≪掲載内容≫
○ボール・ハンドリング・ドリル指導の観点
○ボール・ハンドリング・ドリルのメニュー
○ボール・ハンドリング・ドリル指導の観点
☆ボールハンドリングは,初心者が行うだけのものではなく,どのレベルの選手であっても,毎日の練習の導入部分に実施することが望ましい.体育館に入ったら,まず身体のウォーミングアップ(筋温の上昇,関節の可動域の拡張)を行い,次にボールハンドリングへと進み,その日の最初のシュートをゴール下(2.5m程度の距離)から打つというような流れが望ましい.体育館に入って,身体も指先も十分にウォーミングアップされていない状態で,いきなりシュートを長距離から打つようでは,その日のシュート感覚を乱してしまうことになりかねない.シュートも,2.5m(フリースローサークルのゴールよりのサークルヘッドの距離)→4.3m(フリースローライン距離)→5.5m(フリースローラインとフリースローサークルのゴールと反対側のサークルヘッドの中間距離)→6.25m(3Pシュート距離)へと順に延ばしながらシュート感覚を確かめることが望ましい.バスケットボールではシュートが最も微妙な感覚を必要とするものである.したがって,身体と心を十分に整えてからシュートに入っていくことが重要であろう.
☆ボールハンドリングのドリルは何種類もあるが,共通して以下の3点は特に意識することが必要であろう.
1.ボールを見ないこと
- ・ボールハンドリングにおいては,ボールを見ながら行っているのをよく見かけるが,ボールを見ないで行うのが望ましい.しかしその際には,「ボールを見ないで」という消極的な意識ではなく,「周りの状況を見ながら」という積極的な意識の方が良い.ボールを見ないからこそ,指先の感覚(タッチ)がより鋭敏になり,実際のプレー状況においても状況をしっかりと見ながらプレーする習慣が身に付くであろう.
2.動きのリズムを変化させること
- ・ボールハンドリングにおいては,単位時間あたりに実施する目標回数を設定(30秒間に20回など)することも重要であるが,「単に速くできればよい」のではない.バスケットボールにおいては,動きのリズムを変化させること(change
of
pace)が非常に重要な要素である.したがって,ボールハンドリングにおいても,単に速く行うだけでなく,動きのリズムを変えて行うことも重要になるであろう.ゆっくり→はやく→ゆっくり→はやく・・・といったように,リズムの変化をつけ,動きに強弱をつけることが必要であろう.特にリズムが変わる部分をはっきりと意識して,大げさなくらいにリズムの変化を意識することが必要であろう.動きのリズムの変化(動きの強弱)を毎日のハンドリングドリルの中で意識することによって,実際のプレー状況においてもchange
of paceが自然と行えるようになるであろう.
- ・ボールを身体の周りを回すドリルにおいては回すスピードを変化させたり,ドリブルのドリルであればボールをつく高さと強さを変化させるなどの工夫ができる.
3.動きの方向を変化させること
- ・ボールハンドリングは,その場に止まって実施するものもあるが,バスケットボールにおいては上記の動きのリズムを変化させることと同時に,動きの方向を変えること(change
of
dirction)が非常に重要な要素である.その場に止まって実施するメニューであっても,身体の向きを変えたりすることを意識することによって,動きの方向を変える要素を取り入れることは可能である.ドリブルのメニューにおいては,方向変換の要素とリズムの変化の要素を組み合わせて実施することが望ましい.
○ボール・ハンドリング・ドリルのメニュー
- 1.指先の感覚
- 1)身体の正面で左右交互の手でボールをはじきながら上下させる
- ※胸の高さから頭上手を伸ばした高さまで,ボールを左右交互にできるだけ速くはじきながら上下させる.
- 2)胸の前で両手でボール磨くように回す
- 3)片手でのつまみ上げ
- ※片手の指でボールをつまみ上げるようにしてボールを浮かせる
- 4)指先でのボール回し
- 2.身体の各部の周りを回す
- 1)頭の周り
- 2)胴の周り
- 3)膝の周り
- (1)閉脚で両足同時に
- (2)開脚で片足ずつ
- 4)開脚8の字
- ※8の字でボールを回す中に,動きのリズムの変化を取り入れる.できるだけ速く小さく8の字で回す動きと,ボールを一旦頭の高さ以上に上げ大きく8の字を回す動きを交互に行う.
- (1)前回し
- (2)後ろ回し
- 5)身体の各部位をフリーに
- ※上記1)〜4)までの各部位を個別に行わずにつなげて実施する.頭→胴→膝(閉脚)→膝(開脚)→胴→頭など
- 3.ボールの引き寄せ
- ※ボールを片手で軽く投げ上げるようなイメージでボールを高く持ち上げ,そのボールが手から放れそうになる瞬間にリバウンドの要領で反対側の耳の位置まで引き寄せる.この時に,持ち上げるゆっくりとした動きから引き寄せる動きに変わる部分の切り替えに特にアクセントをつけて行う.引き寄せたボールは逆の手で叩くことによって音を出すように意識する.
- 4.片手で背面から投げ上げ逆の手でキャッチする
- ※片手で身体の背面からボールを投げ上げ,肩越しに出てきたボールを逆の手でキャッチする.できれば逆の手でキャッチしたらそのまま背面から投げ上げるように動きを連続させる.
- 5.頭上でボールをタップしてバックスピンをかける
- 1)片手で連続
- 2)両手で交互
- 6.ドリブル
- ※ドリブルのドリルでは,「できるだけ速く」というこだけではなく「ドリブルの高さと強さを変えながら動きのリズムに変化をつけて」を意識すること.
- 1)片手だけで
- (1)高低(腰の高さ→膝下の高さ→腰の高さ→)
- ※手のひらは下を向けたままで行うこと.ボールをこねるような動きを入れない.高いドリブルから低いドリブルへの変化は比較的簡単であるが,低いドリブルから急激に高いドリブルに変化することが特に難しい.ディフェンスを突破するような場合には高い→低いドリブルが特に有効になる.低い→高いドリブルは,突破した後や,ドリブルで急激にストップし後ろへ下がる(引っ張る)ような場合に有効になる.
- (2)前後
- ※ボールの突き出しと引き戻しを連続して行う.特に突き出しの部分は,実際のドリブルの突き出しと同じ動きにすること.肩関節を中心とした振り子のような動きになってしまうと,突き出し部分が実際の突き出しと違う動きになってしまう.
- (3)左右
- ※身体の正面で片手でボールをフロントチェンジするような要領で行う.大きく左右にチェンジするだけでなく,できるだけ低く小さく手首の動きだけで左右に動かせるようになること.
- 2)左右の手で交互に
- (1)フロント・チェンジ
- A)左右にできるだけ大きく行うフロント・チェンジ
- B)突き込んだボールを逆の手でできるだけ低く捉えるフロント・チェンジ
- (2)レッグ・スルー
- ※最初は前後させた左右の足を固定して行っても良いが,最終的には左右の足を交互に前後させながら行えるようにする.
- (3)ビハインド
- ※身体の背面でビハインド・ドリブルを連続させる.
- 3)開脚8の字
- (1)2バウンドで
- ※体側と両脚の真ん中にバウンドさせる
- A)前から後ろへ通す
- B)後ろから前へ通す
- (2)ワンバウンドで
- ※両脚の真ん中だけバウンドさせる
- A)前から後ろへ通す
- B)後ろから前へ通す
