Coach & Athletic Director(2000)February, 52~54

General Colin Powell's 13 Rules on Leadership for the Basketball Coach

コリン・パウエルのバスケットボール・コーチのためのリーダーシップにおける13のルール

David Zinn (Asst.Women's Basketball Coach of Cumberland College(KY))


「もっとも基本的な定義によると、コーチングというものは、リーダーシップである。事実、コーチは、常に、コーチング哲学・成功・動機付け・リーダーシップについての文献に携わっている。しかし、湾岸戦争でアメリカの大きな勝利を生み出したコリン・パウエルの「マイ・アメリカン ジャーニー」の認識をなしに、他のリーダーシップ論を考えることはできない。

 彼の本は、自叙伝以上のものがある。それは、彼が、バスケットボール、そしてまた他のスポーツの為のコーチング哲学として価値のある効果的なリーダーシップの13の法則について、論議した一種の研究といえるであろう。

 

 法則1:”それは、あなたが考えるほど悪いものではない。夜が明けたら、必ず、よく見えてくるものだ。”

 若い人たちをコーチしている人は誰でも、必ず、いくつかの事を悪い方へ持っていってしまうものだし、いくつかのゲームを落とすこともある。そして、時には、間違った判断をしてしまうだろうし、不幸な出来事に遭遇する時もある。ありふれた言い方かもしれないが、その負けがどれだけ失望的なものでも、朝の光が、新しい機会とチャレンジへと導いてくれる。私のチームだって、敗北の直後に考えるほど、悪いチームであった事はない。翌朝にはたいてい、より客観的な見方と、よりよい選択への自信を得ているものだ。

 

 法則2:”怒りなさい。そしてすぐに立ち直りなさい。”

 私たちが、動転しているとき、それは、私たちが何かについてとても気を使っているときである。しかし、あまりにも長く一つのネガティブな経験にこだわることはしてはいけない。私たちは、一つの失敗をそれ以上のものに変える事ができる。だから、もし必要ならば、動揺して、叱責してもよい。しかし、そのあと、それについては忘れて、次に進むこと、そして、選手を自分たちがその失敗の前に扱っていたのと同じように対応することを忘れないで欲しい。

 

 法則3:”あなたのポジションが悪くなって行ったときに、あなたのエゴが先走ってしまうようなあなたのポジションにあまりにも近いエゴを持つのはさけなさい。”

 ますます盛んになる競争的なスポーツ社会で成功するために、真剣に、昔の方法や、安楽な方法について問題意識を持つことはとても大切な事である。物事を行うとき、ただ単にそれが今までなされてきた方法だからという理由で続けているのなら、自分たち自身に問いかける必要がある。古い方法というのは、成功への助けにはならないこともある。若いチームは、変化なしに前進はしない、そして、変化への能力というのもあまりに慣れ親しんだ状況に執着しすぎると、段々失われていくものである。

 

 法則4:”それは、なされうるものである。”

 自分たちがその状況をコントロールできない時でさえも、私たちは、自分の態度をコントロールする力を持っている。たとえ、あなたが、難しいチャンピオンシップに挑戦しているときでも、あなたのセンターに力強くポスト・アップさせようとしているときでも、どんなときでも、積極的な姿勢を示しなさい。そうすれば、あなたが、あなたのチームに成功へのよりよいチャンスを与えることができる。

 

 法則5:”誰を選ぶか、慎重になりなさい。”

 これは、あなたのプログラムの為に人を選ぶときに特に当てはまる。アシスタントとして”YES-MAN(何でもハイハイと盲従する人)”を持つことは状況を少し楽なものにするかもしれない。しかし、それは、あなたにとって余計なものを一つ作った事にもなる。規範やリーダーシップの感覚を何も持たないが素晴らしい技術を持った選手たちは、ゲームに勝つかもしれない(または、勝たないかもしれない)、しかし、チャンピオンになることはとてもまれである。

 

 法則6:”逆境をよりよい決断の方法として使ってはいけない。”

 バスケットボールの映画"HOOSIERS"の1シーンにこのポイントをわかりやすく描いたものがある。コーチ・ノーマン・デールは、彼の優秀な選手の中の一人がプレイ・オフゲームで元々痛めていた肩を再び痛めたという事実に出くわした。ベンチには、ほとんど代わりがいない、そして、敵方のコートで試合も負けてはいたが、良い場面にさしかかっていた。彼は、その選手をそのままコートに残すことにした。しかし、自分に問いかけたあと、タイム・アウトを要求し、その選手を下げた。怪我、学業に関する資格の剥奪、怒ったファンなど、色々な形の逆境に立ち向かわなければいけないだろう。プロフェッショナルとして、そのような逆境に私たちの正しい判断を乱されてはいけない。

 

