最大酸素摂取量が55ml/kg以上になること?
マルチステージシャトルランテストで120を超えること?
これらは、単なる呼吸循環系の能力の指標でしかない。
40分間走りきれるプレーヤーはこれらの指標をクリアするだろうが、これらの指標をクリアしたからといって40分間走りきれるプレーヤーにはならない。すなわち、これらの指標は必要条件ではあるが十分条件ではないということになる。
そこで、40分間走りきれる体力を『10分×4セットを心拍数180拍/分以上で平気で動ける力』と定義してみた。
このような能力は『40分間徹底してディフェンスプレッシャーをかけ続け、パッシングゲームで自由自在に攻撃できる』ためには、必要不可欠な体力となるだろう。バスケットボールはプレーする時間が決まっているスポーツである。練習中にデジタルタイマー等をセットし、メニューも40分間に対応させる工夫をし、プレーヤーが感覚的に40分の試合時間をつかめるような仕掛けを作り、『ラスト5分の猛攻』を徹底して要求していけば、つらい体力トレーニングであっても、練習の為の練習という雰囲気はなくなると思う。
時間を設定することによって『終わり』もはっきりする。終了時間が決まっている種目なのだから、時間内に『出し切る』ことが最も重要であり、ゲームが終わった時に力が残っているようでは大切な試合をものにすることはできないだろう。エンドレスな練習や、無限に頑張る練習は、結果的に出し切れないプレーヤーを育ててしまうのだと感じる。
40分間走れる体力の養成段階を考える(常に心拍数が180拍/分を超えるイメージで)
コート外で
レベル1:40分間のロングジョックができる(5分/km程、心拍は140〜160程度)

ペースは徐々にアップさせていく方向で
レベル2:40分間のインターバル走ができる
その1:ロングジョックの後半に追い越し走を入れてインターバル化する

10名程度の縦列の最後尾が先頭を追い越して前に出る
前後の間隔は2m程度
ダッシュは10秒程度の全力
ロングジョックの速度を落とさない
その2:ロングジョック全体に追い越し走を入れてインターバル化する

強度を高める工夫
○ダッシュの速度を上げる
○前後の間隔を空けてダッシュの距離を伸ばす
○ダッシュ間のインターバルを短くする
○中間のロングジョックの速度を上げる
○追い越しを下の図のように二人で行い、後ろから追わせる

コート内で
レベル3:40分間のランメニュー(直線的)ができる
レベル4:40分間のランメニュー(切替も加わる)+フットワーク強化メニューができる
レベル5:40分間の攻防練習ができる
これらを『平気な顔をして』こなせるようになれば、試合中も余裕を持って戦える。
練習強度・量を漸増させる工夫
◯アップ&ダウン(コート往復走の往復数とタイム設定を上げていく
123123123や123212321等
234234234や234323432等
345345345や345434543等
1往復:10秒 2往復:21秒 3往復:32秒 4往復:43秒 5往復:54秒
(大学女子26mコートの場合の設定例)
◯トヨタダッシュのタイム設定を上げていく(大学女子26mコートの設定例)
40秒ダッシュ⇒20秒レスト⇒15秒ダッシュ⇒45〜60秒レスト
40秒ダッシュ⇒20秒レスト⇒15秒ダッシュ⇒45〜60秒レスト
40秒ダッシュ⇒20秒レスト⇒15秒ダッシュ⇒45〜60秒レスト
40秒ダッシュ⇒20秒レスト⇒15秒ダッシュ⇒45〜60秒レスト
40秒ダッシュ⇒20秒レスト⇒15秒ダッシュ⇒45〜50秒レスト
複数メニューを組み合わせトータルで40分の負荷をかけていく工夫
◯複数のランメニュー
◯ランメニューとフットワークメニュー
◯ランメニューとサーキットトレーニングメニュー
バスケットボールには「走力」が必要不可欠です.では,バスケットボールに必要な走力とはどんな能力なのでしょうか?
