○ジャンプ力について考える

≪掲載内容≫
ジャンプ力を伸ばす前に考えること[01/03/20]
ジャンプ動作をイメージしよう[01/03/20]
ジャンプ力を構成する二つの能力[工事中]
筋トレ[07/01/30]
腱トレ[工事中]
ストレッチング[工事中]
参考資料[01/03/20]
○ジャンプ力を伸ばす前に考えること

 ホームページ開設時から「ジャンプ力を伸ばすにはどうしたらいいですか?」というメールをたくさん頂きました.バスケットボール選手にとって,ジャンプ力は必要不可欠な能力です.さらに,男子選手なら誰もが「ダンクをやりたい!」と思うはずです.そこで,ここでは私の理解できる範囲でジャンプ力を伸ばすためのトレーニングについて考えていきたいともいます.あまりに質問が集中するので,作成中ですが,アップしてみました.しかし,今回は,トレーニングの中身は全くありません.動きのイメージだけです.

 先ず最初に断っておきますが,ジャンプ力は,1回や2回のトレーニングでそう簡単に向上できる能力ではありません.また,ジャンプ力は,筋繊維の組成や腱の形態など遺伝の影響も大きく,トレーニングによって「劇的に」向上させることが難しい能力でもあります.さらに,中学校から高校の初期にかけての発育段階の途中にはジャンプトレーニングの負荷が強すぎたり,ケアが不十分であったりすると,ジャンパーズニーと呼ばれる膝蓋靱帯炎を引き起こしたり,膝蓋靱帯が頸骨にくっついている部分が引っ張られて腫れてしまうオスグットになったりしてしまうので,十分な注意が必要です.

 発育段階の特徴として,小中学校高学年から中学校の時期は「ゴールデンエイジ」と呼ばれる時期に当たります.この時期は,見本の動きを見ただけすぐにまねてできるようになったり,少し複雑な動きであっても数回の練習ですぐにできるようになったりする「即座の習得」が可能な時期です.この時期には,動きに徹底して負荷をかけ,「強くなる」練習よりも「上手くなる」練習をどんどんする必要があります.神経系がまだまだ発達しているこの時期こそ,基本の動きを高め,技幅を広げるのに最も適した時期なのです.ジャンプについても,高さを最初から高めることよりも,ジャンプの良い動きを早い段階で身につけてほしいものです.良いジャンプの動きを早期に身につけることが出きれば,将来,骨の成長が止まり,トレーニングによって筋や腱が強化されたときに,必ずやジャンプ力が向上してくることと思います.

 筋力は成長後に後からつけることが十分可能ですが,基本の動きだけは大きくなってからではもはや習得不可能になってしまいます.目先の誘惑に駆られて,早期に体力トレーニングを開始しすぎたことが原因で,将来のスポーツ生活を断念せざるを得ないような腰椎分離症や膝痛に悩まされて困っている人たちは数知れません.そうではなく,将来のスポーツ生活をより大きく広げ,実りあるものにするためにも,ゴールデンエイジ期には動きを徹底して高めていくことが大切なのです.日本のバスケットボールでは,ミニから実業団まで,みんな勝利至上主義で勝つために頑張っているのが現状です.「大人(コーチ)の勝ちたいという欲望が子ども達をつぶしている」という現実は否定できないのではないでしょうか? 「子供は大人のミニチュアではありません」.発育発達を考慮した一貫指導の考え方が必要な理由はこのあたりにあるのです.

 ジャンプ力を高めるためのトレーニングに進む前に,下に示した図からイメージを膨らませて,また,実際に自分のジャンプの動きを鏡に映して,「良いジャンプの仕方」を試行錯誤してみていただければ幸いです.黒人のジャンプの動きや,走り幅跳びや走り高跳びの動きなどのも非常に参考になるはずです.


○ジャンプ動作をイメージしよう

 ジャンプ運動をモデルにした下の図1と図2を参考にイメージを広げて下さい.図1はその場でのスタンディングのジャンプ(上段は股関節の伸展も使っている良いジャンプの動き,下段は膝関節だけで股関節が使えていない悪いジャンプの動き),図2はランニングのスピードをそのままジャンプへ活かすストライドストップのジャンプのイメージ図です.

