不完全犯罪



「完全犯罪」という言葉は、なぜこうも我々を魅了するのだろうか。犯罪調査のプロ集団である警察を欺き、頭脳を駆使して証拠を残さない完ぺきな犯罪を成し遂げてしまう。普通の犯罪は格好良くないが、完全犯罪はスマートだ。犯罪を犯す人間にはなりたくないが、もし罪を犯さなければならなくなったら、その時は美しくも冴えわたる「完全犯罪」をやり遂げる男になりない。
 ところで、「完全犯罪」の反対語があるとすれば、「不完全犯罪」というコトになるのだが、本日、世にも珍しい「不完全犯罪」を完ぺきに成し遂げた男が登場した。こいつだ
 この無職の19歳の少年、泥酔状態でバスに乗り込み、こう叫んだという。
「ハイジャックするぞ!」
 よい子のお友だちならもうおわかりだろうが、ハイジャックは飛行機にするモノで、バスを襲う時は「バスジャック」というのが正しい。バスは空を飛ばないのだから、ハイジャック出来るハズがない。この時点で、もう完全犯罪は失敗である。更に、犯人の少年は続けて言ったという。
「羽田空港に行け!」
 こう脅された運転手は、さぞや困っただろう。何しろこのバスは、「羽田空港行き」だったのだから。こいつに脅されるまでもなく、バスは羽田に向かっていたのだ。目的地を強引に変えさせなければ、バスジャックという犯罪は成立しない。あまりにも不完全なバスジャック犯である。
 オマケにこの男、凶器を持っていなかったり、「ただ叫びたかっただけ」と供述したり、不完全なトコロが多すぎた。名も顔も知らぬが、この少年に敢えて忠告したい。キミには犯罪者の資質は皆無である。浮気をしても、すぐにバレるタイプだろう。今後は悪いコトしようなんて考えは起こさないで、大人しく真面目に生きていきなさい。それが「不完全犯罪者」の運命なのである。


=追伸=
 おろちょんさんにコメントで指摘して頂いたとおり、ハイジャックとは、「High Jack」(高いトコロのジャック)ではなく、「Hijack」(Hold up=手を挙げろ から転じたモノ)で、つまりバスをジャックしても「ハイジャック」が正しいのでした。まったくお恥ずかしい。この不完全犯罪犯のコトを笑えない私……。どうやら私にも完全犯罪は無理のようだ。そういえば、私も浮気をしたら、いつでもすぐにバレるっけなぁ……。

Posted: 月 - 3月 21, 2005 at 06:44 午後         | |


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