Model ROLLS・ROYCE  PHANTOM 6
   
Coachbuild by 
   
「MULLINER・PARKWARD」


Year 1987
Exterior BLACK/ROYAL CLARET (ブラック & ロイヤル・クラレット)
Interior F:BURGANDYLEATHER R:BURGUNDY・FABLIC
price \ ASKing
Mileage 8.303km
Ammenities 本国仕様・新車並行車・右ハンドル (国内登録88年7月)

V8 OHV 6.75L 3速コラムAT(GM400製) 

全長:604cm
全幅:200cm
全高:175cm
車両重量:2860kg


装備:
パワステ、パワーウインド、リア電動ガラスサンルーフ、リア・電動シート、
電動ガラス・パーテーション、前後クーラー&ヒーター、ピクニックテーブル(鏡付き)、カクテルキャビネット(ボトル2ケ、グラス4ケ)ジャンプシートX2、CDプレイヤー、チェンジャー、他フル装備

内外装機関共に稀に見る超極上車。 

車検:平成25年 9月24日


COMENTS
「マリーナ・パークウォード」コーチビルドの傑作

1987年「ファンタム6」

ファイナル・シリーズ「33台」中の1台!
しかも、、装備と ヒストリーがスゴイ!

1925年発表の「ファンタム1」から続く、ロールス・ロイス頂点モデル・・つまりは、世界の自動車の頂点モデルに君臨する「ファンタム」の6代目である。

弊社にも滅多に入庫するモデルではないので、今回は、戦後の「ファンタム」の歴史から、簡単に、ご解説したい。

第2次大戦後、ロールス社が「クルー」工場で再開、生産・販売を始めたのは、1946年からのことである。
当初、ベントレー「マーク6」とロールスロイス「シルバーレース」の販売でスタートしていたものの、
ロールス社としては、戦前の「格」を取り戻すため、頂点モデル「ファンタム」をも復活させる必要があった。
そこで、1950年に登場したのが「ファンタム4」であるが、このモデル(直8気筒エンジンを積む)は、王族、皇族にしか販売されず、一般人への販売は皆無(丁重にお断り)、1950年から56年の7年間に、僅か「18台」しか生産・販売されていない。
詳しくは割愛させて頂くが、要は「ファンタム」と名の付くモデルは、「そうゆう車」ってこと、、。

「格」を取り戻したロールス社が次ぎに発表した「ファンタム」が、
アルミ合金製・新設計・V8エンジンを積む、ファンタム5。
登場は、1958年のこと、、同じエンジンを積む、クラウド2(ベントレーS2)と同時に発表された。
「ファンタム」のボディはロールス社の自社製(スタンダード・モデル)ではなく、全て、社外の「コーチビルダー」によるハンドメイドで製作される。
「ファンタム5」は、トータル「516台」が10年間で生産(オーダー)された。

そして1968年、
エンジンが、「シルバークラウド」から「シルバーシャドウ」用ヘッドに改良・出力UPされたV8・エンジンとなり、「ファンタム6」に進化する。
当初の「ファンタム6」は、エンジンの他、エアコンが前後独立式(分割式)となったこと以外、機関的には、「ファンタム5」と さほど変わりがなかったが、、、今となっては、ファンタム6を自ら運転したいオーナーも増えているため、この前後独立式エアコンは大いに有りがたい装備となっている。

「ファンタム6」のボディ作りは、伝統技巧そのまま・・・
木骨に合わせ(形状の確認のため)、アルミをイングッシュホイールとトンカチで叩いて成形し、張り合わせて、溶接、サンダーとヤスリで丹念に溶接部を削り、、さらに液体ハンダやパテで完全に平らに、、、気の遠くなるような工程で、ボディを作る。
しかも、精密機械のごとく・の精度でだ。
ファンタムの精度は、現在のモデルでさえ、超えられるものではない。
因みに最後に納車された「ファンタム6」は、1990年式のシリアルナンバーを持つが、車が完成・納車されたのは2年後の1992年のこと・・・2年もかかっている。
*本当の意味でのファイナル・シリアルを持つ最後のファンタム6はロールス社自社保有の非売品とされたが、後にロールス社の経済的理由から、ブルネイの国王に、こっそり転売された。その額は、約3億円であったと云われる。

