北風と太陽 

もののたとえだが、定期的に読んでるブログの更新がとだえがちで、更新を鼓舞するメッセージを送るとする。

A) いつも楽しみにしています。大変だと思いますが、がんばって更新してください。これからも応援しています。
B) 楽しみにしていたのに、今日も更新がありませんでした。アクセスして損した気分です。これでは応援する気も失せます。
 

発話者の意図は同じだが、言い回しが異なる。
どちらが効果的に発話者の意図が伝わるかは言うまでもない。「愛のムチ」なんていうけれども、親しくもない人間から送られてきた (B) を読んで、愛を感じ取るのは無理な相談だ。

同じことを言うなら、ムチよりもアメのほうがはるかに効果的だ。公衆トイレに「きれいに使っていただいてありがとうございます」なんて書いてあるのは、「汚すな」と同じ意味だが、アメ的に言い換えているわけである。……と、わかっちゃいるのに、ついついムチ型の言辞を吐いてしまう。
酒の勢いで昨日もやってしまい、心から反省しきり。


気がかりなのは、自分をふくめて、ムチ型的な物言いが増殖しつつあるように思えてならないことだ。
左の画像は、先月末の某ニュースサイトのトピックス一覧。
気になって思わずスクラップした。
全体にネガティブな印象を与える見出しが並んでいる。しかし、たとえば「広末涼子で大コケした実力派監督」というのは、堤幸彦監督の映画『明日の記憶』『トリック2』が同時期に公開され、ともに大ヒットしているという記事。「TBS、地味コンビにド肝抜かれる」は、映画『タイヨウのうた』のヒットを報じる記事だ。
中味はグッドニュースなのに、見出しはバッドニュース風味でまとめられているわけである。
グッドニュースさえもストレートには報じず、シニカルな味つけをほどこし、その風味を見出しに持ってくる。見出しはよりセンセーショナルに——というテクニックを超えて、ここに時代の空気感が反映されている気がしてならなかった。


W杯サッカーで、自国のチームが思わしい戦績を収められなかったとする。ここでファンには2つの道がある。チームの奮闘を称えてねぎらい、次のチャンスに期すか。それとも監督や選手をさんざんにこき下ろすか。
後者的な言説のほうをより多く耳にしたのは、気のせいではないと思う。

海外遠征を終えた選手たちは、どんな国に帰りたいだろう。
歓呼とともに労苦をねぎらってくれる国か。
不成績を罵倒し、メンバーの更迭を叫ぶ国か。


いま、わが国は帰りたくないような国になっていないか?


……などと、こういうエントリを書いてしまう私のこの言い方自体が、すでにムチ型的なのだ。
病の根は深い。
「時代の空気感」とやらにすり替えて、自己の責任を棚上げするつもりはないけれども、最近気になっているのである。 

月 - 7 月 10, 2006 at 01:55 []