バスケットボールは,ダッシュやジャンプなどの高強度の運動をインターバル的(間欠的)に反復する競技です.したがって,バスケットボールに必要な走力とは,マラソンのような長時間一定強度の運動を持続させるような走力ではなく,ダッシュを反復するような走力ということになります.
したがって,走力アップのトレーニングも,ロングジョックのような持続走中心ではなく,ダッシュを繰り返すようなインターバル走が中心にならなければなりません.ダッシュを繰り返すインターバルトレーニングを行うことによって,トレーニング時の心拍数は非常に高くなります.その年齢での最高心拍数(220−年齢:例えば18歳なら220−18=202)に達することもあります.このようなトレーニングによって,心臓の一回拍出量が増加し,結果的に心拍出量(1分間にどれだけ血液を拍出出来るか)が高まります.また,高強度の運動を反復しますので,当然 筋中や血液中の乳酸濃度が高まり,筋のpHは下がってきます.筋のpHが下がって酸性になってくると筋肉は収縮できなくなり,いわゆる疲労した動けなくなる状態になります.
インターバルトレーニングを継続することによって,筋のpHが下がりづらくなります.結果的に追い込んでも簡単には疲労しない体になります.乳酸を筋中に取り込んで緩衝したり,血液中に直ぐに排出したりすることが出来るようになるからです.これを筋の乳酸耐性が高まると表現します.
これに対して,ゆっくりとしたロングジョックでは,あまり心泊数は上がりません.120から140拍/分くらいが適切でしょう.このようなロングジョックでは,毛細血管の発達が促されます.これは,筋肉の隅々への血流量が増加することを意味しており,筋へ酸素を供給する能力が高まると同時に,筋で発生した老廃物を取り除く能力も高まります.このことは,バスケットボール選手にとっても非常に重要な意味を持ちます.シーズンの最初や,オフシーズンにロングジョックを行って,毛細血管の発達を促すことは,結果的にシーズン中の疲労回復能力を高めることにつながるのです.
したがって,ロングジョックは必要なのだけれども,それだけでは不十分だということになります.
また,小学校や中学校レベルの場合には,走力だけを取り出して負荷をかけるようなトレーニングはまだ必要ありません.技術戦術練習をとおして走力をアップさせるだけで十分です.この時期には,動きの改善こそがトレーニング課題になるからです.
バスケットボールコートの4隅にコーンを立て、1周を走る秒数を設定し、10分間一定速度で走り続ける持続走を行う(単純に1ピリオド10分の競技なので)。設定タイムは28秒(1周を28秒の速度で走り続ける)、25秒(以下同じ)、23秒、21秒、20秒、19秒と、実施するたびに、だんだん短くしていく。1日で全てのタイムを実施するのではなく、たとえば、ある日は28秒×10分、2分休憩、25秒×10分など(単純に前半のイメージ)。

そうすると、突然10分間の継続走ができなくなるタイムが出現する。
たとえば、23秒の設定なら10分間継続できるが、21秒の設定なら7分まではついていけるが、その後についていけなくなるなど。ついていけなくなるタイムは、個人によって異なるはず。
ちなみに、管理人のコーチしている大学女子チームでは(普段使用しているサブコートは縦が26m)、20秒の設定の時に数名がついていけなくなった(トレーニング期開始1週間目の段階)。21秒の設定では問題なく走り続けたが、20秒の設定では8分くらいから突然遅れ始めた。このプレーヤーは、ゲームをすると、やはり真っ先にペースダウンする。
10分間を持続的に一定速度で走りきれるということは、生理学的には血中乳酸濃度がそれほど上昇していないことを意味する。おそらく4mmol(ミリモルと読む)以下。当然余裕がある。しかし、開始後数分は設定タイムで走れても、途中からついていけなくなるということは、明らかに血中乳酸濃度が一定濃度を超え、運動の継続が困難になったことを意味する。おそらく4mmol以上。余裕が無くなった状態。
