エイズ AIDS

[2006-2012]



エイズ新薬へ一歩 抑制物質を人工合成 長崎大グループ
海洋生物に微量に含まれ、エイズウイルス(HIV)の増殖抑制効果があるとされる天然有機化合物「ラメラリンα20−サルフェート」を人工的に合成する方法を、長崎大工学部の岩尾正倫(まさとも)教授(53)=有機合成化学=らの研究グループが世界で初めて開発した。近く特許を申請する。岩尾教授は「自然界ではごく微量しか採取できないが、人工合成なら一定量を確保できる。新薬開発に向けた第一歩」と話している。
ラメラリン系化合物については、米国のスクリプス海洋研究所が1985年、貝の一種「ベッコウタマガイ」から初めて採取。これまでに自然界で約30種類が確認された。特に、同研究所が99年にアラビア海産ホヤから検出した「ラメラリンα20−サルフェート」は、試験管内でHIVの感染細胞に注入する実験で、ウイルス増殖に不可欠な酵素の1つ「インテグラーゼ」の働きを阻害して増殖を抑えた、という研究結果が報告され、世界的に注目されている。
岩尾教授のグループは97年、ラメラリン系化合物の基本となる物質の合成に初成功。昨年10月には、医薬品原料の有機化合物「フェニルエチルアミン」の一種を基に、14段階の化学合成を経て、ラメラリンα20−サルフェートを生成することに成功した。
この合成法は(1)化学合成の回数が多い割に最終生成量が多い(2)類似した分子構造の別物質を生成できるなど応用性が高い−などの特徴があるという。
研究グループは今春から、長崎大熱帯医学研究所と共同で効能試験を開始。類似物質と比較しながら、ウイルスの増殖抑制効果や人体への影響を検証する。岩尾教授は「この合成法を活用し、より効果が高く人体への悪影響が少ないラメラリン系化合物を見つけ出したい」と話している。

■別の化合物に応用期待 北泰行・大阪大大学院教授(分子合成化学)の話
「ラメラリンα20−サルフェート」は、各国の製薬会社で開発中のHIVインテグラーゼ阻害剤と基本的な分子構造が異なり、新しい治療薬開発に向けて有望な物質だ。
人工合成法が確立されたことで、天然物質に比べて大量に確保できるようになる上、抗がん作用など別の効用があるラメラリン系化合物の合成にも応用が期待できる。今後は大量生産し、臨床試験を繰り返して副作用などの問題をクリアすることが不可欠だ。

▽エイズ治療薬
人間の免疫細胞に感染して免疫力を著しく低下させ、感染症や悪性腫瘍(しゅよう)を引き起こすヒト免疫不全ウイルス(エイズウイルス、HIV)の増殖を抑える薬。厚生労働省によると、現在、国内で使われている治療薬は約30品目。耐性ウイルスの出現を防ぐため、複数の薬剤を組み合わせて使う「多剤併用療法」が一般的。
HIVは細胞に感染後、逆転写酵素、インテグラーゼ、プロテアーゼという3種類の酵素を放出。細胞分裂を利用して増殖し、1種類でも欠ければ増殖できなくなる。現在の治療薬は逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤の2種類に大別され、インテグラーゼの働きを阻害する薬剤は実用化されておらず、世界各国で研究開発が進められている。(西日本新聞 2006/01/05)

南アフリカで同性愛男性による献血が禁止
【ヨハネスブルク12日ロイター】南アフリカの献血団体が、HIV感染のリスクが高いとの理由から同性愛男性による献血を禁止、同性愛活動家からの反発を招いている。
献血団体SANBSのクルックス博士は、通信社サパに対し、過去5年間に他の男性と性的交渉を持った男性は、コンドーム装着の有無にかかわらず、献血を許されないと語った。
これに対し、南アフリカの同性愛者人権擁護団体は、献血希望者はその性的指向ではなく、性交渉の際にコンドームを装着したかどうかで審査されるべきだと主張、クルックス博士のコメントは同性愛者に対する差別だとして博士を告訴する可能性も示した。
クルックス博士は、同献血団体の方針について、同性愛者の男性は異性愛者の男性に比べてHIV感染率が高いとする国際的研究に基づいたものだ、と説明している。
南アフリカのHIV感染者数は500万人超で世界最多。(ロイター通信 2006/01/13)

抗HIV遺伝子に弱点 西ナイルに感染しやすい?
【ワシントン18日共同】エイズウイルス(HIV)に感染しにくい遺伝子変異を持っている人は、蚊が媒介する西ナイルウイルスには通常人よりも感染しやすい恐れがあることを米国立衛生研究所のチームが突き止め、米医学誌ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(電子版)に17日発表した。
この遺伝子変異があると、HIVが感染の際に標的とするタンパク質の1つ「CCR5」が全く作られなくなる。
北米の白人の約1%がこの変異を持っていて、変異による不都合も特に見つかっていなかったため、CCR5の機能を妨げるタイプのHIV治療薬の開発が進められてきた。研究チームは「この種の薬を使う人は、西ナイル感染の危険を減らすため、蚊に刺されないよう注意した方がいいかもしれない」と話している。
チームが、CCR5を持たない変異マウスに西ナイルウイルスを感染させたところ、脳炎など症状の進行が速く、死ぬ率も高いことが分かった。(共同通信 2006/01/18)

薬害エイズ:治療発達でも200人死亡 目立つ肝疾患
薬害エイズ事件で、国や製薬企業を相手取って訴訟を起こした原告のうち、医療技術の発達でエイズが「死の病」ではなくなった最近10年間で200人を超える人が死亡したことが、薬害エイズ被害者の支援組織「はばたき福祉事業団」(東京都)の調査で分かった。事業団は、非加熱の血液製剤でエイズウイルス(HIV)に感染した9割以上がC型肝炎ウイルス(HCV)にも重複感染し、エイズではなく肝がんなどの肝疾患で死亡するケースが急増しているとみている。【玉木達也】

◇和解10年…支援組織が検証へ
事業団は今月中にも死亡者について調査検討会を設置し、死因や治療実績などの検証作業に乗り出す。
事件の風化が危惧(きぐ)される中、今年3月には国などが責任を認めて事件の和解が成立し10年を迎える。事業団は、検証作業を通じ、被害者救済を約束した国の対策に問題がないかどうかを追及する。
事業団によると、1月19日現在、全原告1371人のうち、43%の586人が死亡。特に抗HIV薬を複数投与する「カクテル療法」などの治療が発達し、エイズが「死の病」でなくなった96年以降、05年までの10年間に全死亡者の35%を占める207人が死亡していた。
最近の死因で目立つのはエイズではなく、HCV感染による肝疾患。事業団が東京HIV訴訟の原告に限って調査したところ、03年は死亡者9人中7人、04年9人中5人、05年10人中9人がHCVによる肝疾患が原因で死亡。96〜05年の10年間でみても死亡した119人の4割近い44人が同じ原因で死亡していた。
HIVとHCVの重複感染は肝炎の進行を早めるため、早期のHCVに対する抗ウイルス治療が必要とされる。しかし、すべての医療現場で適切な対応がされているかは疑問で、事業団などは厚生労働省に指導を要請。同省は1月16日付で、都道府県の担当課を通じ、エイズ治療拠点病院に対して重複感染者に適切な治療をするよう通知を出したばかり。
事業団では和解10年を節目と位置づけ、近く調査検討会を正式に発足させる。具体的には、遺族の同意を得て死亡者のカルテ開示などを行い、死因や適切な治療が行われたのかを医療の専門家とともに分析する。
事業団理事長で被害者でもある大平勝美さん(56)は「亡くなった薬害被害者がこのままでは科学的な検証もなく闇に葬られてしまう。悲劇を繰り返さないためにも検証し、問題点が分かれば、国に改善を求めていきたい」と話している。(毎日新聞 2006/02/06)

HIV治療、患者ごと「よく効く薬」 感染研など検査法
エイズウイルス(HIV)に感染した1人ひとりに、どの薬が効くか、2週間程度で判定できる検査法を、国立感染症研究所や国立国際医療センターなどの研究チームが開発した。国内でもHIV感染者とエイズ患者は計1万人を突破したが、近年は特定の薬の効かない耐性ウイルスが問題になり、治療に当たって適切な薬を選ぶことが重要になっている。
HIVの治療では、数種類の薬剤を同時に服用する「多剤併用療法」が一般的だ。国内では20種程度の薬から3、4種を選んでいるが、特定の薬が効かないHIVも現れて、治療効果の低下が懸念されている。薬の効果は個人や治療時期によっても異なる。
新たな検査法は、血液から取り出したHIVを使いたい薬と一緒に特殊な培養細胞に入れて、増え方を調べる。増殖の目印となる酵素の量で、薬の効果の有無や効き具合が最短2週間で判定できるという。共同開発した三菱化学ビーシーエルが4月から判定を請け負う。これまでの検査では結果が出るまでに2〜3カ月かかっていた。(朝日新聞 2006/02/07)

