 |
<NPO法人コラボのニューズレター「コラボ」vol.20より転載> NPO法人コラボ代表理事の樺嶋秀吉さんがインタビュー形式にまとめてくださいました。
[インタビュー] 公会計から見た「よい首長、悪い首長」
---------------------------------------------------------------------- 01:子供たちへツケを回さないために ---------------------------------------------------------------------- 吉田寛 Yoshida Hiroshi 公会計研究所代表
<政府や自治体を対象にした公会計の重要性が認識されるようになってきた。 公会計のユーザーを納税者として「納税者に分かりやすい」公会計の改革を進 めている公認会計士吉田寛さんに、よい首長と悪い首長の見分け方や会計責任 の考え方について聞いた>
★「承諾した」から税金を払う★
—— 欧米に比べて日本の納税者は税金の使い道に鈍感なような気がします。 主権者意識が希薄なのでしょうか?
吉田; 市民、国民、人民などに使う「民(たみ)」という漢字は、奴隷の目を 針で刺して潰す様子や、その潰されて白濁した目の象形が元になっています。 自由人と区別するために、そのようなことをしたようです。つまり、「民」と は元々、奴隷や無知な人、支配される人を意味していたのです。
しかし、いまでも同じことが行われています。目を潰す方法は、 (1)主権者が自分であることを忘れさせる、 (2)主権者に情報を提供しない、 (3)主権者に選択肢を提供しない、 (4)本来あるべき税制度を主権者が考えるのを諦めるほどに制度を複雑にしてしまう ——です。 憲法の前文には「主権が国民に存することを宣言」すると書かれていますが、その権力の真ん中にあるのが課税権なのです。
アメリカの独立宣言には、戦った人の多くがイギリス国王の信任の厚い人だ ったこともあって、独立が正当であることの理由が述べられています。その一 つが納税者の承諾のない課税でした。「イギリス国王は、植民地の住民の同意 がないのに勝手に課税をした。そんな勝手なことをする国王には税金は払えな い。だからイギリスから独立する」というわけです。
なぜ税金を払うのでしょうか。憲法に「納税は国民の義務」と書いてあるか ら、役所が提供するサービスを享受しているから、ただ必要だから——この3 つはほとんどの租税法の教科書に書いてあります。しかし、そうではありませ ん。われわれが税金を払うのは、それを承諾したからです。税金ではありませ んが、最近の顕著な例としてNHK受信料の不払いがあります。法律には「払 いなさい」と書いてありますが、「ちょっといい加減なんじゃない」と言って 拒否しています。承諾できないから、払わないわけです。
★意思表示できない子供たち★
——行政の借金は、将来、子供たちが払う税金で穴埋めされます。彼らに負担 をかけないためには、どうすればいいのでしょうか?
吉田; 次に、主権者として「承諾している」ことをどうやって示すかが重要に なってきます。主権者の意思を委ねる者を、私たちは選挙によって選任できま す。そのときに、税の使い方を承諾できるか否かを明らかにします。もちろん、 立候補した人は、税の使い方を明らかにしておくべきです。その税がよいか悪 いかを判断することができるのが、私たち主権者なのです。
ここで公会計が提供する情報が重要になります。まず、納税者が承諾できる ような税の使い方をしたか、次に、均衡財政を維持したか、です。均衡財政と は、私たちが払った税金の範囲内で役所が仕事をするということです。
「代表なければ課税なし」と言われますが、20歳前の子供たちはまだ1回も 意思表示をしていません。私たち大人は投票する機会がありますが、子供たち には「その税を負担します」と言う機会がないのです。もし選挙に出る候補者 が、税を上げるか下げるか意思表示していないとしても、彼らに「税を上げま すか、下げますか」と聞くことができます。子供たちは同じような質問ができ たとしても、その意思を表示できません。ですから、均衡財政を維持して子供 にツケを回さないようにしておく必要があるのです。
財政法には、公債費または借入金以外の歳入を財源にしてはいけない、と書 いてあります。借金してはダメということです。地方財政法も同じです。とこ ろが、国の財政法にも地方財政法にも抜け道が用意されているのです。議会の 人たちがOKならよい、とも書いてあるのです。なぜ借金をしてはいけないか を忘れてしまったから、皆がOKしてしまっています。
|
 |