Model PORSCHE

「356B・Super90」



Year 1961
Exterior スレート・グレー
Interior レッド
price \ 5.500.000
シャーシ NO 117012
エンジン NO 802200
Ammenities US仕様・左ハンドル (国内 1987年登録)

空冷水平対向 4気筒 OHV 1582cc

4速フロアMT

最大出力:90ps/5500rpm

最高速:185km

全長:401cm
全幅:167cm
全高:131cm
車重:870kg
定員:4人



内外装機関共に超極上車!

 車検:平成23年5月25日まで(車検取り渡しも可)


COMENTS
1961年・ポルシェ「356B・スーパー90」

マッチング・ナンバー!


1959年から1961年9月までの間に生産された「356B スーパー90」の「T5」ボディ。
エンジン・シャーシ「マッチング・ナンバー」の個体!

以前から 一度は乗ってみたいと思っていたモデルである。
今回、昔読んだ本・・F・ポルシェ「その生涯と作品」 二玄社 R.V.フランケンベルク 著 を
もう一度 読み返してみた。
1972年初版の古い本であるが、、題名のとおり、「フェルディナント・ポルシェ」の生涯と作品が、恐ろしく細かく書かれている。全227ページにわたる この本は、面白い小説を 読んでいるのに等しい。

「356」という車を勉強しようと思えば「フェルディナント・ポルシェ」の生涯は必修科目となる。
初めて「ポルシェ」の名が付いたモデルであるから・だが、、波乱万丈のポルシェ博士の人生を、ここで紹介するには無理がある。
それでも、極力簡単に年表にすると、、

1875年   オーストリアで生誕(9月30日)
1900年   ローナー社時代 パリ・サロンに「電気自動車」出品
1905年   アウストロ・ダイムラー社・入社
1923年   ダイムラー社・入社
1926年   ダイムラー社とベンツ社が合併「ダイムラー・ベンツ」社 技術部長
1928年   退社

まず、ここまででも興味深い、、今流行の電気自動車など、ポルシェ博士は、1900年の段階で実用化させていた。
ダイムラー・ベンツ時代も 数々の名車を生み出している。(現在の「メルセデス・ベンツ」社)

1931年  「ポルシェ設計事務所」設立(息子のフェリー・ポルシェも在籍)

ここでは、あの有名なフォルクス・ワーゲン「タイプ1」の設計を、、これが 後の「356」に繋がる。
また、アウトウニオンのレーシングカーでは、時速:400kmオーバーの怪物マシンまで設計。
第二大戦が始まると、軍用のエンジンを担当、私が小学生の時に作ったプラモデル「タイガー1・2型」戦車、「キューベル・ワーゲン」、「シュビム・ワーゲン」なんかもポルシェ博士によるもの、、。

数々の伝説的名車を生み出したポルシェであるが、戦争が終わると戦犯として1945年 息子らと共にフランスに幽閉される。
1946年、先に開放されたのは、息子の「フェリー」、、
彼は、いよいよ 自社ブランドの自動車開発に着手することになる。
と、同時に、幽閉中の 親父を救出するたの資金を捻出するべく、イタリアの「シチタリア」レーシングカーのエンジンを設計。ここで得た資金をもとに膨大な保釈金を支払い 親父さんを解放させる。
1947年 8月 自由の身となった「フェルナント・ポルシェ」は、息子の作った「356」の試作車(47年7月完成)を見て アドバイスを送ったという。
「356」は、完全にVWタイプ1から発生した発想、、そういう意味でも「356」は、親子2代の合作であるといえよう。

1949年 3月 ジュネーブ・モーターショーで「356」お披露目
(後に グミュント製356と呼ばれるモデル)
この段階では、VWのスポーツ・カーというイメージが強かったが、、
1950年から販売された「356 pre−A」で 人々は 度肝を抜かれることになる。
あまりにも高性能、、、「356」と「ポルシェ」の名は世界中に轟く。
結局、「356」は、1950年から改良を繰り返しながら、1965年まで15年間も生産されることになる。

では、モデル別年表とボディ別生産台数

グミュント製    1948年〜1950年             50台

356 preーA   1950年〜1955年          10.466台

356A       1955年〜1957年 (T1ボディ)    8.465台
           1957年〜1959年(T2ボディ)   12.193台

356B       1959年〜1961年9月(T5ボディ) 15.354台
           1961年9月〜1963年(T6ボディ) 16.038台

356C       1963年〜1965年(T6ボディ)    16.684台     トータル:79.250台


*上記台数には、全てのモデル(クーペ、カブリオレ、ロードスターなど)が含まれる。
また、ボディに T3とT4が抜けているが、そのボディ・デザインは採用されていないので存在しない。


今回は、当「356B」クーペに話を集中しよう。
ご存知のとおり「356」は、古いモデルほど高額となる。
丸っこいボディが かわいいのと希少性から、、である。
性能だけをいうなら新しいモデル「C」が好いのだが、一番安い=価値が低い。