ファンタム6は、大きく分けて3度のマイナーチェンジ(改良)が行なわれた。
まず、1972年、ヨーロッパの安全基準(クラッシュテスト)をクリアするため、当初、観音開きであったドアが通常のドア開きとなる・・観音開きドアのモデルを前期型としよう。
ついで、この安全基準を満たした「ヨーロピアン・セーフティ・スタンダード」と呼ばれるモデルを中期型。
後期型は、ロールス製(GM改)の4速ATからGM400の3速ATに、、エンジンが6230ccから「シルバー・シャドウ2」の6750ccに、、ブレーキ・システム等にも大幅改良(クラウド式のメイカニカル・サーボからシャドウ式の油圧に)がもたされた後のモデル。
最初の1号車は1978年3月・エリザベス女王に納車された「Oil Barrel」のコードネームで有名な1台。一般には、1979年4月以降、納車が始まる。
この後期型は、「PY-40」モデル(78’〜82)と呼ばれる。

生産台数内訳は、

1966年:プロトタイプ        1台
前期型:1968年〜1972年   131台
中期型:1973年〜1978年   175台
後期型:1979年〜1990年    67台        トータル:374台

と、私のようなファンタム・オタクは、後期型を更に、2種類に分ける。
1980年10月生産以降、シルアルナンバーが、7ケタから世界基準の17ケタに変更される。
この「17ケタ」のシルアルナンバーを持つ、ファンタム6は、「33台」しか存在しないはずである(ロールス社の記録が間違っていなければ)、、と思っていたが、やはり、
近頃 発売された「ファンタム4.5.6」の専用書によって、間違いではないことが分かった。

この最終モデル「33台」

[17−digit VIN series]モデルと呼ぶ。

この最終17ケタ・シリアル・モデルが最初にデリバリーされたのは、81年12月(80年シリアル)のことであった。


次に、ボディデザイン別の生産台数内訳、


1.マリーナ・パークウォード・リムジン   347台
2.マリーナ・パークウォード・サルーン    2台(ディヴィジョン無し)
3.マリーナ・パークウォード・防弾リムジン  5台
4.マリーナ・パークウォード・ランドレット  12台
5.Frua(スイスのコーチビルダー)      2台
6.霊柩車                     6台

で、トータル「374台」。当個体は、上記、1.に含まれる。
*別説
ロールス・ロイス社の広報誌(Queste)の中では、「6」の生産台数を「366台」としているが、これは、上記、5.と6.の8台を含まない台数のことだと思われる。


ファンタム5の時代に活躍した御三家コーチビルダーの1社「ジェームス・ヤング」は、1968年前期をもって活動を休止したため、ファンタム6は1台も作れていない。
「HJマリナー」と「パークウォード」は、ロールス社の資本の下、1962年に完全に合併されたため、ファンタム6は上記の通り、事実上 1社独占によって生産されたモデルである。
まあ、イギリスのトップ・頂点コーチビルダーが手がけたモデルであるから間違いがない。

しかし、、なぜ「ファンタム6」は1968年から1990年の22年間もの間に僅か「374台」しか生産されていないのだろうか、、。
「ファンタム5」は10年間に「516台」、、、いくつか理由が考えられる、、。

その1、

今も昔も最大のマーケットであるアメリカへの輸出が1972年以降、できなくなったこと・・が最大の理由であろう。
1971年・突如厳しくなったアメリカの安全基準法規自体を改造なくして、クリアすることができなかったのである。
今回「ファンタム6」の、どの部分が、安全基準に、引っかかったのか、アメリカの陸運局の資料を調べてみた・・・驚くことに、それは実に、28項目にも及ぶ部分であった、、。
28項目全てを検証してみたが、実に くだらない点ばかりだ・・・
例えば、乗員保護インテリア、ハンドルの素材、ガラスの素材、ボンネット・ラッチの構造、シートベルト形状、バックミラー、サイドマーカー、ワイパーなどなど、、、ファンタムほど頑丈で死なない車はないのに、、、あきれる。
更に、多少・無粋になるのを覚悟し、ファンタム6を改造すれば安全基準を満たすことは可能であったと思われる・・・しかし、ロールス社は、それを好しとはせず、アメリカの「6」におけるマーケットから手を引く・・・男前!
どの道、1974年以降には、「マイル・バンパー」規制が追加されるから、ファンタム6の完成されたボディに、巨大なウレタン・バンパーを取り付ける気はなかったであろうが、、。

