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2002.3.27up

pTeX最新情報

−新文字鏡フォントと「標準環境」−


前口上

 MacOSXでのpTeX環境が2002年2月下旬から整備されてきたのを受けて、このシリーズではその「文系縦組学術のための可能な限り容易な利用方法」を整理・紹介することを目標としてきた。シリーズを開始した当初は、すべてをコマンド・ラインで処理せねばならない、UNIXに馴染みのない者には敷居の高い環境だったが、様々な方々のご尽力により、この間にも急速に改良が加えられてきている。かかる新情報については、これまで【追記】【補足】【訂正】といったかたちで補訂を行うことで情報の更新に努めてきたが、ここにいたり部分修正では済まない重要な変化が二つも生じた。そのひとつは、文字鏡フォントのヴァージョン・アップであり、もうひとつはmi用ツールの一応の完成である。これはインストールの手続や使用法にいくらかの変更をもたらすとともに、OSXでのpLaTeX「標準環境」の基本的確定を意味するものであるため、今回はあらためて項目をたて、その簡単な紹介をするとともに、必要・有用な関連Webページの整理をしておきたい。

 よって今回はファイル入手先へのリンクは末尾にまとめ、本文中でのリンクは最小限にとどめてみた。

 なお、これにともないこれまでの本シリーズの多くの部分は、そのままでは通用しないものとなるが、この間の経緯の“歴史的記録”として、あえてそのまま残しておきたい。

新文字鏡フォント−概要と導入−

 まず2002年2月中旬にWindows用TrueTypeFont、続いて3月中旬にMac用TyueType、そして3月下旬にTeX用各種フォントとマクロの正式公開がなされた新たな文字鏡フォントでは、大幅な文字追加がなされている。これに関してまず触れるべきは、いまのところTeXでの利用とは直接関係ないものの、Mac用TTFのOSXでの動作が確認されていることだろう。

 本ページで文字鏡フォントを紹介させていただいた縁で、僭越ながら私自身、OSXでの動作確認作業のお手伝いをさせていただくこととなった。

 この新版公開とともに旧版は基本的には入手不可能となるので、今後文字鏡フォントを利用する際には、この新版導入が前提となる。ところが入手すべきファイルのファイル名に、旧版と若干の変化が生じているため、第4回での解説と基本的な手順は異ならぬものの、それとはファイル名の読み替えが必要になる。そこで以前と記述が重複することになるが、あらためてインストール方法を解説しておきたい。なお、ここでは関係ファイルを文字鏡研究会のWebページからダウンロードする場合を想定しているが、2002年4月より実費配付されるCD-ROM版でも各ファイル名は同一と思われる。

【TTFのインストール】

 “M101.SIT”から“M203.SIT”までの33個の圧縮ファイルを“StuffItExpander”で解凍し得られる“Mojikyo M101”から“Mojikyo M203”までのフォント・ファイルを、“/Library/Fonts”フォルダに入れておくだけである。

 解凍すると“M*** フォルダ”という名のフォルダのなかに、フォント・ファイルと諸説明文書の入った“licence”フォルダとが出来上がる。これはTTFに限らず基本的にはすべての圧縮ファイルに共通しているが、一揃いで33個もある文字鏡フォントでは、例えば後述するTeX用フォントの場合、フォルダから取り出して“mojikyo”フォルダに移動するという作業を33回も繰り返す羽目になってしまう。おそらくダウンロードの便宜を考えファイルを分割しているのだろうが、合計でこれだけの分量のファイル群など、事実上ブロードバンド環境でなければ殆どダウンロード不可能であろうから、できれば次のリリースに際しては、少々大きくとも一つの圧縮ファイルをダウンロードすれば済むような選択肢も用意して欲しい。

 ただし、ただ導入しただけでは膨大な文字数のなかの何処に自分の求める文字があるのか途方に暮れるのは必至なので、同時にHTML形式の簡易検索テーブルを入手する必要がある。その詳細は文字鏡研究会の解説ページを参照してほしいが、用途および実装方法によって4種用意された検索テーブルはいずれも、JavaScriptに大きく依存して動作するためiCabやOmniWebでは動かない。また、文字鏡フォントの表示方式はインストールされたTTFを用いるものと、インターネットに接続してGIF画像を表示するものとに分けられる。常時接続でない限り、いちいちネットに接続する煩を考えればTTF版を勧めたいところだが、後述する如く文字鏡フォントをTeXでのみ使用する場合TTFは不要であり、ディスク・スペースによっては検索テーブルのためにだけ膨大なTTFをインストールするのは憚られる場合もあろう。よってそこは各人の都合にあわせて判断されたい。

【TeX用フォントとマクロ】

 文字鏡フォントをTeXソース中で指定するコマンドには、TTFを用いる“\TMO”Type1フォントを用いる“\PMO”の2種が存在する。TeXでは一般にコンパイルに際してはフォントそのものではなく、文字の大きさなどの情報が記載された“TFM”ファイルが参照されるため、 OSX環境でも“\TMO”“\PMO”ともにDVIの生成は可能である。しかしDVIファイルを何らかのビューアで直接表示・あるいは別の形式に変換して表示する際には、当然フォントそのものが求められることになる。そして現状のOSX環境の場合、DVIビューアであるmxdviは縦組・文字鏡フォント未対応なので、“dvipdfm”コマンドでPDFに変換して表示・印刷するという手順を踏まねばならない。ところがその場合、“\PMO”では何の問題もないが“\TMO”ではフォント生成に失敗してPDFが得られないのである。