この4mmolを超えて血中乳酸濃度が急激に上昇し始める運動強度のことを生理学用語ではOnset of Blood Lactate Accumulation、略してOBLAと呼ぶ。この運動強度を超えると、乳酸の蓄積が過剰になり、運動の継続が難しくなる。持久力の強さを表す一つの指標でもある。この値が高いほど、持久力が高い。
そう考えると、コートランの設定タイムを徐々に上げていくだけで、血中乳酸濃度を測定しなくても、プレーヤーのOBLAに相当するであろう運動強度を簡単に把握することができるということになる。シーズンが進む中で、10分間一定速度で走り続けることができるタイムが徐々に上がっていけば、それだけOBALが高くなったことを示し、持久力が高まったことを意味する。
マルチステージシャトルランテストも、持久力を測定するフィールドテストとして広く活用されている(文部科学省でも、競技スポーツでも)。20mの距離を往復する走速度を徐々に上げていき、ついていけなくなるまで(オールアウトまで)追い込む最大負荷法が特徴であり、最大酸素摂取量との相関が高い。これには、「呼吸循環機能の最大能力」を測定するという価値がある。
これに対して、今回紹介したコートランは最大下負荷法(ある一定時間は継続できるので最大負荷ではない)が特徴であり、OBLAを簡易に把握できるという価値を持つと考えられる。バスケットボールのような種目では、呼吸循環機能の最大能力も大事だが、ある一定強度の運動を一定時間継続できる「最大下運動の持続能力」も非常に重要な意味を持つ。最大の能力と最大下の能力は、どちらも持久力の指標になるが、少し意味合いが異なる。簡単に表現すると、最大下の能力が高くなることによって、ゲームスピードの土台(ベース)が上がる。土台のペースが上がっても平気で運動を継続できる余裕があれば、その上がったベースの上に、ダッシュを繰り返すことも可能になるので、相手に対して相当有利な試合運びができる。

バスケットボールでは、上の「走力を伸ばす前に考えること」で書いたように、ダッシュッシュの繰り返しによる非常に高い強度でのインターバルトレーニングを行い、スプリント力と持久力を同時に強化する方法が主に用いられる。一定強度の運動を持続するような競技ではないので、試合場面に類似した負荷のかけ方でトレーニングするのは、理にかなっている。インターバルトレーニングによってOBLAも向上する。しかし、ゲームスピードの土台アップには呼吸循環機能の最大能力の向上が不可欠だが、それ以上にOBLAで評価できる最大下運動の持続能力が大きく影響する。(ややこしい話なので、興味ある人は管理人が昔に出した論文をご一読ください。)
シャトルランテストで最大能力を把握するだけでなく、たまにはコートランで持続走の負荷をかけ、最大下の能力であるOBLAがどのくらい向上しているかを把握することも必要だと感じる今日このごろである。
ちなみに、コートランのタイム設定で走った時に、1000m、1500m、12分間走がどうなるかのシミュレーションの表を下に載せました。ここでは、ポジション毎の目標を女子を例に設定してみました。いかがでしょうか?

トレーニングを行う場合には,どんな場合においても,目標値を設定し,それをクリアーするように指導する必要があります.目標値がなければ,プレイヤーのモチベーションも高まりません.「無限に頑張る」ではなく「目標を設定して頑張る」ことが重要なのだと感じます.そして,その目標値には,しっかりとした根拠があり,かつ直ぐに達成することは難しいけれども必ず達成できると思えるようなレベルに設定することが重要です.目標値の設定が低すぎれば能力の向上は図れませんし,あまりに高すぎてもやる気が起こりません.コーチの腕の見せ所でしょう.小学生がJBLのレベルを目標値に設定しても意味がありません.また男子と女子とでは目標値の設定が変わってきます.
また,目標値を何段階かにわけて設定することができれば,シーズンを通して徐々に走力をアップさせていくことが可能になります.最終的に達成したい目標値から逆算し,期間を区切って目標値を段階的にステップアップさせていくのが良いでしょう.
