チャレンジ精神を忘れずに



 今回発行された新札は、2千円札とは違い、比較的順調に出回っているようだ。自分も、釣り銭として5千円札と千円札を手にした。
 とはいえ、まだモノ珍しさがあるのは事実で、受け取ると「お、新札か」と特別視してしまう。樋口一葉の顔は妙に怖いが、偽造防止の為のホログラムなど、非常に良くできていると感心しながらしげしげと見つめてしまう。恐らくみんな同じ感覚なのではないかと予想するのだが、そんな中、早速やってくれたヤツがいる。
『全国で初めて偽の1万円札使った48歳男を逮捕』
 現状では、旧1万円札の方が圧倒的に多いし、新札は特別目につく。偽札を作るなら、旧札の方が目立たないに決まっている。それなのに、あえて新札を作ったトコロに、この犯人のチャレンジ精神を感じずにはいられない。
 勝手に想像するに、この男は偽札作りの腕に相当自信があったのではないだろうか。偽札作りのエキスパートとして、そのプライドにかけて、あえて目立つ新札で挑戦したのではないか。ここまでの達人ともなると、きっと弟子の一人や二人はいただろう。「師匠! 新札は危険ですゼ!」とかナンとか言われても、「バカヤロー! それくらい百も承知だ! だが、札を見りゃ、オレの腕がうずきやがるんだ!」と言い返したに違いない。弟子は、そんな師匠の心意気に涙し、己の未熟さを悟ったただろう。そして男は、自らの経験と情熱のすべてを注いで、日本で最初の新偽札を作った。偽札作りは良くないコトだが、このチャレンジ精神とプロ根性には、男としてホレてしまうのである……。
 という映画のような物語は実際にはないようで、記事を読むと、ただカラーコピーを取っただけで、店で差し出した途端、偽物だと見破られ、しかもあっさり逃げたはイイが、自分の車で逃走し、ナンバーからアッサリ割り出されて捕まってしまっている。どうやら、ただの計画性のない無鉄砲な男だったようだ。久し振りに失望した。やっぱり無謀なチャレンジ精神なんて捨てて、無難にコツコツ生きていきましょう。

Posted: 火 - 11月 16, 2004 at 11:48 午前         | |


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