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「公会計の理論」が第32回日本公認会計士協会学術賞を授賞しました | |||||||||||||||
拙著「公会計の理論」が「学術の発展に寄与し、公認会計士の業務の向上に資する」と認められ、第32回日本公認会計士協会学術賞を平成16年7月6日に授賞しました。 日本公認会計士協会の「公会計部門」の学術賞は、村山徳五郎日本公認会計士協会元会長が寄付された資金をもとに新たに設置され、その最初の受賞作品となりました。 選定の理由はJICPジャーナル平成16年7月号に書評とともに掲載されました。以下に転載致します。なお、第33回の「公会計部門」の受賞作品はありませんでした。 書評 「公会計の理論」吉田 寛著、株式会社東洋経済新報社、平成15年4月刊 公会計の改革は、地方自治体の貸借対照表の作成に始まり、その後「国の貸借対照表(試案)」の作成等へ展開し、現在、新たな公会計基準・公会計原則の確立に向けた検討が急ピッチで進められている。 公会計の分野に問われている新たな変化への対応に、単に企業会計の手法を持ち込むだけでは、木に竹を接ぐ恐れをなしとしない。本書では、本来的に、「会計」に求められる機能、そして提供されるべき会計情報は何か、という基本に立ち戻って、公会計の研究に着手されている。 内容の概略は次のとおりである。 第1章で、政府の会計の改革が、政府の「会計責任」の改善・行政の効率化への寄与に求められるとし、A・C・リトルトンの会計理論の任務を参照して、本書における公会計理論の研究過程を明らかにする。 第2章では、企業会計において、経営者の「会計責任」とは、スチュワートシップを前提とする株主への説明責任であるとし、それを株式会社の発展過程をさかのぼりつつ検証する。企業会計で、説明責任及び会計情報の有用性が、どのようなプロセスを経て達成されたかが明らかになる。 第3章では、公会計における会計主体である政府と納税者(主権者)のスチュワートシップに言及する。市民改革以降、納税者が課税権を支配する地位を獲得し、税の運用をする首長は、「税の必要を説明する会計報告」の提供が求められる。納税者の功利的な判断に資する会計情報の提供である。 第4章「公会計における会計情報の構造」では、公会計の利用者(納税者)に分かりやすい会計情報の必要性を説く。このような観点から、従来の貸借対照表は納税者貸借対照表と政府貸借対照表に区分される。さらに、政府が行う各事業についての成果報告書の構造・実際の事例について説明される。 第5章「公会計の今後の展開」で、環境会計での有用性、従来の個人・企業・政府に次ぐ第4の経済主体(主権者)への着目、制度会計としての公会計の必要性、公会計における監査制度、さらには公会計の領域の非営利組織への拡張などが詳述される。 第6章では、結論として、公会計が提供すべき情報を再述し、新しい公会計の限界にふれている。しかし、最終的には、納税者に対して税の必要性を説明する会計情報が有効に機能することから、新しい展望を描いている。 本書は、著者が千葉商科大学に提出した学位請求論文であるが、圧倒されるエネルギーをもって公会計理論の改革にチャレンジされている。また、公認会計士としての実践、「福間町会計報告」も掲載されている。 スチュワートシップ・会計責任・課税権・納税者など、新しい視点に立った貴重な研究書であり、協会学術賞に値するものとして選定した。 |
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