さらに,走力アップには,単純に走力だけに負荷をかけるような練習メニュー(例えばコートの往復走など)だけでなく,ボールを使ったメニュー(2メンや3メンなどのランニングメニューや,2対1や3対2などのアウトナンバーメニュー)も組込み,走力アップの練習が単調にならないように配慮することが大切です.しかもそれぞれのメニューがが相互に関連しあっているような階層的な整理が出来れば,選手も意欲的に取り組むのではないでしょうか.
1.アップ&ダウン(コート往復走)
2.3メンタイムトライアル
3.3対2連続ゲーム
4.コート周回走
5.TOYOTAダッシュ(インターバルトレーニング)
6.エイトラン(インターバルトレーニング)
これは,コートの28mを単純に往復するメニューです.同一の往復を数セット行うのではなく,往復の数を上げたり下げたりしながらトータルで9セット行うように設定してあります.このセット数などの設定は自由です.
但し,下に示したようにレベルと目標時間を設定し,負荷を段階的に高めていきます.時間設定については,神奈川大学女子バスケットボール部の例を示しました.1往復の11秒を基本にし,2往復なら本来22秒で良いところですが,往復が増えるに従って少しずつ遅くなりますので1秒足し,23秒にしてあります.以下同様に12秒ずつ足してあります.男子の場合には,これよりも短い時間設定が可能になるでしょう.
レベル設定
・レベル1(1往復,2往復,3,2,1,2,3,2,1)合計17往復
・レベル2(2,3,4,3,2,3,4,3,2) 合計26往復
・レベル3(3,4,5,4,3,4,5,4,3) 合計35往復
目標時間設定(神奈川大学女子バスケットボール部の目標設定例です)
・1往復11秒
・2往復23秒
・3往復35秒
・4往復47秒,
・5往復59秒,
・6往復71秒,
・7往復83秒,
・8往復95秒
・9往復107秒
・10往復119秒
レベルの調節
・3交代(運動と休息の比率が1対2)を基本とし,負荷を高めるためには2交代(運動と休息の比率が1対1),負荷を弱めるためには4交代(運動と休息の比率が1対3)にする
・各往復の時間設定を変える
場合によっては,1,2,3,2,3,2,3,2,1のようにアップダウンのの山を変えることもできますし1,3,5,3,1,3,5,3,1などといった設定もできます.工夫次第でいろんな負荷設定ができます.ゲームにはテンポがあります.1試合の中でもテンポが上がったり下がったりします.同一負荷で反復していないのは,このようなゲームのテンポのアップダウンに自由自在に対応できる走力を意識させるためでもあります.試合の中で,一気に5往復徹底して走りきるだけの走力が付けば,「ゲームの流れを一気に引き寄せる」ビッグタイムを創れるだけの基本的な走力が付いたといえるのではないでしょうか.
これは,下の図1に示したように,コーンを置いた3メンを使った走力アップのメニューです.コーン等の目印を置かないと,時間設定が有効に機能しなくなります.時間が短くなるほど,走る距離が短くなるのでは意味がありません.きっちりと走る距離を設定した上で時間を短縮していく努力をすることが効果的です.
オーガナイズ
・コーン(またはボトルなどの目印)を6カ所に設置
・必ずミドルマンへのパスを経由する
・アシストの後はフリースロー延長線上のコーンの外側を通る
・ショットの後はハーフラインのコーンの外側を通る
・バウンドパス禁止(時間を合わせるためのドリブルは可)
・最後のショットはタイムアップとどじにボールが手から放れている場合のみ有効
目標時間設定
※往復の目標時間の設定は,メニュー1のアップ&ダウンと同様に設定します.1往復なら11秒,2往復なら23秒,3往復なら35秒という具合です.
メニュー1のアップ&ダウンと連動させて段階的に目標値をアップさせていきます.アップ&ダウンの1番山の高い部分(例えばレベル1なら3往復)をクリアーすることを目標にしている段階であれば,3メンタイムトライアルも3往復にトライします.