*で、ファンタム6は1972年以降アメリカへは輸出されていないが、例外が2台だけある。
1972年にニューヨークのイギリス大使館が1台。
1977年に、特別に政府の許可をとった「ビル・ハーラー」氏が博物館に入れるために1台、、
これが有名な「ハーラー・コレクション」の内の1台となる。


その2、

「ジェームスヤング」が参加していないため、ボディデザインに選択枝がなく、1度、購入されたオーナーが同じデザインの車を買い直すことが少なかった。車は長持ちするし、、。

その3.

あまりにも高額な車となってしまった。
最終、1億円以上の販売価格となり、世界一高額な車となってしまう。
ファンタム6は100%受注生産で、ディーラーのショールームにならんでいるわけではない。
オーナー自ら、自分の好みの仕様でオーダーする車である。
*私の知るかぎりで(国内)、もっとも高額であったのは、1989年ごろ目黒通りの某車屋さんに展示されていた「ファンタム6」新古車(1988年式)で、2億5千万円のプライス。この車は、後に弊社で仕入れたが、結局、スイスの業者が買っていったため、もう日本には住んでいない。


上記の理由で、わずか「374台」の生産にとどまった「ファンタム6」であるが、、
では、「ファンタム6」が正規に新車で輸出された国別台数を・・多い順に7位まで、

1位:イギリス    221台
2位:香港       24台
3位:日本       19台
4位:サウジアラビア 14台
5位:フランス     11台
6位:スイス      9台
7位:イタリア     7台

*「DALTON WATSON」の専門書によれば、「ファンタム6」は、新車で1台もアメリカへは納車されていないことになっている。
そういえば、アメリカ映画に登場する「ファンタム」らしきモデルは、全て「5」だ。映画「リッチー&リッチー」とかも。

 

日本が、たった「19台」で、3位に入っているのが興味深い。
マーケット的に分類すると、本国UKの221台、アジア全域で60台、ヨーロッパで43台、中東27台、アフリカ、10台、、他16台となる。
基本的に石油などの天然資源が採れる国の国王クラスは、ほぼ全員ファンタム6を購入している。
英国通の日本の皇室も1973年式とおぼしき 黒塗りの「ファンタム6」を購入し、御料車としていた。
この「6」、現在は、御料車を外れたが、今も、大使館大使の新任ご挨拶の送迎などで利用されていると聞く。


さて、では、当個体自体の解説を、、

1987年式のシリアル・ナンバーを持ち(シリアルの10ケタ目がH)、国内、初登録は、88年7月、
前述のラスト・ファンタムは、2年納車までに掛かっているが、当個体は、1年ほど、、まあ、このくらいは、早い方。
で、ブルネイの国王が入手した本当の最後の1台・ファンタム6のシリアル・ナンバーは、「SCAPMOALWH10426」。
この車も、90年式シルアルであるが、完成は、92年、、。
80年代、ファンタム6の完成までには最短でも1年から2年の期間を要した。

当個体のシリアル・ナンバーは、「SCAPMHWH10417」
10426引く10417=当個体・最後から10台目生産の車である。。
これだけでも、スゴイが、、この車、装備が、また特筆に値するほどスゴイ!(後ほど説明)

当ファンタム6が、国内にあるファンタム6の中で、もっとも年式が新しいはずである。

しかも、素姓が、只者ではない、、!!!!

当個体、英国、エリザベス女王陛下の母、皇太后様用に作られた車なのである!

