遠くへ飛ばすというコト 陸上競技で最もスリリングな競技は、投擲競技ではないかと思う。ハンマーや槍をえいやっと投げ、遠くに飛ばした者の勝利。この上なく単純ながら、我々を魅了してならない。「何かを遠くへ飛ばす」という欲求は、人間のDNAに刷り込まれた本能に違いない。
その証拠に、我々はいろんなモノを遠くへ飛ばす。先日は、高知県でニラ飛ばし大会が行われた。キムチ鍋や餃子に入っている、あのニラである。ネギでも大根でも良さそうなモノだが、おそらく大会が行われた場所が名産地なのだろう。それなら、ニラの早食いでも大食いでも、あるいは「ニラ写生大会」でも良い。「ニラ剣道」でも「ニラサッカー」でも良い。各地のニラを食って産地を当てる「利きニラ」でも、ニラを見て笑ったヤツが負ける「ニラめっこ」でも良い。それでも人は、ニラを遠くに飛ばしたがる。 記事によると、ニラ飛ばし大会はすでに13回目だという。私がまだ女の扱い方を知らなかったニキビ面の頃から、遠く高知の人々はニラを飛ばし続けていたのだ。この大会が「幼児の部」や「女性の部」、そして「国際の部」に別れて行われているというコトからも大会規模の大きさが伺える。優勝者が11.5メートルという前人未到の大記録だったコトにも驚かされるが、更に驚愕させられるのは、この記録がギネスに申請させるというコトである。というコトは、日本の高知だけではなく、世界のどこかでもニラを飛ばしている人々がいる、というコトである。そうでなければ、「国際の部」なんて設置されるワケがない。きっとこの大会に出場するニラ飛ばし選手たちは、餃子やニラレバを食うたびに、「あぁ、このニラ、飛ばしてぇ!」と思っているに違いない。恐るべき、人類の「遠くへ飛ばしたい」願望。 遠くへ飛ばす大会といえば、さくらんぼの種飛ばし大会が有名だが、こちらはジャパングランプリ が毎年行われているらしい。この日の為に毎日毎日種を飛ばし続け、鍛え抜かれた強者たちが全国から一同に会し、己の技とプライドをかけてさくらんぼの種を飛ばしあうのである。壮大なロマンと言わずしてナンと言おうか。 ジャパングランプリというコトは、この競技にも世界大会があるに違いない、と思って調べてみると、やはりあった世界大会。こちらはすでに32回も行われている。私がまだ女の扱い方はおろか、トイレの扱い方も知らないよちよち歩きの頃から、世界の片隅で人々はさくらんぼの種を飛ばし続けていたのである。しかも記事によると、ディフェンディングチャンピオンは「ヤングガン」の異名を持つブライアン・クラウゼさん。彼の父のリックさんも元チャンプで、あだ名は「ペレットガン(空気銃)」。更に今大会の女性部門では妻のマレーネさんが、5歳以下の部門では次男のコール君が、6-8歳部門では長男のブラーデン君が優勝している。彼ら「クライゼ一家」は、この世界では知らぬ者のいない偉大なる一家らしい。いうなれば、さくらんぼ種飛ばし界のグレーシー一族である。 ちなみに、さくらんぼ飛ばしを自宅や職場でも簡単にできる種飛ばしキットが発売されいてる。しかもこのキットには、さくらんぼが入っていない。どこまでもどん欲な人類の遠くへ飛ばしたい願望である。 考えてみれば、私も幼い頃が遠くへ飛ばすコトに関しては、人並み以上の魅力を感じていた。それは、小便の遠くへ飛ばす大会である。 まだ立ち小便が許された幼稚園児の頃。私たちは友人たちと連れたって、誰が小便を一番遠くへ飛ばすコトができるか、毎日のように競い合っていた。この大会で優勝するのは、決まって私か、同級生の「さっかん」こと坂口クンのどちらかだった。我々二人は、みんなのあこがれの的だった。 遠くへ飛ばすコツは、限界ぎりぎりまで小便をガマンするコトである。「さっかん」より早く準備を始める為、朝から大量に水を飲み、小便をチャージする。幼稚園に行く前に放水してしまっては水の泡。ガマンにガマンを重ねる。時には脂汗をかくコトをあった。「さっかん」も青い顔をして限界まで耐えている。お互いトイレに駆け込まない理由は、男のプライド以外にはない。 満を持して放射された私と「さっかん」の放水は、それはそれは遠くへ飛んだ。慣れてくると、少し上向きに放水すれば、尚、距離が伸びるコトがわかった。しかし、風の強い日に上を向けすぎると、自分に返ってくるという悲劇を見るコトになるので要注意だった。小便の描く放物線は、勝利への架け橋だった。 こうしてしのぎを削り合った私と「さっかん」であったが、ある日、「さっかん」がガマンしきれず教室で放出してしまい、それが1分以上止まらないという大惨事が起こったコトから、この大会は泣く泣く中止するコトとなった。小便飛ばし大会がオリンピックの正式競技なら、私と「さっかん」で金銀独占に違いない、と今でも思う。ま、野球ですらオリンピックから外されるんだから、ムリに決まってるか! Posted: 水 - 7月 27, 2005 at 12:47 午後 | | |
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