ベランダに見え隠れする人間模様



 断っておくが、見たくて見ているんじゃない。そういう趣味があるワケじゃない。恐らく、人間の習性だと思う。自然と目がいってしまうだけである。そう、他人の家の洗濯物である。
 特に最近は、道路ギリギリや駅のホームから手が届くようなトコロにベランダのあるマンションや一戸建てが多く、洗濯物を目にする機会も増えている(ような気がする)。仮に女性用下着が干してあったって、それを見て興奮したりはしない。ましてや盗もうなんて考えたコトは一度たりともない。ただ、洗濯物を見ていると、いろんな人間模様が見えてきて興味深いのである。
 きちっとシワを伸ばし、Tシャツは等間隔に、靴下はペアで揃えて干してあるような洗濯物を見ると、この人はきっと真面目な性格で信用できる、もし困っているならお金も貸していいゾ、と思ってしまう。逆に、シャツはヨレヨレのまま、靴下も適当に洗濯バサミで挟んだだけで、バスタオルは重ねて干してある。それじゃ乾きにくいだろ!という洗濯物を見ると、この人とは付き合うコトになっても、結婚まではしないからなッ!と心に誓うのである。
 もう春物を出したんだ、と季節を感じるコトもあれば、そういうえばウチのおばあちゃんもああいうシミーズ着てたよなぁ、と亡き祖母に想いを馳せるコトもある。ピンクのシャツにピンクのトレーナー、ピンクの下着が干してあると、「ぺー・パーかよ」と心の中で軽くツッコンでみたりもする。
 昨日見た洗濯物は、今まで見たモノの中でも最も強烈だった。そこはちょっとオシャレなマンションの一階で、道路からベランダが丸見えになっている部屋であった。物干し竿からぶら下がっていたのは、白いTシャツ1枚と靴下2足、そして、白いバスローブが4着であった。バスローブ4着だ。Tシャツ1枚に対して、バスローブ4着である。一体この部屋の住人は、どういうバランスで生活しているのか。きっとあそこは、加藤鷹の部屋に違いない。そう考えるしか答えが出ないのである。
 もう一度断っておくが、見たくて見ているんじゃない。自然と目がいってしまうだけである。

Posted: 木 - 3月 31, 2005 at 11:11 午前         | |


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