ファンタム6は、前述のとおり、最大のマーケットであるアメリカでの販売ができず、80年代に入ると、受注が更に激減していく、、、そう、この車を購入できる世界のVIPに一通り行き届いたのである。
下記の表を ご覧頂ければ、その激減加減が ご理解いただけよう。

17ケタ・シリアル・モデル 年式別台数

1980年シリアル:5台
1981年     :0台
1982年     :1台
1983年     :3台
1984年     :6台
1985年     :4台
1986年     :2台
1987年     :4台
1988年     :2台
1989年     :1台
1990年     :5台    トータル:33台


ロールス社が、「ファンタム6」の生産中止を検討し始めたのは、85年だと思われる。
結局、
ロールス社は、1986年の時点で、最後のファンタム6を王室用に作ろうと決め、王室に、ご提案(営業)、実際に2台の受注を得る。
(実際には、生産中止の噂が広がり、駆け込みオーダーが数台、、で、前述のとおり最後のファンタムにはならなかった)
1台は、女王陛下用のシルアル・ナンバー末尾「10415」で、もう1台が、
末尾「10417」の皇太后様用(当個体)であった。

1987年7月23日、、エリザベス女王陛下に納められたファンタム6は、現在でも英国王室が最後に購入したロールス・ロイスとして有名で、、
通称名:「Lady Norfork」。
この「レディ・ノーフォーク」は、、先立ての「ロイヤル・ウェデイング」にも登場していた。
*当個体も、本来のまま、英国王室に納車されていれば、当然、パレードに参列していたであろう。

「レディ・ノーフォーク」
外装カラーは、当個体と同じ、「ブラック」と「ロイヤル・クラレット」で塗り分けれているが、女王陛下の車と皇太后様の車は、塗りわける箇所が異なる。
女王の御料車は、全て、天井部のみ「ブラック」で、ボディ部が「ロイヤル・クラレット」とくる。

「レディ・ノーフォーク」は、当個体のように、オプション設定である「フェンダーアーチ」、「ボディサイド下」、「Bビラー」にステンレス・モールは付いていない。
同じく、リアに電動ガラス・サンルーフを備える・・・これは、特別注文。
内装は、当個体とは かなり異なる、、
全席、女王陛下カラー「Baroda Blue」という淡いブルーの「クロス」張りで、リアに、キャビネット、ピクニックテーブルなどは付いておらず、巨大なジャンプシート(折りたたみ椅子)が2客ついているのみ・のシンプル・デザイン。
グリルに鎮座するマスコットは、「ニーリング・レディ」を選択・・・女王がお乗りになっている時は、伝説「Stジョージの竜退治」のマスコットに付け替える(伝統)。
このマスコットが付いているときだけ、市民は、ファンタムと遭遇すると、お辞儀するってわけ、、。

当個体は、女王ファンタムとは真逆で、私も見たことがないほどのフルオプション、素晴らしく豪華な装備となっている。

当「10417」、、この車が、本来は、英国王室の最後のロールス・ロイスとして歴史に残るはずであったが、、、諸事情により、納車前にキャンセルされることになる。
ロイヤルファミリー用の車を英国内では販売できない・と 
当時のロールス社の社長から直接、友人であった日本の某氏に連絡があったという、、、結果、購入、極秘に成田に空輸されてきた。
本来、日本にあるはずのない個体であるが、これが歴史の妙というものであろう。

現在の走行距離:8.303km!

走行距離に見合った 素晴らしいとしか言えない・・ため息が出るほどのコンディションである。

では、下記より詳しく↓写真148枚


外装は、ソリッドの「ブラック」と「ロイヤル・クラレット」のコンビカラー。

「クラレット」は、フランス・ボルドー産のワイン色という意味。
それに、「ロイヤル」が付くから、なんとも高貴。

ボンネット・フードから天井、トランクまで「ブラック」、他が「ロイヤル・クラレット」。
ボディサイドには、ゴールドのコーチラインが1本。(女王陛下の車は、レッドのコーチライン)
女王陛下のとは、微妙に異なる色分け。
この色分けが異なる理由は、、不明。

余談:
英国のロイヤルファミリー全体では、戦前(1910年の「シルバーゴースト」から始まる)、21台のロールス・ロイスを、、、戦後(1946年から)では、26台のロールス・ロイスを購入している。
戦後、26台目の最後に購入した「ファンタム6」こそ、当車輌と同時にオーダーされた個体である。
戦後のロールスの中で、エリザベス女王専用車は、1954年「ファンタム4」、1960年「ファンタム5」、1961年「ファンタム5」、1978年「ファンタム6」、1987年「ファンタム6」の5台で、全て実働している。
*この5台は、全て、ウィリアム王子とケイトの「ロイヤル・ウェディング」に登場していた。

