『ランド・オブ・ザ・デッド』



 試写にて、『ランド・オブ・ザ・デッド』を観る。
 最近では、モーレツなスピードで走って人間を追いかけるゾンビ映画なんてモノも登場しているが、「ホンモノのゾンビはコレだ!」とばかりに、元祖ゾンビの巨匠、ジョージ・A・ロメロが満を持して作り上げた現代版ゾンビである。
 やはりこちらのゾンビは、のろのろと歩き、集団で人間を追いつめる。この方が恐怖感ははるかに大きい。今回のゾンビの特徴は、「成長する」というトコロ。冒頭から、プー・ハーとトロンボーンを吹くゾンビが登場する。そして、これまではピストルで撃たれても、ただ牙をむいて襲いかかるしか脳のなかったゾンビが、本作では、たまたま手にした武器や道具を次第に使いこなすようになる。最初は花火を打ち上げると、それに見とれて人間を襲うコトを忘れる、というあまりに能天気な無能ぶりだったのが、ラストではもうダマされなくなる。「ゾンビの進化」という興味深い手法を取り入れた作品である。
 同監督は、ゾンビ映画で社会風刺をしてきたワケだが、本作も、タワー型高層ビルに住む人間をゾンビが襲うという設定からみても、テロやアメリカの社会を比喩しているコトは明らかである。なんてコトに感心する前に、とにかく感動させられるのが、徹底したB級感覚である。ここまで名の知られた巨匠になれば、ある程度は金のかかった映像を撮れるだろうに、CGシーンがわずかにあるだけ。制作費の大半はデニス・ホッパーの出演料じゃないの?と思いたくなるようなチープさのオンパレード。長年メガフォンを取って来て、今なおここまでB級でいられるのは、超A級の才能であるといえる。現場で、ジョージ・A・ロメロがこんな風に叫んでいる様子が目に浮かぶ。「ダメダメ! そんな風に撮ったら、まるでイイ映画みたいになっちゃうじゃん! もっともっと安っぽく演技して!」と。

Posted: 月 - 8月 15, 2005 at 01:42 午後         | |


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