン大統領(当時)の特使としてイラクを訪れ、フセイン大統領と会談した後に行われた。
イラン・イラク戦争の際、米国がイラクを支援し、「結果的にサダム・フセインというモンスターを作り上げた」と指摘されてきたが、生物兵器の材料が米国から輸出されていたことが明らかになったのは、初めて。(読売新聞 2002/09/16)米、イラクに細菌提供 80年代 生物兵器開発の契機に
【ニューヨーク=福島申二】米国が80年代に、後にイラクが生物兵器の開発に使うことになる炭疽菌などの病原菌を同国に提供していたことが、米疾病対策センター(CDC)や連邦議会、国連査察団の資料や記録から明らかになった。AP通信などが30日に伝えた。イラクの生物兵器開発は米国の「援助」から始まったと指摘している。
AP通信によれば、提供されたのは炭疽菌のほかボツリヌス菌、ガス壊疽菌など。CDCや生物関係の民間会社からバグダッド大学などの研究施設へ、米商務省の輸出承認を得て10回前後送られた。
提供があったのはイラン・イラク戦争時。目的は明確ではなく、ボツリヌス菌のワクチン製造に使われたともされる。
イラク政府は国連の過去の査察に対し、大量の炭疽菌やボツリヌス菌を生産し、一部を兵器に用いたことを認めている。
さらにCDCの記録からは、現在米国で大流行して100人以上の死者を出している西ナイル熱のウイルスも、85年にイラク南部・バスラの大学の微生物学者に送られていることが判明した。
カリフォルニア大学名誉教授で「アメリカ帝国への復讐」などの著書があるチャルマーズ・ジョンソン氏は、この報道に関し、朝日新聞の取材に次のように語った。
「まったくのスキャンダルだ。イラン・イラク戦争で米国は、イラン革命の産油国への波及を恐れてイラクを支持した。今日のイラクの脅威は、テロ組織アルカイダ同様、覇権主義的政策の下で米国がまいた種が、自らに吹き返しているものだ。米国は現在も、対テロ戦のためにウズベキスタンやカザフスタンで同じような場当たり的な軍事援助を繰り返している」(朝日新聞 2002/10/02)米が生物化学兵器を住民に極秘のうちに屋外で散布していた 米国防総省
【ワシントン中島哲夫】米国防総省は9日、米軍が1962年から73年にかけて、生物兵器や化学兵器の屋外や船上での散布実験を少なくとも46回、米国内や英国、カナダで行っていたと明らかにした。防護服を着用していたとはいえ、多くの兵士が病原菌や猛毒薬剤にさらされ、一部はこの影響だとして何らかの症状を訴えている。米軍はかつて、放射性同位元素の投与実験を行ったことも知られており、今は大量破壊兵器の脅威を訴える米国の「過去の暗部」が再び明るみに出た形だ。
記者会見した国防総省高官や医療専門家によると、実験はケネディ政権時代のマクナマラ国防長官が61年に指示した150件以上の防衛計画の一環で、プロジェクトに付けられた番号から「112計画」と呼ばれる。
当時の記録を調査した結果、ユタ州の砂漠にある実験センターの指揮で134件の生物・化学兵器の実験が計画され、うち46件が実際に行われたことが確認された。
実験は軍艦艇が生物・化学兵器の攻撃を受けた場合の戦闘能力維持や対応を探るための洋上実験と、こうした兵器の拡散や残留が気象条件や環境によりどのように変化するかを調べる野外実験の2種類。船上での実験には5000人、陸上実験には500人の兵士が参加した。このうち50人余りが90年代以降、後遺症を訴え始めたという。
実験に使われた病原菌や薬剤は今後の調査を経て来年春までに公表するとしているが、炭疽(たんそ)菌やサリン、神経ガス「VX」などが使用されたものとみられる。
一方、ハワイやアラスカ、フロリダ、プエルトリコなどでは、付近住民に知らせないまま、毒性のない類似菌など「模擬兵器」を散布。ハワイでは数千人が、これにさらされた可能性があるという。
発表では、民間人が毒性のある兵器そのものに接した例はなく、兵士も含めた実験全体について死亡記録はないと強調。ソ連の生物・化学兵器の脅威が深刻な時代だったとも指摘した。
発表はまた、これらは人体実験ではないとも強調した。しかし、米国は旧日本軍の人体実験を背景にした生物兵器・化学兵器の知識を引き継いだとも指摘されており、今後、こうした点に再び批判が集まりそうだ。(毎日新聞 2002/10/10)サリン人体実験で提訴 元英兵士500人、12月に
【ロンドン13日共同】13日付の英紙サンデー・テレグラフは、化学兵器として使うサリンの人体実験を英国軍内で受けたことがある元英軍兵士約500人が今年12月、英政府を相手に損害賠償請求の訴えを起こすと報じた。
同紙は、英軍が1983年にサリンの実験を行っていたことを示す証言と公文書をこのほど入手したとして、実験台にさせられたイアン・フォークス氏(38)の証言を紹介した。
同氏は実験が4人の兵士を対象に行われ、自分だけが解毒剤を与えられなかったこと、部屋の中に入って歩き回るよう指示され、視野が狭まり、胸が苦しくなったこと、今も呼吸器に後遺症があることなどを証言したという。
