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爆弾は幼子の上に落ちている

アリス・ウォーカーさん自著を語る




2003年5月12日(中日新聞)

爆弾は幼子の上に落ちている
アリス・ウォーカーさん自著を語る

『勇敢な娘たちに』
(柳沢由美子訳、集英社・2000円)


──初来日ですね。

「私の娘や、息子が日本人と結婚した友人が、日本を訪れ、とてもよかったと聞いたので。桜の古木も見たいと思っていたんです。福島・三春のしだれ桜は満開で、本当に美しかった」


──新刊のエッセー集の第1部で、非キリスト教徒として、先祖から受け継いだ、母なる大地や自然を崇める宗教を見つめ、自分の意識を探索する姿は、日本人が自然観や宗教観を考える上でも示唆に富みます。

「出会った日本人はだれもが穏やかで優しい。そのことにたいへん感銘を受けました。優しさは知性、賢さの表れです。人々の間にはさまざまな違いがある。私たちは知を通してのみ、自分とは違う他者に対して、寛容さや忍耐を持てる。そう思っている点で、私も日本の方々と同じだと思いました」


──講演会では、小さな靴を見せ「爆弾がこの靴を履いていた幼子の上にも落ちたと想像して」と語りました。米国では現政権を批判し、反戦を唱えるのは難しいと聞きますが…。

「主流メディアが完全に政府にコントロールされている、悲劇的現状です。報道記者は軍服を着て戦場に行った。そんな状況で報道に何を期待できますか。イラク戦争を石油ゆえの戦略と指摘することができ、私のような活動家が物を言えるのは、弱小メディアだけです」


──ウォーカーさんはその中で、戦場の小さな命に心を向けよ、と主張してきた。

「男性に対して、女性が考えるように考えて、と言いたいのです。自分の母親や祖母の気持ちになってみて、と。爆弾は独裁者の家にだけ落ちるのではなく、必ず少年少女や老人、母の上に落ちている」


──本書では、娘たちの世代、未来へのメッセージを詩に託しています。言葉への信頼があるからですか。

「言葉は音楽です。ボブ・マーレーは『音楽で私をたたけ。痛くはないから。傷つきはしないから』と歌いました。私たちは、他者を傷つけることなく、社会を変革することができるのです。言葉や歌には心に届く力がある。戦争は必要ない。私たちには知性、想像力、言葉、音楽があるのですから」


──世界は変えることができる、と楽観的に言い切る自信は、どこから来るのですか。

「私は米国のアパルトヘイトの中で育った。公共施設は使えず、教科書も白人が捨てたものでした。黒人は無知で貧しいのが当然、とされた社会。でも人間は知性と良心を持っていると、母が示してくれたんです。母は優れた庭師で何でも緑に変えられた。母の創造した花咲き誇る庭で、私は天国を経験していました。だから人間は本来の知性を使えば変われるのだ、というのは実感なのです。
もし今、世界を変えなければ地球は滅びてしまいます。爆弾のウラニウムが大地を汚染すれば、永遠にその毒は消えない。地球はかけがえのないもの。今、変えないと、私たちは地球に住めなくなってしまいます。変革はぜいたくではなく、必要不可欠なことなのです」


──母娘関係への言及が多いですが、息子を育てている母たちへのアドバイスを。

「暴力は物事を解決せずに悪化させるだけだと、問題を本当に解決するのは暴力を使わない方法だと、息子たちに話して。そして自分の内なる女性性を敬いなさいと、教えてください」


アリス・ウォーカー
1944年、米国ジョージア州の貧しい農家の8人兄妹の末っ子に生まれ、奨学金を得て大学に。83年、『カラーパープル』がピュリッツアー賞と全米図書賞をダブル受賞。著書に『いい女をおさえつけることはできない』『わが愛しきものの神殿(上)(下)』『喜びの秘密』など。



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米ホワイトハウス前で反戦集会、著名女性作家ら逮捕
【ワシントン8日ロイター】イラク攻撃阻止を求める反戦集会が8日米ホワイトハウス前で行われ、著名作家アリス・ウォーカーさんやマキシン・ホン・キングストンさんら女性23人が逮捕された。
集会を主催した反戦団体コードピンクの関係者が明らかにした。
警察当局は、非常線を越えた封鎖区域で集会を行ったとして、ホワイトハウス前の歩道で約25人を逮捕したとしている。
1983年に小説「カラーパープル」でピュリツァー賞を受賞したウォーカーさんは、逮捕前にCNNテレビに対し、「大統領はわたしたちの声が聞こえず、姿も見えないふりをしているが、いつかはわたしたちの声と姿を認識するだろう」と語っていた。(ロイター通信 2003/03/09)



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