
予選Aリーグ4位でかろうじて決勝トーナメントに進出しながらも,Bリーグ1位のカナダ,4位のオーストラリアを破って決勝に進み,銅メダルに輝いている.チームの平均身長はスタートが203.4cmと非常に高い.
ポイントガード6番のリゴドーは3Pシュートは高確率で勝負強い.予選の中国戦でも,ゲームの最後に3Pシュートを立て続けに決めて逆転勝利に導いた.黒人フォワードで10番のリザシェールは身体能力もずば抜けており得点力がある.2人が攻撃の中心になる.控えの5番のガードも3Pシュート力が高くアシストもトップ10に入っている.センターは基本的にスクリーンナーの役割が強く,5番,6番,10番がそのスクリーンを使って攻撃するスタイルである.
ハーフコートでのセットオフェンスが多彩で,1−4の同じ配置から数種類のセットを展開する.ディフェンスの対応に応じたオプションも非常に巧く,ディフェンスは困難を極める.
スティールからのアウトナンバー以外は,ほとんどが1−4の配置でセットし,ゲームテンポを完全にコントロールしてくる.
図FRA-1は,1−4の配置に入った後にそのままガードがシャッフルのカットに入るオプション例(図左)と,フォワードにボールをパスしてオープンなゴール下のスペースへシンプルに1対1をさせるオプション例(図右)である.

図FRA-1.アーリーのオプション例
1−4の配置から多彩なセットオフェンスを展開するチームである.オプションも豊富に準備されている.ディフェンスのプレッシャーが甘い場合にはシャッフルのセットからリゴドーとリザシェールが攻撃し,ディフェンスが厳しい場合にはガードのリゴドーへ直接ダブルピックをセットしてシュートチャンスを創る.
1.1−4からシャッフルへ入る基本セット
1−1)UCLAカットから入る場合(図FRA-2,3)
1−4の配置からフォワードへのパスの後にUCLAカット(図上左).スクリーンナーはポストアップして,逆サイドのセンターがポジションを移動し,フォワードをシャッフルカットさせる(図上右).UCLAカットしたガードに対してセンター2枚がダブルでダウンスクリーンをセットする(図中左).トップでガードがシュートを打てない場合には,シャッフルカットしたフォワードがセンター2枚のスクリーンを使ってアウトサイドにシュートチャンスを創る(図中右).このスクリーンは,2枚が並ぶ場合と,スタッガードにして時間差を付ける場合とがある.それでもだめなら最後は逆サイドのフォワードがセンター2枚をスクリーンに使って渡ってくるか,またはガードのダウンスクリーンを利用してハイポストへ上がるかのいずれかを選択していた(図下).
シャッフルのカットを両サイドで連続させることはほとんどなく,この動きの中で1対1に入る.


図FRA-2.UCLAカットからシャッフルへ入る基本セット
図FRA-3上は,図FRA-2中右部分のオプション例である.図FRA-2中右ではユーザーとなっているフォワードが,センターに対してスクリーンをセットし,ゴール下にチャンスを創った後に,もう一人のセンターを使ってアウトサイドに広がるオプション例である(図上右).
図3下は,シャッフルのカッターのディフェンスが先回りしたケースのオプション例.シャッフルのカッターがトップへポップアウトしてシュート打つか,あるいはスペースへドリブルの1対1を仕掛ける.

図FRA-3.シャッフルのオプション例
1−2)UCLAカットを入れない場合(図FRA-4)
図FRA-4は,1−4の配置からUCLAカットをせずにシャッフルへ入るオプション例である.一方のセンターがポップアウトし,他方のセンターはガードにフレアスクリーンをセットする.合わせてフォワードは逆サイドへカット(図左).フレアスクリーンを使ったガードへパスが渡れば,センターがフォワードにスクリーンをセットしてシャッフルカットを行わせる.トップにいたセンターは,ダウンスクリーンをセットする(図右).

図FRA-4.UCLAカットせずにシャッフルへ入るオプション例
2.ポイントガードへのダブルピック その1(図FRA-5,6,7)
1−4の配置からセンター2枚がポイントガードにピックをセット.ディフェンスのディナイが厳しい場合には多用するセット.
ガードにセンター2枚がダブルのピックをセットする(図上左).シュートチャンスは,ガードのシュート,いずれかのフォワードへのパス,スクリーンナーへのパスなど.図上右のように,一方のフォワードがクリアーする場合もある.ガードのドリブル突破ができない場合には,スクリーンナーの側のセンターがロールダウンしてポストアップする場合(図下左)と,スクリーンと逆側のセンターがポストアップする場合(図下右)の両方が見られた.いずれもハイローポストの攻撃を狙う.

図FRA-5.ガードへのダブルピック その1
図FRA-6上は,ピックからのハイローポストでインサイドにボールが入らない場合に逆サイドに展開して,フォワードとセンターのピックへ移行したオプション例である.
図FRA-6下は,ガード→フォワード→センターへとパスを送った後に,シュートが打てないケースで,ガードにボールを返した後,残ったセンターがトップでピックをセットしたオプション例である.

図FRA-6.ダブルピック オプション例1
図FRA-7は,ハイポストから逆サイドへ展開した後にローポストに入ったオプション例である.ハイポストのセンターが,逆サイドのフォワードにスクリーンをセットしてハイポストに飛び込ませている.