かたや、皇太后様は、戦後、1962年の「ファンタム5・ランドレット」以来、購入していない。
この車(62年式)の後継車に・とオーダーされたロールスが、当個体なのである。
ここで、前順の疑問が生じる。
皇太后様の「ファンタム5・ランドレット」by「パークウォード」、コードネーム「スターリング」
この車の外色カラーの塗り分け方は、女王陛下と同じ(天井部だけブラック)なのだ。
ひょっとすると、、であるが、キャンセルが決まったのち、ロールス社が塗り足したのかも知れない。これは、研究材料。

仮に、皇后様に納車されていたら、この車には皇后様のマスコット 「britannia」=英国の力を象徴する女神のマスコットがグリルを飾っていた(お乗りのときだけ)。
そのマスコットが付いたまま、売りものになっていたら(そんなことはありえないが)、今の数倍の価値となっていた。



ハンドメイドの総アルミボディ。
オリジナル・ペイント。
素晴らしい:の一言のコンディション!

熟練工により、ラッカー塗料を手吹きで、なんどもなんども 塗り重ねる、、途中で なんども中研ぎをしながら、、
現代車の塗装工程とは比較にならないほどの手間と 技術を要する。
「ラッカー」塗装の仕上がりは、色の深みが違う。
この「ブラック」の艶と深みなど、現在の塗料では、とうてい 再現することはできない。


巨大なパルテノン・グリルは、見るものを圧倒する・・・そして、その上に鎮座する「フライング・レディ」マスコット、、
著名彫刻家チャールズ・サイクス作・作品名「スピリット・オブ・エクスタシー」、、グリルも職人さんによるハンドメイド物で、ファンタムならではのエッジの とがり尖り具合がシビレル、、
この「6」グリルの縦横比こそ、戦後ロールスの中では最も美しいと思われる、、これだけ見ているだけでも飽きることはない。

全長:604cm
全幅:201cm
全高:175cm


現行モデルのNEWファンタム(BMW製)は、ショートボディで、583cmX199cmX165cm,
ロングホイールのEWBで、608cmX199cmX165cm。
全長、全幅は、ほとんどEWBと変わりないが、注目すべきは、全高、10cmも「6」の方が高い!
当時は、正装時ハットをかぶっていたため、、ハットをかぶったままでも乗り降りするなら、この高さが必要となる。

当個体の外装で印象的なのは、、
サイドモール、フェンダーアーチとBピラーに付けられたステンレスの輝きであろう。
バンパーのクロームメッキの輝きにも、引けをとらない、絶品である。





内装:

新車のようだ!

フロントは、「バーガンディ」の「コノリー」レザー。
リアは、「バーガンディ」の「ファブリック」=ウールのモケット=ベロア。

フロントを「レザー」、リアを「ファブリック」装とするのは、イギリス・超高級リムジンの基本であり、伝統。
*運転者席は、長持ちする「革」で、自分たちが座る後部席は、長持ちはしないが、座り心地の好い「ファブリック」で、、

圧巻!
このコノリーレザーの張り方を見ていただきたい。フロントシート座面は、1枚革!
・・・1mm以下の僅かなキズもない最上級コノリーレザーを更に厳選して、、だ。 スゴイ!
こんな内装を施せる「車」が今後、生産されることは二度とない。

当個体、もちろん、オリジナル・レザー・・・無論、張替えでキレイになっているわけではない。
お写真でも、ご理解いただけようが、レザー自体のコンディションも、奇跡的、、今だに、やわらかく、新車時の それ と
遜色あるまい。
リア・シートのコンディションは、もっと◎
この「ファブリック」、、「コノリー」レザー以上に高級品。
天井に張られている「フランネル」も、生地に詳しい方が見れば、一目瞭然、車に使うなんて:レベルの一級品だ。


ウッド:お約束の「バーウォールナット」張り、、これもオリジナルのまま、艶も充分、リアのセンターコンソール脇に僅かなクラックが見受けられるが、手直しを要すに及ばずレベル。



当個体(皇太后様・号)の特徴は:

・電動ガラス・サンルーフ 
 リア・センターアームのフタを開けると、サンルーフの開閉スイッチがある。
 内側にショードをすることもできる(手動)。

・鏡付き「ピクニック・テーブル」
 2つ折タイプ、標準タイプのものとは、豪華さが違う。

・バニティ・ミラーの形状
 通常のデザインとは異なる。皇太后専用デザインか?