そこで当面は“\PMO”コマンドのみを利用すべしということになる。また、“\PMO”を用いたPDFには文字鏡のType1フォントが埋め込まれ、AcrobatReader等での表示に際しTTFは必要とされないので、文字鏡フォントをTeXでのみ利用する場合には、現状ではTTFのインストールは(残念ながら)不要である。

 ただし文字鏡Type1フォントは欧文フォントとして扱われるため、文字配置等に日本語文としては不自然な結果が現れる場合もあるようだ。そこで適切な設定を施したうえでVFを用いれば、PDF生成に際し“\TMO”でのフォント生成が可能であると思われるが、現時点ではVFのみ新版が未リリースであり、また、解説ドキュメントにおいても〈“dvipdfm”での文字鏡フォント利用は想定していない〉旨が銘記されている(おそらくフォント埋込がライセンス上の問題を発生させ得るからであろう)ためか、Web上でも「適切な設定」に関する情報は容易に得られず、私の能力ではこれ以上は進めない状況にある。よって諸賢のお知恵をお借りできればと願うばかりである。

 もちろん、mxdviの縦組・文字鏡対応が実現すれば、そもそも“dvipdfm”を用いる必要がなくなり抜本的な解決となるのだが、開発者の内山先生は非常にお忙しい模様であり、また、あくまでご厚意でフリーのツールを提供してくださっていることを考えても、ごく一部のニーズを声高に主張すべきではあるまい。そこでやはり「受益者負担」を旨に、自力解決の道を探るべきであろう。

【2002年4月9日補足】

 “mxdvi”が遂に縦組・文字鏡フォントv2の表示に対応した。ただし印刷機能は未実装である。

 よって、ここで入手すべき必須の関連ファイルはマクロのスタイル・ファイル、TFMファイル、Type1フォント・ファイルということになる。以下、必要ファイルとインストール先を具体的に列挙しよう。なお、ここでは桐木氏のpTeXパッケージShift-JIS版がデフォルトの“/usr/local/share/texmf”以下にインストールされていることを想定している。また、不可視属性領域への具体的なインストール方法については、第4回を参照されたい。


*以下のファイルはStuffItでの解凍ではまず“元のファイル名+.1”という名の書庫ファイルが生成され、さらにその書庫から各ファイルが抽出され、“元のファイル名+.1 フォルダ”という名のフォルダのなかに各ファイルが現れるはずである。そこで以下、説明の便宜上この各フォルダのことを「書庫フォルダ」と表記する。

【1】TEXPACK.TBZ:マクロファイル群
“texmf/ptex/platex”ディレクトリ直下に“misc/mojikyo”ディレクトリを作成し、そのなかに「書庫フォルダ」直下の“style”フォルダのなかのすべてのファイルをコピーする。なお、この際同時に“mojikyo”ディレクトリと同一階層に“jtate”とでも名付けたディレクトリを作成し、そこに金水氏作成のルビ・割注用マクロ“kunten2e.sty”や、本サイトで配付している後注用マクロ“endnotesj.sty”および用紙同期用マクロ“bounddvi.sty”などを放り込んでおくとよいだろう。なお、念のため各ファイルは“mi”などの複数文字コード対応エディタで開き、改行コードをUNIX用の“LF”にしておいたほうがよいだろう。

【2】M101MTFM.TBZ〜M203MTFM.TBZ、33個:“\PMO”用TFMファイル群
“texmf/fonts/tfm”ディレクトリ直下に“mojikyo/tfm”ディレクトリを作成し、そのなかに33個の各「書庫フォルダ」のなかに生成された拡張子“.tfm”のファイルをすべてコピーする。
【2'】MOMJFM.TBZ、MOQJFM.TBZ:それぞれ横組・縦組用の“\TMO”用TFMファイル群
“\TMO”コマンド用のため必須ではないが、〈コンパイルのみOSXで行い、DVIファイルを他環境に渡す〉といった用途を考え、一応インストールしておこう。上記“texmf/fonts/tfm/mojikyo”ディレクトリ直下に“jfm”ディレクトリを作成し、そのなかに2個の各「書庫フォルダ」のなかに生成された拡張子“.tfm”のファイルをすべてコピーする。
【3】M101MPFB.TBZ〜M203MPFB.TBZ、33個:Type1フォント群
“texmf/fonts/type1”ディレクトリ直下に“mojikyo”ディレクトリを作成し、そのなかに33個の各「書庫フォルダ」のなかに生成された拡張子“.pfb”のファイルをすべてコピーする。
 なお、上記の手順をすべて完了したら、Terminalから“mktexlsr”を実行してls-Rを更新するのを忘れないようにしよう。

 さて、以上で新文字鏡フォントについての話題を終え、次ページでは“mi”用ツールを中心とした、OSXにおけるpLaTeXの「標準環境」というべきものの構築について話を進めよう。



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