6日目、フィレンツェ<花の都の散策>その1
(激写日:2002/7/20〜21)


花の都フィレンツェ!

トル公:

ついに今回の旅行で一番楽しみにしていたフィレンツェ観光のはじまり!!

ツアーのプログラムは、午前中は団体行動、午後からはそれぞれ自由行動という日程。午前中は、フィレンツェに来たら必ず見なければならないシニヨーリア広場、ウフィッツィ美術館、花の聖マリア大聖堂、に連れていってもらいました。ツアーのプログラムに縛られてゆっくりと鑑賞できないのが不満ではありますが、ウフィッツィ美術館は混むので、ツアーの方が入場は楽かもしれませんな、日本語のガイドも付くし。
というわけで、長年の夢と期待を胸にフィレンツェ観光開始

シニョーリア広場

 

 

トル公:

とりあえず、フィレンツェの中心、シニヨーリア広場に集合したツアー一行。ここで10分くらいの自由時間の後目玉 のウフィッツィ美術館に入場するという予定。 いきなりペルセウス、ユディトー、ダヴィデ等がお出迎え。ミケランジェロのダヴィデといえば超有名。本来は大聖堂を飾る巨像として企画されたらしいですが、会議でこの画像のようにフィレンツェの政治の中心であるヴェッキオ宮の入り口前に決まりました。そして当時これをフィレンツェの何処に置くかという事を話し合った委員会のメンバーがレオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェリ、ポライウォーロといった、これまた比類なき芸術家であったというから二重にエキサイティング。ちなみにこの広場のダヴィデはレプリカだけど迫力!(本物はアカデミア美術館にて公開)

 

  

トル公:

ダヴィデといえば、通常ダヴィデがうち倒したゴリアテの首とか、その首を落とした剣とか分かりやすいアイテムを伴っていたそうですが、巨匠ミケランジェロ先生はダヴィデ(画像左)を闘う前の状態で表現。敵の方を睨みつける燃えるような眼差し、投石機を肩に抱えかすかに緊張したような手足の表現が印象的。迫り来る驚異に対する準備とか勇気とか挑戦とか、なんか、そういう前向きな姿勢。そういうテーマと、ミケランジェロの奇跡的な技量が当時のフィレンツェでフィレンツェ市の「正義」とか「勝利」といった政治的なプロパガンダの意味も含めて大ウケ。ダヴィデと向かい合わせで置いてあるヘラクレス(画像中央)と比べても分かるように、圧倒的な存在感。
ところで、ダヴィデと言えばもう一つ、バルジェロ美術館にあるミケランジェロよりちょっと前のヒト、ドナテロ先生のダヴィデもスゴイ。美少年をこよなく愛したと伝えられるドナテロ先生が表現するダヴィデはブーツと月桂樹を巻いた帽子だけを纏った全裸の少年で、切り落としたゴリアテの首を踏みつけており、そのゴリアテの兜の長い羽根飾り(?)がひょろひょろとダヴィデ少年の内股をくすぐるように沿って伸び、少年ダヴィデは恍惚の表情をしているという何ともゲイジュツ的にはOKでも宗教的には問題がありそうな作品。
ミケランジェロ先生もこれでもかこれでもかとばかりに裸に拘るヒトですが(しかも、お気に入りの貴族の若者に捧げる恋の詩を沢山書いてしまうほど彼もホモセクシャルですが)彼はそんな官能的なモノよりもどちらかといえば、健康的な筋肉が大好きな筋肉フェチ

  

トル公:

そういえばダヴィデの向かいに置かれた「ヘラクレス」、バンディネッリという人の作品ですが、「ペルセウス」(画像左、メデューサの首を掲げている)の作者であるチェリーニに「ジャガイモの入った大袋」とバカにされているそうです。ところがこの「ヘラクレス」の作者バンディネッリはチェリーニ作の「ペルセウス」を「老人の体、子供の脚」とこき下ろしているとのこと。二人は「ポストミケランジェロ」の座を狙う(ライバルと呼べるほど美しくはない、むしろ目くそ鼻くその)宿敵だったようです。

そしてこのシニョーリア広場においてはドナテロ先生と言えば「ユディトーとホロフェルネス」(画像右)。ユディトーは、故郷ベツリアを包囲したアッシリア軍の陣営に着飾って潜入し、敵将軍ホロフェルネスを誘惑して近づき、酒に酔わせ、隙を見てついにはその首を刎ね、ベツリアを救ったという旧約聖書に登場するユダヤの女傑。街を救うために危険を省みず敵陣に乗り込みコトを成し遂げたという、圧倒的な軍隊の暴力に対する、自己犠牲、知恵と勇気の勝利といった意味合いがテーマ。そのテーマが当時の人々に好まれ、他にもボッティチェリ、クラナハ、カラヴァッジョらもこのテーマの作品を残してます。勿論この「ユディトーとホロフェルネス」というテーマ、自己犠牲とか知恵と勇気の勝利等という道義的な部分ばかりが人々に受け入れられたのではなく、やはりそこには敬虔な美女が暴力的な異教の猛将を誘惑し、酒に酔わせてその首を刎ねるという寝所での凄惨な一場面 がとてもセンセーショナルで、刺激に満ちた想像をかき立てるという一面 もあるでしょう。女の罠に落ちる男の不覚。
このドナテロ先生の作品ではユディトーはホロフェルネスの肩に跨がり右手を踏みつけ、その髪を掴みあげ今まさにその首を刎ねんと剣を振り上げています。このユディトーの表情には壮絶な狂気の相が、そしてホロフェルネスの方には官能的な陶酔感が漂っていると評判。