エイズウイルスの種類次第で予後は異なる
エイズ(後天性免疫不全症候群)にもかかっても、早く死亡する患者と、そうでない患者がいる。その違いは、エイズウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)のうち、どのタイプのウイルスに感染したかによることがわかったと、米国とウガンダの共同研究チームが2006年2月、コロラド州デンバーで開かれた会議、「レトロウイルスと日和見感染」で報告した。
それによると、エイズの怖さはは患者の血液内で検出されるエイズウイルスの量でなく、感染したウイルスの種類によって決まるという。エイズウイルスは9種類に分けられ、「それぞれ、クレード(clade )A、クレ−ドB・・・」などと呼ばれている。
これらのエイズウイルスの種類は、ほぼ世界のエイズ地域に対応しており、この研究が行われたウガンダでは、主にクレードAとクレードDが流行し、ボツワナ、南アフリカ、インド、中国の一部ではクレードC、アメリカやヨ−ロッパでは、主にクレードBが流行っている。
実際には、クレードDのエイズウイルスに感染した患者は、クレードAの患者より早く死亡しているということがわかったという。(日経ヘルス 2006/02/22)

HIV感染者・エイズ発症患者、過去最多の1199人
厚生労働省のエイズ動向委員会は28日、昨年1年間にエイズウイルス(HIV)に感染した人と、エイズを発症した患者の合計数が前年を34人上回り、過去最多の1199人にのぼったと発表した。前年に続き2年連続で1000人の大台を超え、感染者の72%を20、30代が占めた。同委員会は「学校現場などで重点的に予防策を打ち出すべきだ」と指摘している。
委員会のまとめによると、05年のHIV感染者の総数は前年より52人多い832人。このうち日本国籍の人は741人、外国籍は91人。男女比では男性が92%。特に日本人男性の増加が目立ち、前年より73人多い過去最多の709人に達した。
感染経路別では、感染者全体の約9割が性的接触によるもので、内訳は「同性間」が64%、「異性間」は24%だった。(朝日新聞2006/04/28)

HIV感染者、日本人男性で大幅増 同性愛者への啓発活動強化
平成17年に新たに報告された国内のエイズウイルス(HIV)感染者、エイズ発症患者数は昨年より34人増えて1199人となり、2年連続1000人を上回ったことが28日、厚生労働省のエイズ動向委員会の集計で分かった。患者と感染者の累計は1万1036人となった。
発症患者は昨年よりも18人減って367人だったが、平成8年以降増え続けている感染者数は、日本人と日本に住む外国人を合わせて832人と過去最多を記録。日本人の女性が昨年に比べて12人減、外国人の男女も微減なのに対し、日本人男性は前年を73人も上回る709人だった。
厚労省疾病対策課は「特に男性の若い世代で、男性同士の性的接触による感染が増えている」としており、男性同性愛者に対する啓発活動に力を入れる方針だ。
感染者の感染経路をみると、性的接触が88%。このうち日本人女性の性的接触による感染者は6.8%と低いのに対し、男性同士の性的接触は63.6%に上った。
推定される感染地域は、全体の82.8%が国内感染。推定感染地域のトップ3は東京都、大阪府、愛知県だった。
厚労省はすでに、状況悪化が著しい自治体を対象に、感染経路の分析や夜間・休日検査の導入などを重点的に支援する対策に乗り出している。(産経新聞2006/04/28)

タカラバイオ、HIVの消滅実験に成功
タカラバイオは16日までに、特定の酵素を発生させる遺伝子の仕組みを導入したヒトのT細胞に対し、エイズウイルス(HIV)を感染させたところ、2−3週間後にHIVがほぼ完全に消滅したという実験結果を発表した。同社の韓国関連会社とソウル大学分子生物学研究所、米ニュージャージー医科歯科大学との共同研究によるもの。
詳細を8月24日から同26日まで行われる日本遺伝子治療学会で報告する。実用化すれば、HIVを完治する治療法としては世界初になるという。
同社によると、HIV増殖には、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)が必要だが、大腸菌の一種のRNA干渉酵素(MazF)と呼ばれる酵素は、このmRNAそのものを破壊する作用を持つ。同社などは、このMazFを発生させる仕組みをヒトのT細胞に施したところ、HIVの消滅を確認した。(ZAKZAK 2006/05/16)

切断酵素でHIV消滅 細胞実験、実用化には課題
エイズウイルス(HIV)の増殖に必要なリボ核酸(RNA)を切断する酵素を使い、感染した細胞中のウイルスを消滅させ、細胞死を誘導したとの実験結果をタカラバイオ(大津市)が16日までにまとめた。
この酵素はウイルスや感染細胞以外のRNAも切断するため、生体内で特定の標的だけを狙う方法など実用化には課題があり、同社は今後、動物実験を進める。
同社は、特定の塩基配列を認識しRNAを切断する酵素を見つけたとして研究を進めており、そのうちの1つ、大腸菌の毒素タンパク質「MazF」で実験した。
HIVが感染しやすいT細胞という免疫細胞に、このタンパク質の遺伝子を組み込み、感染するとタンパク質ができるようにした。これにウイルスを感染させると2−3週間後にウイルスと細胞はなくなった。増殖過程のメッセンジャーRNAを切断しているという。
研究結果は8月に東京で開かれる日本遺伝子治療学会で発表する。(共同通信 2006/05/16)

東京都内、HIV感染最多 昨年417人
1日1.14人。東京都内でエイズがじわじわと増えている。昨年1年間にエイズウイルス(HIV)に感染した人と、エイズを発症した患者の合計数は、過去最多の417人。15年前に比べて8倍に増えた。一方、感染の有無を調べる検査の受診者数は、伸び悩みぎみ。危機感を抱く都は、今年から始まった「検査普及週間」(1〜7日)に合わせ、啓発に力を入れる。
「感染者は、実際には報告数の4〜5倍はいる。エイズ患者が増え続けているのは先進国では日本だけ。爆発的な流行につながるおそれがある」
新宿駅南口にある都南新宿検査・相談室で、10年近く検査に携わる医師の山口剛氏(73)は指摘する。
都内で検査を受け、感染や発症が明らかになった人は年々増え続け、90年の51人から昨年は417人になった。すでに感染が分かっている人も加えると計3938人で、全国の感染者の累計約1万1000人の4割になる。
一方、検査そのものの受診者数は、社会問題化した92年に3万1000人以上だったのが、昨年は2万2000人。休日に検査をしたり、即日で結果が分かる検査も実施したりするなど様々な工夫が奏功し、ここ数年、増加傾向にはある。ただ、「手は尽くし、頭打ちになりつつある」と都の担当者は懸念する。
HIVの増殖を抑える薬物治療の進歩で、エイズは致死的な病気ではなくなった。それだけに早期発見が重要だが、山口氏は「安心してしまっているのか、関心は薄れている」と嘆く。
昨年、新たに感染が分かった人の9割は日本人男性。6割が外国人だった92年から状況は大きく変わった。感染源は同性間の性的接触が目立つ。
年齢別では20代、30代が72%を占め、HIV感染の危険性が高まるクラミジアなどの性感染症の若者が増えていることも懸念材料だ。
一方、全国では昨年1年間にHIV感染832人、エイズ患者367人が新たに報告された。合わせて過去最高の1199人となり、2年連続で1000人の大台を超えた。(朝日新聞 2006/06/03)