英国防省は13日、ロイター通信に対し、この報道内容を否定した。
サンデー・テレグラフによると、英政府はロンドンの西約130キロのウィルト州ポートンにある軍研究施設で1950−60年代にサリンの実験を行っていたことは認めている。(共同通信 2002/10/13)スペインかぜウイルス再現
◆東大グループが成功、テロ悪用の可能性警告
1918年に大流行し、全世界で2000万人以上が死亡したインフルエンザ「スペインかぜ」の性質を持つウイルスを作り出すことに、東京大学医科学研究所のグループが、海外の実験施設で成功した。
マウスに感染させたところ、肺が出血するなど強い病原性が確認された。長い間、謎だったスペインかぜの毒性の秘密に迫る一方、インフルエンザがバイオテロに悪用される可能性を警告するものとして注目される。
スペインかぜは、短期間に肺に水がたまるなどして呼吸困難に陥り、死亡するケースが多く、インフルエンザの中でも病原性の強いウイルス。この流行で米国人の平均寿命は10歳以上も下がったと言われる。
強い病原性の理由は不明だったが、99年以降、当時の患者の保存組織などから、8個の遺伝子のうち、4個の配列が判明した。
同研究所の河岡義裕教授と高田礼人助手らは、厳重な密閉性を持つカナダの実験施設で、4個の遺伝子のうち、ウイルスが感染する際などに重要な働きをする2個の遺伝子を、現存のインフルエンザウイルスに組み込んだ。この結果、マウスに肺炎を起こすだけだったウイルスの病原性がさらに強くなり、肺の組織が出血を起こすことが確認された。
河岡教授は「テロの危険性を考え、ウイルスの遺伝情報をどこまで公開するべきかをきちんと議論する必要がある。また、ワクチンの大量生産や抗ウイルス薬を備蓄する体制整備が必要だ」と話している。(読売新聞 2002/10/21)米国は新世代の生物兵器を開発しようとしている=英、米の学者が警告
【ロンドン29日】英紙ガーディアンが報じたところによると、英、米の学者が米国は生物・化学兵器に関する国際条約に違反する恐れのある新世代の兵器を開発していると警告している。また、米国防総省は英軍の協力を得て、ロシアがモスクワの劇場の人質を救出する際に使用したガスに似た非致死性の兵器の開発を進めているという。
同紙によると、英ブラッドフォード大学のマルコム・ダンド国際安全保障学教授と米カリフォルニア大のマーク・ウィーリス微生物学講師は、米国がこれらの研究を進めることによって、兵器制限・管理のシステムが崩壊するのではないかと懸念している。
ダンド教授は、米国の研究には中央情報局(CIA)が行っている生物兵器を広範囲にばらまく旧ソ連のクラスター爆弾と同様のものの開発研究や、国防総省がテロリストにも同様のことができることを証明するために行っている、商業ベースで入手可能な材料を使って生物兵器工場を建設する計画が含まれると指摘している。同氏によると、さらに、米国防情報局は遺伝子工学によって抗生作用を持つ耐性炭疽菌を作り出す研究も行っている。〔AFP=時事〕(時事通信 2002/10/29)ref. US weapons secrets exposed(Guardian 2002/10/29) 自然界にない生命体 人工的に開発へ ベンター氏や米ノーベル賞学者ら
兵器に悪用、懸念の声も
米国のノーベル賞学者らが参加する研究グループは21日、遺伝子工学を利用して自然界に全く存在しないタイプの生命体を作り出す計画に着手すると発表した。将来のエネルギー源となるバイオマス(生物資源)を開発するのが狙いだが、生物兵器への悪用など倫理面の問題を引き起こす恐れもある。
ヒトゲノム(人間の全遺伝情報)の解読に初めて成功した米セレーラ・ジェノミクス社のクレイグ・ベンター元社長やノーベル生理学・医学賞受賞者のハミルトン・スミス氏らが参加。米エネルギー省も300万ドルを研究費として提供する。研究計画では、生物としての活動を可能にする最小限の数の遺伝子を合成して、それを基に単細胞の新たな生物を作り出す。
他の生物の細胞に潜り込んで増殖するウイルスについては、米研究グループがポリオウイルスを完全に人工合成した例がある。だがウイルスより大きく、細胞分裂しながら増殖する細菌などについては、人工的に設計・合成するのは技術的に相当困難とみられていた。
新技術ができれば生命の基本的な仕組みへの理解が深まり、石油に代わるエネルギー源の生産などにも道を開く半面、非常に強力な生物兵器の開発に悪用される恐れもあり、論議を呼びそうだ。(ワシントン=吉田透)(日本経済新聞 2002/11/22)軍施設跡には兵器がいっぱい〜市民グループが危険性を告発
米軍の施設跡地に埋まったままの爆弾や化学・生物兵器の危険性を、市民団体が指摘している。こうした軍施設跡地の多くは、兵器が撤去されないまま既に民間の手に渡っており、環境保全のためにも撤去が急がれる。
