オリジナルの誕生から40年後、新たに生まれ変わったWood Will版 HS-500

WOOD WILLという長野県茅野市泉野にある工房に初めて電話をしたのは2007年が明けて間もない頃でした・・・

HS-500は我が家に来て3年目を迎え、ご機嫌な音で鳴っていました。 
この3年の間にK&KさんからのいろいろなアドバイスやHS-500を2台重ねたVT(バーチカルツィン)の音を何度も聴かせて頂いた事がとても大きかったと思います。

ただ、HS-500が良い音で鳴れば鳴るほど、どうしても現代スピーカーのような横幅が狭く、奥行きがあり、ラウンドバッフルのようなエンクロージャーに入れて鳴らしたらどんなに良い音がするのだろうと考えるようになったのです。 現代版HS-500・・・

そんな時に偶然目にしたのが、Stereo誌に掲載されていたWOOD WILLのスピーカー制作記事で、制作されたスピーカーは仕上げが美しく優しい音のするスピーカーという印象でした。

具体的なプランもなくWOOD WILLに電話をしてみると柴田さんという代表の方が対応してくれました。

HS-500の話をすると柴田さんから意外な話が・・・
『高校時代に知人の日立の販売店で毎日のようにHS-500の音を聴いていました。』

思わず自分の耳を疑ってしまいました! 
40年近く経ってから自分と同年代で、しかも自分が高校生の時に聴いて感動したHS-500を毎日のように聴いてた方がスピーカー工房の代表をされているとは。 
これが初めての電話でしたが30分近くもお話ししたように思います。 一応また検討してご連絡しますとと言って電話を切ったものの、心の中ではもう制作をお願いすることを決めていました。

  ・ラウンドバッフルにして横幅を狭く奥行きを深くしてもらう。
  ・ネットワークは付けず、ウーファーはスピーカーから端子直結、ツィータはフィルムコンデンサーを入れ直結。
  ・容量はオリジナルと同様の約50リットルでバスレフ型 (写真では、部屋の特性のため現在はポートを吸音材で塞いであります。)
 
その後、何度かメールでやりとりし、数日後には柴田さんからWOOD WILL版 HS-500のコンセプトやサイズ、使用材料などのプランがメールで送られてきました。 最終的にはオリジナルのHS-500をWOOD WILLに送り、オリジナルの良さを理解してWOOD WILL版 HS-500に取り入れていくという大変に手間と時間のかかる作業をしていただくことになりました。 


幸いオリジナルのHS-500をもう2ペア持っているので、制作期間中にHS-500の音が聞けなくなることはありませんでしたが、2007年の2月末に正式にお願いをして、納期は約9ヶ月と言われていましたので完成は11月末頃です。 大型システムや防滴型のエンクロージャーでは1年以上もかかることがあるそうです。 今思うと長い月日でしたが、時代もあり昔に比べ『待つ』ことの少なくなった私には良い楽しみになりました。

完成が 近づき、何度か試聴のご案内も頂きましたが私の仕事の関係で結局、柴田さんに全てお願いしてしまいました。
吸音材を極力減らすためにエンクロージャー内部は殆どの面に定在波減衰対策用反射板を内蔵して各部材の不要共振を制御したりする複雑な作業や、天候の関係などで塗装作業が遅れたりもして、我が家にWOOD WILL版 HS-500が到着したのは2007年12月15日。 丁寧に梱包された段ボールを開梱すると希望通りの朱系と黒の精悍なWOOD WILL版 HS-500が出てきました。

音響レンズ(ディフューザー)を外したH-70HDと正面バッフル

L-200と正面バッフルの落とし込み加工

天板に敷いた強化ガラスとスーパーツィーター(4PI PLUS.2)

スピーカーとダイレクトに繋がるHigh / Low用SP端子

 
はやる気持ちを抑えて、用意してあったTAOCのスピーカースタンド(AST 3-40HB 写真右)に慎重に乗せて、HighとLowの端子にケーブルを繋ぎました。 オリジナルのHS-500と同様の設定にJBL-4344Mrk2のウーファーをスーパーウーファー、ELACの4PI PLUS.2をスーパーツィーターに加えた4Wayとして鳴らしてみました。