HIV:耐性HIVに新薬 日米チーム開発、米で承認
【ワシントン共同】既存の薬が効かない多剤耐性エイズウイルス(HIV)にも高い効果を示す抗HIV薬を、熊本大の満屋裕明教授や米パデュー大(インディアナ州)のアラン・ゴーシュ教授ら日米共同チームが開発し、14日までに米食品医薬品局(FDA)が治療薬として承認した。先進国、発展途上国ともに深刻な脅威となっている耐性HIVへの幅広い効果が確認された薬は世界で初めて。別の薬の3倍以上の効果があるなど患者には大きな朗報で、専門家らはこの薬が今後、エイズ治療の主役になる可能性があるとみている。臨床試験の成績などは、カナダで13日から始まった国際エイズ会議で発表される。
ダルナビルと呼ばれるこの薬は、エイズ治療に広く使われているプロテアーゼ阻害剤(PI)の一種。ゴーシュ教授が合成し、満屋教授が生体内での効果を確認、臨床試験へと進めた。
プロテアーゼはHIVに含まれる酵素で、HIVの増殖に必要なたんぱく質を正しく切断する「はさみ」の役割を果たす。PIは酵素に付着してはさみを切れなくし、HIVの増殖を止める。
既存のPIは、酵素の成分であるアミノ酸の端に結合する性質があり、HIVの遺伝子が変異してアミノ酸が変わると効かなくなってしまう弱点があった。これに対しダルナビルは、アミノ酸が変わっても影響ない場所に結合するため耐性ができにくい。PIなどに耐性が検出された患者への臨床試験では約70%に治療効果がみられ、別の薬の3倍以上高かった。
FDAは患者への恩恵が大きいとして約半年でスピード承認した。薬はベルギーのティボテック社が製品化した。満屋教授は世界初の抗HIV薬「AZT」の開発者。その後2剤を世に送り出し、これが4剤目となる。(毎日新聞 2006/08/15)

イラン保健・医療教育相が、イランで開発されたHIV進行抑制薬について語りました。
イラン保健・医療教育省のランキャラーニー大臣が、「イランで開発されたHIVの進行抑制薬は、服用後2年間、その効果が持続することが、これまでの研究で証明された」と語りました。
ランキャラーニー大臣は、11日月曜、イラン中部のエスファハーンで開催されている、WHO世界保健機関の会議の傍らで、「イランで開発されたHIVの進行抑制薬は、植物から作られているという点で、外国製品とは異なっている」と語りました。
また、「これまでの薬の効力は、服用している間に限られていたが、今回イランで開発された薬は、服用後もしばらく効き目を発揮することから、非常に重要性を帯びている」としました。(IRIBラジオ 2006/09/11)

エイズ遺伝子治療、HIV減少に成功…米研究チーム
【ワシントン=増満浩志】エイズウイルス(HIV)の増殖を邪魔するウイルスを作り出して患者に注入し、体内のHIVを減らすことに成功したと、米ペンシルベニア大などの研究チームが6日発表した。
初の遺伝子治療の成績で、近く米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。
この治療用ウイルスは、ベンチャー企業「バークシス社」(メリーランド州)が開発した「VRX496」。HIVから病原性につながる遺伝子を除去し、代わりにHIVのたんぱく質合成を邪魔する「アンチセンス」という遺伝子を組み込んである。
チームは、何種類もの抗ウイルス薬治療に失敗した患者5人から、HIVの標的となる免疫細胞「CD4」を取り出し、VRX496を感染させて増やした後、各自の体内に戻した。
その結果、5人中4人は1年後の時点でCD4の数が増えており、このうち3人はHIVが減少した。今回は、VRX496の安全性を確かめるのが目的。さらに、多数の患者を対象に臨床試験に入っている。(読売新聞 2006/11/07)

米エイズ患者、平均で24年間生存 医療費は高額
ジョージア州アトランタ(AP) 米国のエイズウイルス(HIV)感染者は、平均で24年間生存し、その間の医療費は約61万8000ドル(約7230万円)──。そんな調査結果が、米医療誌「メディカル・ケア」で発表された。
米国の大学でエイズを研究する医師たちが、全米18病院の計7000人のHIV感染者のデータを分析した。
1990年代後半の調査では、HIV感染者の平均生存期間は10年程度だった。新薬の開発などで、エイズは死の病から慢性病に変わりつつある。
現在の年間の医療費の平均は、約2万5200ドル(約295万円)で、90年代後半の調査結果より40%近く増えている。物価の上昇に加え、新たに開発された薬品が高額なことが影響していると説明している。(CNN 2006/11/13)

エイズ:2030年の死因予測で3位に──WHO
2030年には世界の死因の3位にエイズが浮上するとの予測を、世界保健機関(WHO)の研究グループが発表した。心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞などの脳血管疾患と続く上位2位は変わらないが、エイズが人類の生存にとって脅威になっていることを改めて示している。分析は28日、米科学誌電子版に掲載された。
研究チームは、感染症による死者は全体に減少し、30年の世界の死者数を7320万人と試算した。このうち、心筋梗塞が13.4%、脳血管疾患が10.6%と続いた。エイズの死者数は02年の280万人から30年には650万人に倍増して8.9%を占める。【田中泰義】(毎日新聞 2006/11/28)

包茎手術でHIV感染率半減、米研究機関が発表
【ジュネーブ=渡辺覚】米厚生省傘下の研究機関、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)によると、男性への包茎手術が、エイズウイルス(HIV)への感染率を半減させる効果があることが分かった。
この研究は、13日にNIAIDが発表したもので、アフリカのケニアとウガンダで、HIVに感染していない成人男性計7780人を対象に実施。被験者の中から一部を無作為に選んで包茎手術を施し、手術を受けなかったグループとの間で、2005年9月以降のHIV感染率を比較した。
その結果、手術を受けたケニアのグループの感染者数は、手術を受けなかったグループの47%にとどまり、ウガンダでも同52%と、エイズ感染率は半分だった。
研究者らによると、包茎の男性器は粘膜質の部分が多いため、HIVへの感染率が高いとみられるという。エイズ対策を進める世界保健機関(WHO)は、研究成果に高い関心を示し、エイズ被害が深刻な開発途上国などに対し、手術の普及や技術支援の拡大を検討する方針を示している。(読売新聞 2006/12/16)

HIV母子感染 陣痛前に帝王切開、抗ウィルス薬投与で防止
エイズウイルス(HIV)に感染した女性が出産する際、陣痛前に帝王切開し抗ウイルス薬投与などの対策を取ると、子供への感染をほぼ完全に防止できていることが、厚生労働省研究班の調査で20日、分かった。母子感染対策の有効性が改めて裏付けられた。
研究班は、平成11年から全国の小児科がある約3300施設にアンケートを送っており、感染者の女性が出産した子供について、これまで回答を得た270人を分析した。
陣痛が起きる前に帝王切開すれば血液を介した感染が防げるとされ、この方法で生まれた197人のうち、母子ともに抗ウイルス薬を投与され、母乳を与えなかったのは140人。うち子供が感染したケースは1人(0.7%)だけだった。この1人は、薬を飲んでいなかった可能性があるという。
この140人を除く130人のうち、40人が感染した。
調査メンバーの尾崎由和大阪医療センター小児科医長は「母子感染はほぼ完璧(かんぺき)に予防できる。そのためにも妊娠中のHIV検査は重要だ」と話している。(産経新聞 2006/12/21)

アフリカ産植物、HIV感染抑制に効果 東北大
世界中でエイズの新薬研究が進む中、東北大大学院医学系研究科の服部俊夫教授(感染症・呼吸器病態学)らの研究グループは、アフリカ原産の植物のエキスにエイズウイルス(HIV)の感染を抑制する「抗HIV活性」があることを確認した。南アフリカでは民間療法としてエイズ治療に用いられており、有効成分を特定して新薬開発の可能性を探る。
東北大が2006年度に着手した「アジア・アフリカプログラム」の一環。服部教授らは薬学研究科、南ア・ベンダ大学の研究者と共同で、エイズや結核など感染症の研究を進めている。
抗HIV活性を確認した植物は、「コンブレタム・モーレ」と「ペルトフォルム・アフリカナム」。コンブレタムは熱帯を中心に草原や湿原で自生し、ペルトフォルムは美しい花を付け、アフリカ各地で生育している。
南アフリカでは以前から、民間療法士らが根から抽出したエキスをエイズ治療薬として処方、現地では効果があるとされていた。
研究グループは、ベンダ大が国内で採取したサンプルを使い、抗HIV活性の有無を調べた。ヒトの細胞株にHIVの入った養液をかけると、通常24時間以内に感染するが、植物エキスを加えた場合はいずれも感染しなかったという。
今後は、エキス中の有効成分の特定と解析、化学構造の解明に力を入れ、抗ウイルス剤の開発を進める。植物の特徴や分布状況、民間療法での使用実態などを詳細に把握するため、3月に現地調査する予定。
南アはエイズの流行が深刻化している国の1つだが、高額な治療薬を利用できる患者は少ないとされる。服部教授は「安価な新薬開発を目指しつつ、現地の民間療法も生かして、エイズの感染拡大を防ぐ方策を共同研究の中で考えたい」と話している。