ロサンゼルス・タイムズによると、残存兵器の危険性を暴露したのは、首都ワシントンに拠点を置く市民団体「パブリック・エンプロイー・フォー・エンバイロンメンタル・リスポンシビリティ(PEER)」。政府や企業の内部告発者を擁護する立場で、市民にとって重要な情報を開示する活動をしている。残存兵器の情報は、PEERが入手した政府機関の書類が元になっている。軍施設跡地の調査を経て2年前に報告書をまとめた米環境保護局(EPA)の関係者が、危機感を感じてPEERに提供したと見られる。
国防省の委託を受けて行われたEPA調査では2000年、最終調査結果が公表されている。PEERが入手した文書には中間報告書や私文書も多数含まれており、最終報告の内容と比較すると、途中で当局にとって不都合な部分が大幅に削除されていたことが分かる。PEERは、手間のかかる撤去作業を避けたかった国防省が、EPAに削除するよう圧力をかけたと主張する。国防省は取材を拒否している。
さらに、文書の中にはEPA取締部門の責任者が「埋められたままの兵器を見つけて撤去することは、米環境保護政策の一大事業となる」と語った部分があり、責任者は全米1万6000カ所に点在する軍施設跡地の面積を合わせると、フロリダ州より大きいとも述べている。また、軍の兵器撤去手順に安全上、環境保護上の問題があることを指摘する部分もある。
2000年のEPA調査では、カリフォルニア・モンタレーのフォート・オードをはじめ半数以上の元米軍施設が、化学兵器もしくは生物兵器に汚染されていたか、今も汚染されていることが分かっている。数十年間、射撃場として使われたフォート・オードは、現在はカリフォルニア州立大学のキャンパスとなっている。(U.S. FrontLine 2002/11/27)DNA合成でバクテリアを創り出す計画進行
ヒトゲノムの解読で知られているクレイグ・ベンター氏は、このほど人工的に合成したDNAを使って、新しいバクテリアをつくりだす計画があることを明らかにした。
目的は、バクテリアに水素燃料を作らせたり、炭酸ガスを吸収させる能力を付けることによって、地球環境問題の解決の一助とするためだという。ただし、技術を悪用すれば、新しい生物兵器ともなりうる、として憂慮する人もいる。
ベンター氏らは1995年から、マイコプラズマ科のバクテリアである「Mycoplasma genitalium」の遺伝子について研究を続けている。このバクテリアは単純な構造で染色体は1本、遺伝子は517しかない。研究者たちは、このバクテリアの遺伝子のうち、生存に不可欠な必要最小限の遺伝子数は265、ないし350であることを突き止めた。そこで、この最小限の遺伝子と新たに組み込みたい遺伝子を化学物質から合成し、バクテリアの染色体に入れて創作バクテリアを作ることを計画している。
この「人工DNAによるバクテリア」計画は、新会社の手始となるプロジェクトで、連邦政府エネルギー省もこれに300万ドル(3億6000万円)の研究費を補助している。(日経ヘルス 2002/12/06)イラク:申告書に米企業名 化学・生物兵器開発の提供先に
【ニューヨーク佐藤由紀】イラク政府が提出した大量破壊兵器の保有・開発に関する申告書に、化学・生物兵器開発の原料や技術の提供先として米企業名が含まれていることが明らかになった。米ニューズデー紙が13日、イラク高官の話として報じた。
しかし、申告書を精査している国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は10日、「企業からイラクの兵器開発についての情報を得ており、名前を公表すればその道を閉ざすことになる」との理由で安全保障理事会の非常任理事国に提供するコピーから原料の調達先を除外すると述べ、企業名は伏せられたままとなりそうだ。
イランと対立していた米国は80年代、対抗策としてイラクに接近。米企業が生物・化学兵器などにも使用できる原料や加工施設などを輸出していたことは、米議会で報告されているなど周知の事実だ。しかし、ブッシュ大統領の就任以降に国がイラクの兵器開発に協力していたことが判明すれば、米政府は面目を失うことになる。(毎日新聞 2002/12/14)生物兵器にも対応可能 防衛医大に高水準検査室
20日内示された2003年度予算の財務省原案で、埼玉県所沢市の防衛医大病院に高水準の感染症検査室を設ける整備費約1億円が認められた。
同病院の検査室は、病原菌などを封じ込める設備の程度を示すバイオセーフティーレベル(BSL)が、ブドウ球菌など限られた病原体しか扱えない「1」だった。
このため、換気装置に高性能除菌フィルターを取り付けたり、室内の密閉度を高めるなどで、BSLを「3」に高める。このレベルでは、生物兵器に使われる炭疽(たんそ)菌やペスト菌も扱えるようになる。筑波大や慶応大などに同等のレベルの検査室があるという。
防衛庁が、生物兵器による攻撃などさまざまな事態に対処する能力を高めるため新規に要求していた。(共同通信 2002/12/20)
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