『シンデレラマン』



 試写にて、『シンデレラマン』 を観る。
 大恐慌時代、貧乏のどん底から、アメリカ中を熱狂させるまでになった実在のボクサー、ジム・ブラドッグの物語である。上演前、宣伝文句を見ると、『本年度アカデミー賞最有力』とある。『家族の幸せを願っていたら、いつの間にかアメリカの希望になっていた、そんな父親の物語』とある。監督は、“アメリカの良心”ロン・ハワードである。だいたい、予想がついた。
 観終わった。予想通りだった。ちょっとした興奮、ちょっとした感動。ちょっとした悲劇にちょっとした葛藤。ちょっとした涙、ちょっとした笑い。家族愛にアメリカンドリーム。そして大団円のッハッピーエンド。現代アメリカ映画のお手本のような作品で、現代アメリカ映画の限界を示すような作品だった。
 とにかく目につくのが、「家族愛」である。家族のため、家族がいるから、家族を守る、家族、家族、家族……。もうお腹いっぱいである。リングの上で相手のパンチをくらいK.O.されそうになった時、ナンと子供たちが腹をすかせている場面を思い浮かべ、踏ん張るのである。本当に、ほぉわほぉわほぉわ〜っと思い浮かべるのである。『毎度おさわがせします』で男子高校生が女の裸を思い浮かべるのとまったく同じなのである。こんなクサい胸焼けのするような演出をした作品がアカデミー賞をとるのだろうか。ジムのマネージャー役のポール・ジアマッティはバツグンに上手かった。
 ここまで家族をゴリ押しにしなければ、それなりに興奮できるボクシング映画になっていたと思う。ここ最近のアメリカが冒されているこの「家族観念」は、どうにかならないモノだろうか。

Posted: 月 - 8月 1, 2005 at 03:17 午後         | |


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