ネチズンである前に 

さらば池田信夫 

にわかに「池田信夫ファンサイト」化しちゃってましたが、今日かぎり卒業。

トドメを差されたのは、この一文
『今週の1冊』(週刊ダイヤモンド誌)という書評コーナー掲載文のようですが、

本書の致命的な欠点は、訳文である。(略)訳書の文体は原著とまったく違う。原著は、専門論文のような堅苦しい文体ではないが、格調の高い正統的な英語で書かれているのに、訳文は「そこらのXファイルマニアなんかどうでもいいよ、と言うかもしれない。そんなものしか出てこないの?」(二一一ページ)という調子だ。これは訳者の独特の文体らしいが、そういう趣味は自分の著書だけにすべきである。(略)訳書ではなく原著(The Future of Ideas)を読むことを強くお勧めしたい。

と池田は、口をきわめて山形訳を批判します。
格調の高い正統的な英語」が、「訳者の独特の文体」にねじまげられたそうです。それが「致命的な欠点」だという。
それは一大事! と引用個所の原文に当たってみると(↓)、

Who cares about wandering X-Files types?, you might ask. Is this really it?
Lessig, Lawrence, The Future of Ideas - the Vintage Edition, Vintage 2002, p135

どう見たって、ナードな掲示板調ですねー。
まちがっても格調高くないし、正統的でもない。
Lessig Blog(邦訳あるんだー。→ここ)と変わらん。顔文字や imho とか使わないだけで。

「極論のレトリック」の項でも述べたように、池田は山形訳独特の言い換えをそっくりパラフレーズしてるので、原書に当たってないなーとは思ってましたが、これで確信しました。
でも、原文にも当たらずに訳文を批判するって……。それって単に、訳者を個人攻撃したかったってこと?

誌面だけでは飽き足らず、サイト上で p.s. をつけ、(E2E という)「基本的なことも知らない人物」と、なおも山形をこき下ろす池田。
けど、当人の本文には「IP(インターネット・プロトコル)というコモンズ」なんて、大トンチンカンな文面が……。
OSI 参照モデルどころか《プロトコル》の意味さえ知らないことを、自分でバラしちゃうとはね。
『コモンズ』でも懇切丁寧に説明されてる事柄なので、知らないというより理解できないのでしょう。これでは、レッシグが E2E の価値をあらためて語ったことを、山形が評価した理由が分かろうはずもない。

黒澤の名前も書けずに黒澤映画を論じてみたり、著作権のない人の著作権を批判したり。
議論する価値はなくても、こんだけツッコミどころ満載なら、蔓延する極論の例として手ごろかなーと、軽く思ってました。
けど、社会的地位のある人間が、公的な場での発言として、他者を個人攻撃するのであれば、おのずと守るべき最低限のマナーがあります。
それさえ守れない人には、どんな形であれ、いっさいかかわりたくない!
(自分までイヤな子になりそうで… ←いまでも十分イヤなヤツ)

もう二度と、池田のイも言いません。 

月 - 7 月 12, 2004 at 20:56 []