<エイズ> エイズウイルス(HIV)に感染して発病し、免疫機能が低下する。国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)の2006年末推計によると、HIV感染者数は世界で約3950万人。エイズに起因する死者数も年間約290万人に達した。最も感染者数が多い地域はサハラ砂漠以南のアフリカの約2470万人で、南アフリカが約550万人を占める。(河北新報 2006/12/29)

広告でエイズ増加と提訴 バイアグラで米医療団体
【ロサンゼルス22日共同】米ロサンゼルスの医療団体「エイズ・ヘルスケア財団」は22日、米医薬品大手ファイザーを相手に、同社の性的不能治療薬「バイアグラ」の広告がエイズなど性感染症を拡大させる原因になっているとして、同社に対し広告の停止と賠償などを求める訴訟を、ロサンゼルス郡地裁に起こした。
訴状などによると、ファイザーはバイアグラが性的不能治療を目的とした薬であることを広告で強調していないため、麻薬と混合して性的興奮を高めるなど娯楽目的の使用を誘発し、エイズや性交渉による感染症を増加させていると同財団は主張。AP通信によると、ファイザーは娯楽目的の利用は奨励していないと主張している。
同財団は、エイズ患者に対する無料の治療を実施しており、訴訟では、ファイザーの宣伝によって増えた治療費用の負担金額も賠償するよう同社に求めている。請求金額は未定。(共同通信 2007/01/23)

ヒトエイズへの免疫力を高める薬品、開発に成功 - イラン
【テヘラン/イラン 4日 AFP】イランの科学者らが、人間のエイズ(HIV/AIDS)への免疫力を高める薬草を用いた薬品を開発したことが明らかになった。カムラン・バゲリ・ランキャラニ(Kamran Baqeri Lankarani)保健相が3日、発表した。
報道機関によると同保健相は、「IMODと呼ばれるこの薬はエイズウイルスを抑制し、体の免疫力を高める。ウイルスを殺すのではなく、ほかの抗レトロウイルス薬と併用して使用される。エイズを発症している患者にも、まだ発症していない患者にも効果がある」と語っている。
国営イラン通信(IRNA)によると、この医薬品の開発には5年の研究期間が費やされ、200人に対し治験が行われた。(AFP BB News 2007/02/04)

イランが開発したエイズウイルス抑制薬が、世界を驚かせています。
イランが開発したIMOD(アイモッド)と呼ばれるエイズウイルス抑制薬が、世界の科学界を驚かせています。
アメリカの国立健康研究所の所長が、イラン・メフル通信とのインタビューに応じ、このイラン人研究者らによって世界で初めて開発されたエイズウイルス抑制薬について、エイズウイルスの弱点を発見した同研究所の成果と共に、この薬品を有効なものだとして評価しました。
同所長は、世界がエイズなどの病気に直面しているとき、イラン人学者と世界の医療・科学界の協力が必要となってくる、と強調しました。
さらに、イランによるエイズウイルス抑制薬の開発は、世界にとって喜ばしいニュースであるとし、「イランの研究者らは、それほど遠くない将来、医療の新しい分野に驚くべき進展を与えるだろう」と語りました。(IRIBラジオ 2007/02/24)

大統領にエイズ治療薬の「お告げ」=患者らから賛辞、専門家は懸念−ガンビア
【ワシントン16日時事】米CNNテレビ(電子版)は16日、エイズのまん延に悩むアフリカ西部のガンビアで、ジャメ大統領の夢に先祖が現れて授けたとする治療薬がエイズ患者・エイズウイルス(HIV)感染者に処方されていると報じた。医療専門家らの間では「患者たちに誤った希望を抱かせる」と懸念が広がっている。
ジャメ大統領が夢で告げられた治療薬は、7種のハーブ・香辛料を混ぜ合わせた、どす黒い薬湯。10年前にHIVに感染したことが分かった54歳の男性は、4週間にわたって薬湯を飲み続けた結果、「14キロも体重が増え、自分が別人のようになったと感じる」と証言。「大統領の夢の治療薬」には賛辞が相次いでいる。
しかし、実際に効果があるかどうかは検証不能。医療専門家は、患者が延命効果のある抗レトロウイルス薬による治療をやめて薬湯の服用に走ることを心配している。(時事通信 2007/03/17)

エイズ治療、米でウイルスの細胞侵入防ぐ新薬認可
製薬世界最大手の米ファイザーは新型の抗エイズウイルス(HIV)薬を開発した。細胞内に侵入したHIVを攻撃する既存のエイズ薬と異なり、HIVが細胞に侵入するのを防いで病気の進行を遅らせる新しいタイプのエイズ薬だという。米食品医薬品局(FDA)からこのほど認可を得て、9月中旬からまず米国で発売する。
細胞には外部から侵入する異物を識別するための「鍵穴」に相当する部分があり、HIVはこの鍵を開けて侵入し感染する。新薬は鍵穴をウイルスより先にふさぐことによって感染を防ぐ。ファイザーは販売価格を公表していないが、米国での抗HIV薬の平均価格(1日あたり29ドル)とほぼ同じ水準になる見通しだ。
服用できるのは既存の薬が効かない大人の患者に限られる。(シカゴ=毛利靖子)(日本経済新聞 2007/08/08)

ノーベル賞博士が差別発言「黒人、知能で白人に劣る」
DNAの二重らせん構造を発見し、1962年のノーベル医学・生理学賞を共同受賞した米コールド・スプリング・ハーバー研究所会長のジェームズ・ワトソン博士(79)が「黒人は知能で白人に劣る」と発言し、新著宣伝のため訪問していた英国内で波紋を広げている。
政治、宗教、人種問題をめぐる歯にきぬ着せぬ発言で知られる同博士は、14日付の英日曜紙サンデー・タイムズのインタビューで「アフリカの人々(黒人)の知能はわれわれと同じという前提で社会政策がつくられているが、すべての知能テストがそうではないことを示している」と発言。「今後10年内に遺伝子が人間の知能に差をもたらしていることが発見されるだろう」などと語った。
19日に同博士の講演を予定していたロンドンの科学博物館は17日、「博士の発言は科学的論争の限界を超えている」として講演会の中止を決定した。(ロンドン 木村正人)(産経新聞 2007/10/19)

ノーベル賞学者、黒人差別発言 米英で大きな波紋
【ロンドン=土佐茂生】DNAの二重らせん構造を発見して1962年にノーベル医学生理学賞を受けた米国の分子生物学者ジェームズ・ワトソン博士(79)が英紙とのインタビューで、黒人が人種的に劣っているという趣旨の差別発言をし、大きな波紋を呼んでいる。
同博士は14日付のサンデー・タイムズ紙で「アフリカの将来を悲観している」とし、「社会政策はすべて、彼ら(=黒人)の知性が我々の知性と同じだという前提を基本にしているが、すべての研究でそうなっているわけではない」と語った。さらに「黒人労働者と交渉しなければならない雇用主なら、そうでないことを分かっている」と続けた。
この発言に対して、同博士が所属する米ニューヨーク州のコールド・スプリング・ハーバー研究所の理事会は18日、「遺憾だ。我々は、ワトソン博士の発言につながるような研究は一切行っていない」と厳しく批判。博士を停職とすることを決めた。
ワトソン博士は新著の宣伝活動で英国を訪れていたが、講演のキャンセルが相次いだ。博士は18日、「ただただ謝るのみ。発言は私の本意ではない。もっと大切なことは、発言に科学的な根拠がまったくないことだ」と謝罪し、宣伝活動を中止して帰国した。(朝日新聞 2007/10/20)

超短パルスレーザーでウイルスを粉砕──AIDSや肝炎の治療も可能に?
(WIRED VISION 2007/11/02)

「米国製」エイズウイルス汚染薬がイラク市場に出回る 検査求めた州保険局委員が謎の死
米国企業の商標が付き、エイズ・ウィルスに汚染された薬品がイラク市場に出回っていることが判明した。しかし傀儡イラク政府は何故か、取り締まりに及び腰だという。またこの薬品を購入した州保健局を購買委員が回収汚染薬を政府の検査所に送った直後に、何者かによって殺害されており、謎は深まるばかりだ。12月22日付のアルクドゥス・アルアラビーが報じ他紙が一斉に転載した。...(齊藤力二朗)(日刊べリタ 2008/01/10)

