知ったかぶり考「知らない」と言うコトは恥ずかしい。知らぬは一生の恥、というが、やはり「知らない」と言うのは勇気がいる。そこで、人間は「知ったかぶり」をしてしまうワケで、自分もよく知ったかぶりをする。会話をスムースに進めたり、より発展させてりするのにも役立っていると思うので、時には知ったかぶりも役に立つ。しかし、知ったかぶりし過ぎるのはどうかと思う出来事に遭遇した。
本日、電車に乗っていると、男子1人女子3人の大学生風4人組が乗り込んできて、私の前で大声で話し始めた。その男、ルックスは現代風でモテそうではあるのだが、いかんせん話しが長い上につまらない。簡単にいうと、少々オムツが足りなさそうなのである。「チョォー××」を連発したり、「俺ってぇ……」と自慢話ばかりをしたり。しかも、その話すべてにオチがない。女のコたちも、そんなとりとめのない話に飽き気味の様子。 そして、話題はテレビの話に。女のコたちはバラエティ番組の話を始めたのに、何故か男は強引に「自分の感動したテレビドラマの話」に持っていった。相手の感動した話を聞くのならまだしも、あくまで自分の話に終始するあたり、この男のお里が知れるというモノ。 遂にというかやはりというか、ボロを出した。「チョー感動したよなぁ、『黒い巨塔』の最終回」。ウンザリしていた乗客たちも、その時ばかりは一斉にピクッと体が動いた。退屈そうにしていた女のコたちも、ここぞとばかりにツッコンだ。「ナニ、『黒い巨塔』って!?」「もしかして、『白い巨塔』のコト!?」。蔑んだような目で、矢継ぎ早に言い放った。 これくらいの間違いは誰にでもある。「あぁそうだった、間違えちゃったぁ」と素直に言えば、さらりと流されるような出来事。ところがその男、女のコに指摘されたコトで余程プライドが傷ついたのか、間違いを認めようとしない。続けて、とんでもないコトを口走ったのである。 「あぁそうだったそうだった、『黒い巨塔』は黒澤明だった」 ……、えぇっと、えっと、それは一体、どちらの黒澤明さまでしょうか? 貴方のご友人か何か? それとも、新進気鋭のAV監督か何か? 少なくとも、我々の知っている黒澤明はそんな作品は手がけてはいない。ちょっと黒澤の『黒い巨塔』は観てみたい気はするが。 幸か不幸か、女のコたちは黒沢明についてよく知らなかったようだなので、ただ「へぇ」とだけ答えていたが、その後男は得意げに黒沢論を語っていた。それもヤケに大雑把に。この場では少し尊敬されただろうが、きっとこいつはいつか痛い目に遭うだろう。一瞬恥をかいてでも、「知らない」という勇気は必要だ、と見知らぬ男の知ったかぶりを聞きながら思った。 Posted: 土 - 2月 19, 2005 at 03:13 午前 | | |
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