あるいは,3メンタイムトライアル自身をアップ&ダウンに設定することも可能です.但しこの場合にも単に往復の数を増やすだけではなく,きっちりと目標時間を設定することが必要になります.
レベルの調節
・コーンの位置を動かすことによって移動距離を調節
・ドリブルを制限することによって負荷は高まる

図1.3メンタイムトライアル
これは,アウトナンバーの連続ゲームによって走力アップを狙ったメニューです.3対2の形態をとっていますが,実際にはこの中で1対0や2対1の場面も頻発します.それぞれの状況を取り出して個別に練習することも必要ですが,この練習の中ではそれらが全て発生しますので,総合的なアウトナンバーの練習メニューになります.結果的に1人が3往復するように設定してあります.
最初から2対1や3対2の状態を作って待ち受ける片道だけの練習メニューもありますが,このメニューの場合には,防御側が最初から下がって待ち受けるのではなく,実際に戻りながらアウトナンバーの状態が発生するので,よりゲームライクなミニゲームになります.
オーガナイズ
・チームを二つに分け番号をつける(図中では○チームと×チーム)
・最初に3対2の状態をつくる(図中では○チームが攻撃の3人,×チームが防御の2人)
・5人がハーフラインを超えたところで,防御側が1人参加する(図中では×3番)
・攻撃が終了したら,攻撃側の番号の若い1人が抜ける(図中では○1番)
・攻防の切り替え(図中では×の1〜3番が攻撃し,○の2〜3番が防御する)
・5人がハーフラインを超えたところで防御側が1人参加する(図中では○4番になる)
・攻撃が終了したら,攻撃側の番号の若い1人が抜ける(図中では×1番になる)
・抜けたプレイヤーは自分のチームの列の後ろに並ぶ
・これを繰り返す
目標時間設定
・目標の時間を設定し,両チームの得点を記録します.負けた側にはペナルティーを設定します.
・目標時間と同時に目標得点を設定するのも効果的です.例えば10分で30点とか40点などの設定です.この目標時間と目標得点の設定は,自分たちのチームが,1ゲームの40分間(中学の場合には28分)で何点とりたいのかを設定することから始まり,逆算していきます.例えば究極的に1試合で120点とれるようなゲーム展開に持ち込むためには,10分間で30点取る必要があるわけです.その目標とする試合のペースをイメージさせ体感させるためには,このような時間と得点に目標を設定することが効果的になると思います.そのテンポを実際にゲームの5対5の中で表現していけばよいのです.「1試合で何点とろう」とかけ声だけでは行き当たりばったりのゲームになります.
レベルの調節
・レベルを上げるためには,各チームの人数を少なくします.各チームが5人(3往復攻防して2往復分休む計算になる)ずつくらいがかなりきつくなります.人数が増えれば増えるほど負荷は低くなります.

図2.3対2連続ゲーム
これは,単純に1コートを周回するメニューです.ダッシュを繰り替えすインターバル走ではなく,中距離的な持続走になります.コートは縦が28m,横が15mですから,1周は28×2+15×2=86mになります.少し膨らみが出てきますので,1周やく90mくらいでしょうか.これを15周行うと,約1350mということになります.1500m走というメニューがありますが,これを簡単にコートを使って行うようなものです.したがって,1500m走を何分で走れる力があればよいのか? を出発点にして15周の目標時間を設定すればよいわけです.
目標時間は,「最低でも」という設定ですから,それ以上早く走れる人は早く走って良いわけです.中距離は非常に負荷の高い運動です.自分を追い込むことが出来るプレイヤーは,どんどんタイムを短縮して行くはずです.