HIV:昨年の感染、初の1000人超 10年で2.6倍、延べ1万人目前
07年に国内で新たにエイズウイルス(HIV)に感染した人は1048人に上り、初めて1000人を超えたことが12日、厚生労働省エイズ動向委員会の集計(速報値)で明らかになった。10年間で約2.6倍になり、延べ感染者数も9392人と08年中に1万人を突破するのが確実になっている。
新規感染者は5年連続の過去最多更新で、うち93%が男性。感染経路は同性間の性的接触が約7割、異性間接触が約2割、不明が約1割。年齢別では30代が全体の4割超、20代が約3割を占めるが、伸び率が高いのは40代で、7年間で61人から192人に増えた。厚労省は「感染が拡大しているのは事実で、今後は薬物注射の乱用なども警戒する必要がある」と分析している。
一方、07年の新規のエイズ患者数は400人で、前年の406人から微減した。厚労省は保健所などでのHIV検査件数が前年より約4万件多い過去最高の21万4347件に達したことを理由に「検査で発症を防げているケースもある」とみている。【清水健二】(毎日新聞 2008/02/13)

雲南省、漢方医によるエイズ治療で効果
中国西南部の雲南省衛生庁は、25日、「雲南省で漢方医によるエイズ治療を2年前から試行しているが、著しい効果が現れている」と発表しました。
去年末までに、雲南省では1800人のエイズ患者が漢方医の治療を受けています。データによりますと、これらの患者のうち、88%の人の病状が改善されたほか、83%が風邪を引きにくくなり、一部の人は労働力を回復しています。
中国国家漢方医薬管理局は、これからも漢方医によるエイズ治療を試行していくとのことです。(翻訳:李軼豪)(中国国際放送局/人民日報 2008/02/26)

「HIVに感染しない突然変異者たち」を応用した遺伝子治療研究
(WIRED VISION 2008/07/02)

HIV感染を防ぐ2つの遺伝子を発見か!? カナダの研究者ら
【7月18日 AFP】エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)の病原体であるエイズウイルス(HIV、ヒト免疫不全ウイルス)への感染を防ぐ、または少なくともエイズの発症を遅らせる可能性のある2つの遺伝子が発見された。カナダ・マクギル大学(McGill University)の研究者らが16日、専門誌に発表した。
この2つの遺伝子の存在は、HIV感染初期の患者と何度もウイルスにさらされながらも感染しなかった人との遺伝子を比較分析することによって明らかになった。HIV感染初期の患者がこの2つの遺伝子を保有する割合はわずか2.7%であるのに対し、感染しなかった人の保有の割合は12.2%だった。
この2つの遺伝子のうちの1つは、体内のウイルスに感染した細胞を殺す、免疫システムのナチュラル・キラー細胞の表面のレセプターを発現させるよう遺伝的にプログラムされており、もう1つの遺伝子は、最初の遺伝子の働きを止め、ナチュラル・キラー細胞の活動を弱めるタンパク質を発現させる役割をもっているという。
詳しい仕組みについてはまだ解明されていないが、つまり、HIVがナチュラル・キラー細胞の活動を弱めるタンパク質の発現を抑制し、その結果、ナチュラル・キラー細胞が活発になってHIVに感染した細胞を破壊するのだという。この一連の作用は感染後すぐに起こるため、この2つの遺伝子をもつ人はより効率的にHIVに感染した細胞を破壊し、エイズを発症する可能性が低くなるとみられている。(AFP 2008/07/18)

ARTでHIV感染者の死亡率40%減少、寿命も長期化
【7月25日 AFP】抗レトロウイルス薬(ART)の導入でHIV感染者の死亡率が約40%減少し、平均寿命が約13年伸びたとする研究結果が25日、英医学誌「ランセット(The Lancet)」に発表された。
抗レトロウイルスは3種類以上の抑制剤を組み合わせて用いる療法で、1996年から導入された。HIVを完治させることはできない。
今回の研究は、ARTの効果に対する検証としては最大規模のもので、カナダのサイモンフレーザー大学(Simon Fraser University)のロバート・ホッグ(Robert Hogg)教授が主導。1996年から2005年にかけて、3段階にわけて欧州、カナダ、米国のHIV感染者3万3000人以上を対象に実施した14の検証例を報告した。
これによると、検証開始時には36.1歳だった感染者の平均寿命が、終了時には49.4歳までに伸びたという。また、以前は死に至る病だったHIV感染が、抗レトロウイルスの開発により長期慢性疾患の一種となったと評価している。
このほか、感染後の早い段階で抗レトロウイルスを処方され、CD4陽性T細胞の数値が高いほど、寿命が延びると指摘している。(AFP 2008/07/25)

黒人のエイズ患者数、アフリカ並みに深刻と 米国
ロサンゼルス(CNN) 米国におけるエイズ患者ならびにエイズウイルス(HIV)感染者数を、黒人だけに注目すると、世界でも最も被害が大きいアフリカ並みに深刻な現状が浮かび上がった。調査結果を31日までにまとめた黒人エイズ協会はこの現状を広く知らしめるとともに、世界各国のエイズ対策へ支援する政府に対して、国内にも目を向けるべきだと訴えている。
黒人エイズ協会は国連合同エイズ計画(UNAIDS)や米疾病対策センター(CDC)、米国勢調査の結果などを基に黒人のエイズ患者ならびHIV感染者数について、独自に分析。
その結果、米国におけるエイズ患者とHIV感染者、約100万人のうち、半数が黒人だと判明した。
米国の人口のうち、黒人が占める割合は8人に1人だが、エイズ患者とHIV感染者の2人に1人が黒人となる。
また、首都ワシントンでは人口の5%がエイズ患者ならびにHIV感染者で、これはウガンダや南アフリカに匹敵。患者の80%が黒人であることも判明した。
さらに、もしも米国の黒人だけでひとつの国を作れば、エイズ患者ならびにHIV感染者の数は、アフリカでもエイズ被害が深刻なエチオピア(推定患者数42万人)を上回り、コートジボワール(同75万人)を少し下回るという。
エチオピアとコートジボワールは、いずれも米国が重点的にエイズ対策を支援するアフリカの15カ国に含まれている。米国はこの15カ国に対し、過去5年間で150億ドルの支援を行っている。
しかし、米国内のエイズ感染拡大防止に向けた2009年度予算は、2008年と同額の8億9200万ドルと小規模だという。
黒人エイズ協会は、25─34歳の黒人女性の最大死因がエイズであることからも、米国内における感染拡大防止、ならびに患者への支援対策が急務だとして、国内の現状を直視するよう訴えている。(CNN 2008/07/30)

新たなHIV感染、同性愛男性と黒人の割合高いと CDC
ジョージア州アトランタ(CNN) 米国で2006年、新たにエイズウイルス(HIV)に感染した人は約5万6300人と、当初の推定より40%も多かったことが、米疾病対策センター(CDC)が15日までに発表した調査結果で明らかになった。特に、同性愛とバイセクシュアルの男性、黒人の割合が高くなっている。
CDCによると新たなHIV感染者のうち、同性愛男性ならびに、男性とも女性とも性交渉を持つバイセクシュアルの男性が2万8730人と、全体の53%を占めた。これらの男性を人種別に見ると、黒人では13─29歳と若い層で、白人では30─40代の層で感染した割合が高かった。
また、新たなHIV感染者を男女別、人種別で区分すると、人口10万人あたりの感染者数は黒人男性が最も高く115.3人だった。男性ではヒスパニック系が43.1人と、白人の19.6人の倍以上だった。女性では黒人の55.7人がずば抜けて高く、ヒスパニック系の14.4人、白人の3.8人を大きく上回った。
全体で見ると、黒人の割合が46%と過半数近くだった。米国の人口のうち黒人が占める割合は12%であることから、黒人の感染率が高いことが判明した。
CDCではこれらの調査結果から、HIV感染に対する教育の継続性が必要であると指摘し、新たな感染者の傾向から効果的な対策を見出す必要があるとしている。(CNN 2008/09/15)