ボディ:

T5ボディとT6ボディを比べれば かなり異なるが、、一目で判断するなら、ボンネットの先端デザイン(T5は丸く、T6は、四角い)、それとエンジン・フード(T5は、ダクトが1つ、T6は2つ)、
全体のデザインでも、例えば、T5は、「356A」に近いが、T6は「911」に近い。
T6ボディは、トータル:32.722台と、生産台数もT5の倍以上作られているので、希少性でも劣ってしまう。
因みに
T5ボディを持つ「クーペ」だけの生産台数は、「8.559台」
T6ボディの(C含む)クーペは、「25.548台」、、ケタが違うのである。

1950年以降「356」の「クーペ」のボディ製造は、「ロイター社」が担当。(カルマン社製クーペも有り)
1963年、ポルシェは、ロイターを買収
ロイター・カロッツェリア=「REUTTER CAROSSERE) 
頭文字の「RE」と「CARO」をとって 「RECARO」
そう、のちのシートメーカー「レカロ」である。
つまり、「356」のシートは「レカロ」製ってわけだ。  たしかに乗り心地は◎。

エンジン:

「356B」には、3つのエンジン・バリエーションがあった。

1600               60馬力
1600S              75馬力
1600S−90(スーパー90)  90馬力

この「スーパー90」エンジンの性能は圧倒的で、
このエンジンの お蔭で「ポルシェ」は一流の名を手に入れたといってよいと思う。


さて、当個体そのもの

1987年に日本に持ち込まれたUS・モデルである。
元色は、エトナ・ブルーで 途中「スレート・グレー」にオール・ペイントされている。
当社入庫時、塗装にあった若干のクラックが気になって塗装工場に出したら、、いつのまにか
フル・オールペイントされて帰って来た、、そこまで 頼んだ 覚えはないのであるが、、塗装屋の こだわりであろう。下廻りまで手を入れている。
つまり、相当にキレイになった。
だが、当個体、内装のオルジナル度は高い。(後述)

間違いなく「スーパー90」エンジン、ボディともに 1960年1月〜9月の間に作られた
「T5ボディ・スーパー90」である。

詳しくは、下記より、写真90枚とともに、、↓



外装色は、「スレート・グレー」。

「スレート・グレー」は、1961年当時に存在した純正カラーではあるが、元色は、「エトナブルー」。
歴代のオーナーが好きなカラーに塗る・のが 当たり前の時代であるから どうでもよいのだが、、おそらく一度しかカラーを変えていないようだ。
前述のとおり、当社で オールペイントを施しているので まったくもってキレイ!
今回のオールペイントは、当社の100%下請け工場ではなく、あえて、違う塗装工場に お願いした。
そこには、ドイツの超有名・某自動車販売店の板金塗装工場で 修行されてきた社長がいるから、、。
そしたら、なんと完成までに1年も待たされた。
なんだか、こだわりがあるようだが、、、流石に 請求書も 投げ捨てたくなるほど、、であった。
当個体のボランティア活動=貧乏クジも いつものように当社で引かせていただいた。
これで、次にオーナーになられる方には、喜んでいただけるはず、、。


「356」のボディは、「ロイター」社による いわゆるコーチビルド物であるから手作り感が ものすごくある。
それでいて、ドイツ車の お手本のように 各部はカチッと作られている。

今見ると とても小さな車である。
丸っこくて かわいらしい。カエル顔である。
その外見からは、 想像もできないほど 俊敏な走りをするのが 「356」の魅力であろう。

右フェンダー下には、ボディ製作担当 カロッツェリア「ロイター」社のバッジ!
356は、小量ながら、「ロイター」以外でも、数社のカロッツェリアが違うボディを作っていた、、「カルマン」、「ヴェントラー」、「グレーザー」、他、そのボデイの話は 長くなるので 割愛。

エンジン・フード下に張られた「スーパー90」エンブレムも誇らしい。



内装は、「レッド」ビニール・レザー。

エンスーな方々には、「356」の内装に使われるパーツも興味深いであろう。
モデルごとに少しずつ異なり 奥が深い。

当個体の内装は、運転席、助手席を張り替えている以外、、オリジナルのままのようである。
ドア内張り、ダッシュ、リア・シート、、確かにヤレは見受けられるが、、決して 汚なくはない。むしろ、それこそ、当個体のコンディションの良さを表している。
多くの個体は、すでにフル・レストアされている。そうなると すっぴんでキレイかどうかは もう 分からない。
当個体、かなりの 「すっぴん美人」である。


ステアリング、ドア・ハンドル類など、どれもオルジナルのようだが、、
気に入ったのは、天井にある「コートフック」!年季が入っている。
渋い、、オリジナルのまま、つまり、天井内張りもオリジナルのまま、、。

室内を見渡す限り、、交換されているものは、
「スピードメーター」と「タコメーター」

「スピードメーター」は、km表示に交換していて(USのマイル計が いやだったんでしょ)、オリジナル物ではない。
ただ、マイル計より、こちらの方が 見やすいのは事実。実用優先。

「タコメーター」は、おそらく(詳しくない私の見解)、
356Cの電気式タコメーターのようだ。 ごくごく微妙な違いではあるが、、これも実用重視の変更とみた。




「スーパー90」エンジン!

