教師というお仕事 世の中にはとんでもない教師がいる
モノだが、私は良い教師に恵まれて学生時代を過ごしたと思う。
中でも特に思い出深い教師が、中学時代の理科のH先生である。彼のあだ名は、「泣き虫先生」ならぬ「嘘つき先生」だ。とにかく、千三つ(千のうち真実が三つしかない、の意)どころか、万一つ、いや、億ゼロ。ある時など、理科の中間テストの一問がやけの難しいと思ったら、ナンと問題文が嘘だったコトがある。信じられないが真実である。 そんなH先生の歴史に残る大嘘を紹介しよう。 日頃から「俺はスキーが得意や」と豪語していたH先生。ある時こう言った。「俺は東京オリンピックの、スキーの日本代表候補だったんやでぇ」と。東京オリンピックは夏季五輪なので、スキーという種目はない。それでも大嘘は続けく。「俺はスキー板を自分で磨いてエッジを削っていたんや。鋭く削るほどスピードが出るさかい、俺のスキー板の両サイドは包丁みたいやった。そやから担いで運ぶと、も〜、肩が血だらけや!」。だったら平たい面を肩に乗せて運べばよいのに……、なんて口が裂けても言えない。コレで終わらないのがH先生の真骨頂。「その板履いて、家族連れで込んでるスキー場を滑った時は大変やったなぁ。スピード出てるから、雪遊びしてる子供に板がバンバンぶつかって、あちこちで子供のぽんぽん首が飛んでたわ」。お巡りさ〜ん! 人殺しが教壇に立ってますよッ〜! ある授業中、おもむろにH先生は言った。「おい、男子! ちゃんとちんちん洗ってるか!」。きょとんとする男子、赤面する女子。菌が入りやすい部分なので気をつけろ、という意味かと思ったら、違った。「アレの先についてる精子はちゃんと洗い流さなアカンでぇ」。コレは一体どういうコトか。H先生は、自分の体験した恐ろしい出来事について語り始めた。 「俺の中学時代、学校にプールなんてなかったから、水泳の授業は川でやったんや。今みたいに男女一緒に体育なんてしない時代やからな、上流で男子、下流で女子が泳いどった。そしたら一ヶ月後、クラスの女子全員、妊娠しおったんや!」 ぽかぁんと口を開けるしかない僕たち、S中学2年4組の40名。どうやら、男子の性器の先に付いていた精子が川を下り、たまたま下流にいた同じクラスの女子の体内に入り込み、たまたま排卵されていた卵子と出会って受精し、そして妊娠した、というコトらしい。何て壮大な物語だ! ある村の女性全員が同時に妊娠し、宇宙人の子供を産んでしまうという『呪われた村』というSF小説の名作があるが、それに劣らないスケールのデカい展開である。そんな話を、この理科の教師は思春期真っ只中の中学生たちに真面目に語るのである。 他にも、1時間目の授業を大幅に遅刻して来た言い訳が「車を運転してたら、タイヤ4つが同時にパンクした」だったり、近所の森を探検していて猛獣に襲われそうになった冒険談だったり、H先生の嘘には枚挙にいとまがない。そんな話を50分授業のうち45分くらいかけて語り、そして最後に必ずこういう。「このクラスは授業が遅れとるんや、急ぐで!」。そして、5分間の詰め込み授業が始まる。結果、中間・期末テストは、習った覚えのない問題が山のように出題されるのである。 そんなH先生のお陰で、私は理科という科目は大嫌いになってしまったが、学校という場所は大好きだった。 Posted: 月 - 5月 9, 2005 at 09:38 午後 | | |
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