Here's To Ben
方式
2ウェイ・2スピーカー
  フロントショートホーン+バスレフ方式
再生周波数特性 
40Hz〜20000Hz
クロスオーバー周波数  500Hz
低域用 38cmコーン型 416-8C
高域用
ホーン型 902-8B +511B
ネットワーク N-501-8B
インピーダンス 
出力音圧レベル
103dB/W/m
定格入力 連続50W
外形寸法 W760×D610×H1380mm
重量 67.8Kg
「The Voice of Theater  ALTEC A7システム
   
2005年の年末にとても状態の良いA7がオークションで見つかったことと、最大の難関である奥さんのお許しをもらえるラッキーな事が重なり、念願叶ってALTEC A7を入手することが出来ました。

ALTEC A7は、 音大生のころ江古田にあったJazz喫茶で毎日のように聴いていたことを思い出します。 ヴォーカルモノも良かったけれど、ピアノのスコン、スコンと言うタッチが耳から離れず、当時持っていたDIATONEのスピーカーから同じような音を出そうといろいろとチャレンジしていました。
Jazz喫茶独特の薄暗い照明とタバコの煙が悶々とする中で、大音量もさることながら、McIntoshの洗練されたグリーンとブルーのイルミネーションは無骨とも言えるALTEC A7に不思議とマッチしてとても衝撃的でした。

それから早30数年、A7が初めて我が家にやってきたのは何と12月30日の夕方、ただでさえ大きなA7は梱包で膨れ上がり、トラックからの積み降ろしも大変だったと思いますが、若い引っ越し便の2人は軽々と運び込んでくれました。 感謝!
廻りを包んでいた毛布は解いてくれ持ち帰ってくれましたが、段ボールの梱包は自分で解き、一応仮の位置に置いてホーンとドライバーを組み合わせて音が出せる状態になったのは、8時を過ぎてしまいました。 流行る気持ちを抑えて恐る恐るCDを鳴らしてみましたが・・・

コンセプトも方式も全く違いますが出てくる音のバランスがそっくりなHS-500
416-8C ウーファー
N-501-8Bネットワーク
カバーを取り線材を交換

最初にJacinthaの「Here's To Ben」を聴きましたが「元気のない声」そんな印象でした。 
また、学生時代に聴いて感動したあのスコン、スコンと言うはずのピアノの
アタックも重く湿った印象で、いろいろなCDを聴いても楽しくありません。


旅の疲れも癒えないまま鳴らされたA7はご機嫌が悪いのかも知れないと思いつつ?、裏蓋を開けてみようと、裏蓋を止めているネジを回しにかかった所、何とも緩い締め具合!。
これではダメと思いつつ裏蓋のネジを全部外し、ウーファーを留めているネジも締めようと回しましたが、まるで仮留め状態のようで軽く5回はドライバーを回して締めました。
 
いくら何でもこれでは良い音は望めそうもありません。
結局左右ともに緩い締め具合だったので無理をせず普通に締めました。

次に驚いたのが内部配線の線材です。
中央の写真にある黒色の線で、太さはこれでも十分だと思いますが何と単線なんです。 
これは全部取り替える事にしました。 ケーブルは安くて信頼性の高いWestern Electricの16GA twinという1m700円のケーブルです。 元のケーブルと同じ長さにカットし、交換、半田付け、さらにネットワークを覆っている鉄製のカバーはJBL-4343BXWの時と同様に外してしまいました。

吸音材はかなり少なめで、昔ながらの黄色でチクチクするタイプでした。 
交換や新たな追加はせずそのままにして裏蓋を閉じ、ウーファーと同様に無理をせず普通にネジを締めました。
これが 終わるともう11時を回っていたので作業終了。 あえて音は聴かずに休みました。

 

明けて31日大晦日。 新年を迎えるための手伝いを早々にかたづけて、アンプに灯を入れました。 アンプは昨日と同じ管球式のLuxman SQ-38FDです。
音を出してすぐにわかりましたが、激変しました。 昨日行ったネジ締めとケーブル交換と鉄製のカバーを外しただけなのですが、別のスピーカーを聴いているようです。 30数年前からずっと耳に残っていたあの、スコン、スコンというピアノのタッチが蘇っています。 それに思っていた以上に低音も出ます。 ウッドベースの胴鳴りなどのリアル感は4344Mk2以上です。 


2006年1月元旦。 あけましておめでとうございます。
さすがにお正月早々音楽ばかり聴いているわけにも行かず、家族揃って近くの神社に初詣に行き、ゆっくり、のんびりと過ごしました。

2日は朝からLuxman SQ-38FDで鳴らしていたA7をHS-500と同じようにマルチアンプで鳴らしてみることにしました。
このA7のクロスオーバーは500Hzで固定されていますが、A7には500Hz以外に800Hzと1200Hzのクロスオーバーを切り替えられるモノもあります。

チャンネルデバイダーはデジタル仕様のdbxのDrive Rack PAを使いますが、CP(コストパフォーマンス)の高さで言うと、私がオーディオ関連で購入した製品の中でベスト3に入るスグレモノです。
オーディオ器機として見た目のデザイン性や存在感はありませんが、陰の立て役者として素晴らしいクオリティーを提供してくれます。