90馬力を発生するから「90」
この高性能エンジンで、「VW」から本当の意味での脱皮ができた。
1600、1600Sとは、同じ排気量(1582cc)ながら、内部のパーツは強靭である。
特殊加工されたアルミ合金のシリンダー、ロッカー、プッシュロッド、、フライホイールも軽量化、、他
これに、「SOLEX 40PU−4」ツイン・キャブ。(ノーマルは、ゼニス)
最高速は、185kmに達する。
また、足回りも強化されていて、「スーパー90」のみ、全輪「コニー」製の赤いショック・アブソーバーが組み込まれている。


この「スーパー90」エンジン、、ノーマル・エンジンとは外見も異なる。
分かりやすいのは、シルバーに塗られた扇形のファン・ハウジング(ノーマルは ブラック)、
それに、楕円形のシルバー色をした ワイヤーメッシュ・エアクリーナー(ノーマルは、丸く黒い弁当箱みたいなの)

ファン・ハウジングに張られている「黄色いステッカー」には、バルブ・クリアランスが記されているが、その数値も「スーパー90」は他と異なる。


乗ってみると、、

まさに、この車は、「ポルシェ」である。
空冷最終物911まで、確実に伝統を引き継いでいる。
このモデルに乗ってしまうと VWと比べる方はいなくなるであろう。
最初は、高性能な「タイプ1」?、、と なめていたが とんでもない。
やはり、ポルシェ親子は天才である。
「ポルシェ」こそは、本当にエンスーなスポーツカー好きに愛される車


ただ、イギリス車を得意とする当社では、考えが理解できない場合も有る。
例えば、ロールス・ベントレーの世界に「マッチング・ナンバー」なんて言葉は 数億円クラスの個体以外、使わない。
エンジンが 頑丈すぎて、載せ変えていない個体が ほとんど、、の せいもあるであろうが、よしんば、同モデルのエンジンであれば、載せ変えていても、今が調子よいなら、それで問題なし。

ところが、「356」の世界では、やたら、「マッチング・ナンバーですか?」と最初に聞かれる。
当初、勉強前(買ってから勉強したので)、マッチング・ナンバーの表を見間違えて、「違います」 と答えていた。
すると、、面白いくらい皆さん 興味がなくなるのである。
エンジンの調子は 二の次、一番重要なのは、「マッチング」のようだ。  
勉強になった、、ポルシェは、深い。
当個体、いいほうに間違って「マッチング・ナンバー」で よかったが、、正直、よほどのエンスーの方以外、気にすることはないと思う。
「マッチング」ってだけで値段も高くなるし、、、それで、調子の悪い ダメ個体なら、手が付けられない。
マッチングに拘るのは、美術品的価値も含まれる「356A」以前モデルだけで十分である。
カブリオレやロードスターでもなく、ただの「クーペ」ボディであれば、じゃんじゃん乗って楽しむ車だし、高い車でもないので、コンディションを重視したほうが好いと思うのだが、、。

それでも、「356」は、どんどん値上がりしている。
昔は、今が うそのように安価で入手できたのだが、、。
これは、世界相場の変動であるから、いたしかたない。
ご存知のとおり、すでに「preA」はビックルするほど、、、、「A」の極上個体でも、ものすごく高い、、「T5ボディ」が 次に高くなるであろう。カレラなんかは、論外に高額。
お気軽に 楽しめるクラシック・ポルシェの多くは、、もう お気軽ではなくなってしまった。

「356」、、雰囲気を味わいたいだけなら、「356C」で十分(安いし)、
スピードも欲しいなら「356SC」
普通に乗りたいし、ちょぃと自慢もしたいなら、「356B」T5ボディ、
「B」でも「T6」ボディなら、「SC」のがまし。
スピードも、、なら、当「スーパー90」。
お金持ち&見ているだけなら「356A」(遅いから、本気で走りを求めるオーナーは、オリジナル・エンジンを取っておいて速いエンジンに載せかえる)が お勧め
、要は、なにを求めるかの、、費用対効果。 
要注意は、コンディション。


どちらにしても、
「フェルディナント・ポルシェ」の自伝が読みたく「ポルシェ」は、「356」しかない。
すげー人が作った スゲー車です。








1951年  1月 30日

「フェルディナント・ポルシェ」は、当時41歳の愛する息子が作った「356」の商業的成功を その目で見たのち、
静かに 息を 引きとった。

享年 75歳 

フランスでの幽閉生活は、ポルシェ博士の体を確実に むしばんでいたのである。

博士の称号を持つ 自動車史に残る 

大天才の最後であった。






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