...back number 03...

矢野顕子

 date; 98.12.13
 place; NHKホール

毎年恒例、託児所完備(ありがたい...)! 矢野顕子の「さとがえるコンサート」にNHKホールまで行ってきました。

最初の曲で驚いた。なんと「Girl of Integrity」、もうむちゃくちゃかっこいい!それにしてもめずらしい曲をやるなぁ。憶えてる範囲でこの曲をやったのは「グラノーラ・ツアー」以来ではないでしょうか。ちなみにこの曲が入っているアルバム「峠のわが家」は86年の作品で、矢野-坂本ラインの最高傑作です。
続く2曲目もめずらしいぞぉ、「Rose Garden」だ!これも「ただいま。」のツアー以来だと思います。そうです、今年はニュー・アルバムが出なかったので、今回のコンサートは今まであまりライブでやってない曲を中心とした構成になっているのでした。

ちなみに今回のメンバーは以下の通り;
 
Akiko Yano - Vocal, Piano, Rhodes, Synth
 Anthony Jackson - Bass
 Cliff Almond - Drums
 Carol Steele - Percussion, Chorus

そうです、今年もまたギターがいないのです。なにしろAnthony Jackson(なんと16ポンドの減量に成功!)の6弦ベースは音域がひろくてバカテクですから、十分にギターがなくてもカバーできている。そしてなによりも、矢野本人がピアノだけでなくローズやシンセを弾き分けているのでな〜んにも問題ない。
よく考えてみたら、彼女は70年代にデビューしたときから、ピアノやらシンセやらを四方にぐるっと取り囲んだ中でプレイしていましたっけ。それが80年代以降、ピアノ弾き語りスタイルでリスナーからのイメージが定着していただけで、彼女にとってマルチ・キーボードは昔から自然なことなのかもしれないですね。

コンサート中盤のピアノ弾き語りのコーナーでは、ムーンライダースの新譜「月面讃歌」から「ニッドキャップマン」を演奏。これがまた実に変った曲で、作詞した糸井も糸井だが、これをシングルにしてしまうムーンライダースもムーンライダースだ。そしてなによりも、よりによってこの曲をカヴァーしてしまう矢野も矢野である。しかし今回もまた「ヒトの曲、矢野が唄えば矢野の曲」ということわざは正しかったのでした。
さらに弾き語りで「GREENFIELDS」を演奏。かつてツアーでドラムを担当していた高橋幸宏が、演奏しながら涙が出るのをこらえるのに苦労した、という逸話があるほどの名曲です。もちろん僕は遠慮なく泣きました。え〜ん、え〜ん。

アンコールでは「先頃亡くなった大村憲司もこの曲を好きだと言っててくれました。」というMCで「また会おね」を演奏。矢野-大村コンビでの数々の演奏を思い出します。まだまだ彼にはいっぱい矢野の曲を弾いてほしかったんだけどね...。
そしてラストはみんなの好きな「David」。かつて「やっぱり猫が好き」の主題歌になっていた曲ですね。やっぱりこれも名曲だなぁ、っておいおい、結局ぜんぶ名曲なんじゃん!

矢野顕子、まさにONE AND ONLY。天才って言葉はたぶんこの人のためにあるんだろうな。

Lenny Kravitz

 date; 98.11.27
 place; 日本武道館

レニクラに行ってきました。

この人、アーティストとしてももちろん好きですが、僕にはヴァネッサ・パラディの「BE MY BABY」やマドンナの「JUSTIFY MY LOVE」のプロデュース作のイメージの方がむちゃくちゃ強い。彼のアナログ・フェチともいえる音づくりへのこだわりには、ニヤリとさせられるものがありますね。(そこが鼻につく、という人も多いようですが...)

さて、武道館。入りは7000人弱というところでしょうか。満員ではないけど、十分に席はうまっています。客はやたらと女が多い!それも20代後半〜30代前半の女の子同士のグループ。男はこちらも男同士のグループばかり。う〜ん、どうやらデートで来るライブじゃないみたいだね。