今まで使用していたLuxman SQ-38FDは管球式のプリメインアンプですが、プッシュプル動作で30W×30Wのパワーがあります。 しかしHS-500で使用しているSUN AUDIOの管球式アンプ低音用として300Bシングル(8W)、高音用として245シングル(2W) しかありませんが、能率が103dbを超えるA7としては十分なパワーだと思います。

ジェームス・B・ランシングの思想を受け継いだ2台のLansing

HS-500の時もそうでしたが、ネットワークとマルチを比べると音の鮮度がまるで違います。
A7のネットワークに使用しているコンデンサーの劣化等により音質が悪くなっていることも考えられますが、どことなく音のエネルギーが詰まったように聴こえるのは否めません。

以前LE8Tを購入し、久しぶりにフルレンジの音を聴いた時にコンデンサーやコイルなどのネットワークを通らない、アンプ直結の音の素晴らしさを忘れていことを思い出しました。 マルチアンプの良さは正にこれで、アンプとスピーカーを直結したストレートさ、伸びやかさと言えると思います。 さらに
dbxのDrive Rack PAのようなデジタルのメリットを生かした手頃で高性能なチャンネルデバイダーがあれば尚更です。 コンデンサーやコイルなどの良質なパーツを揃え、カット&トライをくり返して完成度を高めて行くのも楽しみですが、これにかかる金額と時間を比べると、私は二度とネットワークには戻れません。

3日、4日といろいろな音楽を聴く中で、A7はHS-500や4343Mk2のように歌手の口が小さくならず、わずかに広がってしまうことに気づきました。 本来A7のホーンはウーファーとほぼ振動面(振動板)が揃っていますが、私の部屋ではA7の左右の間隔が広く、反対にリスニング位置が近いため、ホーンだけ内振りにしてあります。 この角度をすこしずつ変え、またDrive Rack PAで、高音にのみ1cm単位でディレイをかけアライメント調整を行ったところ、HS-500や4343Mk2同様、小さな口になってくれ、 演奏、録音共に素晴らしいJacinthaの「Here's To Ben」を聴くと左右のスピーカーの真ん中で歌うJacinthaが見えるようです。

こんな調整がほぼ済んだ頃にK&Kさんが遊びに来てくれました。 
K&Kさんのお宅は、石井式による響きの素晴らしい音楽室にスタインウェイのグランドピアノが置かれていてVT(バーチカルツイン)のHS-500にサーロジックのSW、リボンのSTを加えられ素晴らしい音で鳴らされています。
 
いつも奥様の弾かれる生のスタインウェイの音や発表会等の生録を行われているため、K&Kさんのピアノの音に対する評価は特に厳しいのですが、A7を聴いて頂いたところ、次第点を頂けたようでほっとしました。

 

902-8Bドライバーと511Bホーン

内振りをしてアライメント調整を行った後の状態
主な装置 デジカメに広角レンズが着いていないためパノラマ写真のようになってしまいました。

簡単にクロスオーバーを変えられるのはDrive Rack PAのおかげですが、A7のクロスオーバーを500Hzから800Hz、1200Hzと変えて見ると面白いことがわかりました。
私見としてお読み下さい。 
Jazzやヴォーカルを鳴らすなら500Hzでクロス、クラシックを鳴らすなら1200Hzでクロスするのが良いと思います。
500HzでクロスするとA7のホーン鳴きを含めた個性が生きてどちらかと言えば積極的な音、1200Hzだとウーファー、ホーンの良いところを(個性的な所を少し切り捨て)上手くコントロールしたような音です。800Hzはこれらの中間のようです。

到着時と比べれば良く鳴っていますが、ジャズはともかくクラシックの弦はまだまだです。 何もA7でそんな鳴らしかたをしなくてもと言われそうですが、私の目標は
A7本来の明るさ、伸びやかさを保ちながらクラシックを暖かく、柔らかく鳴らすことです。
ALTEC A7をお使いの先輩方、いろいろとお教えいただければ幸いです。
それからA7をセッティングしたことで、もう一つ面白いことがありました。  いままで、当たり前のように床から持ち上げていた4344Mk2を1mm程度のスペーサーのみで床に置いてみました。 当然低域で持ち上がった帯域はありましたが、中高域は反対に素直な特性となりました。 DG-28があるので、低域で持ち上がった帯域だけを下げて聴いてみると、あら不思議、今までよりもずっと素直で自然な音になりました。 

メーカー製ブロック、木製ブロック、大理石ブロックなど4343BXWの頃から持ち上げるためにいろいろとやって来ましたが・・・ 何だったんでしょうか?
私の場合は、スペーサーは極く薄いため殆ど潰れてしまいスピーカーの底板と床との接触面積が増え、スピーカーの底鳴きが押さえられたのかも知れません。 

そう言えば、故瀬川冬樹氏の残響の長いリスニングルームでも4343BXWは直置きだったように思います。
部屋や床による影響でいろいろな場合があると思いますので責任は一切取れませんが、43○○系のフロアスピーカーをお使いの方でグライコやボイシングイコライザー、Drive Rack PA等の低域をコントロール出来る機材をお持ちの方は、一度直置きを試される価値はあると思います。