 ジャンプは「膝関節の伸展(大腿部前面の筋肉)」だけで跳んでいるように思われがちですが,図1上段や図2からもわかるように,実は「股関節の伸展(背筋,大殿筋,ハムストリングなど)」と「足関節(足首)の底屈」が大きく関与しているのです.膝関節の伸展だけに頼ったジャンプでは高く飛ぶことができません.女子に特に多いですが,ボールを直ぐに頭上にもってくるため,いわゆる「おへそが出ている」ような姿勢で,結果的に股関節が開ききり,膝だけを使ったジャンプになっているケースが多く見られます.

 股関節の伸展には,背筋や大殿筋やハムストリングなどの大きな筋肉が関与しております.これは,図1のスタンディングのジャンプでも,図2の助走をつけたジャンプでも同じです.網目で囲んだ二つの関節の動きを良くイメージして下さい.

 例えていうなら,股関節を伸展させる動きが大きな力を発揮するエンジンの役割で,そこで発生した大きな力を最終的に床に伝えるカタパルトの役割をしているのが足関節です.アキレス腱などがバネの働きをして,大きな力を床に伝えていきます.大きな力を体の中心部分で発生させ,それを膝から足首へと伝えていくのです.最も大きな力を発揮でいる股関節をどれだけ使えるかが大きな鍵になっているのです.

 
図1. スタンディングジャンプのイメージ図

 


 図2.ランニングからストライドストップでの両足ジャンプのイメージ図

 助走付きのストライドストップからの両足ジャンプでも全く同じことがいえます.先ずは,下の図3をイメージして下さい.ボールを床と平行に投げたとします.その時に,角度の異なる台にぶつけます.そうすると,台の角度によってボールの跳ね返る角度も変わってきます.助走をつけるということは,水平方向におおきな勢いをつけるということです.そして,その勢いをできるだけ殺さずにジャンプの高さに活かすことができればよいのです.

 そのためには,図4の左側のように,一歩目の踏み込みを体よりも大きく前に出し,走ってきた勢いを上方向に変換するための壁を創ります.そうすることによって,股関節の伸展を大きく使えるジャンプが可能になるのです.ところが,右のように,1歩目を体の真下に置くと,どうしても前に流れてしまいます.前に流れるのがイヤだから,「一旦減速してからジャンプする」という結果になってしまいます.これでは助走をつけてもつけなくてもジャンプ高は変わらなくなります.

 助走の勢いをジャンプに活かすためには,1歩目の踏み込みが肝心なのです.「足関節を背屈(つま先を上に上げる動き)させて固め」,膝を120度くらいに浅めに曲げ(最も大きな力が出る角度です),走ってきた勢いをできるだけ活かすようにします.

 男子は比較的黙っていても,良い動きが身につく可能性が高いですが,女子の場合にはこの良い動きが自然に出きるプレイヤーはごく希です.最近では永田選手や相澤選手(シャンソン)大神選手や大山選手(いずれもジャパンエナジー)などが,この良い動きを完全に自然にマスターしております.スピードのあるペネトレートからストライドストップで力強くジャンプショットが打てる選手は,必ずこの動きができています.どうしてもジャンプストップのジャンプショットしかできない選手は,この動きができていない証拠です.

 女子でもジャンプストップのジャンプショットは,ミニや中学生でも打つことができますが,その多くは前述したように股関節が開ききっており,足関節だけを使った「非常に早いけれども大きな力を発揮することができない動き」でしかありません.ストップしたときには既にボールを頭の上に抱えていることが,そうなってしまう一番の原因です.「ボールを下げるな」という指導が,結果的に股関節を使えない動きを身につけさせる結果となっている可能性があるのではないでしょうか? ドリブルが床について跳ね返ってくるのを膝下でキャッチし,その勢いをそのまま殺さずに腕の振り上げとして利用し,さらに,股関節の大きな力が使えれば,本当に力強いストライドストップのジャンプショットになります.

 女子のプレイヤーで,「おとこまさり」のプレイをする身体能力の高い選手はこの動きが何故か自然に出きるのです.男子の良い動きを観て自然に身につけていったのだと思います.