・「Marpro」社の時計と気圧計
 センターキャビネットの左に時計、右に気圧計
 このメーカーのものを選択した理由と、気圧計を付けてある理由は、この「Marpro」社の計器が
 エリザベス女王の(王室の)ヨットに使われているメーカーだからである。
 気圧計も ヨットに習っての 洒落だと思われる。

・リア・センターキャビネット(オプション)
 この大型キャビネットは、オプション装備品。
 ウォールナット張り、正面のフタは、センターで 左右対称模様、、しびれる。
 上段の引き出しの中には、クリスタルのボトルが2ケと グラスが4ケ。
 中段は、ビデオ・プレーヤー
 下段は、TV(ソニー製)であるが、どちらも、87年当時物で、今となっては、、?
 オリジナル性を残すか、実用的にDVDモニターにでも入れ替えるか、、それは、次のオーナー様の お好みで、。
 どちらにしても、価値は 変わらない。



リアシートは、正に動く応接間、、ベロア・シートは、軋み音もなく、座り心地ときたら、、もう 最高!
ベロア自体のコンディションも、ほとんどリア・シートに乗っていないため、、新車のよう、、。

クーラー、ヒーターともにリアシート右側にスイッチがあり、温度調整、風量調整もできるし、吹き出し口もリア専用ものが数箇所にある。エアコンではなく単純に別系統のクーラーとヒーターなので「効き」も好い。

リア・シート左には、電動パーテーションの開閉スイッチと、前席との会話用マイク・スイッチ。
会話するときは、赤いボタンをON、黒いボタンでOFF。
このスイッチ・ボードの後ろには、カセット・デッキ(ドイツ製 BLAUPUNKT社)、、当時の最高級品であるが、使うなら
最新型に交換するべきか、、。

折りたたみ式の「ジャンプシート」が2個・・・これは本来、、そう、、例えば、リアシートに天皇陛下とアメリカ大統領がお座りになった場合に、双方の通訳が座る席だったりするので、一段低く、リア席と対座にはなっていない。
このクラスの車を購入するオーナーにとっては、必要装備だったのであろうが、、、。
今となっては、どうゆう風に使用するかというと・・・子供用の席か、、「足置き」。


ファンタム6のフロント・シートのパターンにも注目していただきたい。
イスは、セパレート式で、各前後にスライドする。
一見ベンチシートのように見えるが、収納式肘掛が、4本隠れている。
ご想像のとおり、この肘掛がなければ、、つるつるの1枚革シート、、コーナリング時など お尻がすべって しょうがない。
そこで、肘掛の登場となるわけだが、、
これを出しておくと、予想以上に がっちり体をサポートしてくれる、、しかも安全。
ただ、このファンタム6のFシート座面が、1枚革で つるつるの理由は、リアシートに座るオーナーが乗り降りする際など、すばやく、左右 どちらのドアからでも出れるよう運転手は、お尻を滑らせて移動するためだ。(と、福野 礼一郎さんに ご教授いただいた)
実際に 滑らせてみたが、、いい具合だった。




当個体
前回、販売時、オーナー様(お医者様)の ご要望で、フロント・シートに「ヘッドレスト」を増設した(当社で)。
シート構造などをバラして観察、研究し、悩みぬいた上、完成させた一品である。
ヘッド・レスト自体は、ロールスの「SZ系」モデルのもの、、そのレザーを、室内と同色塗装したコノリー風レザーに張替えてある。
更に、「ロールス」マークを刺繍。
実は、一番凝っているのは、見えない部分で、ヘッドレストの取り付け角度を何度もためし、実際に事故にあった際の衝撃にも、できうる限り耐えれるようシートの中でステーを がっちり固定してある。