図FRA-7.ダブルピック オプション例2
3.ポイントガードへのダブルピック その2(図FRA-8)
ガードへダブルのピックをセットして,ガードが一方へドリブル移動.この時に,フォワードが逆サイドのセンターをローポストに飛び込ませるようにスクリーンをセットする(図上右).だめならポップアウトしたセンター→フォワードへとパス.この時に,逆サイドのフォワードがローポストのセンターにクロスコートスクリーンをセットして再び逆サイドのローポストに飛び込ませる(図下左).さらに,センターがフォワードにダウンスクリーンをセットして,ハイポストにチャンスを創る(図下右).

図FRA-8.ガードへのダブルピック その2
4.ポイントガードへのダブルピック その3(図FRA-9)
ガードへダブルのピックをセットした後にフォワードへドリブル移動.フォワードはローポストへ移動してボックスを作る(図上左).センターがポップアウトしてボールを受けるのに合わせて逆サイドでダウンスクリーンをセットしてハイポストにシュートチャンスを創る(図上右).この後に,ガードとセンターがフォワードにスタッガードスクリーンをセットして逆のハイポストにシュートチャンスを創る(図下左).

図FRA-9.ガードへのピック その3
5.1−4から両側でダウンスクリーン(図FRA-10)
縦のダブルスクリーンを2回行った後に横のダブルスクリーンをかけるセットである.
1−4の配置からボックスセットへ移行し,センターがポップアウト.パスしたガードはフォワードに対してもう一人のセンターとダブルでダウンスクリーンをセットする(図上左).フォワードにパスしたセンターは,フォワードにダウンスクリーンをセットする.この時に,最初にダウンスクリーンをセットしたセンターが逆サイドに動いてダブルのダウンスクリーンになっている(図上右).
両側での2回のダブルダウンスクリーンでシュートが打てない場合には,センターがガードに対してスタッガードスクリーンをセットしてアウトサイドにシュートチャンスを創る(図下左).それでもだめならウイングでのピックへ移行するケースが見られた(図下右).
※このセットは,図FRA-4の1−4からUCLAカットをせずにシャッフルに入るセットと同じ動きから始まっているところがポイントである.

図FRA-10.1−4から両側でダブルダウンスクリーン
6.ボックスオーバーロードを用いたピック(図FRA-11)
ゲーム終盤のラストセカンドプレーでも多用していた.
ボックスオーバーロードのセットからウイングのガードがハイポストのセンターを使ってピックへ入る.オプションは@〜Cまでが行われていた.@はガードのシュート.Aはスクリーンナーのロールダウン.Bは逆サイドのフォワードへのパス.Cはローポストのセンターがフォワードポジションへ上がってくるところへパス.
Cの狙いでアウトサイドでボールを受けたセンターが,ドリブルの1対1を仕掛けるケースも多い(図中).14番のセンターは特に1対1の能力に優れているのでこのセットを用いることが多い.
また,逆サイドのフォワードへパスしてウイングでのピックへ移行するケースも見られた(図下)


図FRA-11.ボックスオーバーロードを用いたピック
7.フォワードがベースラインを移動するセット(図FRA-12)
1−4からガードドリブルで2ガードポジションへ移動.逆サイドのフォワードが2ガードポジションへ上がる.ボールサイドのフォワードはセンター2枚を使って逆サイドへカット(図上左).フォワードまでボールを一旦送る(図上右).ここで,フォワードとセンターの2対2ができれば行う.
だめならさらに逆へ展開してフォワードも逆へカット(図中左).フォワードへボールをパスしてそのままシュートが打てない場合には,ウイングでのピックをセット.逆サイドはバックスクリーンで合わせる(図中右).
フォワードのカットに対してディフェンスが先回りしてきた場合には,コーナーへポップアウトするオプション例(図下左)と,フォワードのダウンスクリーンを使ってハイポストへ上がるオプション例(図下右)が見られた.


図FRA-12.フォワードがベースラインを移動するセット
8.1−4からアラウンド(図FRA-13)
1−4の配置からガードの移動を合図にセンターが移動.フォワードへパスした後にガードはアラウンドする(図上左).ガードへボールを渡すタイミングに合わせてゴールしたではクロスコートスクリーンをセットしてゴールしたにチャンスを創る.トップでは受け渡しをしたフォワードがセンターを使って逆サイドにチャンスを創る.
図下は,逆サイドへ遠ざかるフォワードのディフェンスが先回りして場合に,トップへポップアウトし(図下左),オープンなスペースへ1対1を仕掛けたオプション例(図下右)である.

図FRA-13.1−4からアラウンド
9.UCLAカットからフォワードがパス&ラン(図FRA-14)
1−4の配置からUCLAカット.カットしたガードは逆サイドへ.逆のセンターはスクリーンをセット.フォワードはオンガード(図左).オンガードしたフォワードにパス&ラン.この時にボールサイドのセンターがスクリーンをセットする(図右).

図FRA-14.UCLAカットからフォワードのパス&ラン
ハーフコートのマンツーマンディフェンスが基本.ハーフコートの2−3ゾーンディフェンスを短い時間使う.