 法則7:”あなたは、誰かの判断を代わりにしてあげる事はできない。そして、誰かにあなたの判断を代わりに作ってもらうこともしてはいけない。”

 もし、あなたが、規則の中で作り上げているのなら、あなたのアドミニストレーションの支持をもらい、自分自身で判断を下し、それに執着しなさい。これは決して、あなたは誰の助けも求めることができないといっている訳ではない。しかし、運営しているのはあなたである。そして、これは、またあなたのバスケットボール・プログラムに影響を与えるすべての決断があなたの支配下にあるといっている訳でもない。確かに、あなたは、動機付け、アドバイスをし、影響をもたらし、そして時には、諭すこともする立場にいるのは間違いないが、現実は、他人の選択の責任は、彼ら自身のものであり、あなたがそれを奪い取ることもできない。

 

 法則8:”細かい事をチェックしなさい。”

 ベスト・コーチというものは、詳細の名人である。例えば、1996年オリンピックチームのタラ・ヴァンダヴァーは、万が一、双方に行き違いがあるといけないということで、毎試合、チームにホーム用とアウェイ用の両方のユニフォームを常に持たせた。コーチは、ゲームというのは、よく、不適当なセット・スクリーンや、状況に合わないフットワークなど、観客などは気づきもしないような細かい事で決まるということをよく理解している。コーチは、また、効果的なモーションオフェンスの攻撃も適切なスペーシングとカッティングがなければ機能しないということも分かっている。重大な事が起こるかどうかを左右する、細かな事がたくさんあるということを忘れてはいけない。

 

 法則9:”手柄・名誉は共有しなさい。”

 一生懸命働いて、価値のある目標を達成したにも関わらず、誰かが(特にリーダーが)すべての名誉と手柄を持っていってしまうことほど、その人をがっかりさせることはない。「私がよりよくコーチしたから、勝つことができた。」また「選手がちゃんとプレーしなかったから、負けた。」などと信じがちなコーチは、すぐにチームに負けが始まる。物事が上手くいかないときに、ヘッド・コーチは必要以上の非難を受けることも、事実かもしれないが、選手、アシスタントコーチ、マネージャー、アドミニストレーションを含めたあなたのプログラムに関わるすべての人が、物事が上手くいった時には、その名誉に値するものだということを忘れてはいけない。

 

 法則10:”冷静になりなさい。そして、優しくなりなさい。”

 バスケットボールというものは、予想を要求される早い動きのゲームである。これは、コーチが必要以上に感情的であったり、反応的であったりすると、実行するのが難しくなってしまう。冷静を保っているコーチは、あとから後悔するような事を言ったり、してしまったりする事を最小限におさえることができる。

 

 法則11:”ビジョンを持って、注意をしなさい。”

 本当に献身的なコーチは、フィルムをみたり、サマーキャンプにいったり、クリニックに参加したり、大学の練習を見学したり、ゲームをできる限りの方法で勉強することなどに多大な時間を費やす。そして、彼らは、結局ゲームや、プログラム自体をどのようにしたいかということを学んでいく。このような全般のビジョンなしに、コーチは、何を努力してつかむべきか考えることはできない。

 

 法則12:”あなたの恐れや、嫌だという気持ちと相談してはいけない。”

 コーチは、単にすべての人を喜ばせる事はできない。ことわざにもあるように、「観客や、ファンのいうことを聞いてしまうコーチは、結局彼らの隅に座る事になってしまう。」彼の本・The Fighting spiritの中で、ロー・ホールツは、決断課程において、リーダーは、自分自身をひるませるわけにはいかないと指摘している。いったん、決断が下されたら、コーチは、それを成し遂げる責任がある。懸念すべき時は、あなたが再びその賭けを変えようとする時であって、決して、そのさいころが投げられたあとではない。

 

 法則13:”永続的な楽観は、力の増強作用がある。”

 熱狂というものは、伝染するものである。「できる」というすべての選手の積極的な姿勢は、彼らの強さと能力を増加させていく。コーチとして、私たちは、指導している選手にそれくらいの影響を与えているかは、決して知ることはできない。私たちの楽観、もしくは悲観のさざ波のような影響は、とてつもなく大きなものにもなりうる。彼は、もしあなたが、あなたのチームに勝つ見込みがないと感じているのなら、ロッカールームに踏み込むべきではないといっている。なぜなら、選手は、それを感じる事ができるから。彼は、たいてい常に、現実家の厳しい見方よりも、楽天家の非現実的な大望を追いかけることにしているといっている。

 

 もう何年も経験のあるベテランも、ビギナーも創り上げるための断固とした、そして、基本教育を受けた土台を持たなければいけない。バスケットボールコーチとして、自分たちにとって何が効果的なのかを見極め、それに従わなければいけない。」

(訳:堤 朋子