ファンタムのシートは、フロントよりリアの方が着座位置が高くなっている。真横から見ると分かるが。
これは、馬車の時代からの伝統で、オーナーの方が高い位置に座るように設計さているからだ。
この お蔭もあって、仮に 後ろに座っても、ヘッドレストは、さほど前方の風景を妨げない。

もう一つ、
本来、付いていなかったフロントのオーディオ(CDプレーヤー)を増設した。
前オーナー様は、自身でハンドルを握られる方で、後ろに乗ることは一度もなかった。
当社で、コンソール下にオーディオBOXをワンメイクで製作、、アルミで整形し、同色レザー張りとしているので
違和感はない。



V8 OHV 6747cc 
アルミ合金製・ハンドビルド エンジン  SUツインキャブ  3速コラムAT(GM400)



後期型ファンタム6は、機関系が大幅に進化している。前述のとおり
主な変更点は、

・ミッションが、クラウド式のパーキングレンジのない4速コラムAT(ロールス製)から、に、3速コラムAT(GM400)に、  このGM400型3速ATは、スタンダードモデルでも採用され、1991年まで使用していた。
 以前の4速にはなかったパーキングレンジは非常に(普通に)便利な上、ミッションの変速時ショックも激減した。

・エンジン排気量が、6230ccから6747ccに
 これも基本設計は同じながら、「クラウドV」のエンジンから「シャドウU」のエンジンに変わった・ということで、パワー  は明らかに増している。

・ブレーキ・システムもクラウド式からシャドウ式に、
 これは、戦前より採用していたイスパノ・スイザ特許の「メカニカルサーボ」を補助に持つブレーキから、シャドウ以降の シトロエンの特許を一部に使う「ハイドロリック・ブレーキ」に変わったということ。
 スタンダードモデルでは、この変更時に全モデル「ディスク・ブレーキ」化されたが、ファンタムでは、「ドラム・ブレーキ」 を使用し続けた。
 よって、このブレーキ・システムを持つモデルは、ファンタム6(後期型)のみとなるが、
 ブレーキの「効き」は、特筆に価するほど飛躍的に向上している。
 要は、普通の車のブレーキの効き具合・と思っていただいてよい。
 


さて、当個体のエンジン・・・恐ろしく静か、、というより、新車のようなエンジン音である。

毎度、書かせていただいているとおり、この必要以上に頑丈なエンジンに、心配は ご無用。

まあ、あと50万km〜100万km以上は、軽く安泰であろう。
もちろん、弊社の納車整備には2ケ月ほどを要し、万全をつくす。

キャブレターは定番のSUツインであるが、「ファンタム」は、結局、最後の「ファンタム6」(1990年シルアル)まで、この「SUツイン」のままであった。
これは、複雑なコンピューター制御のものを使うより、整備性を重視したためで、いかなる場所においても、簡単に直すことできる・ことを優先してのこと、、。



ファンタムをオーダーすると完成までに1年から2年ほどかかったのだが、、、完成まじかになると、オーナーは、自分の運転手をロールス社に送る(任意)・・・運転手専用の教習所があったからだ。

この教習所では2週間かけて、運転の仕方、マナー、車の磨き方、整備までもを教わる・・・
そうして、教育の終わった運転手とともに、車(ファンタム)も納車される・・というわけだ。
だから、運転手でさえ整備のしやすいSUツイン・キャブにこだわった。
この教習所、卒業するとロールス・マーク入りの帽子を授与された・・・ほしい。
ただし、教習内容は、尋常ではない・・
例えば、バックで、なるべく後ろを振り返ることなく縦列駐車することを、教習コースでなんども練習させられる・・後ろを振り向いて、オーナーと目が合うなんてのは、とんでもない・・ご法度。
ドアの開閉の仕方ひとつとっても、、例えば、閉める際、6インチ手前で一旦、ドアを止めてから閉める・だの・・・エスコートの仕方でも男性の場合と女性の場合で異なるし、、女性の場合、目線を下にしていてはいけない(おみ足を見てはならない)、とか、、。