始まると、最初からグイグイと引っ張る引っ張る。それにあわせて女性客もキャァキャァ言いながら体くねらせて踊る踊る。うわぁ、ノリいいなぁ。この手の「ロック+ファンク÷2」的なサウンドって、僕らのような世代にもヨコノリで実に気持ちいい。
レニクラって人はマルチ・ミュージシャンで、ギターもベースも弾いちゃう。でもそれは特にうまいわけではない。彼のプレイヤーとしてのメインはドラムで、アルバムではドラム以外はけっこう他人に弾かせている。実はここがミソ。彼のサウンドのノリはドラマーとしての資質から来ているように思う。ギターのリフがかっこいいのも、ドラムを叩くときに気持ちいいリフという選び方なのではないだろうか。
ではライブでは?、というとレニクラ自身はドラムは叩かない。この重要な役割を代わりに果たしているのがシンディ嬢だ。まるで猫科の獣のようなイメージで叩きまくる。これが受けないはずがない。そういえばプリンスのSIGN OF THE TIMES TOURでシーラ・Eがドラムを叩いたときもかっこよかったっけなぁ、ということを思い出した。

アンコールの最後は「ARE YOU GONNA GO MY WAY」。いやぁ、これっきゃないっしょ。

Tokyo Ska Paradise Orchestra

 date; 98.09.28
 place; 中野サンプラザ

スカパラに行ってきました。

いやぁ、2時間半もライブやるんだもん、おぢさんは疲れちゃいましたよ。いただいた資料によればアンコールも含めて25曲も演奏したんですね。1時間半もやれば十分満腹になったんじゃない?ってくらいサービス満点のショウでした。

バンドってメンバーの数が増えると、スケールは増えるんだけど案外やれることが減っていくものなんです。メンバーを減らすことで音楽的な可能性が増えるケースの方が多いかもしれない。例えば人生から電グルへの変化とか、4人編成のXTCが3人になってから深みが増した、とかね。あ、そうそうキング・クリムゾンもそうだ。5人→4人→3人と減っていった70年代のいわゆる後期クリムゾンはどんどん音楽的に深化していったけど、6人組になった90年代再結成クリムゾンは迫力だけ倍増していきなり失速している。

そのあたりのことをふまえて、僕、常々スカパラってすごいと思っているんです。今回だって寺師くんの代わりのギターを含めて、メンバー全員で12人ですよ!これだけの大所帯を維持していくって、経費的にも大変なものだと思うんです。それが六本木インクの時代から数えればもう10年くらいやっているわけでしょ?本当にすごいことだよ、これは。

で、肝心の音楽の方は、いろいろと苦労してることがうかがえます。さっき述べたように大所帯だとできることは逆に限られるから、それをいかに打破するか、が彼らにとって常にポイントになっているのでしょう。ライブの真ん中あたりにテクノポップっぽいセットが入ったり、歌+生ギター2本のアコースティックなパートが入ったりというところにもそこらへんがうかがえます。でもさ、スカパラの最大の魅力ってダイナミックなブラスのインストナンバーにつきるじゃん?...て思ったりもするわけですよ。オープニングの「Ring O' Fire」とかカヴァーの「Ska de Orfeu」なんてそりゃあもう、最高だもの!本筋だけを突き詰めて欲しい...というのはリスナーの勝手なわがままなのでしょうか?

それにしても新加入のヴォーカリスト!いくらギムラの弟だからといって、あれでいいのかぁ?...え?彼がカッコイイから新しいファンが増えてる?...確かに会場は僕らとはひとまわり以上離れた若い女の子の姿が多かったもんなぁ...。じゃ、いいのか...。

Emsamble Medern(アンサンブル・モデルン)

 date; 98.09.05
 place; タケミツ・メモリアル・ホール

至福の一夜だった...。スティーヴ・ライヒとフランク・ザッパが一つのコンサートで聴けるのだ。新国立劇場やアップルコンピュータ(日本法人)の本社も入っている東京オペラシティ。この中のタケミツ・メモリアル・ホールでドイツの室内楽団、アンサンブル・モデルン(以下、EM)のコンサートが行われました。このEM、とにかくすごい技術を持っている現代音楽の集団なのです。この日のテーマは、アメリカの現代音楽作曲家。

◆プレイヤー・ピアノのための<スタディ> Studies for Player Piano/コンロン・ナンカロウ Conlon Nancarrow (1912-1997)

この人の曲は初めてでした。これはどうやら、パンチ・カード式の自動演奏ピアノのために書かれた曲を実際の人間の演奏用に編曲されたもののようです。人間が演奏することを前提としない作曲というのは、後に出てくるザッパのシンクラヴィアのための音楽と共通する部分があります。EMはそういう曲も演奏できてしまうのですね。