チップ埋め込んでHIV感染者を監視、インドネシアで窮余の条例案
【ジャカルタ=佐藤浅伸】エイズウイルス(HIV)感染者の皮膚にマイクロチップを埋め込み、信号を受信して性行動を監視する──。
インドネシア東端パプア州で、異例の条例案が可決される見通しが強まっている。
感染拡大に歯止めをかけるための窮余の策だが、民間活動団体(NGO)などから「人権侵害だ」と強い批判が出ている。
条例案によると、「性的に活動的」な感染者・患者が対象で、故意に他人を感染させた場合、最高で禁固6月か罰金5000万ルピア(約40万円)が科せられる。また、全州民にHIV検査を義務付けている。
パプア州は独立紛争が続いたことから外国人の立ち入りが制限され、情報面で立ち遅れた。エイズ教育も普及しておらず、感染者・患者数は累計で約4300人に上り、ジャカルタ特別州と並んでずば抜けて多い。
現地からの報道によると、法案は近く可決され、年内にも施行される可能性が高いが、エイズ問題に取り組む地元NGOなどは「感染者は同じ人間であり、動物ではない。予防のための最善の方法は教育の普及とコンドームの使用の徹底だ」と反発している。(読売新聞 2008/12/01)

膣に塗布する殺菌剤、エイズ感染予防に一定の効果
【2月10日 AFP】米国立衛生研究所(US National Institutes of Health、NIH)は9日、膣に塗布するジェル状の殺菌剤が、女性のHIVウイルス感染予防に一定の効果があることが臨床試験で確認されたと発表した。
この製品は米マサチューセッツ(Massachusetts)州レキシントン(Lexington)に本社を置くインデブス製薬(Indevus Pharmaceuticals)が開発した殺菌薬「PRO 2000」。
アフリカの6都市、米国の1都市の女性3099人に行った初めての大規模な臨床試験で、殺菌剤を膣か直腸に塗布すると、男性から女性へのHIVウイルスの感染に対し30%の予防効果があることが初めて示された。また、安全性も確認されたという。
この報告は、カナダ・モントリオール(Montreal)で開催された「レトロウイルスと日和見感染症に関する会議(Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections)」で発表された。(AFP 2009/02/10)

歯周病:菌の作る酪酸がHIV活性化…発症の恐れ
歯周病の病原菌が作り出す酪酸が、潜伏しているエイズウイルス(HIV)を活性化させエイズを発症させる恐れのあることを、日本大学の落合邦康教授=口腔(こうくう)細菌学=らが突き止めた。米国の医学系専門誌に3月に掲載されるという。【斎藤広子】

白血球の中の免疫細胞に潜伏しているHIVは、酵素の一種「ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)」によって増殖を抑えられている。HDACの働きが妨げられると、ウイルスが活性化し、発症につながることがわかってきた。
一方、歯周病菌は増殖の過程で酪酸を大量に作り出す。歯周病患者の歯と歯肉の間の溝からは、健康な人の約20〜30倍の酪酸が検出される。落合教授と名古屋市立大学の岡本尚教授(細胞分子生物学)らは、酪酸がHDACの働きを妨げることに注目。HIVが潜伏している免疫細胞に、酪酸を含んだ歯周病菌の培養液を加えたところ、ウイルスが急激に増殖することを実験で確認した。
歯周病は軽度から重度まで含めると、25歳以上の国民の8割以上がかかっているとされる。落合教授は「HIVの感染に気づいていない人が、歯周病をきっかけに発症する恐れがある。今後はマウス実験や疫学調査で実態を解明したい」と話す。
国立感染症研究所の泉福英信氏(口腔細菌感染症学)の話 最近、歯周病が糖尿病や心臓疾患にかかわっていることが報告されている。今回の結果は歯周病がHIVなどのウイルス感染症にも影響をおよぼすことを示している。口の中を清潔に保つことの大切さが、再認識されるきっかけになるだろう。(毎日新聞 2009/02/11)

免疫逃れる変異HIV広がる 熊本大など調査
人の免疫システムを逃れるように変異したエイズウイルス(HIV)が世界中で広がっているとの調査結果を、熊本大などの国際研究チームがまとめ、英科学誌ネイチャー電子版に26日付で発表した。
ワクチン開発の在り方に影響を与える内容。
熊本大の滝口雅文教授は「変異ウイルスの存在は知られていたが、世界中で蓄積されていることがはっきりした。現在のワクチンは、かつて流行した古いウイルスを使っているが、新しいウイルスでワクチン開発を進めるべきだ」としている。
チームは、日本や英国、南アフリカなど8カ国、2800人余りの感染者を調査。免疫の働きにかかわるヒト白血球抗原(HLA)に注目して調べると、遺伝的に特定のタイプのHLAを持つ感染者の96%に変異ウイルスが見つかった。
そうしたHLAをもともと持たない患者の29%からも、変異ウイルスが発見された。人から人へ感染が繰り返される間に、変異ウイルスが広がったとみられるという。(共同通信 2009/02/26)

免疫耐性エイズウイルスが広がる、感染者調査で確認
遺伝子変異で人間の免疫が効きにくいエイズウイルス(HIV)が広がっていることが、熊本大などの国際チームによる8か国2000人の感染者調査で確認された。
ワクチン開発戦略の見直しを迫る内容。26日付の英科学誌ネイチャーに掲載される。
HIVが体内に入ると、細胞内で増殖を繰り返し、エイズが発症する。体内の免疫細胞は、感染した細胞内で、ヒト白血球抗原(HLA)と呼ばれる特殊なたんぱく質と結合したHIVを攻撃するが、ウイルス内のある遺伝子に変異が生じると、免疫細胞が攻撃できなくなる。
研究チームはまず、特定のHLAが先天的にある感染者に注目。その細胞内の変異ウイルスを調べたところ、全体の96%から検出された。変異ウイルスがなぜ発生したかは不明だが、HLAのない感染者の29%からも検出された。HLAがある感染者の体内で変異ウイルスが増え、それが性感染などを通じ、HLAのない感染者に広がったらしい。(読売新聞 2009/02/26)

チンパンジーもエイズ発症か=タンザニアで9年間調査−国際チーム
【ヒューストン時事】ヒトの免疫不全ウイルス(HIV)は、アフリカのサル免疫不全ウイルス(SIV)がチンパンジーを経由してヒトにうつったものだが、これまでサルやチンパンジーはエイズを発症しないと考えられてきた。しかし、タンザニアのゴンベ国立公園に生息するチンパンジーの群れでは、SIVに感染した個体が、エイズに似た症状で死んでいることが分かった。
エイズ起源研究で知られるベアトリス・ハーン米アラバマ大教授を中心とする国際研究チームが、過去9年間に94匹を調査した結果を29日までに英科学誌ネイチャーに発表した。
エイズ発症が他地域でも確認され、確実となれば、アフリカの中・東部にはSIVに感染したチンパンジーが多いため、保護策の強化が必要となる。一方で、チンパンジーはヒトに最も近いため、チンパンジーのエイズ研究が新たな治療薬や予防措置の開発に役立つ可能性があるという。(時事通信 2009/07/30)

新型エイズウイルスのヒト感染を確認、起源はゴリラか
(CNN) ゴリラが起源と見られる新型エイズウイルス(HIV)のヒト感染を確認したと、仏英の研究者が2日、米科学誌ネイチャー・メディシン(電子版)に発表した。感染者は62歳女性で、過去にゴリラや猿などとの接触歴がなく、ヒトから感染した可能性が高いとしている。
これまでに確認されている3タイプのHIVはいずれもチンパンジー起源とされており、ゴリラ起源HIVのヒト感染確認は初めて。
感染女性はアフリカ中央部カメルーンの首都ヤウンデ近郊に在住後、パリへ移住。2004年にHIV感染が確認されていた。この女性が保有していたHIVが、霊長類を宿主とするサル免疫不全ウイルス(SIV)に非常に近いことが判明したという。
この女性は現在エイズを発症しておらず、特別な治療も受けていない。また、カメルーン在住時にはゴリラや猿と接触した経験がないだけではなく、野生動物の肉を食べたこともないため、新しいHIVの感染経路について不明だとしている。(CNN 2009/08/04)

エイズ:混合ワクチンが予防に効果 治験で感染3割減
【パリ福原直樹】米国とタイが実施したエイズワクチンの臨床試験(治験)結果が20日、パリで開かれているエイズワクチン会議で発表され、ワクチンの使用で感染が約3割減る可能性が示された。研究チームは「エイズの予防に効果がある可能性が証明された」と話している。
会見によると、治験には18〜30歳の男女約1万6000人が参加。全体を2つの集団に分け、半数に仏製と米製の2種類の混合ワクチンを、残りの半数に無害な偽ワクチンを接種、通常の生活をしてもらった。3年間の追跡調査の結果、偽ワクチンを接種した集団は74人がエイズウイルスに感染した。一方、ワクチンを接種した集団の感染者は51人で、感染率が約31%低かった。
研究チームによると、2種類のワクチンは混合しないと効果がない。研究者らは「科学的に大きな成果だが、実用化にはまだ程遠い段階だ」としている。