オーガナイズ
・コートの四隅にコーンを置く
・チームを2つに分けて対角からスタートさせる(追い越し自由)
目標時間設定
・15周6分(神奈川大学女子バスケットボール部のトレーニング開始時の設定値です.期間毎に10秒ずつ短縮していきます)
・2分(クォーターの時間と同じに設定する)の休息をはさんで逆回りを行う
レベルの調節
・周回数を増減させる
・目標時間を増減させる
・休息時間を増減させる
これは,WJBLのトヨタ・アンテロープへ合宿にいった際に、やっていた持久力の向上をねらいとした強度の高いインターバルトレーニングです。
実施手順
1.エンドラインに並ぶ。
2.45秒間でコートを3往復してさらにハーフラインまでダッシュする。ハーフラインを超えたら反対側のエンドラインまでジョック。
3.15秒後にスタートし、10秒間でコートを1往復してさらにハーフラインまでダッシュする。ハーフラインを超えたらスタートした側のエンドラインまでジョック。
ここまでで1セット。これを1分間の休憩を挟んで5〜10セット繰り返します。
ちなみに、大学生の女子でも28mの正式コートだと非常にきついメニューになります。走り込みの時期には最適なインターバルトレーニングです。
1セット=(40秒ダッシュ⇒20秒休息⇒15秒ダッシュ⇒45〜60秒休息)
図3.TOYOTAダッシュ
これは、コートを8の字にダッシュするメニューです。コーンを回る部分は身体を内側に傾け、足関節にも非常に負荷がかかります。直線部分は、身体を前傾させ、一気に回転数を上げて加速します。加速した速度をできるだけ落とさずにコーナーを曲がるのが課題です。
これを、片側5セット程度実施したら、逆側も実施します。ダッシュが終ったら、コートの外周をジョックして次のスタートに備えます。
5人程度で一組になりスタートします。何組作るかによって、運動時間と休息時間の組み合わせを1対2や1対3等に設定できます。

図4.エイトラン
走力アップのトレーニングを実施したら,定期的にどの程度走力が向上したかを評価する必要があります.評価には
1.日常的な評価
2.定期的な評価
の二つがあります.日常的な評価としては上に示したようなメニューそのものが評価の対象になります.目標値をクリアしたかどうかが即評価になります.これに対して,定期的な評価としては,マルチステージシャトルランテスト(文部科学省の新体力テストの項目に採用されている.20mの間隔を速度を上げながら往復し,最終的にオールアウトまで追い込むテスト)が最適です.月に1度あるいは2ヶ月に1度程度,テストを実施して走力がどの程度アップしているかを評価していきます.
このテストは,バスケットボールだけでなく,サッカーやラグビーなどの他の球技でも盛んに実施されております.バスケットボールではプレイヤーの評価に加えて,審判の資格試験時にもフィットネステストの一つとして採用されております.このテストは,現在ではアシックス社製やモルテン社製のスポーツタイマーなどに組み込まれており,特別なテープやCDを準備する必要が無くなっております.
どのようなトレーニングでも,評価は不可欠です.評価がなければ,やりっぱなしのトレーニングになってしまいます.シーズンの目標値を設定し,それを確実に達成していくためには,評価を抜くことは出来ません.確かにマルチステージテストは追い込みの測定ですので,過酷なメニューではありますが,定期的に実施していくことが望まれます.
日本のバスケットボール界には,トレーニングの目標値が設定されていません.一貫指導を制度的にも,理念的にも,方針的にも,内容的にも,確立していくためには,目標値の設定が不可欠です.今後,各年齢層のプレイヤーが「共通のテスト項目」で能力を評価し,各年齢での目標値を明らかにしていくことが必要になります.諸外国のデータなども明らかにしながら,日本人としてどこまで走力を高めたらよいのかという到達目標を設定しましょう.
そのために,このホームページをごらんの皆さんも,自分のチームで採用している走力の評価メニューを是非教えて頂きたいと思います.勝負の世界でもありますので,自分のチームの評価法や,評価基準,あるいは達成目標や現在の値等を公開していくのには限界があることは承知の上で,あえて指導者が共通の尺度をもつことを提案していきたいと思います.
各年齢層での日本代表選手の測定を通じて,目標値を設定して行ければ良いと願っております.そうすれば,単なる大学教員の論文作成のための測定で終わることなく,本当に日本の指導者のための測定になると思います.