◆エイト・ラインズ(八重奏曲) Eight Lines/スティーヴ・ライヒ Steve Reich (1936-)

原曲は「八重奏曲 Octet」といい、8人で演奏するために'79年に書かれていた。ライヒ得意のミニマル・ミュージックの典型的な作品である。これをコンサート用に14人編成で演奏するように'83年に書き換えられたのが、この「エイト・ラインズ」。
この曲には思い出がある。'82年頃だったろうか、坂本龍一がNHK-FMでやっていた「サウンドストリート」でこの「八重奏曲」をかけたのだ。それが僕にとってライヒの音楽との出会いだった。すでにアンビエントやバリ島のケチャにはまっていた僕は、すぐに池袋西武に行ってそのLPを探して聴きまくった。今でもこの曲が入っている「Octet / Violin Phase / Music For A Large Emsamble」というECM盤のCDは僕の宝物である。
EMによる演奏が始まった。最初の一音で、僕は、飛んだ。
眼を閉じて聴くと、本当に僕は空を飛んでいる映像がうかんできたのだ。原曲よりも大きな編成での演奏だけに、そのダイナミック・レンジもさらに広い。大きなうねりとともに時間と空間をゆっくりと、かつ性急に塗り替えていくのだ。
最良のテクノだけが持つトランス感、浮遊感を、EMは人間の手だけで作り出すことに成功している。一つのリズム楽器もなしで。素晴らしい。とにかく素晴らしい。感激のあまり涙ぐんでしまい、曲が終わった後は感情の高ぶりがしばらくおさまらなかった。

◆イエロー・シャーク The Yellow Shark/フランク・ザッパ Frank Zappa (1940-1993)

実質的にザッパの遺作といってもよいのが、EMのために書き下ろされたこの作品。新曲と、以前バンド演奏や打ちこみで演奏されていた曲をオーケストラ用に編曲したものとで構成された組曲である。'92年のドイツでの初演では1日だけザッパ自らが指揮をとって演奏された。実際、このアルバムが発売された直後にザッパは逝った。
特にすごいのが「Gスポット・トルネード G-Spot Tornade」。シンクラヴィアのために書かれた打ち込みのこの曲は、超絶な技術を持ったEMでなければ人間の手で演奏することはできなかっただろう。これにはザッパ本人も驚いたらしい。そして「イエロー・シャーク」全編で聴かれるザッパ特有のユーモア。これもしっかりと表現できているところがEMのすごいところ。
アンコールにはさらに驚いた。「イエロー・シャーク」には入っていない曲「モギオ Moggio」を演奏したのだ。これは「マン・フロム・ユートピア Man From Utopia(最初の邦題は、ハエ・ハエ・カカカ・ザッパッパ)」に収録されている超難曲で、まさかこれをオーケストラで演奏するなんて...、絶句である。ザッパ亡き今となっては、この曲を演奏できるのは世界中でスティーヴ・ヴァイとこのEMだけではないだろうか。2度目の来日を果たすことができなかったザッパは、EMの手によって自分の曲が日本のファンの前での演奏されたことを天国きっと喜んでいることでしょう。

このコンサート、とにかく行ってよかった。ロック・コンサートやテクノ・イベントも含めて、満足度の度合いからいったらここ数年でNo.1かもしれない。クラシック/現代音楽ということでなかなか接点のない人も多いだろうけど、テクノやザッパ系のロックが好きな人はきっと大満足できたと思う。現代音楽ってむずかしいとか、あまり敬遠することはないんです。楽しい曲、おもしろい曲を聴きに行くんだと気楽に思えばいいんですよ。なつかしのスネークマン・ショーのネタじゃないけど、現代音楽も「いいものもある、悪いものもある」なんですから。

 

今後の予定

これにて1998年は打ち止めです。さて、来年は?
...といっている間にも1999年は終わってしまいました。
実はいくつか行っているので近日中にアップします。

  
+++++IMPORTANT NOTICE+++++

当「CLUB K2」はWeb MasterのK2が個人として運営するWEB PAGEであり、98.3.10より開始された株式会社ソニーミュージックエンタテインメントの運営するサイト「CLUB "K"」とは無関係です。

back to LIVE REPORTS TOP PAGE go to BACK NUNBER 03 / 02 / 01

(C) 1998-2003 Club K2 / Psycho-Guerrilla Productions, all rights reserved