運転手の心得編では日本人には理解できないほど厳格な決まりを教わる。

例えば、オーナーが火のついた葉巻を灰皿においたまま、車からでていった・・としたら・・運転手はどうすれば好いか?
正解は、、、その葉巻を ずっと、見てる・だ。
オーナーはすぐに戻ってくるつもりで、わざと火を付けたまま出かけたのかもしれないし、、
そして、その葉巻が灰皿から落ちそうになったら、落ちる直前に手で拾う。

例えば、誰かの自宅のパーティに招かれ、車を乗りつけたとき、運転手が、一番先に行なうことは?    
正解は、その家の執事に、その家の「しきたり」を聞く・だ。




ファンタムのシャーシは大型トラックのごとく頑強だ。
例えば、武装した集団の車に前方を塞がれた場合、運転手は、オーナーの指示さえあれば、迷わず、アクセル全開、、前にいる車を吹っ飛ばして、逃走しなくてはならない。
そのため、ファンタムの縦方向の頑丈さは乗用車レベルのものではない・・装甲車の役割も果たす。たとえ、マシンガンでラジエーターが蜂の巣にされたところで、このエンジンが止まることもない。国家君主や世界中の超金持ちにとって「ファンタム6」に乗るは、生命保険でもあったのだ。
伝説の車「ファンタム6」は、幾多の実際の逸話に基づいて語り継がれていくことであろう。


とはいえ、
日本で乗るなら、そこまで かしこまって乗る必要も、まったくない。
要は、楽しければ、それで好いのだ。
それが、階級制度のない日本に住むメリット、、ニッポン・バンザイ!
お薦めは、オーナー自らハンドルを握る、、。
運転するのに難しさは何も無く、、確実に至福のときを味わえる。
ファンタム6を運転できるなんて、なんて幸運なんだ・と思って好い。
どこへ出かけていっても待遇が違う・・・1流どころのホテルやレストランなら、なおさら、、
おまわりさんには敬礼されるし(実際にされたこと有り)、、。
日本、、いや 世界中、乗っている車の格で、暗黙の階級制度があるのだ。
てなことは、皆さん、実際に経験済みであろう。

しかし、ここは あくまで お気軽に乗るってのが 粋、、
リア・シートに家族を乗せて お散歩にでも出かけると 楽しそうだ。
嫁さんは、きっと、車に興味がなく、、:「なんだか、この車のシート、ふかふかね〜」くらいのものだろう。
そんな時は、言ってやりたい、、:「うん、そうでしょ、天皇陛下やエリザベス女王も座るシートだからね、、」。



「THE QUEEN MOTHER」 本名:エリザベス・ハウエス ライオン

そう、この方こそ、映画「英国王のスピーチ」の主役、ジョージ6世の奥様
ぜひ、あの映画は見ていただきたい。彼女主役の映画ともいえる。
あの毅然とした態度と勇気が、英国の力となったのだ。
戦時中も、けっして疎開することはなかった。
バッキンガム宮殿がドイツのロケットの直撃を受けた時も
彼女は こう言った:「爆撃に感謝しましょう。 これで、やっと、イーストエンドに顔向けできます」
*イーストエンドとは、ロンドン東部の貧しい方が暮らしていた地域  同じ境遇になれたということ。
これを聞いたヒトラーが、じだんだを踏んで悔しがったという。




2002年 2月 彼女の次女の「マーガレット」王妃が亡くなった。
翌月 3月30日 彼女も 後を追うように、、ウインザー城で 静かに目を閉じた。 
101歳 
英国民に もっとも愛され尊敬された女性の大往生であった。





10年先、20年先、時が過ぎれば過ぎるほど、
この車の評価は、増していくだろう。

そして、50年後も100年後も、、今、このホームページを ご覧いただいている全員が 天に召されたのちでも、
この車は、生き続ける。
歴代のオーナー様との思い出とともに、、


できれば、

100年後も ミュージアムなどではなく、

一人のエンスーのガレージに住んでいて欲しい  と 願う。 



                 
                                  宮本 憲生






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ロールスロイス ベントレー スペシャリスト
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