 図3.ボールの跳ね返り


 図4.ランニングからの踏み込みをどこに置くか


○ジャンプ力を構成する二つの能力

 ジャンプ力には大きく以下の二つの能力によって構成されています資料2)

1.大きな仕事をして高く跳ぶ能力(滞空時間,跳躍高の優劣で評価)
  ⇒ウェイトトレーニングで向上させる

2.踏み切り時間を短縮する能力(踏み切り時間の短さで評価)
  ⇒プライオメトリックトレーニングで向上させる
  ⇒フットワークメニューで向上させる
  ⇒アジリティーメニュー(ラダーなど)で向上させる


○筋トレ

 ジャンプ力を向上させる筋力トレーニングとして、下に2種類のスクワットデッドリフトハイクリーンを示しました。
 この3つのトレーニング手段は、ジャンプ動作と同じ動きを含んでおり、トレーニング重量が上がることが直接ジャンプの跳躍高に影響してきます。(大学女子で、スクワットは体重の1.5倍から2.0倍、デッドリフトが体重の1.5倍から2倍、ハイクリーンが体重の0.8倍から1.0倍くらいを目標にやってます。)

 それぞれの連続した動きをイメージして下さい。トレーニングを効果的に進めるためには、重さ、反復回数、休息時間、セット数などが重要な要素になりますが(これらの要素については、筋力のページを参照下さい:近々アップ予定です)、最も大切な要素は『動きの正確性』です。筋力トレーニングは力比べではありません。ただ重いものを持ち上げれば良い訳ではなく、常に実際のプレー中の動きへと転移させていかなければならないので、『正確な動きができる段階』がクリアできてから初めて『挙上重量を上げる段階』に進むべきです。動きが不正確なままトレーニング重量だけを上げていくと、結果的に故障が発生する危険性が高まります。トレーニングして怪我をするようでは、本末転倒です。

□スクワット

 ここでは、膝をつま先の位置まで出すものと、膝を動かさないものの2つを紹介します。膝よりもつま先が前に出ると、どうしても膝関節に対する負担が大きくなります。膝を動かさないタイプは、股関節の柔軟性が十分でないと実施することが難しいと思われるので、まずは図5のタイプから開始しましょう。

 ※ところが、図6のイメージでやると、結果的に図5の動きになる場合が多いです。不思議ですね。


 図5.スクワット1(膝をつま先の位置まで出す)

  膝をつま先まで出したスクワット


 図6.スクワット2(膝を動かさない)

《留意点:感じばっかりで済みませんが・・・》
1)図5、図6のいずれの場合も、『膝の曲げ伸ばし』のイメージはなく、『股関節の屈曲・伸展』の結果、『膝が勝手に曲がったり伸びたりする』感じ。
2)図は真っ直ぐに立った状態からスタートしているが、動きのイメージは、最も下げた場所がスタートになる感じ。
3)シャフトは上下に動き、股関節は前後に動く感じ。
4)膝から下を動かさないで、膝の上に立ち上がっていく感じ。
5)目線は常に前。決して顔を下げない。
6)最初は踵加重になるが、なれれば足裏全体加重をする感じ。
7)立ち上がりは『お尻を締める』感じ。
8)スタンスは肩幅よりも少し広め

□デッドリフト


 図7.デッドリフト

  床からの映像 
  膝からの映像

 スクワットやデッドリフトと基本的には同じ股関節の伸展の動きがメイン。
 大きなプレートを使って床から行う場合と、膝の高さから行う場合がある。最初は膝からがやりやすい。

《留意点》
1)身体からシャフトが離れないようにする。
2)腕は伸びたまま。
3)肩の位置はシャフトの真上か若干前。
4)視線は常に前。決して顔を下げない。
5)真っ直ぐ直立まで引き上げる。
6)最後の股関節伸展部分の勢いが最も上がる感じ。

□ハイクリーン


 図8.ハイクリーン

  膝から

 デッドリフトと同様に、床から行う場合と、膝の高さから行う場合がある。最初は膝からがやりやすい。

《留意点》
1)腕の力は全く必要ない。股関節の伸展力でバーを一気に上に引き上げる。その勢いで結果的に腕が曲がる感じ。
2)ジャンプする感じ。
3)肩の位置はシャフトの真上か若干前。
4)視線は常に前。決して顔を下げない。
5)受け止めは、スクワット姿勢をとり、肘は前に出す。


○腱トレ

 作成中


○ストレッチング

 作成中


○参考資料

 さらにジャンプ力について詳しく知りたい方には,以下に紹介する資料が参考になると思いますのでご参照下さい.

1)コーチングクリニック, 1996年8月号, 特別報告“ばね”を測定する, 図子浩二, p.20~25.
2)コーチングクリニック, 1996年9月号, 特別報告“ばね”を測定する, 図子浩二, p.18~25.
3)Jurnal of TRAINING SCIENCE, 2000, vol.12, No2, 特集【実践的トレーニング科学に向けての提言】SSC理論を応用したトレーニングの可能性, 図子浩二, p.69~84.