まず、高校生の頃にオリジナルのHS-500で聴いたKarajan指揮のVienna Philharmonic + Leontyne Priceの「KARAJAN PRESENTS CHRISTMAS」を聴きました。 オリジナルのHS-500で聴いてもVienna Philharmonicの弦楽パートは美しくいぶし銀のような光沢がありましたが、WOOD WILL版 HS-500ではさらにしなやかさが加わり、Leontyne Priceの声が心持ち太く優しくなりました。 

WOOD WILL版 HS-500が我が家に届いてから3日目に知人のオーディオマニアが2人遊びに来ました。 早速2人に聴いてもらいましたが感想は『これが40年近く前のスピーカーの音 ?すごい!』と言ってしばらくの間フリーズしていました。

TAOC AST 3-40HB

 

上側から見たWOOD WILL版 HS-500

それから数日後に私のHS-500の師匠であるK&Kさんにもお聴きいただきました。 

オリジナルのHS-500と比較して『クリヤー』『ピュア』『生まれのよさが十二分に感じられる音』と言う評価を頂きほっとしました。

この時点で我が家に到着して2週間ほどしか経っておらず、細かい調整はまだまだでしたが、私なりにオリジナルのHS-500と比較して良くなったと思う点を上げてみました。


 ・音場感がスピーカーの外側まで広がり奥行きが深くなった。  
 ・音が柔らかくなり静寂感もでるように(S/Nが高く)なった。
 ・付帯音のようなモノが取れて音の純度が高くなった。
 ・低域の分解能が上がり、低域の力感がでるようになった。
 ・古いCDでも新鮮に聞こえるようになった。
 ・音楽の抑揚がハッキリし聴くことが楽しくなった。
 ・音や外観も含め高級感が出たこと


その後、お正月休みを使って現在のマルチアンプの組み替えを行ってみました。 組み替えの一番の理由は、高域(3kHz以上の)は、真空管アンプにしてみたかったのです。

良く言われるようにホーンスピーカーには真空管アンプ!、そして出力の小さいアンプは高音用にという選択ですが・・・

 

サランネットを付けた状態

これを実践して、こんな接続になりました。 WOOD WILL版 HS-500の低音用L-200にはMcIntosh MC-2255、高音用H-70HDにはMcIntosh MC-275、そしてスーパーウーファー JBL-ME-150HSにはMcIntosh MC-2500、スーパーツィーターELAC 4PI PLUS.2という4WayマルチアンプとなりチャンネルデバイダーにはDrive Rack 4800を使用しています。 
ただ、あくまでも2Way + スーパーウーファー + スーパーツィーターという繋ぎ方です。

これは大成功でした。 ますます自然な鳴り方になり大満足です。 この状態にしてからK&Kさんにもう一度お聴きいただきました。 評価は、『WOOD WILL版 HS-500、やっぱり良かったです。 オーケストラの楽器がほぐれてよく聴き取れる分解能と音場感が気持ちよかったです。 相変わらず、弦楽器の浮遊感は健在だし。』と褒めて頂きました。 
 

WOOD WILLの柴田さんの『最新のユニットに全く勝るとも劣らないHS-500のL-200とH-70HDには脱帽です。』という言葉にあるようにHS-500は底知れぬポテンシャルの高さを秘めていると思います。 HS-500は1968年に誕生して今年で40才。 Dog YearならぬSpeaker Yearで考えても大変な高齢な上にエッジを交換することもなくオリジナルのままで使い続けられるスピーカーは滅多に無いと思います。

オリジナルの誕生から40年後にWOOD WILLの柴田さんに作っていただいたWOOD WILL版 HS-500と付き合いだしてからまだ2ヶ月。 これからはWOOD WILL版 HS-500の魅力をより引き出せるように頑張らねば!。 そんな思いを起こさせるスピーカーです。

WOOD WILLの柴田さんありがとうございました。 またいろいろとお世話になると思いますがよろしくお願いします。

          WOOD WILL版 HS-500

             Original HS-500

Size 

W: 360mm

H : 610mm

D : 347mm

22Kg

エンクロージャー材質
硬質パーチクルボード

Size

W: 300mm

H: 670mm

D: 420mm

28Kg

エンクロージャー材質
フィンランドバーチ合板