◇今後の治験に弾み

山本直樹・国立感染症研究所エイズ研究センター長の話 3割の差はそれほど大きいとは言えないが、エイズワクチンの有効性を示す結果が出たのは初めてだ。今後の治験に弾みがつくだろう。しかし、今回のワクチンでは血中のウイルス量が下がったという結果は出ていない。なぜ効果が出たのかよく分からない部分もあり、さらに研究を進める必要がある。(毎日新聞 2009/10/21)

はり治療で肝炎やHIV感染の恐れも、専門家が警告
【香港19日ロイター】はり治療での汚染されたはりや綿棒、タオル、温熱パックのカバーなどの使用により、細菌のみならずB型やC型肝炎ウイルス、HIVにも感染している恐れがあると専門家が19日に警告した。
香港大の微生物学者、パトリック・ウー教授らのチームは、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された論文で、世界中で報告されているはり治療関連の病気感染例は氷山の一角と指摘し、防止策の厳格化を訴えた。
また、時間がたってからはりを刺した個所に大きな腫瘍や潰ようを生じるマイコバクテリア感染症もこれまでに50例以上出ているとした。(ロイター通信 2010/03/19)

変異HIVに有効な抗体発見 ワクチン開発前進か
【ワシントン共同】さまざまなタイプのエイズウイルス(HIV)の感染や増殖を防ぐ「中和抗体」を見つけたと、米国立衛生研究所などの研究チームが米科学誌サイエンス(電子版)に8日、発表した。研究チームは「(まだ実用化されていない)エイズワクチンの開発を加速させることになるだろう」としている。
HIVは遺伝子が非常に変異しやすいため、患者自身の免疫機能によって感染を防ぐ中和抗体を作ることができても、すぐに効かなくなる問題がある。
研究チームはHIVに感染したが発症していない60歳の男性の血液から、さまざまな変異ウイルスに有効な2種類の中和抗体を発見。報告されている変異ウイルスのうち約90%に結合し、無力化することを確認した。
構造を分析した結果、この中和抗体は、どの変異ウイルスにも共通する部分に結合することが分かったという。(共同通信 2010/07/09)

HIV1型に効く抗体を発見=米研究チーム、予防薬開発に応用
【ニューヨーク時事】米国立アレルギー感染症研究所を中心とする研究グループは、エイズウイルスの主流であるHIV1型を劇的に無力化する抗体を発見したと発表した。HIVウイルスは変異しやすいが、8日付の米科学誌サイエンス(電子版)に掲載された報告によると、今回特定された抗体はHIV1型の変異株の9割以上を無力化する。将来は、ワクチンや予防薬などへの応用が期待できるという。
研究グループは、エイズ感染者から提供を受けた血清を徹底的に調査。その中から、3種類の抗体とそれを産み出す細胞を特定することに成功した。(時事通信 2010/07/09)

エイズ治療薬含むゼリー、感染防止の効果確認
(CNN) エイズ治療薬を含んだゼリーを女性が性交時に使えばHIV(エイズウイルス)感染防止効果が期待できるという研究結果が、オーストリアの首都ウィーンで開かれた国際エイズ会議で発表された。
南アフリカのエイズ研究所CAPRISAは、ウイルスの増殖を防ぐ抗レトロウイルス薬テノフォビルを含んだゼリーを開発。このゼリーは性交前と後の12時間以内に女性器に塗って使用する。研究チームはHIVに感染していない同国の18歳から40歳の女性900人を対象に、テノフォビル入りのゼリーを使ったグループと偽薬を使ったグループを比較して、効果や安全性を検証した。
2年半にわたる調査の結果、HIV感染を1年後で50%、30カ月後で39%減らせる効果があったという。特に、ゼリーを毎回使った女性の感染は54%減少した。さらに、性器ヘルペスの感染も51%の減少が確認された。
抗レトロウイルスを使った薬剤の本格的な研究結果が発表されるのは初めて。まだ実用化の段階には至っていないが、ある専門家は「世界の女性のHIV感染防止を支援する新たな手段が近いうちに登場するかもしれない」と評価している。(CNN 2010/07/20)

医師がグアテマラで故意の梅毒感染実験 米政府が謝罪
ワシントン(CNN) 米政府は10月1日、米国の医師が中米グアテマラで1946〜48年、性産業従事の女性、刑務所の受刑者や精神病院の患者らを対象に新薬の効果を確認する目的で故意に梅毒感染の実験を行っていた事実を明らかにし、同国政府に謝罪を表明した。
クリントン国務、セベリウス厚生両長官が共同声明で非を認め、オバマ大統領もコロン・グアテマラ大統領に電話をかけて謝罪した。共同声明は、過去に起きたことを深く悔い、この種のおぞましい研究実験に巻き込まれたグアテマラの人々に謝罪するとしている。
コロン大統領はグアテマラ市でCNNスペイン語放送の会見に応じ、64年前に起きたことだが、重大な人権違反であると語った。クリントン長官からも9月30日に電話をもらい、謝罪を受けたという。グアテマラ大統領府の報道官は、実験は認められないが、同長官の謝罪を受け入れると述べた。コロン大統領は法的措置を取るのかどうかは調査委員会の判断に委ねる考えを示した。
実験は当時、新しく製造された抗生物質ペニシリンの治療効果などを調べるのが目的で、淋(りん)病も対象となった。故意に感染させられたのは1600人以上で兵士も含まれた。梅毒感染にさらされたのが696人、淋病が772人などとなっている。
グアテマラでの実験の事実は米国の大学教授が公文書を調べていて判明したもので、未公表となっていた実験に関するメモが決め手となったという。教授は、米アラバマ州タスキーギーで1932〜72年に実施されていた貧しいアフリカ系(黒人)約400人を対象にした梅毒の実験を調査中に、メモを見付けていた。この実験では故意の感染は実施していなかったが、梅毒を患っていた400人に治療を施さず、症状を悪化させて観察していた。梅毒感染の事実も被験者に伝えていなかったという。
グアテマラ、アラバマ州での両実験はいずれも米公衆衛生当局所属の医師によって行われていた。この医師は2003年に死亡している。実験の場所としてグアテマラが選ばれた背景には、売春が当時合法で、刑務所受刑者が売春婦を獄内に呼ぶことを許可されていた事情などがあるという。
実験に必要な資金は米国立衛生研究所が提供していたとみられる。同研究所の責任者は記者会見で、グアテマラでの実験は被験者に目的を説明せず実施するなど基本的な倫理違反を犯していると指摘した。米政府当局者は、現在の医学倫理規定はこの種の実験を認めておらず、再発は有り得ないと述べている。(CNN 2010/10/02)

HIV感染の独男性、幹細胞移植で「完治」の研究報告
(CNN) HIV(エイズウイルス)に感染したドイツ人男性に対する幹細胞移植治療が成功し、完治したとみられるとの研究結果を、独シャリテー大学病院の医師らが発表した。ただしこの方法には大きな危険が伴うため、現実的な治療法として採用される可能性は低いとされる。
血液学専門誌の最新号に発表された研究によると、この男性はHIV感染とともに急性骨髄性白血病の診断も受けていた。放射線や化学療法で本人の免疫機能を完全に停止させうえで、2007年2月に幹細胞移植を行い、この時点で抗HIV薬の投与は中止した。
08年3月に白血病が再発したため、同様の手順で幹細胞移植が繰り返された。抗HIV薬を中止して3年半が経過した今年夏の時点で、白血病もHIV感染も再発の兆候はみられず、免疫機能も正常に働いていた。医師らは「HIV感染は完治した」と結論付けている。
このケースで治療が可能だったのは、幹細胞の提供者が、HIV感染への耐性を示す変異遺伝子を持っていたためだ。これは白人の1%にみられ、黒人には例のないまれな遺伝子とされる。
専門家らによれば、事前に免疫機能を停止させる処置には非常に大きな危険が伴ううえ、幹細胞移植自体やその後の拒絶反応で死亡したり苦しんだりする恐れがある。また、この治療には数十万ドルに上る巨額の費用がかかる。
エイズ研究の進歩に伴い、HIV感染と診断されても、適切な治療を受ければ通常の寿命を全うすることが十分可能な時代となった。危険を冒して移植治療を適用するのは白血病などを併発した患者に限られるというのが、専門家らの見解だ。その場合も、患者と適合する提供者を見つけるのは難しく、さらにその提供者がHIV耐性を持つ確率は非常に低い。報告された男性の例は、ごく幸運なケースだったと考えられる。(CNN 2010/12/15)