 

トル公:

イタリア警察!黒いパンツに赤いラインがおしゃれ。パトカーのツートンカラーもカッコイイ!流石イタリア!!
ヴェネツィアでもお世話になりましたが、シニョーリア広場にもパトロールに来てました。観光地の治安維持に熱心。ただ、地元では、常に2人以上で行動するので「一人では何も出来ない」と揶揄されているとツアーコンダクターのS嬢が教えてくれました。
イタリア警察と言えば、昔NHKで「特捜イタリア警察」(って題名だったかな?うろおぼえ)というイタリア警察の刑事ドラマが放送されていたのを思い出しました。2人の刑事が絵画にまつわる犯罪を解決するというお話で、若い刑事とその上司の2人組、上司の方は確か、中尉と呼ばれていたような。中尉はしゃれたジャケットをビシッと決めた伊達男で、その中尉が聞き込みをしている間、若い刑事は常にその辺の女の子を口説いており、中尉の聞き込みはいつも最後には殴り合いになっており、その調子でいつの間にか事件を解決してしまうという痛快な番組でした。
彼らがそんなに荒っぽいかどうか分かりませんが、なんだか楽しそうに談笑しており陽気なイタリア人って感じでした。

 

 

トル公:

広場にあった六つの玉を盾に貼り付けたような紋章。これがフィレンツェを事実上支配した大商人メディチ家の紋章。
メディチ家のメディチの語源は「メディコ」でなにやら医療関係らしく、それゆえに家紋も丸薬を象徴する丸い玉 であるそうです。このマークはフィレンツェを歩いていると、街中でときどき目撃しました。

 

 

トル公:

ウフィッツィ美術館に入場したのですが、内部は撮影禁止!ツアーコンダクターS嬢の話では、数年前までは撮影も自由だったそうですが、近ごろは流石のイタリア政府もセキュリティとかちゃんと考えようよ、って思ったのか、その辺が厳しくなったとのこと。ああ、ボッティチェリの「春」、「ヴィーナスの誕生」、レオナルドの「受胎告知」、ミケランジェロの「聖家族(トンド・ドーニ)」、ラファエロの「ユリウス二世」、ティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」、「フローラ」、カラヴァッジョの「イサクの犠牲」、「メデューサ」とか撮影したかった!!仕方がないので、目に焼き付けました。ちなみに、ウフィッツィ美術館のオフィシャルサイトはこちら。もちろんこのサイトでそれぞれの名画を鑑賞することも可能。

ウフィッツィ美術館から外に出ると、観光客目立ての似顔絵描きがいたのですが、午前中だったせいか、まるでやる気無し?イタリア的であります。しかし、こんなにグータラしてるようないい加減なイメージのイタリアですが、一人当たりの生産性は日本より上なんだって?

サンタ・マリア・デル・フィオーレ<花の聖マリア大聖堂>

 

 

トル公:

フィレンツェ観光の目玉の一つが13世紀に着工して15世紀に完成したこの「サンタ・マリア・デル・フィオーレ(花の聖マリア大聖堂)」!赤い地に白いラインのドームがキュートな建物ですが、べらぼうにデカイ!
私は 広角レンズを持って行ってたのですが、やはり全体を納めることが出来ませんでした。建設当時随一の建築家フィリッポ・ブルネレスキによるドームがスゴイ。そして、この写真は聖堂の側にある「ジョットーの鐘楼」に登って撮影しました。右の写真はその鐘楼内部にあった落書き。落書きの日付も1800年代であり落書きにさえ歴史あり。思わず、私も記念に何か彫り込もうかと思いました。

 

 

トル公:

「サンタ・マリア・デル・フィオーレ(花の聖マリア大聖堂)」のドーム内部も見事なフレスコ画で飾られていました。テーマは、最後の審判?だまし絵風の技で立体感があります。描いたのは当時の芸術家たちの列伝を記したジョルジョ・ヴァザーリとその弟子達だそうです。ルネサンス後期の様式美でルネサンスの三大巨匠達ほどの鮮烈さはありませんが、まあ、見事なものです。

 

ドゥオーモ付属美術館

トル公:

「キリストの洗礼」の彫像。美術館の天窓から降り注ぐ陽光が計算されていていい感じ。

 

 

トル公:

ミケランジェロの「ピエタ」。ピエタとはキリスト教美術で「受胎告知」、「東方三博士の礼拝」、「キリストの洗礼」、「キリストの磔刑」、「最後の審判」などと並ぶ重要なテーマ。磔になった後、十字架から降ろされて息絶えたキリストとその周囲の人々を描いたのが「ピエタ」。聖者キリストといえども、死んだら、かように「ぐんにゃり」してしまうというリアルな表現がルネサンス的。未完成ではありますが、キリストの顔など後回しで、骨格や筋肉を執拗なまでに彫り込む辺りが筋肉フェチのミケランジェロ的。
ミケランジェロは「ピエタ」を幾つか作っていますが、一番有名なのがローマのヴァチカンにある「嘆きのピエタ」。死せるキリストを抱える聖母マリアという形ですが、「マリアが若すぎる」という非難の声もあがったそうです。ヴァチカンの「ピエタ」は後日ローマで拝見することになりますが、そのことについては後でローマのとこで。またミラノにも未完成のもう一つのミケランジェロの「ピエタ」(「ロンダニーニのピエタ」)があります。本作はフィレンツェにあるので「フィレンツェのピエタ」だそうです。
ところで、この「ピエタ」、ミケランジェロが自分の墓碑のために製作したとのこと。未完成なのは途中で大理石にヒビが入ったから製作を途中でやめてしまったとか、石材の固さに我慢ならずに破壊したとか諸説あるそうです。そして、この死せるキリストを後ろから支える人物、聖ニコデモはミケランジェロ自身がモデルとのこと! 数多の聖人、聖母を彫り、描き続け、(間違いなくホモセクシャルではあったが)敬虔なキリスト教徒として生き、晩年にキリストを後ろから強く優しく支える人物に自身を刻み込もうとは、己の人生を振り返った巨匠にいかなる思いが去来したのでありましょうか?

 

 

トル公:

ミケランジェロよりは一世代前にあたるドナテロ先生の「マグダラのマリア」。マグダラのマリアと言えば、元娼婦であったがキリストの教えに感動して神の道を歩みはじめるというプロフィールゆえに豊かな髪と肉体、若く美しく魅力的な女性として描かれることが多いのですが、ドナテロ先生の着眼点は一味違う!
マグダラのマリアはキリストの没後30年にわたって砂漠に隠遁したそうで、本作はその晩年をテーマとしています。かつて娼婦として多くの男性を虜にしたであろう豊かな肉体も老いさらばえてやせ細り、全身を覆い尽くすような長い髪はまるでボロの毛皮のよう。その荒野をさすらう修行僧のような風貌に落ちくぼんだ目など、流石は巨匠、スゴイ迫力
本作はドナテロ先生晩年の作品の一つ。悔悛と苦行に身を投じた晩年のマグダラのマリアの痛ましいまでの鬼気迫る表情など、この「マグダラのマリア」に流れる禁欲的な雰囲気はドナテロ先生自身が晩年になって到った精神的境地の表われでありましょうか、何とも凄まじい。現代彫刻でもこれほどまでに心かき乱されるモノはそうそうお目にかかれないと思います。
バルジェロ美術館のダヴィデのような官能的な作品もあるかと思えば 本作のようなストイックな作品もあり、豊かな才能でその多面的な精神を表現するとはさすが巨匠!

 

ピッティ宮殿

 

   

 

トル公:

フィレンツェの大商人のピッティ家の宮殿を後にメディチ家が買い取り現在の姿に。宮殿の中はパラティーナ美術館として公開中。ただし、こちらも撮影は禁止。残念。中庭には噴水があり、ヘラクレス(過剰な中年男性の筋肉の表現がゴロゴロとしたセルライトのよう)の像が立ち並んでいました。右の画像のヘラクレスは、大地から力を得る怪人アンタイオスを倒すため、大地に触れないようにヘラクレスがアンタイオスを釣り上げて締め、勝利するシーンと思われますが、アンタイオス、あんまり苦しくなさそう。なんかヘラクレスも「よっこらしょっ」て運んでるように見える。 まあ、大人一人を宙に浮かせるように抱え上げた像を自立するように彫るのは石材の強度やバランスの点からも難しいようではありますが。

ところで、このパラティーナ美術館にはラファエロの代表作「小椅子の聖母」「大公の聖母」、ラファエロの恋人と目されるフォルナリーナか、または結婚の約束を取り交わしたとされるビビエーナ枢機卿の娘マリアがモデルではないかと言われる謎の肖像画「ラ・ヴェラータ(ヴェールの女)」などがあり、必見。
ヴァチカンを飾る数々のフレスコの壁画もラファエロの偉業の一つには違いありませんが、ラファエロといえば数々の聖母子画こそがその真骨頂だと思います。ラファエロが描く限りなく優しい眼差しの聖母マリアと愛らしいキリスト、宗教を越える人類不変の母と子の純粋にして暖かい愛のアレゴリーに涙せよ!

 

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