エイズ感染拡大、早期の投薬で歯止め 米研究所発表
エイズウイルスへの感染がわかった時点で多剤併用療法を始めると、性交渉による感染拡大がほぼ抑えられることが、ボツワナ、ブラジルなど世界9カ国で行われている大規模臨床試験(治験)でわかった。ワクチン開発が難航する中、エイズ対策の画期的成果として米国立保健研究所(NIH)が12日、発表した。
エイズの薬物治療は、薬の副作用も考慮して免疫力を示す指標(CD4値)がある程度下がってからか、発症後に始めるのが一般的だが、研究グループは、約1700組の協力カップルの半数には、感染が判明したらすぐに治療を始め、一般的な治療を受ける残りの半数との比較を行った。すると前者は後者に比べ、パートナーが感染する危険性が96%も下がっていた。
今回の治験は2015年まで続く予定だったが、早期の治療開始の有効性が明らかになったため、早めに打ち切られる見通しだ。(ワシントン=勝田敏彦)(朝日新聞 2011/05/13)

幹細胞移植でエイズ治癒報告も、発見から30年で新たな局面に
【ロンドン1日ロイター】エイズが1981年に発見されてから、今年で30年が経過する。この間、研究者らは英知を結集して、この病に立ち向かってきたが、米国人患者ティモシー・レイ・ブラウンさんが骨髄移植によって治癒したことで、エイズとの闘いが新たな局面を迎えようとしている。
エイズウイルス(HIV)に感染し、白血病も患っていたブラウンさんは2007年、突然変異した遺伝子「CCR5delta32」を持つドナーの幹細胞を使った骨髄移植を主治医のゲロ・フッター氏から提案され、手術を受けた。研究者の間では当時すでに、この遺伝子を持つ人がHIV耐性だと考えられていた。
フッター氏は「このプロジェクトを始めた時、何が起こるか正直分からなかった」と振り返り、ブラウンさんの容体については「体内からウイルスは検知されていない。薬も服用しておらず、これから先おそらくHIVの問題に悩まされることはないだろう」と語った。
一方、専門家の多くはこの治療法がすべての患者に有効だとは考えにくいとの見方を示しており、費用が高額である上、治療が複雑でリスクも伴うという問題点を指摘する声もある。他の患者に適用させるには、非常に稀有な突然変異の遺伝子を持つ人の中から、完全に一致するドナーを見つける必要もある。

<HIVとともに生きる>

国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、エイズ感染者総数は2009年時点で推計3330万人、エイズに関連した同年の死者は180万人。エイズの流行が始まった1980年代初頭からは約6000万人以上が感染、うち半数近くがエイズに関連する原因で死亡している。
ただ、HIVを早期に発見する検査や新たに開発された抗レトロウイルス薬などのおかげで、拡大には歯止めがかかりつつあり、HIVと共存していくことも可能になってきている。
南アフリカ・ケープタウンに住むHIV感染者でエイズ撲滅運動に参加しているビユセカ・ドゥブラさんは、「死ぬことは全く考えていない。治療を受けながら私の人生を送っている」と話した。(ロイター通信 2011/06/02)

エイズ治療の飲み薬で感染も予防できた
国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)は2011年7月13日、エイズ治療用の飲み薬の服用でエイズウイルス (HIV)感染が6割から7割予防できることが明らかになった、と発表した。アフリカでは全国民うちの何割もの人がHIV感染している国があり、感染の防止策が緊急の課題になっている。
米国ワシントン大学グループの臨床試験は、東部アフリカのケニアとウガンダの4758組のカップルで行われた。どちらか1人はHIV陽性で、もう1人は陰性というカップルを選んだ。避妊具使用のうえ、陰性のパートナーは、1日1錠の抗ウイルス薬テノフォビルを飲むか、テノフォビルとやはり抗ウイルス薬のエムトリシタビンの合剤を服用するか、または偽薬を飲むか、の3通りに分けられた。その結果、感染は合剤群で73%、テノフォビル群で62%、いずれも偽薬グループに比べて減少したという。
米国疾病管理センター (CDC)は、南部アフリカのボツワナの1200組で同様の臨床試験を行った。偽薬群に比べてテノフォビルとエムトリシタビンの合剤群は感染を63%減らせた。いずれの試験でも、男から女、女から男、両方で感染防止ができた。
3300万人といわれるHIV感染者のうち、半数は感染を知らず、結果的にウイルスの拡散、エイズの拡大を招いていると見られる。2つの国連機関はアフリカ諸国でのHIV検査の普及を進めており、予防薬に期待する両事務局長の談話を発表した。
テノフォビルとエムトリシタビンはいずれも逆転写酵素阻害剤と呼ばれる抗レトロウイルス薬で、欧米ではエイズとB型肝炎の治療薬、日本でもエイズ治療薬として使われている。合剤の安価なジェネリック製品も世界中で売られているという。(医療ジャーナリスト・田辺功)( J-CAST 2011/07/28)

エイズ抵抗遺伝子をネコに=卵子に導入、高い成功率−治療法期待・米医大と山口大
エイズウイルスに抵抗するたんぱく質を作るアカゲザルの遺伝子をネコの全身の細胞に効率良く組み込むことに成功したと、米メイヨー医科大と山口大の研究チームが14日までに米科学誌ネイチャー・メソッズ電子版に発表した。免疫を担うリンパ節や脾臓(ひぞう)、胸腺の細胞でもこの遺伝子が働いており、血液中のリンパ球がネコエイズウイルスの増殖を抑えることが確認された。
ネコとヒトはともにエイズが流行している。ウイルスが種を超えて感染することはないが、ネコでウイルスの増殖を抑える仕組みが解明されれば、ネコだけでなく、ヒトでも感染予防や治療に役立つと期待される。このネコには、ウイルス抵抗性遺伝子が細胞に組み込まれたことが分かるよう、緑色蛍光たんぱく質(GFP)の遺伝子も一緒に組み込まれており、紫外線・青色光を当てるとほぼ全身が緑色に光った。(時事通信 2011/09/14)

エイズ発症報告、過去最多水準=11年、速報値で467人−「検査受けて」・厚労省
厚生労働省は24日、2011年(10年12月27日〜11年12月25日)に新たに報告されたエイズ患者数が467人(速報値)に上り、過去最多水準だったと発表した。年間調査を始めた1985年以降、報告数が最も多いのは10年の469人で、11年分の確定値では過去最多になる可能性もあるという。
エイズは現在、エイズウイルス(HIV)抗体検査で感染を把握できれば、投薬治療で発症をほぼ抑えることができる。厚労省は「感染に気付かず発症しているケースがあり、国民は積極的に検査を受けてほしい」と呼びかけている。
報告された新規エイズ患者の感染原因のうち、同性間の性的接触が250人で約54%、異性間の性的接触が131人で約28%を占めた。年齢別では30代が150人で最も多く、40代の148人と続く。
一方、新たに報告されたHIV感染者の報告数(速報値)は1019人で前年の確定値と比べると56人の減少となった。
抗体検査の件数は13万1243件、前年比で約300件増と横ばい状態。相談件数も16万3006件、約1200件減だった。(時事通信 2012/02/24)

初のHIV感染予防薬、認可を勧告 米FDA諮問委
【5月11日 AFP=時事】米食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)の諮問委員会は10日、現在HIV/AIDS患者の治療に使用されている抗レトロウイルス薬「ツルバダ(Truvada)」について、史上初のHIV感染予防薬として認可するよう勧告した。
米製薬会社ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)が開発したツルバダは、他の抗HIV薬と併用するHIV/AIDS治療薬として2004年に認可を受けている。しかし2010年に行われた臨床試験では、HIV感染リスクが高い男性同性愛者などに同薬を服用してもらったところ、定期的に服用した被験者で最大約73%感染が予防できるとの結果が出ていた。
11時間に及んだ諮問委員会の協議では、ツルバダを予防薬と認定することで感染リスクの高い性行為が増える可能性や、耐性ウイルスが生じる懸念が30人余りの有識者から指摘されたが、最終的にはツルバダをHIV感染予防薬として認可すべきとの結論に達した。
FDAは諮問委の勧告に従う義務はないが、勧告どおり認可するのが通例となっている。FDAによる最終決定は6月中旬に出される予定。(AFPBB News 2012/05/11)



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